1: 2011/09/22(木) 23:31:27.50 ID:4FBqQ4TH0

ピチャッ

なの「はかせ…… どこにいるんですか……?」



「痛い…… 痛いよ……」



なの「はかせ……?」



「痛い…… 助けて…… なの……」



なの「はかせ? どこにいるんですか? ……はかせ? はか……」



なの「はかせ!!」
日常(11) (角川コミックス・エース)
4: 2011/09/22(木) 23:32:54.23 ID:4FBqQ4TH0
なの「はかせ!? 大丈夫ですか!?」ガバッ!

チュン チュン チチチチチ


なの「はあっ、はあっ……夢?」


なの「はかせ……? はかせっ!」

はかせ「なに……?」

なの「あっ……はかせ、その、何とも、ありませんよね……?」

はかせ「なにいってんの……?」

6: 2011/09/22(木) 23:34:01.82 ID:4FBqQ4TH0
なの「はぁ……やっぱり夢か…… よかったぁ……」

はかせ「んー……? まだ四時なんだけど……はかせはまだ起きなくていいんだけど……」

なの「あっ、すみませんでした……」

はかせ「む~……」

なの「…………」


ピチャッ


なの「嫌な夢だったなあ……汗びっしょりだ」




ピチャッ

7: 2011/09/22(木) 23:35:16.58 ID:4FBqQ4TH0
私はロボットです。 名前は東雲なの。

一緒に住んでいる東雲はかせが、私を作ってくれました。


はかせは何かの研究をしていて、一日中家に居ます。 私は、そんなはかせの身の回りの世話をして暮らしていました。

今は、はかせの粋なはからいで、学校にも通わせてもらっています。

学校では友達がいっぱい出来て、とても楽しいです。


……出来れば、背中のネジ回しもどうにかしてもらいたいんですけど……


ともかく、私は充実した日々を送っています。

ロボットだなんて思えないくらいに。



ずーっとこのままだったらいいなって、思ってしまうくらいに。

8: 2011/09/22(木) 23:36:19.00 ID:4FBqQ4TH0

なの「それじゃあはかせ、行ってきますね」

はかせ「いってらっしゃーい」


なの「ふう…… 今日はずいぶん余裕があるなー」

なの「寄り道でもしてこうかな?」

   「……の」

なの「相生さんの所に行ってみようかな……」

   「なの!」

なの「へっ?」


なの「……えっと、どちら様、ですか?」

9: 2011/09/22(木) 23:37:39.95 ID:4FBqQ4TH0
博士「……博士、って呼ばれてるけど」

なの「博士、さんですか……?」

なの(はかせの知り合いかな……)

博士「…………」

なの「えーっと…… 家になにか、ご用でしょうか……?」

博士「……私と……」

なの「えっ?」

博士「いや、やっぱりいい」

博士「今日はもう時間が無いから、帰る」

なの「あ……はい」

博士「じゃあ、また来るから」スタスタ

なの「……はい」

13: 2011/09/22(木) 23:39:12.45 ID:4FBqQ4TH0
なの(行っちゃった…… なんだったんだろ?)

ゆっこ「あ、なのちゃん! スラマッパギー!」

なの「相生さん……おはようございます」

ゆっこ「なのちゃんにまでスルーされるの……? やっぱりララバイしたほうがいいかな?」

なの「…………」

ゆっこ「なのちゃん?」

なの「えっ? あ、すみません、なんでしたっけ?」

ゆっこ「どうしたの? ぼーっとして…… なんかあったの?」

なの「あー…… さっき、変な人に会って」

ゆっこ「変な人? どんな?」

なの「えーと、金髪で、目が青くて……白衣を着た女の人です」

15: 2011/09/22(木) 23:40:33.04 ID:4FBqQ4TH0
ゆっこ「……それってはかせのこと?」

なの「え?……そういえば似てますね……でも、私より年上で、大学生くらいの人でした」

なの「あと、確か…… 右目に眼帯をしてました」

ゆっこ「はかせの知り合い?」

なの「ああ、たぶんそうだと思います……自分のことを博士って言ってたし」

ゆっこ「その人も博士なの?」

なの「研究仲間、とかですかね?」

ゆっこ「んー、そうかな? ……お姉さんとかじゃない?」


なの「お姉さん……?」

17: 2011/09/22(木) 23:42:34.06 ID:4FBqQ4TH0
ゆっこ「だって、金髪で青い目って珍しくない? 家族だよ、きっと」

なの「家族……」

ゆっこ「あー、そういえば一度も見たことないけど、はかせのお父さんとお母さんってどうしてるの?」

なの「えっ…… ああ、その…… そ、そうだ、外国に居るんです! お、お仕事で!」

ゆっこ「そうなんだー 外国人なの?」

なの「えーっと…… お父さんが外国の方で、お母さんが日本人で……あっ、私はそっちの方の親戚……です」

19: 2011/09/22(木) 23:43:46.12 ID:4FBqQ4TH0
ゆっこ「へー、はかせってハーフなんだ」

なの「は、はい、まあ……」

ゆっこ「じゃあ、お姉さんだけ外国から帰って来たのかな?」

なの「そうなんでしょうか……?」

ゆっこ「そうだよ、会わせたら喜ぶよきっと」

なの「はあ……」


なの(はかせの家族、か……)

なの(そういえば、一度も聞いたことなかったっけ)

なの(私が出来る前の、はかせの話……)


なの(私、はかせのこと何にも知らない……)

20: 2011/09/22(木) 23:44:32.14 ID:4FBqQ4TH0
……

なの「ただいまー」

はかせ「あ、なのおかえりー」

なの「すぐに夕飯にしますねー」

はかせ「はーい」

なの「……あっ、そういえば」

なの「あの…… はかせ」

はかせ「なにー?」

22: 2011/09/22(木) 23:45:32.39 ID:4FBqQ4TH0
なの「えっと、その…… いえ、やっぱり何でもないです」

はかせ「そうなの?」

なの「はい…… すぐに出来ますから、おかし食べ過ぎないで下さいね」


なの(どしよう、怖くて聞けない……)

なの(はかせの家族、か…… 一度も連絡は無いし、家には一枚もそういう写真が無いけど)

なの(やっぱり、どこかにいるのかな……)

23: 2011/09/22(木) 23:46:16.58 ID:4FBqQ4TH0

博士「…………」


博士「……やっと捕まえた……」


博士「……今度こそ、取り返してやる」

24: 2011/09/22(木) 23:47:36.99 ID:4FBqQ4TH0

翌日

チュンチュン チチチッ チュン

なの「ふわぁ…… う~ん」

なの「……今日はよく眠れたなぁ……」


なの「はかせ、朝ですよ……っと」

なの(きょう日曜日だっけ……)

はかせ「すう……すう……」

なの(この前は早くに起こしちゃったんだっけ)

なの(もう少し寝かせておこう……)

25: 2011/09/22(木) 23:48:57.72 ID:4FBqQ4TH0
カラカラカラ

なの「ふう…… 今日もいい天気」

なの「そうだ、洗濯物干そうっと……」


ピンポーン


なの「……お客さん?」

ピンポーン ピンポーン

なの「はーい」トタトタ

なの(こんな朝早くに誰だろう……?)

ガララララッ

なの「はい、すみませ……」

博士「……おはよう」

26: 2011/09/22(木) 23:50:20.88 ID:4FBqQ4TH0
なの「あ……博士さん、でしたっけ」

なの「えーっと、何のご用件でしょうか……?」

博士「……迎えに来たんだけど」

なの「…………!!」

博士「とりあえず、中に入れてくれる?」

なの「えっと、そ、それは……」



はかせ「……なのー? だれ……?」

27: 2011/09/22(木) 23:51:42.33 ID:4FBqQ4TH0
なの「あっ……!!」

ガラララララララッ ピシャッ!

博士「ちょっ…… どうしたの!?」

なの「いえ、そのっ……」

はかせ「なのー? どしたの?」


なの「えっと、ああ、その、きょ、今日はお引き取り下さい!」

28: 2011/09/22(木) 23:53:48.90 ID:4FBqQ4TH0

はかせ「どーして? 開けてあげないの?」

なの「はかせ!ちょっと向こうに行っててください!」

はかせ「なんで?」

博士「その声……!!」

博士「そこに居るのは……はかせ!? ……ここを開けて!」

バンッ!!

なの「ひっ……」

30: 2011/09/22(木) 23:55:07.59 ID:4FBqQ4TH0
博士「時間が無いの! 早くしないと…… もうっ!!」

バンッ!! バンッ!!

博士「さっさと開けろっ!!」

バンッ!! バンッ!! バンッ!!

なの「……やめてください!」

バンッ!! バンッ!! バンッ!! バンッ!!

なの「やめてくださいっ!! ここには誰もいませんっ!!」

なの「もう帰って下さい!!!」

31: 2011/09/22(木) 23:56:53.51 ID:4FBqQ4TH0
博士「…………」

なの「…………」

博士「…………」


博士「……わかった、今日はもう帰るよ」

博士「……また来るからね」


なの「…………」

はかせ「…………」

なの「はかせ……」

なの「ごめん、なさい」

33: 2011/09/22(木) 23:58:54.43 ID:4FBqQ4TH0
はかせ「なの……? なんで泣いてるの?」

なの「だって…… 私……」

はかせ「はかせはずっといっしょだよ……?」

なの「……!」

なの「……は」ウルッ

なの「は、かせ……」ポロポロ

はかせ「……はかせがずっといっしょにいるから」ギュッ

なの「うっ……ひっく……ふぇぇぇ……」



はかせ「ずっと……いっしょにいるから」

34: 2011/09/23(金) 00:00:54.61 ID:4FBqQ4TH0

博士「あーっ…… 面倒なことになったなー……」

博士「やっぱりおとなしく渡してくれないかぁ……」

博士「どうしよっかな……?」

コンコン

「……私です」

博士「……入って」

助手「失礼します」

博士「で? 何の用?」

助手「昼食が出来たので、呼びに来ました」

35: 2011/09/23(金) 00:02:23.00 ID:93rQeHRg0
博士「いらない」

助手「でも博士、昨日から何も……」

博士「……いらないったらいらないの!」

助手「……すみません」

博士「それよりさ、何か武器になるもの無い?」

助手「武器、ですか?」



博士「出来れば…… ロボットでも壊せるくらい強力なやつがいいんだけど」

36: 2011/09/23(金) 00:04:24.26 ID:93rQeHRg0

なの「……いいですか? ちゃんと戸締りして、誰が来ても出ちゃダメですよ?」

はかせ「わかったー」

なの「本当に大丈夫ですか? ……うーん、またあの人が来るかもしれないし、やっぱり今日は学校を休んで……」

はかせ「いーいーのー! なのは学校に行くの!」

なの「……無理しなくてもいいんですよ? 一日くらい平気ですから……」

はかせ「いいから! なのはなのなんだからはかせにたよってればいいの!」

なの「はあ……」

なの(昨日のことで、ちょっと調子に乗ってるなあ……)


まったく…… これだからガキは……


なの(……あれ?)

なの(今何か…… 聞こえたような……?)

なの(……? まあいいや)

38: 2011/09/23(金) 00:06:37.77 ID:93rQeHRg0

はかせ「じゃあいってらっしゃい!」

なの「あっ、はい……行ってきます」

ガラララララッ ピシャッ


なの「ふう…… 本当に大丈夫かな……?」

なの「……あ、もうこんな時間だ……」

なの「……せっかく行かせてもらったのに、遅刻しちゃいけないよね」

なの「急がないと……」


タッ タッ タッ タッ タッ タッ

39: 2011/09/23(金) 00:08:51.26 ID:93rQeHRg0
タッ タッ タッ タッ タッ タッ

  「なの」

タッ

なの「……!」

博士「そんなに急いでどこに行くつもり?」

なの「……博士、さん」

博士「学校? ……なのは学校が大好きだったもんね?」

なの「えっ?」

博士「でも、ちょっとはおかしいと思わない?」

なの「ど、どうして私のことを知ってるんですか?」

40: 2011/09/23(金) 00:10:52.39 ID:93rQeHRg0
博士「……何も覚えてないんだね」

なの「どういうことですか?」

博士「要らない記憶だから忘れたんでしょ? ……ショックだなー」

なの「……? 何を言ってるんですか? 私とあなたは、一昨日会ったばっかりじゃないですか」

博士「…………」

なの「そ、それより……その、は、はかせは、連れて行かないで下さい……」

博士「?……そっちこそ何言ってんの?」

なの「え?だって……はかせを、その、連れ戻しに来たんですよね?」

博士「……なんで私がはかせを連れていかなきゃいけないわけ?」

41: 2011/09/23(金) 00:13:29.05 ID:93rQeHRg0
なの「えっ? そ、それは……だって、家族、だから」

博士「家族……? 私とはかせが?」

なの「は、はい……」

博士「ぷっ、あははははっ!!」

なの「なっ……何で笑うんですか?」

博士「はー…… 誰がそんなこと言ったの?はかせ?……いや」


博士「そいつかな?」


なの「えっ?」

ゆっこ「あ、なのちゃん!スラマッパギー!」

42: 2011/09/23(金) 00:16:24.16 ID:93rQeHRg0
ゆっこ「あれ?誰?……ああ、この前言ってたはかせのお姉さん?」

なの「あ、相生さん!」

なの(あれ?いつのまに……?)

博士「相生さんか……なるほどねえ……」

ゆっこ「あ、初めまして、相生祐子です」

博士「…………」

なの「相生さん、その……その人はちょっと……」

ゆっこ「はかせとも結構仲良いんですよー?」

博士「…………」

ゆっこ「研究とか手伝ったりもしててー」

博士「!…………黙れ」

ゆっこ「実は私にもそういう才能あるのかなー、なんつって」

博士「黙れっ!!」ブンッ!


バキッ!

43: 2011/09/23(金) 00:18:58.62 ID:93rQeHRg0
なの「…………え?」

博士「はあっ……はあっ……」

ゆっこ「…………」

なの「あ、相生さん……?」ユサユサ

なの「あ……あっ、あ……相生さんが……相生さんがっ……!!」

なの「なんでっ……!」

博士「はあっ……よく、見てみなよ」

なの「え?」

博士「ほら、もう一度呼びかけてみたら?」

なの「……相生さん?」



ムクッ



ゆっこ「なに?なのちゃん?」グルンッ

46: 2011/09/23(金) 00:21:09.59 ID:93rQeHRg0
なの「ひっ……」

ゆっこ「どうしたの?そんな顔して」プラン

なの「あ、相生さん、く、首が……」

ゆっこ「え?首?」



ゆっこ「あー、こうか」グルン ゴキンッ!

ゆっこ「えへへ、折れちゃってたね」コキッ コキッ



なの「…………うそ、なんで」

博士「まだわからないの?……それは本物の相生祐子じゃない」

48: 2011/09/23(金) 00:23:42.23 ID:93rQeHRg0
偽ゆっこ「何言ってるの?私はゆっこなんだけど」

偽ゆっこ「ね?なのちゃん?」グルッ ゴキン

なの「いやっ……いやあっ……」

偽ゆっこ「そんなあ……ひどいよ……あれ?また外れた?」プラン

なの「やだ……こないで……」

博士「ほら、逃げるよ」ガシッ

なの「あっ……」

偽ゆっこ「え? あ!待ってよ!」ヨロッ ドテッ

偽ゆっこ「あいたたた~」

博士「……走って!」

なの「は、はいっ!」

52: 2011/09/23(金) 00:26:21.26 ID:93rQeHRg0
タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ タッ

なの「はあっ、はあっ……」

博士「はあっ……もう平気かな?」

博士「何年も引きこもり同然だったから……はあっ……きついなあ……」

なの「はあっ、はあっ、は、博士……」

博士「昔は速い方だったのに……ん?何?」

なの「あ、あれは一体……本物の相生さんはどこへ行っちゃったんですか!?」

博士「それは……いや、そんなことより、一緒に来てくれる気になった?」

なの「へ?……博士さんは、私を迎えにきてたんですか?」

博士「そうだよ」

なの「どうして……? さっきの、あの、変な相生さんと、関係があるんですか?」

54: 2011/09/23(金) 00:28:02.02 ID:93rQeHRg0
博士「まあ、ぶっちゃけそうなんだけど…… そうだな、一つ質問してもいい?」

なの「……?はい」


博士「……なのはさ、ペットを飼ったことある?」


なの「えっ?……何のことですか?」

博士「……質問を変えよう」



博士「阪本、って名前の猫に、心当たりは無いの?」




なの「……なんですか? それ」

59: 2011/09/23(金) 00:30:38.03 ID:93rQeHRg0

博士「やっぱりそうか…… そりゃあ心当たりなんてないだろうね」

博士「もう忘れちゃったんだから……」

なの「ちょっと……なんのことですか? 阪本ってなんなんですか? 教えてください!」

博士「……ここで全部教えることは出来ないよ」

博士「余りに量が多いし……なのにとっては辛い記憶だから」

なの「辛い……?」

博士「でも私についてくれば、いずれ全部思い出すことになるよ」

博士「だから、ついてきて欲しいんだ、私に」

62: 2011/09/23(金) 00:32:40.37 ID:93rQeHRg0
なの「ついていくって…… どこへですか?」

博士「それは……」


ザザザザザザザザザザザザザ


なの「え……?何の音?」

博士「なっ……」


ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ


ドパンッ!

シャアアアアア!



なの「サ、サメ……?」

64: 2011/09/23(金) 00:34:27.88 ID:93rQeHRg0
博士「やっぱり感づかれてたか……!」

ドパンッ!

博士「くそっ!」ジャキッ

なの「さ、散弾銃!?どこからそんなもの……あっ!」


ガブッ


博士「ぐっ」


ブチブチブチッ


博士「ああああああああっっ!!!」


なの「え…… あ……」

なの「博士、さん…… う……で、が……きゅ~」バタッ

…………
………
……

67: 2011/09/23(金) 00:35:25.74 ID:93rQeHRg0
博士「あああああっ!!」ガバッ

助手「博士! 大丈夫ですか!?」

博士「はあっ……はあっ…… このくらい、平気だよ」

助手「でもっ……!」

博士「どうして、接続を、切ったのっ……? いいとこだったのに……」

助手「……馬鹿なこと言わないで」

71: 2011/09/23(金) 00:37:20.53 ID:93rQeHRg0
博士「……何? その口の利き方」

助手「こっちの方が普通でしょ?……友達なんだから」

博士「ははっ……友達? そっちこそ、馬鹿なこと言わないでよ」

助手「…………」

博士「もう、手段は選んでられないね…… はかせの方から攻めよう」

博士「持たせてくれたショットガンはダメだったし……」

博士「そうだ、首輪! 持ってきてくれた?」

助手「……はい」

博士「よし…… これでなんとかなるかもしれない」


助手「…………」ギリッ

73: 2011/09/23(金) 00:38:40.97 ID:93rQeHRg0

ピチャッ


なの「はかせ……? どこに居るんですか……?」


ピチャッ


「痛い…… 痛いよ……」


ピチャッ


なの「どうして…… はかせ」


ピチャッ


なの「なんで、こんなこと」


ピチャッ

74: 2011/09/23(金) 00:40:22.32 ID:93rQeHRg0
…………

はかせ「ふんふん ふーふん ふふんふふんふんふーふん」ポリポリ

ガララララララッ

はかせ「?…… あ、はかせだー!」

博士「…………」

はかせ「はかせも食べるー?」ポリポリ

博士「……なのをどこに隠したの」

はかせ「ぷぷっ、教えてあげなーい」


ズド゙ンッ!

75: 2011/09/23(金) 00:42:07.19 ID:93rQeHRg0
博士「……次は当てる」チャキッ

はかせ「ぷぷぷっ、それおどしにならないんだけど」

はかせ「なのははかせとずーーっといっしょだもん」

はかせ「はかせなんかに教え」


ズドンッ!

グシャッ

79: 2011/09/23(金) 00:44:30.93 ID:93rQeHRg0
博士「…………」

はかせ「……だからいみないんだけど」

博士「……ロボットって便利だよね」


博士「頭を半分吹き飛ばされても氏なないんだから」


はかせ「あー、目とれちゃった」ポロッ

はかせ「いる? おそろいの方が良いとおもうけど」

博士「ふう……やっぱりショットガンくらいじゃどうしようもないか……」

博士「ロボット設定をつけられるとほぼ不氏身だし、やっかいだなぁ……」



博士「……本物は首を絞めただけで氏んだのにね」



はかせ「……そんなこと忘れちゃったー」ニタァ

80: 2011/09/23(金) 00:46:00.77 ID:93rQeHRg0
…………

ピチャッ


なの「はかせ…… 何をしてるんですか?」


ピチャッ


なの「どうしてこんなことを」


ピチャッ


なの「私の…… 私の友達に」


ピチャッ



はかせ「……苦しいよ、なの」

81: 2011/09/23(金) 00:48:12.45 ID:93rQeHRg0

偽はかせ「はかせ、そろそろ出てって欲しいんだけど」

偽はかせ「はかせがはかせになったのは嬉しいけど、なのはこのはかせだけの物だから」

偽はかせ「だからもう出てって」


ザザザザザザザザザザザザ


偽はかせ「じゃないとまた、がぶーって、するよ?」


ドパンッ!

博士「……知らないよそんなこと」ポイッ

 
ポスッ

偽はかせ「………?」

83: 2011/09/23(金) 00:51:25.16 ID:93rQeHRg0

偽はかせ「くびわ……?」

ボムン

偽はかせ「うわっ!」

オグリキャップ「へっへっへっへっへっへっへっ」

偽はかせ「えっ、あっあ、ああ」ガタガタ

偽はかせ「うわああああっ……」

博士「なのは……なのちゃんは物じゃない」

偽はかせ「い、いぬ……なんで?」

博士「ましてやお前の所有物であるはずがない」

偽はかせ「は、はかせの、義眼で……なのに接続してるの?」

博士「……あの子は一人の人間だよ」



博士「だって……私の、一番の友達だったんだから」

85: 2011/09/23(金) 00:54:13.39 ID:93rQeHRg0

偽はかせ「いっ、いぬ……違う、にせもので、ただの、きおくなんだから……」

オグリキャップ「へっへっへっへっへっへっへっ!」

偽はかせ「ひゃああっ!」

博士「……そろそろ私の友達を返してもらうから」

博士「居場所を吐かないんだったら、この世界ごと壁を壊してから探すだけだよ」

偽はかせ「そ、そん、なことしていいの? ここはなのの記憶の中枢なんだけど……」

博士「……ここには阪本が居ない」

博士「なのちゃんが阪本を忘れるはずがない…… ここはお前が作ったことの証拠でしょ?」

87: 2011/09/23(金) 00:56:35.56 ID:93rQeHRg0
偽はかせ「…………」

博士「そして本物のはかせだって、阪本を忘れることはない」

偽はかせ「……やめて そんなの知らない」

博士「お前は本物のはかせですらない、ただの記憶のかたまりだ」

偽はかせ「はっ、はかせははかせなんだけどっ! 偽物なんかじゃ……」

博士「……やれ、オグリキャップ」

オグリキャップ「ふへっふへっふへっふへっふへっ」

偽はかせ「や……いや……許して」

偽はかせ「だって……阪本が……ゆっこが悪いんだもん……」

偽はかせ「はかせは……はかせは何も悪く、ないもん!」

オグリキャップ「へっへっへっへっ!ふしゃあああああああ!」

偽はかせ「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

ガララララララララララララララララララララララララララッ!!!

…………

89: 2011/09/23(金) 00:57:37.42 ID:93rQeHRg0

ピチャッ


博士「なのちゃん……」

なの「…………」

博士「全部、思い出したの?」

なの「……はい」


なの「はかせは……私が、頃したんですね」


ピチャッ

93: 2011/09/23(金) 00:59:41.79 ID:93rQeHRg0

…………

相生さんは、学年が上がってから、はかせの研究に興味を持つようになっていきました。

いつも二人で地下室にこもって、色々なものを作ったり、分解したり……

相生さんには、はかせについていけるだけの才能が有ったんです。

はかせもそれを感じて、相生さんになついていたのかもしれないですね……



……あの日、地下室で何があったのかは、正確にはわかりません。

私が悲鳴を聞いて見に行った時には、ぼーっと突っ立っているはかせと、左目から血を流している相生さんと、

阪本さんの、……氏体があるだけでした。

95: 2011/09/23(金) 01:01:44.27 ID:93rQeHRg0

……ただの事故だったのかもしれないし、喧嘩だったのかもしれません。

もしかしたら、ちょうどその時二人が作っていたのが、青い瞳が綺麗な……

義眼だったから、そのせいかもしれません。


とにかく、はかせがその時言った言葉を聞いて、私は頭が真っ白になりました。

自分は悪くない、悪いのはゆっこだ、阪本だ、って……

99: 2011/09/23(金) 01:04:45.57 ID:93rQeHRg0

……普通の人間だったら、氏ななかったでしょう。 

いくら相手が子供といっても、ただの女子高生の握力で、そんな簡単に氏ぬはずがありません。

でも、私は普通じゃなかった。 人間じゃなかった。


それから先は、よく覚えてないんです。 だけど予想は付きます。

私はずっと…… 記憶を元に作りあげた、頭の中の小さな町で、はかせと相生さんの幻影と暮らしていたんですよね? 現実から目をそむけるために……

だって、あそこには、長野原さんも、水上さんもいなかったから。 学校も、本当は無かったんです。

………どこに行って、何をしてたんでしょうね? 私……

あははっ…… 何も、覚えてない……

102: 2011/09/23(金) 01:08:13.15 ID:93rQeHRg0

それなのに、相生さんは私を迎えに来てくれた。 そんなにやつれて……

元々色が薄かったけど、白髪が交じって……

……本当に、ありがとうございます。 最初に気付かなくてごめんなさい。



……でも、私はもう帰れないみたいです。

106: 2011/09/23(金) 01:10:16.02 ID:93rQeHRg0

もう……泣かないで下さい…… あなたはもう、こんなことする必要は無いんです。

私は所詮、人間じゃありません。 はかせが、自分の孤独を埋めるために作ったロボットです。……人形なんです。

今となっては、もう本当のことはわからないですけど……

……はかせには家族が居なかったのかもしれません。 だから、私を作ったんだと思います。


だから私は……あなたには、最初から要らないものなんですよ…… あなたは孤独な博士じゃなくて、相生さんなんですから。

相生さんには、もっと大切な人が居るはずです。

もう、私にこだわらなくて良いんです。 既にこの世にはいない、あなたの友達として……氏なせて下さい。

108: 2011/09/23(金) 01:11:45.99 ID:93rQeHRg0
そろそろ、本当に……お別れです。

相生さんは…… え? あ、えーっと、ゆ、ゆっこは、私の、一番の友達でした。

なんか、恥ずかしいですね…… えへ、でも嬉しいです。




……さようなら。 大好きです、ゆっこ。

112: 2011/09/23(金) 01:14:10.53 ID:93rQeHRg0

…………

………っこ


………ゆっこ


「ゆっこ!」


ゆっこ「…………」


助手「ゆっこ…… 起きて、ゆっこ!」

ゆっこ「……麻衣、ちゃん?」

麻衣「ゆっこ…… 良かった……」

ゆっこ「なのちゃんは……?」

麻衣「……ごめん」

麻衣「もう、時間がたち過ぎてて…… こうするしか、なかった」

114: 2011/09/23(金) 01:15:45.05 ID:93rQeHRg0
なの「…………」シュウウウウウ……

ゆっこ「……そっか、麻衣ちゃんが電源を切ったんだ……」

ゆっこ「これでもう、なのちゃんが戻ることは無いんだね」

麻衣「ゆっこ……でも……」ギュッ

麻衣「私……ずっと昔から……ゆっこのことが」

ゆっこ「……ねえ麻衣ちゃん」

115: 2011/09/23(金) 01:16:53.90 ID:93rQeHRg0

麻衣「……何?」

―――相生さんには、もっと大切な人が居るはずです。

ゆっこ「私、この前ひどいこと言ったよね」

麻衣「…………」

ゆっこ「今までずっと、迷惑かけちゃって……放っておいて」

ゆっこ「もう、友達には戻れないかもしれないけど」

ゆっこ「でも……私と、一緒に居てくれる?」


麻衣「……うん」

麻衣「ずっと……一緒だよ」


ゆっこ「ありがとう……」



ゆっこ「私も、大好き」




117: 2011/09/23(金) 01:17:36.56 ID:zWwIAPlM0
乙かれっした
BADENDかぁ・・・

引用元: なの「さようなら……大好きです」