469: 2013/06/09(日) 22:04:28.30 ID:z7cWS5C/o





前話はこちら





トゥー…タッタッ

『あぁぅ!』タン♪

『知っらぬが~♪ 仏ほ~っとけな~い♪』

『く~ちびるポーカーフェ~イス♪』

『Yo灯台~♪ もと暗しDo you know!?』

『ギ~リギリで♪』

『お~あずけFunky girl♪』

ダダッダッダッダン

ジャン!

・ ・ ・ ・

ワァァァァァ!!

………

……




※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

471: 2013/06/09(日) 22:06:06.18 ID:z7cWS5C/o
控え室…

亜美「よっし、終わった終わったー!」

あずさ「今回のライブも、無事成功ね~」

律子「みんな、お疲れ様」

伊織「ええ、ありがと。お疲れなんて言われるほど疲れちゃいないけど」

律子「へぇ、そう…それじゃあこの後、今日のおさらいでレッスンでも…」

伊織「待った待った! これで終わりでしょ、それに今日は…」

律子「あれ、疲れてないんじゃなかったの?」

伊織「アンタねぇ…わかって言ってるでしょ」

亜美「まぁ、亜美もそんな疲れてないけどね。行けって言われたらまだまだ行けるよ~ん」

あずさ「あらあら、私だって伊織ちゃんや亜美ちゃんには負けないわよ?」

律子「張り合うのはいいですけど、水分補給はしておいてくださいよ。結構、汗かいたでしょう」

伊織「そうね。お茶でも飲もうかしら」

カラッ

伊織(…控え室に置いてあったペットボトル、途中で飲み干してたわ)

伊織(飲み物の換えもないの? 期待するのも何だけど、気が利かないわね…)

473: 2013/06/09(日) 22:06:52.84 ID:z7cWS5C/o
グビッ

亜美「あーっ、うまい!」

あずさ「そうねぇ」カラン

伊織(かと言って、疲れてるのは同じだし分けてもらうってのもちょっと…あずさに至ってはもう飲み終わってるし)

伊織「ちょっと律子…」クルッ

シン…

あずさ「律子さんなら、外でお偉いさん達とお話しに行ったわ」

伊織「会場のスタッフは?」

亜美「みんな舞台の後片付けじゃない?」

伊織「はぁ…」

スタッ

あずさ「あら? 伊織ちゃん、どうしたの?」

伊織「飲み物買ってくるわ。面倒だけど」

亜美「あっ、いおりんコーラ買ってきてコーラ!」

伊織「自分で買え! と言うか、今飲んだばかりでしょうが!」

亜美「お茶とコーラは違うYOー」

475: 2013/06/09(日) 22:08:08.37 ID:z7cWS5C/o
………

伊織「はーっ…?」

ヴィーン…

伊織「何よこの自販機! 炭酸ばっかりでお茶すらないじゃない!」

伊織「つっかえないわね! この伊織ちゃんが来てあげてるんだからもっと品揃えよくしなさいよ!」

伊織「…って、自販機に当たっても仕方ないわね。スタドリでいっか…」ゴソッ

伊織「あれ、小銭入れが…ない? 鞄に入れておいたのに…」ゴソゴソ

伊織「え、嘘でしょ!? もーっ、なんでこんな時に…」

?「水瀬伊織」

伊織「わっ!?」ビクッ

?「マズハ、仕事オ疲レ様ト…ソウ言ウベキカナ」

伊織「ア、アンタは…『ファースト・ステージ』!」

FS「ウム。マズハコレヲ 返サナクテハナ」ヒョイ

パシッ

伊織「わ、私の小銭入れ!? アンタが持ち出したの!? 何のために…」

スッ

伊織「え? これって…」

FS「『おれんじじゅーす』…君ガ探シテイタイノハ コレダロウ?」

FS「らいぶガ終ワル前ニ 外ノ自販機デ買ッテキテ オイタノダ」

伊織「き、気が利くじゃない…」

477: 2013/06/09(日) 22:08:58.17 ID:z7cWS5C/o
伊織「いや、それより…言いたいことは色々とあるけど…」

伊織「アンタ、あの時攻撃止めて消えたでしょうが! 何勝手に出てきてんのよ!」

FS「勝手モ何モ…原因ハ君ダ、水瀬伊織」

伊織「は?」

FS「私ハ、萩原雪歩ニ『すたんど』ノ情報ガ接触スルコトを『すいっち』トシテ出現スル」

FS「シカシ、萩原雪歩自身ガ すたんどヲ受ケ入レテシマッタカラナ…言ワバ今ハ『すいっち』ガ入リッパナシノ状態ナノダ」

伊織「え、じゃあ何よ…アンタ今、ところ構わず出てこれるわけ…?」

FS「ソウナルナ」

サッ!

伊織「や、やるの…? こっちはもうアンタとの戦い方なんてわかってるけど…?」

FS「モウ君達ト戦ウツモリハナイ、戦ウちからモナイ」

伊織「…? 力もないって?」

FS「私ノ、すたんどトシテノ在リ方ヲ 真ッ向カラ否定サレタカラナ…」

FS「君ヲ前ニシテモ マルデぱわーガ出テコナイノダ」

伊織「あ、そう…そりゃ、雪歩を説得した甲斐があったってもんだわ」スッ

FS「ソレハ 飲マナイノカ? セッカク買ッテ来タノダカラ、飲ンデクレルト アリガタイノダガ」

伊織「…そうさせてもらうわ」プシュ

479: 2013/06/09(日) 22:09:22.72 ID:z7cWS5C/o
………

グビッ

伊織「ぷは…やっぱジュースは果汁100%に限るわね」

伊織「で、『ファースト・ステージ』」

FS「ム?」

伊織「アンタは何しに来たのよ? まさか、私に『オレンジジュース』を買ってくるために来たわけじゃあないでしょ」

伊織「で、この前みたいに私達をブチのめそうってわけでもない…なら…」

FS「ソノコトダガ…」

FS「マズ、最初ニ言ッテオコウ。コノ前ハ 済マナカッタ」

伊織「は?」

FS「私ノ勝手ナ『思イ込ミ』デ 君達ニ危害ヲ加エタコトダ。謝罪スル」

伊織「………」

FS「水瀬伊織?」

伊織「いや、今何を言われたのかちょっと理解できなかったわ…」

FS「ナンダト」

伊織「アンタ、謝るとかできたのね」

FS「私ダッテ謝リモスルシ 傷ツキモスル」

481: 2013/06/09(日) 22:10:26.26 ID:z7cWS5C/o
伊織「話の通じない奴…いつでも自分が正しい! 他の意見なんて聞き入れない! って奴だと思ってたのに」

FS「アンナモノヲ見セラレテハ、受ケ入レル他ナイダロウ」

伊織(あんなもの…ね。雪歩がああ言ったのがそんなにショックだったのかしら)

伊織「だから、これで機嫌取りってワケ?」チャプッ

FS「ソウイウツモリデハ ナイガ」

伊織「ふーん、そう。へーぇ…それで?」

FS「ム?」

伊織「アンタ、私にどうしてほしいワケ…? 許してほしいと…そう言いたいの?」

FS「アア、ソウダナ」

伊織「別に、私達にどう思われてようがアンタは困らないでしょ」

FS「イヤ、ソレハ困ル」

伊織「それはまた、なんでよ?」

FS「萩原雪歩ガ、君達ト一緒ニ 戦ウト言ッタカラダ」

伊織「へ?」

FS「君達ガ彼女ヲノケモノニスルトハ思ッテハ イナイガ…私ガ皆ニ嫌ワレテイテハ、萩原雪歩モ肩身ガ狭イダロウカラナ」

伊織「…うーん…」

483: 2013/06/09(日) 22:11:22.75 ID:z7cWS5C/o
FS「ドウシタ、水瀬伊織」

伊織「あれだけのことやられて…心を入れ替えましたって言われて、あっさり許すってのも…なんか…」

FS「駄目カ…?」

伊織「アンタね…」ハァ…

グッ

伊織「自分で何やったか覚えてんの!? この伊織ちゃんに何をしたか!」

伊織「真なんてベンチの下に叩き込まれた! 律子だって、車の修理代かかるんで落ち込んでるのよ!」

FS「ム…」

FS「ソウカ、ソウダナ。仕方ナイ…カ…」

伊織「………」

伊織「あーっ…!」グビッ

FS「?」

ゴクッゴクッ

FS「水瀬伊織…? 一気飲ミハ ヤメテオケ、体ニ悪イ…」

485: 2013/06/09(日) 22:12:01.90 ID:z7cWS5C/o
伊織「ぷはっ…」

モクモクモク

伊織「『スモーキー…」グッ

FS「!?」

伊織「…スリル』ッ!」

グォォォ

FS「オ…!?」ドグシャァ

カラン

FS「鼻が…ナ、何ヲ…」

伊織「それは仲直りの『握手』の代わりよ」

伊織「『雪歩のため』…そう言ったわね」

伊織「やりすぎな場面はあったし行き過ぎた行動には出たけど、アンタはそのスタンスを崩したことはない」

FS「デハ…」

伊織「全面的に許したわけじゃあないけど…雪歩に免じて、アンタのやったことには目を瞑ってやるわ」

伊織「この伊織ちゃんの、海より広い心に感謝しなさいよね」

FS「アア…感謝スル、水瀬伊織」

伊織「む。……」

487: 2013/06/09(日) 22:13:24.96 ID:z7cWS5C/o
FS「菊地真達ニモ謝ラネバ ナラナイナ…」

伊織「はいはい、この話は終わりよ。これからのことを話しましょ」

カラカラ

伊織「あ、その前に…その空き缶、アンタが捨てておきなさいよ」

FS「断ル。私ハ君ノ『すたんど』デモ 奴隷デモナイノデナ」

伊織「許してやったのに?」

FS「ソレトコレトハ話ガ別ダロウ」

伊織「あっそ。それもそうね」

モクモクモク…

カラン

FS「『すもーきー・すりる』カ…」

FS「缶ヲ拾イ上ゲ ごみ箱ニ捨テルトハ、使イコナシテイルジャアナイカ」

伊織「まぁ…ね。なんだかんだ、便利だし」

489: 2013/06/09(日) 22:14:27.47 ID:z7cWS5C/o
FS「天海春香ト戦ウノダナ」

伊織「ええ。残っているのは春香だけ。もう、先送りは出来ない…」

FS「私ガ萩原雪歩以外ノ事ニ感情ヲ 左右サレルコトハナイ」

伊織「あっそ…」

FS「ダガ…」

FS「ソノ萩原雪歩ノ心ヲ動カシタノハ 他デモナイ君達ダ。デキルダケノコトハ シタイト思ウ」

伊織「………偽物?」

FS「何ヲ言ウ」

伊織「いきなり謙虚な事言い出すもんだから。ちょっと気持ち悪いわアンタ…」

FS「君ハ私ノ事ヲ誤解シテイル」

FS「萩原雪歩ニトッテノ害ト ナラナイノナラ、何モ進ンデ敵対シヨウトハ 思ワナイ」

伊織「ふーん?」

FS「タダ、天海春香…奴ハ別ダ。奴ハ危険スギル」

伊織「………」

491: 2013/06/09(日) 22:15:31.09 ID:z7cWS5C/o
FS「ソレデ、勝算ハ ドレクライダト考エテイル?」

伊織「80%ってとこかしら」

FS「高イナ」

伊織「春香の『アイ・ウォント』は確かに強い。けれど、こっちには春香以外の765プロの全員揃っている…勝てない相手じゃあないわ」

FS「シカシ80ぱーせんとトイウコトハ、20ぱーせんとハ負ケル…ト言ウコトカ?」

伊織「いえ、低く見積もって80%よ。4人程度でも充分それくらいの勝算はあるわ。千早や美希のスタンドもよくわかってないし」

伊織「どんなに頑張っても、あっちは1人…こっちは12人いるんだもの、100%勝てるはずよ」

伊織「勝たなければならない」グッ

FS「………」

伊織「そのためにもアンタも協力しなさい、『ファースト・ステージ』」

FS「萩原雪歩ノ意思ヲ尊重シ、協力シヨウトハ 思ウ」

FS「ダガ、水瀬伊織…アエテ言オウ、君達ハ恐ラク天海春香ニハ勝テナイ」

伊織「え…?」

493: 2013/06/09(日) 22:16:27.06 ID:z7cWS5C/o
伊織「な…なんでよ!?」

FS「コノ間、私ハ天海春香ノ寝込ミヲ襲イニ 行ッタノダガ…」

伊織「はぁ!?」

FS「ム? ヤハリ軽卒ナ行動ダッタカ…」

伊織「…い、いや、いいわ。それで、どうだったの?」

FS「見テノ通リダ、失敗シタ。『矢』ヲ 奪オウトシタ所ヲ気ヅカレ、返リ討チダ」

伊織「アンタ…やられたのね」

FS「手モ足モ出ナカッタ…マルデ 叩コウトシタラ引ッ込ム『モグラ叩キ』ノヨウニ、奴ニ遊バレテイルヨウナ感覚ダッタ」

伊織「『アイ・ウォント』は能力こそ強力だけど…スタンド自体の性能は中の下よ。アンタがそんな一方的にやられるとは思わないんだけど」

FS「同ジ『すたんど』ダカラ、ワカル…以前ノ『あい・うぉんと』トハ決定的ニ、何カガ違ウ」

FS「イヤ…『あい・うぉんと』モ変ワッテイルガ…ソレ以上ニ違ウノハ 天海春香ダ」

伊織「春香が?」

FS「他ノあいどるガ全テ敵ニ回ッタトイウノニ、奴ノ態度ハ 余裕ソノモノダ」

FS「事実、私ノ時モ マルデ本気ヲ出シテイナカッタ…何カ底知レナイモノヲ今ノ奴カラハ感ジル」

伊織「底知れない何か…ね」

495: 2013/06/09(日) 22:17:18.24 ID:z7cWS5C/o
FS「奴ニハ警戒シテ シスギルトイウコトハナイダロウ…ソシテ、シタトコロデ…恐ラク、奴ハ ソノ上ヲ行ク」

伊織「真と同じようなこと言うのね…って言うか、それってまるで…」

FS「マルデモ何モ…」

FS「ソモソモ私ガココニ来タノハ、君ニ『忠告』スルタメダ。天海春香トハ戦ウナ」

伊織「………アンタ…」

FS「戦ウノナラ、協力ハスル。ダガ、私ノ意見トシテハ奴ト戦ウベキデハナイ。逃ゲテクレ」

伊織「ビビってるの、アンタ」

FS「私ガ恐レルノハ 萩原雪歩ヲ守レナイコトダケダ」

FS「ソシテ…私ガアノ天海春香カラ萩原雪歩ヲ守ルコトハ、恐ラク不可能。ダカラ、ソウダナ…怖イ」

伊織「『ファースト・ステージ』…」

FS「頼ム、水瀬伊織…」

伊織「…いいわ」

FS「! デハ…」

497: 2013/06/09(日) 22:17:40.83 ID:z7cWS5C/o
伊織「もういいわ、『ファースト・ステージ』」

FS「ナニ?」

伊織「アンタみたいなビビリが戦う必要はない。協力も結構。雪歩の傍で震えてなさい」

FS「びびルトカびびラナイトカ、ソウイウ次元ノ話ヲシテイルノデハナイ!」

伊織「春香から逃げて、それでどうするのよ」

FS「戦エバ、萩原雪歩ハ…イヤ、君達全員、タダデハ済マンゾ!!」

伊織「春香は今…いや、『スタンド使い』になってからずっと独り。もしも私達がアイツから逃げたりしたらどうなるかしらね」

FS「天海春香ノ事ヲ気ニ シテイルノカ…? ソウナッタノハ奴ノセイダ、自業自得ダロウ」

伊織「…私達は逃げたわ。逃げたから、今こうなっている」

FS「…? 何ノ話ダ」

伊織「みんな逃げたのよ。貴音も美希も…真もやよいも律子も亜美も真美もあずさも響も雪歩も、そして私も」

伊織「『アイ・ウォント』を恐れ、アイツと向き合うことを放棄したの。だから春香はああなってしまった」

伊織「春香だけじゃあない。765プロ全員の責任で…765プロ全体の問題なのよ」

FS「水瀬伊織…」

499: 2013/06/09(日) 22:18:58.45 ID:z7cWS5C/o
伊織「私達はやっとここまで戻ってきた」

伊織「けれど今…春香と向き合えなければ、765プロはきっとまたバラバラになってしまうわ」

伊織「アイツだって、私達の仲間よ! 切り捨てて、先に進めるわけがないッ!!」

FS「私ニハ…君ノ言ウコトガワカラナイ…」

伊織「わからないわよ。雪歩ともちゃんと向き合えてない臆病者には」

FS「………」

伊織「『ファースト・ステージ』アンタがなんと言おうと私達は春香と戦うわ」

FS「ソノ結果、ドウナロウトモ?」

伊織「ええ。納得できなければ時に衝突、逃げるなんてありえない。それが765プロよ」

FS「ソウカ…」

FS「『すたんど』ハ精神ノちから…ソコマデノ決意ガアルノナラ、勝テナイトシテモ…何モ デキズ終ワルコトハナイダロウ」

伊織「はぁ…ここまで来たら、『きっと勝てる』くらい言いなさいよ」

FS「私ハ嘘ハ ツカナイ」

501: 2013/06/09(日) 22:19:38.20 ID:z7cWS5C/o
FS「サテ…私ハ ソロソロ萩原雪歩ノ下ニ戻ルトシヨウ。色々ト考エタイコトモアル」

伊織「あ、ちょっと『ファースト・ステージ』」

FS「ナンダ?」

伊織「何か迷ったりしたら、私の所に来なさい。話し相手くらいにはなってやるわよ。にひひっ」

FS「フ…アリガトウ、水瀬伊織」

スゥ…

伊織(春香の余裕…アイツが何を考えているのか、何を隠し持っているのか…私にはわからない)

伊織(だけど、私は…私達は前に進むしかない。みんなのために、私のために)

伊織(春香を…倒す)

………

……


503: 2013/06/09(日) 22:20:46.31 ID:z7cWS5C/o
事務所…

キョロキョロ

千早「美希、美希…」

千早「姿が見えないわね…どこへ行ったのかしら」

美希「呼んだ…? 千早さん…」ヌッ

千早「ひゃっ…!」

美希「あはっ、ソファの陰から出ただけなのに、千早さんビックリしすぎなの」

千早「また、寝てたのね…そんな、部屋の隅の方で」

美希「向こうは工事の音でうるさいから」

美希「千早さん、何か用?」

千早「何か用って…忘れたの?」

美希「えーと…なんだっけ?」

千早「美希…」

美希「うそうそ、ちゃんと覚えてるの」

505: 2013/06/09(日) 22:21:59.49 ID:z7cWS5C/o
美希「対策かいぎ…だっけ? それ開くって律子から聞いてる」

千早「ええ、そうよ。場所は覚えてる?」

美希「えーと、確か…携帯に…」ゴソゴソ

千早「近くの廃ビル…亜美と真美の秘密基地と言っていたわね」

美希「なんでそんなところでやるんだろうね」

千早「これ以上事務所の中でやるわけにもいかないでしょう。これまでも『スタンド』の影響で色々な物が壊されている」

千早「全員で行くなら、激しい戦いになるだろうし…これ以上派手に事を起こせないわ」

千早「かといって、道端でやるのもね。『スタンド』は人には見えないけれど、私達はアイドル…注目を集めるのは避けるべきよ」

千早「あの場に春香を誘い込み、迎え撃つという話みたい。そのための下準備も兼ねているわ」

美希「うーん…本当に必要あるのカナ、それ」

千早「必要あるのかって、どういうこと?」

美希「別にそこで戦うってのはいいケド、下準備とかいらないって思うな」

507: 2013/06/09(日) 22:23:01.56 ID:z7cWS5C/o
美希「正面から挑んでバトル! それだけでしょ!」

千早「美希…貴女、何も考えてないの…?」

美希「考えてないって言うか、この期に及んでビビってるようじゃあ、むしろそっちの方が倒せないって思うな」

千早「………」

美希「…千早さん?」

千早「なるほど、それも一理あるわね。『スタンド』は精神力の高い方が勝つ…」

千早「それに、やるならこそこそとやるより、堂々と実力で倒した方が互いに納得できるわ」

美希「あ、千早さんもそう思う?」

千早「けれど…」

美希「へ?」

千早「貴女や私だけの問題でもない。それに春香の力は未知数、勝手に先走るのも危険なのも事実」

千早「話し合いは、ちゃんとするべきよ。その上で正面から戦いましょう」

美希「あふぅ…メンドーなの」

千早「…それが本音ね」

509: 2013/06/09(日) 22:23:47.69 ID:z7cWS5C/o
美希「そう言えば、千早さん。あの後、ミキは忙しくてあんまり会えなかったケド、腕は大丈夫なの?」

千早「これかしら」グッ

美希「なんか、腕につけてるし…結構ひどいんじゃ…」

千早「ええ、まぁ…あの日からギプスは取れてないけれど…問題はないわ」

美希「う…」

千早「階段から落ちたということにして、その間仕事には穴を空けることになったけれど…問題はないわ」

美希「ご、ごめんなさーい!」

千早「いや、問題はないのよ本当に…一人暮らしで片腕しか使えないけれど」

美希「千早さんんん…」

千早「冗談よ。確かに不便だけれど、お互い様だし仕方ないわ」

511: 2013/06/09(日) 22:25:38.64 ID:z7cWS5C/o
千早「さぁ、そろそろ行きましょう。みんな待っているわ」

美希「あふぅ…」

美希「もうちょっと時間あるでしょ? 竜宮小町がライブ終わってからって話だし、律子達が着く前に行けばいいの」

千早「行くのなら、早めに着いた方がいいでしょう。向こうにも寝るスペースはあるみたいよ」

美希「やっぱ事務所のソファが一番なのー」

千早「ちょっと、美希…」

美希「だいじょーぶ、時間までにはちゃんと着くから。千早さん、先に行ってて…」

千早(春香は、今日はライブで地方まで行っている…)

千早(終わっても、事務所には帰ってこない。新幹線でこっちの方まで来たらそのまま家に帰ることになっている)

千早(例え今からここに来るとしても、美希が待ち合わせまでに来れば鉢合わせにはならないわね)

千早(本当に、美希が時間までに着くなら…だけれど)

千早「もう…知らないわよ。私は行くわ」

美希「はいなのー」

513: 2013/06/09(日) 22:27:04.75 ID:z7cWS5C/o
………

……



美希「ん…」パチ

美希「うーん…千早さーん…?」

シィーン…

美希「…誰もいないの。タブン、あとは他の部屋に小鳥が一人だけかな」

美希「あふぅ…えっと、竜宮小町のライブが終わったのがこれくらいで、車でこっちに向かってるとして今はどの辺だろ…」

美希「まぁ、まだ大丈夫でしょ。どこだっけ? ケータイで…」スッ

?「ここがどうかしたの?」

美希「確か、みんなで集まって…」パチ…

・ ・ ・ ・

ゴゴゴゴ

美希「な…」

?「やっほ、ただいま…」

ゴゴゴゴゴゴゴ

春香「美希」

美希「はる…ッ…!」

515: 2013/06/09(日) 22:29:08.78 ID:z7cWS5C/o
ゴゴゴ ゴゴゴゴゴ

春香「美希、他に誰もいないけど(小鳥さんはいるけど)…どうしたの?」

美希(一瞬で目が覚めた…な、なんで…)

美希「なんでここに春香がいるの…!?」

春香「質問を質問で返さないでほしいな」

美希(春香は…地方にライブに出て…数十分前に終わったとして…ここに来れるわけがない…!!)

美希「ありえない! なんで…」

春香「なんでだと思う? 当ててみなよ」

美希「サ、サボったとか?」

春香「まっさか~」ケラケラ

春香「ま、そんなことどうでもいいか。それより、みんなで集まるんだって?」

美希「………」

春香「じゃあさ、私も連れて行ってよ。仲間はずれはよくない…」

美希「春香にはサプライズのつもりだったんだけどな」

春香「え、そうなの? じゃあ知られちゃ駄目じゃない、美希?」

美希(………)

517: 2013/06/09(日) 22:30:51.88 ID:z7cWS5C/o
ドドドド

美希「ねぇ、春香」

春香「何?」

美希「一緒に来る? みんな、春香のコト待ってるケド」

ドドド

春香「あれ、いいの?」

美希「もともと、そのつもりみたいだし。手間が省けるの」

春香「うーん…せっかくのお誘いだし、行きたいのは山々だけど…」

ドドドドド

春香「その前に…やっておいた方がいいと思う事があるんだよねぇ」

美希「…何かな」

春香「それはもちろん…」

ドドドドドドド

春香「美希を倒しておくことだよ。他のみんなを相手にする前に…ね」

519: 2013/06/09(日) 22:33:53.44 ID:z7cWS5C/o
ゴゴゴゴゴ

チリ…

春香「『アイ・ウォント』」ズ…

ブルルッ

美希「…っ!」

春香「どうしたの? 腕が震えてるよ、美希…」

美希「はぁ…っ…」

春香「そんなんで、私と戦えるのかなぁ、美希ィッ!!」ダッ

美希「…あはっ」

春香「!?」ズァッ!!

ギュァァアア

美希「この震えはあれなの…えっと…」ビシュゥ!

ガッシィィッ

春香「む… …!」

美希「ま、いっか。いるはずがない春香が、なんでここにいるのかはよくわかんないしびっくりした…」

美希「だけど、ミキは今それよりも…春香を倒せると思ってすっごいドキドキしてる」

美希「ミキを倒すって言ったケド…倒されるのはどっちの方かな? 春香」

557: 2013/06/21(金) 00:12:07.41 ID:AUlOVBzxo
前回までのあらすじ

伊織「あれは…『ファースト・ステージ』?!」
FS「キミハ…リュウグウコマチ ノ ミナセイオリ」
伊織「こんな所で何してんのよ!」
FS「ワタシ、モウイラナイッテ…アマミハルカ ニ マケタカラ イラナイッテ…」
伊織「そんな…! アンタがみんなにどれだけ迷惑かけたと思ってるの!」
FS「ショウガナイヨ…」
伊織「『ファースト・ステージ』、いえ臆病者。ウチに来なさい」
FS「エッ」
伊織「春香を見返してやろうじゃないの!」
ラミレス「ハ、ハラサン… 」



始めます。

559: 2013/06/21(金) 00:13:39.82 ID:AUlOVBzxo
………

P「あれ?」

P「春香、春香ー!? どこに行ったんだ、春香!?」

ブルルルル

P(ん、メールが…春香から?)

春香
すみませんっ(>_<)
ーーーーーーーーー
春香です。突然いなくなってごめんなさい!
この後、どうしても外せない用事があって…。
先に帰っちゃいました!本当にごめんなさい…。

今日のライブは大成功でしたね!プロデューサーさんのおかげです!
また一緒に頑張りましょうねっ☆

P(帰った…のか? 一人で…いつの間に…)

P(大事な用なら、あらかじめ言ってくれればいいのに)

P(いや、それより…今の時間から帰っての用事ってのは、なんだ…?)

P(春香…ライブも終わった直後だって言うのに、一体どこに行ったんだ…)

561: 2013/06/21(金) 00:14:40.93 ID:AUlOVBzxo
………

真「あれ?」

やよい「あ、真さん! おはようございます!」

真美「まこちんおはよー」

雪歩「お、おはよう、真ちゃん」

真「おはよう。今いるのはやよいに真美に雪歩に…」キョロキョロ

貴音「私達もいますよ、真」

響「結構みんな集まってるぞ」

真「貴音さんと響か。みんな、早いね」

雪歩「今日は、春香ちゃんと竜宮小町以外はみんなオフだから」

真「そっか、伊織達がいないんだね。美希と千早は?」

貴音「まだ、のようですね。連絡もありません」

やよい「千早さんも美希さんも、どうしたんでしょうか…」

響「千早はわからないけど、美希はどこかで寝てるに決まってるぞ」

563: 2013/06/21(金) 00:15:22.22 ID:AUlOVBzxo
真美「諸君! 今日は真美の秘密基地にようこそ!」

貴音「真美がこのような土地を所有しているとは…驚きました」

真「私有地だと思うんだけどなぁ…使われてないけど」

やよい「そういえば…雪歩さんのスタンドってどうなったんですか?」

雪歩「それが、全然出てきてくれなくって…」

真「…できれば出て来てほしくないな…」

雪歩「へっ?」

貴音「まぁ、よろしいではありませんか。過ぎたことです」

真「それはそうだけどさ…」

やよい「みんなが来るまでどうしましょう?」

真美「どーしよっかなー。みんなで話しててもいいけど、ちょっと退屈だよね」

響「ふふふ、そう言うと思って飲み物買ってきてるぞ! みんなで飲みながら待ってようよ」

真美「え、ほんとー!? コーラある?」

貴音「私も一つ頂きましょう」

真「何の集まりなんだ、これは…」

565: 2013/06/21(金) 00:15:37.45 ID:AUlOVBzxo
………

亜美「あれ?」

亜美「いおりん、なんでコーラ買ってきてないのー!?」

伊織「自分で買えっつったでしょうが!」

亜美「それでもいおりんは買ってきてくれると信じてたのに!」

律子「運動した直後にそんな甘いもん摂ってたら太るわよ」

亜美「そんなー、あずさお姉ちゃんじゃあるまいし…」

あずさ「亜美ちゃん…?」

亜美「ハッ!」

ゴゴゴゴゴ

亜美「あ…あずさお姉ちゃん…今のはちょっとした…」

あずさ「今の? なんて言ったのかしら、ちょっとよく聞こえなかったわ」

亜美「絶対聞こえてたよ! 助けていおりん、りっちゃん!」

律子「ここの所、もうちょっと躍動感つけた方がよくない?」

伊織「そうかしら? これはこれでいいと思うんだけど」

あずさ「亜美ちゃん、話してくれる…?」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

亜美「うわああああああああああああごめんなさいいいいいいいい」

あずさ「えーっと…本当に聞こえなかったんだけど…」

567: 2013/06/21(金) 00:16:01.26 ID:AUlOVBzxo
………

春香「あれ?」

春香「今…変な言葉が聞こえた気がするんだけど。なんて言ったの、美希?」

美希「聞こえなかった? ならもう一度言ってあげる。春香を倒すって言ったの」

春香「ふっ…」

春香「ふふふ…あはははは…あっはははははは!」

美希「………」

春香「倒す…? 美希が? 私を?」

春香「無駄だよ、無駄。自分の置かれてる立場、よく考えてみたら?」

美希「やってみなきゃわかんないって思うな」

春香「やらなくても、もうわかるよ」ズ…

美希「そこまで差があるとはケド」

春香「わかるってば。まさか、さっきのが本気だって思った?」

ゴゴゴゴゴ

569: 2013/06/21(金) 00:16:31.68 ID:AUlOVBzxo
ゴゴ ゴゴゴゴ

春香「………」

美希「………」

ゴゴゴゴ

春香「行きなさい!」カッ!

美希「!」

春香「無駄ァッ!」

バヒュウ!!

美希(速っ…!! 千早さんの『インフェルノ』と同じくらい…)

美希「けど…」グッ

ヒュン

春香「…!」バチィ!!

ズガガッ

美希「速いだけなら、まだなんとかなる」

美希「さっき触った時につけた『ロック』目がけて叩いたの。そして…」

<LOCK!

春香「………」

美希「これで、ふたつ。『リレイションズ』のダメージはドンドン増えていくよ、春香」

571: 2013/06/21(金) 00:17:13.66 ID:AUlOVBzxo
春香「はぁー…」

美希「………」

春香「どうして、みんなわかってくれないのかなぁ」

春香「私はみんなのために『弓と矢』を使ってるのに」

春香「美希だって、そうやって『スタンド』を使ってるのに」

美希「違うよ」

春香「?」

美希「春香が『スタンド使い』を増やしているのは他人のためじゃない。わからせたいってだけ」

春香「わからせたい? 何を?」

美希「誰も自分の『アイ・ウォント』には勝てないってコト」

春香「………」ピク…

美希「自分は他の誰よりも優れているってコト。そうでしょ?」

春香「違う…」

美希「違わない。春香がやってることって、つまりはそういうことでしょ」

春香「随分と…調子に乗ってくれるじゃあない美希」

美希「そういうセリフって、大体調子に乗ってるヒトが使うの」

573: 2013/06/21(金) 00:17:24.91 ID:AUlOVBzxo
春香「言わせておけば…」ゴォォォ…

美希「怒った? 図星突かれて頭に来た?」

美希「こっちは春香から書けられた迷惑でそれ以上にプンスカしてるの!!」

春香「美希ィッ!」

ギュオン!!

美希「わかんないかな…『リレイションズ』を相手に…」

ォォォォォオ

美希「先に動いたら、駄目だって!」ヒュッ

ガスッ!

<LOCK!

春香「くっ…!」

美希「もう一回!」ダダン

春香「きゃ…」ドス! ガスッ

<LOCK! <LOCK!

美希「たーっ!!」ズダダダ

<LOCK! LOCK! LOCK!

春香「ぐぅ…っ…」タッ

ザザ…

575: 2013/06/21(金) 00:18:01.33 ID:AUlOVBzxo
春香「ふぅーっ…」

美希「………」

美希(おかしい…)

美希(『アイ・ウォント』相手にこんな順調に攻撃を与えられるなんて…春香はどうして能力を使わないの…?)

美希(殴れた場所はバラバラ…ギリギリで避けられて、『ロック』した部分を捉えられてはいない)

美希(でも、それでも…体の『ロック』が増えれば不利になるなんてこと、春香だってわかってるはずなのに…何故…?)

春香「いやぁ…本当に厄介なスタンドだよ、『リレイションズ』は…」

春香「1m圏内ならその針の穴を通すような『正確性』…『近距離パワー型』なら大抵のスタンドには対抗できるだろうね」

春香「私の『アイ・ウォント』も…」

美希「『五感支配』を使えばいいの、春香」

春香「………」

美希「『アイ・ウォント』のパワーアップには結構びっくりしたケド…能力を使わずにミキに勝とうなんて、そうはいかないよ」

春香「『五感支配』ね…」

577: 2013/06/21(金) 00:18:13.80 ID:AUlOVBzxo
春香「ふふっ…くくくっ…くふっ…」

美希「…何がそんなにおかしいの?」

春香「いや、だって…」

春香「ヴァイッ!!」

美希「!?」バッ

ガキィィィン

春香「あは、あは、あははははははは」

美希「…!? は、春香…?」

春香「無駄無駄無駄無駄」ビュォ ド ド ド バ バ

美希「リ、『リレイションズ』…ッ!!」

ガギャァ! バシィ!!

美希「っ…!?」ズザザ

春香「あはは…そうみたいだね…『アイ・ウォント』の能力を使わなかったら…美希には勝てないかもね…!!」

美希(な、何…? 今の春香、ゼッタイにおかしい…)

美希(なんていうか、妙に『ハイになってる』っていうか…ラリってるっていうか…すっごく、ヘン…)

579: 2013/06/21(金) 00:18:30.10 ID:AUlOVBzxo
春香「それじゃ、お言葉に甘えまして。そろそろ行こっかな…うふふ…」ス…

パンッ!!

美希「!」ビクッ

フッ…

美希(春香が手を叩いたら、姿が消えた…)

美希(でも、ほんとに消えたわけじゃあない。これは『視覚支配』…すぐ近くにいるはず)

美希(それで、春香の『アイ・ウォント』が『支配』できる感覚は一つだけ…)

美希(『視覚支配』を使ってるってことは、他のは大丈夫ってコトだから…)

ザリッ…

美希「そこっ!!」バォッ

ガキィ!!

美希「よしっ…!」

美希(当たる…ちゃんと対抗できる)

美希「ミキは『アイ・ウォント』に勝つために…力を蓄えてきた! 前のミキとは違う!!」

581: 2013/06/21(金) 00:19:09.20 ID:AUlOVBzxo
ザザッ…

美希(この音…離れるつもり…? でも、ミキの『リレイションズ』は…)

美希「一度射程距離内に入ったら…逃がさない…のっ!」クイッ

ゴォッ

バシィィン!!

ザザザッ

美希「それ聞こえてるっ!」シュバ!!

ブオン

美希「ん!?」

ズリズリ…

美希(音は聞こえるのに、そこに春香がいない…これは…)

春香「みーーーー」

美希「…!」

春香「きーーーー」ケラケラ

美希「み、耳元に春香の声!」

583: 2013/06/21(金) 00:19:41.76 ID:AUlOVBzxo
美希(これは、『聴覚支配』? でも春香の姿が見えない…ってコトは…)

美希「春香は、この部屋から出て行ったの!? それなら…」

春香「って思うでしょ?」ボソッ

ドズゥ

美希「う…っ!?」

春香「違うんだなぁ」

美希(攻撃された…ってことは、春香は近くにいる…!? やっぱり、『視覚支配』!?)

美希(いや、春香は『五感支配』を好きなように使える…次々と切り替えて惑わせてるってことなの!)

ズズ…

春香「はぁい、こっち…」

美希「くっ!!」ブオン

スカッ

美希「なら…そっち!!」クルッ

春香「………」

美希(春香は別に、『瞬間移動』できるってワケじゃあない…両方叩けば!!)バビュゥ

フ…

美希「え…」

ゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴ

585: 2013/06/21(金) 00:20:02.63 ID:AUlOVBzxo
美希(ち…)

美希(違う…! 声を出したのも、そこに立っていたのも…どっちも春香じゃあない…!!)

春香「ヴァイッ!!」ヒュオッ

美希「!!」バッ

シーン…

・ ・ ・

美希「ぐ…!?」ボギャ

ズガァァァァァ

美希「うあああああああ!?」

美希(攻撃を…受けた!? どこから…また、声や音のする方じゃなかった…!!)

美希(春香は音のする場所にはいない…)

美希(でも、目にも見えない…これって、つまり…!!)

春香「美希は確かに強くなってるね…『ロック』する能力、それを活かせるくらい美希も『リレイションズ』も強くなった」

春香「だけど…私は、その上を行く」

美希「…!!」

587: 2013/06/21(金) 00:21:07.96 ID:AUlOVBzxo
春香「前の美希とは違う…ね…」

春香「どうして私は前のままだと思ったのかな…どうして、自分のスタンドだけが成長していると思ったのかな…?」

美希(前提が、間違ってる…!?)

美希(春香の『五感支配』…『支配』できる感覚は、一つだけって…)

美希(もし、そうじゃなくなってるとしたら…?)

春香「美希が考えている通り…今の『アイ・ウォント』は五感のうち二つ…『支配』できる」

美希「…!」

春香「今使ってるのは、『視覚支配』と『聴覚支配』の両方だね」

美希「そ、そんな…」

春香「なんであっさりとバラすと思う? それがわかっても、無駄だからだよ」

春香「そう、無駄。無駄無駄」ス…

美希「…!」

美希(どこから来る…? どこから殴ってくるの…!?)

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」

バォッ ドガ ドギャ ズギャ

美希「うぉっ…おおおっ…!!」グギャン

589: 2013/06/21(金) 00:22:09.85 ID:AUlOVBzxo
春香「人間は見えないものを恐れ…見えないものには対抗できない…」

春香「例えば『スタンド』を見ることができない一般人には、スタンドから見を守る手段はない」

春香「そして私の『アイ・ウォント』は『スタンド使い』にすら見ることはできない」

美希「っ…はぁ…」

春香「どうする美希? 今なら謝れば許してあげるけど」

美希「…やだよ。ミキ、なんにも悪いことしてないモン」

美希(でも…姿も見えない、音も別の方から聞こえる…どうやって春香に対抗すれば…)クイッ

美希「…? これって…」クイクイ

春香「悪いこと…ね。いいとか悪いとか、そういう話じゃあないんだけどなぁ…」

春香「やっぱり、美希にはちゃんとわからせてあげないと…駄目みたいだね!」ビュァァ!!

美希「!」シュッ

グオン

春香「ん!?」バッ

美希「…外した…」

591: 2013/06/21(金) 00:24:37.09 ID:AUlOVBzxo
春香「当てずっぽうで…方向を当てた? でも、そんなのは…」

美希「そっち!」ビュッ

春香「!」サッ

春香「違う…当てずっぽうじゃない、ちゃんと私の居場所がわかって攻撃してきている…?」

春香「『視覚支配』と『聴覚支配』…してるはずなのに、なんでわかるんだろ…」

キィン…

美希「ミキの能力…なんだったか、忘れたの? 春香」

春香「! そっか、体についてるこれを目印に…」

美希「『リレイションズ』の『ロック』は…」

美希「これは誰にも邪魔されない、ミキだけの感覚…! 『アイ・ウォント』の影響は受けない、何も問題ないの!」

春香「ふーん…なるほどね…」

美希「これで、春香に届…」ヒュバッ

春香「………」スッ

美希「わっ…」フラッ

春香「届かないね」

春香「無駄だよ、無駄。例え『ロック』で、方向がわかろうが何も変わらない」

春香「当てるには『距離感』が必要。『視覚支配』と『聴覚支配』は美希の距離感も奪っている」

春香「方向はわかる…それで? それだけで、『アイ・ウォント』をどうやって攻略するつもり?」

593: 2013/06/21(金) 00:25:17.84 ID:AUlOVBzxo
美希「………」ピン!

ピシ! ビシ!

・ ・ ・ ・

春香「何か…当たった? 今…『リレイションズ』の指が何かを弾き飛ばして…」

春香「これは…ビーズ?」

<LOCK! <LOCK!

春香「!」

美希「はぁっ!!」ゴォッ

春香「無駄無駄ァ」ブォン

バッチィィィ!!

春香「む!」

美希「なのーっ!!」グイーン

春香「こっ…!!」バチィ!!

春香「美希の『リレイションズ』の引っ張る力が上がっている…! 距離が2mくらい開いてても一気に縮められるくらい…」

春香「スピードも、そっちを上回りつつある…! これは…」

美希「名付けて…押せ押せとっこー作戦…なの!」

595: 2013/06/21(金) 00:26:17.82 ID:AUlOVBzxo
ビュオッ!!

春香「くっ…!!」ガスッ

春香(いや、だけど…なんで私が『リレイションズ』の2m圏内、その中にいる時がわかるのは…これはなんでかな?)

美希(勝てる…)

美希(勝てる! 春香の姿は見えないからダメージはわからないケド…このまま行けば…春香を倒せる!)

春香「ああ…そっか、わかった」

美希「! そこっ!」クルッ

ゴォッ

シン…

・ ・ ・

美希「あれ…?」

美希(こっちに…『ロック』はない…春香は、いない…)

美希(なんでミキは振り向いたの…? なんで、そこに春香がいるって思ったんだろ…?)

春香「ヴァイッ!!」ゴォッ!

美希「デッ!?」ガキィン!!

ズザザ

597: 2013/06/21(金) 00:26:48.04 ID:AUlOVBzxo
春香「ふふ…ふふふふふふふふふ」

美希(今、春香の攻撃と音が一致した…)

美希(『聴覚支配』を解いた? なんのために? それに今のは…)

美希(ワケわかんない…何が起きてるの…?)

美希(春香の『アイ・ウォント』…まだ、何か隠してるっていうの…!?)

美希「………」クイッ

美希(『リレイションズ』の『ロック』はそっちに引っ張ってる…)

美希(春香はこっちにいる、ゼッタイにいる…)

春香「どうしたの? もう、終わり?」

ゴゴゴゴ ゴゴゴ

美希「………」ゴクッ

美希「はぁぁっ!!」ゴォッ

春香「………そろそろ、いいかな」ス…

パチン

ズ…

ズズズ…

美希「…え!?」

599: 2013/06/21(金) 00:27:35.63 ID:AUlOVBzxo


……

………

カツ カツ カツ

千早(…結局、戻ってきてしまったわ)

シーン…

千早(事務所は不気味なほど静か…何も聞こえないわね)

千早(…何か、胸騒ぎがする)カツ カツ

ピタ…

千早(部屋の前まで来た…)

千早(さっき出てきたばかりだし、美希はまだ…寝ていると思うのだけれど…)ス…

ガチャ

千早「美希、まだいる…?」スッ

千早「あれ…」

601: 2013/06/21(金) 00:27:59.85 ID:AUlOVBzxo
春香「無駄ァッ!!」ゴッ

美希「ぐ…ぁ…」グシャ

ドグバァ

春香「惜しかったね美希…」シュゥゥゥゥ…

ゴゴ

美希「う…」ヨロ…

春香「あと少し、あとほんの数ミリ程度腕が前に出ていれば…」

ゴゴゴゴ

春香「この『ロック』した部分をブッ叩いて私の全身に『再起不能』するほどのダメージを与え、勝利してたかもしれないのにね…」

美希「うぐ…ぅ」ガクッ

ゴゴゴゴゴゴ

千早(これは…)

千早(春香が美希を…一体、何があったと言うの…?)

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ

春香「ん?」クル!

千早「………美希」

美希「千早…さん…?」

春香「あ、千早ちゃんだ」

621: 2013/07/16(火) 22:32:04.04 ID:pddZCa+No
春香「やっほー、千早ちゃん」

ドド ドドドド

千早(何か胸騒ぎがして戻ってきてみれば…)

千早(これは、どういうこと…? どうして、春香がここに…)

春香「元気?」

千早(美希がやられている…ということは…)

千早「………顔は時々合わせてるから、こんなことを言うのも奇妙だけれど」

千早「ようやく、会えたわね…春香」

春香「そういえば、こうしてスタンド使いとして千早ちゃんと話すのは初めてだったね」

美希「………」シン…

千早(戦いは、既に始まっていた…!)

千早「これは貴女がやったの? 春香…」

春香「私は美希に何もしてないよ」

千早「嘘おっしゃい…なら、そこで倒れているのは何だって言うの?」

春香「倒れてる? 寝てるの間違いじゃない?」

千早「何を馬鹿なことを…!!」

春香「まぁ、落ち着いてよ千早ちゃん」

623: 2013/07/16(火) 22:35:10.06 ID:pddZCa+No
春香「千早ちゃんはさ、どこまで知ってるの?」

千早「全て聞いている…『弓と矢』を使い事務所の皆を『スタンド使い』にしたこと、『アイ・ウォント』で皆を傷つけ無理矢理『仲間』にしていること…」

春香「ふーん…でもさ、それって千早ちゃんが直接確かめたわけじゃあないよね?」

千早「え?」

春香「私が『弓と矢』を使ってみんなを『スタンド使い』にしたのは事実。みんなを誘ったのもまた事実」

春香「けど、それだけだよ…それってそんなに悪いこと?」

千早「なんですって?」

春香「無理矢理引き込む事なんてしないよ。断られたらそれでいいじゃない、そんなことしなくても事務所の仲間であることには変わりないんだから」

千早「え!? それは…」

春香「そもそも、考えてみてよ。どうしてみんなを『仲間』にする必要があるの?」

春香「私は『矢』さえ手元にあればいい。私がみんなに攻撃する動機なんて何もないんだよ」

春香「それに…」

ドクドク…

千早「う、その腕…」

千早(血が沢山流れている…)

春香「先にやってきたのは美希の方…私も、攻撃されたとあったら黙ってはいられない」

春香「千早ちゃんが見た美希の姿は、私の『矢』を壊そうと襲ってきた結果…正当防衛だよ」

625: 2013/07/16(火) 22:36:42.39 ID:pddZCa+No
春香「確かに、ちょっとやりすぎたかもしれない…けど、私は自分を守るため…やるしかなかったんだ!」

春香「ねぇ、信じてよ千早ちゃん! 私はこっちから手を出したりはしてない!」

春香「その証拠に、今日まで千早ちゃんは私に襲われなかったでしょ? タイミングはいくらでもあったのに!」

千早「………」

春香「もしも千早ちゃんが誰かに襲われたのなら、それはその人が勝手にやった事…」

千早(響や美希は元々春香側ではなかった…あずささんは春香の側にいながらも春香を倒す事を考えていたわ)

春香「信じてくれないの千早ちゃん…?」

千早「うっ!」

春香「やっぱり…私一人よりも、他のみんなの言うことを信じるのかな…?」

千早「春香の言うことと他の皆の言うことならば…」

千早「私は貴女を信じる…信じたい」

春香「千早ちゃん! それじゃあ…」

627: 2013/07/16(火) 22:37:50.58 ID:pddZCa+No
千早「けれど」グオン

春香「え?」

ビシュゥ!

春香「ちょっ…!?」

ガッシィィッ

春香「な、なにするのかな…千早ちゃん…」

千早「確かに…血は流れているように見える」

春香「え?」

千早「だけど、ならば…何故、貴女からは血の臭いがしないのかしら」

春香「………」

ゴゴゴゴゴゴ

千早「それほど流れていれば、少しくらい臭いがしてもいいはずなのに…不自然だわ」

千早「春香、貴女に人を騙すことなどできやしないわ」

千早「偽りの像を見せている? 臭いを消している? どっちにしても、これは現実ではない」

千早「そして私を騙そうとしているのなら、貴女の言う事でも信じることは出来ない。残念だけれど」

春香「フゥー…」

千早「春香…?」

629: 2013/07/16(火) 22:39:38.41 ID:pddZCa+No
春香「やっぱり、駄目かぁ…」

スゥ…

千早(血が引いていく…)

春香「千早ちゃんとはあんまり戦いたくなかったんだけど…本当に…」

千早「そう。奇遇ね春香、私もよ」

千早(美希…)チラ…

美希「………」ブルブル

千早(あんなに震えて、相当酷い目に遭わされ…)

美希「ち、『血の臭いがしない』って…」プルプル

千早「…え?」

美希「千早さんって、結構…ぷぷぷ」

千早「な、何!? そんなにおかしかった!?」

美希「ぐっ…」ズキン

千早「美希…! 貴女、その怪我…」

美希「あはは…やられちゃったの…」

千早「…そう…」

631: 2013/07/16(火) 22:41:35.67 ID:pddZCa+No
千早「そこでじっとしてて、美希…」

千早「後は私がやる」

美希「ち、千早さん、その腕!」

千早「腕? 腕がどうかしたのかしら?」

美希「それ、折れてるんじゃ…片腕で大丈夫…」

千早「折れてる? 何のことかしら」

美希「さっき、ギプスつけてたの! そんな腕じゃ…」

千早「………」ジャラ…

春香「ん? コイン…」

ポイッ

千早「『インフェルノ』」ヒュバ!!

ズバッ バッ バッ バッ

千早「そんな腕じゃ…何?」パッ

チャリン

美希「片腕でたくさんのコインを取ったの…」

千早「確かに折れていたけれど…まぁ、治った。問題はないわ」

美希「あ、あれ…さっき、仕事が大変だとか…言ってたの…」

千早「あれは冗談と言ったでしょう」

美希「え、それってそういう意味だったの!?」

633: 2013/07/16(火) 22:43:13.19 ID:pddZCa+No
春香「そろそろいい?」

千早「ええ…待たせたわね」

美希「あ、ちょっと待って千早さ…!」ムクッ

春香「『アイ・ウォント』」ヒュ

千早「!!」

ドスゥ!

美希「うぶ…」

ガクッ

春香「美希はもう黙ってなよ…決着はついたでしょう」

千早「春香…!」ギリッ

春香「ねぇ千早ちゃん…最後に聞いておくけど、『仲間』になる気はない?」

千早「何をぬけぬけと…目の前で美希にこんなことをやっておいて…!!」

春香「これは見せしめだよ。千早ちゃんさえ『仲間』になってくれれば、今みたいに誰かに手を出したりはしない」

千早「…!」

635: 2013/07/16(火) 22:44:09.98 ID:pddZCa+No
春香「私もさ…何もみんなのことを傷つけたくてこんなことをしてるんじゃあないんだよ」

千早「なに…?」

春香「『スタンド』に出会って私は変わった…だからこそ、みんなに『スタンド』の素晴らしさを知ってほしかった」

春香「誰か一人でも…わかってくれる『仲間』が欲しかった。誰もわかってくれなかったけど」

千早「春香…」

春香「そして…そんなスタンド能力を引き出してくれた『矢』を美希や貴音さんは破壊するべきと、そう言ったの。そんなこと納得できない」

春香「互いに納得できないのなら…戦うしかない…」

春香「戦って…勝ち取るしかない。でしょう?」

千早「………」

春香「私も、事務所のみんなを傷つけるのは心が痛む…『矢』を壊そうだなんて言ってこなければこんなことはしたくない」

春香「だけど今、私は孤立している…そしてみんなが『矢』を狙ってくる。『仲間』がいなければ安心もできない」

千早「………」

春香「ねぇ…千早ちゃん。千早ちゃんが私の『仲間』になって、私は誰も傷つけない…みんなからは距離を置いてもらう…」

春香「こうするのが一番いい、これが765プロ全員にとって幸せなことだと思うんだ」

春香「だから、一緒に…」

千早「………」

春香「一緒にトップアイドル目指そうよ!」

637: 2013/07/16(火) 22:45:07.05 ID:pddZCa+No
千早「春香」

春香「ん?」

千早「アイドルとは『与える者』よ」

千早「美希を傷つけ…自分の都合で皆から平穏を奪い…」

千早「そして今、私を引き込み他の仲間を奪おうとしている…今の貴女はアイドルではないわ」

春香「………」

千早「そんな貴女とはトップアイドルなんて目指せないわね」

春香「…前も同じようなこと言われた気がするなぁ…」

千早「ねぇ、春香。既に事務所の皆が『スタンド使い』になった…それでも『矢』を手放さないということは…」

千早「つまりはこれから事務所に入ってくる人達、全員を『スタンド使い』にすると…そういうこと?」

春香「そのつもりだけど」

春香「ああ、もしかして…みんな、自分だけの物にしたいのかな? だから『矢』を壊そうと…」

千早「違う、危惧しているだけよ。貴女のやっていることには考えがなさすぎる」

639: 2013/07/16(火) 22:46:31.26 ID:pddZCa+No
千早「例えば、『スタンド使い』になった誰かがスタンドを悪用するかもしれない…そうなったら、貴女はどうするの」

春香「そのための『仲間』…そのための『アイ・ウォント』…だよ」

千早「そうなら、何をしてもいいと言うの?」

春香「問題を起こすのなら…そうなるかもね。だからみんなもそうなった」

千早「私達がいつ問題を起こしたの?」

春香「問題だよ。『矢』がなくなったら私の考えていることは全部崩れてしまう」

千早「事務所に入った皆を『スタンド使い』にすると…もしも、『スタンド使い』になれなかったらどうするの」

春香「それはもう仕方ないよ。その子はアイドルとしての才能がない、可哀想だけど」

千早「…春香…やっぱり、今の貴女の話を飲むわけにはいかない」

千早「ここで止めてみせる」グッ

ドドドドド

春香「そっか、残念…千早ちゃんはあくまでも、私に対抗する気でいるんだ」

千早「ええ。そのために今日まで鍛えてきた」

春香「ふーん…じゃあ、千早ちゃんには美希と同じ目に遭ってもらおっか」

ドドド

千早「だったら…春香には美希よりももっと酷い目に遭ってもらうわ」

ドドドド

641: 2013/07/16(火) 22:47:41.56 ID:pddZCa+No
春香「やってみなよ、千早ちゃん!」

千早「言われなくても…『インフェルノ』!」カッ!

バヒュウ!!

春香「ふーん…これが千早ちゃんのスタンドかぁ…」

春香「能力は、ものを『軽く』するんだっけ? 『温度』を変えるんだったっけ」

春香「ま、どっちでもいいけど」

ユラ…

千早「!」ピタッ

千早(春香の姿が歪んで消えていった…これが『五感支配』というやつかしら)

バチィ!!

千早「う…っ!」

千早(止めた腕が弾かれたわ…外した時点でさっさと引っ込めるべきだった)ビリビリ

千早(春香の『アイ・ウォント』、なかなかの正確性を持つスタンドのようね)

千早(けれど、攻撃のタイミングを見るに…私の『インフェルノ』の方が速い)

千早(問題はどうやって春香を捉えるか…だけれど)

643: 2013/07/16(火) 22:48:29.44 ID:pddZCa+No
千早「………」

シン…

千早(音がない…私が動くまで行動する気はない…と言うことかしら)

千早(なら、誘き寄させてあげるわ)

千早「『ブルー・バード・インフェルノ』」ヒュオッ

スカッ

千早(………)

コッ

千早「そっちね」クル

春香「あ、速…」

千早「そこよ!!」ブオンッ

シン…

千早「ん…?」

春香「うん、方向は合ってる。方向だけは…」

千早「!」

春香「でも…ちょっと『射程距離』が足りないかな? 美希の『リレイションズ』よりは長いけど、それでも2mちょっとくらいみたいだね」

645: 2013/07/16(火) 22:49:48.34 ID:pddZCa+No
千早「呑気に話している場合じゃあないでしょう、春香」

春香「お? こっちに来る?」

千早(声の聞こえた方にいるのはわかった、けれど私が突っ込んでいけばどちらかの方向に逃げるはず…ならばそこに『インフェルノ』を…)

コツッ

千早(右ね…!)

千早「んあっ!」ギュオン!!

シン…

千早「う…」

千早(駄目だわ、手応えがない…)

千早(これは、春香の足音じゃない? 何かを床に落とせばそれで音は出る…)

千早(見透かされてる…ということは、春香は元の場所に…)

春香「ちーはやちゃん」ボソッ

千早「…!」ゾク

千早(じゃない! 後ろにいる…いつの間にか回り込まれている…!!)

春香「無駄」ヒュッ

千早「ぐ…っ!」ガスッ

春香「無駄無駄」ダダン

ドス! ガスッ

春香「無駄無駄無駄無駄」ズダダダ

千早「きゃ…!!」タッ

ザザ…

647: 2013/07/16(火) 22:50:59.79 ID:pddZCa+No
春香「ほらほら、もっと頑張ってよ千早ちゃん。これなら美希の方が強…」

千早「『イン…」

春香「!」

千早「…フェルノ』!!」ゴッ

春香「防いで『アイ・ウォント』」バッ

ガキィィィン

千早「そこよ…!」ビュォ

ド ド ド

春香「うっ!」ガギャァ!

千早「んああっ!!」バ バ

春香「くーっ…!」バシィ!!

千早(浅い…)

春香「千早ちゃん、結構突っ込んでくるね…怖くないの? 『アイ・ウォント』が」

千早「知らないわ。『それ』を見たのは今日が初めてだもの」

千早「そんなものを、どうやって怖がれというの?」

春香「ふーん…ま、いいけど」

649: 2013/07/16(火) 22:52:05.01 ID:pddZCa+No
春香「千早ちゃんのそれ、『ブルー・バード』…だったっけ」

千早「『ブルー・バード・インフェルノ』よ」

春香「私、千早ちゃんには『矢』を使った覚えないんだけど…なんで、使えるのかなぁ。『スタンド』を」

千早「さぁ…私にもわからない。だけど、そんなことはどうだっていい」

千早「私はこの『インフェルノ』を貴女を止めるために使う…それだけでいい」

春香「止める? 無駄だよ、無駄。未だに私の『アイ・ウォント』を捉えられないのに」

千早「やってみなければわからないわ」

春香「わかるよ」ス…

パンッ!!

千早「!」ビク

シン…

千早(音が…消えた…?)

ガキィ!!

千早「くっ…!?」メシャ

ザザ

千早(何処からか攻撃を受けた!?)

651: 2013/07/16(火) 22:52:58.33 ID:pddZCa+No
千早(春香が攻撃している!? しかし、足音がしないのは…)

シーン…

千早(そうか、スタンドには足音がないから…! これではどこから来るのかがわからない…!)

バシィィン!!

千早「ぐっ!!」ブン

スカッ

ザザザッ

千早(当たらない…)

千早(正確に打ち込んでくる…反撃しようにもすぐに避けられるわ、間に合わない…)

ズリズリ…

千早(離れても、この方向でいいのか…『アイ・ウォント』の射程距離はどれくらい?)

千早(また攻撃は来る…どうやって躱す? 次は…どこから…)

ピタ…

ズズ…

春香「千早ちゃん、どうしたの立ち止まって…もう諦めちゃった?」

千早(姿を現した…けれど、やはり見えてからでは間に合わないわね…)

春香「ヴァイッ!!」ブオン

フワ…

・ ・ ・ ・

春香「………ん?」

千早「どこから来るのかわからないのなら…」フワリ

千早「どこでもいいわ。当たらなくすればいいだけの話よ」

653: 2013/07/16(火) 22:53:57.54 ID:pddZCa+No
春香「なに、それ…」

千早「叩き込む、『ブルー・バード』!!」

ポフッ

春香「ん?」

千早(当たった! このまま体重を戻し、更に春香の体重を『奪って』…)

ズシ…

春香「う…?」

千早(『ブルー・バード』を『重く』する!)

ドズゥ

春香「うぐっ…!」

ズシャァァァ

春香「こ…これは…」

千早「よし…捉えたわ、春香…」

655: 2013/07/16(火) 22:54:56.80 ID:pddZCa+No
春香「どういうこと? 『スタンド』は一人一能力のはず…」

千早「『インフェルノ』は『ブルー・バード』の能力の延長線上よ」

千早「『熱』を『奪い』『与える』『インフェルノ』に対し、この『ブルー・バード』は『重量』を操作する」

千早「私の体重を空気より『軽く』し…当てた瞬間、体重を戻し更に『奪って』一時的に『重く』した」

千早「美希の『リレイションズ』には破られたけど…貴女の『アイ・ウォント』相手には通用するみたいね」

春香「二つの『ブルー・バード』…二つの能力…」

春香「それは…ちょっとずるくないかな、千早ちゃん…」

千早「ずるい? 貴女からそんな言葉を聞くとは思わなかったわ春香」

春香「『軽く』する能力…ですって? そんなもの、『アイ・ウォント』で…」

フッ

千早「また消えた…けれど…」

ブワッ

千早「もう、当たらないわ」クルン

春香「空中で一回転した…!?」

千早「『ブルー・バード』!!」ヒュン

春香「ぐっ…」ボギャ

ズガァァァァァ

春香「むうううっ!!」

657: 2013/07/16(火) 22:56:27.72 ID:pddZCa+No
ズズ…

春香「ふぅーっ…」

千早「さぁ…チェックメイトよ、春香」

春香「こんなので私を追いつめたつもり?」

千早「もう貴女が私に攻撃を加える手段はないわ」

千早「『五感支配』を使おうと関係ない。私の方が優位よ」

春香「何もわかってない…美希も、千早ちゃんも…私の『アイ・ウォント』の恐ろしさを」

千早「確かに、みんなの言う通り恐ろしいスタンドであるとは思うわ。けれど、どうしようもない差があるわけではない」

春香「ふ…」

千早「?」

春香「あはははははははは! あはははは!」

千早「は…春香?」

春香「ああ、駄目だ…もう駄目! これで笑うなって方が無理!」ケラケラ

千早「………」

659: 2013/07/16(火) 22:57:27.92 ID:pddZCa+No
春香「あっははははははは! ひーっひひひっひ!!」

千早(…よくわからないけれど…)

春香「ひぃーっ、ひぃーっ…」

千早(笑い声が聞こえるということは、そこにいるのね?)

千早「『ブルー・バード』!」

春香「あーっはっはっはっはっは」

バォッ ドガ ドギャ ズギャ

春香「おぶっ」グギャン

千早「春香…一体どうしたの? 何がそんなにおかしいの?」

春香「すぐにわかる…いや本当に、面白くて仕方ないよ…ふふふ…」

千早「なら、勝手に笑っていなさい。顔には手を出さないであげるから」

春香「おっとぉ、そうはいかないよっ!」ヒュッ

千早「む!」バッ

661: 2013/07/16(火) 22:58:22.02 ID:pddZCa+No
ピシ! ピシ!

・ ・ ・

千早「浅いわ、春香! そんな攻撃で…」

春香「ヴァイッ!!」ゴォッ

バッチィィィ!!

千早「ん!?」

春香「そーれっ!!」グイーン

バチィ!!

千早「おおっ!?」

千早(こ…これは!? 『アイ・ウォント』のパワーが上がっている…)

千早(今までは本気じゃあなかったってこと…? それとも…)

春香「無駄ァッ」ビュオッ!!

千早「『インフェルノ』!」ガスッ

春香「ん…」

千早「こうして見た目通り防げるということは、『五感支配』に使っていたパワーを回したのね? それしか考えられない」

春香「はー…」

千早「でも…こっちの方が…私のスタンドの方が強いわ」

千早「んあっ!!」ゴォッ!

春香「きゃああああっ!!」ガキィン!!

ズザザ

663: 2013/07/16(火) 22:59:35.05 ID:pddZCa+No
春香「はぁ、はぁ…」

千早「さぁ、春香…これで全て終わりよ」

春香「ああ…そっか、そうみたいだね」

千早「………」

千早(何、春香のこの態度は…諦観? それとも何か隠している…?)

千早「春香、降参しなさい。そうすればもう攻撃はしない」

春香「降参? 冗談でしょ」

千早「もう決着は着いた、これ以上やる意味はないわ」

春香「なら、『再起不能』させれば? 負けを認めればスタンドは力を失う」

千早「………」

千早(やはり…何か企んでいる…?)

千早(けれど…ここで引き下がる選択肢なんてないわ。春香の『何か』に怯え引き下がるようなら、私の精神は敗北したということになる)

千早「なら、望み通り…『ブルー・バード・インフェルノ』!!」ゴオッ

春香「………そろそろ、いいかな」ス…

665: 2013/07/16(火) 23:00:16.45 ID:pddZCa+No
パチン

千早「!」ビクッ

千早(何? 春香が指が鳴らし…)

千早「…は?」オオッ

美希「え!?」ピタッ

千早(美…希…? なんで、美希の『リレイションズ』が私の目の前に!?)

千早(駄目だわ、『インフェルノ』を止め…)

グシャァァァ

美希「おぶっ」ドザァ

ドッバァァーッ

千早「あ…!! …!」

ドドドド ドドドド

美希「う…」ピク…

千早「み…美希…?」

667: 2013/07/16(火) 23:01:13.86 ID:pddZCa+No



春香「はい、おしまい」



669: 2013/07/16(火) 23:02:10.29 ID:pddZCa+No
今回の分はおしまいです。支援ありがとうございました。
次回は…できる限り早く投下したいと思います

670: 2013/07/16(火) 23:03:14.90 ID:pjdpaJpoo
乙!



To Be Continued...





引用元: 真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」