1: 2011/09/23(金) 11:35:54.83 ID:xi2VWm+D0
―――ミラの社

ミラ「ふう……『愛と嘆きの追憶』……すばらしい……」

ミラ「主人公が一途に愛する人を追いかける描写がなんとも切ない……」

ミラ「ん?ああ、すまない。イバルが持ってきた本なんだ」

ミラ「はは、そういうな。私だって人間の書いた本で感銘ぐらい受けるさ」

ミラ「……ふむ」

ミラ「精霊が氏んだか……」

ミラ「捨て置けんな」

ミラ「……ゆくぞ」
「テイルズ オブ」シリーズ the 20th anniversary いのまたむつみのキャラクター仕事
4: 2011/09/23(金) 11:39:13.84 ID:xi2VWm+D0
―――イル・ファン

ミラ「ここのまま進めばいいのか?」

ミラ「……よし。行こうか」

ミラ「―――ふむ、ここを破壊すればいいのだな?」

ジュード「待って!!」

ミラ「ん?」

ジュード「あの……何をしているの?」

ミラ「……」

ジュード「あの……?」

ミラ「……可愛い」

ジュード「え?」

ミラ「あ、いや。なんでもない。君は?」

ジュード「えと……この街に住んでいて、それで落し物を拾うとしたら、見かけて」

ミラ「そうか。ならば、もう帰ると良い。ここは君のような可愛い子が来るところではない」

ジュード「あ、待って!」

9: 2011/09/23(金) 11:43:34.00 ID:xi2VWm+D0
―――研究所

ミラ「ここが……よし」

ジュード「はぁ……はぁ……」

ミラ「ん?なんだ、ついてきたのか。そんなに私が気になるのか?」

ジュード「う、うん……(だって見るからに怪しいし)」

ミラ「お、おぉ……そうか……///」

ジュード「何をしているの?こんなところにいたら捕まっちゃうよ?」

ミラ「私にはやらねばならない使命がある」

ジュード「使命?」

ミラ「ああ」

ジュード「……あの、ついて行ってもいいかな?」

ミラ「……何故だ?」

ジュード「それは……」

ミラ「まさか……一目ぼれと言う奴か?……よわったな。まあ、私の美貌なら仕方のないことだが……ふむ」

ジュード(なにいってるんだ、この人?)

12: 2011/09/23(金) 11:47:12.51 ID:xi2VWm+D0
ミラ「いいだろう。ついてこい」

ジュード「あ、ありがとう……」

ミラ「私はミラ。ミラ・マクスウェルだ」

ジュード「ジュード・マティス。よろしく」

ミラ「ふむ……」

ジュード「な、なに?」

ミラ「見れば見るほど可愛らしいな、君は」

ジュード「え……」

ミラ「ついてくるからにはそれなりの覚悟はしているのだろう?」

ジュード「は?」

ミラ「ふふ……まあいい。大好きなおかずは最後まで取っておくタイプなのでな」

ジュード「……」

ミラ「よし。いくぞ」

ジュード「う、うん……(ついていっても大丈夫かな……?)」

13: 2011/09/23(金) 11:50:17.94 ID:xi2VWm+D0
アグリア「アハ~」

ミラ「……」

ジュード「ここは……!?」

アグリア「侵入者ってあんたらか」

ミラ「ふむ……」

アグリア「あ?なんだよ?」

ミラ「そばかすが何とも可愛らしいな」

アグリア「はぁ?」

ミラ「何をしている?」

アグリア「うっせー。関係ねえだろ」

ミラ「そうか」

アグリア「まあなんでもいいか……ここで氏んじまうんだからよ!!」

ジュード「危ない!ミラ!!」

ミラ「―――イフリート!!」

アグリア「―――あっがぁあ!!?」

18: 2011/09/23(金) 11:54:15.21 ID:xi2VWm+D0
アグリア「……」

ジュード「い、今のは……四大精霊!?」

ミラ「……ふむ」

ツンツン

アグリア「……ぁ」

ミラ「気絶してしまったか。この場に置いて行くのも気が引けるし、何か情報を持っていそうだな。連れて帰るか」

ジュード「え……」

ミラ「よっと……よし、ジュード。いくぞ」

ジュード「その子……どうするの?」

ミラ「聞いていなかったのか?連れて帰るんだ」

ジュード「どうして?」

ミラ「人間とは深く追求したがるな。そこは悪い癖だと思う」

ジュード「いや……普通に誘拐じゃあ……」

ミラ「ここで変なことをしていたのだから、色々と聞きたいことがあるだけだ。他意はない」

ジュード「……」

20: 2011/09/23(金) 11:57:58.39 ID:xi2VWm+D0
ミラ「―――これが黒匣か」

ジュード「クルスニクの槍って名称があるみたい……」

ミラ「……(ペロペロ」

アグリア「ぁ……」

ジュード「―――ミラ?」

ミラ「なんだ?」

ジュード「今、何かしてなかった?」

ミラ「意味が分からん。それよりジュード、今からこれを破壊する。下がっているといい」

ジュード「破壊するって……」

ミラ「この子を頼む」

ジュード「う、うん……」

アグリア「―――っ!!」

ジュード「あ!!」

ミラ「お前……!!」

アグリア「むかつくんだよ!!―――アハハハ!!氏んじまえ!!」

21: 2011/09/23(金) 12:01:53.43 ID:xi2VWm+D0
ミラ「―――くっ!!は、やく、鍵を……!!」

ジュード「うぅ……マナが吸い取られる……」

アグリア「おぉぉ……これは……予想以上に……」

ミラ「―――よし!」

ドォォォォォォン!!!

ジュード「うわぁぁぁぁぁ!!!」

アグリア「ぐぁ!!」

ミラ「二人とも!!」

ミラ「―――はぁああ!!!」

アグリア「な!?なにしやがる!!離せ!!!」

ミラ「ジュード!!」

ミラ「―――落ちたか」

アグリア「おい。小脇にかかえんじゃねーよ」

ミラ「ジュードは惜しかったが、まあ、君がいるからいいとしよう」

アグリア「は!?おい!!どこに連れてく気だよ!!?」

23: 2011/09/23(金) 12:05:37.81 ID:xi2VWm+D0
―――イル・ファン 海停

ミラ「ここから帰ることができるのか?」

アグリア「そーじゃねーの?」

ミラ「そうか」

アグリア「つーか、いい加減下ろせよ!!逃げねーよ!!」

ミラ「お姫様だっこは嫌なのか?」

アグリア「そういう問題じゃねーよ」

ミラ「なら、そうしているといい……ん」

アグリア「んんーーーー!!!!!」

ミラ「ふぅ……ごちそうさま」

アグリア「あ……はじめてが……変な女に……はじめてが……」

ミラ「さてと……」

ジュード「ミラ!!」

ミラ「ん?―――おお!!ジュード!!無事だったのか、嬉しいぞ!!」

ジュード「……兵士さんこっちです!!この女の人が研究所に侵入した人です!!」

24: 2011/09/23(金) 12:09:34.65 ID:xi2VWm+D0
ミラ「ジュード?」

兵士「大人しくしろ!!人質を放せ!!」

ジュード「……」

ミラ「ジュード、笑えん冗談だな」

ジュード「国民としては当然の行動だよ」

ミラ「……そうか。残念だ」

ジュード「……」

兵士「捕えろ!!」

ミラ「はぁぁぁ!!!」

ドカ!バキ!!

兵士「がはぁ!!」

ミラ「四大がいなくとも、貴様らなど足だけで十分だ」

アグリア「つええ……」

ジュード「な……」

ミラ「さあ、ジュード。君はこんなところでくすぶっているような人間じゃない。私と共にいこう」

25: 2011/09/23(金) 12:12:43.53 ID:xi2VWm+D0
ジュード「……」

ミラ「さあ、来るんだ」

アグリア「そんな言い方じゃこねーよ」

ミラ「む……では、何と言えば?」

アグリア「そうだな……大人のキスを教えてあげるとか言えばいいんじゃねーの?」

ミラ「なるほど……ん」

アグリア「んんんん!!!!!!」

ミラ「ふう……よし」

アグリア「……」

ミラ「さあ、ジュード。今みたいな大人のキスをしたければ私と共にこい」

ジュード「……嫌だよ!!」

ミラ「困ったな……何故だ?」

ジュード「……」

アルヴィン「―――おい。行くなら早くいこうぜ。船が出ちまう」

ジュード「え……?」

27: 2011/09/23(金) 12:16:54.37 ID:xi2VWm+D0
ミラ「そうだな。そうしよう」

ジュード「え?え?」

アルヴィン「よし。このままいくぞ。しっかり捕まってろ!!」

ジュード「え?ちょ―――」

ミラ「―――は!!」

船員「お客さん!!お代を!!!」

ミラ「すまん。持ち合わせがない。ニ・アケリアのイバルに請求しておいてくれ!!」

アルヴィン「同じく!!」

船員「えええ!!?」

ミラ「―――よっと。よし。無事に船に乗れたな」

アルヴィン「そうだな。で、これからどこにいくよ?」

ミラ「ふむ……一度、ニ・アケリアに戻ろうと思う」

アグリア「……」

ジュード「……」

ミラ「どうした?そんな誘拐された子どものような顔をして。元気出せ」

28: 2011/09/23(金) 12:20:36.02 ID:xi2VWm+D0
―――ハ・ミル

アルヴィン「もう追手がきてるのか」

ミラ「よし。強行突破といこうか」

ジュード「……やめたほうが」

アグリア「かえりてぇ……」

エリーゼ「あの……」

ミラ「ん?」

ジュード「……!?」

エリーゼ「な、なにしてるんですか……?」

ミラ「ふむ……実はな―――」

ジュード「僕たちはこの先に進みたいんだけど、あそこの兵士が邪魔で困ってたんだ」

エリーゼ「あの人たちをどうにかすれば……いいんですか?」

ジュード「うん」

エリーゼ「任せてください」

ミラ「何をするつもりだ?」

31: 2011/09/23(金) 12:23:53.54 ID:xi2VWm+D0
兵士「うわ!なんだこいつは!?!」

エリーゼ「……」

アルヴィン「よし。今のうちにいくか」

ミラ「ああ」

ジュード「待ってよ!」

ミラ「どうした?」

ジュード「君、名前は?」

エリーゼ「エリーゼ・ルタス……です」

ティポ「僕はティポだよー。よろしくね?」

ジュード「ミラ……」

ミラ「うむ。いいだろう。連れていこう」

ジュード「さあ、いこう。エリーゼ!」

エリーゼ「え?え?」

ティポ「うわー!!だれかー!!」


ジャオ「ん?娘っ子がおらんぞ?おーい!!どこだー!!」

33: 2011/09/23(金) 12:27:46.19 ID:xi2VWm+D0
―――ニ・アケリア

ミラ「よし。ここが私が祀られている村だ」

アグリア「ド田舎じゃねーかよ……」

エリーゼ「……」

ティポ「おまえらー!!エリーゼを攫ってどういうつもりだー!!」

ミラ「攫ったなどとは心外だ。もう私たちは仲間じゃないか」

エリーゼ「な、かま……ですか?」

ジュード「友達ってことだよ」

ティポ「わーい!!ジュード君はともだちー!!」

エリーゼ「ともだち……」

ミラ「ああ。友達だ。だから……親愛の証として……キスを……」

エリーゼ「!?!?」

ジュード「ミラ!!やめてよ!!」

ミラ「何をする?―――あ、ジュードがしてほしいのか……ん」

ジュード「んんんんん!!?!?!」

35: 2011/09/23(金) 12:31:36.03 ID:xi2VWm+D0
アルヴィン「ミラ様、俺には?」

ミラ「寝言は寝て言え」

アルヴィン「……」

ミラ「よし。四大の再召喚をするか」

ジュード「はぁ……はぁ……最悪だ……あんな年上の人に……キスされた……」

エリーゼ「ジュード……」

ティポ「ジュード君、大丈夫?」

ジュード「……エリーゼ……お口直しに……」

エリーゼ「っ!?」

ティポ「こんなところじゃやだー!!」

アグリア「おい!やめろ!!おびてんだろーが!!」

ジュード「あ……ごめん」

エリーゼ「……(ガクガクブルブル」

ミラ「何をしている。行くぞ」

ティポ「大きいおじさん、たすけてー!!!」

37: 2011/09/23(金) 12:35:36.81 ID:xi2VWm+D0
―――ミラの社

ミラ「―――ぐ!?」

イバル「―――ミラさまぁぁぁぁ!!!」

ミラ「イバルか……」

ジュード「誰?」

イバル「なんだ……貴様らは?」

ミラ「イバル……」

イバル「ミラ様、ご無事でなによ―――」

ミラ「イバル、巫女の権限を今日をもってはく奪する。今すぐ、ここから立ち去れ」

イバル「は……?あ、あははは、ミラ様、何を……」

ミラ「ふむ。端的に言おう。―――貴様はウザい。消えろ」

イバル「……」

ティポ「なんか憐れ……」

アグリア「流石にひくぜ……」

イバル「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

40: 2011/09/23(金) 12:40:05.41 ID:xi2VWm+D0
ミラ「どうやらあのクルスニクの槍を破壊せねば四大の再召喚はできないようだな」

ジュード「これからどうするの?」

ミラ「もう一度イル・ファンに向かう」

アルヴィン「なら……」

ミラ「おい」

アルヴィン「え?」

ミラ「訊こうと思っていたのだが、どうしてお前は自然と私たちについてきてる?」

アルヴィン「え……」

ミラ「私はお前の同行を許可した覚えはない」

アルヴィン「いや……それは……」

ミラ「なるほど……そうか、お前は私の敵だな?」

アルヴィン「!?」

ミラ「ここまで一緒に来たよしみで見逃してやる。今すぐ消えろ」

アルヴィン「……ちっ!」

ミラ「よし。さあ、みんな。行くぞ」

42: 2011/09/23(金) 12:45:08.16 ID:xi2VWm+D0
―――カラハ・シャール

エリーゼ「わぁ……見てください。色々ありますよ?」

ミラ「ふむ」

ドロッセル「このカップ素敵……」

店主「それはイフリート紋だあるからね」

ドロッセル「じゃあ、これはイフリートさんが焼いたのね」

ミラ「ふむ」

ドロッセル「あ……」

ミラ「それはないな。イフリートはこのような雑な焼き方はしない。それに―――」

ドロッセル「それに?」

ミラ「お前の方が魅力的だ」

ドロッセル「え……///」

アグリア「まーた始まった」

ジュード「……」

ティポ「こうぜんわいせつだー!」

43: 2011/09/23(金) 12:49:23.76 ID:xi2VWm+D0
ローエン「すいません。お嬢様に手を出さないでもらえますか?」

ミラ「ん?なんだ、貴様は?」

ローエン「私はお嬢様に仕える執事のローエンと申します」

ドロッセル「私はドロッセル。ドロッセル・K・シャールです」

ミラ「そうか。私はミラ・マクスウェルだ」

ジュード「ジュード・マティスです」

エリーゼ「エリーゼ……です」

ティポ「ティポだよー!よろしくねー、ドロッセルー」

アグリア「……」

ドロッセル「貴方は?」

アグリア「うっせーブス」

ドロッセル「!?」

ミラ「おい。アグリア。なんだその口のきき方は。―――またお仕置きをされたいのか?」

アグリア「あ……じょ、冗談にきまってんだろ!!―――アグリアだ!!よろしく!!」

ドロッセル「う、うん……よろしく」

47: 2011/09/23(金) 12:54:53.70 ID:xi2VWm+D0
―――シャール邸

ドロッセル「どうぞ」

ミラ「ふむ……立派な屋敷だな」

ローエン「お嬢様はここカラハ・シャールの領主様なのです」

ジュード「貴方が!?」

ドロッセル「兄が先日、亡くなってしまって……まだ代理なんですけどね」

ローエン「いえいえ。ドロッセル様は十分にやってくれていますとも」

ドロッセル「そうかな……自信はないけど……」

アグリア「つかれた……休んでもいいか?」

ジュード「そうだね……エリーゼ?」

エリーゼ「……な、なんですか?」

ジュード「一緒にお風呂、はいろっか?」

エリーゼ「ひっ!?」

ティポ「やめろー!!もうおふろはかんべんしてー!!!」

ジュード「ほら、行くよ。我がまま言わないの」

51: 2011/09/23(金) 12:59:19.26 ID:xi2VWm+D0
エリーゼ「ミラ!ミラ!!」

ミラ「可愛がってもらうといい。あとで私もアグリアと一緒に入る」

アグリア「な、んだと……!?」

ドロッセル「大丈夫なんですか?」

ミラ「心配はない。ところでここからイル・ファンに向かうにはどうしたらいい?」

ローエン「イル・ファンですか。ここからですと―――」

ミラ「おい。口を慎め。貴様には訊いていない」

ローエン「……!?」

ミラ「ドロッセル、何か知っているか?」

ドロッセル「えと……ガンダラ要塞を抜けないといけませんよ?」

ミラ「ガンダラ要塞?―――知らんな。ドロッセル、道案内を頼めるか?」

ドロッセル「えぇ!?」

ミラ「頼む。この通りだ」

ドロッセル「ちょっと、あの!!土下座なんてしないでください!!」

ミラ「同行すると言うまで上げる頭など私は持ち合わせていない」

52: 2011/09/23(金) 13:04:16.49 ID:xi2VWm+D0
ドロッセル「そんな!?困ります!!」

ローエン「私が―――」

ミラ「氏にたいのか?」

ローエン「ぬう……」

ドロッセル「わ、わかりました!!ガンダラ要塞までなら同行しますから!!」

ミラ「おぉ!そうか!ありがたい!」

ドロッセル「はぁ……」

ミラ「ところで、ドロッセル。気になっていたのだが、この足の部分はどうして開いているのだ?手を突っ込んでほしいという願望の表れか?」

もぞもぞもぞ……

ドロッセル「きゃっぁ!!?どこに手を入れてるんですか!!?」

ミラ「ふむ。スベスベだな。どうだろか、これから一緒に入浴でも?」

ドロッセル「いえ……遠慮します……」

ミラ「口答えは許さん。いくぞ」

ドロッセル「い、いやぁ……」

アグリア「仲間が増えたか……あいつもう嫁にはいけねーな……アハ~」

53: 2011/09/23(金) 13:06:56.22 ID:xi2VWm+D0
―――ガンダラ要塞

ドロッセル「ここです……」

ミラ「ふむ……たのもー!!」

ジュード「ミラ!?」

兵士「……ん?誰だ?」

ミラ「ここを通してもらうぞ」

兵士「捕えろ」

ミラ「な!?どこを触っている!?やめろ!!」

エリーゼ「ミラー!!」

アグリア「やべーな……ここは逃げるぞ」

ジュード「うん!」

ドロッセル「は、はい―――」

兵士「逃がさん!!」

ドロッセル「きゃぁ!!?」

エリーゼ「ジュード!たすけてください!!」

54: 2011/09/23(金) 13:10:11.22 ID:xi2VWm+D0
―――牢屋

ミラ「くそ……」

ドロッセル「……」

エリーゼ「……」

ミラ「こう監視の目があってはやりたいこともできんな。もういい、脱出するぞ」

ドロッセル「え……?どうやってですか?」

ミラ「こうやってだ……はぁあ!!」

ぐにゃ

エリーゼ「牢がひしゃげたました……」

ミラ「逃げるぞ」

兵士「貴様!!何を―――」

ミラ「黙れ!!」

兵士「ぐあ!!」

ドロッセル「この人、なんでわざと捕まったのかしら……?」

エリーゼ「そ、それよりもティポをさがしましょう!!」

57: 2011/09/23(金) 13:17:08.83 ID:xi2VWm+D0
ミラ「貴様は……?」

エリーゼ「ティポ!!」

ナハティガル「お前が……マクスウェルか?」

ミラ「ああ。そうだ」

ナハティガル「ふはははは!!まさか、こんな小娘とはな!!」

ドロッセル「あ、あなたのやっていることは条約違反ですよ!!」

ナハティガル「ふん。全ては国のためだ」

ミラ「ほお……私の目には独裁しているようにしかみえんが?」

ナハティガル「独裁をしてこそ民は救われるのだ」

ミラ「話にならん。王の器ではないな」

ナハティガル「ならば、試してみるか?」

ミラ「いいだろう。ここで貴様の下らん野望は終わりにしてやる」

ナハティガル「こい!!」

ミラ「はぁぁぁ!!!」

58: 2011/09/23(金) 13:20:42.41 ID:xi2VWm+D0
ナハティガル「ぐは……ば、ばかな……!?」

ミラ「トドメだ」

ドロッセル「まって!!」

ミラ「なんだ?」

ドロッセル「この人は一国の王です。ここで頃すよりも然るべき場所で裁いてもらうほうがいいでしょう」

ミラ「……」

エリーゼ「ミラ、頃すのはやめましょう」

ティポ「そうだぞー」

ミラ「お前たちがそういうなら、そうしよう。命拾いしたな、ナハティガル」

ナハティガル「く……」

ミラ「よし。ここは一旦、街に戻ろう」

ドロッセル「そうですね」

エリーゼ「はい」

ティポ「またドロッセルのいれた高級な紅茶がのみたいなー」

ドロッセル「うん。そうしよっか?」

59: 2011/09/23(金) 13:24:31.55 ID:xi2VWm+D0
ミラ「ドロッセル、こんどは皆でお風呂に入ろうか」

ドロッセル「えぇ……もう、あんなことはやめてください……」

ミラ「いいではないか。気持ちよかっただろう?」

ドロッセル「そ、それは……」

ジュード「ミラ!!無事だったんだね!?」

アグリア「生きてやがった……」

ローエン「ドロッセル様!!心配しましたよ!!」

ミラ「おー!ジュード!!心配してきてくれたのかー!可愛い奴めー!!」

タタタタタタタッ

ミラ「特別にハグしてやろう♪」

アグリア「ちょ!!なんであたしに抱きつくんだよ!!」

ローエン「ん?!ミラさん、その足についているのは―――」

ミラ「え?」

ピー!!―――ドォォォォン!!!

ジュード「ミラァァァァァ!!!!!」

61: 2011/09/23(金) 13:28:59.95 ID:xi2VWm+D0
―――シャール邸

ミラ「……」

ジュード「ミラ……足は……?」

ミラ「ふむ。何も感じないな」

ジュード「……」

ミラ「さてと、明日にはイル・ファンに―――」

ジュード「ミラ!どうして!?もう終わったんだよ!?」

ミラ「何が終わったというのだ?君が決めることではない」

ジュード「だって、今のミラにはなんの力もないじゃない!!」

ミラ「……」

ジュード「アグリアとエリーゼは責任を持って僕が面倒を見るから」

ミラ「ジュード……それだけは許さんぞ」

ジュード「でも……足が動かないんじゃあ……」

ミラ「何か手はないか?なんでもいい。この際だ。治るというなら汚水も啜ってやる」

ジュード「ミラ……わかったよ、じゃあ僕の故郷に行こう」

62: 2011/09/23(金) 13:35:11.49 ID:xi2VWm+D0
―――ル・ロンド 海停

ミラ「ここが君の故郷か」

ジュード「うん……」

エリーゼ「長閑で素敵です」

アグリア「そーだな……」

レイア「―――どいてどいてー!!!」

ミラ「ん?」

アグリア「おぁ!!?」

レイア「いたたた……あ、ごめんなさい!」

アグリア「どこに目をつけて―――」

レイア「あ……」

アグリア「な、なんだよ……?」

レイア「う、ううん、なんでもない!」

ジュード「レイア……ただいま」

レイア「え?あー!!ジュードだ!!!」

64: 2011/09/23(金) 13:38:46.68 ID:xi2VWm+D0
―――治療院

ミラ「医療ジンテクス?」

ジュード「うん」

ミラ「それがあれば治るのか?」

ジュード「うん」

ミラ「では、試してくれ」

レイア「……でも、それはすっごい痛いんだよ?」

ミラ「構わない。お前達と一緒にお風呂に入れない方が苦痛だ」

エリーゼ「ミラ……」

アグリア「……」

ジュード「ミラ、でもね……精霊の化石が必要なんだ」

ミラ「ならばとってくればいいだろう」

ジュード「……それが精霊の化石は数年前に採取され尽くされて、もうないらしいんだ」

ミラ「探せば見つかるだろう」

ジュード「……(イラッ」

67: 2011/09/23(金) 13:44:00.16 ID:xi2VWm+D0
レイア「でも、その鉱山はもう崩落の危険があってね」

ミラ「危険があるだけで絶対に崩落するというわけでもないのだろう?」

ジュード「ミラ……」

ミラ「ならば採掘しにいくぞ」

エリーゼ「……」

ティポ「そんな体じゃむりだってー」

アグリア「もう大人しくこのまま余生を楽しんだらどうだ?」

ミラ「私の使命はこんなところで潰えたりはしない」

エリーゼ「……ミラ」

レイア「ジュード……どうする?」

ジュード「なら……一人で行ってきなよ」

ミラ「なに?」

ジュード「もう沢山だよ!!僕はここでエリーゼとアグリアと一緒に静かに暮らすんだ!!!」

アグリア「え……」

レイア「私は!?ジュード、私は!?」

68: 2011/09/23(金) 13:48:08.73 ID:xi2VWm+D0
ミラ「お……おい……」

ジュード「ほら、アグリア、エリーゼ、もう行こう」

アグリア「ちょ……ひっぱんなよ」

エリーゼ「あ……でも……」

ティポ「ジュード君!!それでいいのー!?友達でしょー!!」

ジュード「ただの誘拐犯だよ!!!」

バタン!!

レイア「あ……ジュード……私は……?」

ミラ「ふむ……困ったな」

レイア「ミラ……」

ミラ「……」

レイア「な、なに?」

ミラ「……」

レイア「何か……?」

ミラ「……どうだろう?この悲劇のヒロインを救ってはくれないか?」

70: 2011/09/23(金) 13:52:39.49 ID:xi2VWm+D0
レイア「う、うーん……どうしよっかなぁ……」

ミラ「頼む」

レイア「本当にやるの?」

ミラ「当然だ」

レイア「そこまで言うなら……」

ミラ「恩に着る」

レイア「じゃあ、とりあえず車椅子に座って」

ミラ「すまない。手を貸してくれ」

レイア「いいよ。はい、ゆっくりでいいからね」

ミラ「ふむ……」

レイア「きゃぁ!?なんで胸を触るの!?」

ミラ「なにか問題でもあるのか?」

レイア「いや……」

ミラ「自信をもて。それほど小さくはない」

レイア「あ、ありがとう……」

72: 2011/09/23(金) 13:58:18.78 ID:xi2VWm+D0
―――鉱山

レイア「はい!とーちゃーく!」

ミラ「ふむ。ここに精霊の化石があるのだな」

レイア「多分ね。でも探すのは大変かも」

ミラ「レイアならやれる。がんばれ」

レイア「うん!まっかせてよ!!」

ミラ「ああ。頼むぞ」

レイア「よっしゃー!!」

ガッキン!ガッキン!!

ミラ「レイアはたくましいな……傍で見ていると微笑ましい」

レイア「はぁ……ここにはないかぁー」

ミラ「どうした?もうへばったのか?まだ三か所しか掘ってないぞ?」

レイア「あ、うん。そうだよね!がんばるよ!!」

ミラ「うむ。その意気だ」

レイア「ここほれ、ワンワン!!」

75: 2011/09/23(金) 14:04:01.32 ID:xi2VWm+D0
レイア「ないなぁー……はぁ……はぁ……」

ミラ「レイア、ここに無いのならもっと奥だ」

レイア「う、うん……でも、少しだけ休憩させて……」

ミラ「できるだけ急いで欲しい」

レイア「ごめん……少しだけでいいから」

ミラ「分かった。では五分だけ休憩にしよう」

レイア「あ、りがとう……はぁ、はぁ……」

ミラ「ふむ……」

レイア「はぁ……はぁ……」

ミラ「レイア、もういいか?」

レイア「え!?」

ミラ「この奥にあるような気がするんだ。急ぎたい」

レイア「う、うん……わかったよ……い、いこっか……はぁはぁ……」

ミラ「よろしく頼む」

レイア「はぁ……うん、まっか、せて、よ……はぁ……」

79: 2011/09/23(金) 14:09:29.13 ID:xi2VWm+D0
―――最奥

魔物「ギャォォォォンン!!!!」

レイア「うわ!!なんか出てきた!?!」

ミラ「レイア!!奴の頭を見ろ!!」

レイア「あ――あれって!!」

ミラ「精霊の化石だ!!」

レイア「はぁ……はぁ……でも、こんな状態じゃあ……」

ミラ「レイア!頼むぞ!!」

レイア「う、うん……がんばるよ……!」

ミラ「レイアならできる!」

レイア「はぁ……はぁ……でも、こんなおっきな魔物……どうやれば……?」

ミラ「レイア、来るぞ!!」

魔物「ギャオォォォォン!!」

レイア「きゃぁぁ!!!」

ミラ「何をやっている!?ちゃんと相手を見るんだ!!」

80: 2011/09/23(金) 14:13:00.73 ID:xi2VWm+D0
レイア「くっ……!!」

ミラ「レイア!右だ!!」

レイア「え?!」

魔物「オォォォォォン!!!」

レイア「ぁう!?」

ミラ「何をしているんだ!!しっかりしろ!!!」

レイア「ごめん……はぁ……はぁ……」

ミラ「相手のペースにはまるな!!」

レイア「よ、よし……」

魔物「ギャオォォォォン!!」

レイア「―――はぁぁぁぁ!!!!」

バキィ!!!―――パリーン!

レイア「やった!ミラー!やったよー!!精霊の化石とれたよー!!」

ミラ「おお!でかしたぞ!レイア、早くそれを―――」

魔物「グオォォォォォ!!!!」

81: 2011/09/23(金) 14:17:23.40 ID:xi2VWm+D0
レイア「え……!」

ミラ「レイア!!!」

ガブゥ!!!

レイア「あぎぃ!?!?」

ミラ「レイア!!早く、精霊の化石を投げろ!!!」

レイア「あ、し……あしが……」

ミラ「レイア!!!」

レイア「ぐっ……」

ミラ「よし。ナイスだレイア。これをここにはめればいいのだな!!」

レイア「……あしが……わた、しの……あ、し……」

魔物「グォォォォォ」

ミラ「ぐぁぁぁ!!!!!なんだ、この痛みは……!!!―――冗談じゃない!!!」

レイア「あ……」

ミラ「こんな痛みを我慢するぐらいなら車椅子でイル・ファンに乗りこんでくれる!!」

レイア「ひ……どい、よ……」

83: 2011/09/23(金) 14:21:56.53 ID:xi2VWm+D0
ミラ「レイア、帰るぞ」

レイア「あ……の……あしが……」

ミラ「どうかしたのか?」

レイア「あしが……もう……うごかなくて……」

ミラ「これは酷い……恐らく神経までやられているな」

レイア「うぅ……ミラ……たすけて……」

ミラ「そうだな……おお!丁度いいところに医療ジンテクスがあるではないか」

レイア「え……」

ミラ「精霊の化石もあるし、都合がよいな」

レイア「や、めて……」

ミラ「さあ、レイア。これを付けて魔物を退けてくれ」

レイア「いや……ミラ……おねがい……それだけは……!!」

ミラ「さあ、行くぞ!!立ちあがレイア!!!」

レイア「―――ひゃがぁああああああああああ!!!!!!!!」

86: 2011/09/23(金) 14:26:40.04 ID:xi2VWm+D0
レイア「いたいいたい!!!いたい!!!!!」

ミラ「我慢しろ。時期になれる」

レイア「いだい!!!いだいぃぃぃ!!!!!足をきって!!!!あしきってよぉぉぉぉ!!!!!」

ミラ「耐えるんだ!」

レイア「いやぁああああああ!!!!!!!」

魔物「……グルル」

ミラ「レイア、大丈夫だ。もうじき気持ちよくなってくる」

レイア「あぁあああぁぁぁ!!!!!!!!」

魔物(かえろ……)

ズズズ……

ミラ「ん?魔物が帰っていくな。ふむ、これは好都合だ」

レイア「おぉぉおぉぉおお!?!!??」

ミラ「レイア、さあ、立ってくれ。立ってくれないと車椅子の私一人では疲れてしまうからな」

レイア「あぁああぁああああああああ!!!!!!」

ミラ「ふむ……やかましいな」

87: 2011/09/23(金) 14:32:01.08 ID:xi2VWm+D0
ミラ「レイア?……気絶したか」

ミラ「さてと、これからどうするか……」

エリーゼ「ミラー!!」

ミラ「ん?エリーゼか!?」

アグリア「はぁ……はぁ……やっぱりここにいたのか」

ミラ「アグリアまで、どうしたのだ?」

エリーゼ「あの……」

ティポ「もうジュード君と一緒にいたくないんだよー!!」

アグリア「あいつ、もうやりたい放題だぜ。なんとかしてくれよ」

ミラ「ふむ……それは看過できないな」

エリーゼ「もう着替えを覗かれるのは嫌です!」

アグリア「エリーゼはまだいい。あたしなんてトイレまでついてくるんだぜ?」

ミラ「それは酷いな。よし、帰ろう」

アグリア「おう。ん?こいつは……?」

レイア「……」

89: 2011/09/23(金) 14:36:36.50 ID:xi2VWm+D0
―――ル・ロンド 治療院

少年「ジュード先生、これってなんの診察なの?」

ジュード「いいから足を広げて?」

ミラ「ジュード!」

ジュード「!?」

アグリア「なにやってんだよ?」

エリーゼ「ジュード……」

ティポ「ジュード君、変態ー!!」

ジュード「これは立派な医療行為だよ?」

ミラ「……まあいい。それより、レイアをみてやってくれ」

ジュード「え?どうかしたの?」

ミラ「私を庇って……傷ついてしまった……」

ジュード「レイア?大丈夫?」

レイア「……」

ミラ「氏んではいない。大丈夫だ」

91: 2011/09/23(金) 14:39:55.06 ID:xi2VWm+D0
ジュード「……」

レイア「ん……」

アグリア「お、気がついたみてーだぞ」

ジュード「レイア、痛いところはある?」

レイア「……」

ジュード「レイア?」

レイア「……ここは?」

ジュード「ここは治療院の病室だよ」

レイア「……ねえ、アナタ……誰?」

ジュード「え……?」

レイア「あれ……私……わたし……」

アグリア「おいおい……」

ジュード「レイア?」

レイア「レイア……?レイアって……誰?」

ジュード「レイア……あまりの痛みで記憶が……?」

93: 2011/09/23(金) 14:45:19.12 ID:xi2VWm+D0
ミラ「―――よし!!医療ジンテクスなど初めからいらなかったんだ」

エリーゼ「ミラ、どうしたんですか?もういいんですか?」

ミラ「うむ。体組織を一から練り上げた。これでもうなんの心配もいらない」

ティポ「よかったね、ミラ!!」

ミラ「ああ。しかし、見かけは変わっていないとはいえ新しい体だ。慣れるまでしばらく時間がいるだろうな」

エリーゼ「じゃあ、しばらくはここに滞在ですね」

ミラ「そうなるな。まあ、ここならジュードの実家があるから宿代はかからなくて済むが―――」

アグリア「おい!」

ティポ「どうしたのー?」

ミラ「血相を変えてどうした?」

アグリア「ちょっとこい」

ミラ「どうした?なにがあった?」

アグリア「いいから、こい!!」

ミラ「なんだというのだ?」

エリーゼ「……?」

94: 2011/09/23(金) 14:49:26.91 ID:xi2VWm+D0
レイア「……」

ミラ「本当なのか?」

ジュード「うん」

エリーゼ「レイア?」

レイア「あなた、かわいいね……?」

ティポ「レイアー!!ぼくのことわすちゃったのー??」

レイア「あはは、不思議……ぬいぐるみがしゃべってる……」

アグリア「歩けなくなって、記憶まで……」

ミラ「レイア……私のことも覚えていないのか?」

レイア「ごめんなさい……」

ジュード「……」

レイア「あの……わたしのせいで悲しませてしまったんですよね?……すいません」

ジュード「レイア……」

レイア「私はこの通り元気ですから、心配しないでください」

ミラ「……」

95: 2011/09/23(金) 14:53:29.97 ID:xi2VWm+D0
レイア「……」

ジュード「レイア、何か食べる?」

レイア「ジュードさん、ありがとうございます」

ミラ「レイア……」

レイア「なんでしょうか?」

ミラ「いや……なんでもない」

アグリア「なあ、もう一度同じショックを与えてみよーぜ」

ティポ「それで治るかも!!」

ジュード「ダメだよ。もっと悪化するかもしれないから」

エリーゼ「……」

レイア「すいません……私が記憶をなくしちゃったから……」

ミラ「いや……レイアの所為では……」

レイア「私の記憶、どこかに落ちてないですかね?えへへ、なーんて」

ジュード「レイア……」

アグリア「ちっ……」

97: 2011/09/23(金) 14:57:18.11 ID:xi2VWm+D0
―――数日後

レイア「医療ジンテクス?」

ミラ「うむ。それさえあれば歩けるようになる」

レイア「……ごめんなさい。なんだか、それは嫌です」

ミラ「そうか」

レイア「すいません」

ミラ「気にするな。―――ではな」

レイア「あ、待って」

ミラ「ん?」

レイア「今日はいい天気ですし、一緒に御散歩しませんか?」

ミラ「うむ。そうだな。そうしようか」

レイア「はい」

ミラ「どこに行きたい?」

レイア「ミラさんにお任せします」

ミラ「分かった」

98: 2011/09/23(金) 15:02:04.80 ID:xi2VWm+D0
レイア「うーん……きもちいい……」

ミラ「……」

レイア「ミラさん?」

ミラ「レイア……すまない」

レイア「え?どうしたんですか?」

ミラ「レイアがそうなったのは……私の所為だ」

レイア「……」

ミラ「反省している」

レイア「ジュードさんから聞きました……」

ミラ「医療ジンテクスのこともか?」

レイア「はい……でも、それはミラさんが私のためを想ってしてくれたんですよね?」

ミラ「勿論だ」

レイア「なら……大丈夫です。私、ミラさんを嫌いになんてなれません」

ミラ「レイア……」

レイア「私の為にそんなに悲しい顔をしてくれる人を憎めるでしょうか?私は、憎めません」

100: 2011/09/23(金) 15:05:46.05 ID:xi2VWm+D0
ミラ「……そうか」

レイア「はい」

アグリア「おーい、レイアー」

レイア「あ、アグリア」

アグリア「ここに居たのかよ。探しただろ?」

レイア「ごめんね?もう診察の時間だっけ?」

アグリア「ったく、てめえーが抜けたせいであたしが看護師やってんだから、ちょっとは患者らしく病室にいろ」

レイア「うん」

ミラ「アグリア、レイアを頼む」

アグリア「……お前、いつ出ていくんだよ?」

ミラ「……!?」

レイア「アグリア!」

アグリア「お前の所為で……レイアが……!!」

ミラ「……」

レイア「アグリア!もういいから!!」

101: 2011/09/23(金) 15:10:16.94 ID:xi2VWm+D0
アグリア「―――いくぞ、レイア」

レイア「う、うん。あ、ミラさんまたね?」

ミラ「ああ……」

ミラ「……そうだな……いつまでここにいるつもりなのだ、私は……」

エリーゼ「ミラ?」

ティポ「どうしたのー?」

ミラ「いや……なんでもない」

エリーゼ「戻りましょう?」

ミラ「そうだな……」

ティポ「ミラ君元気ないねー?」

ミラ「少し感傷的になってしまっただけだ」

エリーゼ「ミラ……」

ミラ「レイアの記憶が戻るまでなど……待っていられない」

ミラ「私には使命があるのだから……」

102: 2011/09/23(金) 15:14:56.26 ID:xi2VWm+D0
―――翌日

ジュード「レイア、じゃあ体温を測るね?」

レイア「うん」

ジュード「はい、これを脇に挟んで」

レイア「うん」

ジュード「どう?何か思い出せた?」

レイア「ごめんなさい。まだなにも」

ジュード「そっか」

レイア「……私たちは幼馴染だったんですよね?」

ジュード「そうだよ」

レイア「聞かせてください。昔の私のこと……なにか思い出せるかもしれませんから」

ジュード「じゃあ、僕がレイアにボコボコにされた話から……」


ミラ(どうやら大丈夫そうだな……ジュード、レイアを頼む)

アグリア「―――待てよ」

ミラ「アグリア?」

105: 2011/09/23(金) 15:18:40.10 ID:xi2VWm+D0
ミラ「どうした?」

アグリア「行くのか?」

ミラ「ああ」

アグリア「レイアはどうするんだ?」

ミラ「ジュードに任せておけば問題なかろう」

アグリア「―――てめえ!!」

ミラ「うっ!……なんのつもりだ?放せ」

アグリア「無責任だろ」

ミラ「……」

アグリア「このままレイアを放って行く気かよ?」

ミラ「……私には使命がある」

アグリア「……あたしもつれていけ」

ミラ「なに?」

アグリア「記憶を戻す方法を探すんだよ!!」

ミラ「アグリア……」

107: 2011/09/23(金) 15:23:42.14 ID:xi2VWm+D0
ミラ「そこまでレイアに肩入れする理由はなんだ?」

アグリア「どうでもいいだろ」

ミラ「ふふ……レイアの本質に触れて惚れたのか?」

アグリア「うっせーブス」

ミラ「分かった。一緒に行こう。私もお前のように可愛くて強い者が一緒だと色んな意味で安心できる」

アグリア「目がこえーよ」

ミラ「では、早速―――」

エリーゼ「ミラー!」

ティポ「ぼくたちをおいていくきかー!?」

ミラ「エリーゼ、ティポ……」

アグリア「ガキのおつかいじゃねーんだぞ?」

エリーゼ「わ、わかってます!」

ミラ「いいじゃないか。よし、行こう」

ティポ「やっほー!!」

アグリア「……ったく」

109: 2011/09/23(金) 15:28:31.01 ID:xi2VWm+D0
レイア「ジュードさん」

ジュード「ん?」

レイア「ジュードさんは私のお世話ばかりしてくれますけど、その嫌じゃないんですか?」

ジュード「ううん。全然」

レイア「本当ですか?」

ジュード「本当だよ。それに……」

レイア「それに?」

ジュード「今のレイアはその……落ち着いてるし……お淑やかだし……」

レイア「?」

ジュード「……その……」

レイア「ふふ、なんですか?」

ジュード「……っ」

レイア「ジュード、さん?」

ジュード「レイア……このまま僕に一生お世話されてみない?」

レイア「え……?」

112: 2011/09/23(金) 15:36:23.79 ID:xi2VWm+D0
―――数週間後 カン・バルク

プレザ「アグリア!?今までどこにいたの!?」

アグリア「……」

ミラ「すまない。事情があったのだ」

プレザ「だからって……」

ミラ「それよりもお前ならなんとかなると聞いたんだ」

プレザ「なんのこと?」

ミラ「喪失してしまった記憶を取り戻す術を持っていると、アグリアが」

プレザ「……まあ、記憶を司る場所は霊力野にも密接に関係しているからね」

ミラ「ならば、頼みたいことがあるんだ」

エリーゼ「レイアを元にもどしてください!」

ティポ「おねがいだよー!!」

アグリア「ババア、頼む」

プレザ「アグリアが頭を下げるなんて……分かったわ。とりあえず診てはあげる」

ミラ「ありがとう」

113: 2011/09/23(金) 15:41:22.36 ID:xi2VWm+D0
ジュード「レイア、平気?」

レイア「はい」

ジュード「ゆっくりでいいから立ってみようか」

レイア「はい……あ」

ジュード「おっと……」

レイア「す、すいません……///」

ジュード「気にしないで。ほら、ゆっくり……ゆっくり……」

レイア「んしょ……」

ジュード「その調子だよ」

レイア「は、い……」

ジュード「―――うん、この辺にしとこうか」

レイア「ありがとうございます……」

ジュード「ところで、レイア。あの話、考えてくれたかな?」

レイア「……でも、私じゃジュードさんには釣り合わないと思うんです。優しくて頭もいいジュードさんならもっといい人が……」

ジュード「レイア……」

114: 2011/09/23(金) 15:48:30.39 ID:xi2VWm+D0
レイア「ほら、エリーゼちゃんとかのほうがきっと美人になると思いますよ?」

ジュード「……」

レイア「こんなハンデを負った私じゃあ、ジュードさんを一生苦しめる……そんなの嫌なんです」

ジュード「レイア、本気で言ってるの?」

レイア「だって、そうじゃないですか。私はもう歩けない。一人でトイレにだっていけません」

ジュード「……」

レイア「こんな私じゃ……ジュードさんに愛してもらう資格なんてないんです」

ジュード「違うよ」

レイア「違わないです」

ジュード「そんな資格とか、ない」

レイア「記憶もない……歩けない……私はもう、終わってるのと一緒なんですよ……ジュードさんの知っているレイアは氏んだんです」

ジュード「なにが……何が終わったっていうんだ!!レイアが決めることじゃない!!!」

レイア「ジュードさん……?」

ジュード「僕はもう決めた。この先、どんなことがあってもレイアを守るって、支えるって!!レイアを終わりになんてさせない!!!」

レイア「……うぅ……ジュード……さん……」

117: 2011/09/23(金) 16:01:00.64 ID:xi2VWm+D0
ジュード「レイア……顔を上げて」

レイア「ジュードさん……」

ジュード「もうあの頃みたいに笑えないと思う。無邪気に笑っていられるあの頃にはもう戻れないから」

レイア「……」

ジュード「それでも進み続けないといけないって思うんだ。生きている限りは」

レイア「ジュードさん……私……」

ジュード「これから同じ時間、同じ痛み、同じ喜びを持ち合おう」

レイア「はい……はい……」

ジュード「レイア、僕を信じてほしい。レイアをずっと、守るから」

レイア「はい……」

ジュード「多くを望まない。ただ、一緒の時間を過ごしたいだけなんだ。ずっとレイアの傍で」

レイア「……後悔、しませんか?」

ジュード「するわけないよ」

レイア「約束、ですよ?」

ジュード「うん。レイア、ずっと傍にいてほしい」

119: 2011/09/23(金) 16:05:28.46 ID:xi2VWm+D0
―――数週間後 ル・ロンド

ミラ「ふう、ここも久しぶりだな」

プレザ「で、どこにいるの?」

ミラ「恐らくまだ治療院で……ん?なんだこの豪奢な看板は?」

エリーゼ「なんでしょうか?―――ジュード・マティス、レイア・ロランド披露宴会場はこちら?」

アグリア「どういうことだ?」

ミラ「披露宴……?」

プレザ「結婚式ってことじゃないの?」

ミラ「なんだと……?」

アグリア「とりあえず行ってみようぜ」

エリーゼ「は、はい」

ティポ「うわー、二人が結婚とかゆるせねー!絶対に邪魔してやるー!!」

ミラ「邪魔しちゃだめだ。だが、何があったというんだ?」

プレザ「まあ、若気の至りってやつじゃないかしら?」

120: 2011/09/23(金) 16:09:15.05 ID:xi2VWm+D0
ジュード「みなさん、ありがとう!」

レイア「私たちは幸せになります!」

ソニア「ジュードとなんて……玉の輿じゃない。よかったわね、レイア?」

レイア「……はい」

ソニア「いいのよ。アナタは私のことを母親だとは思えないかもしれないけど、それでも……」

レイア「はい……ありがとう、お母さん」

ジュード「レイア、じゃあブーケを」

レイア「はい……。えい!」

プレザ「―――は!!!!」

パシッ

ジュード「!?」

レイア「誰ですか!?」

プレザ「いけない……反応しちゃった」

ミラ「ジュード、レイア!!」

ジュード「ミラ!?」

122: 2011/09/23(金) 16:12:25.43 ID:xi2VWm+D0
レイア「みなさん……」

アグリア「なんだ、結婚しちまったのかよ」

エリーゼ「おめでとうございます」

ジュード「うん。色々あったけどね」

ミラ「ジュード、ならば結婚祝いにいいものをくれてやろう。プレザ、頼む」

プレザ「はいはい」

ジュード「え?何をするの?」

プレザ「今から彼女の記憶を甦らせるわ」

ジュード「え……?」

レイア「で、できるんですか?」

プレザ「まあ、絶対じゃないけどね」

レイア「お願いします!」

プレザ「任せて」

アグリア「よし、これで……」

ジュード「―――やめてええ!!!」

123: 2011/09/23(金) 16:16:07.43 ID:xi2VWm+D0
エリーゼ「え?」

ティポ「なんでだよー!?」

レイア「ジュード、さん?」

ジュード「もうこのままでいいじゃないか……思い出す必要なんてないよ」

レイア「で、でも……」

ミラ「ジュード?」

ジュード「……僕は今のレイアが好きなんだ」

レイア「!?」

ジュード「清楚でお淑やかで物腰も柔らかい、今のレイアが……」

プレザ「なるほど。記憶が戻れば以前の彼女に戻るかもしれない。それが嫌なのね?」

ジュード「うん……」

レイア「……ジュードさん……」

エリーゼ「これって怒るところでしょうか?」

ティポ「納得するところかなー?」

ミラ「ジュード、昔の記憶を持たないレイアでいいのか?」

124: 2011/09/23(金) 16:20:18.24 ID:xi2VWm+D0
ジュード「僕は今が幸せだから」

レイア「……ジュードさん……私は記憶を取り戻したいです」

ジュード「レイア?!」

レイア「だって、お母さんのことやお父さんのことを思い出せないのはやっぱりつらいですから」

ジュード「そ、そんな……」

プレザ「じゃあ、いいのね?」

レイア「はい」

ジュード「レイア!やめてよ!!お願いだ!!」

レイア「大丈夫。ジュードさんはきっとまた私を愛してくれます」

ジュード「レイア!!」

プレザ「じゃあ、行くわよ……はぁぁ……」

レイア「うっ……」

ジュード「レイア!!レイア!!!」

ミラ「ジュード、落ち着け!!」

ジュード「だって、元に戻っちゃうよ!!レイアがレイアになっちゃう!!―――うわぁぁぁぁ!!!!」

125: 2011/09/23(金) 16:23:45.23 ID:xi2VWm+D0
―――翌日

レイア「ジュード!朝だよー!!おっきろー!!」

ジュード「……」

レイア「ほらほら、さっさと顔洗わなきゃ!」

ジュード「……」

レイア「朝ごはん、できてるよ!」

ジュード「……るさい」

レイア「え?」

ジュード「なんでもないよ」

レイア「そう?」


ミラ「ふむ、レイアはもう復調したか」

アグリア「みたいだな」

エリーゼ「よかったですね」

ティポ「でも、なんでジュード君は僕たちも一緒に住まわせてくれたんだろうね?」

ミラ「彼はお節介だからな。好意には甘えておこう」

127: 2011/09/23(金) 16:28:09.90 ID:xi2VWm+D0
―――数週間後

レイア「ジュード、朝だー!!おっきろー!!」

ジュード「……」

エリーゼ「すやすや……」

レイア「え……?あはは、な、なんで、エリーゼと一緒にねてる、の……?添い寝?」

ジュード「こっちにはアグリアもいるよ」

アグリア「あ?……あさか?」

レイア「……」

ジュード「やっぱり、ダメだよ。レイア」

レイア「え?」

ジュード「朝からそんなうるさくされたらたまったもんじゃないよ」

レイア「ジュード……嘘、だよね?」

ジュード「……もう、終わりだよ僕たち」

レイア「ジュード?いや、だよ……私……!!」

ジュード「別れよう。僕はやっぱりエリーゼとアグリアがいい」

128: 2011/09/23(金) 16:32:04.41 ID:xi2VWm+D0
ミラ「ふわぁぁ……今日の新聞は……」

レイア「……」

ミラ「レイア?どうした?」

レイア「……」

ミラ「レイア?」

レイア「……ミラ、私ってうるさいのかな?」

ミラ「何の話だ?」

レイア「わからないよ……ミラ……」

ミラ「レイア……何かあったのか?」

レイア「別れようって言われちゃった……」

ミラ「そうか……レイア、元気を出せ」

レイア「でも……私、歩けないし……あ、そうだ!!ミラ!!」

ミラ「なんだ?」

レイア「医療ジンテクスで記憶を無くせば、またジュードは振り向いてくれるよね!?ね!?」

ミラ「レイア……」

131: 2011/09/23(金) 16:35:26.24 ID:xi2VWm+D0
ミラ「―――本当にやるんだな?」

レイア「お願い」

ミラ「よし……つけるぞ」

レイア「ん!?」

レイア「―――あぎゃぁああああああああああ!!!!!!!!」

ミラ「……レイア」

レイア「あぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!」

ミラ「耐えろ……レイア」

レイア「うわぁああああああああいぎぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!!!」

ミラ「くっ……」

レイア「おぐぁぁぁぁあああああああ!!!!!」

ミラ「レイア……」

ミラ「こんなにも健気な子を捨てるとは、ジュードも罪な男だ」

ミラ「……というか、ジュードはレイアに見切りをつけたわけだな?」

ミラ「ふむ」

138: 2011/09/23(金) 16:44:37.55 ID:xi2VWm+D0
―――翌日

レイア「……」

ミラ「レイア?」

レイア「……(ニコッ」

ミラ「お腹は減っていないか?」

レイア「……(コクッ」

ミラ「そうか……」

レイア「……」

ミラ「安心しろ……これからは私が守ってやるからな」

レイア「……(コクッ」

アグリア「……今度はショックで喋れなくなったのか……なにやってんだよ……」

エリーゼ「レイア……」

ジュード「でも、レイアはもう立てるようにようになったし、ミラがついてるし、いいんじゃないかな?」

アグリア「でもよ……」

ジュード「さあ、アグリア、エリーゼ。昨日の続きをしようか……ふふ」

141: 2011/09/23(金) 16:55:54.63 ID:xi2VWm+D0
ミラ「……あ、そうだ。洗い物が済んでいなかったな。やるか」

レイア「……(トテトテ」

ミラ「ん?どうした、レイア?ついてきても仕方ないぞ?」

レイア「……(ギュ」

ミラ「おいおい、服を摘まむな。歩きづらいよ」

レイア「……(ふるふる」

ミラ「なんだ、ずっと傍に居たいのか?」

レイア「……(コクッ」

ミラ「……かわいい……」

レイア「……あー……うー……」

ミラ「ん?どうした?言いたいことがあるなら紙に書いてみろ」

レイア『捨てないで』

ミラ「……レイア……襲ってもいいか?」

レイア「………………(コクッ」

ミラ「―――レイアァァァ!!!愛しているぞぉぉぉ!!!!!」
                                         HAPPY END

149: 2011/09/23(金) 17:06:26.27 ID:z3OkFOD+0
乙かレイア

引用元: ミラ「なんか可愛い子がついてくるのだが……襲ってもいいのか?」