1: 2013/06/10(月) 22:51:09.13 ID:fkfwN88S0
リーネ「ご、ごめんね。すぐに作り直すから……」

宮藤「……はぁ。もういいよ。……外で食べてくるから」

リーネ「……で、でも私頑張って作ったの……だから」

宮藤「しつこいなぁ、いらないって言ってるでしょ」

宮藤「結婚して1年も経つんだから学習してよ」

宮藤「それじゃ。朝までには帰ってくるから」

ガチャ バタン

9: 2013/06/10(月) 23:00:00.68 ID:fkfwN88S0
深夜 3時

宮藤「たっだいまー」

リーネ「お、お帰り芳佳ちゃん。遅かったね」

宮藤「……まだ起きてたの?」

リーネ「芳佳ちゃんを待ってたの……」

リーネ「お風呂湧いてるよ!たまには背中でも」

宮藤「ごめん、私寝るから。お風呂は勝手に入って」

リーネ「そ、そう……ごめんね芳佳ちゃん」

宮藤「あーはいはい。おやすみリーネちゃん」



リーネ「芳佳ちゃんがいない……」

10: 2013/06/10(月) 23:10:01.94 ID:fkfwN88S0
リーネ「急な患者さんでも入ったのかな……」

リーネ「お弁当届けないと。待っててね芳佳ちゃん」


海軍病院

リーネ「あの、ここで勤めてる宮藤芳佳をお願いしたいんですけど……」

受付「……おかしいわね。宮藤先生は2ヶ月ほど前に退職されているのだけれど……」

受付「ご存じなかったかしら?」

リーネ「あっ、すいません。うっかり間違えたみたいです」

リーネ「失礼しますね」



リーネ「芳佳ちゃん……どこで何してるの……」

11: 2013/06/10(月) 23:22:00.43 ID:fkfwN88S0
宮藤「ただいまぁー」

リーネ「お帰り芳佳ちゃん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな」

宮藤「……何?」

リーネ「その……お仕事のことなんだけど」

リーネ「今……何してるのかなって思って……」

宮藤「!?……関係ないでしょ、リーネちゃんには」

リーネ「で、でもこのままじゃ生活費が……」

宮藤「ウィッチの時のお金があるでしょ」

リーネ「それも芳佳ちゃんが……この前全部使っちゃったって……」

宮藤「そうだったかな?ごめんね。よく覚えてないや」

リーネ「……あれ、私と芳佳ちゃんの二人の貯金だったんだよ?」

リーネ「将来二人で家を建てようって……」

宮藤「大丈夫大丈夫、何とかなるよ」

宮藤「それじゃ出かけてくるから。先に寝てていいよ」

ガチャ バタン

12: 2013/06/10(月) 23:29:32.01 ID:fkfwN88S0
2週間後 昼

リーネ「今日の夕飯はどうしようかなぁ……芳佳ちゃんの好きな食べ物を」

ドンドンドン

ドンドンドン

???「宮藤さーん、いるんでしょう?出てきてくださいよぉ」

ドンドンドン

リーネ「!?だ、誰?」

???「お金返してもらわなきゃ困りますよ」

リーネ「うぅ……お願い、早くいなくなって……」

ドンドン

???「ちっ、いないのか。出直すとするか」

リーネ「………怖かったぁ……芳佳ちゃん……」




???「しかし良いのでしょうか、こんなことをして」

???「これもあいつが望んだことだ。私にはこれぐらいしかしてやれん」

13: 2013/06/10(月) 23:36:15.17 ID:fkfwN88S0
リーネ「芳佳ちゃん、あのね……今日の昼間にその……」

宮藤「ごめん、私これからカールスラントまで行ってくるから」

リーネ「えっ?」

宮藤「1ヶ月ぐらいで帰るから。それまで留守番よろしくね」

リーネ「そ、そんな!私まだ話が」

宮藤「あっ、飛行機の時間だ。ばいばいリーネちゃん」

ガチャ バタン

リーネ「よし……かちゃん?」

リーネ「芳佳ちゃん……ぐすっ……うぅ……」

17: 2013/06/10(月) 23:46:11.93 ID:fkfwN88S0
2ヵ月後

宮藤「たっだいまー」

リーネ「お、お帰り……」

リーネ「お風呂湧いてるよ……」

宮藤「ありがと。じゃあ私入るね」

リーネ「私も一緒に」

宮藤「はい?」

リーネ「うんうん、なんでもない……なんでもないの」

宮藤「そう……」

リーネ(芳佳ちゃんの服、女の子の匂いがする……それもどこかで嗅いだような……)

リーネ(銀髪……これって……)

18: 2013/06/10(月) 23:50:45.85 ID:fkfwN88S0
宮藤「お風呂上がったよー」

リーネ「……」

宮藤「あれ、どうしたのリーネちゃん?」

リーネ「……カールスラントで何してたの」

宮藤「何って……別に大したことじゃ」

リーネ「誰かに会ってたんだよね」

宮藤「別にそんな……」

リーネ「嘘つかないで!!」

宮藤「う、嘘なんかじゃ」

リーネ「ねぇ……じゃあどうして?」

宮藤「えっ?」

リーネ「どうして……指輪をしてないの?」

宮藤「あっ!」

リーネ「どこにやったの?自分で外したの?」

宮藤「いや、あはは。旅先で落としちゃったみたい……」

20: 2013/06/10(月) 23:53:11.27 ID:fkfwN88S0
リーネ「……ごめん芳佳ちゃん。私もうついていけない」

リーネ「ブリタニアに帰るね」

宮藤「ま、待ってよ!私が悪かったなら謝るから!」

リーネ「……さよなら」

ガチャ バタン

宮藤「……ごめんね、リーネちゃん」

21: 2013/06/10(月) 23:55:34.16 ID:fkfwN88S0
1年前

リーネ「どうしたの、芳佳ちゃん?」

宮藤「こ、こんな時間に呼び出してごめんね」

リーネ「別に大丈夫だよ。後は荷物をまとめるだけだから」

宮藤「荷物かぁ……」

宮藤「ネウロイとの戦争が終わって、みんな故郷に帰るんだもんね」

リーネ「それで……私に話って?」

宮藤「……帰るんだよね?……リーネちゃんも、ブリタニアに……」

リーネ「……うん。家族が待ってるから……」

リーネ「大丈夫だよ、きっとまた会えるよ」

宮藤「あのねリーネちゃん……私と……」

リーネ「芳佳ちゃんと?」

宮藤「わ、私と一緒に扶桑に来てほしいの!」

リーネ「う、うん。しばらくしたら会いに行くから」

宮藤「ち、違うの、そうじゃなくて……そうじゃなくてね」

23: 2013/06/11(火) 00:02:15.80 ID:0v/Gb/nS0
リーネ「違うの?」

宮藤「私と一緒に、一緒に扶桑に来てほしいの」

リーネ「それって……もしかして……そういうこと?」

宮藤「う、うん。私とその……結婚してくれないかなぁって……」

リーネ「ほ、本気なの?」

宮藤「うん、本気だよ。私リーネちゃんとずっと一緒にいたいの」

宮藤「だから、お願い!」

リーネ「嬉しい、芳佳ちゃんの気持ちは嬉しいよ。でもね」

リーネ「お姉ちゃん達やお母さんはきっと反対すると思う……」

リーネ「もしかしたらもう二度と会わせてもらえないかもしれないよ……」

宮藤「大丈夫、私が守るから!リーネちゃんを!」

宮藤「どんなときもいつまでも!ずっと側にいるから!」

宮藤「だから……私と一緒に来て……リーネちゃん」

リーネ「ほ、本当に……私でいいの?」

宮藤「リーネちゃんじゃなきゃダメなの!」

27: 2013/06/11(火) 00:10:49.96 ID:0v/Gb/nS0
リーネ「じゃあ……よろしくお願いします」

宮藤「それでその、こ、これ。その……指輪。あんまり豪華じゃないけど」

リーネ「……」

宮藤「……気に入らないかな?」

リーネ「うんうん。とっても嬉しい。嬉しいよ」

リーネ「一生大事にするね」

宮藤「私も、私も一生外さない!ずっと一緒だよ!」



ブリタニア行き 船の上

リーネ「あの日……約束したのに……」

リーネ「私嫌われることしちゃったのかな……」

リーネ「私、何も分からない……」

リーネ「芳佳ちゃん……」

29: 2013/06/11(火) 00:23:21.71 ID:0v/Gb/nS0
6月10日 ブリタニア

リーネ「約束の日から明日でちょうど1年……」

リーネ「私の誕生日……芳佳ちゃんと一緒に祝うって決めてたのに……」

ジリリリリ

リーネ「はい、リネットです……み、ミーナ中佐」

リーネ「はい、いますぐ基地にって……私もう軍人じゃ」

リーネ「問題無い?……でもやっぱり」

リーネ「……芳佳ちゃんのことで話?」

リーネ「……わかりました」

リーネ「……明日、ドーバーの旧501基地ですね」

リーネ「「じゃ、じゃあ失礼します……」

31: 2013/06/11(火) 00:30:38.98 ID:0v/Gb/nS0
リーネ「どうしても今日ってミーナ中佐は言っていたけれど……明日でいいよね」

リーネ「だって明日は誕生日だもん……誰かに祝ってほしい……」

リーネ「……そうだよ、芳佳ちゃんが祝ってくれなくたって……くれなくたって辛くなんか……」

リーネ「うぅ……芳佳ちゃん……」

34: 2013/06/11(火) 00:40:06.88 ID:0v/Gb/nS0
旧501基地

リーネ「失礼します」ガチャ

ミーナ「……久しぶりね、リーネさん」

ミーナ「ちょうど1年ぶりかしら」

リーネ「お久しぶりです、ミーナ中佐」

ミーナ「リーネさん、あなたはもう軍人ではないのだから中佐はいらないわ」

リーネ「で、でも……呼び慣れてますから」

ミーナ「あらそう……まあいいわ。とりあえずそこに座ってちょうだい」

ミーナ「何から話そうかしらね」

リーネ「……」

ミーナ「そうね、ここまでの道のりはどうだった?懐かしかったんじゃないかしら?」

リーネ「……あの、芳佳ちゃんの話を……」

ミーナ「……そうよね。先延ばしにしてもしょうがないし……」

ミーナ「じゃあ話すわ。最後までしっかり聞いてちょうだい」

リーネ「はい……」

38: 2013/06/11(火) 00:50:15.03 ID:0v/Gb/nS0
ミーナ「まず最初に……誕生日おめでとう」

リーネ「えっ?……はい、ありがとうございます」

ミーナ「…………」

ミーナ「でもね……この言葉、私は言いたくなかったの」

リーネ「……ど、どういうことですか?」

ミーナ「私が言わなければいけないということは……そう」

ミーナ「落ち着いて聞いてちょうだいね、リーネさん」


ミーナ「宮藤さんは……今日、ついさっき、亡くなりました」

リーネ「…………え?」

リーネ「み、ミーナ中佐、笑えない冗談は止めてください……本当に笑えないです」

ミーナ「…………」

リーネ「……ほ、本当に?」

ミーナ「ええ……カールスラント郊外の病院で。ついさっきのことよ」

リーネ「そ、そんな……どうして!芳佳ちゃんは扶桑にいるはずじゃ!」

ミーナ「それも順を追って説明するわ……辛いだろうけど、聞いてちょうだい」

40: 2013/06/11(火) 00:59:39.30 ID:0v/Gb/nS0
ミーナ「ちょうど半年ほど前のことかしら。宮藤さんから連絡があったの」

ミーナ「お金を預かって欲しいって」

ミーナ「もちろん理由を聞いたわ。だってわけがわからないもの。でも教えてくれなかった」

ミーナ「真実を知ったのはそのしばらく後ね、美緒から連絡があったの」

ミーナ「宮藤さんが倒れたってね」

リーネ「……嘘……そんな……私にはまったくそんな……」

ミーナ「つい最近まで、宮藤さんがこっちに来てたのは知ってるわね?」

ミーナ「あれは欧州の最先端の医療で治療を行なっていたの」

ミーナ「本来は1ヵ月のはずが2ヶ月も治療したのに……結果は良くなかったわ」

ミーナ「高い医療費と引き換えに残ったのは余命の宣告」

ミーナ「それがちょうど今日なの」

42: 2013/06/11(火) 01:06:41.94 ID:0v/Gb/nS0
ミーナ「事情を知った私は501のみんなを集めたわ」

ミーナ「そしたらみんな大泣きで。トゥルーデなんかもう見ていられなくて……」

リーネ(それでサーニャちゃんの毛が服に……)

ミーナ「でもリーネさんだけは宮藤さんが呼ぶのを拒否してね」

ミーナ「その代わり、リーネさんにコレを渡すよう、頼まれたの」

ミーナ「6月10日に来たならこの通帳を」

ミーナ「そして……6月11日にきたなら……通帳と、この封筒を」

リーネ「……芳佳ちゃん……」

44: 2013/06/11(火) 01:21:51.27 ID:0v/Gb/nS0
リーネちゃんがこの手紙を読んでいるということは
リーネちゃんは私に会えなかったんだよね。
うんうん、いいの。私が会えなかったってことは
リーネちゃんには私はもう必要無いってことかもしれないからね。
でも謝りたいの。今更って思うかもしれないけれど。
ずっと冷たい態度をとっててごめんね。
でも私といたらリーネちゃんは不幸になっちゃうから。


ちょうど1年前の約束、覚えてる?
ずっと一緒にいるって言ったよね……ごめん、守れなかった
でもリーネちゃんが一生困らないようにって、がんばってお金を貯めておいたの。
こんな体じゃ病院jじゃ働けなくて……いろんな所で働いてた。
だから夜遅かったりしたけど、心配させてごめんね

謝ってばっかりだね。でも仕方ないよ。リーネちゃんに酷い事いっぱいしたもんね。
リーネちゃんは頑張ってね!私の分まで。
でもできれば私のことは忘れて、それが私の最後のお願い。
じゃあね。

リーネ「お金……これ私たちの貯金……使ってなかったんだ……」

リーネ「どうして芳佳ちゃん……私に黙って……こんなこと」

46: 2013/06/11(火) 01:26:19.44 ID:0v/Gb/nS0
リーネ「あれ、裏に何か書いてある……」

ペラッ

宮藤「誕生日おめでとう!リーネちゃん!」

ポタ ポタ

リーネ「……芳佳ちゃん……嘘でしょ……どうして直接……」

リーネ「どうして直接言ってくれなかったの!」



おしまい









ただ誕生日エピソード書きたかっただけなのに何故こうなった
リーネちゃんお誕生日おめでとう

49: 2013/06/11(火) 01:31:00.06 ID:xQ86jT480
おつ

51: 2013/06/11(火) 01:32:42.50 ID:dg8FC3WD0
寝る前に気分が沈むわ

53: 2013/06/11(火) 01:43:19.81 ID:d4jp4vTe0
乙です…(´・ω・`)

引用元: 宮藤「こんな不味いご飯を私に食べさせるの?」リーネ「うぅ……」