117: 2013/03/11(月) 23:13:55.00 ID:aUoV0b1+o





前話はこちら





バリ バリ バリ

伊織「うっ、うぐっ!! ぐああっ…!!」

伊織(体に…)

伊織(今までこいつに与えた攻撃が…私に返ってくる…!!)

ドサァ!!

伊織「か、かふっ…」ピクッピクッ

FS「決マリダナ。モウ君ハ立ツコトスラ ママナラナイダロウ」

伊織「ぐあ…ああう…うおお…」ゴロン

FS「………」

伊織「あ…っ、ふあ…があっ…」ビクビク

FS「…少シクライ 口ヲ閉ジタラドウダ?」

伊織「………るさいわね…」

FS「ム?」

伊織「スタンドのアンタと一緒にするな…」ググ…

伊織「それに…いちいち大げさに痛がってるアンタに言われると腹立つのよ…」



※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

119: 2013/03/11(月) 23:14:41.10 ID:aUoV0b1+o
FS「…マダ動ケルノカ」

伊織「ん…」

伊織(言われてみれば…あれだけ痛めつけてやったのに…)

FS「マァ頭カラ突キ落トサレレバ 人間ナラ氏ヌダロウガ」

FS「私ニトッテハ大シタコト ナイカラナ…」

FS「コノ程度デハ『返シ』テモ 氏ヌヨウナ『だめーじ』ニハナラナイ」

伊織(散々痛めつけたのに…この程度…か…)

FS「ソレニ、菊地真ノ時ホド『だめーじ』ヲ受ケタワケデモナイシナ」シュゥ

ゥゥゥ…

伊織「…!」

伊織(このクソッタレの傷が…治っている…)

伊織(考えてみれば、初めからおかしかった…あの真と戦った直後だというのに、こいつは『無傷』だった…)

FS「シカシ…君モ ツイテイナイ」

FS「菊地真ノヨウニ一発デ『再起不能』シテオケバ コレ以上痛イ目ニ遭ワズニ済ンダモノヲ」

121: 2013/03/11(月) 23:14:54.03 ID:aUoV0b1+o
FS「マダ立テルノナラ、立テナクナルマデ ヤルダケダ」ヒョイ

FS「コイツデ トドメヲ刺シテヤロウ」

伊織(鉄パイプを拾って…また向かってくる…)

伊織(受けたダメージを、相手に『返す』能力…ですって…!?)

伊織(それってマジに『無敵』じゃない! こんなことが許されていいわけ…!?)

FS「行クゾ」ス

伊織「ちょ…ちょっと待った…!」

FS「………」ピタ…

伊織「雪歩にはスタンドのことは二度と話さないし、巻き込んだりもしない…」

伊織「だから見逃してくれ…ってのは…駄目かしら?」

FS「私ガソレヲ信ジルトデモ?」

伊織「だってそうでしょ…話したらまたあんたが出てくるんだから。するわけがないわ」

伊織「そもそも、あんたのことを知ってたら最初から話そうともしなかったと…そう思わない?」

FS「フム」

123: 2013/03/11(月) 23:15:24.28 ID:aUoV0b1+o
FS「悪イガ…」

FS「イヤ悪イトモ思ワナイガ…ソノ話ハ聞ケナイナ」

伊織「………」

FS「ココデ見逃スヨリハ、『再起不能』サセタ方ガ確実ダト思ウノダ」

伊織「あっそ…やっぱり、アンタがこんな話聞き入れるわけがないか」

伊織「いいわ。だったらここで要求を飲んでおけばよかったと、後悔させてやる」

FS「後悔サセテヤル、カ。大キク出タナ」

FS「デ? ソノタメニ君ハ ドウスルノダ?」

伊織「改めて…」ザ…

伊織「逃げるわ」クルッ

FS「ヤハリナ」ガラッ

ボフゥ!!

FS「ム…!」グッ

伊織「『スモーキー・スリル』! 一瞬でいい、こいつを止めろッ!!」

125: 2013/03/11(月) 23:15:42.60 ID:aUoV0b1+o
FS「フンッ」ブオン

バフゥ

伊織「うおおおおおおおおッ!!」

伊織(まとわりつかせた『スモーキー・スリル』が一振りで、いとも簡単に吹き飛ばされた!)

伊織(肉体的なダメージも大きいけど…こいつに対抗するための明確なヴィジョンがない!)

伊織(私は、精神力でこいつに負けてしまっている!!)

伊織「でも一瞬! 隙は出来たわ…!」ガチャッ

スッ

バタン

FS「部屋ノ外ニ出タカ…」

フワ…

FS「ム…! 『ろっかー』ガ浮イテ…」

ガン!!

FS「『すもーきー・すりる』デ、外ニイタママ ドアに『蓋』ヲ…」

127: 2013/03/11(月) 23:16:05.22 ID:aUoV0b1+o
伊織(『スモーキー・スリル』…ドアを閉めて、ロッカーを引っ張って塞いだ…けど…)

スゥ…

FS「無駄ナコトダナ」

伊織(すぐに通り抜けてくる…壁を作っても無駄…)

伊織(と…そんなことは承知の上よ。本命はこっち…)

モクモクモク

FS「ム!?」

伊織(ロッカールームでわかったけど、あいつは私の『煙』を透視することはできない…)

FS「コレハ…廊下ガ『すもーきー・すりる』デ 埋メツクサレテ…水瀬伊織…!」

伊織(この道は『煙』で真っ白よ! これで、私がどっちに逃げたかアイツにはわからない!)

FS「ワカラナイト…思ウカ? コンナ小細工デ」

コツ コツ コツ

コツ…コツ…

FS(聞コエルゾ…貴様ノ足音ガ!)

FS(視界ヲ封ジタクライデ 私ヲ欺ケルト思ッタカ!)ダッ

129: 2013/03/11(月) 23:16:22.53 ID:aUoV0b1+o
コツ コツ コツ

ピタ…

FS(イヤ、待て…音ガ不自然ダ。アノ体デ、コンナニ元気ニ走レルハズガナイ)

FS(コレハ、『すもーきー・すりる』ニヨルふぇいくダ! 水瀬伊織ハ…)

FS「ソッチダ…!」クルッ

ダダダダ…

伊織「………」

伊織「見事…成功ね」スゥ…

伊織「靴を脱いで、『スモーキー・スリル』に運ばせて音を出した…それまでは正解よ、『ファースト・ステージ』」

伊織「だけど、私にとっては引っかかろうが引っかからまいが…どっちでもよかったのよ」

伊織「私は、ロッカールームの前から動いていないわ。灯台下暗しってやつね」

伊織(あーもう、なんでこの伊織ちゃんがこんなセコい真似ばっかしなきゃならないんだか…)

伊織「でも、ま。あっちに行ってくれて助かったわ。これで靴が回収できる、裸足で逃げるなんて耐えられないもの」

131: 2013/03/11(月) 23:17:18.17 ID:aUoV0b1+o
キュッ

パチン パチン

伊織「さて、靴も履いたところで…」

伊織(『ファースト・ステージ』の足は結構速い…)

伊織(しかも壁も通り抜けてくる、疲れも知らない…逃げ続けるのは無理ね)

伊織(とりあえず、私にとっては二階の方が選択肢は広い。これから上まで移動するとして…)

伊織(アイツがこっちに気づく前に、なんとかしなきゃだけど…どうする?)

伊織(…貴音)

伊織(貴音は『ファーストステージ』と一度戦っているのよね)

伊織(今、事務所にはいないけど…何らかの対処法を知っているはず…)

伊織「電話しましょうか…」

ピッポッパッ

伊織「もしもし!?」

133: 2013/03/11(月) 23:17:44.46 ID:aUoV0b1+o
……

………

貴音『…もしもし』

伊織「貴音! やっと繋がったわ…」

貴音『伊織、どうしたのですか?』

伊織「時間がないから簡単に言うけど…『ファースト・ステージ』…知ってるわね?」

貴音『え? はい、雪歩のスタンドですね。知っておりますが…』

伊織「私は今、そいつに襲われてるわ…あいつをどうにかする方法を知りたい」

貴音『何…!? そんな、馬鹿な…奴はあの時倒した筈…』

伊織「…! 倒したって言ったわね!? 倒せるのね、アイツは!!」

貴音『しかし、また出てきたということは…』

伊織「いいから!」

貴音『…緊急事態、なのですね?』

伊織「そうよ。まず、この場をなんとかしなきゃやられるだけだわ…」

貴音『わかりました。では、奴を倒す方法…それだけ、話します』

135: 2013/03/11(月) 23:17:56.30 ID:aUoV0b1+o
貴音『連続して、何度も攻撃を叩き込む…そうすれば、やがて奴は耐えられなくなり攻撃を止める』

伊織「私も、何度もアイツにダメージを与えてやったけど…全然、倒れなかったわ」

貴音『「連続して」、と言うのが重要なのです。一撃ずつでは、何度やっても奴は倒れない』

伊織「…続けて」

貴音『奴に与えた攻撃は、「返す」ための表面的な傷は残りますが、内部の衝撃は時間が経つにつれ勝手に治っていきます』

伊織「なるほど、それでか…アイツがやたら丈夫なのも、私が無事なのも」

貴音『ですから、奴を倒すならば…回復する間もなく攻撃を与え続けることです』

伊織「もし、それができなかったら…」

貴音『ええ。中途半端に攻撃しても「返さ」れてしまうだけでしょうね』

貴音『特に、攻撃を加えている最中に触れられてしまえば…恐らく、逆に「再起不能」にされてしまうでしょう』

伊織「攻撃すれば、それだけアイツの能力は脅威になる…けれど、攻撃をしなければアイツを倒すこともできない…か…」

伊織(だけど、できるの…? 万全ならともかく、今の状態で…)

137: 2013/03/11(月) 23:18:09.92 ID:aUoV0b1+o
伊織「わかったわ、ありがと貴音。やられっぱなしってのも癪だし…やってやるわ」

貴音『待ってください伊織』

伊織「え、何?」

貴音『緊急事態…その息づかい、伊織は怪我を負っているのでしょう。一人では危険です』

伊織「わかってるわよ…でも、やよい達は仕事、亜美も姿が見えないし、一緒に戦ってくれそうなのは律子くらいしかいないわ」

伊織「『ロット・ア・ロット』がアレに通用するかと思うと…微妙なところだし、アンタだって今からこっちになんて来られないでしょ」

貴音『ええ、私がそちらに向かうことはできませんが…』

貴音『今、協力者がそちらにいる筈…彼女に連絡しておきます』

伊織「! 協力者って…もしかして、例の『もう1人』かもしれないっていう…」

貴音『はい。きっと、伊織の力になってくれるでしょう』

伊織「何から何まで、助かるわ…貴音」

貴音『彼女か、あるいは…真も今、事務所にいるはずです。伊織が彼女達と強力すれば、奴を倒せるかと思われます』

伊織「……」

伊織「…真…は…」

139: 2013/03/11(月) 23:19:13.40 ID:aUoV0b1+o
貴音『? 真がどうかしたのですか?』

伊織「それが…」

FS「見ツケタ」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

伊織「…! 『ファースト・ステージ』…!!」

伊織(もうこんなところまで来ていたのね…話しすぎたか…)

貴音『伊織、今…』

伊織「ええ、見つかった…切るわね」ポチッ

FS「見事ニ騙サレタヨ。イヤ、見事ダ」

FS「シカシ、モウ外ニデモ行ッタカト思ッタガ…コンナトコロニ イタトハナ」

伊織(さて、どうする…)

伊織(こいつにやられた体力は少しは戻ってきたけど、それでこいつを倒せるかと言われると…微妙なところだわ)

141: 2013/03/11(月) 23:19:36.06 ID:aUoV0b1+o
FS「誰ト話シテイタ?」

伊織(協力者とやらが私のところに来るまで、どれくらいかかる?)

伊織(今は、時間を稼ぐしかないか…悔しいけど…)

伊織「やよいと真美に、雪歩をボコボコにしてやれって話してたのよ」

FS「何ダト?」

伊織「ここで私の相手をしてるなら、雪歩は無防備よね」

伊織「アンタに攻撃してもあっちには届かないけど…本体の方を徹底的に痛めつけてやれば、多分、アンタも消えるでしょ?」

伊織「気絶させたくらいじゃ消えないみたいだし、どこまで行くかはわからないけど」

伊織「雪歩は仕事中だけど…こっちは命がかかってるんだもの、仕方ないわ」

FS「嘘ダナ」

伊織「………」

FS「私カラ萩原雪歩ノ周囲ガドウナッテイルカハ ワカラナイガ、彼女ニ危機ガ迫ッテイルカドウカハワカル」

FS「ソノタメニ生マレタ存在ダカラナ」

143: 2013/03/11(月) 23:20:25.89 ID:aUoV0b1+o
FS「高槻ヤヨイニモ、双海真美ニモ敵意ハナイコトハ ワカッテイル」

FS「デ? 本当ハ、誰ト話シテイタ?」

伊織「…それは、えーと…」

FS「イヤ、言ワナクテイイ。相手が高槻ヤヨイヤ双海真美デハナイノナラ、大体見当ハツク」

FS「双海亜美ヲ呼ンダカ、或イハ四条貴音ニあどばいすヲ求メタカ…ソンナトコロダロウ」

伊織「………」

FS「ドチラデモ 大シテ問題デハナイガナ。ソレヨリ、重要ナノハ…」

FS「嘘ヲツイタ…ワカッテイルナ? 君ガ私ヲ騙ソウトスレバ スルホド、ソレハ正々堂々トハ離レル」

伊織「………」

FS「君ノすたんどハ弱クナルノダ」

伊織「………」

伊織(今、電話が終わった頃だとして…)

伊織(どこにいる…? 来るのに、どれくらいかかる? と言うか、誰なの…?)

145: 2013/03/11(月) 23:21:11.48 ID:aUoV0b1+o
FS「何カヲ待ッテイルヨウダナ」

伊織「!」

FS「ヤハリ、双海亜美カ? 『すたーとすたー』デ萩原雪歩ノ下ヘ行クツモリカ」

伊織「…亜美ではないわね、少なくとも」

FS「フム?」

FS(嘘ヲ言ッテイル様子ハナイ…双海亜美デハ、ナイ…?)

FS(水瀬伊織ノ『仲間』ハ、菊地真、高槻ヤヨイ、四条貴音、秋月律子、双海亜美、双海真美ノ6人ノハズ…)

FS(菊地真ハ倒シタ。高槻ヤヨイ、双海真美、四条貴音ハココニハイナイ。秋月律子ナラバ、待ツマデモナイダロウ)

FS(双海亜美デハナイトスレバ、一体…?)

FS(普段ハ萩原雪歩ト同ジ景色ヲ見テイル…戦イガ発生スレバ、見ニ行クコトモアル…何カ、見落トシテイルノカ…)

FS「………」

FS「マァ、イイカ…」カラ…

伊織(来るか…)

147: 2013/03/11(月) 23:21:28.18 ID:aUoV0b1+o
FS「誰カヲ待ッテイルノナラ、ソノ前ニ君ヲ倒スダケダ」

伊織「倒す?」

伊織「この伊織ちゃんを? そんな鉄パイプに頼らなきゃならないようなアンタの力で?」

FS「君ガ私ヲ倒スヨリハ、簡単ダロウナ」

伊織「わかってないわね」

伊織「いい? こっちから攻撃しなければ、アンタの攻撃なんて大したことない」

伊織「『パワー』自体は『スモーキー・スリル』の方が上。アンタは私にその鉄パイプを当てることすらかなわないわ」

FS「ワカッテナイノハ君ノ方ダ」

ゴゴゴ

FS「君ガ私ニ攻撃シナイトイウコトハ…」

ゴ ゴゴゴゴ

FS「君ハ、私カラ 一方的ニ攻撃ヲ受ケ続ケルトイウコトダ」

伊織「………」

149: 2013/03/11(月) 23:21:46.46 ID:aUoV0b1+o
FS「私ノ体力ガ尽キルコトハナイガ…君ノ方ハドウダ?」

伊織「どうもしないわ。そこまで付き合ってやるつもりもないし」

FS「マダ、私ヲ倒スツモリデイルノカ? ソレトモ、逃ゲル算段デモシテイルノカ」

伊織「ブツブツ言ってる暇があったら、さっさとかかってくれば?」

ドドドド

ドドド ドド

FS「………」グッ

FS「シャァッ」ブン

ゴォッ

伊織「行け、『スモーキー・スリル』!!」

バシッ!!

FS「!」

伊織(できる、さっきのダメージを『返された』直後とは違う…)

伊織(『近距離モード』なら…いける! 奴の振るってきた鉄パイプを簡単に止められたわ!)

151: 2013/03/11(月) 23:23:00.12 ID:aUoV0b1+o
FS「オオァッ」ブンッ

伊織「たっ!」バッ

ボフッ!

ググググ

FS「チ…」バッ

FS「堅ク厚イ『煙』ノ壁…カ…!」

伊織「はっ…どうしたの、『ファースト・ステージ』! 私を倒すんじゃあなかったの!?」

FS「…ヤハリ、正面カラ相手ガデキルホド甘クハ ナイカ」スタスタ

ガッ

伊織「ん!?」

伊織(脇に置いてあるベンチの下に…手を突っ込んだ…?)

FS「コノ場所…何カ気ヅカナイカ?」

伊織(何を…この場所って…?)

伊織「ま…」

伊織「まさか…アンタ…」

FS「ソノ、マサカダ。君ト会ッタノハココダッタナ、水瀬伊織」グイッ

真「う…」ズル…

伊織「真…!!」

153: 2013/03/11(月) 23:23:32.23 ID:aUoV0b1+o
伊織(ベンチの下に叩き込まれていた真を引っ張りだしてきた…!)

ガッ!

真「ぐお…」

伊織(アイツ、真の背中を踏みつけて…何をするつもり…?)

FS「私ハ今カラ菊地真ヲ叩ク」

伊織「はっ!?」

FS「コノ『鉄ぱいぷ』ヲ…『スイカ割リ』ノヨウニ頭ニ振リ下ロシテナ…」

真「うぐ…」

伊織(何…ですって…?)

伊織「ア…アンタの相手は私でしょ、やめなさいよそんなことッ!!」

FS「アア、ヤメルトモ。私ダッテコンナ真似ヲ シタクハナイ」

FS「水瀬伊織、君ガ身代ワリニナルノナラナ」

伊織「は…」

155: 2013/03/11(月) 23:23:57.57 ID:aUoV0b1+o
伊織「身代わりって…真の代わりに、頭を叩かれろって…そういうこと?」

FS「近ヅイテ頭ヲ出セ。叩イタラ コノ足ヲ退ケテヤル」グリッ

真「ぅぁ…」ビク

伊織「………」

伊織「な、何よ、その条件…そんなもん、飲むと思うの?」

伊織「そこまで叩きのめされたのは真が負けたから…自業自得じゃない」

伊織「なんで伊織ちゃんが身代わりにならなきゃいけないのよ、馬鹿馬鹿しい」

FS「代ワルノカ? 代ワラナイノカ?」

伊織「やるならさっさとやりなさいよ。私は代わったりしないわ」

伊織(こんなんでも、雪歩のスタンド…事務所の仲間に、そんなひどいことするわけ…)

ブンッ

キィィィン

真「ごっ…」ビクッ

FS「………」シン…

伊織「…………え」

157: 2013/03/11(月) 23:24:12.80 ID:aUoV0b1+o
真「………」

FS「フゥ…」クイッ

伊織「アンタ…今、何した」

FS「見テノ通リダガ」

伊織「何が『見ての通り』よッ! その足をどけろッ!!」

FS「ナラバ、君ガ 代ワッテヤレバイイダロウ? 君ガ飲ンデクレレバ菊地真ハ助カルノダ」

伊織「『ファースト・ステージ』…! アンタ性根まで腐りきってるわ…!!」ワナワナ

真「い…」

伊織「…!」

真「伊織…」

伊織「ま、真…」

FS「ナンダ、マダ話ス余裕ガアッタノカ」

159: 2013/03/11(月) 23:24:59.09 ID:aUoV0b1+o
真「何をやっている…逃げろって言っただろ…」

伊織「な、何を…って…アンタ…」

真「ボクのことはいい…構うな…! 代わろうだなんて、考えるなよ…」

伊織「そ、そんな…こと…」

FS「ソウカ。ナラ、オ望ミ通リモウ一回」グオッ

伊織「」

プッツーン

伊織「や…やめろッ!!」ダッ

FS「フ…来タカ」クルッ

ブンッ

バキャア!!

伊織「おぐぉっ…!!」グワングワン

伊織「う…」バタン

真「い…おり…」

FS「綺麗ニ入ッタナ」

FS「コレデ、モウ水瀬伊織…君ノ勝チノ目ハナクナッタナ」

174: 2013/03/19(火) 01:32:16.17 ID:RDrkDU89o
ヒュゥ

ゥゥゥゥゥ…

伊織「………」

FS「約束通リ返スゾ、モウ必要ハナイカラナ」ゲシッ

真「ぐあっ」ゴロン

伊織「はぁー…はぁー…」ガクガク

伊織(あ…頭が…揺れる…)

FS「虫ノ息ダナ水瀬伊織。スグ楽ニシテヤロウ」

伊織「ふー、ふー…」

FS「シャァ」ヒュッ

伊織「ス…『スモー…キー…』」

バフゥ

・ ・ ・ ・

FS「モウ、君ニ私ノ攻撃カラ身ヲ守ル手段ハナイ」

伊織(まずい…目の焦点が定まらない…)

176: 2013/03/19(火) 01:33:20.44 ID:RDrkDU89o
ゴォォォォォ

FS「勝ッタ!」

スッ

キィン!!

FS「!?」

伊織「え…」

真「勝った、だって?」

伊織「え…」

真「寝言は寝て言えよ、この木偶人形が…」

伊織「真…?」

FS「菊地真!?」

伊織(どういうこと…真が立ち上がって、私をかばった…?)

FS「馬鹿ナ…貴様、何故立ッテイラレル…?」

真「ボクがお前にあのベンチの下に叩き込まれてからどれくらい経ったと思ってる?」

真「『返された』ダメージはそこで横になっているうちに回復してるよ」

178: 2013/03/19(火) 01:34:25.06 ID:RDrkDU89o
FS「違ウ、ソンナコトヲ言ッテイルノデハナイ…! 水瀬伊織ト同ジヨウニ、頭ニ一撃叩キコンダハズダ…!」

真「叩き込んだ? よく見なよ」トントン

ギギギギギ

FS「…! 貴様、ソノ頭ニ張リ付イテイルノハ…!!」

真「『チアリングレター』」ギギギ

真「頭のほんの一部に、鎧を集中させた。お前のあんな攻撃、何のダメージにもならなかったよ」

伊織「ま、真…」

真「だから言っただろ、伊織…ボクのことは構うなって…」

伊織「く…」

真「ボクは大丈夫だってのに…飛び出して来てさ…」

真「本当…馬鹿だよ、伊織は…」グッ

伊織「真…」

FS「菊地真…」

真「随分と…」

真「汚い手を使ってくれるじゃあないか、『ファースト・ステージ』。雪歩がお前の事を知ったらどう思うだろうね」

FS「何トデモ言ウガイイ。萩原雪歩ヲ守ルタメナラ 私ハ」

FS「手段ハ選バナイ」

真「………」キッ

180: 2013/03/19(火) 01:35:24.17 ID:RDrkDU89o
ドドド

FS「何ダ、ソノ目ハ…」

FS「私ト戦ウツモリカ? ソンナぼろぼろノ体デ」

ドドドド

FS「君ガソノ怪我ヲ負ノハツイ先程ノ事ダ…忘レタワケデハアルマイ?」

真「忘れた」

FS「ソウカ…」

ドド

FS「ナラ、思イ出サセテアゲヨウ」

ドドドドドド

FS「行クゾ…」グオオ

真「さっさと来い…『ストレイング・マインド』!」ピキ ピキ ピキ

伊織(『チアリングレター』じゃあない、全身鎧の方を…)

182: 2013/03/19(火) 01:36:59.07 ID:RDrkDU89o
FS「シャァ」ブオン

真「オラァッ!!」ビシュ

ガッ!

FS「ム!」

グググ

FS「貴様…武器ノ方ヲ狙ッテ…」ギリギリ

真「オラァ」

キィィィン

伊織(鉄パイプを弾いた…)

真「これで武器はなくなった」

FS「チ…手負イトハ言エ簡単ニハ 行カナイカ」

伊織(…やっぱり…)

伊織(ダメージは相当残ってるんだわ…今までの真なら、あんなもの殴るだけで粉砕してたのに…)

伊織(『固く』したことで、逆に壊せなくなっている)

伊織(『パワー』も『スピード』も全然ない…あらゆるものを一撃でブチ砕く『ストレイング・マインド』が、こんな…)

184: 2013/03/19(火) 01:37:56.51 ID:RDrkDU89o
FS「ウシャァッ」ブオン

真「だっ!」バッ

ガンッ

伊織(両腕を交差させて受け止めた!)

FS「グ…」

伊織(ヤツに『ストレイング・マインド』を砕く『パワー』はない! これなら…)チラッ

真「………」コクッ

伊織(これなら、『協力者』が来るまでの時間は稼げる…!)

FS「ガァッ!」ヒュッ

キィィィン

真「どうした? そんな攻撃で何を思い出させてやるって?」コォォ…

FS「チッ!」ババッ

真「………」ォォォ

FS「………」

FS(菊地真ハ自分カラ仕掛ケテ来ナイ…私ノ『返ス』能力ヲ恐レテイルノカ)

FS(イヤ、時間稼ギカ…? 水瀬伊織ガ呼ンダ援軍ガ来ルマデノ…)

186: 2013/03/19(火) 01:39:57.70 ID:RDrkDU89o
カラン…

FS(『鉄ぱいぷ』ヲ拾イニ行ケソウダガ…)

FS(拾ッテモ、菊地真ニハ通用シナイダロウナ。マタ弾カレルダケダ)

真「ボーッとしてていいのかい? もう向かってくるつもりがないのなら大人しく帰って欲しいんだけど」

FS「フ…」

FS「来テホシイノナラ、望ミ通リ行ッテヤロウ…!」ダッ

ドドドド

伊織「助走をつけて…!?」

真「正面から突っ込んでくるつもりか!」バッ

FS「ウリァ!!」ゴォッ

ドゴォ!!

伊織「真!!」

ズザァァァ

真「だ…」

真「大丈夫だ、伊織」シュゥゥゥ…

FS「…駄目カ」グググ

188: 2013/03/19(火) 01:40:56.60 ID:RDrkDU89o
伊織(大分消耗してるはずなのに…『固く』する能力、伊達じゃあないわね…)

伊織(だけど、気になるのは『ファースト・ステージ』…あんな正面から突っ込んでいって、どうするつもりなの…?)

真「ちょっとは響いたけど…」

真「こっちから手を出さなければ、お前に『ストレイング・マインド』を破る手段は…」

ゴンッ!!

・ ・ ・ ・

FS「グ…カカ…」プルプル

真「…なに?」ビリビリ

FS「ウアッ!!」ガン!

真「うおっ!?」キィィン

伊織(『ストレイング・マインド』に頭を打ち付けてる…!?)

伊織(一体何のため…って…)

伊織(決まってるでしょうが、そんなもん…!)

伊織「真、避け…」

FS「シャァッ」ブンッ

真「うぐっ」ガン

伊織「ちょっ…」

190: 2013/03/19(火) 01:41:46.41 ID:RDrkDU89o
真「うぉ…」ピキ ピキ

FS「頭部ヘノだめーじ…」

真「うわぁぁっ!」ビシッ!!

FS「返サセテ、モラッタ」

ピキィィィン

伊織「真ッ!!」

真「う…」グラッ

伊織「な…何を馬鹿正直に喰らってんのよ! このアホ!」

真「…うるさいな」ピタ

伊織「!」

真「少しヒビが入っただけだ、この程度今更なんともないよ…」ピキ ピキ

FS「ホウ」

伊織(いや、でも…『返す』攻撃には防御は関係ない。その上、『返さ』れてるのはあの『鎧』に打ち付けたばかりの新鮮な痛み…)

伊織(確実にダメージは入っている! 真が反撃できないとは言え、『ストレイング・マインド』を突破された…!)

192: 2013/03/19(火) 01:42:57.73 ID:RDrkDU89o
FS「シャァ」ブオッ

ガンッ! ゴンッ!!

真「ぐ…」ギリッ

FS「モウ一発!」ゴッ

真「がっ…」ビキビキビキ

伊織「…!」

伊織(また、こいつは…あんなに簡単に攻撃を受けて…なんで避けないのよ!!)

伊織(そりゃボロボロだけど、アンタならあの程度避けられない攻撃じゃあないでしょうが!)

FS「『すとれいんぐ・まいんど』デ 反撃シテモイイゾ…」

真「はぁ、はぁ…」

伊織(………)

FS「ソウナッタラ、スグニ『返シ』テヤルガナ!!」ドボォ

真「うぉぉ…」ギリギリ

伊織(いや、違う…私がいるから…)

伊織(後ろに私がいるから、コイツは逃げないんだ…)

194: 2013/03/19(火) 01:44:37.46 ID:RDrkDU89o
真「ぐ…」フラフラ

FS「マダ、私ノ恐ロシサヲ理解シテイナイヨウダナ…」

真「はっ…何が恐ろしさだよ…」

真「お前なんかより、伊織の方がよっぽど恐ろしかった。ボクを倒すために、ビル一つ壊させたんだよ?」

伊織「真…」

伊織(攻撃自体は大したものじゃあない、けど…)

伊織(このままじゃいずれ『再起不能』に追い込まれてしまう!)

伊織「真!!」

真「…なんだよ、伊織」

伊織「アンタ、私に逃げろって言ったわね…」

真「……」

伊織「アンタこそ逃げなさいよ…! 私よりボロボロのくせに…!」

真「ボクは、伊織がやるはずだったことを代わりにやってるだけだ」

伊織「…!」

真「ボクが人質になんて取られていなかったら、伊織だって同じようにこいつを止めていただろ」

伊織「アンタ…」

FS「止メラレルカ? ソノ体デ!!」ゴスッ

真「がぁっ…!!」ピシッ

伊織「…っ」バッ

伊織(見ていられない…)

伊織(だけど、『スモーキー・スリル』でサポートするにも、まだ手が震えている…こんなじゃ…)プルプル

ダムッ

伊織「…?」

196: 2013/03/19(火) 01:45:11.54 ID:RDrkDU89o
ダム ダム

伊織(なんか…聞こえる…何、この音…?)

ダムッ

伊織(近づいてくる…まさか…)

真「はぁ、はぁ…」

FS「ソロソロ、限界カ。ヨクヤッタ方ダナ」

ダム ダム ダム

FS「…?」

ゴ ォ ォ ォ ォ ォ ォ

?「ドラァッ!!」ギュン!!

ズドム!!

FS「オグッ!?」グキ

ドバッギャァァァーッ

真「え…!?」

伊織「は!?」

198: 2013/03/19(火) 01:45:40.32 ID:RDrkDU89o
FS「ウバッ」グラララララ

ズザァァァ

FS「ォ…ォォォ…」ビクビク

シュゥゥゥゥ…

真(なんだ今のは、見えなかった…)

伊織(何かもの凄いものが突っ込んで来て、アイツを轢き飛ばした…!?)

FS「ウグ…ウォォ…」

?「おまえが、『ファースト・ステージ』って奴か?」

伊織「アンタ…」

?「待たせたな! 伊織、真!」

真「キ…キミは…」

伊織「響…!!」

響「ああ! 自分、我那覇響だ!」ピース

200: 2013/03/19(火) 01:46:44.60 ID:RDrkDU89o
真「どうして響がここに…?」

伊織「協力者って、アンタのことだったのね…」

響「うん。たかねに、伊織を助けてくれって言われて来たけど…」チラッ

FS「四条貴音ノ…」ギギギ

響「うわ、こいつ喋るのか…」

FS「我那覇響…効イタゾ…今ノハ」ギギギギ

真「やっぱり、すぐ立ち上がってくるな…」

響「あいつを倒せばいいんだよな?」

伊織「そうだけど、響…アイツの事は聞いてるの?」

響「抜かりないさ。自分を誰だと思ってるんだ?」

伊織「アンタだから心配してんのよ…」

響「心配しなくても」ダムッ

FS「ヌッ!?」

ドシュ!!

バギャゴッ

FS「ゴハァァッ!?」ゴロゴロ

響「わかってるよ、あいつがくたばるまで…」スタ…

響「攻撃し続ければいいんだろ? 簡単なことさ」

202: 2013/03/19(火) 01:48:03.30 ID:RDrkDU89o
響「行くぞ、『トライアル・ダンス』!!」スゥッ

伊織「!」

伊織(うっすらと響の背後にスタンドが見える…)

伊織(何? 本体と一体化するスタンド…?)

ダムッ!

真「飛んだ!」

ダム ダム ダム

FS「ム…」

響「そらっ!!」グッ

バヒュン!

FS「ゴフッ」ドグシャァ

・ ・ ・ ・

ズサササササ

伊織「こっ… ………」

伊織「この人間離れした身体能力! 狭い空間を蹴る事で縦横無尽に駆け巡って、アイツを弾き飛ばしてるのね」ペタペタ

真「…伊織、何やってるんだ? こんな時に携帯なんていじってさ」

伊織「保険。こんな時だからよ」

真「…?」

204: 2013/03/19(火) 01:48:55.50 ID:RDrkDU89o
ダムッ ダムッ

伊織(それにしても速い、速すぎる! 速さだけで言えば、私の見てきたどのスタンドよりも上!)

FS「シカシ…動キハ単調ダ…」フラ…

ダム ダム ダム

バヒュ

FS「ソコダ!!」ゴッ

響「当たるか!」ヒュバ!!

ゴシャァ

FS「グ…グアアアアアア」プラン

真「手を出そうとした『ファースト・ステージ』の腕が真っ二つに折れた…」

FS「グ…馬鹿ナ…」グラッ

伊織(当然よ! 動きが違いすぎる、あんなもの正確性だけで対応できるものじゃあない!)

響「ガンガン行くぞ!!」クンッ

ドシュン! ドシュ! バシュゥン!!

FS「ウガッ、ガフッ!!」ボギャッ ドギャァ

真「うひ…」

伊織(これが…)

伊織(これが響のスタンド…)

206: 2013/03/19(火) 01:49:42.46 ID:RDrkDU89o
ズガガガガ

FS(菊地真ヤ四条貴音ノ攻撃モ 速カッタガ…ソレ以上ダ、コレハ…)ガリガリガリ

ガガガガガガガ

FS(ダガ、ヤハリ単調…)ダッ

響「ん!」キィィッ

真「向こうの階段の方に逃げる気か…! あっちじゃこういう壁を使っての攻撃は難しいぞ」

伊織「響、長引かせると危険よ! とっととブッ倒しちゃいなさい!」

響「言われなくても…」シュゥゥゥゥ…

響「行くぞっ!」ドダダダダダダ

伊織「速っ…」

響「うおおおおおおおお」ダダダダダ

FS「一度…」クルッ

伊織(! 振り向いた…)

FS「一度触レサエスレバァァァァ」グワッ

響「ドラァッ」ビッ!!

ゴォッ!!

真(うはっ、走る勢いを利用して槍を突き出すかのような強烈な蹴り!)

ドグシャア

FS「グ…」

グシュッ

208: 2013/03/19(火) 01:50:35.77 ID:RDrkDU89o
響「ドラララララララララ」ババババババ

グシュ グシュ グシュ

FS「グアアアアアアアアアアア」

ドッパァァァーッ

FS「アアアアアアアアアアア…」シュゥゥ…

ビタッ ドサ ドサ

響「よしっ」キィィッ

伊織「や…」

伊織「やったわ、バラバラになった! これでもうアイツは攻撃できない!」

響「よし伊織、真。今手当しに行くからな!」

伊織(本当はこの伊織ちゃんの手で倒してやりたかったけど…この際、よしとするか)

真「響…ぐっ!」ズキン

伊織「ちょ、ちょっと真…アンタ、相当攻撃食らってたんだからじっとしてなさいよ」

真「だ、駄目だ響…」

伊織「え? 駄目って…何が駄目なのよ」

伊織(響に助けられたくないとか? こいつ、ランク近いのもあって結構にアイツにライバル意識燃やしてるから)

210: 2013/03/19(火) 01:51:12.91 ID:RDrkDU89o
真「伊織、あいつはまだくたばっちゃいない…!」

伊織「え…?」

真「ボクの時もそうだった…ああやって、自分からバラバラになって…」

ピクッ プルプル

真「あいつはやられたフリをしているだけだ、響が危ない…!」

伊織「あ…」

伊織(そうか、アイツは…)

FS「………」モゾ…

伊織(自分の体を切り離せる…!!)ダッ

真「伊織!?」

響「ん…? どうしたの、伊織? そんなに慌てて」

FS「油断…シタナ!」バッ

ドヒュゥゥゥゥ

響「え…」クルッ

響(あいつの腕が、腕だけが自分の方に飛んで来た…!?)

212: 2013/03/19(火) 01:51:32.98 ID:RDrkDU89o
FS「私ハコレクライノ『だめーじ』ナラ、耐エラレルガ…」

FS「君ノ方ハドウカナ、我那覇響!!」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

響「ト、『トライアル…」

FS「間ニ合ウカ! コノ傷、貴様ニ『返シ』テヤロウ!!」

ドシュゥゥゥウ

伊織「いえ。それは不可能よ『ファースト・ステージ』」

FS「何!?」

ドゴォ

響「えっ!?」

伊織「ぐっ…」ググググ

FS「水瀬伊織…!!」

伊織「がっ!!」ドサァッ

響「い、伊織…なんで自分をかばって…」

214: 2013/03/19(火) 01:52:06.44 ID:RDrkDU89o
真「馬鹿な、伊織…」

真「そんな体で、あのダメージを受けきれるわけが…伊織ィィィッ!!」

伊織「うっさいわね…」ムクッ

真「えっ!?」

伊織「『ファースト・ステージ』…」

伊織「腕だけの割には、いいパンチじゃない。腰でも入ってるの?」

FS「貴様…」

響「ぶ…無事だ、伊織は…」

真「いや、それだけじゃない…『ファースト・ステージ』の傷が回復していないんだ…!」

響「と…」

響「とにかく、あいつの『返す』能力ってのは伊織には効かないんだな!?」

真(いや、そんなはずはない。伊織がここに来るまでに追っていた怪我、あれはあいつの能力によるものだ)

真(だったら、何故『ファースト・ステージ』の『返す』能力が発動しない…?)

216: 2013/03/19(火) 01:53:51.77 ID:RDrkDU89o
伊織「『質問』、いいかしら? 『ファースト・ステージ』」

FS「………」

伊織「あんたは響から受けたダメージを私に返すことができる?」

FS「………」

伊織「答えはNO。アンタに与えたダメージは、与えた本人にしか返せない」

真「!」

伊織「響から受けたダメージを私に押し付けることはできない…そうでしょう?」

FS「………」

伊織「できるなら、あんたはとっくにそこらの壁にでもダメージを押し付けてるはずなのよ」

FS「………」

伊織「だんまり? ま、答えなくても結果はハッキリしてるけど」

響「伊織…」

伊織「響でも駄目か…これ以上は近づくのすら危ないし」

伊織「こうなったら最終手段を使うしかないわね。やれやれだわ」

218: 2013/03/19(火) 01:55:06.96 ID:RDrkDU89o
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
今回結構長引いてるんで来週の更新分で終わらせたい

220: 2013/03/19(火) 02:42:39.75 ID:9IK/SnMzo

雪歩のスタンドが自動型だから雪歩が全然でなくて寂しいわ

252: 2013/03/28(木) 03:05:12.87 ID:cdokynTqo
真「さ…」

響「最終、手段…? なに、それ」

FS「マダ、何カ企ンデイルヨウダガ」グ

グオッ

響「うおっと!」タッ

伊織「危なっ…」

FS「君達ノ中デ戦エルノハ我那覇響ダケ…ソレモ、一撃与エレバ終ワリダ」

FS「ドンナ策ガ アルトシテモ、ココカラ私ヲ倒スナド 無謀トシカ思エンガナ」

伊織(こいつをどうするか…)

伊織「悪いけど『ファースト・ステージ』、もうアンタに構ってる暇はないわ」

FS「何?」

伊織「響、真、走るわよ!」クルッ

響「え、でも…」

真「どうするつもりだ、伊織?」

伊織「いいから、さっさと着いてなさい!」

254: 2013/03/28(木) 03:05:48.69 ID:cdokynTqo
タタタ…

FS「何ヲスルカト思エバ…諦メテ逃ゲルカ?」

FS「ドコヘ行コウガ、私カラ逃ゲラレハシナイト言ウノニ」

FS「マァ…目ノ前ニイテ ミスミス逃ガス理由モナイナ」グ…

ダッ!

伊織「ち、やっぱ追いかけてくるわよね…」

真「い、伊織…すぐに追いつかれるぞ…」

伊織「大丈夫よ、私の予想では…」

FS「グ…」ブルッ

真「あれ、なんだ…? 『ファースト・ステージ』の動きが遅い?」

伊織「あんなギリギリまでやられたんだもの、んなすぐに回復はしないわよ!」

響「自分のお陰だな!」

伊織「あー…そうね。ちょうたすかったわ」

響「ふふん」

256: 2013/03/28(木) 03:06:25.19 ID:cdokynTqo
タッタッタ

響「どこまで行けばいいんだ?」

伊織「一階の玄関前まで…すぐ近くよ、アイツが回復する前に着くと思うけど…」

真「はぁ、はぁ…」

伊織「…響、真を運んでくれる? こんなんじゃ、着く前に追いつかれるわ」

響「え、それはいいけど…」

真「伊織だって、ボロボロじゃないか…ボクのことは置いていけば…」

伊織「…それ以上言うな。私はなんとかするわ…ここで追いつかれちゃ全部パァだもの」

響「うーっ…」

伊織「響?」

響「『トライアル・ダンス』!!」ヒョイッ

伊織「うおっ!?」グイッ

真「ちょ、響!?」グオッ

響「ボロボロなのは二人ともだろ! 今は強がってる場合じゃないぞ!」

響「どっちも自分が運んでやる! 二人くらいなら、なんくるないさー!」ガッ

ギュゥゥゥーン

258: 2013/03/28(木) 03:07:21.16 ID:cdokynTqo
ズダダダダダダ

真「はっ…速いな…!」

伊織「こ、これなら追いつくどころか引き離せる…!」

響「へへん、そんなに褒めなくてもいいぞー! 」ズダダ

FS(イクラ我那覇響デモイツマデモ走ッテイラレル筈ハナイ、イズレ追イツク…)

FS(私カラ逃ゲ…ソレデドウスル? 何ガ狙イダ…?)

FS「マ…」

FS「マサカ…水瀬伊織、貴様…!!」ダダッ

伊織(感づいたようね…だけど、遅いわ…)

真「それで、どうするんだ伊織…? 最終手段ってのは一体なんなんだ」

伊織「決まってるわ。私達にあの『ファースト・ステージ』はどうにもできない」

伊織「スタンドがどうにもならないなら…」

真「まさか…」

伊織「そうよ…本体の雪歩を叩くッ!!」

260: 2013/03/28(木) 03:08:26.25 ID:cdokynTqo
響「え、でも雪歩は仕事中だぞ。玄関に行っても駄目じゃないか?」

真「さっき携帯をいじってたのはそういうわけか、伊織」

響「?」

伊織「ええ…亜美に、玄関前に来るように言っておいたわ」

伊織「さっきの場所に呼んでもよかったけど…近づくと、響との戦闘に巻き込まれるかもしれなかったから」

伊織「亜美の『スタートスター』で一気に雪歩のところまで『ワープ』するッ!」

響「? ?」

真「待て伊織、本当にそんなことをするつもりなのか! 何も知らない雪歩を傷つけるなんて…」

伊織「言葉の綾よ。野蛮人じゃあるまいし、伊織ちゃんがそんな暴力的な手段取るわけがないでしょうが」

真「…だったら、どうやって?」

伊織「真、『ファースト・ステージ』が何のために行動してるかは聞いてるわよね?」

真「え? えーと…『スタンドの事を雪歩から遠ざける』事か? そんなことを言ってた気がする」

伊織「ええ、そうよ」

262: 2013/03/28(木) 03:09:14.82 ID:cdokynTqo
伊織「アイツは雪歩に恐怖を与える『スタンド』に関する事を排除しようとしている。だから、雪歩に近づく『スタンド使い』の私達を排除しようと襲いかかってきた」

真「それが一体…」

伊織「じゃあ…雪歩が『スタンド』の存在を受け入れたら?」

真「!?」

真「そ、それってつまり…」

伊織「アイツの行動理由…いや、存在理由!」

伊織「それを奪ってやるわッ! そうすれば、アイツは完全に『再起不能』するッ!」

響「いやいや、ちょっと待った。さっきも言ったけど、雪歩は仕事中だろ?」

響「亜美の『ワープ』ってのがどういうのかは知らないけど…いきなり飛び出していくのはまずいんじゃないか?」

伊織「貴音の携帯…」

響「たかねがどうかしたの?」

伊織「貴音に電話をかけたら、律子に繋がったのよ…どうやら、返すのを忘れてたみたいでね」

伊織「そういう時、アイツなら予備の携帯を渡してるはず…それで、アイツに電話して貴音への連絡先を聞き出したのよ」

真「アイツってのは…」

伊織「プロデューサーよ。今日は、雪歩達の付き添いをやってる…ね」

264: 2013/03/28(木) 03:10:05.59 ID:cdokynTqo
伊織「その時、ついでに聞いておいたわ」

伊織「あと2分で、収録は1時間の休憩に入る! カメラさえ回っていなければ、『ワープ』してもどうとでもごまかせるわよ」

伊織「休憩時間中に、会場まで辿り着き…どうにかして雪歩にスタンドを受け入れさせる!」

真「いや…でも、ちょっと待て伊織! 雪歩が『スタンド』に関する事を認識できないのは知ってるだろ!」

響「認識できない? それってどういうことだ?」

真「雪歩には、スタンドやそれに関することが見えもしないし聞こえもしないんだ。恐らく、『ファースト・ステージ』の『都合の悪いものを押し付ける』能力の一部だと思う」

真「それはどうするんだ、伊織!」

伊織「………」

真「あ…」

伊織「もう、これしか方法がないのよ…」

響「とにかく…亜美のところに行けばいいんだよな!?」

伊織「ええ…頼むわ、響」

266: 2013/03/28(木) 03:11:12.05 ID:cdokynTqo
………

……

ドドドド

亜美「ん?」

響「うぉぉぉぉっ!」ズザザザ

亜美「うわっ、凄い勢いでひびきんが飛んで来た!?」

響「ちょっと疲れた…降ろすぞー」トサ

真「おつかれさま、響」スタ

伊織「亜美…ちゃんと待ってたわね、よかった…」タッ

亜美「あっ、いおりん! もう、3分の遅刻よ!」

伊織「亜美…今は遊んでる場合じゃあないわ」

亜美「えー、ノリ悪ーい」

亜美「ま、いいや。三人揃ってどうしたの? みんなでどっか行く…」

真「………」ボロ…

響「ふぅ、はぁ…」

亜美「…って感じじゃなさそうだねー…」

268: 2013/03/28(木) 03:13:04.09 ID:cdokynTqo
真「伊織、『ワープ』するのは…」

伊織「あと少し…休憩時間が始まってから少し後くらいに…」

亜美「ほぇ? 何の話?」

伊織「もうちょっと経ったら、雪歩のところまで『ワープ』して。緊急事態なの」

亜美「ゆきぴょんとこ? でも…」

ドサ!!

伊織「!?」バッ

FS「ヤハリカ…」シュゥゥ…

真「『ファースト・ステージ』…!」

FS「双海亜美ニ連絡ヲトッテイタナ、水瀬伊織」

響「な、なんでもうこんなところにいるんだ!? 反対側から、思い切り走ってきたのに…」

FS「私ニハ壁モ床モ 関係ナイ。ワザワザ階段ヲ降リル必要モナイ」

FS「萩原雪歩ノ所ニハ 行カセナイ! ココデ全員始末スルッ!」

270: 2013/03/28(木) 03:14:04.08 ID:cdokynTqo
伊織「はっ、行かせない…ですって?」

伊織「遅い遅い。遅すぎてあくびが出るわ。アンタ、今の状況わかってんの?」

FS「何ダト?」

伊織「さぁ亜美! 『スタートスター』で真美のところまで送り…」ビシッ!

亜美「やー、そりゃ無理だよ」

伊織「なさ…い…」ヘナヘナ

響「あれ?」

真「む…無理…? 無理って言った、今…?」

亜美「うん、無理。三回目は言わせないでねー」

真「ど、どういうことさ…この前は、離れた廃ビルにも余裕で『ワープ』できてたじゃないか」

亜美「うん、あそこ…まっすぐの距離だと、実は事務所からそんな離れてなかったじゃん?」

亜美「でも、ここから会場に送るには、ちょっと距離が足りない…って言うか…」

伊織「な…なんですって…!?」

272: 2013/03/28(木) 03:14:42.29 ID:cdokynTqo
FS「ラシイナ」

伊織「!」

亜美「うお、なにあれ? 喋ってる」

FS「サァ、コレデ『最終手段』トヤラモ潰レタワケダガ…ドウスル?」

伊織「タ、タンマ! これは流石に計算外!」

FS「待ツト思ウカ?」

伊織「うぐ…」

プオーッ

響「んがっ!?」ビクッ

伊織(! クラクションの音!?)

ヴヴヴ…

ドルルルルルル

律子「あんた達、乗りなさい!」

伊織「り…律子!?」

274: 2013/03/28(木) 03:16:15.22 ID:cdokynTqo
律子「雪歩の所に行くんでしょ? こいつを使えば早いわ!」

伊織「り、律子…準備いいわね、アンタ…」

律子「事務所が騒がしいもんだから、『ロット・ア・ロット』で見てたのよ」

律子「車で会場の方まで近づくわ、そうすれば『スタートスター』も使えるでしょう」

亜美「おおっ、りっちゃん様! あなたこそ救世主だ! よくわからんけど」

伊織「助かるわ、律子…!」

FS「待テ! 乗リ込ム前ニ貴様ラヲ『再起不能』ニ…」

真「おっと、そうはさせないよ!」バン

亜美「まこちん!?」

真「ここは通さない…」

FS「クタバリ損ナイガ…何ガデキル!」

響「真一人じゃあ無理かもな…でも自分もいるぞ!」ババン

伊織「響も…!?」

響「伊織、亜美、今のうちに車に乗り込め!」

276: 2013/03/28(木) 03:17:04.66 ID:cdokynTqo
伊織「アンタわかってんの!? 今、アイツに触られたら…」

響「触られなければいいんだろ? 問題ないぞ」

真「ボク達が少しだけでも時間を稼ぐ、急ぐんだ!」

伊織「え、ええ…」ダッ

亜美「ほら、いおりん早く早く!」タッタッタ

FS「菊地真、我那覇響! ソコヲドケ…!」

真「どかしてみろ、ボクがどくのは熱心なファンの女の子が道端で待ち伏せしているときだけだ」

響「それってどいてるのか?」

FS(二人カ…菊地真カ我那覇響 片方ナラバ突破デキタダロウニ…)

FS「ク…」プルプル

バッ

真「ん?」

スゥ…

真(なんだ、事務所の中に…戻っていった?)

278: 2013/03/28(木) 03:18:48.65 ID:cdokynTqo
クルッ

FS「オオオオッ!!」グワッ

ガシャァァァン

真「うわっ!?」

真(ガラス製のドアを殴って、ボクの『硬化散弾銃』みたいに…飛び道具だと!?)

FS「喰ラエ、水瀬伊織!」

ヒュン ヒュヒュン

真「オラオラオラオラ」ガシャン ガシャ

ヒュゥゥゥウ

真(駄目だ、全部は撃ち落とせない…)

響「危ない、伊織…!」

伊織「え…なっ!?」

亜美「ス、『スタートスター』!」

真「『ワープ』を使えないのに、単体の『スタートスター』で叩き落とせるのか!?」

亜美「わわっ、そうだ! ヤバいよー!!」

280: 2013/03/28(木) 03:20:38.06 ID:cdokynTqo
ゥゥゥゥゥウウ

律子「『ロット・ア・ロット』」カタカタ

フォン

伊織「!」

亜美「おっ!」

トス ホスッ

FS「何ッ!?」

律子「何か飛ばして来ても、無駄よ。それくらいなら私にだって止められる」

ガシャン ガシャ

伊織「あ…ありがと、律子…」

律子「それより、早く乗って!」

伊織「え、ええ!」ザッ

282: 2013/03/28(木) 03:21:27.82 ID:cdokynTqo
伊織「亜美、ドアを閉めて!」

亜美「了解!」バタン

FS「………」

律子「よし、行くわよ…!」ガッ

ブロロロロロ…

響「行ったか…」

FS「………」

真「さぁ、どうするんだ『ファースト・ステージ』?」

真「もうお前に伊織達は止められない。雪歩を守るとかなんとか言ってたが…お前にはそれもできないんだ」

FS「フ…」

真「?」

FS「フハハハハハハ!」

響「な、なんだこいつ…? いきなり笑い出して…」

284: 2013/03/28(木) 03:23:12.73 ID:cdokynTqo
FS「気付カナカッタノカ…? がらすノ行キ先デ頭ガ一杯ダッタノカ…」

真「一体、何を…」

響「あっ!? こいつ、脚が片方なくなってるぞ!」

真「えっ?」

FS「コッソリト…秋月律子ノ車ノ中ニ、私ノ脚ヲ忍ビ込マセテオイタ」

FS「今頃、アノ三人ト一緒ニ 走ッテイルコトダロウ」

真「…それがどうした…?」

真「お前の腕は確かに脅威だ。だけど、脚が一本車内に紛れ込んだ所でどうするって言うんだ」

FS「コノ脚ハ、ココノ割ッタがらすデ切断シタモノダ」

FS「コレニ、だめーじヲ『返シ』タラ…ドウナルト思ウ?」

・ ・ ・ ・

真「『チアリングレター』!!」

響「うおおっ、『トライアル・ダンス』!!」

FS「私ノ方ガ…一枚上手ダッタナ」チョン

パリィィィン

286: 2013/03/28(木) 03:24:16.50 ID:cdokynTqo
………

ブロロロロ…

伊織(とりあえず、アイツは撒いた…)

伊織(後は、雪歩にどうやってスタンドのことを受け入れさせるかだけど…どうしようかしら…)

伊織(『スタートスター』のワープだとか、『ゲンキトリッパー』のくっつく効果を見せてやれば信じるか…?)

律子「おかしいわね…」

亜美「何が?」

律子「『ロット・ア・ロット』を通って来た道に配置してきたんだけど…」カタカタ

律子「見ても、『ファースト・ステージ』が追って来ている様子がない…」

亜美「諦めたんじゃないの? こっち車だし」

伊織「あるいは、雪歩の居場所に向かって一直線に走っているとか。アイツ、壁とかおかまいなしだし」

伊織「どっちにしろ『スタートスター』の『ワープ』に追いつけるわけがないし、私達に追いつく方法はないはず」

伊織「それより、運転しながら操作するのやめなさいよ。事故るわよ」

律子「うーん…何か引っかかるのよ。もうちょっと調べるわ」カタカタ

288: 2013/03/28(木) 03:26:02.51 ID:cdokynTqo
ガゴッ!!

亜美「ん?」

伊織「何かしら、今の揺れ?」

ドル…

律子「あれ…?」

亜美「どったの?」

ゥゥゥ…

伊織「なんか…速度、落ちてない?」

律子「いや…エンジンが止まった…」

伊織「は…!?」

プス、プス…

伊織「故障!? こんな時に…!」

亜美「えーっ!? もう、このポンコツー!!」

律子「この前、点検したばっかりなんだけど…」

290: 2013/03/28(木) 03:34:21.59 ID:cdokynTqo
伊織「く…ここから歩くしかないの…?」

律子「そう…みたいね…」

亜美「えー、やだよー。ここまで来て歩くのー?」

伊織「『スタートスター』は使える? 使えるなら歩かなくていいけど」

亜美「うーん…駄目っぽい」

伊織「じゃあ歩くわよ。何にしても、乗ったままじゃ仕方ないわ。降りましょ」バンッ

律子「私は業者呼ぶから、二人で行くのよ」

亜美「んー…仕方ないか。りょーか…」

ズ…

亜美「ん?」

ズズ…

亜美(シートの中から、手が…)

律子「えーと、電話番号は…」ゴソゴソ

亜美(これ、もしかして…りっちゃんを襲おうとしてる…?)

ズズズ…

292: 2013/03/28(木) 03:39:33.78 ID:cdokynTqo
亜美「りっちゃん、危ない!」バッ

律子「へ?」クルッ

ヒュッ

亜美(あれ、違う…)

グォォ

亜美(これ、狙われてるの亜美の方じゃん)

亜美「ぐっ!?」ボグォオ

ドサァ!!

伊織「えっ!?」

亜美「うーあー…」

伊織「亜美…?」

?「双海亜美サエ倒セバ…」ズ…

伊織「そ、その声は…」

FS「モウ、私カラ逃レル手段ハナイ」ズリ…

伊織(車のシートの中から『ファースト・ステージ』が…!!)

294: 2013/03/28(木) 03:49:37.91 ID:cdokynTqo
伊織「なんでよ…」

伊織「なんでアンタがここにいるのよ…!!」

FS「ソレヲ答エル意味ガアルノカ?」

亜美「うーん…」

伊織(亜美がノビてしまっている…これじゃ、会場に近づいたとしても『スタートスター』の『ワープ』が使えない…)

律子「どうやら…」パチン

伊織「律子…」

律子「業者を呼んでる場合じゃあないようね…」スッ

FS「降リテ来タカ、秋月律子。ソコデ座ッテイレバイイモノヲ」

律子「『ファースト・ステージ』だったか…車を故障させたのはあんたね?」

FS「アア、ソウダ秋月律子。中ニ入リ込ンデ、チョットネ…」

296: 2013/03/28(木) 03:57:31.22 ID:cdokynTqo
律子「修理代は高くつくわよ…『ロット・ア・ロット』!」カタカタ

ブォン

キュル キュルキュル

FS「『ろっと・あ・ろっと』数ダケハ多イすたんど…」

FS「邪魔ナダケダナ」ヒュッ

ガギッ!!

伊織(『ファースト・ステージ』が『ロット・ア・ロット』を殴った…あれを壊したら…)

バギャ

バチャァ!!

FS「ム」

律子「『麻酔液』よ! 止まっていなさい!」

FS「体ガ…動カシニクイナ…」ギギギ

律子「伊織、亜美を連れてタクシーでも捕まえなさい! こいつはどうあっても倒さなきゃ駄目よ!」

伊織「え、ええ…わかったわ」

298: 2013/03/28(木) 04:02:44.80 ID:cdokynTqo
FS「………」ユラ…

伊織「…!」

キュルキュル

伊織「律子、『ロット・ア・ロット』を引っ込めて!」

律子「え?」

カスッ

律子「ッ!?」ビリッ

FS「コレガ私…」

FS「『ふぁーすと・すてーじ』ノ能力ダ。貴様ガ与エタ現象ハ、全テ貴様ニ『返ッテ』イク」

律子(体が痺れる、『麻酔液』の影響が私に…!)

FS「例エ一部デモ、『すたんど』ニ触レレバ ソレハ貴様ニ触レタノト同ジコトダ」

律子「ぐっ…」

FS「時間稼ギニモ ナラナカッタナ」

伊織「く…」

FS「アトハ…貴様ダケダ、水瀬伊織」

300: 2013/03/28(木) 04:04:00.89 ID:cdokynTqo
モクモクモク

伊織「『スモーキー・スリル』…」

伊織「うおおおおお」

ガシ…

FS「フッ」

バフゥ!!

伊織「うぉ…」

伊織(掴もうとした『煙』が…ちょっと払っただけで飛ばされた…)

FS「君ニハモウ 戦ウ力ハ残ッテイナイダロウ? ソンナ弱ッタ体デ、私ニ立チ向カオウダナドト」

FS「思イ上ガリモ イイトコロダナ」

伊織「この…くそったれが…」

FS「マァ、命マデ取ッタリハシナイ。萩原雪歩モ ソコマデハ望ンデイナイダロウシナ」

伊織「ここまでやっておいて、何を寝ぼけたことを…!!」

302: 2013/03/28(木) 04:10:22.46 ID:cdokynTqo
FS「終ワリダ。眠レ、水瀬伊織!!」シュバッ

伊織「『スモー…キー…』」スゥ…

バフッ

伊織(駄目だ…止まらない…)

ガシィ!!

FS「ン! !?」

伊織「は!?」

伊織(止まった…いや、止められた…これは…)

伊織(これは、スタンド…!?)

???「変な音が聞こえたから来てみたけど…なんだか、大変なことになってるわね~」ザッ

伊織「え…嘘でしょ…? なんで、アンタが…?」

FS「何故ダ…」

FS「何故、貴様ガココニイル…何故、水瀬伊織ノ味方ヲスル…!」

伊織「あ…あずさ…!!」

あずさ「あら…仲間が襲われているのを助けるのはいけないことかしら?」

あずさ「こんな傷だらけの女の子相手に…あなた、ちょっと度を越してるわよ」

336: 2013/04/09(火) 02:28:18.26 ID:RjSDiv4mo
FS「三浦アズサ…コンナトコロデ 会ウトハ…」

FS「アト少シデ片付キソウダッタノニ、イササカ 水ヲ差サレタ気分ダナ」

あずさ「あなた…スタンドね?」

FS「ソレハ『質問』カ?」

FS「聞キタイ事ガアルノナラバ 三浦アズサ、『三ツ』ダケ質問ヲ許ソウ」ビッ

あずさ「質問? 答えてくれるの?」

FS「アア。知リタイコトヲ 好キニ聞ケ」

あずさ「あらあら、それはご親切にどうも」

伊織「あずさ、こいつは…」

FS「貴様ハ黙ッテイロ、水瀬伊織。今三浦アズサハ 私ト話シテイルノダ」

あずさ「えーっと、それじゃあ…」

FS「ウム」

あずさ「律子さんがうずくまってるけど、あなたのせい?」

FS「…ハ?」

338: 2013/04/09(火) 02:29:07.03 ID:RjSDiv4mo
律子「あずさ…さん…?」

伊織「あずさ…?」

FS「ナンダソレハ…他ニ聞クベキコトガ アルノデハナイノカ?」

あずさ「二つ目…亜美ちゃんが倒れているのは…あなたのせい?」

亜美「きゅぅ…」

FS「…見テ ワカラナイノカ?」

あずさ「三つ目。伊織ちゃんの怪我は…あなたのせい?」

FS「ドウイウツモリダ、三浦アズサ! ソレガ本当ニ聞キタイコトナノカ!?」

あずさ「答えてくれないのですか…?」

FS「…ナラ、望ミ通リ答エヨウ。ソウダ、全部私ガヤッタ」

FS「私ノ本体ニトッテ害ト ナリウル彼女達ヲ、全テ私ガ始末シタノダ!」

あずさ「わかったわ。ありがとう」

FS「コレデ イイノカ?」

あずさ「ええ。これで…」

あずさ「あなたに遠慮する必要もないから」

ドドドドド

340: 2013/04/09(火) 02:30:05.74 ID:RjSDiv4mo
FS「遠慮スル、カ。随分ト甘ク見ラレタモノダ」

あずさ「『ミスメイカー』」ズ…

FS「遅イ! ノンビリ話シテイル暇ガアレバ…」バッ

あずさ「!」

FS「スグニ攻撃ヲ仕掛ケルベキダ、三浦アズサ!」ドヒュ

ヒュォォ

あずさ「やっ!」グオッ

グワッ!!

FS「ム!?」グラッ

伊織「拳を払いのけた…! 凄いパワーだわ…」

カチ!

FS「! 私ノ右手ニ…『かうんと』ガ…」チッ チッ

あずさ「その『カウント』が0になった時、あなたの右手は『眠る』わ」

伊織(あずさのスタンド、これがミスメ…『ミスメイカー』っていうのね)

伊織(近距離パワー型の『眠ら』せるスタンド! これなら…)

342: 2013/04/09(火) 02:30:27.66 ID:RjSDiv4mo
FS「甘イナ、三浦アズサ…」

あずさ「?」

FS「遠慮ハシナイト…ソウ言ッタ割ニ 攻撃ヲ払イノケルダケトハ、随分ト 優シイジャアナイカ?」

あずさ「あなたにも本体がいるでしょう? 誰かは知らないけど、傷をつけるのもね」

伊織「あずさ…アンタが肝心なこと全然聞かなかったから言っておくけど…」

伊織「そいつは『自動操縦』…勝手に動くスタンドよ、攻撃しても本体にダメージはいかないわ」

あずさ「あら、そうなの? 助かるわ~、伊織ちゃん」

あずさ「私の『ミスメイカー』は相手の意識をそのまま落とせるわ。大きな動きは必要ない」グッ

FS「フ…」

あずさ「触れば、それで勝てる!」ブンッ

FS「フンッ」スッ

あずさ「あら…?」スカッ

伊織「えっ?」

FS「何ダ、随分ト遅イナ。簡単ニ避ケラレタ」

ドギャ

あずさ「きゃっ!」ボゴォ

伊織「あずさ!?」

あずさ「さ、さっきはあんな簡単に触れたのに」ズリ…

FS「一発目ハ、アエテ喰ラッタノダ…貴様ニ 返スタメニナ!!」

344: 2013/04/09(火) 02:31:04.38 ID:RjSDiv4mo
チッ チッ

あずさ「私の手に『カウント』が…」

FS「『返シ』タ能力ハ私デナケレバ解除ハ デキナイ」

カチ!

あずさ「!」ガクン

FS「貴様ノ『眠ラセ』ル能力ナド 元々知ッテイル…」

伊織(こいつは、私の能力のことも知っていた…こっそりと情報収集していたのね)

伊織(全員分の能力を知り、その対抗策を考えて行動してくる…)

FS「確カニ、触レレバ強力ダ。ダガ触レサエシナケレバ、何モ怖クハナイ!」

FS「片腕ダケ…シカモ、ソノすぴーどデハモハヤ私ヲ捉エルコトハ 不可能」

あずさ「そう…みたいね。これじゃ、腕の動かない右方向から来たら止められないわ」

伊織(あずさでも、こいつを倒すのは無理なの…!?)

FS「何人タリトモ私ヲ倒スコトハ デキナイ! 貴様ラヲ始末シタ後ハ四条貴音モ、天海春香モ スグニ下シテヤル!」

ダッ

FS「シャァッ」ビュバ

伊織「あずさ…!」

346: 2013/04/09(火) 02:31:27.16 ID:RjSDiv4mo
ビュォォォ

FS「オウッ!?」ズルッ

伊織「え!?」

バキャ

FS「オ、オゥォ…!?」

FS(何ダ…足ヲ取ラレタ、コンナ…こんくりーとデ舗装サレタ道路ニ!)

あずさ「『ミスメイカー』で、目の前の地面を一部『眠らせ』ておいたわ」

あずさ「『眠った』道路は、『道』としての役割を失っているの。その上に立つことはできない」

FS「ナ…何…!?」

あずさ「そして」ガシィ!!

FS「ウグゥ!」

伊織(腕を掴んだ!)

あずさ「私のスタンド、確かにあんまり速くはないけど…」

あずさ「『パワー』は結構、凄いと思うわよ?」ギリギリ

348: 2013/04/09(火) 02:32:15.31 ID:RjSDiv4mo
あずさ「あとはこのまま、押さえつけておけば…」

FS「グググ…」ヒュッ

伊織「!」

伊織「あずさ! 危ないわ、左手でアンタの腕に触ろうと狙ってる!」

あずさ「えー…いっ!」

グアッ!!

FS「オグッ!?」ビキッ

伊織(片手を一瞬開いて…掴んでいる右手ごともう一本、力で無理矢理抑え込んだ…)

伊織(まるで手錠かけられた『犯罪者』みたいなポーズね、『ファースト・ステージ』のヤツ)

あずさ「がっついちゃ駄目よ? このまま押さえつけておけば、あなたの『返す』能力を封じる事ができるわ」

メリ…メリリリ

FS「ガ…? ギギ…」

カチカチカチ

あずさ「ほら、暴れないで」

350: 2013/04/09(火) 02:32:41.40 ID:RjSDiv4mo
FS「ォ…!」

ブチィ!!

伊織「!?」

あずさ「えっ?」

伊織「あずさのスタンドが、あのヘンテコの腕を引きちぎった…」

あずさ「あら…片手だったから、ちょっと強く絞めすぎたかしら…」

あずさ「でも、これで…もう戦えないわね」

FS「ウ、ウォォォォ…グッ」

FS(ク…ククク…私ノ手ガ飛ンダノハ 三浦アズサノすたんどニヨルモノデハナイ!)

ヒュォォォォォ

FS(自分デ 切リ離シタノダ! 貴様ヲ油断サセ、確実ニ触レルタメニナ!)

FS(貴様ノ頭ニ落トシテヤル! コレデ三浦アズサノ両腕ハ 氏ンダ!)

ォォォォォ

スポッ

FS「ナ」

352: 2013/04/09(火) 02:33:22.44 ID:RjSDiv4mo
キュルキュル

律子「ロ…」

律子「『ロット・ア・ロット』…あんたの両腕…回収させてもらったわよ…」ピクピク

FS「秋月…律子」

伊織「律子、アンタ…動けるんなら言いなさいよ」

律子「途中から、あれの意識から外れるために黙ってたのよ(痺れてて喋りにくかったってのもあるけど)」

律子「この律子さんの目をごまかせると思ったら…大間違いってヤツね」クイッ

あずさ「律子さん、ありがとうございます」

律子「アイドルをフォローするのも、プロデューサーの仕事ですから」

FS「ク…グヌヌ…」

FS(秋月律子モ、水瀬伊織モ手負イ…双海亜美ハ気絶シテイル…敵ハ三浦アズサ一人ナノダ)

FS(腕サエ…腕サエ回収デキレバ…!)

FS(ダガ、ドウヤッテ…)

354: 2013/04/09(火) 02:34:20.79 ID:RjSDiv4mo
FS「………」

キュルキュル

FS「グ…グググ…」クルッ

あずさ「?」

FS「グッ!」ダッ

あずさ「あら?」

律子「こ、こいつ、逃げる気…!?」

FS(腕ノ回収ハ不可能…ダガ今ココデ消エル訳ニハ イカナイ…萩原雪歩ヲ守レナクナル!)

FS(車ハ破壊シタ…私ガ先ニ萩原雪歩ノ所ニ 辿リ着ケバ…)

ボフゥ!!

FS「ヌオッ!?」

グググ

伊織「『スモーキー・スリル』…」

伊織「はいそうですかって、逃がすわけがないでしょうが…!」

FS(押シ戻…サレル!)

FS「水瀬伊織、貴様…コノタメニ ちからヲ蓄エテイタナ…!」

伊織「違うわね。真正面から戦えないアンタなんて、ボロボロの私でも簡単に止められんのよ!」

356: 2013/04/09(火) 02:35:01.36 ID:RjSDiv4mo
伊織「あずさ! 今のうちに!」

あずさ「はいっ」グオッ

カチッ

FS「ア…」

あずさ「『ミスメイカー』、頭部に触れた。あと30秒であなたの意識は落ちるわ」ピトッ

FS「フ…フフ…」

あずさ「?」

FS「コレデ勝ッタト思ウナ…三浦アズサ、水瀬伊織、秋月律子…」

律子「何を…」

伊織「ふん、負け犬の遠吠えよ」

FS「私ハ必ズ貴様ラヲ…」

カチ!

スゥ…

あずさ「あら」

律子「消えた…最後まで言い終わってないのに」

伊織「倒した…と言うか、攻撃を止めた…ってことかしら」

あずさ「うーん…意識だけを『眠らせ』たつもりなんだけど、どうして消えたのかしら?」

伊織「なんでもいいわ、とにかくアイツは消えた」

358: 2013/04/09(火) 02:36:03.96 ID:RjSDiv4mo
伊織「…助けられたわね、あずさ」

律子「あずささん、ありがとうございます」

あずさ「いえいえ、いいですよ。当たり前のことですし…」

律子「そんなこと…」

あずさ「それに…」

伊織「?」

あずさ「成り行き上、助けることになりましたけど…」

あずさ「忘れていませんか? 今、事務所がどういうことになっているのか」

律子「へ…」

あずさ「あなた達を倒します。春香ちゃんの『仲間』なら、『スタンド使い』として」

伊織「は…!?」

律子「ちょ、ちょっと待って…私達は…!」

あずさ「どっちでもいいですけどね。とりあえず、『ミスメイカー』で『眠らせ』さえすれば」

ゴゴゴ

あずさ「それで、私の勝ちになりますから」

360: 2013/04/09(火) 02:36:59.25 ID:RjSDiv4mo
ゴゴゴゴゴ

伊織(こ…ここで、あずさと戦う事になるなんて…)

ゴゴ

伊織(いっそ、抵抗せず捕まってしまうか…でも、それじゃあ雪歩の所には行けない。そうなったら…)

伊織(だけど、こんな状態でまともに戦えるわけが…)

あずさ「な~んて…」

伊織「えっ?」

律子「はい?」

あずさ「冗談ですよ、律子さん、伊織ちゃん。全部わかってますから」

伊織「は? え、何が…?」

あずさ「千早ちゃん達が動いてるの。貴音ちゃんから、伊織ちゃん達がそうじゃないことは聞いているわ」

律子「な、なんだ…脅かさないでくださいよ…」

伊織「千早もこっち側…? ってことは…」

あずさ「千早ちゃんに、美希ちゃんに、響ちゃん、それと私。貴音ちゃんから聞いた以外は、この4人が集まってるわ」

伊織「! それじゃ…!」

あずさ「ええ、あとは二人だけ。そして、さっきのが多分、雪歩ちゃんのスタンドでしょう?」

あずさ「残るは、春香ちゃんだけよ」

362: 2013/04/09(火) 02:37:35.65 ID:RjSDiv4mo
亜美「うーん…ふぁ…」

伊織「あら、亜美。目、覚めたのね」

亜美「ん…? ここはどこ私は誰?」

あずさ「えっと、ここは…どこかしら?」

亜美「あれ、あずさお姉ちゃん!? なんでここに?」

あずさ「ふふ、ちょっと通りかかってね」

伊織「そういえば、アンタなんでこんなところに通りかかるのよ? おかしくない?」

律子「言われてみれば…買い物に行ってたんじゃ…」

あずさ「欲しかったものがなかなか見つからなくて、あちこち回ってるうちいつの間にか…ね…」

伊織「あーそう、んなこったろうと思ったわ…」

亜美「あずさお姉ちゃんの方向音痴恐るべし…」

伊織「あ、休憩時間終わってるわね…」

律子「もう、この際いいでしょ。車も運ばないといけないし…」

亜美「え、終わっちゃったの? つまんなーい」

律子「あんたねぇ…」

364: 2013/04/09(火) 02:38:33.14 ID:RjSDiv4mo
伊織「それじゃ、このまま現場に行きましょ。収録が終わった後に着けばいいわ」

律子「はい? 何を言いますかあんたは」

伊織「『ファースト・ステージ』に止めを刺すわ」

あずさ「雪歩ちゃんのスタンド? それなら今倒したし、それでいいんじゃない?」

伊織「倒すだけなら貴音が一度やっている。それだけじゃあ駄目なのよ」

あずさ「えっと…どういうこと? 雪歩ちゃんは、自分のスタンドが負けた事はわかってるのよね…?」

伊織「わかってないわ」

伊織「アイツは、一人歩きしているスタンドなの。そして、本体の雪歩が無事なら、何度でも復活する…」

あずさ「そんな…」

伊織「このまま放っとけば、また襲いかかってくるわ! 完全に倒すためには、元を断つしかないッ!」

律子「だけど、元を断つって、どうやって…」

亜美「まさかいおりん、ゆきぴょんをやっちまうつもりじゃ…」

伊織「んなことやるわけないでしょうが」

伊織「…そのためには多分、アンタの力が必要よ。あずさ」

あずさ「私の?」

伊織「ええ。『ミスメイカー』なら、きっと『ファースト・ステージ』の呪縛を解ける」

伊織「最初はどうにかするって行き当たりばったりみたいで嫌だったけど、アンタがいれば確実に成功するわ」

亜美「亜美は? なんかやることない?」

伊織「ないわよ」

亜美「はっきりゆわれた! ええい、亜美にもなんかさせろー!!」

366: 2013/04/09(火) 02:39:57.60 ID:RjSDiv4mo
………

……



伊織「着いたわね」

伊織(私達は、タクシーに乗って雪歩達の収録現場の建物の前まで辿り着いた)

亜美「真美達の仕事って何時までだっけ?」

律子「もう終わってるはずよ。あっ、領収書お願いします」

伊織「!」

ゴゴゴ ゴ

FS「待ッテイタゾ…」

伊織「…また、アンタか…しつっこいわね」

あずさ「えーと…さっき『眠らせ』…ましたよね?」

FS「アア。私ヲ『眠ラセ』タソノ瞬間、萩原雪歩ノ意識モ 一瞬落チタ」

FS「ドウヤラ、『みすめいかー』デ 萩原雪歩ガ『眠ラ』サレルト、私ハ 消エテシマウラシイ」

FS「シカシ、ソウナルト『みすめいかー』ノ射程距離ハ萩原雪歩ニハ 全ク届カナイ。結果、『眠ラセル』能力ハ解除サレ…」

FS「私モ再ビ目覚メタ。結果的ニ、私ヲ萩原雪歩ノ下ヘ 送ルダケダッタナ」

368: 2013/04/09(火) 02:40:18.28 ID:RjSDiv4mo
伊織「やめときなさい、『ファースト・ステージ』。ここまで来たら、もうアンタに勝ち目はないわ」

FS「勝チ目ダト? ソンナモノ、関係ハナイ! 萩原雪歩ニ手出シハ サセン…!」

伊織「やれやれだわ」

FS「シャァッ!!」バッ

律子「亜美、今よ」

亜美「了解(ラジャー)!」バッ

FS「ヌ!?」

亜美「飛んでけーっ、『スタートスター』!!」ヒュッ

FS「貴様…」

FS(速スギル、避ケラレン…!)

ヒュン

伊織「よし、送った! 後は…」モクモクモク

あずさ「あらあら…」

律子「『スモーキー・スリル』がまとわりついて…」

伊織「亜美、まとめて『ワープ』よ!」

亜美「よっしゃー、一気に行くよーん!」ヒュン

370: 2013/04/09(火) 02:41:39.50 ID:RjSDiv4mo
パッ

あずさ「ここは…控え室かしら?」

真美「うおっ、また来た!」

亜美「やっほー真美、来ちゃったYO!」

やよい「みなさん、どうしたんですか?」

律子「プロデューサーは、『ワープ』を見られたら面倒だから『ロット・ア・ロット』でいないのはあらかじめ確認してたけど…」

律子「雪歩はどこ? 姿が見えないわね」

やよい「雪歩さんですか? プロデューサーと一緒だと思います」

真美「まー、すぐ戻ってくるっしょー」

伊織「そう…それじゃ、それまで待ってようかしら」

FS「ク…『すたーとすたー』デ ココマデ来タカ…シカシ、私マデ『わーぷ』サセタノハ…」

伊織(と、その前に…)

伊織「やよい、こいつを床にでも『くっつけ』ちゃって」

FS「ヌゥッ!?」

やよい「う、うん? わかった!」ゾゾゾ

ピタァ

FS「グ…高槻ヤヨイ…!」

やよい「『ゲンキトリッパー』、動かないでください!」

亜美「観念するのだー!」

真美「よくわかんないけど…大人しくお縄につけい!」

372: 2013/04/09(火) 02:43:17.52 ID:RjSDiv4mo
伊織「こうなったら、アンタも形無しね『ファースト・ステージ』」

FS「グゥ…」

やよい「これって、すたんど…だよね? 何かあったの?」

伊織「それは後で説明するわ」

ガチャ

雪歩「あれ、みんな…」

伊織「雪歩…!」

P「お前達、なんでここに…」

伊織(と…こいつもいたか、邪魔ね)

伊織(どうしましょう。あずさに『眠らせ』てもらうとか…?)

律子「プロデューサー! お疲れ様です!」

P「り、律子? おう、ありがとう…」

伊織(って、律子?)

律子「実は、765プロの今後について話したい事がありまして」

P「え、事務所に戻ってからでもよかったんじゃ?」

律子「いいですから! 来てください!」グイッ

P「わっ、引っ張るな! わかったって!」

あずさ「あらあら、律子さんったら強引ね」

伊織(プロデューサーを引き離した、ナイスよ律子!)

374: 2013/04/09(火) 02:45:29.69 ID:RjSDiv4mo
雪歩「…?」ポカン

FS「萩原…雪歩…グッ」

伊織「やっと…やっと、ここまで来たわね」

亜美「長かった…『竜宮小町ゆきぴょん行き御一行様』もついに終わりか…」

伊織「始まってから3時間も経ってないわよ」

雪歩「えーと、みんなどうしたんですか…?」

伊織「雪歩、アンタに話す事があるわ」

雪歩「は、はいっ? 私に…?」

伊織「そうよ。そのために、ここまで来た」

雪歩「へ? それって…」

伊織「大事な話」

376: 2013/04/09(火) 02:46:32.44 ID:RjSDiv4mo
FS「グ…ググ…」

FS(萩原雪歩ニ…『すたんど』ノ事ヲ話スツモリカ…)

FS(ソウハ サセナイ…! 『すたんど』ハ萩原雪歩ニ不安ヲ モタラスモノダ!)

ブチィ

FS(右手ヲ落トシ…)

ウゾゾゾゾゾ

FS(コレデ、高槻ヤヨイニ触レテシマエバ…)

FS(『クッツケ』ル能力ヲ『返ス』! ソノ後ハ 三浦アズサモ『返ス』能力デ『眠ラ』セルッ!)

FS(ソウスレバ、私ヲ止メラレル者ハ イナイ…萩原雪歩ノ平穏ハ 守ラレル!)

真美「何してんの?」

FS「!」

亜美「隊長、こいつ怪しい動きしてますぜ!」

やよい「あっ、大人しくしててください」ワラワラ

ビトォ

FS「ガッ…!!」

FS(ウォォ…腕ガ…動カナイ…)

FS(駄目ダ、数ガ多スギル…! 萩原雪歩…!)

378: 2013/04/09(火) 02:47:46.65 ID:RjSDiv4mo
雪歩「…?」

伊織「アイツらのことは気にしないでいいわ。いえ、そのことも含め…話す」

伊織「あずさ、お願い」

あずさ「ええ。わかったわ伊織ちゃん」

ピトッ

雪歩「あ、あの…?」

あずさ「『ミスメイカー』。『眠らせ』るわ」

雪歩「『Mythmaker』? 『眠らせる』? ? ?」

FS「『眠ラ』セル…? ナンダ、何カ策ガアルノカト思エバ」

FS「萩原雪歩ヲ『眠ラ』セヨウト無駄ダ!」

FS「サッキ、試シタダロウ? 『眠ラ』セレバ 一時的ニ私ハ消エル。ダガ、『起キタ』時…私モ再ビ目覚メル」

FS「ソウスレバ、ココデハ 貴様ラノ勝利ト言エルダロウ。ダガ、ソレデ私ヲ止メタワケデハ ナイ!」

FS「再ビ『起キタ』私ハ、例エ仕事中デアッテモ、食事中デアッテモ、睡眠中デアッテモ! 私ハ貴様ラニ襲イカカル!」

FS「だめーじデ私ヲ消シタトテ同様! すいっちガ入レバ 私は何度デモ現レル、貴様ラハ眠ルコトスラ許サレナイノダ!」

伊織「ええ…そうね。ここでアンタを放置するのは、実質アンタに負けてるのと同じだわ」

雪歩「あ、あの…伊織ちゃん? 誰と話してるの…?」

380: 2013/04/09(火) 02:49:34.90 ID:RjSDiv4mo
FS「貴様ガ何ヲ企ンデイルノカハ 知ラナイガ…」

FS「見ロ、水瀬伊織! 萩原雪歩ハ、今『みすめいかー』ニ触レラレテイルコトニスラ 気ヅイテイナイ!」

FS「関心ガナケレバ警戒モナイ、萩原雪歩ノすいっちヲ止メルコトハ…」

あずさ「ゼロ」

カチ!

FS「出来ナ…」フッ

やよい「はわっ!? 消えちゃいました…」

FS(フ…ヤハリ、コノ程度…)

FS(………)

FS(何ダ…私ノ体ガ透ケテイル…? 意識ガ消エナイ、コレハ私ノ姿ガ『透明』ニナッテ消エタダケダ…!)

FS(ドウイウコトダ…何ヲシタ、三浦アズサ!?)

あずさ「雪歩ちゃんにかかっていた…」

あずさ「あなたの『都合の悪いものを排除する能力』…それを『眠らせ』た」

FS(…!! ナンダト…)

伊織「アンタの存在理由は、『雪歩からスタンドを遠ざける』こと…そのアンタが雪歩に見えるようじゃ話にならないわ」

FS(萩原雪歩ノ視界ニ入ルト、私ハ存在デキナイ…)

FS(ソノタメニ、萩原雪歩ニハ私ノ姿ヲ『見エナク』シタ…)

FS(ト言ウコトハ…今、萩原雪歩ハ…!!)

伊織「スイッチが入るのを止められないとかなんとか言ってたわね」

伊織「だったら、そのスイッチごとブッ壊してやるッ!」

382: 2013/04/09(火) 02:50:06.12 ID:RjSDiv4mo
雪歩「…え?」

ゴゴゴゴ

雪歩「ひぃっ、おばけっ!?」

あずさ「『ミスメイカー』よ。ちゃんと、見えてるわね」

雪歩「え? え…? あ、あの…あずささん…?」

亜美「あー、『スタンド』って最初見たときはびっくりするよねー」

伊織「雪歩…」

ドドド

雪歩「は、はいっ!?」ビクッ

モクモクモク

伊織「この『煙』が…見えるわね」

雪歩「え? な、何…?」

ドドドドド

雪歩「伊織ちゃんの体から…『煙』が…」

伊織「よし」

384: 2013/04/09(火) 02:50:53.29 ID:RjSDiv4mo
………

……



雪歩「『スタンド』…」

伊織「そう、スタンド。私達の精神力のエネルギーよ」

真美「ゆきぴょんさ、『矢』見たことあるでしょ? あの長いやつの先っぽが身体に刺さると『スタンド使い』になるんだよ」

雪歩「うん、思い出したよ…私、あの時春香ちゃんに『矢』で射抜かれたんだ」

あずさ「思い出した? 忘れてたのかしら?」

雪歩「はい。なんでかは、わからないんですけど」

あずさ「あらあら、うっかりさんねぇ」

伊織(そんなこと、普通忘れるわけがないでしょうが…これも『ファースト・ステージ』の仕業かしら)

やよい「でも、真さんは春香さんの『仲間』にならないと、ひどい目にあうって言ってました」

やよい「雪歩さんは、どうしてだいじょーぶだったんですか?」

雪歩「よく、覚えてないんだけど…」

雪歩「誰かが、私の事を守ってくれたような気がする…」

FS『………』

386: 2013/04/09(火) 02:51:47.14 ID:RjSDiv4mo
伊織(『矢』に貫かれたと同時に『ファースト・ステージ』が発現、それで雪歩は逃げられた)

伊織(その後も、あの能力じゃ春香も迂闊に手を出せなかった、ってとこかしら)

伊織(だから何って話だけど)

伊織「雪歩。春香はアンタの時と同じように、『弓と矢』を使って事務所のみんなを『スタンド使い』にした」

雪歩「み、みんな…?」

伊織「そして…春香はまだ『弓と矢』を手放さない。更にはその力で、事務所を混乱に陥れている」

伊織「アンタも体感してるでしょ? 『アイ・ウォント』を」

雪歩「う、うん…『幻覚』を見せられたり…凄く、怖かった」

伊織「…春香にあの『矢』を持たせているのは危険よ。私達は、春香から『弓と矢』を取り上げるために戦っているの」

伊織「雪歩、アンタも協力してくれる?」

雪歩「え…」

雪歩「い、いきなり、そんなこと言われても…」

雪歩「って言うか…私にそんなことできるかどうかと言われたら…多分、無理と言うか…」

伊織「あっそ。じゃあいいわ」

雪歩「…へ?」

388: 2013/04/09(火) 02:53:33.66 ID:RjSDiv4mo
亜美「な、何言っちゃってんのさいおりん!? 何のためにここまで来たの!?」

伊織「無理なんでしょ。だったらいいわよ、どうでも。もうアレの存在意義は否定したようなもんだし」

雪歩「あっ、で、でも…!」

雪歩「事務所が大変なんだよね…何もできなくても、みんなの手伝いくらいは…」

伊織「だから、いいわよ。必要ないわ」

雪歩「うっ…」ビクッ

やよい「伊織ちゃん、ちょっと言い方怖いかも…」

伊織「え?」

真美「そーだそーだ、ゆきぴょんをいじめるなー」

伊織「………」

あずさ「そうね、もうちょっと優しい言い方でもいいと思うわ」

亜美「謝れ! ゆきぴょんに謝れ!」

伊織「くぅ…」

390: 2013/04/09(火) 02:54:29.38 ID:RjSDiv4mo
伊織「萩原雪歩!」

雪歩「は、はいっ!」

亜美「あ、ごまかした」

伊織「春香には7人もの『仲間』がいた、でも今はもう誰もいない…次に動くのはアイツよ!」

雪歩「あの春香ちゃんが…」

伊織「アイツは、『アイ・ウォント』の力を使って…なりふり構わず襲ってくるでしょう!」

伊織「アンタはどうするの、立ち向かう!? それとも、逃げる!?」

雪歩「それは…」

伊織「どっちでもいい、逃げたとしても誰も文句は言わないわ」

伊織「そうなったら私達でどうにかする。アンタは何もする必要はない」

雪歩「え…」

伊織「正直、戦力はもう充分なの。アンタにはスタンドのことさえ知ってもらえればそれでいいわ」

雪歩「………」

雪歩「…嫌、だよ…」

伊織「嫌? 何が?」

392: 2013/04/09(火) 02:55:31.70 ID:RjSDiv4mo
雪歩「みんなが一緒になっているのに、一人だけ外にいるなんて…」

やよい「雪歩さん…」

雪歩「何かする前から諦めるなんて…逃げるなんて、嫌…!」

伊織「それが、アンタの本音ね?」

雪歩「あっ…う、うん…」カァッ

伊織「そう…」

伊織「しょーがないわねぇ…そこまで言うんなら、一緒に戦いましょ、雪歩」

雪歩「! う、うん…!」

亜美「いおりん何様さー」

真美「これこれいおりん様に逆らうでない、首ちょんばされるぞー」

伊織「………」

雪歩「これで、よかったの…?」

伊織「いいわよ。少なくとも…」

FS『ハ…萩原…雪歩…?』ワナワナ

伊織「アレには伝わったと思うから」

雪歩「…?」

394: 2013/04/09(火) 02:56:10.48 ID:RjSDiv4mo
真美「ねーねー、ゆきぴょんのスタンドってどんなの?」

雪歩「え、それは…何だろう…」

あずさ「それは…うふふ」

亜美「アレだよねー」

真美「えーっ、二人とも知ってるの!?」

雪歩「わ、私が知らないのに…」

伊織「ん…」チラッ

FS『………」ズズ…

伊織(『ファースト・ステージ』…まだいたのね。控え室の外、雪歩の視界の外に出て行った)

ザ…

やよい「伊織ちゃん? どこ行くの?」

伊織「後始末よ」

やよい「あとしまつ…? よくわからないけど、私も一緒に…」

伊織「いいわ。雪歩にスタンドのことを教えてやって」

やよい「う、うん。あ、伊織ちゃん!」

伊織「?」

やよい「あとしまつ、頑張ってね!」サッ

伊織「ええ。行ってくるわ、やよい」ス…

パシン!

396: 2013/04/09(火) 02:57:00.38 ID:RjSDiv4mo
FS「ハァ、ハァ…」

FS「体ガ…薄レテイル…私ノちからガ失ワレテユク…」

伊織「どこへ行くつもり?」

FS「!」

伊織「雪歩を守るんじゃあなかったの?」

FS「何故ダ、何故…『すたんど』ハ 萩原雪歩ニ恐怖ヲ モタラスモノダ…何故…」

FS「何故、萩原雪歩ガ『すたんど』ヲ 受ケ入レルノダ…?」

伊織「『ファースト・ステージ』。あいつは…雪歩は、そんなに弱くないわ」

伊織「一見臆病かもしれない…弱いかもしれない…」

伊織「だけど、恐怖や自分の弱さを受け入れて、乗り越える強さを持っている。そんな奴よ、あいつは」

FS「………」

伊織「何?」

FS「水瀬伊織…貴様ハ萩原雪歩ノコトヲ ソノヨウニ見テイタノカ…? 少シ意外ダナ…」

伊織「う、うるさい! そんなことくらい誰でもわかるでしょ!」

398: 2013/04/09(火) 02:58:13.98 ID:RjSDiv4mo
FS「萩原雪歩ガ ソノヨウナ強イ存在ナラバ、私ハ一体何ノタメニ…」

伊織「過保護すぎんのよ、アンタは。自分から芽を潰しに行くことまでしなくてもよかった」

伊織「同情する点があるとするなら…発現した時が悪かったわね。その時に雪歩が恐怖から遠ざかりたいと願ったから、それが強く出てしまった」

伊織「そして、アンタは雪歩にとって成長の妨げ…害となった」

FS「ワ…私ハ 萩原雪歩ヲ守リタイト…ソウ思ッテイタダケダ! ソレガ害ダト!?」

伊織「別に、雪歩を守りたいって気持ちを否定するつもりはないわ」

伊織「だけど、アンタは方法を間違えた。それじゃその気持ちだって押し付けがましいもの、ただの迷惑よ」

FS「私…ハ…」

ザッ

伊織「逃げるつもり?」

FS「アア…モウ、萩原雪歩ハ 私ヲ必要トハシテイナイ…」トボトボ

モクモクモク

FS「ヌ…?」

伊織「逃がすと思う?」

FS「ハ…」

400: 2013/04/09(火) 02:59:27.01 ID:RjSDiv4mo
伊織「このままいじけて雪歩から離れるなんて許されない…ってのは、建前として…」

伊織「アンタはやってはならないことをした。その落とし前くらいはつけさせてもらうわ」

ゴゴゴゴゴ

FS(『すもーきー・すりる』デ周囲ノ物体ヲ持チ上ゲテ…)

FS「ソ、ソレヲドウスルツモリダ…?」

伊織「あら、そんなの決まってるじゃないの」

ゴゴゴゴ

FS「マ、待テ、水瀬伊織!」

伊織「何?」

FS「私ハ モハヤ無力ダ! ソンナ私相手ニ 本気デソンナコトヲスルノカ、君ハ!!」

伊織「うーん、そうよねぇ…普通は、そうするべきかもしれないわね」

FS「ソウダロウ、ソウダロウ」

伊織「でも…私の知ってる誰かさんは、そうしなかったのよねぇ」

FS「アグッ」

伊織「これで終わりよ。悔い改めなさい、『ファースト・ステージ』」

FS「ヤ…」

モクモクモク

伊織「『スモーキー・スリル』」

FS「ヤメロォォォォォォォ」

402: 2013/04/09(火) 02:59:44.97 ID:RjSDiv4mo
グシャ!

FS「グガッ」

ギリギリギリギリ

FS(すたんどノぱわート…物体ノ重ミデ、スリ潰サレル…!)

FS(逃レナクテハ…体ヲばらばらニシテ…)

FS「ガッ…!!」パルィィィン

伊織「おっと」モクモクモク

FS「…! …!!」

ズリ…スゥーッ

FS(破片ガ…『すもーきー・すりる』デ 元ノ場所ニ集メラレル…)

伊織「だーかーらー、逃がさないって言ったじゃないの。にひひっ」

FS「ア…ア…」

伊織「叩き込め『スモーキー・スリル』ッ!!」

ドバ バギャォ グビャン ドバ

FS「ア゛アアアア゛ア゛ア゛アア゛ァァァ!!」

伊織「うおおおおおおおおおおおお」

ダスン ギャバッ ドグパ

FS「アグバァーッ!!」ブッシャァァッ

ドヒィィン

404: 2013/04/09(火) 03:01:26.87 ID:RjSDiv4mo
シュゥゥゥゥ…

サラサラ

FS(ア…)

FS(アノ時…見逃シテオケバ、ヨカッタノカ…)

FS(水瀬伊織ヲ敵ニ回シテハ、イケナカッタ…ヨウダ)

伊織「雪歩がアンタを必要としてるかどうかなんて…そんなもん、どうだっていいわ」

伊織「重要なのは『ファースト・ステージ』、アンタが雪歩に必要とされたいかどうかよ」

FS「………」

伊織「しばらく頭冷やしてろ。雪歩のこと、今度はちゃんと見てやりなさいよね」

FS(……)

スゥ…

伊織「終わったわね…」

伊織(私の気は済んだ…あとは、雪歩と『ファースト・ステージ』…本人達の問題か)

406: 2013/04/09(火) 03:01:58.97 ID:RjSDiv4mo
雪歩「伊織ちゃん…」

伊織「あら、雪歩」

伊織(噂をすれば。途中で来られなくてよかったわ)

雪歩「なんか、凄い音がしたけど…どうしたの?」

伊織「別になんでもないわよ」

雪歩「え、えーと…」

雪歩(色々なものが床に落ちてるけど…聞いちゃ、駄目だよね…)

伊織「はぁ…なんか、今日は疲れたわ」

雪歩「あ、伊織ちゃん、『スタンド』ってどうやって出すの…? あずささん達にも聞いてみたけど、出せなくて…」

伊織「そんなこと、知らないわよ。自分でどうにかしなさい」

雪歩「ええっ…?」

伊織「ほら、仕事も終わったんだし今日は帰りましょ」

雪歩「うぅ…『スタンド』出せないなら、協力も何もないんじゃ…」

408: 2013/04/09(火) 03:02:49.53 ID:RjSDiv4mo
………

……

P「お前ら…車で来たんじゃないのかっ…!」

律子「だから、途中で故障したって言ったじゃないですか」

P「だからって…」

ギュゥゥゥーッ

P「全員で乗り込むなよ!」

真美「どー見ても定員オーバーだねー」

伊織「全員で事務所に帰る必要ないでしょ! もう、ここで解散でいいでしょうが!」

やよい「うぅー、ここからはちょっと家まで遠いかも…」

雪歩「わ、私はいいですからやよいちゃんを乗せてあげて…」

あずさ「あら、それなら私も今日は歩いて帰ろうかしら~」

亜美「や、あずさお姉ちゃんは送ってもらった方がいいのでは」

萩原雪歩ースタンドを受け入れ、その存在を知る。
しかし、彼女のスタンドである『ファースト・ステージ』は彼女の前に姿を現さないようだ…

410: 2013/04/09(火) 03:03:32.21 ID:RjSDiv4mo
そしてその夜、天海家…

春香「すぅ、すぅ…」

ズ

ズ…

ズズ…

FS「天海…春香…」

春香「くぅ…」

FS「コレガ…私ノ最後ノ仕事ダ」

FS(萩原雪歩ガ 天海春香ニ立チ向カウト決メタノナラ…)

FS(私ハ、萩原雪歩ヲ危険カラ守ルタメ…コウスルシカナイ)

FS(天海春香、貴様ハ萩原雪歩ニトッテ 間違イナク害トナル。ココデ始末サセテモラウ)

FS「余計ナ事カモ 知レナイガナ…」フッ

412: 2013/04/09(火) 03:04:04.18 ID:RjSDiv4mo
キラ…

FS「ン?」

FS(天海春香ノ机ノ上ニ…)

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

FS(コレハ…『矢』ダ…私ヲ生ミ出シタ…)

カラン

FS(『箆(の)』ノ部分ガナイ…? 『鏃』ダケ残ッテイルガ…重要ナノハコノ部分ダ)

FS(水瀬伊織ハ『弓ト矢』ヲ天海春香カラ取リ上ゲルノガ目的ト…ソウ言ッテイタ)

FS(ナラバ、コノ『矢』ヲ持ッテ行ケバ…)

ス…

春香「そこで止まりなさい『ファースト・ステージ』。あなたがそれに触れることは許されない」

FS「…!!」ビクッ

春香「乙女の部屋に…」スタ…

春香「無断に踏み込むなんて、許されないことだよ」

414: 2013/04/09(火) 03:04:36.26 ID:RjSDiv4mo
FS「天海春香、起キテイタノカ…」

春香「こんな夜に自分の部屋に入ってこられたら、誰だって気づくよ」

FS(私ニ、『すたんど使イ』達ト戦ウ理由ハナクナッタガ…)

FS(天海春香ハ別ダ! 萩原雪歩ハ、天海春香ニ立チ向カウ意志ヲ示シタ!)

FS(ナラバ、私ガ戦エナクテ ドウスル!)バッ

春香「私とやりあう気…? やめてくれないかなぁ、もう夜遅くだし」

FS「天海春香…貴様サエ倒セバ…」

春香「『ファースト・ステージ』、あなた、私を倒せるつもりでいるみたいだけど…」

春香「無駄だよ、時間の無駄。あなたなんて私の相手にもならない」ズズ…

FS「抜カセ!」ドォゥ

春香「『アイ・ウォント』」ズ

FS(『あい・うぉんと』ハ強力ナ能力ノ代ワリニ ソノ性能ハ決シテ高クハナイ…)

FS(今ノ私ヲ止メル事ハデキン!)ゴォォォ

春香「はい」

ズ…

FS「!!」ピタッ!

ゴゴゴゴゴ

FS「ウ…」

春香「『視覚支配』」

春香「わかるよね、この姿…」

416: 2013/04/09(火) 03:05:04.50 ID:RjSDiv4mo
FS「キ…貴様、天海春香ァァァッ!!」

ゴゴゴゴ

春香「『ファースト・ステージ』。あなたの目に映る私を、『雪歩』に見えるようにした」

春香「今、目の前には『雪歩』がいるように見えているはず…でしょう?」

FS「ク…」

FS「ソンナモノ、所詮偽リニスギン!! 貴様ハ…貴様ハ萩原雪歩デハ ナイッ!」シュバ

春香「ええ、こんなものただのまやかし」

FS「グッ!?」ピタッ

春香「…でもね、それがわかってても無駄なの」

FS(何故ダ…天海春香ニ手ヲ出セナイ…)

春香「あなたの存在意義は、『雪歩を守ること』…それだけ。それしかない」

春香「例え私の能力で見せている偽りの像であると頭で理解していても、あなたに『雪歩』を攻撃することはできない」

FS「グ…」

春香「そこから先に進めないあなたに、私を倒すことなんてできるわけがない…でしょう?」

418: 2013/04/09(火) 03:05:36.54 ID:RjSDiv4mo
FS「ワ…私ハ…」

春香「ん?」

FS「生マレタ時カラ、萩原雪歩ヲ守ルト決メタノダ…例エ」

FS「例エ、萩原雪歩自身ヲ欺イテモ!!」グワァ

春香「身の程を…知った方がいいよ」グッ

FS「シャアッ!!」ヒュッ

ズアァ

・ ・ ・ ・

ビュ

春香「無駄ァッ」ボギャァァ

FS「ウゴッ!?」ガクッ

FS「グギ…グググ…」

春香「遅すぎる。殴り掛かるのを見てから一発入れられる」

FS「コ…コノ『ぱわー』…『すぴーど』…以前ヨリモ…遥カニ…!!」

春香「放っといてもどうせ殴れはしなかったろうけど…わかってくれたかな? これが私とあなたの差」

420: 2013/04/09(火) 03:06:26.23 ID:RjSDiv4mo
FS「ア…アグガ…」

春香「逃がしたって印象ばかりで過大評価だったかな。これなら放っとく必要もなかったね」

春香「あなたには雪歩を守れたりはしない」

FS「私ヲドウスル…」

春香「どうもしないよ、見逃してあげる。どうせ倒しても無駄だし」

FS「ナンダト…?」

FS(私ハ…敵トシテスラ 見ラレテイナイ…ノカ…?)

春香「雪歩のところに帰りなさい。そろそろ寝たいんだよね」スゥ…

FS(萩原雪歩ノ姿ヲ解イタ…)

FS(触レレバ、コノだめーじヲ天海春香ニ『返セ』ル…!!)

FS「油断…」ググ…

春香「え?」

FS「シタナ…天海春香…!!」ブオン

ドヒャァ

422: 2013/04/09(火) 03:07:00.22 ID:RjSDiv4mo
春香「違う」

スパァァァ

FS「……………ハ」

春香「そっちじゃあない」

FS「ォ…」ゾク

春香「『視覚支配』を解いたらすぐ、後ろから不意打ちかぁ…芸のない」

ズザ…

FS「ソコカ!!」ドヒャ

シィィーン…

春香「はずれ」

FS「ア…」

FS(当タラナイ…ドコニイルノカサエモ ワカラナイ…)

春香「だから、最初に言ったでしょう? あなたなんて、私の相手にもならないって」

424: 2013/04/09(火) 03:07:22.52 ID:RjSDiv4mo
FS(コレガ…)

春香「攻撃をやめさせるには確か…」

FS(コレガ、『あい・うぉんと』…)

春香「回復する間もなく攻撃を与え続けるんだよね?」

FS(コレガ、天海春香カ…!!)

春香「じゃ、さよなら」

ヒュ…

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」ドバ バ バ ドド バァ

FS「グオオオオオオオオ」ドガ バゴ ズギャ

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄」 ボコ ドッ ドン ドン ドッ

FS「オオオオオオオォォォ…ォ…」ゴギャ ギョン ズギャ

シュゥゥゥ…

春香「さて…」

春香「『ファースト・ステージ』が私のところまで来るってことは…そろそろかな」

春香「ふぁ…ねむ…」

To Be Continued…

426: 2013/04/09(火) 03:08:47.20 ID:RjSDiv4mo
本日分はこれで終了です、支援ありがとうございました。
やっと終わった…二回分くらいの量になってしまいましたが支援本当にありがとうございます


春香「弓と矢」『ファースト・ステージ』【後編】



427: 2013/04/09(火) 03:11:44.19 ID:8qGlOEwYO
乙~

428: 2013/04/09(火) 03:25:40.05 ID:2jDjZcxuo
乙!
うーん、随分余裕そうだけど春香は一体何を考えているんだ?

引用元: 真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」