2: 2023/07/24(月) 23:05:34.49 ID:/3Rj7cMg.net
アニメ2期で恋ちゃんの活躍や2期生の性徴が少なかったのと、オープンキャンパスの描写がちょこっとしかなかったのでねじ込んだ話。

3: 2023/07/24(月) 23:05:52.67 ID:/3Rj7cMg.net
恋「文化祭が無事に終わってほっとしました」

かのん「うん!」

きな子「しかも夏美ちゃんまで入ってくれたっす!」

ナナミ「リエラはまだまだ成長するね。これからの活躍にも期待だね!」

恋「はい。ですが生徒会の仕事はまだありますよ」

恋「来月の10月にはオープンキャンパスがあります。そちらに向けた準備を始めないと」

6: 2023/07/24(月) 23:07:35.97 ID:/3Rj7cMg.net
かのん「あぁ、そうだったね。確か土日を使ってやるんだっけ」

恋「はい。1日目は音楽科、2日目に普通科の紹介という形で行う予定です」

恋「2日間で両学科の紹介をしないといけませんからね。学校施設全体を利用したうえで、別日で開催するのが無難だろうというふうにまとまりました」

ナナミ「内容はまだ決まったわけじゃないけど、すでにいくつかの案が挙がってるよ」

恋「教師陣による講演・学科説明は既定として、学科ごとのイベントや各部活の出し物のほかに、校内スタンプラリーなどのキャンペーン等もありますね」

7: 2023/07/24(月) 23:10:11.27 ID:/3Rj7cMg.net
きな子「部活の出し物ってことは、もちろんリエラも出演するんすよね!?」

恋「はい! わたくしとしてはぜひライブをやりたいのです!」

ナナミ「あ・・・、実はその事で相談があってね・・・」

かのん「どうしたの?」

ナナミ「音楽科の意見箱から、いくつか不安の声があがってて・・・」

恋「不安、ですか」

8: 2023/07/24(月) 23:12:28.36 ID:/3Rj7cMg.net
ナナミ「ライブをするとなると、リエラだけが目立っちゃうんじゃないかって」

かのん「それは・・・、うーん」

かのん「でも、学科を分けて開催するから、あんまりお客さんの取り合いにはならないと思うけど」

ナナミ「そうなんだけど、見学よりもリエラを目当てに来る人がいる可能性を危惧しているみたい」

ナナミ「そうでなくとも、1日だけ見学して満足する人もいると思うし、その場合リエラが出る普通科の日に人が来るでしょ?」

9: 2023/07/24(月) 23:16:17.46 ID:/3Rj7cMg.net
かのん「あ~・・・それはそうかも」

恋「なるほど。確かに結ヶ丘としては音楽科もしっかりとアピールしたいところですしね」

ナナミ「音楽科のみんなもその事を誇りに思ってるから」

かのん「そっかぁ」

きな子「じ、じゃあリエラは出演しないほうがいいんすか?」

10: 2023/07/24(月) 23:18:20.02 ID:/3Rj7cMg.net
ナナミ「あ、ううん。そういうわけじゃないの」

ナナミ「みんな、リエラも立派な結ヶ丘の顔だって思ってるから、むしろ出演すべきだって言ってくれてる」

ナナミ「だからこそどうすればいいのかなって、みんな困ってて・・・」

恋「捨て置けない問題ですね。わかりました。なんらかの措置を検討しておきます」

11: 2023/07/24(月) 23:21:57.09 ID:/3Rj7cMg.net
恋「それにしても、みなさんがそんな不安を抱いていたなんて」

恋「わたくし自身、音楽科だというのに、気づけないとはお恥ずかしい話です」

かのん「むしろ音楽科でリエラのメンバーの恋ちゃんだからこそ、直接は言いにくかったんだと思うよ」

恋「そう・・・でしょうか」

恋「みなさんのお心遣いが身に沁みいります」

ナナミ「こういう時のための意見箱なんだから、気にしないでいいんだよ」

きな子「みんな、恋先輩ががんばってるって知ってるっす!」

恋「ありがとうございます!」

13: 2023/07/24(月) 23:35:33.72 ID:/3Rj7cMg.net
恋(間違いなく今年は去年よりも見学者が増えるでしょう)

恋(それがこのような事態を引き起こすとは。幸か不幸か)

恋(ですが不思議と後ろ向きな気持ちはありません)

恋(ひとたび溝ができてしまった2つの学科が、今はこうして互いを慮ることができている)

恋(・・・まあ溝ができたのはわたくしのせいなんですが)

14: 2023/07/24(月) 23:38:29.42 ID:/3Rj7cMg.net
恋(みんなの思いがひとつに結ばれる。お母さまの望む世界が、ここにあります)

恋(・・・思いを、ひとつに)

恋(・・・そうです!)

15: 2023/07/24(月) 23:48:41.09 ID:/3Rj7cMg.net
かのん「なにか思いついたの、恋ちゃん?」

恋「はい! ただ、音楽科の方たちにも協力してもらう必要があります」

恋「いちど、音楽科のみなさんを交えて話し合いの場を設けましょう」

恋「音楽科のほうにはわたくしから連絡しますので」

かのん「うん。こっちは私に任せて!」

恋「はい。お願いします」

16: 2023/07/24(月) 23:55:46.46 ID:/3Rj7cMg.net
恋「みなさん、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。さっそく本題にはいりますね」

恋「すでにご存じだと思いますが、来月のオープンキャンパスでは1日目に音楽科の紹介を、2日目に普通科の紹介を行う予定です」

恋「そしてわたくしたちリエラも出演するつもりです」

音楽科の子「あの、葉月さん。実は意見箱に投書してることがあって・・・」

恋「大丈夫ですよ。すでに把握しております」

17: 2023/07/25(火) 00:07:14.45 ID:NutAwVcG.net
恋「わたくしの提案なのですが、1日目の最初にオープニングアクトの時間を設けるのはどうでしょうか」

音楽科の子「オープニングアクト?」

恋「はい。当日、体育館は吹奏楽部や軽音楽部の方も使用することになっています」

音楽科の子「あ、はい。そうですね。いくつかの部活が時間交代で出演する予定です。まだ順番とか時間とか、細かい部分は何も決めてないですけど」

音楽科の子「ええと。他にも参加する部活があるってことでしょうか?」

18: 2023/07/25(火) 00:19:08.11 ID:NutAwVcG.net
恋「はい。ですが参加するのはリエラです」

音楽科の子「リエラさんが?」

恋「音楽科の方たちと、わたくしたちリエラによる合同ライブを行おうと思っているのです」

音楽科の子「ご、合同ですか・・・?」

恋「はい! 結ヶ丘の象徴たる音楽科とリエラによる舞台です。幕開けに相応しい見せ場だと思いませんか!?」

19: 2023/07/25(火) 00:26:56.35 ID:NutAwVcG.net
音楽科の子「は、はい」

音楽科の子(葉月さんが目キラキラさせながらめっちゃ熱くなってる)

音楽科の子(初めてみた)

音楽科の子(ポニテ荒ぶってんなー)

かのん「これなら客足の心配もなくなると思うんだけど、どうかな?」

恋「ただ、その分みなさんの負担は大きくなります」

恋「わたくしたちはともかく、純粋に役割が増えることになるので・・・」

20: 2023/07/25(火) 00:28:26.68 ID:NutAwVcG.net
保守って24だっけ・・・
もうちょい頑張るか

21: 2023/07/25(火) 00:36:49.78 ID:NutAwVcG.net
音楽科の子「・・・うん。そうだね」

音楽科の子「・・・これは」

かのん「これは・・・?」

音楽科の子「すっっごくいいと思う!」

恋「!」

恋「で、ですよね!」

22: 2023/07/25(火) 00:37:08.81 ID:NutAwVcG.net
音楽科の子「リエラと一緒の舞台なんて、絶対盛り上がるよ!」

音楽科の子「大会とか地域の演奏会が重なった時に比べたら、少し曲が増えるくらいなんてことないですよ」

音楽科の子「実は私、前からリエラと一緒に演奏してみたいって思ってたんだー!」

音楽科の子「わたしもー」

かのん「・・・みんな!」

恋「あ、ありがとうございます!」

24: 2023/07/25(火) 00:48:43.38 ID:NutAwVcG.net
恋「では、オープンキャンパスの1日目のスケジュールに、体育館でリエラと音楽科によるオープニングアクトを行うという予定を追加しておきますね」

音楽科の子「はい。良いと思います」

音楽科の子「あの、このオープニングアクトに参加するのはどの部活なんですか? 吹奏楽部ですか?」

恋「あ、いえ。実は特定の部活に絞るつまりはありません。自主参加の予定です」

かのん「ただ、あんまり人数が増えると収集がつかなくなっちゃうから、その場合はまた話し合いで落としどころを見つけようかなって思ってます」

音楽科の子「そっかぁ。だとしたら大変だね」

かのん「え?」

音楽科の子「絶対みんな参加したがるよ!」

かのん「あはは。だと嬉しいな」

26: 2023/07/25(火) 21:53:56.18 ID:NutAwVcG.net
部長会議

恋「・・・以上が先日の話し合いで決まったオープンキャンパスの追加内容となります」

恋「何かご質問等はありますか?」

千砂都「こっちは大丈夫だよ。すでに恋ちゃんとかのんちゃんから説明は受けてるから」

音楽科「こっちも大丈夫です。話はおおむね聞いてます」

四季「恋先輩、ずいぶんと思いきった」

恋「学外からのご来賓もたくさんですからね。この上ないPRの場かと!」

千砂都「それにしても2日かぁ~。・・・あ、ごめん。やっぱりひとつだけ質問いい?」

恋「はい。なんでしょう」

27: 2023/07/25(火) 22:07:32.55 ID:NutAwVcG.net
千砂都「リエラ側の話で申し訳ないんだけど、曲ってどうするの? 2日とも新しい曲を作るの?」

恋「いえ。まだ決まったわけではないのですが、今回は音楽科も巻き込んだ大がかりなものになるので、オープニングアクトのほうでは既存の曲にしようという話になっています」

千砂都「ふむふむ」

恋「といってもやることが無いわけではありませんよ。音楽科の方たちのためにスコアを書き出さないといけませんから」

千砂都「あー、そっかぁ。それもやらなきゃだね」

恋「スコアはわたくしとかのんさん、そしてパートリーダーのみなさんで作成します」

音楽科「任せてね!」

恋「千砂都さんには、振り付けやポジショニングの見直しをお願いしたいのです」

恋「体育館で、しかも音楽科のみんなといっしょにステージに立つとなると、今までのように広く動けない可能性があるので」

千砂都「なるほど。ふふ、楽はできそうにないね」

恋「ええ! みなさんで協力して素晴らしいステージにしましょう!」

28: 2023/07/25(火) 22:31:22.21 ID:NutAwVcG.net
千砂都「可可ちゃんは・・・、舞台の飾りつけとか衣装を作るのに忙しそうだね」

恋「この話を聞くやいなや、大張り切りで・・・。全員分の衣装を作るとおっしゃった時は慌てましたが・・・無理をなさらないか心配です」

千砂都「さ、さすがの可可ちゃんでもそこまでは無茶はしないんじゃないかな」

四季「すみれ先輩がついてるからきっと大丈夫。もし何かあれば私が作ったこの体力増強剤Lを・・・」

恋「そ、それは最終手段にしておきましょう! そもそも健康管理は学生の基本ですから!」

音楽科「リエラの衣装って、全部可可さんが作ってるんだよね? すっごいかわいいよね!」

音楽科「私、リエラのステージ見るたび、ちょっとうらやましいなって思ってたんだー」

音楽科「私たちが舞台に立つ時は基本的に制服ですから」

恋「誰よりもスクールアイドルを愛している可可さんだからできる芸当ですね」

29: 2023/07/25(火) 22:48:09.82 ID:NutAwVcG.net
千砂都「それはそうと、だよ恋ちゃん。それはそうとね?」

恋「は、はい。なんでしょうか」

千砂都「オープニングアクトは新曲じゃない。そして私たち2年生は5人ともオープニングアクトのほうで手が離せない、と。そういうわけですな?」

恋「はい。・・・といっても、手が離せないというほどではないと思いますが」

千砂都「いやいやいや。やっぱりこれだけ規模の大きいステージになると本腰いれないといけないしさ? 中途半端だと協力してくれる音楽科のみんなにも申し訳ないでしょ?」

恋「・・・まぁ、そうですね」

四季(・・・!? なにか悪寒が)

30: 2023/07/25(火) 23:05:22.75 ID:NutAwVcG.net
千砂都「一方で1年生のみんなは特にやることは決まってないんだよね?」

四季「・・・え」

恋「そうですね。多少振り付けを変えるとはいえ、既存の曲を披露するわけですし」

恋「2日目の新曲は今まで通りわたくしたちが作ります」

恋「文化祭も終わったばかりですから、1年生のみなさんには息を抜いてもらおうかと」

千砂都「ふむ。つまり、本番までの間1年生のみんなはヒマしてると」

恋「ち、千砂都さん、もしかして・・・」

千砂都「良いこと思いついちゃった」

千砂都「ふっふっふっ・・・」

恋(あ、千砂都さん、スパルタの顔になってる)

音楽科(あれがリエラの侍と呼ばれた千砂都さんのもうひとつの顔・・・!)

四季「ち、千砂都先輩。顔がミヤマクワガタ・・・、いやマンディブラリスフタマタクワガタの顔になってる・・・」

千砂都「マルマル・・・なんて?」

31: 2023/07/25(火) 23:37:23.11 ID:NutAwVcG.net
きな子「ええええええ!!??」

メイ「私たちだけで・・・」

夏美「曲づくりぃぃぃぃ!!?」

四季「・・・・」

すみれ「そ~なのよ~。私たち1日目のほうの準備で忙しくてね? とても新しい曲まで作ってる余裕がなくて~・・・」

可可「・・・なんというホツィヤンユァン(ボソッ」

すみれ「・・・なんて言ったかわからないけど褒めてないのはわかるわ」

メイ「ちょ、ちょっと待ってくれよ! いきなりそんなこと・・・」

千砂都「いきなりじゃないよ。もともとこれから曲をつくる予定だったんだし、それがみんなに回ってきただけ」

夏美「だけって・・・」

きな子「・・・・」

可可「き、きなきなが! 口と目を開けて立ったまま気絶してるデス!」

かのん「しっかりして! きな子ちゃん! ほ、ほら私のスマホ見て、牛の出産シーンだよ!」

恋(まあ、こうなりますよね)

34: 2023/07/27(木) 00:01:25.16 ID:inJScyML.net
帰り道 1年組

メイ「はぁ・・・。千砂都先輩、相変わらず厳しいな・・・」

きな子「まさかきな子たちが曲を作ることになるなんて・・・」

四季「でも、いずれは通る道。そういう意味では千砂都先輩の言う通り"いきなり"なんてものはないのかもしれない」

メイ「それは・・・。まぁ、そうだな」

夏美「・・・・」

きな子「夏美ちゃん? どうしたっすか?」

夏美「あ、え!? なんでもないですの!」

きな子「心ここにあらずだったっす。そりゃそうっすよね・・・。きな子もまだピンとこないっす」

夏美「まあ、ともかく。任された以上、私たちだけでやるしかないんですの」

メイ「あぁ。リエラの役に立つって決めたんだからな」

36: 2023/07/27(木) 00:16:23.11 ID:inJScyML.net
四季「役割はどうする? と言ってもある程度は予想がつくけど」

メイ「きな子、前にノートに歌詞とか書いてるって話してたよな? それ出せそうか?」

きな子「あ、はい! あるっす! ・・・恥ずかしいっすけど、そんなことを言ってる場合じゃないっす!」

メイ「よし。作曲は・・・」

四季「この中で楽器を触れるのはメイだけ」

メイ「だよな。・・・よ、よし。なんとかしてみる。振り付けは・・・」

きな子「四季ちゃんが1年生の中で一番ダンスが上手だって、千砂都先輩が言ってたっす」

メイ「千砂都先輩のお墨付きなら心強いな。頼むぞ、四季」

四季「・・・うん」

37: 2023/07/27(木) 00:32:56.07 ID:inJScyML.net
夏美「私は~・・・」

きな子「夏美ちゃんには、きな子たち全員を見ててほしいっす」

夏美「・・・はい? 見る、とは」

きな子「あ、えーっと。きな子たちがちゃんとできてるかを確認してほしいと言いますか・・・」

四季「私たちの進捗状況の把握、そして首尾の判断をしてほしいってこと?」

きな子「そ、それっす! ・・・たぶん!」

夏美「!」

きな子「どうっすか? もし他にやりたいことがあるなら、そっちを優先してもらってかまわないっすけど」

夏美「いえ。・・・そうですの! 私、鬼塚夏美はリエラのメンバーであると同時に、株式会社オニナッツのCEOですの!」

夏美「稀代のインフルエンサーたる私が、リエラを全力サポートするんですの!」

きな子「はいっす!」

38: 2023/07/27(木) 00:35:48.09 ID:inJScyML.net
夏美「・・・・」

夏美(奇しくも先輩方と同じことを言われたですの)

*****

夏美「スーパーバイザー?」

千砂都「そ。1年生のみんなの様子を見守ってあげてほしいの」

千砂都「さすがに1年生だけで曲作りなんて無茶だからね」

恋「それであの子たちが根を詰めて心や身体に無理をさせるわけにはいきませんし、かといって曲が本番に間に合わないという事態も避けなければなりません」

かのん「だから、夏美ちゃんにはみんなの様子を私たちに報告してほしいの。合宿の時みたいに」

可可「あの時はナッツが可可たちと1年生の架け橋になってくれたオカゲで、リエラの絆は深まりマシタ」

すみれ「今回も頼りにしてるわよ。社長さん?」

夏美「・・・は、はい! ですの!」

39: 2023/07/27(木) 01:07:44.86 ID:inJScyML.net
*****

夏美(みんな、ちゃんと私のこと見てくれてるんですの)

きな子「と、ところで、曲ってどういうふうに作るんすか?」

メイ「え、えーと。歌詞かメロディのどっちかからやるんじゃないか?」

四季「・・・振り付けはメロディがないと無理」

メイ「そりゃそうだな・・・」

きな子「ということは、まずはメイちゃんかきな子のどっちかから始まるんすね・・・。責任重大っす・・・」

メイ「つっても曲は完全にノータッチだからなぁ。きな子、歌詞はすぐに書けそうか? それが無理ならノートからいくつかワードを拾うことは?」

きな子「それくらいなら明日までにできると思うっす」

メイ「よし。じゃあそっちを先に頼んでいいか?」

きな子「わかったっす!」

40: 2023/07/27(木) 01:48:00.22 ID:inJScyML.net
夏美「曲のテーマはどうするんですの? まず方向性を決めないと難しいと思うんですの。このままだと作詞担当のきな子が決めることになりますの」

きな子「えええ!? そ、そんな大それたこときな子には無理っすぅ~!!」

メイ「うーん・・・。オープンキャンパスで披露するわけだから、こう、"歓迎します!"って感じか?」

四季「結ヶ丘へ入学したくなるような、もっと言えばスクールアイドル部に入部したくなるような雰囲気づくりが重要と分析する」

きな子「あ、それだったら覚えがあるっす! 入学したての時、かのん先輩たちがきな子のために歌を歌ってくれたことがあって」

メイ「あぁ、屋上でのやつか」

きな子「あれ? メイちゃん知ってたんすか?」

メイ「え? ・・・あ! いや! そういうわけじゃ」

四季「その頃のメイはリエラに対してストーカーを働いてたから」

メイ「おい言い方!」

41: 2023/07/27(木) 07:28:23.01 ID:inJScyML.net
夏美「にゃはは」

夏美「いちどそれでやってみるですの。気になるところは意見を出し合って適宜修正していくですの」

きな子「は、はいっす!」


*****


きな子「メイちゃん。歌詞ノート持ってきたっす」

メイ「サンキュー。これをもとに私がメロディを作るんだな・・・。作曲なんて始めてだ」

きな子「メイちゃんはスクールアイドル大好きだから大丈夫っす!」

メイ「お、おう。・・・プレッシャーかけないでくれよ」

42: 2023/07/27(木) 07:52:33.62 ID:inJScyML.net
後日

きな子「できたんすか?」

メイ「あ、あぁ。とりあえず1番だけ」

メイ「一度3人に聞いてもらっていいか?」

きな子「わぁ。楽しみっす!」

四季「Of course」

夏美「どれどれ・・・」


少女視聴中...


メイ「手ごたえはあると思うんだ。自分で言うのもなんだが」

きな子「・・・・・」

四季「・・・・・」

43: 2023/07/27(木) 08:17:31.91 ID:inJScyML.net
きな子「・・・そうっすね。い、良いと思うっす! メロディもきれいな旋律でできてて」

四季「・・・メイらしい、と思う」

メイ「そ、そうか? 良かったぁ~」

夏美「・・・・・」

夏美「ふたりとも、本当にそう思ってますの?」

きな子「え?」

四季「夏美ちゃん・・・」

メイ「夏美的には納得いく出来じゃなかったか・・・?」

夏美「・・・みなさんがこれで良いと思うのであれば、先輩方に見てもらいましょう」

夏美「きっと先輩方は良しとするでしょう。本番で披露するのもこの曲ですの」

きな子「そ、それは」

四季「・・・・・」

メイ「ふたりとも気遣いはなしだ。夏美の言う通り、私たちの作った曲がリエラの名前を背負う事になるんだ」

きな子「・・・わ、わかったっす」

44: 2023/07/27(木) 08:55:28.62 ID:inJScyML.net
きな子「さ、先にひとつだけ! メイちゃんのメロディは決して悪くなかったっす。ほんとに、こんな曲も歌ってみたいって思ったっす!」

きな子「ただ、きな子が詞を書く時に思ってたのと違ったと言うか・・・」

四季「私も・・・。詞とメロディが噛み合ってないように感じた。それに・・・」

四季「・・・実は、きな子ちゃんの歌詞にも違和感を感じていた。私の構想ではもっとパフォーマンスを魅せられるような曲のイメージだった」

きな子「そ、そうっすか・・・」

きな子「きな子は、きっとかのん先輩なら聴いた人を元気いっぱいにしてくれるような歌詞を書くだろうって思ったんすけど」

メイ「わ、私も。恋先輩なら品のある綺麗なメロディを作るだろうって」

四季「千砂都先輩ならダンスのキレを魅せられるようにすると思った」

メイ「なんでだ・・・。ちゃんと先輩たちと同じようにしてるはずなのに」

45: 2023/07/27(木) 14:57:58.08 ID:inJScyML.net
夏美「・・・みんな、見てる方向がバラバラですの」

きな子「え? で、でも、テーマはちゃんと決めて、それに沿うようにしてるっす」

夏美「そこから先ですの。"何のために歌うのか"が迷子になっちゃってますの」

メイ「何のためって・・・そりゃあオープンキャンパスのためで」

夏美「じゃあ、なぜオープンキャンパスのために曲を作るんですの?」

四季「・・・それは」

夏美「"先輩に言われたから"ですの?」

3人「・・・!」

夏美「みんな、先輩の影を追いすぎですの」

メイ「そ、それはしょうがないだろ! 曲作りなんて初めてだから、その、参考にというか・・・」

夏美「別に先輩のマネをすることが悪いと言ってるわけじゃありませんの。古来より、技術は師匠から盗むものと言われてますし」

夏美「ただ、得た技術を活かして何かを為すことと、何も考えずに模倣することでは天と地ほどの差がありますの」

46: 2023/07/27(木) 15:24:59.90 ID:inJScyML.net
四季「夏美ちゃんの言ってることはわかる。・・・だけどそれが実現可能かはまた別問題」

きな子「きな子たちには荷が重すぎたっす・・・」

夏美「また諦めるんですの?」

きな子「・・・!」

夏美「もうぶっちゃけてしまいますの」

夏美「私、先輩方から言われたんですの。これは私たちへの試験だって」

きな子「試験・・・」

夏美「私たちはずっと先輩に甘えることはできないんですの」

夏美「来年になって新しく部員が入ってきた時、私たちはどうするんですの? その次の年は? 先輩方がいなくなった時、私たちはどうすんですの? その時も新入生と肩を並べて、ずーっと先輩に面倒を見てもらうんですの?」

夏美「違うでしょ? むしろ、私たちが新入生の面倒を見ていかないといけないんですの」

夏美「先輩方がそうしてくれたように・・・」

メイ「夏美・・・」

47: 2023/07/27(木) 15:32:30.71 ID:inJScyML.net
夏美「これでもまだやる気になりませんの?」

メイ「・・・なに言ってんだよ」

メイ「諦めるなんて最初から誰も言ってないだろ!」

きな子「そうっす! これは・・・あれっす! 一休みしてただけっす!」

四季「そう。床に布団を敷いて、その下にマットレスをセットし、低反発枕とアイマスクと足指サポーターを装着しただけ」

メイ「爆睡する気マンマンじゃねーか」

夏美「にゃは! それでこそ超人気Ltuberスクールアイドルですの!」

きな子「いや、Ltubeはちょっと・・・」

48: 2023/07/27(木) 22:34:59.32 ID:inJScyML.net
メイ「さて、気持ちを切り替えたところで、まだ何も解決策が出てないわけだが」

夏美「うむむむ・・・。偉そうな口を叩いといて申し訳ないですが、私も具体的にどうすればよいのかわからんですの」

きな子「さっき夏美ちゃんが言ってた"何のために歌うのか"をもう一度振り返るっす」

四季「突き詰めると、やはりオープンキャンパスのためであり、それは未来の新入生を獲得するためでもある。これが軸にあるのは変わらない」

メイ「そういえば、前に見たことある。歌で大事なのは、聴き手が共感できるどうかだって」

四季「つまりオープンキャンパスに来てくれる人たちが共感できるような歌・・・」

夏美「じゃあオープンキャンパスに来てくれる人ってどんな人ですの?」

きな子「・・・きっと、戸惑いながらも新しい世界へ飛び込もうとしてる人っす」

メイ「それか、ステージの上で輝く笑顔や夢に憧れてるか」

四季「・・・最初は興味がなくても、何かひとつのきっかけで自分を変えられるかもしれない」

夏美「もういちど夢を追いかけようって、そう思えるかもしれない」

きな子「・・・なんだか、きな子たちの話になってるっす」

メイ「あぁ、そうだよ。私自身のことだ。簡単なことだった」

四季「私たちの気持ちを、そのまま歌に込めればよかった」

夏美「・・・曲、できそうですの?」

きな子「はいっす!」

メイ「ああ!」

四季「・・・うん」

50: 2023/07/27(木) 22:42:19.86 ID:inJScyML.net
千砂都「さて、私たちを呼んだということは?」

きな子「はい! ライブで歌う曲ができたっす!」

恋「すばらしいです・・・。みなさん、よくぞ最後まで・・・やり遂げて・・・。うっうっ・・・」

かのん「れ、恋ちゃん、泣くの早いよ」

可可「は、はやく! はやく聴かせるデス!」

すみれ「お、落ち着きなさいったら落ち着きなさい」

千砂都「みんなが丹精込めた曲、謹んで拝聴します」

千砂都「の、前に。曲名を聞かせてもらっていいかな?」

きな子「はい! せーの・・・」

4人「Blooming Dance!Dance!です!!」

51: 2023/07/27(木) 22:44:55.49 ID:inJScyML.net
そしてオープンキャンパスは見事に成功しました。
しかし、四季が作った体力増強剤Lを過って飲んでしまったメイから強烈なフェロモンが発生し、来賓を巻き込んだ大乱交が始まり、メイが腹上氏したのでした。
おわり。

引用元: 恋「オープンキャンパスですね」