あかね「今度はアールグレイを淹れてみたわ」

あかね「あ、お茶菓子を忘れちゃったわ。あかり、居間に置いてあるクッキーを取ってきてくれないかしら？」

あかり「はーい」

ちなつ（そして私と二人きりで話をしたがってる）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

ちなつ「お、お手洗いかります！」

あかね「あらあら」ﾆｺﾆｺ

あかり「お姉ちゃん、もうそろそろ寝る時間だよぉ」

あかね「ずいぶんとお邪魔しちゃったわね。ごめんね、ちなつちゃん？」

ちなつ「い、いええ……そんな」

あかね「今度、ゆっくりお話しましょうね？」ﾎﾞｿ

ちなつ「」

あかり「？」

あかね「それじゃあ二人とも、お休みなさい。お姉ちゃん、部屋に戻るわね」

PM10:00

ちなつ「でね？　そのとき結衣先輩が――」

あかり「うん……」ｳﾂﾗｳﾂﾗ

ちなつ（あ、つい調子に乗っちゃった。でも話の途中で寝るなんて、あかりちゃんって本当子供みたい）

あかり「すー……」zzz

ちなつ（座ったまま寝るなんて器用だなあ）

ちなつ（そーっとベッドに寝かせて……しかしマジで軽いなあかりちゃん。畜生）

ちなつ「おやすみなさい、あかりちゃん」

ﾁｭｯ

あかり「えへへ……」zzz

通学路

あかり「京子ちゃん、結衣ちゃんおはよー！」

京子「ｱｯｶﾘｰﾝ！ちーなつちゃーん！」　結衣「おはよう、あかり、ちなつちゃん」

ちなつ（あかりちゃんは、あかりちゃんの家ではキスの練習をしないって言ったけど）

ちなつ（本当は違う。最近はもうずっとご無沙汰してる）

ちなつ（ご無沙汰って///）

ちなつ（もうそういう関係で倦怠期みたいじゃない！　まだ違うの！）

ちなつ（まだ、って///）

京子「ちなつちゃん？」

結衣「おーい、どうしたの？」

ちなつ（初めのうちはあかりちゃんをいじるのが楽しくてやってたけど）

ちなつ（最近は……あかりちゃんの顔を正面から見れない）

ちなつ（幸いあかりちゃんは寝るのが早いから、ゆうべみたいに練習はできるけど）

ちなつ（そう、練習よ、練習……）

あかり「ちなつちゃん、また夜更かししてたのかなあ？」

結衣「えっ、どういうこと？」

京子「あかり、まさか私のちなつちゃんに！？」

あかり「え、なにもしてないよ！？　でもちなつちゃんとお泊りした後、ちなつちゃんよく眠そうにしてるかなぁ」

あかり「あかりは先に寝ちゃうから分からないよ」

結衣「あかりは寝るの早いよね」

ちなつ「……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

あかり「ちなつちゃん、やっぱりあかりの家のお布団は合わないのかな？」

ちなつ「……」

結衣「でもちなつちゃんも、普段はそんなに夜更かししないんでしょ？」

ちなつ「……」

京子「ちなちゅー！　私の胸で存分に眠ってくれー！」ｸﾞﾜｧ

ちなつ「は？」ﾊﾟｼﾝ

京子「……」

結衣「京子……」ﾎﾟﾝ

ちなつ「あ！　ご、ごめんなさい結衣先輩！　ちょっとボーっとしてて！」

結衣「いいよいいよ。でも、夜は早く寝ないと朝たいへんだよ？」

ちなつ「うう……気をつけます」

あかり「ちなつちゃん、無理しなくていいんだよ？」

ちなつ「だから無理なんかしてないってば！」

京子「」ｶﾞｰﾝ

ちなつ「ほら、京子先輩もさっさといきますよ！」

京子「！　おう！」ﾊﾟｧｧ

ちなつ（結衣先輩は素敵。かっこいい。うん、間違ってない）

ちなつ（結衣先輩と恋人同士///――になったとき、ロマンチックなキスをするために）

ちなつ（あかりちゃんでキスの練習をする）

ちなつ（うーん。間違ってない。さっすがチーナ）

ちなつ（……そういえば、あかりちゃんも誰かとキスしたいとかってあるのかな）

ちなつ「」ｽﾞｷ

ちなつ（……あれ？）

ちなつ（待って待って、落ち着くのよチーナ）

ちなつ（結衣先輩と京子先輩がｲﾁｬｲﾁｬしてるところをイメージよ）

京子『結衣ー腹減ったー』

結衣『ははは。京子のくいしんぼうめ。今日はラムレーズンのソテーにラムレーズン添えだぞー！』

京子『うめー！　ラムレーズンうめー！　ついでに結衣もいただいちゃうぞー！』

結衣『ははは。京子のいやしんぼうめ』

ちなつ（よし、しっかり殺意の波動に目覚めるチーナ。大丈夫。ゆるゆり見てから大事件余裕よ！）

ちなつ（じゃあ、あかりちゃんが京子先輩とｲﾁｬｲﾁｬしてるところは？）

ちなつ（……）ﾕﾘﾕﾘ

ちなつ（……どうして、泣きたくなるの？）

ちなつ（わからない、わからないよ……）

後日、赤座家

あかり「ちなつちゃん、今日もキスの練習しないの？」

ちなつ「あー……そう、うん。ちょっと口内炎がひどくて！　痛くて！」

あかり「あはは……それなら仕方ないかな。」

あかり「……もうあかりじゃなくても大丈夫、ってことなのかな？」ﾎﾞｿ

ちなつ「え？」

あかり「なんでもない！　……ちなつちゃんも夜更かししちゃだめだよ？　ごめん、あかり先におやすみするね」

あかり「……」

ちなつ「……」

ｺﾝｺﾝ

ちなつ「失礼します。あかりのお姉さん、起きてますか？」

あかね「あら、ちなつちゃんどうしたのかしら。眠れないの？」

ちなつ「その……ゆっくり、お話をしようと思いまして」

あかね「……」

あかね「そうね。少ししたら居間へ行くから、先に行っててくれるかしら」

ちなつ「わかりました」

あかね「あ、それと。あかねでいいわよ」

ちなつ「……はい、あかねさん」

あかね「ホットミルクで良かったかしら。冷えるといけないから、これも羽織っておきなさい」

ちなつ「わ。ありがとうございます」ｽﾞｽﾞ

あかね「ちなみにそれ、あかりのコップとあかりの上着よ」

ちなつ「」ﾌﾞﾊﾞｯ

あかね「ふふっ」

ちなつ「げほっ、す、すいませ、げほっ」

あかね「落ち着きなさい。取って食おうってわけじゃないのよ」

あかね「それで、話って何かしら？」

ちなつ「――あかねさんが、あかりちゃんの事を大好きなのは知ってます。妹だから、だけじゃなく、それ以上の意味で」

あかね「……」

ちなつ「あ、もちろん誰にも言ってませんし、悪いことだとも思いません！」

ちなつ「私にもお姉ちゃんがいますけど、お姉ちゃんがそんな風に私のことを思ってくれてたら」

ちなつ「やっぱり幸せだと思います」

ちなつ「だから、あかねさんに相談したいんです」

あかね「相談？」

ちなつ「私、好きな先輩がいるんです」

ちなつ「でも、なかなか告白できなくて。それであかりちゃんによく話を聞いてもらってたんです」

ちなつ「あかりちゃんはいつでも話を聞いてくれて、私はとても嬉しかった」

ちなつ「それなのに私はあかりちゃんをからかうようなことばっかりして」

ちなつ「その……キ、キスの練習だとかいってファーストキス奪っちゃったり」

ちなつ「あかりちゃんを傷つけるようなことばっかりして」ﾎﾟﾛ

ちなつ「あかりちゃんに、き、嫌われちゃうよなこと……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あかね「ちなつちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

ちなつ「うう、ううぅぅー！」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あかね「あかりはね。そんなことでちなつちゃんのことを嫌いになったりなんかしないわ。ちなつちゃんはあかりのこと、嫌い？」

ちなつ「ち、ちがっ！　違います！」

あかね「ならだいじょうぶ。あかりを小さい頃から見てきたんだもの。根拠はないけどだいじょーぶ。ふふ」

あかね「ただあの子は、気が利くのにすごく鈍感なところがあるから。だから、ちなつちゃんがあかりのことをどう思ってるのか、ちゃんと伝えてあげて。ね？」

ちなつ「でもそれじゃ、あかねさんは……？」

あかね「私はいいのよ。だって家族だもの。あかりが幸せなら、私も幸せなの」

あかね「だから、ね？」

ちなつ「……はい」

ちなつ「……」

ちなつ「……よし！」


　・
　・
　・





あかり「え、最後の練習？」

ちなつ「そうよ！　あかりちゃん、私に勇気をちょうだい！」

あかり「え……っていうことは、結衣ちゃんに告白するの！？」

ちなつ「あかりちゃんはそんな事考えなくていーの！　さぁほらほら、おとなしくしなさい！」　ｼﾞﾘｼﾞﾘ

あかり「ひぃぃぃ！？　な、なんかすごい迫力だよぉ！？」



ﾁｭｯ



あかり「」

ちなつ（……行ってきます、あかりちゃん！）

あかり「ハッ」

あかり「……気を失ってたよぉ」

あかり「なんかものすごい吸引力で色々と吸い取られた気がする」

あかり「……」

あかり「……ちなつちゃん、行っちゃったんだ」

あかり「結衣ちゃんとちなつちゃん、上手く行くといいなぁ」

あかり「二人ともお似合いだもんね！」

あかり「いまごろ、二人でキスとかしてるのかな？　ちなつちゃん上手くやれてるかな？」

あかり「大丈夫だよね！　ちなつちゃんは今までいっぱいキスの練習してきたし！」

あかり「最後の練習、すごかったなぁ……」ｱﾊﾊ

あかり「あんなのキスじゃないよぅ」

あかり「顔までぴったりつけてきて、窒息するところだったよ！」ﾌﾟﾘﾌﾟﾘ

あかり「……」

あかり「これからは、気軽にちなつちゃんとお泊りできなくなっちゃうのかな」

あかり「ちなつちゃんの相談に乗ってあげたり」

あかり「でも相談だなんていって、ほとんど結衣ちゃんの話だったよね」

あかり「ちなつちゃんなら大丈夫だよ、ね」

あかり「……」

あかり「あんなキスが最後だなんて、嫌だよ……」ｼﾞﾜ

あかり「考えちゃだめ考えちゃだめ。結衣ちゃんとちなつちゃんが幸せなら、あかりも幸せなの！」

あかり「あかりはただの、練習だったんだから……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

あかり「ちなつちゃん……」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ







ちなつ「あかりちゃん！！」

あかり「……え？」

ちなつ「練習は終わりました！」

ちなつ「いまから！　本番を！　はじめたいと思います！」



ちなつ「――チーナいきます！！」



あかり「！？」

ちなつ「あかりちゃんそこ動かないで！」

あかり「え？　え！？」

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

ｶﾞｼｯ

ｽﾞｼｬｱｱｱ

あかり「ひゃああ！？」

あかり「ち、ちなつちゃん？　結衣ちゃんに告白したんじゃ」

ちなつ「あかりちゃん」

あかり「ふぇ？」

ちなつ「ごめん。もう泣かせない。大好き」

あかり「ん――！？」


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京子「で、まだ部室はいっちゃ駄目なの？」

結衣「うん。もう少しだけ、ね」

京子「そういってからもう一時間も経つじゃないかー！」

結衣「ラムレーズン後で買ってあげるから。今だけはホントに駄目」

京子「ていうか中なからあかりとちなつちゃんの声がするんだけど」

結衣「そう？　私はきこえないけどなあ」

京子「まさか、あかりとちなつちゃんが――！？」

京子「いや、それはないかー」ｱｯﾊﾊ

結衣「ふふ……」



おわり！

綺麗だ、乙

ぐたいてきなぬればはかんべんしてくださいかいたことないです

稚作にお付き合いいただき、ありがとうございました。
支援助かりました。

ちなあか、ちなあか！