1: 2015/10/19(月) 23:10:14.89 ID:l9SabFq/K.net
絵里「大体の書類は片付いたけど」
希「もうちょっと時間かかりそうやね」
絵里「だけど暗くなって来たから、今日はもう終わりにしましょ」
希「そうやね」
絵里「それじゃあ片付けて……」
コンコン
絵里「ん? はい、どうぞ」
希「もうちょっと時間かかりそうやね」
絵里「だけど暗くなって来たから、今日はもう終わりにしましょ」
希「そうやね」
絵里「それじゃあ片付けて……」
コンコン
絵里「ん? はい、どうぞ」
2: 2015/10/19(月) 23:11:08.53 ID:l9SabFq/K.net
ガチャ
理事長「あら、まだ仕事中?」
絵里「いえ、もう終わって帰ろうとしてたところです」
理事長「別に急がなくてもいいのよ」
希「私達の生徒会の任期も後少しで終わりですし、なるべく綺麗に引き継ぎしたいってのもありますから」
理事長「うふふ、無理しないでね」
絵里「ところで理事長は何か用ですか?」
理事長「あら、まだ仕事中?」
絵里「いえ、もう終わって帰ろうとしてたところです」
理事長「別に急がなくてもいいのよ」
希「私達の生徒会の任期も後少しで終わりですし、なるべく綺麗に引き継ぎしたいってのもありますから」
理事長「うふふ、無理しないでね」
絵里「ところで理事長は何か用ですか?」
5: 2015/10/19(月) 23:13:49.04 ID:l9SabFq/K.net
理事長「別に用って程でもなく、生徒会室の電気がついてるのが見えたから様子見がてらね」
希「なるほど」
絵里「あぁー!?」
理事長「!」
希「ど、どないしたんえりち!?」
絵里「亜里沙からメール……今日、家族でご飯食べに行く約束してたの!」
理事長「だったら早く行った方がいいと思うわ」
絵里「あっ、でもまだ片付けが」
希「ウチがやっとから心配せんとき」
絵里「ありがとうのぞみぃ~」
理事長「あらあら」
希「なるほど」
絵里「あぁー!?」
理事長「!」
希「ど、どないしたんえりち!?」
絵里「亜里沙からメール……今日、家族でご飯食べに行く約束してたの!」
理事長「だったら早く行った方がいいと思うわ」
絵里「あっ、でもまだ片付けが」
希「ウチがやっとから心配せんとき」
絵里「ありがとうのぞみぃ~」
理事長「あらあら」
7: 2015/10/19(月) 23:17:05.56 ID:l9SabFq/K.net
絵里「希、理事長、さようなら!」
希「また明日なぁ」
理事長「車には気をつけてねぇ」
絵里「はーい」
希「--さて、ウチは書類を片付けて……」
理事長「手伝いましょうか?」
希「これくらいならウチ一人でも」
理事長「そう? でも早く終わって帰らないと親御さんが心配するわよ」
希「ウチは一人暮らしですから、その点の心配はいりません」
理事長「あら、まぁ。なんか、ごめんなさいね」
希「また明日なぁ」
理事長「車には気をつけてねぇ」
絵里「はーい」
希「--さて、ウチは書類を片付けて……」
理事長「手伝いましょうか?」
希「これくらいならウチ一人でも」
理事長「そう? でも早く終わって帰らないと親御さんが心配するわよ」
希「ウチは一人暮らしですから、その点の心配はいりません」
理事長「あら、まぁ。なんか、ごめんなさいね」
8: 2015/10/19(月) 23:20:30.47 ID:l9SabFq/K.net
希「いえ、いいんですよ。それにもう慣れっこですし」
理事長「そう……」
希「よーし。ちゃっちゃと片付けて帰ろ」
理事長「あっ、そうだわ。ねぇ、東條さん」
希「な、なんですか?」
理事長「今日ことりね。穂乃果ちゃんのお家に泊まりに行くって言ってたのよ」
希「はぁー」
理事長「それでね。お夕飯を一緒にどうって思ったんだけど」
希「えっ、えっ?」
理事長「どうかしら?」
希「えっ?」
理事長「そう……」
希「よーし。ちゃっちゃと片付けて帰ろ」
理事長「あっ、そうだわ。ねぇ、東條さん」
希「な、なんですか?」
理事長「今日ことりね。穂乃果ちゃんのお家に泊まりに行くって言ってたのよ」
希「はぁー」
理事長「それでね。お夕飯を一緒にどうって思ったんだけど」
希「えっ、えっ?」
理事長「どうかしら?」
希「えっ?」
11: 2015/10/19(月) 23:25:34.10 ID:l9SabFq/K.net
◆
希「あ、あの、どうぞ」
理事長「おじゃまします」
希「ちょっと散らかってるかも知れませんが」
理事長「そう? そんな風には見えないけど」
希(なんで理事長がウチの家に……)
理事長「食材は何かあるかしら?」
希「あっ、冷蔵庫に」
希「あ、あの、どうぞ」
理事長「おじゃまします」
希「ちょっと散らかってるかも知れませんが」
理事長「そう? そんな風には見えないけど」
希(なんで理事長がウチの家に……)
理事長「食材は何かあるかしら?」
希「あっ、冷蔵庫に」
13: 2015/10/19(月) 23:28:35.97 ID:l9SabFq/K.net
理事長「んー。この分なら……よし、ハンバーグにしましょう」
希「ハンバーグ、ですか?」
理事長「ハンバーグ嫌い?」
希「い、いえ……好きです、大好きです」
理事長「今から作るから、ちょっと待っててね」
希「あっ、その、理事長」
理事長「何?」
希「い、一緒に……一緒に作りませんか?」
理事長「一緒に?」
希「はい! 一緒にハンバーグ、作りましょ!」
理事長「いいわよ。じゃあ、一緒に作りましょうか」
希「ハンバーグ、ですか?」
理事長「ハンバーグ嫌い?」
希「い、いえ……好きです、大好きです」
理事長「今から作るから、ちょっと待っててね」
希「あっ、その、理事長」
理事長「何?」
希「い、一緒に……一緒に作りませんか?」
理事長「一緒に?」
希「はい! 一緒にハンバーグ、作りましょ!」
理事長「いいわよ。じゃあ、一緒に作りましょうか」
14: 2015/10/19(月) 23:29:58.75 ID:l9SabFq/K.net
◇
理事長「なんかこうしてると、ことりと料理した時のことを思い出すわ」
希「小さい時のことりちゃんって、どんなんだったんです?」
理事長「そうね」
ことり『おかーさん。ことりがハンバーグ、こねこねするね』
理事長『はーい。お願いね』
ことり『こ~ねこね♪ こ~ねこね♪』
理事長『上手ね』
ことり『おりょうりたのしぃなぁ』
希「なんか想像したら可愛らしい光景が浮かんできます」
理事長「私の自慢の娘だもの。可愛くて当然よ」
理事長「なんかこうしてると、ことりと料理した時のことを思い出すわ」
希「小さい時のことりちゃんって、どんなんだったんです?」
理事長「そうね」
ことり『おかーさん。ことりがハンバーグ、こねこねするね』
理事長『はーい。お願いね』
ことり『こ~ねこね♪ こ~ねこね♪』
理事長『上手ね』
ことり『おりょうりたのしぃなぁ』
希「なんか想像したら可愛らしい光景が浮かんできます」
理事長「私の自慢の娘だもの。可愛くて当然よ」
15: 2015/10/19(月) 23:31:43.82 ID:l9SabFq/K.net
希「ウチはそんなことしたことないから、なんか羨ましいです」
理事長「ちゃんと親御さんとは連絡取ってる?」
希「あっ、はい。それは大丈夫ですよ」
理事長「よかったわ」
希「別にウチ、家庭崩壊とかしてるワケじゃないですよ」
理事長「ですよねー」
希「あっ、理事長。ハンバーグ、こねました」
理事長「じゃあ調理は私がやるから、食器の方をお願いしていいかしら?」
希「はい」
理事長「ちゃんと親御さんとは連絡取ってる?」
希「あっ、はい。それは大丈夫ですよ」
理事長「よかったわ」
希「別にウチ、家庭崩壊とかしてるワケじゃないですよ」
理事長「ですよねー」
希「あっ、理事長。ハンバーグ、こねました」
理事長「じゃあ調理は私がやるから、食器の方をお願いしていいかしら?」
希「はい」
16: 2015/10/19(月) 23:32:17.95 ID:l9SabFq/K.net
◆
二人「せーの。いっただきまぁーす」
モグモグ
理事長「味の方はどう?」
希「はい、美味しいです」
理事長「ほっ、お口にあって何よりだわ」
希(めっちゃ美味しいわぁ)
理事長「さぁ、どんどん食べなさい」
モグモグ
理事長「それにしても、ことりはこの味を食べられないのが勿体ないわね」
希「この味なら普段でも出してるんじゃ」
理事長「ふふっ、この味は私と東條さん……いえ、希ちゃんと二人で作った味だからね」
希(そういえば、そうやね)
二人「せーの。いっただきまぁーす」
モグモグ
理事長「味の方はどう?」
希「はい、美味しいです」
理事長「ほっ、お口にあって何よりだわ」
希(めっちゃ美味しいわぁ)
理事長「さぁ、どんどん食べなさい」
モグモグ
理事長「それにしても、ことりはこの味を食べられないのが勿体ないわね」
希「この味なら普段でも出してるんじゃ」
理事長「ふふっ、この味は私と東條さん……いえ、希ちゃんと二人で作った味だからね」
希(そういえば、そうやね)
17: 2015/10/19(月) 23:35:14.89 ID:l9SabFq/K.net
理事長「ことりも今頃、穂乃果ちゃんのお家で美味しいご飯食べてるのかしらね」
希「どうでしょうね」
希(ほんま、どうなんやろうね)
理事長「ねぇ」
希「はい」
理事長「二人で作った料理はどうだった?」
希「いつもと違う感じがして新鮮味がありました。それに……」
理事長「それに?」
希「ウチと一緒にご飯食べてくれる人がいるから、もーっと美味しく感じました」
希「どうでしょうね」
希(ほんま、どうなんやろうね)
理事長「ねぇ」
希「はい」
理事長「二人で作った料理はどうだった?」
希「いつもと違う感じがして新鮮味がありました。それに……」
理事長「それに?」
希「ウチと一緒にご飯食べてくれる人がいるから、もーっと美味しく感じました」
18: 2015/10/19(月) 23:35:55.79 ID:l9SabFq/K.net
理事長「それはとても嬉しいわ」
希「これが所謂『お袋の味』ってやつなんですかね」
理事長「どうなのかしらね? んー、あんまり意識したことないわ」
希「ことりちゃんに聞くのが一番かも知れませんね」
理事長「それもそうね」
希「いやー。にしても、ことりちゃんは幸せ者ですね」
理事長「幸せ者?」
希「こんないいお母さんを持って」
希「これが所謂『お袋の味』ってやつなんですかね」
理事長「どうなのかしらね? んー、あんまり意識したことないわ」
希「ことりちゃんに聞くのが一番かも知れませんね」
理事長「それもそうね」
希「いやー。にしても、ことりちゃんは幸せ者ですね」
理事長「幸せ者?」
希「こんないいお母さんを持って」
22: 2015/10/19(月) 23:38:25.73 ID:l9SabFq/K.net
理事長「もう、お世辞言っても何も出ないわよ」
希「いいんです。何も出なくても、ただ……」
理事長「希ちゃん?」
希「今だけ……今の間だけ『お母さん』と呼ばせてくれたら」
理事長「もぉ、希ちゃんったら」
希「ダメですかね?」
理事長「……なんか、ことりに一つ上のお姉ちゃんが出来た感じね」
希「ふふっ、おかーさん」
理事長「だけど、二人だけの秘密よ」
希「はーい。おかーさん」
理事長「のーぞみ」
希「いいんです。何も出なくても、ただ……」
理事長「希ちゃん?」
希「今だけ……今の間だけ『お母さん』と呼ばせてくれたら」
理事長「もぉ、希ちゃんったら」
希「ダメですかね?」
理事長「……なんか、ことりに一つ上のお姉ちゃんが出来た感じね」
希「ふふっ、おかーさん」
理事長「だけど、二人だけの秘密よ」
希「はーい。おかーさん」
理事長「のーぞみ」
23: 2015/10/19(月) 23:39:05.32 ID:l9SabFq/K.net
◇
絵里「おはよう希」
希「えりち、おはようさん」
絵里「何かご機嫌ね。いいことあった?」
希「まぁ、それなりにね」
絵里「何々、教えて」
希「んふふー。内緒や」
絵里「えー、けちー」
絵里「おはよう希」
希「えりち、おはようさん」
絵里「何かご機嫌ね。いいことあった?」
希「まぁ、それなりにね」
絵里「何々、教えて」
希「んふふー。内緒や」
絵里「えー、けちー」
24: 2015/10/19(月) 23:40:22.44 ID:l9SabFq/K.net
希「そういうえりちこそ、昨日はどうやったん?」
絵里「昨日は散々だったわ。約束の時間に遅れて亜里沙に大目玉--お姉ちゃん失格ね」
希「おやおや」
絵里「あっ、昨日は昨日でごめんなさいね。書類の片付け」
希「ええねん、ええねん」
絵里「今日、何か奢るわね」
希「おっ、気が利くやん」
絵里「昨日は散々だったわ。約束の時間に遅れて亜里沙に大目玉--お姉ちゃん失格ね」
希「おやおや」
絵里「あっ、昨日は昨日でごめんなさいね。書類の片付け」
希「ええねん、ええねん」
絵里「今日、何か奢るわね」
希「おっ、気が利くやん」
27: 2015/10/19(月) 23:41:50.88 ID:l9SabFq/K.net
理事長「おはようございます。絢瀬さん、東條さん」
絵里「理事長。おはようございます」
希「おはようございます。お母さん」
理事長「えっ?」
絵里「え、えっ?」
希「あっ」
希(し、しもたぁー!)
理事長「と、東條さん?」
絵里「の、希……貴女」
希(うぉー。やってもぉーたぁー!)
絵里「ことりなら分かるにしても、希が理事長に対してお母さんはないわぁ。あははは、ひぃひぃひぃ」
希(最悪やぁ)
絵里「理事長。おはようございます」
希「おはようございます。お母さん」
理事長「えっ?」
絵里「え、えっ?」
希「あっ」
希(し、しもたぁー!)
理事長「と、東條さん?」
絵里「の、希……貴女」
希(うぉー。やってもぉーたぁー!)
絵里「ことりなら分かるにしても、希が理事長に対してお母さんはないわぁ。あははは、ひぃひぃひぃ」
希(最悪やぁ)
28: 2015/10/19(月) 23:43:26.00 ID:l9SabFq/K.net
絵里「先生をお母さんって間違えるのなんて、よくて小学校くらいまでよ」
希(あぁー。終わった)
理事長「あらあら絢瀬さん。彼女のことを笑ってはいけませんよ」
絵里「はひ?」
理事長「人間誰にだって間違いはあります。友人が間違えたことをすれば笑うのではなく、優しくフォローしてあげなさい。貴女は生徒の規範である『生徒会長』なんですからね」
絵里「は、はい……」
希「えりち……」
絵里「希。ごめんなさい」
希「ええよ、ええよ。えりちはウチの大切な友達やから」
絵里「うぅー、のぞみぃー」
希(あぁー。終わった)
理事長「あらあら絢瀬さん。彼女のことを笑ってはいけませんよ」
絵里「はひ?」
理事長「人間誰にだって間違いはあります。友人が間違えたことをすれば笑うのではなく、優しくフォローしてあげなさい。貴女は生徒の規範である『生徒会長』なんですからね」
絵里「は、はい……」
希「えりち……」
絵里「希。ごめんなさい」
希「ええよ、ええよ。えりちはウチの大切な友達やから」
絵里「うぅー、のぞみぃー」
30: 2015/10/19(月) 23:46:01.47 ID:l9SabFq/K.net
理事長「まぁでも、東條さんが私のことをお母さんと呼んだのには、ちゃんとした理由がありますけどね」
絵里「えっ」
理事長「ですよね。東條さん」
希「はい」
絵里(えっ、何これ)
理事長「それでは私はこれで」
希「はーい」
絵里「希!」
希「はい?」
絵里「どういうことか説明して!」
希「何を?」
絵里「理事長とのことよ!」
希「えぇー。ウチのこと笑ったえりちに教えるのは嫌やなぁ」
絵里「ケチくさいこと言わず、気になるから説明してぇー!」
それは無理な相談やな。
だって、ウチとお母さんとの--
二人だけの秘密やからね。
おしまい
絵里「えっ」
理事長「ですよね。東條さん」
希「はい」
絵里(えっ、何これ)
理事長「それでは私はこれで」
希「はーい」
絵里「希!」
希「はい?」
絵里「どういうことか説明して!」
希「何を?」
絵里「理事長とのことよ!」
希「えぇー。ウチのこと笑ったえりちに教えるのは嫌やなぁ」
絵里「ケチくさいこと言わず、気になるから説明してぇー!」
それは無理な相談やな。
だって、ウチとお母さんとの--
二人だけの秘密やからね。
おしまい
33: 2015/10/19(月) 23:49:17.76 ID:HJ1iurgYd.net
素晴らしいとしか言えない
乙です
乙です
引用元: 希「理事長と夕飯」
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