1: 2014/10/23(木) 08:32:58.37 ID:qF/OgJIh.net
ーー私の名前は南ことり。またの名をスモールバード・サウザンド


今日も不覚を取り愚民共と至極退屈で下らない授業と言う名の牢獄に閉じ込められたが、
私の時空操作“タイムリープ”によって放課後を迎えることができた。感謝しろ愚民共め


穂乃果「ことりちゃーん!」タッタッタ


ことり「お前か。チッ一々うるさいやつだ」


穂乃果「一緒に帰ろー!」


ことり「フン、好きにしろ」

2: 2014/10/23(木) 08:34:30.01 ID:qF/OgJIh.net
穂乃果「やったぁ!じゃあさ駅前に新しくできたクレープ屋さん行こーよ!すっごくおいしいんだって!」


ことり「クレープ…だと?」ピクッ


ことり「くだらん、こ、この私がそんな低俗な菓子
を食う気にはならんな」


穂乃果「えぇー…」ガッカリ

3: 2014/10/23(木) 08:39:16.50 ID:qF/OgJIh.net
ことり「…しかしまぁお前がそこまで言うな」海未「だめですよ穂乃果。ことりも嫌がってるじゃないですか」


ことり「えっ」


穂乃果「海未ちゃぁ~ん」


海未「仕方ありませんね穂乃果は。私がついていきますから」


穂乃果「ほんとに?!やったぁ!」


ことり「」


穂乃果「じゃあね!次はことりちゃんも一緒にいこーね!!」


ことり「あっ…ちょ」


穂乃果「それでさーヒデ子ったらさー…」
海未「はいはいまたその話ですか…」



ことり「」

4: 2014/10/23(木) 08:43:08.93 ID:qF/OgJIh.net
ーーフッ、まぁいい。これで心置きなくヴァルハラ(南家)にもどり有意義な時間を過ごせるというものだ


私は忙しいのだ。そう。忙しいのだ


ことり「そう。忙しいのだ…」ブツブツ



子供「ねーお母さんあの人何か言ってるよー」母「しっ、見ちゃいけません」

6: 2014/10/23(木) 08:53:01.44 ID:qF/OgJIh.net
ーヴァルハラー


ことり「我命ずるは混沌の宴、開け煉獄の扉!」ガチャ


ことり「…ただいま」


理事長「あら、ことりおかえりなさい」


ことり父「クックック…よくぞ戻ったな我が半身よ」

7: 2014/10/23(木) 09:01:30.78 ID:qF/OgJIh.net
理事長「あなた」


ことり父「ごめんなさい」


これが私のお母さんとお父さん、じゃなかった。我が半身だ。
みなが言うにどうやら私は父に似ているらしい。もっとも私にその自覚はないのだが


理事長「ことりも、家の鍵を開ける時に変な事をいうのはやめなさいと言ってるでしょう」


ことり「変な事ではない。我が聖域に立ち入る際に下界の下卑た穢れを落とし、深淵の魔と契約しているのだ」


理事長「はぁ……」ギロ


ことり父「お風呂行ってくるね」

11: 2014/10/23(木) 09:55:02.55 ID:qF/OgJIh.net
ことり「私も部屋に行かせてもらう」


理事長「ことり、晩ご飯は?」


ことり「今宵は必要無い。先程深淵の魔から天使の方舟を頂戴した」


理事長「またアルフォートね。だめよお菓子ばかり食べてちゃ」

12: 2014/10/23(木) 09:56:40.42 ID:qF/OgJIh.net
ことり「お菓子ではない。天使の方」理事長「いい加減にしなさい」


理事長「そんなことばかり言ってるともう天使の方舟買ってあげないわよ」


ことり「…食べます」

14: 2014/10/23(木) 10:03:18.05 ID:qF/OgJIh.net
バタン


ことり「ふぅ…やはりこの空間が一番落ち着く」


ここは私の部屋。もとい、ルシファーズケイジ(堕天使の鳥籠)誰も立ち入ることのできない聖域だ。


ことり「着替えよっと」


そして唯一、私が南ことりに還れる空間でもあるのだ


ことり「あー今日も痛かったなぁ私」


ことり「皆私の事どう思ってるんだろう?」


ことり「やっぱ痛いとか思われてるのかなぁ…思われてるよね」



そう私は失敗したのだ



高校デビューに

17: 2014/10/23(木) 10:10:21.52 ID:qF/OgJIh.net
リビング


ことり「」モグモグ

理事長「…」

ことり「…どうした?顔色が優れないようだが」

理事長「ことり、あなたちゃんと勉強はしているの?友達は?最近穂乃果ちゃん達ともあまり遊んでいないみたいだけれど」

ことり「心配ない。」

理事長「…」

理事長「ことり、あなたーー」

ガチャ
ことり父「お風呂でたよ」

理事長「…チッ」

ことり父「えっ、ごめん」

19: 2014/10/23(木) 10:17:52.09 ID:qF/OgJIh.net
ことり「御馳走様。」

理事長「ちょっと、ことり!待ちなさい!」

ことり父「晩御飯は?」

理事長「…」

ことり父「ばんごはん」

理事長「…チッ」

ことり父「」

21: 2014/10/23(木) 10:27:52.18 ID:qF/OgJIh.net
バタン

【ルシファーズケイジ】

ことり「心配ない…か」

ことり「いつからこんなになっちゃったんだろ」

ことり「ほんとは穂乃果ちゃんや海未ちゃんとお買い物行ったり、おいしいもの食べに行ったり」

ことり「昔みたいに。。したい、なぁ」

ことり「ごめんね。お母さん…あとお父さん」

ことり「なんだか疲れちゃったな…」

ことり「……スースー」

26: 2014/10/23(木) 15:10:45.15 ID:qF/OgJIh.net
翌朝、いつものように登校する。

同じ時間に起き、同じ通学路を歩く。

変わらない。何も。



校門へ伸びる坂を歩いている途中、誰かが疲れきった私の背中を力いっぱいに叩く。


振り返らずともわかる。穂乃果だ。


穂乃果「おっはよー!ことりちゃん!!」

ことり「ハノケチェ…コホン。全く朝から五月蝿いやつだ…お早う」

穂乃果「ことりちゃん!スクールアイドルだよ!スクールアイドル!!」

ことり「スクール…?なんなのだそれは」

27: 2014/10/23(木) 15:12:45.31 ID:qF/OgJIh.net
穂乃果「知らないの?今すっごく流行ってるんだよ!!」

ことり「知らんな。俗世に興味等無い」

穂乃果「まーたそんな事言うー」プクー

穂乃果「見て見て!この雑誌の女の子!この子たちみーんな私たちと同じ高校生なんだよ!」

ことり「」チラッ

ことり「フン、何事かと思えばそんな事か」

ことり「言ったはずだ。俗世に興味は無いと。俗物に興味は無いと。じゃあの」

スタスタ

穂乃果「ことりちゃん…」

海未「…」

28: 2014/10/23(木) 15:24:18.35 ID:qF/OgJIh.net
海未「穂乃果」

穂乃果「海未ちゃん。えへへ…穂乃果またことりちゃんの事怒らせちゃったかな?」

海未「…」

海未「そんな事ありませんよ」

海未「きっとことりも興味を持ってくれた筈です」

海未「ことりは昔から可愛い衣装や物が好きでしたから」

穂乃果「うん…。」

31: 2014/10/23(木) 22:33:48.25 ID:qF/OgJIh.net
海未「それに」

海未「今もきっと好きな筈です」

穂乃果「どうしてわかるの?」

海未「ことりをよく見ていればわかります」

海未「この前も1人放課後の教室で可愛いマフラーの裁縫しているのを見たんです」

穂乃果「…!!」

32: 2014/10/23(木) 22:36:50.36 ID:qF/OgJIh.net
海未「何も変わっていませんよ。ことりは」

穂乃果「そっかぁ。そうだよね!ありがとう海未ちゃん!」

海未「いえ」ニコッ

穂乃果「じゃあ海未ちゃんはスクールアイドルに興味あるって事だよね!!」
海未「えぇっ!どうしてそうなるんですか!私は…別に」

36: 2014/10/24(金) 06:43:11.24 ID:4YveMZ19.net
ことり「…またやっちゃった」

本当に言いたい事が言えない。言えたとしてもそれは本音の一歩手前。
こんな生活がもう二年も続いている

ことり(スクールアイドルか…雑誌の女の子可愛かったなぁ)


今更、何を変えようと、何故変わろうと言うんだ


違う。本音を言うなら、言えるなら


私はーーー

37: 2014/10/24(金) 06:49:48.38 ID:4YveMZ19.net
放課後


今日も何事もなく1日が終わる


授業中は聞いてるふり。休憩中は寝ているふり。


私は一人歩く


何も変わらないいつもの帰り路を



校門を出ようとしたその時

「ことりちゃーーーん!!」

38: 2014/10/24(金) 06:50:46.60 ID:4YveMZ19.net
全く、今度はなんなのだ。と思う反面
こんな私に声をかけてくれる事がとても嬉しいのは秘密だ。

穂乃果「ことりちゃん!一緒に帰ろ!」ハァハァ

穂乃果ちゃんは随分息を切らしている。余程私を探してくれていたのだろう

ことり「昨日も言ったが勝手にしろ。だが私の邪魔をするようなら話は別だ。こうしている間にもカノッサ機関が私を(ry」

穂乃果「うん!悪い人達に狙われてるんだよね!」


ことり「フン、解ればいい」

39: 2014/10/24(金) 07:19:03.81 ID:4YveMZ19.net
毎日毎日これほどまでに邪険に扱われても尚、私に声を掛けてくる穂乃果ちゃんが不思議で仕方ない。

下校しながら話をした。取り留めもない話、他愛もない話、今朝少し話したスクールアイドルの話。

穂乃果ちゃんと帰る事は今でも度々あるが、今日はとても充実していた。なんでだろう

それは多分、スクールアイドルの話をしたからに他ならない

でも私は穂乃果ちゃんの好意の誘いを素直に受け入れる事ができない

自分を繕うために作った壁に自分が悩まされる


皮肉なものだ

40: 2014/10/24(金) 07:43:33.43 ID:4YveMZ19.net
ーヴァルハラー


ことり「汝、永久の安息を得る時蠢く魔の祝福を賜らん!」ガチャ


ことり「…ただいま」

理事長「ことり、おかえりなさい」

ことり父「今のかっこいいね。後で教えてね」

理事長(こいつ…)

41: 2014/10/24(金) 07:46:03.12 ID:4YveMZ19.net
理事長「夕飯作るわね」

ことり「…今日の私は酷く疲れている。悪いが今日は一人にしてくれ」

理事長「ことり…」

ことり父「さっきの呪文LINEで送って」

理事長「お前ちょっと表出ろ」

48: 2014/10/24(金) 14:36:42.69 ID:4YveMZ19.net
>>42
サウザンドにした方がかっこいいからってことりちゃんが言ってた

>>45
そっちの方がよかったな…



【ルシファーズケイジ】

バタン


ことり「疲れたぁ」ベッドダイブ

今日はなんだか食欲が湧かないなぁ。久しぶりにいっぱいお話して疲れちゃったかな?

……お父さんにLINEしてあげよっかな

ことり「ん?」

LINEにメッセージが来てる。

ことり「穂乃果ちゃんだ」

49: 2014/10/24(金) 14:46:53.73 ID:4YveMZ19.net
穂乃果『ことりちゃん!今日は久しぶりにいっぱいお話できて穂乃果すっごく楽しかったよ!!』


ことり「ふふ。私も楽しかった」


穂乃果『それでね、スクールアイドルの話本気で考えてみて欲しいんだ。海未ちゃんも引き受けてくれたから三人でやってみたいって思ってるんだ!』


ことり「あの恥ずかしがり屋の海未ちゃんが?」


穂乃果『でもまだ具体的な事は何も決まってなくて…エヘヘ 楽しくできればいいなって!また私達三人で!昔みたいに!』


ことり「穂乃果ちゃん…」

昔みたいに、か。嬉しいな…凄く嬉しい

50: 2014/10/24(金) 15:16:17.34 ID:4YveMZ19.net
ことり「お返事どうしよう?」

ほんとは私もやりたいけど…言えないなぁ


ことり「」ポチポチ 送信


ことり『考えておく。』 既読 ピッ


ことり「既読はやっ」

51: 2014/10/24(金) 15:49:17.36 ID:WGKt3RCS.net
既読はやにワロタ

64: 2014/10/29(水) 09:28:31.65 ID:Y2AGuJnW.net
翌朝

いつもより少し遅れて目を覚ます

理事長「おはよう、ことり」

ことり父「…おはよ」

ことり「お早う」

リビングに降りると母と、左頬が手のひらの形に赤く腫れた父が朝食を摂っている

その事には触れずに私も席に着き朝食を摂り始める



理事長「そういえばもうすぐ文化祭ね」

65: 2014/10/29(水) 09:35:02.24 ID:Y2AGuJnW.net
ことり「……」

理事長「ことりのクラスは何をするのかしら?」

ことり「知らんな。興味がないんでな」

理事長「…そう」

ことり父「…」モグモグ

言ってみるか?スクールアイドルの話
普段家族に相談どころか、碌に話もしなくなった私がこんな事を言い出すのは
どんな反応をされるか少し、いやかなり怖いが

ことり「そうだ、少し話があるんだk」ことり父「おかわり」

ことり「」

66: 2014/10/29(水) 09:36:15.92 ID:Y2AGuJnW.net
ことり父「? ご飯おかわ」理事長「話って?」

ことり「…いや、気にするな。大したことではない」

理事長「…そう」

ことり父「あの、おか」ことり「ご馳走様。行ってくる。」カチャ

理事長「あら、もういいの」

ことり「ああ」スタスタ

ことり父「……」


ことり父「お」理事長「さて、と私も用意しようかしら」カチャ スタスタ

ことり父「……かわり…」ポツン

67: 2014/10/29(水) 09:43:17.14 ID:Y2AGuJnW.net
まぁ話したみたところで答えが出るはずもない

でも誰かに背中を押してもらわねばイエスかノーかも言えない

私はここまで弱い人間だったろうか



壁は、知らない内に厚みを増しているのかも知れない。

70: 2014/10/29(水) 14:58:15.37 ID:Y2AGuJnW.net
ガチャ

穂乃果「…あっ!おっはよ!ことりちゃんっ!」

玄関の扉を開けると穂乃果ちゃんと海未ちゃんが家の前にいた

海未「おはようございます。ことり」

突然の事に少々面食らう

ことり「…貴様ら。どうしたこんな朝早く」

穂乃果「いやー久しぶりに三人で登校したいなって!」

海未「私が穂乃果を誘ったんです。ことり…迷惑でしたか?」

ことり「……構わん」

穂乃果海未 「!」パァー

ことり「わ、笑うな!なにがおかしい。いくぞぐずぐずするな」

穂乃果「うん!」海未「はい!」


理事長「あの子たち……ふふ、ありがとう…」

71: 2014/10/29(水) 15:18:55.53 ID:Y2AGuJnW.net
穂乃果「ほんと久しぶりだねー!三人で一緒に登校するの!」

海未「えぇ、ほんとに。なんだか懐かしさすら覚えますね」

ことり「…そうだな」


約二年ぶりだろうか。三人で一緒に登校するのは

中学3年の時、音乃木坂学院に入学が決まり高校デビューをすると決めたその日から
この厨二病キャラ作りのため
穂乃果ちゃんと海未ちゃんの誘いを一切受けないようになったのも同時期だ

72: 2014/10/29(水) 15:20:25.37 ID:Y2AGuJnW.net
海未「ことり、聞いてください。穂乃果ったらことりの家に来る途中何度もあくびをするんです」

穂乃果「ちょ、海未ちゃん?!」

海未「わけを聞くとどうやら、ことりと一緒に登校するのが楽しみで眠れなかったとか」

穂乃果「もー何で言っちゃうのー!」

海未「遠足を前日に控えた小学生じゃないんですから」

穂乃果「そういう海未ちゃんだって今日はいつもより1時間も早く目が覚めたーって言ってたじゃん!」

海未「穂乃果!!どうしてそれを言うんですか!」

穂乃果「先に言ったの海未ちゃんじゃーん!」

海未「穂乃果が悪いんですよ!だいたいあなたは…!」


ことり「……ふふっ」


穂乃果 海未「!」

77: 2014/10/31(金) 17:38:54.20 ID:8CxYGnjy.net
穂乃果「こ、ことりちゃーん!そんなに笑わなくたっていいじゃん!」

ことり「笑ってなんかない!ただその…貴様らは相変わらずだなぁと思っただけだ」

穂乃果「なにそれー!なんかひどーい!先に言った海未ちゃんが悪いのにー!」

海未「ま、またあなたはそんな事を言って!」

ことり「……ふふっ」


ことり「さ、喧嘩はそこまでにするんだ。遅れるぞ」

穂乃果「は~い」チェッ
海未「すみません…」シュン

78: 2014/10/31(金) 17:41:49.97 ID:8CxYGnjy.net
いつもなら、肩を目線を落として一人で歩いている通学路がとても楽しい時間になった

思えば中学の頃は毎日こんな朝があったのだ


穂乃果「あ、信号変わっちゃう!」タタッ


あの頃のように三人で笑って、喧嘩して、仲直りしてまた笑って過ごしたい


海未「ちょっと穂乃果!危ないですよ!」


もう迷う事はない。


穂乃果「ことりちゃんもはやく~!」
海未「ことり!気を付けて下さーい!」


差し伸べられた手を握る。それだけだ


ことり「……」


ことり「…うん!」タタッ



私の中で何かが大きく動き始めた



† chapter 1 ~終焉と胎動と~† END

79: 2014/10/31(金) 17:44:52.23 ID:8CxYGnjy.net
chapter 1 としましたが一応これで完結とさせていただきます

レスをくれた方、読んでくれた方本当に有難うございました

80: 2014/10/31(金) 19:46:05.14 ID:FylFdzqU.net
えっなに聞こえない

81: 2014/10/31(金) 21:11:29.49 ID:+1E4iG/u.net
明日から第二部ね、なるほど。

引用元: ことり「邪鬼眼」