1: 2014/08/23(土) 21:03:22.17 ID:vWnxqZ2F.net
夏休み怖い話最終回
2: 2014/08/23(土) 21:04:01.02 ID:vWnxqZ2F.net
にこ「きたわねぇ~海! やっぱり夏はこうじゃないと!」
凛「でもまえに合宿で海にきたよ?」
真姫「あれは別なんだって。相手するのが面倒くさいから、ね?」
凛「わかったにゃ」
にこ「そういう話は私の目の前ですることじゃないわよね……」
花陽「でも絵里ちゃんよく見つけたよね。民宿のバイト、だっけ」
絵里「ええ、たまたま見つけたのよ。いつも真姫に頼りっぱなしもよくないと思って」
真姫「それはいい心がけね。流石に短期間に何度もお願いするのはちょっと、ね」
希「穂乃果ちゃん、実はうち、すっっごく嫌な予感がするんよ」
穂乃果「希ちゃんも? 実は私もなんだ。まえのキャンプのこともあるし……なんか今年の夏はおかしい気がする」
希「うん。でももう決まったことやし、何も起こらないことを祈ろうな」
穂乃果「そうだね。これが終わったらのんびり大人しくすることにしようかな、練習もあるし」
凛「でもまえに合宿で海にきたよ?」
真姫「あれは別なんだって。相手するのが面倒くさいから、ね?」
凛「わかったにゃ」
にこ「そういう話は私の目の前ですることじゃないわよね……」
花陽「でも絵里ちゃんよく見つけたよね。民宿のバイト、だっけ」
絵里「ええ、たまたま見つけたのよ。いつも真姫に頼りっぱなしもよくないと思って」
真姫「それはいい心がけね。流石に短期間に何度もお願いするのはちょっと、ね」
希「穂乃果ちゃん、実はうち、すっっごく嫌な予感がするんよ」
穂乃果「希ちゃんも? 実は私もなんだ。まえのキャンプのこともあるし……なんか今年の夏はおかしい気がする」
希「うん。でももう決まったことやし、何も起こらないことを祈ろうな」
穂乃果「そうだね。これが終わったらのんびり大人しくすることにしようかな、練習もあるし」
3: 2014/08/23(土) 21:04:40.86 ID:vWnxqZ2F.net
時間は三日前に遡る
図書館
絵里「ねえ、希。これ見つけたんだけど」
希「なんや? チラシ? 海……民宿、バイト……バイトのチラシ?」
にこ「…………」ピク!
絵里「そうなの。海の民宿のバイトで、あいた時間で海で遊べるそうなの」
希「へぇ~。そうなん?」
絵里「宿もゴハンも民宿で出してくれるそうだから、凄くお得じゃない?」
絵里「それでね? 私達も今回が高校最後の夏じゃない。やっぱり遊びに行かないのはもったいないと思うの」
希「ほほう。エリちも言うようになったなぁ」
にこ「…………」ピクピク!
絵里「な、なあに。いやらしい言い方しないでよ」
希「ちょっと前まで触れたものみな傷つける生徒会長絵里やったのになぁ? 人は変わるもんなんやな。いや、これが素?」
絵里「の、のぞみぃ……」
図書館
絵里「ねえ、希。これ見つけたんだけど」
希「なんや? チラシ? 海……民宿、バイト……バイトのチラシ?」
にこ「…………」ピク!
絵里「そうなの。海の民宿のバイトで、あいた時間で海で遊べるそうなの」
希「へぇ~。そうなん?」
絵里「宿もゴハンも民宿で出してくれるそうだから、凄くお得じゃない?」
絵里「それでね? 私達も今回が高校最後の夏じゃない。やっぱり遊びに行かないのはもったいないと思うの」
希「ほほう。エリちも言うようになったなぁ」
にこ「…………」ピクピク!
絵里「な、なあに。いやらしい言い方しないでよ」
希「ちょっと前まで触れたものみな傷つける生徒会長絵里やったのになぁ? 人は変わるもんなんやな。いや、これが素?」
絵里「の、のぞみぃ……」
5: 2014/08/23(土) 21:06:59.09 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「それで、どうなの? 希は賛成してくれる?」
希「そうやなぁ。ええと思うんよでも……」
希(山であんなことがあったばっかりなのに、もう忘れてるんかな、エリちは。それとも記憶してない?)
希(大の怖がりやからなぁ……。一応年下が居る手前、大分頑張ってたようやけど……限界やったんやろか)
絵里「明日さっそくみんなに相談してみるわ」
希「う、うん。それがええと思うよ」
にこ(海、かぁ~……)ニヘ…
絵里「その為にはにこの課題を終わらせないとね。ほら、手を止めない!」
希「ここ、間違っとるよ」
にこ「んあっ!?」
希「そうやなぁ。ええと思うんよでも……」
希(山であんなことがあったばっかりなのに、もう忘れてるんかな、エリちは。それとも記憶してない?)
希(大の怖がりやからなぁ……。一応年下が居る手前、大分頑張ってたようやけど……限界やったんやろか)
絵里「明日さっそくみんなに相談してみるわ」
希「う、うん。それがええと思うよ」
にこ(海、かぁ~……)ニヘ…
絵里「その為にはにこの課題を終わらせないとね。ほら、手を止めない!」
希「ここ、間違っとるよ」
にこ「んあっ!?」
8: 2014/08/23(土) 21:08:06.38 ID:vWnxqZ2F.net
人は喉元すぎればなんとやらで、山で散々な目にあったというのに、懲りずに海へ行くという
ほとんどの者は反対しなかった
いや、なにか言いたげな一部の人は、賛成派の人たちの笑顔を見て水を指すのをはばかり、意見することが出来なかったのだ
こうして、学習しない怖いもの知らずの少女たちの海行きは決定したのである
そして、一部の者の予感は見事に的中するのだった
ほとんどの者は反対しなかった
いや、なにか言いたげな一部の人は、賛成派の人たちの笑顔を見て水を指すのをはばかり、意見することが出来なかったのだ
こうして、学習しない怖いもの知らずの少女たちの海行きは決定したのである
そして、一部の者の予感は見事に的中するのだった
9: 2014/08/23(土) 21:09:19.69 ID:vWnxqZ2F.net
民宿 さざなみ
女将「いやぁ、ありがとねぇ。さすがにこの時期人の出入りが激しくて」
絵里「いえ、それで私達はなにをすればいいのですか?」
女将「募集チラシにも書いたのだけれど、私達、海にお店を出しているんですの」
希「海の家のことですか?」
女将「そうなの。それで毎年この時期バイトの子を雇うんだけど、その子たちに海の家を任せているのよ」
凛(海の家!)
にこ(海! が近い!)
穂乃果(売り子さんかぁ……これはことりちゃんに期待だね!)
絵里「それを私達が?」
女将「お願いねぇ? うまくやりくりすれば、海で遊んでもいいから、ね?」
海未「異論はありません。ですね?」
「ありませーん」
絵里「それでは四日間よろしくお願いします」
「おねがいしまーす!」
女将「いやぁ、ありがとねぇ。さすがにこの時期人の出入りが激しくて」
絵里「いえ、それで私達はなにをすればいいのですか?」
女将「募集チラシにも書いたのだけれど、私達、海にお店を出しているんですの」
希「海の家のことですか?」
女将「そうなの。それで毎年この時期バイトの子を雇うんだけど、その子たちに海の家を任せているのよ」
凛(海の家!)
にこ(海! が近い!)
穂乃果(売り子さんかぁ……これはことりちゃんに期待だね!)
絵里「それを私達が?」
女将「お願いねぇ? うまくやりくりすれば、海で遊んでもいいから、ね?」
海未「異論はありません。ですね?」
「ありませーん」
絵里「それでは四日間よろしくお願いします」
「おねがいしまーす!」
10: 2014/08/23(土) 21:10:38.94 ID:vWnxqZ2F.net
一日目 昼前
絵里「それじゃあ、前半組と後半組に分けるわよ」
にこ「九人だけど、どうわけるの?」
希「そりゃあ四人と五人?」
真姫「四人、四人、にこちゃん一人でっていうのは」
にこ「なんでよっ」
希「それ、ええな!」
にこ「希も乗るな!!」
凛「ちょっと面倒だけど、シンプルにじゃんけんがいいと思うな」
穂乃果「そうだね、公平に決められるし」
ことり「負けた人がどっち?」
海未「時間配分的にどっちも変わらないと思いますけど」
花陽「お昼の時間が一番人が来ると思うよ」
凛「じゃあ前半かな?」
絵里「それじゃあ、前半組と後半組に分けるわよ」
にこ「九人だけど、どうわけるの?」
希「そりゃあ四人と五人?」
真姫「四人、四人、にこちゃん一人でっていうのは」
にこ「なんでよっ」
希「それ、ええな!」
にこ「希も乗るな!!」
凛「ちょっと面倒だけど、シンプルにじゃんけんがいいと思うな」
穂乃果「そうだね、公平に決められるし」
ことり「負けた人がどっち?」
海未「時間配分的にどっちも変わらないと思いますけど」
花陽「お昼の時間が一番人が来ると思うよ」
凛「じゃあ前半かな?」
12: 2014/08/23(土) 21:11:59.46 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「まあいいわ。いくわよ! じゃーんけーん……」
希「いやぁ~にこっちとことりちゃんといっしょやのは心強いわぁ」
にこ「私は……どうしてこういうときの運が弱いの?」
ことり「なんか燃えてきた!」
花陽「おにぎりはないのかぁ……」
海未「にこ、そんなに落ち込まないで下さい」
にこ「落ち込みたくもなるわよ……」
従業員「あなた達がアルバイト? 短い間だけどよろしくね!」ブルンバルン!
希「いやぁ~にこっちとことりちゃんといっしょやのは心強いわぁ」
にこ「私は……どうしてこういうときの運が弱いの?」
ことり「なんか燃えてきた!」
花陽「おにぎりはないのかぁ……」
海未「にこ、そんなに落ち込まないで下さい」
にこ「落ち込みたくもなるわよ……」
従業員「あなた達がアルバイト? 短い間だけどよろしくね!」ブルンバルン!
13: 2014/08/23(土) 21:13:03.62 ID:vWnxqZ2F.net
にこ(きょにゅわぁぁぁぁぁ――――ッ!!)
海未(で、でっっかい。二つの意味で。……スイカですか!?)
希(すっごく綺麗に焼けてるなぁ。健康美人?)
花陽(はぁ~、かっこいい~)
ことり(あ、日焼け止め塗らなくちゃ)
従業員「今年はずいぶん可愛らしい娘たちだね。んん……? どこかで見たような……」
海未(しゃべるたんびにプルプルしておる……)
にこ(こいつは……)
にこ(ハッ!? そういえば海未以外全員大っきいのばっかりだ!)
海未(にこ、もう考えないほうがいいかもしれません……私達の心の平穏の為に)
にこ(心のなかにナチュラルに入ってこないで)
海未(で、でっっかい。二つの意味で。……スイカですか!?)
希(すっごく綺麗に焼けてるなぁ。健康美人?)
花陽(はぁ~、かっこいい~)
ことり(あ、日焼け止め塗らなくちゃ)
従業員「今年はずいぶん可愛らしい娘たちだね。んん……? どこかで見たような……」
海未(しゃべるたんびにプルプルしておる……)
にこ(こいつは……)
にこ(ハッ!? そういえば海未以外全員大っきいのばっかりだ!)
海未(にこ、もう考えないほうがいいかもしれません……私達の心の平穏の為に)
にこ(心のなかにナチュラルに入ってこないで)
14: 2014/08/23(土) 21:14:17.20 ID:vWnxqZ2F.net
従業員「あ!! スクールアイドルμ'sの……! 矢澤にこちゃんでしょ!」
にこ「…………はっ! え、なに?え、え?」
従業員「わぁ~! 間近で見るとさらに可愛らしいぃ~! ねえ、宿に戻ったらサインもらってもいい!?」
にこ「あ、え、う、はい!」デレ
従業員「ありがと! 俄然やる気が出てきたわ! μ'sのみんなと一緒に働けるなんて……!」
海未「まさかこんな所でファンの方にあうなんて、思っても見ませんでした」
希「それだけ知名度が上がったってことなんよ。あとラブライブもすごく注目されてるし」
花陽「な、な、な、なんか緊張してきました……!」
ことり「大丈夫だよ、花陽ちゃん。ステージの上に立ってると思えば頑張れるよ」
花陽「う、うん……」
海未「しかしにこの陥落が早かったですね。ついさっきまで凄い目で凝視していたというのに」
希「にこっちの夢の欠片が叶ったんや、そこはなんも言わんとこう、ね?」
ことり「そうだね。ずっと頑張ってきたんだもん」
花陽「良かったね、にこちゃん……」
にこ「…………はっ! え、なに?え、え?」
従業員「わぁ~! 間近で見るとさらに可愛らしいぃ~! ねえ、宿に戻ったらサインもらってもいい!?」
にこ「あ、え、う、はい!」デレ
従業員「ありがと! 俄然やる気が出てきたわ! μ'sのみんなと一緒に働けるなんて……!」
海未「まさかこんな所でファンの方にあうなんて、思っても見ませんでした」
希「それだけ知名度が上がったってことなんよ。あとラブライブもすごく注目されてるし」
花陽「な、な、な、なんか緊張してきました……!」
ことり「大丈夫だよ、花陽ちゃん。ステージの上に立ってると思えば頑張れるよ」
花陽「う、うん……」
海未「しかしにこの陥落が早かったですね。ついさっきまで凄い目で凝視していたというのに」
希「にこっちの夢の欠片が叶ったんや、そこはなんも言わんとこう、ね?」
ことり「そうだね。ずっと頑張ってきたんだもん」
花陽「良かったね、にこちゃん……」
15: 2014/08/23(土) 21:15:41.28 ID:vWnxqZ2F.net
海!
絵里「あ~! このカンカン照りの日差し……! 夏を感じる!」
穂乃果「凛ちゃんビーチボールふくらませて! 私はイルカさんふくらませるから!」
凛「まっかせて! フゥゥ――――!」
真姫「はしゃぐのはいいけど、スクールアイドルなんだから日焼け止めくらい塗りなさいよ」
穂乃果「あ、それもそうだね。よーし、希ちゃんの代わりに私が日焼け止め塗ってあげよう」
真姫「な、なんでそこで希が出てくるのよ……ていうかにじり寄らないで」
穂乃果「うっひっひっひ……さあ真姫ちゃんそこにうつ伏せになって~」ワキワキ
凛「穂乃果ちゃん手が卑猥にゃ」
真姫「なんなのその手つき……イヤァ~~!」
穂乃果「まてーー!」
絵里「海に入る前にちゃんと準備運動するのよー」
絵里「あ~! このカンカン照りの日差し……! 夏を感じる!」
穂乃果「凛ちゃんビーチボールふくらませて! 私はイルカさんふくらませるから!」
凛「まっかせて! フゥゥ――――!」
真姫「はしゃぐのはいいけど、スクールアイドルなんだから日焼け止めくらい塗りなさいよ」
穂乃果「あ、それもそうだね。よーし、希ちゃんの代わりに私が日焼け止め塗ってあげよう」
真姫「な、なんでそこで希が出てくるのよ……ていうかにじり寄らないで」
穂乃果「うっひっひっひ……さあ真姫ちゃんそこにうつ伏せになって~」ワキワキ
凛「穂乃果ちゃん手が卑猥にゃ」
真姫「なんなのその手つき……イヤァ~~!」
穂乃果「まてーー!」
絵里「海に入る前にちゃんと準備運動するのよー」
16: 2014/08/23(土) 21:16:09.77 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「きゃぁー! つめたーい! ほら、真姫もおいでよ!」
真姫「う、うん……」ドヨン
穂乃果「まってー! 今行くー!」ツヤツヤ
凛「かよちん。凛は先に大人の階段を登ってしまった、にゃ……」ドキドキ
真姫「う、うん……」ドヨン
穂乃果「まってー! 今行くー!」ツヤツヤ
凛「かよちん。凛は先に大人の階段を登ってしまった、にゃ……」ドキドキ
19: 2014/08/23(土) 21:20:34.10 ID:vWnxqZ2F.net
ことり「焼きそばとかき氷お待ちどうさまです♪」
花陽「醤油ラーメンお持ちしました!」
希「かき氷特別ビール掛けです♪」
海未「生ビール大お持ちしました」
にこ「なんでにこは厨房係なのよぉ!」
従業員「にこちゃん料理得意だって(希ちゃんから)聞いたから……嫌だった?」
にこ「い、嫌じゃないけど……なんか華がないっていうか……」
従業員「まあまあ、縁の下の力持ちって言うじゃない」
にこ「それ、にこの嫌いな言葉だわ」
従業員「アイドルって、表に出る部分だけ磨いてもダメだと思うの。むしろ、表に出ないところが本当に磨くべきところだと思う」
従業員「にこちゃんはどう思う?」
にこ「そりゃあ……そう思うわ」
従業員「それにね、男っていうのは厨房に立つ女の子の後ろ姿に弱いものなのよ。知ってた?」
にこ「――!?」
従業員(衝撃うけてるかわいい)
花陽「醤油ラーメンお持ちしました!」
希「かき氷特別ビール掛けです♪」
海未「生ビール大お持ちしました」
にこ「なんでにこは厨房係なのよぉ!」
従業員「にこちゃん料理得意だって(希ちゃんから)聞いたから……嫌だった?」
にこ「い、嫌じゃないけど……なんか華がないっていうか……」
従業員「まあまあ、縁の下の力持ちって言うじゃない」
にこ「それ、にこの嫌いな言葉だわ」
従業員「アイドルって、表に出る部分だけ磨いてもダメだと思うの。むしろ、表に出ないところが本当に磨くべきところだと思う」
従業員「にこちゃんはどう思う?」
にこ「そりゃあ……そう思うわ」
従業員「それにね、男っていうのは厨房に立つ女の子の後ろ姿に弱いものなのよ。知ってた?」
にこ「――!?」
従業員(衝撃うけてるかわいい)
20: 2014/08/23(土) 21:21:24.21 ID:vWnxqZ2F.net
従業員「そういう経験がいつか役に立つのよ。魅力アップするかも?」
にこ「し、し、しょうがないわねぇー!」
従業員(頑張ってちょこちょこ動いてるかわいい)
「なあ、なんか今年の海の家可愛い子多くない?」
「ああ、やべーよな。レベル高すぎじゃね?」
「厨房に立ってるの娘もなんか……こう、そそるものがある、よな?」
(口リコンかな?)
従業員「ね?」
にこ「――――うん」
希(見なくても分かる。微妙な表情をしているにこっちやんっ!)
にこ「し、し、しょうがないわねぇー!」
従業員(頑張ってちょこちょこ動いてるかわいい)
「なあ、なんか今年の海の家可愛い子多くない?」
「ああ、やべーよな。レベル高すぎじゃね?」
「厨房に立ってるの娘もなんか……こう、そそるものがある、よな?」
(口リコンかな?)
従業員「ね?」
にこ「――――うん」
希(見なくても分かる。微妙な表情をしているにこっちやんっ!)
21: 2014/08/23(土) 21:23:43.96 ID:vWnxqZ2F.net
.
穂乃果「はぁ~~、遊んだ遊んだ!」
凛(かよちん……)ドキドキ
真姫「はぁ……」グッタリ
絵里「お待たせー。どうだった?」
ことり「はぁ、はぁ、はぁ……」
希「どうもこうも……」
海未「ないです……」
花陽「暑い……疲れた……」
にこ「ていうか絵里以外の様子がおかしいんだけど、何かあったの?」
絵里「真姫が穂乃果に遊ばれ、いや、弄ばれたのよ」
にこ「なにしてんの? いや、本当になにしてんの?」
絵里「私の口からは何も言えないわ……。まあ、ということで後半戦は任せて!」
穂乃果「はぁ~~、遊んだ遊んだ!」
凛(かよちん……)ドキドキ
真姫「はぁ……」グッタリ
絵里「お待たせー。どうだった?」
ことり「はぁ、はぁ、はぁ……」
希「どうもこうも……」
海未「ないです……」
花陽「暑い……疲れた……」
にこ「ていうか絵里以外の様子がおかしいんだけど、何かあったの?」
絵里「真姫が穂乃果に遊ばれ、いや、弄ばれたのよ」
にこ「なにしてんの? いや、本当になにしてんの?」
絵里「私の口からは何も言えないわ……。まあ、ということで後半戦は任せて!」
22: 2014/08/23(土) 21:24:17.70 ID:vWnxqZ2F.net
従業員「後半組もよろしく!」
「よろしくおねがいしまーす」
従業員「お、元気がいいね! 一人だけやたらグッタリしてるようだけど」
絵里「あ、ああ、彼女は大丈夫なのでお気になさらず!」
従業員「熱中症や日射病かもしれないから、奥のほうで休むといいよ」
真姫「いえ……大丈夫です、ほんと……」
従業員「そうは見えないけど……」
穂乃果「大丈夫です! 真姫ちゃんの分まで私が頑張りますからっ!」ツヤツヤ
従業員「よっしゃ! フォローは任せたよ、リーダー!」
凛(真姫ちゃん…………)ドキドキ
「よろしくおねがいしまーす」
従業員「お、元気がいいね! 一人だけやたらグッタリしてるようだけど」
絵里「あ、ああ、彼女は大丈夫なのでお気になさらず!」
従業員「熱中症や日射病かもしれないから、奥のほうで休むといいよ」
真姫「いえ……大丈夫です、ほんと……」
従業員「そうは見えないけど……」
穂乃果「大丈夫です! 真姫ちゃんの分まで私が頑張りますからっ!」ツヤツヤ
従業員「よっしゃ! フォローは任せたよ、リーダー!」
凛(真姫ちゃん…………)ドキドキ
23: 2014/08/23(土) 21:27:13.44 ID:vWnxqZ2F.net
従業員「こっからの時間は一気に人が減るから、のんびりしててもらって構わないよ」
絵里「そうみたいですね。そろそろビーチの人もまばらになって来てますし」
穂乃果「焼きそばとか作りたかったなー」
真姫「私はゆっくりできるから別に……」
従業員「ねえねえ、いい機会だからさ、μ'sのこととか聞いてもいい?」
凛「え!? 凛たちのこと知ってるの?」
穂乃果「すごーい! 私たちのことを知っている人に会えるなんて!」
絵里「なんか感慨深いわ」
従業員「スクールアイドルにハマっててね、ヘヘ……」
従業員「いい曲いっぱいあってさ、一発でファンになっちゃったよ」
真姫(……)ピク!
真姫「……」クルクルクルクル…
絵里(すっごい喜んでる。わかりやすくて可愛いわね)
絵里「そうみたいですね。そろそろビーチの人もまばらになって来てますし」
穂乃果「焼きそばとか作りたかったなー」
真姫「私はゆっくりできるから別に……」
従業員「ねえねえ、いい機会だからさ、μ'sのこととか聞いてもいい?」
凛「え!? 凛たちのこと知ってるの?」
穂乃果「すごーい! 私たちのことを知っている人に会えるなんて!」
絵里「なんか感慨深いわ」
従業員「スクールアイドルにハマっててね、ヘヘ……」
従業員「いい曲いっぱいあってさ、一発でファンになっちゃったよ」
真姫(……)ピク!
真姫「……」クルクルクルクル…
絵里(すっごい喜んでる。わかりやすくて可愛いわね)
24: 2014/08/23(土) 21:29:03.16 ID:vWnxqZ2F.net
にこ「せっかく穂乃果がボール貸してくれたんだから、ビーチボールでもやる?」
希「お、にこっちやるきやな」
ことり「五人だから一人余っちゃうね。じゃあ私審判するよ。負けたチームと交代で入るね」
花陽「な、なんか緊張してきちゃった」
にこ「別に緊張する要素どこにもないわよ」
海未「じゃあチーム決めのじゃんけんをしますよ。じゃんけんッ!」
希「お、にこっちやるきやな」
ことり「五人だから一人余っちゃうね。じゃあ私審判するよ。負けたチームと交代で入るね」
花陽「な、なんか緊張してきちゃった」
にこ「別に緊張する要素どこにもないわよ」
海未「じゃあチーム決めのじゃんけんをしますよ。じゃんけんッ!」
25: 2014/08/23(土) 21:29:48.01 ID:vWnxqZ2F.net
にこ、海未チーム
にこ「うん。なんか分かってた」
海未「なんででしょう、作為的なものを感じます」
希、花陽チーム
希「負けられへんよー! いくで花陽ちゃん!」
花陽「ガンバリマス!」
ことり「どっちも頑張ってね」
にこ「うん。なんか分かってた」
海未「なんででしょう、作為的なものを感じます」
希、花陽チーム
希「負けられへんよー! いくで花陽ちゃん!」
花陽「ガンバリマス!」
ことり「どっちも頑張ってね」
27: 2014/08/23(土) 21:31:14.47 ID:vWnxqZ2F.net
希「たぁ!」ブルン!
花陽「とお!」バルン!
にこ「海未うしろ!」
海未「わかってます!」
ことり「ピィィーーーーッ! ゲームセットー」
海未「やった! 勝ちました!」
にこ「自分に打ち勝ったのよ!」
希「まけてもーたなぁ」
花陽「負けちゃった……」
希「じゃあ、じゃんけんで負けたほうが交換しよか?」
花陽「うん」
花陽「とお!」バルン!
にこ「海未うしろ!」
海未「わかってます!」
ことり「ピィィーーーーッ! ゲームセットー」
海未「やった! 勝ちました!」
にこ「自分に打ち勝ったのよ!」
希「まけてもーたなぁ」
花陽「負けちゃった……」
希「じゃあ、じゃんけんで負けたほうが交換しよか?」
花陽「うん」
28: 2014/08/23(土) 21:32:27.63 ID:vWnxqZ2F.net
海未「なんだか視線がすごく集まってきたような気が……」モジ
にこ「この状況だと、注目を浴びてもあんまり喜べないわね……」
花陽「頑張ろうね、ことりちゃん!」ポヨン
ことり「うん! フォローよろしくね」プリン
「ヒュー……すげぇ……」
「夏の奇跡か?」
「白し細いしプルンップルンだし、来てよかったな! マジで!」
「お、俺、声かけてこようかな……」
「あ!? あの空間に男はいらねえんだよ!」
「そうだ! 遠くから眺めるからいいんだろうが!」
「そうだ!」「そうだそうだ!」
――ギャーギャー!
希(なんかいつものライブの空気を感じる)
にこ「この状況だと、注目を浴びてもあんまり喜べないわね……」
花陽「頑張ろうね、ことりちゃん!」ポヨン
ことり「うん! フォローよろしくね」プリン
「ヒュー……すげぇ……」
「夏の奇跡か?」
「白し細いしプルンップルンだし、来てよかったな! マジで!」
「お、俺、声かけてこようかな……」
「あ!? あの空間に男はいらねえんだよ!」
「そうだ! 遠くから眺めるからいいんだろうが!」
「そうだ!」「そうだそうだ!」
――ギャーギャー!
希(なんかいつものライブの空気を感じる)
29: 2014/08/23(土) 21:33:31.10 ID:vWnxqZ2F.net
・
・
・
穂乃果「ハッ!? 海未ちゃんがピンチだ! 助けにいかないと!」
絵里「なにを受信してるの」
真姫「ピンチってなによ」
穂乃果「わかんない。あれ? たしかに今海未ちゃんがピンチだって思ったんだけど……あれ?」
凛「ことりちゃんがいるから大丈夫だと思うな」
絵里「そうね。どんな人でもあの娘の声を聞いたら毒気も牙もなくしちゃうものね」
真姫「喧嘩してる犬を止めたのを見た時は我が目を疑ったわ」
凛「凛はこうもりが次々に木から落ちていくのを見たにゃ」
穂乃果「私が見たのは、水族館でイルカやクジラと意思疎通が出来てたのが一番だったかな」
真姫「意味分かんない。ことりは一体何者なの?」
絵里「ハラショー……」
凛「いいなー、凛もなにか特技があったらなー」
・
・
穂乃果「ハッ!? 海未ちゃんがピンチだ! 助けにいかないと!」
絵里「なにを受信してるの」
真姫「ピンチってなによ」
穂乃果「わかんない。あれ? たしかに今海未ちゃんがピンチだって思ったんだけど……あれ?」
凛「ことりちゃんがいるから大丈夫だと思うな」
絵里「そうね。どんな人でもあの娘の声を聞いたら毒気も牙もなくしちゃうものね」
真姫「喧嘩してる犬を止めたのを見た時は我が目を疑ったわ」
凛「凛はこうもりが次々に木から落ちていくのを見たにゃ」
穂乃果「私が見たのは、水族館でイルカやクジラと意思疎通が出来てたのが一番だったかな」
真姫「意味分かんない。ことりは一体何者なの?」
絵里「ハラショー……」
凛「いいなー、凛もなにか特技があったらなー」
30: 2014/08/23(土) 21:34:54.23 ID:vWnxqZ2F.net
サル怖いからペース下げる
>>26
コトリバコとシシノケやったよ
>>26
コトリバコとシシノケやったよ
31: 2014/08/23(土) 21:39:47.36 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「あら、凛だってアクロバティックな運動神経っていう特技があるじゃない」
真姫(確かにそうだけど、特技かしら)
凛「そ、そうかにゃ」
穂乃果「そうだよ! すっごいと思うよ。だって私にはあんなこと出来ないし」
凛「っ~~~……ニャ」
真姫「照れなくてもいいじゃない。本当のことなんだし」
従業員(ああ、これが癒やしというやつなんだね……)
真姫(確かにそうだけど、特技かしら)
凛「そ、そうかにゃ」
穂乃果「そうだよ! すっごいと思うよ。だって私にはあんなこと出来ないし」
凛「っ~~~……ニャ」
真姫「照れなくてもいいじゃない。本当のことなんだし」
従業員(ああ、これが癒やしというやつなんだね……)
32: 2014/08/23(土) 21:43:22.27 ID:vWnxqZ2F.net
夜 民宿 食事後
穂乃果「はぁぁ~~ん……ごはん美味しかったぁ……」
花陽「本当ですねぇ……」
凛(どんぶりで3杯……凛はかよちんの体が心配にゃ)
海未「でも本当にいいんでしょうか? 食事に寝床と至れりつくせりで。民宿のことを全く手伝っていないのに」
にこ「いいんじゃないの? そういう契約内容なんでしょ?」
絵里「一応もう一度チラシを見たり、女将さんに確認したけど間違いないそうよ」
真姫「海未は心配しすぎよ。ちゃんと私達は海の家で働いていたんだし、文句はないはずよ」
ことり「従業員さんが言ってたんだけど、例年よりお客さんが多かったみたいだよ。私達のおかげだって」
にこ「にこの可愛さは黙ってても溢れてくるからこまっちゃ―う」
希「にこっちは全くブレないなぁ」
穂乃果「はぁぁ~~ん……ごはん美味しかったぁ……」
花陽「本当ですねぇ……」
凛(どんぶりで3杯……凛はかよちんの体が心配にゃ)
海未「でも本当にいいんでしょうか? 食事に寝床と至れりつくせりで。民宿のことを全く手伝っていないのに」
にこ「いいんじゃないの? そういう契約内容なんでしょ?」
絵里「一応もう一度チラシを見たり、女将さんに確認したけど間違いないそうよ」
真姫「海未は心配しすぎよ。ちゃんと私達は海の家で働いていたんだし、文句はないはずよ」
ことり「従業員さんが言ってたんだけど、例年よりお客さんが多かったみたいだよ。私達のおかげだって」
にこ「にこの可愛さは黙ってても溢れてくるからこまっちゃ―う」
希「にこっちは全くブレないなぁ」
33: 2014/08/23(土) 21:45:06.36 ID:vWnxqZ2F.net
穂乃果「部屋は二部屋かぁ。部屋割りどうする?」
希「お昼の時と同じでええとおもうよ?」
絵里「それでいいわね。流石に遊び疲れたから早く休みたいわ」
海未「その前にお風呂入りたいです。塩水で髪も体もごわごわしてて……」
にこ「塩水はお肌の大敵なのよね」
ガチャ
にこ「至って普通の部屋ね」
希「でもこういうのが風情があってええんやと思うよ」
花陽「窓から海が……見えない」
海未「荷物下ろしたら浴場へ行きましょう。早く行かないと混んでしまいますよ」
ことり「そうだね。海未ちゃんいこー」
希「お昼の時と同じでええとおもうよ?」
絵里「それでいいわね。流石に遊び疲れたから早く休みたいわ」
海未「その前にお風呂入りたいです。塩水で髪も体もごわごわしてて……」
にこ「塩水はお肌の大敵なのよね」
ガチャ
にこ「至って普通の部屋ね」
希「でもこういうのが風情があってええんやと思うよ」
花陽「窓から海が……見えない」
海未「荷物下ろしたら浴場へ行きましょう。早く行かないと混んでしまいますよ」
ことり「そうだね。海未ちゃんいこー」
36: 2014/08/23(土) 21:51:34.95 ID:vWnxqZ2F.net
がちゃ
絵里「な、なんかどんよりとした空気が、あ、あるわね……」
穂乃果「掛け軸がある! あ!」
絵里「な、なに? 突然」
穂乃果「いっひっひっひ……ねえ絵里ちゃん知ってる? こういう掛け軸の裏に何があると思う?」
絵里「え、え? 何があるの? ていうかそれやめて、怖いわ……」
穂乃果「イヒヒ……魔除けの御札があるっていうのが相場だよ。つまり、それがある場合曰くつきのへ……」
ペラリ
真姫「あ、御札があるわね」
穂乃果「……え?」
絵里「ノゾミタスケテ……」
絵里「な、なんかどんよりとした空気が、あ、あるわね……」
穂乃果「掛け軸がある! あ!」
絵里「な、なに? 突然」
穂乃果「いっひっひっひ……ねえ絵里ちゃん知ってる? こういう掛け軸の裏に何があると思う?」
絵里「え、え? 何があるの? ていうかそれやめて、怖いわ……」
穂乃果「イヒヒ……魔除けの御札があるっていうのが相場だよ。つまり、それがある場合曰くつきのへ……」
ペラリ
真姫「あ、御札があるわね」
穂乃果「……え?」
絵里「ノゾミタスケテ……」
38: 2014/08/23(土) 21:53:22.94 ID:vWnxqZ2F.net
ことり「広いお風呂だったねー」
海未「そうでしたね。凄くさっぱりしました」
花陽「あ、凛ちゃん! それに穂乃果ちゃんたちも。部屋の外に出てどうしたの?」
凛「あ、かよちん。みんな……。ちょっとお部屋交換して欲しいんだけど、ダメかにゃ」
希「なにかしたの?」
絵里「ノゾミィィィィ!」ガバ!
希「え、エリち!?」
絵里「希いい匂い……安心する香りがする……」
穂乃果「こ、ことりちゃん、海未ちゃん……」
海未「穂乃果まで。一体どうしたんですか?」
真姫「その、冗談のつもりだったのよ? ちょっとしたノリというかなんというか」
にこ「ハッキリしないわね」
真姫「あー、よく掛け軸裏になにかがあるって漫画とかで言うじゃない?」
花陽「もしかして……」
ことり「めくったんだ」
希「そして見つけてしまったと……」
海未「そうでしたね。凄くさっぱりしました」
花陽「あ、凛ちゃん! それに穂乃果ちゃんたちも。部屋の外に出てどうしたの?」
凛「あ、かよちん。みんな……。ちょっとお部屋交換して欲しいんだけど、ダメかにゃ」
希「なにかしたの?」
絵里「ノゾミィィィィ!」ガバ!
希「え、エリち!?」
絵里「希いい匂い……安心する香りがする……」
穂乃果「こ、ことりちゃん、海未ちゃん……」
海未「穂乃果まで。一体どうしたんですか?」
真姫「その、冗談のつもりだったのよ? ちょっとしたノリというかなんというか」
にこ「ハッキリしないわね」
真姫「あー、よく掛け軸裏になにかがあるって漫画とかで言うじゃない?」
花陽「もしかして……」
ことり「めくったんだ」
希「そして見つけてしまったと……」
40: 2014/08/23(土) 21:57:17.75 ID:vWnxqZ2F.net
それを聞いた彼女たちの脳裏にあの山の出来事がよぎった
が、よぎっただけでどうということはなかった
あまりの出来事で本当にあったことだとは思えなかったし、既に恐怖は大分薄れつつあった
御札であっても、穂乃果や希、海未にとっては大分馴染みが深い
穂乃果は祖父以前から続く老舗であり、火事よけの御札や神棚などがあり御札そのものに偏見はない。身近なものだ
海未も同様だ
希に至っては神社の手伝いでそういったものは見慣れ過ぎている
その三人にしてみれば、そういうのは大抵気休めのために貼られていることを知っている
本当になにかがあるわけではないのだ
が、よぎっただけでどうということはなかった
あまりの出来事で本当にあったことだとは思えなかったし、既に恐怖は大分薄れつつあった
御札であっても、穂乃果や希、海未にとっては大分馴染みが深い
穂乃果は祖父以前から続く老舗であり、火事よけの御札や神棚などがあり御札そのものに偏見はない。身近なものだ
海未も同様だ
希に至っては神社の手伝いでそういったものは見慣れ過ぎている
その三人にしてみれば、そういうのは大抵気休めのために貼られていることを知っている
本当になにかがあるわけではないのだ
41: 2014/08/23(土) 21:59:36.96 ID:vWnxqZ2F.net
希「エリち、そんなに怯えないで。取り敢えず四人でお風呂に入ったほうがええよ。せめて体だけでもスッキリさせたほうがいいし」
海未「希の言うとおりです。気分が落ち着けば特に怖いことなどないんですから」
絵里「……うん。わかった。お風呂行ってくる……」
穂乃果「みんなで入ろうね」
真姫「そ、そうね。べ、別に怖いわけじゃないけど」
凛「そうにゃそうにゃ」
にこ「お風呂行ってる間に部屋見させてもらうわよ?」
海未「希の言うとおりです。気分が落ち着けば特に怖いことなどないんですから」
絵里「……うん。わかった。お風呂行ってくる……」
穂乃果「みんなで入ろうね」
真姫「そ、そうね。べ、別に怖いわけじゃないけど」
凛「そうにゃそうにゃ」
にこ「お風呂行ってる間に部屋見させてもらうわよ?」
42: 2014/08/23(土) 22:00:05.02 ID:vWnxqZ2F.net
>>39
原作レOプっていう意味ならあってる
原作レOプっていう意味ならあってる
44: 2014/08/23(土) 22:02:41.10 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「お風呂って、外の離れにあるのね……」
凛「な、なんか不気味にゃ」
真姫「そういえばトイレもあの離れまで行かないとダメみたいね」
絵里「!?」
穂乃果「えっ!?」
凛「部屋からあそこまで大分距離あるよ…それに明かりも、なんか…」
真姫「切れかかって頼りない……」
絵里「あああああああと三日もあるるるるる……」
穂乃果「おちおおおちおちおちち……」
凛「お乳?」
穂乃果「落ち着こう!」
真姫「一番テンパってるのは二人よ」
真姫(自分がしっかりしないと……)
凛「な、なんか不気味にゃ」
真姫「そういえばトイレもあの離れまで行かないとダメみたいね」
絵里「!?」
穂乃果「えっ!?」
凛「部屋からあそこまで大分距離あるよ…それに明かりも、なんか…」
真姫「切れかかって頼りない……」
絵里「あああああああと三日もあるるるるる……」
穂乃果「おちおおおちおちおちち……」
凛「お乳?」
穂乃果「落ち着こう!」
真姫「一番テンパってるのは二人よ」
真姫(自分がしっかりしないと……)
45: 2014/08/23(土) 22:04:35.00 ID:vWnxqZ2F.net
希「これがエリちたちが言ってた御札かぁ」
ことり「年季入ってるね。壁の黄ばみと一体化してるよ」
花陽「な、なんか鳥肌が……」
海未「お寺や神社では見ない感じですね。私の家にあるのは、火を使う台所に火事よけの御札がありますけど、通常買えるのというのはそういったものでは?」
にこ「でも、どう見ても魔除けにしか見えないわよ」
希「うちがお世話になってる神社では見たことないよ」
ことり「もしかしたら他にも貼ってあるかも。にこちゃんたちはこの部屋をお願い。花陽ちゃんは、私と一緒にあっちの部屋を探そう」
花陽「は、はい!」
にこ「私は触らぬ神に祟りなし、だと思うわ。探してあちこちに貼ってあったら余計怖いじゃない」
海未「でも、何も知らないよりは知っておいたほうがいいような気もします」
希「もうひとつ見つけてしまったんやし、一個も二個もたいして変わりはないと思うよ」
にこ「そうかなー?」
ことり「年季入ってるね。壁の黄ばみと一体化してるよ」
花陽「な、なんか鳥肌が……」
海未「お寺や神社では見ない感じですね。私の家にあるのは、火を使う台所に火事よけの御札がありますけど、通常買えるのというのはそういったものでは?」
にこ「でも、どう見ても魔除けにしか見えないわよ」
希「うちがお世話になってる神社では見たことないよ」
ことり「もしかしたら他にも貼ってあるかも。にこちゃんたちはこの部屋をお願い。花陽ちゃんは、私と一緒にあっちの部屋を探そう」
花陽「は、はい!」
にこ「私は触らぬ神に祟りなし、だと思うわ。探してあちこちに貼ってあったら余計怖いじゃない」
海未「でも、何も知らないよりは知っておいたほうがいいような気もします」
希「もうひとつ見つけてしまったんやし、一個も二個もたいして変わりはないと思うよ」
にこ「そうかなー?」
49: 2014/08/23(土) 22:07:49.02 ID:vWnxqZ2F.net
希「こういうのは大抵押入れの中とかにあるんよ」
海未「んー、暗くてちょっと……」
にこ「携帯のライトだけど、見える?」
海未「ありがとうございま、あっ」
希「どうしたん?」
海未「天井に……影になっているんですが、三枚ありました。同じものです」
にこ「……どうするのよ。あと三日はこの部屋で寝泊まりするのよ。これじゃあ安心して寝られないじゃない……」
希「この様子やと、畳の下とか、天井裏とかにも貼ってあるかも……」
海未「ううう……やっぱり探さなければ良かったかもしれません……」
希「たぶん、うちらの部屋も同じだと思う……」
海未「んー、暗くてちょっと……」
にこ「携帯のライトだけど、見える?」
海未「ありがとうございま、あっ」
希「どうしたん?」
海未「天井に……影になっているんですが、三枚ありました。同じものです」
にこ「……どうするのよ。あと三日はこの部屋で寝泊まりするのよ。これじゃあ安心して寝られないじゃない……」
希「この様子やと、畳の下とか、天井裏とかにも貼ってあるかも……」
海未「ううう……やっぱり探さなければ良かったかもしれません……」
希「たぶん、うちらの部屋も同じだと思う……」
50: 2014/08/23(土) 22:10:04.18 ID:vWnxqZ2F.net
花陽「……」
ことり「……」
にこ「その様子だとやっぱりあったようね」
花陽「うん……それも六枚も。全部氏角にあって」
ことり「なんだか急に怖くなってきたよ……」
希「……見なかったことにしよか?」
にこ「……そうね。絵里たちには黙ってたほうがいいわね」
花陽「もう、寝ようか……」
ことり「そうだね……」
ことり「……」
にこ「その様子だとやっぱりあったようね」
花陽「うん……それも六枚も。全部氏角にあって」
ことり「なんだか急に怖くなってきたよ……」
希「……見なかったことにしよか?」
にこ「……そうね。絵里たちには黙ってたほうがいいわね」
花陽「もう、寝ようか……」
ことり「そうだね……」
51: 2014/08/23(土) 22:10:37.27 ID:vWnxqZ2F.net
絵里たちもこわごわとだったがお風呂を済ませ、少なくとも身体だけはリフレッシュが出来た
部屋に戻ると、既に希たちの部屋は電気が消され、寝ているようだった
彼女たちも日中の疲れがお風呂に入ったことによってドッと出てきて、布団に横になったらすぐに眠りについてしまった
部屋に戻ると、既に希たちの部屋は電気が消され、寝ているようだった
彼女たちも日中の疲れがお風呂に入ったことによってドッと出てきて、布団に横になったらすぐに眠りについてしまった
52: 2014/08/23(土) 22:24:12.91 ID:vWnxqZ2F.net
深夜
絵里「……んん」モゾ
絵里「ん、んー……トイレ」
絵里「……あ。離れか……」
絵里「希は……隣の部屋だし……ど、どうしよう……」
絵里「ほ、穂乃果……! 起きて……!」ユサユサ
穂乃果「ン、ぁぅ~~……?」
絵里「そ、その、トイレ、行きたくない?」
穂乃果「トイレぇ~? んー…………」
穂乃果(あっ……)
穂乃果「絵里ちゃん付いてきてくれる?」ヘヘヘ…
絵里「うん、うんうんうん!」
絵里「……んん」モゾ
絵里「ん、んー……トイレ」
絵里「……あ。離れか……」
絵里「希は……隣の部屋だし……ど、どうしよう……」
絵里「ほ、穂乃果……! 起きて……!」ユサユサ
穂乃果「ン、ぁぅ~~……?」
絵里「そ、その、トイレ、行きたくない?」
穂乃果「トイレぇ~? んー…………」
穂乃果(あっ……)
穂乃果「絵里ちゃん付いてきてくれる?」ヘヘヘ…
絵里「うん、うんうんうん!」
53: 2014/08/23(土) 22:29:43.96 ID:vWnxqZ2F.net
――ジャリ、ジャリ、ジャリ
足元のジャリを踏む音が、静寂に包まれた夜に響く
部屋からトイレの離れまではかなり離れていおり、三〇メートルはあるだろうか
絵里「な、なんかさっきよりも、雰囲気がある、ような……」
穂乃果「う、うん。なんだろうね……」
彼女たちの右手に林が広がっているのが見えた
離れまでの道はポッカリとあいたように、外へむき出しになっている
そこは林に面していて薄暗い
――ヒュゥ… …
ガサガサ
ガサ……
足元のジャリを踏む音が、静寂に包まれた夜に響く
部屋からトイレの離れまではかなり離れていおり、三〇メートルはあるだろうか
絵里「な、なんかさっきよりも、雰囲気がある、ような……」
穂乃果「う、うん。なんだろうね……」
彼女たちの右手に林が広がっているのが見えた
離れまでの道はポッカリとあいたように、外へむき出しになっている
そこは林に面していて薄暗い
――ヒュゥ… …
ガサガサ
ガサ……
54: 2014/08/23(土) 22:31:26.94 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「……!!」
穂乃果「……!」
絵里「………なんだ、た、ただの風、じゃない……」
穂乃果「び、びっくりしたぁ……」
絵里「は、早く済ませましょう!」
穂乃果「うん!」
.
穂乃果「……!」
絵里「………なんだ、た、ただの風、じゃない……」
穂乃果「び、びっくりしたぁ……」
絵里「は、早く済ませましょう!」
穂乃果「うん!」
.
57: 2014/08/23(土) 22:35:34.99 ID:vWnxqZ2F.net
二人はトイレを手早く済ませ、離れを出た
きた道を戻ると、目の前に黒い何かが動いているのが見えた
絵里「……中居さんかしら?」
穂乃果「トイレ、かな?」
だが、不自然に辺りをふらついている
絵里「な、なんか、様子がおかしい、と思わない?」
穂乃果「と、鳥肌が……」
「う、うぅ…………」
きた道を戻ると、目の前に黒い何かが動いているのが見えた
絵里「……中居さんかしら?」
穂乃果「トイレ、かな?」
だが、不自然に辺りをふらついている
絵里「な、なんか、様子がおかしい、と思わない?」
穂乃果「と、鳥肌が……」
「う、うぅ…………」
58: 2014/08/23(土) 22:40:08.71 ID:vWnxqZ2F.net
絵里「こ、こっちにくる……か、隠れなきゃ!」
穂乃果「そ、そうだね!」
道のすぐ脇の物陰に二人は隠れた
隠れてから、別に隠れる必要はなかったなと思った。だけど、その時は隠れなきゃと突発的に思ったのだ
海風が冷え、湿気った風を運んでくる
真夏とは思えない寒気だ
二人には覚えがあった。この空気を
あの山での恐怖の一夜の事が頭に蘇ってくる
.
穂乃果「そ、そうだね!」
道のすぐ脇の物陰に二人は隠れた
隠れてから、別に隠れる必要はなかったなと思った。だけど、その時は隠れなきゃと突発的に思ったのだ
海風が冷え、湿気った風を運んでくる
真夏とは思えない寒気だ
二人には覚えがあった。この空気を
あの山での恐怖の一夜の事が頭に蘇ってくる
.
59: 2014/08/23(土) 22:41:38.10 ID:vWnxqZ2F.net
物陰で身動きも取れず、黒影が通りすぎるのを待っている
黒影は、地面を滑るようななめらかな動きで、二人が隠れている場所に近づいてきた
穂乃果(え、絵里ちゃんこっちに近づいてくるよ! どうしよう)
絵里(私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は……)
穂乃果(絵里ちゃんしっかりして!)
音もなく歩く影は、この民宿で働く中居の格好をしていた
だが、月明かりで分かるその表情はなんの感情も見せず、目は白くにごり、うつろだった
黒影は、地面を滑るようななめらかな動きで、二人が隠れている場所に近づいてきた
穂乃果(え、絵里ちゃんこっちに近づいてくるよ! どうしよう)
絵里(私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は大丈夫私は……)
穂乃果(絵里ちゃんしっかりして!)
音もなく歩く影は、この民宿で働く中居の格好をしていた
だが、月明かりで分かるその表情はなんの感情も見せず、目は白くにごり、うつろだった
60: 2014/08/23(土) 22:44:43.56 ID:vWnxqZ2F.net
黒い影が近づくに連れて、なにか鉄臭さが漂ってきた
穂乃果(クンクン……なんの臭いだろう?)
黒い影は彼女たちが隠れている場所まで近づくと、その動きを止める
何かを探すように、首だけがグリグリと動いている
穂乃果(わ、私達を探してる……)
「う、ぁ、ぁ……」
しばらく機械的に動いていたが、やがて興味を失ったのか、離の方に向かっていった
穂乃果(っっ!!?)
絵里(――――!!!?)
穂乃果(クンクン……なんの臭いだろう?)
黒い影は彼女たちが隠れている場所まで近づくと、その動きを止める
何かを探すように、首だけがグリグリと動いている
穂乃果(わ、私達を探してる……)
「う、ぁ、ぁ……」
しばらく機械的に動いていたが、やがて興味を失ったのか、離の方に向かっていった
穂乃果(っっ!!?)
絵里(――――!!!?)
62: 2014/08/23(土) 22:49:38.66 ID:vWnxqZ2F.net
.
顔が横向きになった時に、二人は後頭部を間近で見てしまった
あるべき所に、あるべきものがない
内側から爆発したように、後頭部に穴が開いていたのだ
さっき感じた鉄臭さは、そこから漂っていた
ジュクジュクと膿み、頭の中身が丸見えだ
黒い影ははじめと同じようにゆらゆらとフラつきながら離れに向かい、その目前で霞のように消えてしまった
.
顔が横向きになった時に、二人は後頭部を間近で見てしまった
あるべき所に、あるべきものがない
内側から爆発したように、後頭部に穴が開いていたのだ
さっき感じた鉄臭さは、そこから漂っていた
ジュクジュクと膿み、頭の中身が丸見えだ
黒い影ははじめと同じようにゆらゆらとフラつきながら離れに向かい、その目前で霞のように消えてしまった
.
64: 2014/08/23(土) 22:54:33.07 ID:vWnxqZ2F.net
穂乃果「――っはぁ!? あ、あれ? 朝? ここ、部屋?」
真姫「もぉー……朝からどうしたの……?」
凛「朝っぱらから騒がしいよー」
絵里「…………私は、大丈夫……」
真姫「ち、ちょっと、顔真っ青だけど大丈夫?」
真姫「もぉー……朝からどうしたの……?」
凛「朝っぱらから騒がしいよー」
絵里「…………私は、大丈夫……」
真姫「ち、ちょっと、顔真っ青だけど大丈夫?」
65: 2014/08/23(土) 22:56:21.25 ID:vWnxqZ2F.net
.
朝食
穂乃果と絵里は体調不良を理由に、食事を取らなかった
にこ「一体どうしたのかしら、あの二人」
真姫「朝起きたらちょっと様子がおかしかったのよ。なんというか、何かに怯えているみたいな」
にこ「絵里はともかく、あの穂乃果が?」
凛「ちょっとあの怯え方は尋常じゃなかったにゃ」
ことり「お仕事、どうしようか」
希「二人はなにかいってた?」
真姫「うん、朝ごはんは食べられないそうだけど、仕事には出られるっていってたわ。まあ、病気ではなさそうだから、私達がフォローすればなんとかなるわ」
海未「穂乃果と絵里を分けてチーム分けをした方がいいかもしれませんね」
希「じゃあ、うちがエリちの面倒を見るよ」
海未「じゃあ、穂乃果は私が」
朝食
穂乃果と絵里は体調不良を理由に、食事を取らなかった
にこ「一体どうしたのかしら、あの二人」
真姫「朝起きたらちょっと様子がおかしかったのよ。なんというか、何かに怯えているみたいな」
にこ「絵里はともかく、あの穂乃果が?」
凛「ちょっとあの怯え方は尋常じゃなかったにゃ」
ことり「お仕事、どうしようか」
希「二人はなにかいってた?」
真姫「うん、朝ごはんは食べられないそうだけど、仕事には出られるっていってたわ。まあ、病気ではなさそうだから、私達がフォローすればなんとかなるわ」
海未「穂乃果と絵里を分けてチーム分けをした方がいいかもしれませんね」
希「じゃあ、うちがエリちの面倒を見るよ」
海未「じゃあ、穂乃果は私が」
67: 2014/08/23(土) 22:57:19.64 ID:vWnxqZ2F.net
部屋の割り当てとチーム変え
にこ
希
海未
ことり
花陽
絵里
穂乃果
真姫
凛
↓
にこ
希
絵里 午前から昼過ぎまで
花陽
ことり
海未
穂乃果 昼過ぎから夕方まで
真姫
ことり
にこ
希
海未
ことり
花陽
絵里
穂乃果
真姫
凛
↓
にこ
希
絵里 午前から昼過ぎまで
花陽
ことり
海未
穂乃果 昼過ぎから夕方まで
真姫
ことり
69: 2014/08/23(土) 22:59:06.04 ID:vWnxqZ2F.net
希「なあエリち、一体どうしたん? なんや怖いものでもみたの?」
絵里「…………」カタカタ
花陽「大丈夫だよ絵里ちゃん。ここには怖いものはいないよ?」ナデナデ
絵里「花陽……」
にこ「…………」
希「…………」
花陽「………」
ことり「…………」
絵里「…………」カタカタ
花陽「大丈夫だよ絵里ちゃん。ここには怖いものはいないよ?」ナデナデ
絵里「花陽……」
にこ「…………」
希「…………」
花陽「………」
ことり「…………」
71: 2014/08/23(土) 23:01:47.37 ID:vWnxqZ2F.net
絵里はポツリポツリだったが、昨夜の出来事を話しだした
絵里の話を聞くにつれ、彼女たちは昼でありながらも背筋に寒いものが走るのを感じた
ことり「じゃあ、あの御札は……本物、なの?」
にこ「ゆ、夢でも見たんじゃないの? だって、気付いたら部屋にいたんでしょ?」
花陽「そ、そうだよ。寝る前に御札とか見ちゃったから、怖い夢を見ちゃったんだよ」
絵里「でもね、さっき見たら、下駄箱に入っていたはずの靴が、出しっぱなしになってたの……」
希「しまい忘れたわけじゃないん?」
絵里「違う、と思う。……あの靴に、日中付いてないドロがついてたの」
ことり「どういうこと?」
絵里「私達が隠れた所って、影になってて地面がちょっとぬかるんでたの」
絵里「お風呂の道は乾いたじゃり道だったし、スノコも引いてあったから、靴につくはずないの……」
絵里の話を聞くにつれ、彼女たちは昼でありながらも背筋に寒いものが走るのを感じた
ことり「じゃあ、あの御札は……本物、なの?」
にこ「ゆ、夢でも見たんじゃないの? だって、気付いたら部屋にいたんでしょ?」
花陽「そ、そうだよ。寝る前に御札とか見ちゃったから、怖い夢を見ちゃったんだよ」
絵里「でもね、さっき見たら、下駄箱に入っていたはずの靴が、出しっぱなしになってたの……」
希「しまい忘れたわけじゃないん?」
絵里「違う、と思う。……あの靴に、日中付いてないドロがついてたの」
ことり「どういうこと?」
絵里「私達が隠れた所って、影になってて地面がちょっとぬかるんでたの」
絵里「お風呂の道は乾いたじゃり道だったし、スノコも引いてあったから、靴につくはずないの……」
73: 2014/08/23(土) 23:04:50.58 ID:vWnxqZ2F.net
冷静さを取り戻しつつあった絵里は、淡々と事実を確認してった
結局のところ、昨夜はトイレに行ったことは確実のようだ。ただ、そこからどうやって戻ったのかまでは分からない
きっと、パニックに陥って無我夢中で部屋に戻ってきた、という結論で落ち着いた
結局のところ、昨夜はトイレに行ったことは確実のようだ。ただ、そこからどうやって戻ったのかまでは分からない
きっと、パニックに陥って無我夢中で部屋に戻ってきた、という結論で落ち着いた
74: 2014/08/23(土) 23:05:49.16 ID:vWnxqZ2F.net
>>72
あっ
凛ちゃんは転校しちゃったんだ……
あっ
凛ちゃんは転校しちゃったんだ……
75: 2014/08/23(土) 23:08:10.09 ID:vWnxqZ2F.net
.
昨夜まで御札で怯えていた面々だったが、今は非常に心強いものに変わっていった
得体のしれないものが外を徘徊しているため、そういったものを心の頼りにせざるを得なかったのだ
本当のところは、いまだに御札に対して気持ち悪さを感じていた
それでも、それが自分たちを守っていると思いこむことで、なんとか耐えていた
.
昨夜まで御札で怯えていた面々だったが、今は非常に心強いものに変わっていった
得体のしれないものが外を徘徊しているため、そういったものを心の頼りにせざるを得なかったのだ
本当のところは、いまだに御札に対して気持ち悪さを感じていた
それでも、それが自分たちを守っていると思いこむことで、なんとか耐えていた
.
76: 2014/08/23(土) 23:09:51.71 ID:vWnxqZ2F.net
希「なあ、これ民宿の人に行ったほうがええんと思うんや。みんなはどう思う?」
にこ「言うも何も、正直もう帰りたいわ。適当に理由をつけてサボりたい気持ちよ」
ことり「でも後二日だよ?」
にこ「山のこと忘れたの? そんな楽観視してると、食べられちゃうわよ?」
ことり「やや、やめてよにこちゃぁん……」ダキ!
にこ「あっついから抱きついてこないでっっ」
花陽「わたしは言わないほうがいいと思う。だって、民宿で起きてることだよ? 知らないはずがないし、それを黙ってたっていうのもちょっと、怖い、かも」
希「民宿側が何かを隠してる、ってこと?」
にこ「そういうことになるわね。そういえば不自然よね」
ことり「なあに、にこちゃん」
にこ「時給がちょっと少ないとはいえ、海で遊びながら仕事が出来て、なおかつ民宿にタダ同然で宿泊できる。なのに応募者が私達しかいない。もっと人がいてもいいと思わない?」
ことり「で、でも私達9人だよ? 私達でいっぱいになったんじゃ」
絵里「私が電話した時、すぐに決まったの。もう夏休みも半ばに差し掛かってきているのに、私達より前に募集を受けた人たちがいないっていうのは、やっぱりおかしいと思うわ」
絵里「…あの時は海に行けるっていう楽しさで浮かれてたから思わなかったけど……」
花陽「それに、忙しいって言う割には、宿泊してるお客さんが少ないような……」
にこ「言うも何も、正直もう帰りたいわ。適当に理由をつけてサボりたい気持ちよ」
ことり「でも後二日だよ?」
にこ「山のこと忘れたの? そんな楽観視してると、食べられちゃうわよ?」
ことり「やや、やめてよにこちゃぁん……」ダキ!
にこ「あっついから抱きついてこないでっっ」
花陽「わたしは言わないほうがいいと思う。だって、民宿で起きてることだよ? 知らないはずがないし、それを黙ってたっていうのもちょっと、怖い、かも」
希「民宿側が何かを隠してる、ってこと?」
にこ「そういうことになるわね。そういえば不自然よね」
ことり「なあに、にこちゃん」
にこ「時給がちょっと少ないとはいえ、海で遊びながら仕事が出来て、なおかつ民宿にタダ同然で宿泊できる。なのに応募者が私達しかいない。もっと人がいてもいいと思わない?」
ことり「で、でも私達9人だよ? 私達でいっぱいになったんじゃ」
絵里「私が電話した時、すぐに決まったの。もう夏休みも半ばに差し掛かってきているのに、私達より前に募集を受けた人たちがいないっていうのは、やっぱりおかしいと思うわ」
絵里「…あの時は海に行けるっていう楽しさで浮かれてたから思わなかったけど……」
花陽「それに、忙しいって言う割には、宿泊してるお客さんが少ないような……」
79: 2014/08/23(土) 23:14:29.68 ID:vWnxqZ2F.net
ことり「繁盛してないだけなんじゃ?」
にこ「それはいいから、そろそろ離してくれない?」
ことり「や」チュン
にこ「……もう、好きにしなさい……」
絵里「そこら辺は分からないわ。私達は民宿で出してる海の家で働くことが仕事だし、確かにバイトの手が必要なくらい忙しかったわ」
希「民宿に人が来るかどうかはこのさい関係ない、ってことやな。でも、この時期にこの人の少なさはちょっと……」
にこ「結局どうすんの? 早く決めてもらわないと、開放してくれないのよ、ことりが」
希「ことりちゃんの言うように、あと二日やからなぁ。やっぱり最終日まで我慢するのが一番かな」
絵里「私個人としては、言い出しっぺだけど今すぐ帰りたいわ。でも、なんか意地でもやり通したいっていう気持ちもあるの」
花陽「じゃあ、あと二日……」
ことり「うん。頑張ろう、ね?」
にこ(あついよ~……)
にこ「それはいいから、そろそろ離してくれない?」
ことり「や」チュン
にこ「……もう、好きにしなさい……」
絵里「そこら辺は分からないわ。私達は民宿で出してる海の家で働くことが仕事だし、確かにバイトの手が必要なくらい忙しかったわ」
希「民宿に人が来るかどうかはこのさい関係ない、ってことやな。でも、この時期にこの人の少なさはちょっと……」
にこ「結局どうすんの? 早く決めてもらわないと、開放してくれないのよ、ことりが」
希「ことりちゃんの言うように、あと二日やからなぁ。やっぱり最終日まで我慢するのが一番かな」
絵里「私個人としては、言い出しっぺだけど今すぐ帰りたいわ。でも、なんか意地でもやり通したいっていう気持ちもあるの」
花陽「じゃあ、あと二日……」
ことり「うん。頑張ろう、ね?」
にこ(あついよ~……)
80: 2014/08/23(土) 23:16:03.23 ID:vWnxqZ2F.net
その日は何事も無く過ぎていった
やはり忙しい海の家。そして相変わらずの御札のある部屋
民宿に戻ってからは、初日のような和気あいあいとした雰囲気にはならなかった
黙々と食事をとり、時折意味ありげな目配せをするばかりの静かな夜となった
絵里と穂乃果が遭遇したモノ
壁一枚の向こう側で徘徊しているのではと、不安な夜を過ごす
やはり忙しい海の家。そして相変わらずの御札のある部屋
民宿に戻ってからは、初日のような和気あいあいとした雰囲気にはならなかった
黙々と食事をとり、時折意味ありげな目配せをするばかりの静かな夜となった
絵里と穂乃果が遭遇したモノ
壁一枚の向こう側で徘徊しているのではと、不安な夜を過ごす
81: 2014/08/23(土) 23:18:21.85 ID:vWnxqZ2F.net
三日目
三日目も特に何も起こらなかった
仕事を終わらせて、全員で帰宅する
凛「はぁ~疲れたにゃー……」
穂乃果「明日はお昼までだよね?」
海未「そうですよ」
真姫「はぁ、しなくてもいい気疲れ起こして、疲労も倍増ね」
穂乃果「ご、ごめんね、真姫ちゃん」
真姫「穂乃果のせいじゃないわ。気にしないで」
希「エリち、あともうちょっとやから、頑張ろな?」
絵里「希……ありがとう」
ことり「夜風がきもちーねぇ」
花陽「うん。お昼の暑さと一転して涼しいね~」
三日目も特に何も起こらなかった
仕事を終わらせて、全員で帰宅する
凛「はぁ~疲れたにゃー……」
穂乃果「明日はお昼までだよね?」
海未「そうですよ」
真姫「はぁ、しなくてもいい気疲れ起こして、疲労も倍増ね」
穂乃果「ご、ごめんね、真姫ちゃん」
真姫「穂乃果のせいじゃないわ。気にしないで」
希「エリち、あともうちょっとやから、頑張ろな?」
絵里「希……ありがとう」
ことり「夜風がきもちーねぇ」
花陽「うん。お昼の暑さと一転して涼しいね~」
83: 2014/08/23(土) 23:20:55.03 ID:vWnxqZ2F.net
真姫「ところで昨日は変なこと起こらなかった?」
ことり「んーん。なにも起こらなかったよ」
真姫「そう……」
凛「真姫ちゃん、どうしたの?」
花陽「も、もしかしてまた何かあったの?」
絵里「や、やめてよ……あと一日で終りなのに……」
穂乃果「……」ゴクリ…
真姫「……ずっと黙ってたんだけど、昨日の夜、冷蔵庫にあるドリンクを飲んでたの」
希「窓際にある冷蔵庫やな」
真姫「そうそれ。冷蔵庫からドリンクを取り出して飲んでた時に、窓の外から凄く小さくて聞き取りづらかったけど、くぐもった声が聞こえてきたの」
真姫「男の声、だったと思う。その声が、ゆっくり、ゆっくり私達がいる部屋に近づいてきてて……」
ことり「んーん。なにも起こらなかったよ」
真姫「そう……」
凛「真姫ちゃん、どうしたの?」
花陽「も、もしかしてまた何かあったの?」
絵里「や、やめてよ……あと一日で終りなのに……」
穂乃果「……」ゴクリ…
真姫「……ずっと黙ってたんだけど、昨日の夜、冷蔵庫にあるドリンクを飲んでたの」
希「窓際にある冷蔵庫やな」
真姫「そうそれ。冷蔵庫からドリンクを取り出して飲んでた時に、窓の外から凄く小さくて聞き取りづらかったけど、くぐもった声が聞こえてきたの」
真姫「男の声、だったと思う。その声が、ゆっくり、ゆっくり私達がいる部屋に近づいてきてて……」
85: 2014/08/23(土) 23:24:56.46 ID:vWnxqZ2F.net
.
二日目の夜
真姫「んー……あー……、あつい……」バサ
真姫「エアコンのタイマー切れたからって、こんな一気に蒸し暑くなることないじゃない……」
真姫「どうしよう。もう一回付けようかな。でもタイマーのやり方は私分からないし…」
冷蔵庫
真姫「……買っておいたドリンクでも飲んで、それで我慢しよう」ノソ…
真姫「フフ…。怖いからって海未に抱きつきっぱなしで……。しかも反対側から凛が抱きついてて、暑そうね」
―パコ ファァァァァァ……
真姫が冷蔵庫を開けると、ファンの音が小さく鳴った
たちまち冷気が真姫にかかり、蒸し暑さでたまらなかった状態が、少しだけ和らいだ
真姫(このまま冷蔵庫の中で眠りたい……)
二日目の夜
真姫「んー……あー……、あつい……」バサ
真姫「エアコンのタイマー切れたからって、こんな一気に蒸し暑くなることないじゃない……」
真姫「どうしよう。もう一回付けようかな。でもタイマーのやり方は私分からないし…」
冷蔵庫
真姫「……買っておいたドリンクでも飲んで、それで我慢しよう」ノソ…
真姫「フフ…。怖いからって海未に抱きつきっぱなしで……。しかも反対側から凛が抱きついてて、暑そうね」
―パコ ファァァァァァ……
真姫が冷蔵庫を開けると、ファンの音が小さく鳴った
たちまち冷気が真姫にかかり、蒸し暑さでたまらなかった状態が、少しだけ和らいだ
真姫(このまま冷蔵庫の中で眠りたい……)
86: 2014/08/23(土) 23:28:22.33 ID:vWnxqZ2F.net
寝る前に入れておいたドリンクを取り出して、一口飲んだ
ちゃんと冷えており、身体の中に冷たさが染み渡っていく。非常に爽快感がある
そのままコクコクと飲み、冷たさの心地よさを味わった
真姫(はぁ~、冷たい飲み物がこんなに美味しく感じたのって初めてかも……)
真姫(……? なにか音が聞こえる。ファンの音に混ざってて、良く聞こえないけど)
ドリンクを冷蔵庫に戻して、扉を閉じる
ファンの音は聞こえなくなり、再び部屋の中は寝息だけが聞こえる空間へ戻った
奇妙に思った真姫は、その場にとどまって、耳を澄ませた。ちょっとした好奇心だ
だが、しばらく待ってもその音は聞こえてこなかった。聞こえてくるのは風の音と、風になびく木々の音、そして虫の鳴き声だけだ
ちゃんと冷えており、身体の中に冷たさが染み渡っていく。非常に爽快感がある
そのままコクコクと飲み、冷たさの心地よさを味わった
真姫(はぁ~、冷たい飲み物がこんなに美味しく感じたのって初めてかも……)
真姫(……? なにか音が聞こえる。ファンの音に混ざってて、良く聞こえないけど)
ドリンクを冷蔵庫に戻して、扉を閉じる
ファンの音は聞こえなくなり、再び部屋の中は寝息だけが聞こえる空間へ戻った
奇妙に思った真姫は、その場にとどまって、耳を澄ませた。ちょっとした好奇心だ
だが、しばらく待ってもその音は聞こえてこなかった。聞こえてくるのは風の音と、風になびく木々の音、そして虫の鳴き声だけだ
88: 2014/08/23(土) 23:32:40.12 ID:vWnxqZ2F.net
真姫(……気のせい、か。穂乃果たちの話しを聞いて、ちょっと過敏になってたのね)
――……………
真姫(え……?)
様々な音に混じって、明らかに異質な何かの音が聞こえてきた
それも、さっきよりもハッキリと
真姫(人の、話し声? かしら)
真姫(こんな時間に……?)
――……・・・…・…
真姫(また聞こえた。動物の鳴き声のようにも、人の話し声にも聞こえるし……)
――……………
真姫(え……?)
様々な音に混じって、明らかに異質な何かの音が聞こえてきた
それも、さっきよりもハッキリと
真姫(人の、話し声? かしら)
真姫(こんな時間に……?)
――……・・・…・…
真姫(また聞こえた。動物の鳴き声のようにも、人の話し声にも聞こえるし……)
89: 2014/08/23(土) 23:34:42.53 ID:vWnxqZ2F.net
.
音は断続的に聞こえてくる
なんの音か、声なのかも分からなかったが、それは聞こえるたんびにこちらに近づいていることだけは分かった
さっきまでの爽快感はどこへやら、再び蒸し暑さのとりこになってしまった。汗、いや冷や汗が吹き出し、肌を伝う
真姫(な、なんで近づいてきてるの)
真姫の身体は動かなかった。まるで金縛りにあったかのようで、布団まで行って枕で頭を覆いたかったが、それすら出来そうにない
近づいてくる音は、今や人の声だとハッキリ分かるくらいまで近い
――……れ・ない
――……え……・・い……う……う
.
音は断続的に聞こえてくる
なんの音か、声なのかも分からなかったが、それは聞こえるたんびにこちらに近づいていることだけは分かった
さっきまでの爽快感はどこへやら、再び蒸し暑さのとりこになってしまった。汗、いや冷や汗が吹き出し、肌を伝う
真姫(な、なんで近づいてきてるの)
真姫の身体は動かなかった。まるで金縛りにあったかのようで、布団まで行って枕で頭を覆いたかったが、それすら出来そうにない
近づいてくる音は、今や人の声だとハッキリ分かるくらいまで近い
――……れ・ない
――……え……・・い……う……う
.
91: 2014/08/23(土) 23:41:38.47 ID:vWnxqZ2F.net
.
同じ言葉をブツブツと呟いているようだ
音は低く、男の声をしていた
真姫は、穂乃果から聞いた話しを思い出していた
真姫(男の人、幽霊…………も、もしかして……)
声が聴こえる距離だというのに、声しか聞こえないのだ
それがどういうことだというと、足音が無い、ということだ
こちらに接近している速さで言えば、早足程なのだが、その足音が全くしていない
真姫(き、来た……)
声はもう窓のすぐそばまで来ていたようだ
今まで断片的にしか聞こえてなかった声が、今度はちゃんと聞こえてしまった
――帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない………
.
同じ言葉をブツブツと呟いているようだ
音は低く、男の声をしていた
真姫は、穂乃果から聞いた話しを思い出していた
真姫(男の人、幽霊…………も、もしかして……)
声が聴こえる距離だというのに、声しか聞こえないのだ
それがどういうことだというと、足音が無い、ということだ
こちらに接近している速さで言えば、早足程なのだが、その足音が全くしていない
真姫(き、来た……)
声はもう窓のすぐそばまで来ていたようだ
今まで断片的にしか聞こえてなかった声が、今度はちゃんと聞こえてしまった
――帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない帰れない………
.
92: 2014/08/23(土) 23:43:15.57 ID:vWnxqZ2F.net
真姫(……っ!?)
真姫は見てしまった
窓の外、カーテン越しに映る影を
真姫(か、から、身体が…………!?)
窓枠から十センチ程浮いた所に頭の影があった
影の頭から下は無く、ただそこに釣られているように影は浮いていた
影はスーッと横に移動していき、にこたちがいる部屋へ流れていった
そのまま徐々に声は遠のいて行き、しばらくすると聞こえなくなっていった
真姫はそのまま、日が出るまで、寝付くことはなかった
真姫は見てしまった
窓の外、カーテン越しに映る影を
真姫(か、から、身体が…………!?)
窓枠から十センチ程浮いた所に頭の影があった
影の頭から下は無く、ただそこに釣られているように影は浮いていた
影はスーッと横に移動していき、にこたちがいる部屋へ流れていった
そのまま徐々に声は遠のいて行き、しばらくすると聞こえなくなっていった
真姫はそのまま、日が出るまで、寝付くことはなかった
93: 2014/08/23(土) 23:45:24.09 ID:vWnxqZ2F.net
.
話が終わる頃にちょうど民宿に到着した
誰の顔にも苦虫を噛み潰したような表情が浮かんでいて、口に出さないだけで誰もが「聞かなければよかった」と思っている、そんな顔だ
そんな話を聞いた後だ、ご飯の味など分かるはずもない
だがお腹は空いているので、ググっと詰め込んで済ませた
.
話が終わる頃にちょうど民宿に到着した
誰の顔にも苦虫を噛み潰したような表情が浮かんでいて、口に出さないだけで誰もが「聞かなければよかった」と思っている、そんな顔だ
そんな話を聞いた後だ、ご飯の味など分かるはずもない
だがお腹は空いているので、ググっと詰め込んで済ませた
.
94: 2014/08/23(土) 23:47:16.30 ID:vWnxqZ2F.net
食事を食べ終え、ふと誰かが言った
「あれ? そういえばにこちゃんは?」
にこがいないことに気がついた
「あれ? そういえばにこちゃんは?」
にこがいないことに気がついた
95: 2014/08/23(土) 23:52:10.78 ID:vWnxqZ2F.net
穂乃果「え!? あ、本当だ!」
絵里「な、なんで!?」
凛「あれ? トイレにいったんじゃ?」
真姫「そういえばずっと見てないわね」
ことり「ご飯食べる前からいなかったような……」
凛「じゃあ、まだ外!? さ、探しにいこうよ!」
花陽「そ、そうかも!」
希「じゃあ、真姫ちゃん、穂乃果ちゃん、エリちは民宿に残って連絡係になって。それから民宿の人に説明をお願いや」
真姫「う、分かったわ」
希「あとの人は二人一組になって、にこっちを探して。携帯を忘れないでや」
絵里「希」
希「え、エリち?」
絵里「ここに残るのは二人でいいわ。私も一緒にいく」
希「……うん、わかった」
希「すぐに電話に出れるようにしててな!」
絵里「な、なんで!?」
凛「あれ? トイレにいったんじゃ?」
真姫「そういえばずっと見てないわね」
ことり「ご飯食べる前からいなかったような……」
凛「じゃあ、まだ外!? さ、探しにいこうよ!」
花陽「そ、そうかも!」
希「じゃあ、真姫ちゃん、穂乃果ちゃん、エリちは民宿に残って連絡係になって。それから民宿の人に説明をお願いや」
真姫「う、分かったわ」
希「あとの人は二人一組になって、にこっちを探して。携帯を忘れないでや」
絵里「希」
希「え、エリち?」
絵里「ここに残るのは二人でいいわ。私も一緒にいく」
希「……うん、わかった」
希「すぐに電話に出れるようにしててな!」
96: 2014/08/23(土) 23:55:04.66 ID:vWnxqZ2F.net
にこがいない
これは異常だった。海の家からここまで、そう遠く離れていないし、ほぼ一本道だ
明かりもあり、いくら数日もいないとはいえ迷う道ではない
それなのに、この人数が居て誰もにこが居なくなったことに気付かなかったのだ
部屋やトイレも探してみたが、どこにも居なかった
誘拐
その言葉がみんなの頭のなかに浮かぶ
これは異常だった。海の家からここまで、そう遠く離れていないし、ほぼ一本道だ
明かりもあり、いくら数日もいないとはいえ迷う道ではない
それなのに、この人数が居て誰もにこが居なくなったことに気付かなかったのだ
部屋やトイレも探してみたが、どこにも居なかった
誘拐
その言葉がみんなの頭のなかに浮かぶ
98: 2014/08/24(日) 00:02:53.99 ID:n3wSOaOS.net
て
99: 2014/08/24(日) 00:03:51.99 ID:n3wSOaOS.net
6人は辺りを探しまわったが、どこにもその姿はなかった
一度相談して、海の家から道をたどって探すことに決めた
―海の家
希「ここからやな」
凛「でも、普通だったら迷うことはないはずにゃ。みんなで一緒に出てきたわけだし」
花陽「ここを出るまで一緒だったのは覚えてるよ」
絵里「携帯にもつながらないし……」
海未「いったい、どうしたというのでしょう……」
ことり「あ、あそこに散歩してる人に聞いてみない? なにか分かるかも」
海未「そうですね。もしかしたらなにか見ているかもしれませんし」
一度相談して、海の家から道をたどって探すことに決めた
―海の家
希「ここからやな」
凛「でも、普通だったら迷うことはないはずにゃ。みんなで一緒に出てきたわけだし」
花陽「ここを出るまで一緒だったのは覚えてるよ」
絵里「携帯にもつながらないし……」
海未「いったい、どうしたというのでしょう……」
ことり「あ、あそこに散歩してる人に聞いてみない? なにか分かるかも」
海未「そうですね。もしかしたらなにか見ているかもしれませんし」
100: 2014/08/24(日) 00:06:05.25 ID:n3wSOaOS.net
防波堤をえOちらおっちら歩いている中年男性がいた
走って近づいてくる女の子たちに驚いている
絵里「あのすいません。このくらいの背丈で、ツインテールをしている女の子を見ませんでした?」
「見とらんなぁ。なに、友達がおらんのか? 夜中の海はひっぱられるからあかんぞ。あきらめるしかないわ。今だったらまだ近場に沈んどるかもしれんが」
凛「え……」
「おっと、余計なことを……そんじゃな」
そう言って男は去っていった
希「う、海に……?」
海未「まさか。あのあと一人で海に入ったってことですか? ありえませんよ」
花陽「で、でも、これだけ探してもいないんだよ? ……わたし、ちょっと海にいってくる」
ことり「落ち着いて花陽ちゃん! 危ないよ!」
花陽「でも!」
絵里「落ち着いて花陽。一旦宿に戻りましょう? もう戻ってきてるかも」
絵里「それにあのおじさんちょっと様子がおかしかったわ。あんな事言うなんて」
走って近づいてくる女の子たちに驚いている
絵里「あのすいません。このくらいの背丈で、ツインテールをしている女の子を見ませんでした?」
「見とらんなぁ。なに、友達がおらんのか? 夜中の海はひっぱられるからあかんぞ。あきらめるしかないわ。今だったらまだ近場に沈んどるかもしれんが」
凛「え……」
「おっと、余計なことを……そんじゃな」
そう言って男は去っていった
希「う、海に……?」
海未「まさか。あのあと一人で海に入ったってことですか? ありえませんよ」
花陽「で、でも、これだけ探してもいないんだよ? ……わたし、ちょっと海にいってくる」
ことり「落ち着いて花陽ちゃん! 危ないよ!」
花陽「でも!」
絵里「落ち着いて花陽。一旦宿に戻りましょう? もう戻ってきてるかも」
絵里「それにあのおじさんちょっと様子がおかしかったわ。あんな事言うなんて」
101: 2014/08/24(日) 00:07:39.69 ID:n3wSOaOS.net
希「そ、そうやね。もう、戻ってるかもしれないかも、な。入れ違いで」
凛「……かよちん…」
花陽「う、ん……」
絵里は自分の携帯を見つめていた
そこにはなんの連絡も来ていなかった
それは、まだにこが戻ってきていないということを意味している
凛「……かよちん…」
花陽「う、ん……」
絵里は自分の携帯を見つめていた
そこにはなんの連絡も来ていなかった
それは、まだにこが戻ってきていないということを意味している
104: 2014/08/24(日) 00:16:10.47 ID:n3wSOaOS.net
民宿・玄関
穂乃果「あ、みんな!」
真姫「みつかった?」
二人のその様子で、まだ戻ってきていないことがわかった
絵里「警察。警察に電話よ! もしかしたら本当に溺れているのかも! そうじゃなくても誘拐かもしれない!」
絵里「女将さんに話しは?」
真姫「したわ」
絵里「女将さんにお願いして警察に連絡を……あ、女将さん」
女将「大丈夫? 見つかった?」
希「いえ、どこにもいないんです」
絵里「すいませんが警察に連絡をお願いします。海で溺れているかもしれないんです」
女将「! わかったわ」
穂乃果「あ、みんな!」
真姫「みつかった?」
二人のその様子で、まだ戻ってきていないことがわかった
絵里「警察。警察に電話よ! もしかしたら本当に溺れているのかも! そうじゃなくても誘拐かもしれない!」
絵里「女将さんに話しは?」
真姫「したわ」
絵里「女将さんにお願いして警察に連絡を……あ、女将さん」
女将「大丈夫? 見つかった?」
希「いえ、どこにもいないんです」
絵里「すいませんが警察に連絡をお願いします。海で溺れているかもしれないんです」
女将「! わかったわ」
105: 2014/08/24(日) 00:18:53.13 ID:n3wSOaOS.net
そう言って、すぐ横に備え付けてある電話を手にとった
女将「それで、名前は? どのかたが居なくなったんですか?」
絵里「矢澤にこです。背がこれくらいで、いつもツインテールにしている」
女将「矢澤にこさん……」
女将「…………?」
女将「その、にこさんって、その方ではなくて?」
「え?」
女将が玄関口で固まっている彼女たちの後ろを指差した
全員が驚いて振り返る
にこ「なによ」
そこには、憮然とした表情の、くだんの少女、矢澤にこが立っていた
女将「それで、名前は? どのかたが居なくなったんですか?」
絵里「矢澤にこです。背がこれくらいで、いつもツインテールにしている」
女将「矢澤にこさん……」
女将「…………?」
女将「その、にこさんって、その方ではなくて?」
「え?」
女将が玄関口で固まっている彼女たちの後ろを指差した
全員が驚いて振り返る
にこ「なによ」
そこには、憮然とした表情の、くだんの少女、矢澤にこが立っていた
106: 2014/08/24(日) 00:20:07.17 ID:n3wSOaOS.net
驚きと騒ぎが収まったあと、宿の人達に謝罪して、それから改めてにこの話しを聞くことになった
にこの話
仕事が終わってから、みんなと一緒に民宿へ戻ったわ
いつもと同じようにお喋りしながら歩いていたんだけど、ある時を境に、突然にこを無視しだしたの
最初は聞こえてないのかなーって思って、気を引こうと引っ張ったりしてたんだけど、全然反応がなかったわ
突然そんなことをされたら怒るじゃない? 私も怒って、そっちがその気ならって、同じように無視したのよ
それで宿に戻って、ごはんを食べたわ。食べ終わった時に、突然みんなが慌てだしたの
「にこがいない」
って
同じ場所でごはん食べてるのに、まるで居ないように扱うんだもの
そうしたら外に探しに行くって言って、外に行っちゃったわけ
なんか様子がおかしいと思ったから、私も付いていったわ
にこの話
仕事が終わってから、みんなと一緒に民宿へ戻ったわ
いつもと同じようにお喋りしながら歩いていたんだけど、ある時を境に、突然にこを無視しだしたの
最初は聞こえてないのかなーって思って、気を引こうと引っ張ったりしてたんだけど、全然反応がなかったわ
突然そんなことをされたら怒るじゃない? 私も怒って、そっちがその気ならって、同じように無視したのよ
それで宿に戻って、ごはんを食べたわ。食べ終わった時に、突然みんなが慌てだしたの
「にこがいない」
って
同じ場所でごはん食べてるのに、まるで居ないように扱うんだもの
そうしたら外に探しに行くって言って、外に行っちゃったわけ
なんか様子がおかしいと思ったから、私も付いていったわ
107: 2014/08/24(日) 00:21:10.47 ID:n3wSOaOS.net
近場だけど結構歩き回ったわね、うん
そして海の家に集まって来たんだけど、突然みんな走りだしたのよ
そして誰も居ない所で話し始めて、みんな驚いた顔をしたわ。花陽なんて凄く取り乱して海に行くなんて言うし
だから慌てて、何度も声をかけたわ。「わたしはここにいる!」って。でも聞こえてないし、見えても居ないようだった
宿に戻ってきて、警察って話が出てきた時は凄く焦ったわ
私はここにいるのに、話がどんどん大きくなっていくんだもの
女将さんに指摘してもらったらようやく分かってくれたようだけど
ま、これが私の話よ。言っとくけど嘘は言ってないわよ
ずっと一緒にいるのに気づかないあんた達が悪いのよ
そして海の家に集まって来たんだけど、突然みんな走りだしたのよ
そして誰も居ない所で話し始めて、みんな驚いた顔をしたわ。花陽なんて凄く取り乱して海に行くなんて言うし
だから慌てて、何度も声をかけたわ。「わたしはここにいる!」って。でも聞こえてないし、見えても居ないようだった
宿に戻ってきて、警察って話が出てきた時は凄く焦ったわ
私はここにいるのに、話がどんどん大きくなっていくんだもの
女将さんに指摘してもらったらようやく分かってくれたようだけど
ま、これが私の話よ。言っとくけど嘘は言ってないわよ
ずっと一緒にいるのに気づかないあんた達が悪いのよ
108: 2014/08/24(日) 00:21:57.42 ID:n3wSOaOS.net
希「…………」
絵里「…………」
にこ「ど、どうしたのよ? みんな黙っちゃって」
穂乃果「やっぱり、ここおかしいよ」
凛「うん、凛もそう思う」
真姫「立て続けにおかしいこと起こりすぎよね」
ことり「海未ちゃん……」
海未「ことり……」
花陽「絵里ちゃん、どうする?」
絵里「今すぐここを出たいけど、バスも電車ももうないわよ」
ことり「ええ!? それじゃあ明日まで?」
穂乃果「待つしか、ないんだね、やっぱり……」
絵里「…………」
にこ「ど、どうしたのよ? みんな黙っちゃって」
穂乃果「やっぱり、ここおかしいよ」
凛「うん、凛もそう思う」
真姫「立て続けにおかしいこと起こりすぎよね」
ことり「海未ちゃん……」
海未「ことり……」
花陽「絵里ちゃん、どうする?」
絵里「今すぐここを出たいけど、バスも電車ももうないわよ」
ことり「ええ!? それじゃあ明日まで?」
穂乃果「待つしか、ないんだね、やっぱり……」
110: 2014/08/24(日) 00:25:49.06 ID:n3wSOaOS.net
凛「どうするにゃ? 明日は午前中までお仕事があるけど」
希「これ以上ここにいて、なにか起これば、今度こそ山のようになるかもしれないやん? 女将さんに謝って、朝イチで出たほうがいいと思うんやけど」
真姫「でもバイト代は? それにたった半日じゃない。午前中だし、何も起こらないわよ」
花陽「な、何か起こってからじゃ遅いんだよ、真姫ちゃん!」
真姫「花陽……」
海未「絵里たちが遭遇した、頭が破裂した男の幽霊。真姫が遭遇した生首の幽霊。にこが消された神隠し……。確実に私達に実害を加える段階まで来ているように思えます」
海未「ここまでくると、もう夜も昼も関係なくなにが起こっても不思議じゃないと思うんです」
にこ「……これは勘だけど、多分、今夜もなにかあるかもしれないわ。根拠は全くないんだけど」
穂乃果「え、そそんなぁ……」
ことり「それじゃあ、今夜はひとつの部屋に集まって寝ない?」
にこ「狭くてねれないわよ」
ことり「じゃあ、何が起こってもいいようにずっと起きてよう!」
にこ「修学旅行じゃないのよ!」
希「これ以上ここにいて、なにか起これば、今度こそ山のようになるかもしれないやん? 女将さんに謝って、朝イチで出たほうがいいと思うんやけど」
真姫「でもバイト代は? それにたった半日じゃない。午前中だし、何も起こらないわよ」
花陽「な、何か起こってからじゃ遅いんだよ、真姫ちゃん!」
真姫「花陽……」
海未「絵里たちが遭遇した、頭が破裂した男の幽霊。真姫が遭遇した生首の幽霊。にこが消された神隠し……。確実に私達に実害を加える段階まで来ているように思えます」
海未「ここまでくると、もう夜も昼も関係なくなにが起こっても不思議じゃないと思うんです」
にこ「……これは勘だけど、多分、今夜もなにかあるかもしれないわ。根拠は全くないんだけど」
穂乃果「え、そそんなぁ……」
ことり「それじゃあ、今夜はひとつの部屋に集まって寝ない?」
にこ「狭くてねれないわよ」
ことり「じゃあ、何が起こってもいいようにずっと起きてよう!」
にこ「修学旅行じゃないのよ!」
120: 2014/08/24(日) 01:02:58.66 ID:n3wSOaOS.net
穂乃果「でも、一箇所に集まるのはいい案だと思うな。実際もう怖くて寝られないもん」
凛「凛も賛成にゃ」
絵里「その、情けないけど私も」
希「みんな一緒なら怖くないやろ? こんな状況なんやし、雑魚寝でも問題無いと思うんやよ」
にこ「~~……みんながいいって言うなら、私はそれでいいわ。……私も怖いし」
真姫「決まりね。希たちの部屋のほうがちょっと広いから、そっちに集まったほうがいいわね」
凛「凛も賛成にゃ」
絵里「その、情けないけど私も」
希「みんな一緒なら怖くないやろ? こんな状況なんやし、雑魚寝でも問題無いと思うんやよ」
にこ「~~……みんながいいって言うなら、私はそれでいいわ。……私も怖いし」
真姫「決まりね。希たちの部屋のほうがちょっと広いから、そっちに集まったほうがいいわね」
121: 2014/08/24(日) 01:06:06.48 ID:n3wSOaOS.net
深夜
――ミシ……ミシ…………ミシ……
誰かが廊下を歩いている。ずっしりとした足取りだ。この部屋で寝ている少女たちのような、軽いものではない
希(やっぱり来た……)
絵里(の、希……)
希(シッ……)
足音は近づいたり離れたりと、一貫性がない
希は部屋を見渡した
どうやら起きているのは自分と絵里だけのようだ。他のみんなはスヤスヤと寝息を立てて寝ている
――ミシ……ミシ…………ミシ……
誰かが廊下を歩いている。ずっしりとした足取りだ。この部屋で寝ている少女たちのような、軽いものではない
希(やっぱり来た……)
絵里(の、希……)
希(シッ……)
足音は近づいたり離れたりと、一貫性がない
希は部屋を見渡した
どうやら起きているのは自分と絵里だけのようだ。他のみんなはスヤスヤと寝息を立てて寝ている
122: 2014/08/24(日) 01:09:42.13 ID:n3wSOaOS.net
.
――ガチャ……ギィィィィ……
隣の部屋が開く音が聞こえる。隣の部屋は、穂乃果たちが昨日まで寝ていた部屋だ
その部屋に何者かが侵入したのだ
―ミシ、ミシ……ミシ……
部屋を徘徊しているのか、足音は絶えず聞こえてくる
穂乃果たちの荷物はまだ部屋に残されていた。おそらくこの足音の主は人ではないだろう。だから荒らされる心配はなかったが、それでも放置された荷物が心配だった
まだ心に余裕がある証拠だろうか、そんな下らないことを考えてしまった
希(荷物、置きっぱなしやったな)
絵里(仕方ないわよ。このギュウギュウ詰めだもの)
希(そうやね。それより、あれはこっちの部屋にもくるんやろか)
絵里(こ、怖いこと言わないで……)
―バンッ!!
「!?」
――ガチャ……ギィィィィ……
隣の部屋が開く音が聞こえる。隣の部屋は、穂乃果たちが昨日まで寝ていた部屋だ
その部屋に何者かが侵入したのだ
―ミシ、ミシ……ミシ……
部屋を徘徊しているのか、足音は絶えず聞こえてくる
穂乃果たちの荷物はまだ部屋に残されていた。おそらくこの足音の主は人ではないだろう。だから荒らされる心配はなかったが、それでも放置された荷物が心配だった
まだ心に余裕がある証拠だろうか、そんな下らないことを考えてしまった
希(荷物、置きっぱなしやったな)
絵里(仕方ないわよ。このギュウギュウ詰めだもの)
希(そうやね。それより、あれはこっちの部屋にもくるんやろか)
絵里(こ、怖いこと言わないで……)
―バンッ!!
「!?」
124: 2014/08/24(日) 01:12:20.98 ID:n3wSOaOS.net
.
―バンッ!バンバンバンッ!!
隣の部屋から、こちら側の壁に向かって何かが叩いている
振動が屋根から埃を落とす程の強さだ。壁が破壊されそうな勢いがある
希(え、エリち!)
絵里(希!!)
―ドンッ! ドガッ!!
壁の音に気を取られていた時に、ドアが音を立てた
そして、それを最後に一切の音が聞こえなくなった
―バンッ!バンバンバンッ!!
隣の部屋から、こちら側の壁に向かって何かが叩いている
振動が屋根から埃を落とす程の強さだ。壁が破壊されそうな勢いがある
希(え、エリち!)
絵里(希!!)
―ドンッ! ドガッ!!
壁の音に気を取られていた時に、ドアが音を立てた
そして、それを最後に一切の音が聞こえなくなった
125: 2014/08/24(日) 01:15:43.23 ID:n3wSOaOS.net
警戒した希は壁、天井、ドア、窓というふうに、順番に目を走らせて確認していく
希(……もう、大丈夫やな)
希(でも、一応窓の外も確認しておこう)
スゥッ……
希(……異常なし)チラチラリ
希「エリち、もう大丈夫そうや。山は越したんと思うよ」
絵里「ああ、ありがとう希」
希「さ、寝れへんかもしれないけど、横になろ。帰る時間まで身が持たへんよ」
カエレナイヨ
絵里「うん。そうね……」
カエサナイヨ
絵里「おやすみ、希」
モウ
希「おやすみ、エリち」
ハナサナイ
希(……もう、大丈夫やな)
希(でも、一応窓の外も確認しておこう)
スゥッ……
希(……異常なし)チラチラリ
希「エリち、もう大丈夫そうや。山は越したんと思うよ」
絵里「ああ、ありがとう希」
希「さ、寝れへんかもしれないけど、横になろ。帰る時間まで身が持たへんよ」
カエレナイヨ
絵里「うん。そうね……」
カエサナイヨ
絵里「おやすみ、希」
モウ
希「おやすみ、エリち」
ハナサナイ
127: 2014/08/24(日) 01:18:56.93 ID:n3wSOaOS.net
それから、何事も無く仕事を終え、彼女たちは無事に帰宅することができた
連日の不可解な出来事のためか、バスの中でも、電車の中でも熟睡していた
幽霊が侵入した部屋だが、荷物は無事だった。無事だったが、部屋はひどい有様だった
得体のしれない汚物が撒き散らされ、業者を呼ぶ騒ぎとなった
流石にこの惨状を、女子であり、学生でもある彼女たちには無理だろうということで、無罪放免だった
だが、荷物を取りに行く時に、凛は見てしまった
汚物の中に、毛や爪らしきものがあることを
このことは誰にも言っていない。心の中に留めておいた、彼女だけの秘密だ
それは余計な心配をさせない、彼女なりの優しさだった
連日の不可解な出来事のためか、バスの中でも、電車の中でも熟睡していた
幽霊が侵入した部屋だが、荷物は無事だった。無事だったが、部屋はひどい有様だった
得体のしれない汚物が撒き散らされ、業者を呼ぶ騒ぎとなった
流石にこの惨状を、女子であり、学生でもある彼女たちには無理だろうということで、無罪放免だった
だが、荷物を取りに行く時に、凛は見てしまった
汚物の中に、毛や爪らしきものがあることを
このことは誰にも言っていない。心の中に留めておいた、彼女だけの秘密だ
それは余計な心配をさせない、彼女なりの優しさだった
128: 2014/08/24(日) 01:19:49.07 ID:n3wSOaOS.net
.
結局、彼女たちが体験した出来事はなんだったのか分からず仕舞いだった
きっとあの民宿に何かあるんだろうと、みんなは推測したが、出来事から得られる情報の異様さに、全員それ以上の追求はしなかったのだ
ただ、帰り際に見た女将の異常に輝いた眼が、何かを物語っているようで、それが一番恐ろしかった
.
結局、彼女たちが体験した出来事はなんだったのか分からず仕舞いだった
きっとあの民宿に何かあるんだろうと、みんなは推測したが、出来事から得られる情報の異様さに、全員それ以上の追求はしなかったのだ
ただ、帰り際に見た女将の異常に輝いた眼が、何かを物語っているようで、それが一番恐ろしかった
.
129: 2014/08/24(日) 01:21:25.95 ID:n3wSOaOS.net
帰宅してから数日が経ったある日
穂乃果「あーあ、山も海も散々だったなぁ。なんで怖い目にばっかりあってるんだろう」トコトコ
穂乃果「あれから練習にもあんまり身が入らないし、つかれてるのかなぁ」トコトコ
穂乃果「あともう少しで夏休みも終わるのに、もうちょっとみんなと思い出つくりたかったな。これじゃあホラー映画だよ」トコトコ
穂乃果「…………ん?」トコ…
穂乃果「物置があいてる。誰か空けたのかな」
穂乃果「……」キョロキョロ
穂乃果(誰も見てない)
穂乃果(そういえばこの中って入ったことなかったな。入ったら怒られちゃうし)
穂乃果(でも)
穂乃果(穂乃果の好奇心を抑えることは出来ないのだ。バレなきゃあ大丈夫だよね!)
穂乃果「あーあ、山も海も散々だったなぁ。なんで怖い目にばっかりあってるんだろう」トコトコ
穂乃果「あれから練習にもあんまり身が入らないし、つかれてるのかなぁ」トコトコ
穂乃果「あともう少しで夏休みも終わるのに、もうちょっとみんなと思い出つくりたかったな。これじゃあホラー映画だよ」トコトコ
穂乃果「…………ん?」トコ…
穂乃果「物置があいてる。誰か空けたのかな」
穂乃果「……」キョロキョロ
穂乃果(誰も見てない)
穂乃果(そういえばこの中って入ったことなかったな。入ったら怒られちゃうし)
穂乃果(でも)
穂乃果(穂乃果の好奇心を抑えることは出来ないのだ。バレなきゃあ大丈夫だよね!)
130: 2014/08/24(日) 01:21:57.94 ID:n3wSOaOS.net
穂乃果「ん……ンン? なんだろうこれ……?」
穂乃果「ハコ?」
穂乃果「綺麗な箱だなぁ……うちにこんなのがあったなんて知らなかった」
――カラカラカラ……
穂乃果「中になにか入ってる。でも、開ける部分が見当たらないなー」
穂乃果「そうだ、海未ちゃんたちにも見せようっと。ついでに一緒にあけ方考えてもらおーっと!」
穂乃果「うーみちゃーん!」
fin
穂乃果「ハコ?」
穂乃果「綺麗な箱だなぁ……うちにこんなのがあったなんて知らなかった」
――カラカラカラ……
穂乃果「中になにか入ってる。でも、開ける部分が見当たらないなー」
穂乃果「そうだ、海未ちゃんたちにも見せようっと。ついでに一緒にあけ方考えてもらおーっと!」
穂乃果「うーみちゃーん!」
fin
131: 2014/08/24(日) 01:23:24.93 ID:XqQgZxVR.net
ここに繋がったか乙
132: 2014/08/24(日) 01:24:09.48 ID:nnLjNoP1.net
乙
140: 2014/08/24(日) 02:03:11.12 ID:n3wSOaOS.net
サルされまくりなので、続きは朝にでも
つっても2レス程度だけどな
あと、元ネタとか紹介させてほしい
それじゃあ
つっても2レス程度だけどな
あと、元ネタとか紹介させてほしい
それじゃあ
148: 2014/08/24(日) 07:58:31.77 ID:n3wSOaOS.net
.
エピローグ
希「――――ていうことがあったんです」
「それは大変だったなぁ。ひと月で二度もそんな目にあうなんて」
希「うちらが行くところ全部そういうのがついて回ってるようなんです」
「心配?」
希「うちはいいんやけど、友達たちが心配なんです」
「そうだな。じゃあ、休み中に一度みんなで拝みに来るといい。気休めだけど、何もないよりは心が楽になるだろうし」
希「ありがとうございます……Tさん」
神主T「いや、ほかならぬ希さんの頼みだからね。それにいつも手伝ってもらって助かってるし」
エピローグ
希「――――ていうことがあったんです」
「それは大変だったなぁ。ひと月で二度もそんな目にあうなんて」
希「うちらが行くところ全部そういうのがついて回ってるようなんです」
「心配?」
希「うちはいいんやけど、友達たちが心配なんです」
「そうだな。じゃあ、休み中に一度みんなで拝みに来るといい。気休めだけど、何もないよりは心が楽になるだろうし」
希「ありがとうございます……Tさん」
神主T「いや、ほかならぬ希さんの頼みだからね。それにいつも手伝ってもらって助かってるし」
149: 2014/08/24(日) 08:00:00.98 ID:n3wSOaOS.net
.
神主T(別にいますぐなにか起こるわけじゃないが、随分と変なものを連れ回しているなぁ)
神主T(多分、そいつがいろんなまずい場所に引っ張っていっているんだろう)
神主T(希さん一人祓った所で意味は無い。そのグループ全員を一度にやらないとダメだ)
神主T(このまま放っておいたら、いつか本当に命の危険に晒されてしまうだろう)
神主T(その前におこなっておきたいところだが……果たしてそううまく行くかな)
神主T(寺生まれの俺が、今や何故か神主か。実は俺にも、そういう奴がくっついているのかねぇ……)
穂乃果「コトリバコだって! ことりちゃんが取られちゃうよ!」ことり「ちゅん?」
へ続く
神主T(別にいますぐなにか起こるわけじゃないが、随分と変なものを連れ回しているなぁ)
神主T(多分、そいつがいろんなまずい場所に引っ張っていっているんだろう)
神主T(希さん一人祓った所で意味は無い。そのグループ全員を一度にやらないとダメだ)
神主T(このまま放っておいたら、いつか本当に命の危険に晒されてしまうだろう)
神主T(その前におこなっておきたいところだが……果たしてそううまく行くかな)
神主T(寺生まれの俺が、今や何故か神主か。実は俺にも、そういう奴がくっついているのかねぇ……)
穂乃果「コトリバコだって! ことりちゃんが取られちゃうよ!」ことり「ちゅん?」
へ続く
151: 2014/08/24(日) 08:04:25.43 ID:n3wSOaOS.net
猿さんに三回も引っかかるとは苦痛だなぁ
元ネタは
リゾートバイトを下地に、
淡路島の五色浜へ同級生5人と海水浴&キャンプに行った 頭が吹っ飛んだ男の生首
海の近くの合宿寮(名称を忘れた) 友達が突然いなくなる
をメインに書いたよ
元ネタは
リゾートバイトを下地に、
淡路島の五色浜へ同級生5人と海水浴&キャンプに行った 頭が吹っ飛んだ男の生首
海の近くの合宿寮(名称を忘れた) 友達が突然いなくなる
をメインに書いたよ
153: 2014/08/24(日) 08:09:52.16 ID:n3wSOaOS.net
幽霊なんて山もなければ意味もなく、オチもないと思ってるから、こんな最後になったよ
時間の流れは
シシノケ 夏休みからちょっと経った頃
アルバイト 真ん中すぎ
コトリバコ 夏休み終わる直前
で、唯一解決まで行ったコトリバコの話で、ようやく何かが祓われ、トラブルに巻き込まれる心配も無くなったというわけですわ
正体不明が一番怖いよな
ここまで読んでくれてありがとう
時間の流れは
シシノケ 夏休みからちょっと経った頃
アルバイト 真ん中すぎ
コトリバコ 夏休み終わる直前
で、唯一解決まで行ったコトリバコの話で、ようやく何かが祓われ、トラブルに巻き込まれる心配も無くなったというわけですわ
正体不明が一番怖いよな
ここまで読んでくれてありがとう
157: 2014/08/24(日) 10:05:08.37 ID:n3wSOaOS.net
(リゾートバイトは完成され過ぎてて無理でした。それに長いし。だから、海にバイトに行く程度しか要素が無いんだ。す)
47: 2014/08/23(土) 22:06:15.59 ID:vWnxqZ2F.net
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