140: 2012/08/08(水) 23:46:47.99 ID:EWIoCi64o





前話はこちら







伊織(私が春香の手によって『スタンド使い』にされてから…)

伊織(数日が…経った)

あずさ「伊織ちゃん、おはよう~」

伊織「おはよう。あずさが私より先に来てるなんて珍しいわね」

美希「デコちゃーん、ミキのおにぎり知らない? ここに置いといたんだけど」

伊織「知らないわよそんなの。それと、デコちゃん言うな!」

伊織(なんて言うか…私が心配していたような出来事は何もなく、みんなの態度も拍子抜けするくらいいつものままだった)

伊織(この中のほとんどが『スタンド使い』だなんて…とても信じられない)

春香「おはよー!」

伊織「…っ!」ビクッ

春香「あれ、どうしたの伊織? おはよう!」

伊織「………」

伊織「ええ、おはよう春香」

伊織(春香もまた…以前と変わらぬように私に接してくる。少なくとも表面上は…)



※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

141: 2012/08/08(水) 23:54:56.71 ID:EWIoCi64o
真美「ピヨちゃーん、ここのボスが倒せないよー! 攻略法教えてー」

小鳥「うぇぇ…ごめん、ちょっと後にして…徹夜でねむい…」ガクゥ

響「うわっ、ピヨ子が倒れたぞ!」

伊織(事務所は何一つ変わっていない。少し違和感はあるけれど、私がスタンド使いになっても以前と同じように動いている)

伊織(こうもいつも通りだと、あの出来事自体が何かの間違いなんじゃないかと思いたくなるわね)

伊織(だけど…)チラ…

春香「………」

ドドドドド

伊織「………」

春香「………」ジ…

ドドドドドドドド

伊織(監視… ……)

伊織(されている…春香に…)

春香(流石に、こんなところで堂々と手は出してこないみたいだけど)

伊織(あの顔…『伊織なんていつでも始末できる』…そういう顔をしてるわね)

143: 2012/08/09(木) 00:03:13.33 ID:ePOZwSA+o
律子「春香」

春香「はい? 律子さん?」

律子「もうすぐ仕事でしょう? 送ってくわよ」ガチャ

春香「あ、はい。お願いします!」タッ

バタン!

伊織「ふぅ…」

伊織(春香は今や押しも押されもせぬ有名アイドル。スケジュールはギチギチ…)

伊織(それに、敵対者は私の他にもあと『2人』いる)

伊織(今は私の相手をしている暇なんてないんでしょうね)

伊織(でも、春香も納得はしていないでしょう。スタンドもろくに使えない私を一方的にいたぶって…その上逃げられたんじゃ…)

伊織(いずれ、仕掛けてくるはず…)

伊織(とりあえず、遅くまで事務所に残るのはやめておいた方がいいか…)

144: 2012/08/09(木) 00:09:03.85 ID:ePOZwSA+o
やよい「伊織ちゃん!」

伊織「あら、やよい。どうしたの?」

やよい「えっと、今日、弟のお誕生日パーティーをやるんだけど…」

伊織「へぇ、そうなの?」

やよい「せっかくだし伊織ちゃんにも来てほしいかなって」

ゴゴゴゴゴゴ

伊織「………」

伊織「やよい、他には誰か来るの?」

やよい「えっと、響さんと…千早さんと…」

伊織「あいつら…」

やよい「それと、春香さんも!」

伊織「!」

145: 2012/08/09(木) 00:15:47.62 ID:ePOZwSA+o
やよい「伊織ちゃん、来てくれるかな…?」

ゴゴゴゴゴゴゴ

伊織「………」

伊織「い… ………」

伊織「行けないわ。今日の夜は、予定があるのよ」

やよい「そっかー…」シュン

伊織「ごめんなさい、やよい」

やよい「ううん、予定があるなら仕方ないよね…」

やよい「それじゃ、今日も頑張ろうね!」

伊織「ええ」

トタトタ

伊織(やよいが私を騙すとは思えないけど…)

伊織(万が一ということもある…春香が来る以上、安全とは思えないわ…)

146: 2012/08/09(木) 00:21:02.58 ID:ePOZwSA+o
ザ…

真「あれ? 伊織、どこ行くのさ」

伊織「ちょっと、外の空気を吸ってくるわ」ガチャ

バタン

伊織「………」

伊織(春香を…)

伊織(春香を倒さなくては…)

伊織(春香を倒さなくては、私は一生春香の影に怯えて生きなくてはならなくなる! そんなのは嫌ッ!)

伊織(あいつのせいで、私は事務所の仲間をも疑わなければいけない…こんなの、耐えられないわ!)

伊織(だけど、私は一人…それで春香を倒す…できるの?)

伊織(…矢を壊そうとしている『2人』…できれば、協力して春香を倒したいけど…)

伊織(誰が『敵』で誰が『味方』なのかもわからない…)

伊織(春香の側は、春香を入れれば『8人』…下手に誰かに話しかければ、その中に当たってその場で始末されてしまうかもしれないわ)

147: 2012/08/09(木) 00:27:41.20 ID:ePOZwSA+o
伊織(まず、さっき話しかけてきたやよい)

伊織(敵とは思いたくないけど、やよいは何も疑わず仲間に加わるタイプね…)

伊織(あずさもそうかしら? いや、意外とそういうところはしっかりしている気もする…)

伊織(うーん…考えれば考えるほどワケわかんなくなってくるわね…)

伊織(待てよ…)

伊織(春香は、スタンド能力を『アイドルとしての才能』と言っていた)

伊織(その話が本当かどうかはともかく…春香がそう信じているということは、アイドルじゃない人間は『スタンド使い』ではないということ!)

伊織(小鳥は経歴が結構謎だし、律子はアイドルやってた時期があるから可能性はゼロじゃないにしても…)

伊織(少なくともプロデューサーは春香の仲間ではない!)

伊織「あーっ、だからなんなのよ~っ…! スタンド使いじゃないなら何の役にも立たないじゃない…」

148: 2012/08/09(木) 00:34:30.59 ID:ePOZwSA+o
伊織(一人一人考えるのはやめましょう。『春香の仲間にならないであろう人物』を考えた方が早そうだわ)

伊織(『スタンド使い』になり、春香に誘われた上で『矢を壊した方がいい』と言うようなのは…)

伊織(真、貴音、律子…可能性があるとしたらこのあたりかしら?)

伊織(律子は…あの日、事務所にいたにも関わらず、私達のいざこざに対し無反応だった)

伊織(春香の『聴覚操作』にやられていた可能性もあるけど…もしかしたら、もう…)

伊織(でも、真と貴音で断定できるわけでもないわ。そもそも、この中にいるとも限らないし…)

伊織(………)

伊織「あーっ、もう!」

伊織(考えるだけ時間の無駄! どうせ周りは敵だらけなのよ!)

伊織(だったらリスクを冒してでも動かなきゃ、最終的にやられるだけ!)

伊織(仲間を増やせれば儲けもの、春香の仲間に当たったら…)

伊織(返り討ちにしてやるわ! 春香の戦力を一人でも減らすッ!)

149: 2012/08/09(木) 00:41:48.91 ID:ePOZwSA+o
伊織(私の『スタンド』…)

モクモクモク

伊織(この『煙』のスタンド、練習して少しは使いこなせるようになった)

伊織(できることと言えば…)

…モクモクモク

ググ…

グオン!

伊織(昨日やったみたいに、ものを押したり引いたり)

伊織(それと…)

ガシッ

ヒュン!

伊織(掴んで投げるってことはできる)

伊織(『高校球児』よりはいい球投げてるんじゃあないかしら? よくわかんないけど)

150: 2012/08/09(木) 00:42:44.05 ID:ePOZwSA+o
おっと、まちがい

>伊織(昨日やったみたいに、ものを押したり引いたり)

伊織(この前やったみたいに、ものを押したり引いたり)

151: 2012/08/09(木) 00:52:03.65 ID:ePOZwSA+o
伊織(でも…)

ドォ!

ボフッ!

モクモク…

伊織(何かを殴ったりすること…これは、『不可能』…煙をぶつけた瞬間、スタンドは散ってしまう)

伊織(そして、『距離』…)

スゥゥゥーッ…

伊織(50mくらいは届く。かなりの『遠距離型』のようね)

伊織(でも、遠ざかれば遠ざかるほど…)

グ…

シン…

伊織(『パワー』も『スピード』も『正確さ』も落ちる…)

伊織(射程距離ギリギリでは本当に目くらまし程度にしか使えないわね…実際に使うとなると20mから30mくらいまでが限度かしら…)

伊織(10m以内なら、結構な『パワー』が出るわ。また春香が襲ってきても、パワーはこっちの方が上)

伊織(逃げる…だけなら、確実にできる…はず。戦うとなると、あの『五感支配』…ただでは済まないわね)

伊織(私が使えるのはこの程度。これで、どうにかするしかないか)

152: 2012/08/09(木) 01:00:09.35 ID:ePOZwSA+o
伊織「………」ガチャ

亜美「あ、いおりんおかえりー」

伊織「ただいま…」

伊織(今事務所にいるのは…やよい、真、雪歩、千早、美希、あずさ、亜美、真美、小鳥の9人…)

伊織(やよいと千早はパーティーがあるから駄目ね…まぁ、誰に話しかけるかなんて決まっているけど)

伊織「真」

真「ん?」

美希「あ、デコちゃんなの」

雪歩「伊織ちゃん、どうしたの?」

伊織「ちょっと真と話したいことがあるんだけど。来てもらっていいかしら?」

真「え? ここで話しちゃ駄目なのか?」

伊織「駄目よ、ちょっと大事なことなの」

美希「まさか…デコちゃん愛の告白?」

雪歩「え、そうなの!?」

伊織「違うわよ! あんた達と一緒にしないでちょうだい!」

美希「ちょっとしたジョーダンなの…」

真「ま、まぁ…ボクは構わないけど…」

雪歩「ええっ!? 真ちゃん、伊織ちゃんと付き合うのっ!?」

真「いや、そうじゃなくて…」

153: 2012/08/09(木) 01:10:44.77 ID:ePOZwSA+o
真「それで、話って何?」

伊織「春香のことよ」

真「春香…?」

伊織「テレビにグラビアに…大活躍でしょ。この伊織ちゃんを差し置いてあの活躍っぷりはちょっと生意気だわ」

真「あ、ああ…」

真「最近、凄いよね。ボクも負けてられないや」

伊織「そうよね、このまま負けっぱなしじゃ悔しいわ」

伊織(………)

モクモク…

真「!」

伊織(『煙のスタンド』…やっぱり、真も『見える』…みたいね…)

154: 2012/08/09(木) 01:20:25.55 ID:ePOZwSA+o
伊織「それで…」

伊織「春香は今日の夜、やよいの家のパーティーに出るみたいなのよ」

伊織「だからその間に…二人で春香を打ち負かすにはどうしたらいいか話し合いたいんだけど…」

伊織「来てくれるかしら?」

真「………」

真「みんながいなくなるまで…事務所に残ってればいいのかな…?」

伊織「ええ、そうね」

伊織「鍵をかけるまで律子かプロデューサーか小鳥の誰かしらが残るだろうから、事務所のどこかに隠れていましょ」

真「…わかった」

伊織(…これで、とりあえず真と二人で話せる)

伊織(話し合うにしても、戦うことになるにしても、二人きりの方が都合がいいわ)

伊織(戦うことになったら…大丈夫よ、この『スタンド』は強い。この伊織ちゃんのスタンドなんだから)

155: 2012/08/09(木) 01:23:52.58 ID:ePOZwSA+o
小鳥「………」キョロキョロ

小鳥「もう、誰もいないわね? 電気も消して…これでよしっと」

ガチャッ

………

……



パチッ!

伊織「ふぅ…やれやれだわ、暗い中でじっとしてるのって冷や汗出るわね」

真「伊織、電気つけちゃまずいんじゃあないか…?」

伊織「真っ暗な中で話し合いするわけ? 嫌よ私は」

伊織「小鳥が行ってからしばらく経ってるし大丈夫でしょ」

真「そうかなぁ…」

伊織「何か飲む? 冷蔵庫に入ってるものだけだけど」

真「うーん…水でいいや」

伊織「そう。台所に紙コップがあるから自分で汲んでちょうだい」

真「あれ、伊織が入れてくれるんじゃないのか?」

156: 2012/08/09(木) 01:25:37.21 ID:ePOZwSA+o
真「それで、話したいこと…」

真「春香のことだったっけ?」

伊織「…その前に一つ確認しておきたいんだけど」

伊織「真、あんた『スタンド使い』よね? 春香に『弓と矢』で貫かれて…発現した」

真「ああ、そうだ。あの『煙』…伊織もそうなんだよね」

伊織「じゃあ、どうして私がこうやってあんたを呼んだのかもわかるわよね?」

真「まぁ…ね」

伊織「まどろっこしいのは嫌いなんで単刀直入に聞くわ。あんた、春香の『敵』? 『味方』?」

真「………」

真「伊織はどっちなのさ?」

伊織「質問を質問で返すってのは感心しないわね。でも、ま…こっちから答える必要はあるか」

伊織「私は春香の『敵』よ」

真「………」

伊織「事務所のメンバーとしては今でも『仲間』だとは思っているけど…あいつのやっていることは許せないわ」

真「そっか…そうだよなぁ…」

真「ボクも…同じ意見だよ、伊織」

伊織「!」

157: 2012/08/09(木) 01:28:36.53 ID:ePOZwSA+o
伊織「それじゃ真、あんたは…」

真「…春香は『弓と矢』を使って『スタンド使い』を増やしている」

真「それだけならまだいい」

伊織「………」

真「春香は『仲間』を集めている」

伊織「断る相手は『アイ・ウォント』で脅して無理矢理…ね」

真「そう…」

真「伊織も、『スタンド使い』になったってことは、春香の『アイ・ウォント』を見たってことだろう? よく逃げられたね…」

伊織「まぁ、この伊織ちゃんにかかればね」

伊織「でも…逃げるだけが精一杯だったわ。まともに使いこなせなかったとはいえ、戦うとなると…一人じゃあまず勝てないでしょうね」

真「だからボクに声をかけたのか? 仲間を増やすために」

伊織「ええ、春香には敵対者が『2人』いるらしいから。真がそうだと思ったんだけど…」

158: 2012/08/09(木) 01:29:34.72 ID:ePOZwSA+o
真「仲間を増やしたところで…」

真「無理だよ。何人集まろうと、春香の『アイ・ウォント』には勝てない」

伊織「例えそうだとしても…私は春香を倒すわ。倒さなければいけない!」

真「いや、倒されるのはキミの方だよ。ここで、ボクにね」

伊織「!」バッ

ヒュッ

パリィィン!!

伊織(何かが天井にぶつかって割れた…)

伊織「ちっ!!」ババッ

ガシャァァァ

真「へぇ…悪くない反応だね。流石は伊織だ」

伊織「真、あんたは…」

ドドドドド

真「まさか、そっちから接近してくるとは思わなかったけど…」

伊織(春香に敵対する『2人』は『矢を壊そうとしている』人物…)

真「伊織が春香を倒そうとしているなら…放っておくわけにはいかないな」

伊織(真は…違うわ…)

ドドドドドドドド

真「ここで『再起不能』(リタイア)してもらうよ、伊織」

164: 2012/08/15(水) 22:10:22.80 ID:91In+P4Eo
真「さぁスタンドを出せ、伊織」

真「ボクは春香のように甘くはないよ」

伊織「…あんたが春香の方に付くなんて思わなかったわ、真」

真「ボクとしては、伊織がそっちにいることの方が意外だったけどね」

伊織「はっ、冗談…誰が好き好んで、あんな奴の仲間になるもんですか」

真「なんでそんなに拒むのさ」

伊織「春香と同じことを言うのね…」

真「春香は仲間としてやっていこうって、そう言ってるんだよ?」

伊織「『仲間』ですって? あんた気づかないの、真…」

伊織「私達を見る春香の視線は『仲間』を見る目じゃなかったわッ! 利用すべき道具、『家畜』を見るような目よッ!」

真「………」

165: 2012/08/15(水) 22:19:02.18 ID:91In+P4Eo
伊織「春香は許せない…そう言った時、同じ意見だって言ったわよね、あんた」

真「あれは…本心だよ」

伊織「へぇ…じゃあ、そう思いながらも春香に付いてるわけ? 本心をごまかしながら」

伊織「格好悪いわね、真」

真「伊織も体感しただろ? 春香のスタンド、『アイ・ウォント』を」

真「あれに勝てるスタンドなんて、存在しないよ」

真「ボク達はアイドル…自分だけの体じゃあないんだ。逆らわない方が身のためだろう」

伊織「あんたはそういう不可能にも立ち向かっていく勇気を持っている…そう思っていたけど。過大評価だったかしら?」

真「勇気だって? 勝ち目の全くない戦いに挑んでいくことが勇気なのか?」

真「そんなものは勇気とは言わんなァ~ッ、ノミと同類よォ~ッ!」

伊織「腐ってんじゃあないわよ、この愚図ッ!!」

166: 2012/08/15(水) 22:28:14.87 ID:91In+P4Eo
真「…ボクはキミを尊敬するよ、伊織」

伊織「は? なによ、いきなり」

真「春香の『アイ・ウォント』を体験しておきながらまだそこまで逆らう意志があるなんてね…」

伊織「………」

真「それとも、まだスタンドを使いこなせないから…使えるようになれば『勝てる』とか…そんなことを考えているのかい?」

伊織「どうせ、春香は倒さなきゃいけないわ。なら同じことよ」

真「…春香は倒さなきゃいけない…ボクだって、そうは思っていたさ」

真「だけどボクの攻撃は一発も春香には届かず、戦意を折られ、希望を折られ、逃げることもできず…」

伊織「………」

真「ボクは春香に服従した。そうせざるを得なかった」

真「春香は強すぎる! そして、何を考えているのかもわからない!」

真「ボクは…春香が怖い…!!」

167: 2012/08/15(水) 22:40:30.45 ID:91In+P4Eo
伊織「何を言うかと思えば…」

伊織「倒さなきゃいけないと…そう思っていた、ですって?」

伊織「でも、実際あんたはそうやって春香の『味方』になってるんじゃない」

伊織「結局、あんたは春香にビビって屈したってだけでしょ? 情けないわね」

真「そうかもね」

伊織「真…」

真「…それでも、春香を敵に回したくはない」

伊織「あんた…」

真「だから…」

ゴゴゴゴゴ

真「ここでキミを倒す」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

168: 2012/08/15(水) 22:51:05.83 ID:91In+P4Eo
伊織「倒す、ね…」

伊織「悪いけど…あんたに先手を打たせるほどのんびりしてないのよ、この伊織ちゃんはッ!」

真「なに?」

伊織「はっ!」ドシュゥゥゥ

真(これは…伊織のスタンド、話してる間にも投げるものを用意していたのか…?)

真「灰皿か!?」ヒュン

伊織(は、素手で叩き落とすつもり!? 無理よ、腕が折れ…)

パァァン!!

パラパラ

伊織「な!?」

伊織(真が右腕で殴った灰皿が…)

伊織(粉々に…砕け散った!?)

169: 2012/08/15(水) 22:57:06.29 ID:91In+P4Eo
真「能力はないようだな…ただ、投げてきただけか…」ピキピキピキ

伊織(あれは…)

伊織(真の右手が…何か、黒いものに覆われている…?)

真「結構勢いはあったが、ボクの方がパワーは上のようだね」

伊織「く…」ジリ…

ジャリ

伊織「!? …これは…」

伊織(さっき真が天井に投げた…なにこれ、紙コップ…の、『破片』…?)

伊織「これは、一体…その右手は…」

真「これがボクのスタンド、『ストレイング・マインド』だ」

真「その能力は、物質を『硬く』すること」

伊織「物質を『硬く』する…スタンドですって…」

真「それは、紙コップを『硬く』して割れるようにした」

真「そして今のは、『灰皿』をさらに『硬く』し…このスタンドの拳で、粉々にブッ壊した」ピキピキ

伊織(『硬く』した灰皿を砕いたって…何よ、それ…どういう『パワー』してるわけ…?)

170: 2012/08/15(水) 23:02:10.63 ID:91In+P4Eo
伊織「………」ジリ…

真「どうした伊織? さっきまで威勢がよかったのに、そんな逃げ腰でさ」

伊織「あんたのスタンド…」

伊織「あまり遠くには出せないようね…距離を取られると、攻撃手段がないんじゃないかしら?」

真「………」

真「ああ、確かに…ボクのスタンドは『超近距離型』だ。この腕の届く範囲までしか出すことはできない」

真「だけど…遠くに攻撃する手段はあるよ」サッ

伊織(印刷用紙…何をするつもり…?)

真「『硬さ』において、重要なのは質量だ。例えば、金庫のドアのように分厚いものなら、『硬く』すればより壊れなくなる」

真「だけど、逆にこういうペラッペラな紙なら…」パッ

ググ…

真「オラァッ!!」ドォッ

パリィィィン

ヒュン!

伊織「!」バッ

伊織「うぐっ!!」サクッ

真「簡単に割れる。冬の朝、水たまりに張った氷のようにね」

真「そして、『薄い』ものは刺さりやすい。ただの紙も、『硬く』すればナイフよりも危険なものになる」

171: 2012/08/15(水) 23:11:46.50 ID:91In+P4Eo
伊織「この…真…」ググッ

ドロ…

伊織「よくもこの伊織ちゃんの肌に傷をつけてくれたわね…」

真「おいおい、抜かない方がいいよ伊織。血が出てるぞ」

伊織「うっさい! 返すわよ、あんたに!」ドシュゥ!

真「そんなものが、通用するか!」

バキャス! バシィ!

真「それで終わりか、いお…」

モクモクモク…

真「…!」

真(この『煙のスタンド』、一カ所に固めることもできるのか…)

真(『スピード』が上がっている…ボクが紙の破片を撃ち落としている間に、目の前まで…)

伊織「まさか。んなわけないでしょ、食らっときなさい!」

真(だけど、ボクのスタンドに比べれば全然遅い)

真「オラァッ!!」ドォ

伊織(え!? 速…)

ボフン!!

伊織「ああっ!」

伊織(スピードも速い! こっちは『煙』を集中して『パワー』や『スピード』も上がっているのに…)

伊織(まぁ、このスタンドは元々殴れないから…今のは注意を引かせて、距離をとることが目的だけど)

伊織(とにかく、近距離戦じゃあ勝ち目はなさそうね…!)

172: 2012/08/15(水) 23:18:15.70 ID:91In+P4Eo
真「………」

真「『煙』のスタンド… ………」

真「スタンドに攻撃が当たらないのか…ボクの『ストレイング・マインド』も、気体を『硬く』することはできない」

真「不用意にスタンドを出してきたかと思ったら、こういうことか?」

伊織「は…? 何の話よ?」

真「知らないのか? スタンドへのダメージは本体に帰ってくるんだ」

真「スタンドが攻撃を受ければ傷になるし、スタンドの腕を切り飛ばされれば、同じように本体の腕も飛んでいく…」

伊織「え…な、なんですって…?」

真「まぁ、そのスタンドなら攻撃を受けることもないだろうし、無理もないか…」

伊織「じゃあ、さっきの攻撃…」

真「ああ。仮に、伊織のスタンドがその『煙』のスタンドでなかったなら、ボクの『ストレイング・マインド』のパワーと能力…」

真「もう、伊織の右手はなかったはずだ」

伊織「!!」ゾクゥ

173: 2012/08/15(水) 23:19:40.83 ID:91In+P4Eo
伊織(べ…別に、ビビる必要なんてないわ…)

伊織「そう…ってことは、私のスタンドは他にはある弱点がないってことよね」

真「そうだね。まぁ、『気体』に攻撃を加えられるスタンドもあるかもしれないが」

伊織「少なくとも、あんたのスタンドには攻撃する手段はないでしょ?」

真「あぁ…ボクにこのスタンドを捕まえる手段はない」

伊織「………」

真「つまり…ボクは本体であるキミを直接ぶっ叩くしかないってことさ」

ゴゴゴゴ

伊織「そう…」

伊織「だったら、私はあんたが近づいてくる前にぶっ倒せばいいわけね」ズズズズ…

ゴゴゴゴゴゴ

真「なっ…!」

伊織「そこら辺に転がってるもん…片っ端から、拾わせてもらったわ」

真「おいおい…一体いくつのものを持てるんだ、そのスタンドは!」

真(『煙』だから、形は関係ない! だから、好きな形状にしてこういうことができるのか…)

伊織「あんたのスタンド…『スピード』が速いと言っても、この数…避けられるかしら? それとも、さっきみたいに撃ち落としてみる?」

伊織「食らえ、真ッ!!」

ドシュゥ! バシュゥ! ドォォォ!!

174: 2012/08/15(水) 23:20:32.44 ID:91In+P4Eo
真「厄介だな、そのスタンドは…春香が取り逃がしたってのもわかるよ…」

伊織「はっ、何よ? 今更気づいたわけ?」

真「でも、相手が悪かったね」

ピキピキピキピキ

伊織「!」

伊織(真の全身が黒い鎧に覆われていく…)

伊織(まるでヒーローショーに出てくる、戦隊もののヒーローみたいな…)

真「『ストレイング・マインド』」

バキ!

ドッ!! ガシャァァ

カラン

伊織(『避けたり』『弾いたり』…そんなことすらしない…!)

伊織(しかも、真のスタンドには…傷一つついていない!!)

真「『硬くする』能力を生み出す…ボクのスタンドはこの世の何よりも『硬い』」

真「傷をつけることができる物質は、ない!」

伊織(右腕だけじゃあない…身に纏う『スタンド』…ですって!?)

175: 2012/08/15(水) 23:21:40.88 ID:91In+P4Eo
真「さぁ…覚悟しろ、伊織!」ダダダッ

伊織「ッ!」

伊織(真の動きが速い…! さっきは腕の動きだけだったけど…)

伊織(あのスーツ、ただ身に纏うだけじゃなく身体能力を上げる効果もあるのね…)

伊織「ちっ、こっちに来るんじゃあないわよッ!」

ボフッ!

真「ン!」グッ!

ググ…

伊織「残念だけど、それ以上は近づかせないわ…」

真「押し戻す気か…」ググ

伊織(真との距離は10mもない、これなら…)

176: 2012/08/15(水) 23:22:55.08 ID:91In+P4Eo
真「でも…」ググググ

伊織「うっ!?」グッ!

伊織(逆に…押し返される! 真の凄まじい『パワー』がスタンドを通じて伝わってくるわ…!!)

真「その程度の『パワー』でボクを止められると思っていたのか?」ググオ オ ォ ォ ォ

伊織(このスタンド…春香の『アイ・ウォント』よりも…圧倒的な『パワー』を持っている…!!)

真「オラァッ!!」ブオンッ

ブワッ!!

伊織「きゃあああっ!?」

伊織(『煙』がまた吹っ飛ばされた…こんなにもあっさりと!!)

真「ボクの『ストレイング・マインド』は…」

真「『超近距離型』のスタンドだ。こうして身に纏うのが射程距離の限度で、伊織のように離れたところまで動かしたりはできない」

真「けど、その分『パワー』と『スピード』は最強…接近戦なら、誰にも負けはしない!」

伊織(あらゆるものを『硬く』し、砕く『破壊力』…この世の何よりも硬いという『防御力』…)

伊織(『アイ・ウォント』とこの『煙』だけ見て、そういう特殊な能力を持っているだけだと思ってたけど…スタンドってこんなヤバいものなの…?)

伊織「だけど…こんなところで負けるわけにはいかないのよ、この伊織ちゃんはッ!!」

177: 2012/08/15(水) 23:25:04.63 ID:91In+P4Eo
スタンド名:『ストレイング・マインド』
本体:菊地 真
タイプ:近距離パワー型・装着系
破壊力:A スピード:A 射程距離:なし 能力射程:D(5m)
持続力:B 精密動作性:D 成長性:C
能力:黒いスーツを身に纏い、全身を守るとともに、高い身体能力をさらに引き出す真のスタンド。
スタンド自身の強力さの反面、射程距離は非常に狭く、身に纏う以上の距離を出すことはできない。
能力は触れたものを『硬く』すること。気体でなければ、紙だろうが水だろうが何だろうと『硬く』してしまえる。
『硬く』するということは『硬度』を上げることなので、一概に壊れにくくなるわけではなく、厚みのない物質ならば逆に壊れやすくなる。
打撃パワーに優れる真の『ストレイング・マインド』は、殴っただけであらゆるものを粉砕するだろう。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

178: 2012/08/15(水) 23:37:24.53 ID:lrTstfuro
乙!面白い
ストレイング・マインドはホワイトアルバムと似てるな

179: 2012/08/16(木) 00:09:39.42 ID:hZrK1P0Lo
真ちゃんのスタンド////
硬くすることができるなんて////

196: 2012/08/24(金) 23:50:26.55 ID:WpHRYqxOo
伊織(春香の言葉…)

伊織(「スタンドは事故に見せかけて誰かを頃すことさえできる…」)

伊織(私はその言葉を、少し大げさだと思っていた)

伊織(春香の『アイ・ウォント』も、私の『煙のスタンド』も、人間よりは強いけど…そこまで言うほどの『パワー』はない)

伊織(スタンドはスタンド使い以外には見えないらしいから…それで言ってるんだと考えていた)

伊織(人間だって、その気になれば誰かを頃すことは…できるもの)

伊織(だから、スタンドは特別な力があるだけの…そういうものばかり思っていた…こいつを見るまでは…)

真「この腕で、キミに一撃叩き込む…」

真「それで終わりだ。一発で決着する」

ドドドドド

伊織(真のスタンド…『ストレイング・マインド』…)

伊織(常識外のパワーと高い殺傷力を持つ、正真正銘の凶器…!)

伊織(流石に、真に頃す気はないとは思うけれど)

伊織(もしも、間違って頭に食らってしまえば…一発でブチ割られて氏ぬ…!)

伊織(私にとっては、春香の『アイ・ウォント』よりもこっちの方がよっぽど恐ろしいわ…!!)

197: 2012/08/24(金) 23:59:02.53 ID:WpHRYqxOo
伊織(だけど…)

伊織(気持ちで負けてはいけない!)

真「ぐ!」グイ!

真「また、煙か…」ググ…

伊織(春香は、スタンドは精神のエネルギーだと言っていたわ)

伊織(気持ちで勝っていれば、真相手でも…きっと勝てるはずよ)

真「オラオラァ!!」

バヒュッ!

真「そのスタンドじゃ…ボクは止められないぞ、伊織!」

ガシャ! ガシャァ!

パラパラ…

伊織「………」

伊織「無理ね」クルッ

真「あっ!?」

ダッ

真「逃げるのか、伊織!」

伊織「うっさいわね、逃げて何が悪いのよ! あんたのスタンドと正面からやりあうなんてバカのやることだわ!」

伊織(戦うにしろ、この狭い事務所…真にとって圧倒的に有利!)

伊織(まずは拓けた場所に出た方が絶対にいい!)

伊織(幸い、こっちは玄関側…鍵を開ける必要はあるけど、ここは室内。余裕よ)

198: 2012/08/25(土) 00:07:40.63 ID:uqazEZL/o
伊織(まずはこの密室から出ること…せめて階段まで行ければ…)

真「………」ガシャガシャ

伊織(真のスピードと、この距離…行ける!)

伊織「よし!」ガチャ!

ガラガラ

伊織「ん?」チラ

伊織(なに、今の音…)

ゴオオオオオ…

伊織「何ィッ!」

伊織(し…仕切りが飛んできた!?)バッ

ドガシャァン!

伊織「く…」

ズゥン…

伊織「玄関が塞がれて…」

伊織「だけど、こんなもんすぐどかし…」モクモク…

ヒュッ

伊織「かっ…!?」ササッ

ドス! ビス!

伊織「か、傘が…刺さって…!」

真「これで…玄関からは逃げられない」

伊織(手元の部分まで食い込んでるわ…どうすればこうなるってのよ!)

伊織(私のスタンドじゃ、『ドアをブッ壊す』なんて無理…! 完全に塞がれてしまった…!)

伊織(滅茶苦茶やってくるわね、真の奴…!!)

199: 2012/08/25(土) 00:11:02.10 ID:uqazEZL/o
真「さぁ…次はどうするんだ?」

伊織「やっば…」

伊織(正面からは真、左は社長室…壁になってるわ)

伊織(となると、右の給湯室の方に逃げたいところだけど…)

真「この距離なら、逃がすことはないと思うけど?」ズ…

伊織(真も、きっとそう考えてる…でしょうね…)

伊織(左は駄目、右も駄目、正面も駄目…)

伊織(だったら…)

真「オラァッ!!」ドン

伊織「上よッ!」

ボヒュッ!

真「何!?」スカッ

クッギュゥゥゥゥーン

伊織「飛べた…!」スタッ

201: 2012/08/25(土) 00:12:43.10 ID:uqazEZL/o
バキィ!

真「ぐっ!? 腕が…」ググ…

伊織「はっ、自分で仕掛けた仕切りに突っ込むなんてざまあないわね」

伊織「そこで見てなさい、伊織ちゃんの脱出劇を!」

真「…そのスタンド、機動力はなかなかだね」

真「やっぱり、これくらいは通り抜けるか」

フ…

伊織「ん?」

フワ フワ

伊織「…これは…」

伊織(この、浮かんでいる…ガラスの球体みたいなものは…!)

真「たぶん、玄関を塞がれれば…伊織は窓を目指すだろうから…」グググ…

真「先に手を打たせてもらったよ」パキィ!

202: 2012/08/25(土) 00:17:54.35 ID:uqazEZL/o
フワ フワ フワ

伊織「『シャボン』…『玉』ッ!」

伊織(まずいッ! これも、スタンドで『硬く』しているとしたら…)

伊織(絶対に触れてはならないッ!)

真「触れなくても同じことだよ、伊織」

パチン

伊織「え…」

ピキ! パリパリパリィィン

伊織「ちょっ…!?」

真「別に、近づく必要もなかったな…」

真「シャボン玉の表面を、一部だけ『硬く』した。察しの通り、触れただけですぐ割れるし…」

真「そうでなくとも『硬く』していない部分は空気中で勝手に弾ける」

真「そしてこのシャボン玉、さっきの紙よりもさらに薄い。その破片は、ガラスのようによく突き刺さるよ」

203: 2012/08/25(土) 00:23:02.69 ID:uqazEZL/o
パラパラパラ

伊織「そう…」

フワ…

伊織「触れても、放っといても壊れるって言うなら…」

スゥゥーッ

ピタ…

真「シャボン玉を…『煙』で包み込んで…」

伊織「こっちから壊してやるわ」

パチン! パチン!

真(煙の中で次々と割られていく…破片も飛び散らない)

パラパラパラ

伊織「そのシャボン玉…こうして『煙』を私の回りに広げておけば…」

ドドド

伊織「防ぐのはそう難しいことじゃあないわ」

ドドドドドド

204: 2012/08/25(土) 00:34:38.14 ID:uqazEZL/o
伊織「何か別の手を考えた方がいいんじゃない? あんたの『遠距離攻撃』は私には通用しないわ」

真「そうかな…」

伊織「あんたの策…玄関を塞いだり、シャボン玉を罠として仕掛けたり…」

伊織「どっちも私には無駄だったわ! 私のスタンドの方が強い!」

真「シャボン玉を罠として仕掛けた…?」

真「伊織、ボクがそのためにこれを飛ばしているのかと思ったら…」

真「大間違いだよ」ス…

伊織「ん!」

伊織(さっきの紙のように、破片を飛ばす気ね…)

真「オラァ!!」

パリィ!!

伊織「そんなもん、止めて…」ブワッ

ズバ!

伊織「は!?」

伊織(貫通した!? よ、避け…)

205: 2012/08/25(土) 00:45:00.99 ID:uqazEZL/o
グサァ

伊織「あ…」

伊織「あああああああああああああ」ダラダラ

真「浮かんでいるものを『煙』が掴んで止める…それも想定のうちだ」

真「だけど、そのためにはそんな風に『煙』を薄く伸ばす必要がある…それじゃあ殴って勢いをつけた破片は、止められないだろう」

真「シャボン玉の散弾銃だ。キミのスタンドでも防げないよ」

伊織「だったら…!」

伊織(『煙』をまとめて、飛んできたのを掴めば…)

パチン

伊織「ぐっ!?」ヒュ

バババ

ドバァ

伊織(だ、駄目だ…掴み…きれない…)

サクゥ!

伊織「痛っ!」

伊織(まとめると、周囲に浮かんでいるシャボン玉の方が…)

伊織(この状態だと、掴める範囲も狭い…破片から身を守るのは難しいわ…)

206: 2012/08/25(土) 00:52:06.20 ID:uqazEZL/o
真「能力が続く範囲なら、この通り…これでも通用しないと?」

伊織(敵わない…近距離の破壊力でも、遠距離の攻撃でも…)

伊織(この貧弱な『煙』のスタンドじゃ、まともにやっても勝てやしない!)

真「降参しろ伊織。そうすれば、これ以上は何もしない」

伊織「………」

伊織「春香と…似たようなことを言うのね、あんた」

ス…

真「ん?」

ボッ

パリィィ

ドドドド

伊織(真の方にあるシャボン玉は新しい…勝手に割れることはない)

伊織(そして、方向も決まっている…奥の方にあるシャボン玉さえ割っていけば…)

グワシャァン

伊織(まとめていても、破片にやられることはない)

ドドドドドド

207: 2012/08/25(土) 00:55:58.62 ID:uqazEZL/o
真「おい…」

真「何のつもりだ、伊織? こっちに近づいてきて…」

伊織「このまま距離を保っていても、シャボン玉か、『硬化散弾銃』にやられるだけよ…」

伊織「だったら、こっちから仕掛けてやろうと思って…ね」

真「ボクに接近戦を挑むつもりか…? 三輪車でトラックに飛び込んでいくようなものだよ」

伊織「あんたの『パワー』はわかってる…んなもん、承知の上よ。『覚悟』したわ…」

真「『覚悟』した…だって? 無策のまま敵に近づいていく…」

真「それはただの『自棄』と言うんだ!」

真「オラオラオラオラ」

パキ! バキバキ

グアシャァン

ヒュン ヒュヒュン!

伊織「ちっ! この野郎、片っ端から…!」

真「この数! 掴みきれるか、伊織!!」

ヒュ!

パシ!

伊織「やってみなきゃ…」

ヒュヒュッ!!

パシィ

伊織「わからないわよ!」

208: 2012/08/25(土) 00:59:09.18 ID:uqazEZL/o
グッ!

伊織「く…」

伊織(『硬化散弾銃』を受け止めるにはこの密度じゃないと…)

パシィッ

伊織(だけど、やはり…掴める面積が…狭い!)

ググイッ!

伊織(よし、なんとか…)

真「これで終わりだと思ったかい?」

伊織「え?」

真「駄目押しだ」フワ…

伊織「なっ…!」

真「もう一発…食らえッ!!」

ドシュゥッ!!

伊織(駄目…もう掴める場所が…)バッ

キィィン!!

ガシャ! ガシャア!

伊織「んっ!?」

真「何!?」

伊織(撃ち落とした!? 私のスタンドは、殴ることはできないはず…)

伊織(………いや…)

伊織(私は防ぎきった、それが事実よ…それより…)

ゴゴゴゴゴゴゴ

伊織「真…」

伊織「これで、あんたの目の前まで来た」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

209: 2012/08/25(土) 01:05:14.80 ID:uqazEZL/o
真「ああ…ボクの目の前」

真「そして、ボクの『ストレイング・マインド』射程距離内でもある」

伊織「………」

真「伊織…キミがやったのは、ただ自分の寿命を減らすだけの行為だ」

伊織「そうかしら?」

真「そうだよ…」ス

真「オラァッ!」ドォ

伊織「うおっと!」スル!

バタン!

真(倒れ込んで回避したか? だが!)

真「もうこれで避けられない! 氏ね、伊織ッ!!」グ…

伊織「誰が…避けられないですって?」

ボオッ

スゥゥゥ…

伊織「はずれ…」

ヒョイ…

バキィ!

真「え?」

真(移動した…)

真(転んだ体勢のまま、スタンドで引っ張ったのか…?)

伊織「この伊織ちゃんが…」

伊織「何の策もなしに飛び込んでいくと本気で思ったわけ?」

真(これか…)

真(伊織はこれで、春香の『触覚支配』から逃れたのか…!)

210: 2012/08/25(土) 01:09:12.08 ID:uqazEZL/o
真「だけど、それで…ボクもなんとかできると思ってるのかい」

真「『ストレイング・マインド』のスピード、忘れたわけじゃないよね?」グ…

伊織「………」

真「キミが、スタンドで自分を引っ張っているとわかれば…」ス…

グイッ!!

真「オラァ!」ブンッ

ザザァ!

真「!」

バキィィッ

真「く…」

伊織「にひひ…」

真「なんだ…」

真「どうして当たらない!? スピードはボクの方が速いってのに!」

211: 2012/08/25(土) 01:11:56.73 ID:uqazEZL/o
伊織「あんたのスタンド、確かに動くスピードは速いわ。かなりのものね」

伊織「でも、それは単にあんたが動く速さだけが上がっているだけ…判断し、攻撃をしかけるまでのスピードは人間並みよ」

真「はっ!?」

ウゥ…

真「これは…」

真(薄い『煙』が、ボクの周りを取り囲んで…)

伊織「煙の『動体センサー』よ」

伊織「あんたが『動こうとした』その瞬間…私の行動は既に決定している」

真「馬鹿な…! そんなこと、できるはずが…」

伊織「今やってるんだけど?」

真「ぐっ!」ドヒュ!

サササ

バキャァ!

伊織「ほーら、あんたの攻撃なんて寝てても避けられるわよ?」スゥ…

真「カ…」

真「カサカサと…ゴキブリみたいに…!」

伊織「ゴ、ゴキブリって…あんたには見えないわけ!? この優雅に舞う伊織ちゃんの姿が!」

真「地面を這っておいて、何が優雅だよ!」

伊織「ぐぬぬ…」

212: 2012/08/25(土) 01:16:16.01 ID:uqazEZL/o
真「オラァ!」

カササッ

バキ!

真「オラオラァ」

ヒュヒュゥ

バキャス!

真(当たら…ない…!)

伊織「あんたこの程度なの、真?」

伊織「これじゃ春香にビビるのも無理ないわね」

真「く…」カチン

真「だったら…」グググ…

伊織「!」

真「これならどうだッ!!」バヒュッ!

ボフッ!!

真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」ズバババババババ

クギュン

真(ちっ! また上…!)

バキャ!

バキバキバキュン!!

ストッ

伊織「ほら、今のは優雅でしょ?」

ピシ!

真「ん?」

伊織「え?」

伊織(あ、さっきから真が外してる攻撃で…床が…)

ビキビキビキビキィ!!

伊織(割れた…のね…)

213: 2012/08/25(土) 01:18:29.47 ID:uqazEZL/o
ガッラァァァン

伊織「うおおおおおおおッ!」ヒュゥゥゥルルルル

真「伊織ッ!?」

ドス!

伊織「いったたた…」

伊織(ここは…2階か。机が並べてある)

伊織(765プロとは関係ないからあまり気にしていなかったけど、何かの事務所なのかしら)

伊織(真っ暗ね…上からの明かりでかろうじて見えるくらいだわ)

ヒュッ

ガシャン!!

伊織「っ!」ビクゥ!

真「これを…」ズ…

ゴゴゴゴゴ

真「狙っていたのか、伊織」

真「二階には『ロック』をかけていないし、シャボン玉もないからね…」

伊織(やっぱり、降りてきたわね…!)

ゴゴゴゴゴゴ

真「だけど、逃がさない…」

真「ここで『再起不能』(リタイア)させて、春香に突き出してやる…!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

214: 2012/08/25(土) 01:20:34.81 ID:uqazEZL/o
伊織「………」タタタ

ガチャ! ガチャガチャ!

伊織(机の上にゴチャゴチャと色々置いてあるわ…落ちる…)

真「そこか!」ゴォッ

伊織「…!」サッ

バキャッ!!

伊織(………)

スス…

真「逃がすか!!」ガシャガシャ

伊織「………」ガタタッ

伊織(あいつはこんな障害物なんてものともしない…すぐ追いつかれる…)

真「寝てても避けられるだって…? 寝言は寝て言うことだ!」

真「オラァッ!!」ドシュ

伊織「………」サササッ

バキ!!

パラパラ…

真「ちっ!」ガシャ!

伊織「………」

伊織(相変わらず滅茶苦茶やるわね、この野郎ッ…!)

215: 2012/08/25(土) 01:21:39.46 ID:uqazEZL/o
真「いつまでもちょこまかと、逃げられると思うな…!」

バキィィ!

真「オラァ!」バキッ

伊織(『硬化…散弾銃』!)

ズドドドド

バキィィィィィィィィ

伊織「………」フラ…

ピタ…

真「もう鬼ごっこは終わりか、伊織?」

伊織「………」

真「結構手こずらせてくれたけど…その程度で春香に逆らおうだなんて、どの道無理だったな」

真「オラオラァ!」シュババ

ズド! ズム!

バッキャァァーン

真「…伊織…」

スゥ…

真「…!? これは…」

伊織「あんたのスタンド、マジにヘヴィね…」

ドドドドドド

真「何だって…!?」クル

伊織「壁が粉々…あんた、本当に手加減する気あるわけ?」

伊織「人間に向けるもんじゃないわよ、それ」

ドドドドドドドドド

216: 2012/08/25(土) 01:22:37.82 ID:uqazEZL/o
真「反対側…窓際に…」

真「どうしてそんなところにいるんだ…伊織…!?」

真「『瞬間移動』…でも、したってのか!?」

伊織「そんな能力、ないわよ」

伊織「私が使ったのは、これ。暗くて見えないだろうからちゃんと明かりの下に出してあげるわ」

モクモク…

伊織「感謝しなさいよね」

真「こ…これは…」

グググ…

バァーン

真「『煙』でできた…伊織の人形ッ!!」

伊織「ええ。煙を…私くらいの大きさにして囮にしたのよ」

伊織「物を掴んで落とせば、音くらい出る。あんたの動きに合わせて、足音を意識させないようにさせるのはちょっとだけ苦労したわ」

伊織「ま、春香の『五感支配』に比べれば粗末なもんだけど」

伊織「それでも、暗かったら案外騙せるものね」

217: 2012/08/25(土) 01:23:20.27 ID:uqazEZL/o
真「い…伊織…」

真「何故、今自分の場所を明かすような真似をした…一体…何を企んでいる…?」

伊織「今、済んだわ。真…あんた、自分が何やったのかわかってる?」

ミシッ! ピシ パキパキパキ

真「この音は…」

伊織「あんたが私の操作する『煙』を殴った箇所…」

伊織「全部ビルの壁…柱の部分よ。四カ所も壊れている…もう危ないわ」ガラッ

真「崩れ…るのか…?」

伊織「窓からでも階段でもどっちでもいいけど…あんたも早く逃げた方がいいんじゃない?」ヒュォォォ…

真「うおおおおおおおおおおお!!」ダッ

伊織「まぁ…遅いか」ヒョイ

ミシ…

ガラガラガラ

ドギャッシャァァーン!!

218: 2012/08/25(土) 01:24:09.90 ID:uqazEZL/o
伊織「おっと」スゥーッ

ボフッ!!

伊織「着地は成功、二階程度なら問題ないわね。さて、と…」

伊織「あんたのスタンド…これしきでくたばったわけじゃないでしょ? 真」

伊織「さっさとその瓦礫の下から這い上がってきなさい」

ゴゴゴゴゴゴ

真「イカれ…」

ガシャァ!!

真「てるのか…?」

真「ボクを倒すために事務所をビルごとぶっ壊すだなんて…そこまでやるか、普通…?」

ガラ…

伊織「あら、壊したのはあんたじゃない。責任の押しつけはやめてちょうだい」

真「窓から飛び降りて…スタンドで自分の体を受け止めたのか」

伊織(この様子じゃ、ダメージは…そこそこってとこね)

伊織「ビル一つ崩してこれか…やれやれだわ」

219: 2012/08/25(土) 01:25:58.02 ID:uqazEZL/o
真「少し、頭も冷えた…もう小細工は終わりだろう?」

真「ボクに勝てるのか、その『煙』のスタンドで」

ピシ

伊織「『スモーキー・スリル』」

真「…?」

伊織「『煙のスタンド』じゃあ味気ないわ」

伊織「あんたの『ストレイング・マインド』とか…春香の『アイ・ウォント』みたいに…」

伊織「この伊織ちゃんのスタンドにも名前をつけるべきよね」

伊織「だから、今名付けた。私のスタンドの『名前』」

伊織「いい? 『スモーキー・スリル』よ」

真「『スモーキー・スリル』…」

伊織「『理解』したわ。私の進むべき『道』…」

伊織「真、まずは…あんたを倒すッ!!」

237: 2012/08/26(日) 01:29:02.32 ID:YJUzlsjpo
ゴゴゴゴ

真「ボクを…」

真「『倒す』だって…? 伊織…」

伊織「そうよ」

真「わかってるのか? 『ストレイング・マインド』は『最硬』のスタンド」

伊織「………」

真「そして、『スタンドはスタンド』でしか倒せない」

真「衝撃は受けたけど…さっきのビル倒壊だって、正直言って…決定打にはなっていない」

真「キミは、ただの一発も決定打を与えてはいないんだ」

真「それなのに、ボクを倒す…? できるわけがない、不可能だよ」

ゴゴゴゴゴゴ

238: 2012/08/26(日) 01:29:56.88 ID:YJUzlsjpo
伊織「『倒せる』か…『倒せない』か、なんてどうでもいいのよ、この伊織ちゃんには」

伊織「『倒す』! そして…『勝利する』! それだけよ…それが、私の『道』!」

伊織「最初から不可能だなんて決めてかかるなんて、バカのやることよ!」

真「その意気は買ってやりたいけどね」

伊織「『スモーキー・スリル』」

ズ

真「………」

真(伊織のスタンドが…)

ズズズ

真(不定形の『煙』から、人型に変わっていく…)

ピョコ

伊織「どう?」

真「その耳は…」

真「兎のイメージかい? 白い…『煙』の兎…」

伊織「いけてるでしょ」

真「見た目が変わったからといって…」

真「能力が変化するわけでもないだろ」

伊織「あら、見た目って大事よ? あんたもアイドルならわかるでしょ」

239: 2012/08/26(日) 01:30:59.35 ID:YJUzlsjpo
真「で、その形…」

真「ボクと『殴り合い』でもしたいのか?」

伊織「そう言ったら?」フ…

真「………」ス…

伊織「行け!」ボン

真「オラァ!」ドオ

ブオフゥッ!!

伊織「………」

真「………」

真「集めたって、『煙』は『煙』…」

真「そもそも…そのスタンドで、ボクを殴ることはできないようだね」

真「できるのなら、『硬化散弾銃』だってわざわざ掴んで防ぐ必要はない」

真「ま、殴れたところでボクの『ストレイング・マインド』…スタンドの腕が逆に折れちまうだろうが」

240: 2012/08/26(日) 01:31:59.02 ID:YJUzlsjpo
伊織「ええ、直接殴ることはできない」

スゥゥ…

モクモクモク

真(ん…)

ズ…

伊織「でも…」

真(人型に戻った伊織のスタンドが…何か持っている…?)

伊織「『スモーキー・スリル』、掴んだものを叩き付けることは…『可能』よ」

真(瓦礫…ボクの背後にあった崩れたビルの破片を掴んでいるのか!?)

伊織「わかったのは偶然…さっきあんたの言った、『硬化散弾銃』を叩き落とした時だけど…ね」

241: 2012/08/26(日) 01:33:02.89 ID:YJUzlsjpo
伊織「あんた、言ってたわよね? 『質量』が大事だって。『質量』がなければ、『硬い』のはむしろ『割れやすい』…」

真「………」

伊織「『硬い』ことは、『無敵』ということではない」

伊織「だったら、あんたのスタンドを上回る『質量』を叩きつければいい!」

真「『質量』が上回ってるからどうした。それだけで勝てるとでも?」

真「キミのスタンドではボクの『パワー』に対抗できない!!」

伊織「そいつは…どうかしらね!」ヒュン

真「『ストレイング・マインド』!!」ゴォ!

ビシッ!!

伊織「………」

グ…

ググ…

真「な…!?」

ググググググ…

真「ぐあっ!?」バキィ

ドサァ

真「な…」

真「なんで…だ…?」

伊織「さっきまで『弱い』なんて思ってたけど、やっぱ伊織ちゃんのスタンドだけあるわ。『叩きつける』パワーはかなりのものね」

242: 2012/08/26(日) 01:33:45.55 ID:YJUzlsjpo
真「確かに…」

真「上から『叩き付ける』攻撃には『重力』が加わって強力になる…『質量』もそっちの方が上…」

真「だけどボクの『ストレイング・マインド』は『近距離パワー型』…『パワー』ならこっちの方が圧倒的に上のはずだ!」

真「どうして『遠隔操作型』の『スモーキー・スリル』に押し負けるッ!?」

伊織「『近距離』とか『遠隔操作』だとか、そういうのはよくわからないけど」

伊織「春香が言ってたわ…スタンドは『精神力』のエネルギーだって」

真(『精神力』…!)

真(今の伊織から感じられるこの光り輝くような意志…! それで、パワーが上がっているのか…?)

真(だが、それだけで…それくらいのことで、あの『煙のスタンド』がボクの『ストレイング・マインド』のパワーをひっくり返せるはずが…)

伊織「真…あんた…」

伊織「私と戦ってる間、ずっと怯えてるわよね」

真「!」

伊織「私にじゃあない…私に負けたら、自分に制裁を加えるであろう『春香』に」

真「う…」

伊織「そんなあんたの…」

ゴゴゴ

伊織「春香に屈したあんたの『精神力』が!」

ゴゴゴゴゴ

伊織「私に勝てるはずないでしょうがッ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

243: 2012/08/26(日) 01:34:39.97 ID:YJUzlsjpo
真「だ…」

真「誰が、何にビビってるって…!?」

伊織「何度も言ってるじゃない。春香ごときにビクビクしてるんじゃあないわよ、このビビリ野郎がッ!」

真「うるさい…伊織に何が…っ!!」ビュッ

伊織「『スモーキー・スリル』!」ビュン!!

グシャ

真「うっ!!」バキ!

ピキ…

真(『ストレイング・マインド』の腕に…ヒビが…)

バキャァ!!

真「がっ!」バタン

伊織「春香は『スタンド』をアイドルとしての『才能』と言っていた…そのことが、少しわかる気がする…」

ドドド

伊織「『アイドル』も…『スタンドバトル』も…」

伊織「精神力が『上』の方が、勝つッ!」

ドドドドドド

244: 2012/08/26(日) 01:36:11.63 ID:YJUzlsjpo
真(押されている…そんな、馬鹿な…近接戦なら、ボクのスタンドは誰にも負けないはず…)

伊織「さて、終わりよ…真」ス…

ガラガラガラ…

伊織「もう一度…」ズ…

伊織「生き埋めになってもらおうかしら?」ズズズ…

真「あ…」

ズズズズズズ…

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

真(ビルの瓦礫を…あんなに…)

真(あれを全部…ぶつけてくるつもりか…?)

真(あれには伊織の『スタンドパワー』が入っている…さっきの倒壊とは違う…)

真(負けるのか…?)

真(ボクが…ボクのスタンド、『ストレイング・マインド』が…?)

ズズ…

伊織「くらえッ!!」ズオッ!

ボシュッ ドダダァ ビヒュゥ!

ゴオオオオオオオオオオオ

245: 2012/08/26(日) 01:37:25.61 ID:YJUzlsjpo
真「ま…」

ピキピキ

真「負けるかああああああ!!」パキパキパキパキ

伊織「!!」

真「オラァ!!」ドオオッ

パキィン

真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」バ バ バ バ バ バ バ バ

バリィ!!

真「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」ドゴォ ドォ ド ドド ドゴ ドゴ

バリバリバリバリ

真「オラァァッ!!」ヒュ

ドパァ

ボフン!!

シュゥゥゥ…

真「や…」

真「やりぃ…勝った…! 伊織のスタンド…『スモーキー・スリル』のパワーに!!」

伊織「まぁ、勝てるでしょうね。あんたのスタンドなら」

スゥ…

真「え…」

ガシィ!

246: 2012/08/26(日) 01:38:20.13 ID:YJUzlsjpo
真(霧散した『スモーキー・スリル』が…また集まって…)

真(巨大な…手に…)

伊織「人間、勝利を確信した時が一番油断するもんよね」

真「ぐ…」ググ…

真(しっかり抑え込まれている…単純な『パワー』じゃ剥がせない…)

真(気体だから『硬く』して砕くこともできない…!!)

伊織「ねぇ真」

真「え…」

伊織「あんたのスタンド、ビルの『質量』くらいなら受けきれるみたいだけど…」

ドドドド

伊織「それじゃ、地球の質量には勝てるのかしら?」

真「………」

ドドドドドド

真「ちょ…嘘だろ…?」

伊織「このまま…地面に叩きつけるッ!!」

ギュオオォォン

真「…う…」

真「うわあああああああああああああああ」ゴォォォ

247: 2012/08/26(日) 01:39:04.24 ID:YJUzlsjpo
バリャァァ!!

真「がっ…!!」

ピキィィィィィン

真「ボ…」

真「ボクの… ………」

真「『ストレイング・マインド』が、砕け…」

真「た」ブシュゥゥ

伊織「!」

伊織(真の体から血が吹き出した…)

伊織(なるほど、スタンドに対するダメージは本体に対するダメージ…)

伊織(私が真の鎧を砕いたから、そのダメージは真に行った…こういう、ことなのね…)

真「………」シーン…

伊織「…ふぅ…」

伊織「それにしても…」

モクモクモクモク…

伊織「『スモーキー・スリル』…やるじゃない、あんた」

伊織「流石はこの伊織ちゃんのスタンドね! にひひっ」

248: 2012/08/26(日) 01:39:50.96 ID:YJUzlsjpo
・ ・ ・

真「はっ!?」パチ

ガバッ!

伊織「あら、気がついたわね」

真「ここは…」

伊織「公園よ。あっちは人が集まってきたから逃げてきたわ」

真「…負けたのか、ボクは…」

真「この『ストレイング・マインド』が…伊織のスタンドに…正面から挑んで…」

伊織「真、あんたの敗因は…」

伊織「『春香』よ」

真「!」

伊織「あいつは言った、みんなに『絶対の自信』とやらを持たせるためにスタンド使いにした…と」

伊織「でも、今のあんたはどう? 『自信』なんて程遠い、ずっと春香の存在に怯え、本来の実力も出せないでいた」

伊織「あんたが全力を出せていたのなら…」

伊織「ま、この伊織ちゃんが負けるなんてありえないけど」

伊織「もっと苦戦とダメージをしいられていたでしょうね」

真「………」

249: 2012/08/26(日) 01:40:17.50 ID:YJUzlsjpo
伊織「やっぱり…」

伊織「春香は間違ってるわ。だから…」

伊織「正しい道に戻してやるのが、本当の『仲間』よ」

真「!」

伊織「真。あんたもそう思わない?」

真「伊織、キミは…」

真「春香を倒すつもりか…勝てるのかッ!!」

伊織「そんなの、無理に決まってるじゃない。単純なパワーとかではなく『アイ・ウォント』は強すぎる…負けるわよ、絶対」

真「ちょっ」ズルーッ

真「駄目じゃないか、それじゃ!」

伊織「一人なら…ね」

真「え?」

伊織「真。この伊織ちゃんの方につきなさい、春香を倒すために」

真「は…」

250: 2012/08/26(日) 01:40:44.91 ID:YJUzlsjpo
真「…ボクに…」

真「『寝返ろ』って…春香を敵に回せって…そう言うのか…?」

伊織「どうせ、私に負けたと知れたら春香のところになんていられないでしょ?」

真「それは…わからないけど…」

伊織「ま、もしかしたら許してもらえるかもしれないわね」

伊織「でも、春香に負け、私に負け…そんなあんたが、許してもらったところで、ちゃんと前を向いて歩けるの?」

伊織「断言するけど、春香のところに戻れば、もうあんたはその先惨めな生活を送るしかなくなるわ。アイドルとしても、スタンド使いとしても…人間としても…ね」

真「う…」

伊織「今、私達は本当の意味で『団結』しなくてはならない」

伊織「困難に立ち向かうために。自分達の道を切り開くためにッ!」

真「自分の道を…切り開くため…」

伊織「さぁ真、男だったらはっきり決めなさい! 私の方に付く? それとも春香のところに尻尾巻いて帰る!?」

真「男…」

真「じゃあ…ないんだけどなぁぁぁ~っ…」ガクーッ

251: 2012/08/26(日) 01:41:22.15 ID:YJUzlsjpo
真「でも…確かに、そうだ」

伊織「!」

真「わかった」

真「ボクは、伊織…キミに協力するよ」

伊織「真!」

真「ボク一人なら、春香に勝てる要素なんて何一つない」

真「でも、一人じゃなければ…」

真「少しでも勝つ『可能性』があるのなら…ボクはそっちに賭けてみたい」

伊織「はっ…いい目になってきたじゃない、真。それでこそあんたよ!」

真「へへっ…」

ドドドドド

ドドドドドドドドドド

252: 2012/08/26(日) 01:41:59.93 ID:YJUzlsjpo
伊織(春香…)

伊織(あんたのこと、『アイ・ウォント』で上っ面だけの『仲間』を集めて『団結』しているつもりでいるんでしょうけど…)

伊織(だったら、私は逆にあんたの『仲間』全員、こっちに引き込んでやる…! 本当の『仲間』として!)

伊織(あんたに見せてやるわ…本当の『団結』ってやつを!!)

真「ところで伊織…」

伊織「? 何よ」



……

………

ザワ、ザワ…

真「………これさ…」チラ…

伊織「ええ、思い出した…わかってるわ…」ソーッ

ズゥゥゥーン…

真「事務所…壊れちゃったなぁ…」

伊織「嫌だけど…みんなのためにも、パ…」

伊織「お父様に頭下げるしかないわね…はぁ…」

To Be Continued...

253: 2012/08/26(日) 01:45:13.57 ID:YJUzlsjpo
スタンド名:『スモーキー・スリル』
本体:水瀬 伊織
タイプ:近距離~遠隔操作型・不定形
破壊力:B~E スピード:B~D 射程距離:D(5m)~B(50m) 能力射程:B(50m)
持続力:B 精密動作性:B~E 成長性:B
能力:不定形の煙であることから、高い柔軟性と応用性を持つ、伊織のスタンド。
一カ所に集めるか、広げるかによって性能が変化し、近距離から遠距離までを使い分ける事ができる。
煙の状態では「押す」「引く」「掴む」の三つのことができ、密度によってその行動の範囲とパワーやスピードも変わってくる。
直接何かを殴ることはできないが、掴んだものを「投げ」たり、また「叩きつける」ことは可能。
「煙」で形成されているため特定の形はないが、兎のような外見にするのが伊織は気に入っているようだ。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

254: 2012/08/26(日) 01:47:05.26 ID:ug7VvPS7o

255: 2012/08/26(日) 01:48:31.77 ID:VJP8U2JOo

こうやって見るとジャスティスとウェザーリポートのチートさが分かるな



To Be Continued...





引用元: 春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」