1: 2015/09/26(土) 19:47:50.536 ID:1iRDQv650.net
カズ「諜報班からの情報だ。日本語株の声帯虫が存在したらしい」

カズ「ある一人の日本人が、声帯虫を宿らせた状態で列島のどこかを歩き回っている」

カズ「エピデミックを引き起こすのも時間の問題だろう。もしかしたら、既に……」

オセロット「待て、噛み合わないな。サイファーの実験は中部アフリカで行われていた」

オセロット「それがわざわざ日本だと? 太平洋へ場所を移す理由は何だ?」

オセロット「そもそも、スカルフェイス……やつの目的と、日本語の氏滅に接点は見当たらない」

オセロット「ミラー。その情報は確かなものなんだろうな」

カズ「間違いない。XOFの隊員が数人、日本へ入ったらしい」

カズ「ボス。日本へ行き、声帯虫に感染したと思われる人物を回収してきてくれ」

カズ「もう手遅れかもしれない……良い思い出はないが、日本を故郷とする一人の人間として、頼む。ボス」

スネーク「ああ……」

8: 2015/09/26(土) 19:53:29.183 ID:1iRDQv650.net
~日本~

カズ『ボス。日本についたな』

スネーク「ああ。平和なもんだ。この様子じゃ、感染は広がっていないな」

カズ『そうか……妙だな……いや、朗報ではあるが。対象は無口なのかもしれないな』

スネーク「で、そいつはどこにいる?」

カズ『日本語株の声帯虫を宿していると思われる人物は、その付近に暮らしているらしい』

カズ『写真も入手した。端末へ送る、確認してくれ』

スネーク「……独特な顔だな」

カズ『特徴的だろう。見つけやすいんじゃないか?』

スネーク「ああ。そこらのポール(電柱)にでもしがみついて、辺りを見回してみる」

カズ『くれぐれも目立たないでくれよ』

スネーク「わかってる」

10: 2015/09/26(土) 20:00:49.057 ID:1iRDQv650.net
スネーク「……む?」

カズ『おお、見つけたか。そいつがターゲットだ』

カズ『名前は……諸見里大介。ボス、さっそく回収してくれ』


諸見里「……」

スネーク「ふんっ」

ガシッ

諸見里「わっ、だ、だれでしゅか? やめてくだしゃい」

カズ『念のためだ。XOFと接触した覚えはあるか、聞いてみてくれ』

スネーク「日本語はわからないぞ」

カズ『俺が翻訳しよう。イヤホンをそいつの耳に当ててくれ』

カズ『聞こえるか? 諸見里大介。危害を加えるつもりはない。こちらの質問に答えてくれればいい』

諸見里「だれでしゅか? なんでしゅか? みみにへんなのいれないてくだしゃい」

カズ『スカルフェイス、XOF、サイファー、この単語に覚えはあるか?』

諸見里「しゅかるふぇいしゅ? しゃいふぁー? しりましぇんはなしてくだしゃいおねがいでしゅ」

カズ『……』

12: 2015/09/26(土) 20:07:01.494 ID:1iRDQv650.net
スネーク「どうしたカズ。はやく翻訳してくれ」

カズ『ああ……だが、その。よく聞き取れないんだ』

スネーク「聞き取れないだと? こいつは日本語を話しているんだろう?」

カズ『そのはずだ。そのはずなんだが……』

諸見里「だれか!」

スネーク「これ以上騒がれると面倒だ。絞めるぞ」

カズ『あ、ああ』

諸見里「うう……」ガクッ

スネーク「回収する」

カズ『了解だ』

15: 2015/09/26(土) 20:13:38.410 ID:1iRDQv650.net
~マザーベース~

カズ「つまり、XOFと思われる人物と接触した覚えはないわけだな?」

諸見里「しょういってるじゃないでしゅか。かいほうしてくだしゃい」

カズ「なに?」

諸見里「かいほうしてくだしゃい!」

スネーク「なんて言ってる?」

カズ「『XOFのことは知らない。解放しろ』だそうだ」

オセロット「自白剤に耐性があるとは思えない。おそらく、本当のことだろう」

スネーク「こいつの中に声帯虫がいるのは間違いないのか?」

オセロット「ああ間違いない。医療班の話では、首元に僅かな傷跡があったらしい」

オセロット「眠らされ、処置を施された……そんなところか」

スネーク「ならどうして周囲の人間は発症しなかったんだ? そいつの肺にも異常はないんだろう?」

オセロット「専門家の意見を聞いてみる他ない。どうだ?」

コードトーカー「声帯虫による感染が広がらないのだとしたら、やはり考えられるのは媒介となる声の問題だろう」

16: 2015/09/26(土) 20:19:34.220 ID:1iRDQv650.net
コードトーカー「さきほどから、その男との会話が滞っているように見えたが……」

カズ「ああ。こいつの滑舌が妙に悪くてな。何度か聞き返さないと、はっきりしないんだ」

コードトーカー「なるほど……そうか、そうか。いや、その可能性があるとは思わなんだ」

コードトーカー「声帯虫は特定の言語に反応する。その男の滑舌の悪さは、特定の言語の許容範囲を越えているということだろう」

オセロット「許容範囲を超える?」

コードトーカー「つまり、その男は日本語を喋っていないと判断されたのだ。声帯虫にな」

スネーク「そんなにひどいのか? そいつの滑舌は」

カズ「ひどいな。今はなんとか聞き取れているが、通信機越しだと何を言っているのかサッパリだ」

オセロット「こいつは使えるな……」

スネーク「なに?」

オセロット「声帯虫対策だ。コードトーカーの用意したボルバキアの効果を疑っているわけではないが……」

オセロット「今現在もスタッフの中にキコンゴ株の声帯虫が潜んでいるのは事実。なら、不安要素を削るに越したことはない」

20: 2015/09/26(土) 20:24:52.770 ID:1iRDQv650.net
カズ「つまり、スタッフの滑舌を悪くさせるのか?」

オセロット「ありていに言ってしまえばそうだ。発音を限界まで変え、声帯虫に誤認させる」

カズ「試してみる価値はあるな……かなりの訓練が必要となるだろうが」

スネーク「やってみよう」


~数日後~

カズ「ぼしゅ。ちゅぎのみっちょんだ」

スネーク「しょうほうひんのかいしゅう、りょうかいしたしゅちゅげきしゅゆ」

オセロット「ぼしゅ。ぢぃーぢぃーをちゅれていってくれ」

スネーク「しょうしよう。こい、ぢぃーぢぃー」

DD「……」

スネーク「……ぢぃーぢぃー!」

DD「……? わん?」

スネーク「しょうだ。おまえだ」

―――その後、マザーベースで二次感染が起きることは無かった

21: 2015/09/26(土) 20:31:20.341 ID:1iRDQv650.net
諸見里「ってことがあったんでしゅ。かちゅぜちゅがわるくてもいいことはあるんでしゅよ」

蛍原「え、なに? しゅねーく?」

宮迫「何言ってるか全然わからへん。しゅねーくってなに?」

諸見里「めたるぎあしょりっどでしゅ。しゅねーくとかじゅがしゃいふぁーとしゅかるふぇいしゅのいんぼうにたちむかうげーむでしゅ」

宮迫「ゲーム?」

諸見里「はい。しゃぎょう(サ行)がおおいからしぇちゅめいがむじゅかしいんでしゅけど」

蛍原「え、なに。そのゲームは作業が多いの?」

諸見里「いや、しゃぎょうじゃなくてしゃぎょうなんでしゅけど……しゃぎょうがおおいのはしょうでしゅね」

宮迫「『しゃぎょう』ばっかで意味わからへんことになっとるやん」

諸見里「よくわからないげーむなのはたしかでしゅ」

蛍原「はぁ……とりあえず、メタルギアショリッドってゲームは作業が多くてよくわからんゲームってことやな」

諸見里「いや、まあ……はい、しょうでしゅね」

宮迫「長々と話してそれが結論でええの!?」

END

引用元: スネーク「日本に声帯虫が!?」カズ「ああ……」