6: ◆5O/A9uxXpSAG 2012/05/27(日) 18:31:41.93 ID:nUFrAkpDO
~バルクホルンとエーリカの部屋~
エーリカ「エーリヒ?エ~リヒ~?」カチャゴソ
ゲルト「どうしたフラウ?」バタン
エーリカ「あ、トゥルーデ!私の使い魔知らない?」
ゲルト「使い魔だと?……お前まさかそこまでn「いや違うよ?無くしてないからね?」
7: 2012/05/27(日) 18:32:30.94 ID:nUFrAkpDO
エーリカ「幾らなんでも荷物には埋まらないよ~!私の使い魔だもん」
ゲルト「判らんぞ?お前が寝ている間に山が崩落していたらだな」
エーリカ「……どうしよ、三個くらい崩れてる」
ゲルト「嘘だろ……」
8: 2012/05/27(日) 18:33:37.77 ID:nUFrAkpDO
ゲルト「ならば気配はしないのか?気配は」
エーリカ「……しないや」
ゲルト「……」
エーリカ「……エーリヒ氏んじゃってないよね?」
ゲルト「はぁ……捜すの手伝うか?」
エーリカ「お願~いトゥルーデ!私、こっち捜すからさ!」
ゲルト「全く世話の掛かるエース様だな……」
9: 2012/05/27(日) 18:34:20.38 ID:nUFrAkpDO
~廊下~
エーリヒ「……」コソ
エーリヒ「……ぅ」サササ
シャーリー「ん、今のは……ハルトマンの?」
宮藤「シャーリーさん!」タタッ
10: 2012/05/27(日) 18:35:05.60 ID:nUFrAkpDO
シャーリー「おう、宮藤どした?そんなに慌てて」
宮藤「兼定知りませんか?私の使い魔の」
シャーリー「あのちんまいのか。知らないな~」
宮藤「そうですか……」
シャーリー「ごめんよ~力になれなくて」
11: 2012/05/27(日) 18:35:53.11 ID:nUFrAkpDO
宮藤「大丈夫です。たまにはブラッシングしてあげようかなぁって思ったんですけど」
シャーリー「ふーん。さっきハルトマン中尉の奴なら見掛けたぞ」
宮藤「へぇ~どうしたんでしょうかね?」
シャーリー「わっかんないなぁ私には。……あり?」
12: 2012/05/27(日) 18:37:24.97 ID:nUFrAkpDO
宮藤「まさか?」
シャーリー「私のも居ないぜ……」
シャ宮「「……」」
シャーリー「ま、どっかで遊んでんだろ!グレニスは大人しいからよく連れられてっちまうし!」
宮藤「そうですね!兼定も風来坊なタイプですから!」
シャ宮「「あっははは!」」
13: 2012/05/27(日) 18:38:26.49 ID:nUFrAkpDO
~廊下?~
エーリヒ「わん……わん!」バン
ガチャン、パカ♪
エーリヒ「がう!」タン
ヒュルルルル
パタン……
14: 2012/05/27(日) 18:40:26.88 ID:nUFrAkpDO
~基地地下~
エーリヒ(あらよっと!)シュタ
エーリヒ(ここは相変わらずひんやりしてて気持ちいいぜ)
エーリヒ(んで確か右……か)
エーリヒ(やっぱクラヴァッテ辺りに連れてきて貰った方が楽っちゃ楽なんだよな~)
15: 2012/05/27(日) 18:41:04.62 ID:nUFrAkpDO
~突き当たりの部屋~
オンブラ(おっそいよ~エ~リヒ~?パスタならダルンダルンのグデングデンだぜ~)
エーリヒ(グダグダはお前んとこかペギーの飼い主だろ)
ペギー(ひっどいわ~!イッルはそんなんじゃないわよ!)
リディア(実際そう)
ペギー(あれは流されやすいだけなの!)
16: 2012/05/27(日) 18:43:22.92 ID:nUFrAkpDO
クラヴァ(揃ったから始めたいが……いいか?)
エーリヒ(おう、すまんすまん)
グレニス(どうぞ)
ブービ(オイラはいつでも~)
クラヴァ(それでは『使い魔の定例座談会』を始める!)
一同(はーい!)
17: 2012/05/27(日) 18:44:09.38 ID:nUFrAkpDO
三郎(はっはっは!久しぶりだなこの会も!)
ピエール(ブリタニアでは基地の警報装置部屋を使ってましたが)
ティナ(それだとここは誰にも迷惑もかかりませんし、うってつけですね)
オンブラ(悪かったってコンセルティナ。ねぇちゃんが騒動起こして)
ペギー(ちなみに見つけたあとの会場設営、私とエーリヒやったんだかんね?)
18: 2012/05/27(日) 18:44:41.63 ID:nUFrAkpDO
ゲルハルト(確かにルッキーニも悪いがあれはフラウが悪いだろう)
エーリヒ(……自由奔放で済まんな)
ブービ(仕方ないって兄貴。エーリカの姉御はたぶんアレが強い秘訣なんすから)
エーリヒ(あんがとなブラザー……お前とウーシュだけだぜ解ってくれんの)ガシィ
ブービ(兄貴ぃ!オイラで良ければ相談乗りますからね!)ガシァ
ペギー(はいはい、三文芝居は要らないわよ~)
19: 2012/05/27(日) 18:45:30.69 ID:nUFrAkpDO
クラヴァ(今回の話題その1は動物化についてだ)
兼定(まっさかネウロイの瘴気で月が染まるたぁ、長く生きてきた俺でもビックリしたぜ)ハァ
リディア(そういえば)
グレニス(どうしたの?)
リディア(私たちはアレを見ても変身しないわ)
兼定(そういやそうだな?あり得なくないのに)
20: 2012/05/27(日) 18:45:57.87 ID:nUFrAkpDO
ゲルハルト(作用が違うんだろうな。もしかすると彗星辺りならば我々も)
ペギー(イッルのお姉さんが言ってた伝説は月食だし、もしかしたら私たちは日食だったりして!)
オンブラ(次の日食いつ?)
ブービ(ウーシュ姉さんに聞かないと解んないすよ)
三郎(それならあの魔方陣を使えばいいんじゃないか?醇ちゃんが人間側通路も開けていったろう)
21: 2012/05/27(日) 18:46:30.78 ID:nUFrAkpDO
ティナ(それはいいですけど……)
ピエール(流石に裸でお嬢様方にお会いするのは、ね)
オンブラ(気にすんな……とは言いがたいかな)
ペギー(ねー)
兼定(生憎ヌーディストの資格は持ってないな)
22: 2012/05/27(日) 18:47:15.93 ID:nUFrAkpDO
クラヴァ(問題なのは『Trans』中は我々が単独行動出来ないことだ)
ゲルハルト(だな。トゥルーデに身体を動かされるのは良いがあまり好き勝手されると……)
クラヴァ(我が主もだ。アレは酷い)
グレニス(二人は特に怖いです……食べないでくださいよ)
ペギー(ほんとよ~!訳が解らないわ)
23: 2012/05/27(日) 18:47:42.06 ID:nUFrAkpDO
三郎(美緒の様に有効活用すれば良いが色欲に走るのは考えものだぞ)
ピエール(我々の本能はそこまで強いと思えませんがね)
ティナ(私たちはこの姿、身体しか解りませんから)
ティナ(リーネちゃんも本能で毛繕いしちゃってたりしますし)
ペギー(まあイッルはサーニャが好きなだけだし、アレは良いわよね?)
リディア(私は、サーニャと居れば別に良い)
ペギー(つれないわね~)
24: 2012/05/27(日) 18:48:15.22 ID:nUFrAkpDO
オンブラ(結局はネウロイの野郎ぶっ飛ばさなきゃならないんだな)
ペギー(でも明らか無理が有るのも居るわよね)
エーリヒ(確かに最近のなんか強いっちゃ強いわ。そこまでじゃないけど)
グレニス(ウォーロックとかネウロック辺りの戦闘機動を超えてるし……)
三郎(ま、なんとかなるさ!はっはっは!)
クラヴァ(それでは次の議題にでもいくか)
25: 2012/05/27(日) 18:53:47.47 ID:nUFrAkpDO
クラヴァ(次の議題はブービに任せたが何になった?)
ブービ(えっとっすね。オイラたちって結局は姉御たちと契約した訳じゃないですか)
ペギー(そうね。確かにそうじゃないとこんなに長く生きていられないわ)
ゲルハルト(実体化する事へ制限が掛かる代わりに寿命が大幅に伸びるか……)
兼定(……ふん)
26: 2012/05/27(日) 18:54:27.68 ID:nUFrAkpDO
ブービ(でもやっぱり契約して良かったなって今思える訳で)
ティナ(うん、そうだね!)
リディア(そうだと思う)
ブービ(で、今回の話題なんすけどみんなの『出逢い』や『契約』を話すでどうっすか?)
三郎(ほう、思いもよらなかったが存外面白そうだ!)
オンブラ(いいじゃん、ナイスだブービー!)
クラヴァ(ではブービから(いや、俺からだな)
エーリヒ(実は俺の話をしないとブービの話は出来んのでな。じゃあ始めるぜ)
27: 2012/05/27(日) 18:56:48.29 ID:nUFrAkpDO
ブービ「その前に対応表っす。ちょっと多いけど簡単に覚えられるはずっすね」
クラヴァッテ→ミーナ
三郎→もっさん
ゲルハルト→バルクホルン
グレニス→シャーリー
エーリヒ→エーリカ
ブービ→ウルスラ
ピエール→ペリーヌ
リディア→サーニャ
ペギー→エイラ
オンブラ→ルッキーニ
コンセルティナ→リーネ
兼定→宮藤
ブービ「引き続きお楽しみくださいっすよ」
28: 2012/05/27(日) 18:57:59.96 ID:nUFrAkpDO
~十年前のカールスラント、ヴァイザッハ~
口リリカ「えっ?」
母様「だから父様と手紙で話したんだけど貴女たちもきっと魔法力が発現するし、使い魔を持たなきゃならないわ」
口リスラ「……うん」
母樣「それで今度選びに行こうかなって思うんだけど、二人は希望は有るの?」
口リリカ「ん~……」
口リスラ「……ない」
29: 2012/05/27(日) 18:58:39.29 ID:nUFrAkpDO
母樣「あらら……なら二人は図鑑でも見たら?」
母樣「わんちゃんとかねこちゃんとかで気に入った種類が載っていたら探してあげるわよ」
口リリカ「そっか!ウルスラ、かして!」
口リスラ「……ねえさまのとこにまぎれこんじゃってます」
母樣「エーリカ、そろそろお片付けね」
口リリカ「えー……ウルスラ~……」
口リスラ「……てつだいますから」
30: 2012/05/27(日) 18:59:15.38 ID:nUFrAkpDO
口リリカ「ん~なんかおっきいのはひっぱられそうだよね」
口リスラ「ねこさんはあんまりすきじゃないです」
口リリカ「ちっちゃいのかー」
口リスラ「……む~」
31: 2012/05/27(日) 18:59:44.70 ID:nUFrAkpDO
口リリカ「よし!わたしきめた!」
口リスラ「なんにしたんですか?」
口リリカ「えっとね~このながいの」
口リスラ「だっくすふんどですね」
口リリカ「だっこしやすそうじゃん!ぜんぶおなかだし」
32: 2012/05/27(日) 19:00:29.41 ID:nUFrAkpDO
母樣「あらエーリカ、決まったの?」
口リリカ「うん、かあさま!これ!」
母樣「あら、ダックスフンド?これなら知り合いのブリーダーさんが隣町に居るわ」
口リリカ「ほんと!?」
母樣「明後日にでも行きましょうか?」
口リリカ「やったあ!」
33: 2012/05/27(日) 19:01:10.70 ID:nUFrAkpDO
~ブリーダーさんの家~
エーウル「「こんにちは!」」
ブリーダー「よく来たわね!待ってたわ!」
母樣「ごめんなさいね?いきなり」
ブリーダー「気にしないでください。私と先輩の仲ですし」
母樣「航空騎兵なんて忘れたわよ~。じゃあ早速だけど見せて?」
34: 2012/05/27(日) 19:01:44.39 ID:nUFrAkpDO
ブリーダー「2ヶ月前に産まれた子たちが居るんだけど依頼されたの五匹でね?今は六匹居るんだ」
口リリカ「じゃあどれかいっぴきもらえるの?」
ブリーダー「もっちろん!ちゃんとお世話して可愛がってくれるならね!」
母樣「出来るかな?エーリカに」
35: 2012/05/27(日) 19:02:26.01 ID:nUFrAkpDO
口リリカ「がんばるけど……」
口リスラ「わたしもいますから」
口リリカ「……うん!ありがとウルスラ!」
口リスラ「いえ」
ブリーダー「妹ちゃん優しいですね」
母樣「あの娘、しっかりはしてるんだけどね。実際ちょっと融通聞かないって言うか……」
36: 2012/05/27(日) 19:03:01.88 ID:nUFrAkpDO
子犬’s「わふわふ」
羊「べ~」ボハボハ
口リリカ「うわ、やんちゃだね!」
ブリーダー「まあこの時期は色んな動物と触れ合うのが一番なのよ。だから羊さんとかあそこのお馬さんに遊んでもらってるわけ」
口リスラ「へ~」
37: 2012/05/27(日) 19:03:53.90 ID:nUFrAkpDO
口リリカ「うーん……でもなかなかでてこないなぁ」
羊「べぇ」スクッ
子犬「きゃん!」ドテ
口リリカ「あー!でてきたぁ!」
口リスラ「このこぬけてますね」
38: 2012/05/27(日) 19:04:37.01 ID:nUFrAkpDO
子犬「わう。くぅん?」ジー
口リリカ「ん~」ジー
子犬「?」ジー
口リリカ「うん!このこがいい!」
ブリーダー「そう?その子は結構やんちゃよ」
口リリカ「だいじょうぶ!なんかこのこならぜったい!」
母樣「まあこういうのは直感だからね。それじゃあその子にしましょう」
39: 2012/05/27(日) 19:05:10.93 ID:nUFrAkpDO
ブリーダー「じゃあ名前を付けてあげて?いつまでもわんちゃんじゃちょっとね~」
口リリカ「ん~どうしよ?ウルスラ」
口リスラ「……『えーりひ』でどうですか。ねえさまのぱーとなーですから」
母樣「ウルスラも案外面白いこと言うわね」
口リリカ「よーし!じゃあきみは『えーりひ』だ!」
口リリカ「これからずっとよろしくね!えーりひ!」
エーリヒ「あう!」
40: 2012/05/27(日) 19:05:58.80 ID:nUFrAkpDO
エーリヒ(懐かしいなぁ……あんとき羊のあんちゃんに振り落とされなかったらエーリカとは暮らしてなかったんだ)
三郎(いい話だな)
ゲルハルト(この頃のフラウとウルスラにトゥルーデが会ったらヤバイ気がしたんだが)
ペギー(なんか番犬とかのみんなはこんな感じなのかしらね?)
ゲルハルト(どういう意味だ?)
ペギー(私は状況が特殊だったのよ……野生生まれだからね)
41: 2012/05/27(日) 19:06:46.25 ID:nUFrAkpDO
~八年前のスオムス、北カレリアの森~
狐(はあはあはあはあ……)
狐(なんだってあんな化けもんがこの森に来たのよ!?)
狐(ぐっ……肉球裂けちゃったかな?)ズキ
ゴソゴソ……ガサ!
42: 2012/05/27(日) 19:11:09.83 ID:nUFrAkpDO
狐(不味い!?)ガル
「やーりが降ってモ♪おお?」ザザ
狐「ガルル……キュン?」
女の子「あっれ~狐ダ!可愛いゾ!」ソッ
狐(えっ?ちょっとなんでだっこするのよ!)ジタバタ
女の子「ん~!ふわふわダナ」
狐(毛並み誉めてくれるのは良いけどアンタ誰!?)
43: 2012/05/27(日) 19:12:01.12 ID:nUFrAkpDO
イッル「私はイッル。よろしくなペギー!」
ペギー(ペギー……って私のこと!?なんなのこの娘!?)
イッル「おお、喜んでくれて嬉しいゾ!」
ペギー(喜んでないし!アンタさっさと私を離しなさいって!)
イッル「そんなことないッテ!誉めるな誉めるナ」
ペギー(この不思議ちゃんがああああ!)
44: 2012/05/27(日) 19:12:54.81 ID:nUFrAkpDO
イッル「ん、ペギー怪我してんのカ?見せてみろヨ」
ペギー(あー見せるから尻尾もってひっくり返さないで!お願い!)
イッル「あちゃあ……痛そうダナ。よし、うちに来いヨ」
ペギー(はあ?)
イッル「別に食べないゾ。マフラーにもしないシ」
イッル「ちょっと薬塗るだけだからサ!」
ペギー(どうせなんか言っても通じないんでしょ……)ハア
45: 2012/05/27(日) 19:13:24.42 ID:nUFrAkpDO
バキバキバキッ……ドサッ
イッル「ん?」
ペギー(忘れてたわ!アイツが来る!)
イッル「ペギー?」
ペギー(逃げるわよイッル!アンタじゃ美味しく食べられちゃうわ!)
46: 2012/05/27(日) 19:14:05.50 ID:nUFrAkpDO
ザッザッザッザッ!!!
熊「ガオオオオオォォォン!!!」
イッル「うえ!?く、熊……」
ペギー(ああもう!折角振りきったのに……)
熊(見つけたぞ……ふん、人間の小娘まで一緒とはオレは運がいいな)
ペギー(いい加減にしてよ!私もこの娘も美味しくないわよ!)
47: 2012/05/27(日) 19:15:05.25 ID:nUFrAkpDO
熊(オレはヘラジカに飽きちまってなぁ……お前らぐらいを狙いたくなるわけよ)
ペギー(じゃあ聞くけどまさかこの前三つくらい隣の森でヘラジカの群れに逃げられたでっかい熊ってアンタじゃないわよね?)
熊(!?)
ペギー(あら……確か身体でかすぎで舐められてるのよその熊)
熊(うぐぐぐ……)
ペギー(狩りも下手で身体でっかいだけってほんと無能よね~!熊だけに!)
熊(クソッタレガァァアアア!!!)
48: 2012/05/27(日) 19:15:44.89 ID:nUFrAkpDO
ペギー(ヤバッ!煽りすぎた!?)
熊「ガアアアアアァァァァァァ!!!」
イッル「――『THE EMPEROR』の逆位置カ。可哀想にナ」
熊「グゥア!?」
ペギー(アンタなんで今この状況で占ってるの!?ほんとなんなのよ!?)
49: 2012/05/27(日) 19:16:33.15 ID:nUFrAkpDO
イッル「まあ、別に私は逃げないゾ。ペギーも渡さないしナ」
熊(なんだこいつ……何訳の解らんこと言ってんだ?)
イッル「ふふん、そっちは逃げるなら今の内ダゾ?」クスクス
イッル「8、7、6……」
ペギー(な、何が起こるの!?)
熊(数え終わる前に氏ねぇえええええええええ!!!)
50: 2012/05/27(日) 19:17:23.48 ID:nUFrAkpDO
イッル「――1!」
熊「ガアアアアァァ!!!」
「――チェリアアアアアッッ!!!」
熊「ガッ!?――」
51: 2012/05/27(日) 19:17:55.41 ID:nUFrAkpDO
ペギー(あの時の私はまだ知らなかったのよ)
ペギー(スオムスや北極圏で強い生物を想像してみて)
ペギー(あなたが思い浮かべたのは恐らく海ならシャチ、陸なら熊よ)
ペギー(私にもそんな風に考えていた時期があったわ)
52: 2012/05/27(日) 19:19:10.92 ID:nUFrAkpDO
熊(――ぐっ……がはっ……!?)
ペギー(あの丸太三本分くらいある熊が……飛んだ!?)ゾク
アウロラ「ふぅ」スタッ
53: 2012/05/27(日) 19:19:51.86 ID:nUFrAkpDO
アウロラ「イッル、怪我はないな?」
イッル「うん!大丈夫ダゾ!」
ペギー「キュ……」ガクガク
アウロラ「可愛い狐だ。もしかしてお前の使い魔にするのか?」
イッル「おお!今まで思い付かなかったけどそうするんダゾ!」
アウロラ「ふふっ……なら護らねばな」
54: 2012/05/27(日) 19:20:38.57 ID:nUFrAkpDO
熊(ふざけやがって……人間の雌の癖に生意気なんだよぉおおおお!!!)ダッ
アウロラ「ふん」ヒラ
ズシャアアアアア!
熊「グルゥア!?」プシャア
アウロラ「聞いていたより大したことはないな」
ペギー(イッルのお姉さんって一体……あれは?)
55: 2012/05/27(日) 19:21:21.91 ID:nUFrAkpDO
狼?『ガウ、ガウ』
アウロラ「そうか。『フェンリル』、今日の晩飯は熊が良いんだな?」
ペギー(『フェンリル』……ってまさか……)
アウロラ「ならばさっさと魔法力を貸せ。奴の血抜きもついでにやってしまうからな」
フェンリル『ガウ!』
56: 2012/05/27(日) 19:22:24.85 ID:nUFrAkpDO
ペギー(……最後熊の頭が螺旋を描いt(止めれ)
エーリヒ(チビ共怖がってんぞー)
ティグレブー(((あうあうあう……)))ガタガタ
オンブラ(び、びびびびビビってねえし!!?)プル
兼定(震ってんじゃねえかよ……)
57: 2012/05/27(日) 19:23:07.00 ID:nUFrAkpDO
アウロラ「っくしぃ!」
アウロラ「誰か噂してるか?」ズズ
ハユハ「隊長、もう少しでニパの墜落地点着きますよ」
アウロラ「ああ……それにしても最近、月が紅いな」
58: 2012/05/27(日) 19:24:01.46 ID:nUFrAkpDO
リディア(次は、誰?)
ペギー(あの四人はちょっとまだ無理そうだしね)
クラヴァ(ふむ、なら私が話そうか)
ピエール(貴方が?自分の事を話すのは珍しいですね)
三郎(確かにお前と中佐の話など長い付き合いだが聞いたことはないな)
ゲルハルト(うむ、あのミーナとお前の事だ。また少し変わっているんだろう)
59: 2012/05/27(日) 19:24:35.26 ID:nUFrAkpDO
~十年前のカールスラント、ヴィエルコポルスカ県湖水地方~
狼「グガァゥ……」
狼(ふ、まさかこの私が罠に掛かるとはな……)
狼(三日か。案外短いものだ)
60: 2012/05/27(日) 19:25:26.04 ID:nUFrAkpDO
狼(……足首に掛かり、対象を餓氏させる)グイ
狼(トラバサミなら痛みがあるからな。噛み千切ってでも脱出してやるが……)
狼(括り罠は足を噛み千切る必要がない……つまり引っ張っていれば何時か抜ける)
狼(そんな訳無いんだがな。ただ私に自分の足を噛み千切る度胸が無いだけだ)
61: 2012/05/27(日) 19:26:14.70 ID:nUFrAkpDO
狼(群れの奴等は行かせた……ふん、グランマが生きていれば我々の種族はやっていける)
狼(あとは私に残されたこの時間をどう生きるかだ)
狼(……)
狼(そうだな……この罠を掛けた奴へ)
(――血を見せてやる)
62: 2012/05/27(日) 19:26:47.42 ID:nUFrAkpDO
~その日の午後~
狼(……む)ピク
カサ……~♪
「森へ~♪行きましょう~娘さん~♪」
「鳥がなく、あの森へ~♪」
「僕らは木を切る君たちは~♪」
「草刈りの~仕事しに~♪」
「ランララン♪ランララン♪ランラーンララン♪」
63: 2012/05/27(日) 19:27:20.60 ID:nUFrAkpDO
狼(人間の……子供か?)
狼(ならばその親が私を……)
狼(ふ……最後の獲物にしては些か物足りんが……)
64: 2012/05/27(日) 19:27:53.36 ID:nUFrAkpDO
少女「木の枝ってこれくらいかしら?ちょっと遠くまで来ちゃったし」
少女「あら?」
狼「」ゴロン
少女「まあ、可哀想……狼さん放置罠に掛かっちゃったのね。ここだいぶ前から禁猟区なのに」
65: 2012/05/27(日) 19:28:36.69 ID:nUFrAkpDO
狼(……放置罠!?)
狼(ならば私にここで無様に朽ちろと?)
狼(……私の覚悟は一体なんだったのだ)
少女「ところで狼さん、氏んだフリって楽しい?」ニコッ
狼「」ビクッ
66: 2012/05/27(日) 19:29:11.98 ID:nUFrAkpDO
狼(……くっ、見破れるわけがあるまい!私の待ち伏せは一流だ!)
少女「やっぱり氏んじゃってるわよね……でも」
狼(む……)
少女「外してあげようかしら。足のワイヤー」ニコ
狼(なんと慈悲深い)ピク
67: 2012/05/27(日) 19:31:13.09 ID:nUFrAkpDO
少女「だから触らせてね?毛皮」ニコニコ
狼(……駄賃か)
少女「さっきまで生きてたの。暖かい」モフ
少女「ああ、肌触り最高~!ちょっと濃い茶色の毛皮がまた勇ましげよ!」モフフワ
少女「しかも撫で甲斐がある体格してるもの!」ボハフワ
狼(……小娘、なかなか言うではないか///)
68: 2012/05/27(日) 19:31:49.93 ID:nUFrAkpDO
少女「私ね~。狼さんって『赤ずきん』とかの頭の悪い子しか居ないと思ってたんだけど」ナデナデ
少女「貴方みたいな頭のいい狼さんと出会えて嬉しいわ」サワ
狼「……」ピクピク
少女「じゃあね。狼さん、ワイヤーは外しておいたから今度は気を付けてね」トコトコ
狼(……ぐっ)
69: 2012/05/27(日) 19:32:39.25 ID:nUFrAkpDO
狼「ガウッ!」ザッ
少女「……狼さん」クルッ
狼(私の直感が正しければ……この小娘はきっと)
狼(――お前のためだ。済まない)
狼「グルァアアアアアアアアアア!!!」
70: 2012/05/27(日) 19:33:07.39 ID:nUFrAkpDO
少女「――仕方無いわね~」ゴソ
少女「はい、これあげる!」
狼「!?」ズザザサ
71: 2012/05/27(日) 19:33:58.32 ID:nUFrAkpDO
つサンドイッチ
少女「自分じゃ気にしてないんだろうけどさっきお腹鳴ってたからバレたのよ?」
狼「……」ガーン
少女「でも狼さんほんとに頭いいのね」
少女「食べようとするならいつでも私に飛び掛かれたのにしなかったし」
少女「貴方、私をびっくりさせて自分たちとこれ以上関わらないようにしたかったんでしょ?」
72: 2012/05/27(日) 19:34:38.78 ID:nUFrAkpDO
狼(……何もかもお見通しか)モグ
少女「義理深くて謹み深い。私、貴方がとっても好きよ」
少女「群れとも離れてしまったんでしょう?」ナデナデ
少女「……もしよかったら私の使い魔になってくれないかしら?」
少女「動物でこんなに仲良くなれたの貴方が初めてだから、ね」
狼(……)
73: 2012/05/27(日) 19:35:07.98 ID:nUFrAkpDO
ミーナ「――私はミーナ、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ」
ミーナ「狼さん、貴方は私をどう思う?」
狼(……私は)
狼(ふふっ……一度捨てたこの命)
狼(――お前のために)
74: 2012/05/27(日) 19:35:50.75 ID:nUFrAkpDO
兼定(気取りすぎなんだよ)
クラヴァ(気にするな)
ゲルハルト(ミーナはやはりミーナか)
三郎(仲良くなれたのが初めて……まさか?)
クラヴァ(撫で過ぎだ。耐えられるのは私ぐらいだろう……)
75: 2012/05/27(日) 19:36:47.20 ID:nUFrAkpDO
ティナ(では、次は私(じゃあ早速いくぜ)
ティナ(あっ、先にいいよ?)ニコ
オンブラ(へっ?いやいやお先にどうぞだぜ)
ティナ(ほらオンブラ先でいいってば!)ニコ
オンブラ(飼い主みたいに笑顔で凄まないでくれよ……)
グレニス(えーっとね。私とシャーリーは~)
76: 2012/05/27(日) 19:37:37.00 ID:nUFrAkpDO
~八年前のリベリオン、ウェストヴァージニア州某牧場~
子兎(もむもむ)ハム
兄兎(お前まだ草食ってんのかよ~?早く遊びに行くぞ)
子兎(うん、けどわたしたべるのおそいから)
兄兎(もう姉ちゃんとか行っちゃったからな!んでオレも行くぞ?いいな!)
子兎(いってらっしゃい)モムハム
77: 2012/05/27(日) 19:38:16.11 ID:nUFrAkpDO
子兎(ふぁ……おそときもちいいなぁ)
子兎(シャムロックもあるし、タンポホも)ハム
子兎(みんなとおくまで行っちゃったぁ)
子兎(ねむねむ……)Zzz
78: 2012/05/27(日) 19:38:54.49 ID:nUFrAkpDO
姉兎(アンタ凄いとこで寝てるわね……)
子兎(ふぇ……?)
姉兎(もう夕方よ?それにお外で寝るのは気を付けなさいね)
子兎(なんで?)
姉兎(狐なんかより鷲とか鷹とかに食べられちゃうから!ラブラドールのカークくん言ってたじゃない!)
子兎(あう……ごめんなさい)
79: 2012/05/27(日) 19:39:55.24 ID:nUFrAkpDO
~町の一軒家、ガレージ~
パパ「シャーリー?まだ起きてたのか」
シャーリー「パパ!……まあね」
パパ「自転車か」
シャーリー「拾ったジャンクをただ直すんなら朝飯前だけど、ちょっとでも速くしたいからね!遅刻すんのはもう懲りたし」
80: 2012/05/27(日) 19:40:35.23 ID:nUFrAkpDO
パパ「済まんな。新しいのを買ってやれれば」
シャーリー「趣味だから大丈夫だよ。それよりでっかい仕事入るんでしょ?」
パパ「勿論だ。国の政策が関連しているからうちのビンボー工場もフル稼働なんだぞ」
シャーリー「頑張ってよ!パパ!」
パパ「ああ!」
81: 2012/05/27(日) 19:41:13.62 ID:nUFrAkpDO
~次の日、牧場~
兄兎(おい!まだ食ってんのかよ!)
子兎(もくもく)ムシャ
兄兎(解ったよ……んじゃオレらはいつもの干し草の所に居るからな)
子兎(うん、いってらっしゃい)
82: 2012/05/27(日) 19:41:51.63 ID:nUFrAkpDO
子兎(ん~……いつものほしくさってどこだろ)
子兎(あっちかな?)
子兎(のんびりいこー)
子兎(む~む~♪)トコトコ
83: 2012/05/27(日) 19:42:31.35 ID:nUFrAkpDO
子兎(ふにゅ……さくだ)
子兎(おねえちゃんたちはさくとみちのあっちがわだよね)
子兎(よーし……)タタッ
子兎(たぁああ!)ピョン
84: 2012/05/27(日) 19:43:14.45 ID:nUFrAkpDO
~町外れの道~
シャーリー「ばーいせこう♪ばーいせこう♪ばーいせこう♪ばーいせこう♪」
シャーリー「あいうぉんちゅうらいどま~い♪」
シャーリー「ばーいせこう♪ばーいせこう♪ばーいせこう♪ばーいせこう♪」
シャーリー「あいうぉんちゅうらいどまいばーいせこう♪あいうぉんちゅうらいどまいばいく♪」
シャーリー「あいうぉんちゅうらいどまいばーいせこう♪あいうぉんちゅうらいどうぇあいらーいく♪」
85: 2012/05/27(日) 19:43:47.92 ID:nUFrAkpDO
シャーリー「ん~!これなら明日から寝坊で遅れないで済みそうだ!」
シャーリー「確かもう少しで牧場だな」
シャーリー「よっしゃあ!一気に最速ギアだぜ!」
シャーリー「うりゃああああああああああああぁぁぁ!!!」ズザザザザ
86: 2012/05/27(日) 19:44:33.01 ID:nUFrAkpDO
シャーリー「ひゃっはあああああああああああ……っ!?」
――シュン
シャーリー(なんか飛び出してっ――)
子兎(ぁあああ~!)
――ズザッ
ドンガラガッシャアアアアアアアン!!!
87: 2012/05/27(日) 19:46:00.33 ID:nUFrAkpDO
シャーリー「いったたぁ……はっ!?自転車!」ムク
シャーリー「くぁあ~……ハンドルが競技用みたいになってら……他は氏んでないけど」
シャーリー「ってたって何だってんだ?今のは?」
シャーリー「……」キョロキョロ
シャーリー「絶対白いものが目の前をよぎったんだけど……まあいいか」
88: 2012/05/27(日) 19:46:54.77 ID:nUFrAkpDO
~シャーリーの家~
パパ「お帰り。……転んだのかい?大丈夫か?」
シャーリー「まあね。最終的に干し草へ突っ込んだから怪我はしてないよ」
パパ「なら着替えて来なさい。服はママに洗濯してもらって」
シャーリー「オッケー!」
89: 2012/05/27(日) 19:47:42.38 ID:nUFrAkpDO
シャーリー「いやあ参ったね……明日も休みだし、直すのには困らないけどさ」
シャーリー「ん~朝より胸おっきくなったかな?」
シャーリー「ふっふふ///」
シャーリー「んしょ」ヌギッ
ドテッ
90: 2012/05/27(日) 19:48:28.22 ID:nUFrAkpDO
子兎「くぅ……」Zzz
シャーリー「ホワッツ!?」コス
シャーリー「……目の間違いじゃないよな?」パチ
シャーリー「私の服からなんで兎が出てくるんだよ……」
91: 2012/05/27(日) 19:50:17.30 ID:nUFrAkpDO
子兎(……あう?あれ、ここどこ?)キョロ
シャーリー「起きたか……お前さっき私にぶつかって来たな?」
子兎(さぁ?)ポケ
シャーリー「ほんとにか?」
子兎(うん、そだよ~)ポヤポヤ
シャーリー「コイツー!その能天気さ気に入ったぜ!」ワシャワシャ
子兎(ひゃあん///くすぐったいよぅ///)
92: 2012/05/27(日) 19:51:56.15 ID:nUFrAkpDO
グレニス(きっとね、シャーリーは遅刻しないために固有魔法が『超加速』になったんだよ)
グレニス(大事なことに間に合わなくて……後悔がないように)
オンブラ(……カッコいいな。やっぱり)
兼定(あのパイオツな分だけ強いのさ)
93: 2012/05/27(日) 19:53:16.10 ID:nUFrAkpDO
エーリヒ(……兼定って自分の話、クラヴァッテよりしてないよな)
兼定(あん?)
ピエール(確かにそうですよ。長く生きてるって言われても外見若いですし)
ペギー(正直親父臭いけどね。声渋いし)
兼定(む、まあ……良いさ。次は俺の昔話でもすっか)
兼定(始まりは――)
94: 2012/05/27(日) 19:54:04.61 ID:nUFrAkpDO
http://www.youtube.com/watch?v=7GVVimZax-g&sns=em
――1510年ッッ
――扶桑、美濃のとあ~るぅ山中ッッ
――ここに一匹の山犬が生まれたぁ~ッッ!
――彼はすぐぅに成長しッッ
――一匹狼ながらぁ美濃一帯を領地とするぅ支配者と成ったッッ
山犬(俺に敵う奴ぁ居ないさ……西方の龍や一角獣でもねぇ限り)
95: 2012/05/27(日) 19:54:44.91 ID:nUFrAkpDO
――しかし齢三歳のある日ッッ!単純な罠に引っ掛かったッッ!
山犬(……あり得ん。何故道端に女物のふんどしが有るんだよ)
――そうッッ!この山犬実は稀代の下着泥棒ッッ!
――山岳一帯を占めている反動かァ雌は雌でも人間の雌に反応してしまう体質だったのだッッ!
――そして捕まってから三日ッッ……遂に処刑が行われたアッッ
96: 2012/05/27(日) 19:55:22.92 ID:nUFrAkpDO
山犬「ガルルル……」ジャララ
山犬(クソっ……鎖が切れねぇ……)
役人「皆の衆!聴けっ!」
役人「ここに捕まりしは美濃の国を恐怖に墜とせしめし、かの大山犬!」
役人「遂にこの山犬を打ち首に致す!見ておれ!」
97: 2012/05/27(日) 19:55:59.69 ID:nUFrAkpDO
――役人はそれは見事な打刀を構えるッッ
山犬「……」
山犬(ここまでだな。ふぅ……)
役人「ぜぇえええええイァヤアアアアアアアアア!!!」
――刃が降り下ろされたッッッッ!!!
98: 2012/05/27(日) 19:56:31.54 ID:nUFrAkpDO
山犬「……」
山犬「」ズシャ
――首が静かに……地へ着いたその瞬間ッッ!
――不思議なことが起こったのだッッ!
99: 2012/05/27(日) 19:57:04.80 ID:nUFrAkpDO
山犬(……これは一体)
役人「見たか皆の衆!!!この打刀こそ我が美濃の誇る名刀匠『和泉守兼定』が打ち上げし名刀!!!」
役人「――『九字兼定』なるぞ!!!」
山犬(見えるのは……俺の屍?)
山犬(まさかッッ!?)
100: 2012/05/27(日) 19:57:39.92 ID:nUFrAkpDO
――そうッッ!
――臨ッッ兵ッッ闘ッッ者ッッ皆ッッ陣ッッ烈ッッ在ッッ前ッッッッ!!!
――東密における『九字護身法』の術式が練り込まれたその刀はッッ!
――山犬の魂をその身へ取り込んだのだったアァッッ!!!
101: 2012/05/27(日) 19:58:36.99 ID:nUFrAkpDO
――あれから数えてなんと八十年ッッ!
――『九字兼定』と名を改めた山犬はその年月を数多の戦場で過ごしたッッ
兼定(……アヒャヒャヒャヒャヒャ!アッヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャアアアア!!!)
――血や怨念を吸い過ぎた刀身は輝きを増し、所持するものを鬼神と化すッッ!!!
――山犬自身も狂気に呑まれ、あの面影もなく真の妖怪とかしていたのだッッ!!!
102: 2012/05/27(日) 19:59:21.25 ID:nUFrAkpDO
――そしてその年の八月の初めッッ!!!
――遂に凍り付いた運命が動き出すッッ!!!
女武将「皆のもの!この先が本丸ぞ!」
女武将「さあ毛利を討ちとれぇ!!!」
――彼女は『覇王』が家臣の一人ッッ!
――殿が大好きな一途っ娘でもあるウゥッッ!
103: 2012/05/27(日) 20:00:23.77 ID:nUFrAkpDO
――とあ~る寺の焼き討ち後に明智反乱軍は
――『動く山』と遭遇し、壊滅ッッ
――これを好機とみた『覇王』は引き続き毛利攻めを行い、遂にぃ攻城戦へと移行したぁッッ
――そして彼女、今戦においては毛利の退路を絶つため前線へ参っていたッッ
104: 2012/05/27(日) 20:00:53.56 ID:nUFrAkpDO
女武将「……こちらか!」ドシャア
女武将「あれ……確かに妖気がしたのに?」
――ブンッッ!!!
女武将「な!?」ヒラッ
105: 2012/05/27(日) 20:01:35.86 ID:nUFrAkpDO
兼定「ガルルル……グギャアアアアアア!!!」
女武将「山犬の妖怪……しかも大きい……」
――兼定、刀身を媒体に巨大化ッッ!!!
――この戦乱の中で血を啜らんと動いたのであるッッ!!!
106: 2012/05/27(日) 20:02:38.31 ID:nUFrAkpDO
兼定「オレハオマエ――『アマガケムシャ』ヲクライ、サラナルタカミヲメザス……サア、クラワレロ!!!」ザッ
――カキィイイン!!!
女武将「くっ……まるで扶桑刀の一撃……?」
――その爪と牙はまさに打刀の一閃が襲い来るのと同等ッッ!!!
107: 2012/05/27(日) 20:03:32.00 ID:nUFrAkpDO
女武将「――隙ありっ!」
――彼女は背負っていた大筒の焔を兼定へ放つッッ!
兼定「グヒャヒャハッ!!!」スカ
女武将「な!?透けて……くっ!」
――しかし二射目は叶わず、敢えなく大筒は尾の一撃で彼方へと放られたッッ
108: 2012/05/27(日) 20:04:28.65 ID:nUFrAkpDO
兼定「ソラソラソラソラァ!!!アッヒャヒャヒャヒャアアアアア!!!」
――打刀となってから人語を操ることが出来るようになり、その知識と経験は計り知れないッッ!!!
女武将「ぐっ……私の怪力と同じだけの力なんて……」
女武将「――妖怪」
「貴様はこの――」
蘭丸「――森蘭丸が切り捨て候!!!」
109: 2012/05/27(日) 20:05:06.64 ID:nUFrAkpDO
兼定「ヤレルモンナラヤッテミナ?」
兼定「シ ヌ マ エ ニ ナ !」
兼定「グヒャヒャヒャヒャ!!!」ブワッ
蘭丸「っ……!?」
蘭丸(先程もそう……この妖怪、何故か揺らいでいる?)
110: 2012/05/27(日) 20:05:54.43 ID:nUFrAkpDO
蘭丸「ならば確かめるまで!」
蘭丸「っ!はぁ!」スカ
兼定「フッ……キカネエナア?クッカカカカカ!!!」フワ
蘭丸「視えたっ!」
111: 2012/05/27(日) 20:07:41.69 ID:nUFrAkpDO
蘭丸(でも……)
蘭丸(……まさか奴の正体が扶桑刀なんて)
兼定「サクハデキタカアァ!!?」
兼定「コレデサイゴニシヨウゼェ!!!ゲアアアアアアアッッ!!!!!!!」
ヒュン――
112: 2012/05/27(日) 20:08:44.94 ID:nUFrAkpDO
――恐らく奴の爪は刀と同じ……
――心眼を……
――心中を澄みきった水のように
――そう、そして奴を
――受け止める!
113: 2012/05/27(日) 20:09:20.81 ID:nUFrAkpDO
――ッッ
兼定「ハッ……オレノカラダヲ……ワラエルナ」
蘭丸「柳生新陰流――奥義無刀取りでございまする」
兼定「オウギ……フッ。オレノサイゴニフサワシイ」
114: 2012/05/27(日) 20:10:02.16 ID:nUFrAkpDO
「……」
「ヤレ……ソノバカヂカラデオレヲ」
「チニソマッタノロワレシマケンヲ――」
「――へし折れッッ!!!」
「――はあぁぁっ!!!」
――バキィイイイイイン!
115: 2012/05/27(日) 20:10:49.45 ID:nUFrAkpDO
「グガァ……うぐっ……」
「っ……」
――助かったぜ……嬢ちゃん
ピキピキ――
――カシャアン……
116: 2012/05/27(日) 20:11:24.77 ID:nUFrAkpDO
――攻城戦終結後、尾張方本陣
信長「それでお蘭、コイツが城内で手に入ったと申すのか?」
つ折れ、砕けた『九字兼定』
蘭丸「はっ!」
信長「ふっ……よし!この刀を小刀にし、名工に任せて研ぎ直せ!」
信長「皆の者ッッ!」
信長「次の戦で武功をより多く立てた者に授けようぞ!!!」
信長「次は甲斐武田の残党であるッッ!」
侍衆「ウオオオオォォォ!!!」
117: 2012/05/27(日) 20:11:58.73 ID:nUFrAkpDO
信長「お蘭、よくやったな」ナデナデ
蘭丸「は、はい!お褒めに預かり光栄でありまする///」
信長「褒美はなにがよいか?」ナデ
蘭丸「えっと……あの///」モジ
信長「……そっちは無しじゃ」
蘭丸「えぇ……」
118: 2012/05/27(日) 20:12:44.44 ID:nUFrAkpDO
http://www.youtube.com/watch?v=71QT7yWT84E&sns=em
~明治~
兼定(……巨O食べてぇ)Zzz
兼定(あれ?)
兼定(……生きてるけど)
兼定(チビんなってる!?)ガーン
119: 2012/05/27(日) 20:14:12.88 ID:nUFrAkpDO
兼定(久々に起きたら……俺は小刀化されたあとも魔力が有り過ぎて封印されたらしい)
兼定(刀の箱書きに書いてあった)
兼定(あれから数百年、なんか長かった……かも)
兼定(にしても……)
兼定(町並みが西洋みたいだな。行ったことねぇけど)
120: 2012/05/27(日) 20:14:56.04 ID:nUFrAkpDO
兼定(霊体化しちまってるけどどうすっか?)
兼定(脱け出しちまえるが……俺自身は刀だしな)
兼定(……ところでこの乗りもん何処に向かってんだ?)
ゴトン
121: 2012/05/27(日) 20:15:32.35 ID:nUFrAkpDO
~新撰組詰所~
兼定(新撰組?なんじゃそりゃ?)
隊士「副長~見つけてきやしたぜ~」
副長「ぬぁに!ほんとか総悟!?」
隊士「勿論すよ。ほら」
つ箱『九字兼定』
122: 2012/05/27(日) 20:16:08.46 ID:nUFrAkpDO
副長「ま、マジだ……総悟!お前よくこんなもん……」
隊士「気にしないでくだせぇ。ほらどうぞ」
副長「……」ゴクリ
カパ♪
123: 2012/05/27(日) 20:17:01.13 ID:nUFrAkpDO
つ箱の半分の長さの『九字兼定』
副長「え?」
隊士「どうですかぁ!副長のご所望の『兼定』ですぜ!」
副長「……いや、打刀じゃないのか?」
隊士「知らねぇんですかい?この刀はあの織田信長が修復した護り刀って~」
124: 2012/05/27(日) 20:18:02.61 ID:nUFrAkpDO
副長「確かに刀身は……」
隊士「二代兼定の作じゃそれしかなくて、十一代なら打刀有りましt「何でそれ選ばねぇんだ!?」
隊士「えーっとちょっと飲み屋で……金足りなくて使ったらそっちに足りなくなって」
副長「総悟!?てめえやっぱ隊規に準じて叩っ斬ってやる!!!」
隊士「んなこといったらアンタもオレに買い付け行かせてんじゃないですか!!!」
副長「やっかコラ!?クソ総悟!」
隊士「上等ですぜ!マヨネーズ中毒!!!」
副長「ッチーン……レッツパーリィだ!!!」シャキィン
125: 2012/05/27(日) 20:18:42.27 ID:nUFrAkpDO
兼定(……護り刀ねぇ)
兼定(この悪虐を尽くした『九字兼定』が、か?)
兼定(世も変われば肩書きも変わっちまうもんか)
兼定(はぁ……前途多難だぜ)
126: 2012/05/27(日) 20:21:17.01 ID:nUFrAkpDO
兼定(あれから結局俺は新撰組……今の扶桑皇国軍預かりの品になった)
兼定(宝物庫から霊体と実体化を繰り返してたまに外へ遊びに行く)
兼定(そんなことを五十年……もっとだな。ダラダラして)
兼定(刀ん中で居眠りしてる間にとある餞別として持ってかれて……)
兼定(出逢った――)
127: 2012/05/27(日) 20:22:07.71 ID:nUFrAkpDO
~1938年冬の扶桑、宮藤診療所~
宮藤「……お父さん」
宮藤「あれから半年経っちゃったね」
宮藤「この部屋、何年もお父さんの匂いしなくなって……」
128: 2012/05/27(日) 20:22:40.63 ID:nUFrAkpDO
宮藤「ぐすっ……」
宮藤「私、治癒魔法使えるようになったんだよ……」
宮藤「お祖母ちゃんやお母さんみたいに」
宮藤「みんなを治せるようにって思ってたら……」
宮藤「ひぐっ……お父さん、逢いたいよぉ……」
129: 2012/05/27(日) 20:23:14.79 ID:nUFrAkpDO
宮藤「っ……あれ?」
宮藤「こんな小刀……有ったんだ」
宮藤「……」
宮藤「包丁と同じだよね……」
カチャ、スッ――
130: 2012/05/27(日) 20:23:44.50 ID:nUFrAkpDO
――ブワワワワワッ!!!
宮藤「えっ!?なにこれ?うわっ!」
キラリン――
兼定「きゃん!?」ドテ
131: 2012/05/27(日) 20:24:26.77 ID:nUFrAkpDO
宮藤「えっ?私に尻尾と耳が……何で!?」フサ
兼定(あっててて……ここ何処だ?)
宮藤「それに君は……」
兼定(んあ?このすげえ魔法力の感じ……まさかコイツと!?)
宮藤「……私、契約しちゃった」
132: 2012/05/27(日) 20:25:18.20 ID:nUFrAkpDO
兼定(ま、こんな感じさ。色々有ったんだよ)
三郎(ただの使い魔ではないと思ったが……)
ゲルハルト(二回も氏んだのか)
兼定(ああ、すっきり氏ねたけどな。でも――)
133: 2012/05/27(日) 20:25:56.02 ID:nUFrAkpDO
兼定(――芳佳と逢えて良かった)
兼定(アイツが気落ちしてたの励まして)
兼定(無茶に付き合わされまくって)
兼定(今だから言えんだ――)
兼定(――芳佳は俺のものだ。手ぇ出すなってさ)
134: 2012/05/27(日) 20:26:46.90 ID:nUFrAkpDO
エーリヒ(参ったよ。アンタはすげえ)
オンブラ(武勇伝はなんも言うこと無いぜ……けど)
兼定(ん?オンブラ、なんか有るのか?)
オンブラ(ほんとに狼だったのかってさ。毛並みやらクラヴァッテと違い過ぎるから……)
兼定(んなことかよ。良いぜ、見せてやる)
135: 2012/05/27(日) 20:27:18.55 ID:nUFrAkpDO
兼定(はぁあああ……)ゴゴゴ
兼定「ガルルルッッ」
兼定「ぐがああああああぁぁぁ!!!」メリメリ
ドゥバアアアン!!!
136: 2012/05/27(日) 20:28:33.16 ID:nUFrAkpDO
兼定「っふう。この姿も数百年振りか」
ブービ(……マジで狼だ)
兼定「まあな。ちなみにブリタニア語は芳佳と覚えたんだぜ」
ティナ(じゃ、じゃあ芳佳ちゃんも狼に……?)
兼定「アイツはなぜか知らんが俺の趣味嗜好――工口い部分が出てるからな。たぶん俺がこのままならアイツも狼になるだろ」
137: 2012/05/27(日) 20:29:11.86 ID:nUFrAkpDO
兼定「さって……次は誰が喋るんだい?」
オンブラ(オレかな?えっとな~)
兼定「おう、がんば「あら、貴方たちこんなところに居たのね?」
兼定「ん!?」
138: 2012/05/27(日) 20:30:21.87 ID:nUFrAkpDO
ミーナ「みんな心配してたのよ?」
クラヴァ(うぐ、我が主……)
ミーナ「それに貴方、兼定くんって言葉話せたの?」
兼定「……ノーコメントで。芳佳にゃ秘密にしといてくれ」
ミーナ「それを喋っちゃダメでしょ……」
ミーナ「と・り・あ・え・ず!」
一同(嫌な予感……)
139: 2012/05/27(日) 20:31:04.38 ID:nUFrAkpDO
ミーナ「今度何か集まりをやるなら、誰か動物化ウイッチを連れてくること!」
ミーナ「面白そうなのに何で秘密にするのよ~?」
一同(そういうもんだからですよ……中佐)ジト
兼定「……」コソ
140: 2012/05/27(日) 20:32:48.90 ID:nUFrAkpDO
ミーナ「あと兼定くん、こっち来なさい」
兼定「え゛……」
ミーナ「小さくなって逃げようとしてもムダよ」
ミーナ「喋れるなら喋れるって私にだけでも教えておいてよ。隊の事は何でも把握しとかなきゃならないのよ?私」
兼定「……すんません」
ミーナ「解ったならよし。撫でてあげる!」
兼定「いやそれは!?」
ミーナ「いくわよ~!」
兼定「うっ……」
兼定「ぎゃあああああああああああああああ!!?」
~続く?~
141: 2012/05/27(日) 20:33:57.32 ID:nUFrAkpDO
はい、お疲れ様です
今回は使い魔編でしたが名前の由来は
もっさん、バルクホルンさん、サーニャ、ペリーヌ、エーリカが元ネタさんの名前を
宮藤、リーネ、ルッキーニ、ミーナ中佐は公式の使い魔の名前
シャーリーは元ネタさんの奥さん、ウルスラはエーリカの元ネタさんの愛称で
エイラは元ネタさんの隊で飼っていた犬の名前になっています
他の子たちの出逢いはまたあとで書くことにさせてもらいますね
ちなみに兼定のところのハイテンションナレーションはCV.千葉繁さんで
兼定は幾らでも戦国時代とかの設定を足せるのでとってもいい子ですが自分のSS以外じゃ見掛けないのが悲しいです
ではこちらでもまたお付き合いを!
143: 2012/05/27(日) 20:58:09.14 ID:a0DcSYIDO
乙!!
相変わらず色々とハイセンス過ぎるw
アンドラが必要だったのはお蘭を出す為だったのか。
兼定がSSで出ないのは(というか使い魔が)実体化したり主と会話するシーンってストパン全体でごく僅かなのが原因だと思う。
相変わらず色々とハイセンス過ぎるw
アンドラが必要だったのはお蘭を出す為だったのか。
兼定がSSで出ないのは(というか使い魔が)実体化したり主と会話するシーンってストパン全体でごく僅かなのが原因だと思う。
144: 2012/06/02(土) 00:11:03.91 ID:DfNpXQLDO
やっと一週間、お疲れ様です
>>143確かに使い魔が実体化or会話してるのは
天空の乙女たちコミックス中だと宮藤、じゅんじゅん、もっさん、疾風、五色
小説ならマルセイユ、智子、ビューリング、ウルスラ
あとはフミカネさんの絵でルッキーニ(一緒に昼寝してる)、エーリカ(肩に乗ってる式典か何かの)、リーネ(子猫との書き下ろしポストカード)、ちびマルセイユ(空を見上げてる)
くらいかな。そう考えると出なくて当然……勿体無いなぁ
では今夜もお付き合いを
ネウロイのコンセプトは最後にも画像を貼りますが、MAです
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