唯「おとぎ話!~笠地蔵~」
23: 2010/10/20(水) 22:51:43.58 ID:XbB6gwh+O
~かぐや姫~

むかしむかし、竹取りの唯という人がいました。

唯「ロッカーはいつだってね “今”やんちゃ盛り♪」

ある日、唯は金色に輝く竹を見つけました。

唯「何かな?よし、切っちゃえ」スパッ

切り取った竹の中を見た唯は驚きました。
なんと、小さな女の子がいました。

?「おんぎゃー」

唯「うわー、どうしよう」アセアセ

唯「そうだ!憂に相談しよう」

子供を連れ帰って来た唯の姿を見て、憂は卒倒した。

24: 2010/10/20(水) 22:53:49.42 ID:XbB6gwh+O
月日は流れました。

二人は子供に「律」と名付けました。

律は異常なまでに早い成長を遂げていました。(胸以外)

唯「りっちゃん。可愛いね」ダキッ

律「よせやい」

唯「頭、撫でてあげる」ナデナデ

律「や、やめろ!」バッ

憂「やめなよ、お姉ちゃん」

律「そうだよ」

唯「ぶー」

三人の生活は楽しい事だらけでした。

何不自由なく、ただ時間だけが過ぎて行くだけでした。

26: 2010/10/20(水) 22:56:33.31 ID:XbB6gwh+O
そんなある日の事、平沢家に可愛い娘がいるという噂を聞き付けた、五人の若者が唯の家にやって来ました。

なんでも、律を嫁に欲しいらしい。

和「律を私にくれるかしら?」メガネ、クイッ

紬「りっちゃんを嫁に貰うのが夢だったのー」

梓「何言ってるんですかー。律先輩は私のです」

純「よく分かりませんが、来ました」

憂「じゃあ、純ちゃんは用無しだね」ニコッ

純(さりげなく酷い)シクシク

澪「おい、律は誰のモノでもない。私だけのモノだ!」

28: 2010/10/20(水) 23:03:13.15 ID:XbB6gwh+O
律「いや、お前のモノでも……」

和「何言ってるのかしら?律は私の嫁になるのよ」メガネ、キラーン

紬「わ、私のよー!」

梓「私のです。あと、唯先輩も欲しいです///」モジモジ

憂「おい中野。ちょっと表出ろや」ガシッ

梓「な、何すんの!はっ、離せー!無礼だぞ!!」ズリズリ、ジタバタ

憂「お姉ちゃんを欲しいと言うだけで無礼極まりないよ!本来なら切腹モノだよ!!」

梓「私は中野家の娘だぞ!天皇家直属だぞ」

憂「お姉ちゃんの前で自分の家の家柄なんて、トイレットペーパーと同じだよ!!」グイッ

梓「うわーん!!」バタバタ

29: 2010/10/20(水) 23:05:13.84 ID:XbB6gwh+O
律「なんか、憂ちゃん怖かったな」

唯「そうかなー」

澪「律!」バッ

律「うわっ!」

澪「律、お前は私のモノだ。さぁ、私の家に帰ろう」

和「何やってるの!?」

紬「ずるい澪ちゃん!」

澪「うるさい!律は誰にもやらん!!」

律「私はモノじゃねぇー!」

唯「りっちゃん、モテモテだね」

律「あのなー!」

30: 2010/10/20(水) 23:08:13.09 ID:XbB6gwh+O
律「うーん。よし、じゃあ私が欲しいモノを持って来い!」

澪「じゃあ、私は私を献上する!」

律「やかましい!」

和「で、何を持って来ればいいの?」

律「そんなもん。私を嫁にしたいなら、自ずと分かるはずだ」

和「?」

律「感じろ……フォースを感じるんだ!」ゴゴゴッ

紬「はぅー」ハァハァ

澪「りぃつぅー!」ビクン

律「こらー!!」

律「もうなんでも良い!なんか持って来い!!」

31: 2010/10/20(水) 23:13:48.61 ID:XbB6gwh+O
和「じゃあ私、何か持って来るわ」スタスタ

紬「何かを……ハァハァ……持って……ハァハァ」スタスタ

澪「律。必ず私のモノにしてやる」スタスタ

純「あのー、私は?」

律「ん?用無しなら帰っていいぞ」

純「はい。帰ります」シクシク

唯「りっちゃん、あんなので良かったの?」

律「いいんだよ。ところで憂ちゃんは?」

唯「まだ、表じゃないかなー」

律「ふーん」

その後、梓の悲鳴が響いたのは、言うまでもない。

33: 2010/10/20(水) 23:16:38.24 ID:XbB6gwh+O
その日の夜。

律は月を眺めていました。とても綺麗な月です。
が、その表情はどこか寂しそうでした。

唯「りっちゃん、どうしたのかな?」

憂「月ばっかり見てるね」

唯「どうしたんだろうね」

律(はぁー、いつかは言わなくちゃな)

律(ただ、タイミングは大事だよな)

一方、梓は平沢家の門前で正座させられていた。

「私はいけない娘ですぅー」と立て札に書かれ、村人から晒者になっていた。

梓「ごめんなさい」ヒグッ

34: 2010/10/20(水) 23:20:47.10 ID:XbB6gwh+O
翌日。

律「よーし。私が欲しいモノを出してくれ」

和「私はこれね」

唯「『女の子らしく生きる方法』だって」

律「ふざけんなー!」ビリビリ

和「ちょっと!」

律「私は女だ!」

和「私の嫁になるなら、女の子らしくしなさい!」

和「今のままじゃ、まるで男ね。なんなら、私が調教という名の矯正を施そうかしら?」

和「律を見てると、いじめたくなるの。泣きそうな顔になると、そそるわー」

紬(SMなのね!)

澪「おい、律に手を出せるのは私だけだ!」

律「やっかましいわ!ほら、次!」

35: 2010/10/20(水) 23:23:47.02 ID:XbB6gwh+O
紬「これなのー」

唯「『猿でも分かる。百合入門~初級~』だって」

律「なんじゃこりゃー!」ビリビリ

紬「はぅー」

律「確かに今の状況だと同性結婚させられそうだけど!」

紬「だから、百合を勉強して知識を……」

律「お前は自分の眉毛でオXXーでもしてろ!」

紬「じゃあ、そうするわ」ベリッ

紬「ハァハァ、ハァハァ///」

澪「百合だろうがレOだろうが、私が一夜漬けで教えてやる」

律「うっさいわ!ほら、次は澪だぞ!」

36: 2010/10/20(水) 23:29:03.37 ID:XbB6gwh+O
澪「やっぱり律を一番理解してるのは私だな」

律「ほぉー」

澪「私はこれだ!」

唯「『媚薬』だって」

澪「そうだ。早い話、律は私だけを見てればいい。それで万事解決」

律「なんちゅー、自分勝手な!」

澪「律、さぁ飲め。私の愛が詰まった薬だ」

律「飲まねー!」

澪「なら、飲ませるだけ!」ダッ

律「澪。これじゃあ、レOプみたいじゃねぇか!」バッ

澪「関係あるか!百合もレOもレOプも似た様なものだ!」

澪「赤信号、みんなで渡れば怖くないの精神で問題解決!」ググッ

律「全然違うわボケ!ついでに、みんな撥ねられちまえ!」バッ

37: 2010/10/20(水) 23:32:04.42 ID:XbB6gwh+O
?「ねぇ、みんないるー?」

唯「ん?誰だろう」

憂「さぁ?」

和「あ、あなたは!?」

紬「ハァハァ」

澪「み、帝様!」

帝(みかど)とは、偉い人の事らしい。

さわ子「偉いも何も、偉いわよ!あと、工口いけど」エッヘン

律「威張って言う事かよ」

澪「帝様!何故こちらに」

さわ子「いやー、可愛い娘がいるから様子見に来ただけ。あと、梓ちゃんが泣いてたわ」

さわ子「んで、この娘かな?」

唯「ほぇ!」

憂「」ピキッ

38: 2010/10/20(水) 23:34:17.08 ID:XbB6gwh+O
さわ子「素材としては良いわね」ジロジロ

唯「///」

律「あのー?」

さわ子「なーに?」

律「可愛い娘は私」ニコッ

さわ子「ごめん。あんたは、ないわ」

律「」ガーン

澪「あぁ、律」

さわ子「よし、この娘を私の嫁にする」

唯「えぇー!」

さわ子「帝様の命令でーす。今日から私の……」

憂「おい」ガシッ

さわ子「えっ?」

さわ子「ひぃっ!」ビクッ

39: 2010/10/20(水) 23:38:08.98 ID:XbB6gwh+O
憂「貴様は大罪を犯した。よって、ここに氏刑を宣告する」ゴォォー

さわ子「た、大罪!?」ガクブル

憂「お姉ちゃんは神。お姉ちゃんがいるからこそ、世界は存在する。それを貴様は気安く……」ゴォォー

さわ子「ご、ごめんなさい!」

憂「って、嘘ですよ」ニコッ

さわ子「えっ?」

憂「お姉ちゃんの可愛いさは罪ですから。みんな、罪を犯したくて仕方ないんですよ」

さわ子「そ、そうよね」パアァ

憂「だから。表で頭、冷やそうか」ニコッ

さわ子「」ガーン

憂「これで、梓ちゃも寂しくないね」ニコッ

さわ子「」ズルズル

40: 2010/10/20(水) 23:41:58.48 ID:XbB6gwh+O
その日の夜。

律はまた、月を眺めていました。


唯「りっちゃん、寂しそうだね」

憂「何かあったのかな?」

澪「あれは、恋だな」

和「間違いないわね」

澪「お前がなんでいる!えっと……わ?」

和「私の名前は『のどか』だ!『わ』とか『なごみ』とか言うな!」

紬「わちゃん」ハァハァ

和「まだしてるの?腐れ沢庵」

律「なぁ……」

唯「何、りっちゃん」

律「実はさ、言わなければならん事がある」

憂「なんですか?」

律「実は私、月の世界のお姫様なんだよねー」

41: 2010/10/20(水) 23:44:21.83 ID:XbB6gwh+O
一同「はいー!?」

律「黙ってて悪かった」

和「何を言うかと思えば……」

紬「まさかの」ハァハァ

憂「し、信じられません」

唯「りっちゃん、おかしくなった?」

澪「そ、それでも私は構わないぞ!律がなんであろうと、私のモノに変わりない」

律「あと、明日の晩。月から迎えが来るんだ」

唯「えっ?」

律「明日は満月だ。月と地球が唯一、繋がる日なんだ。だから、帰らなくちゃならないんだ!本当に急ですまん!!」

唯「りっちゃん……」

和「そうなんだ……」

紬「お別れは辛いわね」ハァハァ

46: 2010/10/20(水) 23:56:37.12 ID:XbB6gwh+O
憂「帰る場所があるなら、やっぱり帰るべき……」

澪「やだ!」

唯「澪ちゃん?」

澪「律が帰るなんて、こんなんじゃダメだー!」バタバタ

和「我が儘言わない!」

唯「気持ちは分かるけど」

紬「仕方ないかも」ハァハァ

律「澪……すまん」

澪「うわーん!!」バタバタ

その後も、澪は泣き続けたと言う。

平沢家の門前では、梓とさわ子が正座させられたままでした。

梓「……」シュン

さわ子「……」クスン

47: 2010/10/20(水) 23:59:48.91 ID:XbB6gwh+O
翌日の夜。とうとう、律が帰る時がやって来ました。

空には綺麗な満月が出ています。

律「澪……」

澪「なんだよー、バカ律ぅー」

律「すまんな」ナデナデ

澪「りつぅー」グスッ

紬「はぁー、律×澪。いや澪×律。もう、どっちでもいいや」ハァハァ

和「あんたは何やってんのよ?」ハァー

紬「わちゃんには分からないわ」

和「『わ』じゃねぇよ!『のどか』だよ!」

律「喧嘩すんなって」ヤレヤレ

憂(何か良い方法はないかな……)

48: 2010/10/21(木) 00:05:52.06 ID:XbB6gwh+O
唯「りっちゃん!」

律「唯、ありがとな」

唯「うんうん。私も楽しかったよ」ニコッ

律「ありがとな」ニコッ

憂「うーん」

律「憂ちゃんも、ありがとな」

憂「あっ、はい。いえ、お元気で」

シャランラ、シャランラ♪

澪「な、なんだ?」

律「来たんだよ、迎えが」

49: 2010/10/21(木) 00:09:28.19 ID:+LTuIs8FO
空から牛車と使者がやって来ました。

風子「姫様、お迎えに来ました」

エリ「元気してますかー」

姫子「やっほー」

いちご「……ふっ」

律「あぁ、私は元気だ」

唯「あれが、月の人」

和「私達と変わらないわね」

紬「そうね」

律「心配かけて悪かった」

エリ「いえいえ。そうだ、姫様に弟が出来ましたよ」

律「なにー、私に弟だと!?」

いちご「……聡」

律「そうか。帰ったら、とりあえず挨拶代わりに……」

澪「律、行かないでくれ!」ダキッ

53: 2010/10/21(木) 00:14:21.00 ID:+LTuIs8FO
律「澪?」

澪「律、地球に残って」

律「ごめん。私にも家族があるから」

澪「唯達は家族じゃないのか!?」

律「もちろん家族だ。だけど、産んでくれた親は悲しんでるかもしれない」

澪「確かにそうだけど……」

姫子「『おお娘な。誰だっけ?』って、私達に冗談混じりに言ってたけどね」

エリ「私には『息子最高や!娘なんかいらんかったんやー』とも言ってたよ」

律「」

54: 2010/10/21(木) 00:20:05.71 ID:+LTuIs8FO
澪「なら律、帰らなくても……」

律「ふざけんな!」

澪「お、おい」

律「とりあえず帰って親殴りに行く!」

唯「りっちゃん!」

律「私の育児カプセルを誤って地球行きの宅配に出す親だぞ。ぶん殴らないと気が済まない!」

和「だからって、暴力はダメよ!」

律「離せコラ!」バタバタ

澪「離すもんか!」ダキッ

58: 2010/10/21(木) 00:32:45.77 ID:+LTuIs8FO
風子「そういえば、なんで姫様を誤って宅配に出したんだっけ?」

姫子「確か、なんかのチケットの応募券を出す予定が、間違えて……」

いちご「……AKB」

律「なんだそりゃー!!」

和「AKB。私も以前、オーディションに出たけど、落ちたわ」

律「そんなの、どうでもいいわー!!」バタバタ

澪「律、暴れるな!」

59: 2010/10/21(木) 00:35:46.20 ID:+LTuIs8FO
唯「憂、どうしよ……」

憂「……」

唯「憂?」

憂「あっ、良い解決方法が浮かんだ」ポン

一同「?」

憂「私達も月に移住すれば良いんだよ」

一同「えっ!?」


さわ子「なんか騒がしいわね」

梓「ほんとです」

ドッカーン!ゴゴゴッ

さわ子「じ、地震!?」

梓「ち、違うです。あれです!!」

梓が指差すその先には、牛車と小型ロケットが月へ向けて飛び立つ瞬間でもありました。

61: 2010/10/21(木) 00:43:15.66 ID:+LTuIs8FO
唯「見て、地球だよー」

憂「綺麗だね」

律「にしても、凄い発想だな憂ちゃん」

憂「いえ、こうした方が丸く収まる気がして……」

エリ「牛車の乗り心地はどう?」

唯「うん。快適だよ」

風子「良かった。月まで、ゆっくりして下さいね」

唯・憂「はーい」

エリ「あれ、後方のロケットが月コースからの軌道を……」

唯「あっ、あの二人忘れた……まっ、いいや」

62: 2010/10/21(木) 00:44:34.27 ID:+LTuIs8FO
澪「狭すぎるだろ。このロケット」

姫子「仕方ないじゃない。緊急用のロケットなんだし」

澪「てか、なんで唯と憂ちゃんは律と同じ牛車なんだよ」

和「あみだくじだから、仕方ないでしょ」

いちご「……狭い」

紬「狭い空間で五人が……」ハァハァ

和「あんたね」

紬「なーに、なごみちゃん?」

和「『なごみ』じゃねぇよ!『のどか』だよ!落とすぞ」

姫子「あぁ、暴れれんな!」

63: 2010/10/21(木) 00:53:03.44 ID:+LTuIs8FO
エリ『姫ちゃーん。軌道からずれてるよ』

姫子「えっ、やばっ!」

和「な、何!?」

姫子「あんたらが騒ぐから、月コースの軌道から外れ始めてる」

澪「な、なんだって!?」

いちご「……」

姫子「修正可能だから、心配しないで」

澪「良かった」ホッ

その後、軌道修正したはずのロケットは、火星に不時着したらしい。

65: 2010/10/21(木) 00:55:20.62 ID:+LTuIs8FO
それから月日は流れた。

今、一人の男が月に降り立とうとしていた。

男「ここが月。ようやく、来れた。長い年月の結晶……」

姫子「ようこそ、月へ」パーン

男「な、なんだ!?」

姫子「あなたは、私達以外で月に降り立った人類第一号です」

エリ「記念品に、この石を差し上げます」

男「えっ?」

律「おーい、どうしたー?」

姫子「地球からお客さんだよ」

律「なんだ。つか、その服脱いだら?」

男(宇宙服なし、だと……)

唯「りっちゃーん」

澪「律ぅー」

66: 2010/10/21(木) 00:58:45.15 ID:+LTuIs8FO
男(な、ここは月なんだよな!?なんで、人間が!?)

和「月に人が来るなんて」

紬「珍しいわねー」

男「えっと、君達は……つか、宇宙服は?」

憂「そんなのなくても平気ですよ」ニコッ

男「」

男(そうだ……これは夢だ。宇宙服もなしに人間が……)

男(多分。厳しい訓練で疲れて……今頃、僕は自分の部屋で寝てるはず)

男(なら、こんな夢から覚めなくちゃ!)

男「じゃあ、僕は夢から覚めます!あなた達の事は、見なかった事にします」ダッ

男「お母さーん!僕は今から、地球に帰還しまーす」

ロケット、ファイヤー!

律「帰っちまったよ」

67: 2010/10/21(木) 01:01:33.70 ID:+LTuIs8FO
澪「律、律、律ぅー」スリスリ、チュッチュッ

律「うぜぇー、やめろ澪!」

澪「なんだとー!?」

和「見てられないわ」

唯「そうだね」

律と澪は結婚してませんが、毎日、ラブラブです。

それでも、唯達は何不自由なく、仲良くみんなと月で暮らしています。

また、エリが男に渡した石が「月の石」として大阪万博で人気を博した事は有名な話である。

~かぐや姫編・終~