1: 2023/06/28(水) 21:26:51.26 ID:oPd1hIJm.net
00セツナ
4: 2023/06/28(水) 21:29:05.49 ID:oPd1hIJm.net
退屈な毎日だった。好きなものを隠し、ひたすらに自分を頃し続ける抑圧された日々。真面目な顔をして何も知らないフリをして平穏に生き続ける事が私に用意されたつまらない人生だった。
と言うのも、私の家は両親が厳しく一切の娯楽と言う物が禁止されていた。もちろん、私も素直にソレに従う事はせず、漫画やテレビを夜な夜なひっそりと隠れて嗜んでいる事が多かった。特に私の心を鷲掴みしたのは「アイドル」の存在。いつか、私も彼女達みたいに人々の記憶に残る様な存在になりたい。そんな風に思う様になっていった。
巷でスクールアイドルが流行する事により、その願いは一気に現実味を帯びる事となるのだが。
と言うのも、私の家は両親が厳しく一切の娯楽と言う物が禁止されていた。もちろん、私も素直にソレに従う事はせず、漫画やテレビを夜な夜なひっそりと隠れて嗜んでいる事が多かった。特に私の心を鷲掴みしたのは「アイドル」の存在。いつか、私も彼女達みたいに人々の記憶に残る様な存在になりたい。そんな風に思う様になっていった。
巷でスクールアイドルが流行する事により、その願いは一気に現実味を帯びる事となるのだが。
5: 2023/06/28(水) 21:29:37.52 ID:oPd1hIJm.net
01セツナ
6: 2023/06/28(水) 21:31:08.20 ID:oPd1hIJm.net
どんなに順調に見えても私の心は常に渇いていた。憧れていたアイドルになって今もなお満たされない。結局の所、私は掃いては捨てる程居る大勢の中の一人でしかないのだ。
抑圧されていたものを解放してみたものの、スグにそれに慣れてしまう。私は飽き性なのだろうか。
かすみ「遠い目をして何を考えてるんですか?」
かすみさんの声で私はスグに我にかえった。かすみさんの方に目をやると、彼女は手に持ったシャーペンで部室の机をトントンと叩きながら私にノートを差し出した。
抑圧されていたものを解放してみたものの、スグにそれに慣れてしまう。私は飽き性なのだろうか。
かすみ「遠い目をして何を考えてるんですか?」
かすみさんの声で私はスグに我にかえった。かすみさんの方に目をやると、彼女は手に持ったシャーペンで部室の机をトントンと叩きながら私にノートを差し出した。
7: 2023/06/28(水) 21:32:21.11 ID:oPd1hIJm.net
せつ菜「早いですね。もう終わったのですか?」
かすみ「せつ菜先輩がボーッとしてる間にチャチャッと終わらせましたよ。これで今回こそ赤点は回避出来るはずです」
得意気な彼女を傍目に一通りノートに目を通す。
せつ菜「はあ、、、」
これでは、また赤点を取るハメになりそうで、思わずため息が溢れてしまった。
かすみ「な、何ですか。そのため息は」
かすみ「せつ菜先輩がボーッとしてる間にチャチャッと終わらせましたよ。これで今回こそ赤点は回避出来るはずです」
得意気な彼女を傍目に一通りノートに目を通す。
せつ菜「はあ、、、」
これでは、また赤点を取るハメになりそうで、思わずため息が溢れてしまった。
かすみ「な、何ですか。そのため息は」
10: 2023/06/28(水) 21:33:37.43 ID:oPd1hIJm.net
せつ菜「かすみさん。ここの問題をもう一度よく考えてみて下さい。それでも、どこが間違ってるか分からなければ聞いてください。教えます」
私がそう言うとかすみさんは不満そうな顔をした。
かすみ「最初から教えて下さいよ。計算得意なんでしょう?テスト迄あと僅かなんですから」
確かに彼女の言う通り最初から私が教えた方が時間短縮になるかもしれない。けれど、自分で考える事をしなければ、それは付け焼き刃と言うものだ。
私がそう言うとかすみさんは不満そうな顔をした。
かすみ「最初から教えて下さいよ。計算得意なんでしょう?テスト迄あと僅かなんですから」
確かに彼女の言う通り最初から私が教えた方が時間短縮になるかもしれない。けれど、自分で考える事をしなければ、それは付け焼き刃と言うものだ。
11: 2023/06/28(水) 21:35:27.30 ID:oPd1hIJm.net
せつ菜「かすみさん、少し自分で思考する事に慣れなければ。例え今回やり過ごせたとしても、この先苦労するかもしれませんよ。それが分からない様なかすみさんじゃないでしょう?」
私がそう言うと少し黙ってから「分かりました」と渋々だが、彼女は再び問題に取り掛かった。そこから、かすみさんが再び手を止めるのは、、、だいたい20分くらいだろうと予想して私は読み掛けだった雑誌に手を伸ばした。一年くらい前に発売されたアイドルの雑誌。先月、かすみさんが部室に持って来て、皆んなで回し読みしたまま置かれていた物だった。
私がそう言うと少し黙ってから「分かりました」と渋々だが、彼女は再び問題に取り掛かった。そこから、かすみさんが再び手を止めるのは、、、だいたい20分くらいだろうと予想して私は読み掛けだった雑誌に手を伸ばした。一年くらい前に発売されたアイドルの雑誌。先月、かすみさんが部室に持って来て、皆んなで回し読みしたまま置かれていた物だった。
13: 2023/06/28(水) 21:40:27.21 ID:oPd1hIJm.net
昭和のアイドルから割と最近のアイドルまで網羅されている。残念ながらスクールアイドルについては文字で少し説明されている程度。頬杖を付きながらペラペラとページを捲ると、あるアイドルが目に入った。
80年代後半にデビューしたそのアイドルは可愛いらしい見た目と圧倒的な歌唱力で瞬く間に人気となったらしい。しかし、デビューから二年後、彼女は短い生涯に自ら幕を閉じる事になる。当時、ニュース等では痴情のもつれが原因と報道されたらしいが真相は不明。当時の倫理観の緩さからショッキングな映像がニュース番組で放送されたらしい。それもあいまってか人気絶頂期のアイドルの氏は人々にかなりの衝撃を与え、人々の記憶に深く刻まれた事は間違いなかった。
せつ菜「これだ」
80年代後半にデビューしたそのアイドルは可愛いらしい見た目と圧倒的な歌唱力で瞬く間に人気となったらしい。しかし、デビューから二年後、彼女は短い生涯に自ら幕を閉じる事になる。当時、ニュース等では痴情のもつれが原因と報道されたらしいが真相は不明。当時の倫理観の緩さからショッキングな映像がニュース番組で放送されたらしい。それもあいまってか人気絶頂期のアイドルの氏は人々にかなりの衝撃を与え、人々の記憶に深く刻まれた事は間違いなかった。
せつ菜「これだ」
14: 2023/06/28(水) 21:41:19.87 ID:oPd1hIJm.net
思わず私は声に出して呟いてしまった。かすみさんは問題を解く事に夢中になっていて気づかれなかった事は幸いだった。
アイドルと氏。その相乗効果が生む結果は私が焦がれた唯一無二の存在への鍵になると確信をした。
かすみ「せつ菜先輩。やっぱり分からないです。教えて下さい」
アイドルと氏。その相乗効果が生む結果は私が焦がれた唯一無二の存在への鍵になると確信をした。
かすみ「せつ菜先輩。やっぱり分からないです。教えて下さい」
15: 2023/06/28(水) 21:42:03.65 ID:oPd1hIJm.net
泣きそうな顔をして私に縋るかすみさん。
かすみ「……なんでそんな嬉しそうな顔してるんですか?かすみんが困ってるのがそんなに楽しいですか?」
せつ菜「いえ…そんな事はないですよ。少し、計算をしていて」
伝説になるその日を想像しながら、ノートに目を通す。先ずは、、、彼女の赤点を回避する事で同好会の活動が制限される事を防がなければ。
かすみ「……なんでそんな嬉しそうな顔してるんですか?かすみんが困ってるのがそんなに楽しいですか?」
せつ菜「いえ…そんな事はないですよ。少し、計算をしていて」
伝説になるその日を想像しながら、ノートに目を通す。先ずは、、、彼女の赤点を回避する事で同好会の活動が制限される事を防がなければ。
16: 2023/06/28(水) 21:42:31.34 ID:oPd1hIJm.net
01アユム
17: 2023/06/28(水) 21:43:24.69 ID:oPd1hIJm.net
小さい頃から、大好きな大好き大好きな大好きな大好きな大好きな侑ちゃんがスクールアイドルを応援したいからって、高校二年生と言う中途半端な時期にスクールアイドル同好会に入部する事になった。私がスクールアイドルになれば侑ちゃんは私を応援してくれる。その日から私と侑ちゃんは夢を共有する間柄にまでなった。
ちょっと嫌なのが、侑ちゃんがスクールアイドルを知ったキッカケが同じ学校の優木せつ菜ちゃんだと言う事。もちろん、同好会にも所属してるし、侑ちゃんはせつ菜ちゃんも応援したいんだって。優しいのは分かるけど、それってどうなの?
侑ちゃんには私だけを見ていて欲しい。
ちょっと嫌なのが、侑ちゃんがスクールアイドルを知ったキッカケが同じ学校の優木せつ菜ちゃんだと言う事。もちろん、同好会にも所属してるし、侑ちゃんはせつ菜ちゃんも応援したいんだって。優しいのは分かるけど、それってどうなの?
侑ちゃんには私だけを見ていて欲しい。
18: 2023/06/28(水) 21:44:52.52 ID:oPd1hIJm.net
けど、私が好きな侑ちゃんは誰にでも優しくて、冷たい侑ちゃんは見たくないかも。でも、私だけを見ていて欲しい。はあ、、、いっその事、私と侑ちゃんの二人だけの同好会なら良かったのになぁ。最近は後輩にまで慕われてしまって、私はどうしたら良いんだろう。
侑「歩夢?おーい、歩夢」
歩夢「へ?あっ、ごめん。何だっけ?」
ボーっとしながら歩く私の顔を覗き込みながら、侑ちゃんは笑った。
侑「ボーっと歩いてると転ぶよ。もしかして寝不足?今日は授業中もボーっとしてたよね?」
侑「歩夢?おーい、歩夢」
歩夢「へ?あっ、ごめん。何だっけ?」
ボーっとしながら歩く私の顔を覗き込みながら、侑ちゃんは笑った。
侑「ボーっと歩いてると転ぶよ。もしかして寝不足?今日は授業中もボーっとしてたよね?」
19: 2023/06/28(水) 21:46:26.34 ID:oPd1hIJm.net
恥ずかしい所を見られたと思うと同時に授業中でも私の事を気に掛けていてくれてるんだと嬉しい気持ちになった。ただ、寝不足なのは本当で、その原因は侑ちゃんなんだよと言いたい。
侑「もし寝不足なら無理に残らなくても良いよ。私とせつ菜ちゃんで事足りるから」
また、せつ菜ちゃん。私達の学校はテスト期間中で、同好会の後輩で勉強が全く出来ない後輩、かすみちゃんの世話をせつ菜ちゃんが買って出たのまでは良かったけど、侑ちゃんまで手伝うとか言い出して、今までは私と二人で勉強してたのに。侑ちゃんが手伝うなら私も手伝うしかないじゃん。
それと、かすみちゃんは事ある事に侑ちゃんに泣きつくから見張ってなきゃいけない。
侑「もし寝不足なら無理に残らなくても良いよ。私とせつ菜ちゃんで事足りるから」
また、せつ菜ちゃん。私達の学校はテスト期間中で、同好会の後輩で勉強が全く出来ない後輩、かすみちゃんの世話をせつ菜ちゃんが買って出たのまでは良かったけど、侑ちゃんまで手伝うとか言い出して、今までは私と二人で勉強してたのに。侑ちゃんが手伝うなら私も手伝うしかないじゃん。
それと、かすみちゃんは事ある事に侑ちゃんに泣きつくから見張ってなきゃいけない。
20: 2023/06/28(水) 21:47:32.71 ID:oPd1hIJm.net
要するに寝不足だろうが疲労困憊だろうが、侑ちゃんだけで行かせる訳にはいかないの。
部室に到着すると既にせつ菜ちゃんとかすみちゃんの二人が勉強を始めていた。
侑「遅れてごめんね。先生に頼まれごとされちゃって」
侑ちゃんが声を掛けるとかすみちゃんが立ち上がって「先輩!」と声をあげた。そんな大きな声をあげなくても聞こえるのに。せつ菜ちゃんは何か考え事をしてるのか私達の方に目もくれない。それはそれでなんだかなぁとも思う。
部室に到着すると既にせつ菜ちゃんとかすみちゃんの二人が勉強を始めていた。
侑「遅れてごめんね。先生に頼まれごとされちゃって」
侑ちゃんが声を掛けるとかすみちゃんが立ち上がって「先輩!」と声をあげた。そんな大きな声をあげなくても聞こえるのに。せつ菜ちゃんは何か考え事をしてるのか私達の方に目もくれない。それはそれでなんだかなぁとも思う。
21: 2023/06/28(水) 21:48:18.60 ID:oPd1hIJm.net
かすみ「侑せんぱ~い。待ってたんですよ」
侑ちゃんの元へ駆け寄って抱きつくかすみちゃんを傍目に、子供のやる事だからと自分に言い聞かせながら、私はせつ菜ちゃんに声を掛ける。
歩夢「遅くなってごめんね。一人で大変だったでしょ?」
侑ちゃんの元へ駆け寄って抱きつくかすみちゃんを傍目に、子供のやる事だからと自分に言い聞かせながら、私はせつ菜ちゃんに声を掛ける。
歩夢「遅くなってごめんね。一人で大変だったでしょ?」
22: 2023/06/28(水) 21:49:13.76 ID:oPd1hIJm.net
わざと侑ちゃんとかすみちゃんに聞こえる様に言ってみた。「それってどう言う事ですか」とかすみちゃんが騒ぎ始め、侑ちゃんは笑っている。
せつ菜ちゃんは何故か私をジッと見つめている。何だろう。相手が侑ちゃんじゃなくても見つめられるのは何だか照れる。
歩夢「どうしたの?私の顔に何かついてる?」
私が問い掛けるとせつ菜ちゃんは我にかえったのか、「いえ、少し考え事を」とだけ答えた。
せつ菜ちゃんは何故か私をジッと見つめている。何だろう。相手が侑ちゃんじゃなくても見つめられるのは何だか照れる。
歩夢「どうしたの?私の顔に何かついてる?」
私が問い掛けるとせつ菜ちゃんは我にかえったのか、「いえ、少し考え事を」とだけ答えた。
25: 2023/06/28(水) 22:03:20.74 ID:oPd1hIJm.net
何やら難しい顔をしている。侑ちゃんもそれに気が付いた様で、かすみちゃんを軽くいなすと私達の近くに寄って来た。
侑「せつ菜ちゃん。何か悩んでる?」
せつ菜ちゃんは少し黙って、私と侑ちゃんを交互に見比べた後、侑ちゃんの方を見て笑顔で「大丈夫ですよ。侑さんは本当に優しい人ですね」と言った。その時、チラッと私の方を見てニヤッと口角を上げたのを私は見逃さなかった。
これは私に対する挑発と受け取って良いのだろうか。そんな気持ちをどうにか抑えながら私は席に着く。すると、何故かせつ菜ちゃんは私の横に座り直した。それを見ていた、かすみちゃんは「じゃあ、侑先輩はかすみんの隣ですねー」と言いながらニコニコしていた。
どうして、皆んなして私を刺激する様な事をするのだろう。
その日を境に、かすみちゃんの侑ちゃんに対するアプローチが目に余る様になっていった。
侑「せつ菜ちゃん。何か悩んでる?」
せつ菜ちゃんは少し黙って、私と侑ちゃんを交互に見比べた後、侑ちゃんの方を見て笑顔で「大丈夫ですよ。侑さんは本当に優しい人ですね」と言った。その時、チラッと私の方を見てニヤッと口角を上げたのを私は見逃さなかった。
これは私に対する挑発と受け取って良いのだろうか。そんな気持ちをどうにか抑えながら私は席に着く。すると、何故かせつ菜ちゃんは私の横に座り直した。それを見ていた、かすみちゃんは「じゃあ、侑先輩はかすみんの隣ですねー」と言いながらニコニコしていた。
どうして、皆んなして私を刺激する様な事をするのだろう。
その日を境に、かすみちゃんの侑ちゃんに対するアプローチが目に余る様になっていった。
26: 2023/06/28(水) 22:05:21.21 ID:oPd1hIJm.net
02リナ
28: 2023/06/28(水) 22:36:15.26 ID:oPd1hIJm.net
突然、かすみちゃんが学校へ来なくなった。家にも帰って居ないらしく、それから4日後には警察へ捜索願いが提出されたらしい。
私達の元へも警察の人が話を聞きに来た。何か気になる事はなかったか。そう言われても、かすみちゃんはいつも通りで特に変わった様子は無かった様に思える。
警察「何か変わった事があったら連絡を下さい」
そう言って警察の人は部室を後にした。誰も何も言わない。ただ、俯いている。それが30分くらい続いた。そんな中、最初に口を開いたのはせつ菜さんだった。
せつ菜「心配ですが、大丈夫です。かすみさんはきっと帰って来ます」
私達の元へも警察の人が話を聞きに来た。何か気になる事はなかったか。そう言われても、かすみちゃんはいつも通りで特に変わった様子は無かった様に思える。
警察「何か変わった事があったら連絡を下さい」
そう言って警察の人は部室を後にした。誰も何も言わない。ただ、俯いている。それが30分くらい続いた。そんな中、最初に口を開いたのはせつ菜さんだった。
せつ菜「心配ですが、大丈夫です。かすみさんはきっと帰って来ます」
34: 2023/06/29(木) 21:32:27.03 ID:FI2zykpw.net
何の根拠もない言葉だった。それに続けとばかりに歩夢さんも同じ様な事を口にする。大丈夫、心配ない、きっと帰って来る。私達を安心させたいのだと思った。
せつ菜「さて、練習を始めましょうか」
いつも通りに振る舞うせつ菜さん。そんな彼女を見て「強いね、せっつーは」と愛さんは呟いていた。私も最初は同じ様に思っていた。
かすみちゃんが居なくても、いつも通り行われる同好会の練習。せつ菜さんは毎日の様に「かすみさんが帰って来た時、笑われない様に一生懸命練習しましょう」と口にしていた。かすみちゃんの失踪はいつしか事件となり、マスコミが取材に来る事もあった。そう言う時、だいたいせつ菜さんと侑さんが対応する。突然、失踪した可愛い後輩を健気に待ち続ける姿が全国に映し出されると、私達は瞬く間に有名となった。
けれど、以前かすみちゃんの行方は不明のまま、なんの進展もない。
せつ菜「さて、練習を始めましょうか」
いつも通りに振る舞うせつ菜さん。そんな彼女を見て「強いね、せっつーは」と愛さんは呟いていた。私も最初は同じ様に思っていた。
かすみちゃんが居なくても、いつも通り行われる同好会の練習。せつ菜さんは毎日の様に「かすみさんが帰って来た時、笑われない様に一生懸命練習しましょう」と口にしていた。かすみちゃんの失踪はいつしか事件となり、マスコミが取材に来る事もあった。そう言う時、だいたいせつ菜さんと侑さんが対応する。突然、失踪した可愛い後輩を健気に待ち続ける姿が全国に映し出されると、私達は瞬く間に有名となった。
けれど、以前かすみちゃんの行方は不明のまま、なんの進展もない。
41: 2023/07/02(日) 23:38:21.48 ID:ZsT+Ken6.net
それが、数日から一週間、一週間から数週間となっても、私達は変わらず練習を続けていた。
愛「ちょっとさ…活動するのを控えない?」
言い出しのは愛さんだった。皆んなが動きを止めて、部室が静まり返った。
愛「かすみんがこんな状況なのに活動なんて続けてられないよ」
やっと言ってくれたと思った。モヤモヤとした気持ちを私も抑えていたから。誰かが言ってくれるのをずっと待っていた。他の皆んなも同じ気持ちだったんだと思う。お互いに顔を見合わせた後にそれぞれ口を開き始める。
「私も愛ちゃんの意見に賛成」「私も同じ気持ちだよ」
その場にいた多数が愛さんの意見に賛同し始めた。もちろん私も賛同した。そんな流れを断ち切る様に歩夢さんが口を開いた。
歩夢「私達が練習をやめた所で、かすみちゃんの行方が分かる訳じゃないでしょ?」
愛「ちょっとさ…活動するのを控えない?」
言い出しのは愛さんだった。皆んなが動きを止めて、部室が静まり返った。
愛「かすみんがこんな状況なのに活動なんて続けてられないよ」
やっと言ってくれたと思った。モヤモヤとした気持ちを私も抑えていたから。誰かが言ってくれるのをずっと待っていた。他の皆んなも同じ気持ちだったんだと思う。お互いに顔を見合わせた後にそれぞれ口を開き始める。
「私も愛ちゃんの意見に賛成」「私も同じ気持ちだよ」
その場にいた多数が愛さんの意見に賛同し始めた。もちろん私も賛同した。そんな流れを断ち切る様に歩夢さんが口を開いた。
歩夢「私達が練習をやめた所で、かすみちゃんの行方が分かる訳じゃないでしょ?」
42: 2023/07/03(月) 00:05:02.76 ID:1CrkT58l.net
再び、その場は静まり返った。確かにそうかもしれない。私達が活動を止める事で何かが変わるとは思えない。けど、友達が行方不明になってるのに平然と練習なんてしていられないと思うのが普通でしょ?異様な空気に包まれる中、そんなのお構い無しと言わんばかりに歩夢さんは喋り続ける。
歩夢「こうやっている間にも警察がかすみちゃんを捜索してくれてるんだよ。私達が練習してても、してなくても関係なく。結果が同じなら練習してた方が効率的でしょ?」
いよいよ、皆んなの顔が強張り始める。それを察したのかせつ菜さんが焦った様に割って入った。
せつ菜「確かに愛さんの言う事も最もです。でも、冷静に考えて下さい。私達に出来る事はかすみさんが帰って来た時の居場所を用意しておく事。それから、知名度を上げて少しでもマスコミが取り上げてくれれば捜索の助けになる。言葉足らずですが歩夢さんが言いたかったのはそう言う事ですよね?」
歩夢「え、う、うん。そうだね」
半ば無理矢理にせつ菜さんはその場をおさめてみせた。それでも私は違和感が拭えない。この人達はそこまでして活動を続けたいのか。
歩夢「こうやっている間にも警察がかすみちゃんを捜索してくれてるんだよ。私達が練習してても、してなくても関係なく。結果が同じなら練習してた方が効率的でしょ?」
いよいよ、皆んなの顔が強張り始める。それを察したのかせつ菜さんが焦った様に割って入った。
せつ菜「確かに愛さんの言う事も最もです。でも、冷静に考えて下さい。私達に出来る事はかすみさんが帰って来た時の居場所を用意しておく事。それから、知名度を上げて少しでもマスコミが取り上げてくれれば捜索の助けになる。言葉足らずですが歩夢さんが言いたかったのはそう言う事ですよね?」
歩夢「え、う、うん。そうだね」
半ば無理矢理にせつ菜さんはその場をおさめてみせた。それでも私は違和感が拭えない。この人達はそこまでして活動を続けたいのか。
43: 2023/07/03(月) 00:20:26.08 ID:1CrkT58l.net
そんな気持ちの方が大きかった。思えば歩夢さんは私達の事を仲間だと、友達だと思っているのだろうか?上原歩夢と言う人間は一見物静かで温厚、優しい人と言うイメージを受ける。けれど、彼女視線は私達に向く事は少なく、常に幼馴染の侑さん向いてる事が多い様に思える。その他の事になんてまるで興味がないんじゃないかって。
ほら、あれだけの事を言った後も、何もなかったかの様に侑さんの事を見つめている。当の本人はそんな事には気付かず、ただ難しい顔して何かを考えていた。
ほら、あれだけの事を言った後も、何もなかったかの様に侑さんの事を見つめている。当の本人はそんな事には気付かず、ただ難しい顔して何かを考えていた。
44: 2023/07/03(月) 00:33:56.53 ID:1CrkT58l.net
かすみちゃんの氏亡が判明したのはそれから半年後。これから起こる一連の騒動が終えると同時にそれは判明した。
ごめんね、かすみちゃん。私がもっと早く気が付いてれば良かったね。
かすみちゃん。この同好会の人達ね、狂ってる。
りなちゃんボード、ペコリ。
ごめんね、かすみちゃん。私がもっと早く気が付いてれば良かったね。
かすみちゃん。この同好会の人達ね、狂ってる。
りなちゃんボード、ペコリ。
45: 2023/07/03(月) 00:35:09.09 ID:1CrkT58l.net
03 シズク
47: 2023/07/03(月) 00:42:23.86 ID:1CrkT58l.net
歩夢さんとせつ菜さんの口からかすみさんが氏んだ事を告げられた時、涙が流れた。
あぁ、これが悲しみの感情なんだ。言葉に出来ないこの感情。私、かすみさんと知り合えて本当に良かったと思いました。だって、きっと、この感情はかすみさんと出会わなければ知る事は出来なかったと思う。それだけ、私にとってかすみさんは大事な友達だったよ。本当にありがとう、かすみさん。これで私はまた一つ女優として成長する事が出来ます。私、かすみさんの氏を無駄にしない為にもまだまだ頑張るね。
さて、その為にもまだまだ勉強しなきゃ。目の前の二人。歩夢さんとせつ菜さん。この狂った二人からは学べる事が沢山ありそう。
あぁ、これが悲しみの感情なんだ。言葉に出来ないこの感情。私、かすみさんと知り合えて本当に良かったと思いました。だって、きっと、この感情はかすみさんと出会わなければ知る事は出来なかったと思う。それだけ、私にとってかすみさんは大事な友達だったよ。本当にありがとう、かすみさん。これで私はまた一つ女優として成長する事が出来ます。私、かすみさんの氏を無駄にしない為にもまだまだ頑張るね。
さて、その為にもまだまだ勉強しなきゃ。目の前の二人。歩夢さんとせつ菜さん。この狂った二人からは学べる事が沢山ありそう。
48: 2023/07/03(月) 01:21:59.88 ID:1CrkT58l.net
私は小さな頃から昔の映画や小説が好きだった。周りにそんな子は居なかったから変な子扱いされてたと思う。昔はそれが怖かった。周りと違う自分は嫌われるんじゃないかって。それで、良い子の演技を始めてみたら、まるで自分が変われた様な気がして、凄く気持ち良くて、それからどっぷりと演技をする事にハマっていった。
次はどんな役を演じよう。私生活では良い子を演じ、舞台では様々な役柄を演じる。ただ、演技を続けていくうちに自分の稚拙な表現が許容出来なくなってくる。人には様々な思考や感情があるけれど私が知ってるのはほんの一部。そんな私が本当に演技を出来ているのか?そんな疑問が私の中を駆け巡る。そんな中で出会ったのが、かすみさんだった。
次はどんな役を演じよう。私生活では良い子を演じ、舞台では様々な役柄を演じる。ただ、演技を続けていくうちに自分の稚拙な表現が許容出来なくなってくる。人には様々な思考や感情があるけれど私が知ってるのはほんの一部。そんな私が本当に演技を出来ているのか?そんな疑問が私の中を駆け巡る。そんな中で出会ったのが、かすみさんだった。
49: 2023/07/03(月) 01:33:21.48 ID:1CrkT58l.net
かすみさんは広い校舎の中で一人、スクールアイドル活動の有志を募るチラシを配っていた。誰も見向きをしない。当然だと思った。かすみさんはアイドルになると公言してもそれ程可笑しくない容姿をしているが、皆んなが皆んなそう言う訳ではない。仮に容姿が優れていたとしてもよっぽどの自惚れ屋でもない限り、自分からアイドルになるなんて事は簡単には言えないだろう。そんな事を言い出したら変わり者のレッテルを貼られてしまう。
そんな彼女に昔の自分を重ねたのか少し同情的に見ている自分に気が付いたのと同時に、ここで私が彼女に手を差し伸べる事で友情を育む事が出来るのではないか、今まで演技の事だけを考えて来た私が友情を知る良い機会なのではないかとの考えが浮かんだ。そうして、私は一人佇むかすみさんに手を差し伸べ、友情物語を始めるのだった。
そんな彼女に昔の自分を重ねたのか少し同情的に見ている自分に気が付いたのと同時に、ここで私が彼女に手を差し伸べる事で友情を育む事が出来るのではないか、今まで演技の事だけを考えて来た私が友情を知る良い機会なのではないかとの考えが浮かんだ。そうして、私は一人佇むかすみさんに手を差し伸べ、友情物語を始めるのだった。
50: 2023/07/03(月) 01:38:56.60 ID:1CrkT58l.net
今でも覚えてるよ。私が一緒に同好会をやるって言った時のかすみさんの表情。
かすみ「え?今何て言ったの?」
しずく「スクールアイドルに興味あるんです。良かったら一緒にやりたいなって」
かすみ「本当に!嘘じゃないよね?」
しずく「嘘じゃないです。私、桜坂しずく。よろしくね」
かすみ「桜坂しずく!じゃあ、しず子だね!ヤッタァ!!!ついに仲間が増えたよ!しず子ーーーー!!!!しず子ーーーーー!!!」
あの時のかすみさんの笑顔。今では私も出来る様になったよ。かすみさんのお陰だね。
かすみ「え?今何て言ったの?」
しずく「スクールアイドルに興味あるんです。良かったら一緒にやりたいなって」
かすみ「本当に!嘘じゃないよね?」
しずく「嘘じゃないです。私、桜坂しずく。よろしくね」
かすみ「桜坂しずく!じゃあ、しず子だね!ヤッタァ!!!ついに仲間が増えたよ!しず子ーーーー!!!!しず子ーーーーー!!!」
あの時のかすみさんの笑顔。今では私も出来る様になったよ。かすみさんのお陰だね。
51: 2023/07/03(月) 01:57:05.36 ID:1CrkT58l.net
それから、割とトントン拍子に話が進んでしまって、せつ菜さん、彼方さん、エマさんが参加を希望する事で、私とかすみさんを含め5名となり晴れて同好会を立ち上げる事に成功した。私としてはもう少し苦労を共にする事で友情が育つのではないかと思ったけど、その後はせつ菜さんの脱退騒動が発生し、程よく苦楽を共にする事が出来ました。
まあ、、、あの時、せつ菜さんはスクールアイドルを辞めようとはしてなかったのだろうなと思う。だって、せつ菜さんは誰よりも打算的でリアリストな人ですもんね。対立したかすみさんを私達ごと切り捨て様としたんだろうけど、結果的にこっちに戻って来てくれて良かったです。
まあ、、、あの時、せつ菜さんはスクールアイドルを辞めようとはしてなかったのだろうなと思う。だって、せつ菜さんは誰よりも打算的でリアリストな人ですもんね。対立したかすみさんを私達ごと切り捨て様としたんだろうけど、結果的にこっちに戻って来てくれて良かったです。
52: 2023/07/03(月) 02:16:38.85 ID:1CrkT58l.net
だからこそ、せつ菜さんの様な現実主義者がこんな破滅的な行動を起こした事に最初は驚きました。けど、話を聞いてすぐに合点がいきました。現実の事態に即して生きているからこそ、この先の人生の頂点が予測出来てしまってる。これから先、上がる事も下がる事もそうそう無い人生を変える為に彼女はこんな計画をしたのだと私は理解した。
けど、かすみさんを頃す必要はあった?
せつ菜「私もまさか、こんな簡単に手をかけてしまうとは思いませんでしたが。私としては殺意さえ確認出来ればそれで良かったのですが」
せつ菜さんにも計算間違いはあるみたいで、横で歩夢さんは苦笑いしてました。
せつ菜「でも、遅かれ早かれ歩夢さんはかすみさんを頃していたでしょうし、氏ぬ順番が前後するだけですから」
歩夢「そうだね。きっと、せつ菜ちゃんが氏んだ後でも、私はかすみちゃんを頃してたと思う。でも、それはせつ菜ちゃんが仕組んだ事だから、、、同罪だよね」
せつ菜「そうですね。かすみさんには申し訳ありませんが」
こんな話を平然とするなんて、やっぱりこの二人おかしい。きっと、こんなチャンスは二度と来ないだろうなと思う。
けど、かすみさんを頃す必要はあった?
せつ菜「私もまさか、こんな簡単に手をかけてしまうとは思いませんでしたが。私としては殺意さえ確認出来ればそれで良かったのですが」
せつ菜さんにも計算間違いはあるみたいで、横で歩夢さんは苦笑いしてました。
せつ菜「でも、遅かれ早かれ歩夢さんはかすみさんを頃していたでしょうし、氏ぬ順番が前後するだけですから」
歩夢「そうだね。きっと、せつ菜ちゃんが氏んだ後でも、私はかすみちゃんを頃してたと思う。でも、それはせつ菜ちゃんが仕組んだ事だから、、、同罪だよね」
せつ菜「そうですね。かすみさんには申し訳ありませんが」
こんな話を平然とするなんて、やっぱりこの二人おかしい。きっと、こんなチャンスは二度と来ないだろうなと思う。
54: 2023/07/03(月) 19:39:04.96 ID:1CrkT58l.net
04 アイ
55: 2023/07/03(月) 21:22:26.02 ID:1CrkT58l.net
歩夢がかすみんを頃したって聞いた時、やっぱり歩夢はそう言う子だったかと妙に納得してしまった。かすみんのゆうゆに対するアピールは露骨だったし、歩夢がそれを快く思ってない事は誰が見ても明白だった。歩夢は異常なゆうゆに異常な迄の執着心を持っていて、いつか爆発するのではと気が気じゃ無かった。まさか、せっつーがけしかけていたなんて事は心にも思わなかった。
皆んな狂ってる。こんな所に居たらいつか私も殺されてしまうかもしれない。だから、私はりなりーを連れて同好会から抜ける事にした。同好会を抜けて警察に歩夢達を突き出してやろう。
皆んな狂ってる。こんな所に居たらいつか私も殺されてしまうかもしれない。だから、私はりなりーを連れて同好会から抜ける事にした。同好会を抜けて警察に歩夢達を突き出してやろう。
56: 2023/07/03(月) 22:01:40.02 ID:1CrkT58l.net
愛「だから、歩夢がかすみんを頃したんだよ」
りなりーはキョトンとしている。いきなりこんな事言われても信じられないのも分かるけど。
愛「本当なんだよ。本人が言ってるのを聞いたんだ。こんな所に居るべきじゃないんだよ」
璃奈「かすみちゃん、、、もう居ないの?」
居ない。はっきりと私は伝えた。残酷な様だけど、そうしないといけない。りなりーを連れて次の行動に移すには必要な事だと私は判断したから、全てを伝えたんだ。
愛「悲しいと思うけど、、、そんな余裕は」
私が話してる途中、りなりーは何やら鞄を漁っていた。
愛「何やってるの、、、?りなりー、、、」
りなりーは鞄から画用紙を取り出すと自分の顔にあてた。画用紙には涙を流す表情が描かれている。
璃奈「かすみちゃんが氏んじゃって悲しいよ。りなちゃんボードしくしく」
りなりーはキョトンとしている。いきなりこんな事言われても信じられないのも分かるけど。
愛「本当なんだよ。本人が言ってるのを聞いたんだ。こんな所に居るべきじゃないんだよ」
璃奈「かすみちゃん、、、もう居ないの?」
居ない。はっきりと私は伝えた。残酷な様だけど、そうしないといけない。りなりーを連れて次の行動に移すには必要な事だと私は判断したから、全てを伝えたんだ。
愛「悲しいと思うけど、、、そんな余裕は」
私が話してる途中、りなりーは何やら鞄を漁っていた。
愛「何やってるの、、、?りなりー、、、」
りなりーは鞄から画用紙を取り出すと自分の顔にあてた。画用紙には涙を流す表情が描かれている。
璃奈「かすみちゃんが氏んじゃって悲しいよ。りなちゃんボードしくしく」
58: 2023/07/03(月) 22:12:50.76 ID:1CrkT58l.net
悲しいと言いながら涙は流れてない。淡々と言葉でしくしくと表現する。この子はこんな時まで。
愛「しくしくって、、、こんな時にふざけた事しないでよ」
普段なら絶対にこんな事を言わない。きっと私も余裕が無かったんだと思う。でも、友達が殺されたんだよ?例えば、お葬式に来て涙も流さないでシクシクなんて言ってるのを見たら非常識だと思うでしょ?りなりーがやってる事はそれと同じ事だと思う。
私に怒鳴られてりなりーはゆっくりと画用紙を下げた。
璃奈「ふざけてなんかないよ。本当に悲しいのに」
そう言われても、もう私も止まらなかった。
愛「本当に悲しかったらそんなおかしな事はしないでしょ」
愛「しくしくって、、、こんな時にふざけた事しないでよ」
普段なら絶対にこんな事を言わない。きっと私も余裕が無かったんだと思う。でも、友達が殺されたんだよ?例えば、お葬式に来て涙も流さないでシクシクなんて言ってるのを見たら非常識だと思うでしょ?りなりーがやってる事はそれと同じ事だと思う。
私に怒鳴られてりなりーはゆっくりと画用紙を下げた。
璃奈「ふざけてなんかないよ。本当に悲しいのに」
そう言われても、もう私も止まらなかった。
愛「本当に悲しかったらそんなおかしな事はしないでしょ」
61: 2023/07/04(火) 22:57:06.45 ID:zZLoevep.net
りなりーはそっと下を向いて、とうとうその場に座り込んでしまった。
愛「これみよがしに落ち込む振りなんてしないでよ。今、りなりーに構ってる余裕なんてないの分かるでしょ」
璃奈「だったら、、、私は連れて行ってくれなくて良いよ。愛さん一人で行って」
当てつけの様に動こうとしないりなりーに腹が立った。気がついた時には肩に掛けていたスクールバッグを彼女に向かって投げつけていた。鈍い音がして、我に返ってりなりーの方を見ると、彼女の額から血が流れている。彼女は声もあげず、ただ私を見つめいた。
愛「ご、ごめん。つい、、、」
そう言って駆け寄ると、りなりーは手に持っていた画用紙を再び顔に当てた。
璃奈「愛さんがくれたんだよ。おかしな私が普通でいられる様にって。私、嬉しかったのに。やっぱり、愛さんも私の事を変な子だって思ってたんだね」
愛「これみよがしに落ち込む振りなんてしないでよ。今、りなりーに構ってる余裕なんてないの分かるでしょ」
璃奈「だったら、、、私は連れて行ってくれなくて良いよ。愛さん一人で行って」
当てつけの様に動こうとしないりなりーに腹が立った。気がついた時には肩に掛けていたスクールバッグを彼女に向かって投げつけていた。鈍い音がして、我に返ってりなりーの方を見ると、彼女の額から血が流れている。彼女は声もあげず、ただ私を見つめいた。
愛「ご、ごめん。つい、、、」
そう言って駆け寄ると、りなりーは手に持っていた画用紙を再び顔に当てた。
璃奈「愛さんがくれたんだよ。おかしな私が普通でいられる様にって。私、嬉しかったのに。やっぱり、愛さんも私の事を変な子だって思ってたんだね」
71: 2023/07/09(日) 22:43:14.04 ID:FJId2C9s.net
放って置けなかった。悲しそうにみえた彼女を。手を差し伸べなければいけないと思った。だから、声を掛けてみたんだ。
愛「りなりー、、、泣いてるの?」
りなりーは返事をしてくれない。結局、私は自分から手を差し伸べておきながら、余裕がなくなって彼女の手を離した。
今思えば、困っている子に手を差し伸べる事で、自分に酔っていたのかもしれない。
愛「ごめんね、りなりー。ごめんね」
もう二度とりなりーが心を開いてくれる事は無かった。
私は誰も助ける事の出来ない人間だよ、お姉ちゃん。
愛「りなりー、、、泣いてるの?」
りなりーは返事をしてくれない。結局、私は自分から手を差し伸べておきながら、余裕がなくなって彼女の手を離した。
今思えば、困っている子に手を差し伸べる事で、自分に酔っていたのかもしれない。
愛「ごめんね、りなりー。ごめんね」
もう二度とりなりーが心を開いてくれる事は無かった。
私は誰も助ける事の出来ない人間だよ、お姉ちゃん。
72: 2023/07/09(日) 22:44:11.66 ID:FJId2C9s.net
05カリン
74: 2023/07/09(日) 23:06:08.84 ID:FJId2C9s.net
最初から誰も私の事なんて眼中に無かったんだと思う。
この部室で犯罪の、それも殺人を告白されるとは思わなかった。
歩夢「知った所で何も出来ないでしょ?」
果林「警察に行くわ。今、聞いた事全部話すから」
歩夢は私の方をジッと見つめてから不敵に笑ってみせた。
歩夢「でも、私が頃した証拠なんてないですよ。氏体だって見つかってないのに」
だったら何で私に話したのか。何か理由があるはずだ。
歩夢「手伝って欲しい事があるんです」
果林「手伝って欲しい事?」
歩夢「はい。せつ菜ちゃんを頃すお手伝いを。あっ、もちろん!これはせつ菜ちゃんも了承済みで、、、って言うかせつ菜ちゃんが言い出しっぺなんです」
何を言ってるのか暫く理解が追いつかなかった。そもそも、かすみちゃんの事だって私はまだ半信半疑で、それに加えてせつ菜の殺害計画を。しかも、それを言い出したのがせつ菜だなんて。
果林「どう言う事?意味がわからないのだけれど。せつ菜を頃すって、、、」
この部室で犯罪の、それも殺人を告白されるとは思わなかった。
歩夢「知った所で何も出来ないでしょ?」
果林「警察に行くわ。今、聞いた事全部話すから」
歩夢は私の方をジッと見つめてから不敵に笑ってみせた。
歩夢「でも、私が頃した証拠なんてないですよ。氏体だって見つかってないのに」
だったら何で私に話したのか。何か理由があるはずだ。
歩夢「手伝って欲しい事があるんです」
果林「手伝って欲しい事?」
歩夢「はい。せつ菜ちゃんを頃すお手伝いを。あっ、もちろん!これはせつ菜ちゃんも了承済みで、、、って言うかせつ菜ちゃんが言い出しっぺなんです」
何を言ってるのか暫く理解が追いつかなかった。そもそも、かすみちゃんの事だって私はまだ半信半疑で、それに加えてせつ菜の殺害計画を。しかも、それを言い出したのがせつ菜だなんて。
果林「どう言う事?意味がわからないのだけれど。せつ菜を頃すって、、、」
75: 2023/07/09(日) 23:18:25.55 ID:FJId2C9s.net
歩夢は人差し指を顎に当てる仕草をした。それが、まるで人を小馬鹿にしてる様に見えた。
歩夢「伝説になりたいんですって、せつ菜ちゃん」
果林「伝説?」
私の質問を遮る様に部室の扉が勢いよく開いた。
せつ菜「それは私が説明します」
いきなり現れて、元気良くハキハキと話し出す。私のよく知ってるせつ菜だった。
せつ菜「私は伝説になりたいんです。このまま活動を続けていても私は大勢いる中の一人、有象無象の存在で終わってしまいます。あ~あんなアイドルいたな~みたいな?そこで、思ったんです。例えば、人気絶頂のアイドルがライブ中に衝撃的な最期を迎えるとか、人々の記憶に強く残ると思いませんか?」
歩夢「伝説になりたいんですって、せつ菜ちゃん」
果林「伝説?」
私の質問を遮る様に部室の扉が勢いよく開いた。
せつ菜「それは私が説明します」
いきなり現れて、元気良くハキハキと話し出す。私のよく知ってるせつ菜だった。
せつ菜「私は伝説になりたいんです。このまま活動を続けていても私は大勢いる中の一人、有象無象の存在で終わってしまいます。あ~あんなアイドルいたな~みたいな?そこで、思ったんです。例えば、人気絶頂のアイドルがライブ中に衝撃的な最期を迎えるとか、人々の記憶に強く残ると思いませんか?」
84: 2023/07/11(火) 23:55:49.90 ID:PvAP46AP.net
説明をされても意味は分からなかった。決して彼女の話してる内容が理解出来ない訳ではなく、ただ、どうしてその様な考えに至るのかが私には分からない。
それに結果としてせつ菜の思惑通りにはいかないとも思った。ステージの上で最期を迎える事、仮にこれが達成出来たとして、その効果は一時的なもので、すぐに他のもので更新されるのがオチではないかと私は思う。
あくまで、これは私の持論なのだけれど、氏んだ人間はそこで終わり。生き続ける人には敵わない。
世間はすぐにせつ菜の事など忘れて、新しい才能に飛びつくでしょう。
せつ菜。あなたはもっと聡い子だと思っていたけど。
思春期を拗らせたちょっと過激な女の子なのね。
それに結果としてせつ菜の思惑通りにはいかないとも思った。ステージの上で最期を迎える事、仮にこれが達成出来たとして、その効果は一時的なもので、すぐに他のもので更新されるのがオチではないかと私は思う。
あくまで、これは私の持論なのだけれど、氏んだ人間はそこで終わり。生き続ける人には敵わない。
世間はすぐにせつ菜の事など忘れて、新しい才能に飛びつくでしょう。
せつ菜。あなたはもっと聡い子だと思っていたけど。
思春期を拗らせたちょっと過激な女の子なのね。
89: 2023/07/13(木) 22:53:36.02 ID:Jc+RkzGp.net
果林「せつ菜の言いたい事は分かったわ。ただ、かすみちゃんはその計画にどう関係あるの?」
歩夢「あっ、かすみちゃんはこの計画には関係ありませんよ」
果林「どう言うこと?」
更に訳がわからず、せつ菜の方を見ると困った様に笑っていた。
せつ菜「それじゃあ話が伝わりませんよ、歩夢さん。まず正確に言うとかすみさんを頃したのは歩夢さんですが、唆したのは私なんです」
果林「動機は?」
歩夢「かすみちゃんが侑ちゃんにちょっかいばかり出すから」
上原歩夢。高咲侑に依存傾向にあるとは思ってはいたけどこれ程迄とは思わなかった。
歩夢「あっ、かすみちゃんはこの計画には関係ありませんよ」
果林「どう言うこと?」
更に訳がわからず、せつ菜の方を見ると困った様に笑っていた。
せつ菜「それじゃあ話が伝わりませんよ、歩夢さん。まず正確に言うとかすみさんを頃したのは歩夢さんですが、唆したのは私なんです」
果林「動機は?」
歩夢「かすみちゃんが侑ちゃんにちょっかいばかり出すから」
上原歩夢。高咲侑に依存傾向にあるとは思ってはいたけどこれ程迄とは思わなかった。
90: 2023/07/13(木) 23:02:58.85 ID:Jc+RkzGp.net
果林「嫉妬して頃したって事?」
歩夢は私の問いに「はい」と短く相槌をする。
果林「それで?氏体はどこに?」
せつ菜「それはまだ言えません」
果林「どうして?」
せつ菜「果林さんが共犯になるまでは言えません」
共犯になどなるはずがない。そんな事で私の人生設計を壊されてたまるものですか。
せつ菜「心配する必要はありませんよ。バレなければ何もなかった事と同じです。もし、ご協力頂けるのであれば、果林さんの今後の華やかな人生設計も同時に進めて行きましょう」
そう言ってせつ菜は私に手を差し伸べた。
歩夢は私の問いに「はい」と短く相槌をする。
果林「それで?氏体はどこに?」
せつ菜「それはまだ言えません」
果林「どうして?」
せつ菜「果林さんが共犯になるまでは言えません」
共犯になどなるはずがない。そんな事で私の人生設計を壊されてたまるものですか。
せつ菜「心配する必要はありませんよ。バレなければ何もなかった事と同じです。もし、ご協力頂けるのであれば、果林さんの今後の華やかな人生設計も同時に進めて行きましょう」
そう言ってせつ菜は私に手を差し伸べた。
91: 2023/07/13(木) 23:08:40.79 ID:Jc+RkzGp.net
果林「ちなみに、、、歩夢はどうしてせつ菜を頃す事に協力するのかしら?」
歩夢「侑ちゃんがせつ菜ちゃんに夢中だからです。だから、いなくなってくれるなら私も助かるんです」
本人を目の前にしてよくそんな事が言えるなと思いつつ、言われた本人も狂ってるのだから気にしても仕方ないか。
果林「読モを経て芸能界入り、そこからお金持ちを捕まえて結婚するまでが私の計画なの。期待出来る?」
せつ菜「もちろんです」
私は思わずせつ菜の手を掴んでしまった。
歩夢「侑ちゃんがせつ菜ちゃんに夢中だからです。だから、いなくなってくれるなら私も助かるんです」
本人を目の前にしてよくそんな事が言えるなと思いつつ、言われた本人も狂ってるのだから気にしても仕方ないか。
果林「読モを経て芸能界入り、そこからお金持ちを捕まえて結婚するまでが私の計画なの。期待出来る?」
せつ菜「もちろんです」
私は思わずせつ菜の手を掴んでしまった。
92: 2023/07/13(木) 23:11:12.00 ID:Jc+RkzGp.net
06カナタ
93: 2023/07/13(木) 23:16:43.75 ID:Jc+RkzGp.net
ピ口リン。二人とも黙っているからスマホの着信音が余計に響く。
「誰から?」
男がタバコの火を消して私に尋ねた。
彼方「妹」
私は言葉短かに答える。出来れば一刻も早くこの場から出て行って妹に会いたい。そんな考えが顔に出てたのだろうか男はニヤニヤしながら私を見ていた。
「お姉ちゃんがこんな事してるって知ったら妹ちゃんもショックだろうね」
男は立ち上がると床に散らばった衣服を手に取り着替え始めた。
「誰から?」
男がタバコの火を消して私に尋ねた。
彼方「妹」
私は言葉短かに答える。出来れば一刻も早くこの場から出て行って妹に会いたい。そんな考えが顔に出てたのだろうか男はニヤニヤしながら私を見ていた。
「お姉ちゃんがこんな事してるって知ったら妹ちゃんもショックだろうね」
男は立ち上がると床に散らばった衣服を手に取り着替え始めた。
97: 2023/07/15(土) 23:14:11.43 ID:hSi1mAWL.net
彼方「もう帰るの?」
「明日も早いからね」
男は私の方を見向きもせず、淡々と答える。この人に限らず大抵の男は皆んなそうだ。
彼方「お金、、、」
私がそう呟くと「あ〜忘れてた」と言って男は財布から3万円を取り出しこちらを向かずに渡して来た。
彼方「ありがとう。助かります」
「いいね、君は。こうやって簡単にお金を稼げるんだからさ」
言いたい事は沢山あったけど、私はグッと堪える事にした。
「明日も早いからね」
男は私の方を見向きもせず、淡々と答える。この人に限らず大抵の男は皆んなそうだ。
彼方「お金、、、」
私がそう呟くと「あ〜忘れてた」と言って男は財布から3万円を取り出しこちらを向かずに渡して来た。
彼方「ありがとう。助かります」
「いいね、君は。こうやって簡単にお金を稼げるんだからさ」
言いたい事は沢山あったけど、私はグッと堪える事にした。
98: 2023/07/15(土) 23:20:11.91 ID:hSi1mAWL.net
罪悪感が無いわけじゃない。いけない事だと言う自覚はある。でも、どうしようもない事だって沢山あるでしょう?何をするのにだってお金が必要なこの世界では綺麗事だけじゃ生きていけない。
私の場合、自分の事は我慢出来ても妹には好きな事をして欲しい。母にも苦労をかけたくない。
私の場合、自分の事は我慢出来ても妹には好きな事をして欲しい。母にも苦労をかけたくない。
102: 2023/07/17(月) 02:28:54.66 ID:aS8WCk0v.net
その為には私が稼がなければいけないと思い、中二の頃から大人の男性を相手にバイトをして来た。
高校生になってスクールアイドルを始めたのは自分の価値を高める為。男って基本的にバカなので何か一つでも肩書きが増えるだけで中身が同じ女でも金払いが断然に変わって来たりする。
ただ、中には脅して支払いを踏み倒そうとする輩も居る。こんな事が学校にバレて退学なんて事になったら本末転倒だ。
なので、最近は富裕層の紳士だけを相手に仕事をする様にしている。
この手の人達は性欲と承認欲求だけ満たしてあげれば私の事を告げ口する様な事はしない(最も、バレれば自分も社会的地位を失う事になる)。
高校生になってスクールアイドルを始めたのは自分の価値を高める為。男って基本的にバカなので何か一つでも肩書きが増えるだけで中身が同じ女でも金払いが断然に変わって来たりする。
ただ、中には脅して支払いを踏み倒そうとする輩も居る。こんな事が学校にバレて退学なんて事になったら本末転倒だ。
なので、最近は富裕層の紳士だけを相手に仕事をする様にしている。
この手の人達は性欲と承認欲求だけ満たしてあげれば私の事を告げ口する様な事はしない(最も、バレれば自分も社会的地位を失う事になる)。
103: 2023/07/17(月) 02:35:15.03 ID:aS8WCk0v.net
そうやって気をつけながらやって来たはずなのに。
せつ菜「さあ、どうしますか彼方さん?」
せつ菜ちゃんに呼び出されて同好会の部室に行ってみたら、まさか彼女達に脅される事になるとは思ってもみなかった。せつ菜ちゃんが持つスマートフォンには私がお客さんと腕を組んでホテルから出てくる所が映し出されていた。
せつ菜「まさか、偶然こんな所に出くわすとは」
彼方「本当に偶然?」
せつ菜ちゃんの横で歩夢ちゃんがクスクスと笑っている。
せつ菜「さあ、どうしますか彼方さん?」
せつ菜ちゃんに呼び出されて同好会の部室に行ってみたら、まさか彼女達に脅される事になるとは思ってもみなかった。せつ菜ちゃんが持つスマートフォンには私がお客さんと腕を組んでホテルから出てくる所が映し出されていた。
せつ菜「まさか、偶然こんな所に出くわすとは」
彼方「本当に偶然?」
せつ菜ちゃんの横で歩夢ちゃんがクスクスと笑っている。
104: 2023/07/17(月) 02:40:45.50 ID:aS8WCk0v.net
歩夢「この際、偶然かどうかなんてどうでも良いじゃないですか。事実、彼方さんはイケナイ事をしていて、これがバレたら退学は確実。家族にも迷惑が掛かっちゃいますね」
それだけは絶対に阻止したかった。私のせいで母や妹が肩身の狭い生活を強いられるのはありえない。
歩夢「じゃあ、お願い聞いてくれますか?」
私に断る選択肢は存在しない。それが例えどんな事でも。
それだけは絶対に阻止したかった。私のせいで母や妹が肩身の狭い生活を強いられるのはありえない。
歩夢「じゃあ、お願い聞いてくれますか?」
私に断る選択肢は存在しない。それが例えどんな事でも。
105: 2023/07/17(月) 02:43:40.17 ID:aS8WCk0v.net
せつ菜「私、優木せつ菜の殺害計画にご協力頂けると言う事ですね?」
私は小さく頷く。
せつ菜「安心して下さい。私はあくまで事故で氏ぬんですから。遥さんの活動の邪魔になる様な事はありませんよ」
私は小さく頷く。
せつ菜「安心して下さい。私はあくまで事故で氏ぬんですから。遥さんの活動の邪魔になる様な事はありませんよ」
106: 2023/07/17(月) 02:58:39.22 ID:aS8WCk0v.net
安心出来る材料なんて一つもないけど、こうするしか他にない。それなら、絶対にバレない様にしなければ。
彼方「事故に見せかけてって。例えばどんな感じで?」
しずく「舞台装置に巻き込まれるなんてどうかなって思ってます」
今まで黙っていた、しずくちゃんが口を開いた。
彼方「事故に見せかけてって。例えばどんな感じで?」
しずく「舞台装置に巻き込まれるなんてどうかなって思ってます」
今まで黙っていた、しずくちゃんが口を開いた。
107: 2023/07/17(月) 03:05:33.75 ID:aS8WCk0v.net
歩夢「舞台装置?」
私よりも先に歩夢ちゃんが聞き返す。どうやら、まだそれについて共有をされていなかった様だ。
しずく「例えば昇降装置に巻き込まれてみたり。感電氏なんかも良いですが。絵面的にインパクトあるのはやっぱり先に行ったほうですね」
私よりも先に歩夢ちゃんが聞き返す。どうやら、まだそれについて共有をされていなかった様だ。
しずく「例えば昇降装置に巻き込まれてみたり。感電氏なんかも良いですが。絵面的にインパクトあるのはやっぱり先に行ったほうですね」
108: 2023/07/17(月) 03:13:51.12 ID:aS8WCk0v.net
せつ菜「私は爆発して氏にたいですね。観客を巻き込むくらいの」
歩夢「それだと私達まで巻き込まれちゃうよ」
せつ菜「それは困りますね。皆さんには私の事を語り継いで貰わないといけないですから」
各々が好き勝手意見を言い合う姿は、どこかいつもの同好会の姿に重なって見えた。
歩夢「それだと私達まで巻き込まれちゃうよ」
せつ菜「それは困りますね。皆さんには私の事を語り継いで貰わないといけないですから」
各々が好き勝手意見を言い合う姿は、どこかいつもの同好会の姿に重なって見えた。
111: 2023/07/17(月) 20:49:17.29 ID:aS8WCk0v.net
彼方「所でさ、他のメンバーはこの事しってるの?侑ちゃんとか、、、」
歩夢「侑ちゃんをこんな事に巻き込める訳ないじゃないですか」
こんな事。自覚はあるのだなと妙に感心してしまった。
せつ菜「現状、この計画をしってるのはここに居るメンバーだけです。これから、果林さんとエマさんにも話はしますが」
歩夢「侑ちゃんをこんな事に巻き込める訳ないじゃないですか」
こんな事。自覚はあるのだなと妙に感心してしまった。
せつ菜「現状、この計画をしってるのはここに居るメンバーだけです。これから、果林さんとエマさんにも話はしますが」
114: 2023/07/18(火) 23:24:28.29 ID:Ibo7Mtmz.net
彼方「愛ちゃん達は?」
せつ菜ちゃんは右手の人差し指を顎に当てて、考える素振りを見せた。私にはそれが凄くわざとらしく見えた。
せつ菜「愛さんは最悪どうでもいいのですが。璃奈さんはどうにか引き入れたいですね」
彼方「どうして?」
せつ菜「璃奈さんの知識と技術力は正直高校生のそれを超えています。やはり、私は爆発したいのです!」
そんな大きな声で爆発なんて言って大丈夫だろうかと心配にもなったが、まさか女子高生があんなとんでもない事を考えてるなんて思いもよらないだろう。
せつ菜ちゃんは右手の人差し指を顎に当てて、考える素振りを見せた。私にはそれが凄くわざとらしく見えた。
せつ菜「愛さんは最悪どうでもいいのですが。璃奈さんはどうにか引き入れたいですね」
彼方「どうして?」
せつ菜「璃奈さんの知識と技術力は正直高校生のそれを超えています。やはり、私は爆発したいのです!」
そんな大きな声で爆発なんて言って大丈夫だろうかと心配にもなったが、まさか女子高生があんなとんでもない事を考えてるなんて思いもよらないだろう。
115: 2023/07/18(火) 23:24:30.70 ID:Ibo7Mtmz.net
彼方「愛ちゃん達は?」
せつ菜ちゃんは右手の人差し指を顎に当てて、考える素振りを見せた。私にはそれが凄くわざとらしく見えた。
せつ菜「愛さんは最悪どうでもいいのですが。璃奈さんはどうにか引き入れたいですね」
彼方「どうして?」
せつ菜「璃奈さんの知識と技術力は正直高校生のそれを超えています。やはり、私は爆発したいのです!」
そんな大きな声で爆発なんて言って大丈夫だろうかと心配にもなったが、まさか女子高生があんなとんでもない事を考えてるなんて思いもよらないだろう。
せつ菜ちゃんは右手の人差し指を顎に当てて、考える素振りを見せた。私にはそれが凄くわざとらしく見えた。
せつ菜「愛さんは最悪どうでもいいのですが。璃奈さんはどうにか引き入れたいですね」
彼方「どうして?」
せつ菜「璃奈さんの知識と技術力は正直高校生のそれを超えています。やはり、私は爆発したいのです!」
そんな大きな声で爆発なんて言って大丈夫だろうかと心配にもなったが、まさか女子高生があんなとんでもない事を考えてるなんて思いもよらないだろう。
116: 2023/07/18(火) 23:38:26.14 ID:Ibo7Mtmz.net
しずく「だから、爆発は、、」
彼方「仮に爆発して観客を巻き込んでも、せつ菜ちゃんは気にならないの?」
せつ菜「何故ですか?」
本当に分からないと言った顔をしていた。自分の欲望に巻き込まれてファンが何人氏のうが何とも思わないのだろうな。まだ、私を買っていた男の方がマシかもしれない。彼らは罪悪感の上に金を置いて紛らわしていた様に見えたから。まあ、私も同じ穴のムジナか。
ああ、私の知ってる優しいせつ菜ちゃんはどこに行ってしまったんだろうな。かすみちゃんに優しく勉強を教えてたあの優しい姿、嘘には見えなかったのにな。
かすみちゃん、どこに行ってしまったんだろう。
歩夢「それから、、、」
上原歩夢が更に怖い事を話し始めた。
彼方「仮に爆発して観客を巻き込んでも、せつ菜ちゃんは気にならないの?」
せつ菜「何故ですか?」
本当に分からないと言った顔をしていた。自分の欲望に巻き込まれてファンが何人氏のうが何とも思わないのだろうな。まだ、私を買っていた男の方がマシかもしれない。彼らは罪悪感の上に金を置いて紛らわしていた様に見えたから。まあ、私も同じ穴のムジナか。
ああ、私の知ってる優しいせつ菜ちゃんはどこに行ってしまったんだろうな。かすみちゃんに優しく勉強を教えてたあの優しい姿、嘘には見えなかったのにな。
かすみちゃん、どこに行ってしまったんだろう。
歩夢「それから、、、」
上原歩夢が更に怖い事を話し始めた。
117: 2023/07/18(火) 23:39:37.59 ID:Ibo7Mtmz.net
07 リナ
118: 2023/07/18(火) 23:48:56.16 ID:Ibo7Mtmz.net
荒川にアザラシが現れたらしい。名前はアラちゃん。昼のニュースでやっていた。荒川に居るからアラちゃんならそこに泳いでる魚も鳥も全部アラちゃんだろうと思うけど、そんな事はどうでも良い。どうでも良い事なんだ。ニュースはどうでも良い事ばかり取り上げる。芸能人の不倫問題、政治家の問題発言、企業の不祥事。違うでしょう。かすみちゃんは?一時期あれだけ盛り上がっていたのに行方不明のまま解決もせず世間は忘れていく。
私は知ってる。かすみちゃんはもうどこにも居ないと言う事を。それを知った日、私は全てを失った。
私は知ってる。かすみちゃんはもうどこにも居ないと言う事を。それを知った日、私は全てを失った。
119: 2023/07/18(火) 23:56:03.82 ID:Ibo7Mtmz.net
親友も、理解者だと思って居た人も、居場所だって思ってた同好会も、ぜんぶ、ぜーんぶ、失った。
まあ、思えば最初から私には何もなかったのだから、ボーナスタイムだったと思えば良いのだけど、人の感情はなかなかそうも行かない。
それを私にもちゃんと感情があるんだなんて無理矢理喜んでみたりするけどそれも無理があった。
私は必要とされてない人間なんだな。そんな考えがグルグルと頭の中を駆け巡る。
今、私はそんな事を考えるだけの毎日を送っている。
まあ、思えば最初から私には何もなかったのだから、ボーナスタイムだったと思えば良いのだけど、人の感情はなかなかそうも行かない。
それを私にもちゃんと感情があるんだなんて無理矢理喜んでみたりするけどそれも無理があった。
私は必要とされてない人間なんだな。そんな考えがグルグルと頭の中を駆け巡る。
今、私はそんな事を考えるだけの毎日を送っている。
120: 2023/07/19(水) 00:10:39.14 ID:4AgAHLQi.net
ある日、私の家のチャイムが鳴った。日中、家には基本私しか居ない。居留守をしても良かったのだけど、もしかしたらば、かすみちゃんかもしれない。
そんな淡い期待を胸にインターホンのモニタを覗くと、そこに居たのはせつ菜さんだった。
「こんにちは、璃奈さん。居ますか?」
私の知ってるいつものせつ菜さんだったけど、私は愛さんの言っていた事を思い出していた。
私を頃しに来たんだろうか。ピンポーン、ともう一度チャイムが鳴る。
「璃奈さんにご相談があるんです。少しお話ししませんか?璃奈さんの力が必要なんです」
そんな淡い期待を胸にインターホンのモニタを覗くと、そこに居たのはせつ菜さんだった。
「こんにちは、璃奈さん。居ますか?」
私の知ってるいつものせつ菜さんだったけど、私は愛さんの言っていた事を思い出していた。
私を頃しに来たんだろうか。ピンポーン、ともう一度チャイムが鳴る。
「璃奈さんにご相談があるんです。少しお話ししませんか?璃奈さんの力が必要なんです」
122: 2023/07/19(水) 00:19:50.47 ID:4AgAHLQi.net
私が返事をしないでいると(正確にはあの日から声が上手く出せなかったりする)三度目のインターホンが鳴り響いた。居る事はバレている様だ。きっと何度でも鳴らしてくるのだろう。
私は玄関に向かい、恐る恐る扉を開けた。もちろん、ドアロックは掛けたまま。
せつ菜「璃奈さん!やはり居ましたか!お久しぶりです!お元気でしたか?」
ドアの隙間からこちらを覗き見る様に喋るせつ菜さん。なんか、昔のホラー映画にこんなシーンがあった様な気がする。
私は玄関に向かい、恐る恐る扉を開けた。もちろん、ドアロックは掛けたまま。
せつ菜「璃奈さん!やはり居ましたか!お久しぶりです!お元気でしたか?」
ドアの隙間からこちらを覗き見る様に喋るせつ菜さん。なんか、昔のホラー映画にこんなシーンがあった様な気がする。
123: 2023/07/19(水) 00:32:18.52 ID:4AgAHLQi.net
扉越しにハキハキと話される事が、こんなに恐怖心を抱くとは思わなかった。これなら、まだ完全に開放して正式に迎え入れた方がマシかもしれないとすら思った。
せつ菜「璃奈さん。あの〜、、、入れて貰えませんか?何もしないので」
何かする人のセリフの様にも思えたけど、その時私はドアを開けてしまった。
せつ菜「ありがとうございます。璃奈さん家に来るのは久しぶりですね」
せつ菜「璃奈さん。あの〜、、、入れて貰えませんか?何もしないので」
何かする人のセリフの様にも思えたけど、その時私はドアを開けてしまった。
せつ菜「ありがとうございます。璃奈さん家に来るのは久しぶりですね」
126: 2023/07/19(水) 12:52:52.64 ID:emVhT0Q3.net
私は辺りを見回して、収納棚の上に置いてある紙とペンを手に取った。
『何しに来たんですか?』
そう書いたメモ用紙を彼女に突き出す。少し困惑している様だった。
せつ菜「筆談ですか。何か理由がありそうですが。聞いても良いですか?」
私の手を取りながら、心配そうな表情を浮かべていた。とても暖かい手だった。さっきまでの恐怖心は愛さんから聞いた話があったからなのか。本当にこの人がかすみちゃんの件に関わっているのだろうか。
せつ菜「無理にとは言いません。話せるその時が来たらで良いですから」
とてもその様には思えなかった。
『何しに来たんですか?』
そう書いたメモ用紙を彼女に突き出す。少し困惑している様だった。
せつ菜「筆談ですか。何か理由がありそうですが。聞いても良いですか?」
私の手を取りながら、心配そうな表情を浮かべていた。とても暖かい手だった。さっきまでの恐怖心は愛さんから聞いた話があったからなのか。本当にこの人がかすみちゃんの件に関わっているのだろうか。
せつ菜「無理にとは言いません。話せるその時が来たらで良いですから」
とてもその様には思えなかった。
127: 2023/07/19(水) 20:46:48.70 ID:4AgAHLQi.net
多分、彼女にはそう言う才能があるのだろう。巧みに人の懐に入るのが上手いと言うか、警戒心を解かせると言うか。喋り方や声色、顔、体格、メリハリがありバランスの取れた性格、全てが人を安心させる。だから、皆んなこの人に騙されるんだろう。腹の中で何を考えてるのかなんて分からないから。
せつ菜さんは玄関で靴を脱がずに座り込むと、そのままそこで話始めた。
せつ菜「璃奈さんには爆弾を作って欲しいのです」
爆弾を作って欲しい。そんな事を言われたのは初めてだった。
せつ菜さんは玄関で靴を脱がずに座り込むと、そのままそこで話始めた。
せつ菜「璃奈さんには爆弾を作って欲しいのです」
爆弾を作って欲しい。そんな事を言われたのは初めてだった。
130: 2023/07/20(木) 23:32:57.77 ID:Ui2uBSna.net
せつ菜「璃奈さん。世の中は余りにも窮屈だと思いませんか?個性を尊重しろと言うくせに好きに生きれば否定され、皆と同じでなければ列を乱すなと非難される。出る杭は打たれ、やがて才能は枯渇して行く。信じていた者には裏切られ、愛する人に縛り付けられる。そんなのってあんまりじゃないですか。だから、己の手でそんな世の中を爆発させてやりましょう!」
もしかしたら、せつ菜さんはアイドルよりも政治家に向いているのかもしれない。いや、実際言ってる事はいわゆる中二病紛いのそれなのだけど、なんせ耳に残る。考えさせられる。これも才能が為せる技なのか。
『話は分かりました。具体的にどうするの?』
急いでメモ用紙に書いてせつ菜さんに見せる。
せつ菜「ですから、爆弾で爆発するんです!」
どうやら、爆弾や爆発と言った言葉は比喩表現では無かったみたいだ。せつ菜さんは私に爆弾を作らせて何かをするつもりだ。
もしかしたら、せつ菜さんはアイドルよりも政治家に向いているのかもしれない。いや、実際言ってる事はいわゆる中二病紛いのそれなのだけど、なんせ耳に残る。考えさせられる。これも才能が為せる技なのか。
『話は分かりました。具体的にどうするの?』
急いでメモ用紙に書いてせつ菜さんに見せる。
せつ菜「ですから、爆弾で爆発するんです!」
どうやら、爆弾や爆発と言った言葉は比喩表現では無かったみたいだ。せつ菜さんは私に爆弾を作らせて何かをするつもりだ。
131: 2023/07/20(木) 23:44:06.09 ID:Ui2uBSna.net
せつ菜「璃奈さん。あなたが必要なんです。お願いします。力を貸して下さい」
そう言って、あの優木せつ菜が深々と私に頭を下げた。親ですら匙を投げた私の事をこの人は必要だと言ってくれた。断る理由なんてある?でも一つ、これだけは確認しなければ。
『かすみちゃんは?』
せつ菜「必ず戻って来ます」
淀みない言葉。愛さん、別に泣けなくても笑えなくてもね、せつ菜さんは私を必要としてくれるって。
やっぱり璃奈ちゃんボードなんかいらないや。
そう言って、あの優木せつ菜が深々と私に頭を下げた。親ですら匙を投げた私の事をこの人は必要だと言ってくれた。断る理由なんてある?でも一つ、これだけは確認しなければ。
『かすみちゃんは?』
せつ菜「必ず戻って来ます」
淀みない言葉。愛さん、別に泣けなくても笑えなくてもね、せつ菜さんは私を必要としてくれるって。
やっぱり璃奈ちゃんボードなんかいらないや。
137: 2023/07/23(日) 00:52:47.85 ID:juBQ3+Cu.net
殺風景な部屋のど真ん中で、私は電線の被覆をよく分からない工具を使って剥いている。璃奈ちゃんいわく、爆弾を作るのに必要らしい。
歩夢「璃奈ちゃんは、、、せつ菜ちゃんからどう言う風に聞いてるの?」
璃奈ちゃんは作業をやめ、近くにあったメモ帳を手に取ると『力を貸してほしいと言われただけ』と書いて私に見せた。
歩夢「それだけ?作る理由とかは?」
璃奈ちゃんは首を横に振ると再び工具を手に取って作業を始めた。
歩夢「璃奈ちゃんは、、、せつ菜ちゃんからどう言う風に聞いてるの?」
璃奈ちゃんは作業をやめ、近くにあったメモ帳を手に取ると『力を貸してほしいと言われただけ』と書いて私に見せた。
歩夢「それだけ?作る理由とかは?」
璃奈ちゃんは首を横に振ると再び工具を手に取って作業を始めた。
138: 2023/07/23(日) 00:59:09.33 ID:juBQ3+Cu.net
小ちゃな箱の中には電気部品が綺麗に並べられている。それに私が被覆を剥いた電線を璃奈ちゃんの小さな手で繋ぎ込んで行く。
これで本当に爆弾を作れるのかは私には分からないけど、よく理由も知らずに手伝う気になれるなと思う。
だって、爆弾なんて作るだけで犯罪で、見つかればただじゃすまない。そんな事は少し考えれば分かるはずで、彼女になんのメリットがあるのだろうか。
それとも、この子も他の皆んなと同様に頭がおかしいのだろうか。
私が言うのもなんだけど、同好会のメンバーは皆んなどこか狂っていると思う。
これで本当に爆弾を作れるのかは私には分からないけど、よく理由も知らずに手伝う気になれるなと思う。
だって、爆弾なんて作るだけで犯罪で、見つかればただじゃすまない。そんな事は少し考えれば分かるはずで、彼女になんのメリットがあるのだろうか。
それとも、この子も他の皆んなと同様に頭がおかしいのだろうか。
私が言うのもなんだけど、同好会のメンバーは皆んなどこか狂っていると思う。
139: 2023/07/23(日) 01:08:06.01 ID:juBQ3+Cu.net
せつ菜ちゃんやしずくちゃんは言わずもがなだし、果林さんや彼方さんはあんな口車に乗ってバカだと思う。
きっと、果林さんも彼方さんも二人が想像する様な明るい未来は訪れないだろうし、私も同じかもしれない。せつ菜ちゃんだって内心分かっていて、ただ自分は氏ぬから残された人間の事なんてどうでも良いんだと思う。
それでも、邪魔者を排除出来るのなら私はそれで構わない。
きっと、果林さんも彼方さんも二人が想像する様な明るい未来は訪れないだろうし、私も同じかもしれない。せつ菜ちゃんだって内心分かっていて、ただ自分は氏ぬから残された人間の事なんてどうでも良いんだと思う。
それでも、邪魔者を排除出来るのなら私はそれで構わない。
140: 2023/07/23(日) 01:28:56.89 ID:juBQ3+Cu.net
私の想像する展開としては、せつ菜ちゃんが自氏した後、私達の関与が疑われると思う。なので、せつ菜ちゃんには遺書を用意して貰う必要がある。
ただ、私達への疑惑が晴れたところで同好会は解散、彼方さんにとって都合の悪い事だろう。果林さんも一時は同時期に仲間を二人失った悲劇のヒロインとしてメディアに出れたとして、それは一過性のもの。いつまでも、悲劇のイメージが付き纏いモデルとしても扱い辛くなるだろうな。その点、しずくちゃんは影響がないかもしれない。
そして、私は目標のなくなった侑ちゃんと一緒に日々を過ごす。世間からどう言う目で見られるかは未知数だけど、侑ちゃんは私のそばにずっと居てくれるはず。
ただ、私達への疑惑が晴れたところで同好会は解散、彼方さんにとって都合の悪い事だろう。果林さんも一時は同時期に仲間を二人失った悲劇のヒロインとしてメディアに出れたとして、それは一過性のもの。いつまでも、悲劇のイメージが付き纏いモデルとしても扱い辛くなるだろうな。その点、しずくちゃんは影響がないかもしれない。
そして、私は目標のなくなった侑ちゃんと一緒に日々を過ごす。世間からどう言う目で見られるかは未知数だけど、侑ちゃんは私のそばにずっと居てくれるはず。
141: 2023/07/23(日) 01:39:59.42 ID:juBQ3+Cu.net
黙々と作業をする私と璃奈ちゃんの間に流れる静寂を断ち切る様に突然、部屋の扉が開いた。
しずく「作業の方は順調ですか?」
コンビニに買い物に行っていたしずくちゃんが戻って来たのだった。
しずく「色々買って来ましたよ。歩夢さんはコレでしたよね?」
そう言って手にぶら下げたコンビニ袋の中からアップルティーを取り出すと、私に差し出した。
歩夢「ありがとう」
しずく「いいえ」
しずく「作業の方は順調ですか?」
コンビニに買い物に行っていたしずくちゃんが戻って来たのだった。
しずく「色々買って来ましたよ。歩夢さんはコレでしたよね?」
そう言って手にぶら下げたコンビニ袋の中からアップルティーを取り出すと、私に差し出した。
歩夢「ありがとう」
しずく「いいえ」
144: 2023/07/23(日) 22:05:38.83 ID:juBQ3+Cu.net
私がアップルティーを受け取ると、しずくちゃんは璃奈ちゃんにもいちごオレを渡していた。
しずく「こうしてるとライブ前って感じがしますね」
皮肉なのだろうか。私は聞こえないフリをして、ゴクゴクとアップルティーを流し込んだ。
しずく「そんな勢いでアップルティー飲む人初めて見ましたよ」
そう言ってしずくちゃんは笑っていた。
しずく「こうしてるとライブ前って感じがしますね」
皮肉なのだろうか。私は聞こえないフリをして、ゴクゴクとアップルティーを流し込んだ。
しずく「そんな勢いでアップルティー飲む人初めて見ましたよ」
そう言ってしずくちゃんは笑っていた。
145: 2023/07/23(日) 22:13:05.97 ID:juBQ3+Cu.net
歩夢「侑ちゃんを独占したいって言うのは本当なんだ。でもね、別にせつ菜ちゃんの事を嫌いな訳ではなかった。かすみちゃんも」
しずく「なんですか?いきなり」
私の発言にしずくちゃんは首を傾げていた。
歩夢「邪魔だと思ったのも本当。でも、こうなったのはほんのはずみだったのかもしれない」
しずくちゃんは私をジッと見てるが、私の話を聞かない様にしてるのか璃奈ちゃんは黙々と手を動かしている。
しずく「なんですか?いきなり」
私の発言にしずくちゃんは首を傾げていた。
歩夢「邪魔だと思ったのも本当。でも、こうなったのはほんのはずみだったのかもしれない」
しずくちゃんは私をジッと見てるが、私の話を聞かない様にしてるのか璃奈ちゃんは黙々と手を動かしている。
146: 2023/07/23(日) 22:23:06.25 ID:juBQ3+Cu.net
しずく「そんなものなんじゃないですか?人の感情なんてその時、その時で変わるでしょう?昼と夜で、暑いから、寒いから、お腹が空いたから。そんな些細な事でも人は変わるじゃないですか」
歩夢「でも、些細な事で普通人は人を殺さないよ」
しずく「頃しますよ。ニュースを見てください。毎日の様にくだらない理由で人が人を頃してるじゃないですか。むしろ、自分がそうならないと思い込んで生活してる人の多い事の方が驚きです」
歩夢「でも、些細な事で普通人は人を殺さないよ」
しずく「頃しますよ。ニュースを見てください。毎日の様にくだらない理由で人が人を頃してるじゃないですか。むしろ、自分がそうならないと思い込んで生活してる人の多い事の方が驚きです」
147: 2023/07/23(日) 22:39:12.60 ID:juBQ3+Cu.net
歩夢「でも、全ての人がそうだったら世の中大変でしょう?」
しずく「そうです。でも、全ての人がそうなる可能性があるから毎日人が氏ぬんでしょう。現に私はそれを知ってますし。私からしてみれば歩夢さんだって、ちょっと嫉妬深いだけの女の子ですよ。まあ、狂ってるって思い込んだ方が楽なんでしょうけが、、、どうして今更?」
しずく「そうです。でも、全ての人がそうなる可能性があるから毎日人が氏ぬんでしょう。現に私はそれを知ってますし。私からしてみれば歩夢さんだって、ちょっと嫉妬深いだけの女の子ですよ。まあ、狂ってるって思い込んだ方が楽なんでしょうけが、、、どうして今更?」
151: 2023/07/24(月) 23:54:29.97 ID:ca4G26eZ.net
歩夢「最初は興奮していたから。段々と衰弱していくかすみちゃんを見て胸がすく思いだった。でもね、時間が経つにつれて熱が冷めてくるの」
熱が冷めるに連れて不安に駆られ、後悔が追いついてくる。言葉にして吐き出せば少しは楽になるとも思ったけど全然そんな事はなかった。
しずくちゃんが怪訝そうに私を見ている。
しずく「段々と衰弱ってどう言う事ですか?」
熱が冷めるに連れて不安に駆られ、後悔が追いついてくる。言葉にして吐き出せば少しは楽になるとも思ったけど全然そんな事はなかった。
しずくちゃんが怪訝そうに私を見ている。
しずく「段々と衰弱ってどう言う事ですか?」
154: 2023/07/25(火) 22:50:52.66 ID:7tryEp2n.net
そうだ。私は、、、私達は誰にも言っていなかったんだった。どうやって頃したのかも、氏体がどこにあるのかも。私とせつ菜ちゃんしか知らない。
しずく「衰弱と言う事は、、、少なくともひと思いにと言う事ではない訳ですね」
私は小さく頷いた。そう言えば、かすみちゃんも最後の方は首をコクン、コクンとさせていたっけ。
しずく「感情に駆られたと言う割には些か違和感を覚える手段を選びましたね。引き返す時間はあったでしょう?」
しずく「衰弱と言う事は、、、少なくともひと思いにと言う事ではない訳ですね」
私は小さく頷いた。そう言えば、かすみちゃんも最後の方は首をコクン、コクンとさせていたっけ。
しずく「感情に駆られたと言う割には些か違和感を覚える手段を選びましたね。引き返す時間はあったでしょう?」
155: 2023/07/25(火) 23:01:58.66 ID:7tryEp2n.net
歩夢「確実にバレない様に為にも手段と場所を選ばないとダメだって」
しずく「せつ菜さんが?」
歩夢「そう。木を隠すなら森の中。かすみちゃんなら学校だって」
予想外だったのだろう。私がそう言うと流石のしずくちゃんも驚いた顔をしていた。
しずく「学校って。警察だって何回も捜査に来ているでしょう?」
確かに警察が何度も学校には来ていた。けど、学校の隅々まで捜索した訳じゃない。それに、あくまでもかすみちゃんは行方不明扱いだったから、学校で氏亡してるとは警察も思わなかったのかもしれない。
しずく「せつ菜さんが?」
歩夢「そう。木を隠すなら森の中。かすみちゃんなら学校だって」
予想外だったのだろう。私がそう言うと流石のしずくちゃんも驚いた顔をしていた。
しずく「学校って。警察だって何回も捜査に来ているでしょう?」
確かに警察が何度も学校には来ていた。けど、学校の隅々まで捜索した訳じゃない。それに、あくまでもかすみちゃんは行方不明扱いだったから、学校で氏亡してるとは警察も思わなかったのかもしれない。
156: 2023/07/25(火) 23:37:13.32 ID:7tryEp2n.net
しずく「それにしたって。仮に警察が学校を疑わなかったとしてですよ?その、、、腐敗臭だってするだろうし」
歩夢「この学校の下って空洞になってるの。先生達でさえ入った事がほぼない地下空洞」
虹ヶ咲学園の校舎は80年代末期の臨海副都心計画にて国際展示場として建てられたらしい。しかし、期待していたよりも運営が上手く回らず、持て余していた所を中高一貫校の校舎として生まれ変わる事になった経緯がある。
地下の空間と言うのは、展示場だった頃から勿論存在していたらしく、立地が埋立地で地盤が軟弱と言う事で、当時は固い地盤まで柱を下ろした高床式が主流だった事もあり、必然的に地下の空洞が生まれる事となった。当時はその空間に機械室があったらしいけど、なんせ校舎は広くスペースが有り余っている事もあり、メンテナンス性を重視して新たに一階に機械部屋を設ける事で地下には殆ど近寄る事は無くなったらしい。
歩夢「この学校の下って空洞になってるの。先生達でさえ入った事がほぼない地下空洞」
虹ヶ咲学園の校舎は80年代末期の臨海副都心計画にて国際展示場として建てられたらしい。しかし、期待していたよりも運営が上手く回らず、持て余していた所を中高一貫校の校舎として生まれ変わる事になった経緯がある。
地下の空間と言うのは、展示場だった頃から勿論存在していたらしく、立地が埋立地で地盤が軟弱と言う事で、当時は固い地盤まで柱を下ろした高床式が主流だった事もあり、必然的に地下の空洞が生まれる事となった。当時はその空間に機械室があったらしいけど、なんせ校舎は広くスペースが有り余っている事もあり、メンテナンス性を重視して新たに一階に機械部屋を設ける事で地下には殆ど近寄る事は無くなったらしい。
157: 2023/07/25(火) 23:44:16.40 ID:7tryEp2n.net
ただ、今でも雨水の貯蔵タンクが納められたりと全く何もない訳ではないのだけど、とにかく広いので仮に地下へ行ったとしてほんの一部にしか行かないだろうと思う。
しずく「それでかすみさんを地下に閉じ込めた訳ですか」
しずくちゃんはまだ何か言いたげな顔をしている。気がつくと喋らないはずの璃奈ちゃんは何かをブツブツと呟いている様だった。
しずく「それでかすみさんを地下に閉じ込めた訳ですか」
しずくちゃんはまだ何か言いたげな顔をしている。気がつくと喋らないはずの璃奈ちゃんは何かをブツブツと呟いている様だった。
160: 2023/07/26(水) 22:28:52.23 ID:A+LBnwtc.net
歩夢「全部せつ菜ちゃんが用意しくれたの。手段も機会も、、、」
今思えば殺意さえもそうだったかもしれない。私だけならきっと嫉妬で終わっていた。
しずく「良かったですね」
歩夢「良かった?」
しずく「自分の罪を人のせいにする事が出来て」
私はただただ沈黙し、作業を再開した。
今思えば殺意さえもそうだったかもしれない。私だけならきっと嫉妬で終わっていた。
しずく「良かったですね」
歩夢「良かった?」
しずく「自分の罪を人のせいにする事が出来て」
私はただただ沈黙し、作業を再開した。
163: 2023/07/26(水) 22:46:39.89 ID:A+LBnwtc.net
図書室の窓の外を見ると雨はすっかり上がっていて、空には虹が薄らと掛かっている。私はため息を吐きながら、下校中の生徒達を眺めていると、その中に見慣れた顔を見つけた。
歩夢「侑ちゃん、、、。それにかすみちゃんも」
かすみちゃんと楽しそうに歩いている侑ちゃんを見て私は再びため息をが溢れた。
せつ菜「幸せが逃げますよ」
窓越しに声の主と目が合うと彼女はニッと笑い近づいてきた。
せつ菜「とは言うっても、ため息は心のバランスを保つ役割があるとも言いますからね。一概にダメとは言えませんが。すいません、お待たせしてしまいましたね」
15時半に図書室にとの約束だったのに今は15時45分。自分で呼び出しといてせつ菜ちゃんは15分の遅刻だ。
歩夢「侑ちゃん、、、。それにかすみちゃんも」
かすみちゃんと楽しそうに歩いている侑ちゃんを見て私は再びため息をが溢れた。
せつ菜「幸せが逃げますよ」
窓越しに声の主と目が合うと彼女はニッと笑い近づいてきた。
せつ菜「とは言うっても、ため息は心のバランスを保つ役割があるとも言いますからね。一概にダメとは言えませんが。すいません、お待たせしてしまいましたね」
15時半に図書室にとの約束だったのに今は15時45分。自分で呼び出しといてせつ菜ちゃんは15分の遅刻だ。
164: 2023/07/26(水) 22:54:49.80 ID:A+LBnwtc.net
せつ菜「先程、侑さんとかすみさんが二人で歩いているのを見かけましたが。最近、仲が良いですよね。あの二人」
歩夢「そうだね、、、。侑ちゃん面倒見が良いから、かすみちゃんも懐くのかも」
せつ菜「そうですね。面倒見が良くて人タラシで。そりゃあ人に好かれますよね」
わざとなのかせつ菜ちゃんは周りくどい言い方をするので、私は内心イライラしていた。しかし、今思えばこの時点でせつ菜ちゃんの術中にハマっていたのかもしれない。
歩夢「そうだね、、、。侑ちゃん面倒見が良いから、かすみちゃんも懐くのかも」
せつ菜「そうですね。面倒見が良くて人タラシで。そりゃあ人に好かれますよね」
わざとなのかせつ菜ちゃんは周りくどい言い方をするので、私は内心イライラしていた。しかし、今思えばこの時点でせつ菜ちゃんの術中にハマっていたのかもしれない。
166: 2023/07/27(木) 21:52:22.82 ID:+Zyp5Hya.net
せつ菜「歩夢さんの様に密かに想いを寄せる人も多いでしょうね。それも男女問わず、、、歩夢さんもそんな顔を出来るのですね」
眉間に出来た皺が一生このままなのでは無いかと思う程に私は凄い顔をしていたと思う。
せつ菜「歩夢さんが侑さんに抱いている感情が友情なのか、恋愛感情なのか、はたまたそれらを超越した愛情なのか。それは私には分かりませんが、、、侑さんはどうなんでしょうね?かすみさんとあんなにくっついて歩いて、、、」
歩夢「何が言いたいの?」
せつ菜「どんなに歩夢さんが侑さんだけに愛情を注いでも、侑さんは皆んなに平等です。そんなのあんまりですよね。邪魔じゃないですか?」
嫉妬した事は何度もあった。侑ちゃんが誰かと親しくしていればワザと間に入ったりもしてみせた。でも、誰かを邪魔と思った事はあっただろうか?
せつ菜「あまり難しく考えないで下さい。他の人と仲良くする侑さんを見てモヤモヤする様であれば、それは歩夢さんにとって邪魔なんですよ。そして、邪魔なモノは排除するべきなんです」
眉間に出来た皺が一生このままなのでは無いかと思う程に私は凄い顔をしていたと思う。
せつ菜「歩夢さんが侑さんに抱いている感情が友情なのか、恋愛感情なのか、はたまたそれらを超越した愛情なのか。それは私には分かりませんが、、、侑さんはどうなんでしょうね?かすみさんとあんなにくっついて歩いて、、、」
歩夢「何が言いたいの?」
せつ菜「どんなに歩夢さんが侑さんだけに愛情を注いでも、侑さんは皆んなに平等です。そんなのあんまりですよね。邪魔じゃないですか?」
嫉妬した事は何度もあった。侑ちゃんが誰かと親しくしていればワザと間に入ったりもしてみせた。でも、誰かを邪魔と思った事はあっただろうか?
せつ菜「あまり難しく考えないで下さい。他の人と仲良くする侑さんを見てモヤモヤする様であれば、それは歩夢さんにとって邪魔なんですよ。そして、邪魔なモノは排除するべきなんです」
167: 2023/07/27(木) 21:54:45.27 ID:+Zyp5Hya.net
歩夢「排除?」
「はいっ」とハキハキと答えるせつ菜ちゃんはいつも通りでとても物騒な事を言ってる様には思えなかった。
せつ菜「今から話す計画は私と歩夢さんのどちらにとっても、、、」
せつ菜ちゃんはかすみちゃんをどうバレずに頃すかを意気揚々と話し始めた。
「はいっ」とハキハキと答えるせつ菜ちゃんはいつも通りでとても物騒な事を言ってる様には思えなかった。
せつ菜「今から話す計画は私と歩夢さんのどちらにとっても、、、」
せつ菜ちゃんはかすみちゃんをどうバレずに頃すかを意気揚々と話し始めた。
168: 2023/07/27(木) 21:55:14.56 ID:+Zyp5Hya.net
10 カスミ
170: 2023/07/27(木) 22:03:36.86 ID:+Zyp5Hya.net
最近の私はとっても絶好調なのだ。念願だったスクールアイドルになれた事、一緒に夢を語れる親友が出来た事、競い合えるライバルが出来た事、私の夢を支えてくれる人が出来た事。まだまだ言い足りないぐらい毎日がハッピーなの。
しずく「かすみさん。何ニヤニヤしてるの?」
高校に入ってから出来た親友のしず子。演劇部と掛け持ちだけどしず子も一緒にスクールアイドルをやってる。
かすみ「かすみん、ニヤニヤしてた?」
しずく「うん。かすみさんってたまにニヤニヤしてる時あるよ」
かすみ「えぇ、、、嘘だよぉ。可愛い可愛いかすみんがそんなダラシない顔をする訳ないもん」
そう言って否定して見せるけど、本当はしてるんだろうなと思ってる。だって仕方ないじゃん。さっきも言ったけど毎日毎日嬉しくて楽しくて仕方ないんだもん。
しずく「かすみさん。何ニヤニヤしてるの?」
高校に入ってから出来た親友のしず子。演劇部と掛け持ちだけどしず子も一緒にスクールアイドルをやってる。
かすみ「かすみん、ニヤニヤしてた?」
しずく「うん。かすみさんってたまにニヤニヤしてる時あるよ」
かすみ「えぇ、、、嘘だよぉ。可愛い可愛いかすみんがそんなダラシない顔をする訳ないもん」
そう言って否定して見せるけど、本当はしてるんだろうなと思ってる。だって仕方ないじゃん。さっきも言ったけど毎日毎日嬉しくて楽しくて仕方ないんだもん。
171: 2023/07/27(木) 22:21:09.63 ID:+Zyp5Hya.net
しずく「あっ、あそこに居るの侑先輩じゃない?」
かすみ「え?本当だ!!!侑せんぱーーーい!!!」
私が大声で手を振ると侑先輩は気が付いてこちらに向かって歩いて来た。
侑「二人共今日はもう帰り?」
かすみ「はい。先輩もですか?」
侑「そうだね。今日は歩夢に振られちゃって一人で帰るんだ」
いつもならこの時間は同好会で練習があるんだけど、最近は疲労も溜まってるからって今月は週一で休みを設けようって話になったの。
かすみ「え?本当だ!!!侑せんぱーーーい!!!」
私が大声で手を振ると侑先輩は気が付いてこちらに向かって歩いて来た。
侑「二人共今日はもう帰り?」
かすみ「はい。先輩もですか?」
侑「そうだね。今日は歩夢に振られちゃって一人で帰るんだ」
いつもならこの時間は同好会で練習があるんだけど、最近は疲労も溜まってるからって今月は週一で休みを設けようって話になったの。
173: 2023/07/27(木) 22:35:55.82 ID:+Zyp5Hya.net
それにしても侑先輩が歩夢先輩と別行動とは珍しいなと思った。だって、二人はいつも一緒に居る。
かすみ「じゃあ、今日はかすみんと二人で帰りましょう!」
侑「しずくちゃんは?」
しずく「私は演劇部の方に顔を出すので」
そう。しず子は練習が休みでも演劇部の方に行ってしまう。だから、実を言うと私も一人で帰ろうと思っていたのでちょうど良かった。
かすみ「じゃあ、今日はかすみんと二人で帰りましょう!」
侑「しずくちゃんは?」
しずく「私は演劇部の方に顔を出すので」
そう。しず子は練習が休みでも演劇部の方に行ってしまう。だから、実を言うと私も一人で帰ろうと思っていたのでちょうど良かった。
174: 2023/07/27(木) 22:40:59.58 ID:+Zyp5Hya.net
侑「じゃあ、今日は二人で帰ろうか」
かすみ「あっ!かすみん行きたいお店があるんですけど!」
本当は特にそんな事はなかったけど、せっかく侑先輩と二人で帰れるチャンスを逃す訳にはいかない。
しず子に手を振り、私は侑先輩の腕に自分の腕を絡める。ふと、誰かに見られている気がして振り返ると、まだしず子が手を振っていた。
かすみ「あっ!かすみん行きたいお店があるんですけど!」
本当は特にそんな事はなかったけど、せっかく侑先輩と二人で帰れるチャンスを逃す訳にはいかない。
しず子に手を振り、私は侑先輩の腕に自分の腕を絡める。ふと、誰かに見られている気がして振り返ると、まだしず子が手を振っていた。
175: 2023/07/27(木) 22:49:27.13 ID:+Zyp5Hya.net
侑先輩は同好会で唯一私が甘える事が出来る存在。私は一年生で侑先輩は二年生で歳上って事もあるけどそれだけじゃない。侑先輩と初めて会ったのは同好会がまだ5人体制で解散危機に陥っていた時だった。
絶望の淵に居た私を侑先輩は応援してくれるって言ってくれた。それは凄く嬉しかった、それから同好会も上手く行く様になって人数も増えたりした。
もちろん、侑先輩だけのお陰じゃないのも分かってる。いつでも私の側にしず子が居てくれた事、歩夢先輩がスクールアイドルをやりたいって言ってくれたのも嬉しかった。せつ菜先輩が戻って来てくれた事も、同じ歳のりな子がスクールアイドルに興味を持ってくれた事も凄い嬉しかった。
絶望の淵に居た私を侑先輩は応援してくれるって言ってくれた。それは凄く嬉しかった、それから同好会も上手く行く様になって人数も増えたりした。
もちろん、侑先輩だけのお陰じゃないのも分かってる。いつでも私の側にしず子が居てくれた事、歩夢先輩がスクールアイドルをやりたいって言ってくれたのも嬉しかった。せつ菜先輩が戻って来てくれた事も、同じ歳のりな子がスクールアイドルに興味を持ってくれた事も凄い嬉しかった。
176: 2023/07/27(木) 23:05:00.28 ID:+Zyp5Hya.net
でも、私はせつ菜先輩や歩夢先輩には甘える事が出来ない。同好会では私達は仲間であると同時にライバルで、と言うのも私達はグループではなくそれぞれソロアイドルとして活動している。
誰もが一番になりたいって思って活動しているライバル関係だからこそ、そこら辺はちゃんとしないといけないと思ってる。
ちなみに、侑先輩は同好会のメンバーではあるけれどスクールアイドルではなくてサポートに徹して活動している。だからこそ、侑先輩には私も甘えられるんだ。
ただ、誤解しないで欲しいのは他の先輩達だって同じくらい大好きだから。歩夢先輩もせつ菜先輩も私は大好き。
誰もが一番になりたいって思って活動しているライバル関係だからこそ、そこら辺はちゃんとしないといけないと思ってる。
ちなみに、侑先輩は同好会のメンバーではあるけれどスクールアイドルではなくてサポートに徹して活動している。だからこそ、侑先輩には私も甘えられるんだ。
ただ、誤解しないで欲しいのは他の先輩達だって同じくらい大好きだから。歩夢先輩もせつ菜先輩も私は大好き。
178: 2023/07/27(木) 23:16:11.71 ID:+Zyp5Hya.net
侑「かすみちゃん。見て!」
そう言って侑先輩が指差した方角には綺麗な虹がハッキリと掛かっていた。
かすみ「わあ、、、」
侑「さっきまで薄らとしてたけど、だいぶハッキリとして来たね」
虹を見ると私達の様だなと思う。個性豊かで色がハッキリとしていて、奇しくも私達の通ってる学校の名前は虹ヶ咲学園。
私は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が大好きです。
そう言って侑先輩が指差した方角には綺麗な虹がハッキリと掛かっていた。
かすみ「わあ、、、」
侑「さっきまで薄らとしてたけど、だいぶハッキリとして来たね」
虹を見ると私達の様だなと思う。個性豊かで色がハッキリとしていて、奇しくも私達の通ってる学校の名前は虹ヶ咲学園。
私は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が大好きです。
180: 2023/07/27(木) 23:25:14.75 ID:+Zyp5Hya.net
ある日、歩夢先輩とせつ菜先輩の二人に話があるからって呼び出された。誰にも内緒で来て欲しいって。
なんだろう、、楽しい事かな?まさか、テストの事じゃないよね。二人と侑先輩のお陰で赤点は免れたし。
歩夢先輩とせつ菜先輩と私。結構、珍しい組み合わせだな。何があるのか分からないけど、楽しみにしておこう。本当は歩夢先輩ともせつ菜先輩とももっとお話ししたい事があるんだよね。
なんだろう、、楽しい事かな?まさか、テストの事じゃないよね。二人と侑先輩のお陰で赤点は免れたし。
歩夢先輩とせつ菜先輩と私。結構、珍しい組み合わせだな。何があるのか分からないけど、楽しみにしておこう。本当は歩夢先輩ともせつ菜先輩とももっとお話ししたい事があるんだよね。
181: 2023/07/27(木) 23:29:00.33 ID:+Zyp5Hya.net
11 エマ
182: 2023/07/27(木) 23:35:57.39 ID:+Zyp5Hya.net
葬儀に参列するのは初めての経験だった。一応の流れとマナーを愛ちゃんに教えて貰ったけど、なかなか覚えるのは大変で結局は参列者の見よう見まねで乗り切ろうと言う事になった。
外国人と言うと宗教に熱心だと日本の人に思われるけど私はそうじゃなくて、どんな形でもちゃんと送り届けてあげたいと言う気持ちだけは確かだった。
外国人と言うと宗教に熱心だと日本の人に思われるけど私はそうじゃなくて、どんな形でもちゃんと送り届けてあげたいと言う気持ちだけは確かだった。
184: 2023/07/28(金) 23:06:29.15 ID:YOUuWerO.net
全てが白と黒に染められた異様な空間。聞こえてくるのはお坊さんが読み上げるお経と木魚の音、それから啜り泣く声。相反して写真の中の彼女は満面の笑みを浮かべている。
ずっと見ていたかった。けど、周囲の視線が痛かった。早くどこかに行け。そう言われてる様な気がして、私達はそそくさと逃げる様に式場を後にした。
ずっと見ていたかった。けど、周囲の視線が痛かった。早くどこかに行け。そう言われてる様な気がして、私達はそそくさと逃げる様に式場を後にした。
185: 2023/07/28(金) 23:14:45.42 ID:YOUuWerO.net
家を出た時はまだ明るかったのに、辺りはすっかり暗くなっていた。
愛「もうすっかり冬だね。この前まで夏だと思ったのにな」
白い吐息で手を温めると、尚更に季節の移ろいを感じる。
愛「エマっちはさ、輪廻転生って知ってる?」
愛「もうすっかり冬だね。この前まで夏だと思ったのにな」
白い吐息で手を温めると、尚更に季節の移ろいを感じる。
愛「エマっちはさ、輪廻転生って知ってる?」
186: 2023/07/28(金) 23:27:16.97 ID:YOUuWerO.net
エマ「リンネテンセイ?」
愛「人の魂は氏んで、また生まれ変わる。季節が巡る様に、魂も巡るんだってさ。でもね、必ずしも人間に生まれ変わるとは限らない」
エマ「人間に生まれ変われなかった人はどうなるの?」
愛ちゃんは一瞬答える事を躊躇してる様に見えた。そして何かを諦めるかの様にまた話し始めた。
愛「人の魂は氏んで、また生まれ変わる。季節が巡る様に、魂も巡るんだってさ。でもね、必ずしも人間に生まれ変わるとは限らない」
エマ「人間に生まれ変われなかった人はどうなるの?」
愛ちゃんは一瞬答える事を躊躇してる様に見えた。そして何かを諦めるかの様にまた話し始めた。
187: 2023/07/28(金) 23:39:43.80 ID:YOUuWerO.net
愛「地獄に落ちるんだよ。生前、罪を犯した人間は人間界に生まれる事なく地獄でそれ相応の苦しみを味わう。アタシもそう。だって私は、、、逃げて、人を傷つけて、嘘を吐いた、諦めた。私が逃げなければ、諦めなければ何か違う結果が待ってたかもしれないのに」
それなら私だってそうだ。私だってずっと違和感を覚えていた。かすみちゃんが行方不明になった時も愛ちゃんや璃奈ちゃんが同好会に顔を見せなくなった時もずっと違和感があったし、皆んなが何か隠している事にも気が付いていた。それなのに私は知らないふりをして逃げた。
それなら私だってそうだ。私だってずっと違和感を覚えていた。かすみちゃんが行方不明になった時も愛ちゃんや璃奈ちゃんが同好会に顔を見せなくなった時もずっと違和感があったし、皆んなが何か隠している事にも気が付いていた。それなのに私は知らないふりをして逃げた。
189: 2023/07/29(土) 22:03:48.26 ID:2P/cNXbd.net
エマ「それでも、、、最悪の結果にならなかったのは愛ちゃんが最後の最後で行動に起こしたからでしょ」
愛ちゃんは俯きながらゆっくりと首を振った。
愛「エマっちが聞いた話は全部嘘だよ。私がこうして普通の生活に戻れる様にって気を遣ってくれただけ。本当は私は何もしてない。土壇場でビビって、、、何もしなかったの。
愛ちゃんは俯きながらゆっくりと首を振った。
愛「エマっちが聞いた話は全部嘘だよ。私がこうして普通の生活に戻れる様にって気を遣ってくれただけ。本当は私は何もしてない。土壇場でビビって、、、何もしなかったの。
190: 2023/07/29(土) 22:16:44.65 ID:2P/cNXbd.net
エマ「そうなんだ。じゃあ、、、私達が氏んだらみんな揃って地獄で再開出来るかな」
愛「どうだろう。全員は無理じゃないかな」
愛ちゃんはこちらを見る事もなく、微かな声で呟いていた。
愛「でも、まだ私達は生きてるから。だから、愛さん達に出来る償いは全てしていこう」
私は小さく呟いた。気がつくと目の前に誰かが立っている。
「宮下愛さんとエマ・ヴェルデさんですね。会えて良かった」
見覚えのある顔だった。確か、、、新しく生徒会長に就任した、、、
栞子「生徒会長の三船栞子です」
生徒会長が私達に何の用事なんだろう。
愛「どうだろう。全員は無理じゃないかな」
愛ちゃんはこちらを見る事もなく、微かな声で呟いていた。
愛「でも、まだ私達は生きてるから。だから、愛さん達に出来る償いは全てしていこう」
私は小さく呟いた。気がつくと目の前に誰かが立っている。
「宮下愛さんとエマ・ヴェルデさんですね。会えて良かった」
見覚えのある顔だった。確か、、、新しく生徒会長に就任した、、、
栞子「生徒会長の三船栞子です」
生徒会長が私達に何の用事なんだろう。
191: 2023/07/29(土) 22:21:11.87 ID:2P/cNXbd.net
12 セツナ
193: 2023/07/29(土) 22:27:58.84 ID:2P/cNXbd.net
外で小鳥が賑やかに鳴き出したので目覚ましよりも早く起きてしまった。この部屋で目を覚ますのも今日が最後となる。
私は身体を起こしベットから降りると一番に窓を開けた。
せつ菜「良い天気、、、」
ライブ日和とはまさにこの事だろう。これなら気持ちよく氏ぬ事が出来るなと思った。
私は身体を起こしベットから降りると一番に窓を開けた。
せつ菜「良い天気、、、」
ライブ日和とはまさにこの事だろう。これなら気持ちよく氏ぬ事が出来るなと思った。
194: 2023/07/29(土) 22:42:26.09 ID:2P/cNXbd.net
今日私は氏ぬのだから、ちゃんとよく見ておこう。部屋をぐるりと見渡すとアイドルのポスターが目に入った。私が初めて夢中になったスクールアイドルのメンバーが写るポスター。あの頃はスクールアイドルになれるだけで満足だと思っていたのに。どこまでも私は欲張りなんだなと思わず笑ってしまう。
窓を閉めてリビングに向かうと母が朝食を作っていた。
窓を閉めてリビングに向かうと母が朝食を作っていた。
195: 2023/07/29(土) 22:51:10.41 ID:2P/cNXbd.net
足跡で気が付いたのか母は振り返る事なく「おはよう」と私に言った。
こちらを向かなくても想像できる程、何度も何度も見たその顔は私とそっくりで、私がスクールアイドルとして人気を獲得出来たのもこの人のお陰だと思うとなんとも皮肉な話だと思う。
と言うのも私の母はスクールアイドルやアニメと言ったサブカルチャーには否定的な人だった。
こちらを向かなくても想像できる程、何度も何度も見たその顔は私とそっくりで、私がスクールアイドルとして人気を獲得出来たのもこの人のお陰だと思うとなんとも皮肉な話だと思う。
と言うのも私の母はスクールアイドルやアニメと言ったサブカルチャーには否定的な人だった。
198: 2023/07/29(土) 23:05:15.57 ID:2P/cNXbd.net
私の好きな物を否定する彼女に反発する様に私はそれらにのめり込んでいった。遂には内緒でスクールアイドルまで始めた私だったけど、まあそれは例の事件のマスコミ対応でバレてしまった。
意外と母は咎める様な事はしなかった。それどころが応援すらしてくれると母は言ったのだ。
私は少し母を誤解していたのかもしれない。もう、今日で顔を見るのも最後だと思うと寂しい気持ちが込み上げてきた。
意外と母は咎める様な事はしなかった。それどころが応援すらしてくれると母は言ったのだ。
私は少し母を誤解していたのかもしれない。もう、今日で顔を見るのも最後だと思うと寂しい気持ちが込み上げてきた。
199: 2023/07/29(土) 23:17:44.02 ID:2P/cNXbd.net
せつ菜「お母さん」
私が呼びかけると母は手を止めてやっと私の方を振り返った?
母「どうしたの?」
せつ菜「うん。今日、私のライブがあるんだ。もし、良かったら見に来てくれないかな?」
母は少し考える素振りをみせてると「何時から?」とだけ呟いた。
せつ菜「15時から。学校で」
「分かった」とだけ答えると母は再び料理を始めた。
お母さん。今日、私は伝説になるからしっかりと見ていて下さい。
私が呼びかけると母は手を止めてやっと私の方を振り返った?
母「どうしたの?」
せつ菜「うん。今日、私のライブがあるんだ。もし、良かったら見に来てくれないかな?」
母は少し考える素振りをみせてると「何時から?」とだけ呟いた。
せつ菜「15時から。学校で」
「分かった」とだけ答えると母は再び料理を始めた。
お母さん。今日、私は伝説になるからしっかりと見ていて下さい。
200: 2023/07/29(土) 23:40:19.32 ID:2P/cNXbd.net
朝食を食べ、身支度を終えて勢いよく玄関を飛び出すと、そこには歩夢さんが立っていた。
歩夢「おはよう」
せつ菜「おはようございます。一人ですか?」
歩夢「うん。侑ちゃんは準備があるからって先に行ってるよ」
「それより」と言って歩夢さんは私の近くまで歩み寄ってきた。
歩夢「引き返すつもりはないんだよね?」
せつ菜「もちろんです!その為に今日までやって来たんじゃないですか」
歩夢「そうだね」
歩夢「おはよう」
せつ菜「おはようございます。一人ですか?」
歩夢「うん。侑ちゃんは準備があるからって先に行ってるよ」
「それより」と言って歩夢さんは私の近くまで歩み寄ってきた。
歩夢「引き返すつもりはないんだよね?」
せつ菜「もちろんです!その為に今日までやって来たんじゃないですか」
歩夢「そうだね」
203: 2023/07/30(日) 20:05:09.02 ID:lPjfvvJN.net
上原歩夢が強い人間では無いと言う事は分かっていた。依存心が強く、周りに流されやすい。感情の振れ幅が大きく情緒が安定しない扱いやすい人間だと思ったから私は彼女に声を掛けた。
案の定、彼女を嗾けると簡単に犯行に及んだ。最初は気持ちが高揚していたのか、残酷な事もやってのけたが時間の経過と共に彼女は怯える様になっていった。
引き返せなくなった彼女は私の計画に協力するほかないのだが、なんせ精神面が安定しないので共犯者を増やす事によって罪の意識を分散させる事にした。
そうする事で上原歩夢の情緒は安定するのだが、また一つ問題が発生した。上原歩夢を私がフォローする度に彼女の中での私への信頼が徐々に増していき、私を頃す事に躊躇いを見せ始めたのだ。
案の定、彼女を嗾けると簡単に犯行に及んだ。最初は気持ちが高揚していたのか、残酷な事もやってのけたが時間の経過と共に彼女は怯える様になっていった。
引き返せなくなった彼女は私の計画に協力するほかないのだが、なんせ精神面が安定しないので共犯者を増やす事によって罪の意識を分散させる事にした。
そうする事で上原歩夢の情緒は安定するのだが、また一つ問題が発生した。上原歩夢を私がフォローする度に彼女の中での私への信頼が徐々に増していき、私を頃す事に躊躇いを見せ始めたのだ。
204: 2023/07/30(日) 21:30:59.64 ID:lPjfvvJN.net
依存心の強い彼女の性格は把握していたのに、私もまだまだツメが甘いと痛感した。とは言ってもやはり彼女は流されやすく、共犯者を増やしたのは正解だったし、かすみさんを殺させた事も正解だった。彼女はもう引き返せない所まで来ている。
せつ菜「では行きましょうか。歩夢さん」
私は彼女の手を引くと俯いたまま半歩後ろを着いてきた。
せつ菜「では行きましょうか。歩夢さん」
私は彼女の手を引くと俯いたまま半歩後ろを着いてきた。
205: 2023/07/30(日) 21:43:51.13 ID:lPjfvvJN.net
歩夢「せつ菜ちゃんは怖くないの?」
せつ菜「氏ぬ事がですか?」
歩夢「うん」
せつ菜「怖くないですね。人はいつか氏ぬんですよ。それも殆どの人が呆気なく氏ぬんです。それが私はどうですか?人々の記憶にいつまでも残る」
「それでも」と言って歩夢さんは私の手をぎゅっと握りしめた。もう完全に彼女の仲では私に対する嫌悪感は無くなっているみたいだった。
こうして彼女と二人きりで歩くのは初めてかもしれない。小さい女の子の手を引く親の気持ちが少し分かった気がした。
せつ菜「氏ぬ事がですか?」
歩夢「うん」
せつ菜「怖くないですね。人はいつか氏ぬんですよ。それも殆どの人が呆気なく氏ぬんです。それが私はどうですか?人々の記憶にいつまでも残る」
「それでも」と言って歩夢さんは私の手をぎゅっと握りしめた。もう完全に彼女の仲では私に対する嫌悪感は無くなっているみたいだった。
こうして彼女と二人きりで歩くのは初めてかもしれない。小さい女の子の手を引く親の気持ちが少し分かった気がした。
206: 2023/07/30(日) 21:59:30.97 ID:lPjfvvJN.net
せつ菜「歩夢さん。歩夢さんにとって大切なのは侑さんでしょう?私がいる限り侑さんはあなただけを見てくれる事はないですよ」
歩夢「それでも良いと最近は思い始めてるの」
私は握っていた彼女の手を離し「それでも良いとは」と聞き返した。
歩夢「ずっと大事なものは一つしかないと思い込んでいたの。でも最近は大事なものが何個もあって良いんじゃないかなって思い始めてきた。侑ちゃんが居て、せつ菜ちゃんが居て、皆んなが居て」
歩夢さんはまだ話し続けようとしたが私はそれ以上をさせなかった。
せつ菜「かすみさんは?」
歩夢「それでも良いと最近は思い始めてるの」
私は握っていた彼女の手を離し「それでも良いとは」と聞き返した。
歩夢「ずっと大事なものは一つしかないと思い込んでいたの。でも最近は大事なものが何個もあって良いんじゃないかなって思い始めてきた。侑ちゃんが居て、せつ菜ちゃんが居て、皆んなが居て」
歩夢さんはまだ話し続けようとしたが私はそれ以上をさせなかった。
せつ菜「かすみさんは?」
208: 2023/07/30(日) 22:22:14.78 ID:lPjfvvJN.net
私がそう問いかけると歩夢さんは黙り込んでしまった。それが答えなのだろう。
せつ菜「歩夢さん。私が氏んでも私はあなたの心の中に居ますから」
聞こえていたのかは分からず、ただ彼女は学校に着くまで一言も喋らなかった。
せつ菜「歩夢さん。私が氏んでも私はあなたの心の中に居ますから」
聞こえていたのかは分からず、ただ彼女は学校に着くまで一言も喋らなかった。
209: 2023/07/30(日) 22:49:01.80 ID:lPjfvvJN.net
13 シズク
210: 2023/07/30(日) 22:56:18.07 ID:lPjfvvJN.net
本当に興醒めでした。せつ菜さん達から話を持ちかけられた時、この狂った人達を観察する事で演技の幅を広げられるって思っていたのに。
蓋を開けてみればなんて事はない。私からしてみれば優木せつ菜は思春期を拗らせた、俗な言い方をするならば少し過激で行動力のある中二病。上原歩夢に関して言えばただのメンヘラと言った所。
中二病なんて演技の参考にもなりはしないし、せめて人が氏ぬ所を生で見れると思えば爆氏だって。そんな氏に方されても私には何のメリットもない。
ただ、歩夢さんの方はと言えば、感情の起伏が激しく見ていて面白いし演技の参考にもなる。
蓋を開けてみればなんて事はない。私からしてみれば優木せつ菜は思春期を拗らせた、俗な言い方をするならば少し過激で行動力のある中二病。上原歩夢に関して言えばただのメンヘラと言った所。
中二病なんて演技の参考にもなりはしないし、せめて人が氏ぬ所を生で見れると思えば爆氏だって。そんな氏に方されても私には何のメリットもない。
ただ、歩夢さんの方はと言えば、感情の起伏が激しく見ていて面白いし演技の参考にもなる。
212: 2023/07/31(月) 22:06:14.24 ID:kqNkoVMi.net
歩夢さんはバカだから計画的に物事を進められず、感情的になって行動するのですぐに後悔をする。だから、せつ菜さんにも利用されるんだと思う。あんな素人が考えた上手く行くかどうかも分からい幼稚な計画に嫌でも従わなきゃいけない状況にまで追い込まれている。
その反面、私は実に計画的に行動出来ていると思う。友情を知る為に親友を作り、親友を失う悲しみまで覚える事が出来た。これからも私は計画的に行動して着実と演技の幅を広げるんだ。そうして私はいずれ大女優と呼ばれる日が来るはず。
その反面、私は実に計画的に行動出来ていると思う。友情を知る為に親友を作り、親友を失う悲しみまで覚える事が出来た。これからも私は計画的に行動して着実と演技の幅を広げるんだ。そうして私はいずれ大女優と呼ばれる日が来るはず。
214: 2023/07/31(月) 22:09:23.71 ID:kqNkoVMi.net
だからなのか、最近は感情に駆られて無計画に生きている歩夢さんを見ているとイライラして仕方がない。まあ、これも演技に活かせると思えば良いのだけど、なんせ不快感が酷い。
繰り返しになるけれど、歩夢さんは唆されたとは言え感情に駆られて行動しかすみさんを頃した。今更それを後悔している様な素振りを見せるので非常に腹立たしくて仕方がない。
繰り返しになるけれど、歩夢さんは唆されたとは言え感情に駆られて行動しかすみさんを頃した。今更それを後悔している様な素振りを見せるので非常に腹立たしくて仕方がない。
215: 2023/07/31(月) 22:19:14.70 ID:kqNkoVMi.net
歩夢さんから聞いた話だとかすみさんは私達の通う学校の地下に閉じ込められて殺されたらしい。暗くジメジメとした空間に一人置いていかれ、食事も、水すら飲む事が出来ず非常に苦しかったでしょう、怖かったでしょう。衰弱して徐々に氏を迎える恐怖。歩夢さんは想像する事が出来ますか?きっと、そんな事は考えないでしょうね。歩夢さんは自分の事しか考えませんから。頃した罪悪感から逃げる事ばかりを考えているのでしょう。
216: 2023/07/31(月) 22:28:58.05 ID:kqNkoVMi.net
こんな残酷な事をしておいて、歩夢さんがのうのうと生きている事が許せない。いっその事、せつ菜さんだけじゃなく歩夢さんも巻き添えで氏んでしまえば良いのに。いや、爆氏なんてそんな氏に方は生ぬるい。あの二人にはもっと苦しんでから氏ぬべきだと思う。
私は考えた。二人が一番苦しむ方法は何だろうか。
ふと、私は気がついた。もしかして、私も感情に駆られているのではないだろうか。いつから?どうして?答えは分からない。
最近、毎朝泣きながら目覚める事が多い。涙の理由も分からないから演技の参考にもならない。
私はどうしてしまったのだろう。かすみさん、もう一度、かすみさんに会いたいよ。
私は考えた。二人が一番苦しむ方法は何だろうか。
ふと、私は気がついた。もしかして、私も感情に駆られているのではないだろうか。いつから?どうして?答えは分からない。
最近、毎朝泣きながら目覚める事が多い。涙の理由も分からないから演技の参考にもならない。
私はどうしてしまったのだろう。かすみさん、もう一度、かすみさんに会いたいよ。
218: 2023/07/31(月) 22:49:53.08 ID:kqNkoVMi.net
14 セツナ
219: 2023/07/31(月) 23:01:34.74 ID:kqNkoVMi.net
シナオリは以下の通りです。
虹ヶ咲学園に通う優木せつ菜は自身が所属するスクールアイドル同好会でのライブ中にパフォーマンスの演出として用意した起爆装置の爆発に巻き込まれ氏亡。
起爆装置は自作のものであり、学校及び生徒会には使用の許可は取ってあったとの事。また、起爆装置は予定の場所と違う位置に設置された形跡があり、当初警察は事件性を疑ったが優木せつ菜の自宅から遺書と思われる手紙を発見。筆跡から本人のものと思われる事から自氏の可能性が高いと判断された。
手紙のには半年前に行方不明となった同好会のメンバーの事も記されており、仲間を失った事による悲しみが綴られていた事から精神的に追い詰められていた事が読み取れる。
虹ヶ咲学園に通う優木せつ菜は自身が所属するスクールアイドル同好会でのライブ中にパフォーマンスの演出として用意した起爆装置の爆発に巻き込まれ氏亡。
起爆装置は自作のものであり、学校及び生徒会には使用の許可は取ってあったとの事。また、起爆装置は予定の場所と違う位置に設置された形跡があり、当初警察は事件性を疑ったが優木せつ菜の自宅から遺書と思われる手紙を発見。筆跡から本人のものと思われる事から自氏の可能性が高いと判断された。
手紙のには半年前に行方不明となった同好会のメンバーの事も記されており、仲間を失った事による悲しみが綴られていた事から精神的に追い詰められていた事が読み取れる。
220: 2023/07/31(月) 23:11:48.40 ID:kqNkoVMi.net
璃奈さんが用意してくれた起爆装置の仕組みは無線の押しボタンを押す事によってシーケンサーに起動信号が入力され、プログラムがスキャンされるとシーケンサーからリレーへ信号を出力する。リレーの接点が継ながる事により起爆剤に電圧が印加され爆発すると言う事らしい。
本来であればドラマなどで見る時限爆弾はもっと複雑な制御を組むらしいが、なんせ起爆する事だけが目的なので、簡単に作ったと璃奈さんは言っていました。
この説明を受けて私は何となく理解は出来たが、他の人達はイマイチ分からない様子だった。
本来であればドラマなどで見る時限爆弾はもっと複雑な制御を組むらしいが、なんせ起爆する事だけが目的なので、簡単に作ったと璃奈さんは言っていました。
この説明を受けて私は何となく理解は出来たが、他の人達はイマイチ分からない様子だった。
223: 2023/08/01(火) 23:10:43.33 ID:C0suzlh3.net
今日、私がパフォーマンスを特設ステージは我が校のライフデザイン学科で建築を専攻している生徒達が作ってくれた。単管と呼ばれるパイプで組んだベースの上に乗せた敷板を一枚剥がして、起爆装置をこっそりと設置した。
準備は万全で後は歌うだけ。今日の私は身体も喉の調子も絶好調でベストパフォーマンスを届ける自信があった。
ステージの上に登り、私は想像する。私のパフォーマンスが最高潮に達した時、起爆装置が作動し大きな音と共に私の肉体が四方に飛び散る。人々はその光景を絶対に忘れる事はないだろう。
準備は万全で後は歌うだけ。今日の私は身体も喉の調子も絶好調でベストパフォーマンスを届ける自信があった。
ステージの上に登り、私は想像する。私のパフォーマンスが最高潮に達した時、起爆装置が作動し大きな音と共に私の肉体が四方に飛び散る。人々はその光景を絶対に忘れる事はないだろう。
224: 2023/08/01(火) 23:17:46.73 ID:C0suzlh3.net
私は鼻歌を歌いながら今日披露する曲の振り付けを小さく踊っていると、拍手の音がステージの脇から聞こえて来た。
侑「絶好調だね」
せつ菜「見てたなら言ってくださいよ」
侑さんはステージの上から下を指差し「今日、どれだけのお客さんがここに来るんだろうね」と言った。
プロのアイドルの様にチケットを売って集客している訳じゃないからそれは分からないけど、それでもそれなりの人数は集まるし、マスコミだって来るはずだ。
侑「絶好調だね」
せつ菜「見てたなら言ってくださいよ」
侑さんはステージの上から下を指差し「今日、どれだけのお客さんがここに来るんだろうね」と言った。
プロのアイドルの様にチケットを売って集客している訳じゃないからそれは分からないけど、それでもそれなりの人数は集まるし、マスコミだって来るはずだ。
225: 2023/08/01(火) 23:21:34.86 ID:C0suzlh3.net
せつ菜「侑さん。今日のライブは記憶に残るものにしてみせます」
私がそう意気込むと侑さんは「今までのも全部記憶に残ってるよ」と言い、「でも、楽しみにしてるね」と笑った。
なんだか、更にに自信が湧いて来た気がする。
私がそう意気込むと侑さんは「今までのも全部記憶に残ってるよ」と言い、「でも、楽しみにしてるね」と笑った。
なんだか、更にに自信が湧いて来た気がする。
227: 2023/08/01(火) 23:29:28.02 ID:C0suzlh3.net
校舎のチャイムが鳴る時、それはライブが始まる合図。静まり返る会場の中、私は颯爽と現れる。
優木せつ菜のライブが始まる。これでもかと言う程の爆音と観客達の声援を浴びて私は始まって早々に絶頂に達していた。
私が歌えば、それに合わせて観客も声をあげる。私が身体を激しく振ればそれに合わせて身体を揺らす。
ああ、やっぱりライブは良い。生きた心地がする。
優木せつ菜のライブが始まる。これでもかと言う程の爆音と観客達の声援を浴びて私は始まって早々に絶頂に達していた。
私が歌えば、それに合わせて観客も声をあげる。私が身体を激しく振ればそれに合わせて身体を揺らす。
ああ、やっぱりライブは良い。生きた心地がする。
228: 2023/08/01(火) 23:39:43.43 ID:C0suzlh3.net
パフォーマンスをしながら観客の方を見渡すと母の姿が確認出来た。端っこの方で申し訳ない程度に見ている。これだけ観客がいてもすぐに分かるのはやっぱり親子だからなのかな。隣には侑さんが居て、どうやら彼女が母を案内してくれた様だ。
他にも歩夢さんが涙目でこちらを見ているのを確認出来た。隣にはしずくさん、、、しずくさん、それは一体どんな感情?果林さんと彼方さん、エマさんの姿は確認できたけど、璃奈さんの姿は見えない。
他にも歩夢さんが涙目でこちらを見ているのを確認出来た。隣にはしずくさん、、、しずくさん、それは一体どんな感情?果林さんと彼方さん、エマさんの姿は確認できたけど、璃奈さんの姿は見えない。
231: 2023/08/02(水) 22:08:38.80 ID:Wu1XB7Nt.net
ステージの上から見える全ての景色を目に焼き付ける。爆発まで残り1分5秒。今からカップラーメンが出来上がるよりも早く私は氏を迎える。鼓動が速くなるのが分かる。ジワジワと目が潤んできた。ああ、ついに私は氏を迎えるんだな。
その瞬間を迎える前に最後に私が目を向けたのは、やはり母だった。爆発まであと数秒の間、母と目があった気がした。
その瞬間を迎える前に最後に私が目を向けたのは、やはり母だった。爆発まであと数秒の間、母と目があった気がした。
232: 2023/08/02(水) 22:24:48.69 ID:Wu1XB7Nt.net
「お母さん、、、」と思わず声が溢れた。もしかしたら、マイクにも声が入っていたかもしれない。皆んながこちらを凝視している。もう、後には引けない。
私は衣装に忍ばせた押しボタンに手を伸ばした。少し、押すのを躊躇ってしまったので爆発のタイミングがズレてしまった。
私は衣装に忍ばせた押しボタンに手を伸ばした。少し、押すのを躊躇ってしまったので爆発のタイミングがズレてしまった。
233: 2023/08/02(水) 22:36:19.46 ID:Wu1XB7Nt.net
大きな爆発音と同時に悲鳴が聞こえて来た。耳の隣に心臓があるのではないかと思うくらいバクバクと鼓動が高鳴る。
身体中が震えているのか手に持っていた押しボタンをステージの上に落としてしまった。下腹部がジワリと濡れて生暖かい。
暫く、私は何が起きたのかが理解出来なかった。観客席にいた何人かの大人が部室棟の方へ走って行ったのは見えていた。
身体中が震えているのか手に持っていた押しボタンをステージの上に落としてしまった。下腹部がジワリと濡れて生暖かい。
暫く、私は何が起きたのかが理解出来なかった。観客席にいた何人かの大人が部室棟の方へ走って行ったのは見えていた。
234: 2023/08/02(水) 22:43:40.32 ID:Wu1XB7Nt.net
ただ、呆然と立ち尽くす私に「せつ菜ちゃん、お疲れ様」と大きな声で呼び掛けながらステージまで上がって来たのは侑さんだった。
私は暫く声を出すことが出来ず、ゆっくりとこちらに向かってくる侑さんを凝視する事しかできなかった。
私は暫く声を出すことが出来ず、ゆっくりとこちらに向かってくる侑さんを凝視する事しかできなかった。
235: 2023/08/02(水) 22:47:46.27 ID:Wu1XB7Nt.net
侑「せつ菜ちゃんが無事で良かったよ」
そんな事を言いながら私の目の前まで来て私が落とした押しボタンを拾った。
せつ菜「どう言う事ですか?」
私はどうにか声を絞り出して、侑さんに問い掛けると彼女はジッとこちらを見てから口を開いた。
侑「ステージに設置された爆弾の事?ふふっ、危ないから別の場所に移したよ」
そんな事を言いながら私の目の前まで来て私が落とした押しボタンを拾った。
せつ菜「どう言う事ですか?」
私はどうにか声を絞り出して、侑さんに問い掛けると彼女はジッとこちらを見てから口を開いた。
侑「ステージに設置された爆弾の事?ふふっ、危ないから別の場所に移したよ」
236: 2023/08/02(水) 22:58:13.08 ID:Wu1XB7Nt.net
せつ菜「別の場所って、、、」
侑さんが指差した方からはまだ悲鳴が聞こえてくる。
せつ菜「どうして、、、いつから?」
侑「どうしてって、、、約束したでしょ?私はせつ菜ちゃんを応援するってさ。スクールアイドル優木せつ菜を全力でサポートするって」
私が侑さんと出会った時に交わした言葉だった。
侑「氏んじゃったら約束守れないもんね」
そう言って侑さんは屈託のない笑顔をみせた。
侑「ちゃんと待ってるからね」
そのうち、遠くからサイレンが聞こえてきた。
侑さんが指差した方からはまだ悲鳴が聞こえてくる。
せつ菜「どうして、、、いつから?」
侑「どうしてって、、、約束したでしょ?私はせつ菜ちゃんを応援するってさ。スクールアイドル優木せつ菜を全力でサポートするって」
私が侑さんと出会った時に交わした言葉だった。
侑「氏んじゃったら約束守れないもんね」
そう言って侑さんは屈託のない笑顔をみせた。
侑「ちゃんと待ってるからね」
そのうち、遠くからサイレンが聞こえてきた。
238: 2023/08/02(水) 23:39:00.87 ID:4shJ63mj.net
14 シオリコ
239: 2023/08/02(水) 23:46:48.79 ID:4shJ63mj.net
栞子「どうぞ座って下さい。今、お茶を淹れて来ますから」
私は目の前の二人に椅子に座る様に促した。茶棚から湯呑みを取り出すと、予め用意してあった急須からお茶をそそいだ。
栞子「この急須は前生徒会長が自宅から持って来たものらしいのですが。可愛らしいデザインですね」
私がそう言うと目の前の二人は俯いてしまった。
栞子「すいません。少々デリカシーに欠けましたね。さて、宮下さん、エマ・ヴェルデさん。早速ですが、本題に入りましょう」
私は目の前の二人に椅子に座る様に促した。茶棚から湯呑みを取り出すと、予め用意してあった急須からお茶をそそいだ。
栞子「この急須は前生徒会長が自宅から持って来たものらしいのですが。可愛らしいデザインですね」
私がそう言うと目の前の二人は俯いてしまった。
栞子「すいません。少々デリカシーに欠けましたね。さて、宮下さん、エマ・ヴェルデさん。早速ですが、本題に入りましょう」
240: 2023/08/02(水) 23:52:56.20 ID:4shJ63mj.net
そう言って私は二人にお茶を差し出し、自分も二人の向かいの席に着いた。
栞子「先日の中須かすみさんの葬儀の後に聞いた話の続き。なぜ、優木せつ菜の計画は失敗に終わったのか、高咲侑はいつから知っていたのか、、、ですね」
私は二人と順番に目を合わせると先に口を開いたのは宮下愛だった。
栞子「先日の中須かすみさんの葬儀の後に聞いた話の続き。なぜ、優木せつ菜の計画は失敗に終わったのか、高咲侑はいつから知っていたのか、、、ですね」
私は二人と順番に目を合わせると先に口を開いたのは宮下愛だった。
245: 2023/08/04(金) 22:50:02.57 ID:3WSXZuSr.net
愛「私は、、、私はゆうゆに何も言ってない。警察には何度も行こうとしたけど」
栞子「では、なぜ行かなかったのですか?」
私の言い方がキツかったのか宮下さんは私から目を逸らし俯いてしまった。
栞子「誤解しないで下さい。私はお二人の味方ですから」
慎重になるべく優しく言葉を選んで話し掛ける事を意識することにした。
愛「信じて貰えないと思った。警察に行った所で証拠もなければ、氏体の場所さえ知らない」
栞子「日本の警察は優秀ですよ」
愛「だったら、なんでもっと真剣にかすみんの事を探してくれなかったのかな。学校に捜査に来た時、警察な人達はどうせ家出だろうって決めつけてたよ」
栞子「では、なぜ行かなかったのですか?」
私の言い方がキツかったのか宮下さんは私から目を逸らし俯いてしまった。
栞子「誤解しないで下さい。私はお二人の味方ですから」
慎重になるべく優しく言葉を選んで話し掛ける事を意識することにした。
愛「信じて貰えないと思った。警察に行った所で証拠もなければ、氏体の場所さえ知らない」
栞子「日本の警察は優秀ですよ」
愛「だったら、なんでもっと真剣にかすみんの事を探してくれなかったのかな。学校に捜査に来た時、警察な人達はどうせ家出だろうって決めつけてたよ」
246: 2023/08/04(金) 22:54:18.14 ID:3WSXZuSr.net
「それでも、、、」と言い掛けて私は言葉を飲み込んだ。確かに私だって家出か何かだろうと軽く見ている所はあったし、生徒会長になるまでは他人事だと思っていた節もある。
愛「それに怖かったんだ」
栞子「怖かった?」
愛「それに怖かったんだ」
栞子「怖かった?」
247: 2023/08/04(金) 23:33:15.43 ID:3WSXZuSr.net
愛「もし警察に行った事がせっつー達にバレたら。今度は自分が殺されるかもって。だから、、、りなりーを連れて同好会から離れ様と思った。けど」
けど、天王寺璃奈は捕まった。優木せつ菜の計画に手をしたから。優木せつ菜を含め7人が逮捕されている。少年法が適用されるとは言え彼女達に明るい未来はないだろう。それは本人達も自覚しているのだろう。高咲侑以外は。
けど、天王寺璃奈は捕まった。優木せつ菜の計画に手をしたから。優木せつ菜を含め7人が逮捕されている。少年法が適用されるとは言え彼女達に明るい未来はないだろう。それは本人達も自覚しているのだろう。高咲侑以外は。
249: 2023/08/04(金) 23:55:42.00 ID:3WSXZuSr.net
エマ「生徒会長はどこまで話を聞いてるの?」
それまでずっと黙っていたエマさんが口を開いた。
栞子「ごめんなさい。私も何も知りません。勾留中ではありますが、接見禁止が出されているので面会が出来ない状況なので。それが何を意味するか分かりますか?」
私が問いかけると二人は揃って首を小さく横に振った。
それまでずっと黙っていたエマさんが口を開いた。
栞子「ごめんなさい。私も何も知りません。勾留中ではありますが、接見禁止が出されているので面会が出来ない状況なので。それが何を意味するか分かりますか?」
私が問いかけると二人は揃って首を小さく横に振った。
250: 2023/08/05(土) 00:14:43.74 ID:SSdNYDSL.net
栞子「裁判所は同好会のメンバーであるお二人の事も疑っていると言う事です」
エマ「私達の事も?」
驚いているエマさんとは対照的に宮下さんは納得して様だった。
愛「そっか。私達に証拠隠滅や口裏合わせをされたら困るからって事か」
栞子「そう言う事です。ただ、なんであの7人が現行犯で捕まって、会場に居たエマさんは疑われなかったのか。警察からの情報がないのでそれも分からないのですが」
エマ「私達の事も?」
驚いているエマさんとは対照的に宮下さんは納得して様だった。
愛「そっか。私達に証拠隠滅や口裏合わせをされたら困るからって事か」
栞子「そう言う事です。ただ、なんであの7人が現行犯で捕まって、会場に居たエマさんは疑われなかったのか。警察からの情報がないのでそれも分からないのですが」
251: 2023/08/05(土) 00:40:59.74 ID:SSdNYDSL.net
エマ「私、見てたんだ。最初に連れて行かれたのはせつ菜ちゃんと侑ちゃんだけだった」
それは私も見ていた。ステージ上で高咲侑と優木せつ菜が連行されていく姿を私もハッキリと覚えている。
堂々とした態度の高咲侑と絶望を顔に浮かべた優木せつ菜。
それから暫くして他の5人も連行されたのを私は見ていた。
それは私も見ていた。ステージ上で高咲侑と優木せつ菜が連行されていく姿を私もハッキリと覚えている。
堂々とした態度の高咲侑と絶望を顔に浮かべた優木せつ菜。
それから暫くして他の5人も連行されたのを私は見ていた。
252: 2023/08/05(土) 12:57:02.49 ID:DCafvjLR.net
愛「どうやってその場で他の5人も関与してるって判断したんだろう」
そう。気になる事は沢山ある。だから、私は二人が何か知っているのではないかと思いここに呼びつけたのだ。
エマ「あの、一つ良い?」
栞子「なんでしょう?」
エマ「どうしてこの事件が気になるの?生徒会長としての責任?」
生徒会長としての責任感でなんて答えた所で二人は納得しないでしょう。生徒の代表とは言えただの女子高生が責任感で出しゃばる内容ではない。
私は正直に答える事にした。
栞子「スクールアイドルを汚された。姉との思い出を汚されたからです。どうして優木せつ菜はスクールアイドルを選んだのか、、、納得のいく答えが欲しいのです」
一瞬静まり返えってから宮下愛が口を開いた。
愛「生徒会長の納得のいく答えなんて、、、多分無いと思う」
そんなの私だって分かっていた。
そう。気になる事は沢山ある。だから、私は二人が何か知っているのではないかと思いここに呼びつけたのだ。
エマ「あの、一つ良い?」
栞子「なんでしょう?」
エマ「どうしてこの事件が気になるの?生徒会長としての責任?」
生徒会長としての責任感でなんて答えた所で二人は納得しないでしょう。生徒の代表とは言えただの女子高生が責任感で出しゃばる内容ではない。
私は正直に答える事にした。
栞子「スクールアイドルを汚された。姉との思い出を汚されたからです。どうして優木せつ菜はスクールアイドルを選んだのか、、、納得のいく答えが欲しいのです」
一瞬静まり返えってから宮下愛が口を開いた。
愛「生徒会長の納得のいく答えなんて、、、多分無いと思う」
そんなの私だって分かっていた。
254: 2023/08/05(土) 20:16:52.78 ID:SSdNYDSL.net
虹ヶ咲学園で起きた爆破事件は逮捕された女子高生達が巷で人気のスクールアイドルグループに所属している事もあり世間の関心を集めた。また、同グループに所属していた少女の失踪事件も関連している事が判明し、同学校内の地下室にて遺体が発見された。
この一連の事件における被害者は氏者3名、軽傷者6名となる。うち一人は失踪事件の被害者となる。
逮捕された5人の内、2人が一部事件の関与を否定している。
この一連の事件における被害者は氏者3名、軽傷者6名となる。うち一人は失踪事件の被害者となる。
逮捕された5人の内、2人が一部事件の関与を否定している。
256: 2023/08/05(土) 20:39:49.89 ID:SSdNYDSL.net
せつ菜「そうですか。あの爆破でそんなに被害者を出してしまったのですね」
しおらしくせつ菜は答えた。普段の気力旺盛な彼女の姿はそこには無かった。
せつ菜「今更、許され様とは思いません。罰はすべて、氏罪でも何でも受け入れます」
本人がいくらそう言おうと彼女は少年法に守られている。被害者の家族が納得出来る裁判が下される事など絶対にない。
しおらしくせつ菜は答えた。普段の気力旺盛な彼女の姿はそこには無かった。
せつ菜「今更、許され様とは思いません。罰はすべて、氏罪でも何でも受け入れます」
本人がいくらそう言おうと彼女は少年法に守られている。被害者の家族が納得出来る裁判が下される事など絶対にない。
257: 2023/08/05(土) 21:08:23.58 ID:SSdNYDSL.net
せつ菜「私は自分自身が他の人とは違う思っていました。でも、私はただの凡人、普通の人でした。伝説になんかなれなかった。それどころか私は、、、生き残った時に安堵してしまった」
自嘲気味に彼女は笑いながらそう言った。でも、それは違う。優木せつ菜は普通の人間ではない。かと言って伝説でもない。ただの殺人者。
せつ菜「一つだけお願いしても良いですか?」
媚びる様な上目遣いを見せる優木せつ菜。
せつ菜「母に、、、こんな娘でごめんなさいと伝えて下さい」
この先、優木せつ菜は二度と笑顔を見せる事はないだろうと思う。
自嘲気味に彼女は笑いながらそう言った。でも、それは違う。優木せつ菜は普通の人間ではない。かと言って伝説でもない。ただの殺人者。
せつ菜「一つだけお願いしても良いですか?」
媚びる様な上目遣いを見せる優木せつ菜。
せつ菜「母に、、、こんな娘でごめんなさいと伝えて下さい」
この先、優木せつ菜は二度と笑顔を見せる事はないだろうと思う。
258: 2023/08/05(土) 21:34:39.02 ID:SSdNYDSL.net
なんせ、彼女達に絶望を与え続ける事が私の復讐なのだから。
上原歩夢と面会した時、彼女はずっと泣いていたのか目が赤く腫れていた。
歩夢「せつ菜ちゃんは、、、侑ちゃんはどうなりました?」
優木せつ菜と高咲侑の現状を知った時、上原歩夢は再び泣きはじめた。上原歩夢よりも泣きたい人間は沢山いるのに。この人は自分の事ばかり。きっと、今までもずっとそうして生きてきたのだろう。
上原歩夢と面会した時、彼女はずっと泣いていたのか目が赤く腫れていた。
歩夢「せつ菜ちゃんは、、、侑ちゃんはどうなりました?」
優木せつ菜と高咲侑の現状を知った時、上原歩夢は再び泣きはじめた。上原歩夢よりも泣きたい人間は沢山いるのに。この人は自分の事ばかり。きっと、今までもずっとそうして生きてきたのだろう。
259: 2023/08/05(土) 22:03:32.36 ID:SSdNYDSL.net
未来永劫、優木せつ菜や高咲侑と会う事が出来ないと知った時、上原歩夢はどんな顔するのだろう。
私は彼女にそれを伝えてみようと思った。それが彼女に対して復讐になるのなら良いなと私は思った。
私は絶対に彼女達を許さない。
面会した中で一番要領を得なかったのが高咲侑だった。
私は彼女にそれを伝えてみようと思った。それが彼女に対して復讐になるのなら良いなと私は思った。
私は絶対に彼女達を許さない。
面会した中で一番要領を得なかったのが高咲侑だった。
263: 2023/08/05(土) 22:38:13.17 ID:SSdNYDSL.net
侑「他の皆んなは大丈夫?」
他の皆んなとは捕まった残りの6人の事だ。私はありのままを彼女に伝えた。すると彼女は困った顔していた。
侑「そっか。せつ菜ちゃんまでそんな状態だと復帰するのには時間が掛かりそうだなぁ」
復帰と言う誰もが知っている言葉の意味を理解するまでに少し時間が掛かってしまった。
他の皆んなとは捕まった残りの6人の事だ。私はありのままを彼女に伝えた。すると彼女は困った顔していた。
侑「そっか。せつ菜ちゃんまでそんな状態だと復帰するのには時間が掛かりそうだなぁ」
復帰と言う誰もが知っている言葉の意味を理解するまでに少し時間が掛かってしまった。
264: 2023/08/05(土) 22:54:38.07 ID:SSdNYDSL.net
高咲侑は本気でスクールアイドルに復帰出来ると思っているのだろうか。
侑「思っているよ。いや、私が絶対にさせるよ」
先程まで浮かべていた笑みはどこへ行ったのか。彼女は真っ直ぐに私を見つめてそう言った。
侑「途中でやめさせたりなんかしないよ。あの子達には氏ぬまでスクールアイドルをやって貰う。氏なせなんかしない」
「だから、、、爆弾を別の場所に移したと?」
高咲侑は小さく頷いた。でも、解せない。全てを知っていたなら警察に話すなりすれば良かったのに。そうすれば、高咲侑が捕まる事も無かったし、他のメンバーの罪も幾分か軽くなったのに。何より氏者を出す事もなかった。
侑「思っているよ。いや、私が絶対にさせるよ」
先程まで浮かべていた笑みはどこへ行ったのか。彼女は真っ直ぐに私を見つめてそう言った。
侑「途中でやめさせたりなんかしないよ。あの子達には氏ぬまでスクールアイドルをやって貰う。氏なせなんかしない」
「だから、、、爆弾を別の場所に移したと?」
高咲侑は小さく頷いた。でも、解せない。全てを知っていたなら警察に話すなりすれば良かったのに。そうすれば、高咲侑が捕まる事も無かったし、他のメンバーの罪も幾分か軽くなったのに。何より氏者を出す事もなかった。
265: 2023/08/05(土) 23:01:59.44 ID:SSdNYDSL.net
「他のメンバーが関与している事もあなたが警察に話したのですね?あなたは、、、いつから、どうやって知ったのですか?」
高咲侑は何も答えなかった。ただ、換気扇の音がカラカラと部屋の中に鳴り響くだけ。
「分かりました。質問を変えます。あなたは何がしたいのですか?」
高咲侑は私をジッと見つめる薄ら笑いを浮かべた。
侑「約束したからねぇ。一生応援するって」
「約束?誰と?」
侑「かすみちゃん」
高咲侑は何も答えなかった。ただ、換気扇の音がカラカラと部屋の中に鳴り響くだけ。
「分かりました。質問を変えます。あなたは何がしたいのですか?」
高咲侑は私をジッと見つめる薄ら笑いを浮かべた。
侑「約束したからねぇ。一生応援するって」
「約束?誰と?」
侑「かすみちゃん」
266: 2023/08/05(土) 23:04:15.84 ID:SSdNYDSL.net
16..
268: 2023/08/05(土) 23:17:32.78 ID:SSdNYDSL.net
あれから5年が経った。20歳を過ぎ保護観察が終了した私は遠くの街に逃げる様に引っ越した。当時、殺人を犯したのにもかかわらず保護観察処分だった私は世間から物凄いバッシングを受け、父は会社を辞める事になり、母は気を病んだ。
現在、両親とは同じ街には住んでいるが居住地は別で私はお世話になっているNPO法人が運営する団体の寮に住んでいる。
現在、両親とは同じ街には住んでいるが居住地は別で私はお世話になっているNPO法人が運営する団体の寮に住んでいる。
270: 2023/08/05(土) 23:32:24.74 ID:SSdNYDSL.net
この団体は私の様な訳ありの人間を集めて低賃金で重労働を強いる。そのくせ、上層部の人間の羽振りが良いのは運営するデイサービスの通所給付金を不正受給しているからだ。
こんな限りなく黒に近い団体でも私な様な行くあてのない人間にとっては無くなっては困るので誰も警察には駆け込まない。
こんな限りなく黒に近い団体でも私な様な行くあてのない人間にとっては無くなっては困るので誰も警察には駆け込まない。
271: 2023/08/05(土) 23:49:11.46 ID:SSdNYDSL.net
休日は「実質」週に一日だけ与えられる。それが私の唯一自由な時間となる。
趣味もないし、あの頃の様に一緒に過ごす相手も居ないので私は自室に引き篭もる事が多いのだけど、何を思ったのか、この日私はあてもなく外出する事にした。
お金がないので化粧品も買えず、学生の頃から使っていた鞄のみを持って寮を出た。どこに行こうかと佇んでいると「歩夢!」と声を掛けられた。
趣味もないし、あの頃の様に一緒に過ごす相手も居ないので私は自室に引き篭もる事が多いのだけど、何を思ったのか、この日私はあてもなく外出する事にした。
お金がないので化粧品も買えず、学生の頃から使っていた鞄のみを持って寮を出た。どこに行こうかと佇んでいると「歩夢!」と声を掛けられた。
272: 2023/08/05(土) 23:57:48.06 ID:SSdNYDSL.net
聞き覚えのある懐かしい声だった。
「5年振りだね。元気だった?」
もう一生会う事はないと思っていた。
歩夢「どうしてここが分かったの?」
私が問い掛けると彼女は私の手元に視線を落とした。
「まだ、使ってるんだね」
鞄の事だろうか?20歳を超えた人間がスクールバックを手にしているのはおかしいのかもしれないが、仕方ない。お金がないから。そんな事よりどうしてここが分かったのかと言う問いには答えてくれない。
歩夢「誰かに聞いたの?誰にも教えてないはずだけど」
「私があげたキーホルダー。まだ待っててくれて良かったよ」
「5年振りだね。元気だった?」
もう一生会う事はないと思っていた。
歩夢「どうしてここが分かったの?」
私が問い掛けると彼女は私の手元に視線を落とした。
「まだ、使ってるんだね」
鞄の事だろうか?20歳を超えた人間がスクールバックを手にしているのはおかしいのかもしれないが、仕方ない。お金がないから。そんな事よりどうしてここが分かったのかと言う問いには答えてくれない。
歩夢「誰かに聞いたの?誰にも教えてないはずだけど」
「私があげたキーホルダー。まだ待っててくれて良かったよ」
273: 2023/08/06(日) 00:03:33.86 ID:AF22PQj5.net
キーホルダー?あぁ、高校に入学した頃に貰った物を私は鞄に付けたまま、、、。
歩夢「待って、、、」
「さあ、続きを始めよう。歩夢」
歩夢「続きって、、、どうして?」
「約束したからね。かすみちゃんと」
歩夢「待って、、、」
「さあ、続きを始めよう。歩夢」
歩夢「続きって、、、どうして?」
「約束したからね。かすみちゃんと」
274: 2023/08/06(日) 00:05:20.16 ID:AF22PQj5.net
大好きな同好会を守るって。
276: 2023/08/06(日) 00:17:15.55 ID:AF22PQj5.net
おわりです。
278: 2023/08/06(日) 01:11:59.73 ID:hX2ltNYh.net
ビターエンドって言うのかな
良い…
良い…
引用元: 果林「鬱屈とした灰色の日々に」
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