1: 2013/11/02(土) 08:43:16.54 ID:I6lS4tHao
モバP(以後P)「ああ。企画というか、試みとしてどうかなって」

菜々「えぇと、50年代から60年代ぐらいにヒットした英語圏のポップス、でしたっけ?」

P「定義はそうだが、最近はもっと緩く捉えた使い方をするらしい。まぁ、ここでは懐メロ、ぐらいのニュアンスで聞いといてくれ」

菜々「わかりました。それで、選曲はどうするんですか?」

P「色々だな。こちらから提案したのもあるけど、概ねアイドル達に選ばせてみた」

菜々「ああ、Pさんがよく掛けてるから、みんなもそれなりに聞いてますもんね」

P「ああ。俺が選ぶとどうしても偏るかな、ってのもあるんだ。なので自由に提案してもらえると嬉しい」

菜々「おおー、仮にCDとかなったら権利関係ですごいお金がかかりそうな企画ですねっ」

P「まぁ、実現性はとりあえず置いといてくれるか?(苦笑)」

菜々「分かりましたっ。それじゃ、菜々は何にしようかなっ♪ キャハッ!」

P「菜々はマイウェイ」

菜々「えっ」


アイドルマスター シンデレラガールズ シンデレラガールズ劇場(9) (電撃コミックスEX)

2: 2013/11/02(土) 08:44:14.11 ID:I6lS4tHao
P「マイウェイ。シナトラの」

菜々「いま~船出が~♪ ……って、なんでですか!」

P「えっ、嫌か? 名曲じゃないか。シナトラとアンカのエピソードも素晴らしい」

菜々「あ、そ、そうですねっ。別に嫌ってわけじゃないんですけど…なんというか、イメージが……」

P「ちなみに歌い出し。菜々が歌ったあたりは原語だと"そして今終わりが近づき、私は終幕に面している"って感じ。人生を生ききった人の美しさを歌った詞だな」

菜々「や、やっぱりそういうネタなんじゃないですか! 菜々は十七歳ですっ! 人生はこれからですからっ」

P「じゃ、キャプテンジャックとかどうだ? ビリージョエルじゃなくて、キャプテンジャックのやつな」

菜々「えーおーキャプテンジャッ♪ ていうやつですよね。ちょっと懐かしいけど、あれはオールディーズなんですか?」

P「うん、むしろ年代よりも、そういう"誰かにとってちょっと懐かしい"をメインにする方向で。まぁ、"セブンティーン イズ ザ ベスト"ってラップが入るだけなんだけど」

菜々「なんですかそれ! Pさんさっきから菜々の扱いが酷すぎますっ!」

P「まー、それはさておいて」

菜々「さておかないで下さい! 大事な話ですっ」

P「はいはい大事っすね。で、これから一通り聞いてみようと思うんだが、菜々にも一緒に聞いて欲しいんだよ」

菜々「もう……。人選になんとなく含みを感じるんですけど……分かりました」

3: 2013/11/02(土) 08:44:47.80 ID:I6lS4tHao
P「よし、それじゃ早速行こう。最初は誰だ?」


藍子「私です、プロデューサーさん」

P「藍子か。CD発売も決まって気合い充分だな! それじゃ一発熱いやつをかましてくれ!」

藍子「あ、熱いかどうかは……。ともかく、準備しますね」




4: 2013/11/02(土) 08:46:00.79 ID:I6lS4tHao
■高森藍子 (They Long to Be) Close to You


きゃっ!?

あっ、いえ、急に鳥が飛んできたので、驚いただけです

 もう、どうして貴方と一緒にいる時って、こういう事が多いんだろ

──私と一緒で、彼の近くにいたいのかな?──

 なんて、私が彼の方ばかり見てるだけだよね



 今日は夜の散歩

 なんちゃって、収録で遅くなっちゃった帰りなんだけど

 あ、星が綺麗。どうして、彼と歩いている時はこんなに星が綺麗なのかな

──私と一緒で、彼の近くにいたいのかな?──

 なんて、彼を見上げるついでに空がよく目に入るだけだよね



5: 2013/11/02(土) 08:46:27.71 ID:I6lS4tHao

 きっと貴方が生まれた時、天使とか神様とか、そういう人達が集まって、夢を叶えるちからをくれたのね



 事務所ではとても無理だけど、今だけ彼を独り占め

 どうして、事務所の子達はいつも彼について回るのかな

──私と一緒で、彼の近くにいたいのかな?──

 なんて、仕事だもんね。仕方がないよね


 ああ、もっと貴方の傍に行きたいな


  ああ、もっと貴方の傍に行きたいな


――――
――


6: 2013/11/02(土) 08:47:25.04 ID:I6lS4tHao
菜々「これはカーペンターズですよね」

P「おう。アレンジは別のアーティストっぽかったかな」

菜々「芯はあるけど、誰かにぶつけるわけじゃない、そんな感じが藍子ちゃんのイメージにも合ってた気がします」

P「んー、しかし随分恣意的な解釈だな……。藍子ってこんな風に内にふつふつと感情溜めて燃やすタイプか?」

菜々「うーん?」

P「ま、歌の話であって、藍子がこんな風に思ってるわけではないだろうけどさ」

菜々「Pさんて、スカウトする目は確かだけど、他はわりと節穴ですよね」

P「えっ!? な、なんで!? ウサミンなんで!?」

菜々「おしえませーん。ウサミン星の辞書には敵に塩を送るって諺は載ってないのです」

P「敵って断言された……鬱だ…。もう次いこう…」


7: 2013/11/02(土) 08:48:00.91 ID:I6lS4tHao

菜々「次は誰が歌うんですか~?」


志乃「私よ」

菜々「えっ」

志乃「何かおかしいかしら?」

菜々「あ、いえ、その……」

P「気にしないで下さい。菜々は志乃さんに対してただ事務所にたむろして酒を飲む酔っぱらいというイメージを持ってるだけなんです」

菜々「なっ!?」

志乃「そう……。菜々ちゃんが私の事をどう考えているか、とても良く分かったわ。ちょっと寂しいけれどね」

菜々「ちちち違いますよ!? そんな風に思ってませんからねっ! Pさんが勝手に…もー、なんでそんな事言うんですか!」

菜々「あああごめんなさいごめんなさい! 違うんです、確かに志乃さんはいつもお酒飲んでるイメージですけど…」

P「志乃さん、もう行っちゃったぞ」

菜々「え」

P「志乃さんは……おお、これは前奏で分かる超有名曲だな。さすがにトランペットは吹かないか」



8: 2013/11/02(土) 08:48:33.85 ID:I6lS4tHao
■柊志乃 La Vie En Rose

 抱き寄せて 近く 早く
 あなたが唱える魔法の呪文
 これがla vie en rose(バラ色の人生)

 あなたのキスで漏れる溜息
 目を閉じているのに
 私にはla vie en rose(バラ色の人生)が見えているの

 あなたが私を抱き寄せてくれたら
 私は夢心地
 薔薇の花咲く別世界にいるの

 あなたの声は天使の歌声
 些細な言葉も恋の歌に変わるわ

 あなたの心も魂もわたしに頂戴?
 そうすれば
 人生はいつだってla vie en rose(バラ色の人生)だもの


────
──

9: 2013/11/02(土) 08:49:30.57 ID:I6lS4tHao

菜々「……すごい…」

P「ホント、その一言だな」

菜々「ずっと聞いていたいです。私、ファンになっちゃいました!」

P「ああ、それが長い歌は駄目なんだ。トレーニングをもっと真面目にやってくれたら大きな舞台だって用意してあげられるのに……」

菜々「うぅ~、残念です。あ、あと、歌の歌詞初めてちゃんと知りました。なんていうか、すごいですね」

P「菜々は大人なんだからもうちょっと語彙を増やせないのか?」

菜々「お、大人なら語彙が増えるってわけじゃないです! あ、て、ていうか大人じゃないです、十七歳ですぅ!」

P「はいはい、セブンティーン イズ ザ ベスト」

菜々「うぅ…、えっと、大人の恋、って感じがしました」

P「そうだなぁ、流石大人、色んな経験をしてきた、って感じがするな。これはキャラもあるから、成人でも菜々には似合わないかもしれないな」

菜々「未成年ですってば! なんなんですかもう! ……やっぱり、お相手がいるんですかねー? 菜々も素敵な人とのキス、憧れちゃうなー」


10: 2013/11/02(土) 08:50:02.15 ID:I6lS4tHao
P「ウサミン星の王子様としたんだろ?」

菜々「あっ、そ、そうですよ! で、でも、ファンのみんなの為にお姫様にはならなかったんですっ」

志乃「私にお相手がいるか、ですって?」

P「あ、お帰りなさい」

菜々「お帰りなさい♪ やっぱり、おられるんですか?」

志乃「そうね、いるわ。正確には、今は違うけど、いずれそうなるつもりよ」

P「うわ、マジですか? 志乃さんの事だからスキャンダルとかは心配してません、けど……なんだかもやもやするなぁ。くそっ」

志乃「ふふ、嫉妬してくれるの? けど、今のあなた、犬と肉よ」

P「へ?」

菜々「どういう事ですか?」

志乃「古い寓話よ。それじゃ、喉が渇いたから失礼させて貰うわね」



11: 2013/11/02(土) 08:50:31.57 ID:I6lS4tHao
P「菜々は志乃さんの話分かったか?」

菜々「いえ、全然」

P「…………」

菜々「…………」

P「つ、次行こう次!」

菜々「そ、そうですね♪ 次は誰かな? キャハッ!」


12: 2013/11/02(土) 08:51:54.96 ID:I6lS4tHao
──────────




こんな風に、古めの洋楽で適当にだらだらやってく予定です。

歌詞からのアプローチメインでやっていこうと思うんですが、
・怖いので翻訳を拾ってこないで自力で訳す
・自分の英語力だと間違ってる
・キャラに合わせて一部を強引に改変
ので、元の歌詞とニュアンスが異なるであろう部分が多数あります。許して。

あと、藍子のやつみたいに訳じゃなくて歌詞を元にストーリーっぽくしてみたり。



曲名でぐぐれば色々出てくると思うので、興味が湧いた方は是非ぐぐってみて下さい。




──────────

13: 2013/11/02(土) 08:52:26.16 ID:I6lS4tHao
楓「高垣楓です」

P「あっ、楓さんですか」

菜々「今から楽しみですねっ。楓さんは何を歌ってくれるんでしょう?」

P「楓さんもオールディーズは結構聞かれるんですよね」

楓「はい。オールディーズはオールデイズ聞いていられるぐらい好きです。ふふっ」

P「…………」

菜々「…………」

楓「けど、今回はオールディーズといって良いんでしょうか。そんな感じの選曲にしてみました」

P「ほうほう?」

楓「私自身、すごく好きで、尊敬していた歌手なので、追悼という訳ではないんですけど」

菜々「と言うことは、最近亡くなられた方なんですか?」

P「あっ、なるほど」

菜々「? Pさんは分かったんですか?」

P「まぁ、聞いてみようよ」

楓「はいっ。それじゃ、準備しますね」



17: 2013/11/02(土) 20:39:34.32 ID:I6lS4tHao
>>13を下記に差し替え

楓「高垣楓です」

P「あっ、楓さんですか」

菜々「今から楽しみですねっ。楓さんは何を歌ってくれるんでしょう?」

P「楓さんもオールディーズは結構聞かれるんですよね」

楓「はい。オールディーズはオールデイズ聞いていられるぐらい好きです。ふふっ」

P「…………」

菜々「…………」

楓「けど、今回はオールディーズというより、自分の中で懐かしくて大好きな歌。そんな感じの選曲にしてみました」

P「ほうほう?」

楓「私自身、すごく好きで、尊敬していた歌手なのですが、少し前、急に亡くなられて」

菜々「菜々も分かります。もう二度と歌う姿が見れないと思うと、すごく悲しいですよね」

楓「はい…。けど、気楽に聞いて下さい。別に追悼というわけではないんですから」

菜々「はーいっ」

楓「それじゃ、準備しますね」


P「…逝ってしまった偉大な歌手か……。菜々の場合は美空ひばりだっけ?」

菜々「あぁ~河の流れのように~♪ ってなんでですか! ひばりさんが亡くなった時は本当に生まれてませんから!」

P「……"本当に"?」

菜々「……」

P「……」

菜々「キャハッ♪」



18: 2013/11/02(土) 20:40:48.42 ID:I6lS4tHao
■高垣楓 Saving All My Love For You

 遅いですよ、プロデューサー 待ちくたびれちゃいました

 なかなか時間が合わないですね 前に飲んだのはいつだったでしょうか

 あ、怒っているわけではないんですよ? ふふ、はい、おしぼりです

 プロデューサーがついてないといけない子もいますから、その子を優先して下さい

 ──無理は言えないって分かるんです だから、せめて一番は、私が貰っていいですか?

 プロデューサーは、今まで出会ったどんな人とも違う気がします だから、一番いいところは取っておきました


 何の一番か、ですって? ふふっ、何でしょうね?


19: 2013/11/02(土) 20:41:31.34 ID:I6lS4tHao

 私、一人が気楽だと思ってたんです あまり人に合わせるのは得意じゃないから

 だけど、今じゃその時の気持ちが信じられないですね え、人恋しくて彼氏でも作るんじゃないかって? 怒りますよ、もう

 ふふ、冗談ですよ 怒ってないです

 ──私もそう思うんです こんな人じゃなくて、もっと容易な相手を見つけようって けど、そう思うと、それだけで気持ちが塞いで悲しくなるんです

 家ですか? 寝に帰るだけですね 一人でいると、そんな事ばかり考えてしまうから

 そんな事って何かって? 私そんな事言いました? ふふ、プロデューサー、もう酔ったんですか?


 いいんです こうしている今が、"とっておき"なんですから


20: 2013/11/02(土) 20:42:09.77 ID:I6lS4tHao

 仕事の方はどうですかって?

 いつか話しましたよね 仕事を休んで、一緒にどこかに逃げようって

 ふふ、分かってますよ 温泉にでもつかってのんびり骨休めをしてこよう、って話ですよね 美味しいお酒を飲んで

 それまで頑張ろうって 少しの間頑張ろうって なんだかもうずっと昔の話のような気がします あ、待ってるんですからね?

 ──本当に、一緒に逃げよう、って言ってくれたら 私はどうするかしら きっと応じてしまいます ただの夢ですけれど


 少しでも長くこうしていたいから ほっとする時間が欲しいから

 プロデューサーが暖簾を潜って入って来た時 今夜すべてがうまく行く気がしたんです


 ──こうして夜通し、大好きなあなたと互いに杯を傾けあって これが私の"とっておき"なんです


────
──



21: 2013/11/02(土) 20:43:26.26 ID:I6lS4tHao

菜々「ほわぁー…」

P「…………」

菜々「相変わらずの歌唱力ですね…って、Pさん? どうしたんですか?」

P「あ、いや、これ、こんな内容だったかなと思って。不倫の歌だと思ったけど」

菜々「竹内まりやみたいな?」

P「そうそう。あと気のせいかな、プロデューサーって言ってなかった?」

菜々「い、言ってないと思いますよ!?」


22: 2013/11/02(土) 20:44:01.34 ID:I6lS4tHao

楓「どうでしょう?」

菜々「あ、お、お帰りなさい! 今の、どなたの曲なんですか?」

P「えんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

菜々「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! って、急にどうしたんですか」

P「……で、有名なホイットニー・ヒューストンだ。本当に素晴らしかった! 俺も大好きなんですよ、ホイットニー」

菜々「あぁ! これもホイットニー・ヒューストンだったんですね」

楓「はい。今の歌はカバーで、オリジナルは別の人なんですが…とにかく、大好きだったので、残念です」

P「そうですねー。まだまだ亡くなるような歳じゃなかったのに」

楓「はい。ヒューストンていう響きも色々応用が効きそうで好きだったんですけど……」

P「ホントに尊敬してんのかあんた!」


23: 2013/11/02(土) 20:45:26.85 ID:I6lS4tHao
楓「ふふ、冗談ですよ。ところでプロデューサー、今晩都合どうですか?」

P「え、なんですか?」

楓「久しぶりに、飲みに行きませんか? 今夜すべてがうまく行く気がするんです」

菜々「!?」

P「? えーと今夜は…」

菜々「あ、あ、あ! Pさん今夜はあれですよ、ほら、あれがあるじゃないですか!」

P「え、なんかあったっけ」

菜々「もー、忘れちゃったんですか! ええと、あの、えーっと…」

P「あ、そうか。イベントの経費資料纏めないといけないんだった。すいません、楓さん、今日はちょっと…」

楓「そうですか…」 シュン

P「こ、今度! 今度埋め合わせしますから!」

楓「はい、待ってます。それじゃ」 ニコッ

P「はーい、おつかれさまです」


24: 2013/11/02(土) 20:49:06.88 ID:I6lS4tHao
菜々「お、おつかれさまでしたー。……ごめんなさい」

P「? しかし、なんで菜々がそれ知ってるんだ? ちひろさんに直接言われただけなのに」

菜々「あ、あれー? なんでかな、たしかPさんが言ってたんじゃないかなー!」

P「そっか。ま、思い出させてくれてありがとな。それじゃ、次いくか」


李衣菜「はいっ! 任せてください! 私が往年のロックの名曲を歌い上げます!」

P「おー、だりーなか。可愛いやつを一発頼むぜ。コーデッツみたいなの」

李衣菜「嫌です! 私はロックに生きるんです!」

P「そうかーがんばれー」

李衣菜「ぐぬぬ…。けど、なつきちに貸して貰ったCDからこれぞと言うのを選んできましたからね。絶対Pさんもきっと、これからは私をもっとロックにプロデュースするよう悔い改めますっ」

P「そうかーがんばれー」

李衣菜「うぅ……。絶対吠え面かかせてやる…」



25: 2013/11/02(土) 20:51:43.77 ID:I6lS4tHao
■多田李衣菜 We'll Be Together

 私といる君の事、君の仕草のぜんぶ それが心の中でぐるぐる、回ってる

 雨が降っても槍が降っても 私達は一緒にいるべき 他になんにもいらないの


 君と一緒に踊りたいな

 雨が降っても槍が降っても 私達は一緒にいるべき 他になんにもいらないの


 ねね、私の事、呼んでみて? 別になんでも、君の好きなように呼んでくれて良いけど

 ベイビーって呼んで欲しいな、かっこよく ね、私の事、ベイビーって呼んでみて


 君といるためなら、世界中の海を泳いで渡ってみせる! 夜になったら明かりが必要なぐらい、君の事が必要なの

 君の名前を聞くだけで、私の気持ちは燃えちゃいそう だから一緒にいるの 今夜ずーっと一緒にいようね


────
──

26: 2013/11/02(土) 20:52:55.03 ID:I6lS4tHao

李衣菜「どうですかっ!」ドヤァ

P「…………」

菜々「……なんていうか」

李衣菜「ふふん、言葉も出ないようですね。もうにわかとか言わせませんからねっ」

P「……だりーなかわいい」

李衣菜「ファッ!?」

菜々「うん、歌詞が分かると途端に可愛く聞こえますねこの歌」

李衣菜「菜々さんまで!?」

P「やっぱそう思うよな? しかも歌ってるのがスティングじゃなくて可愛いだりーなだぞ。もう[ピーーー]気かと」

菜々「ベイビーって呼んで、ってとことか、意味が分かるとすっごく可愛く聞こえますよね。まとわりつくうざかわな感じ」

P「はぁ……やっぱだりーな可愛いわ」

李衣菜「か、可愛いとか言わないで下さい!(////) 私はロックにいきたいんです! つ、次です、リベンジします!」

P「あーうん、可愛いだりーななら何でも許しちゃう」




27: 2013/11/02(土) 20:55:24.75 ID:I6lS4tHao
■多田李衣菜(リベンジ) Daddy, Brother, Lover, Little Boy

もし君が花火になるなら、私はその導火線になるよ

君が泣いているなら、私がその悲しみを晴らしてあげるね


女の子がついていけないような場所に行くなら、私いくらでもお転婆になる

なんだってしてあげたいの!


君が探しているものは全部、私の中に見つけて欲しいの

君が必要とするあらゆる種類の人に、私、なれるよ?

私はあなたのママで、お姉さんで、恋人で、娘だよ


君がその、もし、ムラムラッときちゃった時は、わたしに言ってほしいの

君がくれた愛の全てを、わたし倍にして返してあげるね

君の部屋で、その ……する時は、君の望む事、全部してあげる!


君が探しているものは全部、私の中に見つけて欲しいの

君が必要とするあらゆる種類の人に、私、なれるよ?

むしろそれ以上になれるから!

私はあなたのママで、お姉さんで、恋人で、娘だよ


────
──

28: 2013/11/02(土) 20:55:58.04 ID:I6lS4tHao
李衣菜「ど、どうですか! 今度はロックじゃないなんて言わせませんよ!」 ゼェゼェ

菜々「…………これは歌詞の意味が分かっちゃいけない気がしました。選曲はすごくロックなのに」

P「うん、可愛すぎだろう。しかも歌ってるのが可愛い可愛いだりーなだぞ。もう何度氏にかけた事か」

李衣菜「かっ…」

P「いやー、李衣菜は本当に可愛いな」

李衣菜「(////)」


29: 2013/11/02(土) 20:56:36.20 ID:I6lS4tHao

菜々「(真っ赤になって黙っちゃった)…これ、本当にこういう歌詞なんですか?」

P「おう。割とこんな感じだぞ」

菜々「これ、ミスタービッグですよね?」

P「ロマーンス」

菜々「全くグレイトだぜ……じゃなくって」

P「よく知ってるな。ともかく、そうだ。ミスタービッグの91年のアルバムだったかな」

菜々「なんていうか……」

P「まぁ、超絶プレイに乗せた攻撃的な曲調に、受け身な求愛の歌詞だからな。ギャップは感じるよな」

李衣菜「な……」

P「おっ、どうした李衣菜。あっ、もちろん二曲ともすごく良かったぞ!」

李衣菜「なつきちぃぃぃぃぃ! Pさんがぁぁぁぁぁ!」 ウワァァァァン

菜々「あっ」

30: 2013/11/02(土) 20:57:40.03 ID:I6lS4tHao

P「あー、行っちゃった…。うーん、褒めてるつもりなんだけどなぁ。あいつ本当に可愛いし」

菜々「……Pさん的にはやっぱり、李衣菜ちゃんが一番可愛いですか?」

P「うん。いや、うちのアイドルはみんな一番に可愛いけど。例外はない」 キリッ

菜々「…な、菜々も可愛いですか?」

P「当然だろう。つか、俺は一番可愛いと思った子しかスカウトしないし、スカウトした子は一番可愛いんだ。例外は既にアイドルになっててスカウト出来なかった子ぐらい」

菜々「と、当然って……えへへ(////)」

菜々「けど、李衣菜ちゃんに一番言ってますよね?」

P「あーそうかも。李衣菜は反応が面白くってついなぁ」

菜々「だから嫌がるんじゃないですか?」

P「そうかな……今度から軽々しく言うのをやめて、真剣に可愛いって言う事にしよう」


31: 2013/11/02(土) 20:58:16.71 ID:I6lS4tHao

菜々「そ、そういう問題じゃ……」

P「菜々、可愛いよ」 キリッ

菜々「ふぇっ? えっと、そんな、急に、でも、嬉しい……(////)」 テレテレ

P「こんな風に言ったらやっぱ嫌がられるかなー」

菜々「だ、駄目ですよ! 絶対嫌がらないと思いますけど駄目です!」

P「え、そ、そう? 嫌がらないならいいじゃん」

菜々「そういうのが駄目なんです! 事務所潰す気ですか!」

P「あ、いえ、その、す、すいません……」

菜々「分かればいいんです分かれば! さ、次行きましょう!」

P(なんで事務所が潰れるんだ…)


34: 2013/11/03(日) 14:28:24.63 ID:+2jqwK1Ro
ほたる「あ、あの…すみません。次、良いですか?」

P「おっ、ほたるか。最初から来てると思ったけど遅かったな、何かあったか?」

ほたる「い、いえ…特には。電車が止まって、代わりに乗ったバスが道を間違えちゃっただけですから…」

P「そ、そうか…」

菜々「バスが道を間違えるなんてあるんですね…」

P「しかし、ちょっと意外だな、ほたるは昔の歌とか聞くんだな。何を歌ってくれるんだ?」

ほたる「あ、はい。それは…」

P「あーいや、すまん! 先に歌ってくれるか? 聞いてからがいいだろう」

ほたる「あ、は、はいっ! それじゃ、いってきます」



35: 2013/11/03(日) 14:28:58.28 ID:+2jqwK1Ro
■白菊ほたる The Rose

 ある人は言います 愛とは川のようだと か弱い葦はその流れに押し流されるしかないと

 ある人は言います 愛とは剃刀のようだと 触れれば切り裂かれて、悲しい血の涙を流すと

 またある人はこうも言います 愛とは餓えであると それは果てのない、苦しい欲求だと

 けど私は思うんです 愛は花なんじゃないかって そして私達は一粒の種


 思うんです 傷つく事を恐れていたら ダンスを覚える事はできないし

 夢から醒める事を恐れていたら チャンスを掴む事もできないんじゃないかって


 与える事を損だと思う人は 与えて貰う事もないんじゃないかな

 氏を恐れていては 生きる意味を知ることもないんじゃないかな


 夜になって、寂しい闇に包まれ 道のりがあまりに長く遠く思えても

 愛はただ、強く幸運な人だけのものじゃないかって考えてしまう時も


 思い出して 終わらない冬はないって事

 冷たい厚い雪の下にも、種達は眠っています

 春になれば、お日様の愛を注がれて いつしか花を咲かせるんです


────
──

36: 2013/11/03(日) 14:29:59.57 ID:+2jqwK1Ro

P「…やばい、泣けてきた」 グスッ

菜々「これ、聞いた事あります。都はるみさんか誰かが歌ってませんでした?」 グスッ

P「ああ、ジブリ映画だったかな。それで使われてたな」

ほたる「あ、は、はい。私もおもひでぽろぽろで知りました」

P「おぉ、お帰り。おもひでぽろぽろなんてよく知ってるな。菜々が高校生ぐらいの時の映画なのに」

菜々「えっ、そんな最近…じゃなくて!」

P「91年の映画だからなー。あれあれ、安部さんは"高校時代"が過去の話なんですかね?」

菜々「菜々は17歳です、現役の女子高生ですからっ」

ほたる「あ、そ、そうなんですか?」

菜々「ほたるちゃんまで!?」 ガーン

ほたる「あ、いえ、そうではなくて。91年なんて、私生まれてないです…テレビで見たので」

37: 2013/11/03(日) 14:31:22.33 ID:+2jqwK1Ro
P「まぁ、そういう経緯もあって、聞いた事はある、って人は多い曲かもしれないな」

ほたる「は、はいっ。私、前の前の事務所が潰れて、もう諦めようかなって時にこの歌を聴いて…」

P「元々は、ジャニス・ジョプリンていう実在のカリスマロックシンガーをモデルにした映画『ローズ』の主題歌なんだが」

菜々「あ、そうなんですか? それもおもひでぽろぽろみたいな話で?」

P「いや、そうではないんだが…。まぁ、モデルのジョプリン自身、派手で刹那的な外見の反面で、シャイで家族思いの人だったらしいから」

P(言葉を選んでしまった。元ネタが絡むと何と言って紹介すればいいか難しい歌だよなこれ)

ほたる「?」

P「と、ともかく! 諦めずに求め続ける事を、優しく、穏やかに諭して、励ましてくれる、本当に良い歌だよな!」

ほたる「…! はいっ! 聞くだけで、一人じゃないんだ、って力が湧いてくる、素敵な歌です。プロデューサーさんに似ています」

P「えっ、どこが…」

ほたる「えっ、あ、あの……(////)」

菜々「もー! Pさんはどうしてそうなんですか!」

38: 2013/11/03(日) 14:32:16.29 ID:+2jqwK1Ro
ほたる「わ、私もいつか、この歌みたいに、みんなを勇気づけてあげられるようなアイドルになりたいと思いますっ。だからその、どうかこれからも宜しくお願いしますっ」 ペコッ

P「お、おう。ふつつかなPですが、こちらこそ末永くよろしくお願い致します」 ペコリ

ほたる「!! す、末永く…って……(//////)」

 タタタッ



P「あー、行っちゃった」

菜々「Pさんって、いつもあのノリでお仕事とか取ってくるんですか?」

P「え、いや、流石に事務所の子と雑談するノリではないぞ。当たり前だろ、どうしたんだ?」

菜々「いえ……修羅場製造機みたいな人だなと思って」

P「ははは、あのぐらいの冗談で修羅場になられたら、今頃この事務所は大変な事になってるって」

菜々「はぁ…もういいです。それで次は誰ですか?」



39: 2013/11/03(日) 14:33:40.66 ID:+2jqwK1Ro
小梅「わ、私…です…」

P「おっ、小梅か。小梅もオールディーズとか聞くのか?」

小梅「ど、どうだろ…。よ、よく分からないけど……知ってる歌が、あ、あったから…」

P「おー、それで参加してくれたのか。ありがとな!」 ナデナデ

小梅「う、うん……」

菜々(小梅ちゃん、目を閉じて撫でられてる…猫みたいでかわいい)

小梅「あ、あのね、Pさん。頭よりも……」

P「ん? お、おぉ、そうだったな」 ナデナデ

小梅「ん──…」

菜々「な、な、な、何やってるんですか!?」

P「え? あ、いや…」

小梅「ふぅ…。そ、それじゃ…行ってきます…ね?」

P「おう」


40: 2013/11/03(日) 14:34:30.34 ID:+2jqwK1Ro

菜々「……おう、じゃないですよ! お、お、女の子の喉を撫でるなんて、どういう了見ですかっ」

P「やー、小梅って猫っぽいとこあるじゃない?」

菜々「そ、それは菜々も思いましたけど…」

P「おっ、菜々も見た事あるか? 時々何もない虚空を見つめてて。ぼーっとしてるのかなと思ったら、目が何か追いかけてるんだよな」

菜々「え、そ、それは……それって…」 ゾォォ

P「ま、それでこないだ悪ふざけでちょっとやってみたら、気に入ったらしくてさ……」

菜々「……あ、始まりましたよ」

P「おー、これか。なるほどな」

菜々「あ、これは菜々でも分かります。けど、どうして"なるほど"なんですか?」

P「あー、説明は後でな」



41: 2013/11/03(日) 14:35:37.78 ID:+2jqwK1Ro
■白坂小梅 Stand by Me

 夜になって、あたり一面…暗闇に包まれて 月の光だけ…しか見えない…ような時でも

 私は…怖くないよ あなたが近くに…いてくれるなら

 だからPさん…近くにいてね そ、そう…近くに…いてほしいの


 空が墜ちてきたって… や、山が海に転げ落ちたって

 私は大丈夫…泣いたりしないの あなたが…近くにいてくれる限り

 だからPさん…近くにいてね そ、そう…近くに…いてほしいの


 Pさんが…困っている時も 近くにいてくれる?

 私でも…力になれる事が…あ、あるはずだから……


────
──

42: 2013/11/03(日) 14:36:08.52 ID:+2jqwK1Ro

菜々「これも、映画の主題歌ですよね?」

P「ああ、映画でリバイバルヒットしてるな。小梅も映画で知ったクチだと思う」

菜々「え、あれってホラーだったんですか? 確かにちょっと怖かったけど…」

P「いや、原作者のスティーブン・キングがホラー作家なんだよ。ミザリーなんかは日本でも有名じゃないかな」

菜々「ああ、そういう!」

P「小梅も別にホラーしか見ないわけじゃないだろうけどな。……それにしても、あの映画、好きだったなぁ」

菜々「リバー・フェニックスかわいかったですよね!」

P「クリス役か。彼の訃報を聞いて回想するところから始まるけど、リバーももう鬼籍に入ってるんだなぁ…」

菜々「この手の話題だとどうしても、もういない方の話が出てきちゃいますね…」

P「戻そう、戻そう。俺、メインの四人全員に共感しちゃうんだよね」

43: 2013/11/03(日) 14:38:03.11 ID:+2jqwK1Ro

菜々「どの子も、身近にいそうな身近さと可哀想さがありましたよね」

P「そうなんだよなぁ。あと思春期っつーか、中二病っつーか、突っ張ったことがしてみたくて、みたいな」

P「そもそも旅のきっかけ自体そうなんだけど、ゴーディとか物静かで内向的な子がさ、なんだったかな。ええと」

P「『でけぇヤツをぶち込んでやる。その薄汚い尻に』」


小梅「…た、ただいま……」

P「お、おう! お帰り!」

小梅「お、お尻とか…爆発すれば…いいのに…」

P「ん?」

菜々「ち、違うよ!? 菜々とPさんは、映画の台詞の話をしていただけで…」

P「ああ、そうそう。小梅もスタンドバイミーを知ったのは映画がきっかけだろ?」

小梅「そ、そう…。ま、間違って借りたのが…きっかけだけど……あの映画は好き」

P「おっ。小梅には男の友情が分かるか!」

小梅「? わ、わたしも…あんな冒険、してみたい…氏体を見に…。Pさん、こ、今度、ああいうの…連れていってく、下さい…」

P「」

菜々「」

44: 2013/11/03(日) 14:46:42.52 ID:+2jqwK1Ro

小梅「で、でも……レイ・ブラワーは可哀相。だから私が…ブラワー役を…」

P「すんな!」

────

───

──

菜々「独特の感性を持った子ですよね、小梅ちゃんて…」

P「でも、いい子だろ?」

菜々「あ、はい。それは勿論っ」

P「しっかし、スタンドバイミーは名曲だけど、小梅の好みからは外れてる気がするんだよな。男の子の古い友情の歌だろ? わざわざ合わせてくれたのかなぁ」

菜々(映画の先入観なしに聞いたら、愛の歌ともとれる気がするんだけど…)

P「ま、いっか。さ、次は誰だ?」

※映画のあらすじ
 12歳の少年たちが、中学に上がる前の夏休み(アメリカは夏休み明けに学年が上がる)に氏体を見に旅する話。
 レイ・ブラワーは少年たちが探し求める氏体。ブルーベリーを摘みに出て、汽車にはねられたらしい。
 ゴーディは主人公で、クリスはその親友。


47: 2013/11/04(月) 06:42:57.62 ID:H77mYwODo

麗奈「アーッハッハッ…ゲホゲホ。次はこのレイナサマよ!」

P「おっ、麗奈か。練習してきたか?」

麗奈「とーぜんでしょ! アタシは野望の為なら努力を惜しまないのよ」

菜々「麗奈ちゃんは何を歌うんですか?」

麗奈「Badよ!」

菜々「えっ? マイケルジャクソンの?」

P「ああ。世界のスーパースター。キング・オブ・ポップのマイケルジャクソンだ」

麗奈「そうよ! そしてBadは"ワル"って意味なの。どう、アタシにピッタリでしょ!」

菜々「えっ、あっ、うーん? これ、選曲は麗奈ちゃんが?」

麗奈「違うわ。Pに選ばせたのよ。このアタシに一番相応しい曲を用意しなさいってね!」

菜々「やっぱり…」

麗奈「さ、準備するわ。そこで聞いていなさい!」



48: 2013/11/04(月) 06:44:29.01 ID:H77mYwODo

■小関麗奈 Bad

 アンタの考えなんてお見通しよ ホントの事を教えてあげるから、出てきて顔を見せなさい

 アタシの考えを教えてあげるだけだから 何も撃ち殺そうってワケじゃないわ


 いいわね?


 三つ数えるから アンタの考えを言ってみて。さもなきゃ、アタシの話を聞きなさい

 ちょっと、口の利き方には気をつけなさいよ? アンタの事はお見通しだって言ったでしょ


 いい? アタシ達に限界なんてないの 綺麗事なんかじゃないわ、本当よ

 アンタが見た事ないだけよ 今に見せてあげるから、待ってなさい


 何故かって? アタシが最強だからよ すぐに世界中が気がつくわ

 誰がホントに最強なのかって事をね


49: 2013/11/04(月) 06:45:11.23 ID:H77mYwODo


 聞いたわよ アンタ間違ってる 手遅れになる前にやめさせてやるわ

 アンタのひねくれた目に ホンモノを見せてあげる

 隠れて石を投げるようなマネはやめるのよ アンタの言葉はチープすぎるの


 いい? アタシ達に限界なんてないの 綺麗事なんかじゃないわ、本当よ

 アンタが見た事ないだけよ 今に見せてあげるから、待ってなさい


 何故かって? アタシが最強だからよ すぐに世界中が気がつくわ

 誰がホントに最強なのかって事をね


50: 2013/11/04(月) 06:45:39.62 ID:H77mYwODo


 アタシ達は未来の世界を好きに作っていけるの もっとずっといい場所にね

 アタシの話が気に入らないからって すぐ噛みついてちゃ駄目なのよ


 いい? アタシ達に限界なんてないの 綺麗事なんかじゃないわ、本当よ

 アンタが見た事ないだけよ 今に見せてあげるから、待ってなさい


 何故かって? アタシが素敵で最強だからよ すぐに世界中が気がつくわ

 誰がホントに最強なのかって事をね


────
──


51: 2013/11/04(月) 06:46:08.39 ID:H77mYwODo

菜々「うーん、やっぱりこういう内容ですよね」

P「ん、何かまずかったか?」

菜々「あ、そうじゃなくって…。麗奈ちゃんが自信満々に言うほどBadな内容だったかなぁ、って思ってたから」

P「ああ、Badって言ったら辞書にはネガティブな意味しか載ってないからな」

菜々「や、やっぱり知ってたんですか!?」

P「おう。決してお上品じゃないが、上を目指し、前向きで、まぁ口では色々言うが実は努力や苦労を厭わない。麗奈にピッタリだろ?」

菜々「う……そ、そう言われると納得するしかないですね。菜々はてっきり…」

P「キングオブポップと、Badってタイトルだけで釣ったと思ったか?」

菜々「え、その、そういうわけじゃ…あるんですけど」

P「ま、そうなんだけどね」

菜々「」

52: 2013/11/04(月) 06:47:02.86 ID:H77mYwODo

P「流石に軽く知ってはいたけど、ここまでとはなー。あ、麗奈に言うなよ? 怒られるから」

麗奈「ねぇ、P。あの歌、ホントにこのレイナサマに相応しいワルの歌なの…? 確かにI'm badって言ってるけど、なんかおかしい気が…」

P「おっ、戻ったか。おつかれ麗奈! いやー、さすが麗奈だな! 風格すら漂わせた見事なワルっぷりだったぞ!」

麗奈「え、そ、そう?」

P「ああ! もう夜空の星が輝く影で大笑いできるレベルのワルだ! ブライガーもブライシンクロンしちまうレベルのな!」

麗奈「あ……アーッハッハッ! ブラ何とかは知らないけど、アタシに掛かれば子供みたいなモンよ!」

菜々(ちょろい)

P「あぁ!? ブライガーディスってんじゃねぇよ!」

麗奈「ひっ!? あ、あの、ごめ……」

P「いいっていいって! 麗奈は最高だな! よーし、もっとすごいワルになる為に今からダンスレッスンだ! クイーンオブポップの座は麗奈を待ってる!」

麗奈「そ、そうね! それじゃ行ってくるわ! アーッハッハッ!…ゲホゲホ」


※Badは一言で言いにくいたくさんのニュアンスが含まれているので、ここでは「最強」を当ててみました。
 ヤバイとかパネェって表現の方がより近いのではないかと言う気もしますが、流石に麗奈は言わなそうだし。
 試験問題としては間違いだと思いますが、文脈としてはそう悪くないんじゃないかと。


53: 2013/11/04(月) 06:47:58.02 ID:H77mYwODo

菜々「行っちゃった…」

P「よし、次だ」

菜々「Pさん酷すぎません!?」

P「それほどでもない」

菜々「謙虚だなー。あ、で、次は?」


杏「杏だよ」

P「えっ、杏か?」

杏「何。なんかまずいの」

P「あ、いや。意外だっただけで」

杏「私も意外だよ…はぁ、帰るのがめんどくさいからって事務所で寝るんじゃなかった…」

54: 2013/11/04(月) 06:48:25.94 ID:H77mYwODo

P「また事務所で寝たのか! おま、まさか俺の仮眠用の…?」

杏「あ、うん。プロデューサーが徹夜してる間に有効利用させて頂きましたぁー。どやっ☆」

P「く、くそ…俺もまだあんまり使ってないのに…」

杏「あ、だからあんまりプロデューサーの匂いがしなかったんだ……」 ボソッ

P「匂いとか言うな! 大体みんな、女子寮が近いだろうになんだって俺の仮眠用の寝床で寝るんだ。女の子の匂いがする寝床ってなんかドキドキして寝られないんだよ!」

杏「ふ、ふーん。プロデューサーは杏の匂いでもドキドキする、の?」

P「するに決まってんだろ!」

杏「へ、へぇー。するんだ。変態だね(////)」 ニヘラッ

P「人の寝床を勝手に使うアイドルよりマシだ……どう考えたって女子寮備え付けのベッドの方が寝心地いいだろうに…いぢめですか?」 グスッ

杏「別に眠くてやってるわけじゃないと思うけど」

P「えっ、他になんかあんの?」

杏「さあね。さ、ちゃちゃっと歌って杏は帰るよ」



55: 2013/11/04(月) 06:48:53.91 ID:H77mYwODo

■双葉杏 Homeward Bound

 あー、帰りたい 心から帰りたい

 なーんにも考えなくていい我が家

 好きな音楽かけて 好きなものに囲まれて

 ゲームとかネットとか そういうものが静かに杏の帰りを待ってると思うと

 もう、帰っていい?


────
──


56: 2013/11/04(月) 06:49:24.06 ID:H77mYwODo

菜々「えっ、これで全部ですか?」

杏「ふー、歌った歌った。おつかれさまー」

P「おい」

杏「何だ」

P「サビしか歌ってねーじゃねーか! サイモン&ガーファンクルは詞が素晴らしいんだぞ!」

杏「うるさいなぁ、それじゃあプロデューサーが歌えばいいじゃん」

菜々「ここ以外はどういう歌詞なんですか?」

P「ああ、ぶっちゃけ、悪い言葉で言うとドサ回りの歌なんだ。売れないフォークシンガーが、稼ぐ為にあちこち駆けずり回って、せっかくステージに立てたって好きな歌を歌えるわけじゃない」

P「望まない歌を歌わされて、慣れないトークで笑い物にされて、他の出演者の引き立て役にされる事だってあるだろう」

P「そうやって気持ちをすり減らして、そこで杏が歌ってたサビに繋がるんだよ。アイドルに歌わせるのはちょっと可哀相だと思うけど、人間の全部が入ってる感じがしてすごく好きなんだよな」

杏(さて、この隙に戦術的撤退。プロデューサーの寝床でもう一眠りしようっと) ソソクサ

57: 2013/11/04(月) 06:49:59.85 ID:H77mYwODo

菜々「なんだかすごく分かります……。夢に向かってもがいてるはずなのに、夢に近づいている感じがなくて、消耗していく感じ…」 ジワッ

P「あー、うん。けど、菜々は夢に確実に近づいてるからな? そこは大丈夫だから、信じろ。な?」

菜々「ふふっ、分かるなら歌ってみろー、って言わないんですか?」

P「え、あ、うーん……」

菜々「さて、ちょっとセンチになっちゃったけど菜々はもう大丈夫ですっ♪ キャハッ!」

P「センチとか、いつの生まれですか安部さん」

菜々「も、もう! せっかくホントは優しいなーって思ってたのに! どーして水を差すんですか!」

P「あれ、そういえば杏は?」

菜々「あ、あれ? 帰っちゃったのかな?」

P「ぐぬぬ…。ま、いいか、本来強制じゃなくて希望者のみって話だったし」

58: 2013/11/04(月) 06:50:28.07 ID:H77mYwODo

菜々「Pさんて、杏ちゃんがいないところでは杏ちゃんに優しいですよね」

P「え、そりゃ、いないところで厳しくしようがないし。杏には随分助けてもらったし」

菜々「ふーん。ふふっ」

P「え、なに。何で俺笑われてんの?」

菜々「Pさんらしいなーって、思っただけですから。キャハッ♪」

P「解せぬ……。次だ次!」



62: 2013/11/05(火) 02:44:56.84 ID:NwuiqU+go
亜季「サー! 自分でありますっ、サー!」

P「おっ、亜季か。亜季とは趣味が遠いから、面白い歌が聞けそうだ」

亜季「そんな事はないと思うんですけど…。プロデューサー殿も健康の為、24耐久アウトドア戦やインドア戦に参加するべきであります!」

菜々「何の話ですか?」

亜季「あぁ、そういうサバイバルゲームのイベントがあるんですよ。菜々殿も如何ですか?」

菜々「な、菜々はちょっとそういうのは…」

P「撃ち合い以前に、屈んだ姿勢で一日中山野を駆けずり回るとか、菜々じゃなくても体力もたんわ!」

亜季「むぅ、残念であります…。上京して知りましたが、千葉にもいいフィールドがたくさんあるんですよ」

菜々「な、な、なんで千葉なのかなーっ。千葉はウサミン星から遠いですからねー。残念ですっ☆」

亜季「プロデューサー殿はせめてランニングぐらいはしないと、まだお若いのに体型が…」


63: 2013/11/05(火) 02:45:32.69 ID:NwuiqU+go

P「や、やめて! お腹のあたりを覗き込まないで! あと前屈みにならないで! 俺も前屈みになっちゃう!」

菜々「うわ……」

亜季「さて、今回はプロデューサー殿が楽しくランニング出来るような曲を選んできました」

P「へ、へぇー。珍しいな、どんな曲だろ」

亜季「それでは早速、準備に入らせて頂くでありますっ!」 ビシッ



菜々「あれ、前奏始まらない?」

P「アカペラなのかな。……いや待てよ、亜季が選ぶランニング用の歌って、まさか…!」 ガタッ



64: 2013/11/05(火) 02:46:00.62 ID:NwuiqU+go

■大和亜季 Running Cadence (from Full Metal Jacket)

 とーちゃんかーちゃん ベッドでイチャイチャ

 かーちゃん寝転び 言うことにゃ……


P「うおぉい! やめて! アイドルがそんな下ネタソング歌わないで!」

亜季「きゃっ!? な、なんでありますかプロデューサー殿っ」

P「意味分かって歌ってたのか!?」

亜季「いえ、分からないでありますっ! どのような内容なんですか?」

菜々「あ、菜々も気になります。ジョギングに丁度良いテンポの歌でしたね」

P「この歌はだなぁ……」

菜々「この歌は?」

亜季「なんでありましょう?」

P「こ、この歌は、ええと……」 モジモジ


65: 2013/11/05(火) 02:47:10.46 ID:NwuiqU+go

P「えーと、その、あれだ。具体的な説明は避けるが、下品な下ネタに不謹慎ネタ満載で、兵士の訓練でランニングする時、かけ声代わりに歌わせる歌なんだよ」

菜々「え、そ、そうなんですか?」

亜季「そ、そうだったんですか…(////) でも、どうしてそんな歌を歌わせるんでしょう」

菜々「そうですよ、それこそイジメみたいじゃないですか」

P「あー、まぁ、それに関してなんだが。そもそも新兵の訓練て、えらく厳しいそうだよ。ただ技術を覚えて、体を鍛える以上の事をするらしい」

菜々「そうなんですか?」

P「ああ。あの歌もその一環として存在するもので、決してリー・アーメイが下ネタ好きだからってわけじゃない、と…思う」

菜々「りー…?」

亜季「先ほどの歌が出てきた映画で、新兵を鍛える教官を演じた俳優であります。というか、演技指導で入った本物の元軍曹が抜擢されてしまったとか」

P「まぁ、あれだよ。戦争なんていう異常な環境で働く技術を身に着ける為には、傍から見たら異常な訓練方法が必要だった、って事だよ」


66: 2013/11/05(火) 02:47:50.19 ID:NwuiqU+go

亜季「映画の舞台は、ベトナム戦争の真っ最中でしたからね」

菜々「ふむふむ?」

P「まぁ、是非の話には踏み込まないよ。ただ、あの歌も、意味があって、役目を持って生まれてきた物なんだろう、ってだけで」

亜季「部外者の私達が面白半分に歌う物ではない、という事でありますね」

P「ああ。アイドルには、アイドルとして歌う歌が別にあるんだ。まぁ、この企画自体まだ悪ふざけの域だから、目くじら立てる事ではないんだが…」

亜季「いえっ! 意味を教えて頂き大変参考になりました! 今後はランニング中に歌うのは控えるでありますっ」

菜々「歌ってたのかよ!!」



P「はぁ……なんか堅い話をして疲れたな」

菜々「…けど、菜々ふと思ったんですけど、Pさんあの歌時々口ずさんでませんでした?」

P「ああ、バカっぽくて実は大好き」

菜々「うわ台無しだ…」

P「さ、さーて、次は誰かなー、っと?」



67: 2013/11/05(火) 02:48:29.35 ID:NwuiqU+go


未央「次は私たち三人だよっ!」 ギュッ

P「うおっ!? 三人?」

卯月「はいっ! ニュージェネレーションの三人で参加しますっ」

凛「…そういう事みたいだけど、よろしくね」

未央「みたいとか言ってさー、プロデューサー、ここだけの話、ニュージェネで組んだの、しぶりんが発起人だからね?」 ヒソヒソ

凛「…未央。重そうだから、プロデューサーから離れなよ」

未央「えーっ、重くないよねー。ね、プロデューサー?」

P「いや、重い。降りなさい」

未央「ひどい!? もう、登っちゃうもんね!」 ノボリッ

卯月「いいなぁ! じゃ、わたしも♪」 ノボリッ

P「お前もか卯月!?」

68: 2013/11/05(火) 02:49:33.76 ID:NwuiqU+go

菜々「等身大だっこちゃん…」

P「えっ、なんですか安部さん? また何かやらかしてますか?」

菜々「え、あっ、やらかしてません! コアラみたいって言ったんです!」

凛「ちょ、ちょっと…! 二人とも…!」

未央「しぶりんも登ろうぜぇー」

卯月「おちつくー♪」

P「助けてしぶりん!」

凛「しぶりん言うな」

未央「はぁー、ホント落ち着くねうづきん!」 スリスリ

卯月「うんうん♪ アイドル始めたばっかりを思い出すねー」 スリスリ

凛「…………」 イラッ

69: 2013/11/05(火) 02:50:01.51 ID:NwuiqU+go

P「ぐぬぬ……」 プルプル

凛「…私も登る」

P「ちょ!?」

未央「かもーん☆」

卯月「かもーん♪」

 シブノボリッ

菜々(腰掛けたプロデューサーに女の子が三人よじ登ってしがみついてる……。すごい構図)

────

───

──


70: 2013/11/05(火) 02:50:39.12 ID:NwuiqU+go

P「ふう、酷い目にあった」

菜々「そんな事言って、全然抵抗してませんでしたよね?」

P「あー、まぁ、そりゃね。最近あんまり相手してやれなかったからな」

菜々「最近は三人とも忙しそうですしね」

P「ああ。俺が業界入って最初に担当したような連中でさ、ぺーぺーだったし、ずっと一緒にいたなぁ」

菜々「あ、見てると何だか分かります。あの三人と、羨ましいぐらい仲が良いですよね」

P「あー、プロデュースしたって言うより、一緒に大きくなった感じだからなぁ。一緒に怒られたり、移動が間に合わないって駆けずり回ったりしてさ」

P「今じゃとても考えられないけど、地方のイベントで強行軍して、車中泊で雑魚寝なんて事もあったなぁ」

菜々「……」

P「菜々、なんか大人しかったけどどうしたんだ?」

菜々「え? あ、あぁ、いえ。さすがに若い子に囲まれると圧倒されちゃって…」

P「安部さん、卯月は同い年ですよね?」

菜々「あっ、キャ、キャハッ♪」




71: 2013/11/05(火) 02:51:10.94 ID:NwuiqU+go

■ニュージェネレーション(島村卯月・渋谷凛・本田未央) Let Me Be There

 どこだって、あなたの行くところ

 そこに私達も連れて行って欲しいの

 あなたの手を握って、あなたを助けてあげる

 ついて行って、全部見守ってあげる


 朝も夜も、そばにいさせて

 どんな事が起こっても、一緒なら楽しくなれるよ

 私達だけのワンダーランドに連れて行ってあげたいな

 だから願いはただ一つ


 そばにいさせて?


72: 2013/11/05(火) 02:51:48.45 ID:NwuiqU+go

 一緒に大きくなって 一緒にここまで来たよね

 これからもずっと一緒がいいな

 助けが必要? ここにいるよ!

 私達が必要? すぐに飛んでいくよ!


 朝も夜も、そばにいさせて

 どんな事が起こっても、一緒なら楽しくなれるよ

 私達だけのワンダーランドに連れて行ってあげる

 だから願いはただ一つ


 そばにいさせて?


────
──


73: 2013/11/05(火) 02:52:16.39 ID:NwuiqU+go

菜々「可愛い曲ですねー。これって、どういう歌なんですか?」

P「あー、バックグラウンドはよく知らないんで、単なる歌詞の解釈になっちゃうんだけど」

菜々「あ、それでいいです。聞きたいです」

P「文字通り、傍にいさせてくれ、って内容の歌だよな」

P「最初の方だとどうとでも取れるけど、成長して人生の中で変わっていく様をうんぬんて出てくるから、家族やペットというすごく近しい存在、あるいはそうなりたい相手に贈る歌ってイメージ」

菜々「ふむふむ。曲の明るさと合わせると、子供に懐かれるような感じもしますね」

P「あー、そういう脳天気さはあるな。けど、言ってる事重すぎだろ……人生を一緒に歩んでくれ、って内容にも取れるぞこれ」

菜々「あはは、子供ってそう言うとこあるじゃないですか…って。Pさん、実はこの歌大好きです?」

P「え、な、なんで分かったの? オリビア・ニュートンジョンの歌は大体好きだけど、これともう一曲は特に好きかな」

菜々「やっぱり……。なんか解説に含みがあるから」

P「そ、そうかな……いや、そんなはずは…マジで…?」

菜々「自覚なかったんですね…」


74: 2013/11/05(火) 02:52:56.92 ID:NwuiqU+go

未央「ふいー、歌った歌った」

P「おーう、おつかれ」

卯月「初めての洋楽だから、頑張りましたっ」

P「おう、よかったぞ。ところで今回の選曲は相談して決めたのか?」

凛「そうかな」

未央「えっ」

卯月「えっ」

P「えっ?」

菜々「ち、違うの?」

未央「しぶりんの発案だよね?」

凛「み、未央!」 アセッ

卯月「うん。勿論三人で相談して、これがいい、ってなりましたけど、提案してくれたのは凛ちゃんですっ」


75: 2013/11/05(火) 02:53:40.72 ID:NwuiqU+go

P「そっか。まぁ、他の曲と一緒に掛けてたから、記憶に残っててもおかしくないし、偶然か」

卯月「? 何がですか?」

菜々「今の曲、Pさんが大好きな歌なんですよ~」

P「うっ、そう紹介されると恥ずかしいな……」

未央「あ、知ってるよ! すごい倍率高かったって」

P「ば、倍率?」

卯月「プロデューサーさんの好きな曲リストの上位を歌いたいって子は大勢いたんだけど、凛ちゃんが頑張って抽選に勝ち抜いてくれたんですっ」

凛「ちょ、ちょっと…!」

P「そんなもんが流出してたのか……」

未央「まーいいではないかプロデューサー君っ♪」

卯月「私達もこの歌、大好きになりましたし!」

P「ま、いいけど…。好きな歌を誰かが好きになってくれるのは単純に嬉しいし」


76: 2013/11/05(火) 02:54:11.57 ID:NwuiqU+go

卯月「それだけじゃないですよっ」

未央「ねー♪」

卯月「ねー♪」

凛「…なんでこっち見ながら言うの?」

未央「詳しくは、歌詞を参照、って事で!」

卯月「みんな同じ気持ちですからっ♪」

凛「…そう、なのかな? とにかく、そういう事だから」

凛「それじゃ」

────

───

──

77: 2013/11/05(火) 02:54:43.84 ID:NwuiqU+go

P「まったく、失礼な奴らだなあいつら…」

菜々「…えっ?」

P「いつまでも半人前じゃないっての。あいつらと同じように、俺だって成長してるんだから」

P「あいつらはあいつらで輝いて、俺は俺でそれを支える、それが出来るんだよ。昔みたいにべったりで、助けてあげようか?なんて…」

菜々「そ、そういう意味であの選曲をした…のかな?」

P「ま、あいつらなりに恩返しのつもりなんだろうし、悪い気はしないけどさ」

菜々(純粋に、ずっともっと傍にいたい、って事だと思うんだけどなー)

菜々「Pさんって……スカウトする目は確かだけど、他は本当に節穴ですよね」

P「え、またそれ!? なんなの、いぢめ? プロデューサーいぢめですか?」

菜々「また乃々ちゃんの真似ですか…。正直似てないんですけど…」

P「く、くそ、ウサミン星人が俺に厳しい…」


81: 2013/11/06(水) 01:08:23.08 ID:1Q4wgoeKo

 ガチャッ

加蓮「おはようございまーす。…何やってるの?」

P「おっ、次は加蓮に奈緒か」

奈緒「…うス」

菜々「二人は何を歌うんですか?」

加蓮「あ、一緒に来ただけで、歌うのは別々だよ」

P「え、そうなのか」

奈緒「アタシとしてはむしろ、凛も入れて三人の方がよかったんだけど…」

加蓮「そういうわけにもいかない問題じゃない? 三人で気持ちを一つにするような事じゃないもの」

P「え、いや、全然話が見えないんだが…」

加蓮「とにかく、そう言う事だから。準備するねっ♪」



82: 2013/11/06(水) 01:09:06.92 ID:1Q4wgoeKo


菜々「あ、なんだかのどかな出だしですね」

P「ん、これはまた有名なタイトルが来たな」




83: 2013/11/06(水) 01:10:00.07 ID:1Q4wgoeKo

■北条加蓮 When I'm Sixty Four
http://www.youtube.com/watch?v=fDt26gJYVB4


 ずーっと未来の話ね

 私が歳を取って 髪が真っ白になっても

 クリスマスや、誕生日には、あなたはカードや花束をくれるかな?

 私が変な事をしたら 叱ったり怒ったりしてくれる?


 私を必要として、大事にし続けてくれるかな? 私が64歳になっても


 Pさんだって歳を取るよね

 ずっと一緒にいてあげられるんだけどな もしもあなたが、そう言ってくれればね


 私だってその頃には家事だってこなせるよ、多分

 Pさんは庭いじりをして わたしはそれを見ながら編み物なんかして

 日曜日には朝からドライブにいくの 素敵だと思わない?


 夏にはコテージを借りて、孫たちを呼ぼうよ

 名前は凛花に須奈緒なんてどうかな? 孫たちの為にも、節約してお金貯めないとね


 どうかな? 率直な気持ちを、一筆認めてよ 拝啓敬具とか社交辞令はナシで

 Pさんの答えを聞かせて 永遠に私のものになってくれる?

 私を必要として、大事にし続けてくれるかな? 私が64歳になっても


────
──


84: 2013/11/06(水) 01:11:13.42 ID:1Q4wgoeKo

加蓮「ふう…。ねね、どうだった?」

P「おう、良かったぞ。意外な選曲だったけど、ああいう方向もアリだなぁ」

加蓮「そういう事じゃなくてさぁ」 モジモジ

P「トライアドプリムスに一人加えて、ビートルズのカバーアルバムか。面白そうだ……最後の一人は誰に…いや、いっそポール本人に依頼したら意外と快く応じてくれるかも…?」 ブツブツ

加蓮「むーっ」

 ゲシッ

P「いてっ。な、なんだよ加蓮。今ちょっと考え事してるから蹴らないで…」

 ゲシッ ゲシッ

P「痛い、痛いよ。なんなんだ急に…」



85: 2013/11/06(水) 01:11:48.47 ID:1Q4wgoeKo

菜々(あの二人、いつもああなんですか?) ヒソヒソ

奈緒(あー、うん。わりとそうかも) ヒソヒソ

菜々(奈緒ちゃんが止めてるの? 大変ですねー) ヒソヒソ

奈緒(いや、いつもは大体凛が。凛が張り合っちゃって、もっと収拾つかなくなったらあたしが入るけど…) ヒソヒソ

菜々(あぁ……。本当に大変ですね…) ヒソヒソ

P「なにひそひそ話してるんだ、助けてくれよ!」

菜々「(無視) 奈緒ちゃん、そろそろ用意して貰って良いですか?」

奈緒「(無視) うん、それじゃ行ってくる」

P「菜々ぁ、奈緒ぉ~(涙)」



86: 2013/11/06(水) 01:12:18.53 ID:1Q4wgoeKo

P「全く……これは職場におけるイジメですよ」

菜々「どう考えてもPさんが悪いですっ」

加蓮「わりと許されないレベルでPさんが悪いよね」

P「ひどいわ……あれ、これは聞いた事ない出だしだな。奈緒は何を歌うって?」

加蓮「MAGICって曲らしいけど」

P「あぁ、オリビアニュートンジョンか。え、いや……こんなアレンジ聞いた事ないぞ…?」

菜々「あ、前奏終わりますよ。まずは聞いて見ましょう」



87: 2013/11/06(水) 01:13:11.40 ID:1Q4wgoeKo

■神谷奈緒 MAGIC


 来ないでくれよ 今夜たまたま寂しかっただけなんだろ? 寂しさも、あなたに取ってはゲームの一部なんだな

 あなたの人生で、あなたは一つ学ばないといけない 受ける事と与える事は、表裏一体だってこと


 だから…だからさ、分かってくれよ 刹那の情事なら欲しくないんだ


 あたしは駆け引きなんかしたくない あなたを抱きしめて掛ける魔法が欲しいんだよ

 それは一夜の恋より大切なもの あたしが欲しいのは あなたに触れたとき掛かる魔法なんだ


 これ以上、虚しい恋物語であたしの時間を浪費させないでくれ

 時間を無駄にするのはもうたくさん もっとマシな何かを見つけられないとしても、その時は家に引き籠もってる方がまだマシなんだよ



88: 2013/11/06(水) 01:13:48.28 ID:1Q4wgoeKo

 愛してる あなたの事、こんなにも愛してる だけど、こうする他ないんだよ


 あたしは駆け引きなんかしたくない あなたを抱きしめて掛ける魔法が欲しいんだよ

 それは一夜の恋より大切なもの あたしが欲しいのは あなたに触れたとき掛かる魔法なんだ


 あたしの心に触れてみてよ 全てを共有するぐらい深く きっかけに、魔法が必要なんだ

 いつしかあなたが あたしを愛するようになったら 魔法は役目を終えて あたし達を止めるものは何もなくなる


 だからそう、あたしは駆け引きなんかしたくない あなたを抱きしめて掛ける魔法が欲しいんだよ

 それは一夜の恋より大切なもの あたしが欲しいのは あなたに触れたとき掛かる魔法なんだ


────
──



89: 2013/11/06(水) 01:14:16.22 ID:1Q4wgoeKo

奈緒「……うす」

P「おお、お帰り。よかったぞ!」 ナデナデ

奈緒「な、撫でんな!(////)」 バシッ

加蓮「むー…」

加蓮「Pさんて奈緒は撫でたがるよね。私の時は撫でなかったのに」

P「え、あぁ、そうかも? 嫌だったか、ごめんな?」

奈緒「べ、別に……どうでもいいけど(////)」

P「ところで、さっきの歌なんなんだ? 80sポップっぽいなとは思ったんだが」

奈緒「80じゃなくて、0083な」

P「は? だぶるおー…って、え、これアニソン!?」

90: 2013/11/06(水) 01:14:46.03 ID:1Q4wgoeKo

加蓮「アニメのエンディングだよね。奈緒の部屋に遊びに行った時見せられた気がする」

奈緒「わ、悪いかよっ! 懐かしくて洋楽なんだからいいだろ!」

菜々「機動戦士ガンダムのOVAシリーズですよね」

加蓮「あ、そうそう。ガンダム。なんだか難しい話だった」

奈緒「なんでだよ!? 0083は超熱くて分かりやすいだろ!」

P「どうどう、落ち着け奈緒」 ナデナデ

奈緒「だ、だから撫でんなっつってんだろ!(////)」 バシッ

P「おっとすまんすまん。しかし、ノーチェックだったなぁ。アニメはそこそこ見てるつもりだったんだが」

奈緒「ていうか、Pさんも0080は分かったんだろ? あっちの方がマイナーだと思うけど」

P「ん? ああいや、俺が分かるのは80sポップスなんだ。厳密な定義はあるのかどうかもよく知らないけど、概ね80年代に流行った洋楽ポップス、ぐらいに思ってくれ」

奈緒「なんだ、そうなのか……」


91: 2013/11/06(水) 01:15:19.36 ID:1Q4wgoeKo

P「だが今のを聞いて俄然興味が出てきたな。奈緒、俺にも見せてくれるか?」

奈緒「ほ、ホントにっ!?」 パァァ

P「おう」

奈緒「い、いつ見る? あと、どこで見る? 折角なら良い画面で見たいよな…折角BDで揃えたんだし…」

P「お、おう…?」

奈緒「確かPさん、大きいテレビ買ったって言ってたよな。せっかくならそこがいいかな……そうなると0083だけじゃ勿体ないから…」

P「あ、あの、奈緒さん?」

奈緒「あ…BD再生出来なかったり?」

P「い、いや、出来るけどさ。使う機会がないだけで、無駄にAV機器は一通りあるよ…けど」

奈緒「じゃあ問題ないよなっ。一気見もいいけど、折角ならちゃんと見て欲しいから、一晩じゃ足りないよな」

92: 2013/11/06(水) 01:15:47.74 ID:1Q4wgoeKo

P「あ、あのさ、俺、そこまで分かんないから…」

奈緒「大丈夫だって! あれは見やすい作品だし、あたしが横で説明するから。あ、でも合わなかった時の為に他に何枚か持っていく?」

P「いや、ていうかさ。お前、俺の部屋に通う気なの?」

奈緒「連日は難しいか。なら休みの全日から合宿しかないかなー」

P「えっ、と、泊まる気なの!?」

奈緒「じゃ、あたしライブラリから厳選する作業に入るから、日程の調整よろしくな!」

P「ちょ、な、奈緒さーん!?」



93: 2013/11/06(水) 01:16:30.89 ID:1Q4wgoeKo

P「…………」

菜々「菜々、好きな物の話をしてるとああいう風に暴走しちゃう人、以前よく見ました」

P「は? え? いや、あいつマジで俺んちに泊まりがけでBD見に来るの?」

菜々「アニメの話が出来る人、欲しかったんじゃないですか?」

P「いや、だからっていきなり男の家に来るか? いやまぁ、アニメ見るぐらい良い…か…? いや、駄目だよな、アイドルだぞ」

加蓮「男の家なら奈緒も行かないと思う。プロデューサーの家だからでしょ」

P「え、いや、どういう理屈…」

加蓮「私も行くから」

P「いや、冗談じゃない。奈緒には断るから、加蓮も来ちゃ駄目だ。どうしても上映会がしたかったら事務所で…」

94: 2013/11/06(水) 01:17:49.32 ID:1Q4wgoeKo

加蓮「…もしもし、今平気? Pさんの家でアニメの鑑賞会やるから。え、日程はまだ。うん、うん。分かった、伝えとく。それじゃね」 ピッ

P「いきなり広めるなよ!?」

加蓮「大丈夫だよ、凛だから。ニュージェネも全員参加するって」

P「」

加蓮「スケジュールの調整はお願いね。それじゃ」

P「」




95: 2013/11/06(水) 01:18:43.50 ID:1Q4wgoeKo

P「いやいやいや、駄目だろ絶対……」

菜々「Pさんが贔屓するから、加蓮ちゃん怒っちゃったんですよ…」

P「え、贔屓? あー、そうか、そうかもしれないなぁ」

菜々「前は加蓮ちゃんにつきっきりだったけど、最近は逆に加蓮ちゃんに距離取ってません?」

P「うーん、加蓮は体力的な問題もあったからなぁ…。元気になってからはなんだか圧倒されちゃってさ」

菜々「(加蓮ちゃんだいぶ攻めてますもんね)…奈緒ちゃんの方は?」

P「奈緒は手の掛からない子なんだが、もっと自分は可愛いんだって自信持って欲しいからさ。そういう扱いを心がけてるつもりなんだが、あいつ菜々とは別の意味でいじられ上手でさ…」

菜々「菜々はいじられ上手じゃないですっ! けど、そういう事ならPさんの身から出た錆って事ですよね…諦めて上映会やるしかないんじゃないですか?」

P「はぁ……仕方ない、部屋は開放して、その日はどっかでアリバイ作ってよう…。大きいモニタで上映会したいからってアイドル達に閉め出されちゃったよwwwwwって形にすれば、まだ…」

菜々「世間は認めても、あの子達は認めないと思いますけど……」

菜々(駆け引きなんかしたくない……か。でも一番大きな譲歩を引き出しましたね…奈緒ちゃん、恐ろしい子…!)

P「あーもう! それについては後で考える事にしよう…」



99: 2013/11/06(水) 23:02:32.74 ID:1Q4wgoeKo


 コンコン

奏「Pさん? 来たわ」

P「おっ、奏か。ちゃんと選曲したか?」

奏「もう…心配性ね。ちゃんと選んだわ、ちゃんとね」

菜々「?」

P「フィジカルは駄目だぞ、ああいうのは」

菜々「フィジカル(物理的)…?」

奏「分かってるわよ、一度聞けば分かるわ。それじゃ、準備するわね」

P「……」



103: 2013/11/06(水) 23:08:33.05 ID:1Q4wgoeKo

菜々「あの、Pさん。フィジカルって?」

P「え、ああ。オリビアニュートンジョンのナンバーなんだけど」

菜々「ああ、ひょっとしてさっきPさんが言ってたもう一曲って」

P「違うよ! まぁ、歌自体は結構好きなんだが、内容が内容なんで遠慮して貰ったんだ」

菜々「何かまずいんですか?」

P「えーっとその、あれだ。心のつきあいは充分したから、今度は体のおつきあいをしましょ、って内容の歌なんだよ」

菜々「だ、だからフィジカル(肉体的)……それは菜々も聞くのが恥ずかしいかも、です…(////)」 カァァ

P「お遊び半分とはいえ、流石にちょっとな」

菜々「そ、そうですね…。あ、前奏始まった。なんだか爽やかな出だしですね」

P「あいつ…!」 ガタッ



104: 2013/11/06(水) 23:09:01.65 ID:1Q4wgoeKo

■速水奏 Kiss Me
http://www.youtube.com/watch?v=3YcNzHOBmk8


 大麦畑でキスして 夜、青い草陰で

 踊ろう、踊ろう くるくる回ってステップを踏むの

 あなたはあの靴を履いてきて 私はあのドレスを着るわね


 柔らかな黄昏の中でキスして 月明かりの下に連れ出して

 あなたが手を上げると バンドが演奏を始めて、ホタル達が舞い踊るの


 月が輝いてるわ だからキスして?


 古いツリーハウスでキスして ブランコに乗った私を揺らしてね

 花の帽子を持ってきて

 あなたのお父さんが印を付けた地図を、二人で辿ってみましょ


 柔らかな黄昏の中でキスして 月明かりの下に連れ出して

 あなたが手を上げると バンドが演奏を始めて、ホタル達が舞い踊るの


 月が輝いてるわ だからキスして?



────
──



105: 2013/11/06(水) 23:11:34.82 ID:1Q4wgoeKo

奏「ただいま。どう?」

菜々「素敵でしたよー♪」

P「それは認めるが…」

奏「なぁに? まだ何か不満なの? 私としては、フィジカルも良かったんだけど」

P「あれは駄目だ! ああいうのは内容を教えずに美波あたりに歌わせるのがいいんだ」

菜々(うわ最低だこの人…)

奏「もう。こんな時、別の女の話をするのはマナー違反じゃない?」 ニコッ

P「か、からかうなよ!」

奏「ふふっ、Pさん可愛い!」

菜々(Pさんが手玉に取られてる……こうすればいいのね。奏ちゃん、年下だけど、参考にさせてもらいますっ)

106: 2013/11/06(水) 23:12:24.55 ID:1Q4wgoeKo

奏「それじゃ、そろそろ行くわね」

P「あ、もう行くのか?」

奏「ええ。学校の方で用事があるから。…寂しい?」

P「寂しくねぇし。それじゃ気をつけてな」

奏「……」 ズイッ

P「な、なんだ?」

 チュッ

菜々「!?」

菜々(き、き、キスした!? 頬にだけど!)

奏「楽しんでるのは確かだけど、それだけじゃないのよ? 今のが証拠。それじゃまたね」 ペロリ




107: 2013/11/06(水) 23:13:10.53 ID:1Q4wgoeKo

P「…………」

菜々「…………」

P「ま、まったく困ったヤツだな…学校でも挨拶代わりにやったりしてないだろうな(////)」 サスリサスリ

菜々「奏ちゃん、学校では真面目な子で通ってるらしいですよ?」

P「そ、そうか。うむ、それならいいんだ。父さん安心だ」

菜々「…………」

P「…………」

菜々「Pさん、顔真っ赤ですよ?」

P「は!? ぜ、全然真っ赤じゃねーし! むしろ心配で真っ青だし!(////)」

菜々「動揺しすぎですよ……」




108: 2013/11/06(水) 23:13:39.21 ID:1Q4wgoeKo

 ガチャッ

芽衣子「おはよープロデューサー!」

P「お、おう。次は芽衣子か」

芽衣子「? どしたのプロデューサー、顔赤いよ?」

P「あ、ああいや、何でもないんだ。それよりオフは旅行じゃなかったのか?」

芽衣子「そうだよ? もう、プロデューサーと都合が合えば二人で海外~、って決めてたのになー」

菜々(二人で!?)

P「ああ、国内にしたのか?」

芽衣子「うんっ。海外は次の楽しみって事にして、ちょっと地元に顔出してきたの」

P「芽衣子は身軽だなぁ」


109: 2013/11/06(水) 23:14:38.26 ID:1Q4wgoeKo

芽衣子「プロデューサーほどではないと思うけどね? でも、旅も良いけど、久しぶりの地元もよかったなぁ」

P「和歌山か、楓さんと一緒だっけ」

芽衣子「うんっ。今度おいでよ、案内してあげる! 宿ならうちを使えばいいし」

P「お、いいな。暇が出来たら是非お願いするよ」

芽衣子「うんうんっ! 両親も会いたがってたよ!」

菜々(こ、この流れ……!?)

P「そうだなぁ、お世話になってるアイドルのご両親には、もっと折を見て報告を兼ねたご挨拶に伺わないといけないよな」

芽衣子「……う、うんっ! そうだよ!」

菜々(安定のPさんでした…)

芽衣子「えっと、それじゃそろそろ行ってくるね」

P「おう。何歌うんだ?」

芽衣子「えへへ。それは聞いてのお楽しみ♪」



110: 2013/11/06(水) 23:15:11.88 ID:1Q4wgoeKo

菜々「Pさんて、芽衣子ちゃ…芽衣子さんと旅行に行く約束してるんですか?」

P「ん? おぉ、まぁ、約束ってほどではないけどね。よくあるだろ、時間が出来たら温泉でも行ってゆっくりしよう、みたいな」

菜々「ああ……。永遠に来ない"そのうち"ってやつですか」

P「人聞きの悪い言い方するなよ…ちゃんと約束した相手とはみんなちゃんと行くよ。いつかは分からないけど」

菜々「そういうのを永遠に来ない"そのうち"と…って、みんな?」

P「ああ。他にはえーっと、楓さんとは温泉に行こうって話してて、巴や沙織も地元に呼びたがってたなぁ。まぁ、ちゃんとした約束ではないけど、こういう話は色んな人とわりとしてるかも」

菜々「な、菜々は!? 菜々はされてませんよっ」

P「だって菜々はこの手の話はウサミン星がーって逃げるじゃんよ…」

菜々「な、なんという事でしょう……。あ、あのですね、Pさん。実はですね、菜々のおうちは…」

P「お、始まった。おー、これは意外なような、芽衣子らしいような面白い選曲だなぁ」

菜々「も、もぉー!」




111: 2013/11/06(水) 23:15:58.70 ID:1Q4wgoeKo

■並木芽衣子 Touring
http://www.youtube.com/watch?v=YlW9Vo8yHzM


 ロンドンにも行ったし、ロサンゼルスにも行ったよ

 スペイン、ニュージーランド、アメリカ、ヨーロッパ、日本、パゴパゴ島

 カナダやタイにも行ったし、オズやカモト諸島にだって行ったよ!


 ファンのみんなは遠くから来てくれる 日が沈んだら、パーティの始まりよ!

 旅先の宿が我が家みたいになっちゃってるのはまぁ、確かだけどね


 ロックンロールは生きてるわ 何故って、私達に力をくれるじゃない?

 ハイウェイを500マイル、一時間でぶっ飛ばそう

 ツアーバスを満タンにしたら そう、文字通りぶっ飛ばそう 道中の暇つぶしも用意して


 行くよ ロックンロール! みんな、ついてきて!

 行くよ ロックンロール! みんな、ついてきて!


 ツアー ツアーよ 退屈なんてとんでもない

 ツアー ツアーよ 退屈なんてするヒマない

 そう、ツアーだよ お気に入りの彼と一緒に、世界中をツアーで回るの



112: 2013/11/06(水) 23:16:42.95 ID:1Q4wgoeKo

 大きな世界をあちこち回って 大勢のファンに会ったわ

 カモト諸島からロカウェイビーチ つらくなんてないよ 遠くもないの


 アメリカの女の子はすごいよ イカした車に 冷えたビール そしてロックンロール

 あ、和歌山の女の子もすごいからね? 覚えてて


 行こう 行こうよ メキシコまで500マイル

 行こう 行こうよ 東京まで200マイル

 さあ、行こう!


 夜通し飛ばそう 夜明けまで一直線 夜通し飛ばそう ああ、血が騒ぐ

 ツアーを続けよう 世界中を回るの



────
──



113: 2013/11/06(水) 23:17:11.42 ID:1Q4wgoeKo

芽衣子「ふー、歌ったー!」

P「おう、おつかれ」

菜々「いかにもロックな歌詞ですねー」

P「芽衣子はラモーンズなんて聞くんだな」

芽衣子「わりとなんでも聞くから。好きだけど、特別好きって訳でもないかなー。この歌は大好きだけどねっ」

P「ツアーの歌だから?」

芽衣子「うんっ。旅行の前の日とか、テンション上がってずっと口ずさんでたりする!」

P「あー…なんか納得」

菜々「菜々も納得しました」


114: 2013/11/06(水) 23:17:46.83 ID:1Q4wgoeKo

芽衣子「まあでも、最近はそんなに急いで回る事もないかなーって思わなくもないんだけどね。移動の間も、楽しかったりするじゃない?」

P「ふーん、そういうもんなのか」

芽衣子「どこに行くかも大事だけど、誰と行くかも大事だって気づいたの!」

P「ああ、ツアーで(みんなと)一緒に移動するのは楽しかったりもするな」

芽衣子「でしょでしょ? ま、誰かさんは仕事しっぱなしで私の事ほったらかしだったりするんですけどー」

P「あ、あれは仕方なかったりするんだよ……」

芽衣子「うそうそ、頑張ってるプロデューサーには感謝してますっ。それじゃ寄り道しながら帰るから、そろそろ帰るねっ」

P「ああ、気をつけてな。おつかれー」

芽衣子「あ、地元に一緒に行く話、ちゃんと進めといてよね。それじゃおつかれさまー!」




115: 2013/11/06(水) 23:20:52.93 ID:1Q4wgoeKo

P「はー、癒されたなー」

菜々「えっ?」

P「やぁ、下ネタソングを慌てて止めて、ニュージェネ三人に登られて、加蓮に蹴られて、なんか上映会やらされそうになって、奏にからかわれて、って流れだったからさ」

菜々「はぁ…」

菜々(両親に会わせたいから地元に呼ぶって言うのは、癒しなんでしょうか…)

P「それにしても、こうなんて言うんだろうなー」

菜々「? どうしました?」

P「いや…。うーん……人に言うなよ?」

菜々「は、はい……なんですか」

P「錯覚だと分かっちゃいるんだが、迫られてるんじゃないかって気がしてドキッとする事がわりとあるんだよな……加蓮とか奏とか、特にさぁ」


116: 2013/11/06(水) 23:21:21.28 ID:1Q4wgoeKo

菜々「は、はいぃ!?」

P「わ、分かってはいるんだってば、信頼とか親しみの意思表示を、そう錯覚してるだけだって! そんなビックリするなよ……」

菜々「はぁ……。びっくりしているというか、呆れていると言うか…みんな可哀相というか…」

P「か、可哀相とか言うな! 芽衣子もさ、良い物は共有したい、って子だから他意なく言ってくれてるんだよなぁ」

P「でも、ホントは旅行に誘うとか地元に招くとか、勘違いする奴がいてもおかしくないよなぁ…。よそで言って危ない目にあったりしなければいいが」

菜々「(溜息) 芽衣子ちゃんはそのあたり踏まえてると思いますよー」

P「ならいいが……あ、か、勘違い男とかって思われて距離置かれたら仕事に支障が出るから、絶対言わないでくれよ……?」

菜々「言いませんっていうか、言えませんけど…」

P「言うなよ? 絶対言わないでくれよ? フリじゃないからな?」

菜々「言いませんってば!」




119: 2013/11/13(水) 13:20:40.47 ID:FANXUc5Go

千秋「外まで聞こえるわよ。言う言わないって、一体なんの話?」

P「お、おう。千秋か。何でもないんだよ、うん」

千秋「そう」 チラッ

菜々 ビクッ

千秋「あまり女性をからかうものではないわ。貴方の株を下げるだけよ」

P「お、おう……胆に銘じます…」

千秋「それで、何の話をしていたの?」

P「い、いや、大した話じゃないんだ!」

千秋「そう……話せないような事なのね」

P「そ、そういう訳ではないんだが…。俺がつい、失敗談をぶっちゃけちゃってさ、情けないから人には言わないでくれ、って話をしてただけなんだ」

菜々「そ、そうなんですっ」

菜々(一番言えないのは、Pさんがそう思い込んでる事なんですけど…)

120: 2013/11/13(水) 13:21:24.87 ID:FANXUc5Go

千秋「…………」

千秋「まあ、いいわ。それで、来てみたんだけど、歌えばいいの?」

P「ん、あぁ。悪いな、千秋。こんなお遊びの企画につきあって貰って」

千秋「貴方が言うのだから、私は従うわ」

P「え、いや、それは…」

千秋「それだけ貴方を買っているという事よ。失望させるような事はしないでくれるわね」 プイッ

P「……」




121: 2013/11/13(水) 13:21:52.65 ID:FANXUc5Go

菜々「…千秋さんて、いつもあんな感じなんですか?」

P「い、いや。照れ屋なんだよ、誰かがいる時はああいうノリの時があるけど、二人だとそうでもないんだが…」

菜々「そ、そうなんですか?」

P「ああ。自分に厳しい分、人にも厳しくなりがちなだけでさ。責任感と向上心の強い、尊敬出来る子だよ。あんまり苦手とか思わないでやってくれ。な?」

菜々「べ、別にそういう訳じゃないんですけど…」

P「…ん、なんだ。始まらないな。機材トラブルかな?」

菜々「何か考え込んでますね」

P「ちょっと行ってくる」

菜々「あ、はーい」




122: 2013/11/13(水) 13:22:25.58 ID:FANXUc5Go

千秋(……どっちを歌うべきかしら…。本命はこちらなんだけど、流石に露骨すぎるわよね……」 ブツブツ

P「どうした、千秋。何かトラブルか?」

千秋「はひゃぁ!?」

P「そ、そんなに驚く事ないだろ…」

千秋「あ、貴方が急に声を掛けるからよ!」

P「いや、すまんすまん。で、何か困ってるようだけど、どうかしたのか?」

千秋「なんでもないわ。……そうだ、Pさん。歌うのは一曲だけかしら?」

P「え、いや……まぁ、頼めて一曲だろうと思ってたけど、特に決まってないな。二曲歌った子もいるし」

千秋「そう…。なら」

P「おっ、千秋も二曲歌ってくれるのか?」

123: 2013/11/13(水) 13:22:54.08 ID:FANXUc5Go

千秋「な、何故そうなるの!? そんな、踏ん切りがつかないわ…!(////)」

P「え? は? 踏ん切り…?」

千秋「れ、練習が不充分な気がしているのよ! それより、そこにいられると歌いにくいわ。早く戻ってくれないかしら?」

P「え、あ、うん……。じゃ、向こうで聞いてるから。期待してるぞ」

千秋「…ピアノ、借りるわね」

P「あぁ。好きに使ってくれ」



P「ただいまー」

菜々「お帰りなさいっ♪」

P「お、始まった。おー、これか。意外なような、不思議と似合うような、これまた面白い選曲だなぁ」

菜々「おおー生演奏ですねっ。あれ、これ三拍子ですか? 珍しいですね」

P「テネシーワルツなんかも三拍子だけど、確かに多くはないなぁ」



124: 2013/11/13(水) 13:23:24.96 ID:FANXUc5Go

■黒川千秋 Piano Man

http://www.youtube.com/watch?v=HVKtL9VU8rQ


 土曜、夜9時。いつもの顔ぶれで店が賑わい始める。

 私の隣席には年配の婦人。カクテルのグラスを弄びながら、その人が私にたずねる。


「ねえ、お嬢さん。思い出の一曲、ってやつをやってもらえるかしら?」

「寂しいような、甘いような、そんな感じの曲だったの」

「私がもっと若い装いを楽しんでいた頃は、覚えていたのだけどね」



 歌ってよ、ピアノマン

 今夜はあたし達みんな、そんな気分なんだ

 君の歌を聞くと安らげるんだよ


125: 2013/11/13(水) 13:24:06.89 ID:FANXUc5Go


 バーテンとはパジャマパーティ以来の仲。時々一杯奢ってくれたりもする。

 彼女にはウィットがあるし、お客が煙草を取り出したらすかさずライターを差し出す敏さもある。

 だけど、彼女が本当にいたいのはここではないみたい。

「ねえ、千秋。分かるわね? 私もう、うんざりなのよ」

「私、まだまだイケると思ってるんだけど。映画のスターにだってなれるわ」

「ここを出て行けさえすればね」

 そう言った彼女は、いつもの笑顔ではなくて、真剣な目をしていた。


 ボックス席の比奈は売れっ子作家。売れすぎて、婚期を逃してしまったぐらい。

 一緒に飲んでいるのは亜季。船乗りになって、文字通り水が合ったよう。

 多分、一生海軍にいる気なんでしょうね。

126: 2013/11/13(水) 13:24:41.99 ID:FANXUc5Go

 ウェイトレスの志保は捕まって、今年のキャッツの調子について聞かされている。

 だけど、教えている方のろれつがだんだん怪しくなってきてるわ。

 皆、孤独を共有して飲んでいるけど、それでも一人きりで飲むよりはマシみたいね。



 歌ってよ、ピアノマン

 今夜はあたし達みんな、そんな気分なんだ

 君の歌を聞くと安らげるんだよ


 土曜の晩はちょっとした盛況ぶり。マネージャーが私に微笑む。

 何故って。

 皆、日々の生活を一時忘れる為、私に会いに来ているのだから。

 ピアノが奏でる音はまるでカーニバル。マイクはなんだかビールの匂いがするわね。

 皆、バーに座って、私にチップをくれながら、こう言うの。


「あなた一体、なんだってこんなところに?」


────
──


127: 2013/11/13(水) 13:26:44.96 ID:FANXUc5Go

菜々「…流石の表現力ですねー…」

P「ああ…。情景まで浮かぶようだ。浮かびすぎてちょっと皆には聞かせられないなと思うレベル」

菜々「でも、不思議な歌ですね」

P「うん?」

菜々「寂しいような悲しいような。でも、なんだか安らぐような感じもして」

P「ああ、歌詞自体は、もう人生が下り坂になっちゃった人達の集う酒場の歌だよな。そういう意味では寂しくて悲しいし、弱ったもの同士が空気を共有する安らぎもあると思う」

菜々「そう考えるとちょっと意外ですね。上昇志向の千秋さんとの組み合わせは」

千秋「そうかしら?」

菜々「ひゃっ!?」

P「お。おかえり千秋」

128: 2013/11/13(水) 13:28:09.87 ID:FANXUc5Go

千秋「ええ」

P「そうかしら、って?」

千秋「そのままの意味よ」

菜々「あ、菜々が意外だって言っちゃった事ですか? ごめんなさい、あんまり考えずに言っちゃって…」

千秋「いえ、いいのよ。そう思う人もいるでしょうから」

千秋「ただ…私の両親に言わせれば、今の私は、まさに歌に出てくる人達そのものでしょうね。少なくとも、そういう将来を心配しているみたい」

菜々「そ、そうなんですか?」

千秋「ええ。そういう考え方の人達だから。けど、私としても、ピアノマンの人達に似ていると思う部分はあるわ」

P「そんな事はないと思うが……」

千秋「勘違いしないで。悪い意味ではないのよ? 私はトップを諦めた訳ではないし、落ち目になったつもりもないわ」

千秋「けど……心境の変化ね。あんな風に集まって、休んで、そしてまた次からの英気を養うのも悪くない、そう思うの」

129: 2013/11/13(水) 13:28:37.51 ID:FANXUc5Go

P「へー、なるほどな。千秋的には、ピアノマンの酒場は逃げ場じゃなくて、充電場所というわけか」

千秋「ええ。張り詰めているばかりが努力じゃないわ。弦だって切れてしまうでしょう?」

P「成長したなぁ。最初はずーっと張り詰めてて、初めて失敗した時はこの世の終わりみたいな顔してたのに」

千秋「…貴方が不甲斐ないから、成長せざるを得なかったのよ」 ムスッ

P「うぐ……。そ、そんな事より、もう一曲あるんだろ?」

千秋「あ、ち、違うの、そんな事が言いたいのではなくて……えっ? え、えぇ、そうだったわね。聞きたいの?」

P「え、そりゃ聞きたいけど。千秋がまだ調整出来てないっていうなら無理には…」

千秋「聞きたいかと聞いてるのよ!」

P「は、はい! 聞きたいです」

千秋「……」

P「ち、千秋?」

千秋「わ、分かったわ。それじゃ、歌うから、聞きなさい」



130: 2013/11/13(水) 13:29:06.49 ID:FANXUc5Go

菜々「…千秋さん、頭抱えてますね」

P「あー、時々ああしてるんだよなぁ。確かに色々話してくれるようになったけど、どーしても自分で抱えちゃう事があるみたいなんだよ」

P「さっきもなんだか無理矢理話題を打ち切るみたいにして歌う事にしてたし……。なんだかなぁ、助けになれればと思うんだが、歯がゆいなぁ」

菜々「あ、は、始まりましたよ! 取り敢えず聞いてみましょう!」




131: 2013/11/13(水) 13:29:40.00 ID:FANXUc5Go

■黒川千秋 The Best of My Love
http://www.youtube.com/watch?v=dli8RKi6wgM


 毎晩、私はベッドで 貴方をきつく抱きしめる夢を見るの

 私達の会話を思い出して 心をかき乱しながら

 私達は話し合おうとしたけれど どうして言葉ではうまくいかないのかしら

 貴方が、私を大切に思ってくれている事 分かっているのに


 外面ばかりで空虚な世界 私が今まで生きてきた世界を見て

 うわべの会話とパーティで無駄に過ぎていく時間 それで何が得られたのかしら?

 世界はまるで冬の川のよう わたしはそこから這い上がれないんじゃないかって思ってた


 でも今 今は心から貴方を愛しているわ

 愛しい人 私の愛を受け取って ああ、愛しい人 私の愛を受け取って


132: 2013/11/13(水) 13:30:07.43 ID:FANXUc5Go

 そんな時、私はあの晩を思い出すの あれは素敵なひとときの夢だった

 私は心からの安らぎに包まれて 眠りに落ちる

 だけど夜が明ければ 私はまた不安になる 今日はうまくやれるの?

 貴方は貴方の 私は私の生き方があって それはズレているんじゃないかしら


 貴方が私を 大事に思ってくれている事は分かっているわ 私もそのつもり

 けど、きっと それでは不充分なのよ



 でも今 今は心から貴方を愛しているわ

 愛しい人 私の愛を受け取って ああ、愛しい人 朝も夜も 私の愛を受け取って


────
──


133: 2013/11/13(水) 13:30:36.83 ID:FANXUc5Go

P「うーむ、イーグルスの名曲中の名曲だ。ピアノアレンジってのは珍しいなぁ」

菜々「イーグルスって、ホテルカリフォルニアが有名ですよね。今の子はイーグルスって言うと楽天の方かもしれないですねー」

P「そうかもしれないなぁ。……ていうか安部さんも今の子ですよね?」

菜々「あー! も、戻って来ましたよ! おかえりなさい!」

千秋「…ど、どうかしら?」

P「ああ、よかったよ。本当によかった」

千秋「…素人じゃないんだから、もう少し違う事が言えないのかしら」

菜々「なんだか切な可愛い歌詞ですね」

P「ああ。千秋が歌うとまたひと味違うな」

千秋「(ムスッ) また、私には似合わないって事? 確かにこれはがらじゃないと思うわ…」

134: 2013/11/13(水) 13:31:03.34 ID:FANXUc5Go

P「いやいや。あれが千秋の本音だったら、おれなびいちゃうわー」

千秋「え……ほ、本当!?」 ズイッ

P「おう! 自信もっていいぞ! 断言して良い。あの演技を見て、千秋に恋しない男はいない!」

千秋「…………例外はいるみたいね」 ガッカリ

P「は? あ、あぁ。ブーブーエスの芸田さんみたいにゲイの人とかはまぁ、例外だろうけどさ。あの人結構好きなんだよな、親切だし、話面白いし」

千秋「そういう事じゃ…! ……もういいわ」

P「そ、そんな露骨に失望しないでくれよ。キャラとして好きなだけであって、そういう意味での好きじゃないからさ…」

千秋「そんな事疑ってないわ…。貴方がどうしようもない事は分かっていたんだから、私がもっと頑張らないといけないのね」

P「よ、よく分からないけど千秋には苦労をかけるなぁ」

千秋「自分の為にやっている事よ。例外がいるなら、一人もいなくなるまでレッスンすれば良いだけ」

菜々(千秋さん、可哀相…)



135: 2013/11/13(水) 13:31:40.27 ID:FANXUc5Go

菜々「千秋さん、燃えてましたね」

P「レッスン前に寄ってくれたのかぁ。うーん、ありがたいような、申し訳ないような」

菜々「Pさんに会いたかったんじゃないですか?」

P「え…。それならまぁ嬉しいけど、さすがに違うだろー」

菜々「……」




139: 2013/12/01(日) 06:56:15.52 ID:oTifylHGo

 ガチャッ

蘭子「煩わしい太陽ね(おはようございますっ)」

P「おっ、次は蘭子か。蘭子がオールディーズってなんか意外だな」

蘭子「我が解き明かした古の秘儀は僅かに過ぎぬ(たくさんは知らないですけど)」

P「そっか、その中から選りすぐって来てくれたんだな」

蘭子「闇の幻影は我が魔力と親和性があるのよ(はいっ、大好きな映画の主題歌なんです!)」

P「へー。蘭子が好きそうな映画でオールディーズっていうと……ブリガドーンあたりか?」

蘭子「ぶり…?」

P「ああいやなんでもない。取り敢えず聞かせてくれるか?」

蘭子「刮目するがいい!(はいっ、聞いてください!)」



140: 2013/12/01(日) 06:56:43.46 ID:oTifylHGo



菜々「……蘭子ちゃんと普通に会話してますね」

P「え、今更!? ていうか菜々も得意なんじゃないの、ああいうの」

菜々「いやー、菜々の設定とはベクトルが違うっていうかというか設定じゃないです! ウサミンヒストリーはホントの事です!」

P「自分でボケて突っ込むなよ……。蘭子が好きって言うとファンタジーかな。"虹の彼方に"あたりかなぁ」

菜々「あ、オズの魔法使い…ジュディ・ガーランドですか? 素敵ですよね」

P「ディズニーもありかなぁ。"星に願いを"とか。歌だけなら、"それはむずかしい"とか"オーディレリー"、"ベアネセサリー"あたり大好きなんだが」

菜々「全然ついてけないです……。うーん。でも、蘭子ちゃんはどちらも外してきそうな気が」

P「? なんで?」

菜々「中二病だから」

P「おい馬鹿やめろ」




141: 2013/12/01(日) 06:57:40.90 ID:oTifylHGo
■神崎蘭子 Never Ending Story

http://www.youtube.com/watch?v=zeRoEBvBL4Y


 汝の幻夢を思い出すがいい! 私と汝れは前世よりの宿縁
 (君が見て来たものを思い起こしてみて 彼女の顔は、君の夢と鏡写しよ)

 信じなさい、我が下僕 我は不偏存在 詠唱の一つ一つが私の分霊
 (信じてみて、私は何処にでもいる 一文一文の中に隠されているの)

 そこにあるものこそ、"永劫の寓話"
 (そこに記されているものこそ 果てしない物語なのよ)



142: 2013/12/01(日) 06:58:09.30 ID:oTifylHGo

 汝が幻想を極めよ 星幽門すら凌駕するほどに
 (星に手を伸ばして見て 空想の世界ではきっと届くわ)

 呪文の妙なる綾をひもとけば、奥義を解き明かす事も可能
 (美しい韻に彩られた文章が、秘密をひもといてくれる)

 暗雲を切り裂く虹霓の剣 それこそ"永劫の寓話"
 (厚い雲に隠された虹 それが果てしない物語なの)


 恐怖の意味を知ったか されど躊躇うな これは始まりにすぎぬ
 (どうか恐れないで、彼女も隠れてしまうわ 君の手にあるのは、新しい始まりなのよ)

 呪文の妙なる綾をひもとけば、奥義を解き明かす事も可能よ
 (美しい韻に彩られた文章が、秘密をひもといてくれる)

 暗雲を切り裂く虹霓の剣 それこそ"永劫の寓話"
 (厚い雲に隠された虹 それが果てしない物語なの)



────
──


143: 2013/12/01(日) 06:58:46.69 ID:oTifylHGo

P「おー、こう来るか。なるほどな」

菜々「ああ……ネバーエンディングストーリー…。まぁ、ゲドとかよりは全然マシですけどね…」 ケッ

P「えっ。あ、あの、菜々さん?」

菜々「なんで真逆な結末にしたのか……。そりゃ絵面とか尺の都合ぐらいは分かりますけど」

P「そうか、菜々は原作派か……」

蘭子「く、黒き太陽の顕現か!?(な、菜々さんが…?)」

菜々「あ……きゃ、キャハッ♪ ファルコンは可愛かったですねっ」

???「アトレーユ×バスチアンは鉄壁」

P「誰だ今の」

144: 2013/12/01(日) 06:59:37.44 ID:oTifylHGo

蘭子「第七の天使よ、永劫の寓話の魔力属性はそなたと反発するか…(菜々さんはネバーエンディングストーリー嫌いでしたか…)」

菜々「? えぇと…」 チラッ

P「菜々はあの映画嫌いだったかー」

菜々「そ、そそそそんな事ないですよ!? DVDも揃えてますし、BDも買っちゃいましたし…」

P「つまり大ファンだと」

菜々「うぅ…。はい、そうなんです。話題に出たので嬉しくてつい語っちゃっただけで…」

蘭子「勝利の祝宴!(本当ですか! 嬉しいですっ!)」

菜々「ごめんね、蘭子ちゃん」

蘭子「是非に及ばず! 聖魔の対峙する黄昏は近い!(いえ! 今度映画のお話とかしたいです!)」

P「菜々も語りたいみたいだしいいんじゃないか。あ、上映会とかやるなら事務所の談話室か寮でやってね。菜々と蘭子どっちかの家でもいいけど」

145: 2013/12/01(日) 07:00:05.69 ID:oTifylHGo

菜々(さりげなく自宅は貸さないアピール…)

菜々「上映会ですか? むしろ大歓迎ですけど…」

蘭子「来世への約定!(本当? 約束ですよっ!)」

菜々「ら、来世…? あはは…」 チラッ

P「蘭子はこの後確か…」

蘭子「如何にも。第二の聖誕の儀に備えよ(はいっ! 2ndアニバーサリーLiveに向けてのレッスンですっ)」

P「その前に予定がないなら、しばらく駄弁ってってもいいんじゃないか?」

蘭子「暫しの臨在!(ホントですか? それじゃ、少しだけお邪魔していきますね!)」

菜々(どうしよう、何を言ってるか全然分からない…)



146: 2013/12/01(日) 07:00:40.03 ID:oTifylHGo



P「やっぱ、映画で使われた曲、って多いな。洋楽に触れる機会なんだろうな」

菜々 グデー

P「どうした菜々。蘭子が帰った途端突っ伏したりして」

菜々「疲れました…。蘭子ちゃんの言葉が半分も分かんないんですもん…」

P「なんだ、だらしないな…。こう言っちゃなんだが、蘭子の言う事は大体文脈の通りだから、例え聞こえなくても大体分かるぞ」

菜々「うわ、ひどい! 適当って事ですか!?」

P「違ぇよ! そのぐらい素直だから難しく考える事ないって話だよ! つか、なんとなく分かるから、菜々の悩みがむしろ分からん」

菜々「そうですか……。そういえば、肝心の歌なんですけど、全然話題にしませんでしたね……」

P「ああ、そういえば。いい歌だし、歌い手のエピソードも面白いんだけどな」

菜々「そうなんですか? リマールでしたっけ、どこの人なんだろう」

P「リマールはイギリスだな。本名のハミルをアナグラムした芸名だよ。まぁ、舞台裏の話みたいなのは面白いんだが、ファンタジーの舞台裏とか、蘭子ががっかりするかと思ってしなかったんだよね」

147: 2013/12/01(日) 07:01:09.69 ID:oTifylHGo

菜々「意外と考えてるんですね…」

P「意外とは余計だ。ああでも、蘭子の歌も良かったのに、それを言わなかったのはしくじったなぁ。まぁいいや、蘭子の家でご両親もいる時に言うか」

菜々「えっ!?」

P「えっ、何?」

菜々「蘭子ちゃんの家に行くんですか?」

P「え、あぁ。シンデレラガールの時お邪魔してから、なんか妙に気に入られちゃってな」

菜々「シンデレラガールにそんな特典が……」

P「なんかもう、手塩にかけて育てた我が子~みたいな心境だったからさー。先方のご両親に『娘を末永くよろしくお願いします』とか言われて変な顔しちゃったよ。そう言えば俺は父親じゃないんだっけ、みたいな」

菜々「ちょっと!?」

P「そういや愛梨の時も、同じような事言われたんだよなぁ。ああいうのって、言うもんなのか?」

148: 2013/12/01(日) 07:01:38.24 ID:oTifylHGo

菜々「言いませんよ!? 少なくとも『末永く』は言いません!」

P「だよなー」

P「…………」

P「え、じゃあなんで言われたんだろ」

菜々「も……もぉー! もう知りません!」

149: 2013/12/01(日) 07:02:09.01 ID:oTifylHGo

 ギャーギャー


 ガチャ


美優「あ、あの、どうかしましたか?」

P「あ、あぁ、美優さん。いや、何でもないんですよ!」

美優「そ、そうですか…」

P「……」

美優「……」

P「…あの、ええと、美優さんも、一曲歌いに?」

美優「あ、はい。ご迷惑でしたか…?」

P「ああいや、とんでもない! 大歓迎ですよ!」

美優「そ、そうですか、よかった…」

美優「…本当に、よかった……」

P「あ、あの?」

美優「あっ、じ、準備しますねっ。それではっ」



150: 2013/12/01(日) 07:02:36.45 ID:oTifylHGo


菜々「美優さんと、何かあったんですか?」

P「え? いや、別に。なんで?」

菜々「なんだか、お互い相手が何か言うのを待ってるみたいな感じがして…」

P「あー、うーん。それはあるかもしれないな。美優さんて、何か言いたい事がある感じがしてさ。それを言ってくれないかなと思って、一呼吸置いちゃうんだよな」

菜々「え…」

P「な、なんだよ…」

菜々「Pさんにそんな気遣いが裏目に~みたいな事があるなんて…」

P「お前は俺をなんだと思ってるんだ…。仕事の話なんかはもう割切って仕切っちゃうんだけどさ。そういう時、すごい潤んだ目で見つめられたりするんだよ…」

菜々「え、えぇ~…」

P「よほど言いたい事があったのかなぁって思っちゃってさぁ。あんな美人にそんな目で見つめられてみろよ、罪悪感で氏にたくなるぞ」

菜々「安定の節穴ですね…」



151: 2013/12/01(日) 07:03:07.84 ID:oTifylHGo

■三船美優 I Honestly Love You

http://www.youtube.com/watch?v=4M8Y18yYodc


「長居しすぎて、しまったみたいですね」

「ああ、すいません。やっぱり高速を使えば良かったかなぁ」

 私の切り出しに彼は、視線を前に向けたまま、ハンドルに寄りかかって答える。
 渋滞の時とかで、焦っている時よくやる『癖』。

「…そういう事では、ないんです。ただ、あまり居心地がいいものだから甘えてしまって…」

「……。え? 一体何の話をしてるんです?」

 何の話か分からない。そう彼は答えるけど、その前の沈黙でとぼけているのだと分かってしまう。
 そうやってとぼけるのが彼の優しさ。弱さ。そしてそれに甘えてしまっていたのは、私の狡さ。

「あの人の気持ちを、もっと大事にしてあげて下さい。…今の仕事もありますから、すぐにとは言いません。けど、引退させて欲しいんです」

 今度こそ、彼は黙ってしまう。
 二人とも黙り込んでしまった車内で、ラジオから「あの人」の歌だけが、ただ流れていた。


152: 2013/12/01(日) 07:04:11.78 ID:oTifylHGo

 いつの間にか渋滞を抜けていて、マンションの前。彼が車を停める。

 車を下りた私を呼び止めて、意を決したように彼が口を開いた。

「美優さん、芸能活動の方は、続けて頂けませんか。俺が何かご迷惑をお掛けしていたなら、お詫びします。担当も変えて貰いますから」

 答える前に、これだけは伝えておかなくちゃ。私も覚悟を決める。

「……貴方を、愛しています──心から、愛しています」

 振り返らずに言う。きっと彼は、怒ったような、困ったような顔をしているんだろう。
 それを見たら、多分心が揺らぐから。だから、振り返らずに言う。

「私は、これで思い出にできます。でも、周囲はそう思わないから、だから、これで終わりにするのが良いんです」

「美優さん、俺も貴女を──」

「言わないで!」

153: 2013/12/01(日) 07:04:41.28 ID:oTifylHGo

 優しい彼は、そう言うだろうと思ってた。けど、仕草を見る度、瞳を覗き込む度に思い知らされる…分かってしまう。

「貴方を困らせたい訳じゃない……何かして欲しくて言っている訳ではないんです」

 ただ、言わないとけりを付けられない。そう思っただけ。

「だから、これで終わりましょう。貴方は、貴方の大事な人のところに帰って下さい」

 彼が息を吐く。納得はしていないかも知れないけど、食い下がるのはやめてくれただろう。
 だから私は、せいぜい笑顔を作って、彼に最後の嘘をつく。

「私にも、そういう人がいるんです。だから、このまま続ければ、お互いが困ってしまいますね」


 冗談めかして終わらせると、逃げるように部屋へと駆け込む。
 彼の車が、遠ざかっていくのが聞こえた。

 もし私達が、違う出逢い方をしていたら、二人は幸せなキスをして終幕、という場面だったのかしら。
 だけど現実はそうじゃなかった。

「……貴方が、好きでした──本当に、心から、愛してました」

 もう届かない告白を最後に、私は声を頃して、泣いた。


────
──


154: 2013/12/01(日) 07:05:09.77 ID:oTifylHGo

菜々「なんだか、悲しい歌ですね……」

P「いかにもオリビア・ニュートンジョンって感じの歌だよなぁ。黙って別れりゃいいのに」

菜々「……」

P「な、なんだよぅ」

菜々「Pさんがさっき言ってた、もう一曲の好きな歌って、これですか?」

P「え、な、なんで分かるの!?」

菜々「分かりますよ…」

 ガチャ

美優「あの、戻りました…」

P「あぁ、おかえりなさい! 良かったですよ!」

155: 2013/12/01(日) 07:05:37.97 ID:oTifylHGo

美優「あ、はい。ありがとうございます」

P「……」

美優「……」

菜々「あー! ええっと、すごく綺麗な歌ですよね! 美優さんのお好きな歌なんですかー?」

美優「あ、はい…。好きというか、なんだか共感してしまって…」

菜々「え…きょ、共感ですか…? あぁ、でも確かに……」

P「だ、駄目ですよ!」 ガタッ

美優「えっ? あ、あの、Pさん…? 私、別に実際に…」

P「そんな……そんな不倫みたいな不毛な事はやめて下さい!」 ギュッ

美優「ふぇっ!?」

156: 2013/12/01(日) 07:06:05.69 ID:oTifylHGo

P「幸せにしますから……! きっと幸せにしてみせますから!」

美優「そ、それ……って…」

P「美優さん……!」

美優「Pさん…」 ポー

菜々「うわー! うわー! うわーうわーうわー!」

美優「(ハッ)…あ、あの、Pさん。確かにこの歌には共感するんですけど、別に実体験とは関係ないというか…(////)」

P「へ? え、あ、あぁ! なーんだ! そ、そりゃそうですよね! いやーすいません、本当に大変な失礼を!(/////)」 ハハハ

美優「わ、私こそ済みません。紛らわしい事を言ってしまって…あ、あの…(////)」 モジモジ

P「いやー良かった…本当に良かった…。え、はい、なんでしょう?」

美優「い、痛いです。手を……(////)」

157: 2013/12/01(日) 07:06:34.01 ID:oTifylHGo

P「は? 手、ですか? ……あ、あぁ!」 パッ

美優「あっ…」

P「す、済みません。勝手に手を取ってしまったりして…」

美優「い、いえ。ちょっと強く握られて痛かっただけで……Pさんに手を握っていて頂くと、安心しますから、それは別に…」

菜々「(何この空気……) は、はい質問ですっ! 実体験と関係ないそうですけど、どういう部分に共感したんですかっ?」

美優「えっ? ……そうですね。まず最初に、この歌のヒロインは、別に不倫はしていなかったと思うんです」

美優「ただ、これ以上進んだら、そうなってしまう。そう思ったから、その直前で身を引くんです。本当に好きだから。好きな人の幸せを壊したくないから」

P「…………」

美優「多分、自分にも相手がいるというのは、嘘だと思うんです。そこまでして、それでも、ただどうしても抑えられなくて、気持ちだけは伝えて、そして別れるんです」

菜々「切ないですね…それは、本当に……」 グスッ

美優「はい…すごく、切ないです…」



158: 2013/12/01(日) 07:07:20.91 ID:oTifylHGo


P「うーん、心配だなぁ」

菜々「どうしたんですか?」

P「美優さんの歌の解釈は興味深かったけどさ。オリビア本人はすごいストレートに感情を出せる人らしくてな」

菜々「え、という事は…?」

P「歌は歌、歌手は歌手だけど、まぁ、その前提を取っ払って考えるならさ。深みにはまる前かもしれないけど、不倫の歌だろうなぁ。しかも、言いたい事を相手に一方的に告げて去る歌」

菜々「美優さんが勘違いしているって事ですか?」

P「ああいやすまん、そういう訳じゃないんだ。歌の解釈なんて自由であって、聞いた人間の数だけバリエーションがあっていい」

P「解釈した美優さんが、吐き出す前に相手の事を考えちゃって、気持ちを溜め込んでしまう性格って事なんじゃないかと思って」

菜々「ええと、つまり何が心配なんですか…?」

P「いや、美優さんさ。悪い男に引っ掛かったりしないか心配だなぁって」

菜々「既にPさんに引っ掛かってますけどね」

P「おい! 誰が悪い男か!」

菜々「それは冗談ですけど……」

菜々(本音を言うと冗談じゃないレベルでPさんの将来が心配ですけど……)



163: 2013/12/02(月) 15:07:30.21 ID:7HDe+FeDo

夏樹「うーっす」

P「お、夏樹……と、あれ、だりーな?」

李衣菜「う、うーす」

P「おう、おかえり」

菜々「夏樹さんも歌いに来たんですかー?」

夏樹「ああ。でも、その前に…」

P「ん、なんだ?」

夏樹「Pさんさぁ、あんまだりーないじるなよ」

P「えっ? お、おう……」

李衣菜「そ、そうですよっ。私はロックなんです! なつきちもっと言ってやって!」

菜々(本当に言いつけに行ってたんですね…)

164: 2013/12/02(月) 15:08:12.98 ID:7HDe+FeDo

夏樹「だりーなの奴、夜中でも構わず報告にくるんだよ。またPさんに可愛いって言われたーってさ」

P「いやーすまんすまん。そんなに嫌がってるとは思ってなくて…」

李衣菜「い、嫌がってるって程では、ないんですけど…」

夏樹「アタシもつい、めんどくさくなって『アタシは言われた事ないぞ』って流しちゃうんだけど」

夏樹「その時決まって、ドヤ顔になってひそかに鼻を鳴らすのがうざい」

李衣菜「」

P「へっ?」

李衣菜「し、し、し、してないよドヤ顔なんて! 何言ってんのなつきち!(////)」

P「鼻は鳴らしてるんだ?」

李衣菜「しししてませんからぁ!!(////)」

165: 2013/12/02(月) 15:08:48.80 ID:7HDe+FeDo

P「ふーん。……しかし、そうか。言ったことなかったっけか」

夏樹「ああ、ないね」

P「夏樹、可愛いよ」 キリッ

菜々「!」

夏樹「!!」

李衣菜「!?」

夏樹「うお、お…。……へへ、今のはヤバかった。くらっときたよ」

李衣菜「な、な、何言ってるんですか! 悪ふざけにしたってタチが悪すぎですよ!!」

P「いや、悪ふざけじゃないんだが……」

李衣菜「い、行こ、なつきち! こここんなとこにいたら妊娠しちゃうよ!」 グイグイ

夏樹「お、おいだりーな……。ったく…んじゃPさん、後でな」

P「おう、期待してるぞ」


166: 2013/12/02(月) 15:09:23.78 ID:7HDe+FeDo



P「さーてと、夏樹達は何を歌ってくれるのかなー」

菜々「なんすかね」 ムスッ

P「……えっ? あの、菜々さん?」

菜々「なんすかね」 ムスーッ

P「え、な、何。なんで怒ってるの」

菜々「怒ってません」

P「怒ってるじゃん…」

菜々「菜々言いましたよね、軽々しく『可愛いよ。キリッ』をやるなって! なんでその日の内に破るんですかぁ!」

P「え、いや、だって。言われた事ないって言われたら、流石に言わなきゃ駄目だろ。だって俺が担当してるアイドルは全員可愛いもん。可愛くないと思ってる子をプロデュース出来るほど、俺人間出来てないし」

菜々「そんな事分かってます!」

167: 2013/12/02(月) 15:10:01.00 ID:7HDe+FeDo

P「俺がプロデューサーとして、心からそう思ってるって事は、少なくとも知っといて欲しいんだよ……。まぁでも、菜々の助言を軽んじちゃったのは確かだよな。ごめんな」

菜々「…………」

P「…あ、は、始まったぞ! ポインターシスターズかー、これも映画音楽だなー。ははは…はは…」

菜々「ずるいです、Pさんは……」 ボソッ

P「ん?」

菜々「な、なんでもないですよー♪ ちょっと意地悪しちゃいました、キャハッ!」



168: 2013/12/02(月) 15:10:53.99 ID:7HDe+FeDo
■ロック・ザ・ビート(木村夏樹&多田李衣菜) Be There


 もしあなたが私と一緒に来るなら、悪いようにはしないわ そして二人で楽しみましょう?

 それはとっても素敵なこと この誰も信じられない、イカれた世界でね


 あなたの為なら、どんな山にも登ってみせるわ 海だって泳いで渡ってみせる

 あなたも同じ気持ち?



 貯金も、冷蔵庫も、愛車のタンクも空っぽでいいわよね

 私達の人生はいつもギリギリ

 そして私は祈るの あなたも一緒でありますように


169: 2013/12/02(月) 15:11:22.35 ID:7HDe+FeDo


 Ooh 嘘ついたっていいわ、分かってるから

 最後には本当の事を言うの お互いさまよね

 それはケーキの一切れじゃなくて いわば共同作業


 お医者なんて必要ない お薬もね

 気のいい友人もいらないわ お金も使っちゃいなさいよ



 貯金も、冷蔵庫も、愛車のタンクも空っぽでいいわよね

 私達の人生はいつもギリギリ

 そして私は祈るの あなたも一緒でありますように


170: 2013/12/02(月) 15:11:53.07 ID:7HDe+FeDo


 私の蜜をちょっと落として、床に塗り込めるの

 そこは夜、私が勝負服を脱ぐところよ

 それ以上だってしてあげるわ



 貯金も、冷蔵庫も、愛車のタンクも空っぽでいいわよね

 私達の人生はいつもギリギリ

 そして私は祈るの あなたも一緒でありますように



────
──

171: 2013/12/02(月) 15:12:27.05 ID:7HDe+FeDo


菜々「李衣菜ちゃんて、夏樹ちゃんと歌ってる時は普通にかっこいいですよね」

P「ああ、夏樹は李衣菜を可愛がってるなぁ。見せ場見せ場で李衣菜を立ててる」

菜々「あ、確かに」

P「まぁ、夏樹自身ぶっきらぼうだったり繊細だったりしてわりと人付き合い下手なとこあるし、外見で怖がられる事もあるからなぁ」

菜々「そ、そうなんですか?」

P「ああ。さすがに最低限の付き合いは出来るようになったって言ってたけどな。それだけに誰かといると気を遣うし、地で振る舞ってても懐いてくれる李衣菜が可愛いんだろうな」

菜々「そういうものですか……。けど、なんだか納得です」

P「お、続けてもう一曲か。これまた映画だな。スターシップ、映画は『マネキン』だったかな」



172: 2013/12/02(月) 15:13:47.54 ID:7HDe+FeDo

■ロック・ザ・ビート(木村夏樹&多田李衣菜) Nothing's Gonna Stop Us Now



 君の目の中に、僕にはパラダイスが見える

 それは僕にとって本当に素晴らしいものなんだ

 近くにいてほしい 君に溢れるほど捧げたいんだ

 僕の心に芽生えたこの愛 君へのね


 クレイジーだって? 好きに言わせておきなよ そんな奴ら知るもんか

 僕の手を取って いいかい? 振り返らず行こう


 世界がどうなろうと知ったことか

 僕らの心が通じていれば、何だって作り出せるさ


 それを一緒に作っていこう 石のように永遠に 僕らを邪魔する奴は今やいないよ

 世界が去っていっても、僕には君が、君には僕がいるよ

 邪魔する奴はいない 邪魔なんてさせるもんか



173: 2013/12/02(月) 15:14:14.60 ID:7HDe+FeDo



 君に出会えて本当に嬉しいよ 決して失いたくない

 君といる限り 素晴らしい人生になるよ どんなに酷い時でもね

 何だろうと、僕達がする事を


 クレイジーだと言う奴らは放っておきなよ 奴らが何を知ってるって言うのさ

 僕の手を取って いいかい? 振り返らず行こう


 世界がどうなろうと知ったことか

 僕らの心が通じていれば、何だって作り出せるさ


 それを一緒に作っていこう 石のように永遠に 僕らを邪魔する奴は今やいないよ

 世界が去っていっても、僕には君が、君には僕がいるよ

 邪魔する奴はいない 邪魔なんてさせるもんか



174: 2013/12/02(月) 15:14:42.62 ID:7HDe+FeDo



 君が必要なんだ 僕に永遠に必要でありつづけるものなんだ

 ただ、ただ、君を抱いていたい ずっと ずっとのずっと、永遠に


 世界がどうなろうと知ったことか

 僕らの心が通じていれば、何だって作り出せるさ


 それを一緒に作っていこう 石のように永遠に 僕らを邪魔する奴は今やいないよ

 世界が去っていっても、僕には君が、君には僕がいるよ

 邪魔する奴はいない 邪魔なんてさせるもんか


────
──


175: 2013/12/02(月) 15:15:11.49 ID:7HDe+FeDo

夏樹「うーす」

P「おー、すげぇ良かったぞ。ちょっと調整すればそのままステージで使えそうな出来映えだ」

李衣菜「ホント!?」

夏樹「へへ、褒めすぎだろ…。そんな大したもんじゃないって」

P「いやいや、マジで。世界中に見せびらかして自慢してやりたくなったもん」

李衣菜「へへっ、なつきち!」 スッ

夏樹「ん? おぉ」 スッ

夏樹&李衣菜「「いえーい!」」 ハイタッチ!

菜々(李衣菜ちゃん、完全に機嫌が直ってる…)

菜々「二曲とも映画からですっけ? 有名なロック曲なんですか?」

夏樹「さぁ? どうだろうな、仕事ならそのへんも考えるけど」

176: 2013/12/02(月) 15:15:41.26 ID:7HDe+FeDo

P「スターシップの方はロックバンドだけど、ポインターシスターズはR&B路線のコーラスグループだな。まぁ、R&Bとロックの間に明確な境界があるわけじゃないが」

夏樹「アタシは楽しそうだから来て、好きな歌を歌っただけだからなぁ。それがロックだって言うならロックでいいんじゃないか?」

P「お、おい…聞いたかだりーな! これがロックだ!」 ナデナデナデナデ

李衣菜「な、なんで撫でるんですかぁ!(////)」

夏樹「そんなカッコイイもんじゃないと思うけど。いい加減なだけだからさ」


菜々「あ、は、はいっ! リクエストいいですか?」

P「リクエストか、面白いな」

夏樹「菜々さん? なんだい」

菜々「菜々、いかにもロック!って感じの曲が聞きたいです! コテコテのやつ!」

夏樹「ふぅん?」

177: 2013/12/02(月) 15:16:42.62 ID:7HDe+FeDo

菜々「ジョニーB……でしたっけ? ああいう感じの」

夏樹「ジョニー・B、ね……了解」 ニヤッ

李衣菜「?」

夏樹「行くぜだりーな。もう一ステージだ」

李衣菜「う、うん!」



178: 2013/12/02(月) 15:17:09.81 ID:7HDe+FeDo


菜々「……菜々、おかしな事言っちゃいました? 夏樹ちゃん、なんで笑ったんだろ」

P「菜々はいわゆるロックンロールとか、ロカビリーが聞きたかったのか?」

菜々「え? あ、はい。多分……。ジャンルの名前はよく分からないんですけど…」

P「あ、始まった。やっぱりなー」

菜々「え? え? 菜々が知ってる曲と違いますこれ!」

P「いや、これは間違いなくジョニーBだよ」

菜々「題名間違えちゃったかな……ところで李衣菜ちゃん、なんだかすごいテンパってません?」

P「李衣菜も菜々と同じ勘違いをしてたんだろうな。勘違いっつーか、夏樹のイタズラに引っ掛かっただけだが」

菜々「?」

P「菜々が聞きたかったのは、ジョニーBグッドじゃないかな。チャックベリーの」

菜々「え、あ、そ、そうですそれです!」


179: 2013/12/02(月) 15:17:39.66 ID:7HDe+FeDo

■ロック・ザ・ビート(木村夏樹&多田李衣菜) Johnny B.

http://www.youtube.com/watch?v=qiedTok_SX8


 眠れない夜に、彼女は君の名を呼ぶ

 孤独な旅路さ 君がどれほど彼女を好きか知ってるよ

 何度も何度も、君は懲りもせず夢を追いかける

 だけどねジョニー 友人として忠告させてもらうよ

 彼女は見た目どおりの女性じゃない


 ジョニーB 現実を見るんだ

 目を開いて 話をちゃんと聞いてくれ

 赤信号が見えてるってのに どうして分からない


180: 2013/12/02(月) 15:18:18.48 ID:7HDe+FeDo

 彼女を家まで送っていく時 体をぴったりよせてくるだろ?

 君を手玉にとって お持ち帰りするテクなんだよ

 君はくらっと来て ふらふらついて行っちまう

 これが初めてじゃないだろ どうしてまた引っ掛かるのさ


 ジョニーB 現実を見るんだ

 目を開いて 話をちゃんと聞いてくれ

 赤信号が見えてるってのに どうして分からない


181: 2013/12/02(月) 15:19:19.54 ID:7HDe+FeDo


 彼女に一言 名を呼ばれれば

 君は一晩中だって 車を走らせる

 彼女が待っているんだものな また愛を恵んでくれるって

 彼女のキスは猛毒で 君の中に残り続けるんだね


 ジョニーB 現実を見るんだ

 目を開いて 話をちゃんと聞いてくれ

 赤信号が見えてるってのに どうして分からないのさ


────
──

182: 2013/12/02(月) 15:19:58.83 ID:7HDe+FeDo


菜々「間違って伝えちゃったけど、これはこれで良い歌ですね」

P「だろ。機械のオケなのが勿体ないけど。まあでも、別に間違って伝わってはいないよ」

菜々「え? でも…」

P「チャックベリーのジョニーBグッドを、フーターズのジョニーBと間違えられるドジなんてこの世にいな……ほとんどいないよ」

菜々(なんで言い直したんだろう…)

P「フーターズの方しか知らないならありそうな話だけど、夏樹が知らないなんてありえないしな」

菜々「じゃあ、どうして…」

P「だからさ、イタズラなんだって。ほら、夏樹もしたり顔でVサインしてきてるだろ」

菜々「も、もぉーっ!」

P「ロックだなぁ、夏樹は」

183: 2013/12/02(月) 15:20:26.11 ID:7HDe+FeDo

菜々「ロックが良く分からないです…そういえば、あんまり歌詞の解説とかしてくれなくなりましたね」

P「ん? あぁ、まぁ、夏樹たちもそんなに気にしてないんじゃないかな。頭で考えるより、音を聞いて、リズムに乗って楽しむもんだからな」

P「あ、もう一曲行くってさ。今度は菜々の聞きたかったやつが来るんじゃないか」

菜々「あ、ホントだ! 菜々の知ってる曲です!」



184: 2013/12/02(月) 15:20:54.23 ID:7HDe+FeDo

■ロック・ザ・ビート(木村夏樹&多田李衣菜) Jonny B Goode

http://www.youtube.com/watch?v=I8JULmUlGDA



 江戸川が東京湾に注ぐあたり 墨田区の南、江東区

 多田李衣菜という素朴な少女が住んでいる


李衣菜「えっ、なつきち、なんかいつもと歌詞違わない?」

夏樹「いいから合わせろ。行くぜ!」


 勉強も運動も並ちょっと下 知識も全然にわかだけれど

 驚くようなギターを弾く



 Go Go だりーな Go

 Go Go だりーな Go

 行け 多田李衣菜



185: 2013/12/02(月) 15:21:23.49 ID:7HDe+FeDo



 てきとーな袋にギターを詰めて

 錦糸町の駅前 道ばたに座る

 ティッシュ配りのにーちゃんが眺める中

 列車のリズムに合わせてギターをかき鳴らす


 通りすがりの人々は足を止め 口々に言う

 「この子、なかなかやるじゃないか」



 Go Go だりーな Go

 Go Go だりーな Go

 行け 多田李衣菜



186: 2013/12/02(月) 15:26:00.86 ID:7HDe+FeDo



 プロデューサーは言う

 「いつかあの子は有名になって 一流バンドを率いるだろうね」

 「日本中からファンが押し寄せ 夜が更けるまで彼女のステージに熱狂する」

 「そしていつかだりーなの名前がライトアップされて、こう紹介されるのさ」

 「さぁ、今夜も多田李衣菜の登場だ! ってね」



 Go Go だりーな Go

 Go Go だりーな Go

 行け 多田李衣菜


※地名・人名以外は大体こんな感じです。
  ジョニーBグッドという若者は、学も財産も何もないが、ギターテクはすごい!
  いつかこれでビッグになるに違いない!っていう、陽気で脳天気な内容。
  当時の世相と、黒人チャック・ベリーが歌った事を合わせて考えると、まさにドリームだったんではないかと。

────
──

187: 2013/12/02(月) 15:26:28.33 ID:7HDe+FeDo

P「これまたすごい改変だな……。恐縮しちまいそうなもんだが、ノリノリでついてく李衣菜はやっぱ大物だな」

菜々「分かってないって可能性は…」

P「あるな。夏樹なら、帰ってから種明かしもありうる」

菜々「なんていうか、お姉ちゃんと妹……というより、お兄ちゃんと弟、って感じしますね」

P「ああ、するかも。このかわいがり方は姉妹ってより、兄弟っぽいな」

菜々「それにしても、すごい楽しそう。菜々も楽しくなって、体が勝手に動いちゃいました♪」

P「これがロックンロール。だろ?」 ドヤァ

菜々「うわウザ……」

P「……」 グスッ

菜々「う、う、うっざみーん♪ キャハッ!」



188: 2013/12/02(月) 15:30:04.73 ID:7HDe+FeDo
──────────

ここまで。

>>160
ありがとうございます。大きく空いてしまって済みません。。

>>161
ジョニーBグッドは入れたかったんですが、誰に歌って貰おうか決めあぐねてました。
ありがとうありがとう。

あと「いそしぎ」と「ムーンリバー」も誰かに歌って欲しいんですけど誰がいいですかね……

193: 2013/12/04(水) 16:37:14.73 ID:p3DZZ86Fo
再開します。

序盤の曲リスト:>>80
※よりガッカリするだけだったりしたらごめんなさい。

──────────

194: 2013/12/04(水) 16:37:58.16 ID:p3DZZ86Fo

 ガチャ

のあ「……来たわ、P。……泣いているの?」

P「のあさぁぁぁん、うさみんがブホォ!」

菜々「ち、違うんですよ! 元はと言えばPさんが菜々の事をブホォ!」

のあ「……ブホォ? 新しいパフォーマンスの練習かしら」 トゥートゥーポマシェリーマーシェーリ



P「いやいやいやいや、どっちが新しいパフォーマンスだよ!」

のあ「……まだ何もしていないわ」

菜々「ど、どうしたんですか!? わざわざ衣装に着替えたんですか?」

195: 2013/12/04(水) 16:38:32.66 ID:p3DZZ86Fo

のあ「この服は家から着てきたものよ」

菜々「家からかよ!」

のあ「どうかしたの?」

菜々「い、いえ、どうもしませんけど……ちょっとのあさんのイメージと違ったなーって思っちゃって…」

のあ「……」

P「お、おい、菜々……」

のあ「P、いいの。アメリカ人の菜々には、私のこの姿をイメージできなかったようね」

菜々「え、あ、アメリカ人?」

のあ「USA民」

菜々「ダジャレか! な、菜々はウサミン星から来たウサミン星人なんですーっ!」

196: 2013/12/04(水) 16:39:12.46 ID:p3DZZ86Fo

のあ「……」 フム

菜々「……? あ、あの、のあさん…?」

のあ「素晴らしいツッコミよ。そしてそこから流れるように自らがボケる…流石ね」

菜々「ぼ、ボケじゃありませんからぁ!」

のあ「その技術(アート)…欲しいわ。菜々、にゃん・にゃん・にゃんに入りなさい」

菜々「え゛っ……。い、いやその、菜々はウサ耳キャラだし、今からネコミミに転向するのはちょーっと難しいかなーって…ていうかボケじゃないですってば!」

P(キャラって言っちゃった…)

のあ「大丈夫よ。耳なんてまたすぐ伸びるわ。ほら、これを使いなさい」 スッ

 つ[爪切り]

菜々「え、は……。な、なんでそこで爪切りなんですかっ! もう……なんなの…もう…」

P「のあさん、そろそろ歌の方頼むよ」

のあ「…。分かったわ」



197: 2013/12/04(水) 16:39:44.56 ID:p3DZZ86Fo



菜々「のあさんて、キャラがよく分かんないです…」

P「あー、悪かったな。彼女、なんだろ、言葉が難しいな…。『人を動かす何者か』になるのが夢なんだってさ」

菜々「? 感動させたりとか、ですか?」

P「そうそう。そういうと高尚っぽいけどさ、人を笑わせたい、びっくりさせてやりたい…みたいな感覚って、ショービズに関わる人間ならそんなに珍しくないだろ」

菜々「あ、そう言われるとそうかもです」

P「ただのあさん自身、笑いが苦手なのは自覚してるんだよな」

菜々「そ、そうなんですか!? みくちゃんとの掛け合いとか、ステージでも人気なのに…あっ、でも言われてみれば、これは笑っていいのか、って不安になる時があります」

P「基本真顔だからな。あと、加減が下手なんだって」

菜々「?」

P「ま、それは追々……のあさん遅いな」

198: 2013/12/04(水) 16:40:13.89 ID:p3DZZ86Fo

菜々「現れませんね。のあさんはあの衣装で何を歌うつもりだったんでしょう」

P「え。どう考えてもミッシェル・ポルナレフだろ。"シェリーにくちづけ"あたりじゃないか?」

菜々「え、あ、あのファッションてモデルいたんですか!?」

P「ポルナレフ自身は確かに、凄まじくかっこいいんだよ。かっこよすぎて、『似合わないのにポルナレフの格好をする』ってギャグが定着するぐらい」

菜々「菜々もギャグの方しか見たことないです…。確かに先入観なしで考えたら、今日ののあさん素敵だったかも。ギャグじゃなかったんですかね?」

P「さぁ…。相手の反応見て楽しむって意味で、悪戯の一種だった可能性はあるけど」

菜々「あ、のあさん来ました…って、普段の格好に戻ってますね。着替えてたんですね…」

P「さぁ何がくるかな。"シェリーに口づけ"か、"愛の願い"か…」

菜々「あ、始まった」

 ドテッ

菜々「え、だ、大丈夫ですかPさん!?」


199: 2013/12/04(水) 16:40:42.18 ID:p3DZZ86Fo

■高峯のあ Moments aren't Moments

http://www.youtube.com/watch?v=seaFJoiUlOU


 優しさ 暖かさ 穏やかさ これらは皆、私と貴方が最早隠す事が出来ないほど強く感じている「もの」に近い言葉

 力強さ 輝き 明瞭さ これらは皆、私と貴方が今夜目にする高貴な輝きを表現するには到底足りない、ただの言葉


 だから 瞬間が一瞬で過ぎ去る事はないわ

 その瞬間が 私と貴方の体験する 魔法の一瞬である限り

 その魔法が 私と貴方の心に咲く 愛しさの花である限り



200: 2013/12/04(水) 16:41:24.08 ID:p3DZZ86Fo


 温和 沈黙 柔和 これらはみな翼 私と貴方の元に 永遠に壮麗で在り続けるものを運ぶ

 見えない物を信じ 感じるままに与え そうすれば私と貴方は より親密に、近しくなれるわ 私達の見出す世界で



 その瞬間が一瞬で過ぎ去る事はないわ

 その瞬間が 私と貴方の体験する 魔法の一瞬である限り

 その魔法が 私と貴方の心に咲く 愛しさの花である限り


 だから 瞬間が一瞬で過ぎ去る事はないわ

 その瞬間が 私と貴方の体験する 魔法の一瞬である限り

 その魔法が 私と貴方の心に咲く 愛しさの花である限り


────
──


201: 2013/12/04(水) 16:42:22.12 ID:p3DZZ86Fo

菜々「これもミッシェル・ポルナレフの曲なんですか?」

P「いや全然違うよ! スティービー・ワンダーが作って、ディオンヌ・ワーウィックが歌った映画の挿入歌だな」

菜々「そ、そうなんですか? でも、綺麗で、ミステリアスで、のあさんのイメージに合ってる気がします」

P「……。加減が下手ってのは、凛なんかにも言えるんだけどさ」

菜々「あ、はい? さっきの話ですか?」

P「ああ。凛は『サボりの才能がない』だけなんだが、のあさんは『ブレーキを踏めない』んだよな。悪気はなくても相手が泣くまで弄っちゃう的な」

菜々「あ…さっきって」

P「うん。やりすぎる前に手綱を引いてくれって頼まれてるんだが、だんだんタジタジになる菜々が可愛くてつい遅くなってしまった。ごめん」

菜々「も、もぉーっ!!(////)」

P「だからみく達と組むまでは、モデルとかさ、笑う要素のない仕事しか出来なかったんだよな」

202: 2013/12/04(水) 16:42:54.25 ID:p3DZZ86Fo

P「まぁ、俺もいきなりメイド服で出迎えられるまではそもそも、そういう希望がある事自体知らなかったんだけどさ」

菜々「のあさんと張り合えるみくちゃんて、実はすごいんですね…」

P「うちに来る前からだから、芸歴は凛達より長いぐらいだしな。移籍組には流石に負けるけど、それでもセルフプロデュースでやってた逞しさがあるし」

P「あ、勿論相談はしたぞ? 三人のユニットにしようってのも、実はみくの提案だし。最後の一人をアーニャにしたのは事務所の決定だけど」

菜々「そうだったんですか…」

P「こういうとあれだがみくは『わざとらしさ』で売ってるから、二人だとバランスがな。アーニャとのあさんだけでもうまくいかないだろうし、にゃん^3はあの三人で完成するユニットだよ」

菜々「(くすっ) Pさんて意外と考えてるんですね」

P「意外とは余計だ。まぁ、ともかくのあさんが食いついてくる時は大体、面白い掛け合いがしたいだけだよ」

菜々「キャハッ!分かってますよっ♪ それにしても、ブレーキを踏めないって、車のハンドルは握らせたくない人ですねっ」

P「いや、運転は普通に出来るらしいぞ。免許持ってるし。ていうか都心はともかく、地方は免許無いと何も出来なかったりするからな」

203: 2013/12/04(水) 16:43:42.81 ID:p3DZZ86Fo

菜々「そういえばPさんの地元ってどこなんですか?」

P「絶対ナイショ。やたら聞いてくるアイドルがいてなんか怖くなったから、ってだけなんだが、聞いてどうするんだ……? まゆとか未だに時々聞かれるんだが」

菜々(実家を先に味方につけようって事じゃないですかね…)


のあ「戻ったわ」

菜々「あ、お帰りなさいっ! すごい素敵でしたよっ。菜々、きゅんきゅんしちゃいました♪」

P「そこは同意なんだが、最初からあの選曲だったのか?」

のあ「否、よ。最初は"愛の願い"を予定していたわ。ただ、気が変わったのよ」

P(やっぱり、お詫びのつもりで、菜々のイメージに合わせてくれたのかな)

のあ「…菜々。貴女に尋ねたいのだけど、私の衣装はそんなにおかしかったかしら」

菜々「!」

204: 2013/12/04(水) 16:44:17.38 ID:p3DZZ86Fo

菜々(今までの情報を踏まえて……のあさんなら、相手を笑わせる為にやっていたはず…! ここは…っ!)

菜々「そんな事ないですよっ! ちょっとびっくりはしちゃいましたけど、すごく面白かったですっ」

のあ「……」

のあ「そう…。それじゃ、帰るわね…」

 ガックリ トボトボ

 バタン


P「あーあ。あんなへこんでるのあさん初めて見たわ……」

菜々「あ、あれー!?」




205: 2013/12/04(水) 16:45:02.35 ID:p3DZZ86Fo


 ガチャッ

P「おっ、次は日菜子か」

日菜子「……」

P「ひ、日菜子…?」

 ニヘラッ

日菜子「い、いきなりプロポーズだなんて、日菜子困っちゃいますよぉ…むふ…むふふふ…」

P「何言ってんだお前」

日菜子「何って、Pさんが言ったんじゃないですかぁ。…あ、これは妄想でした」

菜々(いつも通りのフルスロットルぶりですね…)

P「そ、そうか…日菜子も一曲歌いにきてくれたのか?」

日菜子「そうですよぉ。そしてそれを聞いたPさんは日菜子に…むふふふ…」 ブツブツ


206: 2013/12/04(水) 16:45:42.30 ID:p3DZZ86Fo


菜々「行っちゃった…」

P「あいつ、美優さんとはまた別の理由で心配だなぁ。歩いてて電柱とかにぶつかるぐらいならいいけど、車道に出ちゃったりしないだろうな」

菜々「さ、流石にそこまではしないんじゃないですか?」

P「そうか? 自分の世界に完全に入り込んでる時とか、抱えて運んだりしてるんだが必要ないかな…」

菜々「え!? ま、まさか杏ちゃんみたいにわきに抱えたりしてたり…? 杏ちゃん以外の体格の子にやったら流石にセクハラですからね!?」

P「え、いや。こんな風に……」

菜々「お、お、お姫様だっこ!?」


207: 2013/12/04(水) 16:46:10.64 ID:p3DZZ86Fo

■喜多日菜子 Moon River



 ムーンリバーの川巾は 1マイルよりなお広い

 だけど私もいつか、胸を張って渡っていくんですよぉ

 くれた夢の数と同じぐらい 私の心を痛ませてきたあなた

 あなたの通った道を辿って どこへだってついて行きます…むふふ


 二人して 世界中を旅して廻るんです

 世界は広くて、初めての事ばかり あっ、そんな事……初めてなの…むふふふ…

 日菜子たち、虹の両端でずーっと それが綺麗なアーチを描いて、橋になるのを

 待ってていいですよね 私のハックルベリーさん?

 ムーンリバーと そして日菜子と……むふふ…

────
──

208: 2013/12/04(水) 16:46:49.59 ID:p3DZZ86Fo

菜々「すごい幻想的で、綺麗な歌ですよね」

P「うん。個性が多少弱くても綺麗な、日菜子みたいな声質がよく映える歌だよ。……けど、日菜子が歌うとなんか妄想垂れ流してるように聞こえちゃうのがな…」

菜々「ちょっと!?」

P「あ、もう一曲行くみたいだな。なるほど、かの名曲をこう使ったのか」

菜々「? どういう事ですか?」

P「いや、ムーンリバーってさ、かの有名なヘンリー・マンシーニが、オードリー・ヘプバーンの為に作ったんだよ」

菜々「ふむふむ?」

P「ヘプバーンは音域が狭くてね。だから、決して歌は下手じゃないんだが、歌手としての名声はあんまないだろ? まぁ、ミュージカル全盛の時代が終わってたからという話もあるけど」

菜々「ああ、なるほど…キー的に負担が少ないから、ウォーミングアップに使ったと」

209: 2013/12/04(水) 16:47:19.04 ID:p3DZZ86Fo

P「そうそう。…お、始まった。へー、ニール・セダカか」

菜々「え!?」

P「え、なんで驚くんだ」

菜々「ニール・セダカって、"Z・刻をこえて"の…?」

P「あ? あぁ、Better Days Are Comingだっけ」


210: 2013/12/04(水) 16:48:07.43 ID:p3DZZ86Fo

■喜多日菜子 Happy Birthday Sweet Sixteen


 16歳の誕生日、おめでとう 日菜子

 ずっと今夜を待っていたんだ 君が小さい子供じゃなくなるこの日をね

 君は、今まで見た誰よりも 可愛い女の子に変わったよ

 16歳の誕生日、おめでとう 日菜子


 あのファニーフェイスに何があったの? あの可愛い生意気少女が、今はドレスを着てるなんて

 この目が信じられないよ 年頃の女の子は、こんな奇跡を起こすんだね

 16歳の誕生日、おめでとう 日菜子



211: 2013/12/04(水) 16:48:35.85 ID:p3DZZ86Fo

 日菜子が6歳ぐらいの頃、僕はただの「おにいちゃん」だった

 10歳の頃だったかな その頃は仲が悪かったよね

 13歳のバレンタインは今でも覚えてるよ あれはおかしかったなぁ

 だけど、日菜子はもっと大きくなって 素敵な未来をドレスに纏うよ

 今日、僕の恋人になってからもね


 勿論驚いてるよ こうして微笑んでいるのは 君が美しく変身した事の証拠さ

 君は、今まで見た誰よりも 可愛い女の子に変わったよ

 16歳の誕生日、おめでとう 日菜子

※ファニーフェイスは、直訳すると「面白い顔」「変な顔」ですが、となりのトトロでいう「サツキちゃん的ではないが、メイちゃん的可愛さ」、「愛嬌のある顔」というニュアンスではないかと思われます。
 「ファニーフェイス」という映画があって、ヒロインがオードリー・ヘプバーンなので、いまいちピンと来ない部分もあるのですが、語呂のいい訳語が思いつかなかったのでそのままファニーフェイスにしました。

────
──


212: 2013/12/04(水) 16:49:39.33 ID:p3DZZ86Fo

日菜子「むふふ…」

P「お、おう。お帰り」

菜々「素敵な歌ですねー。菜々もこんな風に囁かれてみたいなぁ…」

日菜子「これは日菜子が16歳になった時に、プロデューサーさんが贈ってくれた歌なんですよぉ。むふふ…」

菜々「え、えぇっ!?」

P「往年の名曲の作者詐称すんな! これがヒットした年、俺まだ生まれてねえよ! あと6歳の日菜子とか見た事ねえよ!」

菜々「ていうか日菜子ちゃん、まだ15歳ですよね…?」

日菜子「あっ、そうでしたぁ。これも日菜子の妄想でした」

P「あのな…そんな妄想ばっかして、転んだりしないでくれよ?」

日菜子「大丈夫ですよぉ。プルーストも、人生は生きるよりも妄想する方がいい、って言ってますし」

213: 2013/12/04(水) 16:50:37.34 ID:p3DZZ86Fo

P「ホントかよ!?」

菜々「そ、そうだ。Pさんにお姫様だっこしてもらったんですよね。妄想と較べて、どうでした?」

日菜子「……」

菜々「あ、あれ。日菜子ちゃん…?」

日菜子「菜々さん、何言ってるんですか? 妄想もほどほどにした方が…」 ドンビキ

菜々「え、えぇー…」

P「気づかないほど妄想に集中してるのかよ!? そっちこそほどほどにしろよ!」


217: 2013/12/05(木) 08:40:02.47 ID:SmdkC9/ho

紗南「てれれれれれれってってってー!ひあかむずあにゅーちゃれんじゃー!」 バーン!

P「そんな挨拶があるか…相変わらず自由な奴だな……」

紗南「そこで日菜子さんとすれ違ったよ」

P「あぁ、さっきまでここにいたからな。何かあったのか?」

紗南「うんにゃ、いつも通りだった。『もしもPさんがお姫様だっこしてくれたらぁ…むふふふ…』って言ってた」

P「妙にうまいなその物真似」

紗南「あと『不思議と感触まで鮮明に想像できます…むふ…むふふふ…』って言ってた。地道なレベリングが実を結んだみたい」

P「そうか……。で、紗南も歌いに来てくれたのか?」

紗南「うんっ。次のイベント早く起こしたいから、好感度稼ごうと思って!」

P「あぁ、別にそんな事しなくても次の仕事用意してるから……まあでも、そうやって自己アピールする姿勢は立派だな。偉いぞ!」 ナデナデ

218: 2013/12/05(木) 08:40:33.10 ID:SmdkC9/ho

紗南「んっ。まぁ、今のフラグ達成率だとこのイベントだよねー」

P「?」

紗南「そんな事より、ちょっと行ってくるね!」

P「おう」



菜々「あー、これは紗南ちゃんらしい選曲ですね」

P「え、そうなのか。シンディ・ローパー好きだったのか…」

菜々「違いますよ、グーニーズですっ」

P「あ、あぁ。確かに子供が喜びそうな映画だったなぁ。でも世代的には、紗南の親が見てたぐらいの映画じゃないか?」

219: 2013/12/05(木) 08:41:06.65 ID:SmdkC9/ho

■三好紗南 The Goonies 'R' Good Enough

http://www.youtube.com/watch?v=Scu81EW4UC8


 僕らは 銭ゲバと退屈が溢れる街に住んでる

 そんな鎖、断ち切って飛びだそう

 自分で感じられないモノなんて、リアルとは言えないでしょ

 言えなかった期待 昔遊んだ夢の世界 それを実現させるんだ!


 君が嬉しい事が、僕の嬉しい事だよ

 それで充分 むしろ最高!



220: 2013/12/05(木) 08:41:34.49 ID:SmdkC9/ho



 君が嬉しい事が、僕の嬉しい事だよ

 それで充分 むしろ最高!


 何が出来て出来ないか、分別って奴が分かってきたんだよ 君はそう言う

 だけど僕には、ただぐずぐずしてるみたいに見えるね


 古いしきたりとか迷信は なかなか捨てられるものじゃないけど

 そんなものは蹴飛ばして、飛び出さなきゃ!


 君が嬉しい事が、僕の嬉しい事だよ

 それで充分 むしろ最高!


────
──

221: 2013/12/05(木) 08:42:02.11 ID:SmdkC9/ho

菜々「ワクワクしてくる歌ですねっ。…けど、意外と風刺っぽい?」

P「菜々は映画は見たのか?」

菜々「見ました! あっ…も、もちろんビデ…DVDで見たんですよ?」

P「そこは何も言ってないだろ…。グーニーズってさ、わりと悪口なんだよな」

菜々「あ、確かに作中でそんな風に言われてた気がします」

P「愚図連中…とまでは言わないが、三バカトリオ、ぐらいのノリだよな。まぁ、グーニーズは四人だし、舞台の街の名前に引っ掛けたって設定だけど」

菜々「でも、それがどうかしたんですか?」

P「ああ、風刺絡みの話でさ。あのタイトル、直訳するなら『グーニーズは充分いけてる!』とかなるのかな。回りくどくないか?」

菜々「い、言われてみれば……。『グーニーズは最高!』じゃダメだったんですかね?」

P「そこで本来のgoonyで考えてみるとさ、『負け組だって悪くないさ』っていう、風刺的メッセージとのダブルミーニングなんじゃないかな、って」

222: 2013/12/05(木) 08:42:29.20 ID:SmdkC9/ho

P「マイキーの家は借金抱えて大変。マウスとデータは人種的マイノリティ。ローレンスはほほえみデブ」

菜々「最後のは別の映画ですよね!?」

P「うん……そういえばマウスとチャンクって、わりとまんまな奴らがフルメタルジャケットにもスタンドバイミーにもいたな。まぁそれはいいとして」

P「そんな、アメリカで勝ち組に入れない冴えない連中だって案外悪くないもんだぜ?みたいなメッセージが籠もってるのかなと」

菜々「なるほど…普段から、そんな事まで考えてるんですか?」

P「いやそういうわけじゃ…。けど、結構好きかも。宝探しみたいで面白くないか?」

紗南「ただいまっ!」

P「お、良かったぞ紗南! よくグーニーズなんて知ってたな!」

紗南「……」 ジロジロ

P「ん、どした?」

223: 2013/12/05(木) 08:43:01.55 ID:SmdkC9/ho

紗南「うーん、なかなかイベント発生しないなーって。グーニーズはお婆ちゃんの家でやったんだ」

P「(やった…?)へー、紗南はどのキャラが好きだ?」

紗南「キャラ? ……うーん、白いネズミかなぁ」

P「ネズミ…?」

紗南「海賊の骸骨はさー、出てくるとテンション上がるよね!」

P「え…っと、海賊ウィリーの事か? 確かにあの場面はテンション上がったなー。ポスターを先に見てたから、なんかもっと派手なのをイメージしてたけど」

紗南「さっきから何言ってんの?」

P「グーニーズの話だよな?」

紗南「グーニーズの話だよね?」

菜々「Pさんが言ってるのは映画のグーニーズで、紗南ちゃんが言ってるのはゲームのグーニーズですよね」

224: 2013/12/05(木) 08:44:01.73 ID:SmdkC9/ho

P「えっ? あー、あぁ! 紗南らしい選曲ってそう言う事か!」

紗南「あ、映画あるんだ? 今の歌って、映画が元なの?」

P「知らなかったのか……。よし、今度見せてやろう」

紗南「ホントっ!? じゃあ、じゃあ、あたしもオススメのゲーム持ってくね!」

P「まじか。紗南とゲームやっても大体俺がぼこられるだけじゃん…」

紗南「対戦じゃないやつ持ってくから! ……っしゃあ! イベント発生!このまま個別ルートまで突っ走るよーっ!」





P「はぁ……部屋の掃除しとくか」

菜々「……あれ!? そういえばPさん、奈緒ちゃん達は渋ってたのに、紗南ちゃんは普通に家に呼ぶんですか!?」

P「おいおい、凛とか奈緒ぐらいの年頃の子を部屋に入れるのと、紗南とか輝子ぐらいの子を入れるのとじゃ、全然意味合いが違うだろ?」

菜々「凛ちゃんと輝子ちゃんて同い年ですからね…? 紗南ちゃんもいっこしか違わないし」

P「……!?」

菜々「なに『初めて知った!!』みたい顔してるんですか!?」


225: 2013/12/05(木) 08:44:40.79 ID:SmdkC9/ho

 バターン

友紀「しまっていこーっ! おーっ!!」

P「なんか騒がしいのが来たな…」

友紀「あははは! このぐらい声張らないと、球場じゃ応援できないしね!」

P「球場で騒げよ…。あ、友紀の選曲分かっちゃった」

友紀「おっとぉ? ノーサインで分かるとは、さすがあたしの恋女房だね!」 ケラケラ

P「友紀に女房呼ばわりされるのは釈然としないものがあるが、まぁ確かにアイドルはマウンドに立つ方だよな」

菜々「何の話ですか?」

P「ん。ああ、野球でキャッチャーの事を『女房役』って言うのさ。恋女房ってのはその上級表現みたいなもんだな」

友紀「へー、そうなんだ」 ケラケラ

P「おい!?」

友紀「まーまー。んじゃ、行ってきまーす!」



226: 2013/12/05(木) 08:45:18.18 ID:SmdkC9/ho


菜々「今のやり取りで友紀ちゃんが何歌うか分かったんですか?」

P「ん? いや、球場で流れる定番ナンバーがあるからそれかな、ってだけ。あー、ひょっとすると、Wild Thingもあるかもしれないなぁ」

菜々「?」

P「いや、メジャーリーグって映画の主題歌でさ、実際の試合でも使われる事があるらしいから。後は……友紀の好きな選手の応援歌とかだと分からんなぁ。適当なコト言わなきゃよかったな…」

菜々「友紀ちゃんは絶対気にしないと思いますけど…」

P「ところで菜々、忘れてるかもしれないけど、友紀は二十歳だから菜々より年上設定だぞ」

菜々「あ……キャ、キャハッ♪」

P「あ、おい! あいつビール片手に歌うつもりか!?」

菜々「蓋は開けてないみたいですけど……」



227: 2013/12/05(木) 08:45:51.39 ID:SmdkC9/ho

■姫川友紀 Take Me Out to the Ball Game

※実際に球場で流れてるバージョン
http://www.youtube.com/watch?v=vRDYwQS6b00

※少人数で歌うならこんな感じ?
http://www.youtube.com/watch?v=JGws1yR0tg8


 姫川友紀は野球が大好き! 選手を全員覚えて、名前を全部言えるぐらい!

 球場に来れば、フレー!って応援してる彼女に会えるよ


 彼氏の名前はP その彼が言うの

 ”友紀、ディズニーランドなんてどう? 行こうよ”

 信じらんない! 返事は無論NO! あたしはこう言ってやるの



228: 2013/12/05(木) 08:46:18.19 ID:SmdkC9/ho


 あたしを野球に連れてって! 観客席に連れてってよ

 ピーナッツとビールも買ってね 帰れなくなってもいいから!


 そしてキャッツを応援しようよ!

 無様に負けたら許さない! かっ飛ばせキャッツ!

 これぞベースボール!って試合を見せて!

────
──

229: 2013/12/05(木) 08:47:08.34 ID:SmdkC9/ho

菜々「めちゃくちゃ楽しそうに歌ってますね…」

P「キャッツの試合がなかったからここに来たのか……。あっ、ビール開けやがった!」

菜々「飲みながら戻ってきますね…」

P「くそ…なんでここのスタジオは禁酒じゃないんだ…」

菜々「え、違うんですか!?」

P「まぁ、酒飲みながらレコード収録する大物アーティストとか、前例が無い訳じゃないからな…基本禁酒だけど、規約にはまだないんだよ」

菜々「そうだったんですか…」

P「あ、駄目ですよ安部さん。宴会とかで変な前例作ったら、禁止になる可能性が高いですからね」

菜々「しませんからね!?」

友紀「ップハーッ! ウメーッ!」

230: 2013/12/05(木) 08:47:36.22 ID:SmdkC9/ho

菜々(ビール…ゴクリ)

P「おい!」

友紀「んー? プロデューサーも飲む? ロング缶しかないけど」

P「それが半ダース"も"ある、だろ! それよりいつから俺がお前の彼氏になったんだ」

友紀「あー」

友紀「まーいーじゃん! 歌の話だし!」 ケラケラ

P「お前の場合、TPO弁えて言動調整できないから普段から気をつけなさい」

友紀「えーっ。あっでも、こないだ親に将来の話とかされて、めんどくさくなってPが彼氏だから心配すんなって言っちゃった!」

P「まじかよ!?」

友紀「ホントだ、あたし弁えられてない! さすが恋女房、あたしのコト分かってるね!」 ケラケラ

231: 2013/12/05(木) 08:48:03.62 ID:SmdkC9/ho

P「それはもう良いから! ちゃんとホントの事言っとけよ」

友紀「えーっ」

P「えーじゃない」

友紀「びーっ」

P「びーでもない!」

友紀「あははは! んじゃ、Pが彼氏になってくれたら言う」 ケラケラ

P「それじゃ意味ないだろ! 言うまでビールは没収」

友紀「あーっ、あたしが自分の稼ぎで買ったのに! んもー、しょうがないなぁ…帰って飲むか…」

P「あっおい! 飲むなとは言わないけど、親御さんにはちゃんと訂正しとけよ!」




232: 2013/12/05(木) 08:48:43.66 ID:SmdkC9/ho



P「…行っちゃった」

菜々(ビール…) ゴクリ

P「安部さん、ここで飲んだら設定変えてもらいますからね」

菜々「の、飲まないですよぉ。ウサミンは17歳なので、ビールの美味しさなんて分かんないんですっ!キャハッ♪」

P「語るに落ちてるぞ。……しっかし、友紀はあの明け透けさが魅力ではあるんだが…」

菜々「いつになく厳しく言ってましたね」

P「友紀はあのキャラがあるし、年齢的にも成人してるからさ、もうちょっと上にいけたら、彼氏とか旦那がいても関係なく愛されるタレントになれると思うんだよ」

P「ただ、今はその途中で、パパラッチとかで簡単にキャリア潰されるかもしれないからさ」

菜々「そこは他のアイドルと変わらないですね」

P「うん。友紀の場合、さっきも言ったけどあの明け透けさは魅力だからな。本人が意識して気をつけるより、俺とか周りがガミガミ言うから仕方なく、って構図の方が良い」

233: 2013/12/05(木) 08:49:25.34 ID:SmdkC9/ho

菜々「Pさん、完全に悪役ですね…」

P「それも仕事だろ?」

菜々「なるほど、恋女房……」

P「やめてくれ! そう言われるとなんか何かがキュッてなるんだよ!」


※おまけ:Wild Thing
http://www.youtube.com/watch?v=5Zw8z4_j9GI


239: 2013/12/07(土) 12:29:04.09 ID:dKl1vBINo

 バーン!

早苗「P君面白そうな事やってるらしいじゃない♪ お姉さんも混ぜなさいよ!」

P「パッションな面子が続くな……」

瑞樹「おはようP君に菜々ちゃん」

菜々「おはようございますっ♪」

P「お疲れ様です、早苗さん。……と、川島さん」

瑞樹「そういえば分からないわ。どうして私だけいつも名字呼びなの?」

P「え、あー。そういえば最初の頃、瑞樹さんて呼ぶと聖來が一緒に反応しちゃうんで、そうしたんですよね」

瑞樹「もう必要ないんじゃないかしら?」

P「え、でももう川島さんで定着しちゃったし…」

240: 2013/12/07(土) 12:29:49.07 ID:dKl1vBINo

瑞樹「瑞樹さんで紛らわしいなら、瑞樹ちゃんと呼べば良いんじゃないかしら」

P「いやそれはキツ…」

早苗「ちょっと! なにコント始めてるのよ!」

P「あっとそうでした。お二人でデュエットなさるんですか?」

早苗「そうそう。『セクシー☆ダイナマイツ』ってユニット名で売り出すわよ!ってそんなわけないじゃない!」 ビシッ

P「あ痛だっ! なんで話を戻すその流れでそのまままた脱線するんですか!?」

瑞樹「私の話まで脱線扱いしないで欲しいわ!」

P「あー、えーっとその…川島さんだけって事はないかと……他にも名字呼びの人いますし…」

瑞樹「例えば?」

早苗「そういえばP君、留美とか真奈美の事は名字呼びしてるわよね」

241: 2013/12/07(土) 12:30:21.77 ID:dKl1vBINo

P「あっ、そうですね。ほら、川島さんだけじゃないですよ!」

瑞樹「釈然としないわ…」

P「そ、そんな事より川島さんは何を歌われるんです?」

瑞樹「無理矢理戻したわね」

P「そんな事ないですよ」

瑞樹「…まぁいいわ。それは聞いてからのお楽しみよ」

P「はぁ…。それじゃ早苗さんは? 口リータあたりで?」

早苗「Pくぅん? あたし、おっさん扱いも嫌だけど、口リ扱いもイヤって知ってるよね?」 ギリギリギリ

P「痛でででででで! ち違いますって! トライミーとか歌った口リータですよ! ユーロビートとか好きそうだし!」

菜々「ユーロビートでトライミーって、安室奈美恵さんが歌ったやつですか?」

P「そうそう。あれカバーなんだよ」

242: 2013/12/07(土) 12:30:53.08 ID:dKl1vBINo

早苗「なんでユーロビート?」

瑞樹「ボディコンね。分かるわ」

早苗「ジュリアナが閉店した時、あたし10歳ぐらいなんだけど…」

P「まぁ、そうなんですけど……。ジュリアナ閉店と同時にボディコンが滅亡したわけでもないですし」

早苗「まぁ、ぶっちゃけ好きだけどね。……それより瑞樹、どっちから行く?」

P「あれっ? なんか昭和っぽいネーミングのユニットは?」

早苗「昭和っぽいとか言うな!」 ゴスッ

瑞樹「早苗が選んでいいわよ」

早苗「そ? んじゃ、お先に行かせてもらうわね」




243: 2013/12/07(土) 12:31:20.78 ID:dKl1vBINo



P「痛てて……。早苗さんといると生傷が絶えないんだけど…」

瑞樹「成人組では間違いなく一番、その枠をナシにして考えても、杏ちゃんと乃々ちゃんの次ぐらいにボディタッチが多いわよね」

P「お、俺から触りにいってるわけじゃないですよ!? 人をセクハラ野郎みたいに言うのはやめて下さいよ、もう!」

瑞樹「そういう事じゃないわ」

菜々「あれ、早苗さんなんだかすごい緊張してません?」

P「へ? あぁ、ホントだ。ライブの時でもあんなに自然体の早苗さんが、珍しいな」

瑞樹「深呼吸してるわね」

 パァン! ウシッ!

菜々「じ、自分の両頬を叩いて気合い入れましたよ!?」

P「あーあ、真っ赤じゃないか…痕が残るような叩き方じゃないけど、アイドルなんだから顔はもっと大事にしてくれなきゃ……」

瑞樹「叩いたから真っ赤なんじゃなくて、真っ赤だから叩いたんだと思うわ」


244: 2013/12/07(土) 12:31:48.45 ID:dKl1vBINo

■片桐早苗 Say you love me

http://www.youtube.com/watch?v=5GQGqZGOPxU


 分からない? あたし、君と友達以上の関係になりたいの

 君に触れるのは心地いいけど もっと先まで進みたいのよ

 今のままじゃ難しいと感じても あたし達が抱き合った時 きっとそれが正しいって分かるわ


 『愛してる』って言ってよ それが素敵な事だって分かるでしょ?

 ただ『愛してる』と言って あたしを氷みたいに扱わないで

 お願い、あたしを愛して 君のものになってあげるから 君もあたしのものになって

 ただ『愛してる』と言ってくれるだけで きっと全部うまく行くわ



 ねえ、分かるでしょ あたし、君と友達以上になりたいの

 じゃれあうだけじゃイヤ もっと心で繋がりたいの

 いつもと違う風にあたしを見て 今から一歩先に進めば、きっと分かるわ



245: 2013/12/07(土) 12:32:18.08 ID:dKl1vBINo


 『愛してる』って言って それが良いわ

 『愛してる』って言ってよ あたしに冷たくしないで

 ねえ、愛して 君を頂戴 あたしをあげるから

 『愛してる』と言ってくれたら みんなうまく行くの


 『愛してる』と言ってくれない? ねえ、言って

 『愛してる』って言ってよ ダーリン

 『愛してる』と言って



 『愛してる』って言ってよ それが素敵な事だって分かるでしょ?

 ただ『愛してる』と言って あたしを氷みたいに扱わないで

 お願い、あたしを愛して 君のものになってあげるから 君もあたしのものになって

 ただ『愛してる』と言ってくれるだけで きっと全部うまく行くわ


────
──


246: 2013/12/07(土) 12:32:46.83 ID:dKl1vBINo


P「やばい、あんなシリアスな早苗さん初めて見た」

菜々「すごい色っぽかったですよね! 菜々もドキドキしちゃいました」

瑞樹「……ちょっと、聞いてないわよ。あんな本気で攻めてくるなんて…」

菜々「? どうかしたんですか?」

瑞樹「こ、こっちの話よ? 準備してきたあれでは弱いわね……ええと…」

P「川島さん、顔色悪いですけど……大丈夫です?」

瑞樹「えぇ。大丈夫よ。ちょ、ちょっと、5分ほど外すわね」



247: 2013/12/07(土) 12:33:25.11 ID:dKl1vBINo



菜々「どうしたのかな…」

早苗「ただいまー、っと。あれ、瑞樹は?」

P「なんか5分ほど外すって、慌てて出て行きましたよ。何かやってるんですか?」

早苗「ん? ああ、ちょっとゲームをやってるの。美優と留美にも声を掛けたんだけど、乗ってこなかったのよね」

菜々「あ、美優さんならもう来られましたよー。…ゲームって、一体どんなゲームですか?」

早苗「うん。本気で愛の歌を歌って、P君を一番ドキッとさせた子が優勝、ってゲーム」

P「何やってんすか……。ちなみに相当ドキッとさせられました。ああいう歌もいけるなんて、知りませんでしたよ…」

早苗「ホント!? ちなみに優勝賞品は、P君がお婿さんになってくれる券♪」

P「ちょっ、何勝手に人の人生賭けてんだ! 全くもう、この人は……(溜息)」

早苗「いいじゃんいいじゃん、オトナの女はそういう口実がないと攻められないもんなのっ♪(////)」 ドスッ

P「カハッ」 ドサッ

菜々(鳩尾に肘鉄!?)

248: 2013/12/07(土) 12:34:58.96 ID:dKl1vBINo

早苗「で、そういう事だから……って、P君聞いてるー?」

菜々「き、聞こえてないと思いますけど…」

早苗「もう、だらしないなぁ。ま、そういう訳なんだけど、菜々ちゃんも混ざる?」

菜々「な、菜々は遠慮しておこうかなーなんて……。キャハッ♪」

早苗「あたしらよりは余裕あるだろうけど、親御さんそろそろせっついてきてるんじゃない?」

菜々「う゛っ……。その、少しだけ…」

早苗「ま、後悔はしないようにしたいわね、お互い。…それじゃ先に帰るわ、瑞樹にはそう言っておいてくれる?」



249: 2013/12/07(土) 12:36:46.19 ID:dKl1vBINo



P「う、ぐ……息を吐いたところで急に来るんだもんなぁ…氏ぬかと思った…」 ゲホゲホ

菜々「……」

P「あれ、どうした菜々?」

菜々「……確かに……年齢的に…当ですけど…やっぱり思い切って……」 ブツブツ

P「なーなー? 耳に息吹きかけちゃうぞー?」 フーッ

菜々「ひゃあああ!? な、な、なんですかいきなり!?」

P「いや、なんか呼んでも反応ないから」

菜々「だからってやって良い事と悪い事がありますからね!?」

P「早苗さんは?」

菜々「もう……帰りましたよ」

P「友紀の置いてったビール持ってって貰えばよかったな……あ、川島さんきた。なんだ、川島さんもすごい真剣な顔してるな」

菜々「無理もないですよね…」

菜々(多分、いつものノリでおふざけのつもりで来たら、早苗さんがガチだったから焦ったんですね…)

P「? あー、こうして見ると、アナウンサー時代の川島さんを思い出すなぁ。密かにファンだったんだよね、俺」



250: 2013/12/07(土) 12:37:21.49 ID:dKl1vBINo

■川島瑞樹 It Might Be You

http://www.youtube.com/watch?v=C0ug8LyAWSM


 私の人生って、通り過ぎる列車を眺めていたようなものだったわ

 浜辺で 海鳥が飛び交う様を眺めていたようなもの

 家で誰かが待っていてくれたら そんな事を願いながら


 その誰かって、君じゃないかしら そう 何かが囁いたの



251: 2013/12/07(土) 12:37:48.62 ID:dKl1vBINo

 私の人生の中で

 恋人たちが どんな風に出会って どんな風に別れるのかを見て来たの

 もしも私の番が来た時 この人だ、って すぐに分かるかしら?


 その人って、君じゃないかしら そう 何かが囁いたの


 たくさん散歩に出掛けましょう 何度も一緒に朝を迎えてみましょう

 そしてたくさんの愛を育ててみましょう?


 時間が必要だって思うの そう、時間だけでいいのよ 分かるわよね?

 そうすれば 君が『その人』かどうか 分かるはずだわ



252: 2013/12/07(土) 12:38:31.25 ID:dKl1vBINo

 ラブソングやララバイを たくさん考えてるの

 まだ形になっていない物もあるけど 全部まだ、誰も聞いた事がないものよ


 君よ 君なのよ 私がずっと、生まれた時から待ち続けてきた『誰か』っていうのは

 そう、君よ 多分、君なの

 私がずっと、生まれた時から待ち続けてきた『誰か』っていうのは


────
──


253: 2013/12/07(土) 12:38:58.45 ID:dKl1vBINo


P「なっつかしいなぁー。ダスティン・ホフマン、『トッツィー』だ。学生の頃レンタルして来て見たんだったかなぁ」

菜々「え、ダスティン・ホフマンて歌も歌うんですか?」

P「ああいや、ホフマンは主演。歌はスティーヴン・ビショップだな。良い曲多いんだけど、なんだろうなぁ、癖がないのか、これがそこそこヒットして、後はあまり注目されなかったらしい」

菜々「そうなんですか…」

P「うん。他の曲もさ、悪くないんだよ」

川島「ど、どうだったかしら」

P「あ、お帰りなさい! 良かったですよ! いやー、やっぱ好きだなぁ…」

川島「ほ、本当!?」 ズイッ

P「…ビショップ」

 ガクッ

254: 2013/12/07(土) 12:39:26.17 ID:dKl1vBINo

川島「そうよね、スティーヴン・ビショップの事好きよね。分かっていたわ」

P「あ、いや、勿論川島さんの歌も素敵でしたけどね」

川島「そ、そう? ドキっとした?」

P「あー…聞きましたよ。あんまり早苗さんの悪ふざけに乗っからないで下さいよ。もう大人なんですから」

川島「悪ふざ……。そ、そうね! お姉さん達があんまり色気振りまいたら、P君も困っちゃうわよねっ。はぁ……」

P「ホントですよ……ドキドキしどおしですよ…あ、そうか」

川島「な、何かしら?」

P「俺、大人の女性…って感じの人を名前呼びするのが、抵抗あるのかなって」

川島「つまり、どういう事?」

P「いや、例えばニュージェネの連中とかって、女性というより女の子って感じで。すんなり名前で呼べるんですよ」

255: 2013/12/07(土) 12:40:08.27 ID:dKl1vBINo

川島「興味深いわ。でも、早苗はどうなのかしら?」

P「ああ、早苗さんは……年上ですけど、なんか女の子って感じがするからか、抵抗ないんですよね」

 ガタッ

川島「つまり私は大人のオンナと意識しているという事ね、分かるわ!」

P「え、はぁ、まぁ……」

川島「一歩リードよ、早苗……! あら、そういえば早苗は?」

菜々「あ、先にお帰りになりましたよ」

川島「そう、ありがとう。それじゃ私も行くわね」

菜々「あ、はーい。おつかれさまでしたっ」

川島「またね、P君♪」

菜々(ウィンクに投げキス……)



256: 2013/12/07(土) 12:40:35.27 ID:dKl1vBINo



P「はぁ……心身ともにすごく消耗した気がする…」

菜々「あ、そういえば美優さんとか楓さんは名前呼びですけど、早苗さんと同じ理由ですか?」

P「え、ああ、そういえばそうだな。うーん、なんだろうな、あの二人が特別ってより、年上オーラ出てる人はつい距離を置いて名字呼びしちゃう感じ?」

菜々「うわ……逆ですか…」

P「な、なんだよ…。ちなみに礼子さんは自分でも分からん。あの人はなんかもう"礼子さん"てキャラだからしか言いようがない」


※おまけ:川島さんが準備してきてた曲 Do You Want to Know a Secret
http://www.youtube.com/watch?v=BVQU6xH96k8


260: 2013/12/10(火) 17:18:46.42 ID:3tu6I4nCo

 ガチャ

菜々「あ、乃々ちゃん。おはようございまーすっ」

乃々「あの……アイドルやめたいんですけど…」

P「第一声からそれかよ!?」

乃々「む、無理ならせめて帰りたいんですけど…」

P「お、おう……。ま、まぁ強制じゃないし、今日はオフだったはずだし、止める理由はないよ」

菜々(むしろ、なんで来たんだろう…)

乃々「……」

P「どうした?」

乃々「な、なんでもないんですけど……それじゃ用もないですし帰ります…」

261: 2013/12/10(火) 17:19:21.83 ID:3tu6I4nCo

 トボトボ チラッ 

菜々「!」

 パタン



菜々「あの、乃々ちゃんひょっとすると……」

P「…」 ウズウズ

菜々「あ、あの、Pさん?」

 スクッ ズカズカッ バタン

 バタバタバタバタッ


262: 2013/12/10(火) 17:19:49.19 ID:3tu6I4nCo

 ナ、ナンデ オイカケテ クルンデスカ

 ヤ、ヤメテ ホシイン デスケド

 ム、ムーリィ

 バタバタバタバタッ

 ガチャッ

菜々(Pさんが急に出て行ったと思ったら、乃々ちゃんを抱きかかえて戻って来た!?)

菜々「ど、どうしたんですか!? さっき帰って良いって言ったのにそんな強引に連れ帰ってきて…」

P「はっ!? す、すまん乃々。ついいつもの癖で」

乃々「うう…もりくぼに自由はないんです…横暴なプロデューサーがこうして攫いに来ますし…(////)」

菜々(言うわりになんだか嬉しそう)

263: 2013/12/10(火) 17:20:34.14 ID:3tu6I4nCo

P「いや、面目ない。乃々と杏が背中を見せる時はいつも逃げる時だからもう条件反射で…」

乃々「あ、あんまりなんですけど……乃々はペットじゃないんですけど…」

菜々(むしろ条件付けされてるPさんこそペットっぽい気も)

菜々「あ、あの、取り敢えず乃々ちゃんを下ろしてあげたらどうですか」

P「あ、あぁ。そうだよな」 スッ

乃々「あ…」

P「済まなかったな、無理矢理連れてきちゃって」

乃々「本当に困るんですけど…もうこういう事やめて欲しいんですけど…」

P「わ、悪かったって。用もなく抱きかかえて攫ってくるみたいな事はしないって、気をつけるよ」

乃々「……全くしなくなったらそれはそれで寂しいんですけど」

P「は?」

264: 2013/12/10(火) 17:21:00.95 ID:3tu6I4nCo

乃々「ひ、独り言までいちいち聞かないで欲しいんですけど…」

P「(独り言だったのか…)お、おう…ごめんな」

乃々「…」

P「…」

菜々「……」

P「あの…」

乃々「せ、せっかくだから歌っていってもいいんですけど」

P「えっ? そうなのか! なんだ、準備してきてくれてたのか! いやぁ、嬉しいなぁ!早速聞かせてくれよ!」

乃々「む、むーりぃー…」

菜々「どっちなの!?」



265: 2013/12/10(火) 17:21:29.33 ID:3tu6I4nCo



P「乃々が辞めたい・帰りたい以外に何か積極的にやろうとしてくれるなんて、嬉しいなぁ」

菜々「乃々ちゃんて、ホントに嫌々アイドルやらされてるんですか?」

P「うーん……一回、本番直前に逃げ出した事があってさ」

菜々「え……た、大変じゃないですか!」

P「あ、うん。監督がカンカンでさ、ひとまず宥めなきゃいけなくて、すぐ追いかけられない事があったんだけど」

菜々「乃々ちゃん、帰っちゃったんですか?」

P「いや、すぐ外でうろうろしてた」

菜々「」

P「もう夢中でかっさらって戻ってさ、スタッフに平謝りして、どうにか予定通り撮影してもらったんだけど」

266: 2013/12/10(火) 17:21:56.41 ID:3tu6I4nCo

菜々「ま、まだ何か?」

P「いや、それ以来やたらプチ脱走するようになってさ。時間のちょっと前に逃げ出して、俺が担いで戻るのがもう習慣になってて……」

P「多分、乃々本人はアイドルが好きだと思うんだよなぁ。ただ自分でエンジン掛けられないから、そうやって誰かにスイッチ入れて貰ってるだけなんじゃないかなぁ」

菜々「は、はぁ…」

菜々(後で菜々も真似してみようっと)



267: 2013/12/10(火) 17:22:26.91 ID:3tu6I4nCo

■森久保乃々 Love Will Keep Us Alive

http://www.youtube.com/watch?v=t6tfTJ4I31g


 その人は たった一人で戦っていて

 その女の子は ただ隠れる場所が欲しかっただけなんですけど…


 道が分からなくて孤独でしたけど その人のおかげで強くなれましたし

 別にアイドルのお仕事なんてしなくても 愛があれば生きていけると思うんですけど…


 ”心配すんな。騙されたと思って乗せられてみろって!な?”とか言われても

 確かに 知らない間に世界はもりくb…その女の子にとって 生きやすくなったとは思うんですけど

 その人に見つけて貰って もう寂しくも虚しくもないですし

 別にアイドルのお仕事なんてしなくても 愛があれば生きていけると思うんですけど…



268: 2013/12/10(火) 17:22:54.18 ID:3tu6I4nCo

 ”お前の為ならなんだってやる 世界一の山にだって登ってやる! 命だっていくらでも賭ける!”

 そう言ってくれるのは嬉しいんですけど もりくぼがアイドルじゃなくても言ってほしいんですけど…

 あっ、なんだってやるなら、まず引退させてほしいんですけど…



 その人は たった一人で戦っていて

 その女の子は ただ隠れる場所が欲しかっただけなんですけど…


 道が分からなくて孤独でしたけど その人のおかげで強くなれましたし

 別にアイドルのお仕事なんてしなくても 愛があれば生きていけると思うんですけど…

 お腹が空いたって 二人の間に愛があれば生きていけると思うんですけど…

 大事だから何度も言うんですけど 何はなくても 愛があれば生きていけると思うんですけど…



────
──


269: 2013/12/10(火) 17:24:14.05 ID:3tu6I4nCo


P「イーグルス再結集の時の曲だ。いいよなぁ、これ」

菜々「素敵な歌詞ですねー。お腹が空いても、二人愛し合っていれば生きていける、ですか」

P「うんうん、イーグルスも、詞が分かると良さが増すグループだな。俺も一日一食まで切り詰めたって、ガチャがあれば生きていけるよ」

菜々「ご飯ぐらいは三食しっかり食べて下さいよ、もうっ!」

 ガチャ

P「おっ、良かったぞ乃々!」

乃々「む、むーりぃー…」

P「無理なもんか! 絶対トップアイドルにしてやるからな!」

乃々「トップアイドルとか無理ですし……あの歌はもりくぼの切実な願いなんですけど…」

P「ははは、むーりぃー」

乃々「ま、真似しないで欲しいんですけど…」




270: 2013/12/10(火) 17:24:49.39 ID:3tu6I4nCo




菜々「乃々ちゃんもまた、強烈なキャラですね…」

P「個性派の中でもひときわ異彩を放ってるだろ。あいつはビッグになるぞ」

菜々「本人がそれを望んでいるかどうかですけど…」

P「あれだけの素材を埋もれさせておくなんて! それはもう全人類に対する罪だろ! なーんて…」

菜々「女の子を攫ってアイドルさせる方が罪ですからね…ところでPさん、少女漫画って読みますか?」

P「ん? いや、あんまり。ガラスの仮面が少し分かるぐらい」

菜々「なんだかんだ言って、イケメンで強引な王子様が攫いに来てくれるお姫様、って構図は多いんですよ」

P「へー、そのへんの願望は男女とも一緒だな。男向けの漫画にも受け身な男子が美少女に迫られるって構図が多いように思えるぞ」

菜々「乃々ちゃんて、少女漫画が好きじゃないですか」

P「あはは、なるほどな。それじゃ、ホントの王子様が乃々を攫いに来るまで、王子でもイケメンでもない俺が頑張るか」

菜々「……そのまま王子様にならないで下さいよ?」

P「俺が王子に縁があるって言ったら、八王子ぐらいだからなぁ。ははは」

菜々(心配だなぁ…)




271: 2013/12/10(火) 17:25:59.99 ID:3tu6I4nCo



留美「おはよう、Pさんに菜々さん」

菜々「あ、おはようございまーす!」

P「おはようございます、和久井さん。和久井さんも、オールディーズを一曲歌いに来てくれたんですか?」

留美「オールディーズと言うには新しいかもしれないけど」

P「ああいや、なんかもう各人にとっての懐メロ~ぐらいの砕けたニュアンスでやっちゃってますから」

留美「そう。ならよかったわ」

P「しかし楽しみだなぁ、和久井さんも結構古い洋楽は聞かれるんですよね」

留美「元々そういう趣味があったわけではないわよ。貴方の影響ね」

菜々(!?)

P「あ、そうなんですか? いやー、光栄だなぁ」

留美「私の方こそ、感謝しているのよ。元々無趣味だったから。…貴方のおかげで、人生に潤いが得られた気がするわ」

P「い、いや、大袈裟ですよ」

留美「…何を言ってるのかしらね、私…。準備するわね」



272: 2013/12/10(火) 17:26:50.07 ID:3tu6I4nCo

■和久井留美 Will You Love Me Tomorrow

http://www.youtube.com/watch?v=m8KlYc0xG80


 今夜、あなたは私のものよ あなたは優しく愛してくれる

 その瞳には 私への愛が煌めいているわ

 だけどあなたは 明日になっても 変わらず私を愛してくれるのかしら?


 これは永遠の宝物? それとも一夜の戯れなのかしら

 あなたの囁きを信じていいの? 明日も変わらず愛してくれる?


 今夜あなたは、それとなく 貴女だけ…そう言ってくれるのね

 だけどこの夜が明けた時 私の心は傷つくのかしら


 あなたの気持ちが知りたいわ 私が信じていいものなのか

 だから教えて もう聞かないから 明日も変わらず愛してくれる?

 だから教えて もう聞かないから 明日も変わらず愛してくれる?


────
──


273: 2013/12/10(火) 17:28:05.45 ID:3tu6I4nCo


菜々(あ、あれ、なんだか重っ!)

P「いいなぁー、このチョイス。和久井さんのハスキーボイスにぴったりだ」

菜々「あ、あははー…そうですねー」

P「もちろん下手じゃ駄目だけど、技術だけじゃ感動させられないタイプの歌だよな」

留美「そう言って貰えるなら、選んだ甲斐があるわ」

P「あ、お帰りなさい。すいません、貴重なオフにこんな遊びにつきあって頂いて」

留美「いえ……オフと言っても、時間を持て余してばかりいるから」

P「そうですか? それなら良かった! ……って、もう前みたいな事が無いように気をつけないとですね」 ハハハ

菜々「前? 何かあったんですか?」

P「あぁ。ロケ現場の近くで偶然和久井さんに会ってさ。悪いとは思ったんだけど、急遽ヘルプに入って貰ったんだよね」

274: 2013/12/10(火) 17:28:33.15 ID:3tu6I4nCo

菜々「そ、そんな事が…」

留美「構わないわよ。必要として貰えるのは、私に取っても嬉しい事だから」

P「ははは、駄目ですよ、そんな社畜みたいな事言っちゃ。和久井さんは輝くアイドルなんですから」

菜々(何故か聞いててハラハラします…)

留美「今日は何か困っている事はない?」

P「え、うーん…。ちょっと思いつかないですね、元々仕事じゃないですし、むしろ俺すら要らないんじゃないかってぐらいで」

留美「そう、ならいいわ」



275: 2013/12/10(火) 17:29:00.32 ID:3tu6I4nCo



P「最近さ、オフの和久井さんによく会うんだよなー」

菜々「!?」

P「え、なんでびっくりしてんの。いや、オフは一人で旅行してるって言うからさ、ロケとか、移動中とかにばったり、って感じで会うだけだよ」

菜々「ぐ、偶然起きるものなんですか、そんなの?」

P「そう言われてもなー。実際よくあるんだし、そうなんじゃないか?」 ハハハ

菜々(なんでこんなに暢気なんだろう……!)


279: 2013/12/13(金) 07:19:39.65 ID:Nl3dolqjo

 ガチャ

かな子「おつかれさまですっ」

周子「どもーっす」

菜々「おつかれさまでーすっ♪」

P「おう、おつかれさまです。かな子に周子か、え、ていうかオールディーズを歌おうって企画だけど、それで来たの?」

周子「うん。なんかまずかった?」

かな子「え、そうなんですか?」

P「あ、ああいや、それならいいんだ。二人ともありがとな」

P(周子はただ冷やかしに来たとか、かな子は予定勘違いして来たとか、そういうの多いからな…)

280: 2013/12/13(金) 07:20:08.71 ID:Nl3dolqjo

菜々「お二人は一緒に歌うんですか?」

周子「うんにゃ、あたしは面白そうだから来ただけで、かな子ちゃんとはすぐそこで会って一緒になっただけだよ」

かな子「あ、差し入れにチーズケーキ焼いて来たんです!」 ガサガサ

菜々「わぁ♪ それじゃ、菜々はお茶を淹れてきますねっ」

周子「おー、洋菓子ってなんかテンション上がるよねー」

かな子「えへへ、そう言って貰えると嬉しいな」 ドォンッ!!

P「」

周子「」

かな子「今、切り分けますね♪」

P「な、なぁかな子、参考までに聞くけど何人いることを想定して作ったんだ?」

かな子「はい? うーん、Pさんと、あと一人か二人いるかなーって思っていたので、私含めて四人ですねっ」

281: 2013/12/13(金) 07:20:36.70 ID:Nl3dolqjo

P(ウソだろ!その三倍は賄えるよ!)

かな子「余ったら勿体ないと思ったんですけど、丁度よかったです♪」

P(かな子が鼻歌交じりにケーキを切り始めた……。すごい嬉しそう)

周子「ね、ねぇかな子ちゃん。四等分しない方がいいと思うんだ」

かな子「? どうしてですか?」

周子「ほら、Pさん男の人だから、あたしらと同じ量じゃ多分足りないと思うんだよね。丁度今半分だから、それをPさんの分にして、残りをあたしらで分けようよ」

P「おま……俺を売る気か!?」

周子「んー、何言ってるか分かんないな。かな子ちゃんの作るスイーツは美味しいって言ってたし、やったねPさん!」

P「……」

かな子「ホントですかぁ! えへへ、嬉しいです。それじゃPさん、召し上がれ♪」

282: 2013/12/13(金) 07:21:22.38 ID:Nl3dolqjo

P「…」

P「……はっぴばーすでーとぅーゆー」

周子「!?」

P「はっぴばーすでーとぅーゆー はっぴばーすでーでぃあ周子ー はっぴばーすでーとぅーゆー」 ズイッ

かな子「あ、周子さんお誕生日今日なんでしたっけ? おめでとうございますっ♪」

周子「ちちち違うよ!? 確かに近いけど…」

P「うん、今日ではないけど近いよな。折角だから前祝いという事で、この大きい部分は周子が食べるといいと思うんだ。洋菓子はテンション上がるって言ってたし」

 ※このSS中の時系列はてきとーですが、以前蘭子が2ndアニバーサリー前か中を匂わせる台詞を言ってから一日経ってないので大体そのあたりという事で書いてます。

かな子「あの……。チーズケーキ苦手でした? 食べたくないなら言ってくれた方が……」 ションボリ

P「そんな事はないさ、超食べたいよ! なぁ周子!」

周子「も、勿論! あたしんち和菓子屋だから、おやつって言うと店で余った和菓子でさー。かな子ちゃんのスイーツはあたしも美味しいと思うしちょー食べたいよっ!」

283: 2013/12/13(金) 07:22:02.32 ID:Nl3dolqjo

かな子「えへへ、そうですかぁ? それじゃ、揉めないように四等分でいいですねっ」

かな子「はい、召し上がれ♪」

P「そ、そう言えば菜々がお茶の用意をしてくれてるし、戻って来たら頂こう。先に歌ってくれないか?」

かな子「あ、そうですね。それじゃ、ちょっと行ってきますっ」



菜々「お待たせしました旦那様、お嬢様♪ 菜々特製のウサミンティーでーs…うわでかっ」

P「おう、おかえり」

周子「やっぱ大きいよね……。こんなに食べたら大変な事になりそ…」

菜々「かな子ちゃんの作るお菓子って美味しいんですけど、これ食べたらしばらく絶食しないといけないかもです…代謝が落ちたのか一度お肉がつくとなかなか落ちなくなりましたし…」

周子「Pさんはいーじゃん、体重とか気にしないでしょ?」

P「あーいや。甘い物は好きなんだけど、たくさんは食べられないんだよな。あと安部さん、17歳で代謝落ちるってどこか悪いんですかね?」

菜々「あ、は、始まりましたよっ! 手拍子から始まる歌みたいですねっ」



284: 2013/12/13(金) 07:22:29.42 ID:Nl3dolqjo

■三村かな子 Lollipop

http://www.youtube.com/watch?v=9-DuC0tE7V4



 口リポップ 口リポップ 口リ口リ 口リポップ


 彼の事、口リポップって呼ぶの どうしてって?

 それは、彼のキッスがアップルパイより甘いから♪

 彼が落ち着いてる時がチャンス だけどなかなか出来ないの


 そう彼は

 口リポップ 口リポップ 口リ口リ 口リポップ



285: 2013/12/13(金) 07:22:57.95 ID:Nl3dolqjo


 棒付きキャンディより甘いの

 チェリー味 コーラ味 ストロベリークリーム味

 お好きな味を選んでね だけど彼のキッスは独り占め♪


 口リポップ 口リポップ 口リ口リ 口リポップ


 彼、いつも私をドキドキさせるの 何故かって?

 彼、私がぼんやりしてる時にいきなりキスするのが好きなの

 もう、彼ったら!


 そう彼は

 口リポップ 口リポップ 口リ口リ 口リポップ...


────
──


286: 2013/12/13(金) 07:23:39.38 ID:Nl3dolqjo


かな子「もどりましたっ」

P「え、早っ。よかったぞー、口リポップ……日本語カバーだとラリパップだったかな…は定番で可愛いし、よく似合うな」

かな子「えへへ、そうですか? えへへへ…(////)」

かな子「あ、そうだ。チーズケーキ召し上がって下さい、菜々ちゃんも!」

菜々「う、うんっ。ありがとう。うわぁ、美味しそうです! うわぁ…」

かな子「えへへ、わたしも早速…… あむっ! んー、おいしー!」 フルフル

P「うん、これは美味いな」 モグモグ

周子「うん、うまっ! これはやばいねー、食べ過ぎちゃうねー」 ハムハム

菜々「かな子ちゃんは本当においしそうに食べますねー。見てるこっちまで幸せになっちゃいます♪」

かな子「あ……。……」

287: 2013/12/13(金) 07:24:06.72 ID:Nl3dolqjo

P「ど、どうした?」

かな子「そういえばPさん、キスって甘いんですか?」

周子「ブッ!」

P「!?」

菜々(今時、小学生でも聞かないような質問……!?)

P「そ、そういう客観的事実はないと思うぞ。う、うん、無いんじゃないかな…」

かな子「でも、もっと甘いものじゃなくて、アップルパイと比較するあたりリアリティがあると思うんですっ」

P「ねえよ!?」

かな子「そうなのかな……キスなら食べ過ぎて体重が~とか気にしなくていいと思ったのに…」 シュン

周子(しょげるとこおかしいよね!?)

288: 2013/12/13(金) 07:24:34.31 ID:Nl3dolqjo

P「仮に甘かったら誰かとキスするのか…」

かな子「あ、それであともう一つあったんです。口リポップってなんですか?」

P「ん? あぁ、それなら歌の歌詞にも出てきた…」

周子「口リータポルノ大好きプロデューサー、略して口リポップだよ」

かな子「えぇぇーっ!?」

P「なんだその略語! 初めて聞いたよっていうかアイドルがそう言う事言っちゃ駄目ですっていうかよく咄嗟に思いつくな!」

周子「あははは♪ よく年少組とイチャイチャしてるから、絶対好きだよねこの人とは前々から思ってた」

P「ないから! 確かに許容年齢の範囲は広いかもしれないけど、そういうのは好きじゃないです!」

かな子「あわあわ……口リポップがPさんだとすると、私、Pさんと……?」 チラッ

P「…」

かな子「あぅぅ…(////)」

289: 2013/12/13(金) 07:25:04.04 ID:Nl3dolqjo

P「ほらかな子が良く分からない事になっちゃったよ……後でフォローしといてくれよもう……。あ、もう食べないのか?」

P(節度を決めてそこで留まるあたり、流石だな)

周子「ん? 食べたい?」

P「おう、良かったらくれないか。(正直つらいけど残すのも悪いし)」

周子「しょーがないなぁ、Pさんは。はい」

P「さんきゅ」

周子「あ、間接キスじゃんこれ。チーズケーキ味だねー。ま、JKも卒業しちゃったあたしじゃガチ口リのPさんは嬉しくないかー」

P「おい!」

周子「さーてと、それじゃあたしも腹ごなしに歌ってこようかなー! ……ありがとね」

P「ん、いや。うまいしな。周子は何歌うんだ?」

周子「Pにピッタリの歌を用意してきたから、刮目して聞くといいよ!」



290: 2013/12/13(金) 07:25:48.49 ID:Nl3dolqjo

■塩見周子 Please Come Home For Christmas


 ジングルベルが鳴る それは俺には悪い報せ

 最低のクリスマスだ あの子は行っちまって 共に祝う友達もいない

 ああ、どうかもう一度



 聖歌隊の歌う きよしこの夜 クリスマスキャロル

 手にしたキャンドルが 優しく照らす


 お願いだ周子 クリスマスには帰ってきてくれ

 それが駄目なら 新年の晩でもいいんだ


291: 2013/12/13(金) 07:26:15.36 ID:Nl3dolqjo


 親類や友人は 挨拶のカードを贈ってくれる

 星々が夜空に 変わらず輝いてる それ同じに



 なぁ、クリスマスなんだ クリスマスなんだぜ? 周子

 一年の間で 恋人同士がずーっと一緒にいる時なんだ


 頼むよ もうどこにも行かないって 言ってくれないか

 クリスマスから年明けまでは 家で一緒にいたいんだ


 お願いだ周子 クリスマスには帰ってきてくれ

 それが駄目なら 新年の晩でもいいんだ


 こんなに 悲しくて 辛くて 苦しいのは もうたくさんだ

 だから頼むよ 周子がいれば それだけでいいんだ


────
──


292: 2013/12/13(金) 07:26:43.47 ID:Nl3dolqjo


P「え、ひどくない?」

菜々「アテが外れる相手がいるだけマシですよ……菜々なんてもうクリスマスは明石家サンタを見る日になって久しいです」 ケッ

P「あ、あれ、菜々がまた黒くなってる!?」 チラッ

かな子「あぅぅ…(////)」 チラッチラッ

P「かな子もおかしいままか…」

かな子「お、おかしくないですよぉ。ただちょっと……あぅ…。やっぱり駄目です(////) お、おつかれさまでしたっ!」

 パタパタパタ

P「あ、おい! 口リポップは棒つきキャンディの事だからな! 誰かに間違って伝えるなよ!」



293: 2013/12/13(金) 07:27:21.99 ID:Nl3dolqjo


P「なんだったんだろう……」

周子「ただいまーっと。どうよ?」

P「あ、こいつ! どこが俺の歌なんだよ!」

周子「え、否定できるの? クリスマスは誰かと過ごすつもり? 彼女? せめて友達?」

P「う、ぐ……ま、まだ時間はある! 分かんないだろ!」

周子「ふーん。じゃ、賭ける?」

P「お、おういいぞ! 俺が勝ったら、嫌がってた水着グラビアのロケだかんな!」

周子「ふーん。あ、ねえ。あたしの誕生日って?」

P「ん? 言われた通りその日はオフにしてあるよ。俺は現場に入って、その後は下手すっと徹夜かもな」

周子「意味ないじゃん…。んじゃ、あたしが勝ったらクリスマスはその埋め合わせであたしと過ごすこと!」

294: 2013/12/13(金) 07:27:49.76 ID:Nl3dolqjo

P「へ?」

周子「んじゃ、決まりね。それじゃせいぜい頑張ってよねっ♪」



P「……あ、あれ? いや駄目だろ! っていうか、あれ? クリスマスに一人だったら俺の負けで、そうするとクリスマスは周子と……あれ?」

菜々「もう帰っちゃいましたけど…。見事に化かされてますね」


299: 2013/12/15(日) 11:09:37.61 ID:PiotjITEo
礼子「おはよう。妙な事を始めたみたいね」

P「あ、おはようございます礼子さん……と、珍しい取り合わせだな」

千枝「えへへ。おはようございます、Pさんっ」

ありす「おはようございます」

P「おう、おはよう二人とも……って、妙な事とは何ですか妙な事とは」

礼子「歌で嫁選びしてるんでしょ? アイドルの女の子を競わせて、その中から選んでやるなんて、一体何様なのかしら」

P「ブッ! ちちち違いますって! それは早苗さんが悪ふざけで言っただけで…」

礼子「冗談よ、知ってるわ。全く……一人しか勝ち残れないのに、群れた勢いで押し通そうなんて。勤め人の発想が抜けてないのかしら」

P「は、はぁ……」

礼子「あら、でも考えてみたら、あなたの甲斐性次第よね。一人だけなんて言って御免なさい」 ウフフ

300: 2013/12/15(日) 11:10:09.77 ID:PiotjITEo

P「ひ、一人ですよ!」

礼子「もう決まった人がいるの?」

千枝「え、そうなんですか!?」

ありす「……」 フンス

菜々(なんでありすちゃんドヤ顔してるんだろう…)

P「あっ、いや……出来るとして一人、結婚出来なかったら0人ですよ!」

千枝「なんだ…よかったです…」

ありす「……」 ムーッ

菜々(なんでありすちゃん急にむくれ出したんだろう…)

301: 2013/12/15(日) 11:10:41.30 ID:PiotjITEo

礼子「そ? じゃ、私と結婚しなさいよ」

ありす「な…!?」

千枝「えっ!?」

菜々「だだだ駄目です絶対駄目ですよぅ!」

礼子「あら……。おちびちゃん達をからかうつもりが、意外なものが釣れたわね」

菜々「っっーー!!(////)」

礼子「冗談よ。結婚なんて、頼まれたってお断りだわ。だから安心して頂戴」 クスクス

千枝(ほっ…)

ありす(ほっ…)

菜々(//////)

302: 2013/12/15(日) 11:11:10.68 ID:PiotjITEo

礼子「5年、10年後は分からないし、恋人なら今すぐでもOKだけどね?」

千枝「!?」

ありす「!!!」

菜々「!?!?」

礼子「ウフフ、おちびちゃん二人はともかく、大人二人までこんな面白い反応をしてくれるなんて」

P「ったく……。礼子さんはからかいに来たんですか?」

菜々「うー…(////)」

P(菜々が17歳アピールを忘れるほど動揺するとは……流石礼子さんだ)

礼子「それもあるけど、主に二人の付き添いよ。ほら、二人とも、折角練習したんだから、歌っていきなさいな」

千枝「あ、はいっ! じゃ、まず千枝から歌いますねっ」



303: 2013/12/15(日) 11:11:46.83 ID:PiotjITEo

■佐々木千枝 Too Many Rules

http://www.youtube.com/watch?v=6mhRjZ_rKoU


 深夜2時過ぎに帰ったら パパもママもすごく怒って

 10時15分までに寝なさい! なんて決まりを作られちゃった


 決まり決まり 決まりごとばっかり

 どうしてパパもママも ばかげた決まりを作るのかしら

 お星様お願いです 千枝の事きらいになってなかったらでいいんですけど

 決まりごとをちょっぴり減らして下さい


 プロデューサーさんが電話をくれる時

 家の電話だと うちに掛けてきた事になっちゃうじゃないですか

 だから時々 千枝だけに電話して下さいね


304: 2013/12/15(日) 11:12:23.43 ID:PiotjITEo


 決まり決まり 決まりごとばっかり

 どうしてパパもママも ばかげた決まりを作るのかしら

 お星様お願いです 千枝の事きらいになってなかったらでいいんですけど

 決まりごとをちょっぴり減らして下さい


 私の弟、いつも私の後をついて回って つまらない話ばかりするんですよ

 プロデューサーさんには、私がどれだけ苦労して抜け出して来てるか分かって欲しいんです

 私、どうすればいいのかなぁ



 決まり決まり 決まりごとばっかり

 どうしてパパもママも ばかげた決まりを作るのかしら

 お星様お願いです 千枝の事きらいになってなかったらでいいんですけど

 決まりごとをちょっぴり減らして下さい



────
──


305: 2013/12/15(日) 11:12:50.63 ID:PiotjITEo



菜々「元気がよくて、女の子らしい、可愛い歌ですね」

P「コニー・フランシスか。日本語カバーもされた有名曲だけど、よく知ってたなぁ」

千枝「戻りました!」

P「おー、お帰り千枝。よかったぞ」

菜々「うんうん、可愛かったですよっ」

千枝「えへへ、大人っぽかったですか?」

P「うん? お、おう」

P(内容的にも子供っぽさを前面に出してる気がするけど、確かコニー・フランシスが24歳ぐらいの時の曲だから、まぁ大人だよな)

千枝「えへへへ…。帰るのが2時10分なんてすごい大人っぽいです」

P「親御さんとの約束もあるし、うちの事務所は遅くても8時には帰れるようにしてるからなぁ」

306: 2013/12/15(日) 11:13:22.47 ID:PiotjITEo

千枝「夜も、10時には寝ちゃうから…10時15分までに寝なさい、ってどんな感じなのかな?」

P「早寝早起きか、千枝はいい子だなぁ」 ナデナデ

千枝「あ……っ。えへへへ(////)」

ありす(むっ…)

千枝「早く大人になりたいなぁ…。あ、でも、弟がいたらきっとすごい可愛がっちゃいます」

P「ああ、千枝はひとりっ子だもんな」

千枝「はいっ! みりあちゃんや莉嘉ちゃんの話聞いてて、すごく羨ましくって…。だからもし私に弟か妹がいたら、いっぱい面倒みたいです」

P「えらいなぁ千枝は。弟や妹はどうにもできないけど、事務所にいる千枝より下の子達の面倒とか、見てやってくれな」 ナデナデ

千枝「えへへへ…。あっ、でも、赤ちゃんなら大丈夫ですよね! 千枝、はやく大人になってPさんをユーワクしたいですっ」

P「ははは、そういうことは全然いい子じゃないなぁ千枝は」 ナデナデ

千枝「えへへへ…」

ありす(むーっ…!)

ありす「つ、次は私です! ちゃんと聞いてて下さいねっ!」



307: 2013/12/15(日) 11:13:57.88 ID:PiotjITEo



P「ありすも燃えてるな。千枝の歌を聞いたからかな」 ハハハ

菜々「Pさんいつか刺されますよ…」

礼子「大人の無邪気さは罪ね」


308: 2013/12/15(日) 11:14:24.87 ID:PiotjITEo

■橘ありす Fly me to the moon



 月まで連れて行って下さい

 あと、星屑の中で遊びたいです

 えぇと… あと、木星や火星の春ってどんな感じなのか教えて下さい


 分からないですか? 別の言葉で言いますね

 手を…握ってくれませんか? あと、キスして下さい


 心を歌で満たしたい ずーっと、歌い続けたいです

 Pさんこそ 私の心の拠りどころ 探し続けていた輝きなんです


 何笑ってるんですか 別の言葉で言いますから、ちゃんと答えてください

 …あなたの事を愛しています 私の告白、受けてくれますか?



────
──

309: 2013/12/15(日) 11:14:59.87 ID:PiotjITEo



菜々「うわ重……じゃなくて、お、面白い歌詞ですねっ」

P「ん、あぁ、ありすが歌ったバージョンだと省略されてるけど、前部分があるんだよ」

菜々「そうなんですか?」

P「ああ。歌詞のストーリーを要約するとまぁそのなんだ。スパッとストレートに言えば済むとこ、回りくどい詩にして、回りくどい前置きをしてから、ようやくありすが歌った部分に入っていくんだよ」

菜々「あぁ! すごく納得しました! だから詩的な歌詞の後で言い直してるんですね」

千枝「ありすちゃん、大人っぽい…」 キラキラ

ありす「ど、どうですか…?」

菜々「よかったですよー!」

P「うん、ありすらしさがよく出た選曲だった」

ありす「ほ、本当ですか?」

310: 2013/12/15(日) 11:15:26.65 ID:PiotjITEo

P「おう。めんどくさいありすにばっちりマッチしたチョイスだ。本当に良かった!」

菜々(それ絶対けなしてますよね!?)

ありす「め、めんどくさ…!? ……自分のめんどくささは自覚してますから、それが何か?」

P「ありすは本当にめんどくさ可愛いなぁ!」 ガバッ ポスッ

ありす「きゃっ!?」

菜々(ありすちゃんを抱え上げて膝にのせた!?)

P「それがありすの良さだし、歌は歌だけどさ。もっとやりたい事はやりたい、欲しい事は欲しい、嫌な事は嫌ってストレートに言っていいんだからな?」 ナデナデ

ありす「は、放して……! うぅぅ…(////)」

千枝「ありすちゃん、いいなぁー」 キラキラ

菜々(いいなぁー)

311: 2013/12/15(日) 11:15:54.04 ID:PiotjITEo

ありす「ぜ、全然よくないです! こんなの子供扱いです、大人はしないの!」 ジタバタ

礼子「あら、大人もするし、して欲しいと思うわよ?」

千枝「ほんと? 礼子さん!」 パァァ

菜々「!!」 パァァ

ありす「だ、駄目! 私が乗るの!」 ギュッ

菜々(全然良くない、大人はしない。言い換えれば、私が乗るの! ですか…) ヤレヤレ





312: 2013/12/15(日) 11:16:33.78 ID:PiotjITEo


ありす「~♪」

千枝「~♪」

P(結局二人とも膝に乗せてしまった……。子供とはいえ小学校高学年が二人ともなると流石につらいな…)

礼子「さてと……それじゃ、おちびちゃん二人は、先に出て待っててくれるかしら?」

千枝「どうしてですか?」

礼子「大人の話をするからよ」

ありす「(むっ)菜々さんだって大人じゃないのに、私たちだけ仲間外れになるのはおかしいです」

礼子「でも二人よりはお姉さんでしょう?」

ありす「でも、未成年ですっ」

菜々「えっ!?」

千枝「えっ?」

313: 2013/12/15(日) 11:17:04.81 ID:PiotjITEo

菜々「あ、あぁ! そ、そうですよ! 菜々は17歳だから成人してないんでした!」

P(ウサミン星人ぐだぐだだな…)

礼子「あら、実際の年齢はあなたたち二人を足しt…」

菜々「わ…わー! わー!わー!わー! ふ、二人ともちょっと休憩してこよっか! 菜々お姉さんが特製ココアをご馳走しちゃいますっ♪」




P「千枝は素直に、ありすは渋々ながら…って感じだったな…。大人の話って、一体なんです?」

礼子「さぁ? Pくんが重そうだったから」

P「へ? あ、あぁ、助かりました。流石に二人乗せたら成人男性ぐらいの重さになりますし、子供は元気よく動きますからね」

礼子「まんざらでもなかったみたいだけど、却って悪かったかしら?」

P「誤解を招く表現はやめてくださいよ、もう! …そりゃ担当してる子に懐かれるのは嬉しいですけど、それだけですから!」

礼子「そ? よかった」 クスクス

314: 2013/12/15(日) 11:17:32.80 ID:PiotjITEo

P「ところで、二人の選曲は礼子さんが?」

礼子「あら、何故そう思うの?」

P「タチが悪いから…」

礼子「ウフフ、言うようになったわね。確かに二曲とも私が教えたけど、手持ちを適当に聞いて貰って、好きに選ばせただけよ」

P「ああ、そういう……」

礼子「でも、千枝ちゃんだけは、誘導したと言えなくもないかしらね」

P「どういう事です?」

礼子「邦題を教えたの」

P「ああ……。『大人になりたい』ですか」

礼子「なりたいと言ってる時点で大人じゃないんだけど…気づかないかしらね」 クスクス

P「本当にタチ悪いな!?」

礼子「さてと……私も一曲歌っていいかしら?」

P「あ、どうぞどうぞ!」

礼子「そ? じゃ、ちょっと行ってくるわね」


315: 2013/12/15(日) 11:17:59.63 ID:PiotjITEo

■高橋礼子 The House of The Rising Sun

http://www.youtube.com/watch?v=zq_DpxCs27M


 ニューオリンズに、『朝日の家』と呼ばれる施設があります

 そこには大勢の、身を持ち崩した貧しい少女がいて ああ、神様 私もその一人になります


 母は仕立て屋でした 母は真新しい青いジーンズをよく仕立てていたものです

 私の恋人は ニューオリンズの南を中心に旅する博打打ちでした


 博打打ちに必要なのは、スーツケースとトランクだけ

 彼が満たされるのは、お酒を飲んでいる時だけ


 彼はグラス一杯にお酒を注いでは、カードゲームに興じます

 彼の人生でたった一つの娯楽は 街から街へと旅する事だったんです


316: 2013/12/15(日) 11:18:32.08 ID:PiotjITEo


 私の妹に伝えて下さい 私のように生きてはいけないと

 私は隠棲します、だから会いには来ないで下さい 私が余生を送る、あの場所には


 私が捕まったのは駅のホーム まさに列車に乗り込もうとした瞬間でした

 服役するのは、そう ニューオリンズになるでしょう


 私はニューオリンズに帰ります 思えば私の人生は駆けどおしでした

 でもそれもようやく終いに出来そう 残りの生涯が、あの『朝日の家』で待っているのだから


 ニューオリンズに、『朝日の家』と呼ばれる施設があります

 そこには大勢の、身を持ち崩した貧しい少女がいて ああ、神様 私もその一人になります



────
──


317: 2013/12/15(日) 11:19:02.66 ID:PiotjITEo


礼子「ふう…」

P「これは……ボブ・ディラン版の歌詞ですね?」

礼子「そうね。というより、アニマルズが少年の歌にアレンジしただけで、元々の歌詞に近いのはこちらよ」

P「そ、そうなんですか? 実は俺、この歌なんとなく聞いてたんですけど、なんだか胸が苦しくなりましたよ」 ハハハ…

礼子「そう? 私は逆に、こちらの歌詞の方が淡々と受け入れられるわ」

P「そんなもんですか?」

礼子「可哀相な誰かじゃなくて、自分への教訓という聞き方が出来るからかしらね」

P「ああ……そう言う事はあるかもしれないですね。礼子さんの表現力もあるけど、なんだか歌の女性が可哀相で」

礼子「そういえば、この歌は昔、明るい曲調のカントリー音楽だった事、知ってる?」

P「え、本当ですか!?」

318: 2013/12/15(日) 11:19:36.94 ID:PiotjITEo

礼子「ええ、機会があったら聞いてみるといいわ。とても興味深いから」

P「興味深い…ですか? 礼子さんらしくない言い方ですね」

礼子「あら、どういう意味?」

P「いやその、ははは…」 アセッ

礼子「歌は歌という事よ。そこから何かを感じ取る感性は素敵だけどね」

P「はあ…」

礼子「いくらPくんでも、歌に出てくる女の子はスカウト出来ないでしょ。いない女の子より、いる女の子をもっと見なさいな」

P「え、い、いや、さすがにそんな事考えてないですって…ははは」 アセッ

礼子「ならいいけど。折角歌ったのに、落ち込まれたら困るもの」

P「い、いやそんな! いいものを聞かせて貰いました、ありがとうございます!」

319: 2013/12/15(日) 11:20:04.59 ID:PiotjITEo

礼子「そ? よかったわ。それじゃそろそろ、おちびちゃん二人を連れて退散しようかしら」

P「え、別に戻って来てからでもいいですけど」

礼子「そしたら、また膝に乗りたがるわよ? 他の子も来る手前、それはあなたが大変になるんじゃないかしら」

P「へ? あ、あぁ、薫とかの年少組は真似したがるかもしれないな。そうですね、お願いします」

礼子「…あなた。くれぐれも言っておくけど、新しい子をスカウトする前に、いる女の子をもっとよく見た方がいいわよ…」 ヤレヤレ

P「え? あ、はぁ…」


※おまけ:『The House of The Rising Sun』長調バージョン
http://www.youtube.com/watch?v=UlbLs_bvimU

 ボブ・ディランのバージョンはようつべで手っ取り早く見つかりませんでした。

323: 2013/12/21(土) 09:44:38.12 ID:b1giKcn9o

P「……なんだかすごく教訓めいた話をされた気がするな…。すっごい甘えてきたり、おふくろより怖かったり、どっちがホントの礼子さんなんだか」

P「やたら刹那的で快楽主義的な事を言ったかと思えば、ストイックで哲学的な事言ったりするしな……。うーん…」

 ガチャ

P「あ、菜々お帰り……えっ?」

 ゾロゾロ

P(な、なんか外人が大勢入って来た…!?)

P「あ、あの……部屋をお間違いでは…って、ええええっ!?」

桃華「Pちゃま!」

P「と、桃華? こ、この方達は…?」

桃華「わたくしがお招きしましたの!」

 ※具体的に誰ってちょっと思いつき兼ねたので決めませんでしたが、なんかもう「世界的アーティスト」がぞろぞろ現れたと思いねえ。
  ヘレンさんが気圧されてドヤ顔できなくなるレベルの。

324: 2013/12/21(土) 09:45:07.97 ID:b1giKcn9o

P「お、お招きって……一大ニュースになっちゃう面々じゃないか!」

桃華「Pちゃまはこういう趣向はお嫌いだったですの…?」 シュン

外人達「Oh...」 シュン

P「い、いや、とんでもない! 生でお会いできるだけで光栄です!」

桃華「!」 パァァ

外人達「!」 パァァ

桃華「そ、そうですわよね!」

菜々「あれ、随分にぎやかですね……って、うわっ!?」

外人達「Wow! Maid-SAN!」「Cute!」「So KAWAII!」

菜々「えっ…、ええっ!?」


325: 2013/12/21(土) 09:45:39.32 ID:b1giKcn9o

────

───

──


P「……大人気だったな」

菜々「なんかもう、今日一番疲れました…」

P「しっかし、さすがだなぁ。お遊びだからこそ全力で、か。ちょっと真似できないわ」

菜々「真似しようにも出来ませんよぅ。一体いくらかかったんでしょう…」

P「考えたくないや……。おい菜々、こんな贅沢二度と出来ないぞ。観客が俺達二人だけってのが申し訳ないぐらいだ」

菜々「桃華ちゃんの歌もちゃんと聞いてあげて下さいね!?」


326: 2013/12/21(土) 09:46:09.39 ID:b1giKcn9o

■櫻井桃華 L-O-V-E

http://www.youtube.com/watch?v=6BW4W_hTi1s


~L~

 何って…宿題ですわ。Pちゃまったら、何だと思いましたの?

 そういう事しない子だと思ってたから、なんて。どういう意味かしら。


 ウフ、流石はPちゃま。わたくしの事をよく見てますのね。


 確かにわたくし、この手の私的な用事を人前でするなんて、以前はなかった事ですわ。


 あら、『分からないところはないか』ですって? ありがたい申し出ですわ。

 でも『流石の桃華も英語は苦手だったか』なんて、レディに失礼じゃありません?


 誰かに教えを請いたくて、こんな場所で宿題を拡げているのではないんですのよ。


 わたくし、帝王学の一環として主要外国語は一通り修めましたの。小学校の課題なんて退屈で欠伸が出ますの。

 でも、そうですわね……丁度いいですし、『L』で始まる言葉には、Pちゃまがわたくしを見守る『Look at me』を入れますわね。



327: 2013/12/21(土) 09:46:37.25 ID:b1giKcn9o

~O~

 『そっか~』なんて笑って、Pちゃまがデスクに戻っていきますの。

 ちょっぴり残念ですけれど、わたくし、Pちゃまの仕事ぶりを見に、ここに来ておりますのよ?


 宿題なんて、ただの口実ですわ。


 だからPちゃま、いつものようにお仕事に打ち込んで下さいまし。

 そしてその凛々しい横顔を、わたくしにいーっぱい、見せて下さいましね。


 そうですわ! 『O』で始まる言葉には、『Only one I see』を入れましょう。

 ウフ、わたくし、いつもPちゃまだけを見つめておりますもの。



328: 2013/12/21(土) 09:47:05.70 ID:b1giKcn9o

~V~

 ねえ、分かってらっしゃるのかしら。

 Pちゃまは、わたくしにとって、それはそれは特別な殿方ですのよ?


 わたくしの事、『櫻井家の子女』、あるいは『家は関係ない一人の小娘』と見る輩は大勢いますの。

 けれど、わたくしを『櫻井桃華』として評価して下さるのはPちゃまだけですわ。


 それがどれだけ難しくて、どれほどわたくしが切望していた事なのか、Pちゃまは多分ご存知ないでしょうね。

 他にも大勢の女の子をプロデュースしているのに、一人一人と向き合って、その本質を見抜くというのは並大抵ではないんですのよ?


 ですから、『V』には有用……いえ、多才…? ううん、どれも違いますわね。

 えい、それはそれは特別な『Very Very Extraordinary』! これですわ!



329: 2013/12/21(土) 09:47:37.93 ID:b1giKcn9o

~E~

 ねえ、分かってらっしゃるのかしら?

 わたくしほど、Pちゃまを慕っている人間は他におりませんことよ。


 生涯の伴侶として、これほどの献身・専心を考えている娘が、わたくしの他におりまして?


 ですから、『E』には、他の誰より、『Even more than anyone』が入りますの。

 これはいわばプロダクションの皆に対する挑戦状、白手袋ですわよ!



330: 2013/12/21(土) 09:48:05.84 ID:b1giKcn9o

~LOVE~

 さて……これで『LOVE』が揃いましたわね。


 LOVEこそが、わたくしがPちゃまに捧げられるものの全てですわ。


 櫻井家をその手にできますのよ? そう言いましたのに、Pちゃまったら。

 『そしたらプロデューサーと兼業なんてとても無理だろ? だから俺には要らないよ』なんて!


 そう言って、頭を撫でてくれたのはまぁ、評価して差し上げますけど。

 子供扱いはレディに失礼ですわっ。

 小金持ちの道楽とか、年上への憧れを恋と混同する小娘とは、わけが違いますのよ?



331: 2013/12/21(土) 09:48:33.31 ID:b1giKcn9o

 わたくしとPちゃま。

 二人なら、何だって乗り越えていけますわ。


 Pちゃまなら、わたくしのこの思い。無碍にしたりは、しませんわよね?

 ちゃんと受け止めて下さいましね。


 わたくし思いますの。


 LOVEはわたくし達、二人のためにあるんですわ。


────
──


332: 2013/12/21(土) 09:49:15.30 ID:b1giKcn9o


 ガチャ

菜々「あ、お帰りなさ……あ、あれ、Pさんは?」

桃華「バンドマンの皆様にご挨拶してらっしゃいますわ」 ムスーッ

菜々「あ、あぁ……。あの、何か飲まれます…?」

桃華「頂きますわ。まったく…Pちゃまったら…」 プンスカ



P「いやー、もう大感激だわ! 名刺も交換したし、握手もしてもらっちゃった。今日はもう手洗わないっ!」 ホクホク

菜々(昔のアイドルファンみたいな事言って…)

P「桃華、ありがとな! 皆さん、日本を観光してから帰るってさ!」

桃華「Pちゃまっ! ちょっとそこにお座りなさい!」

P「へ? あ、はい…」

333: 2013/12/21(土) 09:49:42.96 ID:b1giKcn9o

桃華「よいしょっと…」

菜々(当たり前のように膝に乗った!?)

桃華「Pちゃま、わたくしがお招きした方達へのご挨拶が大事だという事は分かりますわ。けど、一番大切な事を忘れているのではなくて?」

P「ん? お、おぉ。桃華の歌、よかったぞ。選曲も良かった、ナット・キング・コール最期の名曲で来るとはな!」 ナデナデ

桃華「あっ…。うふふ、もっと撫でてもよろしくてよ?」

P「桃華は甘えん坊だなぁ」

桃華「普通ですわ! わたくしのお母ちゃまもよくお父ちゃまのお膝に乗って、こうして頭を撫でてもらっていますもの!」

菜々(櫻井家当主夫妻の私生活をこんなところで曝露されるとは…!)

P「桃華のご両親は仲が良いもんな」

桃華「そうですわ! わたくしも将来、あんな家庭を築きたいと思っていますの」

334: 2013/12/21(土) 09:50:11.14 ID:b1giKcn9o

P「いつまでも仲の良いおしどり夫婦ってのは素敵だな。でもいいのか、旦那さん以外の膝に乗っても仕方ないだろ」

桃華「時間の問題ですから、大丈夫ですわ。それに色んな殿方のお膝に乗っておかないと、将来『あなたのお膝が一番ですわ』って言えませんもの」

P「(時間の問題…?) でも桃華、あんまり軽々しく男の膝に乗るもんじゃないぞ」

桃華「あら、やきもちですの? 安心なさって、お爺ちゃまに、お父ちゃま、叔父ちゃまにじいやのお膝には乗りましたけど、Pちゃまのお膝が一番ですわよ」

P「ははは、そいつは光栄だなぁ」 ナデナデ

桃華「Pちゃまは如何かしら。色んな娘をお膝にお乗せしているようですけど、わたくしが一番ではなくて?」

P「えっ? うーん、そうだなぁ……一番はサバかなぁ」

菜々(!?)

桃華「だ、誰ですのそれはっ!?」 ガーン

335: 2013/12/21(土) 09:50:39.73 ID:b1giKcn9o

P「え、いや……実家の猫だけど…」

 ガクッ

桃華「も、もぉぉ! Pちゃまっ!?」

菜々(そんな事だろうと思いました)

P「しかしこのL-O-V-Eは、アイドルの歌に通じるチョイスだな、考えさせられたよ」 ナデナデ

桃華「? どういう意味ですの?」

P「いや、ぶっちゃけさ。この歌、誰でも歌えるだろ。楽しい歌だし、親しみやすいメロディに、分かりやすい歌詞」 ナデナデ

菜々「そ、それは確かに……そうかもしれないけど…ちょっと乱暴じゃないですか?」

P「菜々が引っ掛かってるのはさ、違うとこだと思うんだ。うまく歌うのは難しいんだよ。例えばナット・コールみたく歌うのは、誰にでも出来る事じゃない」

P「そこで求心力のあるアイドルが歌う事に意味が出てくるわけだ。誰でも歌えるに、誰もが知ってて口ずさめて、かつ名演…名唱?ていう理想のイメージが加わるわけだな」

336: 2013/12/21(土) 09:51:08.94 ID:b1giKcn9o

菜々「あ、それはちょっと分かります!」

P「勿論、そもそも歌うのに歌唱力を求められる難しい歌が邪道だってわけじゃない。けど、それだけじゃないって事を思いだしたよ」

桃華「Pちゃま! さっきからお手々がお留守ですわよっ」

P「ん、あぁ。ごめんごめん。桃華、ありがとな~」 ナデナデ

桃華「えへへ…わたくしの有り難さ、分かればいいんですわっ」

菜々(ちょろい)


────

───

──


337: 2013/12/21(土) 09:51:37.26 ID:b1giKcn9o


P「ふう、なんか腱鞘炎になるぐらい頭撫でたな」

菜々「桃華ちゃん、満足そうでしたね」

P「良い事をしたら褒める、悪い事をしたら叱る、ってのがしっかりしたご両親なんだろうな」

菜々(そういう事じゃないと思いますけど…)

P「しかし急に膝が軽くなるとなんか寂しいな……。菜々乗らない?」

菜々「えっ乗りますっ!」 ガタッ

P「なーんて、流石に大人の安部さんには失礼…えっマジ?」

菜々「も、もぉー! またからかったんですか!」

P「い、いや、からかったというか……乗るわけないですっ的なツッコミを期待したというか…ちょ、待って、さすがに菜々を乗せるのは社会的にまず…」

菜々「菜々は17歳で大人じゃないから乗るんです! ウサミン星では普通の事なんですーっ」

338: 2013/12/21(土) 09:52:24.40 ID:b1giKcn9o

 ガチャッ

涼「はよーっす……あ、取り込み中?」

P「お、涼か。いや、菜々をからかったらブチギレて困ってたとこ」

菜々「き、キレてないですよ!? 菜々をキレさせたら大したもんですよ!」 アタフタ

涼「ふーん。ま、いいけど」

P「どうした涼、ギターなんか担いで珍しいな」

涼「いや…別にアタシ、楽器できないからボーカルやってた…ってわけじゃないからね?」

P「歌う代わりに演奏してくれるのか? ロッカーらしいへそ曲がりぶりだなぁ」

菜々(Pさんの言うロックが分からない)

涼「違うわ! 昔いたバンドのヘルプでね。ボーカルは後任がいるから、アタシはギターで入るってワケ。別にいいだろ?」

P「ああ、いいぞ。規模によっては事前に話通してくれるとありがたいけど、友達は大事だもんな」

339: 2013/12/21(土) 09:52:52.15 ID:b1giKcn9o

涼「そゆこと。でさ、久しぶりだから、合わせる前にちょっと触っておきたいんだよね」

P「ん、いいんじゃないか? 一曲披露しに来てくれたのかと思ったけど、そう言う事なら今は誰も来てないし、使ってってくれよ」

涼「んじゃ、Pさんボーカルやってよ」

P「え、なんで?」

涼「感じが掴めなくてさー。夏樹だったら李衣菜に頼むだろうけど、アタシはそういうのいないじゃん? あ、別に羨ましいわけじゃないかんね?」

P(羨ましいのか)

菜々(羨ましいんですね)

P「いや…意味が分からないんですが…」

涼「なに、嫌なの?」

P「いや、別にそういう訳じゃないけど…」

340: 2013/12/21(土) 09:53:19.89 ID:b1giKcn9o

涼「そっかー、Pさんは自分が嫌な事を普段アイドルにやらせるような男だったかー」

P「ち、ち、違ぇし!? ボーカルとか超あこがれるし?」

涼「よし、決まりだね!」

P「あ、あのでも…アイドルの前で歌うのは流石に気後れするって言うか…ましてやクールボイスにスカルスピリットの涼さんなわけじゃないですか…」

涼「っせーなぁ。グダグダ言ってないで行くぜ、ほら!」


 ズルズル


────

───

──


341: 2013/12/21(土) 09:53:48.76 ID:b1giKcn9o


P『今夜は夜通し……ロックンロールだぁぁーーーー!!! イエェェーーーー!!!!』

菜々「ノリノリじゃないですか……」


■松永涼(&P?) Lost in Hollywood


 最後まで聞いてくれ 俺はお前を失ったと思ってる 俺は遅すぎたんだよな?

 酔いの勢いに任せて聞くけど 俺はまだお前の彼氏か? もう待っていられない


 最後にお前を見た時 泣いていたよな お前は隠そうとしていたけど 見えちまったんだ

 できる事ならそこにいたかった だけど遠すぎる 俺はハリウッドに夢中なんだ


343: 2013/12/21(土) 09:54:43.32 ID:b1giKcn9o


P「ただいま…」

菜々「うわ、ひどい声…おつかれさまです」

P「本職はすごいわ……。まさかレインボーを歌わされるとは思わなかった」

菜々「元のアーティストですか?」

P「ああ。ディープパープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが作ったバンドでさ」

菜々「あ、ディープパープルは分かります! 王様で知ったんですけど…えへへ」

P「えへへじゃないだろ、王様の深紫伝説は95年ですよ安部さん。……まぁいいや、取り敢えず涼にも一曲歌って貰えるよう頼んできた」

菜々「Pさんは戻って来てよかったんですか?」

P「俺に何が出来ると…?」

菜々「えぇと……?」


344: 2013/12/21(土) 09:55:14.82 ID:b1giKcn9o

■松永涼 Seven Doors Hotel

http://www.youtube.com/watch?v=CP3W3QmCQeU


 今から四世紀ほど前の話 舞台はここ、セブンドアーズ・ホテル

 虐殺が起き、若い男が氏んで 地獄の門が開いてしまった

 エイボンの書を開け その目で見て学ぶのだ そう “お前の番”が来たのだ


 時は1981年 ホテルの廃墟が発見されたとき 災厄の記憶は誰からも失われていた

 一人の女がお前を誘う それは正しく破滅への先導人 お前と同じく、己が盲目を知らない


 セブンドアーズ・ホテル 地獄へと続く七つの門の一つ

 セブンドアーズ・ホテル 地獄へと続く七つの門の一つ


 例え理解出来なくても 目に映るもの全てに注意しろ

 悪魔はどこにでもいて 隙を窺っているのだから


 セブンドアーズ・ホテル 地獄へと続く七つの門の一つ

 セブンドアーズ・ホテル 地獄へと続く七つの門の一つ


────
──

345: 2013/12/21(土) 09:56:34.68 ID:b1giKcn9o


P「あいつ普通にギターもこなすんだな…流石に歌いながらはきついけど、ギターソロとか見事なもんじゃないか」

菜々「これはメタル…ですか? なんだか怖い歌詞ですね」

P「北欧メタルの始祖とも言われる、ヨーロッパのデビューアルバムだな。名前のわりに、日本で最初にブームに火がついたらしい。菜々、覚えてたりしないか?」

菜々「えっ…ええっ? な、何年ごろの話ですか?」

P「セブンドアーズ・ホテルは82年、多分一番有名なファイナル・カウントダウンは86年」

菜々「流石に生まれてないですね…」

P「事実上の解散が92年だったかな」

菜々「あ、それなら生まれて……ないですよっ! 菜々は17歳だから生まれてないですっ!」

涼「Pさん、次の子が来るまででいいから……んだよ、またイチャついてんのか」

菜々「イチャついてないですっ!」

P「イチャついてはいないな」

346: 2013/12/21(土) 09:57:07.62 ID:b1giKcn9o

涼「せっかくギグでPさんと繋がったと思ったのにな…」

P「つ、繋がったとか言うんじゃありませんっ。まぁでも、良い経験だったよ。みんなでやる音楽の楽しさって奴を久しぶりに思い出せた気がする。忘れてた事ばっかりだな」 ハハハ

涼「なんかやってたんだ? 道理で……。案外悪くなかったよ」

P「いやいや、逆にギャップを思い知らされたよ。……今度そうだな、涼はセブンドアーズ・ホテルの元ネタ知ってるか?」

涼「元ネタ? 原曲があんのか?」

P「いや、81年だったかな。イタリアのゾンビ映画『ビヨンド』がネタ元なんだ」

菜々「ぞ、ゾンビ映画なんですか…?」

P「俺も実物は小梅のコレクションで見たんだけどね。まぁ、そういや趣味が合いそうだって思いついただけなんだが」

涼「小梅か…アイツ、筋金入りだよね。ハロウィンの時ちょっと話したけど、心霊スポット巡りとか一人で行かないよ…」

P「マジかよ!? 心霊スポット巡りは霊よりDQNが怖いんだ、見かけたら止めてくれ!」

涼「お、おう…」

347: 2013/12/21(土) 09:57:34.90 ID:b1giKcn9o

P「ああ、で、脱線したな。小梅はメタル好きだし、ホラー映画にも詳しいし、ユニット考えてみないか?」

涼「ホントかっ!?」 ガタッ

P「まぁ、実現するかどうかはまだ分からないけど」

涼「し…しょーがねーなPは。アタシに子守させようってのか? まったくしょーがねーなー」 ニヤニヤ

P(嬉しいのか)

菜々(嬉しいんですね…)


353: 2013/12/29(日) 14:09:11.86 ID:xEggRQi6o

P「それにしても、面白いものを聞かせてもらっちゃったなぁ」

菜々「? どちらの話です? 桃華ちゃんが連れてきたバンドと、涼さんのギターと…」

P「ああ、どっちもだけど、今は涼の方だな。原点であって帰る場所ではない、みたいな事を言ってたけど、縁は切れてないみたいで安心したよ」

菜々「どうしてですか?」

P「まぁ、色々あるけど……一番綺麗な理由としては、アイドルになったせいで、友達と疎遠になったりしないでよかったな、と」

菜々「うーん、なるほど…芸能活動の為に時間を割かれたら、そう言う事もあるわけですもんね」

 ガチャッ

ゆかり「おはようございます、プロデューサーさん。あと、菜々さんも」 ペコリ

P「おっ、ゆかりか。おはよう」

菜々「おはようございますっ!」

354: 2013/12/29(日) 14:09:53.03 ID:xEggRQi6o

P「ゆかりは何を歌ってくれるんだ?」

ゆかり「あ、はい。色々考えたんですけど…」 ストン

菜々(Pさんの隣に座った…?)

ゆかり「あの、あまりオールディーズって分からなくて…いつ頃までの歌なら良いですか?」

P「ああ、そのへん適当でいいよ。自分にとって懐かしかったり昔の歌だったりしたらそれで」

ゆかり「ああ、よかった! ふふ、せっかく選んだのに、駄目って言われたらどうしようかと思っちゃいました」

P「そんな事言わないって。多少外れてたってありがたく聞かせてもらうよ」

ゆかり「なら、安心して挑戦できます!」

P「ああ!」

ゆかり「はいっ!」

355: 2013/12/29(日) 14:10:33.09 ID:xEggRQi6o

P「…」

ゆかり「……♪」

P「……ところでさ」

ゆかり「はい、なんでしょう?」

P「何歌うの? っていうか歌わないの?」

ゆかり「あ、そうでした! それじゃ、準備しますねっ」


────

───

──


P「……どうせ分かるから良いんだけど、曲名教えてくれなかったな」

菜々「…はっ!?」


356: 2013/12/29(日) 14:11:14.10 ID:xEggRQi6o

■水本ゆかり The Eternal Flame

http://www.youtube.com/watch?v=qNDifMyQuv8


 目を閉じて 手を貸して下さい…Pさん

 ね、分かりますか? 私の心臓…すごくドキドキしてます

 分かるかしら 貴方も同じに感じてますか?

 私が夢見てるだけ? それともこの熱さは 永遠のもの?



 これは運命 私、そう信じてるんです

 Pさんに相応しいのは私 貴方の寝顔を見つめながら

 貴方も同じ思いでいてくれますか?

 私が夢見てるだけ? それともこの熱さは 永遠のもの?



357: 2013/12/29(日) 14:11:42.01 ID:xEggRQi6o



 ねえ、『ゆかり』って、呼んでくれますか?

 それだけで 冷たい雨模様に陽が差し込むみたいに

 寂しさが消えて 痛みも和らぐんです もう放したくない ああ…



 ねえ、『ゆかり』って、呼んでくれますか?

 それだけで 冷たい雨模様に陽が差し込むみたいに

 寂しさが消えて 痛みも和らぐんです もう放したくない ああ…



 目を閉じて 手を貸して下さい…Pさん

 ね、分かりますか? 私の心臓…すごくドキドキしてます

 分かるかしら 貴方も同じに感じてますか?

 私が夢見てるだけ? それともこの熱さは 永遠のもの?



────
──


358: 2013/12/29(日) 14:12:10.13 ID:xEggRQi6o


菜々「……」

P「バングルスの名作だな。89年だけど、ゆかり達から見れば充分オールディーズなんだろうなぁ」

菜々「え、そ、それだけ!? 感じるところはそれだけなんですか!?」

P「? あ、いや、もちろんゆかりの歌は良かったけど、戻って来たら本人に言おうかなって…」

菜々「な、菜々がおかしいのかな……」

ゆかり「どうでしたか?」

P「ん、おお。元々歌自体うまくはあったけど、それに表現力が加わったなぁ。やっぱ芝居を始めたのが大きいのかな」

ゆかり「ふふ、ありがとうございます。プロデューサーさんがいてくれたから、新しい自分になれたんだと思います」 ストン

菜々(また自然にPさんの隣に座った…!?)

P「そんな大層なものじゃないって。ものにして見せたのはゆかりの資質と頑張りのおかげだよ」

359: 2013/12/29(日) 14:12:38.00 ID:xEggRQi6o

ゆかり「プロデューサーさんとなら、何だって出来る気がするんです。これからもどうか、よろしくお願いしますね?」

P「お、おう…任せといてくれ。と、ところで、ゆかりがこの歌を知ったいきさつは何だ? 映画音楽とかって訳でもないし」

ゆかり「叔母…といっても、母と年が離れているので姉のような存在なのですが、その叔母が最近結婚したんです」 ウトウト

P「お、おう…?」

菜々「あーっ! どこかで聞いたと思ったら、それです! 菜々も友達の結婚式で聞いたんでした…ってぇ、そーんなわけないじゃないですかっ!」
菜々「菜々は17歳の女子高生ですからぁ、結婚するような歳の友達なんていませーんっ! もーPさんったら変な事ばっかり言って!菜々困っちゃいますよっキャハッ☆」 バンバン

P「痛いです安部さん。あと落ち着いて下さい、17歳なら一応結婚出来ますし、そもそも友達が全員同い年とは限りません」

ゆかり「?」 ウツラウツラ

菜々「あ……あぁー、えぇーっと! と、歳はちょーっと離れてるんですけど、お友達みたいなお姉さんが近所にいまして……キャハッ☆」

P「いつにも増してぐだぐだだな……でもそうか、結婚式の余興で歌われてもおかしくない曲だよな」

ゆかり「はい…私もいつかPさんと……一緒に…聞きたい…」 ウツラウツラ

360: 2013/12/29(日) 14:13:08.36 ID:xEggRQi6o

P「? ゆかり、眠いのか?」

ゆかり「ふぁい…ちょっと……。昨晩……おしょくまで…れんしゅう……してたから…」 コックリコックリ

P「そうなのか…なんだか済まないな。あーおい! 寝るなら帰って寝なさい!」

ゆかり「ふぁ…ちょっと…だけ……くぅ…」 コテン

P「ちょっと、おい! なんでそんな寝付きがいいんだ! ……寄りかかられてたら何もできないな。しょうがない…ソファーまで運ぶか…」

 ギュッ

P「あっ、いつのまに裾を掴んで…くそ、動けなくなってしまった」

菜々(ゆかりちゃん、すごい幸せそうな寝顔…)




361: 2013/12/29(日) 14:13:51.73 ID:xEggRQi6o



 ガチャッ

響子「おつかれさまですっ! あのっ、差し入れ持ってきたんですけど如何がががななな何やってるんですかぁ!?」

P「しーっ。寝てるから、静かにな?(小声)」

響子「あっはいっ、ごめんなさい…(小声) じゃなくって!」

P「あまり寝てないらしいんだ。少ししたら起きると思うから、な?(小声)」

響子「分かりました……けど」 チラッ

ゆかり「…すう…すう…」 スヤスヤ

響子「うう…いいなぁ…」 チラッ

P「? なにが?」

響子「あ、い、いえっ! そそそれよりサンドイッチ作ってきたんです。食べませんかっ」 アタフタ

362: 2013/12/29(日) 14:14:21.41 ID:xEggRQi6o

P「おー、これはうまそうだ。クラブハウスサンドか。悪いなぁ」

響子「いえいえっ♪ ええと……」 キョロキョロ

ゆかり「…すう……んふふっ…♪」 スヤスヤ

菜々「?」

響子「あ、えへへ…失礼します…」 ペコリ

菜々(菜々とPさんの間に座った!? 確かに間は空いてましたけど…)

響子「はい、召し上がれ♪ 菜々さんも、よかったらどうぞっ」

菜々「わぁ、菜々も頂いちゃっていいんですか?」

響子「もちろんですっ。あ、Pさん動かないで。私がお取りしますから」

P「え、い、いや、そこまでしてもらわなくても…」

363: 2013/12/29(日) 14:15:13.75 ID:xEggRQi6o

響子「だーめーでーすー。ゆかりちゃんが起きちゃいますからっ。はい、あーーん」

菜々( 新 婚 さん か !! )

P「あ…あーん…。むぐ…うん、うまいな!」

響子「えへへ、よかった♪ たくさんあるから、どんどん食べて下さいね。はい、もう一つ…」

P「あ、あー。それより、響子は何か歌ってくれないのか?」

響子「へ? あ、用意はしてきましたけど…」

P「先に歌ってくれないかな~。響子の歌が聞きたいな。ほ、ほら、食べながら聞いてるから!」

響子「うー…。わ、分かりましたっ♪ それじゃ、聞いて下さいねっ」

 パタパタパタ ガチャッ

P「このサンドイッチ、うまいなぁ。うまいけど、腹いっぱいなんだよなぁ……」 モグモグ

菜々(さっき食べたばっかりですもんね…)



364: 2013/12/29(日) 14:18:36.45 ID:xEggRQi6o

■五十嵐響子 Here There and Everywhere

http://www.youtube.com/watch?v=DP2fpZKrWtk



 幸せな日々 その為に必要なのは 隣に貴方がいる事ですっ


 此処で 一日一日を 作り上げていくの

 大好きな人が 手を振ってくれる それだけで私は幸せ

 その不思議な力は 誰もが認めるところだと思いますっ


 彼処で あの人の髪を 撫でてあげるんです

 二人の 素敵な未来を 思い浮かべながら

 誰か何か言ってるけど あの人は知らん顔 私も気にしません


 何処だって あの人に傍にいて欲しい

 あの人さえいれば どんな不安も消えてしまうの

 あの人を愛する事は 何処にいても あの人を求めてしまう事


365: 2013/12/29(日) 14:19:34.28 ID:xEggRQi6o


 愛とは共有する事 それは不滅で永遠 互いにそう信じる事なんです

 あの人の瞳に そこに私が映っているのを確かめながら ずっと映っていたいと望みながら


 何処だって あの人に傍にいて欲しい

 もしあの人がいれば どんな不安も消えてしまうの

 あの人を愛する事は 何処にいても あの人を求めてしまう事


 愛とは共有する事 それは不滅で永遠 互いにそう信じる事なんです

 あの人の瞳に そこに私が映っているのを確かめながら ずっと映っていたいと望みながら

 ずっと一緒にいましょうね

 此処でも 彼処でも 何処でも


────
──

366: 2013/12/29(日) 14:20:17.67 ID:xEggRQi6o


菜々「……。これは、また…」

P「ビートルズ、ポール・マッカートニー作の名曲だな。ポール自身もビートルズ時代で一番気に入ってるって言ったことがあるとか」

菜々「それだけ!? ねえ、とぼけてるとかじゃなくて、本当にそれだけなんですかっ」

P「うわ、なんだよ……」

ゆかり「んん…いいにおい…」

P「おっ、ゆかり起きたか?」

ゆかり「ふぁれ…?」

響子「も、戻りましたっ」

P「おー、おかえり響子。よかったぞー」

ゆかり「どぉして…Pさんときょうこちゃんが…わたしの部屋にいるの…?」

367: 2013/12/29(日) 14:20:45.46 ID:xEggRQi6o

P「まだ寝ぼけてるのか。おい、起きろゆかり、サンドイッチ食うか?」

ゆかり「ん……いたらきまふ…」

響子「は、はいこれっ」

ゆかり「…もぐ……おいしぃ…」 モグモグ

P「寝ながら食べてるのか…赤ちゃんみたいだな…」

響子「ふふ、ゆかりったらしようのない子ね。ねぇ、あなた♪ …なんちゃって(////)」

菜々(どういうプレイですか!?)

P「そういえば、響子はどういういきさつであの歌を?」

響子「あ、はいっ。親戚の結婚式で聞いて以来、大好きなんです」

P「あー、これも結婚式か。確かに合うよなぁ」

368: 2013/12/29(日) 14:21:14.61 ID:xEggRQi6o

響子「はい! すっごい素敵な結婚式で、憧れなんですっ」

P「そっか。じゃあ、いつか響子が結婚する時、歌って貰えるといいな」

響子「どちらかというと、私は自分で歌いたいです。…その、いつかPさんと、一緒に…」 テレテレ

P「響子……」

響子「Pさん…」

P「俺が旦那さんにぶっ飛ばされちゃうから、旦那さんと歌ってあげなさい」

 ガタッ ドテッ

P「え、なに二人してずっこけてんの? 仕込み?」

菜々「も、もぉー! なんなんですか、もぉー!」

響子「あ、あはは……気にしないで下さいっ、私こんなことでへこたれませんから!」

ゆかり「…もぐ…もぐ…… ……くぅ…」


369: 2013/12/29(日) 14:22:07.81 ID:xEggRQi6o


────

───

──


P「いやー、ゆかりは前も事務所で寝ぼけた事あったよな」

ゆかり「うう…私、起きしなはいつも頭が回らなくって…忘れていただけると嬉しいです…(////)」

響子「もう! Pさんっ、女の子を恥ずかしがらせるような事はしちゃダメですよっ!」

P「いや、悪い悪い。可愛かったから、つい」

ゆかり「はぅ…(//////)」

響子「もーっ!」

菜々(二人とも居座るんですね…)


370: 2013/12/29(日) 14:23:39.00 ID:xEggRQi6o


 ガチャ


まゆ「こんにちはぁ、Pさん♪ 貴方のまゆがきましたよぉ♪」

P「おー、まゆか。おはよう」

まゆ「おはようございまぁす……何だか楽しそうな事やってますねぇ」 ニコッ

P「おー、いま俺、人生で一番モテてるとこだ」

菜々(うわぁ…)

響子「こんにちは、まゆちゃん」

ゆかり「こんにちはっ」

まゆ「うふ♪ ダメですよぉ、Pさん。ええと…」 キョロキョロ

まゆ「まゆの席が無いですねぇ、仕方ないから、まゆはPさんの膝に…」

菜々「や、やめて! これ以上ここに修羅場を持ち込まないで!?」

371: 2013/12/29(日) 14:26:38.69 ID:xEggRQi6o
──────────

前半ここまで。
後半は年明けになりそうです。どうかよいお年を。

>>350
サッチモの「この素晴らしき世界」じゃなくて、サム・クックの方かしら?
他にもあったらごめんなさい!不勉強で!


序盤の曲リスト:>>80

372: 2013/12/29(日) 14:48:22.58 ID:ATyTaLmj0

引用元: 安部菜々「オールディーズ?」