1: 2015/06/29(月) 02:19:59 ID:X9FLjNLI
魔王「魔力が尽きたわ…ワシの負けじゃ」

2: 2015/06/29(月) 02:21:54 ID:X9FLjNLI
オークA「ぐへへ…」

オークB「ようやく魔力が尽きたか」

オークC「魔法を連発させるため、何匹かの同胞が犠牲になったが…ようやくか」

オークA「お楽しみタイムの始まりだ…!」

3: 2015/06/29(月) 02:24:41 ID:X9FLjNLI
ふん…ケダモノどもめ。

ワシが勇者に負け、落ちぶれたとたんにこれじゃ。

まぁ、弱肉強食の世界じゃからのぅ…仕方あるまいて。

しかし、悲しいのぅ。

こんな下級魔族に輪姦されるとは…

4: 2015/06/29(月) 02:26:39 ID:X9FLjNLI
オークA「ぐへへ…」

オークB「…で」

オークC「うん?」

オークB「ここからどうすればいいんだ?」

オークC「む…」

オークA「実は俺達、童Oだから…この先を知らんのだよなぁ」

魔王「…」

ハァ

5: 2015/06/29(月) 02:31:33 ID:X9FLjNLI
魔王「やれやれ…犯さぬオークに何の価値があるというのか…こんなんだから、最近の女騎士はやたらと強いのか」

そう、ワシは勇者に負けたというより

勇者の仲間である女騎士に負けたようなものである。

こいつらオークが犯して戒めぬから調子づきおる。

女騎士は犯して弱らせるのが世の常である。

6: 2015/06/29(月) 02:35:05 ID:X9FLjNLI
オークA「そ、そんな事いわれても」

オークB「今時の女騎士は強いんですぜ?」

オークC「んだんだ」

オークA「Amazonとか通販でやたら強力な装備をそろえているし…」

なんじゃと。

ワシが負けたのはAmazonのせいか…

ネットの普及でKonozamaじゃよ!

7: 2015/06/29(月) 02:38:47 ID:X9FLjNLI
魔王「もうよい。で、もう犯すつもりはないのじゃな?」

オークA「うむ…実をいうと俺達そんなに性に飢えてないですし」

オークC「彼女いるし」

オークB「俺も」

オークA「俺も。二人いる」

魔王「くっ、リア充どもめ!」

8: 2015/06/29(月) 02:40:47 ID:X9FLjNLI
オークA「なんていうか、ノリ?」

オークC「んだんだ」

魔王「貴様ら…落ちぶれたとはいえ魔王であるワシをノリで襲うのか…」

オークB「フヒヒwwwサーセンwww」

9: 2015/06/29(月) 02:44:50 ID:X9FLjNLI
オークB「それに、同胞も大した怪我じゃないですし」

魔王「まじか…割と本気の魔法じゃったが…」

オークA「申し訳ないっすけど、相当弱くなってますね」

オークC「魔法の威力も魔力の貯蔵量も、かなり少ないんじゃないっすか?」

魔王「うむ…今や全盛期の一割もないのぅ…」

10: 2015/06/29(月) 02:48:47 ID:X9FLjNLI
オークC「大変っすね」

魔王「うむ。貴様らのような輩がいるからのぅ!!」

オークA「うっ」

オークB「すいませんってばぁ」

魔王「まぁよいわ…」

オークA「それで、これからどうするんですかい?」

魔王「さて、どうするかのぅ…」

13: 2015/06/29(月) 07:50:58 ID:X9FLjNLI
魔王「今のワシでは貴様らオークとでさえ対等に戦えぬ…それほどまで落ちぶれておる」

オークA「魔王様…」

魔王「ワシはそもそも人間界に悪さをした覚えがないんじゃがのぅ…魔族、魔王というだけで忌み嫌うのが人間か…」

オークB「俺達も人間とは割とうまくやってるもんなぁ」

オークC「んだんだ」

オークA「女騎士も無理矢理襲ったりしないもんな」

オークB「合意を得て襲ってるし」

魔王「真面目か!」

15: 2015/07/04(土) 23:50:14 ID:85DQPd/I
魔王「まぁよいわ…ワシはこれから魔力を取り戻す旅にでる」

オークA「へぇ」

魔王「魔力を取り戻し…平和に暮らす」

オークB「え…勇者にリベンジとかしないんですかい?」

魔王「無理じゃよ…いや、無理じゃよ…」

オークC「二回言うくらい無理なんすか…」

魔王「もうね、のどかな地で畑仕事しながら、牛とか鶏飼いながら暮らしたい」

16: 2015/07/04(土) 23:54:31 ID:85DQPd/I
オークC「そうですかい…」

魔王「いずれ実力のある魔物が次の魔王を名乗る…魔界は、まぁなんとかなるじゃろう」

オークA「平和主義な魔王だといいですねぇ…俺達、今の魔界が好きなんですよ」

オークC「んだんだ」

オークB「人間とはうまくやってるしな」

オークC「俺、彼女とは別に女騎士のセフレ三人いるし」

オークA「うらやま」

魔王「うらやま」

17: 2015/07/04(土) 23:58:20 ID:85DQPd/I
魔王「まぁなんだ、大丈夫じゃろう。知らんけど。ではワシは行くぞい」

テクテク

オークA「お達者で…」

魔王「うむ、おまえらもな…」

魔王「…いや、よく考えたらおまえらリア充じゃろ。むかつくんじゃ!爆発しろ、リア充爆発しろ!バーカバーカ、禿、チンカス!百回氏ね!バーカバーカ!」

ダッダッタ…

オークA「うわぁ…悪口言うだけ言って走ってったよ…」

18: 2015/07/05(日) 00:12:29 ID:cIM/DK86
魔王は走った。

息を吐く度に胸は痛み

いつの間にか頬には涙が伝い

自分でも気づかぬうちに叫んでいた。

リア充爆発しろ、と。

魔王「ワシも…ワシもいつの日にか…」

その先の言葉は出てこない。

いつの日なんて日は

いつまでも、来ない。

19: 2015/07/05(日) 00:14:46 ID:cIM/DK86
おそらく自分は

野菜や家畜に囲まれ

穏やかに余生を過ごすだろう。

消えかけの命の火が

ちりちりと弱くくすぶり

そっと終わりを迎える。

それが自分の結末。

魔王は、それを自覚していた。

20: 2015/07/05(日) 00:17:48 ID:cIM/DK86
嫌だ、なんて我が儘は通らない。

老いた者は皆、そうであることが当たり前だと

それが自然の摂理だと

分かっていると言い聞かせ

だが、しかし、と

無意味な反論をし

やはり、ふりだしに戻る。

魔王「…若さが欲しい」

それは最後に零れ出た

絞りかすのような言葉であった。

21: 2015/07/05(日) 00:21:30 ID:cIM/DK86
魔王「魔力などいらん…若さが…溢れ出る若さが欲しい…」

魔王「かつての肉体の張りが!かつての純真さが!かつての無謀さが!」

魔王「欲しい…もう一度、青春を謳歌したい…何故だ…何故叶わぬ?長きに渡り魔界を治めてきたワシじゃ…たったそれくらいの願いが…何故叶わぬ?」

22: 2015/07/05(日) 00:24:30 ID:cIM/DK86
魔王「何故じゃ…」

ヒュッ

ザクゥッ

魔王「ぐぅっ…!?がはっ!」

槍が、魔王の心の臓を貫いた。

衰えた魔力では、治癒さえままならないだろう。

はっきりしている事、それは

魔王は、もうすぐ氏ぬという事。

23: 2015/07/05(日) 00:28:05 ID:cIM/DK86
槍を投げたのは誰か?

人間か?魔物か?

あぁ、どうでもいい。

どうだっていい。

だって魔王は、氏ぬのだ。

氏ぬべくして、氏ぬのだ。

魔王「あ…あぁ…魔力が…若さが…ワシは…あ…ぁぁ、ぁ…」

ぶつり、と

まるでテレビの電源を落とすかのように

ぶつり、と。

それっきり

それっきりである。

魔王と呼ばれた生き物のすべては

それっきりである。

24: 2015/07/05(日) 00:30:47 ID:cIM/DK86
それでも世界は変わらない。

相変わらず地球は回るし

太陽は昇り、そして沈む。

季節は巡り

命は尽き、命は生まれる。


まるで魔王なんてものが

いても、いなくても

どうだってよかったかのように…

【完】

25: 2015/07/05(日) 06:26:36 ID:vbblhk0Q
いつになく諸行無常の余韻

引用元: 魔王「くっ、ここまでか…」