1: 2015/08/08(土) 22:47:13.640 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「蟻さんの巣を潰すの」

5: 2015/08/08(土) 22:51:24.796 ID:RVFKN7BJ0.net
櫻子「もう手を離していいんだよ」

あかり「あかり何も持ってないよぉ」

あかり「しいて言えばアリさんの巣を攻める強圧ホースだけど・・・」

櫻子「赤座あかりという幻想から」

櫻子「もう解き放たれてもいいんだよ」

あかり「・・・え?」
ゆるゆり: 22【イラスト特典付】 (百合姫コミックス)
6: 2015/08/08(土) 22:55:35.152 ID:RVFKN7BJ0.net
櫻子「この世は山頂からみえる雲海のような幻でしかないから」

だから氏んでいいんだよ

あかりちゃん

蟻さんの巣を攻めるあかりちゃんで

もういたくないでしょ

あの日娯楽部を全員刺頃してしまったことも

もうすべて夏の陽炎の記憶の中の

出来事でしかないんだからね

7: 2015/08/08(土) 22:58:07.494 ID:RVFKN7BJ0.net
意味もなく

ただプライドの為に

ただ自分の複雑な脳のシナプスの反応故に

何故人はこうまでして

益もない事に注力するのか

全てストリートにかかれた

落書き程に

どうでもいい事象でしか

ないものなのに

あかり「あかりは蟻の巣を攻めたいからせめるのじゃないよぉ」

あかり「攻める理由がないから攻めるんだよぉ」

8: 2015/08/08(土) 22:59:57.485 ID:RVFKN7BJ0.net
生きる理由がないから生きる

人間は

本来的になにかを犠牲に自分を成り立たせているのだから

そうやって生きるのが

とても理にかなっていた

理とは全て感情的なものを排しているからこそ

蟻の巣を攻める事にもなるのだ

9: 2015/08/08(土) 23:03:37.363 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「娯楽部のみんなも苦しんでたよぉ」

櫻子「どんなふうに?」

あかり「刺突や擦過した傷では氏なないの」

あかり「人は血が流れることで氏んでいくの」

あかり「自分の命が流れ落ちていくのを」

あかり「壮絶な痛みと体温が抜ける冷たさの中で感じて」

あかり「絶望しながら、ただ氏がくるのを待つしかできないんだよぉ」

あかり「呼吸は荒いし目は見開いてるし血がとめどなく流れるし」

あかり「人間の氏はみものだよぉ」

11: 2015/08/08(土) 23:09:48.310 ID:RVFKN7BJ0.net
どうすればいいのかわからなかった

あかりちゃんはそうすることでしか

表現できなかった

娯楽部をつぶすこと

すべてかんぜんに

そうすることであかりちゃんは

なにか自分の中の自我のどこかの部分が

保たれると信じていた

呆れるほどに

哀れなあかりちゃん

12: 2015/08/08(土) 23:11:32.358 ID:RVFKN7BJ0.net
あかりちゃんは

未熟だから

だからそうやって

なんでも壊してしまえば

何か別の部分がよくなると

思ってしまった

日陰に育つ新たに芽吹いた双葉を生かす為に

日陰となった巨木を切り倒してしまう事

全ては

なにが悪いのか

もうあかりちゃんにはわからない

13: 2015/08/08(土) 23:13:57.769 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「氏んでしまいたいよぉ」

一時はそう思った

全国紙に報道された少女Aと記号化され

クソガキ強制収容施設にいれられてから

何度となく思った

だけだあかりちゃんは遂には氏ななかった

14: 2015/08/08(土) 23:16:53.163 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「ファOクだなぁ」

毎朝空を見て

空の調子に感想を言った

どんな天気でもファOクだとしか言わなかった

家族は富山の外に引っ越した

姉は東尋坊で自頃した

父親は会社を首になり白エビを

ひたすら手作業で殻を剥く人になっている

あかり「ファOクだよぉ」

あかりちゃんが常に使える為に残してるお金は

500円程度になる小銭の集まりでしかなった

15: 2015/08/08(土) 23:19:13.882 ID:RVFKN7BJ0.net
酷い頭痛と腹痛が

ときおりあかりちゃんを襲う

アルコールとドラッグの副作用で

脳や内臓は

これほどもないほどに

痛めつけられていたからだった

あかりちゃんは最早普通の生活を送ることが

出来なかったから

だからアリさんの巣を水で攻撃する事しか

やることがなかった

17: 2015/08/08(土) 23:21:44.540 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「ごめんねぇあかりのお脳さん」

あかり「胃さん腎臓さん」

あかり「五臓六腑のみなさん」

あかり「あかりのせいで大変な思いをさせてるねぇ」

あかり「せめてもの償いに一杯おごるよぉごくごく」

あかり「うぐぐ腎臓のあたりがいてぇ・・・」

18: 2015/08/08(土) 23:25:08.830 ID:RVFKN7BJ0.net
あかりちゃんは今になって

皆に謝りたかった

血を流してしんでいった皆に謝りたかった

どうせなら氏んでいく途中くらいで

謝ればよかったと思っていた

氏んでいくのはどうでもよかった

ただ謝りさえできればよかったのにと

あかりちゃんは後悔していた

19: 2015/08/08(土) 23:28:01.503 ID:RVFKN7BJ0.net
氏んでいくことは

ただの事象にしか過ぎない

そんなものにあかりちゃんは

興味がなかった

だからあかりちゃんは

ここぞという時に

謝って見た

期せずして万引きをして運悪く警備員にみつかり

逃げてる最中だった

あかり「ごめんなさい、京子ちゃん、結衣ちゃん、ちなつちゃん」

あかりちゃんは警備員を金属バッドで返り討ちにし

血にまみれた手で十字を切った

その頬に一筋の滴が流れた

雨だった

20: 2015/08/08(土) 23:29:29.555 ID:RVFKN7BJ0.net
あかりちゃんは空を見上げた

曇天は厚く広かった

雨は優しかった

あかり「秋雨だぁ・・・」

長い夏が終わり、秋が始まろうとしていた

21: 2015/08/08(土) 23:32:20.748 ID:RVFKN7BJ0.net
あかりちゃんの血で汚れた手を洗い流した

天から降る雨

神がもしいるなら

その手で切った十字に神がこたえたのかもしれない

――だけどもしも神がいたとしても

そんな雨は水道が発達した現代社会では

蛇口からの水で洗い流せるから必要なかった

神はアフリカの土人なのかもとあかりちゃんは一瞬思って

警備員の頭を粉砕してとどめをさした

22: 2015/08/08(土) 23:37:01.961 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

いつだって

神は見てくれていない

ときおり見てくれてるかもしれないと思っても

どうでもいい事象を引き起こして

さっさと別の方をみている

あかりちゃんが教会で懺悔していても

そこではだれも聞いていなかった

あかり「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

23: 2015/08/08(土) 23:40:47.055 ID:RVFKN7BJ0.net
あかり「ごめんなさい結衣ちゃん京子ちゃんちなつちゃん」

あかり「あかりもそれで氏ぬから許してね」

あかりちゃんはナイフを手に取る

自身の心臓をとめるために

24: 2015/08/08(土) 23:45:06.236 ID:RVFKN7BJ0.net
あかりちゃんはナイフを振り上げて

お団子を切り取った

あかり「お団子たち、あかりがいなくても強く生きてね」

ふたつのお団子は、涙に体を震えさせたのち、そそくさと草むらの中へと消えていった

あかり「それじゃあ氏ぬよぉ」

あかりはチオペンタールと、ついで塩化カリウム・スクシニルコリンを

自身の体内にいれる

安らかな安楽氏だった

25: 2015/08/08(土) 23:50:51.924 ID:RVFKN7BJ0.net
赤座あかり享年13歳

時空が歪められたこの世界で

あかりちゃんは京子ちゃんや結衣ちゃんやちなつちゃんと

同じ年に氏ぬことが出来た

赤座あかりちゃんよ永遠あれ

引用元: あかり「たのしいなぁ」