348:  ◆tFAXy4FpvI 2013/04/11(木) 21:53:43.99 ID:ciW9Ykomo



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 キサラギクエスト  EP12.5  番外編



貴音「響?」

響「え? あ、うん。何?」

貴音「どうしました? 先ほどからぼうっとしていますよ?」

響「ごめん」

貴音「何故謝るのですか?」

響「……また喧嘩したんだ」



千早「キサラギクエスト」シリーズ



349: 2013/04/11(木) 21:54:24.20 ID:ciW9Ykomo

貴音「前に教えてくれた一緒に旅をしたという?」

響「うん、千早に」

響「でも……負けたんだ」

響「そのせいでいぬ美もハム蔵も大怪我して今は療養中」

貴音「勝ち負けだけが世の中ではないですよ」

貴音「と、昔高木殿が教えてくれました」

350: 2013/04/11(木) 21:55:05.70 ID:ciW9Ykomo

響「貴音はずっと牢屋にいたからわかんないんだよ」

貴音「……」

響「あ、……ごめん」

響「でもね、貴音。勝たないと、負けたら氏んじゃうって、
  そんな戦いもあるんだよ」

響「負けられなかった。あの時は」

響「自分はまだまだ心の迷いが大きいからさー」

351: 2013/04/11(木) 21:55:41.50 ID:ciW9Ykomo

響「あんな風に強い信念もった千早みたいなのを正直相手にすると
  自分が迷っていることとか余計に浮いて見えてきちゃうっていうか」

響「自分の心の迷いがいぬ美達にも伝わって
  二匹とも実力が全然出せなかったし……」

響「でも……実力がもし出せていたとしても」

響「千早には勝てなかったかもしれない」

貴音「響、こちらへ」

響「え?」

352: 2013/04/11(木) 21:57:03.78 ID:ciW9Ykomo

貴音「ん~~~」

響「何してるの?」

貴音「響、もっとこっちへ来てください。届きません」

響「届かないって……。よいしょ、これでいいか」

貴音「ふふ、いい子いい子」

響「な、なんだよ急に! 頭なんか撫でても自分、嬉しくなんか……」

貴音「響はよく頑張りましたよ」

353: 2013/04/11(木) 21:57:34.06 ID:ciW9Ykomo

貴音「それでいいではないですか」

貴音「わたくしは響がそのように悲しんでいる顔など見たくはありません」

響「……ありがとう」

貴音「いえ、構いません。わたくし達はもうとっくの昔から友達なのですから」

響「そっか。うん、そうだよね」



354: 2013/04/11(木) 21:58:02.92 ID:ciW9Ykomo

………………
…………
……



響「って結局あのあと1時間くらいずっと撫でられっぱなしだったぞ」

響「貴音……やっぱり自分。貴音を助けたい」

響「……あれは?」




黒井「美希ちゃん。ようやく全てを教える時が来たようだ」

355: 2013/04/11(木) 21:58:57.31 ID:ciW9Ykomo

春香「私の存在の理由もね」

美希「ふーん。で、賢者の石はどこ?」

冬馬「落ち着け。まずは全てのおさらいからだ」

春香「そうだね。私はまだよく知らないからちゃんと教えて欲しかったんだ」

黒井「よかろう。我々の最終目的、妖精計画-プロジェクト・フェアリー-。
   その全てをお前たちに教えよう」


356: 2013/04/11(木) 21:59:41.50 ID:ciW9Ykomo

………………
…………
……



黒井「……そして、我々は世界を支配する」

美希「ぷっ、あはははは! 最っっ高なの!」

春香「……ふうん。なるほどね」






響(た、大変だ……。どうしよう!)

響(やっぱり貴音はここにいちゃいけないんだ!)

357: 2013/04/11(木) 22:01:37.17 ID:ciW9Ykomo


響(どうしてもっと早くに気が付かなったんだ自分!)

響(馬鹿馬鹿馬鹿!)

響(って、もう責めてもしょうがない!)

響(早く貴音の所に行かないと!)



響「……ッ!」ダッ




黒井「……ん?」

358: 2013/04/11(木) 22:04:19.82 ID:ciW9Ykomo

美希「…………聞かれてたの」

黒井「美希ちゃん」

美希「……」

黒井「始末しろ」

美希「……了解なの。でもどうして響には教えなかったの?」

黒井「響ちゃんはだめだ。奴はまだまだ利用価値があるからな」

黒井「……と思っていたんだがな。面倒なことになる前に消す」

359: 2013/04/11(木) 22:06:54.46 ID:ciW9Ykomo
冬馬「利用価値ってあいつの兄貴がどうとかって話か?」

黒井「あぁ」

美希「ふーん、まぁいいや」

美希「あ、でももし逃しちゃった場合は?」

黒井「地の果てでも追い回せ。出来なかったじゃ済まされんぞ」

美希「あはっ、怖~い」

黒井「それじゃあ検討を祈るよ」

美希「……重ねて了解なの」

360: 2013/04/11(木) 22:08:45.11 ID:ciW9Ykomo



響「ハァッ、ハァッ!」タッタッタッ




響「貴音っ!」

貴音「おや? 響?」

貴音「本日は響が何度も顔を見せに来てくれるので、ふふっ、私も」

響「ハァ、いぬ美達は召喚できない……」

響「仕方ない。部分召喚! いぬ美!」

貴音「め、面妖な。その腕は……」

361: 2013/04/11(木) 22:09:49.36 ID:ciW9Ykomo

響「貴音! ちょっと下がってて!」


バキィンッ!


貴音「な、何を!? い、今のは一体……」

響「いぬ美の腕と自分の腕を交換していぬ美の腕だけを召喚したんだ」

響「簡単に言うと自分の腕をいぬ美の腕にした……って感じかな」

貴音「やはりモノノケの類でしたのですか?」

響「やはりってなんだよ! ほら、急いで!」

貴音「で、ですが」

362: 2013/04/11(木) 22:11:30.55 ID:ciW9Ykomo

響「話はあと! 一緒に着いて来て!」

響「自分わかったんだ……! 何が正しいのかなんて
  本当は最初からずっと知ってたんだ!」

響「だから、お願い。貴音。自分と一緒に来て」

響「貴音に……外の世界、たくさん見せてあげる」

貴音「それは真ですか!?」

響「見つからないように行くよ!」

363: 2013/04/11(木) 22:11:56.65 ID:ciW9Ykomo

貴音「はい、なんだかこうドキドキしますね!」

響「シーッ! 静かに!」


響(どうしてもっと早く、こんな風に逃げてあげられなかったんだ!)

響(逃げなくちゃ……!)

響(あの計画を発動させちゃいけない!)

響(できるだけ遠くの安全な場所に行かないと!)

響(えっと……どこが安全だろう)

364: 2013/04/11(木) 22:17:15.78 ID:ciW9Ykomo

響(極東は……だめだ。遠すぎる。その前に何度も何度も隠れないといけない)

響(本当は極東の島国にいければ……)

響(島? そうか……!)



貴音「ところでまずはどちらに行くのですか?」

響「うん、まずは自分の故郷に行こう!」



響(貴音だけは命にかえても守ってみせる!!)

響(故郷のヌーの島に行けば島の人達が助けてくれるかもしれない!)






キサラギクエスト  EP12.5   番外編~勇気ある脱走~   END

365: 2013/04/11(木) 22:27:48.85 ID:ciW9Ykomo
お疲れ様です。感想など指摘いつもありがとうございます。

本編はもう少し時間がかかります。
今後とも宜しくお願いします

366: 2013/04/11(木) 22:29:22.10 ID:RUEGoEaE0
乙ー
どんどん盛り上がってきて続きが楽しみだ

367: 2013/04/12(金) 11:14:30.62 ID:MYR16s6Z0
乙でした。



続きます




引用元: 千早「キサラギクエストⅡ」