3: 2010/10/20(水) 21:36:20.82 ID:XbB6gwh+O
~笠地蔵~

むかしむかし、ある所に唯と憂の姉妹がいました。

年の瀬も迫っていますが、餅一つ買えるほどお金がありませんでした。

そこで、憂は笠を作ってお金を稼ごうと考えました。

唯「じゃあ憂、町に行って笠売ってくるね」

憂「うん。気をつけてね、お姉ちゃん」

唯「うんたん♪うんたん♪」

意気揚々と雪道を歩く唯でした。
けいおん!college (まんがタイムKRコミックス)
5: 2010/10/20(水) 21:37:11.40 ID:XbB6gwh+O
ところが、町へ出て笠を売ろうとしても、一向に売れる気配はありませんでした。

唯「売れないや……」

もう少し粘ろうと思いましたが、雪が強くなって来たので、唯は諦めて帰り支度をしました。

唯(憂が心配するから帰ろう!)

6: 2010/10/20(水) 21:40:02.91 ID:XbB6gwh+O
家に近付き始めた頃、雪は強くなりかけていました。

唯(うー、早く帰ろ)

唯「あっ、お地蔵様!」

唯が目にしたのは、峠にある七体の地蔵でした。

唯「こんなに雪が積もって、寒いね。頭の雪、どけてあげるね」パッパッ

唯「んー、でもすぐに積もるな……そうだ!」

唯「笠を頭に乗せればいいんだ」

唯は商品の笠を地蔵の頭に乗せてあげる事にしました。

ちなみに地蔵は右側から和→律→澪→紬→梓→純→さわ子の並びである。

7: 2010/10/20(水) 21:42:09.81 ID:XbB6gwh+O
唯「んしょ、んしょ」

唯は持っていた五つの笠を右側の地蔵から順に(和・律・澪・紬・梓)、頭に乗せました。

唯「あっ、もうないや……私の笠あげるね」

唯は自分が被っていた笠を純の頭に乗せました。

唯「はっ、もう一体いた……」

唯「うーん。私の手ぬぐいあるけど、これは憂が作ってくれたものだし……」

唯「うん。帰ろう!」

唯「うんたん♪うんたん♪」

さわ子「」

さわ子(……酷い)シクシク

10: 2010/10/20(水) 21:43:57.80 ID:XbB6gwh+O
唯は家路につくと早速、憂に地蔵の話をしました。

憂「お姉ちゃん、優しいね」ニコッ

唯「てへへ」

憂「もしかしたら、恩返しに来るかもね」

唯「だったらいいなー」

11: 2010/10/20(水) 21:45:28.28 ID:XbB6gwh+O
一方、峠では

律「よーし、笠のお礼をしにいくぞー」

澪「あぁ、あの人には感謝だな」

和「そうね」

紬「私、誰かにお礼するのが夢だったのー」

梓「やってやるです!」

純「あれ、誰かいない」

さわ子「なんで、なんで私にだけ笠がないのよ!」シクシク

律「泣くなよ、さわちゃん」ポンポン

さわ子「泣きたいわよ!」

紬「あらあら」

梓「やってやるです!」

12: 2010/10/20(水) 21:48:18.90 ID:XbB6gwh+O
地蔵一行は、籠にありったけの食材を詰めて、唯の家の前までやって来ました。

律「よし、じゃあ家の人に会うか?」

澪「いやいや、私達は地蔵だぞ。家の人が見たら卒倒するぞ」

和「じゃあ、手紙でも書いとく?」

紬「それいいかもー」

純「私、紙とペンあり……」

さわ子「おらー!出て来いやー、サツガイすんぞコラァー!」ドンドン

律「さわちゃん!!」

梓「やってやるです!」ドンドン

純「あずさー!!」

13: 2010/10/20(水) 21:54:20.74 ID:XbB6gwh+O
澪「おい!あんまり騒ぐと……」

憂「どなたですかー?」

和「まずいわ。隠れましょ!」スタコラピー

ガタッ

憂「誰も……いないね。風の音かな?」

バタン

律「ふぅー。さわちゃん、頼むから静かに」

さわ子「ぶーぶー」

純「ほら梓、あんたも」

梓「……」シュン

紬「は、早く書きましょ」アタフタ

律「だな」

澪「あぁ」

地蔵達は各々、唯への感謝の気持ちを一言、手紙に書いた。

律「よし、これで籠を置いて……完了だ」

14: 2010/10/20(水) 21:57:05.48 ID:XbB6gwh+O
和「それじゃ、帰りましょうか」

澪「そうだな」

律「帰るか」

紬「よいお年を」

純「風邪引かないでね」バイバイ

梓「……」

さわ子「なんか、納得いかないわ」

律「えっ?」

さわ子「やっぱり出て来いやー!!」ドンドン

律「ひぃー、さわちゃん!!」

梓「こんなんじゃダメです!」ドンドン

純「このバカタレー!!」

バンッ!

16: 2010/10/20(水) 22:05:11.64 ID:XbB6gwh+O
憂「やかましいわ!サツガイしたろかコラァー!!」

一同「ひっ!」ビクッ

憂「さっきから何、人んちの戸、叩きまくっとるんや?」

憂「地蔵風情が舐めたらアカンで!」

律「あわわわわわ」ガクブル

憂「なんやったらあんたらの首、半分だけ回したろか!?」クイッ

一同「す、すいませんでしたー」スタコラピー

憂「ほんま、最近の地蔵はアカンなー。あら、ヤキいれたらな……」

17: 2010/10/20(水) 22:10:19.05 ID:XbB6gwh+O
唯「憂ー、どうしたの?」

憂「あっ、あのね。お地蔵様が来てたみたいだけど……」

憂「私を見たら驚いて帰っちゃった」テヘッ

唯「えー、いいなー。私も見たかったなー」

憂「ご、ごめんねー。次来たら、一緒に見ようね」

18: 2010/10/20(水) 22:14:43.82 ID:XbB6gwh+O
唯「あっ、その籠は何かな?」

憂「これ……うわぁ」

唯「食材だよ!これだけあれば、年を越せるよ」

憂「やっぱり、お姉ちゃんが良い事したからだね」

唯「いやー、それほどでもぉ」

憂「あっ、手紙があるよ。お地蔵様のかな?」

唯「きっとそうだよ」

唯「ねぇ、読んでみようよ!」

憂「そうだね!」

19: 2010/10/20(水) 22:19:39.55 ID:XbB6gwh+O
律『笠、ありがとな!これで風邪を引かずに済むぜ』

澪『頭が冷えてたので助かりました』

和『ありがとう、良いお年を』

紬『百合はいいですよー』

純『もっと目立ちたい!』

憂「うーん。上三つは理解できるけど、下二つは……」

唯「まだ続きがあるよ」

憂「うん」

さわ子『テメェーのヴァージン奪ったろか!』

梓『奪ってやるです!』

憂「……」ピキッ

唯「どういう意味だろう?」

20: 2010/10/20(水) 22:26:14.66 ID:XbB6gwh+O
憂「た、多分!ありがとうの最終形態じゃないかな!?」

唯「そうかー、感謝されてるんだー」ニンマリ

憂(勘違いするお姉ちゃんかわいい!)

憂「じゃあ明日、私がお地蔵様の所に行くね」

唯「何しに行くの?」

憂「(制裁的な意味での)お礼だよ」

唯「私も行くー」

憂「お姉ちゃん、起きれないよね」

唯「起きれるもん!」プンプン

憂「はいはい」

21: 2010/10/20(水) 22:31:17.65 ID:XbB6gwh+O
唯「じゃあ憂、明日の為に早く寝よう!」

憂「そうだね、お姉ちゃん」

唯「じゃあ、おやすみー」

憂「おやすみ、お姉ちゃん」

こうして、二人は眠りにつきました。

そして、憂は唯より早く起きて外に出た。

憂(お姉ちゃん。悪い地蔵は、私がやっつけるからね)

早朝、峠から謎の悲鳴が響き渡ったが、唯は何も知らない。

オブツハ、ショウドクダー!

ギャー!

ヤッテヤルデスゥー!

唯「んー、むにゃむにゃ……えへへ」

22: 2010/10/20(水) 22:37:15.26 ID:XbB6gwh+O
とみ「おや、今日は左端のお地蔵様(さわ子)の姿がないわねぇ」

とみ「それに、みんな表情が強張って……あら、右から5番目(梓)のお地蔵様は、首がみんなと違って半回転してるわ」

とみ「不思議な事もあるものね」

とみ「もしかしたら朝の悲鳴、あれは鬼が何かやったんだわ」

とみ「唯ちゃんと憂ちゃんにも注意しときましょう」

尚、この事は鬼の仕業と言う事で丸く収まった。
もちろん、とみは憂が犯人だという事は知りません。

ちなみに、さわ子は未だに発見されていない模様。

~笠地蔵編・終~



148: 2010/10/21(木) 07:11:18.01 ID:QULVopMkO
おつかれさん!

149: 2010/10/21(木) 07:12:38.18 ID:+LTuIs8FO
以上で終わりです。

長々とすいません。

今日は有給休暇で会社休みです。

なので、寝ます


引用元: 唯「おとぎ話!」