1: 2010/10/12(火) 23:02:27.01 ID:e5Jb0u2KO

 ある日の音楽準備室

梓「いきなり何を言ってるんですか」

紬「フフ……唯ちゃんりっちゃん、梓ちゃんを捕まえて!」

梓「ムギ先輩……?」

唯「合点ですたい!」ダダッ

律「確保ぉー!!」グワッ

梓「ちょっ、待ってくださいー!」

 ドタバタ ワーワー

唯「あずにゃん、抵抗しないのっ!」

梓「ですから……ふぐっ!」ゴチン

梓「く」ガクッ

律「よっし、捕まえた!」

紬唯「イェスッ!」パシン
けいおん!!コンパクト・コレクションBlu-ray

3: 2010/10/12(火) 23:05:41.44 ID:e5Jb0u2KO

――――

梓『う……?』モー

梓(あれ……私、寝てた?)

梓(なに、この固い床に寝かされてる感じ)

梓(確か今は放課後で……ムギ先輩が変なこと言いだして)

梓(なんだか暑いし、体が重い……ここはどこ?)

梓『唯先輩? ムギ先輩?』モー モー

梓(……視界がすごく狭い! 何かに閉じ込められてる!?)

 ガバッ

梓(身動きはとれる……動きにくいけど)

梓『唯先輩! どこですかっ!?』ブモーッ

唯「おー、ムギちゃん。起きたようだよ」

梓『!?』

6: 2010/10/12(火) 23:09:25.94 ID:e5Jb0u2KO

紬「ふふ♪ 梓ちゃん、気分はどう?」

梓『ムギ先輩っ、何ですかこれは!』モーッ!

紬「……って、答えられないわよね」ニタァ

梓(……はぁ?)

紬「そうねぇ……ひとまず、梓ちゃんの置かれている状況を教えようかしら」

梓『だからそうしてくださいと言っているじゃないですか』モー

紬「梓ちゃんは今、『ファラリスの雄牛』と呼ばれる拷問具の中に閉じ込められているわ」

梓『ごっ、拷問!?』モー

紬「処刑道具と言った方が正確かもしれないけどね」

梓(……処刑道具?)

梓(これが……?)

梓『すいません、ムギ先輩……』ブモー

梓『私の見える範囲では、雄牛というかホルスタインが見えるんですけれど』モーモー

11: 2010/10/12(火) 23:13:09.25 ID:e5Jb0u2KO

梓『ムギ先輩。これ牛の着ぐるみですよね』ウモー

紬「そしてっ!」

梓(あくまで話聞きませんか)

紬「恐ろしいことに、ファラリスの雄牛に閉じ込められた人間は」

紬「着ぐるみ頭部の変声機によって、『モー』としか言葉を発せなくなるのよ!!」ズバーン!

梓『着ぐるみって言っちゃった!!』モォー!

唯「ムギちゃんすごーい!」パチパチ

律「大発明だなっ!」パチパチ

梓『そして人を差し置いて盛り上がってんじゃねーです!!』ブモォー!

梓『もう良いですか? 着ぐるみの頭とっちゃいますね』モーモー

 ガチッ

梓『えっ』モッ

紬「外そうとしても無駄よ。二つの南京錠で前後をロックしてあるの」

梓『うぜぇー!!』ガチガチガチ

16: 2010/10/12(火) 23:17:19.38 ID:e5Jb0u2KO

梓『とにかく、冗談はいいですからもう外してくださいよ』モー

梓『この中けっこう暑くて息苦しいです』ブモフ

律「さっ、ムギ。ティータイムにしよーぜ」

紬「ええ♪」

梓『ちょ、ちょっとちょっと!』モーモー!

唯「あずにゃーん♪」

梓『……なんですか』ンモ

唯「もーもー♪」ツンツン

梓『氏ね』モー

唯「もーもー言うあずにゃんもかーわいいー♪」ダキッ

梓『抱き着かないでください、マジ暑いんですから!』ブモーッ!

唯「ありゃ、怒っちゃった」

梓『当たり前です』モーモー

19: 2010/10/12(火) 23:20:43.62 ID:e5Jb0u2KO

 ガチャ

澪「ごめんな、遅れて……」

梓『澪先輩!』モー!

梓(澪先輩ならこのバカげた状況から私を救い出してくれるはず!)

澪「……」パタン

律「戻ってこい」

 ガチャ

澪「だって……それ、何?」プルプル

唯「あずにゃんだよー」

梓『……』

澪「……コホン。梓、何をやってるんだ?」

梓『私は特に何かしようと思ったつもりはないんですけれど』モーモー

梓『ムギ先輩が……』ウモ

20: 2010/10/12(火) 23:24:09.16 ID:e5Jb0u2KO

澪「何言ってるかわからん」

梓『秋山ァー!!』モォー!

紬「さぁ、澪ちゃんもお茶にしましょう?」

澪「ああ。梓も早くそれ取ったらどうだ?」

梓(取れねーんだよ! 外れないってことを見て分かれ自称秀才!)ガチガチガチ

澪「お、この香りはダージリンだな」

梓『見ろおおぉぉー!! せめて見てくださいぃーっ!!』モオオン!

唯「えへへぇ」

紬「ほら唯ちゃん、クッキーもあるのよ」

唯「わーい!」パタパタ

梓『……』ポツーン

梓『なにこの疎外感』モゥ

23: 2010/10/12(火) 23:28:05.67 ID:e5Jb0u2KO

唯「でねー」

律「ハハハッ」

紬「アリゲイターみたいね」

澪「それはないよ」

 ワイワイ ペチャクチャ

梓(もしかしてこれがムギ先輩の言ってた、私を苦しめるってこと……?)

梓(だったら……酷いよ)グスッ

梓『う、ひっ……』モゥ

梓(1年前まで……私のいないころは、こうして話してたんだろうなぁ)

梓(これがムギ先輩の夢って事は……ムギ先輩にとって、私って?)グスグス

梓『ふっ、えええぇぇ……む、ぎ、ぜんぱぁいぃ……』モオォ

紬「それからね……」ニコニコ

梓(涙が……止まんないよ)ポロポロ

25: 2010/10/12(火) 23:31:06.05 ID:e5Jb0u2KO

梓『せんぱい、せんぱいぃっ』モーモー

梓(……私、けいおん部にとって邪魔だったんだ)

梓(そりゃそうだよね……先輩達のけいおん部が、1年かけて築いてきたものを)

梓(私みたいな新参者が壊そうとしたんだもんね……)

 ゴソッ

唯「あずにゃん? ギター背負ってどうしたの?」

梓『……帰ります』モー

唯「モーじゃわかんないよ」

梓『……帰りますっ!! 軽音部もやめますっ!!』モォー!

梓『こんなの酷いですよ……邪魔だってはっきり言ってくださればいいじゃないですか!』モーモォー!

唯「あずにゃんっ」ギュウ

梓『離して下さい……』モー

 カチャリ

26: 2010/10/12(火) 23:34:56.77 ID:e5Jb0u2KO

梓『へ……』

 カチャ

梓(鍵が……外された?)

唯「……あずにゃん、ほっかほか」

 コトン

梓「ゆい、せんぱい……」

唯「こんなぼろぼろ泣いちゃって」ゴシッ

梓「先輩のせいじゃないですかっ!!」

梓「こんな、こんなぁ……」ギュウ

唯「よしよし……」

唯「……ごめんねあずにゃん。あずにゃんのこと、大好きだよ」ナデナデ

梓「当たり前です……じゃなきゃ困りますよぅ」

紬「……」

27: 2010/10/12(火) 23:38:44.25 ID:e5Jb0u2KO

梓「唯先輩……大好きです」

唯「エヘヘ。私もだよ、あずにゃん」ギュウ

――――

澪「……なんかあそこ、変な雰囲気ただよってないか?」

紬「澪ちゃん、アールグレイ淹れたわよ」

澪「あ、うん……」コポポ

律「なぁムギ。これって結局……」

紬「そうね。私と唯ちゃんで、梓ちゃんの心理を操作しただけ」

律「……うまくいくのか、あいつら?」

紬「それはあの二人次第じゃないかしら」

律「まぁな……うまくいきゃあいいけど」

紬「えぇ。夢がかなうといいわね」


 おわり

32: 2010/10/12(火) 23:48:51.78 ID:5bh0oiVf0
やっぱハッピーが一番だねっ

引用元: 紬「私、梓ちゃんを苦しめるのが夢だったの~」