1: 2010/10/17(日) 00:13:48.41 ID:Asv2h83IO
唯「ふい~、今日も勉強疲れたよ~」

律「唯はずっと寝てたじゃねーか」

澪「律もだろ」

唯「ただ寝てたわけじゃないよ!睡眠学習ってやつだよ!」

梓「効果あるんですか、それ」

紬「みんな~、お茶入ったわよ~」

4: 2010/10/17(日) 00:27:50.38 ID:Asv2h83IO
律「さんきゅー」

唯「え~……またおかきと日本茶~?」

紬「……え?」

梓「しかもインスタントのお茶ですね」

澪「ん……あんまり美味しくないな、コレ」

律「ムギぃ、最近お茶もお茶菓子も手抜いてないか?」

紬「…………」

5: 2010/10/17(日) 00:32:49.38 ID:Asv2h83IO
唯「ムギちゃ~ん、わたしたちはティータイムあってのけいおんぶだよ?」

澪「確かにこんな安物じゃ、やる気出ないよな」

紬「で、でも毎日用意するのも大変で……
 それに、あまりこういうことは言いたくないけれど……
 わたしだけが用意するって不公平じゃない……?」

梓「なに阿呆なこと言ってるんですか?ムギ先輩」

律「お前は金持ちなんだから別にいいだろ?」

7: 2010/10/17(日) 00:38:03.54 ID:Asv2h83IO
紬「なっ……ふざけないでっ!!」

澪「……おいおい、何怒ってんだよ」

紬「わたしの家は確かに普通の家庭と比べて裕福かも知れないわ……
 でもそれとこれとは違うでしょ?お金がどうこう言ってるんじゃない、
 わたしがお茶菓子を用意することを当たり前だと思わないで!!」

唯「…………」

律「……ああ、わかったよ、ムギ 悪かったな」

9: 2010/10/17(日) 00:45:48.82 ID:Asv2h83IO
梓「なんかシラケちゃいましたね」

唯「ほんとほんと~」

澪「今日はもう帰ろうか?」

律「だな……よし、かいさんかいさーん」

ガヤガヤ

紬「…………」

バタン

紬(みんな……)

10: 2010/10/17(日) 00:50:17.93 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「はあ……」

紬(昨日はいきなり怒鳴ったりしてみんなに悪いことしたわね……)

紬「…………」

紬(わたしってケチな女なのかしら……)

紬(償いってわけじゃないけど、
 今日は有名店のケーキとブランド物の紅茶も持ってきたし……)

紬(みんなにちゃんと謝りましょう……)

紬「早く来ないかな……」

11: 2010/10/17(日) 00:56:19.87 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「…………」

紬「誰も来なかった……」

紬「みんな用事があったのかしら……?」

紬「きっとそうよね……?」

紬「…………」

紬「……もう、帰りましょう」

12: 2010/10/17(日) 01:04:21.05 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「ね、ねえりっちゃん……昨日はなんで部活に来なかったの……?」

律「あれ?休みになったって聞いてなかった?」

紬「え……知らないけど」

律「そうかー、誰かが伝えてると思ったんだけど」

紬「そ、そう……」

律「ごめんごめん、今度から気をつけるよ」

紬「……うん」

15: 2010/10/17(日) 01:10:09.25 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

唯「」ジャカジャカ

律「」タカタカタカタカ

紬「みんな~お茶入ったわよ~」

澪「あー……」

梓「わたし、いいです 喉渇いてませんし」

唯「わたしもいいや~」

紬「え……?じゃ、じゃあケーキ持ってきたから……」

17: 2010/10/17(日) 01:17:22.18 ID:Asv2h83IO
律「ぱーす、わたしダイエット中~」

澪「わ、わたしもなんか今日はお腹いっぱいだし……」

紬「そ、そう……なら……仕方ないわよね……」

唯「」ジャカジャカ

律「」タカタカタカタカ

紬「…………」

20: 2010/10/17(日) 01:22:35.27 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「はあ……」

紬(やっぱりみんな怒ってるのかしら……)

紬(よし、明日学校についたらすぐにみんなに謝りましょう……!)

紬「ちゃんと謝れば許してくれるわよね……?」

紬「だってわたしたち、けいおんぶの仲間だものね?」

22: 2010/10/17(日) 01:29:03.86 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「」ガラッ

紬(あ……澪ちゃんとりっちゃん……)

紬「……よ、よし」

紬「お、おはよう、二人とも」

律「……ん?あ、ああ」

澪「おはよう」

23: 2010/10/17(日) 01:35:09.18 ID:Asv2h83IO
律「…………」

澪「…………」

紬(今よ……頑張れ、ムギ……!)

紬「あ、あの……二人とも……」

律「なに?」

紬「ご……ごめんなさい!」

澪「へ?」

紬「い、いや……この前、部室で怒鳴っちゃったから……」

24: 2010/10/17(日) 01:42:05.89 ID:Asv2h83IO
澪「そんなことあったっけ?」

律「さあ?覚えてねー」

紬「と、とにかくごめんなさい!」

律「いやいや」

紬「え?」

律「こっちが覚えてないこといきなり謝られても困るんだけど」

紬「で、でも一応謝っておかないとって……」

25: 2010/10/17(日) 01:48:21.91 ID:Asv2h83IO
律「一応?一応で謝ってんの?なにそれ」

紬「り、りっちゃん……?」

律「一応ってことは心がこもってないってことか?
 適当に謝るくらいなら謝らない方がマシだろ
 しかも、わたしたちは何のことかわかんないし」

紬「ご、ごめんなさい……」

律「もういいよ、早く席ついたら?
 あー、朝から気分悪いわ 最悪」

紬「…………」

26: 2010/10/17(日) 01:53:34.70 ID:Asv2h83IO
唯「みんなおはよ~」

澪「おー、唯、おはよう」

律「おはよ」

紬「…………」

唯「え……どうかしたの?なんか空気悪いよ?」

律「それがさー、聞いてよ、唯ー」

紬「…………」

唯「ふんふん、え~なにそれ~……意味わかんないね~」

紬「……めて……」

27: 2010/10/17(日) 02:00:05.26 ID:Asv2h83IO
澪「なんか言った?ムギ」

紬「やめて!!」

唯「…………」

律「…………」

紬「どうして……なんで……なんでわたしに意地悪するの……?
 わたしが何かした……?」

唯「何かって言うか……ねえ?」

澪「うん……なあ?」

律「……はあ……お前さ、うざいんだよ」

30: 2010/10/17(日) 02:09:18.49 ID:Asv2h83IO
紬「う、ざい……?」

律「そ、うざいの 何かにつけて世間を知らないお嬢様ぶるし、
 ケーキだって持ってき始めたのはお前だろ……金持ちアピールか?」

紬「…………」

律「あれか?わたしはあなたたち庶民とは違うのよってか?
 平凡な家庭に生まれたわたしたちを見下してんだろ?
 優越感に浸るのも大概にしろよな」

唯「それに、女の子を見る目が他の人とは違うしね~」

澪「ああ、わかる 百合?って言うのか?
 性の対象として見てるんだろ?怖いよなー」

33: 2010/10/17(日) 02:19:35.68 ID:Asv2h83IO
律「もう、けいおんぶ辞めちゃえば?
 あれだ、えーと……なんだっけ、
 音楽部だか合唱部だか入りたかったんだろ?
 そっちに入ればいいじゃん」

唯「嫌われてまでけいおんぶにいる理由ないよね~?」

澪「そうそう、その方がお互いプラスになるだろうし」

律「なあ?ムギ そうは思わないか?」

紬「…………」

34: 2010/10/17(日) 02:27:36.33 ID:Asv2h83IO
律「それにさ、ぶっちゃけキーボードなんて
 ギター2本あるからいらないんだよね」

澪「まあ、無きゃ無いでもいいよな
 ステージにいられると邪魔で動きづらいし」

唯「あずにゃんも入れて4人だし、
 ムギちゃんが辞めてもけいおんぶは潰れないし~」

澪「ムギが辞めてもあまり困らないよな
 曲だってわたしも作れるし……」

紬「……うっ……ぐすっ……っ……」

39: 2010/10/17(日) 02:35:36.06 ID:Asv2h83IO
唯「チッ…………」

律「はあ……ムギ、なんで泣いてるわけ?
 これじゃあ、端から見たらわたしたちが悪者じゃん
 わたしたちがいじめてるみたいじゃん」

紬「うぅ……ふっ……ぐす……ぇ……」

澪「ムギ~、あんまりわたしたちを困らせないでくれよ~」クスクス

和「ちょっと、みんな」

43: 2010/10/17(日) 02:48:07.42 ID:Asv2h83IO
唯「あ、のどかちゃ~ん おはよ~」

和「唯、おはようじゃないでしょ
 まったく……喧嘩でもしたの?ムギ、大丈夫?」

紬「……ふ……うっ……の、どか……ちゃん……」

和「とにかく、もうHRも始まるんだし、席につきなさい……
 ムギ、保健室行こうか?」

紬「ん……ぐす……っ……だ、大丈夫……あ、りがとう、ね……」

和「そう……」

45: 2010/10/17(日) 02:57:33.77 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬(今日は……部活はいいや……)

紬(早く帰りましょ……)

紬「」トボトボ

和「ねえ、ムギ」

紬「な、なに……?」ビクッ

和「ちょっと生徒会の仕事手伝ってくれる?
 人手が足りなくて困ってるのよ」

紬「え……あ、えと……」

和「お願い」

紬「え、ええ……わかったわ……」

46: 2010/10/17(日) 03:07:26.89 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

和「ムギ、お疲れ様 助かったわ はい、お茶」

紬「ありがとう……」

和「……ねえ、ムギ 唯たちと何かあったの?」

紬「…………」

和「話してくれる……?」

紬「……うっ……ひっく……」

和「…………」

紬「ぐす……じ、実は、ね……」

48: 2010/10/17(日) 03:21:50.69 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

和「そう……そんなことが……」

紬「う、うん……えぐ……」

和「でも、まあ、あの子たちも悪気があったわけじゃないと思うの……
 本当はみんな優しい子たちばかりでしょ?
 これはムギが一番わかってるわよね?」

紬「……え、え」

和「どうしてこんなにムギに対して強くあたったのかはわからないけど……
 とりあえず、様子をみましょう」

紬「…………」

50: 2010/10/17(日) 03:32:19.77 ID:Asv2h83IO
和「ムギも無理して部活に行かなくてもいいと思うわ
 しばらくは休んでゆっくりしてなさい」

紬「ええ……」

和「心配しなくても大丈夫
 ムギはわたしがちゃんと守ってあげるから」

紬「う……のどか、ちゃん……ありがとう、ね……」

和「ほらほら、泣かないの」

53: 2010/10/17(日) 03:41:01.70 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬(あれから一週間……)

紬(和ちゃんが唯ちゃんたちに言って聞かせてくれたのか、
 大っぴらに嫌がらせはされなくなったけれど……)

紬(和ちゃんの見えないところで陰口言ったり、わざとぶつかってきたり……)

紬(本当に仲直りして、前みたいに一緒にいられるようになるのかしら……?)

紬「はあ……」

55: 2010/10/17(日) 03:50:47.78 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

 「先生はこれから少し用事があるから、今日の体育は自由だ
 みんな、面倒くさがらずに体を動かせよー
 下手なダイエットより効果があるからなーわはは」

紬(自習……か)

紬(特にやることもないし……やる人もいない、わね……)

紬(大人しく端っこに座ってましょ……)

59: 2010/10/17(日) 04:01:05.55 ID:Asv2h83IO
 「あはは、ちゃんとレシーブしてよー」

 「もー!バレー部のスパイクなんてとれっこないわよ!」

ワイワイガヤガヤ

紬(あ……アリさん……)

紬「ふふっ……」イジイジ

ヒューン

バコッ

紬「いたっ?!」

60: 2010/10/17(日) 04:12:04.37 ID:Asv2h83IO
唯「あーあ、りっちゃんがよけるから~」クスクス

律「ドッヂボールなんだからよけるのは当たり前だろー?」クスクス

澪「かわいそー あれ、モロ顔面入っただろー」

紬「……う……あっ……」タラ

紬(鼻血……)

澪「う、うわ!血でてる!」

律「あーあーあー、唯やらかしたなー」

唯「なにー、わたしのせいー?
 ボーっとしてたムギちゃんが悪いんじゃん?」

65: 2010/10/17(日) 04:20:09.38 ID:Asv2h83IO
律「いいから謝っておけってー
 あとからなにされるかわかんないぞー?」

唯「チッ……ムギちゃん……
 どうもすいませんでしたっ!!」フンス

澪「ぷっ……」

律「唯、全然似てないぞ」

唯「えー?結構自信あったんだけどな~……」

紬「……う……ううっ……」

67: 2010/10/17(日) 04:26:02.74 ID:Asv2h83IO
和「あなたたち、もうやめなさい」

紬「……の……どか、ちゃん……」

和「ごめんね、わたしが守るって言ったのに……
 ほら、鼻血拭いてあげるから顔あげて」

唯「のどかちゃん!せ、性病が!性病が血液感染しちゃうよ!危ないよ!」

澪「……~っ」プルプル

律「ゆ、唯、やめ、せ、性病って……」クスクス

69: 2010/10/17(日) 04:33:05.59 ID:Asv2h83IO
和「いい加減にしなさいっ!!」

唯「」ビクッ

和「あなたたちは頭がイカレてるの?
 友達にこんなことして、良くヘラヘラしていられるわね!」

律「のどか~、そんなに怒るなって~ 冗談だろ?冗談」

和「……もういいわ……あなたたち、わたしに二度と話しかけないで」

紬「……のどか……ちゃん……」

72: 2010/10/17(日) 04:39:05.35 ID:Asv2h83IO
キーンコーンカーンコーン

澪「あ、授業終わったな」

唯「次はお昼休みだよ!動いたからお腹すいちゃった~」

律「おー、早く戻ってご飯食べようぜ!
 和、あんまり渋い顔してるとシワが増えるぞっ♪」

和「……同じことを二度も言わせないでちょうだい」

律「へーへー、すんまへーん」

紬「のどか、ちゃん……」

和「」ギュ

紬「うう……うわあああ!!」

76: 2010/10/17(日) 04:44:42.50 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

和「……落ち着いた?」

紬「ええ……ごめんなさい、和ちゃん
 ジャージ汚しちゃったわね……」

和「いいわよ、これくらい……それより、行くわよ」

紬「……え?ど、どこに?」

和「わたしの家 学校なんてもうサボっちゃいましょ?」

紬「え、ええ?ちょっと、和ちゃん……」

83: 2010/10/17(日) 04:50:11.91 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

和「さ、入って」

紬「え、ええ……でも、本当に大丈夫かしら?」

和「大丈夫、高校なんてサボってなんぼよ」

紬「ふふっ……それ、生徒会長のセリフじゃないと思うけど」

和「会長でも先生でもサボりたいときはあるわよ
 さあ、早くシャワー浴びてらっしゃい」

紬「あ、ええ……ありがとう」

89: 2010/10/17(日) 04:57:04.82 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「和ちゃん、シャワーどうもありがとう
 着替えまで貸してもらって悪いわね」

和「いいわよ、気にしないで
 ムギのジャージも洗濯しておいたから、明日には乾いてるわよ」

紬「え?ええ……ありがとう」

和「さて……わたしもシャワー浴びてくるわ
 親御さんにちゃんと連絡しておきなさいよ」

紬「……連絡?」

和「今日はわたしの家に泊まりますって」

紬「っ!……ええ、ありがとう 和ちゃん」

90: 2010/10/17(日) 05:03:12.97 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「ご飯もご馳走になっちゃって……本当にありがとうね」

和「いちいちお礼はしなくていいわよ
 しかし、今日が金曜日で良かったわね
 明日学校とか言われたらまたサボるところだったわ」

紬「ふふっ、和ちゃんって見た目ほど真面目じゃないわよね」

和「わたしよりムギの方が数倍真面目よ」

紬「そうかしら?」

和「ええ、間違いなく
 さ、そろそろ寝ましょうか 今日はなんだか疲れちゃった」

94: 2010/10/17(日) 05:09:04.36 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

紬「……ねえ、和ちゃん」

和「なあに?」

紬「どうして、わたしなんかを助けてくれるの?
 和ちゃんまでひどいことされるかもしれないのに……」

和「どうしてって……友達だからよ」

紬「とも、だち……?」

和「ええ、わたしとムギは友達 違う?」

紬「…………」

97: 2010/10/17(日) 05:14:45.31 ID:Asv2h83IO
和「友達を助けるのに理由なんているかしら?」

紬「和ちゃん……うう……わたし、嬉しい……」

和「」ギュ

紬「っ?!」

和「もう一人で悩まないで……わたしがついてるから」

紬「……ぐすっ……う……え、ええ……」

和「…………」ナデナデ

100: 2010/10/17(日) 05:19:32.04 ID:Asv2h83IO

――――――――
―――――

次の日のお昼過ぎ、わたしは和ちゃんの家を出ました。
和ちゃんのおかげで、少し元気になりました。

もう、一人じゃないんだって思えて……
やはり持つべきものは友達です。
友達はお金じゃ買えませんから。

……お金?
ああ、学校にお財布やら携帯やらバッグやらを置いて帰ってしまったんだった。
一度学校に寄って帰らなきゃ、電車にも乗れないわね。

昼日中を学校指定のジャージで。
ちょっと恥ずかしいけれど、わたしの心には晴れ間が見えた気がしました。



END

102: 2010/10/17(日) 05:21:01.23 ID:KYt5LvCw0
え、おわるの?

101: 2010/10/17(日) 05:19:37.50 ID:26qrc2B0O
紬いぢめたらゴルゴ雇って復讐しそうだよね

引用元: 紬「あれ、お金がない……カードも……」