71: 2011/10/25(火) 22:07:18.13 ID:1H4gxtqL0

貴音「だいしゅきホールド・・・」

貴音「なんとも面妖な響き・・・」

貴音「きっとなにか特別な意味を持つものなのでしょう」

貴音「はあ・・・」

P「どうした?貴音。考え事か?」

貴音「あなた様・・・。ええ、わたくしは今ある言葉に思いを馳せているのです」

P「ふぅん。いったいなんて言葉だ?」

貴音「だいしゅきホールド・・・」

P「ぶはっ!?」

73: 2011/10/25(火) 22:12:17.70 ID:1H4gxtqL0

貴音「どういたしました?」

P「た、貴音・・・おまえそんな言葉どこで・・・」

貴音「夜に月を眺めていたら風がわたくしに囁いてくるのです」

P「最悪な風だな」

貴音「この言葉が気になりわたくしは夜もよく眠れない日々が続いております」

P「意外に重症だな・・・」

貴音「あなた様!教えてください!だいしゅきホールドとはいったいなんなのですか!?」

P「いや・・・説明しろと言われても・・・」

75: 2011/10/25(火) 22:16:06.90 ID:1H4gxtqL0

P「いいか、貴音。世の中には知らなくていいものもあるんだ」

P「もしかしたらそのうちおまえはだいしゅきホールドに遭遇するかもしれない」

P「しかし、今はまだ知る必要はないんだ」

貴音「あなた様・・・」

P「忘れるんだ・・・だいしゅきホールドのことは」

貴音「ですが・・・」

P「わかってくれ・・・貴音・・・俺にはこう言うしかできないんだ」

貴音「・・・はい」


76: 2011/10/25(火) 22:18:49.73 ID:1H4gxtqL0

P「わかってくれたか。それじゃあ貴音はこれからレッスンだったな。気を付けて行ってこいよ」

貴音「はい。承知しました・・・」

貴音「・・・・・・・・」

貴音「だいしゅき・・・ホールド・・・」

貴音「忘れろなどとひどいことを申されますね・・・」


77: 2011/10/25(火) 22:24:28.91 ID:1H4gxtqL0

―――レッスン場

講師「1!2!3!4!5!6!7!8!」

貴音「・・・・・・・・」

講師「1!2!3!4!5!・・・四条さん、遅れていますよ」

貴音「申し訳ございません」

講師「それでは少し休憩にしましょう」

やよい「貴音さんどうしたんですか?」

貴音「やよい・・・。いえ、少し気になることがありまして」

やよい「うっうー!調べものなら私やりますよ!なんでも言ってください!」

貴音「ありがとうございます、やよい。ですが・・・」

やよい「何が知りたいんですか?」

貴音「そうですね・・・では・・・」


79: 2011/10/25(火) 22:28:57.96 ID:1H4gxtqL0

―――事務所

やよい「うっうー!ただいまです!」

貴音「ただ今戻りました」

小鳥「あら、やよいちゃん、貴音ちゃんお帰りなさい」

やよい「小鳥さん、プロデューサーいますか?」

小鳥「ええ、今は給湯室にいるはずよ」

やよい「ありがとうございます!」

小鳥「どうしたのかしら、あんなに急いで」


81: 2011/10/25(火) 22:33:49.00 ID:1H4gxtqL0

P「午後の紅茶を午前に飲む・・・それはアマちゃんのすることだ・・・」

P「真のワルってのは午後の紅茶は午後に飲み、夕方にゆうげを啜るのさ・・・」

やよい「プロデューサー!」

P「ぶはっ!いつのまに!いつからいた!?どこから聞いてた!?」

やよい「?」

P「ふぅ・・・聞かれては無いようだ」

やよい「午後の紅茶は午後に飲むものじゃないんですか?」

P「恥ずかしい!口から火が出る!」


84: 2011/10/25(火) 22:37:45.84 ID:1H4gxtqL0

やよい「プロデューサー!パソコンを貸してほしいんです!」

P「どうした?さっそく調べものか?」

やよい「はい!貴音さんが気になってることがあるみたいで調べてあげたくて」

P「そうかそうか、貴音のためにか・・・っ!?」

やよい「?」

P「な、なあ・・・やよい・・・貴音が知りたいものってラーメン屋か?それとも別の食べ物か?」

やよい「え~と・・・だいしゅき・・・ほーるど?」

P「貴音ええええぇぇぇぇ!!」


88: 2011/10/25(火) 22:42:52.66 ID:1H4gxtqL0

貴音「あなた様、どうかなされましたか?」

P「どうかなされましたか?じゃないです!やよいに!純粋な子にあんな言葉教えないでください!」

貴音「だいしゅきホールド・・・のことですか?」

P「そうです!そのことです!」

貴音「この言葉は・・・そこまで狂気な言葉なのですね」

貴音「すみません、やよい」

やよい「?」

貴音「あなたにはまだこの言葉は早かったようです。忘れてください」

やよい「うっうー・・・お役に立てなくてすみません」

貴音「いえ、よいのですよ。やよい」


90: 2011/10/25(火) 22:48:37.41 ID:1H4gxtqL0

P「貴音。確かに気になったまま行かせてしまった俺も悪かった。でもな・・・」

貴音「やよいのような無垢な者に教えてしまったわたくしが悪いのですね」

P「あ、ああ・・・わかってればいいんだが」

貴音「ご迷惑をおかけしました。わたくしはこれからこの言葉を胸にしまい生きていきます」

P「いや、べつにそこまでは・・・」

貴音「では、わたくしはここで・・・」

P「ああ、お疲れさま」


P「なんだろう・・・いやな予感がする」


91: 2011/10/25(火) 22:54:04.84 ID:1H4gxtqL0

やよい「うっうー・・・なんか気になります」

やよい「だいしゅきほーるどってなんなんでしょー」

伊織「あら、どうしたの?やよい」

やよい「伊織ちゃん。え~とね、ちょっと気になることがあるの」

伊織「なぁに?なんでもこの私が教えてあげるわ!」

やよい「本当ですか!?うっうー!さすが伊織ちゃんです!」

伊織「で、何が知りたいの?」

やよい「え~と、だいしゅきほーるど?」

伊織「え?」


92: 2011/10/25(火) 22:57:43.87 ID:1H4gxtqL0

やよい「だいしゅきホールドです!」

伊織「・・・・・・・・」

伊織(え、なに?なになに?だいしゅきホールド?なによそれ)

伊織(でもあれだけ自信満々に言っちゃったからもう後戻りなんかできないわよ!)

伊織(だいしゅきホールドでしょ?ああもう!だいしゅきってなによ!)

伊織(ホールドはなんか挟むとかそんな感じよね・・・。だいしゅきさえわかればいいのよ・・・)

やよい「伊織ちゃん?」

伊織「どどど、どうしたの?」


95: 2011/10/25(火) 23:03:17.03 ID:1H4gxtqL0

やよい「もしかして伊織ちゃんもわからないの?」

伊織「ば、バカ言わないでよ!知ってるわよ!だいしゅきホールドでしょ。うん、私もよくするわ」

やよい「え!?伊織ちゃんよくするんですか?」

伊織「え・・・ええ。暇があればするわね」

やよい「すごいです!私にも教えてください!」

伊織「い・・・いや、やよいにはまだ早すぎるわ。もう少し大人になってからね」

やよい「そうなんですか、残念です・・・。じゃあどんなものか・・・」

伊織「あ~!やよい!もうすぐタイムセールってやつ始まっちゃうわよ!」

やよい「うわわっ!本当です!ありがとう伊織ちゃん!じゃあお疲れさまです!」

伊織「・・・・・・・・どうしよ」

100: 2011/10/25(火) 23:08:37.63 ID:1H4gxtqL0

P「ふぅ・・・一時はどうなるかと思った」

伊織「・・・・・・どうしよ」

P「どうした?伊織。考え事か?」

伊織「あ!ちょうどいいところにちょっとアンタ教えてほしいんだけど」

P「なんだ?給与明細は教えないぞ」

伊織「そんなの興味無いわよ。その・・・あの・・・」

P「どうした?わかることなら教えてやるぞ」

伊織「・・・だいしゅきホールドって・・・なに?」

P「・・・・・・・・・・は?」


102: 2011/10/25(火) 23:15:04.82 ID:1H4gxtqL0

伊織「だからだいしゅきホールドよ!だいしゅきホールド!」

P「バ、バカ!大きな声で言うな!」

伊織「なによ!早く教えてよ!」

P「教えろったって・・・これに関しては・・・」

伊織「・・・な、なに?そんなに教えられないものなの?」

P「まあ、おいそれと教えられるものではないっちゃないな」

伊織「どうしてよ!」

P「いや・・・それは・・・」

伊織「・・・・・・もういいわよ!帰るわ!」

P「お、おい!」


P「雲行きが怪しくなってきた・・・」

104: 2011/10/25(火) 23:20:11.70 ID:1H4gxtqL0

伊織(どうしようどうしよう。やよいにはあんな知ったかぶりしちゃったし)

伊織(今から本当はわからないなんて恥ずかしすぎるわ・・・誰か教えてくれないかしら)

伊織「そうだわ!携帯で調べればいいのよ!」

伊織「こんな簡単なことも思いつかないなんて・・・」

伊織「だいしゅきホールド・・・っと・・・」

伊織「あれ?ブロックされてる・・・どうして?」

P『おいそれと教えられるものではない』

伊織「まさか・・・本当に・・・国家ぐるみで・・・」


109: 2011/10/25(火) 23:26:20.13 ID:1H4gxtqL0

春香「どうしたの?伊織」

伊織「あ・・・春香・・・雪歩・・・私・・・私・・・」

雪歩「伊織ちゃん?」

伊織「どうしよう・・・私・・・国が隠すほどのことを知っちゃったかも・・・」

春香「えぇ!?」

雪歩「どういうことですか!?」

伊織「このままじゃ・・・やよいも危ないわ!」

春香「え?え?伊織!?」

雪歩「は、春香ちゃんは伊織ちゃんを追って!私は誰か呼んできます!」

春香「う、うん!」


112: 2011/10/25(火) 23:30:31.84 ID:1H4gxtqL0

伊織(やよい・・・無事でいて・・・やよい・・・)ドンッ

響「イタタッ・・・どうしたさ?伊織、そんなに急いで?」

伊織「ごめん!今急いでるの!やよいが!だいしゅきホールドが・・・あ・・・!」

響「だいしゅきホールド?」

伊織「今すぐその言葉忘れなさい!」

響「へ?」

伊織「いいわね!忘れるのよ!」

響「お、おい!伊織!」

響「行っちゃったぞ・・・」

春香「あ、響・・・はぁはぁ・・・」


114: 2011/10/25(火) 23:35:16.27 ID:1H4gxtqL0

響「春香。伊織のやつどうしたんだ?」

春香「それが・・・わからないの。急に走りだして・・・」

響「そうなのか・・・。なぁ、春香はだいしゅきホールドって知ってるか?」

春香「え?だいしゅきホールド?」

響「うん、伊織がそんなこと言ってたさ」

春香「だいしゅきホールド・・・それが手がかりなんだね」

雪歩「春香ちゃん!」

真「春香!」

春香「雪歩!それに真も」

115: 2011/10/25(火) 23:38:50.69 ID:1H4gxtqL0

真「伊織が大変なんだって?」

春香「そうなんだ・・・あっ、二人に聞きたいんだけど」

雪歩「なに?」

春香「だいしゅきホールドって知ってる?」

雪歩「だいしゅき・・・」

真「ホールド・・・?」

雪歩「ごめんなさい。ちょっとわからないかな」

真「ボクも・・・」

春香「そっか・・・」

真「そのだいしゅきホールドって言うのがなにか関係あるの?」

響「伊織その言葉を言いながら走っていったのさ」

春香「だからそれさえわかれば・・・」


123: 2011/10/25(火) 23:44:36.86 ID:1H4gxtqL0

春香「そうだ!」

響「どうした?春香」

春香「伊織は走りだす前にやよいがって言ってたよね?雪歩」

雪歩「あ、うん。確かに言ってた」

春香「ということは伊織は今やよいのところに向かってるはず・・・」

真「今の時間はやよいがいつも行くスーパーのタイムセールだ!」

響「だったらそのスーパーに行けばいいんだな!自分一度行ったことあるから場所なら任せとけ!」

春香「ありがとう響!じゃあ行こう!」


127: 2011/10/25(火) 23:54:24.54 ID:1H4gxtqL0

伊織(やよい・・・やよい・・・無事でいて・・・)

伊織(・・・待って。なんでやよいはそんな国家機密を知っていたの・・・)

伊織(誰かが教えた・・・でもいったい誰が・・・。今日やよいはたしか貴音とダンスレッスン・・・)

伊織(となると貴音が怪しいわね・・・。でもまずはやよいの身の安全が・・・)

伊織「やっぱりまずはやよいの確保ね・・・」

プルルルプルルルガチャ

伊織「新堂!」


129: 2011/10/26(水) 00:00:41.93 ID:IfUO9P1g0

―――スーパー

やよい「今日は週に一度のもやし祭りです~」

やよい「もやしを買って・・・あ!じゃが芋も安いです!うっうー!嬉しいです!」

伊織「やよいー!」

やよい「あれ?伊織ちゃん。どうしたの?伊織ちゃんもお買物?」

伊織「やよい!大丈夫!?怪我はない!?」

やよい「は、はい・・・大丈夫です。伊織ちゃん、どうしたの?」

伊織「あなたは水瀬グループが全力で守るわ!」

伊織「だいしゅきホールドがどんな機密でも私があなたを絶対に守る!!」

やよい「え?え?」


131: 2011/10/26(水) 00:07:11.03 ID:IfUO9P1g0

伊織「大丈夫。もう気にしなくていいのよ」

伊織「あなたは何も心配しなくていいの」

やよい「え?うん・・・」


春香「はぁはぁ・・・い、伊織・・・やっと見つけた・・・」

伊織「アンタたち・・・どうして・・・」

真「どうしてって・・・伊織が大変って聞いたから・・・」

雪歩「だって血相変えて走っていったから」

伊織「心配してくれたのね・・・ありがとう」


132: 2011/10/26(水) 00:11:08.44 ID:IfUO9P1g0

伊織「あとは貴音を・・・」

伊織(待って・・・私たちはまだだいしゅきホールドという言葉しか知らない)

伊織(どんな内容かわからずにいるのもなんかイヤだわ・・・)

伊織(そういえばプロデューサーのあの態度・・・あれは知ってる態度!)

伊織「新堂!車を回して!すぐに事務所に行くわ!」

春香「えぇ!せっかく来たのに」

響「また戻るのか!?」

伊織「いいから付いてきなさい」


133: 2011/10/26(水) 00:14:54.14 ID:IfUO9P1g0

―――事務所

P「今日はいろいろとハラハラした一日だったな」

P「明日にはみんな忘れてくれてればいいけど」

ガチャ

P「ん?」

伊織「ちょっとアンタ!」

P「い、伊織!?それにみんなもどうしたんだ?」

伊織「教えなさい!だいしゅきホールドってなに!」

P「ま、まだそんなこと言ってんのか?だからそれは・・・」

伊織「いいから教えなさいよ!」

P「っ!?」


134: 2011/10/26(水) 00:18:58.74 ID:IfUO9P1g0

P(なんだなんだ?この空気・・・なんか尋常じゃないぞ)

P(こうなったらもう説明するしかないのか・・・)

P「わ、わかったよ・・・説明する・・・いいか・・・だいしゅきホールドってのはな・・・」


――――――――

春香「・・・・・・」カァァァァ

雪歩「・・・・はぅ」

真「・・・・・・」カァァァァ

響「・・・・・・ん」

やよい「・・・・・・?」

伊織「・・・・・な、な」

P「ということだ」


138: 2011/10/26(水) 00:24:31.99 ID:IfUO9P1g0

伊織「バカバカバカバカ!変態!変態!」

P「ちょっ・・・なんだっ!いて!痛いって!伊織!」

伊織「さっさと教えなさいよ!そのせいでとんだ大恥よ!」

P「いてて・・・いったいどんな恥をかいたんだ?」

伊織「え・・・?」


======

伊織『だいしゅきホールドがどんな機密でも私があなたを絶対に守るわ!!』

======

伊織「あ、あわわわわわ」

P「・・・伊織?」

伊織「いやああぁぁぁぁ!!」ダダッ


141: 2011/10/26(水) 00:29:25.50 ID:IfUO9P1g0

P「なんなんだ・・・いったい」

春香「じゃ、じゃあ私たちも帰りますね」

真「お、お疲れさまですプロデューサー。ほら雪歩」

雪歩「はぅぅ・・・お疲れさまです」

響「プロデューサー、お疲れさ~」

やよい「私も帰ってもやし祭りです!」

P「ああ、気を付けて帰れよ」



P「本当に疲れる一日だった・・・」


145: 2011/10/26(水) 00:34:24.00 ID:IfUO9P1g0

―――翌日

小鳥「おはようございます、プロデューサー。昨日は大変だったみたいですね」

P「は、はぁ・・・あいつらには困ったものですよ」

小鳥「詳しいこと聞いてないんですけどなにがあったんです?」

P「いえ・・・それはちょっと」

小鳥「え~なんでですか~。今度飲みながらでも教えてくださいよ」

P「話せるようになったら話しますよ」

美希「おはようございますなのー」

小鳥「おはよう美希ちゃん」

P「おはよう美希」

146: 2011/10/26(水) 00:38:24.61 ID:IfUO9P1g0

美希「あ、ハニーに聞きたいことがあるの」

P「なんだ?」

P(俺はこの時すっかり忘れていた)

美希「貴音から聞いたんだけど・・・」

P(ことの発端が誰だったのか)



美希「だいしゅきホールドってなに?」


おしまい


148: 2011/10/26(水) 00:40:29.39 ID:q33ZD+DW0

これで心置きなく眠れる

引用元: やよい「いまのわたしにできること」