1: ◆Freege5emM 2014/12/07(日) 16:34:16.80 ID:/ZizLLJko
※あらすじ
P×志希 ただし出てくるのはほぼ志希とマキノのみ 短い
志希「プロデューサーのキモチ、分からなくなっちゃった」
マキノ「……(らしくないこと、言ってるわね)」
志希「プロデューサーと、つきあうんじゃなかったかなぁ?」文香「……」
↑の続編ですが、読まなくてもぜんぜん支障なさそうです。
P×志希 ただし出てくるのはほぼ志希とマキノのみ 短い
志希「プロデューサーのキモチ、分からなくなっちゃった」
マキノ「……(らしくないこと、言ってるわね)」
志希「プロデューサーと、つきあうんじゃなかったかなぁ?」文香「……」
↑の続編ですが、読まなくてもぜんぜん支障なさそうです。
2: 2014/12/07(日) 16:35:27.30 ID:/ZizLLJko
「ねーねーマキノちゃーん。この香水、どうかな?
プロデューサーにプレゼントしようと思ってたんだけど」
「香水には詳しくないけど……これは、女性向けのように思えるわ。
男性に贈るのであれば、これより甘さを抑えて、爽やかさを増やしたら――」
「――それじゃあ、ダメなんだよ、マキノちゃん」
「それはまた、どうしてかしら?」
「この香水のニオイ、実は……」
3: 2014/12/07(日) 16:36:03.94 ID:/ZizLLJko
この間、あたしのプロデューサーは、
あたしに某香水ブランドに絡むおシゴトを取ってきてくれた。
あたしが香水を自作しているのを見て以来、
いつかは……と思って、粘ってくれてたらしい。
『……最近ミョーなニオイさせてると思ったら、プロデューサーって香水を覚えたてなの?
言ってくれれば、男のヒトにも合いそうな匂い、あたしが選んであげたのに♪』
ニオイ、というモノは、芸能界では軽視されがちらしい。
外見や音声と違って、メディアで拡散することが難しいのと、
そもそも嗅覚がダメになってる人が世の中に多い――鼻はデリケートで、すぐ鈍る器官だしね――ので、
大勢の人に効果的に訴求するモノを作りにくいんだそうな。
あたしのプロデューサーも例外じゃない。
ニオイについてプロデューサーが気にしてることと言えば、体臭予防ぐらい。
『それに、せっかく香水の勉強してくれてるトコ悪いけど……
キミのニオイは、素が一番あたしの好みだよ♪』
そんなプロデューサーが、いきなり香水をつけるようになったから、
何事かと思ってたんだけど、あたしの仕事を取るために勉強してくれてたんだね。
あー、そーゆーことなら嬉しいなぁ、もー!
『でもー、今キミがつけてる香水はちょっとヘンかなぁ。女のヒトみたいだよ……そうだ!
キミがサンプルになってくれるなら、あたし、男のヒト向けの香水も考えてみよーかな?』
プロデューサーが最近つけてる香水は、日によって種類がマチマチだけど、
全体的にフェミニンで甘ったるい。これ、汗とか疲労臭と混じると阿鼻叫喚になるよ。
それはいけない!
このあたしがついていながら、プロデューサーにそんな惨状を晒させるワケには……
『え? “何の話だ”って――ソレ、自分で着けてるわけじゃないの?』
プロデューサーは、不思議そうな顔であたしを見ていた。
が、それも一瞬。すぐに手をポンと叩いて、“ああ、匂い移りしたのか”とか言い出した。
『ちょっと待てキミぃ……その“匂い移り”してるの……明らかに女モノ、だよね』
ふーん、そーかー。
プロデューサーは、あたしほど鼻が利かないから、“匂い移り”には気づかなかったけど
“匂い移り”するようなコトされた覚えは、あるんだね……。
『ねー、プロデューサー』
穏やかじゃないねー。
あたしの知らないニオイを、プロデューサーがプンプンさせるなんて。
『近いうちに、あたし、プロデューサーのための香水を作ったげるよ。
だから、絶対つけてね。絶対だよ?』
4: 2014/12/07(日) 16:36:45.64 ID:/ZizLLJko
「……って言ったのに、プロデューサー、あたしのお手製、着けてくれなかったんだよー!」
「志希。あなた、プロデューサーが女モノの香水つけてるのはおかしい、って自分で言ったわよね」
「うん。で、マキノちゃんに渡したコレ、作ってあげたの」
「あなたの香水も、どちらかと言えば女モノよね。おかしくないかしら?
自作の香水を着けて欲しいなら、もっと男性に合う匂いを……」
「……だってぇー、あたしのニオイって、こんな感じなんだもーん♪
コレ着けてもらえば、あたしが近くにいない時でも、
プロデューサーにマーキングできると思ってさー」
「志希。ちょっと失礼」
「ひゃっ……まっマキノちゃんっ!? あっ――」
「――ふむ。単体で嗅げば、確かに近い気はするけど。
プロデューサーの体臭と混ざったら、匂いが変わってしまうのでは?」
「ううっ……あんなトコやこんなトコまでマキノちゃんに……
なんだよー! ちょっとドキッとしちゃったじゃないかー!」」
「双方の認識に、埋め難い齟齬があるようね。帰っていいかしら」
「い、いや。何でもないですマキノさん、ハイ」
「だいたい、いい大人のプロデューサーが、
18だかそこらの女の子の匂いさせてたら、それこそアブナイでしょう」
「……でもー、だからって、あたしのプロデューサーにニオイつけるなんてー」
「あなたって、私が思ってたより独占欲強いのね」
5: 2014/12/07(日) 16:37:45.65 ID:/ZizLLJko
「んー……例えば、ね。マキノちゃん。キミの付き合ってるヒトが、
ある日、見慣れない小物を持ってたとするじゃない?
それで、話を聞いてみたら、知らない女の人からもらったモノだってさ……」
「…………」
「ねー! 気になるでしょう?」
「気になるのは理解できるけれど、マーキングは明らかに論理が飛躍していると思うわ」
「くっ、さすが理論派……」
「あなたの志向が理論を逸脱しているだけよ。度し難いわ」
「あたしは……今でこそ、割と頑張ってアイドルやってるんだけどさ。
元々アイドルにキョーミあったわけじゃなくて、プロデューサーに一本釣りされたから、
このプロダクションでアイドル始めたんだよね」
「聞いた話によると、一本釣りというか、プロデューサーに釣られに行ってたらしいわね」
「まぁね」
「で……プロデューサーは、あたしに色々アイドルのコト教えてくれて、
あたしは今までになかった自分の魅力を、プロデューサーにいっぱいもらった。
マキノちゃんトコも、そんな覚え、あるでしょう?」
「そうね。元々アイドルに深い関心はなかったという点で、私もあなたと同じだった」
「それから、あたしはプロデューサーに変えられちゃった。
前は、容姿を云々されることがあったって、気にも留めなかったのに、
今じゃ、数えきれないファンに向けて、ステージの上から目一杯愛想振りまいてる」
「志希は、すっかりアイドルらしくされちゃったのね」
「そーそー。しかも、そうやってアイドルらしくしてるのが、何だかんだ言って楽しいんだよ」
「それはいいこと、ね」
「でも、楽しい理由は……
あたしをアイドルとして面倒見てくれてるのがプロデューサーだから、って思うんだ」
「アイドルは、結局ファンの大部分を、顔も名前も知らないママ終わっちゃう。そんなヒトたちだよ。
それでも、アイドルやってファンの歓声浴びて嬉しい! ってあたしが思えるのは……」
「……志希のアイドルとして見せる姿が、好きな人と作り上げたモノだから、ってことかしら」
「マキノちゃんも、自分のプロデューサーのコト考えると、そーゆーフシ、無い?」
「それは……」
「……どうかしら、ね。あの人と、私」
「まぁ、マキノちゃんについては、もし話したくなったら言ってよ♪
今日のおかえしだと思って、あたしが聞いたげる。ヒトに聞いてもらうのは、いいコトだよ」
「プロデューサーは、さ。あたしに“アイドルとしての姿”をくれた。
だから、あたしも何かプロデューサーにあげたい。これぞあたし、というモノを。
より贅沢を言うなら、そのモノがプロデューサーをさらにステキにしちゃう、なんてモノだとスゴくいい!」
「……志希。目的は理解できたけど、あの香水という手段はムリがあると思うわ」
「うぅ、ダメかぁ」
6: 2014/12/07(日) 16:38:47.72 ID:/ZizLLJko
「……マキノちゃん。自分で言ってて思ったんだけどさ」
「何かしら?」
「あたしは“プロデューサーに、色々アイドルのコト教えてくれて、
今までになかった自分の魅力を、プロデューサーにいっぱいもらった”って言ったよね」
「ついさっき、言ってたわね」
「……それって、プロデューサーのおシゴトとして、当たり前のことだよね」
「えっ」
「……当たり前とは、いくらなんでも過小評価ではないかしら」
「マキノちゃん。あたしのプロデューサーは只者じゃないんだよ。
他の担当の子とか見てても、そーゆーコト、サラッとこなしちゃうんだ。とんでもないよね」
「……まぁ、あなたがそう言うのなら」
「だから、プロデューサーがおシゴトの一環としてあたしに触れてるのを、
あたしが勝手に惚れた腫れたって、はしゃいでんのかなー……なんて思っちゃう時、あるんだ」
「…………はぁ」
「志希。確かに、感情はギブ・アンド・テイクといかないものよ。
私はこんなにあなたのことを思っているのだから、
あなたも私のことを思って……とか、当人だけの論理ね」
「マキノちゃんの視点から、そう冷静に言われると、
自分がひどく身勝手な人間に思えてきちゃうね……」
「…………」
「けど、身勝手でも、あたしは……」
「尻込みもいい加減にしなさいよ、志希」
7: 2014/12/07(日) 16:39:33.20 ID:/ZizLLJko
「し、尻込みって、マキノちゃん……?」
「ごめんなさいね。志希がさっきからウジウジと、らしくないものだから、つい……」
「私は口下手だから、キツイ言い方になってしまうかも知れないけど、よければ聞いて……。
“自分がプロデューサーを好くのと同じぐらい、プロデューサーにも自分を好いてもらいたい”
……と、あなたは思ってるんでしょう? でも、プロデューサーの気持ちが読めない」
「……うん……」
「だから、香水を持ちだしてプロデューサーにマーキングして、
鼻で気持ちを分かるようにしたかった……いや、分かったような気分になりたかった」
「そう……かも、ね」
「ダメよ、それじゃ」
「うっ……」
「たとえ知るのが怖くても、好きな人のことなら、知らずにはいられないわ。
それが、その人の気持ちなら尚更。しかも志希、あなたは頭が良くて堪え性が無い。
いつまでもひとりでウジウジしてられる性格じゃないでしょう」
「……マキノちゃんの言うとおり、だね……。あたし、らしくなかったよ!
知りたいのに、分からないコトなら、確かめないと!」
8: 2014/12/07(日) 16:41:11.04 ID:/ZizLLJko
「志希……もし、知りたくないことを知ってしまったら、私が慰めてあげるわ。
一応、私にもあなたの背中を押した責任はあるし」
「なんか立ち直りそうになったら、出鼻くじいてきたー!?」
「だって、あなたのプロデューサーについては……私、よく知らないから」
「ところで、マキノちゃん」
「……まだ何かあるの?」
「さっきの“好きな人のことなら、知らずにはいられないわ”ってセリフ……
すっごくキモチ篭ってたけど、もしかして、マキノちゃんの実体験?」
「……志希」
「……なぁに?」
「私の言ったこと、忘れなさい」
「とんでもない、こんなありがたーいお言葉を! あたし、覚えたら氏んでも忘れなーい!
むしろマキノちゃんの受け売りとして、みんなに広めちゃおうかな♪」
(おわり)
読んでくれた人どうも。
11: 2014/12/08(月) 01:54:13.10 ID:lg66cnULo
乙です
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