261: 2012/11/30(金) 22:38:25.06 ID:hOsokL3ao





前話はこちら





伊織「あんた達のスタンド、『スタートスター』とか言ったわね」

伊織「もう、種は割れたわ。そのスタンド能力は…」

亜美「そう! 亜美達の『スタートスター』の能力は…」

真美「真美から亜美に!」

亜美「亜美から真美に!」

亜美真美「「『ワープ』させる能力!」」

ゴゴゴゴ

伊織「………」

真「………」

ゴゴゴ ゴゴゴゴ

亜美「触ったものを『ワープ』させたり、『亜美自身』も『ワープ』できるZE!」

真美「受け取る時に、『ワープ』の勢いを使って飛ばすこともできるZE!」

亜美「一回使ったらすぐには使えないのと、あんまでかいのとか重いのは『ワープ』できないけどねー」

真美「これくらいの岩がギリだよねー」

真「………そうなのか、伊織?」

伊織「はぁ…」ガクリ



※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

263: 2012/11/30(金) 22:49:41.06 ID:hOsokL3ao
伊織「一度使ったらすぐには使えない…ってのは知らなかったわ。いい事を聞いたわね」

真美「えっ、マジでっ!? しまった!」

真「でも、『ワープ』させる能力…だって? 色々なものを飛ばしてきたのは納得できるけど…」

真「『ストレイング・マインド』が消えたり、ボクの体を『重く』したのはどういうことなんだ…?」

伊織「それは…」

亜美「それより!」ビシッ

伊織「何よ? 気安く人を指差してるんじゃあないわ」

亜美「なんでいおりんがここにいるのさ!」

真美「そーそー! 真美達にとってはそれが一番の謎だよ!」

真(ボクも気になる)

伊織「ふん、この伊織ちゃんはアンタ達みたいに得意気にペラペラ話したりしないわよ」

亜美「うーっ…なんでだと思う、真美?」

真美「きっとアレだよ、まこちんに発信器かなんかつけてたんだよ!」

伊織「は?」

亜美「あー、そっか! それでまこちんの居場所がわかって、すぐに飛んできたんだね!」

伊織「ちょっと…」

真「え、そ、そうなのか? 伊織…」ササ

伊織「違うわッ!! 引いてんじゃあないわよッ!」

265: 2012/11/30(金) 22:56:12.30 ID:hOsokL3ao


……

………

亜美「んっふっふ~作戦成功!」

やよい「亜美、真さんはどこに…」

亜美「さて、どこでしょー?」

貴音「話さなくとも、真と同じように攻撃すれば…」

亜美「い?」

貴音「答えは見えるはず…『フラワー・ガール』!」ヒュオ

亜美「うわっと! 『スタートスター』!」パッ

スカッ

貴音「これは…」

貴音「双海亜美のスタンド能力…彼女自身まで消失するとは一体…」

やよい「あの、貴音さん…」

貴音「やよい、何かわかったのですか」

やよい「伊織ちゃんは?」

267: 2012/11/30(金) 22:59:16.84 ID:hOsokL3ao
ヒュン

伊織(え!?)

ヒュゥゥゥウ

亜美「よっと」ポスッ

伊織(マットが敷いてある…ここはどこ…?)

伊織(いえ、それより…このまま落ちたら気づかれるわ)

モク モクモク

ピタァァァア

伊織(『スモーキー・スリル』…)

伊織(ここは…どこかの廃ビル…かしら?)

亜美「わっ、靴が一緒に来てないや。やよいっちに『くっつけ』られたせいか、おのれ…」

ゴソゴソ

亜美「うーん、このサンダルでいっか」

伊織(ガラクタがいっぱいある…これで何をするつもり?)

亜美「んっふっふ~それじゃあ始めますか~」

伊織(しばらく、天井に張り付いて観察させてもらうわ)

………

……


269: 2012/11/30(金) 23:01:10.63 ID:hOsokL3ao
伊織「…というわけよ。その後はもう『舞台裏』から見る手品みたいによくわかったわ」

真「ペラペラと喋ったね」

伊織「アンタらが人を勝手に変態扱いするからでしょうがッ!」

亜美「えーっ!? 一緒に『ワープ』してきたって…なんで!?」

伊織「『スモーキー・スリル』でアンタに触ってたでしょう」

伊織「『重量オーバー』にならなければ、『身につけているもの』として一緒に『ワープ』できるんじゃない?」

亜美「Oh…全然気づかなかったぜブラザー」

真美「いいってことよブラザー」

亜美「そうだね、二人でもどーせ…」

真美「真美と亜美のコンビニエンスストアに、敵うはずがないからねー!」

真「もしかして、コンビネーションか?」

真美「知ってんだYOー。そんなん間違うはずないっしょー」

亜美「まこちん国語の先生?」

真「あのなぁ…」

伊織「何遊んでんのよ、アンタ達は…」

真「遊んでないから」

271: 2012/11/30(金) 23:05:16.90 ID:hOsokL3ao
伊織「アンタ達…春香の命令でやってるのよね」

真美「ん? そだよ?」

伊織「遊び感覚でこんなことやってるなら、すぐにやめなさい」

真美「くっくっく…我々の遊びを舐めてもらっちゃあ困りますなぁ、いおりんさんよ」

亜美「そう、『全力で遊ぶ』! 遊びだからこそ、本気でやるのだー!」

真「春香のやってることを知ってるのか?」

亜美「もちのロンさ」

真「だったら、なんで春香の方に!」

真美「だって、『スタンド』って面白いじゃーん」

亜美「そーそー。いおりん達だって、便利だと思わない?」

伊織「…まぁ、それは否定しないわ」

伊織「だけど、あの『弓と矢』…『スタンド』能力を持って春香は変わってしまった」

真「真美達は、春香の様子を見て…事務所の雰囲気をなんとも思わないのか?」

亜美「はるるんは、今の事務所はおかしいけど…みんな『仲間』になれば、全部元通りだって言ってたよ」

真美「真美達は、そのためにこうしてまこちん達を倒しに来た」

伊織「…話し合いじゃ済みそうにないわね」

真「やるしかないのか…」

273: 2012/11/30(金) 23:06:19.01 ID:hOsokL3ao
亜美「んじゃ、行きますか!」ダッ

真美「覚悟しろーっ!」ダダッ

伊織「来るわ…!」

真「く…」パキパキパキ

スゥーッ

真「ん!?」

真美「んっふっふ」グルグル

亜美「んっふっふっふ」グルグル

真(真っすぐ向かってこないで、周りだしたぞ…何のつもりだ…?)

伊織「真、あいつらは互いに『ワープ』させるスタンドだってのは聞いたわよね?」

真「え? ああ。それが?」

伊織「単純な二人組ではなく、二人一組ってことよ。例え一人ずつ分担したとしても、どちらか片方だけに注意すればいいということはないわ」ジリ…

真「つまり、真美と亜美、両方に注意していろって…そういうことか」グ

275: 2012/11/30(金) 23:07:33.67 ID:hOsokL3ao
グル-リ グルーリ

真(まだ向かってこないぞ…こっちから仕掛けるか?)

伊織(いえ…あっちも、それを待っているはず…)

真(だけど、このまま動かないと…)

伊織(あいつらはいつまでも待ってられるような連中じゃあないでしょう)

クッ

真「!」

伊織「来るか…!」

亜美「行くぜーまこちん!」ダダッ

真(亜美がボクの正面から向かって来る…)

真「伊織は真美の方を!」ダッ

伊織「あっ、ちょっと真…ちっ」ザッ

真美「ほほう、いおりんは待ちいおりんか…」ダダダ

277: 2012/11/30(金) 23:09:25.64 ID:hOsokL3ao
亜美「おりゃーっ!」

真「来い!」

亜美「『スタートスター』!」ギュン

真「オラァ!」ドン

亜美「おらぁ!」ビシュ

真「!」

真(速い…! スピードだけなら、ボクの『ストレイング・マインド』ほぼ同等か!)

パシッ サッ

真(飛ばされ…)ヒュン

パッ

伊織「『スモー…!?」

真「はっ!?」ゴォッ

伊織「え、ちょっ…」モクモク

ボフッ

真「く…っ!」ピタ…

279: 2012/11/30(金) 23:10:55.30 ID:hOsokL3ao
真美「えりゃっ!!」ゲシィィッ

真「うおっ!」グラ

伊織「きゃ!?」

バタァァン!

真「うぐ…」

真(バランスを崩していては、いくら『ストレイング・マインド』でも倒されてしまうか…)

伊織「真、ちょっと…どいて、邪魔よ…」

真美「まこちんといおりん二人なら…」

亜美「いおりんの方を先にやっちゃった方がよさそうだねー」

ス…

伊織「!」

亜美「おらぁっ!」ビュン

シン…

・ ・ ・

伊織(石を…)

伊織(投げ…たわよね、今…)

281: 2012/11/30(金) 23:12:36.75 ID:hOsokL3ao
ドドド ドドドド

伊織「はっ!」クルッ

ドシュゥゥウウ

真美「いっけー!」

伊織(しまった、そっちか…)

真「伊織!」グイッ

伊織「きゃっ!?」フラッ

真「オラオラァ」パキィィン

ドス!

伊織「亜美が投げたものは、真美の方から飛んでくるのね…」

真「いや、そのまま投げてくるかもしれない…厄介なスタンドだぞ、これは…」

真美「んっふっふー、やっと気づいたか『スタートスター』の恐ろしさに!」

亜美「亜美達のコンビーフに!」

伊織「コンビネーションね」

283: 2012/11/30(金) 23:13:28.11 ID:hOsokL3ao
真(今、真美の所に『ワープ』させられた時…)

真(『ストレイング・マインド』が消えた時と違って全体が飛ばされた…飛ばす範囲はあっちが自由に決められるのか?)

真(いや、伊織がここに『ワープ』したという事は、『自分以外』を飛ばす時だけなのかも…)

真(…服だけを…あるいは、服以外を『ワープ』させるとか…そんなことを、やってきたりはしないだろうな…?)

亜美「行くぜぇ~どんどん行くぜぇ~」

真(って、そんなこと考えてる場合じゃあないな!)

ドドドドド ドド

真(あっちはどこに触れてもいいんだ、的はこっちの方が大きい)グ…

真(だけどスピードは互角、さっきと逆に、ボクが向こうの動きに合わせれば…)

亜美「『スタートスター』!」ドォン

ドドド

真(一発で決められる…!)

・ ・ ・ ・

伊織「!」

ゴゴ ゴゴゴゴゴ

伊織「待ちなさい、真! 真美がいないわ!」

真「何!?」ピクッ

285: 2012/11/30(金) 23:16:05.30 ID:hOsokL3ao
ヒュン

真美「真美参上!」

真(なんだとォーッ!)

真美「WRYYY!」ピシッ

真「うっ…!」ガキィ!

真(真美は…どこにいたんだ…!? 『スタートスター』は相手いるところに『ワープ』させる能力…)

真(待て…亜美はボクを飛ばした後、下の階にいたんだ。『ワープ』先は、『相手の近く』ならある程度は調整できるのか…?)

真(真美が下の階に『ワープ』すれば…また亜美の所まで『ワープ』することで、消えたり出てきたりできる…)

真(一瞬で移動し、どこからでも神出鬼没に現れる…)

真(強いぞ、この能力は…)

パッ

真「く! またボクのスタンドが…」

真(このスタンドが消える効果が、『ワープ』させる能力というなら…)チラ

亜美「うーん、このカッチョいー鎧、亜美は着れないのかぁ…残念」ペタペタ

真(亜美の方に、『ストレイング・マインド』が…!)

287: 2012/11/30(金) 23:17:17.01 ID:hOsokL3ao
グッ

グォォォオォォン

真「うおおおおおおおお!?」

真(これかッ…! さっきの現象は!)

真(射程距離が存在しない『ストレイング・マインド』を無理矢理『ワープ』させられたら…)

真(飛ばされた『ストレイング・マインド』に引っ張られる!)

真(さっきは、下の階層にいた亜美のところに飛ばされたから…互いに引っ張られ、『重く』されたように感じたのかッ!)

亜美「うわっ!?」グオン!

真「だけど…動かない壁と違って、ここなら引っ張られるのは亜美も一緒だろ!」

真(途中で放すだろうが、『ストレイング・マインド』にひっついてこっちに飛んでくるなら…)

真(『スタートスター』を使った直後は再度使えない、亜美が『ワープ』する前に抑え込んでやる!)

真(ボクに触れた時や、さっき投げた石…『ワープ』させる時、一度触れたものを放す必要があるようだ)

真(しっかり捕まえておけば、逃れる事はできないはず!)

289: 2012/11/30(金) 23:19:06.72 ID:hOsokL3ao
グググ…

真(移動が速い、ボクの体も引っ張られているからか)

真(『ストレイング・マインド』はボクのスタンドだ。激突する事はない)

ス…

亜美「うおっ、こっち来た!」

真(亜美は離れないな…どういうつもりかは知らないが、好都合…)

ヒュン

伊織「なっ!?」

真「何っ!?」

真(おい、ボクと『ストレイング・マインド』の間に…)

真美「一丁上がり!」

亜美「よっと!」バッ

ギュォォォオオ

291: 2012/11/30(金) 23:20:29.06 ID:hOsokL3ao
ギャァァァン

伊織「ぐえっ…」グガッ

真「がっ…!」ギリギリギリ

伊織「は…挟まれる…!」ギギギ

真「ス…『ストレイング・マインド』を解除しなきゃ…!」

スゥ…

ドサァ

伊織「げほっ、ごほっ…」

真「ふぅ、はぁ、い、伊織…」

真「ボクがあんな状況だったのに、真美に近づくなよ! 伊織が『ワープ』されてなければ…!」

伊織「く…なんですって真…」

伊織「アンタがさっさとスタンドを解除しないからでしょう…!」

真「なんだって…?」

伊織「ちゃんと両方を見ろって言ったでしょうが! アンタが真美の方を見ていればこんなことには…!」

真「伊織だって、人の事言えるのか!? 自分の事を棚に上げるな!」

293: 2012/11/30(金) 23:21:51.12 ID:hOsokL3ao
真美「おーっと、まこちんといおりんがケンカだー!」

亜美「こんな時でもおっぱじめるんだねー」

真美「仲間同士の争いは醜いものですな~」

亜美「ですな~」

真美「ま、ケンカするほど仲がいいってねー」

亜美「お二人さんアツアツ~」

いおまこ「「はぁ!?」」ギロリ

亜美「うわっと、こっち見たよ真美ー」

真美「へーんだ、まこちんもいおりんも怖くないもんねー」

ゴゴゴ

真「…伊織、色々言いたいことはあるけど…」

伊織「ええ、あいつらをとっちめてからにしましょう…!」

ゴゴ ゴゴゴゴ

295: 2012/11/30(金) 23:23:18.99 ID:hOsokL3ao
伊織「今から作戦を考えてる暇はないわ。春香対策に考えたアレ…」

伊織「使えるかも。やりましょう」

真「あれか。わかった」パキパキパキ

真美「まこちんが前に出て…」

亜美「いおりんが後ろか。いおりんにちょーっと手出しにくくなったねー」

真美「ま、関係ないけどねー」

真「伊織、任せたよ」

伊織「OK、真」

タタッ

真美「二人で真っすぐ並んで…何が狙いだ!」

亜美「んっふっふ~、しかし甘いぜ! アメちゃんよりも甘ーい!」

ヒュン

伊織「真美が消えたわ」タタタ

真「見ればわかるよ」ダダ

297: 2012/11/30(金) 23:24:35.97 ID:hOsokL3ao
ヒュン

真美「いおりんはスタンドを出してない…」

真美「後ろがガラ空き! もらった!」グォォォオオ

グイッ

真美「! えっ?」ノロ…

伊織「後ろよ、真」

真「オラァッ!!」グオン!

真美「わわっ!?」パッ

ヒュオン

真「やっぱり、当たらないな。もう少し引きつけるか」スカッ

真美「な、なんで…」

真「ん?」

真美「なんでわかったのさ!? 二人とも、ずっとこっち見てたのに!」

伊織「アンタ達頭脳がマヌケなの?」

真「ボク達は春香の『アイ・ウォント』に対抗しようとしてるんだ、『視覚』だけに頼った戦いなんてするわけないだろう」

亜美「え? 何? どーいう意味?」

伊織「二人とも、戦い慣れてないわね。最初は手こずったけど、思ったより簡単に済みそう」

299: 2012/11/30(金) 23:26:46.44 ID:hOsokL3ao
スタンド名:「スタートスター」
本体:双海 亜美/双海 真美
タイプ:近距離パワー型・発動
破壊力:D スピード:A 射程距離:E(2m) 能力射程:A(500m以上)
持続力:C 精密動作性:D 成長性:B
能力:亜美と真美がそれぞれ1つずつ持っている、2体で1組のスタンド。
触れたものや自分自身を、もう一方の「スタートスター」のもとに「ワープ」させることができる。
一方からものが「ワープ」で飛ばされてきた直後に、本体がもう一方のもとに「ワープ」することで、擬似的に位置交換も可能。
「ワープ」は一瞬のうちに飛ばせるほどスピードが速く、一度に「ワープ」できる距離も長いが、スタンド自体の射程距離は短く、またパワーも弱い。
移動先は、相手の「スタートスター」射程距離内であれば、好きな場所に飛ばすことができる。
一度「ワープ」したら、ひと呼吸置かないと再び「ワープ」することはできない。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ


320: 2012/12/04(火) 00:55:32.14 ID:vuEnnrqCo
スタタタッ

真美「近くからの攻撃がわかるって言うなら…」ババッ

真「ガラスの破片! 両手に…」

真美「WRYYYY!」ブン ブンッ

ヒュゥゥウン

真(避けたら伊織に当たるか…)

真「オラオラオラオラ」ガシャン ピキャン

パララ

真美「引っかかったー! そっちは囮で…」

亜美「こっちが本命だもんね!」ズッ

ヒュン ヒュン

伊織(片手の方だけを『ワープ』させたのか、器用な真似を…)

322: 2012/12/04(火) 00:56:43.74 ID:vuEnnrqCo
伊織「左斜め後ろ…だけど、そのままでいいわ」

真「そっちはいいのか?」

伊織「ええ。こっちの方も試しておきたいし」

亜美「ヘイいおりん! 避けなくてもいいのかい!?」

ククッ

亜美「あり?」

ゴスッ ゴロン

スカン!

真「痛っ!? …くはないけど、伊織! やるならちゃんとやってくれよ!」

伊織「わざとじゃあないわ。やっぱ、この濃度じゃあパワーが足りないのよ」

真美「もー、亜美! 何外してんのさ!」

亜美「いや、これは…」

324: 2012/12/04(火) 00:57:47.16 ID:vuEnnrqCo
真美「えーい、もっかい!」スッ

ドシュン! ドシュゥ

伊織「今度は右からよ。これもそのままでいいわ」

クル…

真「そっちか…」

真美(まこちんが真美の方からの攻撃の盾になって…)

亜美(そのまま、亜美の方に向いた…)

真「オラオラァ!」バキ! ガキィ

キィン バラッ

亜美「亜美のいる方向がカンペキにわかってる! さっきとは違う方に行ったのに!」

真美「こっちを見たままで…!」

伊織「そのままでいいって言ったんだけど?」

真「また顔にぶつけられるのも嫌だしね」

伊織「肩とか背中ならいいの? ナルシストね」

真「いや、そういうわけじゃあ…」

326: 2012/12/04(火) 00:58:46.16 ID:vuEnnrqCo
亜美「いおりん! きさま! 何かやってるなッ!」シュゴォォーッ

伊織「ええ、やってるわ。この伊織ちゃんが何もしないでボーッと突っ立ってるなんて思ってないでしょうね」

スゥゥーッ

亜美「はっ! これは…うっすらとだけど、まさか…!」

真美「いおりんの『煙のスタンド』で…」

伊織「アンタ達にしては、勘がいいわね」

ヒュン

伊織「…っと、亜美がいなくなったわ。人が話してる間に消えないで欲しいわね」

真「オーケー」グッ

パッ

伊織「真美の隣に出現した」

真美「亜美! これもバレてるよ!?」

亜美「消えたことまでバレバレなの!?」

伊織(『スモーキー・スリル』の結界…完全にくっついてると一緒に『ワープ』してしまうから、この部屋に細かくバラけさせている)

伊織(『双子』の動き、この中ならどこに『ワープ』しても…あるいは外に出た事も、私には筒抜けよ)

伊織(これくらいの勢いなら、この濃度でも飛んでくる物の軌道をずらすこともできる)

伊織(…奇妙だけど、面積が小さいからか…飛び込んできた『真美』の勢いは多少止められたけど、さっきのような小さいものを止めるのは難しいわね)

328: 2012/12/04(火) 01:00:13.23 ID:vuEnnrqCo
亜美「どーする、真美!? なんか、ヤバいっぽいよ!?」

真美「諦めんなよ! 諦めたらそこで試合終了だ!」

亜美「先生…!」

伊織「もういいかしら? そんなくだらないコント見るために飛ばされてきたんじゃあないわ」スッ

亜美「くだらないとは何だー!」

真美「そうだそうだー!」

真「…悪いけど、『再起不能』してもらうよ」ザッ

亜美「今だッ!」バッ

真美「待ってたぜー! いおりん達が近づくのを!」パッ

伊織「隣に…」

真美「WRY!」ビュン

伊織(真美が私の隣に飛んで来て、攻撃…だけど『ワープ』した直後、そんなすぐには…)

ヒュン

・ ・ ・

真「伊織っ!」

330: 2012/12/04(火) 01:00:46.95 ID:vuEnnrqCo
亜美「『思い込む』というのは…何よりも『恐ろしい』事なのだ!」

真美「真美の『スタートスター』でワープさせた直後でも、亜美の『スタートスター』は使えるのだ!」

真(伊織は…どこだ、下の階か!?)

フ…

亜美「お、いおりんのスタンドが消えた」

真美「これでセンターは使えないね!」

真(センサーと言いたいのか? 伊織のいた所に真美はいるが…)

真「オラァ!」ゴォ

ヒュン

真美「んっふっふ~当たりませんな~そんな攻撃は」

亜美「まこちん一人ならなんとかなりそうだねー」

グイーン

グルグル

真(また、二手に分かれて…)

332: 2012/12/04(火) 01:01:18.01 ID:vuEnnrqCo
真(どっちだ…どっちを見ればいい…)

亜美(いおりんがいなければ、どっちかはどこにいるのかわかるまい!)

真美(まこちんがどっちかに標準を定めた瞬間…)

真(亜美…)ジッ…

ヒュン

真(消えた…!)

亜美(真美の方、できるだけまこちんに近いとこまで『ワープ』!)パッ

亜美(まこちんが見回して亜美達を見つける前に、『スタートスター』で触れる!)ズズズ

スゥ…

真美「!」

真美(亜美! またいおりんのスタンドが出てきた!)

亜美(だいじょーぶだって、いおりんは下の階、声は届かない!)ヒュォ

亜美(またまこちんのスタンドを飛ばして、『はりつけ』にしてやるZEー!)ォォォオオ

クル…

真「わかってるよ。そっちだろう?」

亜美「…え…!?」

334: 2012/12/04(火) 01:02:09.17 ID:vuEnnrqCo
………

……



ドドドドド ドド

伊織「下の階に飛ばされる…『スタートスター』が連続で使えるとは思わなかったけど…」

伊織「『スモーキー・スリル』は『遠隔操作』…こんな近くなら使用に問題はない」

伊織「むしろ、ありがたいわ。私は自分の身を守る事にまで気を回さなくていいもの」

ドドドド

伊織「『スモーキー・スリル』が感知した動きは… ……」

伊織「『触覚』で真にもちゃんと伝えてある、声が聞こえなくても機能するわ」

伊織「声で確認しているのは、『アイ・ウォント』対策のためよ。『視覚』、『聴覚』、『触覚』…どれかが支配された時、わかるようにね」

ドドド ド

伊織「そしてこの距離、取った…! 行きなさい、真!」

336: 2012/12/04(火) 01:02:48.77 ID:vuEnnrqCo
………

亜美(ヤバっ…まこちんに触れる時が『ひと呼吸』のタイミングだから、間に合わ…)

真「オラァ!!」ゴォォォ

真美「亜美!」

亜美「真美!?」

真(何っ…!? 真美の方が速い…!?)

ヒュン

亜美「あっ、危なーっ…!」

真(真美が、亜美に触れて…飛ばしたのか…!)

真(なら、真美の方を…)

亜美「ひと呼吸あれば!」ザッ

真「! この…」グッ

亜美「おらぁ、『スタートスター』!」ビュン

真「くっ!」ボコォ

ヒュン

338: 2012/12/04(火) 01:03:38.98 ID:vuEnnrqCo
真「あっ!?」

真(ここは…下の階層に飛ばされたのか…)

ヒュゥゥウゥゥ

真「うおおっ、落ちる…!」

真(飛ばされた地点が、結構高いぞ…! 落ちても大丈夫か!?)

伊織「ち…『スモーキー・スリル』!」

ボフゥ!

真「わっと!」

伊織「…アンタも『ワープ』させられてきたのね」

真「そうか、伊織も飛ばされてたんだよな…」

真「しかし…こんな高さから落ちたら、亜美真美だってただじゃあ済まないだろうに…どうなってるんだ?」

伊織「このマットを見て。この上か、その近くでしかあいつらは下の階層に『ワープ』しないみたい。私達を送る分には関係ないけど」

真「そんなものが…」

340: 2012/12/04(火) 01:04:18.59 ID:vuEnnrqCo
伊織「この真上…場所は覚えたわ。あいつらがここに『ワープ』できる地点がわかれば、もう戦闘がちょっと楽になるわね」

真「よし、上に戻ろう。このまま行けば勝てそうだ」

伊織「…そう思う?」

真「え?」

伊織「真…アンタ今、なんで直前で止めたの?」

真「直前で止めた…? 何の話だ?」

伊織「何のって…亜美に攻撃した時、止めたでしょう? その隙に逃げられたんじゃない」

真「…は?」

伊織「攻撃にブレーキがかかっていた。アンタが途中で止めなければ、真美に『ワープ』させられるより先に、亜美の腕をブチ抜いてたはずよ」

真(止めた…だって、ボクが…?)

伊織「…やよいが春香側の回復手段だったなら、一撃だけ、どちらかの手か足を砕けばもう降参するわ」

伊織「そうなれば、それ以上戦う必要はない。アンタもそのつもりだったでしょう?」

真「そうだよ、それで終わる…! なのに、そのチャンスを逃すような真似をするわけがないだろ!」

伊織「…だったら、無意識よ。とにかくアンタは間違いなく直前でブレーキをかけてるってのは事実だわ」

342: 2012/12/04(火) 01:05:07.25 ID:vuEnnrqCo
真「いや、そんなはずはない…! そうだったとしても、なんで伊織にそんなことが…」

伊織「わかるわ」

伊織「何のために『スモーキー・スリル』を漂わせていると思ってるのよ? アンタの動きだって、きっちり感知してる」

伊織「その上で…私は、事実だけを話しているのよ」

真「………」

真(ボクが…手加減している…?)

伊織「…まぁ、無理もないわね。私だって、あいつらの手足がガラスのようにフッ飛ぶのなんて見たいわけじゃあないわ」

伊織「だけど、長引けば長引くほど…互いに傷を負うことになる。さっさと終わらせるのも、優しさよ」

真「…ああ。そうだね」

真(ボクだって、積極的に相手を傷つけようだなんて思ってはいない…)

真(だけど…これは戦いなんだ。やらなければ、こっちがやられる…それくらいわかっている)

伊織「………」

344: 2012/12/04(火) 01:05:56.04 ID:vuEnnrqCo
真「…とりあえず、上に戻ろう。階段はどっちなんだ?」

伊織「ええ、それなら…」

パッ パパッ

真「!」

亜美「おっと、なんか元気そうですよ真美さんや」

真美「あの高さから落ちて大丈夫ってことは、別の方法を考えなきゃだね亜美さんや」

伊織「アンタ達…そっちから来たわね。手間が省けたわ」

真(痛いのは一度だけ…それに、後でやよいの『ゲンキトリッパー』で治せる…)

真(これは、戦いだ…わかってる。あっちだって、それをわかった上で来てるはず…)

伊織「…真?」

真「大丈夫だよ、伊織。大丈夫…」グッ

伊織(余計な事…言ったかしら…)

346: 2012/12/04(火) 01:06:40.16 ID:vuEnnrqCo
真(この二人は、放っておくと『ワープ』する能力を駆使してどんどん手を打ってくる…)

真「その前に…!!」ダダッ

伊織「な…!?」

亜美「おおっ、まこちんがこっち来たよ!?」

真美「せんてひっしょーってやつか…!」

伊織「止まりなさい! 何を不用意に飛び込んでるのよアンタは…!」

真(いまなら二人とも同じ場所にいる、『ワープ』で避けても充分捕らえられる距離だ…今がチャンスだろ!)

(パリィィィン)

真(く…)

真「オラァッ」ゴォァ

ササッ

亜美「甘いぞまこちん! そんなねむっちまいそうなのろい動きでこの亜美が倒せるかァー!?」

真(駄目だ、避けられる…! やっぱり、本当に無意識のうちにブレーキがかかってるのか…!?)

348: 2012/12/04(火) 01:07:27.82 ID:vuEnnrqCo
スゥーッ…

亜美「うぇっ!?」ボフッ

真美「おおぅ!?」ギュッ

真「ん!?」

亜美「な、なにこれ!? 真美、なんでくっつくのさー!」

真美「くっついてるのは亜美の方じゃん! これじゃ『ワープ』できないよー!」

伊織「『スモーキー・スリル』…スタンドまでは抑え込めないけど、一ヶ所にまとめてやったわ」

伊織「真! やるならとっととやっちゃいなさい!」

真「伊織…!」

真(伊織も協力してくれている…)

真(これで、決めなきゃ…!)ギュッ

真「オラァァッ!」ギュォォ

350: 2012/12/04(火) 01:07:58.85 ID:vuEnnrqCo
亜美「真美!」バッ

真美「亜美!」パッ

伊織「!」

伊織「いや…止まりなさい、真! あいつら手をつないで…何かやるわよ!」

真(伊織が作ってくれたチャンス、無駄にはできない…!)ォォォォオオ

ピク…

・ ・ ・ ・

亜美真美「「『スタートスター』!!」」バッ

ヒュン

真「え?」

真(亜美達の背後…壁まで、飛ばされ…)

亜美「こうして手をつなげば…」

真美「真美達は『ワープ』できないけど、触ったものはちょっとだけ遠くまで飛ばせるんだYOー」

真(壁に突っ込む…『ワープ』の勢いもあって、止まらない…)

パリィィィィン

352: 2012/12/04(火) 01:09:00.04 ID:vuEnnrqCo
真「うわああっ!?」グアアアァァ

伊織「真!!」ダッ

真(壁が崩れた…! 掴まないと…!!)

ガッ

真(あ…破片、が…)

ズリッ!

真(落ちる…)

真(例え人が圧氏するような量の瓦礫が落ちてきても、『スタンド』に影響することはない…『スタンドはスタンドでしか倒せない』から…)

真(だが、このままボクが落下したら…それは『ストレイング・マインド』自身が、地面にぶつかることで生み出されるエネルギーだ)

真(スタンドが衝撃に耐えられれば、ダメージ程度で済む…だが、割れてしまったら…全身を覆う鎧がコナゴナにされたら…どうなる?)

ゴォォォォオオ

真「うわああああああああああああああ」

354: 2012/12/04(火) 01:09:19.95 ID:vuEnnrqCo
伊織「うおおおおおおおおおおおおお」

ドドドドド

伊織「どきなさい、アンタ達!!」ダダダダ

亜美「そいつぁ聞けませんな」

伊織「どけッ!!」モクモク

亜美「!?」ビクゥ

クッギュゥゥゥゥン

真美「飛んだ!?」

亜美「いおりんも、外まで…」

ゴォォォォオォォォ

伊織「ったく、世話が焼けるわね…!!」

ドドド ドドド

真「い…伊織…」

伊織「『スモーキー・スリル』ッ!!」

ドッフゥゥゥゥァ!

356: 2012/12/04(火) 01:10:02.94 ID:vuEnnrqCo
シュゥゥゥゥ…

伊織「はぁ、はぁ…」

真「た…」

真「助かったよ、伊織…」

伊織「………」

真「ごめん…少し焦っていた。キミの忠告に耳を貸すべきだった」

伊織「…いいわよ。元はと言えば、私のせいって部分もないことはないし」

真「もう不用意に突っ込んだりはしない。確実に攻撃できるタイミングを狙って…」

伊織「いえ。今のではっきりした、アンタにあいつらは倒せないわ」

・ ・ ・ ・

真「…え」

伊織「事務所に帰りなさい、真。もうアンタに戦う事はできない」

358: 2012/12/04(火) 01:11:08.42 ID:vuEnnrqCo
真「ボクに亜美真美が倒せないって…」

真「ボクが戦う事ができないって…どういうことだよ、伊織!」

伊織「そのままの意味よ。アンタは戦いに向いてないわ」

真「向いて…ない…?」

伊織「いくら『スタートスター』が速いと言っても…あのタイミングでもあっちの方が先に当たるってのは、やっぱりアンタに原因があるわ」

伊織「『ワープ』する能力…ただでさえ攻撃が当てられないような相手にこれは致命的よ」

真「…それは…そうかもしれないけど…だからと言って…」

伊織「いえ、やよいの時だってせいぜい『硬化散弾銃』を使うくらい…『くっつけて』治せるやよい」

真「『ゲンキトリッパー』は遠隔操作だった。殴れるような距離になった時には、もう勝負はついて…」

伊織「私の時もそうだったわね。事務所を壊しても、結局私を殴る事はできなかった。いえ、しなかった」

真「………」

伊織「頭では殴るつもりはあったのかもしれない。でも、アンタは心のどこかでそれを拒否してるのよ」

伊織「スタンドは精神力のエネルギー…そんな無意識でも、影響は出ていた」

360: 2012/12/04(火) 01:11:43.48 ID:vuEnnrqCo
伊織「私がアンタに勝てたのは、春香の影があったから…今はやりあえば私だってただじゃあ済まない…」

伊織「そう思ってたけど、間違いだった。本当に恐れていたのは、春香なんかじゃあなかったのね」

真「伊織、何を…」

伊織「『ストレイング・マインド』…アンタのスタンドよ。アンタは、自分のスタンドで他人を傷つけることを極端に恐れている」

真「…!」

伊織「それでいいわ。臆病で結構。あいつらは事務所の仲間…『ブッ頃す』だなんて考えるようなら、そっちの方が間違ってる」

伊織「異常な破壊力を持ち、動きも大雑把な『ストレイング・マインド』…そうなるのは仕方ないと思うわ」

伊織「だけど、本気で相手が出来ないというのなら…戦いには向いてないわ」

伊織「アンタは戦力外よ、真。もう、戦わなくてもいいわ」

真「な…」

362: 2012/12/04(火) 01:13:36.53 ID:vuEnnrqCo
真「………」

伊織「今から事務所に戻って貴音を…いえ、やよいも連れてきて。『ゲンキトリッパー』であいつらを『くっつけ』ればなんとか…」

真「…伊織は、どうするんだ」

伊織「ここに残る。二人が来るまでにあいつらに逃げられると厄介だわ」

真「大丈夫なのか、一人で」

伊織「むしろさっきより存分に戦えるかも。裏方に回るなんて伊織ちゃんの性分じゃあないし」

真「………」グ…

伊織「…真。別にアンタが足手まといなんて言ってるんじゃあないわ。ただ、人を傷つけるのが嫌って…それだけでしょう」

伊織「それに、アンタの本職はアイドル。『スタンド使い』であるという方が、異常なのよ…」

伊織「だから、今は帰りなさい」

真「…わかった」

伊織「………」

伊織「それじゃ、私は行くわ…頼んだわよ」ザ…

364: 2012/12/04(火) 01:14:32.72 ID:vuEnnrqCo
ワナワナ

真(腕の震えが止まらない…悔しさで…)

真(だけど、情けない話だが…伊織の言う通り、ボクは恐れているのかもしれない…)

真(最悪、一撃で人を頃しかねないこのスタンド…『ストレイング・マインド』の威力に)

真(もしもボクのスタンドが…こんな、こんなスタンドじゃあなくやよいの『ゲンキトリッパー』のようなものなら…)

真(あるいは伊織の『スモーキー・スリル』なら…いやせめて、貴音さんの『フラワー・ガール』のように正確な動きができるスタンドなら…)

伊織「う…」フラ…

・ ・ ・ ・

クル…

伊織「………」スタスタ

真「…伊織?」

伊織「何…? わかったんなら早く帰れば…」

真(いや、ちょっと待て…)

真(『スモーキー・スリル』は煙のスタンド…例えスタンドで殴っても、霧散するだけ…ダメージは伊織には届かない)

真(だが、受け止めること…そのダメージが、『スモーキー・スリル』自身が生み出したものなら…?)

366: 2012/12/04(火) 01:15:08.06 ID:vuEnnrqCo
真「待て伊織…」

伊織「………」

真「さっき落ちるボクを受け止めたこと…あれは」

真「あの高さから…ボクと自分の体を受け止めて無事でいられるほどのパワーが『スモーキー・スリル』にあるのか…?」

伊織「私の心配をするなら…二人を呼んできて」

真「いや、そうじゃなくても…! ボクの『ストレイング・マインド』が飛ばされた時に挟まれたり…」

真「『スモーキー・スリル』の結界! あれも、かなり神経を使うんじゃあないか!?」

伊織「別に…大したもんじゃあないわよあんなの。そんなんでバテてちゃ春香とは戦えないわ」

伊織「それに、一人で戦うわけでもない。アンタが早く誰かを連れてくれば、私はそれだけ楽になるわ」

真「…伊織」

伊織「そうとわかったら…」

真「あて身」ドスッ

伊織「!?」

ドサァ

368: 2012/12/04(火) 01:15:59.69 ID:vuEnnrqCo
伊織「………」

真「ごめん、伊織。こうでもしないとキミはそんな体で、這ってでも行くだろう」

真「そこで休んで…って、気絶って休んでる事になるのかなぁ…まぁ、いいか…」

真「…これはボクのワガママだ。こうして一人で行くよりも、二人を呼んできた方がきっと勝てる可能性は高いだろう」

真「それに伊織の言う通り、ボクは臆病なのかもしれない…」

ザッ

真「だけど…」

ドドドド

真「だけど、誰かを戦わせてひとりだけ逃げるなんてこと、ボクはしたくない…!!」

ドドド ドドドドド

真「ボクは…戦う」

真「戦うんだ、みんなと一緒に…! 765プロの仲間であるために!!」

伊織「………」

382: 2012/12/10(月) 23:18:05.17 ID:8h7H08q/o
真美「ン!」

ドドド ドドドド

真「………」

亜美「ほらー、戻って来たじゃーん。わざわざ追っかけなくてもさー」

亜美「戻ってこないってことは…それはそれで、亜美達に対して負けを認めるってことだし」

真美「でも、お姫ちんとかやよいっちを連れて来られたらそれはそれでヤバいっしょ」

真(伊織も、そうしろと言ってたな…真美でもわかることだ、ボクの判断は間違っているかもしれない。だけど…)

真「続きを始めよう。せっかく待っててくれたみたいだしね」

亜美「いおりんは?」

真「さぁな…」

真美「とぼけたって無駄だー、証拠は挙がってるんだぜまこちんさんよー」

真「何の証拠だよ…」

真(ボクは、戦うために戻ってきた。それは、自分で決めたことだ)

真(だけど、それだけで…ボクは真美と亜美相手に、まともに戦えるのか?)

384: 2012/12/10(月) 23:18:57.27 ID:8h7H08q/o
亜美「ま! いおりんはこの際どうでもいっかー」

真美「まこちん一人なら、どうにでもできるからねー」

亜美「元々、そのつもりだったしねー」

ドドドド

真「伊織が誰かを呼びに行ってるとして…」

真「それまでの間に、ボクを倒すつもりか?」

亜美「モチですぜダンナぁ。まこちんを倒す方法は、色々考えてあるし」

ドドド

真美「とりあえず、まこちんを倒す!」

真美「いおりん達の中でもけっこー強いまこちんを倒せるとわかれば、後は大体らくしょーだからね」

ドドド ド

真(どう考えても、真美達の態度はふざけている。遊びか何かをやってるような気分だ)

真(だけど…そんなふざけた態度の二人に、ボクは絶体絶命に追い込まれた)

真(遊びでも本気、か…)

386: 2012/12/10(月) 23:19:27.97 ID:8h7H08q/o
亜美「いっくぜー!」ダッ

真美「んっふっふ~、真美達の動きが見切れるかーっ!?」ババッ

真(こんなんでも、双子は本気だ…そして、伊織も本気だった…)

真(多分…ボクだけが、違う…)

グルン グルン

真「またそれか…! 芸のない…」

亜美「いおりんがいないから…」

ゴゴゴ

亜美「まこちんには亜美と真美二人が何やってるか、りょーほーはわからないっしょ?」

ザッ…

真「!(後ろから…)」グルッ

真美「遅いッ!」バヒュ

ヒュン

真「ぐ…今度は『ストレイング・マインド』か…っ!」クンッ

ズダン!!

388: 2012/12/10(月) 23:20:31.73 ID:8h7H08q/o
真「ぐあっ…!」ギリリリ

真(下の階に飛ばされたら…『解除』しなくてはどうしようもない…!)

フッ

真(どうやって『スタートスター』に対抗…)スゥ…

ヒュォ

真「え?」

グシャァ!!

真「がふっ…!」グラ…

真(岩が…降ってきた…亜美が真美の方に『ワープ』させたのか…)

真美「まこちんのスタンド、すっごく『硬く』てあんま攻撃効かないみたいだけど…」

真美「カニを食べる時、殻を取り除くように…『ストレンジ・ディマンド』を飛ばしてから攻撃すりゃいい」

真「『ストレイング・マインド』だ…」フラ…

真(ボクのスタンドができるのは、近距離で殴って壊すことと…後はせいぜい『硬化散弾銃』みたいに『硬く』したものをブッ飛ばす…それだけだ)

真(勝てるのか…この二人に)

390: 2012/12/10(月) 23:21:30.81 ID:8h7H08q/o
真(くそっ、さっきから弱気になってどうする! 戦うために来たんじゃあないのかボクは!)

真(この岩を逆にぶつけてやる…!)ピキピキ

真「オラァ!!」ドシュゥゥ

真美「『スタートスター』!」ドォン

真美「WRYYYYYYYYY」ヒュン

真「!」

真(やっぱり、速い…! そして、『ワープ』したということは…!)

グォォォォ

ガスゥ!!

真「ぐっ…!」パリィィン

真(背中が…!)タラ…

ゴゴゴゴ

亜美「へー、まこちんが『硬く』したものなら…」

真美「その鎧にもダメージを与えられるみたいだね」

亜美「いや、『硬く』しなくても…もしかしたら、アレも行けるかも?」

ゴゴ ゴゴゴゴ

392: 2012/12/10(月) 23:22:31.44 ID:8h7H08q/o
真(完全に翻弄されている…何をやってるんだボクは…)

亜美「ヘイヘーイ、動きがにぶいぜニーチャン!」

真美「もっと本気で来なYO!」

真(本気か…)

亜美「よーし真美、次だー!」

真美「おうよー!」ヒュン

真(今度は真美が消えた…)

亜美「次がメインディッシュ! 覚悟しな、まこちん!」

真「間違…ってはいないな」

真(…そもそも、本気とはどういうことだ?)

真(がむしゃらに向かって行くことは、本気とは言わない…よな)

真(少なくとも、双子はボクを倒すために…考えて行動している)

394: 2012/12/10(月) 23:23:06.41 ID:8h7H08q/o
ドドド ドド

真(オーディションやフェスでライバルと勝負する時…ボクは、本気だ)

真(ライバル達とぶつかり合うことに、喜びを感じてさえいる)

真(スタンドに関してはどうだ…?)

真(伊織と戦った時…あの時は、春香の『アイ・ウォント』の影に追い立てられるように戦っていた)

真(今となってはわからない…)

真(だけど、やよいの『ゲンキトリッパー』と戦い、片腕を落とした時…あの時、ボクは間違いなく本気だった)

真(あの時と今の違いはなんだ…何が足りないんだ…?)

ドドドドドド

真「オラァッ!!」ドン

亜美「オラァッ!!」ゴォ

ス…

・ ・ ・ ・

ヒュン!!

396: 2012/12/10(月) 23:23:43.47 ID:8h7H08q/o
真「!!」

真美「ててーん! まこちんがあらわれた!」グッ

真(『ストレイング・マインド』がない…ボクの方だけ…!)

真(そして、この光景…ここは上の階か…!)

真美「『スタートスター』!」スパァァン

真「うおっ…」

ヒュン

亜美「もう一丁!」ゴォ

真「なっ…」

真(これは…)

真(一発殴る度に、別の階にいる相手のところに『ワープ』させて…)

ゴシャァ

ヒュン

真美「うりゃぁ!!」バヒュ

真「ぐっ…」ドグォ

398: 2012/12/10(月) 23:24:13.26 ID:8h7H08q/o
真(『ストレイング・マインド』はどこに行った…!? 飛ばされた時の向きもメチャクチャだから、反撃しようにも…)

真(どうにかしようと動く前に、『スタートスター』の制限が切れて飛ばされる…!)

亜美「オラオラオラオラオラオラオラオラ」ドン ドン ドン ドン

真美「WRYYYYYYYYYYY」ドシュ ドシュ ドシュ ドシュ

真「ぐっ、あああっ!!」バキャ ドス グシャ

ヒュン ヒュン ヒュ ヒュン

亜美「オラァッ!!」ガオッ

ヒュン

ドッパァーッ

真「うっ、うお…」ドグサァ

真美「『スタートスター』のパワーはあんまないけど…」

パッ

亜美「塵も積もれば山のにぎわいってね、けっこー効いたっしょ?」

真(無茶苦茶だが…)

真(確かに、効いた…)ガクッ

400: 2012/12/10(月) 23:25:12.95 ID:8h7H08q/o
真「はぁ、はぁ…」フラフラ

亜美「フフフフまこちんよ、そこの階段を二段おりろ」

真美「再びはるるん閣下の仲間にしてやろう」

真(………)

真(壊すか…? この廃ビルを…)

真(『ワープ』できるとはいえ、今は二人集まっている…)

真美「どうしたー早く行けよー」

真「オラァッ…!」ヒュゥ

ガシャァァァ

亜美「うお!? 階段を使わずにおりやがった…」

真(地面をブチ抜いて行けば…次の使用までひと呼吸必要な『ワープ』よりは速いだろ…!)ガガガ

真美「まさか、アレをやるつもりじゃあ…いおりんの時にやったらしいし…」

亜美「えーっ!? それ困るよ、ここ秘密基地っぽくて気に入ってんのに!」

402: 2012/12/10(月) 23:26:20.91 ID:8h7H08q/o
ドサァ!!

ギッ

真「く…落ちた衝撃が体に響くな…」

真(ダメージを受けたせいで『ストレイング・マインド』の耐久力にまで影響しているのか…)

真(それとも、ボクがずっと弱気だから精神力のエネルギーであるスタンドが劣化しているのか…)

真(真美達はすぐに来る…早いところ、柱をブッ壊して…)

真(このビルを破壊しなくては…)グッ

真「オラ…」ドォ

真(………)

真(ビルが崩れてきたら…)

真(真美達は大丈夫なのか…? 『ワープ』出来るとはいえ、崩れる前に、脱出できるのか…?)

真(ボクには『ストレイング・マインド』があるが、この規模…二人はただでは済まないだろう…)

真(しかし、ただで済むようなら…それで牽制になるかと言えば、答えはNOだ)

真(こんなことをしても、何の意味もないんじゃあ…)

404: 2012/12/10(月) 23:26:55.81 ID:8h7H08q/o
パッ

亜美「おろ? なんだ、まだ何もやってないじゃーん」

真「亜美…」

亜美「下まで来てもらって悪いけど…また上に戻ってもらうぜ!」

真「そうはさせるか…!」

亜美「オラオラー!!」ドドド

真「オラァッ!!」グォオ

ブルッ

真(この期に及んで…)

真(どうあっても、ボクは本気で行くことが出来ない…)

ヒュン

真美「んっふっふ~、おかえりまこちん」

真(誰かを傷つけるのが…怖いんだ)

真(手に感触が残らない『硬化散弾銃』ならまだ大丈夫だが…)

真(『ストレイング・マインド』で直接殴ったり…相手が氏ぬ可能性があることは、ボクには出来ない)

真(ボクは、弱い…)

406: 2012/12/10(月) 23:27:52.82 ID:8h7H08q/o
パッ

亜美「さぁおしおきの時間だよベイベー」

真美「へっへっへ、ちょろいもんですな~」

真「ふ…」

真美「ん?」

真「はは…あはははははははは!」

亜美「!?」

真「伊織…伊織は言ったな…」

伊織『異常な破壊力を持ち、動きも大雑把な『ストレイング・マインド』…そうなるのは仕方ないと思うわ』

真「仕方ないだって、伊織…」

真「ボクはまだまだ本気でぶつかっていない! スタートラインにすら立てていないんだ!」

真「………」グッ

真「何が仕方ないんだよ!!」ガシャァァン

亜美「ま、まこちんが壊れた…」

408: 2012/12/10(月) 23:28:55.92 ID:8h7H08q/o
真「ああ、ボクは確かに相手を傷つけるのが怖い…自分の腕が体をブチ抜くことを想像するだけで腕が止まる」

亜美「ああ、なんか動きがちょっとヘンだよね」

真「だけど、それは弱さじゃあない! 伊織の言う通りだ、当たり前なんだそんなことは!」

真「ボクの弱さは、『ストレイング・マインド』…自分のスタンドと向き合おうとしなかったこと…!」

真「許せないのは…その弱さのせいで、真美達の本気に応えられないということ…」

真美「…まこちん」

真「そして…!」

ド ドドド

真「その結果…伊織に怪我を負わせたことだ…!」

ドドドド

真「何もしないまま、真美達に負けるようなら…」

真「ボクはただの大馬鹿野郎だ」

ドドドドド ド

410: 2012/12/10(月) 23:29:37.71 ID:8h7H08q/o
真美「まこちんの言ってる意味は何かわからんけど…」

亜美「いおりんがケガ? だったら他は来なさそーだし、まこちん倒せばオールオッケーじゃーん」

真「…覚悟したよ。もう、後には引けない」パキ パキ パキ

真美「!」ビクッ

真美(なんかまこちんマジになってるっぽいけど…大丈夫かな、これ?)

亜美(えー、ハッタリっしょー。そんなちょっとやそっとで急に変わったりしないって)

タタタタ

真「オラァ…!」グオッ

真美「! 亜美!」スッ

亜美「オッケー! 『スタートスター』!!」バッ

ヒュン

真「………」ピタ…

亜美「ほら、やっぱり…結局、まこちんは亜美達を殴れない」

真美「ちょいとカワイソーだけど…まこちんの勝手で真美達にはカンケーないよね」

412: 2012/12/10(月) 23:30:24.29 ID:8h7H08q/o
真「………」ス…

亜美「ヘイまこちん! 本気で来るんじゃあないのかYO!」

真美「『攻撃してください』って言わんばかりに突っ立ってていいのかYO!」

亜美「行くぜ! この岩を…投げる! そして『ワープ』!」ドシュン!!

ヒュン

真美「真美はそれを…もう一回、亜美の方に『ワープ』だ!」ヒュン

亜美「『ワープ』二倍の『スターキャノン』!! 喰らえッ!!」ドヒュォ

ォォォォォオオオ

真「………」

ガシャァァァン

バカ!

・ ・ ・ ・

亜美「頭が割れた!」

真美「うひー、いったそー」

414: 2012/12/10(月) 23:31:13.59 ID:8h7H08q/o
真「………」フラ…

バタン!!

亜美「勝ったか…厳しい戦いだった…」

真美「そーでもないけどねー。いおりんとやってた方がキツかったかも」

亜美「でもさ、まこちんに勝てるってことは…お姫ちんとかも行けんじゃね!?」

真美「うーん、どうかなー…このイキオイなら行けるかも?」

ギ

ギギ ギギギ

亜美「ん? 何、この音」

ギ… ギギギ

真「勝利ムードのところ、悪いけど…」ムク…

真美「なっ…!?」

真「全然、効かなかったんだよな…今の」

亜美「まこちん…まだ立てるのかッ!?」

真美「いや、つーか…効かなかったって、どういうことさ!?」

416: 2012/12/10(月) 23:31:54.31 ID:8h7H08q/o
真「春香は教えてくれなかったのか?」

真「スタンド使いの基本…『スタンドはスタンドでしか倒せない』」

亜美「あ、なんか聞いたような聞かなかったような…」

真「スタンドが直接触れているならともかく…」

真「一度『ワープ』させただけの物質が、スタンドに当たるわけないだろ」

真(伊織の『スモーキー・スリル』のように、飛ばした後も『煙』をまとわりつかせて『スタンドパワー』を込めていたり…)

真(ボクの『硬貨散弾銃』や、やよいの『ゲンキトリッパー』のように能力を使っていれば話は別だけど…)

真「『スタートスター』で『ワープ』させただけでは、ダメージは与えられない」

亜美「嘘だ! だって、ちゃんと当たったし!」

真美「大体、まこちんの頭割れてるじゃん! 避けられなかったのか、グリーンベットだし!」

真「違うな…正しくはクリーンヒットだが、そのことを言ってるんじゃあない」

真「避けなかったのは、『集中』していたからだ」

亜美「は? 集中…」

418: 2012/12/10(月) 23:33:12.49 ID:8h7H08q/o
真「そして、『ストレイング・マインド』の頭部が割れたってのは…」

真「ボクが自分でやっていることだ」

ギギ ギギギギギ

亜美「うっ!?」

亜美(全身の鎧が、左右に引っ張られてる…)

真美(つーか、両腕に集まってる…?)

真「わかったんだ。本気ってのは…」

ギギギギ

真「自分の持てる力を、全て出すことだ。ボクはまだ、できることをやりきっていない…!」

ギギギ ギギギギ

真「ボクはまだ、何もしてはいないんだ…!!」ギギギ

・ ・ ・ ・

ゴゴ ゴゴゴ ゴゴゴゴ

真美「まこちんのスタンドが…」

亜美「『両腕』を覆う手甲に…」

真「行くぞ真美、亜美。ボクの全部をぶつけてやる」

466: 2012/12/18(火) 01:57:12.80 ID:hVEcGfaJo
ギ…

ゴゴゴゴゴ

ガチ

ゴゴゴ ゴゴ

真「………」パ…

グッ

真「行くぞ、真美! 亜美!」バァーン

亜美「そ…」

亜美「そんな形が変わったからって、メチャメチャ変わるわけじゃないっしょ!」

真美「ってゆーか、腕だけ出してた時とそんな変わってないじゃん!」

亜美「そーそー! 手甲みたいにしたところで…」

真「篭手だろ」

亜美「どっちでもいーよ!」

468: 2012/12/18(火) 01:58:24.55 ID:hVEcGfaJo
真美「それで、どうするつもりですかなーまこちん?」

真美「そうやって腕だけ出せば、スタンドだけ飛ばされることはない…そう思ったのかな?」

亜美「わかってないねぇ、まこちん」ヒュン

真(………)

真美「それだけで、『スタートスター』を止められると思ったら大間違い!」

ズズ…

真「岩、まだあったのか…さっきよりは小さいが」

真美「わざわざスタンドを飛ばしてたのは、まこちんにそのまま攻撃しても効かないからってだけで…」

真美「まこちんがやったのは、ミカンが自分から皮をむいて『どうぞ食べてください』って言ってるのと同じことだよ!」グオッ

ゴオオオオォォォォ

真美(殴って壊せば、破片が飛び散る! 体がモロ出しになったまこちんにはそれは防げ…)

真「うおおおおおおおお」

バッ!

ドスゥ!

・ ・ ・

470: 2012/12/18(火) 01:59:26.68 ID:hVEcGfaJo
ピタ…

真美「へ?」

真美(殴らないで…片腕で、受け止めた…)

真「わかってないのは、そっちの方だ」

真「これは単に腕だけに出してるわけじゃない。全身の鎧を、両腕に集中させている…」

ガシッ ガシ!

真「つまり、『ストレイング・マインド』の全パワーが両腕に集まっているということだ」グググ…

真美「え? まさか…投げ返すつもり?」

真「………」ググ…

真美「いくらまこちんでもそれは無理っしょー」

真美「病院のベッドくらいあるじゃーん。片手で投げ返すなんて…」

真「オラァッ…!」グォオ

ギュァァァァァォン

真美「できた!?」

472: 2012/12/18(火) 02:00:24.92 ID:hVEcGfaJo
パッ

亜美「やったか!?」

真美「ちょ…亜美!? 何で戻ってきちゃったのさ!?」

亜美「へ? 何でって…」

オォォォォ

亜美「うぇっ!?」

タタタ

真美「うおーっ、『スタートスター』!!」カスゥ

ヒュン

ズゥゥゥゥン…

真美「ふぅ…」

亜美「はぁ…」

真「横からかすらせるように触って飛ばしたのか…真正面から受け止めればただじゃあ済まないからな…」

真美「!」

真「何も考えてないようで…しっかりと考えながら戦ってる。あそこまで一方的にやられるわけだ」

474: 2012/12/18(火) 02:01:54.19 ID:hVEcGfaJo
真美「余裕だね…まこちん」

真「余裕?」

亜美「まこちんはけっこーボロボロ、こっちはダメージゼロ。まだまだこっちの方が有利なのに…」

真「それは違う、むしろ逆だよ」

亜美「逆?」

真「亜美の言う通り、やられた疲れやダメージはまだ残っている…どちらかと言えばボクの方が追いつめられている」

真「だからこそ、落ち着いて対処する。そうしなければ、勝てない相手だからね」

真「追い込まれているからこそ、余裕を持つ必要がある」

真美「あ、それって排水溝ってヤツ?」

真「背水の陣ね。ここまでくるとわざと言ってるんじゃないかと思うよ」

真「とにかく、ボクはもう油断とか手加減とか…」

真「そういうのは、しない」

476: 2012/12/18(火) 02:02:34.58 ID:hVEcGfaJo
真美「よろしい、ならばこっちも手加減しないぜ! 亜美、持ってきてる!?」

亜美「おうよ! たっぷり入荷したぜ!」バララ

真「! さっきの『ワープ』の時一緒にコンクリートの破片を持ってきたのか」

真美「よーし! 発射よーい!」

亜美「ファイヤー!!」ギュン

ドシュ ドシュ ドバ ドシュァァ

真美「今度こそ! この数を止められるかァーッ」

スゥ…

カッ

真「オラオラオラオラオラオラオラオラ」ズババババ

シン…

真美「…え?」

478: 2012/12/18(火) 02:03:29.60 ID:hVEcGfaJo
真「………」ス…

バララッ

亜美「うぇっ!?」

真美「と…」

真「止められる…な」

真美「止めた…!? しかも、殴るんじゃあなくつかみ取って…!?」

亜美「はるるんはまこちんのスタンドはパワーとかスピードはスゴいけど、正確に動かせないって言ってたのに…!」

真「ああ、そうだね…ゆっくり動かさないと、かなり不器用だと思うよ『ストレイング・マインド』は」

亜美「全然ゆっくりじゃないじゃーん!」

真美「! まさか…」

亜美「え? 何かわかったの、真美?」

480: 2012/12/18(火) 02:04:07.54 ID:hVEcGfaJo
真美「そうやってスタンドを両腕に集めたのって…」

真「そう。全身に纏って自制が利かないなら、一部だけに集中すれば正確な動きが出来ると思ってね」

亜美「これならどうだ! 『スターガン』!!」ブンッ

真美「さっきと名前変わってない?」ヒュン

亜美「こまけーこたぁいいんだYOー!」パッ

ギュォォォォン!!

真「人が話してる間に…」

ス…

ヒュバァ!

真「攻撃しないでもらえるかな」シュゥゥゥ…

亜美「うげっ!?」

真「腕だけだが、『スピード』は衰えたわけじゃあない。むしろ上がってるくらいだ」

真「こんな真っすぐ飛んでくる石を掴むなんて雑作もないことだよ」グッ!

パララ…

真美(握った石がコナゴナ…)

482: 2012/12/18(火) 02:04:22.34 ID:hVEcGfaJo
亜美「な、何か…」

亜美「すげーパワーアップしてない、それ…?」

真「いや。『掴む』ことはできなかったけど…パワーは元々こんなもんだよ」

亜美「う…叩き落としたりはしてたからね。じゃあ、ものを掴めるってとこが変わったの?」ス…

真「それはそうだね。あと…」

クルッ

真「オラァ!」ピンッ

ヒュン

真美「うおっ!?」バッ

パキィィン

真美「あぶなっ…!」

真「こうやって、振り向きざまにコンクリートの破片を指で弾き飛ばすってことも、前も出来なかったことだ」

484: 2012/12/18(火) 02:06:46.22 ID:hVEcGfaJo
亜美「なんで真美がそっちにいることわかったんだこの野郎!」

真美「それも、スタンドの能力!?」

真「さっき伊織が言ってただろう? 春香の『アイ・ウォント』だよ」

真美「は?」

真「伊織にだけ任せるわけにもいかないしね。ボクもボクなりに、対策はしているんだよ」

真「元々、あの鎧を纏ったまま戦うつもりだったんだ。別に音とかを遮断してたわけじゃあないが、集中してるのもあって気分的には…」

真「さっきまでよりも感覚は鋭くなってる…かな」

亜美「気分の問題なの!?」

真「それより、話してる間に後ろからとか…さっきから小細工ばかり」

真美「うぐ…」

真「どうしたんだ? 何を怯えている?」

亜美「べっ、別に怖がってなんてないもんねー!」

真「ま、得体の知れないものに飛び込んで行くのは得策じゃあない…試しているってとこか」

真美「それはまこちんも同じ…でしょう?」

486: 2012/12/18(火) 02:07:59.01 ID:hVEcGfaJo
ドドドド ドドド

真美「………」ジリ…

亜美「………」

真「………」ス…

ドドド

タッ

亜美「オラァッ!」グオッ

真美「『スタートスター』!」ヒュッ

真「オラァァッ」シュバ!

ス…

ヒュン!

真「!」パッ

ヒュオオォォォ

亜美「よし!」

真美(今、ちょっと触られた…危ない危ない)

亜美「自分で開けた穴! 一番下まで落ちて行きなーッ」

488: 2012/12/18(火) 02:08:55.80 ID:hVEcGfaJo
オォォォオオォ

真(落ちる途中の床を掴むか…いや)

真「行けるな?」

ギギギ

真「『ストレイング・マインド』を…」

ギギギギ ギギ

真「『脚』に集中する!」

ドォーン

グルン

真「オラァ!」

ガギィィィッン

シュー シュゥゥ…

真「………この、集中した『ストレイング・マインド』…」

真「『強度』も以前とは比べ物にならないようだ。4階から落ちてもなんともないな」

490: 2012/12/18(火) 02:09:45.95 ID:hVEcGfaJo
亜美「うわ、凄い音…やりすぎちゃったかな…?」

真美「どーだろ。ちょっと見てみよ」ヒョイ

ォォォォ…

真美「うーん、ここからじゃまこちんは見え…」

ガシャン!!

真美「ふぇっ!?」バッ

亜美「え…窓の外に!?」

真「オラオラオラオラ」ゲシゲシゲシッ

パリィィン

真美「うわっ!」バッ

亜美「伏せろ!」バッ

ガシャン パリャ

真「流石に…」

真「二人を一度に相手にするのは分が悪かったみたいだ」ヒョイ

492: 2012/12/18(火) 02:10:23.98 ID:hVEcGfaJo
ゴゴゴゴゴ

亜美「か…壁を破って入ってきた…?」

真美「ここ、4階なんだけど…どうやって上ってきたの…?」

真「ああ、こいつで…」ス

真「ビルの壁をブチ抜いてきた」

亜美「人間じゃねぇ…」

真美「そのまこちんの…スト…スト…ストレイツォ…?」

真「『チアリングレター』だ」

亜美「へ?」

真「『ストレイング・マインド・チアリングレター』。自分に向けた応援の手紙」

ギギギギ

真「腕だけじゃあない…集中するのは他の部分にもできる」

真「脚に集中させれば、今のように、蹴りで壁を『硬く』してブチ抜いたりもできるみたいだ」

494: 2012/12/18(火) 02:10:43.98 ID:hVEcGfaJo
亜美「チアリーダーがなんか知らないけど…」

亜美「まこちんのそれより…やっぱ亜美達の『スタートスター』の方が速い!」

真「そうかな…」ギギギ

亜美「そーだよ! 壁を登ってきたのは流石にビビったけど…」ス…

真(『チアリングレター』を『腕』に戻したが…亜美は穴を挟んで反対側か…)

真(『スタートスター』の射程距離は広くないが、こっちはゼロだ。不利だな)

亜美「『スピード』で勝ってるなら、『ワープ』させる能力が負けることはないっ!」

真「だったら、見せてみろ!」ダッ

亜美「んっふっふ~、さぁどっちから来る? 右か、左か!?」

真(飛び越える!)ピョーン

亜美「そう来ると思ったぜ! 『スタートスター』!」

グォォォ

亜美「オラオラー!」ゴォォォ

ガグ!

亜美「おっ!?」スカッ

真美(まこちん…天井に腕を突っ込んで…!)

496: 2012/12/18(火) 02:11:57.37 ID:hVEcGfaJo
真「オラァッ!」ヒュ

亜美「へぶっ!?」バキィ

ゴロゴロ

真美「亜美!! 大丈夫!?」

亜美「うわーん、まこちんに蹴られたー!!」

真美「だいじょーぶそうだね」

亜美「ううっ、まこちんが本気で攻撃してくるならヤバいんじゃあ…」

真美「いや、今のでわかった! なんだかんだ言っても、まこちんはまだ手加減してる!」

真「………」

真美「スタンドカンケーなしにまこちんの蹴りはヤバいからね。痛いで済んでるのがキセキみたいなもんっしょ!」

真美「んっふっふ~、そうとわかれば!」ダッ

真「次は真美か…」

498: 2012/12/18(火) 02:12:17.52 ID:hVEcGfaJo
真美「うおおおおおおお!」ダダダ

真「突っ込んでくるか…」

ヒュン!

真「!」

亜美「はっはー、引っかかった! 『ワープ』できんのにバカしょーじきに行くわけないっしょ!」

真美「WRY!」ヒュ

グォォォオオ

クル…

真「オラァ!!」

ガッシィ!!

真美「う…っ…!?」

真美(速い…そして、ためらいなく真美の腕を掴んできた…!)

真「確かに…思い切りやれば亜美を一発で『再起不能』させることもできたかもしれないな…」

真「だが、手加減とは違う。やらなかったのは、必要がないからだ」

ピキピキピキ

500: 2012/12/18(火) 02:12:40.28 ID:hVEcGfaJo
真美「は、放れない…!」グイグイ

亜美「真美を放せー!」

ヒュン

真「おっ」パッ

亜美「捕まえたと思ったかな? けど、真美を捕まえても亜美がいる!」

亜美「まこちんでも亜美と真美を一度に捕まえるのは不可能!」

真「確かに、そうかもね」

亜美「よし、まだまだ行くぜ! 真美!」

真美「………」

亜美「…真美?」

真美「手が…」

亜美「?」

真美「真美の手が…カッチカチになってる…」

亜美「え…」

502: 2012/12/18(火) 02:13:25.51 ID:hVEcGfaJo
真「腕の関節を『硬く』した。それだけなら、殴らずとも…触れるだけでいい」

真美「こ、これじゃ動かせない…」

真「無理に動かそうとしない方がいいよ、折れるかもしれない」

真美「う…」

真「まぁ、そうなればやよいに治してもらうだけだけどね」

亜美「よくも真美を…!」

真「壊す必要はない。触って『硬く』すれば…」

亜美「オラァ!」ヒュバッ

真「オラァ!!」ビュオッ

亜美「うわあっ!?」ヂリッ

バタン!!

亜美「あ、足が…」カチィン

真「戦闘不能! ボクの勝ちだ!」ドォーン

505: 2012/12/18(火) 02:16:22.82 ID:hVEcGfaJo
スタンド名:「ストレイング・マインド・チアリングレター」
本体:菊地 真
タイプ:近距離パワー型・装着
破壊力:A スピード:A 射程距離:なし 能力射程:D(5m)
持続力:C 精密動作性:B 成長性:D
能力:吹っ切れた真が発現させた「ストレイング・マインド」の別形態。進化した、というよりは伊織の「スモーキー・スリル」のように、形や使い方を変えたようなもの。
真は今までも一部だけにスタンドを出していることもあったが、あくまでも「全身の一部」という扱いであった。
「チアリングレター」は、全身を覆うスタンドを一部分のみに集中させることで、以前と比べて遥かに正確な動きができるようになり、部分的な強度も遥か上がった。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。

540: 2012/12/25(火) 00:01:10.11 ID:ztVWpZlOo
ゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴ

真「ボクの勝ちだ。真美、亜美」

真美「ま…まだ終わってない…」

真「まだ、戦うつもりかい? その両腕じゃあ『スタートスター』で殴ることすらままならないと思うけど」

真「春香がそんなに怖いのか?」

真美「はるるんは関係ないよ。『アイ・ウォント』はスゴいけど、怖くはない」

真美「怖いのは、やるだけやったと、このまま諦めること…そんなん、全然楽しくない!」

真「よし! なら来い、真美!」ビシッ

フラ…

亜美「おっと…亜美を忘れてもらっちゃあ困りますな…」

真「!」

亜美「『硬く』されたのは『片足』だけ…まだ、亜美は戦える!」

真美「亜美と一緒なら…真美は無敵だ!」

542: 2012/12/25(火) 00:01:43.37 ID:ztVWpZlOo
亜美「う…」グラッ

真「向かってくる気概は買いたいけど、片足じゃあ機動力はガタ落ちだ…」

真「ボクの『チアリングレター』と張り合えるとはとても思えないが」

ガシッ

真美「やってみなけりゃ…」

亜美「わかんない!」

グルン

真(真美を軸に回転運動!?)

真美「ウリャァ!!」バフォ

ヒュン

真美「真美が投げ…真美を亜美の『スタートスター』で『ワープ』! そして…」

パシッ

亜美「今度は、亜美が真美を投げる!」グオン

ヒュ パシッ

真美「さらに、真美の『スタートスター』で飛ばして、投げれば…!!」バッ!!

バヒュゥゥォン

亜美「亜美ロケット、喰らえッ!!」

544: 2012/12/25(火) 00:04:20.74 ID:ztVWpZlOo
グォォォオオォ

真美「まこちん、こういう言葉を知ってるかな? 相手が勝ち誇ったとき…」

亜美「そいつはすでに敗北している!」

ドドドドドド

亜美「オラぁ!!」ヒュ

クルッ…

真「オラァ!!」スアッ

ガッ!!

亜美「ひっ!?」ガバァ

真「亜美自身には一見、勢いはあったが…肝心の『スタートスター』に勢いがないな」

真「相手の策がなくなったとわかれば、そりゃ勝ち誇るさ」グ…

亜美(あ、頭を掴まれ…)

真「さて、どうしようか」

真美「うっ」ドサァ

真美「ああああ…ああ…」ブルッ

真美「亜美…! や、やめて…」

真「別に…さっきの石みたいに頭を握りつぶそうなんて思ってないさ。安心していいよ」

546: 2012/12/25(火) 00:05:20.21 ID:ztVWpZlOo
真美「は、放してよ…!」

真「信用ないな…そんなに怖がらなくてもいいじゃないか」スッ

亜美「うわっ!」ドサァ

真「放した」

真美「あ、亜美!」タタッ

真美「大丈夫、亜美…? よかったよ…」

亜美「う…」

真美「? 亜美…」

亜美「うわああああああああああああああ」

真美「あ、亜美!?」

亜美「まぶたがカッチカチに『硬く』なってるゥゥゥゥゥ開かないよォォォォ」バタバタ

真美「落ち着いて、亜美!」

548: 2012/12/25(火) 00:05:40.60 ID:ztVWpZlOo
カツッ

亜美「ひっ…」ビクゥ

ゴゴゴゴゴゴ

真「亜美は今度こそ戦闘不能みたいだが…」

真「まだやるかい? やるのならいくらでも相手をするよ」

真「もっとも…もうネタギレだろう? もうボクに通用する策はないはずだ」

真美「ふ…ふふふ…」

真「?」

真美「あるんだな、それが…最後に残ったやつが…」グッ

真(手をつないだ…飛ばせる距離を伸ばすだけのはず、まだ何か…)

亜美「あっ、とっておきのやつだね…!」

真「な、なんだ…それは…」ジリ…

真美「それは…」 パッ ヒュン

亜美「逃げる」パッ ヒュヒュン

真「はっ!?」

550: 2012/12/25(火) 00:06:23.70 ID:ztVWpZlOo
真「二人一緒に消えた…下か!」バッ

ォォォ…

真(いない…もっと下か…?)

ギギギギ

ヒュッ

ォォオォォ

バギャム!!

真美「!」

真「真美…」シュゥゥゥ…

真美「ほうほう、やっぱこっちに来たかぁ」

真「亜美はどこだ? 近くにいるんじゃあ…」

真美「んっふっふ…亜美はこっちにはいないよ~ん」

真「何?」

真美「『同時』に飛ばせば…上と下、両方に飛ばすこともできる…これがどういうことかわかるかな?」

真「な…」

真美「じゃ~ね~、バイビー」ヒュン

真「ば…馬鹿な…!」

552: 2012/12/25(火) 00:07:00.82 ID:ztVWpZlOo
………

亜美「み…」

亜美「見えるッ、それに足も動く!」ピョン ピョン

亜美「そっか、射程距離! まこちんの『硬い』のはあんまし長くないんだね!」

亜美「真美も、『ワープ』すれば治るはず…!」

パッ

真美「おっ!? 腕が…」

亜美「真美!」

真美「亜美、亜美も治ったの?」

亜美「うん! これからどうする?」

真美「まずはここから逃げよっか、まこちんがすぐに追いかけてきそうだし」

亜美「おっけー!」

554: 2012/12/25(火) 00:07:48.86 ID:ztVWpZlOo
ドス! ドス!

ヒョイッ

コォォォォ…

真「屋上にはいない…もう逃げたのか…!」

真「くそっ、下にいるべきだったか…いや、どの道…」

真(『逃げる』と言う点なら『ワープ』する能力、はっきり言って無敵だぞ…)

真「…考えていても仕方ない、まずは下に戻らなくては…」

………

真美「下まで来たけど…まこちんもすぐ来るよね」

亜美「外に出れば、大丈夫だよ! 早く行こう!」ダダダッ

ドギャァア!!

真美「うっ、今の音…」クルッ

亜美「真美、振り向いちゃダメだ! 前を向いて生きていこう!」

556: 2012/12/25(火) 00:09:26.40 ID:ztVWpZlOo
ヒュン パッ

亜美「『ワープ』すれば、出入り口から外に出なくても…」

パキィィ

真美「ひっ…!?」

亜美「え、これは…」クルッ

ガギギギギガギ…

亜美「こ…こじ開けてる…」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

ズ…

亜美真美「「うわあああああああああああああああああ」」

ダダダダ

真「待て…!」ガシィ

亜美「待てと言われて待ったら警察はいらないんだYO!」

スゥ…

真美「はっ、亜美! 足下!」

亜美「えっ!? うわっ!」バッ

558: 2012/12/25(火) 00:10:26.11 ID:ztVWpZlOo
モクモク…

伊織「ちっ…!」

伊織(まだ頭がフラつく…上手く操れない…)

亜美「あ、あっぶなー…いおりんがいたんだね…」

真美「フラフラだねー。まぁ、相手にしてるヒマもないし行くよ!」

伊織「待ちなさい…!」

真美「ふっ、待てと言われて待つ人なんてやよいっちくらいしかいないっしょー」

タタタタ

伊織「あいつら…」

真「伊織!」

伊織「真…」

真「目を覚まし…」

バギィッ

真「ぐえっ!?」

伊織「アンタ、何やってんのよ…!! この伊織ちゃんを気絶させるなんて、とんでもないことをしてくれたわね…!」

560: 2012/12/25(火) 00:10:53.71 ID:ztVWpZlOo
真「い、伊織…今はそんなことを言ってる場合じゃ…」

伊織「わかってる。今のは仲直りの『握手』の代わりよ、あいつらを追いかけましょ」クルッ

真「あ、ああ…」

伊織「…あいつらを追いつめたの?」

真「うん、こうしてまんまと逃がしたけど…」

伊織「『ストレイング・マインド』の形が変わってるわね」

真「ああ、『チアリングレター』…これで、なんとか戦うことができた」

伊織「やればできるじゃない」

真「はは…そうだね」

伊織「…戦力外とか言って悪かったわ」ボソ…

真「え? 何?」

伊織「なんでもないわ! ほら、追いかけるわよ!」

真「なんなんだ…」

562: 2012/12/25(火) 00:11:26.27 ID:ztVWpZlOo
ドドドドドドド

ドドド

ヒュン パッ

真美(速い…! 二人とも、真美達と同じくらいだ…!)

真(あの二人、『ワープ』しながら移動しているのか…)

亜美(いおりん、スタンドに乗ってる…あれいいなー)

伊織(真の『チアリングレター』…足にも装備できるのね…)

真「く…引き離されはしないが、距離が詰まらない!」

伊織「さっき捕まえられれば…いえ、言っても仕方ないわ」

真「このまま逃がすのもアリなのかもしれない…だが、『逃げるが勝ち』とは思わないが…逃げる相手に勝つこともできない」

真「逃がせば、『どうせ捕まらない』『いつだって逃げられる』と…心に余裕が生まれる! 現に、二人は平静を取り戻していた!」

伊織「そうなると、面倒なことになるわね…あいつらは挽回の意志と余裕を持って、何度でも襲ってくるわ」

564: 2012/12/25(火) 00:12:40.96 ID:ztVWpZlOo
真美「はぁ、はぁ…」

ヒュン パッ

真美「この、走りながら『ワープ』するのって…凄い疲れる…」

真美「まこちんはそんなすぐ疲れないだろうし、いおりんともどもスタンドでの移動…いずれ追いつかれる!」

亜美「それならいい考えがありますぞ真美様」

真美「なんですかな? 言ってみなさい軍師亜美」

亜美「まず、二手に分かれるっしょ? そうすると一人ずつ着いてくるよね」

真美「うんうん…」

亜美「そしたら、片方に『ワープ』して…」

真美「二人とも片方に追いかけられるんじゃ?」

亜美「その後、また二手に分かれるんだよ。で、追われてる方はもう片方に『ワープ』すれば…」

真美「おお!? すげぇ、天才じゃん!」

亜美「んっふっふ~、まぁカンタンですな!」

真美「よし、そうと決まれば捕まらないようダッシュだ!」

566: 2012/12/25(火) 00:13:35.41 ID:ztVWpZlOo
真「『スタートスター』の能力、どうやって捕まえる!?」

真「普通の人間相手なら、向こうの体力切れを狙うと言いたいが…恐らく、その前に…」

伊織「ええ、送る側が遠くにいれば事務所からあの廃ビルにまで飛ばせるあの射程…」

伊織「このまま追いつけなければ、すぐに見失うわ…」

真「何か方法はあるのか、伊織!」

伊織「それを今考えてる」

伊織「私の探査能力を使おうにも、あいつらの『ワープ』範囲は軽く『スモーキー・スリル』の射程距離を超えている…」

ダダダダ

伊織「ち…分岐点…! あいつら、二手に分かれるつもりね…!」

真「まずい…さっきのように、まんまと逃げる気だ…」

スゥ…

伊織(無理か…ギリギリ届いても、あいつらの足を止める『パワー』を出すには距離が足りない!)

568: 2012/12/25(火) 00:14:31.96 ID:ztVWpZlOo
伊織「真! アンタの『チアリングレター』で私を投げなさい!」

真「駄目だ、『スモーキー・スリル』は捕獲に使うんだろ!? 追いつけはするだろうが、伊織の体が無事じゃ済まない!」

伊織「くっ…ここまで来て…!」

伊織(私を気絶させたから自業自得とは言え…)

伊織(コイツは一人であの二人と戦い、追いつめた…それを、みすみす逃がすなんて結末にはしたくない!)

ババッ

真「うっ、分かれたぞ…伊織!」

伊織(どうすれば…)

伊織(どうすれば、あいつらを捕まえられるのよ…!!)

ブオン

キュルキュル

真「…ん?」

伊織「こ…これは…」

570: 2012/12/25(火) 00:15:32.20 ID:ztVWpZlOo
亜美(亜美はこっち、で…)ダッ

伊織「………」

ドドド ドド

亜美(いおりんが追ってきてる…さっきちょっと触られたけど…)

亜美(距離を詰めるためには『煙』を一カ所に集めなきゃダメっしょ! 触れてなければ!)

パッ

亜美「よしっ! 成功!」

真美「あっ、亜美!」

ダダダダ

真美「こっちはまこちんが追ってきてる、『ワープ』しないとぐんぐん差を詰められる、早く分かれよう!」

亜美「わかった!」ダダッ

バッ ババ

ヒュン

真「………」

ドドドドド

572: 2012/12/25(火) 00:15:56.61 ID:ztVWpZlOo
パッ

真美「や…」

真美「やった、逃げ切ったよ、亜美…!」

亜美「油断するなー、まだ近くにいる。逃げ切るまでが遠足だ!」

真美「いやー、これもう撒いたも同然…」

キュルキュル

真美「あれ、なにこれ?」

亜美「えーと…なんだろ? どっかの国のスパイ衛生とか…?」

スゥーッ…

真美「え…!」グ…

真美「こ、これは…!?」

伊織「見つけたわ…!」

真美「い、いおりん!?」

574: 2012/12/25(火) 00:16:26.27 ID:ztVWpZlOo
真美「なんで…置いてけぼりにしたはずなのに…!」

伊織「『スモーキー・スリル』!」モクモクモク

真美「うわっと!?」ヒュン

パッ

亜美「わーっ、捕まっちゃうよ真美!?(いおりんのスタンドは気体だから、スタンドだけ『ワープ』はさせられないし!)」

真美「は、走れ! 逃げるんだ!」

ダダダダ

真美「う…っ!」グッ

伊織「逃がさないわ…」

真美「亜美、真美のことは置いて逃げるんだ…!」

亜美「わ、わかった!」ダダッ

伊織「二人まとめては無理か…だけど、片方捕まえれば『ワープ』は…」

真美「WRYYYYYYY!!」シュバババ

ブワッ

伊織「!」

576: 2012/12/25(火) 00:17:12.71 ID:ztVWpZlOo
ヒュン

真美「『煙』は散らせる…はるるんに聞いてた通りだ」

亜美「危なかったね、真美…」

真美「うん…だけど、なんで真美達がそこにいたのわかったんだろ…」

亜美「偶然だよ。この辺、分かれて迷路みたいになってるんだもん、ちゃんとした場所なんてわかりっこないよ」

?「と、そう思うだろう?」

亜美「は…」チラ…

真「違うね。キミ達のいるところはちゃんと把握してる」

真美「いーっ!?」

亜美「な…なんで亜美達の居場所がわかるの!?」

真「これさ…ボクも見たことはなかったんで、最初は驚いたが…」

キュルキュル

亜美「はっ! このカメラ…まさか…!」

579: 2012/12/25(火) 00:18:11.80 ID:ztVWpZlOo
………

律子「『ロット・ア・ロット』」

律子「町中にカメラを仕掛けたわ。この監視網からは逃げられないわよ」

伊織『律子、助かったわ…アンタが協力してくれるなんて』

律子「今日は春香は出張でここらにはいないからね。堂々と使えるわ」

律子「貴音とやよいが来たのよ、なんとかできないかって。さっきまで見つからなかったということは、屋内で戦ってたみたいね」

伊織『そうなの…でかしたわ。やよい、貴音』

やよい「えへへ…貴音さんが、律子さんに協力を頼もうって言って…」

律子「ふふふ、ガキンチョどもが…この律子さんを出し抜こうなんて思わないことね…!」

やよい「あっ、律子さん悪い顔してます!」

伊織『って言うか「ロット・ア・ロット」…会話機能なんてついてたのね。前見たときはわからなかったわ』

律子「この前は使う意味なかったでしょう、あんた達に情報与えてもしょうがないし」

581: 2012/12/25(火) 00:19:35.53 ID:ztVWpZlOo
………

律子『真美の方が「ワープ」したわ。その先の交差点を左に行って』

伊織「わかったわ」

伊織「ところで、貴音は? さっきから声が聞こえないけど」

律子『貴音なら…えーと…?』

伊織「?」

やよい『…あれ? さっきまで、いたんだけど…』

伊織(…いない?)

やよい『私、探して…』

伊織「いえ、いいわ。そこにいて、やよい」

やよい『う、うん…』

伊織(何か気になるけど…)

伊織(…貴音は大丈夫。何も心配することなんてない)

伊織(それより今は、あいつらを捕まえることが先よ)

583: 2012/12/25(火) 00:20:20.79 ID:ztVWpZlOo
……



亜美「はぁ、はぁ…」

真美「ふぅ、ふぅ…」

亜美「そ…そんな…」

グァァア

真美「行き、止まり…」

伊織「律子の奴、妙な進路に決めてると思ったら…」ザッ

真「こういうわけか。これなら、もう逃げられないな」バァーン

伊織「そこらの家にワープしてもいいけど…『お茶の間にアイドル出現!』大騒ぎね」

亜美「う…」

亜美「ゆ、許してまこちん!」

真美「『スタンド』使いになって…はるるんにそそのかされて、ついその気になっちゃって…」

亜美「ここまでする気はなかったんだYO! だから!」

伊織「…どうする、真?」

真「…いいよ。降参するって言うなら、それ以上やるつもりはない」

585: 2012/12/25(火) 00:21:48.97 ID:ztVWpZlOo
亜美「ククク…ゆだんしたな、今だ!」バッ

伊織「ちょっ…」

真「オラァ!!」ゴォッ

亜美「『一手』遅れたね、まこちん! そんなんじゃ甘いぜ!」

ヒュン

亜美「腕のスタンドを飛ばした! これで…」

ドギャァ!!

亜美「うっ… !?」

真「元から、こいつを使うつもりはなかった…飛ばしてくれたのなら、手間が省ける」

真「さっきまでは騙すような小細工にもこだわりを感じたものだが…こんな、人の良心につけ込むような真似をするとはね」

亜美「あ…」

真「覚悟しろよ、亜美…! いい加減プッツン来たぜボクも…!」ゴッ!

亜美「あああああああああああ」

真「オラオラオラオラオラオラオラ」ドォ ドバァ メキャ ガス

亜美「うげっ、がふっ!」ボゴァ

真「オラァッ!!」ドガァ!!

587: 2012/12/25(火) 00:23:00.54 ID:ztVWpZlOo
亜美「うわぁぁぁぁああああ」ドサァ

ドッバァーン

真美「あ…亜美!」

伊織「ま…真…」

真「さて…」クルッ

真美「うっ!」

真「真美…真美にも、お仕置きが必要かな…」

真美「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」

真美「さっきも言ったけど…スタンド使いになって、ついちょーしに乗っちゃったんです!」

真美「亜美も、魔が差したんです! もうしません!」

真「うん。今度は心から謝ってるみたいだし…許すよ」

真美「ふぅ…」

真「でも一発!!」ゴンッ!!

真美「ぎゃーーっっ!!」

ドサッ

589: 2012/12/25(火) 00:23:33.27 ID:ztVWpZlOo
真美「うわーん、謝ったのに! まこちんがぶったー!!」

亜美「うぅぅ…痛いよー、痛いよー」

伊織「や…」

伊織「やったわね…真、うん」

真「………」

伊織「真?」

真「いや…殴る必要はなかったよなぁ…」

伊織「は…いや、いい戒めじゃない。今回は流石に調子乗りすぎよこいつら」

真「亜美に関してもやりすぎだし…真美だって、謝ってたのに…」

伊織「そりゃ、あんなんやられたら怒るのも当然じゃない。あれで許すなんてどこの聖人かっての」

真「あぁ、こんなんじゃあ父さんの思う壷じゃないか…自分が情けない…」ショボン

伊織「あーもう、めんどくさい奴…!」

To Be Continued…

591: 2012/12/25(火) 00:25:06.67 ID:ztVWpZlOo
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
なにジョジョ、チアリングレターがミスメイカーの上位互換だって?逆に考e

595: 2012/12/25(火) 02:34:53.43 ID:aUEkdHjYo
逆に考えるんだ、ミスメイカーも成長すると考えるんだ

596: 2012/12/25(火) 02:49:10.33 ID:tjSU5vNVo
??「これ以上成長するというの…」

Fだけど成長性Eなんだよなぁ



To Be Continued...





引用元: 伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」