1: 2013/02/11(月) 06:15:30.60 ID:JUCUCrlR0
新ジャンルという言葉がすたれて幾星霜
3: 2013/02/11(月) 06:21:37.35 ID:JUCUCrlR0
兄「なんぞこれ、妹着色料?」
兄「『妹を一瞬で染め上げる魔法の薬。あなた色に染めてあげて』……?」
兄「面白い。買ってみるか」
兄「『妹を一瞬で染め上げる魔法の薬。あなた色に染めてあげて』……?」
兄「面白い。買ってみるか」
5: 2013/02/11(月) 06:25:15.93 ID:JUCUCrlR0
兄「おい妹」
妹「……なに?」
兄「これでもくらえ! ばばっ」
妹「うわっ! ごほごほっ! なにすんのよ、変態!」
兄「ふーむ、どこかおかしいところはないかね」
赤妹「おかしいのはあんたでしょ! 馬鹿じゃないの!」
兄「うわ赤い」
妹「……なに?」
兄「これでもくらえ! ばばっ」
妹「うわっ! ごほごほっ! なにすんのよ、変態!」
兄「ふーむ、どこかおかしいところはないかね」
赤妹「おかしいのはあんたでしょ! 馬鹿じゃないの!」
兄「うわ赤い」
6: 2013/02/11(月) 06:31:08.29 ID:JUCUCrlR0
兄「赤いな、実に赤い」
赤妹「何の話よ! 説明して!」
兄「や、妹が赤くなったな、と」
赤妹「……あんた、本当に頭おかしくなったの?」
兄「もうすこし付き合ってくれたまえ」
赤妹「何の話よ! 説明して!」
兄「や、妹が赤くなったな、と」
赤妹「……あんた、本当に頭おかしくなったの?」
兄「もうすこし付き合ってくれたまえ」
11: 2013/02/11(月) 06:35:02.84 ID:JUCUCrlR0
兄「しかしこれは、妹の色が変わるだけなのか? 性格とか他に変わったりはしないのか」
兄「『衛生面において人体に影響はありません。そのままおいしく食べられます』……」
兄「だってさ」
赤妹「だから何言ってるのか最初から説明してよ!」
兄「着色してみただけだ。面白そうだから」
兄「『衛生面において人体に影響はありません。そのままおいしく食べられます』……」
兄「だってさ」
赤妹「だから何言ってるのか最初から説明してよ!」
兄「着色してみただけだ。面白そうだから」
14: 2013/02/11(月) 06:44:04.71 ID:JUCUCrlR0
赤妹「……やっぱり頭おかしいよね」
兄「もっと面白いことになると思ったんだけど、すまん」
赤妹「まず私に変なものぶつけたことを謝れ」
兄「ごめん」
赤妹「……もういい! どっか行け変態!」
兄「そうしよう。申し訳ない」
赤妹「ったく」
赤妹「うわほんとに赤くなってる……落ちるよね、これ?」
兄「もっと面白いことになると思ったんだけど、すまん」
赤妹「まず私に変なものぶつけたことを謝れ」
兄「ごめん」
赤妹「……もういい! どっか行け変態!」
兄「そうしよう。申し訳ない」
赤妹「ったく」
赤妹「うわほんとに赤くなってる……落ちるよね、これ?」
15: 2013/02/11(月) 06:47:31.13 ID:JUCUCrlR0
――
―
赤妹「結局落ちなかった……」
友「おはよう妹ちゃん」
赤妹「あ、友ちゃんおはよう」
友「赤っ!」
赤妹「あ、やっぱ赤く見える?」
友「うん。これが赤じゃなかったらトマトも涙目ってぐらいには赤いよ」
赤妹「そんなにか」
―
赤妹「結局落ちなかった……」
友「おはよう妹ちゃん」
赤妹「あ、友ちゃんおはよう」
友「赤っ!」
赤妹「あ、やっぱ赤く見える?」
友「うん。これが赤じゃなかったらトマトも涙目ってぐらいには赤いよ」
赤妹「そんなにか」
17: 2013/02/11(月) 06:53:40.22 ID:JUCUCrlR0
友「なるほどお兄さんのせいだったか」
赤妹「ほんとどうにかしてほしいよあの馬鹿」
友「まぁ妹ちゃんのお兄さんは昔から変人で有名だったからね」
赤妹「変人なら許されるという考えはおかしいと主張します」
友「その主張を認めます」
赤妹「はぁ……これ落ちるのかな」
友「ま、そのうち落ちるんじゃない?」
赤妹「簡単に言ってくれるね」
先生「HRの時間だコラァって赤っ!」
赤妹「……はぁ」
赤妹「ほんとどうにかしてほしいよあの馬鹿」
友「まぁ妹ちゃんのお兄さんは昔から変人で有名だったからね」
赤妹「変人なら許されるという考えはおかしいと主張します」
友「その主張を認めます」
赤妹「はぁ……これ落ちるのかな」
友「ま、そのうち落ちるんじゃない?」
赤妹「簡単に言ってくれるね」
先生「HRの時間だコラァって赤っ!」
赤妹「……はぁ」
18: 2013/02/11(月) 06:57:41.48 ID:JUCUCrlR0
――
―
赤妹「ただいまー」
母「赤っ! おかえり」
赤妹「兄さん帰って来てる?」
母「部屋にいるんじゃない?」
赤妹「ありがと」
―
赤妹「ただいまー」
母「赤っ! おかえり」
赤妹「兄さん帰って来てる?」
母「部屋にいるんじゃない?」
赤妹「ありがと」
19: 2013/02/11(月) 07:01:14.50 ID:JUCUCrlR0
赤妹「おいこら馬鹿兄」
兄「おう妹よ。今日はいつにも増して赤いな」
赤妹「いつもは赤くねぇ。とっととこの赤色どうにかしろ」
兄「とはいってもな、せっかく色づいたんだし、このままでもいいんじゃないか?」
赤妹「変な暗喩みたいに言うのやめろ」
兄「今日の夕飯は赤飯か」
赤妹「やめろ」
兄「おう妹よ。今日はいつにも増して赤いな」
赤妹「いつもは赤くねぇ。とっととこの赤色どうにかしろ」
兄「とはいってもな、せっかく色づいたんだし、このままでもいいんじゃないか?」
赤妹「変な暗喩みたいに言うのやめろ」
兄「今日の夕飯は赤飯か」
赤妹「やめろ」
20: 2013/02/11(月) 07:05:45.37 ID:JUCUCrlR0
兄「しかたない。ここに妹脱色剤がある。これを振りまけば着色料も落ちるであろう」
赤妹「昨日のうちに出しなさいよそれ」
兄「せっかくだし一日ぐらいは、と」
赤妹「会う人会う人に『赤っ!』って言われるだけでなんのメリットもなかったよ」
兄「それは残念。 ばばっ」
赤妹「うわっ! ごほっごほっ」
赤妹「昨日のうちに出しなさいよそれ」
兄「せっかくだし一日ぐらいは、と」
赤妹「会う人会う人に『赤っ!』って言われるだけでなんのメリットもなかったよ」
兄「それは残念。 ばばっ」
赤妹「うわっ! ごほっごほっ」
21: 2013/02/11(月) 07:09:26.46 ID:JUCUCrlR0
黄妹「ちょっといきなりやるのやめてよ!」
兄「おおう」
黄妹「……どうしたの? ちゃんと色は落ちてる?」
兄「黄色いな、実に黄色い」
黄妹「え!? 脱色してないじゃん! というか黄色くなってる!?」
兄「せっかくだし他の色も試してみないともったいないと思いまして」
兄「おおう」
黄妹「……どうしたの? ちゃんと色は落ちてる?」
兄「黄色いな、実に黄色い」
黄妹「え!? 脱色してないじゃん! というか黄色くなってる!?」
兄「せっかくだし他の色も試してみないともったいないと思いまして」
22: 2013/02/11(月) 07:13:50.37 ID:JUCUCrlR0
黄妹「あああ」
兄「や、実に黄色い。バナナも真っ青」
黄妹「ふざけないで元に戻してよ!」
兄「しかし、これを見たまえ。今日の夕刊だ」
黄妹「は?」
兄「『妹着色空前のブーム。在庫切れ続出』」
黄妹「うわ。なんだこれ」
兄「や、実に黄色い。バナナも真っ青」
黄妹「ふざけないで元に戻してよ!」
兄「しかし、これを見たまえ。今日の夕刊だ」
黄妹「は?」
兄「『妹着色空前のブーム。在庫切れ続出』」
黄妹「うわ。なんだこれ」
23: 2013/02/11(月) 07:19:35.93 ID:JUCUCrlR0
――その後、妹着色は本当に大ブームとなり
――色のない妹など妹にあらずと言われるほどに、ムーブメントを巻き起こした。
――はじめは嫌がっていた妹も、それが常識となると
――むしろ積極的に着色されるようになっていった。
――色のない妹など妹にあらずと言われるほどに、ムーブメントを巻き起こした。
――はじめは嫌がっていた妹も、それが常識となると
――むしろ積極的に着色されるようになっていった。
24: 2013/02/11(月) 07:25:26.21 ID:JUCUCrlR0
ネイビー妹「それじゃ兄さん、お願い」
兄「うむ。そりゃ」
マゼンタ妹「げほげほ……。ありがと、兄さん」
兄「どういたしまして」
マゼンタ妹「どう? 可愛い?」
兄「ああ、このぐらいの色なら可愛いな」
マゼンタ妹「へへ」
兄「うむ。そりゃ」
マゼンタ妹「げほげほ……。ありがと、兄さん」
兄「どういたしまして」
マゼンタ妹「どう? 可愛い?」
兄「ああ、このぐらいの色なら可愛いな」
マゼンタ妹「へへ」
26: 2013/02/11(月) 07:31:10.39 ID:JUCUCrlR0
兄「あんまりけばけばしい色は好きじゃない」
マゼンタ妹「でも、最近はみんな派手な色が多いからね。あんまり地味な色だと目立たないかも」
兄「目立つ必要はないだろ?」
マゼンタ妹「でも、それが流行ってるから」
兄「流行なんて意識しなくていいじゃないか」
マゼンタ妹「……流行を考えなかったら、着色する意味なんてないよ」
兄「あ、おい」
マゼンタ妹「でも、最近はみんな派手な色が多いからね。あんまり地味な色だと目立たないかも」
兄「目立つ必要はないだろ?」
マゼンタ妹「でも、それが流行ってるから」
兄「流行なんて意識しなくていいじゃないか」
マゼンタ妹「……流行を考えなかったら、着色する意味なんてないよ」
兄「あ、おい」
27: 2013/02/11(月) 07:36:18.90 ID:JUCUCrlR0
――
―
ラベンダー妹「まったく」
――
―
アクアマリン妹「兄さんは」
――
―
ゴールド妹「わかってないよ」
――
―
ショッキングピンク妹「ごほっごほっ」
―
ラベンダー妹「まったく」
――
―
アクアマリン妹「兄さんは」
――
―
ゴールド妹「わかってないよ」
――
―
ショッキングピンク妹「ごほっごほっ」
28: 2013/02/11(月) 07:39:22.51 ID:JUCUCrlR0
兄「おい、大丈夫か」
ショッキングピンク妹「なにこれ、ごほっ。息が苦しい」
兄「着色料の摂り過ぎだ」
ショッキングピンク妹「だって、体には無害なんじゃ」
兄「いくらなんでもそんな色が体にいいわけないだろう。もういいだろ。脱色するぞ」
ショッキングピンク妹「なにこれ、ごほっ。息が苦しい」
兄「着色料の摂り過ぎだ」
ショッキングピンク妹「だって、体には無害なんじゃ」
兄「いくらなんでもそんな色が体にいいわけないだろう。もういいだろ。脱色するぞ」
29: 2013/02/11(月) 07:42:05.50 ID:JUCUCrlR0
ショッキングピンク妹「……うん」
兄「ごめんな。もっと早く脱色してやるべきだった」
ショッキングピンク妹「ううん、私がしてほしいって頼んだんだし」
兄「とにかく、脱色剤かけるぞ」
ショッキングピンク妹「う、ごほっごほっ」
『あれ?』
兄「ごめんな。もっと早く脱色してやるべきだった」
ショッキングピンク妹「ううん、私がしてほしいって頼んだんだし」
兄「とにかく、脱色剤かけるぞ」
ショッキングピンク妹「う、ごほっごほっ」
『あれ?』
30: 2013/02/11(月) 07:46:45.31 ID:JUCUCrlR0
兄「おい妹? どこ行った?」
『兄さん、何言ってるの? 私はここにいるよ?』
兄「なんと、脱色剤をかけたら妹が消えてしまった」
『ちょっとちょっと、見えてないの? 私はここにいるって……』
『……ああ、そうか』
『私の色も、全部落ちちゃったんだ』
『仕方ないかもね。着色を、色を重ねすぎて、もう私自身、自分がどんな色だったか思い出せないんだし』
兄「これは困ったな。仕方ない」
『兄さん、何言ってるの? 私はここにいるよ?』
兄「なんと、脱色剤をかけたら妹が消えてしまった」
『ちょっとちょっと、見えてないの? 私はここにいるって……』
『……ああ、そうか』
『私の色も、全部落ちちゃったんだ』
『仕方ないかもね。着色を、色を重ねすぎて、もう私自身、自分がどんな色だったか思い出せないんだし』
兄「これは困ったな。仕方ない」
31: 2013/02/11(月) 07:48:54.20 ID:JUCUCrlR0
兄「ほら、出てこい妹。ばばっ」
妹「うわっ」
兄「お、出てきた」
妹「は!? どういうこと?」
兄「や、元に戻ったな。色も、姿も」
妹「うわっ」
兄「お、出てきた」
妹「は!? どういうこと?」
兄「や、元に戻ったな。色も、姿も」
33: 2013/02/11(月) 07:54:27.70 ID:JUCUCrlR0
妹「ちょっと、これどういうこと?」
兄「や、妹が見えなくなったから、もう一度色をつけてあげただけさ」
妹「どうやって? 今の姿は色なんてついてないみたいだけど」
兄「それはもちろん。『おれ色に染め上げた』」
妹「はぁ!?」
兄「や、妹が見えなくなったから、もう一度色をつけてあげただけさ」
妹「どうやって? 今の姿は色なんてついてないみたいだけど」
兄「それはもちろん。『おれ色に染め上げた』」
妹「はぁ!?」
34: 2013/02/11(月) 08:00:50.88 ID:JUCUCrlR0
兄「つまり、おれが望む妹の姿に塗っただけさ」
妹「意味わかんない。今の私があんたの望む姿だってこと?」
兄「そのとおり」
妹「どうやったらそんなことできんのよ!」
兄「……もともと、妹着色料を買ってきた理由は、おれ好みに妹に色をつけるためだったわけさ」
妹「……」
兄「色々回り道したけど、結果として望む色におさまってよかった」
妹「意味わかんない。今の私があんたの望む姿だってこと?」
兄「そのとおり」
妹「どうやったらそんなことできんのよ!」
兄「……もともと、妹着色料を買ってきた理由は、おれ好みに妹に色をつけるためだったわけさ」
妹「……」
兄「色々回り道したけど、結果として望む色におさまってよかった」
35: 2013/02/11(月) 08:05:23.18 ID:JUCUCrlR0
妹「……それじゃ今の、兄さんが望む私は、昔の私とどこが違うの?」
兄「これまで、いろんな色の妹を見てきたわけだけど」
妹「けど?」
兄「普通の色がいちばんだと思ったね。色つきの妹を見てると飯がまずくなるし」
妹「……あっそ」
兄「これまで、いろんな色の妹を見てきたわけだけど」
妹「けど?」
兄「普通の色がいちばんだと思ったね。色つきの妹を見てると飯がまずくなるし」
妹「……あっそ」
36: 2013/02/11(月) 08:13:21.09 ID:JUCUCrlR0
妹「まったく自分勝手なんだから」
兄「昔からそうだろう。そうじゃなきゃ妹を着色しようなんて思わない」
妹「昔から、なら許されるという考えはおかしいと主張します」
兄「妹さえ許してくれれば構わない」
妹「許すか、この変態め」
兄「ごめん」
妹「もう、なんか疲れた……」
兄(本当は妹脱色剤とセットの戻し液をかけただけなんだけど、言わないほうがいいか)
妹「なんか言った?」
兄「や、別に」
兄「昔からそうだろう。そうじゃなきゃ妹を着色しようなんて思わない」
妹「昔から、なら許されるという考えはおかしいと主張します」
兄「妹さえ許してくれれば構わない」
妹「許すか、この変態め」
兄「ごめん」
妹「もう、なんか疲れた……」
兄(本当は妹脱色剤とセットの戻し液をかけただけなんだけど、言わないほうがいいか)
妹「なんか言った?」
兄「や、別に」
37: 2013/02/11(月) 08:13:52.97 ID:JUCUCrlR0
おしまい
39: 2013/02/11(月) 09:15:40.64 ID:qdER6PCo0
なんかいいな
40: 2013/02/11(月) 09:17:43.04 ID:UlZuMP6n0
イイハナシカナー?
引用元: 兄「着色系妹……?」
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