1: 2012/10/18(木) 09:26:58.34 ID:1azQr5VZ0
照「」カチカチ

照「・・・う、うう」ホロホロ

照「奇跡は・・・起きないから・・・」

照「栞ルートがこんなにいいものだったなんて」

照「・・・」

照「私に妹なんていない・・・か」
咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

5: 2012/10/18(木) 09:31:12.46 ID:1azQr5VZ0
翌日

咲「あ、お姉ちゃんおはよー」

照「ん、おはよ・・・!」

照(香里と栞はすれ違いを乗り越えて姉妹の絆を深められた・・・)

照(なら私と咲の絆をもっと深めるためには・・・)

照「・・・」プイッ

咲「あ、あれ?お姉ちゃん?」

6: 2012/10/18(木) 09:38:04.14 ID:1azQr5VZ0
照「ということがあった」

菫「・・・」

照「丁度本編とも年齢的に合致するし、そろそろ最大限に絆を深める頃合だろ思う」

菫「・・・」

照「時期的にズレてるけど、多分大丈夫」

菫(こいつは何を言ってるんだ・・・)

7: 2012/10/18(木) 09:42:33.21 ID:1azQr5VZ0
菫「いやいや・・・それはちょっと」

照「?」

菫「関係を修復しようというその姿勢はいいと思う」

照「うん」

菫「でも、妹を避けてた理由が唐突過ぎるというか弱いというか・・・無いよね?」

照「? 絆を深めるためだから、理由としては大きい」

菫(だめだこいつ・・・)

8: 2012/10/18(木) 09:47:08.31 ID:1azQr5VZ0
照「そうと決まれば即断実行」

菫「え?」

照「咲のいる街まで行こう」

菫「え? もう夜なんだけど」

照「急いで名雪。七年ぶりにあの街に行かないと」

菫「誰!?」

10: 2012/10/18(木) 09:54:28.13 ID:1azQr5VZ0
ブロロロロ・・・

菫(夜行バスなんて初めて乗ったなあ)

照「う、うぅーん・・・咲ぃ・・バニラアイス・・・」

菫(寝付くの早いなあ・・・何の夢見てるんだろう)

菫(そういえば名雪って誰なんだろ)カチカチ

菫(・・・Kanon?)

11: 2012/10/18(木) 10:01:59.23 ID:1azQr5VZ0
照(夢・・・夢を見ている)

照(終わりの無い、夢)

?「・・・る・・・」

照(懐かしいこの街で)

?「照・・・照ってば」

照「・・・遅いぞ」

菫「いいから早く起きて! すみませーん!今起きたのですぐ降りますー!」

13: 2012/10/18(木) 10:07:59.56 ID:1azQr5VZ0
照「着いたか・・・約束の街に」セノビッ

菫「照ってば寝付きいいのに起きるのは弱いよね・・」

照「はは・・お株を奪ったかな、ゴメン名雪」

菫「だからぁ・・・」

照「さあ行こう。学校まではもう少しだ」

菫「いいけど・・・こんな朝っぱらに人いるのかな」

菫「まだ六時前なんだけど」

14: 2012/10/18(木) 10:14:35.67 ID:1azQr5VZ0
菫「というわけで来てみたけど・・」

照「」

菫「・・・本日休校?」

照「馬鹿な」

菫「なんか書いてあるけど」

照「これは策略か?私と咲を会わせないための・・」

菫「なになに・・・」

『昨日校舎の窓が大量に割られる事件が起こりました。安全上の都合により本日は休校とします』

菫「物騒だなあ」

15: 2012/10/18(木) 10:24:01.09 ID:1azQr5VZ0
照「・・・・窓?」

菫「これは難しいかな・・・とりあえずホテルに戻って・・」

照「」ヨジヨジ

菫「照、戻ろ、って何してるの!?」

照「この先に魔物がいる・・・それが私と咲の邂逅を邪魔するというのなら」

照「・・・潰す!」ゴッ!

菫「パンツ、パンツ見えてるから!」

17: 2012/10/18(木) 10:29:11.47 ID:1azQr5VZ0
菫「これは相当まずいんじゃ・・他校に侵入って・・」カツカツ

照「仕方無い。これしか方法がないと言うのなら」カツカツ

菫「はあ・・・でも、ほんとに窓ガラスが割られてる・・・不良とか?」

照「いや、違う。これは間違いなく魔物の仕業」

菫(なんだそれ・・・)

照「・・・来るぞ」

菫「え?」

カツン・・・カツン・・・

21: 2012/10/18(木) 10:32:59.26 ID:1azQr5VZ0
菫「な、なに?段々近づいてくる!?」

照「シッ、相当近い・・・この廊下の先だ!」

菫「ろ、廊下の先って、行き止まりなのに誰も・・!」

カツンカツンカツン・・・タタタタタタ!

菫「っひ、いやああああああ」

照「名雪!くっ・・・待て、一人じゃ危ない!」

タタタ・・・カツ、カツ・・・

22: 2012/10/18(木) 10:39:54.13 ID:1azQr5VZ0
菫「っはあ、はあ、ふう・・・」

照「落ち着いたか、名ゆ・・・菫」

菫「な、なんだったのあれ!」

照「わからない。けれど状況を考えるに・・・」

菫「な、なに・・?」

照「魔物か、それに類するもの・・か?」

?「なかなかいい洞察かな」

23: 2012/10/18(木) 10:46:12.24 ID:1azQr5VZ0
?「ただ魔物というには、私達では随分非力だ」

?「間近で見た身としては、辞退させてもらいたいな」

照「その顔・・・見たことがある。なぜこんなところに?」

?「なぜ、ということもあるまい。同じ県内だ、練習試合程度ならいくらでも都合がつく」

照「・・・質問を間違えた。なぜ、こんな魔物の徘徊する場所にいる?」

照「加治木、ゆみ」

「・・・ふ、決まっている」

ゆみ「私が、魔物を狩るものだからだ」

26: 2012/10/18(木) 10:55:39.73 ID:1azQr5VZ0
照「魔物・・・さっき、上の階に姿の見えない足音があったが」

菫「そ、そう!近づいてくるのに見えなくて!気配も無くて!まだ朝なのにっ!」

ゆみ「ふむ・・・それは例えば」

照「ん、すみ」ピクッ

?「こんなふうっすね~!?」ガバチョッ

菫「っひいいいいいいいいやああああああああ!!!!」

照「れ、後になにかいるぞ。気をつけたほうがいい」

ゆみ「・・・君は随分冷静というか・・・動揺しないようだな」

28: 2012/10/18(木) 11:05:54.52 ID:1azQr5VZ0
ゆみ「そうか・・・妹に会いに来たのか」

照「ん。それなのにこんな状況で・・・咲ぃ・・・」

ゆみ「ふむ、しかし本校舎はこの有様だが、部活棟は無事のようだ」

ゆみ「それに今日は四校練習試合の日でね。そっちで待っていれば来るんじゃないかな」

照「!そ、そうか!よし、待っていてくれ咲!」


桃子「私達は先輩の車が飛ばしすぎちゃって、早く着いてしまったっす」

桃子「それで好奇心で潜入して・・・ちょっとふざけてみたけど、やりすぎちゃった感じっすね~」

菫「ううう・・」

29: 2012/10/18(木) 11:17:23.92 ID:1azQr5VZ0
部室にて

智美「わははー、お前らよく来たなー。まあゆっくりしていけー」

ゆみ「果報は寝て待てというだろう。まあ寝る必要は無いが」

照「待つか・・・7年待ったんだ、今更数時間程度、どうということはないな」カタカタカタカタ

ゆみ「・・・どうも、君は立つか歩くかしていた方が良さそうだな」

桃子「うーん、菫さんもこんな調子っすからねー。気晴らしに散歩でも行きましょうか?」

菫「だ、誰のせいだと・・・うう」

桃子「ほらほら、いくっすよー」

智美「わははー、じゃあまたなー」

30: 2012/10/18(木) 11:30:08.47 ID:1azQr5VZ0
照「・・・この辺りは、随分と風が心地良い」

菫「はあー・・・うん、だいぶ良くなってきた」

桃子「眺めもいいっすからねー。ものみの丘っていうらしいっす」

ゆみ「物見というわけか・・・確かに、街を一望できる良い場所だな」

ゆみ「そういえば、少し行くと神社があるらしいが・・・」

照「神社か・・・7年の誓いを果たすために、願掛けにでも行こうか」

ゆみ「そうか。私とモモはもう少しここに居てから戻るから、君達も好きに戻るといい」

照「ああ、わかった」

32: 2012/10/18(木) 11:46:25.46 ID:1azQr5VZ0
照「ここが神社か、小さいけど趣はある」

菫「ん・・・木漏れ日とか、良い感じかな・・」

?「そう?それは良かった。細々と掃除してたかいがあるわ」

菫「ひぇっ!」

照「・・・その顔は」

?「予定外のお客さんだけど、身内というか、部員のお姉さんを無碍にするわけはいかないか」

久「いらっしゃい、宮永照さん。私は清澄高校麻雀部部長、竹井久です」

菫(なぜ巫女服・・・?)

33: 2012/10/18(木) 11:54:24.68 ID:1azQr5VZ0
照「・・・咲は、まだ居ないか」

久「うん?それは、まだ六時過ぎたところだもの。早すぎるわよ」ヨッコラセ

照「早すぎるというわりには、わざわざ朝早くに巫女服で掃除する物好きが居るようだけれど」

久「あはは、まあねえ。でも毎日ってわけじゃなくてね。今日はたまたま」オイショ、ット

照「・・・部長が部室を他校の生徒に任せてもいいの?」

久「うーん、いいんじゃないかしら。県内じゃ顔も売れてる人達だし・・・あー腰痛い」トントン

菫(なんだか、おばさんくさい)

37: 2012/10/18(木) 12:15:55.55 ID:1azQr5VZ0
久「ま、好きに部室なり使ってちょうだい。貴方と卓を囲みたいって人は多いと思うし、飽きないと思うわよ」

照「今日は打ちに来たわけじゃない・・・けど、まあ構わないか・・・」

菫「じゃあ・・・部室に戻る?」

照「そうしよう」

久「そ。私もそう時間かけるつもりはないから、後で合流するわ」

照「・・・その前に」

久「?」

照「・・・この辺りに狐とか」ウズウズ

久「見たことないわねえ・・・」

42: 2012/10/18(木) 12:53:49.79 ID:1azQr5VZ0
菫「照って狐好きだったっけ?」

照「いや・・・ただ、狐くらいいてもおかしくないかな、と」

菫「ふうん・・・それにしてもそろそろ秋めいてきたね・・・風に穂が揺れて、朝なのに幻想的」

照「ん。雰囲気としては悪くない。咲と一緒に来れたら・・・」ハフゥ

菫「ははは、照は妹が好きだね・・ちょっとベクトルずれてるけど・・・やっぱり彼氏とかより、妹が大事?」

照「男なんて別に・・・」

菫「そーか・・・」

45: 2012/10/18(木) 13:16:45.76 ID:1azQr5VZ0
菫「あ・・・誰か居る」

照「!咲!?」ハッ

?「ほう・・・咲ちゃんの名前を知っているとは、おぬしも呪われたタコスの末裔・・・」

?「我がタコスを見出す力はさすがだじぇ」

照「・・・」

菫「えっと」

?「しかしタコスの屋台は神出鬼没!それに合わせて起きられない様じゃまだまだよのう」

?「なぜ屋台は帰ってしまうのか・・・永遠の謎だじぇえ・・・」

?「屋台が来て・・・ずっと屋台だったらいいのに・・・」

照「行こう」

46: 2012/10/18(木) 13:35:39.92 ID:1azQr5VZ0
照「・・・部室まで戻っては来たものの」

菫「なんだか人が増えてる・・・」

透華「あら・・・なんだか見たことのある人ですわね」

智紀「・・・チャンピオン」

純「はー?なんでそんなもんがここに居るんだよ」

ゆみ「ああ・・・妹さんに会いに来たとかでな」

純「ふうん・・・宮永咲、か?」

照「・・・」

純「それならここで待ってた方が早いだろ、なあ、それまでどうだ?」

照「・・・わかった」

47: 2012/10/18(木) 13:42:46.58 ID:1azQr5VZ0
ヒュウゥゥ

照「ツモ、300・500」

純「へえ、チャンピオンってのは随分軽い手で上がるんだな」

一(・・・純くん、ああ言ってるけど・・・)

ゆみ(彼女の上がり方からすれば、ここからが・・・)

ヒュウウウウウ!

照「ツモ」

照「ツモ」

照「ツモ。11600オール」

ゆみ(・・・止められない・・!)

純「っく・・・」

48: 2012/10/18(木) 14:12:07.15 ID:1azQr5VZ0
照「ツモ。これで下家がトんで終わり・・・」

佳織「あ、あわわわわ」

智美「わはは、圧倒的だなー」

智紀「・・・・お疲れ様でした」



久「さすがチャンピオンねー、手も足も出なかったわ」

菫「まあ・・・なんだか今日はやる気に満ち溢れてるみたいだし」


照(気配がする・・・)

照(咲の近づいてくる気配が!)

51: 2012/10/18(木) 14:32:57.35 ID:1azQr5VZ0
カチャ・・・
まこ「やー、おはようさん」

久「あら、まこ。おはよう」

まこ「また人が多くきとるのー」

久「ええ、まあね・・ああ、丁度いいわ。咲も一緒だったのね」

咲「は、はい・・・おはようございます」

久「おはよう。今日は貴方にお客さんよ」

咲「え?」


照「・・・・・・・・・・・・・・」ピクピク

52: 2012/10/18(木) 14:39:57.65 ID:1azQr5VZ0
照「・・・・・・・」

咲「あ、お、お姉ちゃん・・・」

照「・・・・・・・」

咲「会いに来てくれたの・・・?」

照「・・・・・・・」

咲「あ、あの・・・」


照「わ・・・・・」

咲「う、うん・・・」

照「私に妹なんていないわ」

菫(おいいいいいいいいいいいいいいいィッ!)

54: 2012/10/18(木) 14:53:46.66 ID:1azQr5VZ0
咲「え・・・?」

照「」

ゆみ「あー、えっと、照、でいいか? 照が来たのは妹さんと会うためなんだろう?」

菫(表情が凄いことになってる。あんな照は初めて見た・・)

照「・・・・!」ダッシュ

咲「あ、お、お姉ちゃん!待って!」



透華「なんですの、この空気・・・ちょっとすばらですわっ」

一「透華って昼ドラとか好きだもんね・・」

59: 2012/10/18(木) 15:48:00.62 ID:1azQr5VZ0
照「う、う、うううううう~!!」ダダダダダ

照「む、無理だっ。顔を見るだけで・・・・」

照「私の馬鹿ァああ!」

照「うーーーーーーーっ!」



照「はあ、はあ・・・」

照「・・・・学校の、門まで来てしまった」

61: 2012/10/18(木) 15:57:28.46 ID:1azQr5VZ0
照「もう嫌だ・・・・私がこんなに弱かったなんて・・・」

照「せっかく、せっかく思い切って会いに来たのに・・・」

照「菫まで巻き込んで、逃げられないようにしたのに」

照「勝手な理由で咲を避けて・・・」

照「勝手に菫を振り回して、逃げ出して」

照「もう嫌だ・・・このままどこかに消えてしまいたい・・・」

照「う・・・・ひっく、ううううううううう」

62: 2012/10/18(木) 16:00:30.97 ID:1azQr5VZ0
京太郎「ふんふふーん」

京太郎「・・・・世界1位です」

京太郎「なんてなー」

京太郎「今日は合同練習だから、女の子いっぱいだぜ!」

京太郎「ま、見てるだけだけど・・・風越の部長も来てるかなーっと」

京太郎「・・・ん?・・・あれって」


照「う、う、うわあああああああ」

64: 2012/10/18(木) 16:15:28.00 ID:1azQr5VZ0
京太郎「照さん・・・だよな?咲のお姉さんの」

京太郎「今日の練習試合って県内だったよな?・・・それよりなんで泣いてるんだ」

京太郎「・・・えーい、ままよ!」


京太郎「あ、あのー、どうしたんですか?」

照「! う、うぎゅ、っく、な、なんでもなひっ!」

京太郎「なんでもないって・・・それなら泣かないんじゃ」

照「!? う、うるさいっ!」ドン!

京太郎「う、うわ!?」ギュッ

照「ううううー!」

京太郎(な、何かよくわからないけど)

京太郎(腕の中が柔らかい!)

67: 2012/10/18(木) 16:26:44.51 ID:1azQr5VZ0
京太郎「あ、あのー」

照「・・・う、うっく」

京太郎「その・・・咲に会いに来たんですか」

照「う、っく」ビクッ

京太郎「・・喜ぶと思います。あいつ。結構ことあるごとに言ってましたから」

照「・・・・」

京太郎「お姉ちゃんに会いたいとか、嫉妬しちゃうなーってくらい・・・はは」

照「・・・っ」

京太郎「だから・・・泣いたりするより、笑顔のほうがあいつも喜ぶんじゃないかなー、なんて」

照「う、う・・・・」

京太郎「だからその・・・もう少ししたら、部室行きません?それまでは・・・俺も男ですし、胸くらい貸しますよ」

照「・・・・・ん」

74: 2012/10/18(木) 16:45:13.18 ID:1azQr5VZ0
照「・・・・」グスッ

京太郎(く、臭すぎたか・・・?)

照「一つ・・・・教えて欲しい」

京太郎「は、はいっ!」

照「私は・・・私は何のためにここに来たの・・・だろう」

京太郎「え、あの、えーっと」

京太郎「わかりません」

照「・・・ふふっ」

照「ありがとう。君のおかげで少しだけ勇気が出たよ。今なら、行ける気がする」

京太郎「はは、どういたしまして・・・少しだけですか」

照「ああ、少しだけね・・・すまないけど、部室まで案内してくれないかな」ギュ

京太郎(な、ナチュラルに手を握られてしまった・・・)

75: 2012/10/18(木) 16:47:16.67 ID:1azQr5VZ0
咲「はっ、はっ、はあっ!・・・」

咲「お姉ちゃんどこいっちゃったんだろう」

咲「会いにきてくれたんじゃないのかな・・・どうして・・・」

咲「う・・・」ジワッ


菫「安心していいよ」ポン

咲「う、え、あ」

菫「照は今日、君のために来たんだ・・・多分ね」

菫「どんなに動揺していても、一度決めたことは覆す奴じゃない。だから君は、ぐっとこらえてあの馬鹿を待っていてやって欲しい」

咲「で、でも、私は・・・お姉ちゃんみたいに強くないし・・・」

菫「強い?まさか、さっきも見ただろう。照はてんでダメだよ。君のほうが遥かに強い」

77: 2012/10/18(木) 16:53:00.75 ID:1azQr5VZ0
菫「だから申し訳ないけど、私は君に頑張って欲しい」

咲「え・・・」

菫「君が頑張って照を受け止めてくれれば、きっと照は自分を出せるんだ」

菫「まったく・・身勝手な奴だよ、宮永照は」

咲「わ、私に・・・できるでしょうか・・・」

菫「できるとも。及ばずながら応援させてもらうよ」

咲「・・・・」

菫「さ、照が戻ってきた」

菫「ふぁいと、だよ」

80: 2012/10/18(木) 16:58:20.86 ID:1azQr5VZ0
照「・・・さ、咲」

咲「う、うん。お姉ちゃん」

照「」

咲「・・・」

菫(おい、照!そこで固まるなッ!)

照「!あ、え、と、そ、その、あの」

咲「う、うんっ!」

照「えっと・・・・」

咲「うん・・・」

照「」

京太郎(こ、これは・・・)

菫(こうなったら・・!)

京太郎・菫「「麻雀しよう!」」

83: 2012/10/18(木) 17:05:01.42 ID:1azQr5VZ0
照「ま、まーじゃん」

咲「・・・麻雀?」

菫「そう、せっかく4人居て、それぞれ麻雀が得意なんだ・・・多分」

京太郎「そ、そうですよ!俺だって麻雀打つくらいはできますし!」

菫「よ、よし!なら会話は麻雀の中で!牌で語り合おう!」

咲「・・・うん、私はいいよ、お姉ちゃん。もう一度、麻雀を打とう?」

咲「点数じゃなくて、お互いのこと、知るために!」ゴッ!

照「・・・・」

照「ん、私も、こっちのほうが随分とわかりやすい・・!」ゴッ!

菫「はは・・よし、私達も頑張ろうか」ゴッ!



京太郎「へっ?」

87: 2012/10/18(木) 17:14:55.49 ID:1azQr5VZ0
ジャラジャラ

透華「なんとなく状況は掴めますけれど」

優希「あの面子には無理だじぇー」

ゆみ「実力差は如何ともしがたい・・すぐに飛ばされなければいいが」



京太郎(聞こえてますって・・・)

照「ツモ」

菫「ロン」

咲「ツモ、嶺上開花」

京太郎「や、やばい・・・」

90: 2012/10/18(木) 17:21:11.88 ID:1azQr5VZ0
京太郎「頼む・・・!ここで飛んだら男の甲斐性が・・!」

照「・・・ふふっ」

菫「ん?」

照「い、いや、なんでもない」

咲「・・・?」

京太郎「ぬおおおおお!」





京太郎「ツモ!天和!」

菫「え」

照「な」

咲「は」

94: 2012/10/18(木) 17:31:39.69 ID:1azQr5VZ0
ざわ・・・ざわ・・・

京太郎「どーだっ!これが俺の実力!」

優希「なんというタコス力・・!奴はタコス王家の末裔か・・・」

佳織「はー、凄いですねー」

一「う、嘘でしょ!?初めて見た・・・」


菫「これは・・・」

菫(トップ取りは難しい・・・ならせめて)

京太郎「おーしっ!ここからだぜ!」

菫(しかし・・・このおかげで)チラ

照「・・・」ズズズ

咲「・・・」グググ

菫(二人とも、少しは心をさらけ出せるかな)

京太郎「りーちっ!」

菫「ロン、1万8000」

菫(残り1局。頑張って)

97: 2012/10/18(木) 17:48:57.96 ID:1azQr5VZ0
咲(最後の親番・・・)

咲(結局、普段通りの麻雀になっちゃったな・・)

咲(・・・もう、ゴールしてもいいよね。うん、お姉ちゃんと麻雀打てただけで満足だよ)




衣「ならば、去ね」

咲「っ! 衣、ちゃん」

衣「天意が降りるを見てみれば、垂れる金糸に目を向けない徒。衣の好きな咲じゃない」

菫「・・・そうだね、私に強制できることじゃ無いけれど、君はそれでいいのかい?」

咲「引世さん・・・」

菫「菫でいいよ・・・君には、どうか後悔しないで欲しい。その打ち方でいいのなら、いいけれど」


咲(打ち方・・・私の、後悔しない打ち方)

咲「・・・・」

咲「ツモッ! 500オール!」

100: 2012/10/18(木) 17:55:02.81 ID:1azQr5VZ0
咲(私はお姉ちゃんと仲直りしたい!)

咲(なんて言葉をかけたらいいのか、全然分からないけど・・・!)

咲「ツモ!1300オール!」

咲(私は)

咲「ツモッ!7700オールッ!」

咲(お姉ちゃんが大好きなんだ!)

咲「ツモ!1万2千オール!」

103: 2012/10/18(木) 18:05:14.98 ID:1azQr5VZ0
照「咲・・・」

京太郎「照さん、俺には牌で語るなんてことできません」

照「・・・」

京太郎「でも、さすがにここまで咲が打ち方を変えるなんて・・・それもチャンピオンの打ち筋にするなんて、ただの気まぐれとは思えません」

照「・・・」

京太郎「何か伝えたいこと。照さんなら、感じ取れてるんじゃないですか?」

照「・・・咲」

京太郎「今度は、照さんの番だと思います。もうオーラスで、次上がったら咲が俺の点数を上回りますよ」

照「・・・ずるいな、君は。男ならもっとはっきり言ってくれ」

京太郎「いやあ・・・そういうのはもっと仲良くなってからというか」

照「ふふっ・・・そうか、もう少し、仲良くなってからか」

106: 2012/10/18(木) 18:17:05.74 ID:1azQr5VZ0
照(咲、咲の思いは痛いほど伝わってくる・・・!)

照(だから私の思い、口にできなかった私の思いを受け取って欲しい・・!)

咲「リーチ!」

京太郎「・・・」トン

照「っ、カンッ!」



和「大明槓・・・?」

睦月「なんでまた・・」

純「へ、面白いじゃんか。吉と出るか凶と出るかってな」


照(上がり牌)

照(でも・・・)

照「カン!」

108: 2012/10/18(木) 18:25:56.44 ID:1azQr5VZ0
照(また・・!)

照「カンッ!」

照(もう一枚・・!もう一枚来れば!)

咲「・・・本気なの?お姉ちゃん」

照「・・・」

咲「なにしようとしてるのかは、多分皆分かってるよ。でも、それって凄く難しいことだと思う」

照「それでも・・・」

咲「う、ん」

照「咲に、届けたいから」

咲「・・・うん!」


照「カン!」

112: 2012/10/18(木) 18:33:37.47 ID:1azQr5VZ0
透華「す、四槓子!?」

まこ「無茶苦茶やのー・・・」

ゆみ「頭が痛くなってくるな」



照(奇跡は・・・)

照(起きないから奇跡って言うんじゃない!)

咲「お姉ちゃん・・・」

照「来い・・・!」ギュルルルルル!









照「・・・・・」

照「ツモッ・・・!四槓子!」

116: 2012/10/18(木) 18:49:37.03 ID:1azQr5VZ0
菫「終わってみれば、えーと、京太郎君?の一人勝ちか」

京太郎「はは・・偶然ですし、照さんが上がってなければ、咲が勝ったと思いますけどね」

菫「いや、天和なんて珍しいものを見せてもらったんだ。運も実力のうちさ」




照「・・・咲」

咲「お姉ちゃん」

照「そそ、その、あの」

咲「・・・・ありがとうおねえちゃん」ギュ

照「!あ、あっ、あっと・・・・うん」ギュ

咲「私、ずっとお姉ちゃんと仲直りしたかった・・・」

照「うん、うん・・・私も・・・」



菫(原因はしょーもなかったけど、なんとかいい形に収まったかな)

121: 2012/10/18(木) 19:12:35.17 ID:1azQr5VZ0
ガチャ
美穂子「すみません、遅れました」

久「あら・・いらっしゃい。ちょっと出遅れちゃったわねー」

美穂子「え?」

久「いやいや・・・ところで、それ何?」

美穂子「あ、はい。これは」

池田「遅れた侘びだ!受け取れぃ」

美春「来る途中で屋台があって・・」

久「ふうん、たい焼き。時期が早い気もするけど、みんなでありがたくいただきましょう」

125: 2012/10/18(木) 19:24:33.96 ID:1azQr5VZ0
久「おー、人数分あるある。さすが美穂子、気が利くわねー」

美穂子「い、いえそんなことは」

池田「むむむ・・・」



照「咲はどれがいい?つぶあん?こしあん?カスタード?このオレンジ色のジャムは・・マーマレード?」

咲「つぶあんかな・・・なんだかそのジャムは嫌な予感がするからやめた方がいいよ・・」

照「京太郎は?」

京太郎「!?っぶ!ゲホッ!な、なんですか急に!」

照「いや、仲良くなる必要があるだろう」

京太郎「ひ、必要なんですかそれ!?」

照「・・・まあ、嫌じゃあ、ないな」



菫「あーあ、今朝からの昼でこの変わり様。怖いもんだ」

咲「・・・」

菫(こっちはこっちで・・・どっちを睨んでるのかよくわからん)

133: 2012/10/18(木) 19:37:29.63 ID:1azQr5VZ0
時間は流れ、夜

菫「じゃあ今日はこれで失礼します。駅まで送ってもらって、本当にありがとう」

照「咲・・・また今度、会いに来るから」

咲「うん、私からも会いに行くね」

京太郎「結構遠いんですよね?道中でこれでもどうぞ」

菫「缶コーヒー、か。ははは、ありがたく受け取っておこうかな・・・」

優希「夜行バスに缶コーヒーを渡すとは・・・鬼畜大魔神だじぇ」

まこ「そのへんはまだまだじゃのー」

久「ま、須賀君らしい気もするけどね」

和「?」

京太郎「え、あ、ああああああ!しまった・・・」

137: 2012/10/18(木) 19:44:48.57 ID:1azQr5VZ0
『3号車もうすぐ出ますー』

菫「っと、照、早く乗らないと」

照「ああ・・・」

咲「お姉ちゃん、またね!」

照「ああ!また・・・それと京太郎」

京太郎「は、はい」

照「一つだけお願いがあるんだ」

京太郎「お願い・・・?なんですか?」

照「ん・・・」

照「その、私のこと、なんだけれど」




照「私のこと、忘れないで下さい」

147: 2012/10/18(木) 19:54:17.57 ID:1azQr5VZ0
咲「・・・いっちゃった」

京太郎「だな。なんだか慌しかったけど、みんな楽しそうだったなー」

久「そりゃ、チャンピオンだからね。一緒に卓を囲めるだけで楽しいわ」

優希「あのちみっこと咲ちゃん姉妹、名雪姉ちゃんの卓はヤバかったじぇ」

和「偶然が過ぎる卓でした・・・見てて疲れました」

まこ「まー、確かに面白かったけどな」


咲「ね、京ちゃん」

京太郎「んあー?」

咲「お姉ちゃんと私・・・ううん、なんでもない」

京太郎「へ?」

咲「さ、帰ろう!」

京太郎「あ、ああ」

154: 2012/10/18(木) 20:01:28.66 ID:1azQr5VZ0
ブロロロロ・・・

照「ごめん菫、今日は急に付き合わせて」

菫「まったく・・・今度イチゴサンデーでも奢ってよ」

照「ん」

菫「7杯ね」

照「ん・・・んん?」

菫「あとはー、牛丼?肉まん?なんでもいいかな」

照「・・・ぐう」

菫「ちょっと、寝たふりは・・・」

菫「寝付くの早いなあ・・」

菫「ま、いっか」

菫「私も寝よっと・・・・」

156: 2012/10/18(木) 20:02:44.42 ID:1azQr5VZ0
おわり
保守してくれた人ありがとね
ここまで付き合ってくれてありがとう

157: 2012/10/18(木) 20:03:19.94 ID:qcGJ1XYD0
大変だったな菫さん
タコスにも名雪姉ちゃんとか言われてるし

158: 2012/10/18(木) 20:03:37.51 ID:ztRsTjX80


引用元: 照「私に妹なんていないわ」