1: 2014/04/01(火) 00:16:33 ID:fqg2CCZE
このSSは>>1がSS速報VIPに書いた 春香「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」というスレの続編です。
「弓と矢」は「THE IDOLM@STER」のキャラクターの名前と「ジョジョの奇妙な冒険」の設定を使った何かです。
過度な期待はしないでください。

3: 2014/04/01(火) 00:24:16 ID:fqg2CCZE
「765プロは、もういらない」

未だかつてない765プロの危機に、アイドル達が立ち上がる!



愛「あれ、なんですかこの『弓と矢』?」

絵理「わからない。いつの間にか…あった?」

アイドル事務所に次々と現れる「弓と矢」!



P「あなたは高木順二朗…社長!」

順一朗「順一朗だ」

小鳥「生きていたんですね、社長!」

順一朗「順一朗だ」

生きていた高木社長!

4: 2014/04/01(火) 00:25:36 ID:fqg2CCZE
???「疑問に思ったことはありませんか? どうして自分は『スタンド』が使えるのか」

千早「ええ、それは…」

???「教えてあげましょう。1文字300円で」

明かされる謎!



律子「私の『ロット・ア・ロット』が捉えたこの映像…」

伊織「こ…これは…!!」

律子「私達765プロの宿敵…961! そしてやつのこの衣装は!」

律子「このくそったれ社長の首から下は私達の先輩ワンダー・モモの服をのっとったものなのよおおおーおおお!!」

キモい…!

5: 2014/04/01(火) 00:26:57 ID:fqg2CCZE
やよい「えへへ、千早さんが無事でよかった!」

千早「た…高槻さ…ん…」

BB『さい…己を解き放ちなさい…』

千早(『ブルー・バード』が…私に語りかけてくる…!?)

BB『さぁ…やよいをペロペロするのよ…さぁ…!!』

千早「あ…あああ…!」

千早…暴走!?



FS「萩原雪歩」

雪歩「えっと…なんですか?」

FS「雪歩…ト呼ンデモイイデショウカ」

雪歩「はい?」

禁断の恋!?

6: 2014/04/01(火) 00:28:02 ID:fqg2CCZE
??「オラァッ!」

あずさ「あ…」

??「やれやれだぜ」

あずさ「あ、あなたは…!!」

亜美「そう、亜美です」

亜美!!!!



春香「私は、765プロを…」

春香「みんなを守る」

ドォーン

7: 2014/04/01(火) 00:28:49 ID:fqg2CCZE
『弓と矢』第二部



千早「『弓と矢』、再び」



近 日 公 開 ッ ! !

13: 2014/04/04(金) 00:33:39 ID:O.CKnzec
「3…2…」

暗闇の中に、炎が揺らめいている。

静まり返った場には、カウントダウンの声だけが響く。

「1…………0」

フッ

カウントがなくなると同時に、炎が消え…

パンッ

辺りに、破裂音が響いた。

14: 2014/04/04(金) 00:34:16 ID:O.CKnzec
「「「たんじょ…」」」

愛「おたんじょうび、おめでとうございまーーーーーーす!!!!!!」

キーン…

愛「あれ!!? みなさん、どうしたんですか!!?」

石川「ちょっと、愛…もうちょっと…静かにしてくれないかしら」キーン

千早(ここは、カーテンで閉め切られた一室…)

尾崎「み、耳が…」パチン

千早(尾崎プロデューサーが壁のスイッチを押すと、部屋に照明の光が広がった)

愛「だってだって、今日はめでたい絵理さんの誕生日ですから!!!」

絵理「愛ちゃん、ありがとう」

愛「はいっ!!! 絵理さん、もう一回!! おたんじょ…」

絵理「でも、うるさいから…静かに?」

愛「そんなー!!」

15: 2014/04/04(金) 00:35:51 ID:O.CKnzec
やよい「でもでも、愛ちゃんの言う通り今日はとってもおめでたい日ですよっ!」

亜美「うんうん、一年に一度、あるかないかの日だよね!」

真美「………」

千早(今日は、私と高槻さん、亜美と真美…)

伊織「絵理、おめでとう。この伊織ちゃんからのプレゼントよ、ありがたく受け取りなさい!」

絵理「伊織さん、ありがとう」

千早(そして、765プロの中では水谷さんと一番仲のいい水瀬さん)

千早(私達は彼女の誕生会に出席するため、この876プロの新事務所に来ていた)

16: 2014/04/04(金) 00:36:26 ID:O.CKnzec
絵理「みんな、今日は、楽しんでいって?」

亜美「うん、もちろんだよ絵理お姉ちゃん!」

千早(水谷絵理さん…765プロと交流のある芸能事務所、876プロのアイドル)

亜美「………」キョロキョロ

絵理「探してるのはこれ? 余ったクラッカー」

亜美「あっ、これこれ! 絵理お姉ちゃん、ありがとー!」

絵理「…どういたしまして」

千早(もの静かだけど、周りの事をよく見ていて…)

絵理「亜美ちゃん、クラッカー何に使うの…? 強盗?」

亜美「ふぁ!? そんなん、どうやってやるのさ!」

千早(そして、独特の感性を持っている…ご、強盗って…くくっ…)

17: 2014/04/04(金) 00:37:03 ID:O.CKnzec
尾崎「みなさん、絵理の誕生日に…忙しい中、よく来てくれたわね」

千早(876の尾崎プロデューサー。元々はフリーだったのだけれど、今は876プロで水谷さんの専属プロデューサーをやっているようね)

尾崎「特に如月さん。最近はとても忙しいようだったけど」

千早「プロデューサーに、少しは休めと言われていましたから。ちょうどいい機会でした」

伊織「今年になってみんなスケジュールギチギチなのよね。私達はたまたま空いてたけど…」

やよい「伊織ちゃん、今日には予定を入れないようにって律子さんに頼んでたよね?」

伊織「ちょっ…!?」

絵理「…そうなの?」

伊織「違っ…だ、だから、たまたまって言ってるでしょ!」

18: 2014/04/04(金) 00:38:08 ID:O.CKnzec
石川「ま、これでも集まった方よね。うちも、涼が出払ってて誕生会に参加できないし」

千早(876プロの石川社長…弱小の876プロを、それなりに盛り上げて来たやり手ね)

伊織「社長が誕生会に参加してて大丈夫なの、この事務所…」

石川「私だって、人の誕生会にかこつけて騒ぎたいことくらいあるわよ。あなた達のところの社長もそうでしょ?」

千早「え? いえ、高木社長は…」

やよい「涼ちゃん来れないんですか?」

亜美「一日中仕事があるわけじゃないっしょ。夜になれば涼ちんも絵理お姉ちゃんのお祝いに来るって」

絵理「…わたしも夜になったら仕事。誕生日だから、お誕生日企画?」

尾崎「だからこうして、昼に皆さんをお招きしたわけです」

千早「昼から夜まで誕生会だなんて…」

石川「素敵よね。一日中ずっと祝ってもらえるなんて」

千早「大へ…いえ、そうですね。素敵ですよね」

19: 2014/04/04(金) 00:38:55 ID:O.CKnzec
愛「ほんとうは、涼さんや夢子さんも、765プロの皆さんとも一緒にお祝いしたかったんですけど…」

愛「でもっ!! あたしがここにいないみなさんの分まで、絵理さんをお祝いしまーす!!!」

絵理「あ、ありがとう…」

千早(そして、日高愛…彼女も、876プロのアイドル。知らない人はいない伝説のアイドル、『日高舞』の娘)

やよい「愛ちゃん、元気いっぱいですね!」

千早(元気一杯なところは高槻さんに似てるわね)

亜美「ね、ね、真美! これでさ…」

真美「ふぇぁー…」クラクラ

亜美「わわっ、愛ぴょんの横にいた真美が目回してる!」

愛「うわっ!!! 真美ちゃん、大丈夫っ!!?」

千早(何より…声が大きい…)キーン

千早(歌手としては、彼女の声量は少し羨ましいけれど…近くで騒がれると、たまったものじゃないわね)

20: 2014/04/04(金) 00:39:31 ID:O.CKnzec
真美「はひー…」

絵理「真美ちゃん、真美ちゃん…」ユサユサ

絵理「駄目、返事がない…ただのしかばね…」

伊織「さっきから、妙に静かだと思ったら…」

石川「あっちの部屋にベンチがあるわ。尾崎さん、運んでくれる?」

尾崎「は、はい」ヒョイ

千早(尾崎プロデューサーは、真美の身体を優しく持ち上げ…)

スタスタ…

千早(奥の部屋に歩いて行ってしまった)

21: 2014/04/04(金) 00:40:55 ID:O.CKnzec
愛「これって、もしかして…あたしのせい…?」

絵理「そうかも…」

やよい「そ、そんなことないですよ。愛ちゃんは絵理さんのお誕生日を祝ってあげたかっただけなんですよね」

伊織「アンタがもう一回声かければ飛び起きるんじゃないの?」

愛「そ、そうですね!!」

愛「わかりましたっ!! 真美ちゃんにおきろー!! って声かけてきたいと思います!!」

亜美「わわっ、そりゃ逆効果だよー!!」

愛「へ?」

千早(元気一杯には間違いないけど…感情の起伏が激しいわね。嵐のような子だわ)

22: 2014/04/04(金) 00:41:28 ID:O.CKnzec
千早(しばらくすると、尾崎プロデューサーが戻って来た)

尾崎「真美ちゃんはロッカー室のベンチに寝かせておいたわ」

亜美「ありがとー、おざりん!」

尾崎「お、おざりん…?」

絵理「伊織さん、律子さんとあずささんがいないってことは…『竜宮小町』、解散しちゃった?」

伊織「解散したと言うか…そういう枠組みが薄れてるのよね。みんなまとめて、765プロのアイドルって感じで」

尾崎「決まったメンバーでなく、色々な組み合わせを試しているというわけね」

亜美「だから、最近は真美と一緒の仕事も増えてきたんだ!」

伊織「ま、今も『竜宮小町』としての活動もしてるわよ」

絵理「そうなんだ…」

23: 2014/04/04(金) 00:42:04 ID:O.CKnzec
愛「やよいさん、やよいさん!!」

やよい「どうしたんですか、愛ちゃん?」

愛「歌の事で相談したいんですけど…」

やよい「歌のことなら、千早さんに聞いてみるといいかも」

千早「何? 日高さん」

愛「最近、なんか上手く歌えない気がして。行き詰まってると言うか…」

千早「えーと、そうね…日高さんなら、例えば別ジャンルの曲に挑戦してみるのはどうかしら」

愛「え? でも、歌い方がヘンになったりとかしちゃうんじゃ…」

千早「それは違うわ、日高さん。歌はただ歌詞通りに読み上げるものじゃないでしょう? どこで力を入れるか、どこで息を吸うか…考えて歌うわよね」

愛「はい。そうですね」

千早「異なった視点で見る事が出来れば…同じ曲でも、経験の違いでまた新たな味が出てくるわよ」

愛「なるほど、経験ですね!!」

24: 2014/04/04(金) 00:42:47 ID:O.CKnzec
千早「日高さん。こちらからも聞きたい事があるのだけれど、いいかしら?」

愛「はいっ!! どうぞ!!」

千早「876プロの活動は、プロデューサーのいる水谷さん以外は、基本的にセルフプロデュースだったのよね?」

愛「はい!! 」

愛「最初の頃は、あたしにもマネージャーがいたんですけど…」

愛「レッスンの日とか、休んだりとかのスケジュールは、ほとんど自分で決めてました!!」

千早「よければ、だけど…そのことについて詳しく話してくれないかしら」

やよい「あっ、それ、私も聞いておきたいです!」

愛「はい、いいですよ!!」

25: 2014/04/04(金) 00:43:52 ID:O.CKnzec
………

……



愛「と、こんな感じです。どうでした?」

やよい「お話、とっても、面白かったです!」

千早「そうね。日高さんの独自のプロデュース法と言うのか…興味深いわ」

やよい「私、やってみたいこと色々あるかも!」

愛「でも、765プロさんってプロデューサーがちゃんといるんですよね? 必要あるのかなぁ?」

千早「プロデューサーがいても、自分の事を他人に丸投げにするというのは…よくないことだと思うの」

千早「私達が自分で調整が出来るようになれば、プロデューサー達の負担も少しは減るはずよ」

やよい「愛ちゃんだったら、プロデューサーに何も言われなくても準備できるし、予定についての話し合いもできるよね?」

愛「あっ…なるほど!!」

26: 2014/04/04(金) 00:45:30 ID:O.CKnzec
石川「面白い話をしているわね」

愛「あ、石川社長!!」

石川「アイドルの意識が高いのはいいことだけど、事務所の方もちゃんと活躍できるよう環境も整えなきゃね」

石川「765プロって、プロデューサーやマネージャーはちゃんと足りてるのかしら? うちなんかに比べるとアイドルの数も多いし…」

千早「それ…私達が言ってもいいんですか?」

石川「まぁ、本来はアイドルと話すようなことじゃないと思うけど。今日は誰も来れないみたいだから」

やよい「えっと、新しい人は入ってきたんですけど…」

千早「ちょっと、高槻さん。そんな簡単に…」

やよい「?」

千早(いえ、話してもいいか…876とは姉妹事務所のようなものだから…)

27: 2014/04/04(金) 00:46:55 ID:O.CKnzec
千早「まぁ、高槻さんの言う通り、新入社員は雇ってますね。流石に三人でいつまでも回すのは無理があるので」

愛「ちゃんと入ってきてるなら、大丈夫ですね!!」

千早「ですが、人数の問題ではなく…」

石川「?」

千早「社長として…ちゃんと事務所を動かせる人間が必要だと思うんです」

千早(半年前の事件で、高木社長が亡くなって以来…765プロにはちゃんとした経営者がいない)

千早(今は、プロデューサー達が協力しながらやっているけれど…やはり、本職ではない。限界がある…)

千早「けれど、何故か誰もやってくれる人が出て来ない…」

石川「…? どうして?」

千早「どうしてって、私に聞かれても…」

石川「いえ、そうじゃなくて…」

28: 2014/04/04(金) 00:47:44 ID:O.CKnzec
バンッ!!

千早(事務所の入り口のドアが勢いよく開き、その音に石川社長の声はかき消された)

彩音「センパーイ! 誕生日、おめで…と…」

シーン…

千早「…どちら様?」

彩音「うわっ…ナンか思ったよりいっぱいいる…!? センパイの誕生日なのに…」

絵理「それ、どういう意味…?」

亜美「あっ、あの時の姉ちゃんだ! おひさ~!」

彩音「あれ? そこのチビっ子、確か…」

亜美「亜美だよ! 絵理お姉ちゃんと一緒に765プロに来た事あるよね!」

伊織「そうなの?」

亜美「えーと、確か…さ、さ…佐藤さん?」

彩音「佐藤ちゃうわ!」

尾崎「そうよね、鈴木さん」

彩音「鈴木ともゆーな! このロン毛!」

29: 2014/04/04(金) 00:49:03 ID:O.CKnzec
彩音「って、そんなことよりセンパイの誕生会は…」

絵理「…サイネリア、もうとっくに始まってる?」

彩音「え」

やよい「絵理さん、この人は?」

絵理「サイネリア…本名、鈴木彩音。私のネットアイドル時代の後輩…」

彩音「…ドモ」ペコ

千早「そう言えば…水谷さんは元々ネット上で活動していたらしいわね。よくわからないけれど」

伊織「ああ、思い出した。なんかいつも絵理にくっついてる奴ね」

彩音「は?」

伊織「なによ、間違ってないでしょ? 私が絵理に会いに行くといっつもいるくせに」

絵理「会いに…行く?」

伊織「あっ、違うわよ! たまたま会った時に見かけるのよ!」

絵理「ふふ。わかってるよ、伊織さん」

伊織「何よ、その顔は! 違うって言ってるじゃない!」

彩音「ぐぬぬ…」

30: 2014/04/04(金) 00:49:37 ID:O.CKnzec
彩音「このデコ! センパイに近付きすぎ!」

伊織「ちょっ…誰がデコよ! 謝りなさい!」

尾崎「やめなさい、鈴木さん。絵理は今、水瀬さんと話してるんだから」

鈴木「鈴木言うな、ロン毛!」

愛「鈴木さん!! こっちで一緒にお話しましょー!!」

彩音「そこの豆も!」

石川「何を怒っているの鈴木さん」

亜美「そうだよー鈴木さん」

やよい「さい…さう…鈴木さん!」

千早「えーと…鈴木さん?」

彩音「キー!!」

31: 2014/04/04(金) 00:50:37 ID:O.CKnzec
千早(鈴木さん…は怒って部屋の隅っこの方に行ってしまった)

絵理「くすっ…サイネリアったら、顔真っ赤にしちゃって…」

伊織「アンタ、いい趣味してるわね…」

絵理「…サイネリア、もっとみんなと仲良くしたらいいのに…」

伊織「そうね。この伊織ちゃんみたいに、どんな奴にだって寛大で平等な精神で接するべきだわ」

絵理「それは…」

伊織「ま、アイツがどうしようと私の知ったこっちゃないけど」ス…

千早(水瀬さんが、テーブルの上のカップに手を伸ばした…)

千早(けど…これは…)

やよい「伊織ちゃん!」

伊織「へ?」コト…

32: 2014/04/04(金) 00:51:24 ID:O.CKnzec
彩音「あーっ、ムカツク!」

彩音「特にあのデコ! あいつ、センパイに馴れ馴れしすぎ! 違う事務所のクセに!」

尾崎「鈴木さん」ヌッ

彩音「うわっ、ロン毛! 何よ、つーか鈴木言うな!」

尾崎「水瀬さんのことだけど、こういう時でなければ集まる事も少ないし、今日くらいは大目に見た方がいいと思うわ」

彩音「余裕ねロン毛…」

尾崎「あなたが余裕なさすぎるだけだと思うわよ?」

彩音「アタシがセンパイと一番付き合い長いのに~…」

尾崎「鈴木さん、あなたは絵理がネットアイドルをやっていた頃の知り合いでしょう?」

尾崎「アイドルとしてはあなたよりも水瀬さんの方が付き合いは長いわよ」

彩音「ぬぬぬ…」

尾崎「まぁ、アイドルとして一番付き合いが長いのは絵理をスカウトした担当プロデューサーの私だけど」

彩音「ロン毛のコトなんて知るか!」

33: 2014/04/04(金) 00:52:06 ID:O.CKnzec
パリィィィィン!!

尾崎「!?」

彩音「え、何?」クルッ

タッタッタ…

絵理「伊織さん!!」

やよい「伊織ちゃん、大丈夫!?」

伊織「だ…大丈夫よ…」

千早(水瀬さんがカップを落とし、割れた。床には破片が散らばっている)

伊織「痛っ…」ズキッ

愛「ああっ!! 伊織さん、足から血出てる!!」

・ ・ ・

彩音「………」

伊織「うわっ、本当だわ…伊織ちゃんの美しい足が…」タラ…

34: 2014/04/04(金) 00:52:44 ID:O.CKnzec
亜美「いおりん、ティッシュ、ティッシュ」

伊織「あ、ちょっと。危ないからこっちに近付かないでよ」

尾崎「絵理、水瀬さん、動かないで。今、片付けるわ」

愛「あたし、救急箱取ってきます!」ダダッ

石川「あ、ちょっと待ちなさい、愛! …待てって言ってるのに」

伊織「救急箱って。そんな大げさにならなくても。やよ…」

やよい「へ?」

伊織「あ、いえ…なんでもないわ」

絵理「?」

伊織(やよいなら治せるけど、急に傷が塞がったら驚くわね…)

伊織(救急箱を取ってくると言っていたから…絆創膏か包帯でも巻いたら治してもらいましょう)

35: 2014/04/04(金) 00:53:16 ID:O.CKnzec
愛『うわーっ!!』ガゴーン!!

伊織「って何、今の音…」

絵理「愛ちゃんの声…何かあった?」

石川「だから待てって言ったのに、あの子は…」

千早(石川社長と尾崎プロデューサーはカップを片付けている…水谷さんは動けない)

千早「私、日高さんの様子を見て来ます」

やよい「あっ、それなら私も行きます!」

亜美「亜美も行く! あっちの部屋には真美もいるし」

千早「高槻さんと亜美はここにいて。そう何人も来ると動きづらいわ」

やよい「あ、そうですね。わかりました」

亜美「えー、つまんなーい。ぶーぶー」

36: 2014/04/04(金) 00:53:48 ID:O.CKnzec
ガチャン

千早「日高さん?」

愛「あ、千早さん…ててて…」

千早(ロッカールームに行くと、日高さんが仰向けに倒れていた)

愛「うぅ、すみません~、起こしてくださ~い!」

千早(ベンチとロッカーの間に挟まって…)

真美「きゅー…」

千早「………」

千早「日高さん…どうして、そうなったの…?」

愛「急いでたら、ベンチにつまづいちゃって、それで…」

真美「うぁー…」

千早(恐らく、その時に膝でも入ったのね…大丈夫なのかしら…)

37: 2014/04/04(金) 00:56:15 ID:O.CKnzec
………

……

愛「ふぅ…助かりました!! ありがとうございます!!」

千早「日高さん、落ち着いて行動しましょう。貴女が怪我をしたらどうするの…」

愛「そうですよね…ごめんなさい」

千早「それで、何しに来たのだったかしら」

愛「あっ、そうだ!! 伊織さんが危ない!!」

千早「そうだったわね。危ないとまではいかないけれど、救急箱は…」

愛「ここです!!」ガチャ

千早「ちょっと待って日高さん、そこは『石川』って…」

千早(って、なんで石川社長のロッカーがこんなところに置いてあるのかしら…)

キラ…

千早「…え?」

38: 2014/04/04(金) 00:56:56 ID:O.CKnzec
ゴゴ

愛「あ、間違えちゃった…こっちです!!!」パタン

千早「ちょ、ちょっと待って! 今のは…」

ゴゴゴ

千早(今、一瞬見えたのは…)

愛「?」

ゴゴゴゴ

千早「このロッカーの中に見えたものは…!!」バッ

愛「あ、千早さん!! 駄目ですよ、勝手に開けちゃ!!」

千早(日高さんの静止も聞かず…私は、石川社長のロッカーに手を伸ばし、もう一度その扉を開いた)

ガチャン!

39: 2014/04/04(金) 00:57:26 ID:O.CKnzec
・ ・ ・ ・

千早「これは…」

千早(見間違い…じゃあ、ない…)

ゴゴゴゴゴ

千早(私が目にしたのは、ここにはあるはずのないものだった)

千早「どうして…? これは、あの時に壊したはず…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

千早(忘れるはずもない。あの、事務所を巻き込んだ大事件を引き起こしたきっかけとなった…)

千早(人間の眠っている力、才能を引き出し…『スタンド使い』を生み出す…)

千早「『弓と矢』…!!」

ゴゴゴゴゴゴ

40: 2014/04/04(金) 00:58:05 ID:O.CKnzec
…………

彩音「………」ス…

パーティ会場にいた彩音は、血の付いたティッシュを1枚拾い、それを持ったまま流し台の方に歩いて行く。

彩音「ダレも見てないわよね…」キョロキョロ

流し台に着くと、棚から新しいコップと、冷蔵庫からブラッドオレンジのパックを取り出した。

彩音「………」キラリ

安全ピンを取り出し、左手の人差し指に刺す。

彩音「いてっ…」プク…

傷口から、ぷっくりと赤い玉が膨れ上がっていく。

彩音「はぁ…コレ、もうちょっとなんとかならないもんですかね…メンヘラかっつーの」

41: 2014/04/04(金) 00:59:07 ID:O.CKnzec
右手に持ったティッシュの端を、中指と親指でつまんだ。

彩音「行け…」

スゥーッ

人差し指に浮かぶ血の球が、まるで磁石に吸い寄せられるかのように動き出す。

彩音「あの伊織とかいう人には、もうちょーっとイタい目にあってもらおうかしら」

親指からティッシュを辿り、血の付いた部分に辿り着くと、下に置いたコップに一滴、赤い雫が落ちた。

ドドドドド ドドド

彩音「アタシの…『ワールド・オブ・ペイン』でね」

42: 2014/04/04(金) 01:06:59 ID:O.CKnzec
本日分はこれで終了です。

最初に言っておくべきでしたが、二部は一部に比べるとオリジナル要素がさらに増えてくると思います。ご了承ください。
何か質問があればもちろん受け付けます。
HTML化後に第一部を読んでくださった方も、第一部でわからない点がありましたらどうぞご質問ください。

次回は多分4/10に投下します。

43: 2014/04/04(金) 01:09:16 ID:mDkxhVwQ
乙ー



To Be Continued...





引用元: 千早「『弓と矢』、再び」