111:  ◆tFAXy4FpvI 2013/04/02(火) 21:49:15.89 ID:0d8SfsXao



前回はこちら



 冬馬「うわぁぁああ!」

冬馬「ハァ、ハァ……」

冬馬(痛い……痛い)

冬馬(何笑ってるんだよ。助けてくれよ)

冬馬(何だ……?)

冬馬(誰か来る)

冬馬(それもすごい速さだ)

冬馬(……ッッ! み、みんなが斬られちまった!)

冬馬(や、ヤバい。報告しないと……)



千早「キサラギクエスト」シリーズ



112: 2013/04/02(火) 21:50:21.86 ID:0d8SfsXao
………………
…………
……




冬馬「…………」

冬馬「夢か」

冬馬「……くそっ」

冬馬「なんで今頃」

113: 2013/04/02(火) 21:51:32.90 ID:0d8SfsXao
兵士「どうしました!?」

冬馬「……聞いてのか?」

兵士「い、いえ……大きなうなされている声だけでしたが」

冬馬「ならいいか……」

冬馬「くそ……気分悪い」

兵士「あっ、どちらへ」

冬馬「少し城のなかぶらぶらするだけだ」

冬馬「……」

冬馬「……頭痛ぇ」

114: 2013/04/02(火) 21:52:45.80 ID:0d8SfsXao
………………
…………
……



黒井「そこでだ、貴様らにもあの忌々しい勇者共が
   残っていないか各自の管轄地域を回ってきて欲しい」

冬馬「と、すると北斗はシモネタウンか」

冬馬「俺は暇だし北斗のほうに着いて行く」

北斗「俺の方はそろそろあの町の構造に手を打とうと思うんだよ」

響「それってどういうこと……?」

北斗「おっと、それは着いて行った人が知れる特権だよ」

115: 2013/04/02(火) 21:53:23.19 ID:0d8SfsXao
響「じゃあ自分も行くよ」

冬馬「お前がか? 足は引っ張るなよ」

響「ふん、そっちこそ」

冬馬「あ? なんだとってイテテテ……!」

北斗「ん? どうした冬馬」

冬馬「な、なんだ……? また頭痛が!」

116: 2013/04/02(火) 21:54:38.45 ID:0d8SfsXao
響「頭痛? そんなやわな体で着いて来てもらっても足手まといになるだけさー」

冬馬「痛ぇ……。てめえ言うじゃねえか」

北斗「おい、ふたりとも。まだ会議中だぞ。静かにしろ」

北斗「冬馬、また昔の夢を観たのか?」

冬馬「チッ。うるせえっての」

黒井「ふん、まだそんな昔のことを。くだらんことでイライラするな」

117: 2013/04/02(火) 21:55:31.80 ID:0d8SfsXao
冬馬「あぁ? イライラもするだろ! 翔太がやられてんだぞ」

黒井「そうやたら噛み付いてくるんじゃあない」

黒井「奴が弱かった。それだけのことだ」

冬馬「アンタそれでも」

北斗「待て冬馬。熱くなるな」

響「自分も今のはどうかと思うぞ」

黒井「ふん、小物が。黙って私の言うことを聞いていればいいんだよ」

118: 2013/04/02(火) 21:57:07.74 ID:0d8SfsXao
響「それと社長……」

黒井「なんだ」

響「そろそろあの計画について教えてくれてもいいんじゃないか?」

黒井「……」

黒井「だめだ。響ちゃんはまだ早い」

響「なんでだよ!」

黒井「だめだったらだめだ。ええい、会議はこれで終わりだ。さっさと準備して行かないか」

北斗「はいはい。分かりましたよ。ほら、二人共行くぞ」

冬馬「おう。なんだこの頭痛。普通じゃねえ……」

響「……何さ、自分だけみんなで除け者にして……」

119: 2013/04/02(火) 21:58:04.45 ID:0d8SfsXao
………………
…………
……



響「……ってなことがあってね。酷いと思わない?」

貴音「それは許しがたいですね」

響「でもさー、一応上司ってことになってるから
  あんまり逆らえないんだよねー」

貴音「そのような関係なのですか。難しいものですね」

響「はぁ……自分、貴音みたいな優しいのが上司だったら良かったぞ」

貴音「そうですか? わたくしは響のような方がいいと」

120: 2013/04/02(火) 21:59:26.68 ID:0d8SfsXao
響「え? 貴音は自分がいいの?」

貴音「はい」

響「えへへ、そうかなぁ~?」

貴音「ええ、素晴らしいじゃありませんか」

響「うーん、そっか! 頑張ってみるよ」

貴音「それよりも響、今日はどんなお話を聞かせてくれるのですか?」

響「貴音は本当に外の話が好きだよなぁ~。
  でも今日はもうあんまり時間がないんだよ。ごめんね」

121: 2013/04/02(火) 22:02:47.72 ID:0d8SfsXao
貴音「そう……ですか。いえ、気にすることではありません」

響「あんまり外に出たことないんだもんね。今度たくさん話してあげるさー」

貴音「はい。先代の高木殿の代からはよく外に出ることも許されたのですが」

響「あー、なんか前にも言ってたよね」

響「なんかでも貴音が先代何て言うと先々代まで知ってるみたいだよね」

貴音「ええ、先々代はわたくしは幼い頃から知っています」

響「へ? 何言ってんだ?」

122: 2013/04/02(火) 22:04:57.25 ID:0d8SfsXao
響「先々代って言ったら50年以上前になるぞ」

貴音「えぇ。ですから直に見ています」

響「本で読んだんだろ?」

貴音「いいえ」

響「だって、そんなに長く生きられる訳ないし」

貴音「響もそれくらい生きますよ」

響「いやいや、そんな訳ないし」


123: 2013/04/02(火) 22:08:17.03 ID:0d8SfsXao
響「人間って精々80年くらい生きると寿命ってので氏ぬんだぞ?」

響「もしかして知らなかったのか?」

貴音「なんと。それで先々代もその周りの方も……」

貴音「わたくしは人間ではないので知りませんでした」

響「はい?」

貴音「ですから、わたくしは人間ではありません」

響「……な、何言って」

貴音「わたくしは俗に言う賢者の石という物です」

響「ど、どういうこと?」

貴音「そうですね。何から話しましょうか」

貴音「わたくしの生まれは……いつでしたか」

124: 2013/04/02(火) 22:09:54.95 ID:0d8SfsXao
………………
…………
……




響「美希っ!」

美希「あれ? どうしたの響? 怖い顔しちゃって」

響「ねえ、貴音から聞いたよ! あれ、どういうこと!?」

美希「貴音? ……賢者の石はどこにいるの?」

響「えっ!?」

響(……美希は貴音の居場所を知らない?)

響(……どういうこと!?)

125: 2013/04/02(火) 22:10:54.33 ID:0d8SfsXao
美希「響……今すぐ答えて、どこにいるの!!」

美希「この城のどこかにいるの!?」

響「違うぞ、美希!! 今は自分の番だぞ!」

響「答えてよ美希! 妖精計画ってどういうこと!」

響「あれは一体何をする計画なの!?」

美希「……教えられない」


126: 2013/04/02(火) 22:14:01.36 ID:0d8SfsXao
響(きっと今美希に居場所は教えちゃいけないんだ)

響(どうしよう……!)

響「……っっ!」ダッ

美希「あっ、響! ちょっと!? どこいくの!」



………………
…………
……




127: 2013/04/02(火) 22:16:55.82 ID:0d8SfsXao
響「どうしよう……。もう遠征に伊集院北斗達と行かなきゃいけない時間だ……」

響「どうしよう……。やっぱりこの国は……どこかおかしい」

響「何が正しいんだろう」

響「ううん、きっとそれは自分で見極めなきゃ」

響「次の遠征が終わるまではいつも通りにしなくちゃ」



冬馬「遅えぞ」

響「ごめんなさい」

北斗「ほら、行くよ。たぶんあのエンジェルちゃん達も
    俺のシモネタウンに寄るかもしれないし」




キサラギクエスト  EP11.5   番外編~古い傷跡と疑いの目~    END

128: 2013/04/03(水) 00:07:08.03 ID:3M/Bnl6po
お疲れ様です。
本編を作っている合間があまりにも空くので作ったつもりの0.5シリーズが
いつの間にか敵側を描くものになってしまいました。


前スレを埋めて頂いた方々はありがとうございました。

129: 2013/04/03(水) 01:11:24.10 ID:q5ORIIrH0
乙でした。

本編も楽しみに待っております



続きます




引用元: 千早「キサラギクエストⅡ」