1: 2017/05/15(月) 21:01:46.322 ID:9JHDCcsZ0.net
-サターニャの家-
タプリス「えっ、北海道旅行が当たった!?」
サターニャ「ええ、魔界通販の懸賞企画に応募したらね」
サターニャ「見事この私が、当選したのよ!」
サターニャ「さすが大悪魔の私、持っている、と改めて実感したわ」
ヴィーネ「まぁたしかに運は良いと思うけど、あの通販番組でしょ?」
ヴィーネ「大丈夫なの……?」
サターニャ「人数は五人までOKみたいで」
サターニャ「移動・宿泊費は全て、とある地方のTV局が負担、のようね」
ヴィーネ「それだけなら、問題はなさそうだけど……」
サターニャ「せっかく、この大悪魔サタニキア様のお供に選んでやったんだから」
サターニャ「喜びなさい、あんたたち!」
ガヴリール「めんどいからパス」
ラフィエル「まぁまぁ、ガヴちゃん。みなさんで旅行というのも」
ラフィエル「たまには良いものだと思いますよ。ちょうど、大型連休ですし」
ヴィーネ「北海道には、美味しいものがたくさんあるわよ、ガヴ」
サターニャ「そんなに文句を言うなら、あんただけ来なくてもいいのよ?」
ガヴリール「……はぁ、仕方ないな。行ってやるよ」
5: 2017/05/15(月) 21:04:17.924 ID:9JHDCcsZ0.net
-金曜日19:00 東京駅-
サターニャ「というわけで、スタート地点はここみたいね」
ヴィーネ「どうして東京まで出てきたの、サターニャ」
タプリス「それに、スタート地点って、どういうことですか?」
ラフィエル「ここから空港に向かって、北海道へ行くんです?」
サターニャ「ふっふっふっ、よく聞いてくれたわね」
サターニャ「この当選した旅行はね……」
サターニャ「なんと北海道へ到着するまでの道中も楽しめるように」
サターニャ「特別な仕組みになっているらしいわ!」
ガヴリール「……なんか嫌な予感がしてきた」
サターニャ「それはね、このデビルサイコロとデビルボードよ!」
タプリス「な、なんですか、それ」
サターニャ「説明書きによると……」
サターニャ「まず、ボードに六通りの行き先が表示されて」
サターニャ「サイコロを振り、出た数字の行き先へと向かう」
サターニャ「それを繰り返していき、見事、北海道へたどり着けばクリア、みたいだわ!」
ガヴリール「はぁ……こういうことだろうと思った」
6: 2017/05/15(月) 21:06:36.048 ID:9JHDCcsZ0.net
サターニャ「あ、さっそく、ボードに何か表示されそう」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■一投目の行き先
1:りんごがおいしい 青森
2:ごはんがおいしい 新潟
3:みかんがおいしい 松山
4:そばがおいしい 盛岡
5:ふぐがおいしい 下関
6:一気にゴール 札幌
ガヴリール「おいおい、この行き先をサイコロで決めるのか?」
ヴィーネ「明らかに北海道とは逆の方向があるんだけど……」
ラフィエル「四国や中国地方が出たら、厳しいですね」
サターニャ「要は、一発で6を出せば終わりってことでしょ?」
サターニャ「簡単じゃない!」
タプリス「いやいやいや……」
ヴィーネ「ちょっと、サターニャ。始める前に、その説明書見せて」
サターニャ「え? 別にいいけど」
ヴィーネ「なになに……」
ヴィーネ「制限時間は二日後の12:00まで。ただし乗り始めが時間内ならOKとする」
ヴィーネ「制限時間内に北海道へ着かなければ、ペナルティ」
ヴィーネ「途中、別の手段で移動した場合もペナルティ、かつ、移動費全額支払い」
タプリス「ペ、ペナルティって何ですか?」
8: 2017/05/15(月) 21:08:03.544 ID:9JHDCcsZ0.net
ヴィーネ「えっと、どれどれ……、旅行当選者の……氏!?」
タプリス「なっ!?」
サターニャ「え、どういうこと?」
ヴィーネ「これクリアできなかったら、あなたが氏ぬってことよ、サターニャ!」
サターニャ「は? そ、そんなこと、あるわけ……」
ガヴリール「というかさ。そもそも、こんなの始めなければいいじゃん」
ヴィーネ「ボ、ボードに行き先が表示された時点で、スタートしているみたい……」
ガヴリール「そうか、短い付き合いだったな、サターニャ」
サターニャ「ちょっと! 勝手に殺さないでよ!」
ラフィエル「でも、サターニャさんが氏んでしまったら」
ラフィエル「私の人生の楽しみが、八割減になってしまいます……」
サターニャ「あんたは、ただ、面白がってるだけでしょ!」
タプリス「で、でも、さっきの胡桃沢先輩じゃないですけど」
タプリス「クリアすれば良いんですよね!?」
サターニャ「タ、タプリス……」
ヴィーネ「そうね。乗りかかった船だし、がんばってクリアしましょう」
ガヴリール「はぁ、仕方ないな」
サターニャ「ふふっ、それじゃあ私が、最初の一投で終わらせてあげるわ!」
タプリス「せめて、北海道に近づく目で頼みます……」
サターニャ「いくわよ! 何が出るかな、何が出るかな……」
サターニャ「それはサイコロ任せよい!!」ブンッ
13: 2017/05/15(月) 21:10:27.526 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『3』
ヴィーネ「3? 3ってことは……」
ラフィエル「四国の松山ですね……」
ガヴリール「こんのっ、バカ悪魔!! 逆方向だしてどうすんだよ!」
サターニャ「し、仕方ないじゃない! サイコロの目なんだから!」
タプリス「……ま、松山まではどうやって移動するんです?」
ヴィーネ「わからないわね……って、ボードに新たな文字が!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『深夜バス』
ガヴリール「深夜バスってマジかよ……」
タプリス「深夜バスって、なんですか?」
ラフィエル「目的地へ向けて夜通し走り続けるバスのことですよ」
ラフィエル「お値段がお手頃で若者に人気がありますが」
ラフィエル「バスのシートに長時間座り続けるため、肉体への疲労がかなり……」
ヴィーネ「もうこれ、罰ゲームみたいなものじゃない……」
タプリス「ですけど、なんかこれも、旅って感じがして良いじゃないですか」
ガヴリール「タプリス。そう言ってられるのも、今のうちだぞ」
タプリス「えっ?」
14: 2017/05/15(月) 21:13:19.904 ID:9JHDCcsZ0.net
-金曜日20:00 深夜バス内-
タプリス「……もう腰が痛くなってきました」
ヴィーネ「ええ、そうね……」
サターニャ「あんたたち、だらしないわね……まだ三十分しか経ってないじゃない」
ヴィーネ「誰のせいだと思ってるのよ!」
ラフィエル「まぁまぁ」ジーッ
サターニャ「ちょっと、あんた! 何してるのよ」
ラフィエル「他にお客さんもいませんし、この旅行の様子を」
ラフィエル「動画に収めておこうと思いまして」
サターニャ「ね、寝顔とか撮るのやめてよね」
ラフィエル「うふふ」
タプリス「絶対に撮りそうですね、白羽先輩……」
ガヴリール「で、制限は二日後ってことは、日曜日の12:00か」
ヴィーネ「このバスには12時間乗るみたいだから、到着は明日の朝ね」
タプリス「半日も乗り続けるんですね……うぅ、お風呂入りたいです」
ヴィーネ「目的地が道後温泉ってところらしいから、それまでは我慢ね」
ラフィエル「温泉ですか、楽しみですね」
ヴィーネ「あとは瀬戸大橋も通るみたい」
ガヴリール「通るって言っても、夜中だろ……」
15: 2017/05/15(月) 21:16:02.195 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日05:30 香川県内 パーキングエリア-
タプリス「……」
サターニャ「……聞いて」
ヴィーネ「……何よ」
サターニャ「……さっき、お尻の肉が取れる夢を見たわ」
ラフィエル「……」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「……誰か、瀬戸大橋、見た?」
タプリス「……」
サターニャ「……」
ラフィエル「……松山まではあとちょっとですよ、頑張りましょう」
-土曜日07:30 松山 道後温泉-
サターニャ「松山、到着よ!」
ヴィーネ「みんなお疲れ様……」
ガヴリール「腰、痛すぎ……もう深夜バスには乗りたくない」
ラフィエル「……そうですね、でも」
ラフィエル「ハムスターのように縮こまるタプちゃんは可愛かったです」
タプリス「は、恥ずかしいです……」
ガヴリール「とりあえず、風呂行かないか」
16: 2017/05/15(月) 21:18:48.157 ID:9JHDCcsZ0.net
-道後温泉 浴室-
タプリス「すごいです、なんだか風情があるといいますか」
ヴィーネ「良いお風呂じゃない」
ラフィエル「建物の外観も歴史を感じさせる、良いものでしたね」
ガヴリール「はぁ……いい湯だ、疲れきった腰に効く」
バシャバシャバシャ
サターニャ「なはははっ、なかなか良いところじゃない!」
タプリス「く、胡桃沢先輩、他にお客さんが居ないからって」
ヴィーネ「まるで子供ね……」
ラフィエル「そんなところもサターニャさんの、良いところです」
タプリス「おぉ……」
ラフィエル「タプちゃん? どうしました?」
タプリス「え? い、いえ! 何でもありません!」
ヴィーネ「あはは、初めて見たらびっくりするわよね」
ラフィエル「……?」
タプリス「そ、そうですね。言うなれば、メガロポリスって感じです……」
ガヴリール「同じ女とは思えん」
バシャバシャバシャ
サターニャ「なははははっ!!」
18: 2017/05/15(月) 21:20:40.305 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日09:00 松山駅-
サターニャ「あ、ボードの様子がっ!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■ニ投目の行き先
1:夢の直行便 札幌
2:ふぐが食べたい 下関
3:振り出しに戻る 東京
4:魅惑のアイランド 香川県 小豆島
5:一気に最南端へ 鹿児島
6:なぞのまち 大分県 臼杵
タプリス「また、札幌直行がありますよ!」
サターニャ「ふっふっふっ、今度こそ……」
ガヴリール「お前には任せておけん。私が一発で決めてやる」
サターニャ「私に振らせなさいよ!」
ヴィーネ「サターニャは一回目ひどかったからね……」
ラフィエル「そうですねぇ。ここはガヴちゃんに任せましょうか」
サターニャ「ぐぬぬぬ、仕方ないわね」
ガヴリール「さくっと1を出して終了だ」
タプリス「がんばってください、天真先輩!」
ガヴリール「何が出るかな、何が出るかな……」
ガヴリール「それは、サイコロ任せよーい」ブンッ
20: 2017/05/15(月) 21:23:14.997 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『6』
サターニャ「何が、私に任せろ、ですって、この駄目天使!」
ガヴリール「アァッ!? お前に言われたくねーよ!」
ヴィーネ「もう、なにしてるのよ……」
タプリス「なぞのまち臼杵って、何ですかね……」
ラフィエル「見当もつきません……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『電車とフェリー』
ヴィーネ「移動手段は……電車と、フェリー!?」
ラフィエル「四国の西端まで行って、そこから海を渡って九州に上陸ですね」
タプリス「す、すごいです! フェリーなんて初めて乗ります!」
ガヴリール「タプリス。それ、フラグな……」
タプリス「えっ?」
-土曜日10:00 電車内-
タプリス「車窓からの景色が綺麗ですね……」
ヴィーネ「本当。深夜バスに比べたらだいぶマシね……」
ガヴリール「おいサターニャ! そのみかん饅頭、私のだろ!」
サターニャ「ふんっ、どこかに名前でも書いてあったのかしら!」
ヴィーネ「あんたたちも、よく飽きないわね……」
タプリス「あははは……」
21: 2017/05/15(月) 21:26:08.578 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日12:00 フェリー内-
ラフィエル「」チーン
ヴィーネ「ラフィがすっかり、船酔いでダウンしてるわね」
タプリス「白羽先輩が倒れてたら、誰が動画を撮るんです?」
ラフィエル「……だ、大丈夫です。固定して、撮って、ますから」
ヴィーネ「プ、プロね……」
ガヴリール「っていうか、これでもう、九州上陸か」
サターニャ「そうよ! もっと四国ですることあったんじゃないの!?」
サターニャ「私たち、お風呂入っただけじゃない!」
タプリス「あははは……で、ですよね……」
ガヴリール「……もう帰りたい」
-土曜日13:00 大分県 臼杵-
ラフィエル「というわけで、大分県の臼杵(うすき)に到着しました」
タプリス「あ、白羽先輩、大復活です!」
ヴィーネ「でも、なんというか……」
サターニャ「イマイチ、九州に来たっていう、実感がないわね」
ガヴリール「こんだけ移動に移動を続けてたらな」
22: 2017/05/15(月) 21:28:13.366 ID:9JHDCcsZ0.net
ヴィーネ「あ、ボードが更新されそう」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■三投目の行き先
1:夢の直行便 札幌
2:地獄の深夜バス 名古屋
3:温泉で一休み 別府
4:振り出し寝台特急 東京
5:まだまだ九州 小倉
6:たっぷり九州 鹿児島
サターニャ「一応、札幌の目は毎回あるのね」
ガヴリール「それがベストではあるが……」
ヴィーネ「2だけは絶対に嫌……」
ガヴリール「じゃあ、ヴィーネが振れよ」
ヴィーネ「えぇ……嫌よ……」
ラフィエル「誰が振ったって同じですよ、あまりお気になさらず」
ヴィーネ「……わ、わかったわ」
ガヴリール「あ、3でもいいぞ。たっぷり温泉」
タプリス「いいですね、それ」
ヴィーネ「プレッシャーかけないで、お願い……」
ヴィーネ「じゃあ、いくわよ」
ヴィーネ「何が出るかな、何が出るかな……」
ヴィーネ「それは、サイコロ任せよいっ」ブンッ
23: 2017/05/15(月) 21:30:37.560 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『5』
タプリス「5の小倉――」
ガヴリール「そぉいっ!」ダッ
コロコロコロッー
タプリス「あ、天真先輩! なにサイコロ蹴ってるんですか!?」
ガヴリール「え、何のこと?」
ラフィエル「駄目ですよ、ガヴちゃん」
ラフィエル「あまりにひどいズルをすると、ペナルティを受けちゃいます」
ラフィエル「それに少しだけ北上できますし、良いじゃないですか」
ガヴリール「……ちぇ」
サターニャ「でも、なーんか面白くないわね」
ヴィーネ「し、深夜バスが出なかっただけ良いでしょ!」
タプリス「そうですよ、旅をもっと楽しめると思えば、です!」
-土曜日15:00 電車内-
ヴィーネ「ガヴ、そもそもルールっていうのはね……」
ガヴリール「ああ、わかったよ! 守れば良いんだろ守れば!」
ヴィーネ「わかればよろしい」
タプリス「あ、見てください! ここ、USA駅ですよ!」
サターニャ「ふっ、ついに来てしまったのね、自由の国アメリカまで」
ガヴリール「アメリカの次が、ぶぜんながす駅って、どうなってんだよ」
24: 2017/05/15(月) 21:33:18.860 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日17:00 小倉駅-
サターニャ「やっとここまで、たどり着いたわ」
ヴィーネ「九州の北端、だけどね」
タプリス「とりあえずは、九州を脱出したいですね」
ラフィエル「あ、ボードの方が……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■四投目の行き先
1:振り出し寝台特急 東京
2:神のまち 出雲
3:地獄の深夜バス 名古屋
4:もう疲れた 一泊 小倉
5:新幹線でびゅん 大阪
6:夢の直行便 札幌
サターニャ「毎回、札幌があるのに、どうしてたどり着けないのよ!」
ガヴリール「そっくりそのまま、お前に返してやる」
サターニャ「あんただって出せなかったでしょ!」
ガヴリール「なんだって!?」
タプリス「お、お二人とも喧嘩はやめてください」
ヴィーネ「でも、さすがに移動続きで疲れたし」
ヴィーネ「札幌には行きたいけど、4の小倉一泊も魅力的ね」
ラフィエル「たしかに、そうですね。あ、じゃあ、今度は私が振ってみますね」
ガヴリール「ああ、任せたぞ、ラフィエル」
ラフィエル「では、いきますよー」
ラフィエル「何が出るかな♪ 何が出るかな♪」
ラフィエル「それは、サイコロ任せよーい♪」ブンッ
25: 2017/05/15(月) 21:36:34.691 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『5』
ガヴリール「5は……大阪か」
ラフィエル「札幌も一泊も、出せませんでした……」
ヴィーネ「気にすることないわ、ラフィ。一歩前進よ!」
タプリス「は、はい! それにわたし、新幹線って初めて乗るので楽しみです!」
ガヴリール「お前、フラグ立てすぎ」
タプリス「えっ?」
ヴィーネ「指定の新幹線が出発するまで、二時間くらいあるわね」
ガヴリール「じゃあ、あれだ。とんこつラーメンでも食べよう」
サターニャ「あんたにしては、良い提案じゃない」
タプリス「わたし、あれやりたいです! 替え玉!」
ガヴリール「いいけど、お前はたぶん食べきれないと思うぞ」
タプリス「そ、そうですか……」
タプリス「おやっさん、替え玉! って、一度、言ってみたかったんですけど」
ガヴリール「何に影響されてんだよ……まぁ、いいや」
ガヴリール「私も食べるの手伝ってやるから、着いたらやってみろ」
タプリス「ありがとうございます、天真先輩!」
ヴィーネ「なんだかんだで、タプちゃんには甘いわよね、ガヴ」
ラフィエル「うふふ、良いじゃないですか」
サターニャ「替え玉なんて、十回頼んでやるわ!」
26: 2017/05/15(月) 21:38:07.663 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日19:30 新幹線内-
タプリス「すごい、これが新幹線……とても速いです!」
ガヴリール「感想が子供か」
ヴィーネ「でも、暗くて景色がほとんど見えないのが残念ね」
タプリス「そうですね……」
サターニャ「……げふっ」
ラフィエル「あらあら、サターニャさん。はしたないですよ」
ガヴリール「結局、お前は替え玉、三回だしな」
サターニャ「細い麺だからもっといけると思ったのに、くやしい……」
ヴィーネ「これからどんな乗り物に乗るかわからないのに……」
ラフィエル「あら、サターニャさん。鼻から血が……」
サターニャ「え、うそ?」
ラフィエル「ちょっと待っててくださいね」フキフキ
サターニャ「ご、ごめん……」
ラフィエル「いいんですよ。ティッシュ、つめておきますね」
サターニャ「あ、ありがと……」
ラフィエル「いえいえ」
タプリス「どう考えても、食べ過ぎが原因ですね……」
ヴィーネ「それと、結構疲れが溜まっているのかもね」
ガヴリール「はぁ……大きい子供、多すぎだろ……」
28: 2017/05/15(月) 21:40:50.346 ID:9JHDCcsZ0.net
-土曜日22:00 新大阪駅-
サターニャ「ここが大阪、コメディアンの街なのね」
ラフィエル「すっかり鼻血は止まったみたいで、よかったです」
タプリス「さすがに少し眠くなってきました」
ガヴリール「そうか? これからが夜本番だろ」
ヴィーネ「超夜型天使……」
タプリス「あ、ボードの様子が……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■五投目の行き先
1:寝台特急 東京
2:寝台特急 新潟
3:深夜バス 長野
4:頼むから一泊 大阪
5:夢の直行便 札幌 ただし朝まで待機
6:新幹線 名古屋 ただし朝まで待機
ガヴリール「ほら、タプリス。もう眠いんだろ」
ガヴリール「4か5、出そうな」
タプリス「えぇ、わたしがですか!?」
ヴィーネ「そうね、順番的にはタプちゃんかな」
サターニャ「早く振りなさいよ」
タプリス「わ、わかりました。何が出ても怒らないでくださいね!」
タプリス「何が出るかな、何が出るかな……」
タプリス「それは、サイコロ任せよーい」ブンッ
29: 2017/05/15(月) 21:43:05.191 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『2』
ガヴリール「寝台特急ぅ?」
タプリス「ひぃっ、ごめんなさいごめんなさい!」
ヴィーネ「でも、寝台よね? 深夜バスよりはマシなんじゃ」
ラフィエル「それに新潟ですから、だいぶ北へ移動できるのもプラスですよ」
ラフィエル「タイムリミットの明日の12:00まで、時間がありませんから」
サターニャ「決まったの!? ほら、どこでも良いからさっさと行くわよ!」
ガヴリール「お前絶対、目的忘れてるだろ」
ヴィーネ「自分が氏ぬかもしれないってのに、呑気ね……」
-土曜日23:00 大阪駅構内-
ヴィーネ「みんな、緊急事態が発生したわ」
タプリス「そ、そんな改まって、どうしたんです?」
ヴィーネ「私たちの人数は五人。それに対して……」
ヴィーネ「ここにある寝台券は、四人分」
みんな「な、なんだってー!?」
ラフィエル「どうしてそんなことに……」
ヴィーネ「なんか明日、新潟で大型イベントがあるらしくて」
ヴィーネ「結構、お客さんが多いみたい」
ヴィーネ「それで一人だけ、自由席、になっちゃったの」
ガヴリール「一晩、自由席って……深夜バスよりもつらいぞ……」
30: 2017/05/15(月) 21:45:38.245 ID:9JHDCcsZ0.net
サターニャ「私はパスよ。だって、お尻の肉がまた取れるかもしれないし」
ガヴリール「それは夢の話だろ、バカ」
サターニャ「バカとは何よ! このダメ天使!」
ガヴリール「あ、なんだって!?」
タプリス「ケ、ケンカはやめてください!」
タプリス「元はと言えば、わたしが新潟行きを出してしまったのが悪いんです」
タプリス「ですから、わたしが自由席にいきます」スッ
ラフィエル「タプちゃん……」
ヴィーネ「こんなにかわいい後輩を自由席に一人……」
ヴィーネ「座らせることなんて、できないわ」
ヴィーネ「私が、自由席に行く」スッ
ガヴリール「ヴィーネ、お前にだけ良い格好させるかよ」
ガヴリール「私が、行けば済む話だ」スッ
ラフィエル「だめです、ガヴちゃん。天使として、みなの手本となるために」
ラフィエル「私が一人で、自由席へ」スッ
サターニャ「何よ、あんたたち! それじゃ私が、格好悪いみたいじゃない!」
サターニャ「ふふっ、自由席はね! この大悪魔のサタニキア様に任せなさい!!」
みんな「どうぞどうぞ」
-日曜日01:00 寝台特急内 自由席-
サターニャ「……」
サターニャ「……お尻いたい」クスン
31: 2017/05/15(月) 21:48:08.274 ID:9JHDCcsZ0.net
-日曜日09:30 新潟駅-
ガヴリール「ふぅ……やっと着いたか」
ラフィエル「寝台も結構、辛かったですね」
ヴィーネ「そうね、背中が痛くなっちゃった」
タプリス「み、みなさん……く、胡桃沢先輩が」
サターニャ「……お尻」クスン
ラフィエル「よく頑張りましたね、サターニャさん」スリスリ
サターニャ「……」コクッ
タプリス「あ、ボードが更新されそうですよ!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■六投目の行き先
1:振り出しに戻る 東京
2:ちょっと戻る 金沢
3:ちょっと進む 山形
4:太平洋を見よう 仙台
5:北海道はもうすぐ 青森
6:一気に上陸 北海道
ガヴリール「というか今、09:30だよな」
ヴィーネ「タイムリミットの12:00まで、もう時間がないわ」
ラフィエル「到着時間ではなくて、乗り込むまでの時間で良いみたいですけど」
ガヴリール「それでも、東京とか青森とかが出たらアウトってことだろ?」
ラフィエル「そうですね……」
サターニャ「……私がやる」
33: 2017/05/15(月) 21:50:44.751 ID:9JHDCcsZ0.net
タプリス「胡桃沢先輩、ふ、復活して……」
サターニャ「私の命がかかってるのなら……」
サターニャ「他の誰でもない、私の手で、すべてを終わらせてあげるわ!」
サターニャ「この大悪魔である、サタニキア様がね!」
ヴィーネ「サターニャ……」
ラフィエル「随分なやる気ですけど、サイコロですからね……」
ガヴリール「自分の命が終わらなきゃいいけどな」
タプリス「胡桃沢先輩、ファイトです!」
タプリス「先輩ならきっと、できますよ!」
サターニャ「ふっ、当然っ!!」
サターニャ「行くわよ!! 私の生き様! 見てなさい!!」
サターニャ「何が出るかな! 何が出るかな!!」
サターニャ「それは、サイコロ任せ……よいっ!!!」ブンッ
タプリス「……お願いっ」
34: 2017/05/15(月) 21:53:34.311 ID:9JHDCcsZ0.net
コロンコロンッ 『6』
サターニャ「えっ」
ヴィーネ「うそ……」
タプリス「胡桃沢先輩! やりました! 6です!」
ガヴリール「こいつ……本当にやりやがった」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
サターニャ「やったぁぁぁぁぁっ!!!」
サターニャ「見なさいっ! 私の完全なる……」
サターニャ「大勝利よぉぉぉぉっ!!」
タプリス「おめでとうございます……ぐすっ、本当に!」
サターニャ「なーに、あんたが泣いてるのよ」
タプリス「だって……胡桃沢先輩の命が助かったんですよ!」
サターニャ「だから、終わらせてやるって言ったでしょ!」
タプリス「はい……はいっ!」
ガヴリール「でも、これでようやく、北海道上陸か……」
ラフィエル「長かったですね、二日もかかるなんて」
ヴィーネ「飛行機なら、一時間半くらいなのにね……」
35: 2017/05/15(月) 21:56:04.098 ID:9JHDCcsZ0.net
タプリス「あれ? でも、移動手段が書いてませんね」
サターニャ「別に北海道に着くなら、なんでも良いでしょ」
ヴィーネ「あ、ボードに追記されるみたい」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『フェリー 18時間』
タプリス「はわ、はわわわわ……」
ヴィーネ「18時間、日本海の荒波の中……?」
ガヴリール「なんでだよ! スッと行かせてくれよ!」
サターニャ「なははははっ! 海の女に、私はなるっ!」
ラフィエル「」チーン
みんな「もう、嫌だぁぁぁぁぁぁっ!!」
タプリス(こうして、重い足取りでフェリーに乗り込んだ、わたしたちは)
タプリス(翌日の早朝、満身創痍で北海道に上陸しました……)
おしまい
40: 2017/05/15(月) 22:17:52.132 ID:9JHDCcsZ0.net
タプリスは祭りのあと
行き先と出目はサイコロ1準拠
行き先と出目はサイコロ1準拠
45: 2017/05/16(火) 01:26:48.215 ID:wXJWoMNk0.net
乙乙
コメントは節度を持った内容でお願いします、 荒らし行為や過度な暴言、NG避けを行った場合はBAN 悪質な場合はIPホストの開示、さらにプロバイダに通報する事もあります