887: 2013/01/29(火) 23:00:37.91 ID:TbBUcbcWo

春香「弓と矢」『ファースト・ステージ』【前編】


春香(真、響、あずささん、やよい、律子さん、そして亜美真美…)

春香(こっちの『仲間』7人は、ついに…7人とも、みんな敗北した…か)

春香(あずささんに、律子さん…あれでごまかせてるつもりなのかなぁ…)

春香(二人のこと、私が気づいてるなんてわかってるとは思うけどね)

春香(…何にしても。ついに、1人になったと…そういうことか)

春香「ま…」

春香「いいか…一斉に来れば来るほど私の『アイ・ウォント』の能力は脅威を増す…どうせ何人でかかって来ようと無駄だし…」

春香「美希の『リレイションズ』も貴音さんの『フラワーガール』も…私の『アイ・ウォント』には勝てないでしょう」

春香「それに…」

春香「私には『これ』がある」スッ

キラリ…

春香「『弓と矢』…」

春香「いずれ、この事務所にも後輩が入ってくる…」

春香「みんな、『スタンド使い』にしてあげないと…自分の才能のことをちゃんとわからせてあげないと…ね。ふふ…」

………

……




※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

889: 2013/01/29(火) 23:01:42.31 ID:TbBUcbcWo
伊織「ただいま」

律子「竜宮小町、ただいま戻りました」

シィーン…

伊織「って、この伊織ちゃんが帰ってきてるのに誰も出迎えなし! どういうことよ、まったく…」

律子「まぁまぁ。みんな仕事で忙しいのよ」

亜美「待合室に誰かしらいるっしょー」パタタタタ

律子「あ、ちょっと亜美! 待ちなさい!」

伊織「ったく、落ち着きないわね」

律子「はぁ…今日はもうミーティングなしだからいいけど…」

伊織「久々にアンタと仕事したけど…やっぱ、律子がいてこそ竜宮小町って感じね」

律子「えっ…な、何言ってるのよ伊織…」

伊織「ん? 律子、アンタもしかして照れてんの? にひひっ」

律子「あーもう! からかわない!」

伊織「まぁそれはどうでもいいけど、あずさは? さっきまで一緒にいたわよね」

律子「どうでもいいって…あずささんなら、買いたいものがあるって外で別れたわ」

伊織「一人で行かせて大丈夫なの…?」

律子「大丈夫でしょ。多分…」

891: 2013/01/29(火) 23:02:43.41 ID:TbBUcbcWo
………

……

伊織(さて…)

伊織(これからどうする…? 仲間を集める件、貴音に任せきりというのはもどかしいわね…)

伊織(その貴音は今事務所にいないし…とりあえず、真達に何かなかったか聞いてみるか)

伊織(と思って待合室に来たものの、中にいたのは…)

真美「あと5分…お願いだ! あと5分だけやらせてくれッ!」ピコピコ

亜美「ホラホラ…やめないとドンドン蹴りが強くなるわよぉ~」ガスガス

伊織(なんかよくわからない遊びをしている亜美に真美…)

雪歩「ふぅ…」スラスラ

伊織(そして机で一人何かを…多分いつもの詩でしょうけど…書いている雪歩…)

伊織(真達の場所を聞きたいけど、あいつらは当てにならなそうだし…巻き込まれたくないわね)

伊織「雪歩」

雪歩「ひぃっ!?」パタン

雪歩「な…何…伊織ちゃん…」

伊織(今度はどんな詩を何を書いているのか、気にならないと言ったら嘘になるけど…)

伊織(無駄に面倒事を起こすのは御免よ。私はあいつらの居場所を知りたいだけだし)

893: 2013/01/29(火) 23:03:49.80 ID:TbBUcbcWo
伊織「やよいは? 確か、アンタこの後一緒に収録よね」

雪歩「やよいちゃん? ここにはいないけど…」

伊織「んなもん、見りゃわかるわよ! 私はやよいがどこにいるのかって聞いてるの」

雪歩「あ、あぅぅ…ごめんなさい、わかりません…」

伊織「…そう。それじゃ、真でいいわ。あいつもこの時間ならいるでしょ」

雪歩「真ちゃんはさっきちょっと話したけど…あの後どこか行っちゃって…」

伊織「真もか…」

伊織(考えてみれば、こいつはここで一人で詩を書いていたわけで…わかるわけがないか…)

伊織(しかし参ったわね。貴音は仕事中だし、さっきまで一緒だった律子や亜美と話しても仕方ないし…)

伊織(前から話そうと思っていたあずさはどっか行くし…)

伊織(やよいはこの後仕事がある。真を捜しに行こうかしら。多分、事務所のどこかにはいるはずよね)

雪歩「…伊織ちゃん、最近真ちゃんと仲いいよね」

伊織「はぁ? そんなことないわよ」

雪歩「嘘! だって、私が真ちゃんのこと見たときはいっつも話してるし…」

伊織「印象に残ってるってだけでしょ、そんな四六時中喋ってないわ」

895: 2013/01/29(火) 23:04:40.10 ID:TbBUcbcWo
雪歩「でも…移転する前…真ちゃんと二人きりで話したいって…」

伊織「い…いつの話よ! そんな前の事持ち出さないでちょうだい!」

雪歩「やっぱり、あれは…あぅ」カァッ

伊織「ばっ…変な事言わないで! 女同士とか気持ち悪いわ! 何考えてるのよ、この変態!」

雪歩「でも、音無さんが持ってきてる本の中にそういうのが…」

伊織「アンタ…何読んでるのよ…」

雪歩「美希ちゃんが…読んでみようって言うから…つい…」

伊織「何やってんのよアンタらは、人の私物を…」

伊織(小鳥も小鳥だけど…隠してるつもりならそういうのは家でこっそりやっておきなさいよ…)

伊織(しかしそう言う目で見られてるのか…いえ、こいつが変なだけだと思いたいけど…)

伊織(ここで真を捜しに行ったら、また変な誤解を受けるかもしれないわね…)

伊織(雪歩は他人に言いふらしたりはしないけど、誰かにそう思われているってのは…)

雪歩「本当に、何にもないの?」

伊織「アンタが思ってるような事は絶対にありえないから。単なる友…友達の、それよ…」ゴニョゴニョ

伊織(もう、この際だわ。雪歩に探りを入れてみるか…)

897: 2013/01/29(火) 23:05:18.63 ID:TbBUcbcWo
伊織「真のことはもういいわ。それより、この後仕事よね」

雪歩「あ、うん。やよいちゃんと真美ちゃんと三人でね」

伊織「アンタがセンターよね。まぁ…そこそこの舞台だし…」

雪歩「うっ」ビクッ

伊織「実質リーダーみたいなもんなんだから…頑張りなさいよ」

雪歩「ひゃ、ひゃい!」

伊織「ちょっと…ガチガチじゃない。そんなんで本番大丈夫なの?」

雪歩「だ、大丈夫でひゅ…ですぅ!」

伊織「アンタね…ここで緊張してても仕方ないでしょ。まずは深呼吸でもして落ち着きなさい」

雪歩「は、はいぃ…」

伊織(さて、どう話を切り出そうかしら…)

伊織(真の時と同じでいいわね。まずはスタンドを見せる)

伊織(何かしら反応はあるはず…)

雪歩「すーっ、はーっ…」

伊織「………」

スゥ…

899: 2013/01/29(火) 23:07:24.98 ID:TbBUcbcWo
伊織「あら?」

雪歩「ふぅ…どうしたの、伊織ちゃん?」

伊織「なんか…ねぇ、雪歩」

モクモクモクモク

伊織(『スモーキー・スリル』…この部屋の、私達の周りにだけ薄く広げた…普通の煙とは見分けはつかないはず)

伊織「煙っぽくない? どこか近くで焚き火でもしてるのかしら」

雪歩「そうかな?」スンスン

伊織「え?」

雪歩「うーん?」ガラッ

キョロキョロ

真美「あれ、ゆきぴょんどしたの?」

伊織(…窓を開けて…外を見渡しに行った…)

雪歩「焚き火とかは、ないみたいだけど…」

伊織(え…なに…? なんなの、この反応…)

雪歩「煙っぽいんだよね? どこからだろ…」

伊織(『スモーキー・スリル』が見えていないの…? 雪歩は『スタンド使い』じゃあ…ない…?)

伊織(いえ、そんなまさか…春香が雪歩を見逃すなんて、そんなはずは…)

伊織「…『スタンド使い』は…煙を吸うと、鼻の上に血管が浮き出る」

雪歩「…?」スッ

伊織(あ、触った…)

901: 2013/01/29(火) 23:08:17.18 ID:TbBUcbcWo
雪歩「伊織ちゃん、今のってどういうこと? つい触っちゃったけど…」

伊織「嘘よ…」

雪歩「へ…?」

伊織(これで慌てて触るようならクロだとわかるんだけど…この反応じゃあ…)

雪歩「えっと…調理室の方見てくるね。火がつけっぱなしなのかも」

伊織「ああ、いいわよそんなことしなくて。別に煙の臭いなんてしないでしょ」

雪歩「え? でも伊織ちゃんが…」

伊織「気のせいだったわ」

雪歩「ええっ!?」

伊織「そもそも調理室なんて全然使われてないし、火つけっぱなしでどっか行く馬鹿なんてうちにはいないでしょ」

雪歩「私は…使うけど…」

903: 2013/01/29(火) 23:09:34.35 ID:TbBUcbcWo
伊織「まぁそれはどうでもいいけど、雪歩。ちょっと聞きたいことがあるわ」

雪歩「どうでもいいって…何、伊織ちゃん?」

伊織「春香…最近ちょっとおかしくないかしら」

雪歩「春香ちゃん? うん、確かにちょっと変な感じはするけど…」

雪歩「仕事いっぱいで疲れてるんだよ、きっと」

伊織(動揺するわけでもなく、ごまかすわけでもなく…普通の答え…)

伊織(違和感には気づいているみたいだけど、それがなんなのかはわかっていない…って感じね)

雪歩「伊織ちゃん?」

伊織「雪歩…アンタ、『スタンド』については本当に何も知らないのね…」

雪歩「え、何?」

伊織「…『スタンド』よ。知らないんなら別に覚えなくていいけど…」

雪歩「えっと、ごめんなさい…伊織ちゃん…」

伊織「別にいちいち謝らなくてもいいわ。アンタにはそもそも関係ない話だったみたいだし」

雪歩「そうじゃなくて…『知らないのなら』って言う前…なんて言ったの? 聞こえなくて…」

伊織「いいって言ってるでしょ」

雪歩「でも…」

905: 2013/01/29(火) 23:09:57.81 ID:TbBUcbcWo
伊織「はぁ…『スタンド』。これだけ言ってもわからないでしょ」

雪歩「え…今、何か…言ったの?」

・ ・ ・ ・

伊織「は…?」

雪歩「?」

ゴゴゴゴゴ ゴゴ

伊織「ちょ、ちょっと待って雪歩…」

雪歩「何…?」

伊織「『スタンド』よ、『スタンド』! ちゃんと聞こえてるわよね?」

雪歩「え…伊織ちゃんが喋ってるのはわかるけど…なんで、声を出さないの…?」

伊織「出してるわよ!」

雪歩「ふぁっ」ビクゥ

伊織「う…」

伊織(な…何、これ…!? 『スタンド』という言葉だけ、雪歩の耳に届いていない…?)

907: 2013/01/29(火) 23:10:29.64 ID:TbBUcbcWo
伊織「電気スタンド…」

雪歩「電気スタンド? え、それが伊織ちゃんの言いたいこと…?」

雪歩「それはもちろん知ってるけど…春香ちゃんの事と何か関係あるの?」

伊織「違う! 電気スタンドじゃあなくて、『スタンド』よ! ス! タ! ン! ド!」

雪歩「えっ? えっ?」

伊織「『弓と矢』! 『スタンド使い』! 『アイ・ウォント』!」

雪歩「? ?? ?」

伊織(『スタンド』だけじゃあない…スタンドに関する言葉が全て、雪歩には聞こえていない…!!)

雪歩「伊織ちゃん…その…大丈夫…?」

伊織「大丈夫…ですって!? おかしいのはアンタの方でしょうがッ!」

雪歩「ひっ」

伊織「ああ、違う…そうじゃない…そうじゃなくて…」

雪歩「? ??」

伊織(! 雪歩のノートと鉛筆…)

伊織「雪歩ごめんなさい、借りるわ!」バッ

雪歩「えっ!? ちょ、ちょっと伊織ちゃん!」

伊織(聞こえないのなら…そう、紙に書けばいい…!)スラスラスラ

909: 2013/01/29(火) 23:11:25.97 ID:TbBUcbcWo
バンッ

伊織「これよ! 私が言いたいのは!」

雪歩「これって…」

ゴゴゴゴゴ ゴゴ

雪歩「何も…書いてないけど…」

ゴ ゴゴゴ

伊織「ア…アンタ…」

ゴゴゴゴ

伊織「本当に、これが何も書いてないように見えるの…!?」

雪歩「い、伊織ちゃん…冗談だよね…? やめてよ、怖い…」

伊織(怖い…? こっちの台詞よ、そんなもん…)

伊織(『スタンド使い』でなければスタンドは見えない…)

伊織(だけど、『スタンド』と言う言葉自体が聞こえないだとか、見えないだとか…そんなこと、ありえないわ…)

雪歩「ね、ねぇ…伊織ちゃん…?」

伊織「………」

911: 2013/01/29(火) 23:12:35.45 ID:TbBUcbcWo
伊織「じょ…」

雪歩「………」

伊織「冗…談よ。アンタ、これから仕事だからリラックスさせようと思って…」

雪歩「え、でも、だったらなんであんなこと…」

伊織「落としてから上げる話術ってヤツ…よ。そっちの方が効果的なの」

雪歩「そうなの…? 確かに安心したら気が抜けたような…」

P「おーい雪歩、真美!」

雪歩「あ、プロデューサー」

真美「ほぇ?」

P「そろそろ出るぞ。準備できてるか?」

雪歩「はい、大丈夫です」

真美「んー、バッチリだよーん。多分」

P「おいおい、本当に大丈夫か…まぁ、やよいも待たせてるしとりあえず出るぞ」

亜美「真美、行ってらっしゃーい」

雪歩「ごめんね、伊織ちゃん。もう行かないと…」

伊織「あ、ちょっと雪歩…」

パタン…

913: 2013/01/29(火) 23:14:15.54 ID:TbBUcbcWo
伊織「………」

亜美「いおりん、ゆきぴょんと何話してたの?」

伊織「ちょっとね…探りを入れてたんだけど、わけがわからなくなった…」

亜美「えーなにそれ? なんか面白そう、聞かせて聞かせて!」

伊織「本当にわけがわからないのよ…自分で整理したいわ」

亜美「えー、教えてくれないの? ぶーぶー、いおりんのケチー」

伊織「悪かったわね。後でちゃんと話すから今は放っといてよ」

亜美「むー、まぁいいや。それじゃいおりん、一緒にゲームでもやろうぜ!」

伊織「そんな気にはなれないわ…ちょっと考えたいことがあるから外に行く」

亜美「あ、じゃあ亜美も一緒に」

伊織「一人で考えたいのよ。誰かと遊びたいなら、真でも捜してちょうだい」

亜美「うげ、まこちんか…」ブルブル

伊織「別に、取って食われたりしないわよ。じゃ、私は行くわ」スタスタ

167: 2013/03/12(火) 03:03:18.84 ID:gRow/b/Ao
読み返してたら2スレ目の>>913と>>915の間が抜けてました…

コツ コツ

伊織(雪歩が『スタンド』という単語を認識できない現象…)

伊織(最初に思い当たるのは『アイ・ウォント』の『五感支配』だけど…)

伊織(雪歩は聞こえないだけでなく見えもしない。二つ以上の感覚が操られていた)

伊織(そもそも春香がやっているのだとしたら、何のために…? 理由がわからない…)

伊織(それに『アイ・ウォント』の能力が届く射程距離は10m程度…)

伊織(仕事中の春香が、事務所にいた雪歩に能力をかけ続けるなんて…そんなことはありえない)

伊織(じゃあ、一体…)

バキャァ!!

伊織「…?」クルッ

伊織「何、今の音は…」

シーン…

伊織「…気のせいかしら」

915: 2013/01/29(火) 23:15:01.06 ID:TbBUcbcWo
バキ!

伊織「!」

伊織(いや、気のせいじゃない…近くで何か起こっている!)

メキメキメキメキ!

伊織(な、何…? この木材が真っ二つに折り曲げられるような音…)

ドバァ!

?「かふっ」バッギャァァーン

ボフッ!!

伊織「…え」

ズザァァァァァ

ガゴッ!!

?「ぐ…うぁ…」

伊織(『スモーキー・スリル』の中に何か…飛び込んできた…?)

伊織(ベンチソファの下に誰かいる…)チラ…

真「う…あ…ああぅ…」パラ…

伊織「ま…真ッ!?」

917: 2013/01/29(火) 23:15:49.73 ID:TbBUcbcWo
真「い…伊織…か…」

伊織(真が…やられている!? 一体何が…!?)

伊織「真! 何、どうしたの!?」

真「あれは…何なんだ、ぐっ」

伊織「何があったのよ! しっかりしなさい!」

真「逃げろ、伊織…」プルプル

真「あいつは…強すぎる、無理だ…誰にも倒せない…」

伊織「あいつって、誰よ!? あんたをやった奴がそこにいるのね!?」

真「う…ぐ…」ガクッ

伊織「真ッ!!」

真「………」

伊織「駄目だわ、気を失っている…」

伊織(『ストレイング・マインド』も…真本人もボロボロ…あの真が…こうまでやられるなんて…)

伊織(一体誰がこんなことを出来るというの…?)

919: 2013/01/29(火) 23:16:37.07 ID:TbBUcbcWo
伊織「まさか…『春香』ッ!? 春香がそこにいるの…!?」

?「違ウナ…水瀬伊織。天海春香ジャアナイ…」

伊織「!?」クルッ

?「菊地真ハ…」

伊織(なに、こいつ…スタンド!?)

?「私ガ始末シタ」

伊織(こいつが、真をやった…?)

?「意外ソウナ顔ダナ、水瀬伊織…」

伊織「何よあんた!? スタンドなの!? 春香の部下!? 本体はどこよ!?」

?「…随分トヨク回ル口ダナ」

?「ワカッタ、『三ツ』ダ」ビッ

伊織「!?」

?「『三ツ』ダケ、質問ヲ受ケ付ケヨウ。本当ニ知リタイ事ダケ…聞クガイイ」

伊織「は…」

伊織(指を三本立てて…『質問を受け付ける』…ですって? なんなのよ、このスタンドは…)

921: 2013/01/29(火) 23:17:57.19 ID:TbBUcbcWo


……

………

春香「さて、美希に貴音さんに伊織に…あと千早ちゃん」

春香「ああやって分かれていれば多分、誰かしら雪歩に声をかけているでしょう」

春香「そうなればあの厄介なスタンド、『ファースト・ステージ』…」

春香「引っかかってくれれば、誰であろうが勝手に始末してくれる」

春香「あれは私の『アイ・ウォント』でも手こずりそうなスタンドだからね…」

春香「いや、待てよ…それじゃ、私が勝ったわけではないわけで…」

春香「それだと、結局は私が行くしか…でもな…うむむ…」

「天海さーん! お待たせしました、入ってください!」

春香「あ、はーい! 今行きまーす!」

春香「まぁ…後で考えよっか。今は仕事の方が大事だからね」

946: 2013/02/05(火) 21:08:43.00 ID:a3Qw3avKo
ゴゴゴゴゴ ゴゴゴ

FS「自分ノ中ノ何カヲ 人ト『共有』スルノハ…」

FS「素晴ラシイコトダトハ 思ワナイカ? ナァ、水瀬伊織(マ! 私ハ『人』ジャアナイガネ)」

伊織(いきなり何…? 『三つだけ』質問を受け付けるですって…?)

真「………」

FS「菊地真ハ…ソコカ。手間取ッタガ、終ワッテミレバ 呆気無イモノダッタナ」

ゴゴゴゴ

伊織(こいつが…真をやったの…?)ジリ…

FS「ソウヤッテ、私カラ遠ザカロウトシテイルノハ…」

伊織「…!」ピタ…

FS「質問ハナイ…トイウコトノカ?」

FS「ナラ、コチラモ『攻撃』ニ移ラセテモラウガ」

伊織「………」

950: 2013/02/05(火) 21:12:06.27 ID:a3Qw3avKo
伊織「あんた…『何者』よ」

FS「曖昧ナ質問ダナ…」

伊織「名前だけ聞いても仕方ないわ。これで1つ…で、いいかしら?」

FS「マアイイカ…答エヨウ」

FS「水瀬伊織 君ガ思ッテイル通リ、私ハすたんどダ」

FS「名前ハ『ふぁーすと・すてーじ』 本体ハ萩原雪歩」

伊織(雪歩の…)

伊織「雪歩の奴、やっぱり知らないふりをしていたってことね…! 真を始末した後は、今度は私にスタンドを仕向けてきたってわけ…!」

FS「ソレハ違ウ」

伊織「は…? 違うって…どういうこと?」

FS「言ウノハソレダケダ。今ノハ私ガ勝手ニ話シタコト 『質問』ニハ含メナイガ…詳シクハ『質問』シナケレバ答エナイ」

伊織「………」

FS「ソノ質問デハココマデダナ。一ツ目ノ質問ハ終ワリダ」

952: 2013/02/05(火) 21:19:04.34 ID:a3Qw3avKo
伊織「雪歩が仕向けてきたわけじゃないってなら…何でアンタは出てきたのよ? 納得のいく答えを聞かせてもらいたいわ」

FS「フム…ソレガ『二ツ目』カ。デハ 何カラ話シタライイノカ…」

FS「私ハ『自動操縦型』ノすたんどダ」

伊織(『自動操縦』…聞いたことがある、確か以前貴音が言いかけてたわね…)

伊織「その、『自動操縦型』ってのは何?」

FS「一般的ニ言エバ、一度攻撃ヲ開始シタラ、本体ノ意志トハ関係ナク行動ヲ続ケルすたんどノ事ダ」

FS「『遠隔操作』デイテ強イ『ぱわー』ヲ出セル代ワリニ正確ナ動キハデキナイ」

伊織「ふぅん…こうベラベラ喋ってるのは『正確な動き』には含まれないのね?」

FS「アクマデモ一般的ナ『自動操縦』ガ ソウデアルトイウダケダ。私ハ少々特殊ナたいぷダト自分デハ思ッテイル」

伊織「…で? アンタが出てきた理由は?」

FS「私ハ…私ガ標的ヲ定メタ時、萩原雪歩ノ意志トハ関係ナク攻撃ヲ開始スル」

伊織「標的…? 何か基準でもあるの? 真はそれに引っかかったってワケ?」

FS「アア。ソシテ、ソレハ私ノ存在理由トモ関係スル」

伊織「存在理由…?」

FS「私ノ存在理由ハ…萩原雪歩ニ『すたんど』ノ存在ヲ知ラセナイコトダ」

伊織(はぁ…? 何言ってんのコイツ? 自分もスタンドのくせに)

954: 2013/02/05(火) 21:20:18.11 ID:a3Qw3avKo
FS「菊地真ハ『すたんど』ニツイテ萩原雪歩ニ尋ネタ」

FS「彼女ニすたんどノ話ヲスル者ヲ『始末』スルタメ…ソノタメニ、私ハ出テキタノダ!」

伊織「始末…それじゃ、私もやるつもり…? 真をやったように」

FS「モチロン…雪歩ト『すたんど』ノ話ヲシヨウトシタヨナ? 君モ私ノ攻撃対象ダ 水瀬伊織」

伊織「まるで、話さなければ攻撃はしない…みたいな口ぶりね」

FS「ソウダガ。私モ暇デハナイノデネ 害ガナイト判断スレバ コッチカラ手ヲ出シタリハシナイ」

伊織「って言うか…アンタ、雪歩のスタンドなんでしょ? アンタにダメージが入れば雪歩にもダメージがあるはずよね。何かおかしいって感づかれるんじゃないの…?」

FS「私ト萩原雪歩ハ繋ガッテイテ ソレデイテ切リ離ナサレタ存在。私ノ頭ガ粉々ニナロート腹ガぶち抜カレヨート萩原雪歩ニだめーじガ行クコトハナイシ、ココデ何ガアロウト萩原雪歩ガ知ルコトハナイ」

FS「『自動操縦』トハ ソウイウモノダ」

伊織「だけど、真が怪我をしたとあったら…いくら鈍感なヤツでも、何か感づくわよ。ましてや、いつも周囲に気を配ってる雪歩が…」

FS「萩原雪歩ハ『すたんど』ノ存在ヲ知ラナイ。君達ニ『何カ』ガアッタコトヲ知ッテモ、ソレガ自分ノすたんど…私ニヨルモノダト ワカリハシナイ」

956: 2013/02/05(火) 21:21:13.49 ID:a3Qw3avKo
伊織「そもそも…『知らない』だとか『知らせない』とか言ってるけど、そもそも、『スタンド使い』が自分のスタンドのことを知らないだなんて、そんなことあるとは思えないんだけど」

FS「 『すたんど使イハ皆自分ノすたんどハ知ッテイテ当然』…コレガ ソモソモノ誤リダ」

FS「『すたんど』ヲ本体ガこんとろーるデキナカッタリ…或イハ、最初カラソウイウたいぷダッタリ…本体ノ知ラヌ所デ勝手ニ行動スルすたんどトイウモノガ存在スルノダ」

FS「君ダッテ、最初ハ自分ノすたんどヲロクニこんとろーるデキナカッタダロウ? 水瀬伊織」

伊織「何でそんな事知ってるのよアンタ…」

FS「ソレモ知リタケレバ後デ質問スレバイイ。答エルノハアト『一ツ』ダケダガ、『三ツ目』の質問だ」

伊織「じゃあ、最後に質問と言うか、単に思った事を言うけど…」

伊織「アンタ、ちょっと過保護なんじゃあないかしら」

FS「コノ世ノアラユル残酷ナ事カラ彼女ヲ守ッテヤリタイ…ソウ思ウノガイケナイコトダロウカ」

伊織「………」

FS「私ハ萩原雪歩ガ天海春香ニ『矢』デ貫カレタ時ノ『未知ヘノ恐怖』ニヨッテ生ミ出サレタカラナ…ソレガ理由ダロウ」

伊織「春香とは会っているのね」

FS「アノ時、萩原雪歩ハ気ヲ失ッテイタカラナ…私ガ天海春香ニ立チ向カイ、ナントカ逃レラレタガ」

FS「彼女自身ハ、ソノ時ノ出来事ヲ『夢』カ ナニカダッタト思ッテイルダロウ」

伊織「気を失っていて、なんで…ああ、『自動操縦』ってやつか」

FS「話ガ早クテ助カルヨ」

958: 2013/02/05(火) 21:22:37.71 ID:a3Qw3avKo
FS「ソレニ、彼女ガ『すたんど』ニツイテ耳ニスルコトモナイシナ」

伊織「雪歩が『スタンド』に関する言葉を認識できなくしているのはやっぱ、アンタの仕業なのね…それがアンタの能力?」

FS「………」

伊織(………)

FS「…シカシ、彼女は無意識ノウチニすたんどノ存在ヲ感ジテイル」

FS「ナニカ得体ノ知レナイ『力』ガ事務所ニ存在シテイルトネ…」

伊織(得体の知れない力…)

伊織(私がスタンド使いになる前に抱いていた『違和感』…他にも誰かが感じ取っていてもおかしくはない…)

伊織「私ならいっそ、さっさとスタンドの事を教えてやるけど」

FS「知ッテ自分ニハドウシヨウモナイコトダトワカルヨリモ、知ラナイ方ガ幸セダ」

伊織「んなもん、言ってみなけりゃわからないわ。アンタがやってる事は単に『恐怖』を増大させるだけのことよ」

FS「彼女ハカ弱イ。『すたんど使イ』相手ニ立チ向ッテ行クコトナドデキヤシナイダロウ…コレガ最善ダ」

伊織「………」

伊織(人と何かを共有するのは素晴らしいとか何とか言ってたくせに…『矛盾』しまくってるわ、こいつ…)

960: 2013/02/05(火) 21:23:47.56 ID:a3Qw3avKo
FS「サテ…ソロソロ、イイカ?」

伊織「ちょ、ちょっと待ってッ! もう一ついいかしら!」

FS「質問ハ終ワリダト言ッタハズダガ…コレ以上ハ受ケ付ケナイ」

伊織「質問じゃあないわ、これはお願い」

FS「オ願イ?」

伊織「春香がスタンド使いを集めていること…雪歩は知らなくても、アンタは知ってるわよね」

FS「………」

伊織「真にしたことは許せないけど、この際目を瞑るわ…逆に考えれば、真を倒せるくらい強いってことでしょ?」

FS「………」

伊織「私達は戦力がいる! 春香を倒すために、協力しなさい『ファースト・ステージ』!」

伊織「春香をなんとかすれば、この事態は収まるはず…アンタや雪歩に対しても悪い話じゃないと思うけど」

FS「天海春香ノコト…勿論知ッテイル。コノ『すたんど』ノ騒ギヲ起コシタ張本人ダ」

FS「ソコニ自分カラ飛ビ込ンデイケト…ソウイウコトカ?」

伊織「ええ、まぁ…そうなるわね…」

FS「ソレハツマリ、萩原雪歩ヲ巻キ込ムトイウコトダロウ!? ソンナコトハ許サナイッ!!」

伊織「な…」

962: 2013/02/05(火) 21:24:43.42 ID:a3Qw3avKo
伊織「放っといてもどうせ巻き込まれるわよッ! それより、原因を叩けば…」

FS「私ガスベテ始末スレバイイ」

伊織「は…」

伊織(全員、始末する…ですって…? 何言ってんの、こいつは…)

FS「ソウスレバ、萩原雪歩ガすたんどヲ知ルコトナク、私ノ役目モ終ワル」

伊織「だ~からッ、春香だけ倒せばもうそれ以上関わることはないと言ってるのよッ! この分からず屋ッ!」

FS「平行線ダナ」

FS「モウイイダロウ、話ハ終ワリダ水瀬伊織…コレ以上話スコトナド、何モナイ」

伊織「ぐ…」

ドドドド

FS「君ヲ始末サセテモラウ」

ドド ドド

伊織(春香に負けず劣らずの聞く耳持たなさ…いえ、その点で言えばもしかしたら春香より上なんじゃないの?)

伊織(随分過保護なスタンドが憑いてるのねェ~ッ、雪歩ッ!)

964: 2013/02/05(火) 21:25:59.20 ID:a3Qw3avKo
伊織「………」チラ…

真「………」

伊織「さーて、どうしようかしら…真には、『逃げろ』って言われてるのよねー」

FS「ソウシタイノナラ勝手ニスルガイイ」

伊織「じゃあ…」

ガラッ

FS「ン!」

伊織「逃げるか」グラ…

ストン

FS「頭カラ落チタナ…氏ヌ気カ?」

FS「イヤ、窓カラ飛ビ降リ…『すもーきー・すりる』デ受ケ止メルツモリカ」

FS「水瀬伊織ノ基本戦術ダナ…私カラ逃レル気カ? 菊地真メ、余計ナ事ヲ…」

FS「ダガ生憎、私ハコレクライノ『高サ』ナドモノトモ…」ヒョイ

モクモクモクモク

・ ・ ・ ・

伊織「来たわね」

FS(降リテ…イナイ…逆サマニナッタママ、『すもーきー・すりる』デ外ノ『壁』ニ張リ付イテ…)

966: 2013/02/05(火) 21:26:49.16 ID:a3Qw3avKo
スゥーッ

ガシィ!!

FS「グッ!」

FS(『煙』ニ窓ノ外ニ引キズラレル…)

伊織「『自動操縦型』って…本体と切り離されてるのよね」

伊織「あんたにダメージがあっても、雪歩には届かないって言ってたわよね…」

FS「………」

伊織「だったら、手加減する必要も無い…思う存分やれるってわけよねェ~ッ!!」

FS「貴様…」

伊織「この高さから落ちても平気つってたわね…」

伊織「だけど、落下速度に『スモーキー・スリル』のパワーを加えればどうかしら?」

ググググググ

伊織「頭から落としてやるッ!」

ズルッ

FS「ウォォォォォォ」

ヒュゥゥゥゥゥ

FS「ブッ」ドグシャァ

968: 2013/02/05(火) 21:27:51.92 ID:a3Qw3avKo
ズルズルズル

ズルズル

伊織「横になって『スモーキー・スリル』に引っ張らせる…真は以前この移動方法をゴキブリみたいって言ってたけど…」

伊織「壁に張り付いて進むんじゃあ今度はカタツムリみたいね…」

スタッ

伊織(一階の外まで来た…これで、真に追い打ちがかかることはなくなった…(と言っても既にボロ雑巾だけど))

伊織(さて、あとはこいつをブチのめすだけだけど…)

FS「グガガ…ガギギ…!」

伊織「『ファースト・ステージ』…まさかこれで終わりってことはないでしょう? いつまでも悶えてんじゃあないわ」

FS「カッ!」ガイン

伊織「来い」

FS「ウシャァァァッ」グオッ

伊織「………」

伊織(遅い…まるでスピードを感じないわ)

970: 2013/02/05(火) 21:29:01.94 ID:a3Qw3avKo
モクモクモク

FS「ム! ……」ピタ…

グググ…

伊織(パワーもない。『スモーキー・スリル』を集中させたら簡単に止められたわ、こいつ…)

伊織(『自動操縦』は強い『パワー』を持つとかなんとか言ってたくせに…いや、一般的な…か。こいつは違うの?)

FS「ナルホド…集中サセレバ私クライの『ぱわー』ハ止メラレルヨウダナ」
 
FS「シカシ、ソノママデハ私ヲ殴ルコトハデキナイ…ソウダナ?」

伊織「ええ、そうよ。どこで聞いたのか知らないけれど」

伊織「だけど、『スモーキー・スリル』が物に触れれば、その物質にはパワーが流れる…スタンド相手にも攻撃できる」

ヒョイ

伊織「こいつで直接殴ることはできないけど…何かを『飛ばし』たり『叩きつける』パワーは結構なものよ」

FS「ソノ石コロ 一ツデ私トヤリ合ウツモリカ?」

伊織「そうね…足りないわ」

ブンッ

FS「!?(私ニ叩キ付ケズ、窓ニ向カッテ投ゲタ…?)」

972: 2013/02/05(火) 21:30:06.88 ID:a3Qw3avKo
ガシャァァァァン

スゥ…

FS「ムッ」グラッ

モクモクモクモク

ピタ…

FS(私ヲ止メテイタ『煙』ヲ再ビ分散サセ 拾ワセニ…行ッタノカ)

FS「『すぴーど』モ…ナカナカ」

伊織「こいつを喰らいなさい。後で直すであろうやよいには悪いけど」

伊織「撃てッ、『スモーキー・スリル』!」

ド ドバ バババ

FS「がらすノ…破片ッ!!」グッ

バババババ

FS「シャァッ」ヒュッ

パキィン

伊織「!」

974: 2013/02/05(火) 21:31:36.44 ID:a3Qw3avKo
バ バ バ

FS「ヌ…」

グサ! グサ!

FS「グゥ…ッ…!」

ザク ザクゥ

伊織(飛ばしたガラスを叩き落とすことさえできない…そのまま突き刺さっている)

FS「ガガガ…ガギッ…!」プルプル

伊織(真が負けたんで、どんなに強いヤツかと思ったら…)

伊織(てんで弱いわッ! 何よ、こいつ! 真は本当にこんなのに負けたわけ!?)

FS「少々…『速イ』…ナ、君ノすたんどハ…」

伊織「あんたがスッとろいのよッ、マヌケッ!!」

伊織「さっき『スタンド使いは全部始末する』って言ってたわよねェ~ッ、あんたの『パワー』でそんなことが可能だと思ってるわけ? 甘いわッ!」ツカ…

・ ・ ・ ・

FS「シャァ」バッ

伊織「!!」サッ

976: 2013/02/05(火) 21:32:26.67 ID:a3Qw3avKo
FS「チ…」

伊織(そうよ…真は事実、こいつにやられている…)

伊織(近寄ろうとした瞬間、腕を伸ばしてきた。あいつの手に触れられるのは、何か…ヤバい)

FS「賢明ダナ…」

伊織「…真のスタンドは近距離故にアンタの手に触れられたのかもしれない」

伊織「けれど、『スモーキー・スリル』は煙のスタンド。アンタが触れることはできないわ」

FS「ソウダナ」ズ…

伊織(近づいてくる…でも…)

スゥーッ

FS「!」

伊織「『スモーキー・スリル』!」

グググググ

FS「『押サレル』…」

伊織(あいつは私に近づけない、大丈夫…楽勝よ)

FS「サテ、ドウシタモノカ」

978: 2013/02/05(火) 21:33:58.79 ID:a3Qw3avKo
グググ

伊織(このまま、押してるだけじゃあ倒せないわ…石やガラスの破片じゃあ駄目よ、何か武器を…)

FS「ナァ、水瀬伊織」

伊織「…何よ」

FS「今…私ヲ倒スタメニ、何カ 叩キツケルモノヲ探シテイルヨウダガ」

伊織「………」

FS「例エバ…君ノ探シテイルモノハ、ドレクライノ範囲ニアレバ拾エル? ドノクライノ『量』ノ『煙』ガ必要ナノダ?」

伊織「うるっさいわね…ベラベラと」

FS「答エナイカ…ソウカ…」

グイッ

伊織「うっ!?」グラッ

FS「フム、コレクライノ『ぱわー』ナラ 私ヲ完全ニ止メル事ハデキナイヨウダ」グググ

伊織(ち…何かないか…何か!)

980: 2013/02/05(火) 21:35:41.01 ID:a3Qw3avKo
FS「ナカナカ…近ヅケンナ」グググ

伊織「!」ピクッ

ポーン

FS「!?」

伊織「あった…! 鉄パイプ!」

ズズズズズ…

FS「!」スゥ

パシッ

伊織「『スモーキー・スリル』ッ! 頭カチ割ってやるわッ!」キラン

FS「ソノ形ニハ何カ意味ハアルノカ?」

・ ・ ・ ・

伊織「は…?」

FS「ワザワザ人型ニスル意味ガ ドウニモワカラナクテナ。ソウスルト『ぱわー』ガ上ガッタリスルノカ?」

伊織「ど…どうでもいいでしょうが、そんなこと!」

ブンッ

FS「ヌ、速…」

FS「ブゲッ」メギョス

982: 2013/02/05(火) 21:36:53.35 ID:a3Qw3avKo
FS「グ…グゲ、ゲゲゲ」

FS「ナルホド…ゲグ、ヤハリ一カ所ニマトメタ方ガ『すぴーど』モ『ぱわー』モ高イノダナ…」

伊織(ダメージは受けている…けど、次の瞬間にはもうピンピンしてるわね、こいつ。傷自体が全部治ってるワケじゃあないけど)

伊織(『スモーキー・スリル』には真や貴音のスタンドのようなパワーはないのはわかってたけど…自信なくなるわねェ~ッ)

FS「シカシ、効果ノ及ブ範囲ハ狭クナル…ソノコトデ、何カ不都合ガアッタリハシナイカ?」

伊織「………」

FS「ナァ、『射程距離』ハドウナノダ? ソノママデモ分散サセテイルノト変ワラナカッタリスルノカ」

伊織「な…なんなのよ、アンタさっきから一体!?」

FS「私ガ『質問』シテイルノダ、答エテモラオウカッ!」

伊織「は…はぁ…!? なんでよ…」

FS「ホウ、答エナイツモリカ…私ハ 君ノ『質問』ニ答エタノニ」

伊織「…! そ、そんなのあんたが勝手に言ったことじゃない!?」

FS「アア、ソウダナ…シカシ、私バカリ話シテ君カラハ情報ガナイトイウノハ…」

FS「少々、あんふぇあ…ジャアナイカ?」

伊織「な…」

984: 2013/02/05(火) 21:37:59.39 ID:a3Qw3avKo
FS「ナァ、水瀬伊織…答エテクレ…」

伊織「わ…私のそばに近寄るなッ!!」ヒュ

ドゴォ!!

FS「オブッ ………」

伊織「…?」

FS「サッキヨリモ、格段ニ速イ…シカシ、振リ下ロス動作ハ…」ブツブツ

伊織(何…? 『観察』しているの、こいつは!?)

伊織「はっ!!」

バキ!

FS「フゴッ」ミシミシ

伊織「ブチ…のめす!」

バシ! バシ! バシ! バシ! ズダム! ダン! ダン!

FS「アガッ、ガゲゲッ…」

伊織「はぁ、はぁ、はぁ」

FS「グ…カカ…」プルプル

FS「カッ!」メキ!

FS「オイオイ、随分ト酷イコトヲスルジャアナイカ」コキコキ

伊織(おいおいおいおい)

986: 2013/02/05(火) 21:38:53.54 ID:a3Qw3avKo
FS「私ガ『自動操縦』デナケレバ、既ニ萩原雪歩ハ氏ンデイルゾ」

伊織(いえ、真でも倒せなかったんだ、これくらい『頑丈』なのはむしろ当然だわ)

伊織(でもまさか、不氏身ってわけじゃあないでしょう? ダメージを与え続ければ…)

FS「コノママ殴リ続ケレバ勝テル…ソウ思ッテイルノカ?」

伊織「!」

FS「コノヨウニ、私ハ少々頑丈デナ。君ガ私ヲ倒スノハ骨ガ折レルゾ」

FS「ソモソモ…『コノママ殴リ続ケル』トイウノガ、不可能ナノダガ」

伊織「はぁ~? よくもそんなこと言えたもんね、スットロいアンタが」

FS「………」

伊織「頑丈なばかりで、パワーもスピードもない…受け止める事も避ける事もできない」

伊織「そんなアンタにはサンドバッグがお似合いよ!」

FS「申シ訳ナイガ…」

伊織「『スモーキー・スリル』!!」ヒュオッ

FS「ソレハモウ飽キタ」ス…

伊織(避けるつもり…? 無理よ、こっちはアンタが動いてから方向を変えられる! だからスットロいって…)

FS「フッ」グリン

伊織「!?」

ドス!

・ ・ ・ ・

FS「ウム」

伊織「うっ…!? !??」

伊織(何、今の動き…? 避けられた、紙一重で…)

988: 2013/02/05(火) 21:39:39.80 ID:a3Qw3avKo
FS「例エ昔話ニ出テクル『金太郎』ノヨウナ怪力ノ持チ主デモ…」

FS「振リ下シタ直後ノ『ぱわー』ハ0ダ」ガッ

伊織「…!?」

スポォォン

伊織「何ィッ!!」

伊織(パイプを弾かれた…! まず、取らなきゃ…!)モクモク

FS「コノ距離、マトメタ『すもーきー・すりる』カラトッサニ一部ヲ伸バシタ程度ノ『煙』ナラ…」ザッ

ブワァ

FS「モウ私ノ方ガ強イ」パシッ

伊織「ちょっ…」

FS「フンッ」ブンッ

バキャァァァ

FS「!」ピタ…

モクモクモク

伊織「ちぃ…っ!」バッ

FS「防ガレタカ…残念残念…」プラプラ

伊織(武器を奪われた! とっさに『スモーキー・スリル』でガードしなければ、アバラをやられていたわ…)

伊織(スピードもパワーも全然変わってはいない…けど、こいつだんだん動きがよくなっている…強くなっている…!?)
23: 2013/02/13(水) 21:54:41.84 ID:gihOC8uEo
伊織「っと…」ヨロッ

伊織(危うく一撃喰らいそうになった…鉄パイプは奪われるし…)

伊織(このスピードなら何されても対応できると思ったけれど…甘かったわ。もうちょっと遠くから攻撃した方がよさそうね)ザリ

FS「距離ヲトッタナ。ソノ分 君ノ『すもーきー・すりる』ノぱわーハ落チル」

伊織「………」

FS「ソノ距離デ 私ニ有効打ヲ与エラレルノカ?」

伊織「………」

FS「ソレトモ、マタ サッキノヨウニ何カ飛バシテクルツモリダロウカ」

伊織「まーたブツブツと…黙ってられないの、アンタ?」

FS「無理ダナ。コレガ私ナノデネ」

伊織「あっそ…」

25: 2013/02/13(水) 22:00:38.43 ID:gihOC8uEo
FS「サテ、君ノ武器ハ コッチノ手ニ渡ッタワケダガ」

伊織「アンタのパワーじゃ大した威力にはならないわよ」

FS「ソウカナ?」

伊織「………」

FS「私ノ考エダト…コノママ振リ下ロセバ 少ナクトモ君ノすたんどデハ受ケ止メラレO『霧散』スルクライノ『ぱわー』ハアルト思ウノダガ」

伊織「…やってみれば?」

FS「ソウシヨウ」ヒュッ

伊織「『スモーキー・スリル』!」ヒュッ

ガキィ!

FS「!」サッ

伊織「ん!」

FS「何カ ブツカッタゾ…『すもーきー・すりる』ノ手ノ中ニ何カ 握リ込ンデイルナ? 水瀬伊織」

伊織(すぐに手を引っ込めたわ…隙が出来たら掴んで奪い返してやろうかと思ったのに)

伊織(真とは逆ね…スピード自体は大したことないけど、本人の反応速度が早い)

27: 2013/02/13(水) 22:03:42.99 ID:gihOC8uEo
FS「ソラ」パシッ

ブワッ!!

FS「ム…」

伊織「煙の中の『破片』を掴んだところで…意味はないわよ」

FS「ソノヨウダ…掴ンダ瞬間ニ 散ッテシマッタ」

FS「ダガ、コレデ…」ポイッ

ピタッ

・ ・ ・ ・

伊織「撃て、『スモーキー・スリル』」

ドシュゥゥゥゥゥッ

FS「人ガ捨テタモノヲ スグサマ拾ウトハ殊勝ジャナイカ」

ガキャン

FS「ブッ!!」

伊織「言ってなさいよ!」

29: 2013/02/13(水) 22:07:52.32 ID:gihOC8uEo
FS「ォォォ…ウォォ…」

FS「ムグ…」

伊織(すぐに立ち直る…)

FS「ン…私ノ『鉄ぱいぷ』ハドコダ…?」

伊織「『私の』? 元々私が持ってきたもんなんだけど」

モクモクモク

FS「アア…上カ」

ドグシャア

FS「オブッ」ベコッ

ガシッ!

伊織「ちっ!(また掴まれた…!)」

FS「オゴ…グオゴゴゴ…」プルプル

FS「ソレヲ持ッテ行カレルト…少シ困ルナ…」

伊織(こいつ…頑丈すぎる! さっきからダメージを与え続けているってのに、倒れる気配が全くない!)

31: 2013/02/13(水) 22:09:31.98 ID:gihOC8uEo
FS「サテ、コレデ君ノ手ニハ モウ攻撃手段ハナイナ?」

伊織「どこ見て言ってんのかしら? 私が足下に『スモーキー・スリル』を広げてんのが見えなかったの」

スゥーッ

FS「………」

バシュン!! ドシュン

伊織「攻撃手段なんて、別に私が持ってなくても…どこにでも転がってるわよ!」

FS「ソノ攻撃ニモ…飽キテ来タナ」スゥ

ピタッ

FS「…避ケタソバカラ停止サセ…飛バスカ」

伊織「律子の『ロット・ア・ロット』も似たようなことやってたわね…」

伊織「もう一回、喰らえッ!」

ドシュゥゥゥゥン

FS「ダガ、コレモ避ケレバ…」スッ

ヒュン

ガキィ!

FS「ソノ反対側ニハ 撃チ出ス『煙』ハナイ」

伊織「何…!?」

伊織(避けられた…!? さっきは無様に喰らってたくせに…!)

33: 2013/02/13(水) 22:11:19.58 ID:gihOC8uEo
伊織「やっぱりこいつ、強く…なってる…!」

FS「『逆』ダ、水瀬伊織」

伊織「え!?」

FS「私ガ強クナッタ…違ウ、ソウジャアナイ。君ノすたんどガ『弱ク』ナッテイルノダ!」

伊織「わ…私の『スモーキー・スリル』が…弱くなっている…ですって!? な…なんでよ!」

FS「君ハ私ノ質問ヲ拒ンダダロウ!? ソレハツマリ、知ラレタクナイ情報ヲ自分ダケガ 持ッテイルトイウコトッ!」

伊織「…!」

FS「すたんどハ『精神力』ノえねるぎー! 後ロメタイコトガアレバ、当然『弱体化』スルッ!」

伊織「そんな意味があったの…!? なら、あんなんじゃあ割に合わないわ…!」

FS「ソウダナ。アレナラ『倒シ方』トカ『能力』デモ聞クベキダッタナ」

伊織(いや、そんなワケがない…! こんなもん、話術でそうだと思い込ませようとしてるだけよ!)

伊織(確かにこいつの言う通り、『スモーキー・スリル』のパワーは少し弱まっているのかもしれない…)

伊織(だけど、それ以上に…こいつの動きがはっきりと違う! 私の行動に、正確に対応してきている!)

伊織(無駄がなくなっている…! だから、速く感じるんだわ…!)

FS「シカシ、『すもーきー・すりる』…すたんど自体ハ ホトンド無敵カ…」

伊織(あいつの性能そのものが上がっているわけじゃあない…近づかなければ…いずれ、倒せるはず…)

35: 2013/02/13(水) 22:12:24.78 ID:gihOC8uEo
FS「ヤハリ…本体ヲ狙ウ他ナサソウダナ」

伊織(何かないの、何か…)キョロキョロ

FS「ナァ、水瀬伊織?」

ピシッ ピシ…

伊織(…! あの事務所の二階辺りのあの壁…)

伊織(こいつを、あれの下におびき寄せれば…)

FS「返事クライ シテクレルト嬉シイノダガ」ノロッ

伊織(いえ…簡単ね…あいつは真っすぐこっちに向かってくるだけだわ)ザリ…

FS「………」ピタ…

伊織「…? ど、どうしたのよ? 急に立ち止まったりして」

FS「水瀬伊織…君ハ何カヲ企ンデイルナ…表情デワカル」

伊織「…!」

FS「マァ、ソレガ何カハ ワカラナイノダガ」

伊織「ふ…ふーん…」

37: 2013/02/13(水) 22:13:59.93 ID:gihOC8uEo
伊織「じゃあ、そこで立ち止まってるつもり?」

FS「イヤ…今ノハ単ナル確認ダ」

伊織「え?」

FS「君ガナニカヲ企ンデイル…ソレヲ ワカッタ上デ、アエテ! 私ハソレニ カカル」

ドドドドドド

伊織「………」

ドドド

FS「君ガ『何ヲシテモ無駄』ダト ワカレバ…」

ドドドド

FS「私モ、モウ少シ楽ガデキルカラナ」ザッ

伊織「そう…」モクモクモク

バラッ

FS「ヌッ!」

伊織「だったら、喰らえッ!!」

FS(コレハ…菊地真ノ攻撃デ入ッテイタ ひびヲ『すもーきー・すりる』崩シ落シタノカ)

ガラララララ バッギャァン

39: 2013/02/13(水) 22:15:19.55 ID:gihOC8uEo
パラ…

伊織「やったか…?」

…………

FS「………ナルホド、コレヲ狙ッテイタノカ…」ムクッ

パララ…

伊織「………」

FS「今ノハ流石ニ効イタゾ、水瀬伊織…」

FS「デ、次ハドウスルノダ?」

パラパラ…

伊織「………」

伊織「無理ね」クルッ

FS「ムッ!?」

ダッ

FS「逃ゲルノカ、水瀬伊織」

伊織「うっさいわね、逃げて何が悪いのよ! 文句言うならさっさと倒れなさい!!」

41: 2013/02/13(水) 22:16:28.37 ID:gihOC8uEo
FS「逃ゲルナラ 逃ゲルデ構ワナイノダガ…」

FS「萩原雪歩ノタメニモ、早メニ始末シテオキタイノモ事実ダ」

FS「ウム…ヤハリ 逃ガスワケニハイカナイカ…」

FS「ト、言ッテモ…ソノ先ハ塀ダ…逃ゲ道ナド アリハシナイガナ」

伊織「知ってるわよ、そんなこと」クルッ

FS「!? ナンダ、コッチニ向カッテキテ…逃ゲルノデハナカッタノカ?」

伊織「逃げるわ。ただし、上にだけど」

伊織「飛ぶために距離が欲しかっただけよ。アンタに攻撃するためだけに穴を空けたと思ってんの?」

FS「何?」

伊織「『スモーキー・スリル』!」モクモクモク

クッギューン

FS「アノ穴ニ飛ビ込ムツモリカ…? 届カナイダロウ」

43: 2013/02/13(水) 22:17:51.13 ID:gihOC8uEo
伊織「だっ!!」ガッ

伊織(一発で登ることは出来ない…けど、一度壁の出っ張りに手を引っかければ…)

モクモク…

ギュンッ

スタッ

伊織「よし、成功…」

FS「ヨク ヤル…」

FS「アアヤッテ 本体トすたんどガ力ヲ合ワセ行動スルノハ、少シ羨マシクモアルナ」

FS「萩原雪歩ノタメ 行動スルコトニ不満ハナイガ」

伊織(一つ確かめたいことがある…)

伊織(こいつは、私の居場所をどうやって判断しているの?)

伊織(目ならそれでいい…だけど、何か…別のものを認識して追いかけて来ているとしたら…)

45: 2013/02/13(水) 22:19:35.35 ID:gihOC8uEo
伊織(あいつが事務所の中に来るには、表の方の事務所の入り口か、私の割った窓からか…)

伊織(どっちにしろ、登ってくるまでは時間がある)

伊織(その前に、事務所のどこかに身を隠さなくては…)

ガシ! ガシ!

伊織「…ん?」チラ…

FS「逃ガサンゾ…」ガシ! ガシ!

ピタ… ガシッ

伊織(壁を…トカゲが地べたを這いずり回るようにして登ってくる…!!)

ゾゾゾ ゾゾゾゾ

伊織(気持ち悪っ…!)

伊織(いや、それより…すぐ登ってこられちゃ隠れる時間もないわ!)

伊織「『スモーキー・スリル』! 突き落とせッ!」ブワッ

FS「フン、来ルカ…」

48: 2013/02/13(水) 22:20:50.29 ID:gihOC8uEo
バフッ!

FS「ダガ上カラ押サレタ程度…」

グイッ!!

FS「…ン?」

プワァ…

FS「アア…壁ノ方カラ押シ出セバ…突キ落トスノニ、ソコマデ 力ハイラナイノダナ」

モクモクモク

FS「ヌゥゥッ!」バタバタ

伊織(なんだったかしら、これ…見覚えあるわね…)

伊織(海外のアニメーションでよくある、落ちそうなのに空中で足ばたつかせて踏ん張ってるシーンみたいな…)

伊織「人のスタンドにいつまでもしがみついてるんじゃあないわ、消えなさい」

フッ…

FS「ウォォォォォ」ヒュゥゥゥ

ドサァ

伊織(さて…どこの部屋に行こうかしら)

50: 2013/02/13(水) 22:21:38.81 ID:gihOC8uEo
………

ガシ!

FS「フゥ…今度は突キ落トサレナカッタナ」

FS「サテ…」キィィィィン…

FS「…ム? オカシイナ…」キョロキョロ

FS「他ノ『すたんど使い』ハ何人カ確認デキルガ…ドノ部屋ニモ 水瀬伊織ガイナイ…」

FS「一階ニ行ッタノカ…? ワザワザ登ッテオイテ」

FS「降リルカ…私ニ床ナド関係ナイシナ…」ズッ

スゥーッ

ドサッ

FS「ドコダ…? 水瀬伊織…」キョロキョロ

FS「ン…」キィィィィン…

FS「アノ部屋…室内ニ『煙』ガ充満シテイルナ…扉カラモ 煙ガ漏レテイル…」

FS「何ノツモリダ? 誘ッテイルノカ水瀬伊織」

52: 2013/02/13(水) 22:23:06.19 ID:gihOC8uEo
ガチャ

ブワァ!!

FS「コノ中ダナ、水瀬伊織」

シィン…

FS「ヤハリ 返事ハナシカ」

FS「『煙』デ ヨク見エンナ…」

ズ…

FS「ソコカ?」キィィン

ダダダダ

FS「ム! ………」ピタ…

FS「何カト思エバ 衣装用ノまねきんカ…」

キィィン…

カシャ

FS「ソッチカ」ドドド

伊織「………」

FS「今度ハ間違イナイヨウダナ。何ガシタイノダ? 水瀬伊織」

54: 2013/02/13(水) 22:24:13.99 ID:gihOC8uEo
FS「『すもーきー・すりる』ヲ集中サセタラドウダ。コノ密度デハ私ノ攻撃スラ防ゲマイ」

伊織「………」

FS「マタ何カ企ンデイルノカ? マァ、ナンデモイイガ…喰ラエ!」

ヒュッ

ブワッ

FS「ムゥッ!?」スカッ

スゥ…

FS「コレハ…水瀬伊織デハナイ!」

FS「マサカ、『すもーきー・すりる』ニ像ヲ映シテ…ソンナコトモ デキルノカ!」

フワ…

ゴォッ

FS「ゲフッ」ガキィ!!

ドギャン

FS「コレハ…サッキノまねきん!? ソッチカ!」バッ

FS「…イヤ、違ウ…『すもーきー・すりる』ナラバ ドコカラデモ物ヲ飛バセル…」

56: 2013/02/13(水) 22:25:19.59 ID:gihOC8uEo
FS「ドコダ…水瀬伊織…」キョロキョロ

?「ふーん…アンタ…」

FS「!」

バタン!!

伊織「私のこと、特別な何かで判断してるワケじゃあないのね。目とか…あるいは耳とか、ごく普通のものからしか情報を受け取れないのか」

FS「ろっかーノ中ニ…」

伊織「扉はスタンドで閉められるけど、それよりこんな狭いとこに体を押し込む方が苦労したわ」

FS「『観察』…シテイタノカ、私ヲ」

伊織「ええ、そうよ。アンタと同じようにね」

スタッ

伊織「こうして見る分には、人間とほとんど変わらないわね。見た目くらいで」

FS「ダッタラ、少シクライ手加減シロ。君ハ容赦ガ無サスギル」

伊織「無理ね。アンタ、『頑丈さ』だけは人間離れしてるから」

58: 2013/02/13(水) 22:26:13.30 ID:gihOC8uEo
伊織「『スモーキー・スリル』」ズ…

グラグラ

ズズズズ…

FS「オイオイ…ソノろっかー、全部私ニ叩キツケルツモリカ?」

伊織「いちいち聞かないとわからないの?」

FS「ダロウナ」

ドヒュゥ!!

FS「オブッ」ドバギャ!!

伊織「らぁッ!!」ドドドドドババ

ガシャ ガシャ ギャン

FS「アガガガ…グゥッ、ウゥゥ…」

伊織「ふぅ…」

ドドドド ドド

ゴソッ

・ ・ ・ ・

FS「クハァ…」ガラッ

伊織「これでも駄目か…どんだけ痛めつけられりゃあ気が済むのよ、アンタは!」

60: 2013/02/13(水) 22:27:22.22 ID:gihOC8uEo
伊織「いいわよ。アンタが立ち上がってくるなら、何度でも叩きのめしてやるわ」

FS「ハァー…ハァー…」

伊織「何…? 向かってこないの」

FS「イヤ…君ノ言ウ通リ、私ハ『頑丈』ナバカリデ弱イカラネ…」

伊織「………」

FS「私ノ『すぴーど』デハ君ヲ捕ラエルコトスラ困難ダ…ダカラ、ドウシタモノカト考エテイル」

ズボッ

伊織「…!!」

ブワァ!!

伊織(こいつ、ロッカーの瓦礫の中に入り込んでいった…!)

伊織(だが『煙の結界』を張ったわ!! これで動きはわかる!)

シン…

伊織(と…思ってたら…)

伊織(反応がない、結界を張ると同時に奴の動きが止まった…)

伊織(いや、でも…動いてないってことは、そこにいる…ってことよね)

62: 2013/02/13(水) 22:28:23.27 ID:gihOC8uEo
スタスタ

伊織(ロッカーをひっぺがして…そのまま叩き付ける)

伊織「そこっ!」ガシャァ!!

ピクピク

伊織「!」

伊織(これは…腕だけ…)

ズズ…

FS「………」ゴォォォォ

伊織(本体は後ろか、しまった…!)

伊織「なーんて…」クルッ

FS「ム!」

ブチィ!

ヒュルルルル

FS「照明…」

バキィ!!

FS「フグゥ!!」

伊織「焦るとでも思った? この伊織ちゃんが、こんなもんで」

64: 2013/02/13(水) 22:29:26.82 ID:gihOC8uEo
伊織「片腕切り離して、それを囮に不意打ち仕掛けようってワケ?」

FS「グガ…ガギギ…」ピクピク

伊織「なるほど。本体にダメージが届かないなら、腕くらい切っても大したことないわよね?」

FS「………」

伊織「わかってんのよ、アンタの考えてることくらい! この程度で一杯食わせようだなんて思い上がりも…」

FS「イヤ、違ウ 私ノ勝チダ」

・ ・ ・ ・

伊織「は…」

FS「気ヅカナカッタノカ…? 私ノ『手』ガ『片腕』ダケデナク…『両腕』トモナクナッテイル事ニ」

ゴゴゴ ゴゴゴ

伊織「!」

FS「無イ知恵ヲ絞ッテ考エタ策ダガ…上手ク行ッタ」

伊織(両腕…片方はここにある、だったらもう片方は…)

66: 2013/02/13(水) 22:30:40.84 ID:gihOC8uEo
ズビ!

伊織「まずっ…」

伊織(足下から飛び出して来た!)

伊織「『スモーキー…」

FS「無理ダナ、間ニ合ワナイ。コノ『距離』ナラ君ハ止メラレナイシ 避ケラレナイ」

ガスゥ

伊織「うっ…!」

ゴゴゴゴゴ ゴゴゴ

ポト

伊織「…ん?」

FS「決マッタ」

伊織(…は?)

伊織「何よ、痛くもなんともないわ…こんな一撃、喰らわせた程度で…」

ズキッ!!

伊織「うっ…!?」

FS「イイヤ。君ノ負ケダ水瀬伊織」

68: 2013/02/13(水) 22:31:16.87 ID:gihOC8uEo
グラグラ

伊織(頭が…揺れる…まるで『高い所から叩き付けられた』ように…!!)

スパ スパッ

伊織「な…」タラ…

伊織「こ、これ…は…この切られたような傷は…!!」

FS「私ニトッテ 都合ノ悪イモノヲ全テ、持チ主ニ『返ス』」

FS「ソレガ私ノ能力」

ドスゥ!!

伊織「うっ!」

ボコ ボコ ボコ ボコ

FS「君カラノ『だめーじ』…」

伊織「きゃあああああああああああ」

ドッギャァーン

FS「返サセテ、モラッタ」

70: 2013/02/13(水) 22:33:07.08 ID:gihOC8uEo
スタンド名:「ファースト・ステージ」
本体:萩原 雪歩
タイプ:自動操縦型・自立
破壊力:C スピード:C 射程距離:A(ほぼ無限) 能力射程:A(ほぼ無限)
持続力:A 精密動作性:C~無限 成長性:E
能力:スタンドに関することを本体である雪歩から遠ざけるために行動する、存在が「矛盾」したスタンド。
雪歩が春香の手によって「スタンド使い」にされた時の「恐怖から逃れたい」という感情から生まれ、その時の想いが形となり、一人歩きしている。
「自動操縦型」ではあるが、特定の情報に反応する自動攻撃タイプではなく、自分で物事を判断し攻撃する自立思考タイプ。
自動操縦型の割に複雑な動きをする反面、飛び抜けたパワーやスピードは持っていない。しかし、自分で相手の攻撃パターンを「学習」し、どんな相手にも対応していく。
殴ることで、自分に蓄積したダメージを、与えた相手に「返す」。返したダメージは、「ファースト・ステージ」からは消え、回復してしまう。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
開始のネタがもうない…



To Be Continued...





引用元: 伊織「スタンド使いを生み出す『弓と矢』…」