685: 2013/08/03(土) 00:17:39.14 ID:0PWTRv5oo





前話はこちら





千早「え…?」

春香「千早ちゃんのそのスタンド…」

春香「美希ほどは使いこなせてるわけじゃあないみたいだね。美希のはピッタリ止まったのに」

美希「うっ、くぅ…っ…」ブルブル

千早「な、なんで美希が…?」

美希「う…うぅ…」

千早「だって美希は…春香にやられて…そこで…」

春香「うん、今やられたね。私じゃあない、千早ちゃんの手で」

千早「美希が戦ってて…え? 私と…?」

春香「まだわからないかなぁ。『アイ・ウォント』の能力、忘れたの?」

千早「は…」

春香「ああ、千早ちゃんはわからないのか。直接見せたのはこれが初めてだから…」

千早「ご…『五感…支配』…まさか…!」

春香「『五感支配』…ね」

春香「ま、そうだよ。美希も千早ちゃんも…互いのことを私だと思って戦っていた」

千早「そんなこと、『アイ・ウォント』にできるはずがない…!! 音も映像も確かに…」

春香「千早ちゃんには言ってなかったし、見せてもなかったね…私、二つの感覚を『支配』できるの」

千早「そ…そんな…」



※このSSは「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。過度な期待はしないでください。


春香「弓と矢」シリーズ

687: 2013/08/03(土) 00:33:32.96 ID:0PWTRv5oo
美希「いや…ちょっと待って…」

千早「! 美希…」

春香「あれ? 美希、千早ちゃんの『インフェルノ』の攻撃を受けてもう喋れるんだ」

美希「だとしても…『五感支配』でごまかしたとしても、カンペキに騙しきるなんてできっこないの…」

春香「なんで?」

美希「春香が操れるのは二つだけ…他の感覚は元のままだから、繋ぎ繋ぎでごまかしてもどこかヘンになってるはずなの」

美希「人そのものが変わっていれば尚更! 動きとかで、ゼッタイボロは出てる! 違和感感じるはず…!」

春香「違和感は覚えるものだよ、美希」

美希「春香は国語の先生なの…」

美希「いや、そんなことどうだっていい…! ミキと千早さんの両方を、どっちも春香だと思わせようとするなんて、そんなことできるわけが…」

春香「ねぇ二人とも、『ダウジング』って知ってる?」

美希「へ?」

千早「は?」

春香「細い鎖に重りを繋げた振り子…鎖の先っぽを握って重りを垂らすと、手の僅かな動きによって振り子が揺れる」

春香「その振り子の揺れる方向に、探し物があるという…これが『ダウジング』。地下水脈を探すのに使われるらしいね」

千早「い、いきなり…何の話…? 何を言っているの…?」

689: 2013/08/03(土) 00:36:42.51 ID:0PWTRv5oo
春香「知らない? なら『こっくりさん』でもいいよ」

春香「『こっくりさん』っていうのは文字が書かれた紙の上で十円玉に触れると、十円玉が勝手に動いて質問に答えてくれるってものなんだけど…」

美希「いや…それは知ってるケド…」

春香「『ダウジング』で水脈や、なくしものを見つけられる…『こっくりさん』が答えを出す…何故だと思う?」

千早「ただの偶然よ…そういうオカルトめいたものはあまり信じてはいないわ」

美希(千早さん、スタンドのことはどう思ってるんだろ…)

春香「他には…そう。漫画家の『荒木飛呂彦先生』は子供の頃、見えないところからやってきた医者の存在を探知できたという」

千早「…それとこれと、何の関係があるの?」

春香「ん?」

美希「さっきから何? ゼンゼン意味わかんないの」

千早「要領を得ないわ。はっきり言ってくれないかしら、一体何を言いたいのか」

春香「ああ、うん。『ダウジング』とか『こっくりさん』とか『荒木先生』はあまり関係なくて…つまり、何が言いたいかと言うと」

春香「人間の『脳』は感覚を使わなくても、無意識のうちに周囲のことを感じ取っているってこと」

美希「???」

千早「………」

春香「ああ、そんな顔しないでよ…こっちも、説明するのが難しいんだから…」

691: 2013/08/03(土) 00:41:16.68 ID:0PWTRv5oo
春香「この10円玉だけど…数字描いてある方が裏ね」

ピン!

春香「さぁ千早ちゃん、表と裏どっちだと思う?」パシッ

千早「は?」

春香「答えてよ、話が進まないからさ」

千早「………『裏』」

ス…

春香「うん、正解。答えは『裏』」

千早「…これが何なのかしら」

春香「千早ちゃん、今この10円玉の表裏を当てられたのは何故?」

千早「これこそ偶然よ。二分の一だもの、たまたま当たっただけ」

春香「じゃあ、裏を選んだのはなんで? 表でもよかったのに」

千早「…勘よ。特に理由はないわ」

春香「そう、それ。『勘』。それが重要なんだよ」

千早「勘が重要って、何を言っているのか…」

千早「…………え」

美希「千早さん?」

693: 2013/08/03(土) 00:42:10.14 ID:0PWTRv5oo
春香「千早ちゃんは気づいたみたいだね」

千早「いえ…まさか、そんな…」

春香「人間は例え『五感』で感知できないようなものの存在も、潜在意識ではわかっている」

春香「だから、無意識に振り子を揺らしたり…10円玉を動かして答えを出す」

美希「そんなの、アレがないの。えーと…コンキョ?」

春香「そう、はっきりとした根拠はない! 本人も気づいてすらいない! けど、わかっている!」

春香「それが『勘』というものなんだよ!」

千早「『勘』…」

千早「『勘』というのは、つまり『直感』…」

美希「ちょ、直…『感』…?」

美希「ま…」

ドドドド

美希「まさか…」

ドド ドドド

春香「そう、『直感支配』!!」

ドドドドドド

695: 2013/08/03(土) 00:43:19.88 ID:0PWTRv5oo
千早「直感は『第六感』とも呼ぶ…」

千早「『六感…支配』…!」

春香「そうそう。二人とも、さっきから『五感支配』『五感支配』って…ふふ…」

美希「そ…そんな馬鹿なコトって…!!」

春香「成長しているんだよ、私の『アイ・ウォント』も」

春香「『直感』をズラせば勘は100%外れる、普通なら気づくはずのほんのささいな違和感にも気づかない」

美希(ミキが振り向かされたのもそれのせい…!?)

春香「さっきのは、千早ちゃんの『直感』に10円玉のことを深く植え付けた」

春香「千早ちゃんは偶然と言ったけど…あのまま繰り返してたら、何十回でも何百回でも千早ちゃんは当て続けただろうね」

千早「そんな馬鹿なことが…」

春香「『直感』自体の影響は微々たるものだし…流石に、『五感』ではっきりとわかるような事実はごまかせないけどね」

美希「『アイ・ウォント』は受け入れた感覚しか支配できない…じゃあ、『直感支配』はどこから…」

春香「さっきから言ってるでしょう! 『人間の脳』は! 無意識のうちに! 『視覚』よりも! 『聴覚』よりも! 遥かに多くの情報を手に入れている!」

春香「『アイ・ウォント』はただそこに在るだけで『直感支配』できるッ!!」

697: 2013/08/03(土) 00:44:53.01 ID:0PWTRv5oo
春香「これで種明かしは終了。わかったかな?」

千早「自分からは手を出さず、私と美希を戦わせたわね…」

千早「なんのために…こんなことを…」

春香「真正面から挑んじゃあ流石に…能力の大半を『六感支配』に使っている『アイ・ウォント』じゃ美希の『リレイションズ』や千早ちゃんの『インフェルノ』には勝てないからね」

春香「でも…互いのスタンドなら…」

美希(千早さんの『インフェルノ』と同じくらいのパワーとスピード…)

美希(当たり前だった、ミキが戦っていたのは千早さんだったんだから…)

千早(『リレイションズ』と同等の能力…正確性…)

千早(私は…美希を相手に戦わされていた…)

春香「『直感』は人の『潜在意識』…すなわち『精神』そのもの」

春香「そしてスタンドは『精神』のエネルギー…すなわち、『精神』を支配できる『アイ・ウォント』は…」

春香「『スタンド』の頂点…ということだよ」

千早「こ…こんなもの、ただ同士討ちを仕向けただけじゃない…! 『アイ・ウォント』自身の力で勝ったわけじゃあない!」

千早「そんなのが頂点であるわけが…」

699: 2013/08/03(土) 00:46:41.11 ID:0PWTRv5oo
春香「ねぇ千早ちゃん…ちゃんと現実見なよ」

千早「なんですって?」

春香「千早ちゃん達はボロボロ、私は無傷。それが今の状況だよ」

千早「くっ…」

春香「勝てるんだよ。千早ちゃんは自身の力じゃないって言ったけど、これが『アイ・ウォント』の力なの」

春香「みんなで私を倒そうとしてるみたいだけど…無駄。何人集まっても、無駄。無駄無駄無駄無駄」

春香「集まれば集まるほど…相手が多ければ多いほど、『アイ・ウォント』は脅威を増す」

春香「ま…一対一でも私は負けないけどね」

千早「………」ブルッ

千早(なんなの…春香のこの『自信』は…)

春香「…その顔。『アイ・ウォント』の恐ろしさを知った人はみんなそういう顔をするね」

千早「うっ…!」

千早(飲まれている…春香に…)

美希「千早さん…!」

千早「!」ハッ

春香「ん?」

701: 2013/08/03(土) 00:47:27.79 ID:0PWTRv5oo
美希「折れたら駄目なの…!」

千早「…美希」

美希「恐怖を感じたら『アイ・ウォント』には勝てなくなる…!! だからしっかり…」

春香「『アイ・ウォント』」ヒュッ

美希「ぐふっ…!」ボコォ

千早「………は」

ガクン

春香「最初に私に逆らってきたのは美希だったね…」

春香「美希があんなことを言い出さなければ、こうはなってなかったかもしれないのに」

春香「私は『矢』を手放すつもりはない。そのことさえわかってくれれば、『再起不能』にまで追い込んだりはしない」

春香「だからもう襲って来ないで」

千早「…るか…」

春香「ん?」

千早「春香ああああああああああああ」ズアッ

春香「案外…元気だね。美希がちゃんと止め刺さないから」

703: 2013/08/03(土) 00:48:18.27 ID:0PWTRv5oo
千早「『インフェルノ』ォォォーッ」ヒュバ

スカッ

・ ・ ・

ボコォ

千早「が…!」

春香「さっきも言ったでしょう! 精神を『支配』する『アイ・ウォント』はスタンドを支配する存在!」

春香「無駄だよ、無駄! 千早ちゃんのスタンドじゃ、私に触れることすらできない!」

千早「美希に…あそこまでする意味はあったの!? 春香…!!」

春香「やったのは千早ちゃんでしょう? 私は止めを刺しただけ」

千早「は…春香ぁぁぁ…!!」

春香「やだなぁ、そうやって敵意剥き出しにして…」

千早「ああああああ!!」ヒュン

春香「向かってくるなら、いくらでも相手してあげるよ。千早ちゃんが無駄だと理解するまでね」

705: 2013/08/03(土) 00:49:51.43 ID:0PWTRv5oo
美希「ち…」

美希「千早さん、落ち着いて…! ミキは何もされて…」

春香「無駄だよ美希。美希が何を言ったところで、千早ちゃんには届かせないから」

春香「ほら、見なよ美希。美希にやったことが、『六感支配』によるものだってことも気づいていない千早ちゃんの姿を」

千早「ああああああ!!」ヒュン

春香「こうなったら…」

千早「んあっ!!」ゴォッ

ブンッ!!

春香「人は、脆い。簡単に崩れる」シュッ

千早「が…!!」ドゴォ

美希「千早さん…!」ググ…

春香「無理しない方がいいよ、美希。千早ちゃんの攻撃をモロに受けたんだから。それに…」

春香「美希が立った所で、また同士討ちになるだけだと思うけどなぁ。あはは」

美希「く…」

707: 2013/08/03(土) 00:50:37.51 ID:0PWTRv5oo
千早「ふーっ、ふーっ…」

千早「そこっ!!」ブンッ

スカッ…

春香「『勘』で当てようだなんて無駄だよ。『直感支配』で100%外れるって、言ったよね?」

千早「くっ…」

春香「そもそも、私は千早ちゃんの射程距離の中にはいないし」

千早「なんですって…?」

春香「嘘だよ、ちょうどこっちの方にいるよ。ほら、声のするところ」

千早「そ、そうなの…? いえ、そんな言葉に騙されは…」

春香「そうだよ、こっちだよ」春香「いやいや、こっちこっち」

千早「…!」

春香「ねぇ、千早ちゃ~ん」ボソッ

千早「あああっ!!」ヒュバッ

スカッ…

千早「ああ…」プルプル

709: 2013/08/03(土) 00:51:40.50 ID:0PWTRv5oo
ブゥン…

千早(は…春香の姿が…)

春香「無駄」春香「無駄」春香「無駄」春香「無駄」

千早(春香の声が、あらゆる方向から響いてくる…!!)

グルグル

春香「「「「無駄無駄無駄無駄」」」」グルングルン

千早「あああ…ああああ…!!」ブン ブン

春香「そんな攻撃じゃ」春香「当たらないよ」春香「千早ちゃん、だだっ子みたい」

春香「「「「あはははははは」」」」

711: 2013/08/03(土) 00:52:41.95 ID:0PWTRv5oo
千早「ああああ…っ!!」ブルンッ

美希「う…千早さんの声、すっごくプッツン来てる…」

美希(どうにかしないと…誰か呼ばなきゃ…!)

美希(! ケータイがあるの! 春香に気づかれないよう、コレで連絡を…)サッ

カタカタカタ…

美希(あれ、勝手に画面に文字が…?)

それは
リモコン
だよーん☆

ズズ…

美希「…っ!!」ポチポチ

美希(遊ばれてる…完全に…!!)

春香「ねぇ、美希。『春香さんには勝てません、諦めます』って言ってよ。そうすれば…」

美希「うるさいっ!」

春香「おお、こわいこわい」スゥ…

美希(『ロック』もない…『視覚』と『聴覚』…二つの感覚を『支配』されたらどうやって春香を認識したらいいの…!?)

美希「………」ハッ

美希「リモコン…テレビの…リモコン!?」

713: 2013/08/03(土) 00:54:05.05 ID:0PWTRv5oo
千早「ああああ…っ…!!」ブオン ブンッ ブオッ

ス…

春香「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄」ダム ドギャ バギャォ

千早「うぶっ」ゴキャ

グギャン

メシャァ

千早「はぁ、はぁ…」

春香「千早ちゃんには私を認識出来ない。認識できなければ攻撃すら出来ない」

春香「だから、こうなるのは『必然』なんだよ千早ちゃん」

千早「っはぁ…ぁ…」

千早「うっ…」クラッ

千早(『視覚支配』を中心に…『聴覚支配』と『直感支配』…合間合間にもう片方を挟んでくる…)

千早(もう、何が何だかわからないわ…春香をまともに捉えることもできない…)

千早(春香の『六感支配』…どうやって攻略すればいいのか、見当もつかない…)

715: 2013/08/03(土) 00:55:38.86 ID:0PWTRv5oo
千早(駄目なの…?)

千早(私では、春香を止めることは出来…)

ブワッ

・ ・ ・ ・

千早「………」ビリビリ

千早(何? 何かが…あっちの方から何かの衝撃が…私の体にぶつかってくる)

春香「?」

千早「『ブルー・バード』…」ズ…

ヒュオッ

バキィ!!

千早「………」

千早(これは…テレビ?)

717: 2013/08/03(土) 00:58:11.80 ID:0PWTRv5oo
春香「あ…止まった?」

美希「………」

春香「美希…どうしたの、テレビの電源なんかつけて。しかもボリュームまで上げて…」

春香「でかい音を出して、あっちの部屋にいる小鳥さんにでも気づかせようと思ったのかな?」

美希「………」

春香「でもね、美希。『聴覚支配』のための音は『アイ・ウォント』が起こした『音』であればいい、ここで起こっている音は最初から聞こえなくしてあるよ」

春香「それに『直感支配』で違和感も拭い去っている。『スタンド使い』じゃなくても、『なんとなく、何かがある』ってことは脳は感知してるみたいだから」

春香「ここで何があったとしても、気づく人はいないし…第一誰か来たとしても、何が起こっているのさえ理解できない」

美希「違う…ミキが狙ってるのはそんなことじゃあないの」

春香「?」

美希「春香にはわかんないか」

春香「………なに?」

719: 2013/08/03(土) 00:59:17.31 ID:0PWTRv5oo
千早(今のは…これも春香の『六感支配』?)

千早(いえ、わざわざこんなことをする理由がないわ…すると、美希?)

千早(美希が…何故? 私に何か伝えたいことでも)

千早(…いや、待って。私はどうしてテレビの場所がわかったの?)

千早(目には見えない、音も聞こえなかった…)

千早(そしてなぜ、私はテレビを殴ったとわかったの…?)

千早(そう、私は何かが体にぶつかってくる感覚があって…まるで…)

千早(ライブの時、歓声が自分に降り掛かってくるようなあの感じ…)

千早「………!」

千早「そう…そういうことね…美希」

春香「え…なに? あのテレビになにかあったの?」

千早「『インフェルノ』」

シュー シュゥゥゥーッ

春香「千早ちゃんのスタンドが…腕から蒸気を吹き上げてる…?」

721: 2013/08/03(土) 01:00:49.62 ID:0PWTRv5oo
春香「何をするつもり? 何がわかったのかな」

千早「『五感』で情報を得る方法は光や音だけではない…」

千早「音による空気の震え…振動だって、私達には感じ取れる」

春香「ああ、振動…なるほど、『視覚』と『聴覚』が使えないなら『触覚』か…」

春香「でもね千早ちゃん、『アイ・ウォント』は『スタンド』! 意識させなければ移動による空気の揺れだとか…足音だとかの振動は起こらないよ!」

春香「私だって、さっきから一歩も動いてない! この話し声だって、『聴覚』に直接訴えている!」

春香「振動で感知!? 無駄だよ、無駄! 私は一切の震えも起こしていない!!」

春香「なんのために自分に『熱』を集めているのかわからないけど、振動がなければ『触覚』で感じ取れる情報なんて…」

千早「春香。どうして私がこんなことをわざわざ話していると思うの?」

春香「はい?」

千早「自分に『熱』を集めている…? 違うわ、春香」

春香「それじゃ、な~にをやってるっていうのかな千早ちゃーん!?」

千早「私の目的は、熱くすることではない…その逆、周囲の空気を冷やしているのよ」

春香「…?」

723: 2013/08/03(土) 01:01:28.24 ID:0PWTRv5oo
ゴゴゴゴ

フワ…

春香「…ん? 風…」

コォォォォ

千早「空気は暖かい場所から冷えた場所に移動する。空を羽ばたく鳥のように…風の流れを感じ取る」

ヒュゥゥゥゥゥ…

千早「肌に触れる感覚の違和感…気流の乱れがあれば…」

スゥ…

千早「春香…貴女はそこにいる」グッ

春香「…!」ゾク

ゴゴゴゴゴゴ

千早「やっと…今度こそ、捉えたわ。春香」シュゥゥゥゥ…

千早「『インフェルノ』」ボ

春香「『アイ…」

千早「んあっ!」ビュシィッ!!

春香「うげ!」メキャア!!

738: 2013/08/05(月) 23:46:34.06 ID:bqLZS2D1o
春香「うが…ががが…っ…!!」

シィーン…

千早「………」

千早「殴った音は聞こえない。私から見ても全く見当外れの所を叩いている」

ググ…

千早「でも…感触は確かにある」

春香「ぉ…」

千早「ためらったりは…しないわ」

千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ゴォッ

ズババ バババ ババババ

春香「ああああああああ!」ジュッ

ジュァァァァァァ

ドギャン!!

ジュゥ!!

春香「も…『燃える』!」

春香「空気から奪った『熱』を…そのまま攻撃に…ッ!!」ジュァァァァ

741: 2013/08/05(月) 23:59:36.42 ID:bqLZS2D1o
コォォォォォ

春香「はっ!?」

千早「まだ終わりじゃないわ」ジュゥゥゥ…

春香「ちょっ…ちょっと待…」

千早「はぁっ!!」ヒュン!

春香「がっ…!!」ガギャ

バリバリバリ

スゥ…

千早「!」

美希「あっ、『アイ・ウォント』の『六感支配』が解除されたの!」

春香「く…ああ…」ジュゥァァッ

千早「空気の振動…風の動き。完全とはいかないけれど、『インフェルノ』のスピードがあればさほど問題にはならないわね」

春香「こ、こんな…こんな…ことで…!」シュゥゥゥゥ…

743: 2013/08/06(火) 00:00:57.83 ID:doCE6jZNo
千早「人は『触覚』でも物事を感じ取れる、そして私の『インフェルノ』なら風の操作ができる…」

千早「これが伝えたかったのね、美希」

美希「はいなの!(そこまでは考えてなかったケド)」

春香「風の…動きですって!?」

春香「そんなもの…『アイ・ウォント』!!」

ブァッ!!

千早「!」

ゴォォォォォォ

千早「これは…」チリッ、チリッ

春香「『触覚支配』で空気の触れる感覚を操った! これで…」

千早「そこね」ヒュオッ

春香「うびゃ!!」ゴギャ!

春香「な…なんで…『触覚支配』で、もう私の居場所はわからないはずじゃ…」

千早「ええ。音も肌の感覚も、まるで部屋の中に暴風が吹いているようだったわ」

千早「…あなたの姿は丸見えだけれど」

春香「はっ!?」

745: 2013/08/06(火) 00:24:41.40 ID:doCE6jZNo
千早「どうやら、『実は三つ支配できる』とはいかないようね」

春香「ぐ…ぐぬぬ…」

千早「『視覚』『聴覚』そして『触覚』…これで三つ。貴女が二つの感覚を『支配』しようが、私にはもう通用しない」

千早「『直感支配』で違和感を奪っても、はっきりと捉える感覚が増えるだけ…何も問題はない」

千早「さぁ…どうする? 春香…」

春香「………無駄ァッ!!」グオッ

千早「『インフェルノ』」ヒュバ!

春香「うおっ…」ドゴォ

ザザッ

春香「速…」フラ…

ドサァ

春香「あ…」ジュゥウッ

春香「ああああ…熱い! 熱いぃぃぃぃぃ…」ゴロゴロ

747: 2013/08/06(火) 00:25:44.48 ID:doCE6jZNo
千早「地獄の業火に身を焼かれる気分はどうかしら、春香」

美希「………」

春香「調子に…乗らないでよ…」

千早「あら、それを貴女が言うの? 散々調子に乗ってきた貴女が」

春香「千早ちゃんんん…!!」ズズズ…

・ ・ ・

千早「…何度姿を消しても同じよ。『インフェルノ』で空気を冷やして…」

美希「千早さん、気をつけるの!」タタッ

千早「美希…動かないで。春香の居場所を探知できないわ」

美希「春香は何か企んでるの!」

千早「美希…」

美希「だから…」

千早「動くなと言ったでしょう」ズビュ!!

美希「ぐべ!!」ゴシャ

749: 2013/08/06(火) 00:26:37.01 ID:doCE6jZNo
ズズ…

春香「な、なんで…」ヨロ…

千早「あら…春香だったのね」

美希「自分にミキの姿を重ねて、千早さんを騙そうとしてたんだね」

美希「だけど、千早さんには…」

千早「気づかなかったわ。姿も声も美希だし、探知にも引っかかるし…」

美希「え?」

春香「気づかなかったって、美希だと思って攻撃したってこと…?」

千早「まぁ、怪しいとは思ったけれど」

美希「え?」

春香「本当に美希だったらどうするつもりだったの千早ちゃん…」

千早「仮に本物だったとしても、忠告を無視した美希が悪いのであって、私は悪くないわ」

美希「え?」

751: 2013/08/06(火) 00:27:38.23 ID:doCE6jZNo
春香「ふふ、美希だって気づかなかった? でも攻撃した」

春香「そんな戦法はいつまでも続かない…ヴァイッ!!」ゴッ

千早「! そこっ!」ヒュッ

スゥ…

千早「偽物ね、向かってくるから思わず反応してしまったわ…」

千早(『インフェルノ』、空気を早いところ冷やして…)シュゥゥゥ…

ズ…

ズズズ…

美希「千早さん! 後ろから出てきてるの!」

千早「わかったわ」クルッ

春香「あはは! かかったね、千…」ゴォッ

ズ…

春香「え…? 『スタンド』が…こっちを向いて…」

千早「『インフェルノ』」ビシュゥ!!

春香「おおおおおおおおおおッ!?」バッ

ズギャッ ギャギャン ギャギャォン

ズザザザザザ

753: 2013/08/06(火) 00:28:11.92 ID:doCE6jZNo
ザリ…

春香「なんで…あらかじめ『直感支配』で違和感は潰しておいたはずなのに…」シュゥゥゥゥ…

千早「耳はいいのよ、私は」

春香「は…?」

千早「美希の声はしたけれど、他の物音は全くしなかった…明らかに不自然だわ。『直感支配』でどうにかなるような違和感じゃあない」

千早「だから振り向きながら、背中に『インフェルノ』を出した。結果的に、こっちが騙したみたいになったわね春香」

春香「う…ぐぅぅぅ…!!」

千早「いくら小細工をしたところで…そう、無駄よ」

千早「もう一度言うわ、春香。貴女に人を騙すことなどできない」

美希(違う…『アイ・ウォント』の『六感支配』、精度は凄く…えっと…スゴかった)

美希(ミキも千早さんも一度騙されてたし、さっきまで他の音がしないとか、そんな失敗はしなかった!)

美希(春香がこんなことで間違えるってコトは…春香は動揺してるってコト…)

美希(つまり、春香は千早さんに追いつめられてるの!)

千早「春香が『支配』できる感覚は二つ…そして『直感支配』。種はすべて割れた」

千早「そして…立ち向かう手段もある」コォォォォ…

春香「く…」

千早「もう、負ける道理はない」

755: 2013/08/06(火) 00:29:02.98 ID:doCE6jZNo
春香「まだだよ…」

千早「?」

春香「まだ…………じゃない…」

千早(…? なんと言ったの、今?)

春香「『アイ・ウォント』…」ズズ…ズ…

千早「また『視覚支配』…芸がないわね」

千早「それはもう通用しないと…」シュゥゥゥ…

フ…

千早「…? え…!?」

千早(どこにもいない…探知に引っかからない?)

千早(まずい、油断しすぎた…春香を見失った…!)

春香「ふふ…空気による探知はそんな遠くまで感じ取れるわけじゃあないみたいだね」

千早(く…どこにいるの!? 風は繊細、うかつに動けない…)

春香「一旦、外に出て体勢を立て直す…千早ちゃんみたいに無闇に突っ込んだりはしない…」

757: 2013/08/06(火) 00:30:08.13 ID:doCE6jZNo
春香「あの『空気探知』を封じる方法…エアコンをつけるか…うちわでも使うか…」

千早「…! ……!」アタフタ

春香「ふふ。千早ちゃんの姿、おかし…」

ムニュッ

春香「ん? 何かぶつかった?」クルッ

?「前くらい…」

美希「ちゃんと見るべきだって思うな」

春香「みっ…!?」

美希「『リレイションズ』!!」ゴォッ

春香「きっ」ダン!

<LOCK!

美希「そのうち逃げるかと思って、ドアのとこに立ってて正解だったの」

美希「1m! これで『リレイションズ』の射程距離内…」

春香「む…無駄ァッ」バッ

美希「なのっ!」シュッ

春香「うお…」バチィ!

759: 2013/08/06(火) 00:30:49.30 ID:doCE6jZNo
<LOCK!

美希「なのなのッ」ズダ ダダ

春香「うぼっ…」

<LOCK! <LOCK!

美希「なのなのなのなのなのなのなのなのなのなの」

ダダ ダダ ダダダダダダダダダダ

<LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!LOCK!

春香「ぐああああああああああああああああああああああああああああああ」

美希「なのっ!!」ゴキャ

バヒュゥ!!

春香「おぐっ」バリッバリバリバリバリ

ズッギャァァァーン

千早「! 美希、これは…」

美希「千早さん、油断しちゃダメだよ」

761: 2013/08/06(火) 00:31:31.35 ID:doCE6jZNo
美希「さっきからミキを使って千早さんを騙そうとしてたみたいだけど…そうはいかないの」

春香「ま…まだ…」グ…ググ…

春香「あてっ!?」ズルッ

ドンガラガッシャーン

千早「………」

春香「こ…この…」グググ…

春香「きゃっ!」ガクン

ドンガラガッシャーン

春香「た…」

春香「立つことが…美希の今の攻撃で…立つことができない!?」

美希「千早さんにボコボコにされたダメージもあるし…」

美希「『リレイションズ』の攻撃はダメージが倍々に増えてく。あれだけ受ければそうなるに決まってるの」

春香「こ、この…美希がァァーッ!!」

美希「意味不明なの…」

千早「春香…哀れね」

763: 2013/08/06(火) 00:32:07.58 ID:doCE6jZNo
春香「私が! 私の『アイ・ウォント』が! これしきで負けるわけない…!!」

フッ

美希(春香と音が消えた…千早さん!)

千早(わかってるわ)

コォォォォォォ

千早「そこよ」ヒュン

ズギャ

春香「うお…」フラ…

千早「もう一発」ギュゥン

春香「アグバァーッ」グゴャァン

ズ…ガガッ…

春香「ぐぅ、うぐ…」チリッ

美希「もう、スタンドにパワーもスピードもゼンゼンなくなってる。カンネンするといいの」

千早「貴女のダメージは限界に近いでしょう。チェックメイトよ、春香」

千早(春香のスタンド、『六感支配』…厄介ではある、だけど…)

千早(だけど…それだけよッ! 何も恐れることはない!)

765: 2013/08/06(火) 00:33:05.23 ID:doCE6jZNo
春香「ぐっ、ぐうう…ぐぬぬ…」シュゥゥゥ…

千早「この光景は春香、また『視覚操作』で見せているのかしら? それとも、これが現実なのかしら」

千早「どっちでもいいわね。どの道…貴女の『アイ・ウォント』を『再起不能』させるまでやるだけだから」

春香「つ…」

春香「強い…」

千早「私が強い?」

千早「違うわ春香。一人でいくら意地を張っていたところで、所詮はそんなものなのよ」

春香「ふ…」

春香「ははははははっははっはははあーっはははっはははっははっはっっはっは!」

春香「ははははっは、ははっはーはっあはははっはははっはははは!!」

千早「ま、まだ何かあるのかしら…」

美希「正直、もうカンベンしてほしいって思うな…」

春香「は、あはは…ふぅ…」

767: 2013/08/06(火) 00:33:56.62 ID:doCE6jZNo
春香「すごいよ、私の『アイ・ウォント』をここまで追いつめるなんて」

千早「追いつめる? 随分と悠長なことを言っているのね」

美希「これ以上変な悲鳴上げる前にコーサンした方がいいって思うな」

千早「『弓と矢』を破壊する…それで終わりよ、春香。目を覚まさせてあげるわ」

春香「千早ちゃんはさ…」

千早「ん?」

春香「前から、ずっと一人でなんでもできたよね」

千早「今の状況のことを言っているのかしら? それなら美希の…」

春香「才能もあって、プロデューサーさんにも最初から見てもらって…」

千早「…春香、貴女…」

春香「アイドル活動だって、最初から…」

千早「! それは違うわ! だって…」

春香「いいよ、なぐさめなんていらない」

千早「春香! 話を聞いて、私は…!」

春香「いいって言ってるでしょ!!」

千早「…!」ビクッ

春香「私は…ずっと足踏みしてた。今まで、前になんて進めていなかった。千早ちゃんとは…違う」

千早「春香…」

769: 2013/08/06(火) 00:35:06.23 ID:doCE6jZNo
美希「千早さん、もう終わらせよう」

千早「ええ、そうね…そうしましょう」

春香「これで勝ったと本当に思ってる?」

千早「…それは貴女が一番よくわかってるんじゃないかしら、春香」

春香「そうだね。『アイ・ウォント』は完全に敗北した。本当に『再起不能』ってくらい完膚なきまでに…ね」

春香「けど、私が負けたわけじゃあない」

美希「? どーいうコト?」

春香「私にはまだ…これがある」ス

千早「え?」

春香「これだけは使いたくなかった。使うつもりはなかった」

キラ…

美希「あれは…」

千早「これは…『矢』!?」

千早(『鏃』だけを取って…春香が持ち歩いていたのね…!)

春香「だけど、二人は私のことを追いつめてしまった…だから」

千早「何…? 何を言っているの…」

春香「挫折を…本当の絶望っていうものを…千早ちゃんにも思い知らせてあげる…!!」

771: 2013/08/06(火) 00:35:38.83 ID:doCE6jZNo
美希「なんかヤバいの、千早さん…!」

千早「大丈夫よ、こんなもの…飛んできたって『インフェルノ』で叩き落として…」

春香「『アイ・ウォント』」ヒュッ

ザクゥ

千早「…え」

千早(『矢』を…自分のスタンドに…『アイ・ウォント』に刺した…)

千早「春香…何を、やっているの…!?」

春香「『弓と矢』が私達に『スタンド能力』をもたらした…」

春香「そして…この『弓と矢』が…私に更なる力をもたらしてくれる」

ピキ!

千早「!」

ピキ パキ パキ パキ

千早(『矢』を刺した部分にヒビが…)

春香「うっ!」ドバァ

千早「春香!」

773: 2013/08/06(火) 00:36:41.31 ID:doCE6jZNo
春香「ふ…ふふ…!」ヨロ…

パラ…

千早「………え」

キラリ

千早(あれは、何…? 『アイ・ウォント』の割れた体から、何かが覗いている…)

パキッ

ボロボロボロボロ

春香「ああ、『アイ・ウォント』の体が…」

春香「崩れている…『新しいもの』へと変わっていく…!」

千早(何かわからないけど…まずい…!!)

千早「はっ!!」ゴオッ

ドグシャァ!

春香「がっ…」ボグッ

千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ドッ ドォ ドォオ

春香「あ…」ゴキャ

春香「あはははははははははは」ドゴバキベキ

ギャァァァーン

775: 2013/08/06(火) 00:37:23.89 ID:doCE6jZNo
千早「………」ス…

シン…

春香「は…」ス…

ガクリ

美希「倒れた…?」

千早「はる…」

春香「………」

パラ…

千早「!」

ドクン

千早「………っ…」

千早(何か… ………)

ドクン ドクン

千早(何か、とてつもないことが、今…)

キラリ

千早(起こっている…)

ドクン ドクン ドクン

777: 2013/08/06(火) 00:37:56.13 ID:doCE6jZNo
ドォ





……


………


…………


………


……





ーン

779: 2013/08/06(火) 00:38:23.95 ID:doCE6jZNo
千早「………」

・ ・ ・ ・

千早「…え?」

美希「え!? 何、今の…」

千早(今の感覚…まるで…)

千早(自分の存在が、この世界から引き剥がされそうになるような…)

春香「………」ズ…

ド

千早「あ…」

春香「流石に…」グ…

ドドド

春香「今のはちょっとだけ氏ぬかと思った」ムクリ

美希「立ち上がった…!? 今の攻撃を受けて…」

ズズズ…

千早(春香のスタンドが…)

ド ドドドド

千早(『アイ・ウォント』…じゃあない…違うものへと変わっている…)

春香「さぁ…」

ドドドドド ドドド

春香「続けよっか。二人とも」

ドドドドド ドドドド ドドドドド

781: 2013/08/06(火) 00:39:05.86 ID:doCE6jZNo
本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
次回は…とりあえず水曜で

793: 2013/08/08(木) 01:44:38.62 ID:4KATWwBuo
ゴゴゴゴ ゴゴゴ

春香「れべるあ~っぷ♪」

ゴゴゴゴ

千早(変わった…春香のスタンドが…)

キラリ…

千早(あの姿、スタンドの左手首に『矢』がくっついている…『矢』と一体化したということ…?)

春香「………」クイッ

ゾォッ!!

千早「!」

美希「うわっ…」

ズズズズズズ

千早(景色が変わっていく…何をする気…!?)

春香「………」パチン!!

フッ

千早「え?」

美希「も…戻った?」

795: 2013/08/08(木) 01:45:18.44 ID:4KATWwBuo
春香「『六感支配』はもういらない…どうせ二人には通用しないし」

春香「これに比べたら…チャチな能力だしね…! こんなものは!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

美希「ろ、『六感支配』が…チャチな能力…?」

千早「春香…貴女の『アイ・ウォント』は、一体どうしてしまったというの…」

春香「『アイ・ウォント』?」

春香「これはもう、『アイ・ウォント』なんかじゃあない」

春香「私は頂点(トップ)に立ったの。アイドルの頂点に君臨した」

春香「だから名前は決まっている。アイドルの頂点…」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

春香「…が」スゥ…

千早「う…」

春香「ふさわしい」ピッ

797: 2013/08/08(木) 01:45:47.61 ID:4KATWwBuo
千早「ス…ステージでもないのに人を指差さないで欲しいわね」

春香「変なことを気にするね…動揺してるの千早ちゃん?」

美希「ち、千早さん…ビビったら駄目なの…」

千早「美希こそ…声が震えてるわ…」

春香「あはははは、どっちもどっちだよ二人とも」

千早(春香の…『ジ・アイドルマスター』? 今まで見てきたあらゆるスタンドと、決定的に何かが違う…)

千早「…いえ、関係ないわ。私のやることは…春香を止める、それだけよ」

美希「ねぇ千早さん、気づいてる?」

千早「? 何が?」

美希「治ったのは千早さんの最後の攻撃だけ…春香はもうボロボロ」

春香「………」

美希「『ロック』も消えてない…そのままなの」

千早「ええ、そのようね…早く止めを刺しましょう」

美希「ミキは逆だって思うな」

千早「え?」

799: 2013/08/08(木) 01:47:24.82 ID:4KATWwBuo
美希「今の春香からは余裕とかが感じられる、得体が知れない…」

美希「ここはちょっと様子を見るべきだって思うな」

千早「どうしたのよ美希…貴女らしくもない」

美希「だって、千早さんが千早さんらしくないから。春香のコトになると落ち着きを失うね」

千早「…私は冷静よ」

美希「ゼンゼンそうは見えないケド」

千早「………」

美希「ねぇ千早さん。戦うならもっとちゃんと…正しく動かないと駄目だよ」

美希「トラックを間違えたら、迷子になるのは確実なの」

千早「…それでも」

千早「飛び込んで行かなければ相手が何なのかもわからないわ」

美希「…わかった。千早さん、ムリしないでね」

千早「ええ…ありがとう美希」

801: 2013/08/08(木) 01:48:12.63 ID:4KATWwBuo
春香「あ、終わった?」

千早「黙って見ているなんて、随分と余裕ね…」

春香「ん? あぁ…」

春香「どうせ二人が何やっても無駄だし…やりきった方が逆らう気もなくなるでしょう?」

千早(もう既に勝った気になっている…気に入らないわね)

千早(しかし、それだけ春香がこの『スタンド』を信用しているということでもある)

春香「どうしたの千早ちゃん? いいんだよ…どこからでも打ち込んでくれば」

千早「………」

春香「千早ちゃんが来ないのなら、こっちからでも…」

千早「そこよ!」ヒュオッ!!

春香「無駄ァ!!」バッ

ガッシィィ!!

美希「! 速い…」

美希(ケド…これは)

美希「なのっ!!」ブン!!

千早「!? 美希…?」

803: 2013/08/08(木) 01:49:35.48 ID:4KATWwBuo
春香「何か投げてきたね…水を差さないで欲しいな、美希!!」スッ

バガァ!

千早(叩き落とした!)

春香「!!」ビリビリビリ

美希「そのリモコン…『ロック』つけて返したの」

春香「…これしきでどうにかなると…」

千早「いいえ、これで充分…」ヒュ

ゴォッ

春香「こんなもの、目くらましにもならないよ」ガッ

千早(また止められた…)

千早(このスタンド…『アイ・ウォント』に比べるとパワーとスピードはかなり上がっているわ)

千早(…けれど!)

千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」ギュォン!!

春香「! これは…」

シュバァ!!

春香「きゃっ!」ジュゥッ!

千早「かすったわッ!」

805: 2013/08/08(木) 01:50:30.05 ID:4KATWwBuo
千早「パワーアップしても、元はあの『アイ・ウォント』…」

美希「『インフェルノ』のスピードは春香の新しいスタンドよりも上なの!」

春香「あー………やっぱりかぁ」

千早「空気中から集めた『熱』を、ありったけ…」

プシュゥゥゥゥ…

千早「叩き込むッ!」

バキィ!!

春香「うあっ…あぐっ…」ジュゥゥゥゥ

春香「………」ゥゥウウ…

千早「春香、貴女が何をしようと私は負けたりはしない…」

千早「これで…」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

ドォ……………ーン

千早「終わり…よ…」

・ ・ ・ ・

807: 2013/08/08(木) 01:51:15.09 ID:4KATWwBuo
千早「え…?」

美希「えっ!?」

千早(い…今の感覚は…最初、あのスタンドが目覚めた時と同じ…)

千早(春香の新しいスタンド…今、『なにか』したの…?)

ドドド

春香「びっくりしちゃった」

千早「!?」

千早(ど…)

春香「千早ちゃんのスタンド、『ブルー・バード・インフェルノ』…だっけ?」

ドドドド

千早(どうして…)

春香「本当に…『強い』ね」

千早(どうして春香は平然と立っているの…!?)

春香「だけど、無駄。千早ちゃんのスタンドがいくら強くても…」

春香「例え私の『ジ・アイドルマスター』を超えてようが、ね」ス…

ツヤ…

ドドドド ドドドドド

809: 2013/08/08(木) 01:51:54.00 ID:4KATWwBuo
千早(春香の…! 春香の傷が…消えている…ッ)

千早(どういうこと…『治癒能力』!?)

美希「ち、千早さん…」ブルブル

千早「? 何かわかったの、美希?」

美希「あ、頭…」

千早「頭…?」スッ

ベトォ…

千早「…え?」タラッ

春香「千早ちゃん…頭から血が出てるよ」

ゴゴゴゴゴ ゴゴ

千早「うおおおおおおお!?」ダラダラ

ゴゴゴゴゴゴ

千早(ダメージを受けている! 春香ではなく、私がッ!)

千早(春香のスタンドは、私に触れてすらいないのにッ!)

811: 2013/08/08(木) 01:52:37.13 ID:4KATWwBuo
千早「ま、また『視覚操作』!?」ペロ…

千早「違う…この『痛み』も! 流れる血の『熱』も! 鉄っぽい『臭い』も、『味』も! どれも幻覚じゃあないッ!」

千早「いえ…全ての感覚が、操られているとしたら…それなら、もはや現実と変わりはない…!」

千早「まさか、『六感全て』を『支配』する能力ッ!? 触れることもなくッ!!」

春香「その質問に対する答えは『No』」

千早「!」

春香「だーから、『ジ・アイドルマスター』はそんなチャチな能力…ごまかしなんかじゃあ断じてないって言ったでしょう」

春香「まぁ、何か『予想外』のことが起こるかもしれない…『直感支配』だけは使わせてもらってるけど」

千早「わ、私は…」

千早「私は…夢でも見ているの…?」

春香「ちがうよ。これが現実だよ千早ちゃん」

春香「今起こってることはすべて現実で、必然なの」

千早(『インフェルノ』で与えた熱が元に戻っている…まるで『なかったこと』にされているかのように…)

千早(『なかったこと』にする…? いえ、それじゃあ私の傷に説明がつかないわ! これは元々『なかったもの』だもの!)

千早(なら、春香の能力というのは…一体…?)

813: 2013/08/08(木) 01:53:32.66 ID:4KATWwBuo
春香「私なんて、こうまでしないと千早ちゃんは到底敵わない」

春香「でも、『矢』を持っているのは私…そして勝つのも…ね」

千早(『ダメージを押し付ける』能力…?)

千早(いえ、それなら私の『インフェルノ』が与えた『熱』もそのまま私に返ってくるはず…)

美希「千早さん! 何ぼーっとしてるの、春香が攻撃してきてる!!」

ドドド

千早「はっ…!」

春香「ヴァイッ!!」ヒュン

美希「『リレイションズ』!!」グイン

ガッ!

春香「お…」バリッ

千早「み、美希」ズザ…

春香「『ジ・アイドルマスター』の間に割って入るなんて…」

春香「美希の『リレイションズ』も…『ロック』の数でここまで速くなるのか」

815: 2013/08/08(木) 01:54:12.84 ID:4KATWwBuo
グ…

グググ…

春香「どうしたの? 美希の『リレイションズ』なら私についた『ロック』に正確に攻撃できるでしょう」

春香「この状態ならどこか一つにでも攻撃できれば一発で倒せるんでしょ…ほら、何をためらっているの?」

千早「くっ…美希!」

美希「…千早さん、よく見てて」グッ

ゴキュ!!

春香「うぐ…!! ぐっ…」バリバリバリ

美希「なのっ!」バキャア

春香「………」グォォォ

ドォ…………ーン

千早「! 今…」

美希「………!」ピタッ

美希(春香がいない…今、真正面にブッ飛ばしたのに…)

千早「美希! 後ろ…」

美希「え?」

春香「無駄無駄ァ」ヒュヒュン

美希「…!! うぶ…」ゴキャ

ドシャア

千早「美希…!!」

817: 2013/08/08(木) 01:55:06.64 ID:4KATWwBuo
千早(今のは…美希が春香に攻撃したと思ったら、後ろに回り込んで…そして攻撃していた…)

千早(『ワープ』…あるいは『時を止める』能力なの…?)

千早(違う、今回もまた美希の攻撃によるダメージがなくなっている)

千早(回復に、私へのダメージ…そして瞬間移動…わからない、春香は何をやっているの…?)

千早(スタンドは一能力のはず…しかし、そう言いきれもしない。あのスタンドは『六感支配』を見せたわ…)

美希「ぐっ…このっ…」

春香「美希。もうやめにしない? 結果がわかってる戦いなんてつまらないもの」

春香「『春香には勝てない』…一言そう口にしたら、見逃してあげるよ」

美希「誰がそんなこと…」

春香「あ…そう。じゃあ…」ガシッ

千早(『ジ・アイドルマスター』が美希の両腕を掴み…背中に足を…あれは…)

春香「ほら…気絶するまでやるよ」グッ

美希「う…うあああああああああ…!!」ミシミシミシ

千早「は…春香! やめなさい…! そのスタンドのパワーでそんなことをしたら…」

美希「ああ…ああああ…!!」ミシミシミシ

819: 2013/08/08(木) 01:55:38.79 ID:4KATWwBuo
春香「降参すればすぐにでもやめるよ」

春香「つまらない意地を張ってるそっちにも責任はある…違う?」

千早「春香、貴女は…!」

春香「ほらほら、美希!!」グッ!!

ゴリュ…

美希「かふ…」ピキッ

ブラン

千早「え…」

春香「あ…やりすぎちゃった」

千早「は…? 美…希…」

美希「………」……………

千早「は………はる…………はるか………」

ドォ…ーン

千早「あああああああああああああああ!! …あ…?」

美希「え…?」パチ…

春香「ごめんね美希。今度はやりすぎないようにするから」

美希「あれ…治ってる…」

821: 2013/08/08(木) 01:56:15.58 ID:4KATWwBuo
美希「え…また、なの…?」

春香「ほらほら、やるよ?」グ…

美希「や、やめ…やめて…」

春香「何か、言うことなかったっけ?」

美希「ごめんなさい! ごめんなさい!」

春香「ちがうでしょ、美希…」グリグリ

春香「ほら、さん…に…いち…」

美希「うわあああああああああああああ!! あああああああああ!!」

春香「ああ…やっぱり、ちょっとやりすぎちゃったかな」パッ

美希「あうっ」ドサァ!!

美希「ひぐ、えぐっ…」プルプル

春香「まぁ、いいか…これで美希は『再起不能』だろうし…ね」

千早(何か…)

千早(私達は何か、取り返しのつかない間違いをしてしまったのでは…?)

千早(もう、春香には何をしたって無駄なんじゃあないの…?)

823: 2013/08/08(木) 01:56:43.89 ID:4KATWwBuo
春香「さて…」クルッ

千早(いえ、こんなところで諦めるわけにはいかない…)

千早(春香を止める…それもあるけれど、それ以上に…美希にあんなことをした春香を許せない…)

千早(………あれは、私の知っている春香ではないわ…!!)

春香「次は千早ちゃんの番だよ」カツ カツ

千早(『蜃気楼』を作る…)シュゥゥゥゥゥ…

千早(これで春香の攻撃は一回だけならかわせるはず…)

千早(この世に完全なものなんてない…どこかに、弱点がある…)

春香「ないよ。『ジ・アイドルマスター』に弱点なんて存在しない」

ドォ………ーン

ヒュバァ

千早「!?」

春香「止めて、『ジ・アイドルマスター』」ブォン

パシッ

千早「う…! …!?」

春香「ま、この程度だね…できることは」

千早(何? 今のは…『インフェルノ』が勝手に攻撃した…?)

825: 2013/08/08(木) 01:57:08.46 ID:4KATWwBuo
千早「くっ」ガクッ

千早(…う、今の攻撃で右腕が…)

春香「あーあ…また折れちゃったね、腕…せっかくやよいに治してもらったのに」

千早「ま…負けるものですか…」

春香「まだ諦めないのか。千早ちゃんのそういう所、好きだよ」

春香「でも…今はちょっと余計かな」

千早(考えるのよ…どうすれば、春香に攻撃が届くのか…)

バッ!!

春香「ん…?」

シン…

春香「どうしたの、千早ちゃん? ソファの陰に隠れたりして」ヒョイッ

千早(乗ったわ…)

千早「『ブルー・バード』!!」

春香「!」フワ

春香「ソファを『軽く』…足下のバランスが…」グラ…

827: 2013/08/08(木) 01:57:29.05 ID:4KATWwBuo
千早「ソファは足を乗せるものじゃないわよ…春香!!」ビュン

春香「ムッ!」ガシィ!

千早「そのまま…地面に叩き付けて『ブルー・バード』!!」グイッ

春香「わっ…!!」グルン

ドグシャア!!

春香「ぐ…があああああっ!!」バキバキバキ

千早(この手応え…間違いなく…腕を折った…)

千早(さらに…)

ズシン!!

春香「千早ちゃんの体重に、ソファ分の重量も…『プラス』…か」ググ…

千早(これで…この状態で『重量』を押し付けたら春香はもう動けない…私の勝ち、そのはず…)

千早(でも…)

春香「千早ちゃん…困難に打ち勝とうとするその『意志』…尊敬に値するよ」グググ…

千早「春香、貴女の能力はッ…!!」

春香「でも、無意味」

春香「『ジ・アイドルマスター』」

829: 2013/08/08(木) 01:57:43.57 ID:4KATWwBuo
ドォ





……


………


……





ーン

831: 2013/08/08(木) 01:58:10.25 ID:4KATWwBuo
千早「う…」ベキ…

千早「うわあああああああ!!」バキバキバキ

美希「あ…あああ…」

千早(腕が…折れているッ!! 春香のではない、私の腕が!)

春香「これが、『ジ・アイドルマスター』」シャラン

千早(また…春香のダメージがなくなっている…なぜ…)

春香「これが、『頂点』(トップ)に立つ能力!!」

千早「何が…一体…なんだって言うのよ…!!」

千早(春香の能力が何なのかはわからない…)

千早(でも、わかることはある…春香の『スタンド』は私の理解を遥かに超えた領域に行ってしまったということ…)

千早(そして、自分がどうしようもなく『無力』だということッ!! 『ブルー・バード』も『インフェルノ』も通用しない…)

千早(それ以前に、もう両腕が使えない、どうすれば…!!)

863: 2013/09/08(日) 22:53:15.25 ID:s5MQtGvfo
千早「ああ…あああああああああああ…!!」

千早(何が…一体何が起こっているの…!? 春香の能力は何!?)

春香「………」ザッ

千早「わ…私のそばに近寄らないで…!!」

春香「ふふ…」ツカ ツカ

千早(攻撃される前に『ブルー・バード』で私の『体重』を…)

千早「あぐっ…」ズキンズキン

千早(くっ、手が…)

プルプル

千早(み…右腕はなんとか動く…けれど…)

千早「はぁ、はぁ…くっ…」

千早(左腕が…指が全く動かない…)

865: 2013/09/08(日) 22:56:11.07 ID:s5MQtGvfo
千早(しかし、動くのなら…『与える』ことはできるわ)

春香「ヴァイ!!」グオォォ

千早「『ブルー・バード』…」

フワッ

春香「無駄無駄無駄無駄」ダン ダン ダン

千早「そんな力任せに振っても当たらない…」

ビュオォォ!!

千早「わ…?」ジク…

千早「うあああああ…ああああ…!?」ズキンズキン

春香「『軽く』したってことは、少しの力で動くってこと…」

春香「拳の風圧でちょっと腕を動かしてやればいい。折れてるでしょ? それ…」

ドサ!

千早「ううう…!!」ダラダラ

春香「汗が凄いね千早ちゃん、暑いの?」

867: 2013/09/08(日) 22:57:51.24 ID:s5MQtGvfo
千早(春香は…もう私なんて倒そうとすればいつでも倒せるはず)

千早(それでも、私を精神的に追いつめるため…あえて手加減している)

千早(私の行動を一つ一つ封じていき…私の心を折ろうとしている…)

千早(決定的だわ…もう私ではどうあっても春香を倒すことなんて…できない)

千早「………」トス

春香「ん?」

ズリリ…

春香「まだやる気なんだ」

千早「はぁ、はぁ」ヨロ…

春香「ねぇ千早ちゃん、もうやめようよ。そうやって壁に背中つけないと立てないのにどうしようっていうの」

千早「………」

春香「この『ジ・アイドルマスター』に勝てないのはわかったでしょう?」

千早「ええ。そのようね…私ではもうどうにもならないわ」

869: 2013/09/08(日) 23:01:22.95 ID:s5MQtGvfo
春香「それなら、もう…」

千早「それで…春香」

ゴゴゴゴゴ

千早「そんなことで私が諦めると…本当にそう思っているの…?」キッ

ゴゴゴ

春香「…わからないよ。どうして勝てないとわかってるのに諦めないの…?」

千早「わからないでしょうね。今の貴女には」

春香「…強いんだね、千早ちゃんは」

千早「やはり、わかってないわね。私は…強くなんてないわ」

千早(春香に勝てる可能性はゼロ…ならば、私のやるべきことは春香を止めることでも…春香を倒すことでもない)

千早(私がこうして立っていられるのは美希のお陰…)

千早(私も次に繋げる…私が駄目でも、春香の能力くらいは見抜いて皆に伝えるわ、それが私のすべきことよ…!)

千早(そのためには倒れてなんていられない)ズ…

871: 2013/09/08(日) 23:02:03.00 ID:s5MQtGvfo
春香「その目…」

千早「………」

春香「美希や貴音さんも同じような目をしていたけど、何がそんなに気に入らないのかな」

千早「もう話し合いなんて意味はない。これまで通り力づくで、この『スタンド』で決めればいいでしょう」

春香「私はいいけど、千早ちゃんはもう無理だよね? 意地を張ってもいい事なんて何もないよ」

千早「私には、ずっと意地を張っているのは貴女の方に見えるけれど」

春香「…いいよ。お望み通りこれで決めてあげる」ズズ

千早「………」ス…

春香「『ジ・アイドルマスター』!!」ズォン

ドドドド ドド

千早(私から動く必要はない)

千早(春香が能力を使うのは、私の攻撃が春香にダメージを与えた時だけ)

千早(『ジ・アイドルマスター』の射程距離は『アイ・ウォント』よりも短い…)

千早(そして射程距離が同じくらいでも私の『インフェルノ』の方が速いわ)

873: 2013/09/08(日) 23:03:26.98 ID:s5MQtGvfo
ザッ

千早(まだよ…)

ザッ

千早(まだ…)

ザッ

千早(入った…!)

千早「はっ!」ドゥォ

春香「蹴りか…腕が駄目なら足を出すってこと?」

パシッ!

春香「無駄無駄!! 腕が折れてるんじゃ力の入った蹴りなんてできないでしょう!」

ガシャン!!

春香「ん?」

千早「『ブルー・バード』…」フワ…

千早「私の『体重』をこのおはじきに与えた。こうすればどこにも触れずに体重を『軽く』できる」

春香「無駄だって…さっきのことをもう忘れたの?」

千早「そうね。ここにいては危ない、早く離れることにしましょう」グッ

トン!

ブワッ!!

春香「!? 私を踏み台にした…!?」

875: 2013/09/08(日) 23:05:03.21 ID:s5MQtGvfo
グゥゥゥーン

千早「『ブルー・バード』、体重を元に戻して!」

クン…

スタ!

千早「っ…」クルッ

ダダッ

春香「………え、なに?」

春香「逃げた…の? 部屋の外まで飛んでいって…」

千早「く…」プルプル

パチ!

千早「こんな腕でも、窓を開けるくらいなら…なんとかできるわね」ガラガラ

千早(ここから飛び降りる…)ヒョイッ

フワ…

スゥ…トン

千早(『ブルー・バード』で体重を軽くすれば…高いところからでも風の抵抗でゆっくりと降りられるわ)

877: 2013/09/08(日) 23:06:06.54 ID:s5MQtGvfo
千早「これで…少しくらいは時間が稼げるわ」

千早「春香が二階から飛び降りられるというのなら話は別だけ…」

ドォ………ーン

千早「………」

春香「無駄…」

千早「は…春香…目の前に春香がいる…」

春香「私の『ジ・アイドルマスター』からは逃げることすら許されない」

千早「く…」

春香「ヴァイッ!!」ズァ

千早「うおおおおおおお…!!

千早(…え…?)

・ ・ ・ ・

ァァァァ

千早「これは…」

ヒュン!!

ガッ

春香「…あれ?」

879: 2013/09/08(日) 23:06:49.24 ID:s5MQtGvfo
千早「動く…」

ググ

千早「右腕が動く…治った…!!」ヒュン

春香「!!」サッ

ガキィッ

春香「おっ…」ズザ…

千早「今ここで攻撃したとしても、意味はないのでしょうけど…」

千早「まぁ…いいわ。せっかくだから喰らっておきなさい」

春香「無駄…」グアッ

ベキャ

・ ・ ・ ・

春香「お…腕が…」プラン

千早「『インフェルノ』ォォーッ!!」

ドン ドン バゴ ドゥン

春香「『ジ・アイドルマスター』ッ!!」

881: 2013/09/08(日) 23:08:36.71 ID:s5MQtGvfo
ドォ…ーン

千早「………」ピタッ

千早「後ろ? また『ワープ』している…」クルッ

春香「ああー…そっか、そうだよねぇ…」

千早(やはり…春香に与えたダメージはもう治っている)

千早「春香…腕が治ったのは貴女の能力によるものかしら」

春香「まぁ、ちょっとしたサービスだよ。このままじゃ張り合いがないし」

千早「張り合いがないから…?」

千早「私の腕が動いた所で、貴女にとっては何も変わらないでしょう」

春香「ま…そうなんだけど…ね」

千早(春香は意識して私を治したわけじゃないのでは…?)

千早(『アイドルマスター』を使ったことで、私の腕が治ってしまった…そういうことじゃあないの?)

千早(しかし、さっき能力を使われて左腕を折られた時…その後も私の右手は折れたままだった)

千早(さっき折られた時と、今春香が目の前に出てきた時の違いは何…?)

ズキン

千早「うっ…」

千早(左腕が…こっちは折れたままだわ。頭の傷も治っていない…)

千早(春香は『何か』をして私達や自分の傷を治している、しかしその『何か』によってつけた傷は元には戻らない…そういうこと?)

883: 2013/09/08(日) 23:09:05.75 ID:s5MQtGvfo
千早(なにか…)

千早(あと一つ、なにか…)

春香「そろそろ…終わらせようか」ドドドドド

千早(春香が来る…けれど、能力を使われなければ片腕でも私の方が強いわ…!)シュゥゥゥ…

パキ! パキ!

千早「『インフェルノ』!!」ビュア

春香「っと!」スゥーッ

千早「! 左側に避けた…」

春香「左腕は動かないはずでしょう? もらった…!!」

千早「いえ…」

春香「え…!?」

コォォォォ

千早「これを待っていたわ、春香…」

春香「動かない左腕を『凍らせ』て…今の音はそれかッ!!」

885: 2013/09/08(日) 23:09:51.10 ID:s5MQtGvfo
千早「叩き…つけるッ!!」ブオン!!

春香「おぶっ…」グシャア

ゴロゴロゴロ

千早「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

春香「む…」

千早「は…」

ゴゴゴ

春香「無駄だよ、もうわかってるだろうけど」

ゴゴゴゴゴゴ

春香「千早ちゃんが何度優勢になろうと、何度私を倒しても…このスタンドの前には…!」

千早「………春香」

ゴゴゴゴ

春香「さぁ、終わらせなさい…『ジ・アイドルマスター』」

ドォ

887: 2013/09/08(日) 23:10:20.36 ID:s5MQtGvfo


……

………

ドドドドド

春香「………」

ドドド

春香「…『戻って』きたよ。私の『意識』だけ…」

千早「うっ…」ズキン

春香「これは『過去』の出来事。ついさっき起きた、私が攻撃を受けて敗北する『過去』」

春香「ここで…」

シュゥゥゥ…

パキ! パキ!

千早「『インフェルノ』!!」ビュア

春香「千早ちゃんは『インフェルノ』の右腕で殴ってくる。私はそれを知っている。ここで…」

スゥ…

春香「私が攻撃の前に出ても、ぶつかることはない…今、この場所には『私に攻撃が当たった』という出来事が存在しないから」

889: 2013/09/08(日) 23:11:00.97 ID:s5MQtGvfo
千早「! 左側に避けた…」

春香「千早ちゃんの行動も言葉もさっきと『同じ』。私が動いても何も変わらない」

千早「いえ…」

コォォォォ

千早「これを待っていたわ、春香…」

春香「一度起こった『過去』の出来事は誰にも変えられない」

千早「叩き…つけるッ!!」ブオン!!

春香「おっと、これには当たっちゃ駄目だ」サッ

コォォォォ…

春香「『ジ・アイドルマスター』…このスタンド以外は」グッ…

ゴゴゴゴ ゴゴゴゴ

春香「私以外は、変えられない」

春香「ヴァイッ!!」ビュン

バキィィィィィイイ

千早「うぐっ…」ミシ

千早「ああああああっ!?」ミキミシ

891: 2013/09/08(日) 23:12:04.80 ID:s5MQtGvfo
千早「は…春香…これは…!」

春香「これが、『ジ・アイドルマスター』の能力だよ」

春香「過去の出来事をビデオのように再生し、その中で私だけが動ける。そして、『ジ・アイドルマスター』だけが過去を変えられる」

千早「…! やはり…そういうこと…なのね…」

千早「い、いや…ちょっと待って、春香…何故そんなことを話すの…?」

春香「そして…」

春香「『ジ・アイドルマスター』が書き換えた出来事は『現在』にその結果だけが残る」

春香「記憶は残らない。今の出来事も…だから、話した」

千早「…!」

春香「何故自分がダメージを負っているのか、千早ちゃんには理解できない」

千早「うっ…」フラッ

春香「これが『ジ・アイドルマスター』。これが頂点の力」

春香「どんなに優れた人間も、どんなに強力なスタンドも、私の世界に踏み込むことすら許されない!」

………

……



ーン

893: 2013/09/08(日) 23:13:04.10 ID:s5MQtGvfo
千早「………あ…」

ドサァ

春香「………終わったね」

春香「こうやって倒しちゃ、何が何だかわからないだろうけど…」

春香「ま、いいか。千早ちゃんなら『ジ・アイドルマスター』の恐ろしさは充分に理解したでしょう」

スッ

春香「さて、美希から奪った携帯…」

春香「このメールによると、みんな近くの廃ビルに集まってるみたいだね」

春香「今まで、長かった…けど、これで終わる」

春香「これでみんなに私の考えをわかってもらえる…ふふふ」

………

……


895: 2013/09/08(日) 23:13:44.77 ID:s5MQtGvfo
………

美希「!」ガバッ

キョロキョロ

美希「春香………はもういない、か…」

美希「こうしちゃいられない、みんなに春香のコトを伝えなきゃ…」

ゴソゴソ

美希「カバンにケータイがない…ってコトは、春香が持っていったのカナ…」

美希「電話したいけどリモコンしかねぇの」

美希「あ、そっか。別に携帯にこだわる必要なかった、そこにあるちっちゃいの(電話の子機)を使えば…」

美希「みんなに伝えないと…」カチャッ

美希「あれ、律子の電話番号ってなんだったっけ?」

?「美希、貸して」

美希「え…?」

千早「電話番号なら私が知っているわ」

美希「ち、千早さん! 大丈夫だったの!?」

千早「大丈夫ではないけれど…美希こそ、春香に酷い目に遭わされていたけれど無事だったのね」

美希「あれは演技なの。ミキ、アイドルだからこれくらいできないとね」

897: 2013/09/08(日) 23:14:17.01 ID:s5MQtGvfo
美希「千早さん、腕は…」

千早「凍らせたわ。痛みは引いたわね。後でまた高槻さんに『くっつけ』てもらう必要はあるけれど」

美希「千早さんがここにいるってことは、春香は…」

千早「いえ、春香は…倒せなかったわ。私は『ジ・アイドルマスター』の前に完全に敗北した」

千早「けれど、春香はこれで私が折れて諦めてしまうと…そう思っていたようね…『再起不能』にまでは追い込まれなかったわ」

千早「私が諦める時は…私達、仲間全員が立ち止まってしまった時…それだけよ」

美希「うん、そうだね。今の春香にはそんなこともわからないの」

千早「…呑気に話している場合じゃあないわ。まずは…」ピポパ

電話『とぅるるるるるるるる』

律子『もしもし?』ガチャ

千早「律子…」

律子『その声は千早? どうしたの、今そっちに向かってるところよ。もう少しかかりそう…』

千早「春香が…動き出したわ…」

律子『………』

律子『は? 何言ってんのよ…春香って、今日は…』

899: 2013/09/08(日) 23:15:01.49 ID:s5MQtGvfo
千早「詳しくは後で話すわ。春香がスタンド能力で事務所に現れたの、私達は…」

律子『ちょ、ちょっと待った。今…』カタカタ

ヒュン

キュルキュル

千早「これは…」

律子『「ロット・ア・ロット」を出したわ。これでビルにいるみんなとも会話できるはずよ』

雪歩『ひっ!? な、なんですかこれ!?』

やよい『あっ、これ律子さんの…えっと…』

伊織『「ロット・ア・ロット」よ、やよい』

千早「助かるわ、律子」

真『あれ? 千早、今どこにいるんだい?』

美希(みんなで集まらなくても、最初からコレ使えばよかったんじゃ…)

901: 2013/09/08(日) 23:16:01.39 ID:s5MQtGvfo
………

……



あずさ『千早ちゃんが…負けるなんて』

真『「アイ・ウォント」の時でも手が付けられなかったのに…その「ジ・アイドルマスター」というのはそんなに強いの…?』

美希「強いっていうか、イミわかんなかったの…」

千早「私達を倒して、今は真…貴女達のいる場所に向かってるはずよ」

貴音『春香が…来るのですか』

伊織『いや、ちょっと待ちなさいよ。そもそも、今日って春香は帰ってこないんじゃなかったの?』

亜美『亜美達の「スタートスター」でもそれほどは「ワープ」できないよ』

美希「そんなの、実際にいるんだから考えるだけ時間の無駄なの」

千早「いえ、美希…春香は『ジ・アイドルマスター』の能力を使ってここまで来たのよ」

千早「それだけじゃない。私達に起こったこと、全てに説明がつくわ」

美希「え…千早さん、春香の能力が…わかったの!?」

千早「ええ。これのお陰で確証するに至った」パッ

カラン

美希「千早さん、それは…」

千早「血よ…『インフェルノ』で凍らせた、私の血の塊」

903: 2013/09/08(日) 23:17:46.21 ID:s5MQtGvfo
千早「右手で転がしながら…『6個』だけ作っておいた。春香と戦う中で、間隔を空けながら1つずつ落としていたわ」

伊織『なんでそんなことを…』

千早「そして、私の記憶では…これは、全て落としたはず。もう手の中に残っていないわ」

美希「え、でも…」

千早「そう。あるのよ…私の手の中に、『3個』」

ゴゴゴゴゴゴ

千早「計算が合わないわ。これはどういうことかしらね?」

響『え…数え間違いじゃあないのか』

美希「響は黙ってて」

千早「私は、攻撃を受けた時これを落とすのをやめようとそう考えていた。結局、受ける前に全て落としてしまったけれど」

雪歩『それが、「3個」残っている…?』

真美『それって、つまり…』

千早「私は『3個』落とした時点で攻撃を受けた…ということになるわ」

905: 2013/09/08(日) 23:18:34.23 ID:s5MQtGvfo
千早「全部落としたはずなのよ…減るのならともかく、増えるというのはおかしな話じゃないかしら?」

千早「数がズレたのは…ちょうど春香が『ジ・アイドルマスター』を使った時よ」

美希「!」

千早「一瞬意識が飛びそうになったかと思ったら、私は倒れていた。攻撃を受けたの」

律子『千早…もったいぶらないで早く教えなさい!』

千早「このことから導き出せる答え…『ジ・アイドルマスター』の能力は」

千早「過去を変える…」

全員『…!!』

千早「時間をやり直し、過去の出来事を変える能力…そうとしか、考えられないわ」

律子『か…過去を変える…だって!? そんなバカなこと…』

美希「で…でも…確かに、それなら色々説明できる…」

美希「過去を変えて別の場所に動けば、『ワープ』したように見える…」

美希「攻撃した過去を変えれば、攻撃はしなかったコトになって、『治った』ように見えるの…」

真美『ちょ…ちょっと待ってよ、それってさ…』

亜美『マジ「無敵」…なんじゃないの…?』

真『…無敵だろうが何だろうが』

伊織『…そうね、真。やるしかないのよ、私達には」

907: 2013/09/08(日) 23:19:11.61 ID:s5MQtGvfo
貴音『千早、安心してください。春香を修羅の道に引き込むあの「矢」は…必ず、私達が破壊します』

やよい『悪いことする春香さんなんて、「くっつけ」て止めちゃいます!』

千早「…ありがとう、みんな…」

あずさ『礼なんて必要ないわ。だって私達みんな…』

小鳥「きゃあああああああああ!?」

千早「!?」バッ

小鳥「ち、千早ちゃん、美希ちゃん…そのケガは一体…!?」オロオロ

美希「………」

小鳥「い、今病院呼んでくるから…」

美希「あて身」ドスッ

小鳥「はうっ」

ガクッ

響『おーい? どうした? 何かあったのかー?』

千早「何してるの、美希…」

美希「なんかメンドーなことになりそうだったから…」

←To Be Continued

909: 2013/09/08(日) 23:20:41.22 ID:s5MQtGvfo
スタンド名:「ジ・アイドルマスター」
本体:天海 春香
タイプ:?
破壊力:? スピード:? 射程距離:? 能力射程:?
持続力:? 精密動作性:? 成長性:?
能力:「弓と矢」の力により「アイ・ウォント」の先に到達した春香の新スタンド。「アイ・ウォント・レクイエム」。
自分の「精神」を「過去」に飛ばし、既に起きた「過去」の出来事を再現する。
「過去の世界」では一度決まってしまった運命は確定していて、何者も変えることはできない。
ただし、「ジ・アイドルマスター」以外は。
「ジ・アイドルマスター」によって変えられた出来事は、春香の意識が「現在」に戻ってきた時、書き換えた後の「結果」だけが残る。
A:超スゴイ B:スゴイ C:人間並 D:ニガテ E:超ニガテ

本日分はこれで終了です。支援ありがとうございました。
次は1週間後に…できるかなぁ…

916: 2013/09/09(月) 00:26:32.78 ID:3H2m94Aq0
乙 過去改変とかやばいな

921: 2013/09/09(月) 04:15:56.00 ID:SkXPfQnfo


続き読めてよかった
完結までがんばってくれ!

928: 2013/09/11(水) 18:42:58.27 ID:l332jXIBO
キンクリの性質を持ったマンダムって感じかね



To Be Continued...





引用元: 真「『弓と矢』を…ブッ壊すッ!」