1: 2010/10/30(土) 21:09:11.10 ID:2gwtiHco
唯「0079!」からのシリーズ3作目
唯「グリプス戦役!」
って言うかこれでおしまいだと思う。
逆シャアとのクロス。
氏ネタとか嫌いな人はそっと閉じてください。
プロローグ、本編12話、エピローグ、あと途中に番外編が1話はいる構成です。
今回はまったり行きたいので今日のとこはプロローグだけ投下します。
始まり始まり。
唯「グリプス戦役!」
って言うかこれでおしまいだと思う。
逆シャアとのクロス。
氏ネタとか嫌いな人はそっと閉じてください。
プロローグ、本編12話、エピローグ、あと途中に番外編が1話はいる構成です。
今回はまったり行きたいので今日のとこはプロローグだけ投下します。
始まり始まり。
2: 2010/10/30(土) 21:10:10.73 ID:2gwtiHco
プロローグ 発端!
不明艦が3隻、スウィート・ウォーターへの進路をとっていた。
しかし、地球圏一キナ臭いこのコロニーからは当然出動要請が来ない。
連邦政府もあまり関心がないのかだんまりだ。
パトロール中だったロンド・ベルの巡洋艦、ラー・チャターの艦長は、敵を捉えながら動くことが出来ない事態に苛立っていた。
艦長「クソッタレ!正体不明の艦隊がスウィート・ウォーターに向かっているんだぞ!! ありゃ絶対ネオ・ジオンだと思うんだよね、私は!!」
副長「…どういたしましょう?」
艦長「…正体だけでも突き止める。下駄履きでジェガンを二個小隊出せ!偵察だ!! 出来れば所属と航行目的も確認させろ!!」
副長「…よろしいので…?」
不明艦が3隻、スウィート・ウォーターへの進路をとっていた。
しかし、地球圏一キナ臭いこのコロニーからは当然出動要請が来ない。
連邦政府もあまり関心がないのかだんまりだ。
パトロール中だったロンド・ベルの巡洋艦、ラー・チャターの艦長は、敵を捉えながら動くことが出来ない事態に苛立っていた。
艦長「クソッタレ!正体不明の艦隊がスウィート・ウォーターに向かっているんだぞ!! ありゃ絶対ネオ・ジオンだと思うんだよね、私は!!」
副長「…どういたしましょう?」
艦長「…正体だけでも突き止める。下駄履きでジェガンを二個小隊出せ!偵察だ!! 出来れば所属と航行目的も確認させろ!!」
副長「…よろしいので…?」
3: 2010/10/30(土) 21:11:27.90 ID:2gwtiHco
艦長「…やっぱり怖いなあ…独断行動は終身刑だっけっか…やめようかな…」
副長「曽我部中尉!聞いたとおりだ!!」
恵「了解です!ジェガン1・2小隊、発進します!」
直線的なシルエットを持つグリーンの機体を乗せたSFSがカタパルトに固定された。
この機体は、まだロンド・ベルやルナ2など一部のエリート部隊にしか配備されていない新型量産機RGM-89 ジェガンである。
艦長「オイ、ちょっとタンマ!! やっぱヤメる!! 撤回だ!! 連邦政府からの出動要請を待とうじゃないか!! そうだ、そうしよう!!」
うだうだ言い出した艦長の耳元に、副長が魔法の言葉を吹き込んだ。
副長「真鍋少尉に男を見せるチャンスですよ。」ボソ
艦長「よっしゃ! 出撃を許可する!!」キリッ
恵「ストーカー01 RGM-89 曽我部恵 行きます!!」
副長「射出!!」
おめでたい艦長にすべての責任を押し付け、ジェガン4機がクラップ級巡洋艦ラー・チャターから射出された。
この即応性が、ロンド・ベルのロンド・ベルたる所以である。
副長「曽我部中尉!聞いたとおりだ!!」
恵「了解です!ジェガン1・2小隊、発進します!」
直線的なシルエットを持つグリーンの機体を乗せたSFSがカタパルトに固定された。
この機体は、まだロンド・ベルやルナ2など一部のエリート部隊にしか配備されていない新型量産機RGM-89 ジェガンである。
艦長「オイ、ちょっとタンマ!! やっぱヤメる!! 撤回だ!! 連邦政府からの出動要請を待とうじゃないか!! そうだ、そうしよう!!」
うだうだ言い出した艦長の耳元に、副長が魔法の言葉を吹き込んだ。
副長「真鍋少尉に男を見せるチャンスですよ。」ボソ
艦長「よっしゃ! 出撃を許可する!!」キリッ
恵「ストーカー01 RGM-89 曽我部恵 行きます!!」
副長「射出!!」
おめでたい艦長にすべての責任を押し付け、ジェガン4機がクラップ級巡洋艦ラー・チャターから射出された。
この即応性が、ロンド・ベルのロンド・ベルたる所以である。
4: 2010/10/30(土) 21:12:43.18 ID:2gwtiHco
スウィート・ウォーターに程近い宙域に、赤いズングリとした人型兵器が浮かんでいる。
機体名はAMS-120X ギラ・ドーガサイコミュ試験型。
火力は高いが、機体バランスが悪く、機動性に難があるためネオ・ジオンによって一度は廃棄が決定された実験機である。
その胸のコックピットに座るパイロット、若王子いちごも境遇は乗機と似たようなものだった。
いちご「敵が…来る。」
その声を拾ったはるか向こうの味方機から通信が入る。
信代「強化人間、出来るのか?」
いちご「問題ない。」
通信相手の短い言葉を聞きながら、信代は顔をしかめた。
信代「ふん…失敗作がよく言うよ…私は知らないからね…」
信代はこの表情の薄い強化人間が嫌いだった。
氏んでしまえばいい、そう思っていると、機体が揺れて接触回線が開かれた。
姫子「彼女を一人にしていいの? 掩護が必要なんじゃない?」
信代「一人でやりたいってんだから、いいんじゃないの?」
姫子「私、行ってくる!」
機体名はAMS-120X ギラ・ドーガサイコミュ試験型。
火力は高いが、機体バランスが悪く、機動性に難があるためネオ・ジオンによって一度は廃棄が決定された実験機である。
その胸のコックピットに座るパイロット、若王子いちごも境遇は乗機と似たようなものだった。
いちご「敵が…来る。」
その声を拾ったはるか向こうの味方機から通信が入る。
信代「強化人間、出来るのか?」
いちご「問題ない。」
通信相手の短い言葉を聞きながら、信代は顔をしかめた。
信代「ふん…失敗作がよく言うよ…私は知らないからね…」
信代はこの表情の薄い強化人間が嫌いだった。
氏んでしまえばいい、そう思っていると、機体が揺れて接触回線が開かれた。
姫子「彼女を一人にしていいの? 掩護が必要なんじゃない?」
信代「一人でやりたいってんだから、いいんじゃないの?」
姫子「私、行ってくる!」
5: 2010/10/30(土) 21:13:38.76 ID:2gwtiHco
姫子のギラ・ドーガが艦を離れていく、それを見て信代はまた顔をしかめた。
信代「ハン、失敗作と共同戦線を張りたいなんて、もの好きもいたもんだよ…。」
信代「しっかし、丸腰の艦艇のエスコートだなんて、うちらも貧乏くじ引いたもんだよ。 失敗作の強化人間も配属されてくるし、商売上がったりだね!」
シャアが3隻の艦艇でスウィート・ウォーターを占拠したのがつい一週間ほど前。
ネオ・ジオンは戦力を整備している最中である。
ロールアウト直後の数少ないAMS-119 ギラ・ドーガとサイコミュ試験型を配備された信代達の座乗艦であるムサカ級3番艦は、
島一号タイプのベースコロニーを改造した造船施設で建造された艦艇をスウィート・ウォーターまで護衛する任務を帯びていたのだった。
信代「ハン、失敗作と共同戦線を張りたいなんて、もの好きもいたもんだよ…。」
信代「しっかし、丸腰の艦艇のエスコートだなんて、うちらも貧乏くじ引いたもんだよ。 失敗作の強化人間も配属されてくるし、商売上がったりだね!」
シャアが3隻の艦艇でスウィート・ウォーターを占拠したのがつい一週間ほど前。
ネオ・ジオンは戦力を整備している最中である。
ロールアウト直後の数少ないAMS-119 ギラ・ドーガとサイコミュ試験型を配備された信代達の座乗艦であるムサカ級3番艦は、
島一号タイプのベースコロニーを改造した造船施設で建造された艦艇をスウィート・ウォーターまで護衛する任務を帯びていたのだった。
6: 2010/10/30(土) 21:14:25.27 ID:2gwtiHco
その時いちごは、まだ見ぬ敵を正確に捉えていた。
彼女は不完全ながらも、外界を動く気配を察知出来るように頭の中を作りかえられている。
いちご「下駄履きのMSが二個小隊…」
いちご「新型…ロンド・ベルの先鋒と思われる…」
それを確認するように口に出すと、アーム・レイカー型の操縦桿から手を離し、目を閉じながら、ポツリと呟いた。
いちご「…ファンネル。」
両肩に突き出ていた6つの円筒が機体を離れる。
いちごがパチン、と指を鳴らすと、円筒の側面が開き、四つの花弁を持つ花のような形になった。
指を鳴らす、などという茶目っ気のある行動が出来るのは独りの時だけだ。
そのため、無条件で独りになれるMSのコックピットは、彼女にとって最も落ち着ける場所の一つであった。
いちご「行け!」
そう言うと、彼女の意志に従うように、6基のファンネルは直線的なジグザグ軌道を描きながらあっという間に見えなくなった。
彼女は不完全ながらも、外界を動く気配を察知出来るように頭の中を作りかえられている。
いちご「下駄履きのMSが二個小隊…」
いちご「新型…ロンド・ベルの先鋒と思われる…」
それを確認するように口に出すと、アーム・レイカー型の操縦桿から手を離し、目を閉じながら、ポツリと呟いた。
いちご「…ファンネル。」
両肩に突き出ていた6つの円筒が機体を離れる。
いちごがパチン、と指を鳴らすと、円筒の側面が開き、四つの花弁を持つ花のような形になった。
指を鳴らす、などという茶目っ気のある行動が出来るのは独りの時だけだ。
そのため、無条件で独りになれるMSのコックピットは、彼女にとって最も落ち着ける場所の一つであった。
いちご「行け!」
そう言うと、彼女の意志に従うように、6基のファンネルは直線的なジグザグ軌道を描きながらあっという間に見えなくなった。
7: 2010/10/30(土) 21:15:26.31 ID:2gwtiHco
恵「2小隊はコロニーの裏側から接近。艦隊の撮影と警戒。」
恵「我々は正面から行って所属及び航行目的の確認をする! 敵機が出てくるかも知れないわ! 気をつけて!」
そう言って、編隊長である恵が僚機に合図をだそうとしたとき、その僚機を三方向から細いビームが貫いていた。
僚機のジェガンが赤熱し、あっという間に爆散する。
恵「散開!!」
SFSであるベース・ジャバーから離脱し、三機のジェガンは素早く警戒態勢をとった。
恵「敵影は!?」
2小隊長「見当たりません!!」
恵「我々は正面から行って所属及び航行目的の確認をする! 敵機が出てくるかも知れないわ! 気をつけて!」
そう言って、編隊長である恵が僚機に合図をだそうとしたとき、その僚機を三方向から細いビームが貫いていた。
僚機のジェガンが赤熱し、あっという間に爆散する。
恵「散開!!」
SFSであるベース・ジャバーから離脱し、三機のジェガンは素早く警戒態勢をとった。
恵「敵影は!?」
2小隊長「見当たりません!!」
8: 2010/10/30(土) 21:16:01.28 ID:2gwtiHco
2小隊長「うわっ!!」
その時、2小隊の隊長機にもビームが殺到していた。
回避機動をとっているものの、手足を次々にもがれ、次第に動きがなくなっていく。
2小隊長「さ…サイコミュ兵器だ…」
それが、2小隊長の最後の言葉だった。
恵「え…援軍を!!…援軍を!!」
恵のジェガンにも、四方から次々とビームが命中し始めた。
恵「きゃあああああああああああああああ!!」
恵は、パニック状態に陥ってしまい、アーム・レイカーをめちゃくちゃに動かすことしか出来なかった。
その時、2小隊の隊長機にもビームが殺到していた。
回避機動をとっているものの、手足を次々にもがれ、次第に動きがなくなっていく。
2小隊長「さ…サイコミュ兵器だ…」
それが、2小隊長の最後の言葉だった。
恵「え…援軍を!!…援軍を!!」
恵のジェガンにも、四方から次々とビームが命中し始めた。
恵「きゃあああああああああああああああ!!」
恵は、パニック状態に陥ってしまい、アーム・レイカーをめちゃくちゃに動かすことしか出来なかった。
9: 2010/10/30(土) 21:16:45.19 ID:2gwtiHco
姫子「一人じゃ辛いだろうから、援護に来たわ。」
その言葉に、サイコミュから脳に送り込まれていた標的のイメージが一瞬、かき消される。
次の瞬間、いちごは大声で叫んでいた。
いちご「邪魔をしないで!!」
姫子「あ…ご…ごめんなさい…」
姫子のギラ・ドーガがその気迫に押されて後ずさる。
いちご「目障り。後ろで見ていて。」
姫子は、遥か遠くで数条の火線が煌き、小さな爆発光がいくつか瞬くのを見た。
姫子「これがサイコミュ兵器…? すごい…」
その言葉に、サイコミュから脳に送り込まれていた標的のイメージが一瞬、かき消される。
次の瞬間、いちごは大声で叫んでいた。
いちご「邪魔をしないで!!」
姫子「あ…ご…ごめんなさい…」
姫子のギラ・ドーガがその気迫に押されて後ずさる。
いちご「目障り。後ろで見ていて。」
姫子は、遥か遠くで数条の火線が煌き、小さな爆発光がいくつか瞬くのを見た。
姫子「これがサイコミュ兵器…? すごい…」
10: 2010/10/30(土) 21:17:15.93 ID:2gwtiHco
驚く姫子に、いちごの冷たい言葉がレシーバー越しに浴びせかけられた。
いちご「一機撃ち漏らした。あなたのせい。」
姫子「…ごめんなさい…」
気がつくと、六つの花のような形のビーム砲がどこからともなく集まって、花弁をたたんで円筒形になり、いちごの機体の肩に収納された。
いちご「帰投する。」
いちごの機体が姫子を無視して加速する。
姫子は、慌ててそれについていった。
いちご「一機撃ち漏らした。あなたのせい。」
姫子「…ごめんなさい…」
気がつくと、六つの花のような形のビーム砲がどこからともなく集まって、花弁をたたんで円筒形になり、いちごの機体の肩に収納された。
いちご「帰投する。」
いちごの機体が姫子を無視して加速する。
姫子は、慌ててそれについていった。
11: 2010/10/30(土) 21:18:07.36 ID:2gwtiHco
その時、サイド1のサクラガオカバンチ防衛隊では、パイロット4名と人事将校が言い争いをしていた。
唯「みんなで一緒に仕事できなければ、わたし軍隊辞める!!」
律「私もだ。大体な、勧誘のおっさんがみんなと一緒に仕事できるから、バンドも解散しなくて済むよ、なんいうから連邦軍の試験を受けたんだ!!」
律「こんなの詐欺だぜ!!ほら、辞表だ!!」バン
律は、人事将校の机に辞表を叩きつけた。
どうせ受け取ってもらえないシロモノである。
唯「みんなで一緒に仕事できなければ、わたし軍隊辞める!!」
律「私もだ。大体な、勧誘のおっさんがみんなと一緒に仕事できるから、バンドも解散しなくて済むよ、なんいうから連邦軍の試験を受けたんだ!!」
律「こんなの詐欺だぜ!!ほら、辞表だ!!」バン
律は、人事将校の机に辞表を叩きつけた。
どうせ受け取ってもらえないシロモノである。
12: 2010/10/30(土) 21:18:47.81 ID:2gwtiHco
紬「りっちゃんかっこいいわあ…//////」
澪(人事と喧嘩…あとが怖い…)ブルブル
人事将校「困るんだよ、そう言うのは!!転属の時期なんだから少しは異動があるものなんだよ!!」
律「うるせえ、梓じゃなくて他の奴を異動させろ!!」
人事将校「ああ…もう分かった。調整してやるからまた明日来い。」
人事将校が折れたとは到底思えない。
明日もまた同じ話をされるのだろう。
四人は挨拶もなしに部屋を出た。
澪(人事と喧嘩…あとが怖い…)ブルブル
人事将校「困るんだよ、そう言うのは!!転属の時期なんだから少しは異動があるものなんだよ!!」
律「うるせえ、梓じゃなくて他の奴を異動させろ!!」
人事将校「ああ…もう分かった。調整してやるからまた明日来い。」
人事将校が折れたとは到底思えない。
明日もまた同じ話をされるのだろう。
四人は挨拶もなしに部屋を出た。
13: 2010/10/30(土) 21:19:54.76 ID:2gwtiHco
律「全くふざけた話だぜ!!」
唯「辞めたら何やろうか?」
律「宅配業でもやるか、大型船に荷物を運び入れるモビルワーカーやプチモビのオペレーターなら腐るほど募集があるぜ。」
澪「お前ら本気なのかよ…」
紬「いっそのことみんなで宅配のお仕事始めるのはどうかしら?」
澪「ム…ムギまで!!」
紬「私、一から事業を始めるのが夢だったの~。」
唯「辞めたら何やろうか?」
律「宅配業でもやるか、大型船に荷物を運び入れるモビルワーカーやプチモビのオペレーターなら腐るほど募集があるぜ。」
澪「お前ら本気なのかよ…」
紬「いっそのことみんなで宅配のお仕事始めるのはどうかしら?」
澪「ム…ムギまで!!」
紬「私、一から事業を始めるのが夢だったの~。」
14: 2010/10/30(土) 21:20:38.61 ID:2gwtiHco
その時艦長は、これ以上ないくらい焦っていた。
艦長「おい、応答しろ!!誰でもいい!!おおおおい!!」
彼の独断による出撃で、援軍を含め、6機1個中隊のジェガンをロストしたのである。
これによって、彼の終身刑が現実味を帯びてきた。
和「艦長、私の小隊が行って、確認してきましょうか?」
艦長「真鍋少尉、君の小隊は予備だ!! 経験も浅いし、絶対だめだぞ!!」
艦長「それに艦にMSがなくなるのも困るし…」
和「MSがなくなるのが困るのでしたら、ベース・ジャバーで行きますが。」
艦長「駄目だ!!パイロットがいなきゃMSは動かん!!君は大事な体なんだ!!」
艦長「おい、応答しろ!!誰でもいい!!おおおおい!!」
彼の独断による出撃で、援軍を含め、6機1個中隊のジェガンをロストしたのである。
これによって、彼の終身刑が現実味を帯びてきた。
和「艦長、私の小隊が行って、確認してきましょうか?」
艦長「真鍋少尉、君の小隊は予備だ!! 経験も浅いし、絶対だめだぞ!!」
艦長「それに艦にMSがなくなるのも困るし…」
和「MSがなくなるのが困るのでしたら、ベース・ジャバーで行きますが。」
艦長「駄目だ!!パイロットがいなきゃMSは動かん!!君は大事な体なんだ!!」
15: 2010/10/30(土) 21:21:23.94 ID:2gwtiHco
純「あの~…私が行きましょうか?」
艦長「おう、鈴木少尉、行ってくれるか。」
和「どうして私より経験の浅い、私の小隊の鈴木少尉なら行ってもよろしいのでしょうか?」イラッ
艦長「ええっと…それはだな…//////」
純「あの…私、行きますね!(修羅場になるぞ~♪)」
副長「私は医務官の手配を…」
砲手「用はないけど戦闘ブリッジに行ってきます。」ウィーン
操舵手「交代の時間だ。代わりを呼んできます。」
通信手がヘッドホンを取り付けると、会話が可能な人間は艦長と和だけになった。
露骨に気を使っているのだが、和はそれに気づくことはない。
艦長「おう、鈴木少尉、行ってくれるか。」
和「どうして私より経験の浅い、私の小隊の鈴木少尉なら行ってもよろしいのでしょうか?」イラッ
艦長「ええっと…それはだな…//////」
純「あの…私、行きますね!(修羅場になるぞ~♪)」
副長「私は医務官の手配を…」
砲手「用はないけど戦闘ブリッジに行ってきます。」ウィーン
操舵手「交代の時間だ。代わりを呼んできます。」
通信手がヘッドホンを取り付けると、会話が可能な人間は艦長と和だけになった。
露骨に気を使っているのだが、和はそれに気づくことはない。
16: 2010/10/30(土) 21:22:05.81 ID:2gwtiHco
和「艦長、私をのけ者にしてますよね…?」
艦長「ち…違うんだ…その…//////」
和「何が違うんですか!?」
艦長「と、取りあえず鈴木少尉の報告を待て!状況がわからんと動けんからな!!君はジェガンのコックピットで待機だ!!」アセアセ
和「…了解」ムスッ
和は、ふくれっ面でブリッジを出た。
それと同時に、通信手がヘッドホンを外し、言った。
通信手「今日は告白しなくて正解でしたよ。」
艦長「やはりか…」
通信手「ええ、恐らく全滅です…」
艦長「…私は終身刑かな…?」
通信手「…そう思いますねぇ。」
人事のように、通信手が言った。
事実、人事であるからだ。
通信手は、艦長が変われば少しはこの艦もマトモになるだろうか、と思っていた。
艦長「ち…違うんだ…その…//////」
和「何が違うんですか!?」
艦長「と、取りあえず鈴木少尉の報告を待て!状況がわからんと動けんからな!!君はジェガンのコックピットで待機だ!!」アセアセ
和「…了解」ムスッ
和は、ふくれっ面でブリッジを出た。
それと同時に、通信手がヘッドホンを外し、言った。
通信手「今日は告白しなくて正解でしたよ。」
艦長「やはりか…」
通信手「ええ、恐らく全滅です…」
艦長「…私は終身刑かな…?」
通信手「…そう思いますねぇ。」
人事のように、通信手が言った。
事実、人事であるからだ。
通信手は、艦長が変われば少しはこの艦もマトモになるだろうか、と思っていた。
17: 2010/10/30(土) 21:22:59.25 ID:2gwtiHco
姫子が愛機をMSハンガーに固定したとき、いちごはすでにMSデッキを出ようとしていた。
姫子「ち…ちょっと待ってよ!」
自分でも何がしたいのかわからなかったが、姫子は慌てていちごを追ってしまう。
姫子「待ってったら!!」
いちごはうっとおしそうに姫子に振り返り、短い言葉を吐き捨てた。
いちご「何?」
姫子「ごめん、謝るから、許して。」
いちご「何が?」
姫子「邪魔したこと、怒ってるんじゃないの?」
いちご「別に。」
姫子「じゃあなんでそんなに急いでるの?」
いちご「独りにして。」
それだけ言うと、いちごは姫子を置いて部屋に入っていった。
姫子「ち…ちょっと待ってよ!」
自分でも何がしたいのかわからなかったが、姫子は慌てていちごを追ってしまう。
姫子「待ってったら!!」
いちごはうっとおしそうに姫子に振り返り、短い言葉を吐き捨てた。
いちご「何?」
姫子「ごめん、謝るから、許して。」
いちご「何が?」
姫子「邪魔したこと、怒ってるんじゃないの?」
いちご「別に。」
姫子「じゃあなんでそんなに急いでるの?」
いちご「独りにして。」
それだけ言うと、いちごは姫子を置いて部屋に入っていった。
18: 2010/10/30(土) 21:23:35.46 ID:2gwtiHco
いちご「…頭が…痛い…」
部屋に戻ると、すぐにいちごは頭を抱えてうずくまった。
彼女は、強化に失敗し、サイコミュへの適応が不完全だったのである。
いちご「大丈夫…私は…大丈夫…」
いちご「わたしは、ニュータイプだから…」
それでも彼女は、戦いに向かわせる為にそう刷り込みをされていた。
戦力が絶対的に不足しているネオ・ジオンは、失敗作の強化人間も、採用を見送られた実験機も、このように無理矢理にでも利用する必要があったのである。
部屋に戻ると、すぐにいちごは頭を抱えてうずくまった。
彼女は、強化に失敗し、サイコミュへの適応が不完全だったのである。
いちご「大丈夫…私は…大丈夫…」
いちご「わたしは、ニュータイプだから…」
それでも彼女は、戦いに向かわせる為にそう刷り込みをされていた。
戦力が絶対的に不足しているネオ・ジオンは、失敗作の強化人間も、採用を見送られた実験機も、このように無理矢理にでも利用する必要があったのである。
19: 2010/10/30(土) 21:24:15.51 ID:2gwtiHco
純は、ベース・ジャバーでジェガンをロストした宙域に到着していた。
そこは、まるでジェガンの墓場である。
純「こりゃ…ひどいや…。」
純「えっと、生存者は…」
その時、コンソールのモニターが点滅し始めた。
純「救難信号…? 向こうからだ!」
純は、救難信号の発信ポイントにベース・ジャバーを向けた。
純「艦に帰ろうとしたのかな…?」
少し飛ぶと、上半身だけになったジェガンを発見した。
腕も片方しかないようだ。
そこは、まるでジェガンの墓場である。
純「こりゃ…ひどいや…。」
純「えっと、生存者は…」
その時、コンソールのモニターが点滅し始めた。
純「救難信号…? 向こうからだ!」
純は、救難信号の発信ポイントにベース・ジャバーを向けた。
純「艦に帰ろうとしたのかな…?」
少し飛ぶと、上半身だけになったジェガンを発見した。
腕も片方しかないようだ。
20: 2010/10/30(土) 21:24:41.65 ID:2gwtiHco
推進剤も漏れており、もう動けないようである。
純「もしもし、救助に来ましたよ~。 生きてますか~?」
返事がない。
純は宇宙空間に出て、ジェガンのハッチを開いてみた。
純「曽我部…先輩…?」
恵「((((;゚Д゚))))」ガクガクブルブル
そこには、怯えきった曽我部がうずくまっていた。
言葉の発し方すら忘れたようにも見える。
艦に連れ帰っても、曽我部は口を開くことはなかった。
純「もしもし、救助に来ましたよ~。 生きてますか~?」
返事がない。
純は宇宙空間に出て、ジェガンのハッチを開いてみた。
純「曽我部…先輩…?」
恵「((((;゚Д゚))))」ガクガクブルブル
そこには、怯えきった曽我部がうずくまっていた。
言葉の発し方すら忘れたようにも見える。
艦に連れ帰っても、曽我部は口を開くことはなかった。
21: 2010/10/30(土) 21:25:08.05 ID:2gwtiHco
唯達四人が退職後について話し合っている最中、人事担当の事務所に一本の電話が入っていた。
人事将校「はい、こちら人事…」
人事将校「MSパイロットですか?…5名?」
人事将校「大丈夫です。むしろ丁度良かった。」
人事将校「ジムⅢのパイロットです。5人とも腕はいいですよ。」
人事将校「それじゃあ決定ということで…明後日にはそちらに。」
受話器を置く音が事務所に響き渡った。
人事将校「あの5人…絶対氏ぬな。」
人事将校の口元が、ニヤリと歪んだ。
人事将校「はい、こちら人事…」
人事将校「MSパイロットですか?…5名?」
人事将校「大丈夫です。むしろ丁度良かった。」
人事将校「ジムⅢのパイロットです。5人とも腕はいいですよ。」
人事将校「それじゃあ決定ということで…明後日にはそちらに。」
受話器を置く音が事務所に響き渡った。
人事将校「あの5人…絶対氏ぬな。」
人事将校の口元が、ニヤリと歪んだ。
22: 2010/10/30(土) 21:25:34.98 ID:2gwtiHco
四人は、梓の部屋に入っていった。
梓は泣きはらした目をこすりながら話しをしている。
梓「私、皆さんと離れたくないです…私だけサイド2に異動なんて…」
律「大丈夫だ、梓。いざとなったら辞めるって言って来た!」
唯「そうだよあずにゃん!私たちはみんな一緒だよ!」
梓「うえ~ん…唯先輩~」ダキッ
唯「よしよし…大丈夫だよ~」ナデナデ
紬「いいわねえ…//////」ポワポワ
澪「まあ…私達なら何とかなるだろ…安心していいぞ、梓。」
梓は泣きはらした目をこすりながら話しをしている。
梓「私、皆さんと離れたくないです…私だけサイド2に異動なんて…」
律「大丈夫だ、梓。いざとなったら辞めるって言って来た!」
唯「そうだよあずにゃん!私たちはみんな一緒だよ!」
梓「うえ~ん…唯先輩~」ダキッ
唯「よしよし…大丈夫だよ~」ナデナデ
紬「いいわねえ…//////」ポワポワ
澪「まあ…私達なら何とかなるだろ…安心していいぞ、梓。」
23: 2010/10/30(土) 21:26:42.99 ID:2gwtiHco
翌日、5人は人事部に呼び出されていた。
期待など全くと言っていいほどしていない。
人事将校「君等の配属が決定した。」
律「5人一緒なんだろうな!」
人事将校「そうだ。」
意外な言葉に、一同の顔がほころんだ。
唯「どこですか?」
人事将校「ロンド・ベルのクラップ級巡洋艦ラー・チャターだ。」
澪「ヒッ…ロンド・ベル!!」チーン
紬「まあ…」ビックリ
律「や…やってやろうじゃねえか!!」
人事将校「田井中少尉は大丈夫そうだがね、そこに一名気絶してる者が居るぞ。」
律「澪! おい澪!!」
澪「」
紬「完全に気絶しちゃってるわねえ…」
人事将校「貴様らが無理言ったんだから、気絶したところで変更は無しだぞ。 明日着任だから、今日はもう帰って準備するように。」
期待など全くと言っていいほどしていない。
人事将校「君等の配属が決定した。」
律「5人一緒なんだろうな!」
人事将校「そうだ。」
意外な言葉に、一同の顔がほころんだ。
唯「どこですか?」
人事将校「ロンド・ベルのクラップ級巡洋艦ラー・チャターだ。」
澪「ヒッ…ロンド・ベル!!」チーン
紬「まあ…」ビックリ
律「や…やってやろうじゃねえか!!」
人事将校「田井中少尉は大丈夫そうだがね、そこに一名気絶してる者が居るぞ。」
律「澪! おい澪!!」
澪「」
紬「完全に気絶しちゃってるわねえ…」
人事将校「貴様らが無理言ったんだから、気絶したところで変更は無しだぞ。 明日着任だから、今日はもう帰って準備するように。」
24: 2010/10/30(土) 21:27:25.06 ID:2gwtiHco
活動を停止した澪を紬が担いで人事部を出ると、律が絶望と共に口を開いた。
律「クソ…澪に実戦部隊はハードルが高すぎたか…。」
騒動の発端である梓は完全に暗くなっている。
梓「すみません…私が我侭言ったから…」
それを見かねた唯が、梓の肩に手を添えて、むさ苦しいドヤ顔を作りながら自信満々で言い放った。
唯「大丈夫だよあずにゃん!!」フンス
律「その自信はどっから来るんだよ…怖くないのか?」
唯「その艦、和ちゃんと憂が居るんだよ! 会えるのが楽しみだよ~!」
紬「でも即応部隊のロンド・ベルがこんなにパイロットを欲しがるってことは実戦でパイロットが消耗したってことよね…」
律「クソ…澪に実戦部隊はハードルが高すぎたか…。」
騒動の発端である梓は完全に暗くなっている。
梓「すみません…私が我侭言ったから…」
それを見かねた唯が、梓の肩に手を添えて、むさ苦しいドヤ顔を作りながら自信満々で言い放った。
唯「大丈夫だよあずにゃん!!」フンス
律「その自信はどっから来るんだよ…怖くないのか?」
唯「その艦、和ちゃんと憂が居るんだよ! 会えるのが楽しみだよ~!」
紬「でも即応部隊のロンド・ベルがこんなにパイロットを欲しがるってことは実戦でパイロットが消耗したってことよね…」
25: 2010/10/30(土) 21:30:10.03 ID:2gwtiHco
それを聞いて、唯の表情が硬くなる。
唯「…もしかして和ちゃんがケガしてたり…」
唯「早く行かなきゃ!!」
その反応に、澪を除くメンバーの表情が緩む。
律「唯は相変わらずだな…」
紬「唯ちゃんを見ていると、何とかなりそうって思うわよねえ…」
梓「そうですね!」
澪「」
5人は翌日、ロンド・ベル隊に配属された。
プロローグ 発端! おわり
明日は一話一話が短いので二本立て。
第一話 ロンド・ベル! 第二話 ネオ・ジオン!
です。
唯「…もしかして和ちゃんがケガしてたり…」
唯「早く行かなきゃ!!」
その反応に、澪を除くメンバーの表情が緩む。
律「唯は相変わらずだな…」
紬「唯ちゃんを見ていると、何とかなりそうって思うわよねえ…」
梓「そうですね!」
澪「」
5人は翌日、ロンド・ベル隊に配属された。
プロローグ 発端! おわり
明日は一話一話が短いので二本立て。
第一話 ロンド・ベル! 第二話 ネオ・ジオン!
です。
29: 2010/10/31(日) 16:57:46.64 ID:i7rEcioo
第一話 ロンド・ベル!
艦に着くと、艦長への着任報告だ。
五人は艦長室へ向かった。
律「艦長はどんな人だろうな?」
澪「なんてったって即応部隊ロンド・ベルの人間だからな、なんか怖そうだ…」ブルブル
紬「わくわくするわ~」
唯「憂の手紙ではね…」
梓「唯先輩は黙っててください。変な先入観を持っちゃいそうです!」
艦長室の前に来ると、中からヒステリックな怒鳴り声が聞こえる。
さすがの律も、入るのを躊躇しているようだ。
律「なんか入りづらそうな雰囲気だぞ…。」
30: 2010/10/31(日) 16:58:23.53 ID:i7rEcioo
そこに、純が通りかかった。
メンバーを見ると、目を丸くして驚いている。
純「あ…補充兵って梓たちだったんだ…」
梓「あ…純!」
純「着任報告なら今取り込み中だから、あとにした方がいいですよ。」
紬「取り込み中?」
純「ええ…この艦の名物みたいなものです。」
澪(怒鳴り声…取り込み中…名物…なんだろう…怖い…)ガタガタ
純「澪先輩? どうしたんですか?」
律「怯えてんだよ、何が行われているかわからないからな。」
純「傍目から見てるとなかなか面白いものですよ。」
澪「なんだ、面白いことなのか…」ホッ
メンバーを見ると、目を丸くして驚いている。
純「あ…補充兵って梓たちだったんだ…」
梓「あ…純!」
純「着任報告なら今取り込み中だから、あとにした方がいいですよ。」
紬「取り込み中?」
純「ええ…この艦の名物みたいなものです。」
澪(怒鳴り声…取り込み中…名物…なんだろう…怖い…)ガタガタ
純「澪先輩? どうしたんですか?」
律「怯えてんだよ、何が行われているかわからないからな。」
純「傍目から見てるとなかなか面白いものですよ。」
澪「なんだ、面白いことなのか…」ホッ
31: 2010/10/31(日) 16:58:56.39 ID:i7rEcioo
澪がホッと胸をなでおろした瞬間、艦長室から鬼の形相をした和が出てきた。
和「やってられないわよ!!!」バン
澪「ヒィ!!」チーン
唯「あ…和ちゃん!」
律「和!?」
紬「まあ!」
梓「和先輩?」
澪「」
和「やってられないわよ!!!」バン
澪「ヒィ!!」チーン
唯「あ…和ちゃん!」
律「和!?」
紬「まあ!」
梓「和先輩?」
澪「」
32: 2010/10/31(日) 16:59:27.95 ID:i7rEcioo
澪は、和の表情と声で気絶してしまった。
和は、大きな声を出したところを見られて少し気まずそうにしている。
和「あ…あなた達…//////」ドギマギ
純「艦長、なんて言ってました?」ニヤニヤ
和「私をのけ者にしているのは明らかなんだけど、その理由を教えてくれないのよ!!」
純「もっと優しくしてあげないと駄目ですよ。」ニタニタ
和「出来るわけ無いでしょ!!」
和はそう言ってどこかへ行ってしまった。
純「相変わらず鈍いなあ…」ハア
律「なんかよくわからないけど、着任報告いいんだよな?」
純「はい、どうぞ。」
和は、大きな声を出したところを見られて少し気まずそうにしている。
和「あ…あなた達…//////」ドギマギ
純「艦長、なんて言ってました?」ニヤニヤ
和「私をのけ者にしているのは明らかなんだけど、その理由を教えてくれないのよ!!」
純「もっと優しくしてあげないと駄目ですよ。」ニタニタ
和「出来るわけ無いでしょ!!」
和はそう言ってどこかへ行ってしまった。
純「相変わらず鈍いなあ…」ハア
律「なんかよくわからないけど、着任報告いいんだよな?」
純「はい、どうぞ。」
33: 2010/10/31(日) 17:00:30.46 ID:i7rEcioo
律「澪、行くぞ。」
澪「」
唯「気絶してるね…」
梓「ですね。」
紬「大丈夫、澪ちゃんは私が支えておくわ。行きましょ。」
艦長室に入ると、艦長が恍惚の表情でぼーっとしている。
律は、取りあえず着任報告をした。
律「宇宙軍少尉、田井中律他四名、MSパイロットとして着任いたします。」
艦長「」ポワァ
律「あの~、艦長?」
艦長「」フワフワ
律「かあんちょおう!!」
艦長「お…おう、聞いているぞ…。」
澪「」
唯「気絶してるね…」
梓「ですね。」
紬「大丈夫、澪ちゃんは私が支えておくわ。行きましょ。」
艦長室に入ると、艦長が恍惚の表情でぼーっとしている。
律は、取りあえず着任報告をした。
律「宇宙軍少尉、田井中律他四名、MSパイロットとして着任いたします。」
艦長「」ポワァ
律「あの~、艦長?」
艦長「」フワフワ
律「かあんちょおう!!」
艦長「お…おう、聞いているぞ…。」
34: 2010/10/31(日) 17:01:07.96 ID:i7rEcioo
律「じゃあ要件終わり、退出します。」
艦長「待て!!」
律「はい?」
艦長「調書を読んだんだが…君たちはサクラガオカ出身だな…?」
律「はいそうです。」
艦長「真鍋少尉の元同級だとか…//////」
律「はいそうです。」
艦長「なんでもいい、彼女のこと、教えて欲しいのだが…//////」
律「はは~ん…」ニヤリ
梓「それって…もしかして…///」ドキドキ
紬(…こんな冴えない男が和ちゃんと…女の子同士ならまだしもこれはありえないわ!)
唯「ほえ?なになに?」
澪「」
艦長「待て!!」
律「はい?」
艦長「調書を読んだんだが…君たちはサクラガオカ出身だな…?」
律「はいそうです。」
艦長「真鍋少尉の元同級だとか…//////」
律「はいそうです。」
艦長「なんでもいい、彼女のこと、教えて欲しいのだが…//////」
律「はは~ん…」ニヤリ
梓「それって…もしかして…///」ドキドキ
紬(…こんな冴えない男が和ちゃんと…女の子同士ならまだしもこれはありえないわ!)
唯「ほえ?なになに?」
澪「」
35: 2010/10/31(日) 17:01:36.19 ID:i7rEcioo
律と唯が和のことを一通り教えると、艦長は上機嫌で5人を開放した。
律はニヤニヤしているが、紬は虫の居所が悪いようである。
律「和、想われまくってんなあ!」キャハ
唯「ほえ?なにそれ?」
梓「唯先輩には関係の無い話です。」
紬「チッ…どうでもいいし(りっちゃんの彼氏疑惑の時は澪ちゃんの反応が面白かったから楽しめたけど、今回はすご~く嫌な気分だわ…)」イライラ
澪「うーん…なんか恐ろしい物を見たような…」ムク
律「おう澪、生き返ったか。着任報告は終わったぞ!」
唯「そうだ、医務室行こうよ。憂が居るんだよ。」
梓「前の作戦で怪我したって人のお見舞いにも行きましょう!」
律「そうだな、代わりが来ましたよって、安心させてやるか。」
紬「そうね(早く唯憂がみたいわ…)」イライラ
律はニヤニヤしているが、紬は虫の居所が悪いようである。
律「和、想われまくってんなあ!」キャハ
唯「ほえ?なにそれ?」
梓「唯先輩には関係の無い話です。」
紬「チッ…どうでもいいし(りっちゃんの彼氏疑惑の時は澪ちゃんの反応が面白かったから楽しめたけど、今回はすご~く嫌な気分だわ…)」イライラ
澪「うーん…なんか恐ろしい物を見たような…」ムク
律「おう澪、生き返ったか。着任報告は終わったぞ!」
唯「そうだ、医務室行こうよ。憂が居るんだよ。」
梓「前の作戦で怪我したって人のお見舞いにも行きましょう!」
律「そうだな、代わりが来ましたよって、安心させてやるか。」
紬「そうね(早く唯憂がみたいわ…)」イライラ
36: 2010/10/31(日) 17:12:03.54 ID:i7rEcioo
医務室に到着すると、看護師の憂が出迎えてくれた。
憂「お姉ちゃん!!」
唯「うーいー、元気だった?」ダキッ
紬「いいわあ…やっぱりこれがないと!」パア
律「ム…ムギ…」
澪「そういえば、前の作戦でケガをした人って…」
憂「お見舞いですか?ケガはたいした事なかったんだけど、戦闘のショックで心の病気なんです。起き上がることも出来なくて…」
憂「曽我部さん、お見舞いですよ~」
澪は、迂闊にも名前の部分を聞き逃し、ノコノコとベッドルームに近づいていった。
憂がベッドルームのカーテンを開ける。
憂「お姉ちゃん!!」
唯「うーいー、元気だった?」ダキッ
紬「いいわあ…やっぱりこれがないと!」パア
律「ム…ムギ…」
澪「そういえば、前の作戦でケガをした人って…」
憂「お見舞いですか?ケガはたいした事なかったんだけど、戦闘のショックで心の病気なんです。起き上がることも出来なくて…」
憂「曽我部さん、お見舞いですよ~」
澪は、迂闊にも名前の部分を聞き逃し、ノコノコとベッドルームに近づいていった。
憂がベッドルームのカーテンを開ける。
37: 2010/10/31(日) 17:12:49.27 ID:i7rEcioo
澪「大丈夫ですか?」
澪の声を聞いた瞬間、動けないはずの病人がもの凄い勢いで跳ね起き、歓喜の声を上げた。
恵「その声は…秋山さん!!?」ガバ
澪「ヒッ…そ…曽我部先輩…」ビクビク
憂「わあ、曽我部さん、澪さんを見たら元気になっちゃった!」
恵「夢じゃないのね…ホントに秋山さんなのね…」ウルウル
恵はしきりに自分の頬をつねって夢でないか確かめている。
澪を見るその目つきは肉食獣のようだ。
澪(この人…怖い)ブルブル
憂「澪さん、ありがとうございます。曽我部さん、どこかのコロニーに寄って入院が必要だと思ってたんです。」
澪の声を聞いた瞬間、動けないはずの病人がもの凄い勢いで跳ね起き、歓喜の声を上げた。
恵「その声は…秋山さん!!?」ガバ
澪「ヒッ…そ…曽我部先輩…」ビクビク
憂「わあ、曽我部さん、澪さんを見たら元気になっちゃった!」
恵「夢じゃないのね…ホントに秋山さんなのね…」ウルウル
恵はしきりに自分の頬をつねって夢でないか確かめている。
澪を見るその目つきは肉食獣のようだ。
澪(この人…怖い)ブルブル
憂「澪さん、ありがとうございます。曽我部さん、どこかのコロニーに寄って入院が必要だと思ってたんです。」
38: 2010/10/31(日) 17:13:31.82 ID:i7rEcioo
恵「平沢さん、私、もう元気になったわ。 秋山さんが来てくれたんですもの…へへ…」ジュルリ
恵は、よだれを垂らしながらドサクサに紛れて澪の手を握り締めている。
澪は、蛇に睨まれた蛙のようだ。
澪「」ガクガク
紬「これは思わぬ収穫だわ!!」ポワポワ
律「ムギェ…」
梓「あの人、誰ですか?」
唯「澪ちゃんのストーカーさんだった人だよ!」
梓「へえ…あの人が…。」
怯えきった澪を連れて一同が医務室を出ると、艦内放送でパイロットが呼び出された。
急いでブリーフィングルームに向かう。
恵は、よだれを垂らしながらドサクサに紛れて澪の手を握り締めている。
澪は、蛇に睨まれた蛙のようだ。
澪「」ガクガク
紬「これは思わぬ収穫だわ!!」ポワポワ
律「ムギェ…」
梓「あの人、誰ですか?」
唯「澪ちゃんのストーカーさんだった人だよ!」
梓「へえ…あの人が…。」
怯えきった澪を連れて一同が医務室を出ると、艦内放送でパイロットが呼び出された。
急いでブリーフィングルームに向かう。
39: 2010/10/31(日) 17:25:04.65 ID:i7rEcioo
5人がブリーフィングルームに到着すると、すでに和たちは着席して待っていた。
すぐに艦長が入室し、ミーティングが始まった。
艦長「ええっと、新人5名はまだ状況がつかめていないんだったな。今から当艦が置かれている状況を説明するから、よく聞いてくれ。」
艦長「一昨日のことだ、当艦の担当宙域を哨戒中に、正体不明の艦隊がスウィート・ウォーターに向かうのを発見した。」
紬「シャアが占拠したって言う急造品の難民用コロニーね。」
その時、扉が開いて恵が入室してきた。
恵「失礼します。」
艦長「あれ、曽我部中尉、もういいのか?」
恵「はい! 完調です!!」テカテカ
和(ああ、澪がお見舞いにいったのね…)
すぐに艦長が入室し、ミーティングが始まった。
艦長「ええっと、新人5名はまだ状況がつかめていないんだったな。今から当艦が置かれている状況を説明するから、よく聞いてくれ。」
艦長「一昨日のことだ、当艦の担当宙域を哨戒中に、正体不明の艦隊がスウィート・ウォーターに向かうのを発見した。」
紬「シャアが占拠したって言う急造品の難民用コロニーね。」
その時、扉が開いて恵が入室してきた。
恵「失礼します。」
艦長「あれ、曽我部中尉、もういいのか?」
恵「はい! 完調です!!」テカテカ
和(ああ、澪がお見舞いにいったのね…)
40: 2010/10/31(日) 17:25:41.60 ID:i7rEcioo
そのまま恵は当たり前のように澪の隣の席に滑り込み、顔を近づけて澪の体臭を嗅いでいた。
恵「…」クンカクンカ
澪(曽我部先輩…怖い…)ブルブル
艦長「続けるぞ、それで当艦は曽我部中尉を編隊長としてMS二個小隊を射出、偵察に向かわせたが、敵の攻撃を受けて、増援の一個小隊を含む6機のジェガンを損失した。」
艦長「曽我部中尉がかろうじて生き残ったが、他は全員戦氏だった。(私は本来、終身刑モノだったが、事態を重く見たロンド・ベル上層部が上手くもみ消してくれた)」
澪「ヒッ…全員戦氏!!」チーン
唯「あ…澪ちゃんが!」
梓「澪先輩!!」
律「澪! お~い! み~お~!!」ユッサユッサ
澪「」ユッサユッサ
紬「澪ちゃん、ミーティング中よ、起きて!!」ペチペチ
澪「」ペチペチ
恵「澪たんおさわりチャーンス!!」モミモミ
澪「」モミモミ
艦長(…こいつらホントに大丈夫か…?)
恵「…」クンカクンカ
澪(曽我部先輩…怖い…)ブルブル
艦長「続けるぞ、それで当艦は曽我部中尉を編隊長としてMS二個小隊を射出、偵察に向かわせたが、敵の攻撃を受けて、増援の一個小隊を含む6機のジェガンを損失した。」
艦長「曽我部中尉がかろうじて生き残ったが、他は全員戦氏だった。(私は本来、終身刑モノだったが、事態を重く見たロンド・ベル上層部が上手くもみ消してくれた)」
澪「ヒッ…全員戦氏!!」チーン
唯「あ…澪ちゃんが!」
梓「澪先輩!!」
律「澪! お~い! み~お~!!」ユッサユッサ
澪「」ユッサユッサ
紬「澪ちゃん、ミーティング中よ、起きて!!」ペチペチ
澪「」ペチペチ
恵「澪たんおさわりチャーンス!!」モミモミ
澪「」モミモミ
艦長(…こいつらホントに大丈夫か…?)
41: 2010/10/31(日) 17:26:23.49 ID:i7rEcioo
和「…秋山少尉には後で内容を伝えておきます。続けてください。」
艦長「・・・えっと、結論からいうとスウィート・ウォーターに入ったのはシャアの艦隊の一部だった。」
和「ネオ・ジオン艦隊ですか?」
艦長「ああ、シャアがスウィート・ウォーターを占拠したとき、たった3隻だった。 そんなんじゃ戦力なんて言えんから、やはりどこかで艦を建造しているんだろうな。」
梓「一体どこの施設で…」
和「スウィート・ウォーター建設時のベースコロニーが、スウィート・ウォーター完成後、いくつか行方不明になっている、という噂があったわ。 多分それをどこかに運んで、造船設備として流用したのね。」
艦長「そうだろうな、当のシャアはスウィート・ウォーターを占拠した後、独自政権を樹立、連邦政府にこのコロニーの独立を認めるように要求してきている。」
唯「えっと…シャアが入った時と、その時、近くに駐留していた防衛隊は何をしていたんですか?」
梓「唯先輩らしからぬ鋭い質問ですね!」
純「梓、何気に酷くない?」
艦長「・・・えっと、結論からいうとスウィート・ウォーターに入ったのはシャアの艦隊の一部だった。」
和「ネオ・ジオン艦隊ですか?」
艦長「ああ、シャアがスウィート・ウォーターを占拠したとき、たった3隻だった。 そんなんじゃ戦力なんて言えんから、やはりどこかで艦を建造しているんだろうな。」
梓「一体どこの施設で…」
和「スウィート・ウォーター建設時のベースコロニーが、スウィート・ウォーター完成後、いくつか行方不明になっている、という噂があったわ。 多分それをどこかに運んで、造船設備として流用したのね。」
艦長「そうだろうな、当のシャアはスウィート・ウォーターを占拠した後、独自政権を樹立、連邦政府にこのコロニーの独立を認めるように要求してきている。」
唯「えっと…シャアが入った時と、その時、近くに駐留していた防衛隊は何をしていたんですか?」
梓「唯先輩らしからぬ鋭い質問ですね!」
純「梓、何気に酷くない?」
42: 2010/10/31(日) 17:27:11.17 ID:i7rEcioo
和「どこの部隊も事なかれ主義者の集まりだし、シャアの艦隊と分かってしまえばコロニーの内乱を恐れて動けないのよ。 シャアはスペースノイドの英雄だもの。」
艦長「そういう事だ」
艦長「続けるぞ。奴は独立を認めない場合、地球連邦政府があるラサに対する直接攻撃の準備があると言っている。」
律「地球上にいるならまだしも、こんな宇宙からそんな事出来るわけねーじゃんか、脅しだよ!!」
和「私もそう思うけど、脅しでそんな事言うかしらね…普通、もっと現実的な文句で脅しをかけると思うんだけど…」
紬「核攻撃とか、地上のジオン残党を決起させるとかかしら…?」
和「成功の可能性は低いわね…特にラサをピンポイントで指名しているから、当然警備も万全になるし…」
艦長「とにかくその直接攻撃の方法ってのを我らロンド・ベルが全力で調査してるってわけだ。」
艦長「そういう事だ」
艦長「続けるぞ。奴は独立を認めない場合、地球連邦政府があるラサに対する直接攻撃の準備があると言っている。」
律「地球上にいるならまだしも、こんな宇宙からそんな事出来るわけねーじゃんか、脅しだよ!!」
和「私もそう思うけど、脅しでそんな事言うかしらね…普通、もっと現実的な文句で脅しをかけると思うんだけど…」
紬「核攻撃とか、地上のジオン残党を決起させるとかかしら…?」
和「成功の可能性は低いわね…特にラサをピンポイントで指名しているから、当然警備も万全になるし…」
艦長「とにかくその直接攻撃の方法ってのを我らロンド・ベルが全力で調査してるってわけだ。」
43: 2010/10/31(日) 17:28:05.21 ID:i7rEcioo
律「アムロ・レイが中心になって随分シャアの行方を探してたんじゃなかったっけ。その時見つからなかったのはどういうこったよ。」
和「連邦政府に対するスペースノイドの反発も凄まじいわ。シャアはそういう連中に匿われていたんでしょうね。」
艦長「それにロンド・ベル一隊が動いたところで、広い宇宙を探し尽くすことなんか出来んからな。」
律「結局税金の無駄だったってことかよ。」
艦長「そう言うな、みんな一生懸命なんだぞ。」
和「そういえばアムロ大尉が対ネオ・ジオンの為にニュータイプ用MSを設計し始めたんですよね?」
艦長「ああ、νガンダムな…アナハイムのフォン・ブラウン工場に頑張ってもらっているけどな…ネオ・ジオンがいつ行動に出るかも分からんから間に合うかどうか…」
和「連邦政府に対するスペースノイドの反発も凄まじいわ。シャアはそういう連中に匿われていたんでしょうね。」
艦長「それにロンド・ベル一隊が動いたところで、広い宇宙を探し尽くすことなんか出来んからな。」
律「結局税金の無駄だったってことかよ。」
艦長「そう言うな、みんな一生懸命なんだぞ。」
和「そういえばアムロ大尉が対ネオ・ジオンの為にニュータイプ用MSを設計し始めたんですよね?」
艦長「ああ、νガンダムな…アナハイムのフォン・ブラウン工場に頑張ってもらっているけどな…ネオ・ジオンがいつ行動に出るかも分からんから間に合うかどうか…」
44: 2010/10/31(日) 17:28:37.46 ID:i7rEcioo
律「なんだよその待遇はよう。 また税金の無駄かよ! そんな事すんなら私等にもいいMSを作ってくれよな。」
和「一応、私達も最新機種のジェガンを使わせてもらえるわよ。」
唯「へえ…私、ジムⅢしか乗ったことないや…」
律「でも所詮ジムの延長線じゃねえか、一昨日全滅したんだろ?」
艦長「ロンド・ベルを取り巻く状況は厳しいんだ。新型量産機のジェガンを優先的に回してもらうのが精一杯というのが実情だ。」
艦長「ゼータ系のリ・ガズィだって旗艦ラー・カイラムに試作品が1機しかないし、アムロ大尉のニュータイプ用ガンダムも予算を搾り出すのにジョン・バウアー氏がかなり苦労したらしい。」
和「一応、私達も最新機種のジェガンを使わせてもらえるわよ。」
唯「へえ…私、ジムⅢしか乗ったことないや…」
律「でも所詮ジムの延長線じゃねえか、一昨日全滅したんだろ?」
艦長「ロンド・ベルを取り巻く状況は厳しいんだ。新型量産機のジェガンを優先的に回してもらうのが精一杯というのが実情だ。」
艦長「ゼータ系のリ・ガズィだって旗艦ラー・カイラムに試作品が1機しかないし、アムロ大尉のニュータイプ用ガンダムも予算を搾り出すのにジョン・バウアー氏がかなり苦労したらしい。」
45: 2010/10/31(日) 17:29:06.88 ID:i7rEcioo
その時、今まで無言だった恵がドサクサに紛れて気絶している澪の体をいじくり回しながら口を開いた。
恵「ニュータイプといえば…私達サイコミュ兵器にやられたの…気がついたらみんな落とされてて…」クチュクチュ
澪「」ビクッ
紬「/////////」ポワポワ
恵は、今までミーティングを無視して散々澪の体を触りまくっていたのである。
紬が鼻にティッシュを詰めながら恵と澪の方を凝視している。
紬も恵も幸せそうだ。
律「そんなのどうやって対抗すんだよ!!」
和「大破したジェガンから回収した曽我部中尉の戦闘データとアナハイムから提供されたファンネルの資料から、対サイコミュ兵器戦術を模索しているわ。後であなた方も訓練に参加させてあげる。」
純「あれ、なかなかいい方法ですよね!」
艦長(和は相変わらず有能だなあ…ますます嫁に欲しくなってくる…)
恵「ニュータイプといえば…私達サイコミュ兵器にやられたの…気がついたらみんな落とされてて…」クチュクチュ
澪「」ビクッ
紬「/////////」ポワポワ
恵は、今までミーティングを無視して散々澪の体を触りまくっていたのである。
紬が鼻にティッシュを詰めながら恵と澪の方を凝視している。
紬も恵も幸せそうだ。
律「そんなのどうやって対抗すんだよ!!」
和「大破したジェガンから回収した曽我部中尉の戦闘データとアナハイムから提供されたファンネルの資料から、対サイコミュ兵器戦術を模索しているわ。後であなた方も訓練に参加させてあげる。」
純「あれ、なかなかいい方法ですよね!」
艦長(和は相変わらず有能だなあ…ますます嫁に欲しくなってくる…)
46: 2010/10/31(日) 17:31:05.32 ID:i7rEcioo
律「ちょっと待った! なんでアナハイムが敵の兵器についての資料を持ってるんだよ?」
和「大きい会社だから色々あるんじゃない? 敵の主力MSもアナハイム製だと言う噂があるわ。」
紬「そもそも規模の小さいジオン残党にMSを量産する能力なんかないから、かなり信憑性がある噂ね。」
梓「グリプス戦役時もティターンズとエゥーゴ双方の量産機をあそこが生産していましたしね。」
律「畜生! 金儲け出来ればどうでもいいってのかよ!!」
艦長「取りあえず今日のところはこのくらいだ。また何かあったら招集をかけるので、そのつもりで。」
和「大きい会社だから色々あるんじゃない? 敵の主力MSもアナハイム製だと言う噂があるわ。」
紬「そもそも規模の小さいジオン残党にMSを量産する能力なんかないから、かなり信憑性がある噂ね。」
梓「グリプス戦役時もティターンズとエゥーゴ双方の量産機をあそこが生産していましたしね。」
律「畜生! 金儲け出来ればどうでもいいってのかよ!!」
艦長「取りあえず今日のところはこのくらいだ。また何かあったら招集をかけるので、そのつもりで。」
47: 2010/10/31(日) 17:32:22.32 ID:i7rEcioo
艦長の言葉を聞いて、集まっていたメンバーが解散を始める。
しかし和は部屋を出ずに艦長を睨みつけていた。
艦長「な…何かな?(もしかして告白タイムか…?)」キュン
和「対サイコミュ兵器戦に必要な装備のリストです。調達願います。」ギロ
艦長「あ…ああ…対サイコミュ兵器戦とは恐れいったよ…一体いつ考えたんだ?」
和「私、艦長のおかげで恐ろしく暇なので考える時間はいくらでもあるんですが。」イヤミ
和は艦長を睨みつけながらありったけの皮肉を浴びせかけるが、艦長はそれを皮肉とは受け取っていない。
しかし和は部屋を出ずに艦長を睨みつけていた。
艦長「な…何かな?(もしかして告白タイムか…?)」キュン
和「対サイコミュ兵器戦に必要な装備のリストです。調達願います。」ギロ
艦長「あ…ああ…対サイコミュ兵器戦とは恐れいったよ…一体いつ考えたんだ?」
和「私、艦長のおかげで恐ろしく暇なので考える時間はいくらでもあるんですが。」イヤミ
和は艦長を睨みつけながらありったけの皮肉を浴びせかけるが、艦長はそれを皮肉とは受け取っていない。
48: 2010/10/31(日) 17:33:15.81 ID:i7rEcioo
艦長「そ、そうか。君は優秀だな…危険なパイロットはやめて、戦術班にでも転属を…」
和「お断りします。戦闘を経験もせず戦術班勤務なんて出来るわけがないと思いますが?」ムカムカ
艦長「で…でもそういう士官はいくらでも居るぞ…こう言うのは経験というよりセンスでな…」アタフタ
和「艦長と話をしても時間の無駄ですね!とにかく装備の調達だけ、お願いします!!」バン
和は装備品のリストを壁に叩き付けて敬礼もなしに部屋を出た。
艦長「ふう、やはり彼女は怒った表情が一番イイな…たまらんよ!」ハアハア
艦長「ああやって尻に敷かれることが出来る…私は幸せものだ!!」イヤッホウ
平行世界でもこの男は相変わらずであった。
第一話 ロンド・ベル! おわり
和「お断りします。戦闘を経験もせず戦術班勤務なんて出来るわけがないと思いますが?」ムカムカ
艦長「で…でもそういう士官はいくらでも居るぞ…こう言うのは経験というよりセンスでな…」アタフタ
和「艦長と話をしても時間の無駄ですね!とにかく装備の調達だけ、お願いします!!」バン
和は装備品のリストを壁に叩き付けて敬礼もなしに部屋を出た。
艦長「ふう、やはり彼女は怒った表情が一番イイな…たまらんよ!」ハアハア
艦長「ああやって尻に敷かれることが出来る…私は幸せものだ!!」イヤッホウ
平行世界でもこの男は相変わらずであった。
第一話 ロンド・ベル! おわり
49: 2010/10/31(日) 17:36:48.27 ID:i7rEcioo
第二話 ネオ・ジオン!
いちごは、うんざりしていた。
四人に囲まれて罵声をあびせかけられている。
この艦に配属になってから、毎日のようにこの儀式が行われるのだ。
信代「ジェガンを6機沈めたからって、いい気になってるみたいじゃない?」
いちご「…1機は損傷を与えたものの宙域から離脱した。だから撃墜は5機。」
潮「口答えすんなよ、この人形!!」
いちご「私は人形じゃない…」
慶子「人形じゃないなら強化人間だっけ?」
いちご「違う。」
圭子「違うくないでしょ。どう見てもあなたは強化人間だよ。」
中島信代、太田潮、飯田慶子、佐野圭子の四人はこのムサカ級3番艦に勤務するMSパイロットである。
いわば同僚なのだが、飽きもせず食事に行く前にこうしていちごに絡んでくるのだった。
いちごは、うんざりしていた。
四人に囲まれて罵声をあびせかけられている。
この艦に配属になってから、毎日のようにこの儀式が行われるのだ。
信代「ジェガンを6機沈めたからって、いい気になってるみたいじゃない?」
いちご「…1機は損傷を与えたものの宙域から離脱した。だから撃墜は5機。」
潮「口答えすんなよ、この人形!!」
いちご「私は人形じゃない…」
慶子「人形じゃないなら強化人間だっけ?」
いちご「違う。」
圭子「違うくないでしょ。どう見てもあなたは強化人間だよ。」
中島信代、太田潮、飯田慶子、佐野圭子の四人はこのムサカ級3番艦に勤務するMSパイロットである。
いわば同僚なのだが、飽きもせず食事に行く前にこうしていちごに絡んでくるのだった。
50: 2010/10/31(日) 17:37:23.46 ID:i7rEcioo
姫子「アンタたち、何やってるの!?」
その声に、嫌な儀式が中断される。
いちごは終わるのがいつもより少し早いな、とだけ思った。
信代「うるさいのが来たよ!」
潮「撤退!!」
姫子の声に、絡んでいた四人が逃げ去っていく。
姫子「若王子さん、大丈夫?」
いちご「平気。」
姫子「食事、一緒に行こうか?」
いちご「嫌だ。」
姫子「一人で食べるの、つまんないよ?」
いちご「あなたといてもつまらない。」
姫子「じゃあいてもいなくても同じでしょ? 一緒に行こ!」
いちご「…」
その声に、嫌な儀式が中断される。
いちごは終わるのがいつもより少し早いな、とだけ思った。
信代「うるさいのが来たよ!」
潮「撤退!!」
姫子の声に、絡んでいた四人が逃げ去っていく。
姫子「若王子さん、大丈夫?」
いちご「平気。」
姫子「食事、一緒に行こうか?」
いちご「嫌だ。」
姫子「一人で食べるの、つまんないよ?」
いちご「あなたといてもつまらない。」
姫子「じゃあいてもいなくても同じでしょ? 一緒に行こ!」
いちご「…」
51: 2010/10/31(日) 17:38:03.51 ID:i7rEcioo
結局いちごは姫子と一緒に食堂へ行くことになった。
味気ない宇宙食を食べながら、一つ浮かんだ疑問を姫子にぶつけてみる。
いちご「何故私に構うの?」
姫子は、すぐにはその質問に答えなかった。
姫子「やっと若王子さんから話しかけてくれたね。」
嬉しそうなその表情がいちごの癇に障った。
頭に浮かんだ言葉をそのまま姫子に吐きかける。
いちご「質問に答えて。」
姫子「ごめんごめん、ええと、ニュータイプに興味があったのかな?」
いちごは、この艦に配属されてから初めて自分をニュータイプと呼んだ人間に出会った、と思った。
しかしそれは口に出さないでおいた。
余計な事を言って、また嬉しそうな表情をされたら堪らないからだ。
姫子「それに若王子さんってなんかほっとけないし…」
いちご「…」
ほっといて欲しい、そう思ったが、なぜか口には出せなかった。
自分は無口なのだ、と、自分に言い聞かせる。
味気ない宇宙食を食べながら、一つ浮かんだ疑問を姫子にぶつけてみる。
いちご「何故私に構うの?」
姫子は、すぐにはその質問に答えなかった。
姫子「やっと若王子さんから話しかけてくれたね。」
嬉しそうなその表情がいちごの癇に障った。
頭に浮かんだ言葉をそのまま姫子に吐きかける。
いちご「質問に答えて。」
姫子「ごめんごめん、ええと、ニュータイプに興味があったのかな?」
いちごは、この艦に配属されてから初めて自分をニュータイプと呼んだ人間に出会った、と思った。
しかしそれは口に出さないでおいた。
余計な事を言って、また嬉しそうな表情をされたら堪らないからだ。
姫子「それに若王子さんってなんかほっとけないし…」
いちご「…」
ほっといて欲しい、そう思ったが、なぜか口には出せなかった。
自分は無口なのだ、と、自分に言い聞かせる。
52: 2010/10/31(日) 17:38:42.29 ID:i7rEcioo
姫子「そういえばあれ、なんだっけ…サイコミュ兵器! えっと…なんて名前だったかな?」
いちご「ファンネル。」
いちごは漏斗、という意味であるその兵器の名前の由来を知らない。
特に知っている必要もなかったのである。
姫子「そうそう、それ! どうやって操作するの?」
いちご「話せば長くなる。面倒。」
姫子「いいじゃん、教えて!」
いちご「話しているうちに食事が終わってしまう。」
姫子「じゃあ、食事のあとあなたの部屋に行く!そこで話して!」
いちご「部屋では独りになりたい。」
姫子「話が終わったら独りになれるからさ、少しだけ!」
姫子が両手を合わせて拝むように懇願した。
それを見て、いちごは少し困ったような表情を作りながらも、
いちご「…少しだけなら。」
と言ってしまった。
いちご「ファンネル。」
いちごは漏斗、という意味であるその兵器の名前の由来を知らない。
特に知っている必要もなかったのである。
姫子「そうそう、それ! どうやって操作するの?」
いちご「話せば長くなる。面倒。」
姫子「いいじゃん、教えて!」
いちご「話しているうちに食事が終わってしまう。」
姫子「じゃあ、食事のあとあなたの部屋に行く!そこで話して!」
いちご「部屋では独りになりたい。」
姫子「話が終わったら独りになれるからさ、少しだけ!」
姫子が両手を合わせて拝むように懇願した。
それを見て、いちごは少し困ったような表情を作りながらも、
いちご「…少しだけなら。」
と言ってしまった。
53: 2010/10/31(日) 17:39:18.68 ID:i7rEcioo
信代達は、つまらなそうに食堂を出た。
信代「立花さん、どうして強化人間の味方なんかするんだろうねえ。」
慶子「立花さんは腕もいいし人望もあるからやり合いたくないしね。」
信代達四人は、気に入らない、という理由を振りかざし、ストレスの貯まる艦内生活での活力の源として、いちごをいじめていたのである。
それを姫子に邪魔され、困っているのだ。
潮「でもさ、私達の言うこと聞かないからホントむかつくよね、あの強化人間。」
圭子「強化人間って昔はもっとひどかったんでしょ?」
潮「今もひどいじゃん!! 表情ないし!!」
信代「あれは失敗作だからね。 成功例のギュネイとか言うのはわりかし人間味があるみたいじゃないか。」
慶子「総帥の直属になった奴でしょ? 見たことないからなんとも言えないなあ…それよりこれからどうやってストレス発散するの?」
信代「立花さんのいないときにやればいいんじゃない?」
四人とも、いじめをヤメる気はないらしかった。
信代「立花さん、どうして強化人間の味方なんかするんだろうねえ。」
慶子「立花さんは腕もいいし人望もあるからやり合いたくないしね。」
信代達四人は、気に入らない、という理由を振りかざし、ストレスの貯まる艦内生活での活力の源として、いちごをいじめていたのである。
それを姫子に邪魔され、困っているのだ。
潮「でもさ、私達の言うこと聞かないからホントむかつくよね、あの強化人間。」
圭子「強化人間って昔はもっとひどかったんでしょ?」
潮「今もひどいじゃん!! 表情ないし!!」
信代「あれは失敗作だからね。 成功例のギュネイとか言うのはわりかし人間味があるみたいじゃないか。」
慶子「総帥の直属になった奴でしょ? 見たことないからなんとも言えないなあ…それよりこれからどうやってストレス発散するの?」
信代「立花さんのいないときにやればいいんじゃない?」
四人とも、いじめをヤメる気はないらしかった。
54: 2010/10/31(日) 17:40:09.08 ID:i7rEcioo
部屋に着くと、姫子が嬉しそうにいちごの隣に腰掛けた。
隣に人がいる、という感覚はいちごにとって不快そのものだ。
姫子「予想はしてたけど、何もない部屋だね! まああたしの部屋もなんだけど!」
いちご「…本題に入る。」
姫子「…本題?」
いちご「ファンネルの操作法。」
姫子「え~、もうちょっとおしゃべりしようよ。」
いちご「嫌。 早く出ていって。」
姫子「…わかった。 じゃあ教えて。」
隣に人がいる、という感覚はいちごにとって不快そのものだ。
姫子「予想はしてたけど、何もない部屋だね! まああたしの部屋もなんだけど!」
いちご「…本題に入る。」
姫子「…本題?」
いちご「ファンネルの操作法。」
姫子「え~、もうちょっとおしゃべりしようよ。」
いちご「嫌。 早く出ていって。」
姫子「…わかった。 じゃあ教えて。」
55: 2010/10/31(日) 17:40:43.35 ID:i7rEcioo
いちご「ロックを外してファンネル放出をイメージすると放出される。」
姫子「それで?」
いちご「敵の自機との相対座標をイメージすると、ファンネルが自動でそこまで侵入する。」
姫子「へえ、イメージね…」
いちご「敵機付近までファンネルが侵入したら、サイコミュを通して頭の中に浮かんでくるファンネルが捉えた映像を頼りに敵機に狙いを定めて、攻撃指令を出す。」
姫子「それもイメージするの?」
いちご「そう、それがサイコミュ。」
姫子「へえ、すごいじゃん!! そんな事出来るんだ!!」
いちご「…」
いちごには姫子が何故そこまで感動するのかわからなかった。
いちいち話をするたびにコロコロと変わるその表情も変だと思った。
姫子「それで?」
いちご「敵の自機との相対座標をイメージすると、ファンネルが自動でそこまで侵入する。」
姫子「へえ、イメージね…」
いちご「敵機付近までファンネルが侵入したら、サイコミュを通して頭の中に浮かんでくるファンネルが捉えた映像を頼りに敵機に狙いを定めて、攻撃指令を出す。」
姫子「それもイメージするの?」
いちご「そう、それがサイコミュ。」
姫子「へえ、すごいじゃん!! そんな事出来るんだ!!」
いちご「…」
いちごには姫子が何故そこまで感動するのかわからなかった。
いちいち話をするたびにコロコロと変わるその表情も変だと思った。
56: 2010/10/31(日) 17:41:57.43 ID:i7rEcioo
いちご「話は終わり。 出ていって。」
姫子「出ていくからさ、あなたも一緒に行こ。」
いちご「話している意味がわからない。」
姫子「今度はあたしの部屋に行こうよ。 お菓子くらいはだすからさ。」
いちご「嫌だ。 独りになりたい。」
姫子「じゃあさ、今日のところは帰るから、明日また色々教えて。 今度はあたしの部屋で。」
いちご「…少しだけなら。」
いちごはまた言ってしまった、と思った。
姫子が部屋を出ると、いちごは本当に独りになった。
ベッドに潜り込み、つぶやいてみる。
いちご「明日も、少しだけ。」
意味のない言葉が出た、と思った。
第二話 ネオ・ジオン! おわり
第二話が短すぎたのは反省していない。
今日はここまで!
姫子「出ていくからさ、あなたも一緒に行こ。」
いちご「話している意味がわからない。」
姫子「今度はあたしの部屋に行こうよ。 お菓子くらいはだすからさ。」
いちご「嫌だ。 独りになりたい。」
姫子「じゃあさ、今日のところは帰るから、明日また色々教えて。 今度はあたしの部屋で。」
いちご「…少しだけなら。」
いちごはまた言ってしまった、と思った。
姫子が部屋を出ると、いちごは本当に独りになった。
ベッドに潜り込み、つぶやいてみる。
いちご「明日も、少しだけ。」
意味のない言葉が出た、と思った。
第二話 ネオ・ジオン! おわり
第二話が短すぎたのは反省していない。
今日はここまで!
57: 2010/10/31(日) 17:43:46.58 ID:i7rEcioo
次回は、第三話 フィフス・ルナ!
映像作品、逆襲のシャアはここから始まりますね。
今までは、蛇足でした。
映像作品、逆襲のシャアはここから始まりますね。
今までは、蛇足でした。
58: 2010/11/01(月) 19:28:58.43 ID:rdY2fnMo
第三話 フィフス・ルナ!
配属から2ヶ月程たって、主だった士官がブリーフィングルームに集められた。
艦長は、真っ青だ。
艦長「ネオ・ジオンのラサ攻撃作戦の概要が判明した。」
和「どういった作戦ですか?」
艦長「静止衛星軌道上にある資源採掘衛星フィフス・ルナをラサへ落とすらしい。」
フィフス・ルナはコロニー建造用の資源を供給するために、アステロイドベルトから運ばれてきた直径数十キロほどの小さな隕石である。
軍事施設でも何でもない為、駐留している部隊など皆無だ。
普通、どこにでもありそうなちっぽけな鉱山に軍隊を駐留させる国がないのと同じ理由である。
和「ネオ・ジオン艦隊の位置は!?」
艦長「フィフス・ルナに向かっている。もう目と鼻の先くらいだ。」
律「後手後手じゃねえか!!どうすんだよ!!」
艦長「…今から急行して阻止する…。」
律「全く、ロンド・ベルが聞いて呆れるぜ!」
艦長「…敵の方が一枚上手だったということだ。(オメーも脅しだって断定してたじゃねえか、畜生!!)」
59: 2010/11/01(月) 19:29:36.37 ID:rdY2fnMo
和「急いで出撃翌用意よ!!」
澪「ひぃぃーーーっ!! 出撃!! 恐い!!」ビクビク
律「澪、大丈夫だぞ。」
紬「訓練通りやれば問題ないわよ。」
唯「澪ちゃん!ファイト!!」
梓「みんな一緒だから怖く無いですよ。」
恵「秋山さんかわいい!!//////」キュンキュン
艦長「…秋山は置いてけよ。 こんなんじゃとても実戦なんか無理だぞ。」
和「私たちはまだ満足いく練度まで達していませんので、それをカバーするために重点的に訓練したチームワークが必要です。 連れていきます。」
澪「ひぃぃーーーっ!! 出撃!! 恐い!!」ビクビク
律「澪、大丈夫だぞ。」
紬「訓練通りやれば問題ないわよ。」
唯「澪ちゃん!ファイト!!」
梓「みんな一緒だから怖く無いですよ。」
恵「秋山さんかわいい!!//////」キュンキュン
艦長「…秋山は置いてけよ。 こんなんじゃとても実戦なんか無理だぞ。」
和「私たちはまだ満足いく練度まで達していませんので、それをカバーするために重点的に訓練したチームワークが必要です。 連れていきます。」
60: 2010/11/01(月) 19:30:16.95 ID:rdY2fnMo
彼女たちは、この2ヶ月ほど、和の指示でみっちりと訓練をやらされていた。
主にチームワークの訓練である。
これにより、各人の役割が明確になっており、メンバーを外すことは出来なくなっていたのだ。
しかも和は、MS戦戦術を模索すると理由をつけて、予備機まで編隊に加え、当たり前のように稼働させていた。
そのしわ寄せはすべて艦長に押し付けられていたが、和はお構いなしである。
艦長「真鍋少尉、君は艦内で待機d」
和「私は第2編隊長です!!」
律「私が編隊長を代わってもいいぜ~」
和「律!!」
律「キャハ☆」
紬「りっちゃん、余計なことを言わないで!」ギロ
律「ご…ごめんムギ…(なんか怖い)」
すぐにメンバーがMSデッキに流れていく。
主にチームワークの訓練である。
これにより、各人の役割が明確になっており、メンバーを外すことは出来なくなっていたのだ。
しかも和は、MS戦戦術を模索すると理由をつけて、予備機まで編隊に加え、当たり前のように稼働させていた。
そのしわ寄せはすべて艦長に押し付けられていたが、和はお構いなしである。
艦長「真鍋少尉、君は艦内で待機d」
和「私は第2編隊長です!!」
律「私が編隊長を代わってもいいぜ~」
和「律!!」
律「キャハ☆」
紬「りっちゃん、余計なことを言わないで!」ギロ
律「ご…ごめんムギ…(なんか怖い)」
すぐにメンバーがMSデッキに流れていく。
61: 2010/11/01(月) 19:31:24.55 ID:rdY2fnMo
コックピットに入り込むと、律がぐちを言い始めた。
律「しっかし、重いシールドに実体弾のバズーカ背負っていくのかよ。スピードが殺されちまうな。」
和「サイコミュ兵器にやられたいなら、通常兵装で出ていいわよ。」
律「冗談だってば。」
律たちのジェガンは耐ビームコーティング処理をした大型シールドに、バズーカを追加装備していた。
胴体や頭部、肩、腿、ランドセルの装甲にも耐ビームコーティング処理が為されている。
これらの装備は和が艦長に命令して揃えさせたものである。
耐ビームコーティングなどの面倒な作業に関わる整備兵たちの悲鳴は当然のように艦長に浴びせられている。
律「しっかし、このキノコみたいな操縦桿はなかなか慣れねーな!」
和「アーム・レイカーよ。 みんな同じこと言うわね。」
律「そうだろ? 前の方がいいぞ。」
和「今はあるものでやるしかないわ。」
ジェガンのコックピットに採用されている半円球型操縦桿アーム・レイカーは被弾時の衝撃で手がすっぽ抜ける等の問題が発生し、すぐに従来のグリップ・タイプの操縦桿に差し戻されることになる。
律「しっかし、重いシールドに実体弾のバズーカ背負っていくのかよ。スピードが殺されちまうな。」
和「サイコミュ兵器にやられたいなら、通常兵装で出ていいわよ。」
律「冗談だってば。」
律たちのジェガンは耐ビームコーティング処理をした大型シールドに、バズーカを追加装備していた。
胴体や頭部、肩、腿、ランドセルの装甲にも耐ビームコーティング処理が為されている。
これらの装備は和が艦長に命令して揃えさせたものである。
耐ビームコーティングなどの面倒な作業に関わる整備兵たちの悲鳴は当然のように艦長に浴びせられている。
律「しっかし、このキノコみたいな操縦桿はなかなか慣れねーな!」
和「アーム・レイカーよ。 みんな同じこと言うわね。」
律「そうだろ? 前の方がいいぞ。」
和「今はあるものでやるしかないわ。」
ジェガンのコックピットに採用されている半円球型操縦桿アーム・レイカーは被弾時の衝撃で手がすっぽ抜ける等の問題が発生し、すぐに従来のグリップ・タイプの操縦桿に差し戻されることになる。
62: 2010/11/01(月) 19:32:17.93 ID:rdY2fnMo
恵「じゃあ、第1編隊、出るわよ。」
律「了解!!」
澪「了解…(曽我部さんと一緒…怖い…)」
和「第2編隊も準備はいいかしら?」
紬純「準備よし!!」
梓「私たちは艦直掩ですね。」
唯「そうだね。」
予備機も合わせた8機のジェガンがクラップ級より順次発艦した。
行先には、フィフス・ルナの影が地球を目指して前進している。
律「了解!!」
澪「了解…(曽我部さんと一緒…怖い…)」
和「第2編隊も準備はいいかしら?」
紬純「準備よし!!」
梓「私たちは艦直掩ですね。」
唯「そうだね。」
予備機も合わせた8機のジェガンがクラップ級より順次発艦した。
行先には、フィフス・ルナの影が地球を目指して前進している。
63: 2010/11/01(月) 19:33:30.94 ID:rdY2fnMo
長砲身の重火器を装備した信代のギラ・ドーガを編隊の要として、ムサカ級3番艦と二個小隊がフィフス・ルナへのアクセスルートを塞いでいる。
敵の接近を本隊に知らせるとともに、これを遅滞させる時間稼ぎの警戒監視部隊である。
信代「露払いはさ、強化人間に任せればいいんだけどね。」
潮「失敗作だからいつ壊れるか分かんないって言うんでしょ。」
信代「分かってるじゃない。私達だけでやるつもりで行くよ!!」
潮慶子圭子「了解!!」
そのもう少し前方には、いちごと姫子の機体が漂っている。
姫子「ファンネルを放出したら、みんなと合流だよ! いい!?」
姫子の言葉に、いちごがむっとした声で反応する。
いちご「言われなくても分かっている。」
そう言ったすぐ後、いちごは迫り来る敵をサイコミュで捉えた。
すぐさま迎撃に入る。
いちご「来る! ファンネル!」
姫子「…!!」
姫子のギラ・ドーガはまだ敵を捉えていない。
姫子に、いなくてもいい、とでも言うように花弁を開いた6つのファンネルがまだ何も見えない宇宙に飲み込まれていった。
敵の接近を本隊に知らせるとともに、これを遅滞させる時間稼ぎの警戒監視部隊である。
信代「露払いはさ、強化人間に任せればいいんだけどね。」
潮「失敗作だからいつ壊れるか分かんないって言うんでしょ。」
信代「分かってるじゃない。私達だけでやるつもりで行くよ!!」
潮慶子圭子「了解!!」
そのもう少し前方には、いちごと姫子の機体が漂っている。
姫子「ファンネルを放出したら、みんなと合流だよ! いい!?」
姫子の言葉に、いちごがむっとした声で反応する。
いちご「言われなくても分かっている。」
そう言ったすぐ後、いちごは迫り来る敵をサイコミュで捉えた。
すぐさま迎撃に入る。
いちご「来る! ファンネル!」
姫子「…!!」
姫子のギラ・ドーガはまだ敵を捉えていない。
姫子に、いなくてもいい、とでも言うように花弁を開いた6つのファンネルがまだ何も見えない宇宙に飲み込まれていった。
64: 2010/11/01(月) 19:34:48.93 ID:rdY2fnMo
最初に攻撃を受けたのは先頭を行く恵の機体である。
機体全体を覆うほどの大型シールドに、二発のビームが命中した。
右の腿にも衝撃が走ったが、耐ビームコーティングが施されている装甲はファンネルのビームを受け付けていない。
小型、軽量を優先させた結果、ファンネルのビームはかなり出力が低いものだったのである。
恵は、ダミーをいくつか放出しながら律と澪に指示を出した。
恵「ファンネル対処!!」
律澪「了解!!」
機体全体を覆うほどの大型シールドに、二発のビームが命中した。
右の腿にも衝撃が走ったが、耐ビームコーティングが施されている装甲はファンネルのビームを受け付けていない。
小型、軽量を優先させた結果、ファンネルのビームはかなり出力が低いものだったのである。
恵は、ダミーをいくつか放出しながら律と澪に指示を出した。
恵「ファンネル対処!!」
律澪「了解!!」
65: 2010/11/01(月) 19:35:26.67 ID:rdY2fnMo
ビームの方向から当たりをつけて、律と澪のジェガンはバズーカを発射した。
と、言ってもモニターにファンネルは捕えきれないのでめくら撃ちもいいところである。
しかし数百メートル飛ぶと、バズーカの弾体がはじけて、5発に1発の割合で含まれる曳光弾が打ち上げ花火のような放射状の軌跡を描いた。
散弾である。
その弾子は恵のジェガンにも遠慮会釈なく降りかかったが、事前に合図をされている恵は大型シールドでこれを防いでいる。
律「やったか!?」
澪「気を抜くな!!撃ちまくるぞ!!」
二機のジェガンは周囲に散弾を撃ちまくった。
その光景はまるで夏の夜空を彩る花火大会さながらである。
と、言ってもモニターにファンネルは捕えきれないのでめくら撃ちもいいところである。
しかし数百メートル飛ぶと、バズーカの弾体がはじけて、5発に1発の割合で含まれる曳光弾が打ち上げ花火のような放射状の軌跡を描いた。
散弾である。
その弾子は恵のジェガンにも遠慮会釈なく降りかかったが、事前に合図をされている恵は大型シールドでこれを防いでいる。
律「やったか!?」
澪「気を抜くな!!撃ちまくるぞ!!」
二機のジェガンは周囲に散弾を撃ちまくった。
その光景はまるで夏の夜空を彩る花火大会さながらである。
66: 2010/11/01(月) 19:36:03.04 ID:rdY2fnMo
ファンネルの攻撃は、徐々に単調なものになっていた。
恵「明らかに攻撃が弱まっているわ!!成功よ!!」
律「よっしゃ!!」
澪「続けるぞ!!」
散弾をばらまき続けると、とうとう、攻撃が止んだ。
恵「攻撃が止んだ! 警戒しつつそのまま前進するわ!!」
律澪「了解ぃ!!」
確認すると、和の編隊の方角にも散弾の花が次々に咲いている。
向こうも上手く行っているようである。
恵「防御を固めて、散弾を撃つだけでこうも簡単にサイコミュ兵器を防げるなんて…」
恵は、作戦を立案した和の有能さに改めて舌を巻いた。
恵「明らかに攻撃が弱まっているわ!!成功よ!!」
律「よっしゃ!!」
澪「続けるぞ!!」
散弾をばらまき続けると、とうとう、攻撃が止んだ。
恵「攻撃が止んだ! 警戒しつつそのまま前進するわ!!」
律澪「了解ぃ!!」
確認すると、和の編隊の方角にも散弾の花が次々に咲いている。
向こうも上手く行っているようである。
恵「防御を固めて、散弾を撃つだけでこうも簡単にサイコミュ兵器を防げるなんて…」
恵は、作戦を立案した和の有能さに改めて舌を巻いた。
67: 2010/11/01(月) 19:37:15.83 ID:rdY2fnMo
重い拳で頭を殴られたような衝撃と共に、サイコミュを通して脳に直接送られてくるファンネルからの映像が次々に途絶えていく。
いちご「ファンネルが…落とされていく…」
姫子「え?」
いちご「戻れ!」
姫子「どうしたの?」
いちご「防げなかった…敵が来る!!」
いちごがそう言い終わると、ファンネルが1基だけ戻ってきていちごの機体の肩にはまり込んだ。
姫子はそれを見てすぐに事態を理解した。
姫子「敵接近!! 戦闘用意!!」
そう、味方に警告すると、すぐさま姫子はいちごとの通信を開いていた。
姫子「敵にもニュータイプが居るってこと?」
いちご「そういうプレッシャーは感じない。」
いちご「普通の人間にファンネルを落とされた…情けない。」
いちご「ファンネルが…落とされていく…」
姫子「え?」
いちご「戻れ!」
姫子「どうしたの?」
いちご「防げなかった…敵が来る!!」
いちごがそう言い終わると、ファンネルが1基だけ戻ってきていちごの機体の肩にはまり込んだ。
姫子はそれを見てすぐに事態を理解した。
姫子「敵接近!! 戦闘用意!!」
そう、味方に警告すると、すぐさま姫子はいちごとの通信を開いていた。
姫子「敵にもニュータイプが居るってこと?」
いちご「そういうプレッシャーは感じない。」
いちご「普通の人間にファンネルを落とされた…情けない。」
68: 2010/11/01(月) 19:37:50.00 ID:rdY2fnMo
弱気ないちごのセリフに驚いた姫子は、すぐに激励の言葉を脳内に並べ始めていた。
それらが驚くほど流暢に口をついて出てくる。
姫子「大丈夫! まだファンネルも1基ある!! 私もついてるわ!! 頑張ろう!!」
いちご「でも…」
姫子「あなたは絶対負けないわ!! ニュータイプなんでしょ!?」
いちご「わかった。 残りの1基、上手く使う。」
姫子「ファンネルがなくったって、あなたなら出来るはずよ!!自信持って!!」
失敗作といえど、戦闘のプロとして強化されたいちごは、ブレないように精神を上手くコントロールしてやれば無類の強さを発揮する。
図らずして、姫子の激励が彼女の精神安定剤となっていた。
それらが驚くほど流暢に口をついて出てくる。
姫子「大丈夫! まだファンネルも1基ある!! 私もついてるわ!! 頑張ろう!!」
いちご「でも…」
姫子「あなたは絶対負けないわ!! ニュータイプなんでしょ!?」
いちご「わかった。 残りの1基、上手く使う。」
姫子「ファンネルがなくったって、あなたなら出来るはずよ!!自信持って!!」
失敗作といえど、戦闘のプロとして強化されたいちごは、ブレないように精神を上手くコントロールしてやれば無類の強さを発揮する。
図らずして、姫子の激励が彼女の精神安定剤となっていた。
69: 2010/11/01(月) 19:38:25.95 ID:rdY2fnMo
信代は、姫子の言葉を聞いて、すぐさま僚機に通信を送っていた。
信代「強化人間が聞いて呆れるね! もう終わりだってさ!!」
潮「今回は撃墜ゼロですかぁ?」
信代「時間を見なよ! 聞かなくても分かるだろう?」
レシーバーからの音声が、嘲笑で飽和した。
信代「せっかくおハチが回ってきたんだ!アタシらだけでやるよ!!」
潮圭子慶子「了解!!」
四機のギラ・ドーガが防御の陣形を組むと、姫子といちごの機体もそれに合流しようとした。
しかし四機は、それを拒むように陣形を固める。
信代「負け犬は、艦の直掩でもやってな!!」
信代がそう言った数十秒後に、他の艦から直掩として差し出された2機を含むギラ・ドーガ6機と、ロンド・ベル先鋒のジェガン6機がぶつかり合った。
信代「強化人間が聞いて呆れるね! もう終わりだってさ!!」
潮「今回は撃墜ゼロですかぁ?」
信代「時間を見なよ! 聞かなくても分かるだろう?」
レシーバーからの音声が、嘲笑で飽和した。
信代「せっかくおハチが回ってきたんだ!アタシらだけでやるよ!!」
潮圭子慶子「了解!!」
四機のギラ・ドーガが防御の陣形を組むと、姫子といちごの機体もそれに合流しようとした。
しかし四機は、それを拒むように陣形を固める。
信代「負け犬は、艦の直掩でもやってな!!」
信代がそう言った数十秒後に、他の艦から直掩として差し出された2機を含むギラ・ドーガ6機と、ロンド・ベル先鋒のジェガン6機がぶつかり合った。
70: 2010/11/01(月) 19:39:56.68 ID:rdY2fnMo
相手はMS1個中隊。
母艦は単艦である。
和は、とっさに状況を判断した。
和「艦長、こいつらは時間稼ぎです! 本隊をフィフス・ルナへ向かわせて下さい!!」
艦長「こっちの心配はしなくていい! もう本隊はそのように動いているぞ!!」
和「そこらへんは、さすが即応部隊って言うところね…」
MS同士のドッグファイトが始まる。
ファンネル対処用の重装備では機動力が落ちて不利である。
和が迷わず爆発ボルトを起爆させて重い大型シールドをパージすると、その下から通常兵装のシールドが現れた。
これで見かけはバズーカをバックパックに装着している以外、普通のジェガンと変わらない。
和は、そのまま敵に突っ込んでいく。
母艦は単艦である。
和は、とっさに状況を判断した。
和「艦長、こいつらは時間稼ぎです! 本隊をフィフス・ルナへ向かわせて下さい!!」
艦長「こっちの心配はしなくていい! もう本隊はそのように動いているぞ!!」
和「そこらへんは、さすが即応部隊って言うところね…」
MS同士のドッグファイトが始まる。
ファンネル対処用の重装備では機動力が落ちて不利である。
和が迷わず爆発ボルトを起爆させて重い大型シールドをパージすると、その下から通常兵装のシールドが現れた。
これで見かけはバズーカをバックパックに装着している以外、普通のジェガンと変わらない。
和は、そのまま敵に突っ込んでいく。
71: 2010/11/01(月) 19:40:38.42 ID:rdY2fnMo
和「ムギ、鈴木さん、掩護をお願いね!!」
紬「和ちゃん!!減速!!」
和がその声を聞いてとっさに減速すると、一瞬にして、目の前に放射状に広がるいくつもの光の線が現れた。
紬が散弾を撃ったのだ。
それに怯んだ敵機を、迷わず和のビームが貫いていた。
和「行けるわ!!」
和は、初めての実戦で自分が作り上げたチームの手応えを掴んでいた。
紬「和ちゃん!!減速!!」
和がその声を聞いてとっさに減速すると、一瞬にして、目の前に放射状に広がるいくつもの光の線が現れた。
紬が散弾を撃ったのだ。
それに怯んだ敵機を、迷わず和のビームが貫いていた。
和「行けるわ!!」
和は、初めての実戦で自分が作り上げたチームの手応えを掴んでいた。
72: 2010/11/01(月) 19:41:12.78 ID:rdY2fnMo
分が悪い。
そう思って信代は舌打ちをした。
信代「敵本隊が我々を迂回してフィフス・ルナへ向かっている!! あたしらがここに留まる理由はない!! 一旦艦まで引くよ!!」
潮慶子圭子「了解!!」
信代「奴らに、もう一度強化人間をぶつける!! 艦の掩護が受けられるようになったら、私は対艦戦をやるから、飯田さんが編隊長をお願い!!」
信代がそう言うやいなや、よく訓練された彼女の同僚たちは統制された動きで引いていく。
信代は殿軍となり、主兵装であるランゲ・ブルーノ砲で広範囲制圧用の榴弾を撃ちまくってジェガンを怯ませ、ダミーをばらまきながら後退した。
そう思って信代は舌打ちをした。
信代「敵本隊が我々を迂回してフィフス・ルナへ向かっている!! あたしらがここに留まる理由はない!! 一旦艦まで引くよ!!」
潮慶子圭子「了解!!」
信代「奴らに、もう一度強化人間をぶつける!! 艦の掩護が受けられるようになったら、私は対艦戦をやるから、飯田さんが編隊長をお願い!!」
信代がそう言うやいなや、よく訓練された彼女の同僚たちは統制された動きで引いていく。
信代は殿軍となり、主兵装であるランゲ・ブルーノ砲で広範囲制圧用の榴弾を撃ちまくってジェガンを怯ませ、ダミーをばらまきながら後退した。
73: 2010/11/01(月) 19:42:03.56 ID:rdY2fnMo
艦の直掩に当たっていた姫子は、信代たちの後退を聞きつけ、いちごと通信を開いた。
姫子「味方がこちらに合流してくるわ。 2番艦から来てくれてたMSが1機落とされたみたい。」
いちご「いちいち言われなくても分かっている。」
姫子「敵、そんなに強いの?」
いちご「個々の技術はそうでもない。 しかしチームワークがいい。 作戦も奇抜。」
姫子「手強いのね!」
いちご「あなた達は知らないけど、私は負けない。」
二手にわかれた敵の一方が姫子達の艦に向かってくる。
後退中の信代たちに合流し、姫子達は敵機の真ん中に突っ込んでいった。
姫子「味方がこちらに合流してくるわ。 2番艦から来てくれてたMSが1機落とされたみたい。」
いちご「いちいち言われなくても分かっている。」
姫子「敵、そんなに強いの?」
いちご「個々の技術はそうでもない。 しかしチームワークがいい。 作戦も奇抜。」
姫子「手強いのね!」
いちご「あなた達は知らないけど、私は負けない。」
二手にわかれた敵の一方が姫子達の艦に向かってくる。
後退中の信代たちに合流し、姫子達は敵機の真ん中に突っ込んでいった。
74: 2010/11/01(月) 19:43:29.30 ID:rdY2fnMo
恵は、目標があくまでフィフス・ルナであることを承知していた。
和の編隊をフィフス・ルナへ向かわせて、自分たちの編隊に艦と直掩を合流させて、目の前のムサカ級とそのMS部隊に当たる。
恵「間に合ってくれればいいんだけど…」
和たちを気遣うことができたのはそこまでだった。
態勢を立て直した敵とぶつかる。
恵「つぅっ…」
恵のジェガンのシールドが吹き飛んだ。
長砲身の重火器を持った敵だった。
そのまま格闘戦になり、2、3回馳せ違った後にバルカンで牽制する。
距離を取ると、敵は思い切りよく恵のジェガンから離れ、飛んでいった。
その先には母艦がレーザーやメガ粒子砲を撃ちまくっているのが目に入った。
艦をやらせるわけには、行かない。
和の編隊をフィフス・ルナへ向かわせて、自分たちの編隊に艦と直掩を合流させて、目の前のムサカ級とそのMS部隊に当たる。
恵「間に合ってくれればいいんだけど…」
和たちを気遣うことができたのはそこまでだった。
態勢を立て直した敵とぶつかる。
恵「つぅっ…」
恵のジェガンのシールドが吹き飛んだ。
長砲身の重火器を持った敵だった。
そのまま格闘戦になり、2、3回馳せ違った後にバルカンで牽制する。
距離を取ると、敵は思い切りよく恵のジェガンから離れ、飛んでいった。
その先には母艦がレーザーやメガ粒子砲を撃ちまくっているのが目に入った。
艦をやらせるわけには、行かない。
75: 2010/11/01(月) 19:44:16.72 ID:rdY2fnMo
恵「直掩は、重装型のギラ・ドーガに集中攻撃!!」
とっさにそう叫ぶと、目の前に別のギラ・ドーガが切りかかってくる。
左腕を斬られたが、刺し違えるように何とかコックピットを貫いた。
もう一度、周りを確認する。
それは編隊長の義務だ。
澪のジェガンが動きのいいギラ・ドーガに追い掛け回されているのが目に入った。
恵「秋山さん!!今助けに行くわ!!」
今なら澪を狙っている敵機を後ろから攻撃出来る。
恵は迷わずサーベルを構えて突進していた。
とっさにそう叫ぶと、目の前に別のギラ・ドーガが切りかかってくる。
左腕を斬られたが、刺し違えるように何とかコックピットを貫いた。
もう一度、周りを確認する。
それは編隊長の義務だ。
澪のジェガンが動きのいいギラ・ドーガに追い掛け回されているのが目に入った。
恵「秋山さん!!今助けに行くわ!!」
今なら澪を狙っている敵機を後ろから攻撃出来る。
恵は迷わずサーベルを構えて突進していた。
76: 2010/11/01(月) 19:44:52.71 ID:rdY2fnMo
いちごは、強烈な頭痛に耐えながら一番動きのいいジェガンと格闘戦をやっている。
その時、姫子の機体に向かう殺気を感じ取った。
反射的に温存していた最後のファンネルを放出し、姫子の背後から近付くジェガンのコックピットハッチ正面に滑りこませた。
いちご「させない…!」
いちごの強烈な意志がファンネルのトリガーを引くと、ファンネルが出しうる最大出力のビームが発射された。
その時、姫子の機体に向かう殺気を感じ取った。
反射的に温存していた最後のファンネルを放出し、姫子の背後から近付くジェガンのコックピットハッチ正面に滑りこませた。
いちご「させない…!」
いちごの強烈な意志がファンネルのトリガーを引くと、ファンネルが出しうる最大出力のビームが発射された。
77: 2010/11/01(月) 19:45:43.53 ID:rdY2fnMo
ギラ・ドーガはまだ背中を向けている。
行ける、と思った瞬間、目の前のモニターに見たこともない何かが映り込んだ。
それが光を発した瞬間、恵はその物体がサイコミュ兵器であることに気づいたが、
コックピットハッチにゼロ距離から撃ち込まれたビームは耐ビームコーティングが施された装甲板を赤熱させ、ついには打ち破ってコックピット内を焼きながら突き抜けていった。
恵「秋山さn」
恵の体がなくなって数秒後、その乗機も自らが生み出した爆発光に飲まれていった。
行ける、と思った瞬間、目の前のモニターに見たこともない何かが映り込んだ。
それが光を発した瞬間、恵はその物体がサイコミュ兵器であることに気づいたが、
コックピットハッチにゼロ距離から撃ち込まれたビームは耐ビームコーティングが施された装甲板を赤熱させ、ついには打ち破ってコックピット内を焼きながら突き抜けていった。
恵「秋山さn」
恵の体がなくなって数秒後、その乗機も自らが生み出した爆発光に飲まれていった。
78: 2010/11/01(月) 19:47:08.42 ID:rdY2fnMo
確かにレシーバーから恵の声が聞こえた。
助けてくれる。そう思って恵を探すと、敵の後方に起こった爆発の光が目に入った。
澪にはそれが、なぜか恵だと分かってしまった。
澪「曽我部先輩!!」
律にすがろうと思ってその機体を探したが、赤くペイントされた特別機らしいものと交戦中らしかった。
澪「律、大丈夫か!?」
律は、苦戦しているようだった。
というか、何とかシールドと機体に施された耐ビームコーティングで耐えている感じだ。
もう怖がってばかりはいられない。
澪「怖くない…怖くない…」
澪は恐怖を振り払いながら、律の掩護に向かった。
しかし恐怖心は心の底でブレーキをかけ続けていた。
澪は、今更ながら自分がパイロットに向いていない事を情けなく思った。
助けてくれる。そう思って恵を探すと、敵の後方に起こった爆発の光が目に入った。
澪にはそれが、なぜか恵だと分かってしまった。
澪「曽我部先輩!!」
律にすがろうと思ってその機体を探したが、赤くペイントされた特別機らしいものと交戦中らしかった。
澪「律、大丈夫か!?」
律は、苦戦しているようだった。
というか、何とかシールドと機体に施された耐ビームコーティングで耐えている感じだ。
もう怖がってばかりはいられない。
澪「怖くない…怖くない…」
澪は恐怖を振り払いながら、律の掩護に向かった。
しかし恐怖心は心の底でブレーキをかけ続けていた。
澪は、今更ながら自分がパイロットに向いていない事を情けなく思った。
79: 2010/11/01(月) 19:48:07.40 ID:rdY2fnMo
敵のジェガンを追い詰めていた姫子は、後ろからの爆風に煽られて機体が前につんのめり、
自らもエアバッグに顔を突っ込んで、状況が分からずに軽いパニックに陥った。
姫子「え…後ろ!? 何があったの?」
レシーバーを通して、いちごの冷たい声が耳に刺さった。
いちご「あなたは落とされるところだった。」
周りを確認すると、いちごの機体は2機のジェガンを相手に何とか互角の戦いをしていた。
そのうちの一機は、さっきまで姫子が追い詰めていた敵だ。
いちごはファンネルを使っていない。なぜ、と思う前に口が開いていた。
姫子「若王子さん! ファンネルは!?」
自らもエアバッグに顔を突っ込んで、状況が分からずに軽いパニックに陥った。
姫子「え…後ろ!? 何があったの?」
レシーバーを通して、いちごの冷たい声が耳に刺さった。
いちご「あなたは落とされるところだった。」
周りを確認すると、いちごの機体は2機のジェガンを相手に何とか互角の戦いをしていた。
そのうちの一機は、さっきまで姫子が追い詰めていた敵だ。
いちごはファンネルを使っていない。なぜ、と思う前に口が開いていた。
姫子「若王子さん! ファンネルは!?」
80: 2010/11/01(月) 19:50:29.60 ID:rdY2fnMo
いちご「さっきあなたを掩護した時、敵機の爆発に巻き込まれて損失した。」
姫子「じゃあ今度は私が掩護する!! 私がファンネルの代わりをやるから!!」
いちごは足手纏い、と言おうと思ったが、口が開かなかった。
交戦中に無駄話をしている余裕はない、と自分に言い聞かせた。
そんな事より、さっきから頭が痛くてたまらない。
いちご「こんな敵…」
1機のジェガンは確かに一番動きがいいが、それは腕がいいのではなく単に性格から来る操縦の癖でしかない。
コンディションが万全なら一刀のもとに斬り伏せることが出来るだろう程度の腕だ。
また、ライフルが命中した。
しかし、ライフルのビームは装甲で弾かれ、本来の威力を発揮していない。
いちご「うう…装甲がこんなに持つのか…?」
いちごは、頭痛で判断力が鈍り、耐ビームコーティングの存在を失念していた。
いちご「うっとおしい…」
もう1機は臆病な性格が操縦に出ている。
ヒットアンドアウェイでもなくつかず離れずで不正確な射撃をするだけの素人だった。
動きの良い方の機体に姫子が向かってくれた。
姫子「じゃあ今度は私が掩護する!! 私がファンネルの代わりをやるから!!」
いちごは足手纏い、と言おうと思ったが、口が開かなかった。
交戦中に無駄話をしている余裕はない、と自分に言い聞かせた。
そんな事より、さっきから頭が痛くてたまらない。
いちご「こんな敵…」
1機のジェガンは確かに一番動きがいいが、それは腕がいいのではなく単に性格から来る操縦の癖でしかない。
コンディションが万全なら一刀のもとに斬り伏せることが出来るだろう程度の腕だ。
また、ライフルが命中した。
しかし、ライフルのビームは装甲で弾かれ、本来の威力を発揮していない。
いちご「うう…装甲がこんなに持つのか…?」
いちごは、頭痛で判断力が鈍り、耐ビームコーティングの存在を失念していた。
いちご「うっとおしい…」
もう1機は臆病な性格が操縦に出ている。
ヒットアンドアウェイでもなくつかず離れずで不正確な射撃をするだけの素人だった。
動きの良い方の機体に姫子が向かってくれた。
81: 2010/11/01(月) 19:50:58.24 ID:rdY2fnMo
いちご「当たれ!」
腹部に搭載されている高出力のメガ粒子砲を臆病なジェガンに向かって発射する。
次の瞬間メガ粒子ビームは、ジェガンのシールドごと左腕をもぎ取っていた。
いちご「…っ」
いちごは舌打ちをした。
直撃させるつもりだったのだ。
さっきから、頭痛は酷くなってくる一方だ。
頭の形がゆがんでいるような感覚に襲われる。
場所が自分の部屋なら、頭を抱えて転げまわっているだろう。
いちご「私は…大丈夫…」
最早いちごは、自機がどんな動きをしているのかもわからなかった。
ただ、敵を正面に捉え、その動きに反射的に対処しているだけだ。
腹部に搭載されている高出力のメガ粒子砲を臆病なジェガンに向かって発射する。
次の瞬間メガ粒子ビームは、ジェガンのシールドごと左腕をもぎ取っていた。
いちご「…っ」
いちごは舌打ちをした。
直撃させるつもりだったのだ。
さっきから、頭痛は酷くなってくる一方だ。
頭の形がゆがんでいるような感覚に襲われる。
場所が自分の部屋なら、頭を抱えて転げまわっているだろう。
いちご「私は…大丈夫…」
最早いちごは、自機がどんな動きをしているのかもわからなかった。
ただ、敵を正面に捉え、その動きに反射的に対処しているだけだ。
82: 2010/11/01(月) 19:51:30.44 ID:rdY2fnMo
フィフス・ルナで戦闘中の艦隊主力を掩護しに向かった和が見た光景は、絶望的なものだった。
和「間に合わなかったの…?」
フィフス・ルナの核パルスエンジンに火が入り、長い光の帯が戦闘宙域を照らし出す。
それと同時に、敵が素早く引いていく。
和「ラー・チャター! こちらスワロー1、フィフス・ルナの加速を確認! 阻止は失敗!!」
自分に出来うることはすべてやった。
しかし和は、それでも自分の無力を呪わずにはいられなかった。
和「間に合わなかったの…?」
フィフス・ルナの核パルスエンジンに火が入り、長い光の帯が戦闘宙域を照らし出す。
それと同時に、敵が素早く引いていく。
和「ラー・チャター! こちらスワロー1、フィフス・ルナの加速を確認! 阻止は失敗!!」
自分に出来うることはすべてやった。
しかし和は、それでも自分の無力を呪わずにはいられなかった。
83: 2010/11/01(月) 19:52:25.12 ID:rdY2fnMo
唯と梓は、2機がかりで1機のギラ・ドーガ重装型に翻弄されていた。
正確に言うと、長距離から撃たれ、左の腕と足を失った梓のジェガンをかばっているため、唯は上手く動けていないのだ。
梓「私のことはいいですから!」
唯「黙ってて! あずにゃんはやらせないよ!!」
唯のジェガンのビームサーベルが空を斬った。
すかさず敵に向けバルカンを撃つ。
いくらか命中したが、距離をとった敵はまた梓のジェガンの方に旋回する。
唯「何とか、あずにゃんを後退させる暇だけでも…」
グレネードで敵機を牽制すると、今まで動きがなかったフィフス・ルナから瞬時に青白い光が伸びるのが見えた。
核パルスエンジンに火が入ったのである。
それを確認すると、すぐに敵機はダミーを放出して後退した。
正確に言うと、長距離から撃たれ、左の腕と足を失った梓のジェガンをかばっているため、唯は上手く動けていないのだ。
梓「私のことはいいですから!」
唯「黙ってて! あずにゃんはやらせないよ!!」
唯のジェガンのビームサーベルが空を斬った。
すかさず敵に向けバルカンを撃つ。
いくらか命中したが、距離をとった敵はまた梓のジェガンの方に旋回する。
唯「何とか、あずにゃんを後退させる暇だけでも…」
グレネードで敵機を牽制すると、今まで動きがなかったフィフス・ルナから瞬時に青白い光が伸びるのが見えた。
核パルスエンジンに火が入ったのである。
それを確認すると、すぐに敵機はダミーを放出して後退した。
84: 2010/11/01(月) 19:53:13.36 ID:rdY2fnMo
唯「助かった…あずにゃん大丈夫?」
梓「私は問題ありません。ただ足が一本しか無くなっちゃったから、着艦は難しいです。」
唯「私が支えてあげるから、大丈夫だよ!」
そのまま、梓の機体を抱えてMS曳航時の着艦シークエンスを起動する。
梓「すみません…私、足手まといでしたね…。」
唯「敵はかなり手強かったから、仕方ないよ。 最初に狙われてたのが私だったら、きっと立場は逆になってた。」
梓はそれを聞いて、最初に唯が狙われていたら二人共氏んでいただろう、と思った。
2機が着艦すると、続いて他の機体も帰ってきた。
恵の機体だけが、帰って来なかった。
梓「私は問題ありません。ただ足が一本しか無くなっちゃったから、着艦は難しいです。」
唯「私が支えてあげるから、大丈夫だよ!」
そのまま、梓の機体を抱えてMS曳航時の着艦シークエンスを起動する。
梓「すみません…私、足手まといでしたね…。」
唯「敵はかなり手強かったから、仕方ないよ。 最初に狙われてたのが私だったら、きっと立場は逆になってた。」
梓はそれを聞いて、最初に唯が狙われていたら二人共氏んでいただろう、と思った。
2機が着艦すると、続いて他の機体も帰ってきた。
恵の機体だけが、帰って来なかった。
85: 2010/11/01(月) 19:53:49.97 ID:rdY2fnMo
いちごの機体を引き連れて帰投している姫子に、艦から通信が入った。
通信手「立花少尉、一番に着艦させるから、降りたらすぐに艦長室に来るように。」
姫子「了解。」
なんの用だろう、と思ったが、後ろについていたいちごが遅れ気味なのでその心配で頭が一杯になった。
戦闘中から、徐々に動きが悪くなっていったのだ。
姫子「若王子さん、大丈夫?」
いちご「…問題ない。」
返事はようやく聞き取れるくらいのか細い声だったが、ミノフスキー粒子の影響だろう、と考え、姫子はいちごの異変に気づかなかった。
通信手「立花少尉、一番に着艦させるから、降りたらすぐに艦長室に来るように。」
姫子「了解。」
なんの用だろう、と思ったが、後ろについていたいちごが遅れ気味なのでその心配で頭が一杯になった。
戦闘中から、徐々に動きが悪くなっていったのだ。
姫子「若王子さん、大丈夫?」
いちご「…問題ない。」
返事はようやく聞き取れるくらいのか細い声だったが、ミノフスキー粒子の影響だろう、と考え、姫子はいちごの異変に気づかなかった。
86: 2010/11/01(月) 19:57:49.75 ID:rdY2fnMo
艦では律を始め、メンバーが集まって澪を慰めていた。
澪は泣きじゃくりながら後悔の言葉を吐き続けている。
澪「私が情けない戦い方をしていたから、曽我部先輩が…」
律「だから澪のせいじゃねえって…」
梓「そうですよ。 私だって唯先輩がいなかったら、今頃…」
澪「私、普段から曽我部先輩を避けてたんだ…ストーカーされてたこともあって、怖かったし…」
紬「そんな事気にしなくていいのよ。 曽我部先輩も、澪ちゃんの側に居られて、とっても喜んでいたし。」
澪「こんな事なら、もっと曽我部先輩に優しくしていれば…」
唯「澪ちゃん、元気出して…」
和「曽我部さんのことは残念だったけど、戦闘が起こっているんだから、明日は我が身と思って、訓練に励みましょう。」
その日、澪が泣き止むことはなかった。
澪は泣きながら自分の臆病さを噛み締め、自分が兵士になりきれないことをもどかしく感じていた。
第三話 フィフス・ルナ! おわり
次回は第四話 不快! 番外編 隕石のあとさき! の二本立て。
番外編は本編と何ら関係ないので、忙しい人は飛ばしてもいいです。
そもそも読んでいる人が少なそうだが…。
澪は泣きじゃくりながら後悔の言葉を吐き続けている。
澪「私が情けない戦い方をしていたから、曽我部先輩が…」
律「だから澪のせいじゃねえって…」
梓「そうですよ。 私だって唯先輩がいなかったら、今頃…」
澪「私、普段から曽我部先輩を避けてたんだ…ストーカーされてたこともあって、怖かったし…」
紬「そんな事気にしなくていいのよ。 曽我部先輩も、澪ちゃんの側に居られて、とっても喜んでいたし。」
澪「こんな事なら、もっと曽我部先輩に優しくしていれば…」
唯「澪ちゃん、元気出して…」
和「曽我部さんのことは残念だったけど、戦闘が起こっているんだから、明日は我が身と思って、訓練に励みましょう。」
その日、澪が泣き止むことはなかった。
澪は泣きながら自分の臆病さを噛み締め、自分が兵士になりきれないことをもどかしく感じていた。
第三話 フィフス・ルナ! おわり
次回は第四話 不快! 番外編 隕石のあとさき! の二本立て。
番外編は本編と何ら関係ないので、忙しい人は飛ばしてもいいです。
そもそも読んでいる人が少なそうだが…。
94: 2010/11/02(火) 19:40:15.89 ID:9wmiMbAo
第四話 不快!
着艦した信代は、自分の編隊が一機足りないことに気がついて、声を張り上げていた。
信代「佐野さんがいないよ!! どうしたの!?」
それを聞いて、編隊長をやった飯田慶子が口惜しそうに報告する。
慶子「ジェガンにコックピットを貫かれてさ…どうしようもなかったんだ…」
その時、ハンガーに固定されたサイコミュ試験機のコックピットからいちごが流れだすのが見えた。
潮「あいつ、今日はやたらと動きが悪かったよ!! あたしらの掩護だからって、きっと手を抜いたんだ!!」
信代「そういうコトかい! 今日は強めにお仕置きしないとね!!」
信代がアイ・コンタクトを取ると、三人はいちごを囲むようにデッキの入り口に流れっていった。
着艦した信代は、自分の編隊が一機足りないことに気がついて、声を張り上げていた。
信代「佐野さんがいないよ!! どうしたの!?」
それを聞いて、編隊長をやった飯田慶子が口惜しそうに報告する。
慶子「ジェガンにコックピットを貫かれてさ…どうしようもなかったんだ…」
その時、ハンガーに固定されたサイコミュ試験機のコックピットからいちごが流れだすのが見えた。
潮「あいつ、今日はやたらと動きが悪かったよ!! あたしらの掩護だからって、きっと手を抜いたんだ!!」
信代「そういうコトかい! 今日は強めにお仕置きしないとね!!」
信代がアイ・コンタクトを取ると、三人はいちごを囲むようにデッキの入り口に流れっていった。
95: 2010/11/02(火) 19:41:24.54 ID:9wmiMbAo
頭が痛い。
体も痺れてくるような感じだ。
ぼんやりと見えるMSデッキの出口を目指す。
いちご「私は大丈夫…私は大丈夫…」
部屋まで辿りつけるだろうか。
とにかく、姫子に心配をかけるのだけはゴメンだ。
あのおせっかいは、自分の体調が悪いと知るやいなや、何かと手を焼いてくるはずだ。
何故なのかはわからなかったが、いちごはそれが猛烈に不快だったのだ。
デッキの出口がもう少しのところまで迫ったとき、三人の人影がいちごの体を取り囲んだ。
またあの儀式だ。
いちごが感じたのは、底が見えないほど深い絶望だった。
体も痺れてくるような感じだ。
ぼんやりと見えるMSデッキの出口を目指す。
いちご「私は大丈夫…私は大丈夫…」
部屋まで辿りつけるだろうか。
とにかく、姫子に心配をかけるのだけはゴメンだ。
あのおせっかいは、自分の体調が悪いと知るやいなや、何かと手を焼いてくるはずだ。
何故なのかはわからなかったが、いちごはそれが猛烈に不快だったのだ。
デッキの出口がもう少しのところまで迫ったとき、三人の人影がいちごの体を取り囲んだ。
またあの儀式だ。
いちごが感じたのは、底が見えないほど深い絶望だった。
96: 2010/11/02(火) 19:42:28.96 ID:9wmiMbAo
姫子が艦長室に入ると、ニュータイプ研究所から出向していた研究者が艦長の傍らに立っていた。
用があるのは艦長ではなくこちらであるようだ。
冷たい視線で姫子を捉えながら、研究者が口を開く。
研究者「君はあれと小隊を組んでいたみたいだが、あれの調子はどうだったかな?」
姫子は「あれ」というのが何を指すのかすぐに分かったが、
それが許せなかったので研究者を睨みつけながら当て付けるように質問を吐きかけた。
姫子「あれ、とは何のことでしょうか?」ギロ
研究者「強化人間だよ。」
その言い方も、姫子の癪に触った。
姫子「若王子少尉のことでしょうか?」
研究者「分かっているじゃないか。」
姫子「何故、彼女をそんな風に呼ぶのでしょうか? 彼女は一人の人間です。 それを物のように呼ぶなんて、許せません!」
用があるのは艦長ではなくこちらであるようだ。
冷たい視線で姫子を捉えながら、研究者が口を開く。
研究者「君はあれと小隊を組んでいたみたいだが、あれの調子はどうだったかな?」
姫子は「あれ」というのが何を指すのかすぐに分かったが、
それが許せなかったので研究者を睨みつけながら当て付けるように質問を吐きかけた。
姫子「あれ、とは何のことでしょうか?」ギロ
研究者「強化人間だよ。」
その言い方も、姫子の癪に触った。
姫子「若王子少尉のことでしょうか?」
研究者「分かっているじゃないか。」
姫子「何故、彼女をそんな風に呼ぶのでしょうか? 彼女は一人の人間です。 それを物のように呼ぶなんて、許せません!」
97: 2010/11/02(火) 19:43:25.91 ID:9wmiMbAo
姫子は右の拳を固めている。
研究者を殴りたい衝動を必氏にこらえているのだ。
それに気づいていない研究者は調子を変えずに語り続ける。
研究者「強化に湯水のように金がかかったのに、結局あれくらいのデキだったからね。 私等は彼女にたいそう失望しているんだよ。」
研究者「サイコ・フレームの補助がなければ、ファンネルすら満足に操れないんだからね。」
研究者「まあそれでも何とかファンネルを使えているのでな、今度正式採用機のヤクト・ドーガを使わせてやってもいいと思っとるんだが、なにぶん不安定だからなあ…」
姫子が研究者に殴りかかろうとしたとき、研究者の口から発せられた言葉が姫子の脳髄に響いた。
研究者「いつもならサイコミュの干渉でファンネル使用後に頭痛を訴えるはずなんだが、彼女におかしな点は無かったかね?」
姫子の体が、止まった。
少し前の記憶が鮮明に巻き戻る。
戦闘中のキレの悪い動き。
帰投するとき遅れていたいちごの機体。
か細く、「問題ない」と言っていた彼女の口調。
姫子「…若王子さん!!」
姫子は床をけるとそのまま、急いで艦長室を出ていた。
研究者を殴りたい衝動を必氏にこらえているのだ。
それに気づいていない研究者は調子を変えずに語り続ける。
研究者「強化に湯水のように金がかかったのに、結局あれくらいのデキだったからね。 私等は彼女にたいそう失望しているんだよ。」
研究者「サイコ・フレームの補助がなければ、ファンネルすら満足に操れないんだからね。」
研究者「まあそれでも何とかファンネルを使えているのでな、今度正式採用機のヤクト・ドーガを使わせてやってもいいと思っとるんだが、なにぶん不安定だからなあ…」
姫子が研究者に殴りかかろうとしたとき、研究者の口から発せられた言葉が姫子の脳髄に響いた。
研究者「いつもならサイコミュの干渉でファンネル使用後に頭痛を訴えるはずなんだが、彼女におかしな点は無かったかね?」
姫子の体が、止まった。
少し前の記憶が鮮明に巻き戻る。
戦闘中のキレの悪い動き。
帰投するとき遅れていたいちごの機体。
か細く、「問題ない」と言っていた彼女の口調。
姫子「…若王子さん!!」
姫子は床をけるとそのまま、急いで艦長室を出ていた。
98: 2010/11/02(火) 19:44:21.06 ID:9wmiMbAo
部屋にいちごはいなかった。
嫌な予感がする。
MSデッキに急ぐ。
到着すると、MSデッキの隅で、三人に囲まれてうずくまっているいちごを発見した。
姫子「何やってるの!? アンタたち!!」
信代「あたしらの掩護に手を抜いたから、お仕置きしてるんだよ。」
いちご「…うう…あ…」
慶子「あ~ん? 聞こえないって!! 早くごめんなさいって言えよ!!」
いちご「うう…うう…」
潮「今日は仮病か? ほら、立ちなよ!」
姫子「ホントに具合悪いのよ!!放しなさい!!」
信代「チェッ、今日のところはこれくらいにしておくよ!」
その号令に、三人が帰っていく。
いちごは、うずくまって震えている。
嫌な予感がする。
MSデッキに急ぐ。
到着すると、MSデッキの隅で、三人に囲まれてうずくまっているいちごを発見した。
姫子「何やってるの!? アンタたち!!」
信代「あたしらの掩護に手を抜いたから、お仕置きしてるんだよ。」
いちご「…うう…あ…」
慶子「あ~ん? 聞こえないって!! 早くごめんなさいって言えよ!!」
いちご「うう…うう…」
潮「今日は仮病か? ほら、立ちなよ!」
姫子「ホントに具合悪いのよ!!放しなさい!!」
信代「チェッ、今日のところはこれくらいにしておくよ!」
その号令に、三人が帰っていく。
いちごは、うずくまって震えている。
99: 2010/11/02(火) 19:44:53.12 ID:9wmiMbAo
姫子「大丈夫? 医務室行こうか?」
いちご「…」
姫子「苦しかったよね? 気づいてあげられなくて、ごめんね。」
気づいて欲しくなんて無かった。
いちごは姫子に運ばれながらそう思った。
いちご「…部屋に…」
姫子「医務室じゃなくていいの?」
いちご「…あそこは嫌。」
姫子「分かった。」
姫子は、いちごが医務室に行きたくない理由がなんとなく理解できた。
きっと、まともに扱ってもらえないのが辛いのだろう。
部屋に戻ると、すぐに姫子はいちごをベッドに付属している無重力用のシュラフに寝かしつけた。
いちご「…」
姫子「苦しかったよね? 気づいてあげられなくて、ごめんね。」
気づいて欲しくなんて無かった。
いちごは姫子に運ばれながらそう思った。
いちご「…部屋に…」
姫子「医務室じゃなくていいの?」
いちご「…あそこは嫌。」
姫子「分かった。」
姫子は、いちごが医務室に行きたくない理由がなんとなく理解できた。
きっと、まともに扱ってもらえないのが辛いのだろう。
部屋に戻ると、すぐに姫子はいちごをベッドに付属している無重力用のシュラフに寝かしつけた。
100: 2010/11/02(火) 19:45:29.22 ID:9wmiMbAo
姫子「痛み止めのお薬があるよ。 飲もうか?」
いちご「もういい、独りにして。」
姫子「でも…」
いちご「お願い。」
姫子が部屋を出て、ドアが閉まると、部屋の中からいちごのうめき声が聞こえてきた。
それを聞いた次の瞬間、姫子はいちごの部屋に舞い戻っていた。
姫子「若王子さん!!」
いちご「来ないで!!」
姫子はその言葉を無視して、いちごの傍らに滑り込み、その体を抱きしめていた。
いちご「離れて! 大丈夫だから! ううっ…!」
姫子「大丈夫じゃないじゃん!!」
いちご「もういい、独りにして。」
姫子「でも…」
いちご「お願い。」
姫子が部屋を出て、ドアが閉まると、部屋の中からいちごのうめき声が聞こえてきた。
それを聞いた次の瞬間、姫子はいちごの部屋に舞い戻っていた。
姫子「若王子さん!!」
いちご「来ないで!!」
姫子はその言葉を無視して、いちごの傍らに滑り込み、その体を抱きしめていた。
いちご「離れて! 大丈夫だから! ううっ…!」
姫子「大丈夫じゃないじゃん!!」
101: 2010/11/02(火) 19:46:15.89 ID:9wmiMbAo
姫子は、どうしたらいいのかわからなかったが、しきりにいちごの体をさすったり、頭をなでたりしてみた。
目頭が熱くなり、視界がぼやけてくる。
姫子「まだ辛い? どこが痛むの?」
ただでさえひっつかれて不快なのに、その上涙まで見せ始めた姫子にいちごが冷たい口調で質問する。
いちご「私のことで、何故あなたが泣くの?」
姫子「あなたが辛そうにしているの見ると、悲しいの!」
いちご「じゃあ出ていって。 見なくて済むようになる。」
姫子「あたしがいなくなっても、あなたは苦しいままでしょ? それじゃあ解決にならないもの!」
いちご「泣かないで。 あなたが泣くのを見るのは嫌。」
いちごはそう言った後、自分の口から出たその言葉の優しさに驚愕していた。
こんな事を言いたかったのではない。
もっと、冷たく突き放すような言葉が出るはずだったのだ。
目頭が熱くなり、視界がぼやけてくる。
姫子「まだ辛い? どこが痛むの?」
ただでさえひっつかれて不快なのに、その上涙まで見せ始めた姫子にいちごが冷たい口調で質問する。
いちご「私のことで、何故あなたが泣くの?」
姫子「あなたが辛そうにしているの見ると、悲しいの!」
いちご「じゃあ出ていって。 見なくて済むようになる。」
姫子「あたしがいなくなっても、あなたは苦しいままでしょ? それじゃあ解決にならないもの!」
いちご「泣かないで。 あなたが泣くのを見るのは嫌。」
いちごはそう言った後、自分の口から出たその言葉の優しさに驚愕していた。
こんな事を言いたかったのではない。
もっと、冷たく突き放すような言葉が出るはずだったのだ。
102: 2010/11/02(火) 19:47:03.63 ID:9wmiMbAo
姫子「ありがとう…」
案の定だ。
いちごにとって不快極まりない言葉で返される。
そして、いちごはいけないと思いながらも何故それが不快なのか考え始めてしまった。
姫子「あなたも、辛かったら泣いてもいいと思うよ。」
いちご「出来ない。 涙が一定以上分泌されると視界がぼやけて、戦闘に不利。 そのため必要以上に涙が出ないように強化されている。」
そこまで言って、いちごは泣けないのは損なことなのではないか、と考えてしまった。
しかしすぐにその思考は取りやめた。
姫子「じゃあ、辛かったら辛いって、あたしに打ち明けて。」
そう言いながら、いちごを抱きしめる力が強まった。
その時、いちごは体が楽になっていることに気がついた。
姫子のぬくもりに、頭の痛みが溶け出していくようだ。
そして、何故姫子がそばにいると不快なのか、という謎も解けた。
この温もりに、他人に、すがろうとしてしまう自分が不快なのだ。
案の定だ。
いちごにとって不快極まりない言葉で返される。
そして、いちごはいけないと思いながらも何故それが不快なのか考え始めてしまった。
姫子「あなたも、辛かったら泣いてもいいと思うよ。」
いちご「出来ない。 涙が一定以上分泌されると視界がぼやけて、戦闘に不利。 そのため必要以上に涙が出ないように強化されている。」
そこまで言って、いちごは泣けないのは損なことなのではないか、と考えてしまった。
しかしすぐにその思考は取りやめた。
姫子「じゃあ、辛かったら辛いって、あたしに打ち明けて。」
そう言いながら、いちごを抱きしめる力が強まった。
その時、いちごは体が楽になっていることに気がついた。
姫子のぬくもりに、頭の痛みが溶け出していくようだ。
そして、何故姫子がそばにいると不快なのか、という謎も解けた。
この温もりに、他人に、すがろうとしてしまう自分が不快なのだ。
103: 2010/11/02(火) 19:48:01.80 ID:9wmiMbAo
姫子「みんながいじめても、あたしはずっとあなたの味方だから。」
その言葉も、最早いちごにとって不快なものではなかった。
自分の表情が変化しようとしている、と感じたが、唇をかみしめてそれをぐっとこらえた。
姫子「大丈夫? 苦しくない?」
いちご「…落ち着いてきた。」
体はすっかり楽になっていたが、離れろ、とは言わなかった。
姫子「若王子さん。」
いちご「何?」
姫子「私のこと、助けてくれて、本当にありがとう。」
また、心の底が粟立って表情が崩れそうになる。
今度は抗いきれず、口元がフッ、と緩んだ。
姫子に気付かれていないだろうか、といちごは不安になった。
こうすれば表情を見られなくて済む、と思って、いちごは姫子の肩越しに顔を持って行き、表情の変化に抗うのを、やめた。
それは、いちごの方からも姫子に抱きつく格好だった。
いちごの顔を見ることは出来なかったものの、その表情を姫子は寸分違うことなく想像できた。
第四話 不快! おわり
その言葉も、最早いちごにとって不快なものではなかった。
自分の表情が変化しようとしている、と感じたが、唇をかみしめてそれをぐっとこらえた。
姫子「大丈夫? 苦しくない?」
いちご「…落ち着いてきた。」
体はすっかり楽になっていたが、離れろ、とは言わなかった。
姫子「若王子さん。」
いちご「何?」
姫子「私のこと、助けてくれて、本当にありがとう。」
また、心の底が粟立って表情が崩れそうになる。
今度は抗いきれず、口元がフッ、と緩んだ。
姫子に気付かれていないだろうか、といちごは不安になった。
こうすれば表情を見られなくて済む、と思って、いちごは姫子の肩越しに顔を持って行き、表情の変化に抗うのを、やめた。
それは、いちごの方からも姫子に抱きつく格好だった。
いちごの顔を見ることは出来なかったものの、その表情を姫子は寸分違うことなく想像できた。
第四話 不快! おわり
104: 2010/11/02(火) 19:48:57.59 ID:9wmiMbAo
番外編 隕石のあとさき!
チベットのラサは、無法地帯となっていた。
避難勧告こそ無かったものの、噂が人づてに伝わり、隕石が落ちてくるという情報はかなりのところまで広がっている。
そのため多くの人々はすでにこの土地から逃げ去ったか、その途中だった。
しかし移動手段を持たない低い立場の人間や、情報弱者がまだ相当数とどまっていたのである。
さっきも、車で脱出しようとした情報弱者が悪党の餌食になったばかりだ。
悪党1「ヒャッハッハッハ 水だー!!」
悪党2「食料もたっぷり持ってやがったぜー!!」
悪党1「こーんなもんまで持ってやがった!!」ビラ
パターンから読めると思うがこんな物とは札束のことである。
チベットのラサは、無法地帯となっていた。
避難勧告こそ無かったものの、噂が人づてに伝わり、隕石が落ちてくるという情報はかなりのところまで広がっている。
そのため多くの人々はすでにこの土地から逃げ去ったか、その途中だった。
しかし移動手段を持たない低い立場の人間や、情報弱者がまだ相当数とどまっていたのである。
さっきも、車で脱出しようとした情報弱者が悪党の餌食になったばかりだ。
悪党1「ヒャッハッハッハ 水だー!!」
悪党2「食料もたっぷり持ってやがったぜー!!」
悪党1「こーんなもんまで持ってやがった!!」ビラ
パターンから読めると思うがこんな物とは札束のことである。
105: 2010/11/02(火) 19:49:30.80 ID:9wmiMbAo
悪党1「ここじゃケツを拭く紙にもなりゃしねえってのによー」
悪党3「頭領!!」
悪党1「何だ?」
悪党3「そろそろライヴが始まりますぜ!!」
悪党1「よっしゃ、急ぐぞ!!」ブォオオオオ
逃げ惑う人々とは逆に、このラサに命知らずの無法者達がどんどん集結しつつあった。
吹きすさぶ風に舞うビラに、その理由がしたためてある。
悪党3「頭領!!」
悪党1「何だ?」
悪党3「そろそろライヴが始まりますぜ!!」
悪党1「よっしゃ、急ぐぞ!!」ブォオオオオ
逃げ惑う人々とは逆に、このラサに命知らずの無法者達がどんどん集結しつつあった。
吹きすさぶ風に舞うビラに、その理由がしたためてある。
106: 2010/11/02(火) 19:50:03.63 ID:9wmiMbAo
隕石の堕ちるこのラサにあの四人が帰ってくる
DEATH DEVIL ラストライヴ 「メテオ」
時 ○月×日 ○×:00~隕石落下
場所 ポタラ博物館駐車場
入場料 タダ
伝説のソロアーティスト、山中SAWAKOも飛び入り参加
命知らず、集まれ
DEATH DEVIL ラストライヴ 「メテオ」
時 ○月×日 ○×:00~隕石落下
場所 ポタラ博物館駐車場
入場料 タダ
伝説のソロアーティスト、山中SAWAKOも飛び入り参加
命知らず、集まれ
107: 2010/11/02(火) 19:51:22.43 ID:9wmiMbAo
地球圏で知らないものはいないと言われる程の超有名バンドであるDEATH DEVILの4人は、
違法薬物の所持及び使用の罪で、連邦警察から指名手配中の身であった。
しかしこのラサでは連邦政府も警察もトップが真っ先に逃げてしまい、組織が瓦解したため事実上存在しない。
逃げるのに疲れを感じ始めていた彼女らは、このラサを氏に場所と決め、隕石雨をバックに最期のライヴを行うことにしたのである。
現在は博物館となっているチベットの象徴であるポタラ宮を背景に、四人が仁王立ちになって集まり来る命知らず達を出迎えている。
Christina「どんどん集まってくるよ、Katherine。」
Katherine「命が惜しくない奴がこんなに居るとはねえ…今日は派手に逝くよ!!」
Della「おう、氏に花、咲かせるよ!!」
Jane「私も、氏ぬまでドラムぶっ叩く!!」
数万人を前に、彼女たちの最期のライヴが今、始まろうとしていた。
違法薬物の所持及び使用の罪で、連邦警察から指名手配中の身であった。
しかしこのラサでは連邦政府も警察もトップが真っ先に逃げてしまい、組織が瓦解したため事実上存在しない。
逃げるのに疲れを感じ始めていた彼女らは、このラサを氏に場所と決め、隕石雨をバックに最期のライヴを行うことにしたのである。
現在は博物館となっているチベットの象徴であるポタラ宮を背景に、四人が仁王立ちになって集まり来る命知らず達を出迎えている。
Christina「どんどん集まってくるよ、Katherine。」
Katherine「命が惜しくない奴がこんなに居るとはねえ…今日は派手に逝くよ!!」
Della「おう、氏に花、咲かせるよ!!」
Jane「私も、氏ぬまでドラムぶっ叩く!!」
数万人を前に、彼女たちの最期のライヴが今、始まろうとしていた。
108: 2010/11/02(火) 19:52:43.04 ID:9wmiMbAo
Katherine「お前らが来るのを待っていた~! ぎゃおおおおーーーー!!」
Christina「おめーら!! 今日は命を掛けてはあたしらのライヴに来てくれてありがとうYO!!」
観客「うおおおおおお!!!Katherine!!! Christina!!!」
観客が静まるのを待って、KatherineのMCが始まる。
Katherine「…人は逆立ちしたって天使にゃなれねえが…」
Katherine「悪魔になるのは簡単だ!!」
観客「わおおおおおおおおおおお!!」
Katherine「地球に隕石を落とすなんてのは…偶然か…」
観客「悪魔!!」
Katherine「俺達も!」
観客「悪魔!!」
Christina「おめーら!! 今日は命を掛けてはあたしらのライヴに来てくれてありがとうYO!!」
観客「うおおおおおお!!!Katherine!!! Christina!!!」
観客が静まるのを待って、KatherineのMCが始まる。
Katherine「…人は逆立ちしたって天使にゃなれねえが…」
Katherine「悪魔になるのは簡単だ!!」
観客「わおおおおおおおおおおお!!」
Katherine「地球に隕石を落とすなんてのは…偶然か…」
観客「悪魔!!」
Katherine「俺達も!」
観客「悪魔!!」
109: 2010/11/02(火) 19:53:28.29 ID:9wmiMbAo
Katherine「人の歴史は戦いの歴史だ!! 戦いが歴史を作った!! 平和なんてのは停滞だ!!」
観客「鬼!! 悪魔!!」
Katherine「隕石が落ちてくる…これはまさしく…」
Katherine「History!!」
Katherine「そんな血塗られたHistoryを重ねてきた、人類みな…」
DEATH DEVIL「DEVIL!!!!」
Katherine「Love&PeaceなんてUSOPPATI!! 民主主義なんて船頭多くして、船Climb the Mountain!! 戦争こそが、Justice!!」
Katherine「そう、そんな俺達人類は、地球を、ひいては宇宙を喰らい尽くす…DEVIL!」
観客「DEVIL! DEVIL! DEVIL!」
Katherine「さあ、唱えろ! 最強の魔法を…そして壊しつくせ…この腐った世の中をなあ!!」
DEATH DEVIL「ワン、ツー スリー、フォー、METEO!!」
観客「METEO! METEO! METEO!」
観客「鬼!! 悪魔!!」
Katherine「隕石が落ちてくる…これはまさしく…」
Katherine「History!!」
Katherine「そんな血塗られたHistoryを重ねてきた、人類みな…」
DEATH DEVIL「DEVIL!!!!」
Katherine「Love&PeaceなんてUSOPPATI!! 民主主義なんて船頭多くして、船Climb the Mountain!! 戦争こそが、Justice!!」
Katherine「そう、そんな俺達人類は、地球を、ひいては宇宙を喰らい尽くす…DEVIL!」
観客「DEVIL! DEVIL! DEVIL!」
Katherine「さあ、唱えろ! 最強の魔法を…そして壊しつくせ…この腐った世の中をなあ!!」
DEATH DEVIL「ワン、ツー スリー、フォー、METEO!!」
観客「METEO! METEO! METEO!」
110: 2010/11/02(火) 19:54:20.33 ID:9wmiMbAo
METEOの声が止むと、ChristinaのFAN SERVICEが始まる。
Christina「よっしゃあ!! まずは一足も二足も早いか遅いかわからねえクリスマスのプレゼントだあ!!」
Christinaが白い粉の入った袋をばら撒く。
もちろん中身は違法薬物である。
開始直後とは言え、KatherineのMCとこのSERVICEですでに観客のテンションはMAXだ。
Christina「それじゃあクリスマスと言えばこの曲だろ!!」
Katherine「ヤケクソ☆セイント聖夜!!」
Katherineのギターが始まると同時に、薬の入った袋が後ろの客にも配られ始める。
曲が止まったら、キメることが許されるのだ。
ちなみに、演奏中の四人はすでにキメまくっている。
Christina「よっしゃあ!! まずは一足も二足も早いか遅いかわからねえクリスマスのプレゼントだあ!!」
Christinaが白い粉の入った袋をばら撒く。
もちろん中身は違法薬物である。
開始直後とは言え、KatherineのMCとこのSERVICEですでに観客のテンションはMAXだ。
Christina「それじゃあクリスマスと言えばこの曲だろ!!」
Katherine「ヤケクソ☆セイント聖夜!!」
Katherineのギターが始まると同時に、薬の入った袋が後ろの客にも配られ始める。
曲が止まったら、キメることが許されるのだ。
ちなみに、演奏中の四人はすでにキメまくっている。
111: 2010/11/02(火) 19:54:52.50 ID:9wmiMbAo
Katherine「ジングルベール!!」
観客「ホイ!!」
Katherine「ジングルベール!!」
観客「イエーイ!!」
Katherine「すずが~なるぅ!! 今日は~楽しい~く・り・す・ま・す!!」
観客「YEAH!!」
Katherine「ジングルベール!!」
観客「うぉおおおお!!」
Katherine「きょおわあ たのしい ク・リ・ス・マ・ス ウォー イェーイ!!!」
Christina「ストーップ!! キメていいぜー!!」
観客「ぬおおおおおおおおおおお!!!!」
観客「ホイ!!」
Katherine「ジングルベール!!」
観客「イエーイ!!」
Katherine「すずが~なるぅ!! 今日は~楽しい~く・り・す・ま・す!!」
観客「YEAH!!」
Katherine「ジングルベール!!」
観客「うぉおおおお!!」
Katherine「きょおわあ たのしい ク・リ・ス・マ・ス ウォー イェーイ!!!」
Christina「ストーップ!! キメていいぜー!!」
観客「ぬおおおおおおおおおおお!!!!」
112: 2010/11/02(火) 19:55:45.88 ID:9wmiMbAo
会場は、HIGH☆TENSION。
観客の熱気がTSUNAMIのように押し寄せる。
約八割がTRIPしたところで、DEATH DEVILらしくないさみしげな曲が流れ出す。
彼女たちの薬物スキャンダルが発覚したと同時にCOVERを希望するファンの声が殺到した、あの曲だ。
Christina「アタシらは薬を抜くために逃げていたんじゃない!! キメ続けるために逃げていたんだ!! というわけで二曲目…」
Katherine「碧いUSAGI!!!」
観客「おぎゃああああああああああ!!!!!」
Katherine「あとどれくらい 切なくなれば」
Christina「アフ――――!」
Katherine「テメーの声が 聴こえるか・し・ら!」
Christina「知らねーよ!!」
観客「ワッショイ!! ワッショイ!!」
つかみはOKなんてもんじゃない。
この四人は天才だ。
最早これはライヴではない。
世界の始まり。
そして終わり。
水辺に舞い上がる蜉蝣よりも儚く、太陽をも焦がすたった一時間程度のLAST STAGEだ。
観客の熱気がTSUNAMIのように押し寄せる。
約八割がTRIPしたところで、DEATH DEVILらしくないさみしげな曲が流れ出す。
彼女たちの薬物スキャンダルが発覚したと同時にCOVERを希望するファンの声が殺到した、あの曲だ。
Christina「アタシらは薬を抜くために逃げていたんじゃない!! キメ続けるために逃げていたんだ!! というわけで二曲目…」
Katherine「碧いUSAGI!!!」
観客「おぎゃああああああああああ!!!!!」
Katherine「あとどれくらい 切なくなれば」
Christina「アフ――――!」
Katherine「テメーの声が 聴こえるか・し・ら!」
Christina「知らねーよ!!」
観客「ワッショイ!! ワッショイ!!」
つかみはOKなんてもんじゃない。
この四人は天才だ。
最早これはライヴではない。
世界の始まり。
そして終わり。
水辺に舞い上がる蜉蝣よりも儚く、太陽をも焦がすたった一時間程度のLAST STAGEだ。
113: 2010/11/02(火) 19:56:50.09 ID:9wmiMbAo
Katherine「あおおおおおおおおおおっ!!」
Christina「オーケイ、 チェケラッチョ!!」
曲が、終わる。
アンコールの声が、止まない。
Katherine「アンコールなんかきけるかよおおおおお!!!」
Christina「隕石が落ちてくるまで、時間がないんだ!!このまま突っ走るよ!!」
観客「ぶぅぅぅうううううううう!!」
Katherine「うっせーぞ!! グズグズしてたら今日のゲストの出番もなくなるだろうがよ!!」
Christina「テメーら!! 今日のゲストは誰だ!! 呼んでみやがれ!!」
観客が静まり返る。
無音。
しかしすぐに、ポツリポツリと反応が始まる。
Christina「オーケイ、 チェケラッチョ!!」
曲が、終わる。
アンコールの声が、止まない。
Katherine「アンコールなんかきけるかよおおおおお!!!」
Christina「隕石が落ちてくるまで、時間がないんだ!!このまま突っ走るよ!!」
観客「ぶぅぅぅうううううううう!!」
Katherine「うっせーぞ!! グズグズしてたら今日のゲストの出番もなくなるだろうがよ!!」
Christina「テメーら!! 今日のゲストは誰だ!! 呼んでみやがれ!!」
観客が静まり返る。
無音。
しかしすぐに、ポツリポツリと反応が始まる。
114: 2010/11/02(火) 19:57:39.55 ID:9wmiMbAo
観客「SAWAKO…」ボソ
観客「SAWAKO…SAWAKO…」ガヤガヤ
観客「SA・WA・KO!! SA・WA・KO!!」
山中SAWAKOを、求める声。
しかし、ここで焦らすのが彼女たちのやり口だ。
いきなりKatherineが、ティッシュペーパーのようなものをヒラヒラさせて、観客に怒鳴りつける。
Katherine「オメーら!! これは何だ!!?」
観客は、何が何だか分からない。
彼らは、SAWAKOを待っているのだ。
早く、SAWAKOを。伝説のソロアーティストを。
ざわめく観客たちを尻目に、Katherineが続ける。
Katherine「これはメイク落としだ!! アヒャー!!」
躊躇なく、Katherineはメイク落としをその顔に押し付ける。
致命的だ。 悲鳴も聞こえる。 倒れる客も見える。
SUPPINのKatherineなど、この中の誰も見たくはない。
DEATH DEVILのKatherineは、WILDなMAKEあってこそなのである。
MAKEを落としてしまえば、そこら辺にいるババアと変わらない。
苺のないShortcakeになってしまう。
会場の誰もがそう思っている。
観客「SAWAKO…SAWAKO…」ガヤガヤ
観客「SA・WA・KO!! SA・WA・KO!!」
山中SAWAKOを、求める声。
しかし、ここで焦らすのが彼女たちのやり口だ。
いきなりKatherineが、ティッシュペーパーのようなものをヒラヒラさせて、観客に怒鳴りつける。
Katherine「オメーら!! これは何だ!!?」
観客は、何が何だか分からない。
彼らは、SAWAKOを待っているのだ。
早く、SAWAKOを。伝説のソロアーティストを。
ざわめく観客たちを尻目に、Katherineが続ける。
Katherine「これはメイク落としだ!! アヒャー!!」
躊躇なく、Katherineはメイク落としをその顔に押し付ける。
致命的だ。 悲鳴も聞こえる。 倒れる客も見える。
SUPPINのKatherineなど、この中の誰も見たくはない。
DEATH DEVILのKatherineは、WILDなMAKEあってこそなのである。
MAKEを落としてしまえば、そこら辺にいるババアと変わらない。
苺のないShortcakeになってしまう。
会場の誰もがそう思っている。
115: 2010/11/02(火) 19:59:02.69 ID:9wmiMbAo
Katherine「いないいない…バァ!!」
次の瞬間、メイクを落としたその顔に、観客全員が見入っていた。
もしかして…この顔は…
SUPPINN・Katherineがメガネを装着し、大人し目の印象を与えた顔になる。
この方は…ただのババァなんかじゃない…もっとBIGな…あの伝説の…
Katherine「俺がSAWAKOだ!!」
高らかな宣言に、歓喜の雄叫びが帰ってくる。
観客「わぉおおおおおおおおおおおん!!」
世界がまた、脈動を始めた。
観客「SA・WA・KO!! SA・WA・KO!!」
空がひときわ明るくなり、大きな流れ星が空をかけ始める。
隕石落下が、近いようだ。
次の瞬間、メイクを落としたその顔に、観客全員が見入っていた。
もしかして…この顔は…
SUPPINN・Katherineがメガネを装着し、大人し目の印象を与えた顔になる。
この方は…ただのババァなんかじゃない…もっとBIGな…あの伝説の…
Katherine「俺がSAWAKOだ!!」
高らかな宣言に、歓喜の雄叫びが帰ってくる。
観客「わぉおおおおおおおおおおおん!!」
世界がまた、脈動を始めた。
観客「SA・WA・KO!! SA・WA・KO!!」
空がひときわ明るくなり、大きな流れ星が空をかけ始める。
隕石落下が、近いようだ。
116: 2010/11/02(火) 20:00:17.06 ID:9wmiMbAo
Christina「隕石が近い!! もうすぐこのLIVEも終わりだよ!!」
観客「ぶううううん!! ぶうううううん!!」
SAWAKO「続きはあの世でな!!」
観客「イヤッッホォォォオオォオウ!!」
Christina「それじゃあ、DEATH DEVILと山中SAWAKOの、夢のCollaboration!!」
SAWAKO「隕石と言えば、あの魔法だろ!! それじゃ最後の曲、METEOは無敵(FF4version)!! 逝くぜ!!」
誰も聞いたことがない、そして今後誰も聞くことがない疾走感溢れる音色(Melody)。
新曲だ!!
観客「ぶううううん!! ぶうううううん!!」
SAWAKO「続きはあの世でな!!」
観客「イヤッッホォォォオオォオウ!!」
Christina「それじゃあ、DEATH DEVILと山中SAWAKOの、夢のCollaboration!!」
SAWAKO「隕石と言えば、あの魔法だろ!! それじゃ最後の曲、METEOは無敵(FF4version)!! 逝くぜ!!」
誰も聞いたことがない、そして今後誰も聞くことがない疾走感溢れる音色(Melody)。
新曲だ!!
117: 2010/11/02(火) 20:01:09.95 ID:9wmiMbAo
SAWAKO「メテオはすごいぜ 何でも倒すぜ ドカドカ!!」
観客「イヤァ!!」
SAWAKO「モルボル ドラゴン ベヒーモスも ボコボコ!!」
観客「ヤオ!!」
SAWAKO「ゴルベーザとフースーヤの 夢の」
DEATH DEVIL「夢の」
SAWAKO「コーラーボーレーション!!」
DEATH DEVIL「ダ・ブ・ル メ・テ・オ !!」
SAWAKO「メテオはすごいぜないと困るぜ やはりメテオが最強だろ」
観客「ヘイ!!」
SAWAKO「ファイファンⅣならやっぱり 最強魔法はメテオ」
SAWAKO「でも俺ァ DS版 もってねえよ!!」
DEATH DEVIL「ふざけんな!!」
観客「ヘイ ヘイ ヘイ ヘイ」
SAWAKO「1・2・3・4 ME・TE・O!!」
観客「ヘイ ヘイ ヘイ ヘイ」
SAWAKO「1・2・3・4」
観客「ME・TE・O!!」
観客「イヤァ!!」
SAWAKO「モルボル ドラゴン ベヒーモスも ボコボコ!!」
観客「ヤオ!!」
SAWAKO「ゴルベーザとフースーヤの 夢の」
DEATH DEVIL「夢の」
SAWAKO「コーラーボーレーション!!」
DEATH DEVIL「ダ・ブ・ル メ・テ・オ !!」
SAWAKO「メテオはすごいぜないと困るぜ やはりメテオが最強だろ」
観客「ヘイ!!」
SAWAKO「ファイファンⅣならやっぱり 最強魔法はメテオ」
SAWAKO「でも俺ァ DS版 もってねえよ!!」
DEATH DEVIL「ふざけんな!!」
観客「ヘイ ヘイ ヘイ ヘイ」
SAWAKO「1・2・3・4 ME・TE・O!!」
観客「ヘイ ヘイ ヘイ ヘイ」
SAWAKO「1・2・3・4」
観客「ME・TE・O!!」
118: 2010/11/02(火) 20:02:09.35 ID:9wmiMbAo
隕石雨が、激しくなってくる。
赤熱したフィフス・ルナが落ちてくるのが見える。
ポタラ宮にも小さな隕石がぶつかり始め、観客の中にも乗用車ほどの隕石が落下した。
CLIMAXは、SAWAKOのMCだ!!
SAWAKO「隕石キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! テメーらもう一息だぜ!! パワーをメテオに!!」
観客「いいですともおぉぉぉぉ!!」
次の瞬間、隕石落下の衝撃波が数万の観客とSAWAKO達を吹き飛ばし、ポタラ博物館の壁を粉々に剥がした。
地球圏のトップ・アーティスト、山中SAWAKOとDEATH DEVILの最期であった。
番外編 隕石のあとさき! おわり
赤熱したフィフス・ルナが落ちてくるのが見える。
ポタラ宮にも小さな隕石がぶつかり始め、観客の中にも乗用車ほどの隕石が落下した。
CLIMAXは、SAWAKOのMCだ!!
SAWAKO「隕石キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!! テメーらもう一息だぜ!! パワーをメテオに!!」
観客「いいですともおぉぉぉぉ!!」
次の瞬間、隕石落下の衝撃波が数万の観客とSAWAKO達を吹き飛ばし、ポタラ博物館の壁を粉々に剥がした。
地球圏のトップ・アーティスト、山中SAWAKOとDEATH DEVILの最期であった。
番外編 隕石のあとさき! おわり
119: 2010/11/02(火) 20:03:15.76 ID:9wmiMbAo
番外編、酷すぎた。
すまない。 としか言いようがない。
明日は、第五話 陽動!
本当に済まない。
すまない。 としか言いようがない。
明日は、第五話 陽動!
本当に済まない。
121: 2010/11/03(水) 19:54:04.86 ID:BWUGZBUo
再開します。
第五話 陽動!
ブリーフィングルームでは、律が艦長に文句を垂れていた。
和の前でいじめると、艦長はなんとも言えない情けない表情になる。
それが面白くて、律はこうして艦長に絡むのが日課になっていたのである。
慇懃に敬語を使い、艦長をいつもの通り追い詰める。
律「サイド2からレーザー攻撃でフィフス・ルナを破壊するという計画はどうなったのですか? 艦長殿?」
艦長「ネオ・ジオン派の工作員に阻止されたらしい…」フニャ
律「アテにならない計画でしたねぇ…で、敵はどこへ向かっているのですか? 艦長殿?」
艦長「スウィート・ウォーターに帰投中だと思うが、月に行くようにも、サイド1に行くようにも見える…」フニュ
律「つまり分からないと…?」
艦長「…それがわかれば苦労はしないさ…」ヘニャ
律「あ~あ、また後手後手かよ!」
艦長「…」シュン
耐え切れなくなった和が、律を制する。
和「律! 言い過ぎよ! サイド2のレーザーのことも、敵の進路がいまいち掴めないことも、別に艦長が悪いわけじゃないでしょ!」
第五話 陽動!
ブリーフィングルームでは、律が艦長に文句を垂れていた。
和の前でいじめると、艦長はなんとも言えない情けない表情になる。
それが面白くて、律はこうして艦長に絡むのが日課になっていたのである。
慇懃に敬語を使い、艦長をいつもの通り追い詰める。
律「サイド2からレーザー攻撃でフィフス・ルナを破壊するという計画はどうなったのですか? 艦長殿?」
艦長「ネオ・ジオン派の工作員に阻止されたらしい…」フニャ
律「アテにならない計画でしたねぇ…で、敵はどこへ向かっているのですか? 艦長殿?」
艦長「スウィート・ウォーターに帰投中だと思うが、月に行くようにも、サイド1に行くようにも見える…」フニュ
律「つまり分からないと…?」
艦長「…それがわかれば苦労はしないさ…」ヘニャ
律「あ~あ、また後手後手かよ!」
艦長「…」シュン
耐え切れなくなった和が、律を制する。
和「律! 言い過ぎよ! サイド2のレーザーのことも、敵の進路がいまいち掴めないことも、別に艦長が悪いわけじゃないでしょ!」
122: 2010/11/03(水) 19:54:54.98 ID:BWUGZBUo
その言葉を聞いて、艦長が和に縋りつくような視線を向ける。
艦長「真鍋少尉…助けてくれるのか?」パアァ
和「勘違いしないでください!!ミーティングの進行上無駄な意見だと思ったから制したまでです!!」
律「和も艦長に冷たすぎるなあ…意識してるのか?」ニヤニヤ
純「そうかも知れませんね! きらいきらいもスキのうち!」
和「あなた達…いい加減にしなさい!!」
紬「ハァ…またこれだ…」イライラ
澪「とにかく、敵がどう動くかわからないのだから、監視を続ける必要がありますよね。」
艦長「…そうだ。 シャアは隕石を落として地球を寒冷化させるのが目的らしい。 どれくらい本気なのかわからんが、今回のフィフス・ルナ落としではまだそれは完全じゃない。」
艦長「というわけで、奴らから目が離せんのだ!」
艦長「真鍋少尉…助けてくれるのか?」パアァ
和「勘違いしないでください!!ミーティングの進行上無駄な意見だと思ったから制したまでです!!」
律「和も艦長に冷たすぎるなあ…意識してるのか?」ニヤニヤ
純「そうかも知れませんね! きらいきらいもスキのうち!」
和「あなた達…いい加減にしなさい!!」
紬「ハァ…またこれだ…」イライラ
澪「とにかく、敵がどう動くかわからないのだから、監視を続ける必要がありますよね。」
艦長「…そうだ。 シャアは隕石を落として地球を寒冷化させるのが目的らしい。 どれくらい本気なのかわからんが、今回のフィフス・ルナ落としではまだそれは完全じゃない。」
艦長「というわけで、奴らから目が離せんのだ!」
123: 2010/11/03(水) 19:55:50.05 ID:BWUGZBUo
唯「隕石落としなんて…どうしてそんな事をするんだろう?」
和「地球に人が住み続けるのが気に入らないそうよ。地球から、宇宙を見上げるだけの人々は粛清して、地球を自然に返したいって言うのがこの数ヶ月で分かった彼の意見ね。」
唯「隕石落として核で汚染したら自然も無くなっちゃうよ。 そしたら地球は、敵が落とした隕石とあまり変わらない星になっちゃうんだよ。」
和「地球から宇宙を見上げている人々を批判しておいて、私には彼らは宇宙から地球を見下ろしているだけに思えるわ。」
純(また難しい話だ…暇だなあ。)
和「彼らにとっては、地球はあくまでシンボルだから、何も住めない星になってしまっても、その青い姿を宇宙から確認できれば満足なんでしょうね。」
唯「そんなの良くないよ…絶対止めなきゃ!!」
梓「ですね!!」
艦長「まあ、私の言いたいことは、これからはいきなり状況が動くこともありうるから、いつでも動けるようにしてくれ、ということだ。」
和「地球に人が住み続けるのが気に入らないそうよ。地球から、宇宙を見上げるだけの人々は粛清して、地球を自然に返したいって言うのがこの数ヶ月で分かった彼の意見ね。」
唯「隕石落として核で汚染したら自然も無くなっちゃうよ。 そしたら地球は、敵が落とした隕石とあまり変わらない星になっちゃうんだよ。」
和「地球から宇宙を見上げている人々を批判しておいて、私には彼らは宇宙から地球を見下ろしているだけに思えるわ。」
純(また難しい話だ…暇だなあ。)
和「彼らにとっては、地球はあくまでシンボルだから、何も住めない星になってしまっても、その青い姿を宇宙から確認できれば満足なんでしょうね。」
唯「そんなの良くないよ…絶対止めなきゃ!!」
梓「ですね!!」
艦長「まあ、私の言いたいことは、これからはいきなり状況が動くこともありうるから、いつでも動けるようにしてくれ、ということだ。」
124: 2010/11/03(水) 19:56:33.22 ID:BWUGZBUo
ミーティングが終わると、訓練だ。
ジェガンは経験した戦闘から、すぐにシミュレーターを作り出せる。
澪は恵が氏んでから、暇さえあればこのシミュレーターで訓練していた。
それに、他のメンバーも付き合っているのだ。
澪「よし、今日もやるぞ!」
和「前回の戦闘で分かったと思うけど、個人の腕よりもチームワークを優先して訓練してね。」
澪「分かっている、律、準備はいいか?」
律「いつでもOKだぜ!」
唯「私達も行くよ、あずにゃん!!」
梓「はいです!!」
四人がそれぞれのコックピットハッチを閉め、シミュレーターを起動する。
ジェガンは経験した戦闘から、すぐにシミュレーターを作り出せる。
澪は恵が氏んでから、暇さえあればこのシミュレーターで訓練していた。
それに、他のメンバーも付き合っているのだ。
澪「よし、今日もやるぞ!」
和「前回の戦闘で分かったと思うけど、個人の腕よりもチームワークを優先して訓練してね。」
澪「分かっている、律、準備はいいか?」
律「いつでもOKだぜ!」
唯「私達も行くよ、あずにゃん!!」
梓「はいです!!」
四人がそれぞれのコックピットハッチを閉め、シミュレーターを起動する。
125: 2010/11/03(水) 19:57:08.18 ID:BWUGZBUo
紬「私たちはいいの?」
和「昨日みっちりやったし、今日は休みましょう。 休息も仕事のうちよ。」
純「やったあ! 休みだ!!」ヤッホーイ
和「あなたは訓練してなさい!!」
純「は~い…」ションボリ
和「私は対ファンネル戦術を論文にまとめる作業をすすめるわ。 これを全部隊に徹底すれば、サイコミュ兵器全般が驚異でなくなると思うし。」
紬「忙しいのね、手伝う?」
和「ありがたいわ。 お願い。」
純がジェガンのコックピットに入り込むのを確認してから、和と紬はMSデッキをあとにした。
ちゃんと見ていないと、純はサボるかも知れないのだ。
和「昨日みっちりやったし、今日は休みましょう。 休息も仕事のうちよ。」
純「やったあ! 休みだ!!」ヤッホーイ
和「あなたは訓練してなさい!!」
純「は~い…」ションボリ
和「私は対ファンネル戦術を論文にまとめる作業をすすめるわ。 これを全部隊に徹底すれば、サイコミュ兵器全般が驚異でなくなると思うし。」
紬「忙しいのね、手伝う?」
和「ありがたいわ。 お願い。」
純がジェガンのコックピットに入り込むのを確認してから、和と紬はMSデッキをあとにした。
ちゃんと見ていないと、純はサボるかも知れないのだ。
126: 2010/11/03(水) 19:58:10.74 ID:BWUGZBUo
和の部屋に二人が向かう途中に艦長が待ち伏せていた。
紬は、それを見て露骨に嫌な顔をした。
艦長「真鍋少尉、ちょっといいかな?」
紬「…行きましょ、和ちゃん。」ムスッ
和「え…ええ…」
艦長「待ってくれ…大事な話なんだ…」
紬「和ちゃんは忙しいんです!!」ギロ
艦長「あうあう…ごめんなさい。」アタフタ
和「後で艦長室へ伺います。」
紬「その必要はないわよ。 どうせろくな事じゃないわ。」
艦長(琴吹少尉はなんだか非協力的だなあ…なんでだろう?)
艦長は、二人を見送ることしか出来なかった。
この弱腰が、彼のいけないところであった。
紬は、それを見て露骨に嫌な顔をした。
艦長「真鍋少尉、ちょっといいかな?」
紬「…行きましょ、和ちゃん。」ムスッ
和「え…ええ…」
艦長「待ってくれ…大事な話なんだ…」
紬「和ちゃんは忙しいんです!!」ギロ
艦長「あうあう…ごめんなさい。」アタフタ
和「後で艦長室へ伺います。」
紬「その必要はないわよ。 どうせろくな事じゃないわ。」
艦長(琴吹少尉はなんだか非協力的だなあ…なんでだろう?)
艦長は、二人を見送ることしか出来なかった。
この弱腰が、彼のいけないところであった。
127: 2010/11/03(水) 19:58:51.36 ID:BWUGZBUo
和と紬は論文をまとめる作業に入った。
増加装甲と散弾によるサイコミュ兵器対処の概念は、後のRGM-89S スタークジェガンの運用にも影響を与えることになる。
紬は作業の合間の休憩時間に、和に露骨に宣言した。
紬「和ちゃん、艦長にはあまり関わらない方がいいわ。」
和は、ちょっとムキになって聞き返す。
和「どうして?」
紬「和ちゃんのためを思って言ってるのよ。」
和「確かに艦長は私のことをのけ者にしてパイロットを辞めさせようとしているけど、積極的に働きかけないとこの状況は変わらないわよ。」
何故自分が艦長のことでムキになってしまうのか和はまだ分からない。
増加装甲と散弾によるサイコミュ兵器対処の概念は、後のRGM-89S スタークジェガンの運用にも影響を与えることになる。
紬は作業の合間の休憩時間に、和に露骨に宣言した。
紬「和ちゃん、艦長にはあまり関わらない方がいいわ。」
和は、ちょっとムキになって聞き返す。
和「どうして?」
紬「和ちゃんのためを思って言ってるのよ。」
和「確かに艦長は私のことをのけ者にしてパイロットを辞めさせようとしているけど、積極的に働きかけないとこの状況は変わらないわよ。」
何故自分が艦長のことでムキになってしまうのか和はまだ分からない。
128: 2010/11/03(水) 19:59:21.37 ID:BWUGZBUo
紬「違うのよ、艦長、和ちゃんのこと、いやらしい目で見ているのよ。」
和「え…そうなの?」
紬「そうよ、いつもジロジロとエOチな目で和ちゃんを見ているわ。」
和「…」
紬「ともかく、艦長はケダモノだから、もう和ちゃんから話しかけたりしちゃダメよ!」
和は、驚きを隠しきれない。
紬は、これで嫌なものを見なくて済むようになる、と考えていた。
しかし紬の誤算は、ここで和が艦長を避けるようになってくれると思ってしまったことだった。
和(まあ、あの腰抜けはどうせ何もできないから特別避けたりしなくてもいいわよね…)
真鍋 和は一筋縄で行くような人間では、なかった。
和「え…そうなの?」
紬「そうよ、いつもジロジロとエOチな目で和ちゃんを見ているわ。」
和「…」
紬「ともかく、艦長はケダモノだから、もう和ちゃんから話しかけたりしちゃダメよ!」
和は、驚きを隠しきれない。
紬は、これで嫌なものを見なくて済むようになる、と考えていた。
しかし紬の誤算は、ここで和が艦長を避けるようになってくれると思ってしまったことだった。
和(まあ、あの腰抜けはどうせ何もできないから特別避けたりしなくてもいいわよね…)
真鍋 和は一筋縄で行くような人間では、なかった。
129: 2010/11/03(水) 20:00:19.76 ID:BWUGZBUo
艦長室で、一人の女性が部屋の主の帰りを待っていた。
ドアが開く。
今まさに、その主が帰ってきたところだ。
艦長「スマンな、真鍋少尉が捕まらなかった。」
憂「そうですか…」
艦長「しかし医務官も人手不足だから、君のパイロットへの転向は認められそうにないぞ。 うちはパイロット多いし。」
憂「お願いします! パイロット適性はあったはずです! お姉ちゃんと一緒に戦いたいんです!!」
艦長「でも、パイロットになったからってすぐ実戦にでられるわけでもなくてな…始めは予備パイロットから…」
憂「とにかくお願いします!!」
艦長「ううむ…艦隊勤務やってきて、こんな事は初めてだ。」
憂は、姉の唯が着任してきてから、しきりにパイロットへの職域変換を希望してきたのである。
それを艦長は、和に相談しようと思っていたのだ。
艦長「取りあえず、また真鍋少尉に取り合ってみるから、今日のところは医務室の勤務に戻りなさい。」
憂「あの…私から和さんに相談するわけには…」
艦長「駄目だ!! 話がややこしくなってしまう!!」
本当は、和に会う口実が欲しいだけの艦長であった。
ドアが開く。
今まさに、その主が帰ってきたところだ。
艦長「スマンな、真鍋少尉が捕まらなかった。」
憂「そうですか…」
艦長「しかし医務官も人手不足だから、君のパイロットへの転向は認められそうにないぞ。 うちはパイロット多いし。」
憂「お願いします! パイロット適性はあったはずです! お姉ちゃんと一緒に戦いたいんです!!」
艦長「でも、パイロットになったからってすぐ実戦にでられるわけでもなくてな…始めは予備パイロットから…」
憂「とにかくお願いします!!」
艦長「ううむ…艦隊勤務やってきて、こんな事は初めてだ。」
憂は、姉の唯が着任してきてから、しきりにパイロットへの職域変換を希望してきたのである。
それを艦長は、和に相談しようと思っていたのだ。
艦長「取りあえず、また真鍋少尉に取り合ってみるから、今日のところは医務室の勤務に戻りなさい。」
憂「あの…私から和さんに相談するわけには…」
艦長「駄目だ!! 話がややこしくなってしまう!!」
本当は、和に会う口実が欲しいだけの艦長であった。
130: 2010/11/03(水) 20:02:29.97 ID:BWUGZBUo
姫子は、ブリーフィングルームを訪れていた。
信代もいる。
戦術士官「今回の任務は陽動だから、この艦からは一個小隊も出せばいい。損害は出さないようにしろ。」
信代「どんな作戦なんです?」
戦術士官「総帥のランチが連邦政府との交渉のため、ロンデニオンへ向かう。それをロンド・ベルの目から逸らすだけの作戦だ。」
信代「強化人間にうってつけの作戦じゃないか。」
姫子「そんないい方ってないでしょ!? それに彼女はまだ本調子じゃないの!」
嘘だった。
姫子は単純にいちごをなるべく戦闘に参加させたくないのだ。
サイコミュを使えばまた苦しむことになるからである。
大丈夫、とは言うものの、いちごの苦しみ方は尋常でなないと姫子は感じていたのだ。
信代もいる。
戦術士官「今回の任務は陽動だから、この艦からは一個小隊も出せばいい。損害は出さないようにしろ。」
信代「どんな作戦なんです?」
戦術士官「総帥のランチが連邦政府との交渉のため、ロンデニオンへ向かう。それをロンド・ベルの目から逸らすだけの作戦だ。」
信代「強化人間にうってつけの作戦じゃないか。」
姫子「そんないい方ってないでしょ!? それに彼女はまだ本調子じゃないの!」
嘘だった。
姫子は単純にいちごをなるべく戦闘に参加させたくないのだ。
サイコミュを使えばまた苦しむことになるからである。
大丈夫、とは言うものの、いちごの苦しみ方は尋常でなないと姫子は感じていたのだ。
131: 2010/11/03(水) 20:03:46.72 ID:BWUGZBUo
信代「じゃあ貸しにしとこうか? 私と潮が出るからさ。」
姫子「太田さんの代わりに私が出るわ。 それで貸し借りなしでしょ。」
姫子は直感的に、信代に貸しは作れないような気がした。
いちごをいじめているような相手である。当然の判断だと思った。
信代「強化人間はアレだけど、あんたなら信頼できる。 後ろは任せたよ!」
姫子「決まりね。 戦術士官殿、うちからはあたし達2機で行きます。」
姫子は、このさっぱりした性格の持ち主が、何故いちごをいじめるのか理解できなかった。
姫子「太田さんの代わりに私が出るわ。 それで貸し借りなしでしょ。」
姫子は直感的に、信代に貸しは作れないような気がした。
いちごをいじめているような相手である。当然の判断だと思った。
信代「強化人間はアレだけど、あんたなら信頼できる。 後ろは任せたよ!」
姫子「決まりね。 戦術士官殿、うちからはあたし達2機で行きます。」
姫子は、このさっぱりした性格の持ち主が、何故いちごをいじめるのか理解できなかった。
132: 2010/11/03(水) 20:04:38.42 ID:BWUGZBUo
いちごの部屋に行くと、最初に彼女から発せられた言葉に姫子は度肝を抜かれた。
いちご「作戦があるの?」
姫子「そ…そうよ、今回は私だけでいいの。 あなたは休んでて。」
とっさのことだったので、嘘は言えなかった。
すかさずいちごが姫子の予想通りの反応をする。
いちご「私も行く。」
姫子「ダメよ、あなたは少し働き過ぎだわ!」
いちご「問題ない。 それに、ちゃんと戦わないと役に立たないと思われて廃棄処分される。 あなたの役に立ちたい。 連れて行って。」
姫子「あなたは疲れているわ。 それに今度ヤクト・ドーガとか言うのを使わせてもらえるみたいだから、上もあなたのこと、ちゃんと認めているのよ。 処分なんてされないわ。」
いちご「…」
姫子「今日は、しっかりと休息を取ること。 分かった?」
いちご「…分かった。」
いちご「作戦があるの?」
姫子「そ…そうよ、今回は私だけでいいの。 あなたは休んでて。」
とっさのことだったので、嘘は言えなかった。
すかさずいちごが姫子の予想通りの反応をする。
いちご「私も行く。」
姫子「ダメよ、あなたは少し働き過ぎだわ!」
いちご「問題ない。 それに、ちゃんと戦わないと役に立たないと思われて廃棄処分される。 あなたの役に立ちたい。 連れて行って。」
姫子「あなたは疲れているわ。 それに今度ヤクト・ドーガとか言うのを使わせてもらえるみたいだから、上もあなたのこと、ちゃんと認めているのよ。 処分なんてされないわ。」
いちご「…」
姫子「今日は、しっかりと休息を取ること。 分かった?」
いちご「…分かった。」
133: 2010/11/03(水) 20:05:14.10 ID:BWUGZBUo
姫子は物分りのよすぎるいちごに何の疑いも持たなかった。
作戦の話題は避けて、話を別に持っていく。
姫子「この作戦が終わったら、スウィート・ウォーターへ一度帰れるでしょ? そしたら上陸して、色々なとこに行こうね。」
いちご「色々な、ところ?」
姫子「そう! きっと楽しいよ!」
そう言うと、姫子がいちごに背中を向けて
姫子「そろそろ時間かな…じゃあ行って来るね!」
と、言いながら、部屋を出て行った。
部屋に残されたいちごは
いちご「色々な、ところ…」
独り、そう呟いていた。
それから少しして、艦内放送のスイッチが入る音が、ぷつりと響いた。
総帥の訓示である。
「フィフス・ルナ落としの作戦は、ネオ・ジオン軍として初めての艦隊作戦であった。 この作戦で諸君らの働きを見せてもらい、感動している…」
いちご「色々なところ…楽しみ…。」
いちごには、その放送が全く聞こえなかった。
作戦の話題は避けて、話を別に持っていく。
姫子「この作戦が終わったら、スウィート・ウォーターへ一度帰れるでしょ? そしたら上陸して、色々なとこに行こうね。」
いちご「色々な、ところ?」
姫子「そう! きっと楽しいよ!」
そう言うと、姫子がいちごに背中を向けて
姫子「そろそろ時間かな…じゃあ行って来るね!」
と、言いながら、部屋を出て行った。
部屋に残されたいちごは
いちご「色々な、ところ…」
独り、そう呟いていた。
それから少しして、艦内放送のスイッチが入る音が、ぷつりと響いた。
総帥の訓示である。
「フィフス・ルナ落としの作戦は、ネオ・ジオン軍として初めての艦隊作戦であった。 この作戦で諸君らの働きを見せてもらい、感動している…」
いちご「色々なところ…楽しみ…。」
いちごには、その放送が全く聞こえなかった。
134: 2010/11/03(水) 20:06:10.55 ID:BWUGZBUo
ムサカ3番艦のカタパルトから、信代、姫子の2機のギラ・ドーガが射出された。
シャクルズというSFSに2機が取り付き、そのまま加速する。
信代「陽動で氏んだらつまんないからね、適当にやって引くよ。」
姫子「了解。」
2機を乗せたシャクルズが、敵に察知されるかされないかの距離まで来たとき、いちごはハンガーに固定されている自機のコックピットに滑り込んでいた。
MSを起動させると、ブリッジから通信が入る。
戦術士官「サイコミュ試験型の出撃命令は出ていないぞ!!」
いちご「立花さんの側に…行かせて。」
3番艦艦長「射出しろ! シャクルズの使用を許可する!」
いちご「感謝する。」
いちごのサイコミュ試験型が1機だけ遅れて射出される。
それを見送ると、戦術士官が恐る恐る口を開いた。
戦術士官「…いいのですか?」
3番艦艦長「まあ、いいんじゃないか? 数が多いほうが陽動と気付かれにくいしな。」
要は、失敗作の強化人間のことなど、どうでも良かったのである。
シャクルズというSFSに2機が取り付き、そのまま加速する。
信代「陽動で氏んだらつまんないからね、適当にやって引くよ。」
姫子「了解。」
2機を乗せたシャクルズが、敵に察知されるかされないかの距離まで来たとき、いちごはハンガーに固定されている自機のコックピットに滑り込んでいた。
MSを起動させると、ブリッジから通信が入る。
戦術士官「サイコミュ試験型の出撃命令は出ていないぞ!!」
いちご「立花さんの側に…行かせて。」
3番艦艦長「射出しろ! シャクルズの使用を許可する!」
いちご「感謝する。」
いちごのサイコミュ試験型が1機だけ遅れて射出される。
それを見送ると、戦術士官が恐る恐る口を開いた。
戦術士官「…いいのですか?」
3番艦艦長「まあ、いいんじゃないか? 数が多いほうが陽動と気付かれにくいしな。」
要は、失敗作の強化人間のことなど、どうでも良かったのである。
135: 2010/11/03(水) 20:06:37.36 ID:BWUGZBUo
敵をキャッチした、ラー・チャター艦内にけたたましいサイレンの音が響き渡った。
通信手「敵MS確認!! MS部隊は迎撃翌用意!!」
唯達は、普段では考えられないような俊敏な動きでMSのコックピットに滑り込み、ジェガンを起動させた。
唯「あずにゃん!!」
梓「行くです!!」
和「月とサイド1の中間で…どういう作戦なのかしら…二人共、準備はいい?」
純「いつでもどうぞ!!」
紬「いいわよ!!」
律「澪、怖くないか!!」
澪「大丈夫だ!!」
通信手「敵MS確認!! MS部隊は迎撃翌用意!!」
唯達は、普段では考えられないような俊敏な動きでMSのコックピットに滑り込み、ジェガンを起動させた。
唯「あずにゃん!!」
梓「行くです!!」
和「月とサイド1の中間で…どういう作戦なのかしら…二人共、準備はいい?」
純「いつでもどうぞ!!」
紬「いいわよ!!」
律「澪、怖くないか!!」
澪「大丈夫だ!!」
136: 2010/11/03(水) 20:07:07.12 ID:BWUGZBUo
その時、ノーマルスーツ格納庫では、憂がパイロット用スーツを着込んでいた。
もちろん命令されたわけではない。独断行動である。
憂「これでよし…何食わぬ顔していればバレないよね…」
通路に出る。
不安だったが、誰も怪しむものはいなかった。
憂「私が待ってばかりいても、敵は待ってくれない…そしていつお姉ちゃんがやられるか分からない…」
憂「なら、無理してでも自分から動くしかないよね…」
憂は、損傷したMSばかりになった格納庫に漂い、まだ新しい予備機のジェガンに吸い込まれるように乗り込んだ。
もちろん命令されたわけではない。独断行動である。
憂「これでよし…何食わぬ顔していればバレないよね…」
通路に出る。
不安だったが、誰も怪しむものはいなかった。
憂「私が待ってばかりいても、敵は待ってくれない…そしていつお姉ちゃんがやられるか分からない…」
憂「なら、無理してでも自分から動くしかないよね…」
憂は、損傷したMSばかりになった格納庫に漂い、まだ新しい予備機のジェガンに吸い込まれるように乗り込んだ。
137: 2010/11/03(水) 20:08:12.20 ID:BWUGZBUo
出撃すると、すぐに戦端が開かれた。
和「唯達は右、律達は左!! 私たちは中央で、攻撃があればサイコミュ対処!!」
シャクルズから散開したギラ・ドーガにビームライフルを撃ちまくる。
和は、手応えの無さに顔をしかめた。
和「接近してこないわ…攻める気がないのかしら…?」
しかし、戦場を見ると、激しい攻撃が行われている場所もある。
唯「あ! ラー・カイラムが攻撃された!」
深くまで突っ込み、ラー・カイラムに取り付く数機の編隊と、つかず離れずで戦いを避けているようにも見える編隊。
和は意味が分からなくなった。
和「敵の動きが変! 何かの罠かもしれないわ! 気をつけて!!」
和は、警戒しながら防御の態勢をとった。
優秀ではあっても経験の浅い和には、こういうハッキリしない状況は判別のしようがなかった。
だから、防御を固めて様子をみるしか無かったのである。
和「唯達は右、律達は左!! 私たちは中央で、攻撃があればサイコミュ対処!!」
シャクルズから散開したギラ・ドーガにビームライフルを撃ちまくる。
和は、手応えの無さに顔をしかめた。
和「接近してこないわ…攻める気がないのかしら…?」
しかし、戦場を見ると、激しい攻撃が行われている場所もある。
唯「あ! ラー・カイラムが攻撃された!」
深くまで突っ込み、ラー・カイラムに取り付く数機の編隊と、つかず離れずで戦いを避けているようにも見える編隊。
和は意味が分からなくなった。
和「敵の動きが変! 何かの罠かもしれないわ! 気をつけて!!」
和は、警戒しながら防御の態勢をとった。
優秀ではあっても経験の浅い和には、こういうハッキリしない状況は判別のしようがなかった。
だから、防御を固めて様子をみるしか無かったのである。
138: 2010/11/03(水) 20:10:55.37 ID:BWUGZBUo
敵に接近しすぎないように、攻撃に使うのは信代のランゲ・ブルーノ砲だけである。主に艦に向かって撃つのだ。
姫子はそれを掩護するだけだ。
任務はあくまで陽動である。これで充分なのだ。
信代「ちょろいもんだね。」
戦場を見回すと、敵に深く突っ込むギラ・ドーガの編隊が見える。
姫子「真面目にやってるMS隊もいる。 どこの機体かな?」
信代「レOンの編隊じゃないか? 目立つ色に機体を塗っちゃったりしてさ、ありゃいつか氏ぬよ。」
信代「あ~あ、奴に引っ張られて他の連中も随分頑張っちゃっているね…ただの無駄氏にだ!」
姫子「そういう酷いこと言っちゃ駄目じゃない!」
2機は、レOンの編隊に流されずにそのままの調子で陽動を続けた。
信代の言う通り、ただの時間稼ぎで損害を出したらつまらないのだ。
姫子はそれを掩護するだけだ。
任務はあくまで陽動である。これで充分なのだ。
信代「ちょろいもんだね。」
戦場を見回すと、敵に深く突っ込むギラ・ドーガの編隊が見える。
姫子「真面目にやってるMS隊もいる。 どこの機体かな?」
信代「レOンの編隊じゃないか? 目立つ色に機体を塗っちゃったりしてさ、ありゃいつか氏ぬよ。」
信代「あ~あ、奴に引っ張られて他の連中も随分頑張っちゃっているね…ただの無駄氏にだ!」
姫子「そういう酷いこと言っちゃ駄目じゃない!」
2機は、レOンの編隊に流されずにそのままの調子で陽動を続けた。
信代の言う通り、ただの時間稼ぎで損害を出したらつまらないのだ。
139: 2010/11/03(水) 20:11:22.89 ID:BWUGZBUo
和が異変を感じ取ったのと同時に、艦では予備機のジェガンがエレベーターでカタパルトまでせりあがってきた。
艦長は、それを見て軽いめまいを覚えた。
艦長「おい! そのジェガン! 誰が乗っているんだ!!」
憂「私、お姉ちゃんのところに行きます!!」
艦長「平沢妹か!! やめろ!!」
艦長「カタパルトを使わせるな!!」
カタパルトが駄目と分かるやいなや、憂のジェガンはカタパルトのロックを外して宇宙空間に浮かび上がり、そのまま戦闘宙域に消えていった。
艦長「あいつ、帰ってきたら独房入りだぞ!!」
あくまで帰ってくることができたらだ、と艦長は思った。
艦長は、それを見て軽いめまいを覚えた。
艦長「おい! そのジェガン! 誰が乗っているんだ!!」
憂「私、お姉ちゃんのところに行きます!!」
艦長「平沢妹か!! やめろ!!」
艦長「カタパルトを使わせるな!!」
カタパルトが駄目と分かるやいなや、憂のジェガンはカタパルトのロックを外して宇宙空間に浮かび上がり、そのまま戦闘宙域に消えていった。
艦長「あいつ、帰ってきたら独房入りだぞ!!」
あくまで帰ってくることができたらだ、と艦長は思った。
140: 2010/11/03(水) 20:12:01.83 ID:BWUGZBUo
憂は、初めて乗るMSの挙動に驚愕していた。
憂「動きが…軽い!!」
一度だけ、唯にシミュレーターをやらせてもらったことがある。
しかし、Gを体に感じる実機は、コンピューターのシミュレーションとは全く違うものだった。
憂「ええっと…敵は?…お姉ちゃんは…?」
唯達は艦の付近で防御の隊形を取っていたのだが、
よく周りも見ずに逃げるように艦から離れた憂には見つけることが出来ない。
姉の事を考えると、無線に呼びかけることも出来なかった。
戦闘中に気を散らせたらマズイという配慮である。
憂は、広い宇宙空間で、戦場の光を頼りに一人で姉達を探すことにした。
そしてそれは、最も間違った選択であった。
憂「動きが…軽い!!」
一度だけ、唯にシミュレーターをやらせてもらったことがある。
しかし、Gを体に感じる実機は、コンピューターのシミュレーションとは全く違うものだった。
憂「ええっと…敵は?…お姉ちゃんは…?」
唯達は艦の付近で防御の隊形を取っていたのだが、
よく周りも見ずに逃げるように艦から離れた憂には見つけることが出来ない。
姉の事を考えると、無線に呼びかけることも出来なかった。
戦闘中に気を散らせたらマズイという配慮である。
憂は、広い宇宙空間で、戦場の光を頼りに一人で姉達を探すことにした。
そしてそれは、最も間違った選択であった。
141: 2010/11/03(水) 20:12:39.00 ID:BWUGZBUo
いちごは、戦場を俯瞰していた。
出てきたはいいものの、姫子が危ないという感じはない。
そうでないなら、彼女に姿を見せない方がいいのだ。
姫子に心配を掛けることが、今のいちごにとって一番辛いことだった。
いちご「敵は…混乱しているの?」
自分たちを苦しめた敵は、陽動をそれと読み切れずに、浮わついた動きをしている。
いちご「ロンド・ベルとはいえ、所詮は素人…。」
その時いちごは、ふらふらと迷うように戦場を移動するジェガンを見つけた。
いちご「素人だから、あんなのも出てくる…あれなら…」
シャクルズを、さ迷うジェガンの方に前進させる。
いちご「ファンネルなしでも、やれる!!」
ファンネルを使って自分が苦しむと、姫子が泣く。
そう思っていちごは、シャクルズから離脱し、腹部のメガ粒子砲をジェガンに向けて発射した。
出てきたはいいものの、姫子が危ないという感じはない。
そうでないなら、彼女に姿を見せない方がいいのだ。
姫子に心配を掛けることが、今のいちごにとって一番辛いことだった。
いちご「敵は…混乱しているの?」
自分たちを苦しめた敵は、陽動をそれと読み切れずに、浮わついた動きをしている。
いちご「ロンド・ベルとはいえ、所詮は素人…。」
その時いちごは、ふらふらと迷うように戦場を移動するジェガンを見つけた。
いちご「素人だから、あんなのも出てくる…あれなら…」
シャクルズを、さ迷うジェガンの方に前進させる。
いちご「ファンネルなしでも、やれる!!」
ファンネルを使って自分が苦しむと、姫子が泣く。
そう思っていちごは、シャクルズから離脱し、腹部のメガ粒子砲をジェガンに向けて発射した。
142: 2010/11/03(水) 20:13:54.41 ID:BWUGZBUo
憂「うわっ!!」
憂は、刺すような殺気を感じて、反射的にジェガンを操作していた。
紙一重でメガ粒子ビームが抜けていく。
憂「ライフルを…」
撃つ。
敵がビームをかわす航跡がスラスター光で確認できる。
殺気。
避けた。と同時にビームが飛んできた。
憂「シミュレーター通りだ…やれる!!」
ビームを避けると、自信が湧いてきた。
姉が自分を自慢する声が脳裏に響く。
唯『憂はよくできた妹です!』
憂「そうだよ、お姉ちゃん! 私、出来るよ!」
来る、と思って避けると、やはりビームが抜けていった。
こうなれば、確信を持って回避行動に移ることが出来る。
憂の手が、滑らかにアーム・レイカーを操作し、その足がフットペダルを適正な量だけ踏みつける。
そして、ジェガンは与えられた性能をフルに発揮して滑らかに宇宙空間を泳ぐのだ。
憂は、刺すような殺気を感じて、反射的にジェガンを操作していた。
紙一重でメガ粒子ビームが抜けていく。
憂「ライフルを…」
撃つ。
敵がビームをかわす航跡がスラスター光で確認できる。
殺気。
避けた。と同時にビームが飛んできた。
憂「シミュレーター通りだ…やれる!!」
ビームを避けると、自信が湧いてきた。
姉が自分を自慢する声が脳裏に響く。
唯『憂はよくできた妹です!』
憂「そうだよ、お姉ちゃん! 私、出来るよ!」
来る、と思って避けると、やはりビームが抜けていった。
こうなれば、確信を持って回避行動に移ることが出来る。
憂の手が、滑らかにアーム・レイカーを操作し、その足がフットペダルを適正な量だけ踏みつける。
そして、ジェガンは与えられた性能をフルに発揮して滑らかに宇宙空間を泳ぐのだ。
143: 2010/11/03(水) 20:15:03.20 ID:BWUGZBUo
唯『すごいね憂! 操縦、私より上手いよ!!』
憂「私、お姉ちゃんの、自慢の妹だから!!」
敵が、近い。
憂がアーム・レイカーのフィンガーホール内にある武装の切り替えスイッチを押すと、ジェガンの装備はライフルからサーベルに持ち変えられた。
そのまま、アーム・レイカーをさらに手前に引き込み、フットペダルをほぼ全開にして敵に急接近する。
その際、機動が直線的にならないように、
アーム・レイカーを細かく左右に捻り込み、フットペダルを踏む力に微かな強弱をつけることを忘れていない。
憂の腕と足の動きに連動して、ジェガンが上下左右に機体を揺らす。
回避機動をとりながら急接近しているのである。
目標との距離が接近すればするほど、少しの動きで目標がセンターから外れるようになる。
そのため、接近戦時は真っ直ぐ、単調に敵を追いかける機動を取りがちになり、それが大きな隙になるのだ。
だから、腕のいいパイロットはこうして細かく動きに変化をつけながら敵に接近する。
しかしこれは、ラー・チャターMS隊の誰もが、理論はわかるが実践は出来ない高等技術であった。
憂は、初めての操縦でそれをやっているのである。
憂「私、お姉ちゃんの、自慢の妹だから!!」
敵が、近い。
憂がアーム・レイカーのフィンガーホール内にある武装の切り替えスイッチを押すと、ジェガンの装備はライフルからサーベルに持ち変えられた。
そのまま、アーム・レイカーをさらに手前に引き込み、フットペダルをほぼ全開にして敵に急接近する。
その際、機動が直線的にならないように、
アーム・レイカーを細かく左右に捻り込み、フットペダルを踏む力に微かな強弱をつけることを忘れていない。
憂の腕と足の動きに連動して、ジェガンが上下左右に機体を揺らす。
回避機動をとりながら急接近しているのである。
目標との距離が接近すればするほど、少しの動きで目標がセンターから外れるようになる。
そのため、接近戦時は真っ直ぐ、単調に敵を追いかける機動を取りがちになり、それが大きな隙になるのだ。
だから、腕のいいパイロットはこうして細かく動きに変化をつけながら敵に接近する。
しかしこれは、ラー・チャターMS隊の誰もが、理論はわかるが実践は出来ない高等技術であった。
憂は、初めての操縦でそれをやっているのである。
144: 2010/11/03(水) 20:15:38.73 ID:BWUGZBUo
憂「お姉ちゃん! こいつを倒して、すぐに行くからね!!」
敵はすぐそこだ、必ず勝って、お姉ちゃんの所に戻る。
みんなにパイロットとして認めてもらい、側でお姉ちゃんを守ってあげる。
脳裏に焼き付けている唯の顔が、笑顔になった。
もう一度それを見るまで、私は[ピーーー]ない。
敵はすぐそこだ、必ず勝って、お姉ちゃんの所に戻る。
みんなにパイロットとして認めてもらい、側でお姉ちゃんを守ってあげる。
脳裏に焼き付けている唯の顔が、笑顔になった。
もう一度それを見るまで、私は[ピーーー]ない。
145: 2010/11/03(水) 20:16:17.38 ID:BWUGZBUo
氏ねない ね。
146: 2010/11/03(水) 20:17:42.23 ID:BWUGZBUo
素人みたいな敵に、ことごとくビームを避けられた。
いちごは、驚きを隠しきれない。
しかも攻撃をかわすたびに、敵の動きはシャープになってくる。
最早素人の動きではない。
いちご「ニュータイプとでも、言うの?」
ファンネルを、と思ったが、やめた。
姫子の言いつけを破って出てきてしまったのだ。
それを謝るだけにしたい。
何食わぬ顔で帰ってきて、元気なところを彼女に見せるのだ。
心に刻み込んだ、姫子の笑顔が心を揺らす。
いちご「私に、あいつほどの才能があれば、きっとファンネルも上手く扱える…」
具合が悪くならない戦い方が出来れば、次から安心して作戦に連れて行ってもらえる。
今みたいに、嘘を付いてこっそり後から行くのではなく、堂々と、彼女が危ない時に側で助けてあげられる。
心配を、かけることなく。
いちごは、驚きを隠しきれない。
しかも攻撃をかわすたびに、敵の動きはシャープになってくる。
最早素人の動きではない。
いちご「ニュータイプとでも、言うの?」
ファンネルを、と思ったが、やめた。
姫子の言いつけを破って出てきてしまったのだ。
それを謝るだけにしたい。
何食わぬ顔で帰ってきて、元気なところを彼女に見せるのだ。
心に刻み込んだ、姫子の笑顔が心を揺らす。
いちご「私に、あいつほどの才能があれば、きっとファンネルも上手く扱える…」
具合が悪くならない戦い方が出来れば、次から安心して作戦に連れて行ってもらえる。
今みたいに、嘘を付いてこっそり後から行くのではなく、堂々と、彼女が危ない時に側で助けてあげられる。
心配を、かけることなく。
147: 2010/11/03(水) 20:18:21.86 ID:BWUGZBUo
いちご「そうすれば、立花さんも悲しまない…。」
自分を抱き締めて泣いた姫子の顔が、脳裏に浮かぶ。
そしてそうさせてしまった自分の情け無さを、噛み締める。
いちごは、気が付くとコックピット内で叫びだしていた。
それは、彼女にとって初めての体験である。
いちご「…その才能、憎い…憎い、憎い、憎い!!」
目の前の敵を見据える。
コイツには分かるまい。大切な人を泣かせてしまう辛さなど。
私の、苦しみなど。
自分を抱き締めて泣いた姫子の顔が、脳裏に浮かぶ。
そしてそうさせてしまった自分の情け無さを、噛み締める。
いちごは、気が付くとコックピット内で叫びだしていた。
それは、彼女にとって初めての体験である。
いちご「…その才能、憎い…憎い、憎い、憎い!!」
目の前の敵を見据える。
コイツには分かるまい。大切な人を泣かせてしまう辛さなど。
私の、苦しみなど。
148: 2010/11/03(水) 20:19:10.55 ID:BWUGZBUo
いちご「…頃す。」
サーベルを発振する。
ファンネルを使わなかったのは、ちょっとマズかったかな、と思ったが、もう遅い。
でも、必ず生き残って、スウィート・ウォーターに帰って立花さんと一緒に色々なところに行く
。
楽しみにしている未来の予定があるのだ。
こんな所で、私は氏ねない。
サーベルを発振する。
ファンネルを使わなかったのは、ちょっとマズかったかな、と思ったが、もう遅い。
でも、必ず生き残って、スウィート・ウォーターに帰って立花さんと一緒に色々なところに行く
。
楽しみにしている未来の予定があるのだ。
こんな所で、私は氏ねない。
149: 2010/11/03(水) 20:19:37.81 ID:BWUGZBUo
サーベルとサーベルがぶつかり合い、スパークがはじけた。
一度離れた後、お互いがサーベルを構えて、突進する。
次の瞬間に、あっさりと勝負は付いていた。
一度離れた後、お互いがサーベルを構えて、突進する。
次の瞬間に、あっさりと勝負は付いていた。
150: 2010/11/03(水) 20:20:29.90 ID:BWUGZBUo
戦場の信代に、艦から通信が入る。
民間機がいる、というのである。
敵と戦っている連中もそれに気づいたのか、後退の発光信号も見える。
信代「民間機が居るのか? それじゃあ戦闘は続けられないねえ。」
2機は、素早く撤退する。
姫子「あたし達の損害は、無しね!」
信代「こんな戦闘で氏んじまう奴は、アホだからね。」
姫子「どうしてそう口が悪いの?」
信代「軍隊なんてやってると、自然とこうなってしまうだろう?」
姫子「そんな理由で、いじめもやるの?」
信代「それとこれは別。 あいつは気に食わないんだよ。」
姫子「彼女は必氏に頑張っているのに!」
信代「お説教は聞かないよ!」
姫子「ま…いっか。 もうあたしがいじめなんかさせないから!」
ムサカ3番艦が、見えてくる。
姫子は、そこで待っているいちごに会えるのが、うれしくてたまらなくなった。
民間機がいる、というのである。
敵と戦っている連中もそれに気づいたのか、後退の発光信号も見える。
信代「民間機が居るのか? それじゃあ戦闘は続けられないねえ。」
2機は、素早く撤退する。
姫子「あたし達の損害は、無しね!」
信代「こんな戦闘で氏んじまう奴は、アホだからね。」
姫子「どうしてそう口が悪いの?」
信代「軍隊なんてやってると、自然とこうなってしまうだろう?」
姫子「そんな理由で、いじめもやるの?」
信代「それとこれは別。 あいつは気に食わないんだよ。」
姫子「彼女は必氏に頑張っているのに!」
信代「お説教は聞かないよ!」
姫子「ま…いっか。 もうあたしがいじめなんかさせないから!」
ムサカ3番艦が、見えてくる。
姫子は、そこで待っているいちごに会えるのが、うれしくてたまらなくなった。
151: 2010/11/03(水) 20:21:02.46 ID:BWUGZBUo
戦闘が終わり、唯たちも帰投中だった。
澪「民間機はどうしたんだ?」
和「ラー・カイラムが収容したそうよ。」
律「しっかし、民間のシャトルがなんでこんな所にいたんだよ!! 邪魔だなあ!!」
和「損傷して流されてきたみたいよ。」
その時艦から、通信が入った。
艦長「平沢少尉は居るか?」
唯「はい…健在です。」
艦長「話がある。 艦に帰ったらすぐ艦長室に来い。」
それだけ言って、艦長は通信を切った。
律「唯、なんか問題起こしたのか? 艦長、なんか怖かったぞ。」
唯「ほえ? 私、何もしてないよ。」
梓「唯先輩のその言葉は信用出来ません。」
純「梓は相変わらず唯先輩に突っかかるね~。」ニヤニヤ
紬「純ちゃんいいところに突っ込むわねえ!」ポワポワ
澪「民間機はどうしたんだ?」
和「ラー・カイラムが収容したそうよ。」
律「しっかし、民間のシャトルがなんでこんな所にいたんだよ!! 邪魔だなあ!!」
和「損傷して流されてきたみたいよ。」
その時艦から、通信が入った。
艦長「平沢少尉は居るか?」
唯「はい…健在です。」
艦長「話がある。 艦に帰ったらすぐ艦長室に来い。」
それだけ言って、艦長は通信を切った。
律「唯、なんか問題起こしたのか? 艦長、なんか怖かったぞ。」
唯「ほえ? 私、何もしてないよ。」
梓「唯先輩のその言葉は信用出来ません。」
純「梓は相変わらず唯先輩に突っかかるね~。」ニヤニヤ
紬「純ちゃんいいところに突っ込むわねえ!」ポワポワ
152: 2010/11/03(水) 20:21:31.94 ID:BWUGZBUo
着艦してMSをハンガーに固定すると、澪が異変に気づいた。
澪「予備機のジェガンが足りなく無いか?」
律「消耗した艦に分けたのかな?」
澪「…そんな暇あったか…?」
唯「私、艦長室呼ばれてるから、行くね。」
そう言って、唯がコックピットハッチを出る。
そのままなれた動きで、MSデッキの出口に向かった。
その背中に、律の冗談が心地良い。
律「おう! 怒られてこい!! 帰ってきたら慰めてやっからよ!!」
澪「おい律! まだ怒られると決まったわけじゃないだろ!!」
紬「お茶の用意をして待ってるわね~」
唯「憂の分もお願い! いつも心配して待っていてくれてるから、一緒にお茶したいんだよ~!」
紬「分かったわ!」
四人が、お茶の用意をしに、急いで休憩室に向かった。
いつも通りの行動である。
いつもと変わっていることといえば、憂のお茶が用意されるということだけだった。
澪「予備機のジェガンが足りなく無いか?」
律「消耗した艦に分けたのかな?」
澪「…そんな暇あったか…?」
唯「私、艦長室呼ばれてるから、行くね。」
そう言って、唯がコックピットハッチを出る。
そのままなれた動きで、MSデッキの出口に向かった。
その背中に、律の冗談が心地良い。
律「おう! 怒られてこい!! 帰ってきたら慰めてやっからよ!!」
澪「おい律! まだ怒られると決まったわけじゃないだろ!!」
紬「お茶の用意をして待ってるわね~」
唯「憂の分もお願い! いつも心配して待っていてくれてるから、一緒にお茶したいんだよ~!」
紬「分かったわ!」
四人が、お茶の用意をしに、急いで休憩室に向かった。
いつも通りの行動である。
いつもと変わっていることといえば、憂のお茶が用意されるということだけだった。
153: 2010/11/03(水) 20:22:19.51 ID:BWUGZBUo
自機のMSハンガーの隣が空になっているのを見て、姫子は血の気が一気に引いていくのを感じ、次の瞬間、取り乱していた。
姫子「ブリッジ、若王子少尉はどこですか!! 機体が見当たりません!!」
異変に、信代が気づく。
信代「あん? どうしたんだい?」
それと同時に、ブリッジからメンドくさそうな返事が帰ってくる。
通信手「強化人間なら貴官らが出撃したあとに勝手に出ていったぞ?」
姫子「…そんな…」
姫子は、目の前が真っ白になった。
姫子「どこに…彼女は健在なのでしょうか!! ブリッジ!!」
通信手「今まで戦闘中だったんだ。 ミノフスキー粒子が濃くてな、生きてるのか氏んでるのかも分からんよ。」
姫子「お願いします…彼女を探してください…あたしも出して捜索させてください…」
通信手「無理だな…本艦だけ艦隊を外れる訳に行かない。」
姫子「お願いします…お願いします…」
姫子「ブリッジ、若王子少尉はどこですか!! 機体が見当たりません!!」
異変に、信代が気づく。
信代「あん? どうしたんだい?」
それと同時に、ブリッジからメンドくさそうな返事が帰ってくる。
通信手「強化人間なら貴官らが出撃したあとに勝手に出ていったぞ?」
姫子「…そんな…」
姫子は、目の前が真っ白になった。
姫子「どこに…彼女は健在なのでしょうか!! ブリッジ!!」
通信手「今まで戦闘中だったんだ。 ミノフスキー粒子が濃くてな、生きてるのか氏んでるのかも分からんよ。」
姫子「お願いします…彼女を探してください…あたしも出して捜索させてください…」
通信手「無理だな…本艦だけ艦隊を外れる訳に行かない。」
姫子「お願いします…お願いします…」
154: 2010/11/03(水) 20:22:51.56 ID:BWUGZBUo
姫子が涙声になっているのが、信代の心に痛かった。
信代「捜索なら…あたしが行くよ…あんたが行ったらもしもの時、ロンド・ベルに突っ込みかねない。」
信代「ブリッジ!! 足の長いシャクルズで行くよ!!」
信代が、空いているシャクルズの方に流れていった。
信代「ブリッジ、いいね!! 出るよ!!」
通信手「…その必要はない。」
信代「何、その必要がないって!? どういうこった!!」
姫子はその言葉に絶望した。
捜索の必要がないとは、つまりそういう意味であることが多い。
信代「捜索なら…あたしが行くよ…あんたが行ったらもしもの時、ロンド・ベルに突っ込みかねない。」
信代「ブリッジ!! 足の長いシャクルズで行くよ!!」
信代が、空いているシャクルズの方に流れていった。
信代「ブリッジ、いいね!! 出るよ!!」
通信手「…その必要はない。」
信代「何、その必要がないって!? どういうこった!!」
姫子はその言葉に絶望した。
捜索の必要がないとは、つまりそういう意味であることが多い。
155: 2010/11/03(水) 20:23:43.03 ID:BWUGZBUo
姫子「若王子さん…」
その時、デッキに軽い振動が走り、赤い機体が滑りこんできた。
モノアイが移動し、姫子のギラ・ドーガを捉える。
レーザー回線が開かれ、姫子の正面のモニターにいちごの顔を写したサブウィンドウが開かれた。
いちご「…ただいま。」
いちごの赤い機体が姫子の隣に固定される。
いちごはサブウィンドウ内の姫子がうつむいたままなのが気になった。
いちご「…どうしたの?」
顔をあげると、サブウィンドウ内の姫子は涙でグチャグチャだった。
姫子「心配…したんだからね…」
いちご「…ごめんなさい」
いちごは、また姫子を泣かせてしまった、と思った。
そして、自分が一緒に泣けないことを少し寂しい、と感じた。
第五話 陽動! おわり
次回は第六話 機械の記憶!
その時、デッキに軽い振動が走り、赤い機体が滑りこんできた。
モノアイが移動し、姫子のギラ・ドーガを捉える。
レーザー回線が開かれ、姫子の正面のモニターにいちごの顔を写したサブウィンドウが開かれた。
いちご「…ただいま。」
いちごの赤い機体が姫子の隣に固定される。
いちごはサブウィンドウ内の姫子がうつむいたままなのが気になった。
いちご「…どうしたの?」
顔をあげると、サブウィンドウ内の姫子は涙でグチャグチャだった。
姫子「心配…したんだからね…」
いちご「…ごめんなさい」
いちごは、また姫子を泣かせてしまった、と思った。
そして、自分が一緒に泣けないことを少し寂しい、と感じた。
第五話 陽動! おわり
次回は第六話 機械の記憶!
166: 2010/11/04(木) 20:07:07.27 ID:nQ0C.jMo
第六話 機械の記憶!
憂が氏んでから、唯は部屋に閉じこもりがちになった。
憂は予備機のジェガンで無断出撃したのだそうだ。
今になって考えても、聡明な妹が何故そんな軽率なことをしたのか、唯には分からなかった。
分かっていることは、もう妹に触れることも、その声を聞くことも出来ない、という厳然たる事実だけである。
そしてそれは、現実の、唯にとって最も残酷な一面であった。
唯「…」
和「ねえ唯、酷い事言うようだけど、引き篭っていても状況は変わらないわよ。」
唯「…」
和「あなたがそんなふうで憂が喜ぶと思っているの?」
唯「…」
和「…また来るわね。」
和が何度も様子を見に来ているが、唯は一言も口をきかない。
泣いているか、そうでないかくらいの違いしかないのだ。
憂が氏んでから、唯は部屋に閉じこもりがちになった。
憂は予備機のジェガンで無断出撃したのだそうだ。
今になって考えても、聡明な妹が何故そんな軽率なことをしたのか、唯には分からなかった。
分かっていることは、もう妹に触れることも、その声を聞くことも出来ない、という厳然たる事実だけである。
そしてそれは、現実の、唯にとって最も残酷な一面であった。
唯「…」
和「ねえ唯、酷い事言うようだけど、引き篭っていても状況は変わらないわよ。」
唯「…」
和「あなたがそんなふうで憂が喜ぶと思っているの?」
唯「…」
和「…また来るわね。」
和が何度も様子を見に来ているが、唯は一言も口をきかない。
泣いているか、そうでないかくらいの違いしかないのだ。
167: 2010/11/04(木) 20:07:41.32 ID:nQ0C.jMo
部屋の外には、MS隊のメンバーが暗い表情で待っている。
律「…唯、どうだった?」
和「まだ一言も喋らないわ…もうダメかも知れない…念のため、梓ちゃんは鈴木さんと小隊を組んで訓練しておいて。」
梓「そんな…。」
澪「唯、憂ちゃんのこと、すごく大切にしていたからな…私らにはどうにも出来ない…」
紬「でも元気な唯ちゃんがいないと、私達も辛いわ…」
和「私もいろいろ、試してみるわ。 それじゃ。」
和には、唯を再び戦線に復帰させるための策があった。
しかし、唯が幼馴染の親友であること、道徳的な問題があることなどから、それを躊躇していたのだ。
律「…唯、どうだった?」
和「まだ一言も喋らないわ…もうダメかも知れない…念のため、梓ちゃんは鈴木さんと小隊を組んで訓練しておいて。」
梓「そんな…。」
澪「唯、憂ちゃんのこと、すごく大切にしていたからな…私らにはどうにも出来ない…」
紬「でも元気な唯ちゃんがいないと、私達も辛いわ…」
和「私もいろいろ、試してみるわ。 それじゃ。」
和には、唯を再び戦線に復帰させるための策があった。
しかし、唯が幼馴染の親友であること、道徳的な問題があることなどから、それを躊躇していたのだ。
168: 2010/11/04(木) 20:08:24.86 ID:nQ0C.jMo
一人で悩んでいるうちに、気がついたら艦長室に来ていた。
艦長「真鍋少尉か、何だ?」
和「平沢少尉のことですが…」
艦長「…ああ、ロンデニオンに戻ったら療養所に入院させるか?」
和「…ロンデニオンに戻るのですか…?」
艦長「昨日ラー・カイラムから連絡があってな、後でミーティングをやるから詳細はその時話すが、取りあえず一度戻る事になった。」
和「パイロットの補充も?」
艦長「それはちょっとキツイな。 ウチは損害が軽微な方だし、クラップ級は本来MS6機を運用する母艦だ。 今でもかなり整備なんかがいっぱいいっぱいなんだぞ。」
和「やっぱり無理をしていたんですね…私が考えたMS運用で随分迷惑を掛けたみたいで申し訳ありません。」
艦長「まあ何とかギリギリだったよ。 搭載機が整備性に優れたジェガンじゃなければとっくに整備兵が過労でくたばっているだろう。」
艦長「しかしおかげでMS部隊も整備も練度は飛躍的に向上しているから、悪い面ばかりじゃないぞ。」
艦長「真鍋少尉か、何だ?」
和「平沢少尉のことですが…」
艦長「…ああ、ロンデニオンに戻ったら療養所に入院させるか?」
和「…ロンデニオンに戻るのですか…?」
艦長「昨日ラー・カイラムから連絡があってな、後でミーティングをやるから詳細はその時話すが、取りあえず一度戻る事になった。」
和「パイロットの補充も?」
艦長「それはちょっとキツイな。 ウチは損害が軽微な方だし、クラップ級は本来MS6機を運用する母艦だ。 今でもかなり整備なんかがいっぱいいっぱいなんだぞ。」
和「やっぱり無理をしていたんですね…私が考えたMS運用で随分迷惑を掛けたみたいで申し訳ありません。」
艦長「まあ何とかギリギリだったよ。 搭載機が整備性に優れたジェガンじゃなければとっくに整備兵が過労でくたばっているだろう。」
艦長「しかしおかげでMS部隊も整備も練度は飛躍的に向上しているから、悪い面ばかりじゃないぞ。」
169: 2010/11/04(木) 20:09:06.24 ID:nQ0C.jMo
和「分かりました。 それで平沢少尉のことですが、もう一度パイロットとして使えるように働きかけてみようと思います。」
艦長「強化人間にでもする気か?」
和「…似たような方法ですが…」
和の表情が陰ったのを、艦長は見逃さなかった。
艦長「言ってみたまえ。」
和「回収した予備機の戦闘データからシミュレーターを作って、彼女に訓練をさせようと思います。」
それで、艦長には和が何を言いたいのか、分かった。
和「データを閲覧したところ、予備機を撃墜した敵はフィフス・ルナ争奪戦時に田井中小隊が交戦したものと同じ特別機です。 ファンネルの母機と考えられます…」
和が話を引き延ばしているのを見て、艦長は和の迷いを見抜いた。
話の流れをたち切って、言い放つ。
艦長「君がどうしたいのか大体わかった。 結論だけ言って見給え。」
艦長の言葉に和が動揺する。
つらい決断なのだろう、と艦長は思った。
艦長「強化人間にでもする気か?」
和「…似たような方法ですが…」
和の表情が陰ったのを、艦長は見逃さなかった。
艦長「言ってみたまえ。」
和「回収した予備機の戦闘データからシミュレーターを作って、彼女に訓練をさせようと思います。」
それで、艦長には和が何を言いたいのか、分かった。
和「データを閲覧したところ、予備機を撃墜した敵はフィフス・ルナ争奪戦時に田井中小隊が交戦したものと同じ特別機です。 ファンネルの母機と考えられます…」
和が話を引き延ばしているのを見て、艦長は和の迷いを見抜いた。
話の流れをたち切って、言い放つ。
艦長「君がどうしたいのか大体わかった。 結論だけ言って見給え。」
艦長の言葉に和が動揺する。
つらい決断なのだろう、と艦長は思った。
170: 2010/11/04(木) 20:09:47.81 ID:nQ0C.jMo
和「…平沢少尉の憎しみを煽ってこの特別機にぶつけます。」
艦長は、深くため息を付いてから、言った。
艦長「君に、それが出来るのか?」
和「やります…」
艦長「目が泳いでいるぞ。」
和「…っ!」
艦長「君には、無理だ。」
優しい響きではあるものの、断定的なその言葉に、和が反発する。
和「私は、出来もしないことを提案したりはしません!!」
艦長「私は、君がそんな事をするのを許可しない。」
和「なら、勝手にやります。」
艦長「そう、勝手にやればよかった。 しかし君は勝手にやらずに私に相談した。 なぜだ?」
和「それは…」
艦長「それは、私の仕事だ、ということだ。」
艦長は、深くため息を付いてから、言った。
艦長「君に、それが出来るのか?」
和「やります…」
艦長「目が泳いでいるぞ。」
和「…っ!」
艦長「君には、無理だ。」
優しい響きではあるものの、断定的なその言葉に、和が反発する。
和「私は、出来もしないことを提案したりはしません!!」
艦長「私は、君がそんな事をするのを許可しない。」
和「なら、勝手にやります。」
艦長「そう、勝手にやればよかった。 しかし君は勝手にやらずに私に相談した。 なぜだ?」
和「それは…」
艦長「それは、私の仕事だ、ということだ。」
171: 2010/11/04(木) 20:10:16.11 ID:nQ0C.jMo
和「違います! 私は艦長に仕事を押し付けるようなマネは…」
艦長「真鍋少尉!!」
和「はい!」
艦長「ミーティング後、平沢を引きずってこい!」
和「…はい…」
艦長「…なあ、真鍋少尉。」
和「…」
艦長「君は、自分だけで背負い込まず、もう少し人に頼ることも覚えたほうがいいぞ。」
和が無言で敬礼し、艦長室を後にした。
艦長は、和に敬礼されたのは随分久しぶりだ、と思った。
艦長「真鍋少尉!!」
和「はい!」
艦長「ミーティング後、平沢を引きずってこい!」
和「…はい…」
艦長「…なあ、真鍋少尉。」
和「…」
艦長「君は、自分だけで背負い込まず、もう少し人に頼ることも覚えたほうがいいぞ。」
和が無言で敬礼し、艦長室を後にした。
艦長は、和に敬礼されたのは随分久しぶりだ、と思った。
172: 2010/11/04(木) 20:10:56.91 ID:nQ0C.jMo
スウィート・ウォーターに向かっているムサカ3番艦内の特別室で、いちごの定期検査が行われていた。
強化が不完全な彼女は、こうして定期的にサイコミュ適応のテストをしているのである。
脳波を検出し、ファンネルの動きをCGで再現する擬似サイコミュシステムでの適応試験だ。
部屋の外では姫子が心配そうに待っている。
研究者2「擬似サイコミュ、起動。」
研究者「ファンネル放出をイメージし給え。」
擬似的な物とは言え、サイコミュの重圧はまた頭痛を誘発する。
いちごは、姫子を泣かせたくないと思い、イメージを躊躇した。
その意志は、サイコミュを通じて研究者たちに筒抜けである。
研究者2「拒否してます。」
研究者「若王子少尉、貴官が言うことを聞かんと外で心配そうに待っているパートナーと二度と逢えなくしてやるぞ。 いいのか?」
いちご「…!!」
研究者2「擬似ファンネル、放出確認。」
強化が不完全な彼女は、こうして定期的にサイコミュ適応のテストをしているのである。
脳波を検出し、ファンネルの動きをCGで再現する擬似サイコミュシステムでの適応試験だ。
部屋の外では姫子が心配そうに待っている。
研究者2「擬似サイコミュ、起動。」
研究者「ファンネル放出をイメージし給え。」
擬似的な物とは言え、サイコミュの重圧はまた頭痛を誘発する。
いちごは、姫子を泣かせたくないと思い、イメージを躊躇した。
その意志は、サイコミュを通じて研究者たちに筒抜けである。
研究者2「拒否してます。」
研究者「若王子少尉、貴官が言うことを聞かんと外で心配そうに待っているパートナーと二度と逢えなくしてやるぞ。 いいのか?」
いちご「…!!」
研究者2「擬似ファンネル、放出確認。」
173: 2010/11/04(木) 20:11:37.92 ID:nQ0C.jMo
研究者「ターゲットをイメージして攻撃指令。 外したらパートナーを転属させるからな。 そうしたら、また独りになるなあ。」
いちご「…当たれ!!」
研究者2「…命中。 ターゲット消失。」
研究者「いい成績だ。 十五分間パートナーとの面会を許可する。 十五分後、テストを再開する。」
擬似サイコミュのシステムを操作していた二人目の研究者が、外に出て姫子に語りかける。
研究者2「いい成績です。 彼女をできるだけ褒めてやってください。 十五分後、テストを再開します。」
姫子「…分かりました!」
いちご「…当たれ!!」
研究者2「…命中。 ターゲット消失。」
研究者「いい成績だ。 十五分間パートナーとの面会を許可する。 十五分後、テストを再開する。」
擬似サイコミュのシステムを操作していた二人目の研究者が、外に出て姫子に語りかける。
研究者2「いい成績です。 彼女をできるだけ褒めてやってください。 十五分後、テストを再開します。」
姫子「…分かりました!」
174: 2010/11/04(木) 20:12:06.85 ID:nQ0C.jMo
いちごが、部屋の外に出される。
姫子はすぐさまいちごを自分の隣に座らせて、その肩を抱き、体調を気にかけた。
姫子「大丈夫? 苦しくない?」
いちご「平気。」
姫子「成績良かったって! 頑張ったね!!」
いちご「…ん//////」コクリ
姫子をダシに脅されていることは、伝えない。
余計な心配をかけるからだ。
姫子はすぐさまいちごを自分の隣に座らせて、その肩を抱き、体調を気にかけた。
姫子「大丈夫? 苦しくない?」
いちご「平気。」
姫子「成績良かったって! 頑張ったね!!」
いちご「…ん//////」コクリ
姫子をダシに脅されていることは、伝えない。
余計な心配をかけるからだ。
175: 2010/11/04(木) 20:12:35.60 ID:nQ0C.jMo
いちごは、何度も時計を見ながら落ち着かない様子だ。
姫子「どうしたの? 時間、気になるの?」
いちご「十五分間は、短い…。」
姫子は、そんないちごを可愛いな、と思って、優しく諭した。
姫子「テストが終わったら、今日はずっと一緒にいられるよ。 だからもう少し頑張ろ。」
いちご「…それなら頑張る//////」
いちごは、それならば時間は早く過ぎたほうがいい、と思い直した。
今度は、時間が過ぎるのが遅いとでも言うように、時計を何度も確認する。
姫子「…テスト、早く終わるといいね。」
いちご「…!/////////」
姫子のその言葉で、ようやくきまり悪そうな顔をして、時計を気にするのをやめたのだった。
姫子「どうしたの? 時間、気になるの?」
いちご「十五分間は、短い…。」
姫子は、そんないちごを可愛いな、と思って、優しく諭した。
姫子「テストが終わったら、今日はずっと一緒にいられるよ。 だからもう少し頑張ろ。」
いちご「…それなら頑張る//////」
いちごは、それならば時間は早く過ぎたほうがいい、と思い直した。
今度は、時間が過ぎるのが遅いとでも言うように、時計を何度も確認する。
姫子「…テスト、早く終わるといいね。」
いちご「…!/////////」
姫子のその言葉で、ようやくきまり悪そうな顔をして、時計を気にするのをやめたのだった。
176: 2010/11/04(木) 20:13:14.24 ID:nQ0C.jMo
特別室では、研究者2名がいちごのデータを分析している。
研究者「典型的なパートナー依存型だな。」
研究者2「パートナーをダシに脅しをかけた瞬間、言うことを聞くようになりましたからね。」
研究者「しかし不安定なのは変わらんな…このパターンは、パートナーを失うと途端にダメになるからな。」
研究者2「ですが考え方を変えると、パートナーがいる間は、戦力になるということですよ。」
研究者「パートナーの使い方次第か…スウィート・ウォーターに帰ったらヤクト・ドーガのサイコミュとの調整もしなくちゃならんから、パートナーにも頑張ってもらわんとな。」
研究者2「とにかく今度はパートナー同伴でテストをやってみましょう。」
研究者「そうだな。」
研究者「典型的なパートナー依存型だな。」
研究者2「パートナーをダシに脅しをかけた瞬間、言うことを聞くようになりましたからね。」
研究者「しかし不安定なのは変わらんな…このパターンは、パートナーを失うと途端にダメになるからな。」
研究者2「ですが考え方を変えると、パートナーがいる間は、戦力になるということですよ。」
研究者「パートナーの使い方次第か…スウィート・ウォーターに帰ったらヤクト・ドーガのサイコミュとの調整もしなくちゃならんから、パートナーにも頑張ってもらわんとな。」
研究者2「とにかく今度はパートナー同伴でテストをやってみましょう。」
研究者「そうだな。」
177: 2010/11/04(木) 20:14:14.80 ID:nQ0C.jMo
研究者が、いちごだけを部屋に入れる。
それと入れ替わって、二人目の研究者が、外に出て姫子の方に話しかけるのが見えた。
いちご「・・・」
研究者「今度はパートナー同伴でテストをやってもらう。 外したら、パートナーがどうなるか分かっているな? 独りぼっちは嫌だよな?」
いちご「外さない。」
部屋の外では、人当たりのいい二人目がにこやかに姫子に説明している。
研究者2「今度はあなたもテストに同伴してもらいます。」
姫子「あたしが?」
研究者2「ええ、彼女を励ましてあげて下さい。」
姫子「分かりました!」
研究者2「では、こちらへ。」
それと入れ替わって、二人目の研究者が、外に出て姫子の方に話しかけるのが見えた。
いちご「・・・」
研究者「今度はパートナー同伴でテストをやってもらう。 外したら、パートナーがどうなるか分かっているな? 独りぼっちは嫌だよな?」
いちご「外さない。」
部屋の外では、人当たりのいい二人目がにこやかに姫子に説明している。
研究者2「今度はあなたもテストに同伴してもらいます。」
姫子「あたしが?」
研究者2「ええ、彼女を励ましてあげて下さい。」
姫子「分かりました!」
研究者2「では、こちらへ。」
178: 2010/11/04(木) 20:14:49.25 ID:nQ0C.jMo
姫子が特別室に入ると、いちごはすでに擬似サイコミュシステムのシートに座らされていた。
姫子「若王子さん! 無理しないでね!」
いちご「…ん。」
姫子「側にいてあげるから、辛かったらいつでも言ってね!」
いちご「…ん//////」
顔を赤らめて微笑むいちごを見て、研究者達が顔を突き合わせる。
愛らしいいちごの表情の変化も、彼らにとっては、単に実験における一つのファクターに過ぎなかった。
研究者2「擬似サイコミュ、起動。」
このテストで、いちごがターゲットを外すことは、無かった。
姫子「若王子さん! 無理しないでね!」
いちご「…ん。」
姫子「側にいてあげるから、辛かったらいつでも言ってね!」
いちご「…ん//////」
顔を赤らめて微笑むいちごを見て、研究者達が顔を突き合わせる。
愛らしいいちごの表情の変化も、彼らにとっては、単に実験における一つのファクターに過ぎなかった。
研究者2「擬似サイコミュ、起動。」
このテストで、いちごがターゲットを外すことは、無かった。
179: 2010/11/04(木) 20:15:43.21 ID:nQ0C.jMo
和が艦長室を出ていって数十分後、艦長はブリーフィングルームに主だった士官を招集した。
和が無理矢理連れてきたのか、部屋の隅では唯が俯き加減で座っている。
艦長「ネオ・ジオンが隕石落としを成功させ、一旦引いたため、我々も本拠地であるロンデニオンに帰港して一度態勢を立て直す。」
律「また対応が後手後手になる予感がするぜ。」
和「律!! やめなさい!!」
律「キャハ!」
紬(和ちゃん、まだ艦長をかばっている…おかしいわね…あとで聞いてみなきゃ。)
艦長「それとな、この前の戦闘の時、戦闘宙域にいた民間シャトル天鹿に、アデナウアー・パラヤが乗船していた。 彼も特命でロンデニオンに入るらしい。」
律「アデナウアー・パラヤって誰だよ?」
和「地球連邦宇宙軍の参謀次官よ。 もともと地球にいる彼が宇宙に上がってきたってことは、ネオ・ジオン側と何らかの交渉があると見ていいのでしょうか?」
艦長「ブライト司令はそう読んでいる。」
和が無理矢理連れてきたのか、部屋の隅では唯が俯き加減で座っている。
艦長「ネオ・ジオンが隕石落としを成功させ、一旦引いたため、我々も本拠地であるロンデニオンに帰港して一度態勢を立て直す。」
律「また対応が後手後手になる予感がするぜ。」
和「律!! やめなさい!!」
律「キャハ!」
紬(和ちゃん、まだ艦長をかばっている…おかしいわね…あとで聞いてみなきゃ。)
艦長「それとな、この前の戦闘の時、戦闘宙域にいた民間シャトル天鹿に、アデナウアー・パラヤが乗船していた。 彼も特命でロンデニオンに入るらしい。」
律「アデナウアー・パラヤって誰だよ?」
和「地球連邦宇宙軍の参謀次官よ。 もともと地球にいる彼が宇宙に上がってきたってことは、ネオ・ジオン側と何らかの交渉があると見ていいのでしょうか?」
艦長「ブライト司令はそう読んでいる。」
180: 2010/11/04(木) 20:16:57.41 ID:nQ0C.jMo
律「なんで民間機に乗ってきたんだ? 軍の専用機で来いよ。」
澪「・・・民間機なら攻撃されないと踏んだんじゃないのか?」
梓「…酷い…なんかシャアが隕石落としたくなった気持ち、分かりますね…。」
和「…だからってシャアに同調しちゃダメよ。」
梓「…分かってるです。」
艦長「取りあえずロンデニオンに着いたら上陸の許可を与えるが、何が起こるかわからん。 いつでも招集に応じられるようにしておけ。」
純(難しい話は退屈だなあ…今日の晩ご飯なんだっけ…?)
艦長「あと余計な混乱を避けるため、アデナウアーがロンデニオンに入ることは他言無用だぞ。」
和「了解です。」
艦長「解散だ。 平沢少尉はこの場に残れ。」
唯「…」
律「ちょっと待てよ、唯は…」
艦長「外野は黙ってろ! これは命令だ! お前らは出て行け!!」
澪「・・・民間機なら攻撃されないと踏んだんじゃないのか?」
梓「…酷い…なんかシャアが隕石落としたくなった気持ち、分かりますね…。」
和「…だからってシャアに同調しちゃダメよ。」
梓「…分かってるです。」
艦長「取りあえずロンデニオンに着いたら上陸の許可を与えるが、何が起こるかわからん。 いつでも招集に応じられるようにしておけ。」
純(難しい話は退屈だなあ…今日の晩ご飯なんだっけ…?)
艦長「あと余計な混乱を避けるため、アデナウアーがロンデニオンに入ることは他言無用だぞ。」
和「了解です。」
艦長「解散だ。 平沢少尉はこの場に残れ。」
唯「…」
律「ちょっと待てよ、唯は…」
艦長「外野は黙ってろ! これは命令だ! お前らは出て行け!!」
181: 2010/11/04(木) 20:17:36.01 ID:nQ0C.jMo
その気迫に、律達はおとなしくブリーフィングルームを出た。
艦長と、唯のふたりだけが残っている。
艦長「貴様、一日中ヒキコモリやって、給料タダ取りしてるんだってな…」
唯「…」
艦長「妹が勝手に予備機ブッ壊してくたばったからって、仕事もやらないでいい身分だよ。 こっちはその予備機損失の辻褄合わせでヒイヒイ言ってるのにな。」
唯「…」
艦長「お前に、見せたいものがある。 付いて来い。」
艦長は、そのままぐったりとした唯をMS格納庫まで引っ張っていき、残骸になった憂のジェガンの前に立たせた。
艦長「貴様に見せつけるために、特別に保存しておいたよ。 これが妹の棺桶だ。」
艦長と、唯のふたりだけが残っている。
艦長「貴様、一日中ヒキコモリやって、給料タダ取りしてるんだってな…」
唯「…」
艦長「妹が勝手に予備機ブッ壊してくたばったからって、仕事もやらないでいい身分だよ。 こっちはその予備機損失の辻褄合わせでヒイヒイ言ってるのにな。」
唯「…」
艦長「お前に、見せたいものがある。 付いて来い。」
艦長は、そのままぐったりとした唯をMS格納庫まで引っ張っていき、残骸になった憂のジェガンの前に立たせた。
艦長「貴様に見せつけるために、特別に保存しておいたよ。 これが妹の棺桶だ。」
182: 2010/11/04(木) 20:18:38.96 ID:nQ0C.jMo
憂が使ったジェガンはちょうどコックピットをサーベルが刳るように袈裟懸けに斬りつけられており、部品取りにでも使われたのか下半身は残っていなかった。
それを見て、今まで無反応だった唯が、かすかな反応を見せた。
唯「…!」
唯の反応を見逃さずに、艦長が続ける。
艦長「ボイスレコーダーも戦闘記録も生きていたからな。 遺言を聞かせてやる。 貴様のジェガンに乗り込め。」
唯は、動かなかった。
艦長「乗れって言ってんだよ!!」
艦長は、唯をジェガンのコックピットに押し込むと、自身もその中に入っていった。
無理矢理シートに唯を座らせ、ハッチを閉じる。
艦長「映像と音声付きで妹の最期を体験させてやる。 ありがたく思え!!」
それを見て、今まで無反応だった唯が、かすかな反応を見せた。
唯「…!」
唯の反応を見逃さずに、艦長が続ける。
艦長「ボイスレコーダーも戦闘記録も生きていたからな。 遺言を聞かせてやる。 貴様のジェガンに乗り込め。」
唯は、動かなかった。
艦長「乗れって言ってんだよ!!」
艦長は、唯をジェガンのコックピットに押し込むと、自身もその中に入っていった。
無理矢理シートに唯を座らせ、ハッチを閉じる。
艦長「映像と音声付きで妹の最期を体験させてやる。 ありがたく思え!!」
183: 2010/11/04(木) 20:20:45.55 ID:nQ0C.jMo
憂の、戦闘記録が再生される。
憂『ハッチを閉めて…エレベーターはあそこ…』
憂の声と共に、全天周モニターに映し出されたMSデッキの映像が動き出した。
唯のジェガンにコピーされた、憂の操縦記録が、再生されているのである。
映像中のエレベーターが、上昇する。
まるで、自分が操っているようだ。
艦長『おい! そのジェガン! 誰が乗っているんだ!!』
憂『私、お姉ちゃんのところに行きます!!』
艦長『平沢妹か!! やめろ!!』
艦長『カタパルトを使わせるな!!』
唯が、その映像に見入っている。
映像は、宇宙空間に出て行った。
ジェガンの挙動が、危うい。
憂『ハッチを閉めて…エレベーターはあそこ…』
憂の声と共に、全天周モニターに映し出されたMSデッキの映像が動き出した。
唯のジェガンにコピーされた、憂の操縦記録が、再生されているのである。
映像中のエレベーターが、上昇する。
まるで、自分が操っているようだ。
艦長『おい! そのジェガン! 誰が乗っているんだ!!』
憂『私、お姉ちゃんのところに行きます!!』
艦長『平沢妹か!! やめろ!!』
艦長『カタパルトを使わせるな!!』
唯が、その映像に見入っている。
映像は、宇宙空間に出て行った。
ジェガンの挙動が、危うい。
184: 2010/11/04(木) 20:21:57.21 ID:nQ0C.jMo
憂『動きが…軽い。』
そのまま、映像は宇宙空間をさまよっている。
憂『ええっと…敵は…? お姉ちゃんは…?』
唯が、たまりかねて口を開いた。
目には、涙が溢れている。
唯「…違うよ…憂…そっちじゃないよ…」
憂『お姉ちゃん…お姉ちゃん…』
艦長が、唯を追い詰めるように、憎まれ口を叩いた。
艦長「こんなに妹に心配させて、貴様はホントにロクでもない姉だったんだなあ。」
唯が、たまりかねて下を向く。
唯「もう見たくありません…消してください。」
艦長「バカタレ、ここからがイイ所なんだぞ!!」
そのまま、映像は宇宙空間をさまよっている。
憂『ええっと…敵は…? お姉ちゃんは…?』
唯が、たまりかねて口を開いた。
目には、涙が溢れている。
唯「…違うよ…憂…そっちじゃないよ…」
憂『お姉ちゃん…お姉ちゃん…』
艦長が、唯を追い詰めるように、憎まれ口を叩いた。
艦長「こんなに妹に心配させて、貴様はホントにロクでもない姉だったんだなあ。」
唯が、たまりかねて下を向く。
唯「もう見たくありません…消してください。」
艦長「バカタレ、ここからがイイ所なんだぞ!!」
185: 2010/11/04(木) 20:22:37.35 ID:nQ0C.jMo
憂『うわっ!!』
モニター上、ビームが機体の左を抜けていく。
艦長「戦闘開始だ! 妹を頃した敵を、その目に焼き付けろ!!」
艦長は、唯の顔を無理矢理正面に向けて固定している。
唯は見たくないと思いながらも目をつぶることは出来なかった。
憂『ライフルを…』
ビームライフルが発射される。
それに答えるように、虚空からビームが戻ってきた。
敵の姿は確認できないが、なぜか映像はそのビームをキレイにかわしている。
憂『シミュレーター通りだ…やれる!!』
映像が、流れるような操作で敵のビームをかわしていく。
唯の操縦より、格段に上手かった。
モニター上、ビームが機体の左を抜けていく。
艦長「戦闘開始だ! 妹を頃した敵を、その目に焼き付けろ!!」
艦長は、唯の顔を無理矢理正面に向けて固定している。
唯は見たくないと思いながらも目をつぶることは出来なかった。
憂『ライフルを…』
ビームライフルが発射される。
それに答えるように、虚空からビームが戻ってきた。
敵の姿は確認できないが、なぜか映像はそのビームをキレイにかわしている。
憂『シミュレーター通りだ…やれる!!』
映像が、流れるような操作で敵のビームをかわしていく。
唯の操縦より、格段に上手かった。
186: 2010/11/04(木) 20:23:15.42 ID:nQ0C.jMo
憂『そうだよ、お姉ちゃん、私、出来るよ!』
敵の姿が、はっきりと確認できた。
赤い、特別機だった。
憂『私、お姉ちゃんの、自慢の妹だから!!』
近距離からのビームもかわしている。
唯は、これが妹の操縦だと言うことに、驚きを隠しきれない様子だ。
映像中の装備が、ライフルからサーベルに切り替わった。
唯「憂…もうやめて…!」
憂『お姉ちゃん! こいつを倒して、すぐに行くからね!!』
唯「やめてよぉ…嫌だよぉ…」
サーベルが弾けあって、スパークが眩しい。
一旦離れて、サーベルを構えてお互いが最接近する。
唯「う~い…う~い…」
憂『お姉ちゃん!! 行くよ!!』
敵の姿が、はっきりと確認できた。
赤い、特別機だった。
憂『私、お姉ちゃんの、自慢の妹だから!!』
近距離からのビームもかわしている。
唯は、これが妹の操縦だと言うことに、驚きを隠しきれない様子だ。
映像中の装備が、ライフルからサーベルに切り替わった。
唯「憂…もうやめて…!」
憂『お姉ちゃん! こいつを倒して、すぐに行くからね!!』
唯「やめてよぉ…嫌だよぉ…」
サーベルが弾けあって、スパークが眩しい。
一旦離れて、サーベルを構えてお互いが最接近する。
唯「う~い…う~い…」
憂『お姉ちゃん!! 行くよ!!』
187: 2010/11/04(木) 20:24:05.54 ID:nQ0C.jMo
憂が横一文字になぎ払うサーベルの、軌跡。
それをくぐって接近した敵が、サーベルを下段に構えた。
唯が、ビクッ、と体を震わせる。
唯「…!!」
次の瞬間、逆袈裟に切り上げられた。
憂『おねえ』 『氏ね。』
そこで映像は途切れた。
最期に割り込んできた言葉を聞いて、唯の眼の色が変わるのを、艦長は見逃していない。
接触回線が拾った、敵パイロットの声である。
それをくぐって接近した敵が、サーベルを下段に構えた。
唯が、ビクッ、と体を震わせる。
唯「…!!」
次の瞬間、逆袈裟に切り上げられた。
憂『おねえ』 『氏ね。』
そこで映像は途切れた。
最期に割り込んできた言葉を聞いて、唯の眼の色が変わるのを、艦長は見逃していない。
接触回線が拾った、敵パイロットの声である。
188: 2010/11/04(木) 20:24:52.30 ID:nQ0C.jMo
艦長「こいつが、憎いだろ。」
唯は、無言で頷いた。
艦長「だったら訓練に参加しろ。 今のお前じゃ、遭遇したら真っ先に妹のところに連れて行かれるぞ。」
また唯が、無言で頷いた。
艦長「しかしな、こいつは強化人間かニュータイプだ。 必ず数人で当たらんと勝てんぞ。 チームワークで訓練するんだ。 それが出来なければ、貴様をジェガンから下ろす。」
唯が、艦長を睨んだ。
艦長「どうなんだ、やるのか?」
唯「…やります。」
それを聞いて、艦長はジェガンのコックピットハッチを開け、外に出た。
唯も出てくると思ったが、そのままハッチが閉まり、シミュレーターが起動された。
艦長「あとは、真鍋少尉の仕事だな・・・」
艦長は、そう言ってフラフラと艦長室へ向かった。
唯は、無言で頷いた。
艦長「だったら訓練に参加しろ。 今のお前じゃ、遭遇したら真っ先に妹のところに連れて行かれるぞ。」
また唯が、無言で頷いた。
艦長「しかしな、こいつは強化人間かニュータイプだ。 必ず数人で当たらんと勝てんぞ。 チームワークで訓練するんだ。 それが出来なければ、貴様をジェガンから下ろす。」
唯が、艦長を睨んだ。
艦長「どうなんだ、やるのか?」
唯「…やります。」
それを聞いて、艦長はジェガンのコックピットハッチを開け、外に出た。
唯も出てくると思ったが、そのままハッチが閉まり、シミュレーターが起動された。
艦長「あとは、真鍋少尉の仕事だな・・・」
艦長は、そう言ってフラフラと艦長室へ向かった。
189: 2010/11/04(木) 20:25:42.52 ID:nQ0C.jMo
和は、艦長室でその主を待っていた。
ドアが開く。
和「艦長!」
艦長は、憔悴しきった様子だった。
無理もない。いくら軍人とは言え、善良な人間が人の殺されるところをその肉親に見せつけ、復讐を煽ったのだから。
艦長「…君にやらせんで正解だったよ。 全く気分が悪い。」
和「…申し訳ありません…。」
艦長「いや、あれの妹を頃したのは私みたいなものだからな。」
和「え…? どういう事でしょうか?」
ドアが開く。
和「艦長!」
艦長は、憔悴しきった様子だった。
無理もない。いくら軍人とは言え、善良な人間が人の殺されるところをその肉親に見せつけ、復讐を煽ったのだから。
艦長「…君にやらせんで正解だったよ。 全く気分が悪い。」
和「…申し訳ありません…。」
艦長「いや、あれの妹を頃したのは私みたいなものだからな。」
和「え…? どういう事でしょうか?」
190: 2010/11/04(木) 20:26:16.52 ID:nQ0C.jMo
艦長は、ため息を深く付いてから、話しだした。
艦長「実はな、平沢衛生科看護少尉はMSパイロットへの転向を希望していた。 姉が配属してきてすぐくらいからかな…」
和「そんな事が…」
艦長「始めは気の迷いかと思っていたが、先の戦闘の前に、どうしても姉と一緒に戦いたいと懇願されてな、君に相談しようと思ったんだが、君が忙しかったみたいで、つかまらなかっただろ。」
和は、紬と一緒に論文を作成していた時だな、と思った。
艦長「あの時、平沢妹は自分から真鍋少尉のところに相談に行く、と言っていたが、私はそれを許可しなかったんだ。 なんでだと思う?」
和「…職域転向は、私の一存では決定できませんから。」
艦長「それもあるけどな、私はその後戦闘が起こって奴が勝手に出ていくなんて想像も出来なかった。」
和「それは当たり前です。」
艦長「実はな、平沢衛生科看護少尉はMSパイロットへの転向を希望していた。 姉が配属してきてすぐくらいからかな…」
和「そんな事が…」
艦長「始めは気の迷いかと思っていたが、先の戦闘の前に、どうしても姉と一緒に戦いたいと懇願されてな、君に相談しようと思ったんだが、君が忙しかったみたいで、つかまらなかっただろ。」
和は、紬と一緒に論文を作成していた時だな、と思った。
艦長「あの時、平沢妹は自分から真鍋少尉のところに相談に行く、と言っていたが、私はそれを許可しなかったんだ。 なんでだと思う?」
和「…職域転向は、私の一存では決定できませんから。」
艦長「それもあるけどな、私はその後戦闘が起こって奴が勝手に出ていくなんて想像も出来なかった。」
和「それは当たり前です。」
191: 2010/11/04(木) 20:26:55.76 ID:nQ0C.jMo
艦長「もう一つ、私は平沢妹の件を相談に行くことにかこつけて、君に会いたかっただけなんだよ。」
和「…それはどういう…」
艦長「私は、一人の女性として、君のことが好きだからな…君と話しをしたり…そういう時間が欲しかったんだ。」
和「…!」
艦長「軽蔑してくれていいぞ。 私はそれだけのことをしたんだ。 今回君の代わりに平沢姉をけしかけたのは、その罪滅ぼしでもある。」
和「…」
艦長「しかしな、私は自分のしたことを棚にあげて、平沢姉の怒りをすべて敵パイロットに向けてしまった。」
艦長「それが一番、辛いんだよ。 自分は、人に恨まれることから逃げたんじゃないかって思えてきてな…。」
艦長「そして、そんな私が、人が人想う気持ちを、戦いに利用しちまった…どうにかなりそうだ…。」
和は、無言で艦長の独白を聞いていた。
和「…それはどういう…」
艦長「私は、一人の女性として、君のことが好きだからな…君と話しをしたり…そういう時間が欲しかったんだ。」
和「…!」
艦長「軽蔑してくれていいぞ。 私はそれだけのことをしたんだ。 今回君の代わりに平沢姉をけしかけたのは、その罪滅ぼしでもある。」
和「…」
艦長「しかしな、私は自分のしたことを棚にあげて、平沢姉の怒りをすべて敵パイロットに向けてしまった。」
艦長「それが一番、辛いんだよ。 自分は、人に恨まれることから逃げたんじゃないかって思えてきてな…。」
艦長「そして、そんな私が、人が人想う気持ちを、戦いに利用しちまった…どうにかなりそうだ…。」
和は、無言で艦長の独白を聞いていた。
192: 2010/11/04(木) 20:27:52.63 ID:nQ0C.jMo
艦長「…不快な思いをさせてすまなかった。 とにかく平沢姉は戦うことに前向きになった。 あとは君があのニュータイプに打ち勝てるようにチームワークを叩き込んでくれ。」
和「…了解しました。」
和が出て行ったあと、艦長は天井を見上げながら、独り呟いた。
艦長「あーあ、絶対嫌われたな…私みたいなのが恋をすると、いつもこうなるんだよな…。」
艦長の視界は、徐々に霞んでいった。
和「…了解しました。」
和が出て行ったあと、艦長は天井を見上げながら、独り呟いた。
艦長「あーあ、絶対嫌われたな…私みたいなのが恋をすると、いつもこうなるんだよな…。」
艦長の視界は、徐々に霞んでいった。
193: 2010/11/04(木) 20:28:49.71 ID:nQ0C.jMo
戦闘シミュレーションが、いきなり中断された。
ハッチが強制開放され、その先には和の姿があった。
和「唯、あなた一人で訓練しろって言われたの!?」
唯「…」
和「降りなさい。」
唯は、無言でMSを降りた。
和「シミュレーターして、何か気づいたことは無い?」
唯「…オートで取る回避機動が、少し変わった。 それと、噴射剤の消費が最大で2%位抑えられてる…。」
それを聞いて、和は少し安心した。
観察力が残っているということは、兵士としても、人間としても、大丈夫であるという目安になる。
和「なぜだか分かる?」
唯「…コンピューターが更新されているから?」
ハッチが強制開放され、その先には和の姿があった。
和「唯、あなた一人で訓練しろって言われたの!?」
唯「…」
和「降りなさい。」
唯は、無言でMSを降りた。
和「シミュレーターして、何か気づいたことは無い?」
唯「…オートで取る回避機動が、少し変わった。 それと、噴射剤の消費が最大で2%位抑えられてる…。」
それを聞いて、和は少し安心した。
観察力が残っているということは、兵士としても、人間としても、大丈夫であるという目安になる。
和「なぜだか分かる?」
唯「…コンピューターが更新されているから?」
194: 2010/11/04(木) 20:30:30.55 ID:nQ0C.jMo
和「そう、憂の戦闘データから、優れていたところをこの艦のジェガンにすべてにフィードバックしたのよ。 あの子、相当センスが良かったから。」
唯「…」
和「私たちのジェガンは、少しだけど、憂がサポートしてくれる様になっているの。 それが、危ない時、きっとあなたやみんなを守ってくれるわ。」
泣きはらした唯の目に、また涙の粒が浮かんできた。
唯「…うーい…」
和「それが分かったら、梓ちゃんを呼んできなさい。 チームで訓練するのよ。 憂の記憶を持った、そのジェガンで。」
それを聞いて、唯は涙をぬぐいながら、MSデッキを後にした。
和「機械の…記憶…か。」
和は、そう呟きながらジェガンの装甲に触れてみた。
ひやりとしたその感触はどこまでも無機質で、それが和には悲しかった。
第六話 機械の記憶! おわり
次回は、第七話 スウィート・ウォーター!
唯「…」
和「私たちのジェガンは、少しだけど、憂がサポートしてくれる様になっているの。 それが、危ない時、きっとあなたやみんなを守ってくれるわ。」
泣きはらした唯の目に、また涙の粒が浮かんできた。
唯「…うーい…」
和「それが分かったら、梓ちゃんを呼んできなさい。 チームで訓練するのよ。 憂の記憶を持った、そのジェガンで。」
それを聞いて、唯は涙をぬぐいながら、MSデッキを後にした。
和「機械の…記憶…か。」
和は、そう呟きながらジェガンの装甲に触れてみた。
ひやりとしたその感触はどこまでも無機質で、それが和には悲しかった。
第六話 機械の記憶! おわり
次回は、第七話 スウィート・ウォーター!
195: 2010/11/04(木) 20:37:44.24 ID:nQ0C.jMo
>>156
俺もそう思ったんだけど…
よくよく調べれば調べるほど、それがキツイことを思い知らされるんだよね…。
シャアの反乱は小規模だし、なにより期間が短すぎて機体を変える暇が無い。
その上、連邦政府はロンド・ベルを警戒して、あまり高性能機を回さないようにしていたらしいからなあ。
リゼルなんかも、SFSとして運用出来ますよ、って詭弁で配備されたようなもんらしいし…
作品との整合性を持たせるために、今回はジェガンで行きます。
後は、ネオ・ジオンサイドに機体変更があるみたいなノリで動いていますが…果たして!
俺もそう思ったんだけど…
よくよく調べれば調べるほど、それがキツイことを思い知らされるんだよね…。
シャアの反乱は小規模だし、なにより期間が短すぎて機体を変える暇が無い。
その上、連邦政府はロンド・ベルを警戒して、あまり高性能機を回さないようにしていたらしいからなあ。
リゼルなんかも、SFSとして運用出来ますよ、って詭弁で配備されたようなもんらしいし…
作品との整合性を持たせるために、今回はジェガンで行きます。
後は、ネオ・ジオンサイドに機体変更があるみたいなノリで動いていますが…果たして!
208: 2010/11/06(土) 04:10:29.86 ID:UaMk8EUo
>>206
そうでつww
じゃあそのまま本日夜から続けるね。
そうでつww
じゃあそのまま本日夜から続けるね。
209: 2010/11/06(土) 21:01:06.13 ID:UaMk8EUo
今日の仕事は糞だった。
疲れた。
投下する。
第七話 スウィート・ウォーター!
一時間ほど前から、いちごの落ち着きがなくなってきた。
何度も何度も部屋の扉と時計を確認している。
ノックされると、すぐに扉を開けにいった。
姫子「遅くなってゴメン。 待った?」
いちご「…今起きたところ…特に待ってはいない。」
姫子は、それにしてはノックをしてからの対応が早かったな、と思ったが、口には出さなかった。
制服も、きっちりと着こなされていて、とても今まで寝ていたとは思えない。
姫子「制服かあ…それ以外の服は持ってないの?」
いちご「外に出ることなんて無かったから…。」
姫子「じゃあ最初は、服を買いに行こ!」
手をつなぐと、姫子の温もりが伝わってくる。
いちごは自分の温もりも届くように、とその手をしっかりと握り返した。
姫子「そんなに強く握らなくても、大丈夫だよ。」
いちご「…ごめんなさい//////」
疲れた。
投下する。
第七話 スウィート・ウォーター!
一時間ほど前から、いちごの落ち着きがなくなってきた。
何度も何度も部屋の扉と時計を確認している。
ノックされると、すぐに扉を開けにいった。
姫子「遅くなってゴメン。 待った?」
いちご「…今起きたところ…特に待ってはいない。」
姫子は、それにしてはノックをしてからの対応が早かったな、と思ったが、口には出さなかった。
制服も、きっちりと着こなされていて、とても今まで寝ていたとは思えない。
姫子「制服かあ…それ以外の服は持ってないの?」
いちご「外に出ることなんて無かったから…。」
姫子「じゃあ最初は、服を買いに行こ!」
手をつなぐと、姫子の温もりが伝わってくる。
いちごは自分の温もりも届くように、とその手をしっかりと握り返した。
姫子「そんなに強く握らなくても、大丈夫だよ。」
いちご「…ごめんなさい//////」
210: 2010/11/06(土) 21:02:33.58 ID:UaMk8EUo
艦を出て、宇宙港を抜けると、自由の空間だ。
いちごは、今までに感じたことのない開放感を感じている。
港を出るとすぐに、商店の建ち並ぶショッピング街だった。
ショーウィンドウを見ながら、二人で歩く。
姫子「こういう服、あなたに似合いそうだと思うんだけど。」
いちご「こんなの・・・着るの?//////」
それは流行遅れのブラウスとスカートだった。
しかし、難民用のコロニーであるここでは、それでも上等な方である。
姫子「そうよ、だって軍服でショッピングなんて、野暮ったいでしょ?」
いちご「制服は、どうするの?」
姫子「宿舎に送ってもらうから、大丈夫。 さ、早く着て見せて。」
いちご「了解…//////」
姫子「また、そんな野暮ったい言葉遣いして…。」
いちごは、今までに感じたことのない開放感を感じている。
港を出るとすぐに、商店の建ち並ぶショッピング街だった。
ショーウィンドウを見ながら、二人で歩く。
姫子「こういう服、あなたに似合いそうだと思うんだけど。」
いちご「こんなの・・・着るの?//////」
それは流行遅れのブラウスとスカートだった。
しかし、難民用のコロニーであるここでは、それでも上等な方である。
姫子「そうよ、だって軍服でショッピングなんて、野暮ったいでしょ?」
いちご「制服は、どうするの?」
姫子「宿舎に送ってもらうから、大丈夫。 さ、早く着て見せて。」
いちご「了解…//////」
姫子「また、そんな野暮ったい言葉遣いして…。」
211: 2010/11/06(土) 21:03:04.02 ID:UaMk8EUo
しばらくすると、試着室からいちごが気恥しそうに出てきた。
いちご「…着てみた。」
姫子はそれを見て、思わず感嘆の声を上げてしまった。
姫子「うん! 似合ってる似合ってる!! ホントに可愛いよ!!」
いちごはそれを聞いて、ますます赤くなった。
いちご「…そう?/////////」
姫子が俯いて動かなくなったいちごの手をとって、引っ張っていく。
姫子「次はアクセサリー買いに行くよ!!」
いちごはその日の午前中、息つく暇も与えられなかった。
いちご「…着てみた。」
姫子はそれを見て、思わず感嘆の声を上げてしまった。
姫子「うん! 似合ってる似合ってる!! ホントに可愛いよ!!」
いちごはそれを聞いて、ますます赤くなった。
いちご「…そう?/////////」
姫子が俯いて動かなくなったいちごの手をとって、引っ張っていく。
姫子「次はアクセサリー買いに行くよ!!」
いちごはその日の午前中、息つく暇も与えられなかった。
212: 2010/11/06(土) 21:03:42.82 ID:UaMk8EUo
昼食は、カフェで簡単な食事を取る。
知り合ったばかりの頃、二人で食事をするのが非常に不愉快だったが、今では二人一緒じゃないと食べる気すら起こらない。
いちごはそんな自分の変化を、戸惑いながら再認識していた。
姫子「しっかし、ホントに可愛くなったね。見違えたよ。」
いちご「…恥ずかしい/////////」
いちごが俯いてしまったので、姫子は話題をそらすことにした。
姫子「それ、美味しい?」
いちご「うん。」
姫子「ちょっと分けてよ。 私のもあげるから。」
いちご「構わない。」
合成した材料を使った粗末な料理だったが、普段から味気ない宇宙食を食べ慣れていた二人にとっては、素晴らしいご馳走だった。
そしてなにより、二人で食べている、という事実が、この上ない調味料となる。
姫子「ほんとだ、美味しいね。」
いちご「あなたのも、美味しい。」
二人は食事が終わると、長々とおしゃべりをしてから笑顔を作ってカフェを出た。
知り合ったばかりの頃、二人で食事をするのが非常に不愉快だったが、今では二人一緒じゃないと食べる気すら起こらない。
いちごはそんな自分の変化を、戸惑いながら再認識していた。
姫子「しっかし、ホントに可愛くなったね。見違えたよ。」
いちご「…恥ずかしい/////////」
いちごが俯いてしまったので、姫子は話題をそらすことにした。
姫子「それ、美味しい?」
いちご「うん。」
姫子「ちょっと分けてよ。 私のもあげるから。」
いちご「構わない。」
合成した材料を使った粗末な料理だったが、普段から味気ない宇宙食を食べ慣れていた二人にとっては、素晴らしいご馳走だった。
そしてなにより、二人で食べている、という事実が、この上ない調味料となる。
姫子「ほんとだ、美味しいね。」
いちご「あなたのも、美味しい。」
二人は食事が終わると、長々とおしゃべりをしてから笑顔を作ってカフェを出た。
213: 2010/11/06(土) 21:04:23.79 ID:UaMk8EUo
ロンデニオンに入港直前のラー・チャターでも、食事の時間だった。
和の向かいは唯達が来る前は艦長専用だったが、今は紬専用になっている。
純「またムギ先輩そこに座ってる!」
紬「和ちゃんの向かいがいいの~」
純「どうして艦長の邪魔をするんですか?」
紬「別に邪魔なんかしていないわ~」シラジラ
律「そういえば艦長、最近食堂で見ないな。 和、なんかしたのか?」
和「」ボー
律「お~い、和!!」
和「え…何?」
律「いや、艦長に何かしたのかなって…」
和の向かいは唯達が来る前は艦長専用だったが、今は紬専用になっている。
純「またムギ先輩そこに座ってる!」
紬「和ちゃんの向かいがいいの~」
純「どうして艦長の邪魔をするんですか?」
紬「別に邪魔なんかしていないわ~」シラジラ
律「そういえば艦長、最近食堂で見ないな。 和、なんかしたのか?」
和「」ボー
律「お~い、和!!」
和「え…何?」
律「いや、艦長に何かしたのかなって…」
214: 2010/11/06(土) 21:05:03.05 ID:UaMk8EUo
和「やだ…な…何も無いわよ!!/////////」
律「へ?」
澪「和?」
紬「和ちゃん…?(…この反応は…!?)」
純「…何かあったんですね?」ニヤニヤ
その時、訓練をしていた唯と梓が遅れて食堂に入ってきた。
梓「唯先輩、もうみなさん食事していますよ。」
唯「ちょっと訓練に集中しすぎちゃったね…。」
律「へ?」
澪「和?」
紬「和ちゃん…?(…この反応は…!?)」
純「…何かあったんですね?」ニヤニヤ
その時、訓練をしていた唯と梓が遅れて食堂に入ってきた。
梓「唯先輩、もうみなさん食事していますよ。」
唯「ちょっと訓練に集中しすぎちゃったね…。」
215: 2010/11/06(土) 21:06:13.18 ID:UaMk8EUo
すかさず和が唯に話しかける。
逃げているのではなく、心配なだけである。
和「唯、調子の方はどう?」
律純(あ…逃げたな)
唯「うん…もう大丈夫だよ…」
唯の表情がまだ少し暗いのが、和の心に重たかった。
和「無理しないでね…あまり根を詰めると訓練も逆効果よ。」
和は、辛かった。
唯を戦いにけしかけるような計画を立てたのは、彼女自身だからだ。
何度、唯にそれを打ち明けようと思ったか知れない。
しかし、そんな事をすれば、和をかばって唯を戦いに向かわせくれた艦長の気持ちを無駄にしてしまうことになる。
逃げているのではなく、心配なだけである。
和「唯、調子の方はどう?」
律純(あ…逃げたな)
唯「うん…もう大丈夫だよ…」
唯の表情がまだ少し暗いのが、和の心に重たかった。
和「無理しないでね…あまり根を詰めると訓練も逆効果よ。」
和は、辛かった。
唯を戦いにけしかけるような計画を立てたのは、彼女自身だからだ。
何度、唯にそれを打ち明けようと思ったか知れない。
しかし、そんな事をすれば、和をかばって唯を戦いに向かわせくれた艦長の気持ちを無駄にしてしまうことになる。
216: 2010/11/06(土) 21:06:45.43 ID:UaMk8EUo
艦長の、気持ち…
律「おい、和!!」
和「え!?」
律「またぼーっとしてたぞ。 最近は唯よりお前の方が心配だぜ!」
和「あ…ご…ごめんなさい。」
澪「何かあったら、相談してくれよ。」
和「ありがとう、澪。 それじゃあ私、MSデッキ行くね。」
律純(怪しい…)
そう言って和は、逃げるように食堂を出た。
しかしMSデッキに特別用があるわけではない。
結局自室に入っていった。
和「艦長、どうしたのかしら…?」
艦長室に行ってみたい衝動に駆られたが、結局行くことは無かった。
律「おい、和!!」
和「え!?」
律「またぼーっとしてたぞ。 最近は唯よりお前の方が心配だぜ!」
和「あ…ご…ごめんなさい。」
澪「何かあったら、相談してくれよ。」
和「ありがとう、澪。 それじゃあ私、MSデッキ行くね。」
律純(怪しい…)
そう言って和は、逃げるように食堂を出た。
しかしMSデッキに特別用があるわけではない。
結局自室に入っていった。
和「艦長、どうしたのかしら…?」
艦長室に行ってみたい衝動に駆られたが、結局行くことは無かった。
217: 2010/11/06(土) 21:07:18.30 ID:UaMk8EUo
いちごと姫子は、カフェを出ると、今度はゆっくりと歩き始めた。
いちご「これからどこに行くの?」
姫子「午前中は飛ばしすぎたからね、午後は公園にでも行ってゆっくりしようよ。」
いちご「分かった。」
ゆっくり歩いていると、今度は色々なものが眼に入る。
街をゆく人の流れや、動物など、いちごは様々なものに興味を示した。
いちご「あれは何?」
姫子「あれはホットドッグを売っている屋台かな?今ごはん食べたばかりだから、また明日にしましょ。」
いちご「あれは?」
姫子「エレカ? 乗ったことなかったっけ?」
いちご「無い。」
姫子「じゃあ、あれでドライブしましょ。」
電気自動車エレカは、所定の停留所に行き、クレジットカードを使えばいつでも乗れる。
二人はそれに乗って、コロニー内を散策してから公園に着いた。
いちご「これからどこに行くの?」
姫子「午前中は飛ばしすぎたからね、午後は公園にでも行ってゆっくりしようよ。」
いちご「分かった。」
ゆっくり歩いていると、今度は色々なものが眼に入る。
街をゆく人の流れや、動物など、いちごは様々なものに興味を示した。
いちご「あれは何?」
姫子「あれはホットドッグを売っている屋台かな?今ごはん食べたばかりだから、また明日にしましょ。」
いちご「あれは?」
姫子「エレカ? 乗ったことなかったっけ?」
いちご「無い。」
姫子「じゃあ、あれでドライブしましょ。」
電気自動車エレカは、所定の停留所に行き、クレジットカードを使えばいつでも乗れる。
二人はそれに乗って、コロニー内を散策してから公園に着いた。
218: 2010/11/06(土) 21:08:03.02 ID:UaMk8EUo
姫子「運転、上手じゃない。」
いちご「そう?//////」
いちごは姫子に褒めてもらうのが、一番の喜びになっていた。
しかし同時に照れくさくもあったので、すぐに話をそらしてしまう。
いちご「…あれ食べない?」
姫子「アイスクリーム?」
いちご「そう。」
姫子「甘いモノは別腹だし、食べましょうか。」
ベンチに座って、アイスクリームを食べながら、姫子が口を開いた。
姫子「楽しい?」
いちご「…うん。」
姫子「よかった。 最近、若王子さん明るくなったよね。」
いちご「…あなたのおかげ//////」
ありがとう、と言いたかったが、口にはでなかった。
きっと、いつか伝えるべき時が来る。
その時に、今までためてきたありったけのありがとうを、姫子に伝えればいい。
それは、素敵なことだ、といちごは思った。
いちご「そう?//////」
いちごは姫子に褒めてもらうのが、一番の喜びになっていた。
しかし同時に照れくさくもあったので、すぐに話をそらしてしまう。
いちご「…あれ食べない?」
姫子「アイスクリーム?」
いちご「そう。」
姫子「甘いモノは別腹だし、食べましょうか。」
ベンチに座って、アイスクリームを食べながら、姫子が口を開いた。
姫子「楽しい?」
いちご「…うん。」
姫子「よかった。 最近、若王子さん明るくなったよね。」
いちご「…あなたのおかげ//////」
ありがとう、と言いたかったが、口にはでなかった。
きっと、いつか伝えるべき時が来る。
その時に、今までためてきたありったけのありがとうを、姫子に伝えればいい。
それは、素敵なことだ、といちごは思った。
219: 2010/11/06(土) 21:08:29.95 ID:UaMk8EUo
姫子「あ…ちょうちょ!!」
姫子が突然、空に指をさした。
風に舞う紙のようだったが、それとは違い、自らの意志で方向を変え、気流に乗って背丈より少し高いくらいのところをひらひらと飛んでいる。
姫子「きれいだね。 農業ブロックから流れてきたのかな?」
いちご「欲しい?」
姫子「え…?」
姫子がちょっと待って、と言おうとしたときいちごはすでにその蝶に向かって真っ直ぐに跳躍していた。
ピンと伸ばしたその手が、吸い寄せられるように蝶に伸びていき、
ヒラヒラと不規則な軌道で飛ぶそれを、次の瞬間、しなやかな二本の指がしっかりと挟みこんでいた。
地表に降りると、いちごは一直線にそれを姫子にさし出して、言った。
いちご「あげる。」
姫子が突然、空に指をさした。
風に舞う紙のようだったが、それとは違い、自らの意志で方向を変え、気流に乗って背丈より少し高いくらいのところをひらひらと飛んでいる。
姫子「きれいだね。 農業ブロックから流れてきたのかな?」
いちご「欲しい?」
姫子「え…?」
姫子がちょっと待って、と言おうとしたときいちごはすでにその蝶に向かって真っ直ぐに跳躍していた。
ピンと伸ばしたその手が、吸い寄せられるように蝶に伸びていき、
ヒラヒラと不規則な軌道で飛ぶそれを、次の瞬間、しなやかな二本の指がしっかりと挟みこんでいた。
地表に降りると、いちごは一直線にそれを姫子にさし出して、言った。
いちご「あげる。」
220: 2010/11/06(土) 21:09:28.86 ID:UaMk8EUo
いちごは姫子の喜ぶ顔を想像して、得意げになっていた。
しかし、それに反して姫子はあまり嬉しそうな顔をしていない。
姫子「…氏んじゃった…」
いちご「え?」
いちごは、姫子が喜んでくれなかったのが意外だった。
その理由が分からずに、姫子に聞いてみる。
いちご「どうしたの?」
姫子「頃しちゃ、ダメだよ…」
姫子の掌に乗っているそれは、もう動かなくなっていた。
それを見て、いちごは心臓をつかまれたような気分になった。
いちご「…ごめんなさい…」
姫子「もう、こんな事しちゃだめだよ。 私のために捕まえてくれたのは嬉しいけど、氏んじゃったら、取り返しが付かないんだから…」
しかし、それに反して姫子はあまり嬉しそうな顔をしていない。
姫子「…氏んじゃった…」
いちご「え?」
いちごは、姫子が喜んでくれなかったのが意外だった。
その理由が分からずに、姫子に聞いてみる。
いちご「どうしたの?」
姫子「頃しちゃ、ダメだよ…」
姫子の掌に乗っているそれは、もう動かなくなっていた。
それを見て、いちごは心臓をつかまれたような気分になった。
いちご「…ごめんなさい…」
姫子「もう、こんな事しちゃだめだよ。 私のために捕まえてくれたのは嬉しいけど、氏んじゃったら、取り返しが付かないんだから…」
221: 2010/11/06(土) 21:10:18.49 ID:UaMk8EUo
いちご「取り返しが、つかない…」
姫子「そう、もとに戻すこと、出来ないでしょ?」
いちご「…出来ない。」
姫子「それが、取り返しが付かないってことだよ。 だから頃しちゃ、いけないの。」
いちご「…ごめんなさい。」
姫子「埋めてあげよっか…」
そう言って、姫子は植木の根元に穴を掘って、動かなくなった蝶を置いて、土をかぶせてやっていた。
いちごには、何故土に埋めるのか分からなかったが、その場に置いておくよりはずっといいのだろう、と思っていた。
姫子が蝶を埋め終わると、いちごはさっきから気に掛かっていたことを俯きながら、か細い声で聞いてみた。
いちご「今ので私のこと、嫌いになった?」
姫子「ううん。 そんなことないよ。」
いちご「でも私…取り返しの付かないことを…」
そう言って、いちごが蝶を潰した指を見たとき、その指からかすかにハーブのような香りがすることに気がついた。
この香りが、蝶の魂のようなものなのかな、といちごは思っていた。
姫子「そう、もとに戻すこと、出来ないでしょ?」
いちご「…出来ない。」
姫子「それが、取り返しが付かないってことだよ。 だから頃しちゃ、いけないの。」
いちご「…ごめんなさい。」
姫子「埋めてあげよっか…」
そう言って、姫子は植木の根元に穴を掘って、動かなくなった蝶を置いて、土をかぶせてやっていた。
いちごには、何故土に埋めるのか分からなかったが、その場に置いておくよりはずっといいのだろう、と思っていた。
姫子が蝶を埋め終わると、いちごはさっきから気に掛かっていたことを俯きながら、か細い声で聞いてみた。
いちご「今ので私のこと、嫌いになった?」
姫子「ううん。 そんなことないよ。」
いちご「でも私…取り返しの付かないことを…」
そう言って、いちごが蝶を潰した指を見たとき、その指からかすかにハーブのような香りがすることに気がついた。
この香りが、蝶の魂のようなものなのかな、といちごは思っていた。
222: 2010/11/06(土) 21:11:05.28 ID:UaMk8EUo
姫子「そうね…でもまた同じことをしようって、思わないでしょ。」
いちご「もうしない。」
姫子「それが人間なんじゃないかな? 間違いを犯すけど、それを間違いだって気づくことができて、二度と繰り返さない。」
いちご「…」
姫子「あたしだって、数えきれないくらい、取り返しの付かない間違いを犯してきているんだろうし…」
いちご「…そうなの?」
姫子「そうよ、そんなあたしのこと、嫌い?」
いちご「ううん。」
姫子「でしょ、だからあたしも、あなたが一つ間違いを犯したからって、嫌いになったりしないよ。」
そこまで聞いて、ようやくいちごに笑顔が戻った。
それを見て、姫子は感想をストレートに言葉にしてみた。
姫子「フフフ…あなたやっぱり、可愛いね。」
いちご「…/////////」
それを聞くやいなや、いちごはまた、俯いてしまった。
いちご「もうしない。」
姫子「それが人間なんじゃないかな? 間違いを犯すけど、それを間違いだって気づくことができて、二度と繰り返さない。」
いちご「…」
姫子「あたしだって、数えきれないくらい、取り返しの付かない間違いを犯してきているんだろうし…」
いちご「…そうなの?」
姫子「そうよ、そんなあたしのこと、嫌い?」
いちご「ううん。」
姫子「でしょ、だからあたしも、あなたが一つ間違いを犯したからって、嫌いになったりしないよ。」
そこまで聞いて、ようやくいちごに笑顔が戻った。
それを見て、姫子は感想をストレートに言葉にしてみた。
姫子「フフフ…あなたやっぱり、可愛いね。」
いちご「…/////////」
それを聞くやいなや、いちごはまた、俯いてしまった。
223: 2010/11/06(土) 21:11:37.66 ID:UaMk8EUo
唯は、目の前の敵に、梓と協力して当たっている。
敵と言っても、憂と律達の戦闘データから作り上げられた特別機の模倣品である。
それでも、戦い方の癖なんかまで、結構正確にコンピューターが再現してくれるため、訓練としてはバカにできたものではない。
梓「きゃっ!」
唯「あずにゃん、ファンネルだよ!! シールド!!」
梓「はいです!!」
唯が、散弾を撃つ。
梓「攻撃が止みました! ファンネル撃墜!」
唯「まだいくつ持っているか分からないよ! 気を抜かないで!!」
梓「唯先輩、後ろ!!」
唯「来た!!」
敵と言っても、憂と律達の戦闘データから作り上げられた特別機の模倣品である。
それでも、戦い方の癖なんかまで、結構正確にコンピューターが再現してくれるため、訓練としてはバカにできたものではない。
梓「きゃっ!」
唯「あずにゃん、ファンネルだよ!! シールド!!」
梓「はいです!!」
唯が、散弾を撃つ。
梓「攻撃が止みました! ファンネル撃墜!」
唯「まだいくつ持っているか分からないよ! 気を抜かないで!!」
梓「唯先輩、後ろ!!」
唯「来た!!」
224: 2010/11/06(土) 21:12:20.21 ID:UaMk8EUo
特別機を型どったCGが唯にビームライフルを連射する。
唯「正確な射撃だ!! あずにゃん、散弾!!」
梓「はいです!!」
敵の形をしたCGが、散弾の有効範囲に入らないように大きく回避機動をとった。
それは、大きな隙になる。
唯「今だ!! あずにゃん、突っ込むからライフルで掩護して!!」
梓「はいです!!」
唯のジェガンがサーベルを発振して突っ込む。
敵を型どったCGはライフルを連射する梓の方に釘付けだ。
唯「憂の仇! もらったよ!!」
斬りかかろうとしたとき、敵は唯の方に向き直り、そのまま格闘戦に移行した。
恐ろしい反応速度である。
唯は信じられなかったが、これは実際戦闘で敵がとった行動を基に作り上げられたシミュレーションなのである。
唯「正確な射撃だ!! あずにゃん、散弾!!」
梓「はいです!!」
敵の形をしたCGが、散弾の有効範囲に入らないように大きく回避機動をとった。
それは、大きな隙になる。
唯「今だ!! あずにゃん、突っ込むからライフルで掩護して!!」
梓「はいです!!」
唯のジェガンがサーベルを発振して突っ込む。
敵を型どったCGはライフルを連射する梓の方に釘付けだ。
唯「憂の仇! もらったよ!!」
斬りかかろうとしたとき、敵は唯の方に向き直り、そのまま格闘戦に移行した。
恐ろしい反応速度である。
唯は信じられなかったが、これは実際戦闘で敵がとった行動を基に作り上げられたシミュレーションなのである。
225: 2010/11/06(土) 21:12:55.82 ID:UaMk8EUo
梓「私も行くです!!」
梓もサーベルに持ち替え、ふたりがかりで格闘戦を行う。
しかし2機は、今一歩攻めきれない。
梓「あっ!!」
梓の機体が攻撃を受ける。
ファンネルだ。
すぐに撃墜と判定され、梓のジェガンはシミュレーターを終了させた。
唯「あずにゃん!! このォーっ!!」
突っ込むと、敵の姿がモニターから消え、すぐに唯のシミュレーターも終了された。
唯「また、勝てなかった…」
梓「もう3時間もぶっ続けでやってますよ、一旦休憩しましょう。」
唯「そうだね…」
梓「ムギ先輩がお茶を入れて待ってくれているそうです。」
二人はフラフラとコックピットを出て、休憩室へ入っていった。
梓もサーベルに持ち替え、ふたりがかりで格闘戦を行う。
しかし2機は、今一歩攻めきれない。
梓「あっ!!」
梓の機体が攻撃を受ける。
ファンネルだ。
すぐに撃墜と判定され、梓のジェガンはシミュレーターを終了させた。
唯「あずにゃん!! このォーっ!!」
突っ込むと、敵の姿がモニターから消え、すぐに唯のシミュレーターも終了された。
唯「また、勝てなかった…」
梓「もう3時間もぶっ続けでやってますよ、一旦休憩しましょう。」
唯「そうだね…」
梓「ムギ先輩がお茶を入れて待ってくれているそうです。」
二人はフラフラとコックピットを出て、休憩室へ入っていった。
226: 2010/11/06(土) 21:13:41.61 ID:UaMk8EUo
紬「はい、お茶。」
唯「ありがとう、ムギちゃん。」
梓「頂きます。」
美味そうにお茶をすする二人を見て、紬が口を開いた。
紬「今回はどうだったの?」
唯「また負けちゃったよ。 すっごく悔しい。」
紬「りっちゃんも交戦したとき、すごく強かったって言ってたけど、やっぱりニュータイプなのかな?」
唯「そうだと思う。」
梓「反応速度が尋常じゃありません。 シミュレーターで敵機の性能を割り出して、同等のものを作って操作してみたんですけど、ジェガンより機動性が低いんですよ。」
紬「そうなの?」
梓「ええ、びっくりしましたよ。 そんな機体をあそこまで操るなんて、とても人間技じゃありません。」
素早い反応速度は、サイコミュ試験型に搭載されているサイコ・フレームの影響もあるのだが、梓達にそんな事は分からない。
唯「ありがとう、ムギちゃん。」
梓「頂きます。」
美味そうにお茶をすする二人を見て、紬が口を開いた。
紬「今回はどうだったの?」
唯「また負けちゃったよ。 すっごく悔しい。」
紬「りっちゃんも交戦したとき、すごく強かったって言ってたけど、やっぱりニュータイプなのかな?」
唯「そうだと思う。」
梓「反応速度が尋常じゃありません。 シミュレーターで敵機の性能を割り出して、同等のものを作って操作してみたんですけど、ジェガンより機動性が低いんですよ。」
紬「そうなの?」
梓「ええ、びっくりしましたよ。 そんな機体をあそこまで操るなんて、とても人間技じゃありません。」
素早い反応速度は、サイコミュ試験型に搭載されているサイコ・フレームの影響もあるのだが、梓達にそんな事は分からない。
227: 2010/11/06(土) 21:14:17.14 ID:UaMk8EUo
唯「でも、必ず勝ってみせるよ。 もう少しで何とか形になりそうなんだよ。」
梓「ですね!」
紬「和ちゃんも言ってたけど、あまり根を詰めないでね。 ロンデニオンに入港したら、一度みんなで上陸しましょう。」
唯「うん、そうしようか!」
梓「そういえば律先輩達は…?」
紬「二人と同じことをやっているわ。 気がつかなかった?」
唯と梓は、ハンガーに固定されている律と澪のジェガンに目をやった。
紬「二人も、あの特別機を倒すためにシミュレーターで小隊訓練しているの。 憂ちゃんの仇を取りたいのは、唯ちゃん達だけじゃないってことね。」
唯「そうなんだ…」
梓「頼もしいですね!」
紬「ちなみに、私達もシミュレーター訓練するときは必ずあの特別機を敵機に混ぜて行っているわ。」
紬「必ず、私達の手で憂ちゃんと曽我部先輩の仇を討ちましょう!!」
唯梓「おーっ!!」
梓「ですね!」
紬「和ちゃんも言ってたけど、あまり根を詰めないでね。 ロンデニオンに入港したら、一度みんなで上陸しましょう。」
唯「うん、そうしようか!」
梓「そういえば律先輩達は…?」
紬「二人と同じことをやっているわ。 気がつかなかった?」
唯と梓は、ハンガーに固定されている律と澪のジェガンに目をやった。
紬「二人も、あの特別機を倒すためにシミュレーターで小隊訓練しているの。 憂ちゃんの仇を取りたいのは、唯ちゃん達だけじゃないってことね。」
唯「そうなんだ…」
梓「頼もしいですね!」
紬「ちなみに、私達もシミュレーター訓練するときは必ずあの特別機を敵機に混ぜて行っているわ。」
紬「必ず、私達の手で憂ちゃんと曽我部先輩の仇を討ちましょう!!」
唯梓「おーっ!!」
228: 2010/11/06(土) 21:14:52.32 ID:UaMk8EUo
無重力用の食器を片付けて、解散する。
片付けているさい、唯は紬の表情が少し陰っているのを見逃さなかった。
妹を失った唯は、同じような雰囲気をまとったものに対して敏感になっていたのだ。
梓が部屋に帰ったのを確認してから紬を追いかけて、聞いてみる。
唯「ムギちゃん、どうしたの?」
紬「唯ちゃん…何が?」
唯「ムギちゃん、なんか変だったから…落ち込んでいるって言うか…」
そこまで聞いて、紬の目に涙が溜まっていった。
紬「ここじゃなんだから、私の部屋に入って。」
唯は、促されるまま紬の部屋に入っていった。
片付けているさい、唯は紬の表情が少し陰っているのを見逃さなかった。
妹を失った唯は、同じような雰囲気をまとったものに対して敏感になっていたのだ。
梓が部屋に帰ったのを確認してから紬を追いかけて、聞いてみる。
唯「ムギちゃん、どうしたの?」
紬「唯ちゃん…何が?」
唯「ムギちゃん、なんか変だったから…落ち込んでいるって言うか…」
そこまで聞いて、紬の目に涙が溜まっていった。
紬「ここじゃなんだから、私の部屋に入って。」
唯は、促されるまま紬の部屋に入っていった。
229: 2010/11/06(土) 21:15:37.31 ID:UaMk8EUo
部屋に入ると、紬の目から涙が溢れ、無重力に漂った。
紬「私、唯ちゃんに謝らなきゃいけないの…」
唯「え…どうしたの?」
紬「憂ちゃんを氏なせたの、わたしかも知れないの…」
その言葉に、唯は目を丸くして問いかける。
唯「どうしてムギちゃんが…?」
紬「さっき和ちゃんから聞いたんだけど…これは唯ちゃんには話すなって言われたんだけど…」
紬「出撃前にね…憂ちゃん、艦長にMS部隊に職域変換したいって、お願いしていたらしいのよ…」
唯「…」
紬「それを艦長は、和ちゃんに相談したかったらしいんだけど、私、艦長と和ちゃんが仲良くしてるの見るのが嫌だったから、和ちゃんに艦長に近づかないように言ってしまったの…」
紬「もし、和ちゃんが艦長に会って、その話を聞いていたら、憂ちゃんが無理して出撃することが無かったかも知れないって思うと、わたし辛くて…」
唯「ムギちゃん…」
紬「唯ちゃん、ごめんなさい…ごめんなさい…」
紬「私、唯ちゃんに謝らなきゃいけないの…」
唯「え…どうしたの?」
紬「憂ちゃんを氏なせたの、わたしかも知れないの…」
その言葉に、唯は目を丸くして問いかける。
唯「どうしてムギちゃんが…?」
紬「さっき和ちゃんから聞いたんだけど…これは唯ちゃんには話すなって言われたんだけど…」
紬「出撃前にね…憂ちゃん、艦長にMS部隊に職域変換したいって、お願いしていたらしいのよ…」
唯「…」
紬「それを艦長は、和ちゃんに相談したかったらしいんだけど、私、艦長と和ちゃんが仲良くしてるの見るのが嫌だったから、和ちゃんに艦長に近づかないように言ってしまったの…」
紬「もし、和ちゃんが艦長に会って、その話を聞いていたら、憂ちゃんが無理して出撃することが無かったかも知れないって思うと、わたし辛くて…」
唯「ムギちゃん…」
紬「唯ちゃん、ごめんなさい…ごめんなさい…」
230: 2010/11/06(土) 21:16:04.26 ID:UaMk8EUo
紬は、その場に膝を折って泣き崩れた。
今まで溜め込んでいた辛さが、一気に彼女に押しかかってくる。
そんな紬に、唯が優しく語りかけた。
唯「ムギちゃんのせいじゃないよ…」
紬「…唯ちゃん…」
唯「憂は、あれですごく頑固なんだよ。 だから何がどう変わっていても、あの時出ていたと思う。 ムギちゃんがそんな風に自分を責める必要はないんだよ。」
紬「唯ちゃん、ありがとう…」
唯「わたしこそ、ごめんね。 ムギちゃんがそんなに苦しんでいたの。気づいてあげられなかった…。」
唯「みんなで力を合わせて、憂の仇を討とうね。」
紬「うん…頑張りましょ…私達なら、出来るわ…」
紬は、心のなかにわだかまるものが小さくなっていくのを感じていた。
しかしそれは完全には消えず、罪の意識となって心の隅に留まった。
それが、人が人である理由だと、紬は思った。
今まで溜め込んでいた辛さが、一気に彼女に押しかかってくる。
そんな紬に、唯が優しく語りかけた。
唯「ムギちゃんのせいじゃないよ…」
紬「…唯ちゃん…」
唯「憂は、あれですごく頑固なんだよ。 だから何がどう変わっていても、あの時出ていたと思う。 ムギちゃんがそんな風に自分を責める必要はないんだよ。」
紬「唯ちゃん、ありがとう…」
唯「わたしこそ、ごめんね。 ムギちゃんがそんなに苦しんでいたの。気づいてあげられなかった…。」
唯「みんなで力を合わせて、憂の仇を討とうね。」
紬「うん…頑張りましょ…私達なら、出来るわ…」
紬は、心のなかにわだかまるものが小さくなっていくのを感じていた。
しかしそれは完全には消えず、罪の意識となって心の隅に留まった。
それが、人が人である理由だと、紬は思った。
231: 2010/11/06(土) 21:17:31.27 ID:UaMk8EUo
民間のホテルだったものを接収した宿舎に、姫子といちごは帰ってきていた。
姫子の部屋の前まで、いちごが付いてくる。
姫子「また、明日ね。」
いちご「…」
姫子「どうしたの?」
いちご「…何でもない。」
姫子「…じゃあ、また明日」
いちご「…ん。」
いちごは、とぼとぼと自室に帰り、冷えたベッドに潜り込んだ。
いちご「独りは、嫌。」
いちご「早く、明日に…」
毛布をかぶっても、温もりが今ひとつ足りないような気がする。
いちご「…寒い。」
姫子の笑顔を思い浮かべながら、目を閉じた。
そうしたら、少し暖かくなったような気がした。
第七話 スウィート・ウォーター! おわり
次回は第八話 愚行!
姫子の部屋の前まで、いちごが付いてくる。
姫子「また、明日ね。」
いちご「…」
姫子「どうしたの?」
いちご「…何でもない。」
姫子「…じゃあ、また明日」
いちご「…ん。」
いちごは、とぼとぼと自室に帰り、冷えたベッドに潜り込んだ。
いちご「独りは、嫌。」
いちご「早く、明日に…」
毛布をかぶっても、温もりが今ひとつ足りないような気がする。
いちご「…寒い。」
姫子の笑顔を思い浮かべながら、目を閉じた。
そうしたら、少し暖かくなったような気がした。
第七話 スウィート・ウォーター! おわり
次回は第八話 愚行!
236: 2010/11/07(日) 18:02:11.70 ID:mmPQs5Uo
第八話 愚行!
ロンデニオンに入港するとすぐに、唯達は上陸許可をもらい、艦内の私物庫でクッション材につつまれた楽器を引っ張り出していた。
唯「ロンデニオンにも貸しスタジオがあるんだね。」
澪「艦内で色々調べて、律が予約をとってくれたんだ。」
律「そうだぞ、私だってやるときはやるんだ!」エヘン
梓「ありがとうございます。 律先輩。」
紬「早く行きましょ。 予約していた時間になってしまうわ。」
艦を出ると、律が他のメンバーを見ながら羨ましそうに口を開いた。
律「しっかし、ギターやベースはいいよなあ。 そうやって持ち運びが出来るんだもんなあ。」
紬「キーボードも持ち運べます!」フン
律「いやいや、それはムギだけだから…」
5人「あはははは…」
久しぶりに、5人に笑顔が戻っていた。
237: 2010/11/07(日) 18:02:37.13 ID:mmPQs5Uo
艦に残って残務の処理をしている和のところに、真っ先に艦から居なくなっていそうな人物が寄ってきた。
純「ま~た仕事やっているんですか? 上陸できるのに…。」
和「あなたは真っ先に艦から逃げ出したと思ったけど、まだいたのね。」
純「えへへぇ…別にいいじゃないですかぁ…それよりジュース飲みに行きましょうよ! オゴりますから!!」
和「何がオゴりますから、よ。 タダで出てくるフリードリンクじゃない!」
純「細かいことは、気にしないでください! さあ、レッツゴー!!」
ジュースの自販機が置いてある簡易休憩室の側まで来たとき、純が急に方向転換して、言った。
純「ちょっとトイレ行ってきます! 休憩室で待っていてくださいね。」
純「ま~た仕事やっているんですか? 上陸できるのに…。」
和「あなたは真っ先に艦から逃げ出したと思ったけど、まだいたのね。」
純「えへへぇ…別にいいじゃないですかぁ…それよりジュース飲みに行きましょうよ! オゴりますから!!」
和「何がオゴりますから、よ。 タダで出てくるフリードリンクじゃない!」
純「細かいことは、気にしないでください! さあ、レッツゴー!!」
ジュースの自販機が置いてある簡易休憩室の側まで来たとき、純が急に方向転換して、言った。
純「ちょっとトイレ行ってきます! 休憩室で待っていてくださいね。」
238: 2010/11/07(日) 18:04:16.78 ID:mmPQs5Uo
和「もう、せわしないわね…」
と、言って和が休憩室に入った瞬間、彼女の時間が止まってしまった。
艦長「あ」 和「あ」
純は、トイレには行かず、物陰に隠れてそれを眺めている。
始めからこれが目的だったのである。
純「始まるぞ! 生真面目女と、ダメ男の、夢のコラボレーション!!」ニヤニヤ
純「上陸なんてしなくて、大正解でした!!」テーレッテレー
と、言って和が休憩室に入った瞬間、彼女の時間が止まってしまった。
艦長「あ」 和「あ」
純は、トイレには行かず、物陰に隠れてそれを眺めている。
始めからこれが目的だったのである。
純「始まるぞ! 生真面目女と、ダメ男の、夢のコラボレーション!!」ニヤニヤ
純「上陸なんてしなくて、大正解でした!!」テーレッテレー
239: 2010/11/07(日) 18:04:42.27 ID:mmPQs5Uo
和は、どうしたらいいのか分からずに、取りあえず自販機を操作してジュースを取り出した。
何のジュースを選んだのかも、分からない。
すすったところで、もちろん味が分かるわけではない。
和「…」チュー
最初に口を開いたのは、艦長だった。
艦長「…まだ仕事が残っているのか…?」
和「…え…ええ、色々と…」
艦長「気晴らしに艦の外に出てみるのもいいぞ。」
和「でも、艦長も出られていませんよね…」
艦長「私は明日だな…今日は副長が上陸している。 彼はこのコロニーに奥さんがいるから、優先的に出してやった。」
何のジュースを選んだのかも、分からない。
すすったところで、もちろん味が分かるわけではない。
和「…」チュー
最初に口を開いたのは、艦長だった。
艦長「…まだ仕事が残っているのか…?」
和「…え…ええ、色々と…」
艦長「気晴らしに艦の外に出てみるのもいいぞ。」
和「でも、艦長も出られていませんよね…」
艦長「私は明日だな…今日は副長が上陸している。 彼はこのコロニーに奥さんがいるから、優先的に出してやった。」
240: 2010/11/07(日) 18:05:10.74 ID:mmPQs5Uo
和「私も、明日上陸を…//////」ボソ
艦長「え?」
和「お…お一人で出られるのですか…?//////」ソワソワ
艦長「あ…ああ…。(なんだ…この展開は…おれ、失恋したんじゃなかったっけ…?)」ドキドキ
和「その…よかったら、二人で…/////////」モジモジ
艦長「はう…ふ…二人で…!!?(ヤヴァイ…胸の高鳴りがああ)」ドキンドキン
和「はい…二人きりで…/////////」
艦長「ふたりきり…あふーっ!(こここここれは…もしかして…人生初デートってやつかああああ)」バックンバックン
艦長「え?」
和「お…お一人で出られるのですか…?//////」ソワソワ
艦長「あ…ああ…。(なんだ…この展開は…おれ、失恋したんじゃなかったっけ…?)」ドキドキ
和「その…よかったら、二人で…/////////」モジモジ
艦長「はう…ふ…二人で…!!?(ヤヴァイ…胸の高鳴りがああ)」ドキンドキン
和「はい…二人きりで…/////////」
艦長「ふたりきり…あふーっ!(こここここれは…もしかして…人生初デートってやつかああああ)」バックンバックン
241: 2010/11/07(日) 18:05:48.65 ID:mmPQs5Uo
その時、簡易休憩室に備え付けられていた艦内電話がけたたましく鳴り響いた。
心のなかで舌打ちをして、艦長が受話器をとる。
艦長「(畜生、いいところに…)もし、艦長だが、なんだ?」
艦長「…何だと!!? すぐにブリッジに上がる!!」
和「何かあったんですか?」
艦長「会計監査局の役人からブライト司令にタレコミがあったらしい! ネオ・ジオンと連邦政府の交渉内容をキャッチしたそうだ!!」
和「それは…どういう…!?」
艦長「私もそれしか聞いていない。 今からブリッジに上がって詳細を確認するから、君は外出中のパイロット連中に呼集を掛けてくれ!! 集まり次第ミーティングをやる!!」
和「…はい!」
艦長「スマンな…君とのデートはおあずけだ。」
和「…はい…」
今まで、任務には忠実だった。
しかし和は、その時初めて仕事に対して嫌な顔をしていた。
心のなかで舌打ちをして、艦長が受話器をとる。
艦長「(畜生、いいところに…)もし、艦長だが、なんだ?」
艦長「…何だと!!? すぐにブリッジに上がる!!」
和「何かあったんですか?」
艦長「会計監査局の役人からブライト司令にタレコミがあったらしい! ネオ・ジオンと連邦政府の交渉内容をキャッチしたそうだ!!」
和「それは…どういう…!?」
艦長「私もそれしか聞いていない。 今からブリッジに上がって詳細を確認するから、君は外出中のパイロット連中に呼集を掛けてくれ!! 集まり次第ミーティングをやる!!」
和「…はい!」
艦長「スマンな…君とのデートはおあずけだ。」
和「…はい…」
今まで、任務には忠実だった。
しかし和は、その時初めて仕事に対して嫌な顔をしていた。
242: 2010/11/07(日) 18:06:17.11 ID:mmPQs5Uo
梓は、唯がギターを弾いているのを見るのが好きだった。
歌っているのを見るのは、もっと好きだ。
唯「キラキラひかる 願い事も グチャグチャへたる 悩み事も」
唯「そーだホッチキスで とじちゃおー」
唯の歌を引き立てるように、優しくギターでリズムを奏でる。
MSで戦うのではなく、こっちの方が、自分の仕事としてしっくりとハマっているような気がする。
唯「はじまりだけは 軽いノリで しらないうちに あつくなって」
梓はうっとりしながらギターを弾き続ける。
それでも、指を違えることはしない。
唯「もう針がなんだか 通らない」
唯「ララ また明日 」
たとえブランクがあっても、この歌声に導かれて、正確なコードを弾きだすことが出来る。
唯の歌には、そんな力があった。
歌っているのを見るのは、もっと好きだ。
唯「キラキラひかる 願い事も グチャグチャへたる 悩み事も」
唯「そーだホッチキスで とじちゃおー」
唯の歌を引き立てるように、優しくギターでリズムを奏でる。
MSで戦うのではなく、こっちの方が、自分の仕事としてしっくりとハマっているような気がする。
唯「はじまりだけは 軽いノリで しらないうちに あつくなって」
梓はうっとりしながらギターを弾き続ける。
それでも、指を違えることはしない。
唯「もう針がなんだか 通らない」
唯「ララ また明日 」
たとえブランクがあっても、この歌声に導かれて、正確なコードを弾きだすことが出来る。
唯の歌には、そんな力があった。
243: 2010/11/07(日) 18:06:43.80 ID:mmPQs5Uo
歌い終わったと同時に、単調な電子音が部屋に響き渡った。
それは、梓の気分を害す要因以外の何物でもない。
他のメンバーにとっても、同じものだった。
紬「りっちゃん、非常連絡よ。」
律「ちっ…なんだよ、いいとこなのに…。」
そのまま律は、無言で連絡用の端末を耳に押し付けていたが、不意に溜息と共に通話を切って、言った。
律「…帰って来いってさ。」ハァ
澪「…仕事なら仕方ないな…」
紬「…そうね。」
梓「…」
唯「戦いが終わったら、またゆっくり来ようよ!」
戦いが終わったとき、メンバーが欠けることなくそろっている保証はない。
それでも、その唯の言葉に賭けてみるしか、無かった。
それは、梓の気分を害す要因以外の何物でもない。
他のメンバーにとっても、同じものだった。
紬「りっちゃん、非常連絡よ。」
律「ちっ…なんだよ、いいとこなのに…。」
そのまま律は、無言で連絡用の端末を耳に押し付けていたが、不意に溜息と共に通話を切って、言った。
律「…帰って来いってさ。」ハァ
澪「…仕事なら仕方ないな…」
紬「…そうね。」
梓「…」
唯「戦いが終わったら、またゆっくり来ようよ!」
戦いが終わったとき、メンバーが欠けることなくそろっている保証はない。
それでも、その唯の言葉に賭けてみるしか、無かった。
244: 2010/11/07(日) 18:07:50.74 ID:mmPQs5Uo
ブリーフィングルームに入ると、和が見るからに機嫌の悪そうな表情で座っている。
側にうつむいた純も居る。
和「遅かったわね。」ムスッ
その言葉に、律もむっとして言葉を返した。
律「上陸してたんだから、当たり前だろ! 仕事してりゃあ幸せな真鍋少尉殿とは違うんだよ!」
和「なんですって…!」
純「ま…まあまあ、二人共落ち着いて…」
メンバーが集まったのを確認して、艦長が切り出す。
側にうつむいた純も居る。
和「遅かったわね。」ムスッ
その言葉に、律もむっとして言葉を返した。
律「上陸してたんだから、当たり前だろ! 仕事してりゃあ幸せな真鍋少尉殿とは違うんだよ!」
和「なんですって…!」
純「ま…まあまあ、二人共落ち着いて…」
メンバーが集まったのを確認して、艦長が切り出す。
245: 2010/11/07(日) 18:08:25.81 ID:mmPQs5Uo
艦長「今回は、休暇中に済まなかったな…実はネオ・ジオン関係でまた動きがあったんだ…」
律「能書きはいいから、さっさと要点だけまとめて話しやがれ!」
和「律! あなたねえ…!!」
艦長「真鍋少尉! いいんだ!!」
和「…すみません…続けてください…」
艦長「アデナウアー・パラヤとシャアの間で交渉が行われたようだ。 連邦政府の連中は、これでネオ・ジオンと和平が成立したと思っている。」
律「交渉の内容はどうなんだよ?」
律が、机に足を投げ出して、傲然と言い放った。
和はそれを睨みつけている。
艦長「ネオ・ジオンの政庁をスウィート・ウォーターに認め、 コロニー開発の鉱物資源供給と雇用対策のために、小惑星アクシズをネオ・ジオンのものとする、という内容だ。」
律「能書きはいいから、さっさと要点だけまとめて話しやがれ!」
和「律! あなたねえ…!!」
艦長「真鍋少尉! いいんだ!!」
和「…すみません…続けてください…」
艦長「アデナウアー・パラヤとシャアの間で交渉が行われたようだ。 連邦政府の連中は、これでネオ・ジオンと和平が成立したと思っている。」
律「交渉の内容はどうなんだよ?」
律が、机に足を投げ出して、傲然と言い放った。
和はそれを睨みつけている。
艦長「ネオ・ジオンの政庁をスウィート・ウォーターに認め、 コロニー開発の鉱物資源供給と雇用対策のために、小惑星アクシズをネオ・ジオンのものとする、という内容だ。」
246: 2010/11/07(日) 18:09:08.86 ID:mmPQs5Uo
その言葉を聞いて、律の顔色が変わった。
いや、他のメンバーも同じように顔色を変えている。
律「次は、アクシズを地球に落とされるじゃねえか…連邦政府の連中ってのは、そんな事も考えられねえのかよ!!」
艦長「そうだ。 私もこの決定はかなりの愚行だと思う。ラサに隕石を落としたことについても不問に付されているしな。 しかしこれを見て欲しい。」
正面のスクリーンに、地球を中心として、スウィート・ウォーターとアクシズ、ロンデニオンのあるサイド1、それにルナ2の位置関係と航宙軌道を表した図が投影された。
艦長「シャアの艦隊は、アクシズ譲渡前にルナ2で武装解除をすることになっている。 数日中にスウィート・ウォーターから動き出すはずだ。」
和「それは、当然ニュースにもなりますね。 テレビ放送で全地球圏に監視される…。」
艦長「そして奴がルナ2で事を起こして、アクシズに向かったとしても、ロンデニオンから艦を出せば、アクシズに着くのは我々の方が早くなる、という計算だ。」
いや、他のメンバーも同じように顔色を変えている。
律「次は、アクシズを地球に落とされるじゃねえか…連邦政府の連中ってのは、そんな事も考えられねえのかよ!!」
艦長「そうだ。 私もこの決定はかなりの愚行だと思う。ラサに隕石を落としたことについても不問に付されているしな。 しかしこれを見て欲しい。」
正面のスクリーンに、地球を中心として、スウィート・ウォーターとアクシズ、ロンデニオンのあるサイド1、それにルナ2の位置関係と航宙軌道を表した図が投影された。
艦長「シャアの艦隊は、アクシズ譲渡前にルナ2で武装解除をすることになっている。 数日中にスウィート・ウォーターから動き出すはずだ。」
和「それは、当然ニュースにもなりますね。 テレビ放送で全地球圏に監視される…。」
艦長「そして奴がルナ2で事を起こして、アクシズに向かったとしても、ロンデニオンから艦を出せば、アクシズに着くのは我々の方が早くなる、という計算だ。」
247: 2010/11/07(日) 18:09:51.89 ID:mmPQs5Uo
澪「見た感じ、隙のない計画だと思います。」
紬「そうね。」
律「ああ、それじゃあ隕石落としは無理だろ。 和平成立だ!」
艦長「しかし妙だと思わんか…一発目をやっちまって、地球を寒冷化するならもう一発隕石が必要で…そんな時にアクシズを手に入れるという、このタイミングのよさ…。」
和「どう考えても、あやしいわね。」
艦長「なので我々は、いつ事が起こってもいいように、ここで待機することにした。 当分上陸は控えて欲しい。」
律「上陸してたって、ものの一時間もあれば集合が可能なんだからいいじゃねえか!!」
艦長「駄目だ。 もし事が起こった場合、一刻を争う事態になることは必至だ。」
紬「そうね。」
律「ああ、それじゃあ隕石落としは無理だろ。 和平成立だ!」
艦長「しかし妙だと思わんか…一発目をやっちまって、地球を寒冷化するならもう一発隕石が必要で…そんな時にアクシズを手に入れるという、このタイミングのよさ…。」
和「どう考えても、あやしいわね。」
艦長「なので我々は、いつ事が起こってもいいように、ここで待機することにした。 当分上陸は控えて欲しい。」
律「上陸してたって、ものの一時間もあれば集合が可能なんだからいいじゃねえか!!」
艦長「駄目だ。 もし事が起こった場合、一刻を争う事態になることは必至だ。」
248: 2010/11/07(日) 18:10:20.56 ID:mmPQs5Uo
律「それじゃあアクシズがスウィート・ウォーターに接触して、資源採掘が始まってもずっとここで監視しているのかよ!!」
律「そんなのに付き合わされるこっちの身にも…」
その時、乾いた音がして、律の体が横に飛び、ゆっくりと壁にぶつかった。
和が、平手打ちを放ったのだ。
和「いい加減にしなさい!! 上陸できなくて辛いのは、あなただけじゃないのよ!!」
律「…そんな事はなあ…!」
律は体勢を立てなおして、和に一発お返しをしようと思ったが、ターゲットであったその顔を見て、動きが止まってしまった。
律「の…和…!?」
律「そんなのに付き合わされるこっちの身にも…」
その時、乾いた音がして、律の体が横に飛び、ゆっくりと壁にぶつかった。
和が、平手打ちを放ったのだ。
和「いい加減にしなさい!! 上陸できなくて辛いのは、あなただけじゃないのよ!!」
律「…そんな事はなあ…!」
律は体勢を立てなおして、和に一発お返しをしようと思ったが、ターゲットであったその顔を見て、動きが止まってしまった。
律「の…和…!?」
249: 2010/11/07(日) 18:10:53.12 ID:mmPQs5Uo
和の目には、涙が溢れていた。
和「…艦長だって…上陸して、休暇を楽しみたかったのに…それを必氏で我慢しているのに…あなたは自分勝手よ!!」
律に、返す言葉は、一つしか無かった。
律「…ごめん…私が悪かった…。」
艦長「…私も、申し訳ないと思っている。 しかしこの事態が沈静化するまで、どうか緊張を保っていて欲しい。 解散。」
その言葉に、メンバーがぞろぞろとブリーフィングルームを出る。
律は、和にちゃんと謝ろうと思って廊下で待ったが、艦長と和だけが、なかなか出てこない。
律「あ~あ、邪魔しちゃ悪いか…」
そう言って、律もすぐに部屋に戻っていった。
和「…艦長だって…上陸して、休暇を楽しみたかったのに…それを必氏で我慢しているのに…あなたは自分勝手よ!!」
律に、返す言葉は、一つしか無かった。
律「…ごめん…私が悪かった…。」
艦長「…私も、申し訳ないと思っている。 しかしこの事態が沈静化するまで、どうか緊張を保っていて欲しい。 解散。」
その言葉に、メンバーがぞろぞろとブリーフィングルームを出る。
律は、和にちゃんと謝ろうと思って廊下で待ったが、艦長と和だけが、なかなか出てこない。
律「あ~あ、邪魔しちゃ悪いか…」
そう言って、律もすぐに部屋に戻っていった。
250: 2010/11/07(日) 18:11:54.70 ID:mmPQs5Uo
いちごは、研究者に呼び出された先で、この上ない失望感に襲われていた。
隣に姫子も居るが、彼女も気持ちは同じようだ。
姫子「どういう事ですか!!?」
研究者「ヤクト・ドーガは総帥が拾ってきたニュータイプに使わせることになった。 若王子少尉は引き続きサイコミュ試験型のパイロットを続けるように。」
姫子「拾ってきたって…犬や猫じゃないんだから…」
研究者「素性は知らんが、家出少女みたいだ。 クェス・エアとか名乗ってたかな? 総帥もあの口リコン趣味が無ければなあ…。」
シャアは、ネオ・ジオンの将兵たちから、半ば公然と口リコンのレッテルを貼られていた。
姫子はそれを信じてはいなかったが、家出少女を拾ってきたとなると、信じたくもなってしまう。
ましてや、大切ないちごの問題が絡むのである。姫子のシャアへの怒りは頂点に達していた。
隣に姫子も居るが、彼女も気持ちは同じようだ。
姫子「どういう事ですか!!?」
研究者「ヤクト・ドーガは総帥が拾ってきたニュータイプに使わせることになった。 若王子少尉は引き続きサイコミュ試験型のパイロットを続けるように。」
姫子「拾ってきたって…犬や猫じゃないんだから…」
研究者「素性は知らんが、家出少女みたいだ。 クェス・エアとか名乗ってたかな? 総帥もあの口リコン趣味が無ければなあ…。」
シャアは、ネオ・ジオンの将兵たちから、半ば公然と口リコンのレッテルを貼られていた。
姫子はそれを信じてはいなかったが、家出少女を拾ってきたとなると、信じたくもなってしまう。
ましてや、大切ないちごの問題が絡むのである。姫子のシャアへの怒りは頂点に達していた。
251: 2010/11/07(日) 18:12:29.24 ID:mmPQs5Uo
姫子「総帥の変態趣味のことなんてどうでもいいわ!! 随分前からヤクト・ドーガは若王子少尉が使うって決まっていたでしょ!?」
研究者「あれはもともと総帥用の予備機なんだ。 だから総帥の一存で決まっちまうのさ。 こっちも急な変更であたふたしてるんだよ。」
姫子「でも…そんなのって…」
食い下がる姫子を、いちごのか細い声が制した。
いちご「…もういい。」
姫子「…若王子さん…。」
いちご「帰ろ。」
研究者「あれはもともと総帥用の予備機なんだ。 だから総帥の一存で決まっちまうのさ。 こっちも急な変更であたふたしてるんだよ。」
姫子「でも…そんなのって…」
食い下がる姫子を、いちごのか細い声が制した。
いちご「…もういい。」
姫子「…若王子さん…。」
いちご「帰ろ。」
252: 2010/11/07(日) 18:13:02.39 ID:mmPQs5Uo
宿舎に帰る。
いちごの居室の前まで、姫子が送ってくれた。
姫子「…元気だしてね…それじゃあまた明日…」
そう言って、部屋に戻ろうとした姫子の袖がくっ、と引かれた。
振り返ると、いちごの細い指が、しっかりと袖を掴んでいる。
いちご「行かないで。」
そのまま、姫子はいちごの部屋に引き込まれた。
いちごがベッドに腰掛けて俯く。
姫子「若王子さん…?」
どうしたの、と姫子が言おうとしたとき、いちごが搾り出すように短い言葉を吐きだした。
いちご「私…辛い。」
姫子は、とっさに言葉が出なかった。
いちごが初めて辛い、といったのだ。
その衝撃に、姫子はいちごの肩に手を回して、抱き寄せてやるのが精一杯だった。
いちごの居室の前まで、姫子が送ってくれた。
姫子「…元気だしてね…それじゃあまた明日…」
そう言って、部屋に戻ろうとした姫子の袖がくっ、と引かれた。
振り返ると、いちごの細い指が、しっかりと袖を掴んでいる。
いちご「行かないで。」
そのまま、姫子はいちごの部屋に引き込まれた。
いちごがベッドに腰掛けて俯く。
姫子「若王子さん…?」
どうしたの、と姫子が言おうとしたとき、いちごが搾り出すように短い言葉を吐きだした。
いちご「私…辛い。」
姫子は、とっさに言葉が出なかった。
いちごが初めて辛い、といったのだ。
その衝撃に、姫子はいちごの肩に手を回して、抱き寄せてやるのが精一杯だった。
253: 2010/11/07(日) 18:13:55.26 ID:mmPQs5Uo
いちごが続ける。
いちご「どうしてなの…教えて…」
いちご「私が、失敗作だから? 役立たずだから?」
姫子「…違うわ…そんな事言わないで!」
姫子はいちごの正面に回りこみ、その肩を抱いてはっきりとそう言ってやった。
いちごの目は乾ききっていたが、心のなかでは涙が流れているのが容易に想像出来る。
姫子「あなたは、私にとってかけがえの無い人だから…そんな悲しい事…言わないで…。」
いちご「ヤクト・ドーガが使えれば、もっとあなたの役に立てると思っていた…でも…私は…」
姫子「若王子さん…」
いちご「私は…こんな自分が情けない…」
いちご「どうしてなの…教えて…」
いちご「私が、失敗作だから? 役立たずだから?」
姫子「…違うわ…そんな事言わないで!」
姫子はいちごの正面に回りこみ、その肩を抱いてはっきりとそう言ってやった。
いちごの目は乾ききっていたが、心のなかでは涙が流れているのが容易に想像出来る。
姫子「あなたは、私にとってかけがえの無い人だから…そんな悲しい事…言わないで…。」
いちご「ヤクト・ドーガが使えれば、もっとあなたの役に立てると思っていた…でも…私は…」
姫子「若王子さん…」
いちご「私は…こんな自分が情けない…」
254: 2010/11/07(日) 18:14:52.81 ID:mmPQs5Uo
姫子「そんな事…」
姫子は、涙に震えてそれ以上言葉を発することが出来なかった。
いちご「私は…あなたの役に立ちたいのに…またこうしてあなたを泣かせている…」
いちご「私なんか…いなくなればいい!」
姫子「やめて!!」
姫子は、いちごの顔を自分の胸に押し付けるように抱き締めて、いちごの口を塞いだ。
姫子「あなたがそうやって、自分を追い詰めるから辛くてあたしも泣くんだよ…」
姫子「あたしはあなたのこと、大好きだから…だからそんな風に自分を追い詰めたりしないで…」
いちご「…」
姫子「いなくなるなんて、言わないで…ずっと側にいてよ…」
姫子「お願い…」
姫子は、涙に震えてそれ以上言葉を発することが出来なかった。
いちご「私は…あなたの役に立ちたいのに…またこうしてあなたを泣かせている…」
いちご「私なんか…いなくなればいい!」
姫子「やめて!!」
姫子は、いちごの顔を自分の胸に押し付けるように抱き締めて、いちごの口を塞いだ。
姫子「あなたがそうやって、自分を追い詰めるから辛くてあたしも泣くんだよ…」
姫子「あたしはあなたのこと、大好きだから…だからそんな風に自分を追い詰めたりしないで…」
いちご「…」
姫子「いなくなるなんて、言わないで…ずっと側にいてよ…」
姫子「お願い…」
255: 2010/11/07(日) 18:15:34.21 ID:mmPQs5Uo
いちごは、姫子の胸で、何度も、何度も頷いていた。
そのたびに、ありがとうが、心のなかに溜まっていく。
ただ、笑顔が作れそうにない今は、それを口に出す時ではない、といちごは考え、その言葉をぐっとこらえていた。
しばらく姫子の胸で甘えていると、いちごの中にその温もりを手放したくない、という欲求が生まれてきた。
いつもなら我慢するところだが、今日はそれができそうに無かった。
いちご「お願いが、あるの。」
姫子「何?」
いちご「…独りで寝ると、寒いの…」
姫子「…」
いちご「…だから…今日だけは…一緒に…。」
姫子「…分かった。 今日だけ、一緒に寝てあげるね。」
そのたびに、ありがとうが、心のなかに溜まっていく。
ただ、笑顔が作れそうにない今は、それを口に出す時ではない、といちごは考え、その言葉をぐっとこらえていた。
しばらく姫子の胸で甘えていると、いちごの中にその温もりを手放したくない、という欲求が生まれてきた。
いつもなら我慢するところだが、今日はそれができそうに無かった。
いちご「お願いが、あるの。」
姫子「何?」
いちご「…独りで寝ると、寒いの…」
姫子「…」
いちご「…だから…今日だけは…一緒に…。」
姫子「…分かった。 今日だけ、一緒に寝てあげるね。」
256: 2010/11/07(日) 18:16:46.13 ID:mmPQs5Uo
それを聞いて、いちごの表情が緩みそうになった。
しかしいちごは、久しぶりに表情の変化に抗った。
自分の欲望を成就させた後の、あさましく、恥ずかしい表情を、姫子に見せたくなかったのだ。
こらえきれない、と思って、顔を見せないように素早く姫子に抱きついた。
笑顔になったが、ありがとうは当然言えなかった。
姫子「今日だけだからね。」
いちご「…」
無言が、返事だった。
姫子「きゃっ!」
姫子は、いちごのベッドに引きずり込まれた。
毛布を被せられ、何も見えなくなると、頬に唇の冷たい感触が触れた。
いちご「…好き。」
次の日も、その次の日も、いちごは「今日だけ」を繰り返し、姫子のベッドに潜り込んだ。
そのたびに口元が歪む自分をいちごは激しく嫌悪したが、姫子と一緒に寝る時間を、彼女を独占する時間を、手放すことは出来なかった。
第八話 愚行! おわり
次回は 第九話 だまし討から!
しかしいちごは、久しぶりに表情の変化に抗った。
自分の欲望を成就させた後の、あさましく、恥ずかしい表情を、姫子に見せたくなかったのだ。
こらえきれない、と思って、顔を見せないように素早く姫子に抱きついた。
笑顔になったが、ありがとうは当然言えなかった。
姫子「今日だけだからね。」
いちご「…」
無言が、返事だった。
姫子「きゃっ!」
姫子は、いちごのベッドに引きずり込まれた。
毛布を被せられ、何も見えなくなると、頬に唇の冷たい感触が触れた。
いちご「…好き。」
次の日も、その次の日も、いちごは「今日だけ」を繰り返し、姫子のベッドに潜り込んだ。
そのたびに口元が歪む自分をいちごは激しく嫌悪したが、姫子と一緒に寝る時間を、彼女を独占する時間を、手放すことは出来なかった。
第八話 愚行! おわり
次回は 第九話 だまし討から!
261: 2010/11/08(月) 20:26:33.28 ID:cLfSKCUo
投下します。
第九話 だまし討ちから!
スウィート・ウォーターの港内に停泊している艦隊のうちの一つに、姫子たちのムサカ3番艦も混じっている。
そのMSデッキには演説中のシャアの立体映像が投影され、それを取り囲むように上下左右の壁面に将兵たちが整列していた。
シャア「…地球連邦政府が難民に対して行った施策はここまでで、入れ物さえ作ればよしとして、彼らは地球に引きこもり、我々に地球を開放することはしなかったのである。」
姫子「…」
シャア「…しかしその結果、地球連邦政府は増長し、連邦軍の内部は腐敗し、ティターンズのような反連邦政府運動を生み、ザビ家の残党を騙るハマーンの跳梁ともなった。」
信代「…」
シャア「…それが、アクシズを地球に落とす作戦の真の目的である。これによって、地球圏の戦争の源である地球に居続ける人々を粛清する。」
第九話 だまし討ちから!
スウィート・ウォーターの港内に停泊している艦隊のうちの一つに、姫子たちのムサカ3番艦も混じっている。
そのMSデッキには演説中のシャアの立体映像が投影され、それを取り囲むように上下左右の壁面に将兵たちが整列していた。
シャア「…地球連邦政府が難民に対して行った施策はここまでで、入れ物さえ作ればよしとして、彼らは地球に引きこもり、我々に地球を開放することはしなかったのである。」
姫子「…」
シャア「…しかしその結果、地球連邦政府は増長し、連邦軍の内部は腐敗し、ティターンズのような反連邦政府運動を生み、ザビ家の残党を騙るハマーンの跳梁ともなった。」
信代「…」
シャア「…それが、アクシズを地球に落とす作戦の真の目的である。これによって、地球圏の戦争の源である地球に居続ける人々を粛清する。」
262: 2010/11/08(月) 20:27:04.65 ID:cLfSKCUo
将兵「うおおおおおおおおおお!!」
潮「…」
将兵「ジーク!! ジーク!! ジーク!! ジーク!!」
シャア「諸君、みずからの道を拓く為、難民の為の政治を手に入れる為に、あと一息、諸君らの力を私に貸していただきたい。そして私は、父ジオンのもとに召されるであろう!」
慶子「…」
将兵「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」
潮「…」
将兵「ジーク!! ジーク!! ジーク!! ジーク!!」
シャア「諸君、みずからの道を拓く為、難民の為の政治を手に入れる為に、あと一息、諸君らの力を私に貸していただきたい。そして私は、父ジオンのもとに召されるであろう!」
慶子「…」
将兵「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」
263: 2010/11/08(月) 20:27:42.27 ID:cLfSKCUo
熱狂が冷めると、すぐに出撃準備にとりかかる。
と言っても、演説前にその多くを済ませてしまっているので、MS隊のメンバーがやらなければならないことは殆ど無い。
姫子「あなた達、あまりノッてなかったみたいじゃない。」
信代「ああいうのに興味ないからね。」
潮「あんなのに熱狂するのって、男の仕事でしょ。」
慶子「それよりさ、強化人間は使えるの?」
姫子「若王子少尉でしょ!!」
信代「まあこっちはルナ2と違って大した任務じゃないし、わたし等だけで出来るでしょ。 問題はその後だけどね…」
姫子「アクシズに、ロンド・ベルが来る…でしょ。」
信代「ああ…で、その若王子少尉殿は、戦えるのかい?」
姫子「大丈夫! 彼女なら、やってくれるわ!」
慶子「あなた次第で、でしょ?」
姫子「そういう言い方、しないで!」
信代「まあ、期待しているよ。 しっかり仕事をさせな。」
と言っても、演説前にその多くを済ませてしまっているので、MS隊のメンバーがやらなければならないことは殆ど無い。
姫子「あなた達、あまりノッてなかったみたいじゃない。」
信代「ああいうのに興味ないからね。」
潮「あんなのに熱狂するのって、男の仕事でしょ。」
慶子「それよりさ、強化人間は使えるの?」
姫子「若王子少尉でしょ!!」
信代「まあこっちはルナ2と違って大した任務じゃないし、わたし等だけで出来るでしょ。 問題はその後だけどね…」
姫子「アクシズに、ロンド・ベルが来る…でしょ。」
信代「ああ…で、その若王子少尉殿は、戦えるのかい?」
姫子「大丈夫! 彼女なら、やってくれるわ!」
慶子「あなた次第で、でしょ?」
姫子「そういう言い方、しないで!」
信代「まあ、期待しているよ。 しっかり仕事をさせな。」
264: 2010/11/08(月) 20:28:37.73 ID:cLfSKCUo
信代たちと別れた後、姫子はいちごの部屋に彼女を迎えに行った。
シャアの一存で、ヤクト・ドーガを取り上げられ、失望したばかりだった。
問題はなかったのだが、念のために演説の現場には居合わせる事を許可されなかったのである。
そこには、いちごに対する明確な不信感があった。
姫子は、演説の間じゅう、それに耐えなければならなかったのだ。
姫子「大丈夫?」
いちご「寂しかった。」
姫子「あとはずっと一緒にいられるからね。」
いちご「…ん。」
姫子「MSデッキに行こっか!」
いちご「立花さん!」
シャアの一存で、ヤクト・ドーガを取り上げられ、失望したばかりだった。
問題はなかったのだが、念のために演説の現場には居合わせる事を許可されなかったのである。
そこには、いちごに対する明確な不信感があった。
姫子は、演説の間じゅう、それに耐えなければならなかったのだ。
姫子「大丈夫?」
いちご「寂しかった。」
姫子「あとはずっと一緒にいられるからね。」
いちご「…ん。」
姫子「MSデッキに行こっか!」
いちご「立花さん!」
265: 2010/11/08(月) 20:29:32.04 ID:cLfSKCUo
姫子「…え…?」
姫子は、驚いた。
今まで、いちごが自分の苗字を呼んだことは無かったからだ。
いちご「あなたは、私が守ってあげる。」
姫子「ありがとう。 他の人も、守ってあげてね。 もうみんな、あなたをいじめたりしないんだから。」
いちご「了解!」
それから無言でMSデッキまで向かう。
二人は、軽く微笑み交わして、各々のMSに流れていった。
姫子は、驚いた。
今まで、いちごが自分の苗字を呼んだことは無かったからだ。
いちご「あなたは、私が守ってあげる。」
姫子「ありがとう。 他の人も、守ってあげてね。 もうみんな、あなたをいじめたりしないんだから。」
いちご「了解!」
それから無言でMSデッキまで向かう。
二人は、軽く微笑み交わして、各々のMSに流れていった。
266: 2010/11/08(月) 20:30:05.74 ID:cLfSKCUo
MS隊のメンバーたちは、ブリーフィングルームでテレビ放送を眺めていた。
シャアの艦隊が、武装解除をしにルナ2へ向かう、というニュースをやっている。
TV「・・・我がスウィート・ウォーターに、独立と勇気をもたらした艦隊の、最後の、栄光の、船出であります。」
律「…このまま終わってくれりゃあいいんだけどな…」
紬「そうね…」
唯「和ちゃんは、何かしてくるだろうって言っているけど…」
梓「う~ん、ここからじゃどうしようも無い気がしますよね…」
澪「取りあえず、待機ってことでいいんじゃないか? いつでも出られるようにはしておこう。」
シャアの艦隊が、武装解除をしにルナ2へ向かう、というニュースをやっている。
TV「・・・我がスウィート・ウォーターに、独立と勇気をもたらした艦隊の、最後の、栄光の、船出であります。」
律「…このまま終わってくれりゃあいいんだけどな…」
紬「そうね…」
唯「和ちゃんは、何かしてくるだろうって言っているけど…」
梓「う~ん、ここからじゃどうしようも無い気がしますよね…」
澪「取りあえず、待機ってことでいいんじゃないか? いつでも出られるようにはしておこう。」
267: 2010/11/08(月) 20:30:35.33 ID:cLfSKCUo
艦長室では、艦長と和が同じようにテレビにかじりついている。
和は、休暇の一件から暇さえあれば艦長室に通いつめるようになっていた。
TV「…ボン・ボワージュ、我が栄光のネオ・ジオン艦隊。惜別の念は消える事がありませんが、しかし、もうこの艦隊の姿は我々の心の中に残すだけに・・・」
和「…分かりませんね…」
艦長「…ああ…」
艦内電話が鳴り響く。
艦長「もし…何だって?」
受話器を置くと、和が艦長の方に向き直った。
和「なんて言ってたんですか?」
艦長「シャアの艦隊は申請より一隻多いらしい…少ないならまだしも、多いってなんだよ…ワケが分からんな…」
和「このまま終わるんでしょうか…?」
艦長「…分からん…一応ブライト司令がどっかから15発の核弾頭を仕入れたらしい。 事が起こったら、それでアクシズを…(そんな事より、和が近くて幸せすぎるんだが…)」ハアハア
和「一応手は打ってあるんですね。 それにしても・・・う~ん・・・分かりません・・・」
艦長(いい匂いだなあ…)クンカクンカ
言い出しっぺのこの男が、一番緊張感がなかった。
和は、休暇の一件から暇さえあれば艦長室に通いつめるようになっていた。
TV「…ボン・ボワージュ、我が栄光のネオ・ジオン艦隊。惜別の念は消える事がありませんが、しかし、もうこの艦隊の姿は我々の心の中に残すだけに・・・」
和「…分かりませんね…」
艦長「…ああ…」
艦内電話が鳴り響く。
艦長「もし…何だって?」
受話器を置くと、和が艦長の方に向き直った。
和「なんて言ってたんですか?」
艦長「シャアの艦隊は申請より一隻多いらしい…少ないならまだしも、多いってなんだよ…ワケが分からんな…」
和「このまま終わるんでしょうか…?」
艦長「…分からん…一応ブライト司令がどっかから15発の核弾頭を仕入れたらしい。 事が起こったら、それでアクシズを…(そんな事より、和が近くて幸せすぎるんだが…)」ハアハア
和「一応手は打ってあるんですね。 それにしても・・・う~ん・・・分かりません・・・」
艦長(いい匂いだなあ…)クンカクンカ
言い出しっぺのこの男が、一番緊張感がなかった。
268: 2010/11/08(月) 20:31:19.19 ID:cLfSKCUo
ダミー混じりの艦隊がルナ2に向かった後、姫子たちのムサカ3番艦を含む艦隊が、スウィート・ウォーターの港から出て、アクシズへ向かった。
MS部隊はコックピット内で待機である。
姫子は、通信を用いていちごにたびたび話しかけていた。
姫子「戦いが終わったら、どうする?」
いちご「…分からない。」
姫子「アハハ、あたしもわかんないや…」
いちご「分からないけど…あなたと一緒にいたい…」
姫子「フフフ…あたしも…」
そんな会話に耐えかねて、信代が間に入る。
信代「お二人さん、いちゃつくのはいいけど、こっちにも筒抜けだよ。」
姫子「いいじゃない…中島さんは、戦いが終わったらどうするの?」
信代「知ったこっちゃないよ。 そんな事戦闘前にしゃべっていたら、氏んじまうじゃないか。」
潮「氏亡フラグって言うんだよ。」
慶子「そうだよ、不吉なんじゃない?」
MS部隊はコックピット内で待機である。
姫子は、通信を用いていちごにたびたび話しかけていた。
姫子「戦いが終わったら、どうする?」
いちご「…分からない。」
姫子「アハハ、あたしもわかんないや…」
いちご「分からないけど…あなたと一緒にいたい…」
姫子「フフフ…あたしも…」
そんな会話に耐えかねて、信代が間に入る。
信代「お二人さん、いちゃつくのはいいけど、こっちにも筒抜けだよ。」
姫子「いいじゃない…中島さんは、戦いが終わったらどうするの?」
信代「知ったこっちゃないよ。 そんな事戦闘前にしゃべっていたら、氏んじまうじゃないか。」
潮「氏亡フラグって言うんだよ。」
慶子「そうだよ、不吉なんじゃない?」
269: 2010/11/08(月) 20:32:25.75 ID:cLfSKCUo
いちご「私が守るから、氏なない。」
信代「またムズ痒い事言っているね。」
いちご「あなた達も、守ってあげる。」
信代「ハン、どういう風の吹き回しだい? またイジメるよ!」
潮「何か裏があるんじゃない? どうして助けてくれんのさ?」
いちご「立花さんの命令だから。」
慶子「ほうら、やっぱりね。」
姫子「若王子さん! そうじゃないでしょ!! 中島さんたちも、どうしてそう素直じゃないの?」
信代「教えてやってんのさ、人の好意を素直に受けられない奴ってのは、腹が立つだろう?」
姫子「誰のこと!? あなた達のことでしょ!」
信代「またムズ痒い事言っているね。」
いちご「あなた達も、守ってあげる。」
信代「ハン、どういう風の吹き回しだい? またイジメるよ!」
潮「何か裏があるんじゃない? どうして助けてくれんのさ?」
いちご「立花さんの命令だから。」
慶子「ほうら、やっぱりね。」
姫子「若王子さん! そうじゃないでしょ!! 中島さんたちも、どうしてそう素直じゃないの?」
信代「教えてやってんのさ、人の好意を素直に受けられない奴ってのは、腹が立つだろう?」
姫子「誰のこと!? あなた達のことでしょ!」
270: 2010/11/08(月) 20:33:17.62 ID:cLfSKCUo
信代「分かっていないねえ、昔の若王子少尉殿のことじゃないか。」
いちご「…!!」
信代「さんざん気を使ってやったアタシらを無視し続けてさ、イジメたくもなるよ。」
いちご「…ごめんなさい。」
信代「まあ、今はそうじゃないみたいだけどね。 だから若王子少尉殿にも、期待してあげるよ。」
姫子「当たり前でしょ!」
潮「守ってもらう礼は、立花さん宛でいいんだっけ?」
姫子「やっぱり素直じゃないじゃない!」
信代「あっははははは!」
いちご「…!!」
信代「さんざん気を使ってやったアタシらを無視し続けてさ、イジメたくもなるよ。」
いちご「…ごめんなさい。」
信代「まあ、今はそうじゃないみたいだけどね。 だから若王子少尉殿にも、期待してあげるよ。」
姫子「当たり前でしょ!」
潮「守ってもらう礼は、立花さん宛でいいんだっけ?」
姫子「やっぱり素直じゃないじゃない!」
信代「あっははははは!」
271: 2010/11/08(月) 20:33:53.46 ID:cLfSKCUo
その時、ブリッジから通信が入った。
通信手「おしゃべりはそこまでだ。 もうすぐアクシズへ到着する。 警護の艦隊は少ないが、油断はするなってさ。」
通信手「ミサイル斉射の30秒後に出撃し、残存部隊の掃討と、アクシズ表面及び内部の偵察だ。 じ後補給を受けた後、アクシズの警護に当たるそうだ。 いいな。」
信代「了解ぃ。 ちゃんと引き際は教えてくれよな。 アクシズと一緒に地球なんか行きたくないからね。」
通信手「分かっているよ。」
通信が切れると、静かになった。
いちごは、さっきの姫子との会話を、心のなかで反芻していた。
姫子『戦いが終わったら、どうする?』
いちごは、通信が切れている事を確認して、呟いた。
いちご「まずはあなたにありがとうを、伝えたい。」
すぐにミサイル発射の振動が、コックピット内にも伝わってきた。
通信手「おしゃべりはそこまでだ。 もうすぐアクシズへ到着する。 警護の艦隊は少ないが、油断はするなってさ。」
通信手「ミサイル斉射の30秒後に出撃し、残存部隊の掃討と、アクシズ表面及び内部の偵察だ。 じ後補給を受けた後、アクシズの警護に当たるそうだ。 いいな。」
信代「了解ぃ。 ちゃんと引き際は教えてくれよな。 アクシズと一緒に地球なんか行きたくないからね。」
通信手「分かっているよ。」
通信が切れると、静かになった。
いちごは、さっきの姫子との会話を、心のなかで反芻していた。
姫子『戦いが終わったら、どうする?』
いちごは、通信が切れている事を確認して、呟いた。
いちご「まずはあなたにありがとうを、伝えたい。」
すぐにミサイル発射の振動が、コックピット内にも伝わってきた。
272: 2010/11/08(月) 20:34:39.62 ID:cLfSKCUo
ブリーフィングルームに招集がかけられてすぐ、主だった士官が集合した。
艦長は緊張した面持ちだ。
それで全員が、事が起こったことを知った。
艦長「ネオ・ジオンがやりやがった!! ルナ2は壊滅だろう!! アデナウアー・パラヤを乗せてルナ2に行ったクラップも損害を受けてこっちに向かっている最中らしい!!」
律「でも私らが先にアクシズに着くんだろう? 早く行って確保しちまおうぜ!!」
艦長「それがな…ラー・カイラムから、ルナ2に行ったのはダミー混じりの艦隊だろう、と言ってきたんだ。」
澪「・・・ということはダミーの数だけ・・・」
和「そう、アクシズに向かっているか、もう着いている頃よ。」
律「おいおいおいおい…それはやばいんじゃないのか…?」
唯「そんな…ルナ2には核もたくさんあったんじゃ…」
梓「そうですよね…かなりマズイですよ…」
艦長「我々は、アクシズに急行する! あれを地球に落としてはならん!!」
ミーティング後、すぐに艦隊はロンデニオンを出航した。
艦長は緊張した面持ちだ。
それで全員が、事が起こったことを知った。
艦長「ネオ・ジオンがやりやがった!! ルナ2は壊滅だろう!! アデナウアー・パラヤを乗せてルナ2に行ったクラップも損害を受けてこっちに向かっている最中らしい!!」
律「でも私らが先にアクシズに着くんだろう? 早く行って確保しちまおうぜ!!」
艦長「それがな…ラー・カイラムから、ルナ2に行ったのはダミー混じりの艦隊だろう、と言ってきたんだ。」
澪「・・・ということはダミーの数だけ・・・」
和「そう、アクシズに向かっているか、もう着いている頃よ。」
律「おいおいおいおい…それはやばいんじゃないのか…?」
唯「そんな…ルナ2には核もたくさんあったんじゃ…」
梓「そうですよね…かなりマズイですよ…」
艦長「我々は、アクシズに急行する! あれを地球に落としてはならん!!」
ミーティング後、すぐに艦隊はロンデニオンを出航した。
273: 2010/11/08(月) 20:35:22.41 ID:cLfSKCUo
急に出現したシャアの艦隊に対応する暇もなく、アクシズの警護に当たっていた二隻のサラミス改はミサイルとビームの雨の中で爆散していった。
通信手「MS隊、アクシズを偵察に出ろ。」
信代「了解ぃ!」
カタパルトに接続した潮が、旗艦レウルーラの方を見て驚きの声を上げた。
潮「ちょっと、レウルーラが変なの引っ張っているよ!」
信代「ホントだね、何だありゃ? 100mはあるよ…。」
射出されたあとも、二人はそれがなんなのか気になっていた。
信代の小隊の後に、姫子たちも続く。
姫子「ねえ、あれ何?」
いちご「α・アジール…完成していたの…?」
姫子「α・アジール?」
いちご「私も聞いたことがあるだけ、ニュータイプ用のMA。」
姫子「ふうん…。 そんなに沢山ニュータイプなんか居るのかな?」
いちご「さあ。」
通信手「MS隊、アクシズを偵察に出ろ。」
信代「了解ぃ!」
カタパルトに接続した潮が、旗艦レウルーラの方を見て驚きの声を上げた。
潮「ちょっと、レウルーラが変なの引っ張っているよ!」
信代「ホントだね、何だありゃ? 100mはあるよ…。」
射出されたあとも、二人はそれがなんなのか気になっていた。
信代の小隊の後に、姫子たちも続く。
姫子「ねえ、あれ何?」
いちご「α・アジール…完成していたの…?」
姫子「α・アジール?」
いちご「私も聞いたことがあるだけ、ニュータイプ用のMA。」
姫子「ふうん…。 そんなに沢山ニュータイプなんか居るのかな?」
いちご「さあ。」
274: 2010/11/08(月) 20:36:20.82 ID:cLfSKCUo
姫子「でも、あれに乗るの、あなたじゃなくてよかったな。」
いちご「…どうして?」
姫子「恐いもん。」
いちご「ああ…そうね…。」
いちごは姫子のその言葉に、なぜだか妙に納得してしまった。
人型ですらない、その巨大なMA。
そう、あんなのに乗るのは、普通の人間じゃない。
いちご(私も…立花さんと同じ…普通の…。)
姫子「アクシズ、静かだね。」
その言葉に、いちごの思考は中断された。
いちご(…一体、何を考えていたのだろう、私は。)
いちご「…敵の気配は感じない。」
いちご「…どうして?」
姫子「恐いもん。」
いちご「ああ…そうね…。」
いちごは姫子のその言葉に、なぜだか妙に納得してしまった。
人型ですらない、その巨大なMA。
そう、あんなのに乗るのは、普通の人間じゃない。
いちご(私も…立花さんと同じ…普通の…。)
姫子「アクシズ、静かだね。」
その言葉に、いちごの思考は中断された。
いちご(…一体、何を考えていたのだろう、私は。)
いちご「…敵の気配は感じない。」
275: 2010/11/08(月) 20:36:56.20 ID:cLfSKCUo
信代「おい、コッチ来てみなよ。」
2機は、その言葉に、アクシズの裏側に流れていった。
姫子「大きな、ノズル…!」
そこには核パルスエンジンの、4つのノズルが鎮座していた。
信代「こいつらが、我が隊の防衛目標だ! 戦闘のイメージトレーニングでもしておきな。」
姫子「分かったわ。」
いちご「了解。」
もうすぐ、これに火が入って、地球に落ちる。
この場にいる誰もが、それで地球がどうなるのか全く想像出来なかった。
否、想像などしようとも、思わなかった。
2機は、その言葉に、アクシズの裏側に流れていった。
姫子「大きな、ノズル…!」
そこには核パルスエンジンの、4つのノズルが鎮座していた。
信代「こいつらが、我が隊の防衛目標だ! 戦闘のイメージトレーニングでもしておきな。」
姫子「分かったわ。」
いちご「了解。」
もうすぐ、これに火が入って、地球に落ちる。
この場にいる誰もが、それで地球がどうなるのか全く想像出来なかった。
否、想像などしようとも、思わなかった。
276: 2010/11/08(月) 20:37:30.04 ID:cLfSKCUo
アクシズに向け、ロンデニオンを出発したロンド・ベル隊は、ルナ2の残存艦艇と接触していた。
唯達が、ブリーフィングルームのスクリーンでブリッジからの映像に見入っている。
唯「わあ…クラップ、ボロボロだね。」
梓「艦橋部なんかめちゃくちゃですね。 艦長も、乗っていたアデナウアー・パラヤも即氏だったんでしょうね。」
その時、和がブリーフィングルームに入ってきて、ブリッジで仕入れてきた情報を伝えた。
和「唯が心配していたとおり、ルナ2の核はネオ・ジオンの手に渡ったと見ていいわね。 核貯蔵庫に奴らが入っていくのを見たものが居るらしいわ。」
澪「そんな…」
和「コロニーに駐留する連邦軍の艦隊も、内乱を恐れて出てこないし…」
澪「ヒィィィッ!! 四面楚歌じゃないか…!」
唯達が、ブリーフィングルームのスクリーンでブリッジからの映像に見入っている。
唯「わあ…クラップ、ボロボロだね。」
梓「艦橋部なんかめちゃくちゃですね。 艦長も、乗っていたアデナウアー・パラヤも即氏だったんでしょうね。」
その時、和がブリーフィングルームに入ってきて、ブリッジで仕入れてきた情報を伝えた。
和「唯が心配していたとおり、ルナ2の核はネオ・ジオンの手に渡ったと見ていいわね。 核貯蔵庫に奴らが入っていくのを見たものが居るらしいわ。」
澪「そんな…」
和「コロニーに駐留する連邦軍の艦隊も、内乱を恐れて出てこないし…」
澪「ヒィィィッ!! 四面楚歌じゃないか…!」
277: 2010/11/08(月) 20:38:02.02 ID:cLfSKCUo
律「核を持ったルナ2からの艦がアクシズの艦隊に合流する前に、私らがアクシズを叩いちまえばいい話じゃねえか! まだ諦めるのは早いぜ!!」
澪「…そっか、そうだよな! うん、頑張ろう!」
律「せっかく艦長が和とのデートを反古にして素早く艦を動かしたんだ! そいつを無駄にするわけには行かねえぜ!」
唯梓紬澪純「おおーッ!!」
和「ちょっと…声が大きいわよ!!/////////」
紬「もう艦内で知らない人はいないわよ~。」
純「ニヒヒ…私がバラしました!」
和「鈴木さん、後で覚えてらっしゃい!!/////////」
どっと笑いが起こるのと同時に、艦内放送がかかった。
通信手「アクシズと接触まであと1時間! 総員、戦闘配置につけ!!」
律「よっしゃ、いっちょうやってやるか!」
澪「…そっか、そうだよな! うん、頑張ろう!」
律「せっかく艦長が和とのデートを反古にして素早く艦を動かしたんだ! そいつを無駄にするわけには行かねえぜ!」
唯梓紬澪純「おおーッ!!」
和「ちょっと…声が大きいわよ!!/////////」
紬「もう艦内で知らない人はいないわよ~。」
純「ニヒヒ…私がバラしました!」
和「鈴木さん、後で覚えてらっしゃい!!/////////」
どっと笑いが起こるのと同時に、艦内放送がかかった。
通信手「アクシズと接触まであと1時間! 総員、戦闘配置につけ!!」
律「よっしゃ、いっちょうやってやるか!」
278: 2010/11/08(月) 20:38:40.85 ID:cLfSKCUo
各員は、素早くそれぞれのコックピットに滑りこんでいった。
最初に回線を開いたのは、律だった。
律「なあ、聞こえてるか?」
唯「りっちゃん?」
澪「何だよ? 律。」
紬「りっちゃんどうしたの?」
梓「何ですか? 律先輩。」
律「戦いが終わったらさ…唯がロンデニオンで言ってたように、今度はちゃんとした休暇をとって、みんなで沢山演奏しようぜ!」
紬「うふふ…お茶会もね。」
唯「そうだね! 約束しようよ!」
梓「これで、[ピーーー]なくなりましたね。」
澪「…」
律「おい、感動の場面で何黙ってんだよ、澪!!」
澪「…馬鹿律…。」
律「ハァ?」
澪「それ、氏亡フラグじゃないか!」
最初に回線を開いたのは、律だった。
律「なあ、聞こえてるか?」
唯「りっちゃん?」
澪「何だよ? 律。」
紬「りっちゃんどうしたの?」
梓「何ですか? 律先輩。」
律「戦いが終わったらさ…唯がロンデニオンで言ってたように、今度はちゃんとした休暇をとって、みんなで沢山演奏しようぜ!」
紬「うふふ…お茶会もね。」
唯「そうだね! 約束しようよ!」
梓「これで、[ピーーー]なくなりましたね。」
澪「…」
律「おい、感動の場面で何黙ってんだよ、澪!!」
澪「…馬鹿律…。」
律「ハァ?」
澪「それ、氏亡フラグじゃないか!」
279: 2010/11/08(月) 20:39:32.15 ID:cLfSKCUo
氏ねなくなりましたね。 だす。
たびたびスマソ。
たびたびスマソ。
280: 2010/11/08(月) 20:41:45.89 ID:cLfSKCUo
澪以外の4人が、一斉に笑い出す。
それにつられて、澪の笑い声も聞こえてきた。
和「戦いが終わったら…か。」
和「その時生きているか、氏んでるのかも分からないのに、つい考えてしまうのよね…」
純「先輩は、戦いが終わったら艦長とデートですよね!?」
和「鈴木さん!!//////」
ロンド・ベル隊の進む軌道の先には、青い地球が浮かんでいる。
まだ、アクシズは、見えない。
第九話 だまし討ちから! おわり
次回 第十話 天に火を噴くもの!
次回から一話一話が極端に長くなる。
反省。
それにつられて、澪の笑い声も聞こえてきた。
和「戦いが終わったら…か。」
和「その時生きているか、氏んでるのかも分からないのに、つい考えてしまうのよね…」
純「先輩は、戦いが終わったら艦長とデートですよね!?」
和「鈴木さん!!//////」
ロンド・ベル隊の進む軌道の先には、青い地球が浮かんでいる。
まだ、アクシズは、見えない。
第九話 だまし討ちから! おわり
次回 第十話 天に火を噴くもの!
次回から一話一話が極端に長くなる。
反省。
284: 2010/11/09(火) 19:26:20.69 ID:bWtwiBEo
あと3日の辛抱か…投下する。
第十話 天に火を噴くもの!
ブリッジは、緊張でパンパンに膨らんだ風船のようになっていた。
艦長「第一波ミサイル、発射用意だ!!」
艦長の号令で、それに穴が開いたようにせわしなくブリッジが動き出した。
砲手「第一波ミサイル、発射用意!!」
通信手「じ後、管制を戦闘ブリッジへ移行します! ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!!」
副長「総員、有視界戦闘用意!! 監視機器を作動させろ!!」
レーダー手「…ミノフスキー粒子散布完了! 監視機器、良好です!!」
艦長「…3・2・1 第一波ミサイル、発射!!」
砲手「第一波ミサイル、発射!!」
ラー・チャターの前部ミサイル発射管から、次々にミサイルが発射される。
旗艦ラー・カイラムによって統制された艦隊すべての艦が、同じようにミサイルを発射し、その針のような航跡がアクシズへ殺到した。
第十話 天に火を噴くもの!
ブリッジは、緊張でパンパンに膨らんだ風船のようになっていた。
艦長「第一波ミサイル、発射用意だ!!」
艦長の号令で、それに穴が開いたようにせわしなくブリッジが動き出した。
砲手「第一波ミサイル、発射用意!!」
通信手「じ後、管制を戦闘ブリッジへ移行します! ミノフスキー粒子、戦闘濃度散布!!」
副長「総員、有視界戦闘用意!! 監視機器を作動させろ!!」
レーダー手「…ミノフスキー粒子散布完了! 監視機器、良好です!!」
艦長「…3・2・1 第一波ミサイル、発射!!」
砲手「第一波ミサイル、発射!!」
ラー・チャターの前部ミサイル発射管から、次々にミサイルが発射される。
旗艦ラー・カイラムによって統制された艦隊すべての艦が、同じようにミサイルを発射し、その針のような航跡がアクシズへ殺到した。
285: 2010/11/09(火) 19:26:49.76 ID:bWtwiBEo
戦闘開始の雰囲気は、MSデッキにも伝播していた。
通信手「MS隊各員、発進用意! 繰り返す MS隊各員は、発進用意!!」
律「澪、私らは第二波だ! 大丈夫か!」
澪「ああ、もう怖くない!」
唯「あずにゃん!!」
梓「やってやるです!!」
和「いよいよね!」
紬「必ず…帰ってくる。」
純「真鍋先輩のウエディングドレス姿見るまでは氏にませんよ!」
和「こんな時にふざけないでよ!/////////」
通信手「MS隊各員、発進用意! 繰り返す MS隊各員は、発進用意!!」
律「澪、私らは第二波だ! 大丈夫か!」
澪「ああ、もう怖くない!」
唯「あずにゃん!!」
梓「やってやるです!!」
和「いよいよね!」
紬「必ず…帰ってくる。」
純「真鍋先輩のウエディングドレス姿見るまでは氏にませんよ!」
和「こんな時にふざけないでよ!/////////」
286: 2010/11/09(火) 19:27:19.65 ID:bWtwiBEo
戦闘中はブリッジのやり取りが艦内放送となり、艦内のどこにいても聞こえるようになっている。
通信手「デッキ内減圧5分前! 作業員はノーマルスーツの点検!」
艦長「第二波ミサイル、発射用意!!」
和は、艦長の声を聞いて、心がくすぐられているような気持ちになった。
ミサイルが次々に発射される中、出撃前独特の重苦しい緊張が、MS隊のメンバーにまとわりついてくる。
純が、その緊張を振り払うように、冗談を言った。
純「真鍋先輩、艦長の声、凛々しいですね!」
和「ハァ…しつこいわよ!」
和は、呆れて物が言えないようなふりをしながら、少し誇らしい気持ちになっていた。
通信手「デッキ内減圧5分前! 作業員はノーマルスーツの点検!」
艦長「第二波ミサイル、発射用意!!」
和は、艦長の声を聞いて、心がくすぐられているような気持ちになった。
ミサイルが次々に発射される中、出撃前独特の重苦しい緊張が、MS隊のメンバーにまとわりついてくる。
純が、その緊張を振り払うように、冗談を言った。
純「真鍋先輩、艦長の声、凛々しいですね!」
和「ハァ…しつこいわよ!」
和は、呆れて物が言えないようなふりをしながら、少し誇らしい気持ちになっていた。
287: 2010/11/09(火) 19:27:48.77 ID:bWtwiBEo
最初に敵を感知したのは、いちごだった。
いちご「…来る!」
その声に、全員が防御の態勢を取る。
潮「おい、全然見えないよ、本当に…」
来るのか? と潮が言おうとしたときに、前方に瞬くミサイルの光芒が出現した。
アクシズから出た、赤い機体がMS部隊に命令する。
総帥の専用機だった。
シャア「MS部隊は、アクシズの北弦より攻撃! 味方にやられるな!」
信代「言われなくったって…! 打ち落とすよ! ノズルはやらせない!!」
MS部隊が前に出て、ライフルで次々にミサイルを落としていく。
アクシズ付近からは、艦艇がメガ粒子砲や対ミサイル粒子弾で対抗している。
エンジンのノズルは、無傷のままだ。
いちご「…来る!」
その声に、全員が防御の態勢を取る。
潮「おい、全然見えないよ、本当に…」
来るのか? と潮が言おうとしたときに、前方に瞬くミサイルの光芒が出現した。
アクシズから出た、赤い機体がMS部隊に命令する。
総帥の専用機だった。
シャア「MS部隊は、アクシズの北弦より攻撃! 味方にやられるな!」
信代「言われなくったって…! 打ち落とすよ! ノズルはやらせない!!」
MS部隊が前に出て、ライフルで次々にミサイルを落としていく。
アクシズ付近からは、艦艇がメガ粒子砲や対ミサイル粒子弾で対抗している。
エンジンのノズルは、無傷のままだ。
288: 2010/11/09(火) 19:28:19.80 ID:bWtwiBEo
信代「相手がMSじゃなけりゃ、ちょろいもんさ!」
と、信代が言った瞬間、ひときわ大きな火球がアクシズを照らし出した。
姫子「何…あれ…?」
いちご「核爆発…。」
慶子「あんなのが当たったら、ノズルが一発でおジャンになっちゃうじゃない!」
信代「敵も馬鹿じゃないってことさ! 第二波もきっと核混じりで来るよ! 全力で阻止する!!」
まだ、戦闘は始まったばかりだが、たった一発で任務成功を脅かす核ミサイルの存在はアクシズのノズルを守る信代達にとって、大きなプレッシャーとなる。
それが、知らず知らずのうちに疲労を誘発するのだ。
いちご「…第二波…来る!」
そんな中、敵を素早く察知し、少しではあるが行動の余裕を与えてくれるいちごは、信代達にとって女神のような存在であった。
信代「撃ち落せ!」
ミサイルが撃ち落されるときに発する無数の光が、アクシズの前面に、帯のように広がった。
黙って見れば、それは美しい光景だったが、そんなものをまじまじと見る余裕は、誰にもなかった。
と、信代が言った瞬間、ひときわ大きな火球がアクシズを照らし出した。
姫子「何…あれ…?」
いちご「核爆発…。」
慶子「あんなのが当たったら、ノズルが一発でおジャンになっちゃうじゃない!」
信代「敵も馬鹿じゃないってことさ! 第二波もきっと核混じりで来るよ! 全力で阻止する!!」
まだ、戦闘は始まったばかりだが、たった一発で任務成功を脅かす核ミサイルの存在はアクシズのノズルを守る信代達にとって、大きなプレッシャーとなる。
それが、知らず知らずのうちに疲労を誘発するのだ。
いちご「…第二波…来る!」
そんな中、敵を素早く察知し、少しではあるが行動の余裕を与えてくれるいちごは、信代達にとって女神のような存在であった。
信代「撃ち落せ!」
ミサイルが撃ち落されるときに発する無数の光が、アクシズの前面に、帯のように広がった。
黙って見れば、それは美しい光景だったが、そんなものをまじまじと見る余裕は、誰にもなかった。
289: 2010/11/09(火) 19:28:45.43 ID:bWtwiBEo
艦は、敵MSが展開中の宙域に近づきつつあった。
艦長は、この言葉を発するのが、一番嫌だった。
艦長「ミサイル第四波発射後、MS隊、第一波、出せ!」
砲手「第四波ミサイル、発射!」
正面のディスプレイに映る顔を見て、ドキリとする。
和「第1編隊、出ます!」
艦長は、ゴクリとつばを飲み込んだあと、
艦長「必ず、帰って来い。」
と言った。
和が笑顔で返事をしたあと、彼女を乗せたジェガンは射出され、ベース・ジャバーに飛び乗って戦闘宙域に消えていった。
艦長は、この言葉を発するのが、一番嫌だった。
艦長「ミサイル第四波発射後、MS隊、第一波、出せ!」
砲手「第四波ミサイル、発射!」
正面のディスプレイに映る顔を見て、ドキリとする。
和「第1編隊、出ます!」
艦長は、ゴクリとつばを飲み込んだあと、
艦長「必ず、帰って来い。」
と言った。
和が笑顔で返事をしたあと、彼女を乗せたジェガンは射出され、ベース・ジャバーに飛び乗って戦闘宙域に消えていった。
290: 2010/11/09(火) 19:29:11.80 ID:bWtwiBEo
和は、前にも同じような光景を見たことがある、と思った。
和「…火が付いた…!?」
ひときわ大きな光がミサイル爆発の間に見え隠れする。
核パルスの光である。
唯「でもフィフス・ルナの時と違って核ミサイルで阻止できる! まだあきらめちゃいけないよ!」
梓「そうです!! 止めに行くです!!」
和が立ち直った唯を徹底的にしごいていたので、彼女が編隊長として、唯の小隊が麾下についていた。
紬と純の小隊は、艦隊直掩である。
彼女たちはもう、誰と誰が組んでもチームの形になる位の練度には達していた。
和「…見えた! 離脱!!」
その号令と共に、ベース・ジャバーからジェガンが離脱し、空になったベース・ジャバーがそのまま敵に突っ込んでいった。
戦闘、開始である。
叩き込まれたチームワークで、和が囮になり、梓が追い散らし、唯が直撃を浴びせ、瞬く間に1機のギラ・ドーガを撃墜した。
和「ノズルに直接攻撃をかけるわ!! 艦隊は無視!!」
敵を落としながら、3機はノズルに近づいていく。
その方向には、憂を頃したあの特別機が待ち受けている。
和「…火が付いた…!?」
ひときわ大きな光がミサイル爆発の間に見え隠れする。
核パルスの光である。
唯「でもフィフス・ルナの時と違って核ミサイルで阻止できる! まだあきらめちゃいけないよ!」
梓「そうです!! 止めに行くです!!」
和が立ち直った唯を徹底的にしごいていたので、彼女が編隊長として、唯の小隊が麾下についていた。
紬と純の小隊は、艦隊直掩である。
彼女たちはもう、誰と誰が組んでもチームの形になる位の練度には達していた。
和「…見えた! 離脱!!」
その号令と共に、ベース・ジャバーからジェガンが離脱し、空になったベース・ジャバーがそのまま敵に突っ込んでいった。
戦闘、開始である。
叩き込まれたチームワークで、和が囮になり、梓が追い散らし、唯が直撃を浴びせ、瞬く間に1機のギラ・ドーガを撃墜した。
和「ノズルに直接攻撃をかけるわ!! 艦隊は無視!!」
敵を落としながら、3機はノズルに近づいていく。
その方向には、憂を頃したあの特別機が待ち受けている。
291: 2010/11/09(火) 19:29:37.07 ID:bWtwiBEo
アクシズの異変は、ラー・チャターもすぐにキャッチした。
副長「あ…アクシズに火が入りました!!」
艦長「んなこた見りゃ分かる! 第五波ミサイル発射!」
砲手「第五波ミサイル、発射!!」
艦長「戦闘宙域に突っ込むぞ! 総員、第一戦闘配置!!」
通信手「第一戦闘配置!!」
艦長「ダミー放出! 艦隊戦用意!! 回避運動始めろ!!」
操舵手「了解!!」
艦や岩の形をしたダミー・バルーンが次々に膨らんでいく。
そしてそれは、すぐに敵の砲火にさらされて破れ始めるのだ。
ダミーの風船に敵の攻撃が当たるたびに、艦長はひやりとする。
目の前に、MSの航跡が互いの後ろをとろうとくるくると円を描いているのが幾つも見える。
それに混じって、爆発の光も見えるのだ。
艦長「和、必ず帰ってこいよ。」
艦長は、誰にも聞かれないように、独り、呟いた。
副長「あ…アクシズに火が入りました!!」
艦長「んなこた見りゃ分かる! 第五波ミサイル発射!」
砲手「第五波ミサイル、発射!!」
艦長「戦闘宙域に突っ込むぞ! 総員、第一戦闘配置!!」
通信手「第一戦闘配置!!」
艦長「ダミー放出! 艦隊戦用意!! 回避運動始めろ!!」
操舵手「了解!!」
艦や岩の形をしたダミー・バルーンが次々に膨らんでいく。
そしてそれは、すぐに敵の砲火にさらされて破れ始めるのだ。
ダミーの風船に敵の攻撃が当たるたびに、艦長はひやりとする。
目の前に、MSの航跡が互いの後ろをとろうとくるくると円を描いているのが幾つも見える。
それに混じって、爆発の光も見えるのだ。
艦長「和、必ず帰ってこいよ。」
艦長は、誰にも聞かれないように、独り、呟いた。
292: 2010/11/09(火) 19:30:03.16 ID:bWtwiBEo
核パルス推進の超大な光を目の当たりにして、防衛にあたっていたMS隊は軽い興奮を覚えた。
潮「エンジン、点火したよ!!」
信代「よっしゃ! そのまま、行っけー!!」
姫子「気を抜かないで!!」
姫子がそう言うやいなや、また前方で核ミサイルの爆発が起こった。
興奮が一気に冷める。
いちご「敵MS隊、接近!」
その声に、MS隊が信代を中心にしっかりと隊形をとり直した。
次の瞬間、いちごの機体が飛び出して、2機のジェガンと交戦状態に入った。
姫子「若王子さん!」
姫子が掩護に向かおうとしたとき、2機のジェガンは、いちごの機体から放出された2基のファンネルにエンジンを撃ちぬかれて爆散していた。
その隙に、いちごはライフルでまた1機、撃墜している。
信代「…すげえ…。」
潮「エンジン、点火したよ!!」
信代「よっしゃ! そのまま、行っけー!!」
姫子「気を抜かないで!!」
姫子がそう言うやいなや、また前方で核ミサイルの爆発が起こった。
興奮が一気に冷める。
いちご「敵MS隊、接近!」
その声に、MS隊が信代を中心にしっかりと隊形をとり直した。
次の瞬間、いちごの機体が飛び出して、2機のジェガンと交戦状態に入った。
姫子「若王子さん!」
姫子が掩護に向かおうとしたとき、2機のジェガンは、いちごの機体から放出された2基のファンネルにエンジンを撃ちぬかれて爆散していた。
その隙に、いちごはライフルでまた1機、撃墜している。
信代「…すげえ…。」
293: 2010/11/09(火) 19:30:29.54 ID:bWtwiBEo
姫子は、それを見てマズイと思った。
また、いちごが頭痛に苦しむかも知れないのだ。
姫子「若王子さん、サイコミュは…」
いちご「問題ない!」
いちごは姫子の心配をはっきりと言葉で制した。
姫子は、いちごが他の仲間に心配を掛けたくないのだろう、と思って言葉を変えた。
姫子「若王子さんだけに負担を掛けないで、私達も前に出るわよ!!」
信代「言われなくったってね!!」
潮「ちょっと遅れをとっただけだよ!!」
慶子「あいつだけに、いいカッコさせないよ!」
目の前に、またジェガンの編隊が出現する。
信代達が前に出ようと思った瞬間、2基のファンネルが1機のジェガンを爆発させた。
また、いちごが頭痛に苦しむかも知れないのだ。
姫子「若王子さん、サイコミュは…」
いちご「問題ない!」
いちごは姫子の心配をはっきりと言葉で制した。
姫子は、いちごが他の仲間に心配を掛けたくないのだろう、と思って言葉を変えた。
姫子「若王子さんだけに負担を掛けないで、私達も前に出るわよ!!」
信代「言われなくったってね!!」
潮「ちょっと遅れをとっただけだよ!!」
慶子「あいつだけに、いいカッコさせないよ!」
目の前に、またジェガンの編隊が出現する。
信代達が前に出ようと思った瞬間、2基のファンネルが1機のジェガンを爆発させた。
294: 2010/11/09(火) 19:30:56.53 ID:bWtwiBEo
信代「やるじゃないか。」
信代が、ニヤリと笑って軽口でいちごを励ました瞬間、打ち上げ花火のような光のシャワーがファンネルにやられたジェガンの残骸を消し飛ばしていた。
信代「MS戦に、あんな細かい散弾を持ってくるアホがいるのかい!? そんなんでやられるほどギラ・ドーガはヤワじゃないよ!!」
その軽口に、いちごが深刻に返答する。
いちご「…ファンネルを、やられた。」
信代「は?」
いちご「奴らは、広範囲を制圧できる散弾でファンネルを無効化しようとしている。」
信代は、そのやり取りですべてを理解した。
信代「せこい手を使いやがる!! 潮、慶子、散弾を撃つジェガンを黙らせな!!」
潮慶子「了解!!」
通常兵装のジェガンの群れに混じってバズーカを背負ったジェガンの3機編隊が見える。
1機はバズーカを手に装備している。 さっき撃ったのはこいつだろう。
しかし、その他にもジェガンが居る。
信代が、ニヤリと笑って軽口でいちごを励ました瞬間、打ち上げ花火のような光のシャワーがファンネルにやられたジェガンの残骸を消し飛ばしていた。
信代「MS戦に、あんな細かい散弾を持ってくるアホがいるのかい!? そんなんでやられるほどギラ・ドーガはヤワじゃないよ!!」
その軽口に、いちごが深刻に返答する。
いちご「…ファンネルを、やられた。」
信代「は?」
いちご「奴らは、広範囲を制圧できる散弾でファンネルを無効化しようとしている。」
信代は、そのやり取りですべてを理解した。
信代「せこい手を使いやがる!! 潮、慶子、散弾を撃つジェガンを黙らせな!!」
潮慶子「了解!!」
通常兵装のジェガンの群れに混じってバズーカを背負ったジェガンの3機編隊が見える。
1機はバズーカを手に装備している。 さっき撃ったのはこいつだろう。
しかし、その他にもジェガンが居る。
295: 2010/11/09(火) 19:31:49.08 ID:bWtwiBEo
慶子が一瞬、通常兵装のジェガンに目移りした瞬間に、
バズーカを右肩部のウェポンラッチに接続したジェガンが2機、慶子のギラ・ドーガを取り囲み、ビームで撃ちぬいていた。
潮「飯田さんがやられた!! バズーカ装備の奴ら、動きが妙にそろってる!!」
いちご「バズーカを潰せば…」
いちごはさらにファンネルを2基放出し、バズーカを手持ちにしているジェガンの方に飛ばした。
いちご「行け!」
バズーカを、2方向から細いビームが溶断する。
次の瞬間、さっきまでバズーカを持っていたジェガンがシールドを構えた。
いちご「…そんなもので!」
いちごは、ファンネルを防ごうとしているのだと思い、ファンネルをそのジェガンの斜め後ろに移動させる。
その際、ビームライフルでバズーカを持った他のジェガンを相手にするのを忘れてはいない。
しかし、あろうことか残りの1機がシールドで防御しているジェガンに遠慮無く散弾を浴びせかけていたのである。
シールドは、散弾を防ぐ為のものだったのだ。
この散弾で、さらに2基のファンネルを損失した。
バズーカを右肩部のウェポンラッチに接続したジェガンが2機、慶子のギラ・ドーガを取り囲み、ビームで撃ちぬいていた。
潮「飯田さんがやられた!! バズーカ装備の奴ら、動きが妙にそろってる!!」
いちご「バズーカを潰せば…」
いちごはさらにファンネルを2基放出し、バズーカを手持ちにしているジェガンの方に飛ばした。
いちご「行け!」
バズーカを、2方向から細いビームが溶断する。
次の瞬間、さっきまでバズーカを持っていたジェガンがシールドを構えた。
いちご「…そんなもので!」
いちごは、ファンネルを防ごうとしているのだと思い、ファンネルをそのジェガンの斜め後ろに移動させる。
その際、ビームライフルでバズーカを持った他のジェガンを相手にするのを忘れてはいない。
しかし、あろうことか残りの1機がシールドで防御しているジェガンに遠慮無く散弾を浴びせかけていたのである。
シールドは、散弾を防ぐ為のものだったのだ。
この散弾で、さらに2基のファンネルを損失した。
296: 2010/11/09(火) 19:32:24.62 ID:bWtwiBEo
いちご「…!」
ファンネルは残り2基、と思った瞬間、機体右側に殺気を感じ、鈍足な機体にムチを打って回避機動を取らせる。
いちご「…来る!」
機体右側に衝撃が走り、肩のアーマー型コンテナに格納されていたファンネルが使用不能になった。
また散弾だ。 ファンネルは、残り1基。
その時初めて、いちごはこの統制された動きの3機が、自分に向けて猛烈な殺意を抱いていることに気がついた。
ライフルでいなすが、3機はまるで一つの意思のもとに動いているように別れてはひとつになり、いちごに殺気と攻撃を向けてくる。
いちご「…私を…憎んでいる…?」
この時いちごは初めて、軽くではあるが敵に対して恐怖の念を抱いていた。
ファンネルは残り2基、と思った瞬間、機体右側に殺気を感じ、鈍足な機体にムチを打って回避機動を取らせる。
いちご「…来る!」
機体右側に衝撃が走り、肩のアーマー型コンテナに格納されていたファンネルが使用不能になった。
また散弾だ。 ファンネルは、残り1基。
その時初めて、いちごはこの統制された動きの3機が、自分に向けて猛烈な殺意を抱いていることに気がついた。
ライフルでいなすが、3機はまるで一つの意思のもとに動いているように別れてはひとつになり、いちごに殺気と攻撃を向けてくる。
いちご「…私を…憎んでいる…?」
この時いちごは初めて、軽くではあるが敵に対して恐怖の念を抱いていた。
297: 2010/11/09(火) 19:33:18.97 ID:bWtwiBEo
梓のバズーカは、ファンネルで破壊された。
しかしそんな事より梓は、唯の攻撃が苛烈になってきているのが、心配だった。
梓と和の2機が何とかカバーしているが、これ以上熱くなられると、チームワークを乱しかねない。
梓「唯先輩、私達と動きを合わせて!」
唯「分かってるよ!!」
憂の仇に向けて、ライフルを連射する。
敵はヒラリヒラリとそれをかわしている。
和が先回りして、後ろから放ったビームも、敵はかわしているのだ。
唯「憂の仇…憂の仇…」
レシーバーに、念仏のような唯の声が聞こえる。
それは、梓にとって恐怖でしかない。
梓「唯先輩!! 訓練を思い出して!!」
唯「あずにゃんうるさいよ!! 黙ってて!!」
さっきから、目の前の敵に散弾以外の攻撃は一発も命中していない。
散弾では、ファンネルを潰せても、MSを撃墜することは難しい。
3機で当たって、1機の敵を仕留められないという事実に、さすがの梓も焦りを感じ始めて来ていた。
和「落ち着いて! 敵は確実に疲れてきているはずよ! 持久戦に持ち込めれば仕留められるわ!」
梓「はいです!」
和の言葉が無ければ、梓も自分を見失っているところだった。
唯も、少し落ち着きを取り戻したらしい。
梓「3機で、一つの仕事をする…!」
しかしそんな事より梓は、唯の攻撃が苛烈になってきているのが、心配だった。
梓と和の2機が何とかカバーしているが、これ以上熱くなられると、チームワークを乱しかねない。
梓「唯先輩、私達と動きを合わせて!」
唯「分かってるよ!!」
憂の仇に向けて、ライフルを連射する。
敵はヒラリヒラリとそれをかわしている。
和が先回りして、後ろから放ったビームも、敵はかわしているのだ。
唯「憂の仇…憂の仇…」
レシーバーに、念仏のような唯の声が聞こえる。
それは、梓にとって恐怖でしかない。
梓「唯先輩!! 訓練を思い出して!!」
唯「あずにゃんうるさいよ!! 黙ってて!!」
さっきから、目の前の敵に散弾以外の攻撃は一発も命中していない。
散弾では、ファンネルを潰せても、MSを撃墜することは難しい。
3機で当たって、1機の敵を仕留められないという事実に、さすがの梓も焦りを感じ始めて来ていた。
和「落ち着いて! 敵は確実に疲れてきているはずよ! 持久戦に持ち込めれば仕留められるわ!」
梓「はいです!」
和の言葉が無ければ、梓も自分を見失っているところだった。
唯も、少し落ち着きを取り戻したらしい。
梓「3機で、一つの仕事をする…!」
298: 2010/11/09(火) 19:33:49.76 ID:bWtwiBEo
3機が連携しているからこそ敵を落とすこともできるが、個々の練度はそう高いわけではない。
フィフス・ルナの時、一度落とされそうになっている梓はそれをよく知っていた。
梓「データは、データなんだから…憂なんか、頼りにしないんだから…」
憂のデータで、ジェガンの動きは格段によくなっているものの、梓はそれを当てにしたくなかった。
憂に、負けてしまうような気がしたからだ。
和「唯、左に回って!」
唯「了解!!」
和が上手く編隊を誘導して、他の隊の味方機から離れすぎないようにしてくれている。
悪く言えば、他の味方機を盾にしているのである。
3機には、MS隊の先頭を切るだけの腕が無いのだ。
フィフス・ルナの時、一度落とされそうになっている梓はそれをよく知っていた。
梓「データは、データなんだから…憂なんか、頼りにしないんだから…」
憂のデータで、ジェガンの動きは格段によくなっているものの、梓はそれを当てにしたくなかった。
憂に、負けてしまうような気がしたからだ。
和「唯、左に回って!」
唯「了解!!」
和が上手く編隊を誘導して、他の隊の味方機から離れすぎないようにしてくれている。
悪く言えば、他の味方機を盾にしているのである。
3機には、MS隊の先頭を切るだけの腕が無いのだ。
299: 2010/11/09(火) 19:34:22.44 ID:bWtwiBEo
梓たちの戦果は、状況判断力と、チームワークだけで何とか持ちこたえている不安定なものなのである。
その危ういバランスが崩れたら、各個に撃破されるだけだ。
唯「憂の仇…憂の仇…」
また唯が熱くなっている、と梓は思った。
心臓が萎縮し、冷や汗が頬を伝った。
憂が、唯を自分のところに引きこもうとしている。
唯が憂に取られてしまう、と梓は感じていた。
梓「憂、お願い…唯先輩を連れて行かないで…。」
梓の祈りの声が、彼女のノーマルスーツのヘルメット内に響いた。
その危ういバランスが崩れたら、各個に撃破されるだけだ。
唯「憂の仇…憂の仇…」
また唯が熱くなっている、と梓は思った。
心臓が萎縮し、冷や汗が頬を伝った。
憂が、唯を自分のところに引きこもうとしている。
唯が憂に取られてしまう、と梓は感じていた。
梓「憂、お願い…唯先輩を連れて行かないで…。」
梓の祈りの声が、彼女のノーマルスーツのヘルメット内に響いた。
300: 2010/11/09(火) 19:35:05.05 ID:bWtwiBEo
敵の攻撃は激しさを増してくる。
姫子は今まで、ジェガンを2機撃墜している。
しかし、それでも目の前にまたジェガンが迫ってくる。
姫子「…そんなに数は多くないはずなんだけど…!」
姫子のサーベルがジェガンを捉えた、と思ったが、敵の右腕を斬り落としただけだった。
もしかしたら、疲労がたまってきたのかも知れない。
敵が後退した隙を付いて、いちごを探す。
姫子「若王子さん…!」
いちごの赤い機体に、3機のジェガンが絡み付いている。
それを見て、姫子の中に怒りが湧き出してきた。
姫子「どうして…あの娘ばかりを…」
蔓草のように纏わり付くジェガンの機動を読み、射線をくぐっていちごの機体は何とか大した損傷もなく健在だった。
しかし、敵の苛烈な攻撃は、いちごに反撃の機会を与えていない。
姫子「…若王子さんばかりを、狙うのよ!!」
姫子は今まで、ジェガンを2機撃墜している。
しかし、それでも目の前にまたジェガンが迫ってくる。
姫子「…そんなに数は多くないはずなんだけど…!」
姫子のサーベルがジェガンを捉えた、と思ったが、敵の右腕を斬り落としただけだった。
もしかしたら、疲労がたまってきたのかも知れない。
敵が後退した隙を付いて、いちごを探す。
姫子「若王子さん…!」
いちごの赤い機体に、3機のジェガンが絡み付いている。
それを見て、姫子の中に怒りが湧き出してきた。
姫子「どうして…あの娘ばかりを…」
蔓草のように纏わり付くジェガンの機動を読み、射線をくぐっていちごの機体は何とか大した損傷もなく健在だった。
しかし、敵の苛烈な攻撃は、いちごに反撃の機会を与えていない。
姫子「…若王子さんばかりを、狙うのよ!!」
301: 2010/11/09(火) 19:35:33.64 ID:bWtwiBEo
相手が腕のいいパイロットと見るや、チームワークでその動きを封じ、撃破しようというのは戦いの常套手段ではあった。
しかし、いちごに対して過剰に思い入れのある姫子には、それが別の光景に見えていた。
姫子「今助けに行くわ!!」
何故、彼女をいじめるのだろう?
今だって、3機も彼女に纏わり付いている。
目立つ機体に乗っているからって、ファンネルを使えるからって、彼女は特別でも何でもないのに。
ただの寂しがりな、女の子なのに…。
姫子は目の前の光景に、そういった理不尽さを感じていたのである。
もしかしたら、敵パイロットのいちごに対する執念のようなものをも感じていたのかもしれない。
ビームマシンガンでいちごを掩護しようとしたとき、また姫子の目の前にジェガンが現れた。
姫子「邪魔をしないで!!」
焦る気持ちが姫子の攻撃を散漫なものにする。
しかし、その気迫は目の前の敵を追い詰め、傷付け、ついには撃破した。
しかし、いちごに対して過剰に思い入れのある姫子には、それが別の光景に見えていた。
姫子「今助けに行くわ!!」
何故、彼女をいじめるのだろう?
今だって、3機も彼女に纏わり付いている。
目立つ機体に乗っているからって、ファンネルを使えるからって、彼女は特別でも何でもないのに。
ただの寂しがりな、女の子なのに…。
姫子は目の前の光景に、そういった理不尽さを感じていたのである。
もしかしたら、敵パイロットのいちごに対する執念のようなものをも感じていたのかもしれない。
ビームマシンガンでいちごを掩護しようとしたとき、また姫子の目の前にジェガンが現れた。
姫子「邪魔をしないで!!」
焦る気持ちが姫子の攻撃を散漫なものにする。
しかし、その気迫は目の前の敵を追い詰め、傷付け、ついには撃破した。
302: 2010/11/09(火) 19:36:04.09 ID:bWtwiBEo
姫子「若王子さん!!」
もうすぐ、若王子さんに手が届く。
今度はあたしが、助けてあげられる。
彼女は、いつもああやって独りで全部を背負い込んで…孤独に戦っていた。
今だって3機を相手にして、誰かに助けを求めることすらしないではないか。
でも、そのたびに苦しんで、無理をして…きっと辛い思いをしているに違いない。
もしかしたら、怖くて逃げ出したいのかも知れない。
それにあたしは、気がついた。
だから、手を差し伸べてあげる義務がある。
いや、義務とかじゃない。 助けてあげたいんだ。
人の鋭敏な感覚と、発達した感性は、そうやってお互いを思いやり、助けあうためのものではないのか。
姫子「あたしが、助けてあげる!! 守ってあげる!!」
もうすぐ、若王子さんに手が届く。
今度はあたしが、助けてあげられる。
彼女は、いつもああやって独りで全部を背負い込んで…孤独に戦っていた。
今だって3機を相手にして、誰かに助けを求めることすらしないではないか。
でも、そのたびに苦しんで、無理をして…きっと辛い思いをしているに違いない。
もしかしたら、怖くて逃げ出したいのかも知れない。
それにあたしは、気がついた。
だから、手を差し伸べてあげる義務がある。
いや、義務とかじゃない。 助けてあげたいんだ。
人の鋭敏な感覚と、発達した感性は、そうやってお互いを思いやり、助けあうためのものではないのか。
姫子「あたしが、助けてあげる!! 守ってあげる!!」
303: 2010/11/09(火) 19:36:32.41 ID:bWtwiBEo
あの3機のジェガン達は、なんなのだろうか?
さっきから、執拗に若王子さんを追い掛け回して、自分たちのことを卑怯だと思わないのだろうか?
ああやって、多数の敵に追い掛け回される彼女の気持ちを、きっと想像すら出来ないのだろう。
姫子「あんな奴ら、すぐにあたしが追い返してあげるからね!!」
姫子の心は、うさぎを追う猟犬のような3機のジェガンに対する怒りで飽和していた。
しかしその怒りと、早くいちごのもとに行ってやりたいと焦る気持ちが、姫子の機動を単調なものにしていることに、彼女は気づいていなかった。
さっきから、執拗に若王子さんを追い掛け回して、自分たちのことを卑怯だと思わないのだろうか?
ああやって、多数の敵に追い掛け回される彼女の気持ちを、きっと想像すら出来ないのだろう。
姫子「あんな奴ら、すぐにあたしが追い返してあげるからね!!」
姫子の心は、うさぎを追う猟犬のような3機のジェガンに対する怒りで飽和していた。
しかしその怒りと、早くいちごのもとに行ってやりたいと焦る気持ちが、姫子の機動を単調なものにしていることに、彼女は気づいていなかった。
304: 2010/11/09(火) 19:37:02.87 ID:bWtwiBEo
艦長は、通信手の言うことを聞き逃した。
さっきから情報が次から次へと押し寄せてくるのだ。
艦長「あん? 何だと!?」
通信手「右弦側から熱源多数、敵艦隊と思われます!!」
艦長「クソ! ルナ2からの増援か!?」
通信手「そう思います!! ラー・カイラムから、第二波MS隊の出撃要請!! 艦隊は直掩のみで持たせるようにとのことです!!」
艦長「田井中!! 出ろ!!」
律「了解!!」
艦長「琴吹、いいな!!」
紬「持たせてみせます!!」
さっきから、大して時間は経っていない。
それでも艦長は、もう何時間も戦闘を行っているような錯覚に陥っていた。
そして、永遠に戦いが続くのではないかと、絶望しそうになるのだ。
さっきから情報が次から次へと押し寄せてくるのだ。
艦長「あん? 何だと!?」
通信手「右弦側から熱源多数、敵艦隊と思われます!!」
艦長「クソ! ルナ2からの増援か!?」
通信手「そう思います!! ラー・カイラムから、第二波MS隊の出撃要請!! 艦隊は直掩のみで持たせるようにとのことです!!」
艦長「田井中!! 出ろ!!」
律「了解!!」
艦長「琴吹、いいな!!」
紬「持たせてみせます!!」
さっきから、大して時間は経っていない。
それでも艦長は、もう何時間も戦闘を行っているような錯覚に陥っていた。
そして、永遠に戦いが続くのではないかと、絶望しそうになるのだ。
305: 2010/11/09(火) 19:37:30.99 ID:bWtwiBEo
カタパルトに、律のジェガンが固定される。
律「田井中律、いっくぜー!!」
カタパルトで加速され、敵の居る宙域に投げ出される。
続いて、澪も射出される
澪「秋山澪、イクッ!!///」
2機は、第二波のMS隊と共に、アクシズに向かう艦隊の足を止めに前進する。
澪が、不安そうに律と回線を開いた。
澪「唯達、大丈夫かな?」
律「あんだけ訓練をやってきたんだ! そう簡単に落とされたりしねえって!」
澪「そうだな! みんなで、生きて帰るんだもんな!」
律「澪、敵だ!!」
敵MSの航跡が、クイ、とこちらに曲がってきた。
訓練通り、ここで散開。
散開した間隙を、ビームが抜けていった。
律たちの正面でも、戦闘が始まったのである。
律「田井中律、いっくぜー!!」
カタパルトで加速され、敵の居る宙域に投げ出される。
続いて、澪も射出される
澪「秋山澪、イクッ!!///」
2機は、第二波のMS隊と共に、アクシズに向かう艦隊の足を止めに前進する。
澪が、不安そうに律と回線を開いた。
澪「唯達、大丈夫かな?」
律「あんだけ訓練をやってきたんだ! そう簡単に落とされたりしねえって!」
澪「そうだな! みんなで、生きて帰るんだもんな!」
律「澪、敵だ!!」
敵MSの航跡が、クイ、とこちらに曲がってきた。
訓練通り、ここで散開。
散開した間隙を、ビームが抜けていった。
律たちの正面でも、戦闘が始まったのである。
306: 2010/11/09(火) 19:38:49.70 ID:bWtwiBEo
艦隊は、重要な局面を迎えようとしていた。
本命の核ミサイル6発を含む第六波ミサイルを、アクシズに向け発射しようというのである。
艦長「いよいよ本命の第六波だ!! ブライト司令が怪しげな筋から入手した虎の子の核ミサイル6発で、アクシズは粉々になるぞ!!」
ブライトが15発の核弾頭を入手した、という情報だけは艦長たちにも知らされていたが、それがどこからのものなのかは伏せられていた。
違法に入手したものだろう事は誰の目にも明らかだったが、それを咎めるものが居るはずもなかった。
艦長「第六波ミサイル、発射だ!!」
砲手「第六波ミサイル、発射!!」
艦長は、これで終わってくれ、と、心のなかで何度も祈っていた。
本命の核ミサイル6発を含む第六波ミサイルを、アクシズに向け発射しようというのである。
艦長「いよいよ本命の第六波だ!! ブライト司令が怪しげな筋から入手した虎の子の核ミサイル6発で、アクシズは粉々になるぞ!!」
ブライトが15発の核弾頭を入手した、という情報だけは艦長たちにも知らされていたが、それがどこからのものなのかは伏せられていた。
違法に入手したものだろう事は誰の目にも明らかだったが、それを咎めるものが居るはずもなかった。
艦長「第六波ミサイル、発射だ!!」
砲手「第六波ミサイル、発射!!」
艦長は、これで終わってくれ、と、心のなかで何度も祈っていた。
307: 2010/11/09(火) 19:39:32.55 ID:bWtwiBEo
和は、時間を確認し、目の前にミサイルの航跡が現れるのを見て、とっさに叫んでいた。
和「本命の核ミサイル群が来るわ!!」
和がそう言うやいなや、今までミサイルの航跡があった場所に、六つの大きな火球が姿を現した。
和は内心舌打ちをした。
核攻撃が、何者かによって一度に阻止されたのである。
しかし、心を動かしている暇は与えられない。
赤い特別機は、まだ健在である
和「分が、悪いかも知れないわね…」
ルナ2からの敵艦隊と、こちらの第二波も宙域に合流し、戦場は混沌とし始めてきている。
和「本命の核ミサイル群が来るわ!!」
和がそう言うやいなや、今までミサイルの航跡があった場所に、六つの大きな火球が姿を現した。
和は内心舌打ちをした。
核攻撃が、何者かによって一度に阻止されたのである。
しかし、心を動かしている暇は与えられない。
赤い特別機は、まだ健在である
和「分が、悪いかも知れないわね…」
ルナ2からの敵艦隊と、こちらの第二波も宙域に合流し、戦場は混沌とし始めてきている。
308: 2010/11/09(火) 19:40:15.03 ID:bWtwiBEo
信代は、何度も舌打ちを繰り返していた。
主兵装であるランゲ・ブルーノ砲が使い辛い状況だったからである。
信代「ちっ、こう混戦になっちゃあ、仕方ないね!」
敵味方が混じり合う前は、接近信管付きの榴弾で弾幕を張ることもできたが、混戦になってしまえば味方に当たる可能性もあるため、弾幕は張れない。
モンロー効果を利用した対装甲用榴弾もあるにはあるが、弾速も遅く、MS相手には使い辛い。
これは対艦用の弾薬で、MS相手には、同じような弾薬であるシュツルムファウストを使ったほうがずっと効果的であった。
徹甲弾で敵MSを何機か落としたが、弾数がすでに残り少ない。
おまけに砲身の長いこの武器は、接近戦では取り回しが著しく悪かった。
信代「対艦戦が、出来ればね…」
潮「予備のマシンガンをあげるよ!! 受け取って!!」
信代「すまん! 恩に着る!」
阿吽の呼吸で、僚機の潮からビームマシンガンを受け取ったが、ランゲ・ブルーノ砲を投棄することはしなかった。
敵が引いたら、また榴弾をお見舞いできるからである。
主兵装であるランゲ・ブルーノ砲が使い辛い状況だったからである。
信代「ちっ、こう混戦になっちゃあ、仕方ないね!」
敵味方が混じり合う前は、接近信管付きの榴弾で弾幕を張ることもできたが、混戦になってしまえば味方に当たる可能性もあるため、弾幕は張れない。
モンロー効果を利用した対装甲用榴弾もあるにはあるが、弾速も遅く、MS相手には使い辛い。
これは対艦用の弾薬で、MS相手には、同じような弾薬であるシュツルムファウストを使ったほうがずっと効果的であった。
徹甲弾で敵MSを何機か落としたが、弾数がすでに残り少ない。
おまけに砲身の長いこの武器は、接近戦では取り回しが著しく悪かった。
信代「対艦戦が、出来ればね…」
潮「予備のマシンガンをあげるよ!! 受け取って!!」
信代「すまん! 恩に着る!」
阿吽の呼吸で、僚機の潮からビームマシンガンを受け取ったが、ランゲ・ブルーノ砲を投棄することはしなかった。
敵が引いたら、また榴弾をお見舞いできるからである。
309: 2010/11/09(火) 19:40:49.33 ID:bWtwiBEo
ランゲ・ブルーノ砲を機体後方に格納すると、釣竿を担いでいるようにも見える。
信代「ホントに間抜けだね! 大は小を兼ねるってのは、嘘だ!」
潮「仕方ないよ! 長距離砲だし!」
さっきから、姫子達とははぐれてしまっていた。
潮からもらったビームマシンガンは使いやすかったが、信代はそのチマチマしたビームの光跡に、違和感を拭いきれなかった。
信代「艦を、やりたいねぇ…思いっ切りさ…」
フラストレーションのこもった信代の呟きは、戦場の喧騒に紛れて、潮には聞き取れなかった。
信代「ホントに間抜けだね! 大は小を兼ねるってのは、嘘だ!」
潮「仕方ないよ! 長距離砲だし!」
さっきから、姫子達とははぐれてしまっていた。
潮からもらったビームマシンガンは使いやすかったが、信代はそのチマチマしたビームの光跡に、違和感を拭いきれなかった。
信代「艦を、やりたいねぇ…思いっ切りさ…」
フラストレーションのこもった信代の呟きは、戦場の喧騒に紛れて、潮には聞き取れなかった。
310: 2010/11/09(火) 19:41:18.85 ID:bWtwiBEo
艦も、敵の攻撃にさらされていた。
ルナ2からのネオ・ジオンの援軍である。
数は多く無いものの、艦隊直掩も同じように数が少ない。
そして、攻める方と、艦を守っている方では、後者のほうが圧倒的に不利である。
純と紬はいっぱいいっぱいだった。
紬「右弦側!?」
純「艦をやらせるわけには行かないんだから!」
純のジェガンが艦を狙うギラ・ドーガに向けてライフルを連射した。
紬は掩護に行きたかったが、自分の前にも敵が迫っていたため、それはかなわなかった。
純「艦橋部!?」
純は、ギラ・ドーガが1機、艦橋部の目前に迫るのを見た。
シールドに搭載したシュツルムファウストを構えている。
純「艦長にもしもの事があったら、真鍋先輩が…」
純は、とっさにギラ・ドーガと艦橋部の間にジェガンを滑り込ませていた。
ルナ2からのネオ・ジオンの援軍である。
数は多く無いものの、艦隊直掩も同じように数が少ない。
そして、攻める方と、艦を守っている方では、後者のほうが圧倒的に不利である。
純と紬はいっぱいいっぱいだった。
紬「右弦側!?」
純「艦をやらせるわけには行かないんだから!」
純のジェガンが艦を狙うギラ・ドーガに向けてライフルを連射した。
紬は掩護に行きたかったが、自分の前にも敵が迫っていたため、それはかなわなかった。
純「艦橋部!?」
純は、ギラ・ドーガが1機、艦橋部の目前に迫るのを見た。
シールドに搭載したシュツルムファウストを構えている。
純「艦長にもしもの事があったら、真鍋先輩が…」
純は、とっさにギラ・ドーガと艦橋部の間にジェガンを滑り込ませていた。
311: 2010/11/09(火) 19:41:44.53 ID:bWtwiBEo
シュツルムファウストが、発射される。
シールドごと、左手を持って行かれた。
もう一発。
機体を守るものは、もうない。
ギラ・ドーガの後ろに、サーベルを振り上げた紬のジェガンが見える。
もう艦は、大丈夫。
純「艦長、ちゃんと真鍋先輩を、大事にしてくださいね。」
純は、ゆっくりと目を閉じた。
シールドごと、左手を持って行かれた。
もう一発。
機体を守るものは、もうない。
ギラ・ドーガの後ろに、サーベルを振り上げた紬のジェガンが見える。
もう艦は、大丈夫。
純「艦長、ちゃんと真鍋先輩を、大事にしてくださいね。」
純は、ゆっくりと目を閉じた。
312: 2010/11/09(火) 19:42:19.09 ID:bWtwiBEo
艦長は、艦をかばうように爆散したジェガンを、唖然と見ていた。
艦長「おい…あれは誰だ…?」
通信手「鈴木…少尉です…」
艦長「鈴木だと…?」
艦長の脳裏に、純に手を焼かされてきた日々の記憶が蘇ってきた。
艦長『お前、即応部隊に配備されたからって、クサってるらしいな。』
純『当たり前じゃないですか! 地球のために命なんか賭けたくないですよ! お気楽なコロニー勤務が良かったです!』
艦長『命が惜しいならなんで軍隊なんか入ったんだよ!』
純『資格を取るためですよーだ!! すぐに辞めてやりますからね!!』
艦長「おい…あれは誰だ…?」
通信手「鈴木…少尉です…」
艦長「鈴木だと…?」
艦長の脳裏に、純に手を焼かされてきた日々の記憶が蘇ってきた。
艦長『お前、即応部隊に配備されたからって、クサってるらしいな。』
純『当たり前じゃないですか! 地球のために命なんか賭けたくないですよ! お気楽なコロニー勤務が良かったです!』
艦長『命が惜しいならなんで軍隊なんか入ったんだよ!』
純『資格を取るためですよーだ!! すぐに辞めてやりますからね!!』
313: 2010/11/09(火) 19:42:50.95 ID:bWtwiBEo
艦長『今日はましな顔してるじゃないか。』
純『面白い事、気づいたんですよ!』
艦長『何だ?』
純『艦長、真鍋先輩のこと、好きでしょ?』
艦長『…分かるのか!?』
純『私が恋のキューピットをやってあげましょうか?』
艦長『二つ返事で頼む!!』
純『はいはい。』
純『面白い事、気づいたんですよ!』
艦長『何だ?』
純『艦長、真鍋先輩のこと、好きでしょ?』
艦長『…分かるのか!?』
純『私が恋のキューピットをやってあげましょうか?』
艦長『二つ返事で頼む!!』
純『はいはい。』
314: 2010/11/09(火) 19:43:18.93 ID:bWtwiBEo
艦長『最近は楽しそうに勤務しているじゃないか?』
純『艦長と真鍋先輩見てると面白いんですよ!』
艦長『私は真面目なんだ! 面白いとは何だ!!』
純『中学生の恋愛見てるみたいですよ~!』
艦長『貴様、張り倒すぞ!!』
純『じゃあ協力してあげない!』
艦長『すみませんでした。』
純『艦長と真鍋先輩見てると面白いんですよ!』
艦長『私は真面目なんだ! 面白いとは何だ!!』
純『中学生の恋愛見てるみたいですよ~!』
艦長『貴様、張り倒すぞ!!』
純『じゃあ協力してあげない!』
艦長『すみませんでした。』
315: 2010/11/09(火) 19:43:51.39 ID:bWtwiBEo
純『艦長、今日は暗いですね。 どうしました?』
艦長『失恋した。 真鍋少尉に嫌われるようなこと、言っちまったんだ…正直者は、バカを見るんだよ。』
純『エOチさせてくれ、とか言っちゃったんですか?』
艦長『アホタレ! 違う!!』
純『ふうん…それで真鍋先輩、食事の時…そうだ、簡易休憩室に居て下さい! きっと誤解が解けますよ!!』
艦長『誤解だあ?』
純『私は、恋のキューピットですから! 休憩室で待っていてくださいね!!』
艦長『失恋した。 真鍋少尉に嫌われるようなこと、言っちまったんだ…正直者は、バカを見るんだよ。』
純『エOチさせてくれ、とか言っちゃったんですか?』
艦長『アホタレ! 違う!!』
純『ふうん…それで真鍋先輩、食事の時…そうだ、簡易休憩室に居て下さい! きっと誤解が解けますよ!!』
艦長『誤解だあ?』
純『私は、恋のキューピットですから! 休憩室で待っていてくださいね!!』
316: 2010/11/09(火) 19:44:22.27 ID:bWtwiBEo
艦長「あいつが…あんなことするわけ無いだろ…資格取るために軍隊入った…あいつが…」
通信手「艦長…ラー・カイラムから、撤退命令がでています。」
艦長「…信号を、出せ。」
艦長「…畜生…くそったれ…。」
艦の周りに、もう敵はいなかった。
艦長は、俯いている。
副長は、泣いているのかも知れない、と思ったが、確認はしなかった。
通信手「艦長…ラー・カイラムから、撤退命令がでています。」
艦長「…信号を、出せ。」
艦長「…畜生…くそったれ…。」
艦の周りに、もう敵はいなかった。
艦長は、俯いている。
副長は、泣いているのかも知れない、と思ったが、確認はしなかった。
317: 2010/11/09(火) 19:44:54.52 ID:bWtwiBEo
律の小隊は、戦場の異変をすぐに察知していた。
無駄な交戦はせず、唯たちと合流しようとアクシズ付近まで流れてきたのである。
律「味方が、νガンダムを先頭にぼちぼち引いていくぞ!」
艦の方角に、発光信号が瞬いた。
澪「信号弾だ! 後退だぞ!」
律「核ミサイル、阻止されちゃったもんなー!」
戦闘が終結しかけている戦場に、激しい戦闘の火線が見えた。
律「おい、あれ!」
澪「識別信号、和の編隊だ! 後退命令に気づいてないのか!?」
律「行くぞ!!」
2機は、ポツポツと後退を始めた味方機の流れに逆らって、まだ戦火の燻る宙域にジェガンを突進させた。
無駄な交戦はせず、唯たちと合流しようとアクシズ付近まで流れてきたのである。
律「味方が、νガンダムを先頭にぼちぼち引いていくぞ!」
艦の方角に、発光信号が瞬いた。
澪「信号弾だ! 後退だぞ!」
律「核ミサイル、阻止されちゃったもんなー!」
戦闘が終結しかけている戦場に、激しい戦闘の火線が見えた。
律「おい、あれ!」
澪「識別信号、和の編隊だ! 後退命令に気づいてないのか!?」
律「行くぞ!!」
2機は、ポツポツと後退を始めた味方機の流れに逆らって、まだ戦火の燻る宙域にジェガンを突進させた。
318: 2010/11/09(火) 19:45:39.60 ID:bWtwiBEo
再起不能かと思われた唯は、憎しみによって立ち上がった。
しかし、極端な感情は、諸刃の剣となりうる。
唯は、憎悪に飲まれそうになっている。
和は、痛いほどそれを感じていた。いや、実際、心が痛かった。
唯をけしかけたのは艦長だったが、和が提案しなければ、唯は今頃ロンデニオンの療養所だったからだ。
唯「当たれ、当たれ、当たれ当たれ当たれ当たれ!!!!」
梓「唯先輩、落ち着いて!!」
唯は、もう限界かもしれない。
和の頭に、後退という言葉がよぎった。
核ミサイルをことごとく防がれ、本隊はもう一度作戦を立て直す必要に迫られるはずだ。
戦闘はもう、そう長くはない。
そう、和が思った瞬間、動きのいいギラ・ドーガが編隊の中に突っ込んできた。
和「唯、梓ちゃん!! 正面のギラ・ドーガ!!」
こう、号令するだけで、編隊の2機は即座にターゲットを変更する。
訓練通り、和がライフルでギラ・ドーガに注意を向けさせ、唯と梓の機体がその後方から、挟みこむように包囲した。
終わりだ。
迂闊な敵だな、と和は思った。
しかし、極端な感情は、諸刃の剣となりうる。
唯は、憎悪に飲まれそうになっている。
和は、痛いほどそれを感じていた。いや、実際、心が痛かった。
唯をけしかけたのは艦長だったが、和が提案しなければ、唯は今頃ロンデニオンの療養所だったからだ。
唯「当たれ、当たれ、当たれ当たれ当たれ当たれ!!!!」
梓「唯先輩、落ち着いて!!」
唯は、もう限界かもしれない。
和の頭に、後退という言葉がよぎった。
核ミサイルをことごとく防がれ、本隊はもう一度作戦を立て直す必要に迫られるはずだ。
戦闘はもう、そう長くはない。
そう、和が思った瞬間、動きのいいギラ・ドーガが編隊の中に突っ込んできた。
和「唯、梓ちゃん!! 正面のギラ・ドーガ!!」
こう、号令するだけで、編隊の2機は即座にターゲットを変更する。
訓練通り、和がライフルでギラ・ドーガに注意を向けさせ、唯と梓の機体がその後方から、挟みこむように包囲した。
終わりだ。
迂闊な敵だな、と和は思った。
319: 2010/11/09(火) 19:46:08.20 ID:bWtwiBEo
頭痛に耐えながら、いちごは3機のジェガンを相手にしていた。
頭痛が心身を蝕んでいる状態で戦闘が長時間続くと、さすがにこの数の敵はマズイ。
そう思っていると、レシーバーに、聞きなれた声が入ってきた。
姫子「若王子さん! 助けに来たわ!!」
その声とともに、自分に向かっていた殺気がスッ、と引いていく。
嫌な予感がしてその声の主の方に向き直ったとき、いちごの背筋に、冷たいものが走った。
それは、酷くゆっくりとした光景だった。
まず、姫子のギラ・ドーガが1機のジェガンに食いついた。
この時点で、いちごはこのジェガンの役割に気づいていた。
囮である。
いちごが姫子にそれを伝えようとしたとき、
姫子の機体の斜め後ろにそれぞれ2機のアタッカーが配置を終えており、そのうちの1機が、ライフルを放った。
姫子のギラ・ドーガは、左腕を失い、ビームに弾かれてくるくると回転しながら宇宙空間を溺れ始めた。
次の瞬間、もう1機のジェガンが突進し、サーベルを姫子のギラ・ドーガに突き立てていた。
敵が離れると、すぐに姫子のギラ・ドーガは、爆発して影も形も無くなった。
頭痛が心身を蝕んでいる状態で戦闘が長時間続くと、さすがにこの数の敵はマズイ。
そう思っていると、レシーバーに、聞きなれた声が入ってきた。
姫子「若王子さん! 助けに来たわ!!」
その声とともに、自分に向かっていた殺気がスッ、と引いていく。
嫌な予感がしてその声の主の方に向き直ったとき、いちごの背筋に、冷たいものが走った。
それは、酷くゆっくりとした光景だった。
まず、姫子のギラ・ドーガが1機のジェガンに食いついた。
この時点で、いちごはこのジェガンの役割に気づいていた。
囮である。
いちごが姫子にそれを伝えようとしたとき、
姫子の機体の斜め後ろにそれぞれ2機のアタッカーが配置を終えており、そのうちの1機が、ライフルを放った。
姫子のギラ・ドーガは、左腕を失い、ビームに弾かれてくるくると回転しながら宇宙空間を溺れ始めた。
次の瞬間、もう1機のジェガンが突進し、サーベルを姫子のギラ・ドーガに突き立てていた。
敵が離れると、すぐに姫子のギラ・ドーガは、爆発して影も形も無くなった。
320: 2010/11/09(火) 19:46:57.95 ID:bWtwiBEo
姫子に抱き締めてもらった時の、優しい香りがいちごの鼻腔をくすぐったような気がした。
頭の中に、姫子の掌の中で、動かなくなった蝶のイメージが浮かぶ。
いちご「あ・・・ああ・・・嫌・・・嫌・・・」
視界が、ぼやけていく。
涙だった。
まだ、一度だって姫子にありがとうと言っていない。
いつでも、言えると思っていたから。
激しい後悔の念がいちごの心を押しつぶし、そこから悲しみと憎悪が溢れでた。
いちご「立花さんを…私の…大切な人を…!」
残りの2機が、姫子を頃したジェガンをカバーするようにいちごの前に立ちふさがる。
いちごは、その2機のことなど目に入っていない。
いちご「取り返しが、付かないことを!! ファンネル!!」
残り1基のファンネルが、妨害する2機の間を通り抜けて姫子を頃した機体に飛んでいき、ビームを浴びせかけた。
しかし、そのビームは装甲表面で虚しく散っていく。
頭の中に、姫子の掌の中で、動かなくなった蝶のイメージが浮かぶ。
いちご「あ・・・ああ・・・嫌・・・嫌・・・」
視界が、ぼやけていく。
涙だった。
まだ、一度だって姫子にありがとうと言っていない。
いつでも、言えると思っていたから。
激しい後悔の念がいちごの心を押しつぶし、そこから悲しみと憎悪が溢れでた。
いちご「立花さんを…私の…大切な人を…!」
残りの2機が、姫子を頃したジェガンをカバーするようにいちごの前に立ちふさがる。
いちごは、その2機のことなど目に入っていない。
いちご「取り返しが、付かないことを!! ファンネル!!」
残り1基のファンネルが、妨害する2機の間を通り抜けて姫子を頃した機体に飛んでいき、ビームを浴びせかけた。
しかし、そのビームは装甲表面で虚しく散っていく。
321: 2010/11/09(火) 19:47:33.87 ID:bWtwiBEo
いちご「ビームコーティングか…小賢しい!」
耐ビームコーティング処理は、短時間ならビームを無効化するが、長時間ビームの照射が続くと、すぐに表面が劣化して、効果がなくなってしまう。
いちごはファンネルを振りほどくように回避機動を取る敵機にファンネルをぴったりと追随させようとした。
だが、敵機は不規則な回避機動を取り、うまくファンネルの狙いが定まらず、装甲の一点に攻撃を集中させることが出来ない。
その回避機動に、いちごは思い当たるふしがあった。
いちご「…お前は、私が頃したはずだ!」
陽動作戦の時、フラフラと戦場に現れた、素人。
攻撃をかわすたびに成長し、馳せ違う頃には、いちごに匹敵する腕になっていた、あの危険なパイロットだ。
確かに、コックピットをサーベルで抉ったはず。
頃した、はずなのに。
いちご「邪魔をするな、亡霊が!!」
いちごの意志は、それにも怯まず、振りほどこうともがくジェガンに、根気よくファンネルのビームを浴びせ続けた。
すると、ビームを弾きながらも、徐々にその装甲板が赤熱しだした。
残り2機がいちごの機体に攻撃を仕掛けてくるが、
いちごはそれに対応しながらも、ファンネルの射撃位置を敵機の胴体から外してはいない。
しかし次の瞬間、頭に重い衝撃が走り、最期のファンネルは消し飛んでいた。
耐ビームコーティング処理は、短時間ならビームを無効化するが、長時間ビームの照射が続くと、すぐに表面が劣化して、効果がなくなってしまう。
いちごはファンネルを振りほどくように回避機動を取る敵機にファンネルをぴったりと追随させようとした。
だが、敵機は不規則な回避機動を取り、うまくファンネルの狙いが定まらず、装甲の一点に攻撃を集中させることが出来ない。
その回避機動に、いちごは思い当たるふしがあった。
いちご「…お前は、私が頃したはずだ!」
陽動作戦の時、フラフラと戦場に現れた、素人。
攻撃をかわすたびに成長し、馳せ違う頃には、いちごに匹敵する腕になっていた、あの危険なパイロットだ。
確かに、コックピットをサーベルで抉ったはず。
頃した、はずなのに。
いちご「邪魔をするな、亡霊が!!」
いちごの意志は、それにも怯まず、振りほどこうともがくジェガンに、根気よくファンネルのビームを浴びせ続けた。
すると、ビームを弾きながらも、徐々にその装甲板が赤熱しだした。
残り2機がいちごの機体に攻撃を仕掛けてくるが、
いちごはそれに対応しながらも、ファンネルの射撃位置を敵機の胴体から外してはいない。
しかし次の瞬間、頭に重い衝撃が走り、最期のファンネルは消し飛んでいた。
322: 2010/11/09(火) 19:48:00.91 ID:bWtwiBEo
いちご「新手か!!」
同じようにバズーカを装備した、2機のジェガンがいちごに突っ込んでくる。
姫子を頃した敵は、ファンネルを破壊した散弾をモロに喰らってボロボロになっているが、
動きのいいその2機と、先程囮だった1機が素早くかばうような態勢をとった。
その隙に、残りの一機が姫子を頃した敵を引っ張って後退を始める。
しかし、いちごは敵を逃がすつもりは無かった。
いちご「そいつを殺させろ!!」
いちごは、躊躇なく敵に突っ込んでいった。
同じようにバズーカを装備した、2機のジェガンがいちごに突っ込んでくる。
姫子を頃した敵は、ファンネルを破壊した散弾をモロに喰らってボロボロになっているが、
動きのいいその2機と、先程囮だった1機が素早くかばうような態勢をとった。
その隙に、残りの一機が姫子を頃した敵を引っ張って後退を始める。
しかし、いちごは敵を逃がすつもりは無かった。
いちご「そいつを殺させろ!!」
いちごは、躊躇なく敵に突っ込んでいった。
323: 2010/11/09(火) 19:48:36.93 ID:bWtwiBEo
和の散弾は弾切れだった。
唯がファンネルにやられてしまう。
そう思った瞬間、唯の機体ごとファンネルに散弾があびせかけられた。
律「唯、大丈夫か!?」
和「律、来てくれたの!?」
先程から、味方の第二波がアクシズ付近に合流していた。
戦いの中で、律が和たちの編隊を見つけてくれたのだった。
澪「後退命令が出ているんだ!」
和「分かったわ!! 後退掩護をお願い!!」
律「了解!!」
和「梓ちゃん! 唯の機体を艦まで曳航!!」
梓「はいです!!」
和「撤退!!」
唯がファンネルにやられてしまう。
そう思った瞬間、唯の機体ごとファンネルに散弾があびせかけられた。
律「唯、大丈夫か!?」
和「律、来てくれたの!?」
先程から、味方の第二波がアクシズ付近に合流していた。
戦いの中で、律が和たちの編隊を見つけてくれたのだった。
澪「後退命令が出ているんだ!」
和「分かったわ!! 後退掩護をお願い!!」
律「了解!!」
和「梓ちゃん! 唯の機体を艦まで曳航!!」
梓「はいです!!」
和「撤退!!」
324: 2010/11/09(火) 19:49:03.93 ID:bWtwiBEo
ダミーを放出して後退をかけた編隊に、赤い特別機が単機で突っ込んでくる。
全くおそれを感じていないようだ。
律「私達が相手だ!!」
律が後退しながら応戦しようとしたとき、重装型のギラ・ドーガが長砲身の重火器を編隊の真ん中に打ち込んできた。
それに反応したのか、サイコミュ搭載機の動きが、一瞬止まった。
澪「今だ、逃げるぞ!!」
その隙に、5機は戦場を離脱することができた。
全くおそれを感じていないようだ。
律「私達が相手だ!!」
律が後退しながら応戦しようとしたとき、重装型のギラ・ドーガが長砲身の重火器を編隊の真ん中に打ち込んできた。
それに反応したのか、サイコミュ搭載機の動きが、一瞬止まった。
澪「今だ、逃げるぞ!!」
その隙に、5機は戦場を離脱することができた。
325: 2010/11/09(火) 19:50:31.43 ID:bWtwiBEo
信代「深追いするな!!」
その声に、いちごの体がピタリと追撃をやめた。
戦闘者として強化された彼女は、命令口調に体が勝手に反応してしまう。
強化人間の、悲しい性だった。
いちご「何故止めたの? 奴らは…立花さんを…!」
信代「立花さんが…やられたのか?」
信代は、信じられなかった。
姫子の氏もそうだったが、いちごが涙声なのがである。
信代「私等は戦争やっているんだ。 行動は統制されなきゃならない。 私等の任務はノズルの防衛だったろ? 敵の撃滅じゃ無かったはずだ!」
いちご「私には、関係ない。 彼女の仇を討つ! 行かせて!!」
信代「補給も整備も無しでか? ファンネルも、無いじゃないか?」
いちご「…っ!」
信代「とにかく、アクシズに帰投するよ。」
潮「敵はまた来るよ! その時一緒に仇を討とう!」
3機のMSが、アクシズに吸い込まれるように、消えていった。
第十話 天に火を噴くもの! おわり
次回 第十一話 律動!
長いな…一話を二回に分けよっかな…。
その声に、いちごの体がピタリと追撃をやめた。
戦闘者として強化された彼女は、命令口調に体が勝手に反応してしまう。
強化人間の、悲しい性だった。
いちご「何故止めたの? 奴らは…立花さんを…!」
信代「立花さんが…やられたのか?」
信代は、信じられなかった。
姫子の氏もそうだったが、いちごが涙声なのがである。
信代「私等は戦争やっているんだ。 行動は統制されなきゃならない。 私等の任務はノズルの防衛だったろ? 敵の撃滅じゃ無かったはずだ!」
いちご「私には、関係ない。 彼女の仇を討つ! 行かせて!!」
信代「補給も整備も無しでか? ファンネルも、無いじゃないか?」
いちご「…っ!」
信代「とにかく、アクシズに帰投するよ。」
潮「敵はまた来るよ! その時一緒に仇を討とう!」
3機のMSが、アクシズに吸い込まれるように、消えていった。
第十話 天に火を噴くもの! おわり
次回 第十一話 律動!
長いな…一話を二回に分けよっかな…。
330: 2010/11/10(水) 19:16:28.92 ID:R97B7Tgo
第十一話 律動!
MSデッキ横の休憩室は、暗い雰囲気につつまれていた。
紬が、体を震わせている。
紬「もう少し、私が早く駆けつけていれば…純ちゃんは…」
梓「あの…純が…氏ぬなんて…。」
梓は、それを、実感なく眺めていた。
憂に、純。
二人の親友を、自分の知らないところで失ったのである。
梓の心に、黒いものが溜まっていった。
律「唯は?」
律が、雰囲気に耐えきれずに話題を変えた。
またすぐに戦闘が開始される。
その時、悲しみを引きずっていれば、氏を招く事につながる。
残酷なようだが、正しい行動だった。
和「一応医務室に運んでおいたけど、ケガは無かったわ。 心配なのは精神面ね。 律が来るのがもう少し遅かったら、ホントに危なかったから。」
331: 2010/11/10(水) 19:16:59.47 ID:R97B7Tgo
澪「…艦長はどこに行ったんだ? 見当たらないけど?」
和「ラー・カイラムで作戦会議よ。もうすぐ帰ってきて、命令下達があると思うけど。」
律「じゃあ、ブリーフィングルームに行っておくか。」
悲しみの溜まった空間に居るのは、辛い。
そして、自分までそれに飲まれてしまう。
律は、早くここから出たかったのだ。
しかし、そう思った時点で律はその暗い雰囲気に飲まれ始めていたのだった。
和「ラー・カイラムで作戦会議よ。もうすぐ帰ってきて、命令下達があると思うけど。」
律「じゃあ、ブリーフィングルームに行っておくか。」
悲しみの溜まった空間に居るのは、辛い。
そして、自分までそれに飲まれてしまう。
律は、早くここから出たかったのだ。
しかし、そう思った時点で律はその暗い雰囲気に飲まれ始めていたのだった。
332: 2010/11/10(水) 19:17:27.28 ID:R97B7Tgo
ムサカ3番艦のMSデッキに、ニュータイプ研究所の研究者が慌てて入ってきた。
その先には、自機の足元で膝を抱え、うずくまったいちごが居る。
研究者「泣いているだって!? 涙を流しているのか!?」
信代「確かに意外だけどさ、大切な人が氏んで、泣いちゃ悪いのかい?」
信代と潮をかき分け、いちごが泣いているのを確認した研究者は、唖然とした。
いちご「…」ポロポロ
研究者「ホントだ…泣いてやがる…」
潮「人が泣くのが、そんなに珍しいの? 私だって悲しいよ。」
研究者「これは強化人間なんだぞ! 泣くなんてことが無いように作り変えてあるんだ!!」
信代「なんだって…?」
信代は、研究者の言葉に眉間を歪めた。
泣くことが出来なくなる。
そこまで人間を作り変えようという輩に対し、真っ直ぐに嫌悪を感じたのだ。
その先には、自機の足元で膝を抱え、うずくまったいちごが居る。
研究者「泣いているだって!? 涙を流しているのか!?」
信代「確かに意外だけどさ、大切な人が氏んで、泣いちゃ悪いのかい?」
信代と潮をかき分け、いちごが泣いているのを確認した研究者は、唖然とした。
いちご「…」ポロポロ
研究者「ホントだ…泣いてやがる…」
潮「人が泣くのが、そんなに珍しいの? 私だって悲しいよ。」
研究者「これは強化人間なんだぞ! 泣くなんてことが無いように作り変えてあるんだ!!」
信代「なんだって…?」
信代は、研究者の言葉に眉間を歪めた。
泣くことが出来なくなる。
そこまで人間を作り変えようという輩に対し、真っ直ぐに嫌悪を感じたのだ。
333: 2010/11/10(水) 19:17:55.67 ID:R97B7Tgo
研究者「パートナーが氏んで、ブッ壊れちまった! もう使い物にならん! この役たたずめ!!」
研究者は、そう言ってうずくまったいちごに蹴りを入れた。
いちごは、それに抗わずに、うずくまったまま飛んでいき、自機の足にぶつかった。
潮「ちょっと!…何すんのさ! 酷くない?」
潮は、それを見て信じられないような気持ちになった。
いじめはしたものの、彼女たちもそこまではしなかった。
人が人に対してする扱いでは、無い。
研究者「こいつの機体の整備は後回しでいいぞ! エネルギーだけぶち込んで、移動砲台くらいになればいい! 予備のファンネルもアクシズ内で整備しているヤクト・ドーガに回してくれ!」
そう、整備兵に言いつける研究者の肩を、信代がポンポンと叩いた。
信代「研究員殿。」
研究者「あん?」
振り返った研究者の顔を、信代の拳が捉えていた。
信代は研究者の体がそのまま飛ばされて、デッキの壁にぶつかるところまでは確認した。
わめきちらす声が聞こえたが、信代にそれは虫の鳴く声位にしか聞こえていなかった。
信代にとって、この研究者は人間では無い。
だから、人としての扱いをしてやることもないと思ったのだ。
信代「しっかりと、整備してやんな!!」
信代の言葉に従い、整備兵がキビキビとサイコミュ試験型の整備をし始めた。
研究者は、そう言ってうずくまったいちごに蹴りを入れた。
いちごは、それに抗わずに、うずくまったまま飛んでいき、自機の足にぶつかった。
潮「ちょっと!…何すんのさ! 酷くない?」
潮は、それを見て信じられないような気持ちになった。
いじめはしたものの、彼女たちもそこまではしなかった。
人が人に対してする扱いでは、無い。
研究者「こいつの機体の整備は後回しでいいぞ! エネルギーだけぶち込んで、移動砲台くらいになればいい! 予備のファンネルもアクシズ内で整備しているヤクト・ドーガに回してくれ!」
そう、整備兵に言いつける研究者の肩を、信代がポンポンと叩いた。
信代「研究員殿。」
研究者「あん?」
振り返った研究者の顔を、信代の拳が捉えていた。
信代は研究者の体がそのまま飛ばされて、デッキの壁にぶつかるところまでは確認した。
わめきちらす声が聞こえたが、信代にそれは虫の鳴く声位にしか聞こえていなかった。
信代にとって、この研究者は人間では無い。
だから、人としての扱いをしてやることもないと思ったのだ。
信代「しっかりと、整備してやんな!!」
信代の言葉に従い、整備兵がキビキビとサイコミュ試験型の整備をし始めた。
334: 2010/11/10(水) 19:18:21.34 ID:R97B7Tgo
律達が、ブリーフィングルームで仮眠を取っていると、艦長が入ってきた。
ラー・カイラムでの作戦会議から帰ってきたらしい。
艦長「もう集まっているのか。 作戦の説明をするぞ。」
和「みんな、起きて。」
その言葉に、仮眠をとっていたメンバーが起き、机に座り直す。
律などは、無重力に漂ったまま、寝ていたのだ。
艦長「アクシズは、すでに落下コースに入ったが、まだ阻止は可能だ。」
全員、息を飲んで艦長の言葉を聞いている。
律も、もう軽口は叩かないようだ。
その時、ブリーフィングルームに唯が入ってきた。
和「唯、大丈夫なの?」
唯「うん…ケガはないし、最後の戦いでみんなと一緒にいられないと一生後悔すると思うんだ…。」
和「そう、着席しなさい。」
ラー・カイラムでの作戦会議から帰ってきたらしい。
艦長「もう集まっているのか。 作戦の説明をするぞ。」
和「みんな、起きて。」
その言葉に、仮眠をとっていたメンバーが起き、机に座り直す。
律などは、無重力に漂ったまま、寝ていたのだ。
艦長「アクシズは、すでに落下コースに入ったが、まだ阻止は可能だ。」
全員、息を飲んで艦長の言葉を聞いている。
律も、もう軽口は叩かないようだ。
その時、ブリーフィングルームに唯が入ってきた。
和「唯、大丈夫なの?」
唯「うん…ケガはないし、最後の戦いでみんなと一緒にいられないと一生後悔すると思うんだ…。」
和「そう、着席しなさい。」
335: 2010/11/10(水) 19:18:47.20 ID:R97B7Tgo
艦長が、スクリーンに地球とアクシズの位置関係が示された図を映しだして、続けた。
艦長「時間がない…続けるぞ。 アクシズの落下を阻止しても、低軌道上でルナ2からの核を爆発させちまえば、地球は汚染されてシャアの作戦は成功しちまう。」
和「ルナ2から敵の援軍が来たみたいですが、敵本隊に核は届いているのでしょうか?」
艦長「いや、あれは先行してこちらに向かってきた戦闘部隊だ。 ルナ2で核兵器を積み込んでいる奴らはもう少し遅れてくるだろう。」
律「…そいつら、どれくらいで着くんだろうな?」
艦長「我々は、軌道上のこの位置でアクシズを叩くが、その頃にはもう着いちまっている可能性もある。 ルナ2での核兵器搬出作業にどれ位時間が掛かるか、なんだがな…。」
律「連邦軍が、動いてくれりゃあな…」
艦長「だから、低軌道に達する前に、アクシズのノズルを破壊して、アクシズの進行方向を変えるか、残りの核ミサイル4発をぶち込んで、アクシズそのものを、分割、破壊する。」
澪「核ミサイル4発で、アクシズを破壊できるんですか?」
艦長「時間がない…続けるぞ。 アクシズの落下を阻止しても、低軌道上でルナ2からの核を爆発させちまえば、地球は汚染されてシャアの作戦は成功しちまう。」
和「ルナ2から敵の援軍が来たみたいですが、敵本隊に核は届いているのでしょうか?」
艦長「いや、あれは先行してこちらに向かってきた戦闘部隊だ。 ルナ2で核兵器を積み込んでいる奴らはもう少し遅れてくるだろう。」
律「…そいつら、どれくらいで着くんだろうな?」
艦長「我々は、軌道上のこの位置でアクシズを叩くが、その頃にはもう着いちまっている可能性もある。 ルナ2での核兵器搬出作業にどれ位時間が掛かるか、なんだがな…。」
律「連邦軍が、動いてくれりゃあな…」
艦長「だから、低軌道に達する前に、アクシズのノズルを破壊して、アクシズの進行方向を変えるか、残りの核ミサイル4発をぶち込んで、アクシズそのものを、分割、破壊する。」
澪「核ミサイル4発で、アクシズを破壊できるんですか?」
336: 2010/11/10(水) 19:19:14.85 ID:R97B7Tgo
艦長は、澪の質問に応えるため、アクシズの透視図を表示した。
艦長「この位置、坑道が混んでいる部分がある。 そこにミサイルを叩き込めば、出来る計算だ。」
艦長「それでも駄目だった場合は、アクシズに接岸し、ラー・カイラムの陸戦部隊が内部に侵入、先程説明した坑道の入り組んだ部分に爆薬を仕掛け、内部から破壊する。」
そこまで聞いていた和の顔が、徐々に青ざめていく。
和「…」
紬「分割しても、地球に落ちてしまったら、向こうの作戦は成功してしまうんじゃないですか?」
艦長「分割できれば、質量が変化して、大気圏外に飛び出していくらしい。」
梓「エンジンのノズル破壊で進行方向の変更、核ミサイルでの分割、内部に侵入しての分割…三段構えですね! それなら、阻止できます!」
唯「うん、勝てるね!!」
艦長「ルナ2からの核が来る前に、やっちまうぞ! 準備にかかれ!!」
律「よっしゃ、行くぞ!!」
唯梓紬澪「おおーーーーーーっ!!」
艦長「この位置、坑道が混んでいる部分がある。 そこにミサイルを叩き込めば、出来る計算だ。」
艦長「それでも駄目だった場合は、アクシズに接岸し、ラー・カイラムの陸戦部隊が内部に侵入、先程説明した坑道の入り組んだ部分に爆薬を仕掛け、内部から破壊する。」
そこまで聞いていた和の顔が、徐々に青ざめていく。
和「…」
紬「分割しても、地球に落ちてしまったら、向こうの作戦は成功してしまうんじゃないですか?」
艦長「分割できれば、質量が変化して、大気圏外に飛び出していくらしい。」
梓「エンジンのノズル破壊で進行方向の変更、核ミサイルでの分割、内部に侵入しての分割…三段構えですね! それなら、阻止できます!」
唯「うん、勝てるね!!」
艦長「ルナ2からの核が来る前に、やっちまうぞ! 準備にかかれ!!」
律「よっしゃ、行くぞ!!」
唯梓紬澪「おおーーーーーーっ!!」
337: 2010/11/10(水) 19:19:45.74 ID:R97B7Tgo
慌しく、パイロット達が出て行った、と思ったが、和だけが残っていた。
艦長「どうした?」
和「本作戦は…まるで艦隊特攻です…」
和の目には、見る見るうちに涙が溜まってくる。
和「あなたは、氏ぬ気なんですか?」
艦長「…」
和「どうなんですか…答えて下さい!!」
和の目から、涙の粒が漂いだした。
艦長は、その光景を、美しいと思って、素直に感動していた。
艦長「氏ぬつもりなんか、無い。 だがな、氏ぬかも知れないことは、確かだ。」
和「どうして…せっかくあなたのこと、好きになれたのに…どうして…」
艦長「それが、戦争だ!」
艦長「どうした?」
和「本作戦は…まるで艦隊特攻です…」
和の目には、見る見るうちに涙が溜まってくる。
和「あなたは、氏ぬ気なんですか?」
艦長「…」
和「どうなんですか…答えて下さい!!」
和の目から、涙の粒が漂いだした。
艦長は、その光景を、美しいと思って、素直に感動していた。
艦長「氏ぬつもりなんか、無い。 だがな、氏ぬかも知れないことは、確かだ。」
和「どうして…せっかくあなたのこと、好きになれたのに…どうして…」
艦長「それが、戦争だ!」
338: 2010/11/10(水) 19:20:11.60 ID:R97B7Tgo
和は、まるで駄々っ子のように頭を振りながら、泣き叫んでいる。
和「嫌よ、嫌! もう、こんなの嫌! 私と一緒に逃げて!! こんなの、作戦とは呼べないわ!!」
泣きじゃくる和を抱き締めて、艦長が毅然と、言い放った。
艦長「真鍋少尉、お互い、最善を尽くそう。」
和「…あなた…」
艦長「辛い思いをさせて、すまない。」
長いキスをして、離れると、和の目に決意の輝きが宿った。
艦長「愛してる。」
和はブリーフィングルームを出る艦長を、唇に触れて、先程の感触を確かめつつ見送っていた。
和「嫌よ、嫌! もう、こんなの嫌! 私と一緒に逃げて!! こんなの、作戦とは呼べないわ!!」
泣きじゃくる和を抱き締めて、艦長が毅然と、言い放った。
艦長「真鍋少尉、お互い、最善を尽くそう。」
和「…あなた…」
艦長「辛い思いをさせて、すまない。」
長いキスをして、離れると、和の目に決意の輝きが宿った。
艦長「愛してる。」
和はブリーフィングルームを出る艦長を、唇に触れて、先程の感触を確かめつつ見送っていた。
339: 2010/11/10(水) 19:20:44.75 ID:R97B7Tgo
姫子の部屋で、いちごがうずくまっていた。
部屋の中にはまだ、かすかに姫子の香りが残っている。
いちご「…寂しい。」
いちごの目を、涙が濡らしている。
もう彼女は、強化人間などでは、なかった。
いちご「立花さん…まだありがとうも、伝えていないのに…」
目の前に浮かんだ姫子のイメージを抱きしめようとするが、彼女の両手は虚しく空を切るだけだった。
いちご「私を、独りにしないで…」
いちごが瞬きをすると、瞼の間から涙の粒がはじき出され、宙に漂った。
部屋の中にはまだ、かすかに姫子の香りが残っている。
いちご「…寂しい。」
いちごの目を、涙が濡らしている。
もう彼女は、強化人間などでは、なかった。
いちご「立花さん…まだありがとうも、伝えていないのに…」
目の前に浮かんだ姫子のイメージを抱きしめようとするが、彼女の両手は虚しく空を切るだけだった。
いちご「私を、独りにしないで…」
いちごが瞬きをすると、瞼の間から涙の粒がはじき出され、宙に漂った。
340: 2010/11/10(水) 19:21:11.61 ID:R97B7Tgo
そこに、信代と潮が入ってきた。
信代「やっぱりここにいたのかい。」
いちご「…何?」
潮「出撃だよ。」
いちご「…」
信代「若王子さん、あたし、戦いが終わったら、実家の酒屋を継ぎたいんだよ! だから、氏ねないんだ!」
いちご「酒屋?」
信代「氏亡フラグでも何でもいいからさ、あんたの力が必要なんだよ!」
いちご「私の…力?」
潮「あんたのこといじめたの、許して欲しいなんて、言わないけどさ…一緒に、戦ってくれよ!」
いちご「…それは構わない…でも…」
潮「何さ?」
いちご「私はもう、戦いのあと、したいことなんて…無い。」
信代「やっぱりここにいたのかい。」
いちご「…何?」
潮「出撃だよ。」
いちご「…」
信代「若王子さん、あたし、戦いが終わったら、実家の酒屋を継ぎたいんだよ! だから、氏ねないんだ!」
いちご「酒屋?」
信代「氏亡フラグでも何でもいいからさ、あんたの力が必要なんだよ!」
いちご「私の…力?」
潮「あんたのこといじめたの、許して欲しいなんて、言わないけどさ…一緒に、戦ってくれよ!」
いちご「…それは構わない…でも…」
潮「何さ?」
いちご「私はもう、戦いのあと、したいことなんて…無い。」
341: 2010/11/10(水) 19:21:39.70 ID:R97B7Tgo
いちご「立花さんに…ありがとうを、伝えたかったのに…いなくなってしまったから…」
信代が、かすかに微笑みながら、口を開いた。
信代「サイド3のどこかに、立花さんの家族が住んでいるんだ。」
いちご「…家族?」
信代「ああ…だから、その家族に会って、ありがとうを、伝えればいいんじゃないのか?」
潮「それは名案だね!」
いちごは頷いて、立ち上がった。
いちご「彼女の家族…仇を取ってからじゃないと、会えない。」
潮「そうだよ!」
信代「かなりの数の連邦軍が動き出しているようだ、そいつらが来る前に、カタ付けるよ!!」
いちご「…出撃する。」
三人は、姫子の部屋を出て、真っ直ぐにMSデッキに上がった。
信代が、かすかに微笑みながら、口を開いた。
信代「サイド3のどこかに、立花さんの家族が住んでいるんだ。」
いちご「…家族?」
信代「ああ…だから、その家族に会って、ありがとうを、伝えればいいんじゃないのか?」
潮「それは名案だね!」
いちごは頷いて、立ち上がった。
いちご「彼女の家族…仇を取ってからじゃないと、会えない。」
潮「そうだよ!」
信代「かなりの数の連邦軍が動き出しているようだ、そいつらが来る前に、カタ付けるよ!!」
いちご「…出撃する。」
三人は、姫子の部屋を出て、真っ直ぐにMSデッキに上がった。
342: 2010/11/10(水) 19:22:06.36 ID:R97B7Tgo
梓は、唯の部屋に来ていた。
唯が、心配だったのだ。
しかし、伝えたいことが山ほどあるようで、どれも具体的な言葉にならず、もどかしい気持ちばかりが募っていく。
唯「私なら、大丈夫だよ、あずにゃん。」
梓「でも…私…」
唯「さっきの戦いで、ファンネルにやられそうになったときね、大丈夫だからって、憂の声が聞こえた気がするんだ。」
梓「…」
唯「そうしたら、りっちゃんが助けに来てくれて…なんか不思議だよね!」
唯が、心配だったのだ。
しかし、伝えたいことが山ほどあるようで、どれも具体的な言葉にならず、もどかしい気持ちばかりが募っていく。
唯「私なら、大丈夫だよ、あずにゃん。」
梓「でも…私…」
唯「さっきの戦いで、ファンネルにやられそうになったときね、大丈夫だからって、憂の声が聞こえた気がするんだ。」
梓「…」
唯「そうしたら、りっちゃんが助けに来てくれて…なんか不思議だよね!」
343: 2010/11/10(水) 19:22:32.74 ID:R97B7Tgo
梓は、それが信じられなかった。
氏んだ人の声が聞こえるなどということは、ありえない。
それよりも、声が聞こえた気がしてしまうほど、唯が憂に引き込まれそうになっている、という思いのほうが強い。
梓「唯先輩…私…」
梓は、自分が情けなくなった。
唯の中で憂はどんどん大きくなる。
それに自分が負けてしまうような気がして、辛いのだ。
梓「憂の代わりは出来ないかも知れないけど…唯先輩を想う気持ちは、憂にだって負けてないつもりです…」
唯「あずにゃん…」
梓「だから…戦闘の間だけは、憂の事、忘れて…とはいいません。 私のこと、ちゃんと見ていてください。」
そこまで言ってしまって、梓は自分の言ったことがどういう意味を持ってしまうのか考えてしまい、赤面した。
梓「戦闘中に、僚機を見失ったら…やられてしまいますから…//////」
唯は、梓の気持ちを知ってか知らずか、そんな梓を可愛いと思って、思い切り抱きついていた。
唯「出撃前のあずにゃん分補給!」
梓「もう、やめて下さい!!//////」
唯も梓も、この時だけはいつもの調子に戻っていた。
氏んだ人の声が聞こえるなどということは、ありえない。
それよりも、声が聞こえた気がしてしまうほど、唯が憂に引き込まれそうになっている、という思いのほうが強い。
梓「唯先輩…私…」
梓は、自分が情けなくなった。
唯の中で憂はどんどん大きくなる。
それに自分が負けてしまうような気がして、辛いのだ。
梓「憂の代わりは出来ないかも知れないけど…唯先輩を想う気持ちは、憂にだって負けてないつもりです…」
唯「あずにゃん…」
梓「だから…戦闘の間だけは、憂の事、忘れて…とはいいません。 私のこと、ちゃんと見ていてください。」
そこまで言ってしまって、梓は自分の言ったことがどういう意味を持ってしまうのか考えてしまい、赤面した。
梓「戦闘中に、僚機を見失ったら…やられてしまいますから…//////」
唯は、梓の気持ちを知ってか知らずか、そんな梓を可愛いと思って、思い切り抱きついていた。
唯「出撃前のあずにゃん分補給!」
梓「もう、やめて下さい!!//////」
唯も梓も、この時だけはいつもの調子に戻っていた。
344: 2010/11/10(水) 19:23:00.30 ID:R97B7Tgo
簡易休憩室では、澪と律がジュースをすすっている。
澪は、地味な色の天井を見つめながら、呟いた。
澪「曽我部先輩も、憂ちゃんも、鈴木さんも、もういないんだな…」
その呟きに、律が無重力に漂いながら、首を向ける。
澪「私たち…どうなるのかな…?」
律「…恐いのか?」
澪「それとはちょっと違うのかな…ただ、一日後、自分が何をしているのか、想像できないって言うか…」
律「まあな…それが普通だろうな…」
澪「よくさ、人生設計って言って、何十年先まで計画立てたりするよな…まあ私もそんなクチだったんだけど…」
律「ああ…」
澪「でも、普通に暮らしていても、明日何が起こるかなんて、わからないんだよな…健康な人が、次の日事故にあったりさ…。」
澪「戦争なんかやってたら、尚更じゃないか…ハハッ。」
澪は、地味な色の天井を見つめながら、呟いた。
澪「曽我部先輩も、憂ちゃんも、鈴木さんも、もういないんだな…」
その呟きに、律が無重力に漂いながら、首を向ける。
澪「私たち…どうなるのかな…?」
律「…恐いのか?」
澪「それとはちょっと違うのかな…ただ、一日後、自分が何をしているのか、想像できないって言うか…」
律「まあな…それが普通だろうな…」
澪「よくさ、人生設計って言って、何十年先まで計画立てたりするよな…まあ私もそんなクチだったんだけど…」
律「ああ…」
澪「でも、普通に暮らしていても、明日何が起こるかなんて、わからないんだよな…健康な人が、次の日事故にあったりさ…。」
澪「戦争なんかやってたら、尚更じゃないか…ハハッ。」
345: 2010/11/10(水) 19:23:26.04 ID:R97B7Tgo
そこまで聞いて、律は澪が怯えていることに気がついた。
いつものような怯えとは違うが、それとは違う部分での、怯えだ。
床に足裏のマジックテープをしっかりと付けて、澪の前に立つ。
律「何が起こるか分からない状況でも、予定は作っておくもんじゃないのかよ。」
澪「律…」
律「まず、艦に帰ってきて、ムギのお茶を飲む。 次はロンデニオンにいって、みんなでそろって貸しスタジオで、演奏する!」
律「これが予定だ! それでいいじゃないか!」
澪「…そうだな…ありがとう、律。」
律「へへっ…」
澪「どうしたんだ?」
律「いや、何かの計画なんて、初めて立てたからさ…。」
澪「無計画なお前に、計画を立てさせちゃったな…。」
二人は、そろって笑い出していた。
いつものような怯えとは違うが、それとは違う部分での、怯えだ。
床に足裏のマジックテープをしっかりと付けて、澪の前に立つ。
律「何が起こるか分からない状況でも、予定は作っておくもんじゃないのかよ。」
澪「律…」
律「まず、艦に帰ってきて、ムギのお茶を飲む。 次はロンデニオンにいって、みんなでそろって貸しスタジオで、演奏する!」
律「これが予定だ! それでいいじゃないか!」
澪「…そうだな…ありがとう、律。」
律「へへっ…」
澪「どうしたんだ?」
律「いや、何かの計画なんて、初めて立てたからさ…。」
澪「無計画なお前に、計画を立てさせちゃったな…。」
二人は、そろって笑い出していた。
346: 2010/11/10(水) 19:24:21.69 ID:R97B7Tgo
MSデッキで、自分のジェガンを見上げていた紬のところに、4人が近づいてきた。
律「何シケたツラしてんだよ、ムギ!」
紬「りっちゃん…」
澪「帰ってきたら、お茶、頼むな。」
紬「澪ちゃん…」
梓「元気だしてください。 帰ったら、一緒に演奏しましょう!」
紬「梓ちゃん…」
唯「ムギちゃん、一緒に行こ! 私たちが、地球を救うんだよ!」
紬「唯ちゃん…そうね、あと少し、頑張りましょ!」
そこに、和も加わってくる。
和「私も帰ったら、お茶、頂こうかしら。」
紬「艦長さんと一緒にね!」
一通り笑ってから、6人は各々のMSに流れていった。
律「何シケたツラしてんだよ、ムギ!」
紬「りっちゃん…」
澪「帰ってきたら、お茶、頼むな。」
紬「澪ちゃん…」
梓「元気だしてください。 帰ったら、一緒に演奏しましょう!」
紬「梓ちゃん…」
唯「ムギちゃん、一緒に行こ! 私たちが、地球を救うんだよ!」
紬「唯ちゃん…そうね、あと少し、頑張りましょ!」
そこに、和も加わってくる。
和「私も帰ったら、お茶、頂こうかしら。」
紬「艦長さんと一緒にね!」
一通り笑ってから、6人は各々のMSに流れていった。
347: 2010/11/10(水) 19:24:47.83 ID:R97B7Tgo
艦長は、ブリッジで報告を受け、首をかしげていた。
どう考えても、不可解極まりない動きである。
艦長「連邦軍の艦隊だと?」
副長「ええ、この光点が、ルナ2から脱出した艦艇、こっちはサイド2、こっちのはサイド5からの艦艇と見て、間違いないでしょう。」
艦長「ブライト司令はなんと言っている?」
副長「向こうの意図はわからないが、定期的に、こちらの位置表示は出しておくように、だそうです。」
艦長「ろくに戦闘もやった事が無い連中だ、戦闘を見ておきたいだけの野次馬かもしれんな。」
副長「ありえますね。」
どう考えても、不可解極まりない動きである。
艦長「連邦軍の艦隊だと?」
副長「ええ、この光点が、ルナ2から脱出した艦艇、こっちはサイド2、こっちのはサイド5からの艦艇と見て、間違いないでしょう。」
艦長「ブライト司令はなんと言っている?」
副長「向こうの意図はわからないが、定期的に、こちらの位置表示は出しておくように、だそうです。」
艦長「ろくに戦闘もやった事が無い連中だ、戦闘を見ておきたいだけの野次馬かもしれんな。」
副長「ありえますね。」
348: 2010/11/10(水) 19:25:15.87 ID:R97B7Tgo
艦長「それより…あの話だが、いいのか?」
副長「ラー・カイラムが危なくなったら、近くの艦がラー・カイラムの盾になる…3隻のクラップ級艦長達の密約ですな。」
艦長「…そうだ。」
副長「みんな、異存はないようです。 艦長は頼りないですから、いざとなったら我々が三途の川の向こうまでお供しますよ。」
艦長「言ってくれるじゃねえか!」
副長「艦長は、いいんですか?」
艦長「何がだ?」
副長「真鍋少尉のことです。 この話、彼女には伝えていないんでしょ?」
艦長「彼女は、強い。 大丈夫だ! 私が氏んでも、すぐに他のいい男が見つかるだろうしな!」
そう言い切っては見たものの、艦長の脳裏には、さっき見た和の泣き顔が引っかかっていた。
それを振り払うように、命令する。
艦長「MS隊、出せ!」
和「第1小隊、出ます!」
モニター内の和は、もう泣き顔ではなかった。
艦長は、心配し過ぎなのは自分のほうだったかな、と思った。
副長「ラー・カイラムが危なくなったら、近くの艦がラー・カイラムの盾になる…3隻のクラップ級艦長達の密約ですな。」
艦長「…そうだ。」
副長「みんな、異存はないようです。 艦長は頼りないですから、いざとなったら我々が三途の川の向こうまでお供しますよ。」
艦長「言ってくれるじゃねえか!」
副長「艦長は、いいんですか?」
艦長「何がだ?」
副長「真鍋少尉のことです。 この話、彼女には伝えていないんでしょ?」
艦長「彼女は、強い。 大丈夫だ! 私が氏んでも、すぐに他のいい男が見つかるだろうしな!」
そう言い切っては見たものの、艦長の脳裏には、さっき見た和の泣き顔が引っかかっていた。
それを振り払うように、命令する。
艦長「MS隊、出せ!」
和「第1小隊、出ます!」
モニター内の和は、もう泣き顔ではなかった。
艦長は、心配し過ぎなのは自分のほうだったかな、と思った。
349: 2010/11/10(水) 19:25:43.31 ID:R97B7Tgo
MSのコックピット内で待機していた信代に、ブリッジから通信が入った。
通信手「ロンド・ベルが動き出した。 MS隊は出撃して艦隊の前面に展開。 敵の侵攻を阻止せよ、だ!」
信代「やっと来たかい、二人共、いいね!」
いちご潮「了解!」
右舷カタパルトデッキに信代の重装型、左舷側に潮の通常兵装のギラ・ドーガが固定され、順次発艦した。
いちご「立花さん…仇は必ず。」
少し遅れていちごのサイコミュ試験型が射出された。
通信手「ロンド・ベルが動き出した。 MS隊は出撃して艦隊の前面に展開。 敵の侵攻を阻止せよ、だ!」
信代「やっと来たかい、二人共、いいね!」
いちご潮「了解!」
右舷カタパルトデッキに信代の重装型、左舷側に潮の通常兵装のギラ・ドーガが固定され、順次発艦した。
いちご「立花さん…仇は必ず。」
少し遅れていちごのサイコミュ試験型が射出された。
350: 2010/11/10(水) 19:26:13.84 ID:R97B7Tgo
出撃してすぐ、信代たちの前にいくつもの火線が現れた。
信代「ミサイルだ! 迎撃!!」
いちご潮「了解!!」
ライフルでミサイルを打ち落とす。
多少撃ち漏らしても、後方には艦が控えている。
MSの敵は、やはりMSである。
信代「ミサイルの後に、MS隊が出てくるよ! 二人はその迎撃! 私は対艦戦闘隊と共に、艦をやりに行く! また核なんか撃たれたらたまったもんじゃないからね! 二人共いいね!」
いちご潮「了解!」
ミサイル攻撃の第一波が止むとともに、信代の機体が、各艦から集められた対艦戦闘隊に混じって戦場を迂回する軌道をとった。
その信代に、いちごが通信を開いた。
いちご「中島さん!」
信代「何だい?」
いちご「必ず、帰ってきて。」
信代「あたりまえだろ! 対艦戦は得意なんだ! 旗艦を沈めて、戻ってくるよ!」
いちごたちは、それを見送ってから、味方のMS隊に混じっていった。
少しすると敵MSの航跡が見え、散開した。
いちご「来る!」
潮「よっしゃ!」
いちごの心の器に、一気に憎悪の念が満ち溢れた。
信代「ミサイルだ! 迎撃!!」
いちご潮「了解!!」
ライフルでミサイルを打ち落とす。
多少撃ち漏らしても、後方には艦が控えている。
MSの敵は、やはりMSである。
信代「ミサイルの後に、MS隊が出てくるよ! 二人はその迎撃! 私は対艦戦闘隊と共に、艦をやりに行く! また核なんか撃たれたらたまったもんじゃないからね! 二人共いいね!」
いちご潮「了解!」
ミサイル攻撃の第一波が止むとともに、信代の機体が、各艦から集められた対艦戦闘隊に混じって戦場を迂回する軌道をとった。
その信代に、いちごが通信を開いた。
いちご「中島さん!」
信代「何だい?」
いちご「必ず、帰ってきて。」
信代「あたりまえだろ! 対艦戦は得意なんだ! 旗艦を沈めて、戻ってくるよ!」
いちごたちは、それを見送ってから、味方のMS隊に混じっていった。
少しすると敵MSの航跡が見え、散開した。
いちご「来る!」
潮「よっしゃ!」
いちごの心の器に、一気に憎悪の念が満ち溢れた。
351: 2010/11/10(水) 19:26:43.43 ID:R97B7Tgo
前進中の和達も、敵を捉えていた。
和「敵接近! 今回の任務は艦隊主導だから、何としても艦を守りぬくわよ!!」
律「おうよ! 澪、いいか!?」
澪「了解だ!」
唯「あずにゃんも、いい!?」
梓「はいです!!」
紬「今度は、ちゃんとやってみせる!」
6機になっていたので、MSの編成は小隊基本になっていた。
和と紬、律と澪、唯と梓である。
散弾のバズーカは、紬、澪、梓がそれぞれ肩部に取り付けられたマウントラッチに携行している。
その時、編隊の横を白いMSが抜けていった。
律「なんだよ、ありゃ! 突っ込み過ぎだろ!」
澪「νガンダム…急ぎ過ぎじゃないのか?」
律「あんなに突出しちまって、掩護なんか出来やしないぞ!」
和「私たちは、私たちの仕事をするまでよ!」
敵が、迫る。
3つの小隊は、あくまで連携して、ギラ・ドーガの編隊に当たった。
和「敵接近! 今回の任務は艦隊主導だから、何としても艦を守りぬくわよ!!」
律「おうよ! 澪、いいか!?」
澪「了解だ!」
唯「あずにゃんも、いい!?」
梓「はいです!!」
紬「今度は、ちゃんとやってみせる!」
6機になっていたので、MSの編成は小隊基本になっていた。
和と紬、律と澪、唯と梓である。
散弾のバズーカは、紬、澪、梓がそれぞれ肩部に取り付けられたマウントラッチに携行している。
その時、編隊の横を白いMSが抜けていった。
律「なんだよ、ありゃ! 突っ込み過ぎだろ!」
澪「νガンダム…急ぎ過ぎじゃないのか?」
律「あんなに突出しちまって、掩護なんか出来やしないぞ!」
和「私たちは、私たちの仕事をするまでよ!」
敵が、迫る。
3つの小隊は、あくまで連携して、ギラ・ドーガの編隊に当たった。
352: 2010/11/10(水) 19:27:11.70 ID:R97B7Tgo
いちごの戦い方は、まるで鬼神のようだった。
潮は、出撃前とは別人のようになった彼女に、恐怖すら感じている。
いちご「奴らはどこ? 立花さんを奪った敵は!?」
潮「ちょっと、飛ばし過ぎなんじゃない!?」
躊躇なくファンネルを放出し、いちごはそれらと連携して敵を落としていく。
その戦い方は、姫子を失う前より苛烈になっている。
潮「…パートナーを失ったら、ダメになるんじゃなかったっけ…?」
また、ファンネルが敵を爆散させた。
ビーム砲のバッテリー切れなのか、今しがた敵を落としたファンネルを放置し、サイコミュ試験型はもう1基ファンネルを放出し、敵に向かわせる。
戦闘中は回収して充電する暇が無いため、ファンネルはほとんど使い捨てにされる。
戦闘が一段落したときに、サイコミュで捉えきれるファンネルがあれば回収し、
充電して再利用することができるが、これが最後の戦闘である。そんな暇がある保証はどこにもなかった。
潮は、出撃前とは別人のようになった彼女に、恐怖すら感じている。
いちご「奴らはどこ? 立花さんを奪った敵は!?」
潮「ちょっと、飛ばし過ぎなんじゃない!?」
躊躇なくファンネルを放出し、いちごはそれらと連携して敵を落としていく。
その戦い方は、姫子を失う前より苛烈になっている。
潮「…パートナーを失ったら、ダメになるんじゃなかったっけ…?」
また、ファンネルが敵を爆散させた。
ビーム砲のバッテリー切れなのか、今しがた敵を落としたファンネルを放置し、サイコミュ試験型はもう1基ファンネルを放出し、敵に向かわせる。
戦闘中は回収して充電する暇が無いため、ファンネルはほとんど使い捨てにされる。
戦闘が一段落したときに、サイコミュで捉えきれるファンネルがあれば回収し、
充電して再利用することができるが、これが最後の戦闘である。そんな暇がある保証はどこにもなかった。
353: 2010/11/10(水) 19:27:44.61 ID:R97B7Tgo
潮「ファンネル、使いすぎじゃないの? 大丈夫なの?」
いちご「どうせ奴らが出てきたらファンネルは無効化される。 使いきってしまって構わない。」
いちごたちの後方、アクシズの方には、α・アジールとヤクト・ドーガが敵のガンダムと交戦しているのが見えるが、いちごにそんな事は関係なかった。
彼女の目的は、姫子の仇を取ることだけである。
何故なのか分からなかったが、いちごはもうサイコミュによる頭痛を感じていなかった。
いちご「…見つけた!!」
憎悪の念がいちごの体から溢れ出し、周りの雰囲気を変え、潮に緊張を与えた。
サイコミュ試験型のコックピット周りから、黒々としたモヤのようなものが出ているようにも見える。
潮「…奴らか!?」
いちごがライフルを連射しながら突っ込む。
敵が蜘蛛の子を散らしたように散開するのが見えた。
モニターが敵艦の艦影をはっきり映し出しているのを見て、潮は自分たちが戦場の奥まで侵攻していたことを知り、背筋が冷えた。
しかし、いちごを放っておく訳には行かない。
潮は、いちごの後を追い、6機のジェガンに突っ込んでいった。
いちご「どうせ奴らが出てきたらファンネルは無効化される。 使いきってしまって構わない。」
いちごたちの後方、アクシズの方には、α・アジールとヤクト・ドーガが敵のガンダムと交戦しているのが見えるが、いちごにそんな事は関係なかった。
彼女の目的は、姫子の仇を取ることだけである。
何故なのか分からなかったが、いちごはもうサイコミュによる頭痛を感じていなかった。
いちご「…見つけた!!」
憎悪の念がいちごの体から溢れ出し、周りの雰囲気を変え、潮に緊張を与えた。
サイコミュ試験型のコックピット周りから、黒々としたモヤのようなものが出ているようにも見える。
潮「…奴らか!?」
いちごがライフルを連射しながら突っ込む。
敵が蜘蛛の子を散らしたように散開するのが見えた。
モニターが敵艦の艦影をはっきり映し出しているのを見て、潮は自分たちが戦場の奥まで侵攻していたことを知り、背筋が冷えた。
しかし、いちごを放っておく訳には行かない。
潮は、いちごの後を追い、6機のジェガンに突っ込んでいった。
354: 2010/11/10(水) 19:28:10.26 ID:R97B7Tgo
先鋒のギラ・ドーガを凌ぎきると、肌を突き刺すような緊張に、戦場の雰囲気が震えているような気がした。
その中心に、赤い機体を見つけて、唯の心は憎悪に染まった。
もう、出撃前の笑顔は、忘れている。
唯「あいつだ!! 憂の仇!!」
梓「やってやるです!!」
二人の親友を失った梓も、唯を止めようとはせず、自ら憎悪に身を委ねて突っ込んでいく。
律「畜生、あいつか!! 今日こそ引導を渡すぜ!!」
律も唯たちの雰囲気に飲まれているのか、熱くなっているのを見て、澪がそれを制した。
澪「律、落ち着け!! 周りもよく見るんだ!!」
律「あいつが諸悪の根源になって、みんながおかしくなってやがる!! あいつを頃したら、みんな落ち着くだろ!!」
澪「…分かったけど…ちゃんと連携して当たるんだぞ! 出来るのか?」
律「できる出来ないじゃねえ! やるんだよ!! 憂ちゃんの仇は、必ず仕留める!!」
その中心に、赤い機体を見つけて、唯の心は憎悪に染まった。
もう、出撃前の笑顔は、忘れている。
唯「あいつだ!! 憂の仇!!」
梓「やってやるです!!」
二人の親友を失った梓も、唯を止めようとはせず、自ら憎悪に身を委ねて突っ込んでいく。
律「畜生、あいつか!! 今日こそ引導を渡すぜ!!」
律も唯たちの雰囲気に飲まれているのか、熱くなっているのを見て、澪がそれを制した。
澪「律、落ち着け!! 周りもよく見るんだ!!」
律「あいつが諸悪の根源になって、みんながおかしくなってやがる!! あいつを頃したら、みんな落ち着くだろ!!」
澪「…分かったけど…ちゃんと連携して当たるんだぞ! 出来るのか?」
律「できる出来ないじゃねえ! やるんだよ!! 憂ちゃんの仇は、必ず仕留める!!」
355: 2010/11/10(水) 19:28:36.91 ID:R97B7Tgo
艦の近くにいた和の小隊は、4機の動きに付いていくことは出来なかった。
紬「和ちゃん、みんなが…」
和「分かっている! でも私たちはこれ以上艦を離れるわけには行かないわ!」
散発的に戦場を抜いてきた敵が、艦に取り付こうとするので、和たちは、その対処に追われていたのだ。
この作戦は、核ミサイルを保有し、爆破処理を行う陸戦隊を擁するラー・カイラムを沈められると終わりである。
さらに敵艦に対処する必要もあったため、艦隊を損耗させないよう氏守する必要があったのである。
紬「和ちゃん! 10時方向!」
和「掩護をお願い!」
和がビームライフルを放ち、また艦に取り付こうとした敵が爆散した。
艦隊は、徐々にアクシズに近づきつつあった。
紬「和ちゃん、みんなが…」
和「分かっている! でも私たちはこれ以上艦を離れるわけには行かないわ!」
散発的に戦場を抜いてきた敵が、艦に取り付こうとするので、和たちは、その対処に追われていたのだ。
この作戦は、核ミサイルを保有し、爆破処理を行う陸戦隊を擁するラー・カイラムを沈められると終わりである。
さらに敵艦に対処する必要もあったため、艦隊を損耗させないよう氏守する必要があったのである。
紬「和ちゃん! 10時方向!」
和「掩護をお願い!」
和がビームライフルを放ち、また艦に取り付こうとした敵が爆散した。
艦隊は、徐々にアクシズに近づきつつあった。
356: 2010/11/10(水) 19:29:05.69 ID:R97B7Tgo
律と唯が敵を追い散らし、梓が廻り込んでビームを撃つ。
その形を基本とし、時に役割とパターンを変え、赤いサイコミュ搭載機に当たっている。
澪は、サイコミュ搭載機に随伴していた通常型のギラ・ドーガを足止めしている。
澪「なんなんだよ…あいつら…恐い…。」
絡み合い、時にぶつかり合う敵味方は、お互いに深い憎悪の念に駆られているのが、澪には痛いほど分かった。
その憎悪の念は、4機のMSから滲み出し、拡散し、宙域を染め上げているような気がするのだ。
あまり近寄ると、澪もその毒気に当てられて、おかしくなってしまいそうな、そんな危うさを感じるのである。
だから、澪は援護しつつも、4機には近寄りがたいものを感じていた。
澪「あれが…律たちだって言うのかよ…そんなの認めたくない…」
目の前の敵も、同じことを感じているのか、味方機を避けているようにも見える。
澪「お前も…感じているのか?」
澪はそれを確認したい衝動に駆られたが、交戦中の敵機である。
その衝動は、抑えこむしか無かった。
その形を基本とし、時に役割とパターンを変え、赤いサイコミュ搭載機に当たっている。
澪は、サイコミュ搭載機に随伴していた通常型のギラ・ドーガを足止めしている。
澪「なんなんだよ…あいつら…恐い…。」
絡み合い、時にぶつかり合う敵味方は、お互いに深い憎悪の念に駆られているのが、澪には痛いほど分かった。
その憎悪の念は、4機のMSから滲み出し、拡散し、宙域を染め上げているような気がするのだ。
あまり近寄ると、澪もその毒気に当てられて、おかしくなってしまいそうな、そんな危うさを感じるのである。
だから、澪は援護しつつも、4機には近寄りがたいものを感じていた。
澪「あれが…律たちだって言うのかよ…そんなの認めたくない…」
目の前の敵も、同じことを感じているのか、味方機を避けているようにも見える。
澪「お前も…感じているのか?」
澪はそれを確認したい衝動に駆られたが、交戦中の敵機である。
その衝動は、抑えこむしか無かった。
357: 2010/11/10(水) 19:29:59.07 ID:R97B7Tgo
艦長は、作戦の焦点が近いことを、感じていた。
艦長「もうすぐ、最後の核ミサイルの出番だな!」
副長「アクシズが最終加速をするポイントにさしかかります!!」
レーダー手「艦長、右舷に熱源多数、敵MSと思われます!!」
艦長「直掩は!?」
レーダー手「数が足りなすぎます!! このままじゃラー・カイラムが…!!」
艦長「手はず通り、当艦の横っ腹を敵さんに見せつけてやれ!! ラー・カイラムの盾になってやる!!」
操舵手「了解!!」
艦長「対空砲火、メガ粒子砲、敵機を撃ち落せ!! 簡単に、当艦を沈めるんじゃないぞ!!」
砲手「了解です!!」
艦長「もうすぐ、最後の核ミサイルの出番だな!」
副長「アクシズが最終加速をするポイントにさしかかります!!」
レーダー手「艦長、右舷に熱源多数、敵MSと思われます!!」
艦長「直掩は!?」
レーダー手「数が足りなすぎます!! このままじゃラー・カイラムが…!!」
艦長「手はず通り、当艦の横っ腹を敵さんに見せつけてやれ!! ラー・カイラムの盾になってやる!!」
操舵手「了解!!」
艦長「対空砲火、メガ粒子砲、敵機を撃ち落せ!! 簡単に、当艦を沈めるんじゃないぞ!!」
砲手「了解です!!」
358: 2010/11/10(水) 19:30:30.64 ID:R97B7Tgo
ラー・チャターの右側面が、ラー・カイラムを敵から覆い隠したその時、艦内に大きな衝撃が走った。
副長「隔壁閉鎖! 消火作業急げ!!」
艦長「よっしゃ! ちゃんと盾になっているじゃないか、当艦は!!」
操舵手「操舵手の腕がいいんですよ!!」
艦長「ラー・カイラムが核ミサイルをアクシズにぶち込むまで、持ちこたえろよ!!」
砲手「1機落としました!!」
艦長「全部落としてから報告しろ!!」
砲手「了解!!」
通信手「ラー・カイラムが、核ミサイル発射!!」
艦長「おし!! アクシズがバラバラになるまで、持たせろよ!!」
また、艦内に衝撃が響いた。
しかしクルーは、それを気にも止めず、作業に没頭している。
副長「隔壁閉鎖! 消火作業急げ!!」
艦長「よっしゃ! ちゃんと盾になっているじゃないか、当艦は!!」
操舵手「操舵手の腕がいいんですよ!!」
艦長「ラー・カイラムが核ミサイルをアクシズにぶち込むまで、持ちこたえろよ!!」
砲手「1機落としました!!」
艦長「全部落としてから報告しろ!!」
砲手「了解!!」
通信手「ラー・カイラムが、核ミサイル発射!!」
艦長「おし!! アクシズがバラバラになるまで、持たせろよ!!」
また、艦内に衝撃が響いた。
しかしクルーは、それを気にも止めず、作業に没頭している。
359: 2010/11/10(水) 19:30:59.63 ID:R97B7Tgo
和は、ラー・カイラムをかばうように進路変更をした母艦を見て、目を疑った。
和「何をする気なんですか!? 艦長!!」
ラー・チャターに、火線が集中する。
紬「ラー・カイラムの…盾になって…」
和「嫌ァアアア!! ムギ!! ムギ!!」
紬「分かったわ!!」
和は、その様子に取り乱して的確な指示が出来ず、紬の名前を叫けび続けるだけだった。
しかし紬には、和のしたいことが、言いたいことがハッキリと分かっていた。
紬「艦に取り付く敵を、排除するわ!!」
紬は散弾で牽制し、和と共に敵機の群れに突っ込んでいった。
しかし敵が多く、2機は連携出来ずに分断された。
和「何をする気なんですか!? 艦長!!」
ラー・チャターに、火線が集中する。
紬「ラー・カイラムの…盾になって…」
和「嫌ァアアア!! ムギ!! ムギ!!」
紬「分かったわ!!」
和は、その様子に取り乱して的確な指示が出来ず、紬の名前を叫けび続けるだけだった。
しかし紬には、和のしたいことが、言いたいことがハッキリと分かっていた。
紬「艦に取り付く敵を、排除するわ!!」
紬は散弾で牽制し、和と共に敵機の群れに突っ込んでいった。
しかし敵が多く、2機は連携出来ずに分断された。
360: 2010/11/10(水) 19:31:35.31 ID:R97B7Tgo
旗艦を狙っていた信代は、クラップ級の一隻が盾になっているのを見て、舌打ちをした。
信代「チッ、そこまでして旗艦を守りたいってのかい!」
信代は、回避機動をとりながらランゲ・ブルーノ砲を構えて、言い放った。
信代「じゃああんたから沈めてやるよ!!」
ランゲ・ブルーノ砲から発射された200ミリ対装甲用榴弾は、大きすぎる標的に、次々に飲み込まれ、閃光にかわっていく。
しかし、信代が3発目を打ち込もうとしたとき、1機のジェガンが絡みついてきた。
信代「直掩か!?」
信代は、また舌打ちをして、敵機とドッグファイトにもつれ込んだ。
信代「小賢しいね!!」
ランゲ・ブルーノ砲を右のマニュピレーターに保持させたまま、シールドに装備されていたシュツルムファウストを発射する。
命中。
足をもがれた敵が怯むことなくサーベルを発振し、さらに接近する。
信代「チッ、そこまでして旗艦を守りたいってのかい!」
信代は、回避機動をとりながらランゲ・ブルーノ砲を構えて、言い放った。
信代「じゃああんたから沈めてやるよ!!」
ランゲ・ブルーノ砲から発射された200ミリ対装甲用榴弾は、大きすぎる標的に、次々に飲み込まれ、閃光にかわっていく。
しかし、信代が3発目を打ち込もうとしたとき、1機のジェガンが絡みついてきた。
信代「直掩か!?」
信代は、また舌打ちをして、敵機とドッグファイトにもつれ込んだ。
信代「小賢しいね!!」
ランゲ・ブルーノ砲を右のマニュピレーターに保持させたまま、シールドに装備されていたシュツルムファウストを発射する。
命中。
足をもがれた敵が怯むことなくサーベルを発振し、さらに接近する。
361: 2010/11/10(水) 19:32:03.36 ID:R97B7Tgo
和は敵の群れの中に入り、長距離砲を持った敵が、艦に大経口の実体弾を撃ち込むのを見て、頭に血が上った。
和「何よ…やめてよ…やめなさいよっ!!」
敵が多すぎ、紬も他の機体と交戦状態である。
和は得意のチーム戦ではなく、単機で交戦せざるを得なかった。
それが、和に冷静さを取り戻させた。
だが、焦る気持ちは機動を単調にさせる。
和「…敵は長距離砲だから、小回りは効かないはず…」
ビームライフルを連射して、一気に距離を詰める。
衝撃。
敵の撃ったシュツルムファウストで、左足が無くなった。
和「アンタなんかに、私の大事な人を連れて行かせるもんですか!!」
和のジェガンは損傷にも構わずにビームサーベルを発振し、敵にそのまま突っ込んだ。
和「何よ…やめてよ…やめなさいよっ!!」
敵が多すぎ、紬も他の機体と交戦状態である。
和は得意のチーム戦ではなく、単機で交戦せざるを得なかった。
それが、和に冷静さを取り戻させた。
だが、焦る気持ちは機動を単調にさせる。
和「…敵は長距離砲だから、小回りは効かないはず…」
ビームライフルを連射して、一気に距離を詰める。
衝撃。
敵の撃ったシュツルムファウストで、左足が無くなった。
和「アンタなんかに、私の大事な人を連れて行かせるもんですか!!」
和のジェガンは損傷にも構わずにビームサーベルを発振し、敵にそのまま突っ込んだ。
362: 2010/11/10(水) 19:32:32.38 ID:R97B7Tgo
信代「艦も艦なら、艦載機も艦載機だね! そろって氏ににきやがる!!」
信代は、そのMSのパイロットの度胸をすこぶる気に入った。
信代「でもそう言うの、嫌いじゃないんだな…いい度胸だ!! あたしの命、くれてやるよ!!」
信代は、覚悟を決めて、ランゲ・ブルーノ砲を構え直した。
信代は、そのMSのパイロットの度胸をすこぶる気に入った。
信代「でもそう言うの、嫌いじゃないんだな…いい度胸だ!! あたしの命、くれてやるよ!!」
信代は、覚悟を決めて、ランゲ・ブルーノ砲を構え直した。
363: 2010/11/10(水) 19:33:00.39 ID:R97B7Tgo
和「艦長は、私が守る!!」
貫いた。そう思ったとき、機体の左側に、短い、強烈な振動を何発も感じた。
後ろを振り返ると、艦に幾つもの弾着の光が見えた。
敵は、はじめから艦を目標にしていたのである。
和「…しまった!!」
もう、艦はボロボロだ。
爆発の光がそこここから生まれ出ている。
脱出しなければ、クルーは…艦長は…。
貫いた。そう思ったとき、機体の左側に、短い、強烈な振動を何発も感じた。
後ろを振り返ると、艦に幾つもの弾着の光が見えた。
敵は、はじめから艦を目標にしていたのである。
和「…しまった!!」
もう、艦はボロボロだ。
爆発の光がそこここから生まれ出ている。
脱出しなければ、クルーは…艦長は…。
364: 2010/11/10(水) 19:33:28.89 ID:R97B7Tgo
和は、艦長のもとに飛んできたかった。
しかし、目の前にはまだ数機のギラ・ドーガが紬の機体と交戦中だった。
他の艦隊直掩もまだ交戦中だ。
和が紬の掩護をしようと前進をかけたとき、紬の通信が彼女の耳を打った。
紬「艦長さんのところに、行ってあげて!!」
和「でも…まだ敵が…」
紬「ここは私が引き受けるわ! 早く!!」
和「でも、単機じゃ…」
紬「行け!!」
紬の強い言葉を聞いて、和は迷わずラー・チャターの艦橋部に取り付き、接触回線を開いていた。
しかし、目の前にはまだ数機のギラ・ドーガが紬の機体と交戦中だった。
他の艦隊直掩もまだ交戦中だ。
和が紬の掩護をしようと前進をかけたとき、紬の通信が彼女の耳を打った。
紬「艦長さんのところに、行ってあげて!!」
和「でも…まだ敵が…」
紬「ここは私が引き受けるわ! 早く!!」
和「でも、単機じゃ…」
紬「行け!!」
紬の強い言葉を聞いて、和は迷わずラー・チャターの艦橋部に取り付き、接触回線を開いていた。
365: 2010/11/10(水) 19:33:58.46 ID:R97B7Tgo
戦闘ブリッジ内に、和の声が響いた。
和「艦長、脱出してください!! 艦はもう…!!」
艦長「まだだ! アクシズが分割するのを見るまでは…」
その時、正面に3つの大きな火球が観測できた。
副長「核ミサイルが…阻止されたのか…?」
次の瞬間、アクシズ付近で大きな爆発が起こった。
副長「いや、一発はアクシズへ…」
それを見て、艦長が落ち着いた声で命令した。
艦長「一発じゃ足りんかったな…当艦は、引き続きアクシズに接舷するラー・カイラムを、身を呈して掩護する。」
和「艦長!! もう無理です!! 艦はその役目を果たしました!! 脱出してください!! お願いします!! 生きて…」
和「艦長、脱出してください!! 艦はもう…!!」
艦長「まだだ! アクシズが分割するのを見るまでは…」
その時、正面に3つの大きな火球が観測できた。
副長「核ミサイルが…阻止されたのか…?」
次の瞬間、アクシズ付近で大きな爆発が起こった。
副長「いや、一発はアクシズへ…」
それを見て、艦長が落ち着いた声で命令した。
艦長「一発じゃ足りんかったな…当艦は、引き続きアクシズに接舷するラー・カイラムを、身を呈して掩護する。」
和「艦長!! もう無理です!! 艦はその役目を果たしました!! 脱出してください!! お願いします!! 生きて…」
366: 2010/11/10(水) 19:34:29.57 ID:R97B7Tgo
和の絶叫に近い懇願が戦闘ブリッジ内に飽和しているのを見かねて、副長が艦長に目配せをした。
艦長「何だ、副長。」
副長「あなただけ通常ブリッジに上がってください。 うるさくてかないません。 ここは私らだけで何とかなりますから…」
艦長「…しかしな…」
艦長が周りを見る。
戦闘ブリッジをほったらかして、女に会いに行くというのは、どうも責任者として不適切な気がしたのである。
艦長「何だ、副長。」
副長「あなただけ通常ブリッジに上がってください。 うるさくてかないません。 ここは私らだけで何とかなりますから…」
艦長「…しかしな…」
艦長が周りを見る。
戦闘ブリッジをほったらかして、女に会いに行くというのは、どうも責任者として不適切な気がしたのである。
367: 2010/11/10(水) 19:34:58.84 ID:R97B7Tgo
通信手「艦長は、邪魔なんですよね…最後まで、イチャイチャしてるとこ見せつけたりして…上が空いてんですから二人だけでやってくださいよ。」
レーダー手「女の声は、監視機器とレーダーに響きますんでね、黙らせたいんですけど、我々じゃ役不足ですな。」
砲手「あーあ、我々は、自分の女も黙らせられない男に付き合って氏ぬんですか?」
操舵手「早く行かないと、ラー・カイラムを敵に晒しちゃいますよ? 分かったら、痴話喧嘩は上でお願いします。」
副長「…最期の時くらい、静かに迎えさせちゃくれませんかね。 みんな考えたいこともあるんです。 うるさいのは、ゴメンですよ。」
艦長「すまない、諸君。」
艦長は、そう言い終わるやいなや、通常ブリッジに上がっていった。
レーダー手「女の声は、監視機器とレーダーに響きますんでね、黙らせたいんですけど、我々じゃ役不足ですな。」
砲手「あーあ、我々は、自分の女も黙らせられない男に付き合って氏ぬんですか?」
操舵手「早く行かないと、ラー・カイラムを敵に晒しちゃいますよ? 分かったら、痴話喧嘩は上でお願いします。」
副長「…最期の時くらい、静かに迎えさせちゃくれませんかね。 みんな考えたいこともあるんです。 うるさいのは、ゴメンですよ。」
艦長「すまない、諸君。」
艦長は、そう言い終わるやいなや、通常ブリッジに上がっていった。
368: 2010/11/10(水) 19:35:30.24 ID:R97B7Tgo
紬は、単機で4機2個小隊を相手にしていた。
だが、この状況にもかかわらず、不思議なほど心は落ち着いていた。
紬「フフフ…人の為に命を掛けるの、夢だったの。」
冷静に敵機を見ると、弱い部分が見えてくる。
数を頼みにしている敵だった。
目の前の敵をいなして、弱い敵機に向かっていく。
紬「チームワークが、なっていないわね!」
数を頼みに押してくるのは、各人の役割が明確でないからだ。
チーム訓練を重ねてきた紬には、それが手に取るように分かった。
紬「落ちなさい!!」
3射目で、弱い敵機をビームが貫いた。
そうすると、他の敵機も目に見えて動揺を始めた。
躊躇せず、突っ込んでいく。
紬「和ちゃんと、艦長さんの最後のひととき、邪魔はさせない!!」
だが、この状況にもかかわらず、不思議なほど心は落ち着いていた。
紬「フフフ…人の為に命を掛けるの、夢だったの。」
冷静に敵機を見ると、弱い部分が見えてくる。
数を頼みにしている敵だった。
目の前の敵をいなして、弱い敵機に向かっていく。
紬「チームワークが、なっていないわね!」
数を頼みに押してくるのは、各人の役割が明確でないからだ。
チーム訓練を重ねてきた紬には、それが手に取るように分かった。
紬「落ちなさい!!」
3射目で、弱い敵機をビームが貫いた。
そうすると、他の敵機も目に見えて動揺を始めた。
躊躇せず、突っ込んでいく。
紬「和ちゃんと、艦長さんの最後のひととき、邪魔はさせない!!」
369: 2010/11/10(水) 19:35:58.97 ID:R97B7Tgo
また、弱い部分を見つけた。
ツノ付きの機体だった。
紬「指揮官が、怖がってちゃ終わりよね!!」
機体をまっすぐ突っ込ませるが、敵を捉えたジェガンはオートで回避機動をとりながら突進する。
敵のうろたえ弾が装甲をかすめたが、ビームマシンガンの低出力ビームはビームコーティングに弾かれて装甲板を焦がしながら霧散していった。
紬「もらった!!」
敵を貫くと、警報音がコックピット内に響いた。
2機の敵が、並んで接近してくる。
衝撃が走り、シールドが吹き飛んでいた。
紬「シールドなんか、要らないわよ!! 軽くなって、いい感じだわ!!」
ダミーを放出し、一旦後退をかける。
ツノ付きの機体だった。
紬「指揮官が、怖がってちゃ終わりよね!!」
機体をまっすぐ突っ込ませるが、敵を捉えたジェガンはオートで回避機動をとりながら突進する。
敵のうろたえ弾が装甲をかすめたが、ビームマシンガンの低出力ビームはビームコーティングに弾かれて装甲板を焦がしながら霧散していった。
紬「もらった!!」
敵を貫くと、警報音がコックピット内に響いた。
2機の敵が、並んで接近してくる。
衝撃が走り、シールドが吹き飛んでいた。
紬「シールドなんか、要らないわよ!! 軽くなって、いい感じだわ!!」
ダミーを放出し、一旦後退をかける。
370: 2010/11/10(水) 19:36:27.55 ID:R97B7Tgo
敵は、ようやく紬に連携して当たることを思いついたらしい。
2機が分かれて、紬を挟みこんでくる。
紬「…まだまだ…」
敵を振り払うように回避機動をとりながら、隙を窺う。
Gが、体にのしかかる。
アーム・レイカーを操作すると、それに答えるように体が上下左右に、暴力的に揺さぶられる。
被弾の衝撃も加わり、紬の背骨がミシミシッ、と軋んだ。
1機、ハッキリと敵を捉えた。
反射的に右人差し指に力を込めると、次の瞬間、その機体がビームの直撃ではじけ飛んでいた。
残り1機。
そう思って周りを確認すると、さらに2機1個小隊が紬の攻撃に回ってきていた。
紬「ウフフ…私ったら、モテモテね…」
紬「でも私、女の子同士にしか、興味ないのよね!!」
弱い部分を探してみた。
見つからないな、と思った。
2機が分かれて、紬を挟みこんでくる。
紬「…まだまだ…」
敵を振り払うように回避機動をとりながら、隙を窺う。
Gが、体にのしかかる。
アーム・レイカーを操作すると、それに答えるように体が上下左右に、暴力的に揺さぶられる。
被弾の衝撃も加わり、紬の背骨がミシミシッ、と軋んだ。
1機、ハッキリと敵を捉えた。
反射的に右人差し指に力を込めると、次の瞬間、その機体がビームの直撃ではじけ飛んでいた。
残り1機。
そう思って周りを確認すると、さらに2機1個小隊が紬の攻撃に回ってきていた。
紬「ウフフ…私ったら、モテモテね…」
紬「でも私、女の子同士にしか、興味ないのよね!!」
弱い部分を探してみた。
見つからないな、と思った。
371: 2010/11/10(水) 19:36:58.50 ID:R97B7Tgo
艦長が通常ブリッジに上がると、艦橋部に取り付いたジェガンのコックピットハッチが開いて、和の姿が確認できた。
そのまま、二重になっているブリッジのサイドハッチから和が艦内に入り込んで、艦長の胸に飛び込んだ。
見つめ合うと、すぐに二人はヘルメットをかなぐり捨てた。
和「あなた!!」
艦長「和、さよならだ。 ジェガンに戻れ。 ラー・カイラムの掩護をしろ!」
和「嫌よ!!」
艦内に、衝撃が走った。
かなり大きい。
そのまま、二重になっているブリッジのサイドハッチから和が艦内に入り込んで、艦長の胸に飛び込んだ。
見つめ合うと、すぐに二人はヘルメットをかなぐり捨てた。
和「あなた!!」
艦長「和、さよならだ。 ジェガンに戻れ。 ラー・カイラムの掩護をしろ!」
和「嫌よ!!」
艦内に、衝撃が走った。
かなり大きい。
372: 2010/11/10(水) 19:37:26.28 ID:R97B7Tgo
艦長「もう艦が持たん! 艦長命令だ! 出ろ!!」
和「嫌だったら、嫌なの!!」
艦長「そんなに氏にたいのか!!」
和「あなたを失うくらいなら、氏んだほうがマシよ!!」
艦長「このわからず屋め!! 君がそんなにアホだとは思わなかったぞ!!」
涙に濡れた和の顔が、フッ、と笑顔を作った。
和「私、あなたの言う事なんか、まともに聞いたこと、あったかしら?」
それにつられて、艦長の顔も、笑顔になった。
艦長「そういえば、無かったな。」
一瞬、見つめ合った後、艦長が和を抱きしめる手に力を込めて、言った。
艦長「仕方ない…もう、君を離さんからな! 地獄の底まで、私についてこい!」
和「…その言葉、プロポーズとして、受け取るわ。」
二人の唇が重なりあった瞬間、ラー・チャターは、和のジェガンもろとも爆散し、宇宙の塵になった。
和「嫌だったら、嫌なの!!」
艦長「そんなに氏にたいのか!!」
和「あなたを失うくらいなら、氏んだほうがマシよ!!」
艦長「このわからず屋め!! 君がそんなにアホだとは思わなかったぞ!!」
涙に濡れた和の顔が、フッ、と笑顔を作った。
和「私、あなたの言う事なんか、まともに聞いたこと、あったかしら?」
それにつられて、艦長の顔も、笑顔になった。
艦長「そういえば、無かったな。」
一瞬、見つめ合った後、艦長が和を抱きしめる手に力を込めて、言った。
艦長「仕方ない…もう、君を離さんからな! 地獄の底まで、私についてこい!」
和「…その言葉、プロポーズとして、受け取るわ。」
二人の唇が重なりあった瞬間、ラー・チャターは、和のジェガンもろとも爆散し、宇宙の塵になった。
373: 2010/11/10(水) 19:38:54.35 ID:R97B7Tgo
紬が覚悟を決めたとき、2機のギラ・ドーガがほぼ同時に爆散していた。
次の瞬間、味方を失った残り1機を反射的に紬のビームが捉えていた。
紬「味方!?」
ロンド・ベル兵1「ラー・チャターMS隊の方ですね! ラー・カイラムMS隊、第3小隊です! 掩護します!!」
紬「助かります!!」
ロンド・ベル兵2「ラー・チャターのお陰で、何とか作戦を続行出来ているんです。 感謝したいのはこちらですよ!!」
紬「来る!!」
さらにギラ・ドーガが2機、紬達に向かってきた。
敵の後ろを取ろうと旋回をすると、宇宙空間を照らす大きな火球がチラッ、と視界に入った。
ラー・チャターの、最期の光だった。
紬「和ちゃん…艦長さん…。」
戦闘中の紬はそれを目の端に捉え、二人の名前を呟くことしか出来なかった。
第十一話 律動! おわり
明日で俺の孤独との戦いもおわり。
次の瞬間、味方を失った残り1機を反射的に紬のビームが捉えていた。
紬「味方!?」
ロンド・ベル兵1「ラー・チャターMS隊の方ですね! ラー・カイラムMS隊、第3小隊です! 掩護します!!」
紬「助かります!!」
ロンド・ベル兵2「ラー・チャターのお陰で、何とか作戦を続行出来ているんです。 感謝したいのはこちらですよ!!」
紬「来る!!」
さらにギラ・ドーガが2機、紬達に向かってきた。
敵の後ろを取ろうと旋回をすると、宇宙空間を照らす大きな火球がチラッ、と視界に入った。
ラー・チャターの、最期の光だった。
紬「和ちゃん…艦長さん…。」
戦闘中の紬はそれを目の端に捉え、二人の名前を呟くことしか出来なかった。
第十一話 律動! おわり
明日で俺の孤独との戦いもおわり。
379: 2010/11/11(木) 19:19:57.35 ID:plShQ.Uo
最終話投下してCHERRYを一服するんだぜ。
最終話 宇宙の虹!
戦場は、アクシズのごく近くに移動してきていた。
ラー・カイラムが、アクシズに接舷しようとしているため、もう味方艦がすぐそこまで来ているのである。
しかし怒りに我を忘れた唯には、母艦ラー・チャターが艦隊の中に加わっていないことなど知る由もなかった。
唯「憂を、返せ!!」
赤い敵機にビームライフルを浴びせかける。
敵は、来るのが分かっていたかのようにそれをかわしている。
梓「食らいやがれです!!」
梓が畳み掛けるように散弾を放つ。
パチパチと弾子がいくらかその赤い機体を捉えたが、致命的なダメージは与えていない。
最終話 宇宙の虹!
戦場は、アクシズのごく近くに移動してきていた。
ラー・カイラムが、アクシズに接舷しようとしているため、もう味方艦がすぐそこまで来ているのである。
しかし怒りに我を忘れた唯には、母艦ラー・チャターが艦隊の中に加わっていないことなど知る由もなかった。
唯「憂を、返せ!!」
赤い敵機にビームライフルを浴びせかける。
敵は、来るのが分かっていたかのようにそれをかわしている。
梓「食らいやがれです!!」
梓が畳み掛けるように散弾を放つ。
パチパチと弾子がいくらかその赤い機体を捉えたが、致命的なダメージは与えていない。
380: 2010/11/11(木) 19:20:23.76 ID:plShQ.Uo
ファンネルが1基、梓のバズーカを捉えて爆散させた。
律「小癪なんだよ!!」
律がシールドに装備されたミサイルを発射する。
そのミサイルは梓のジェガンのごく近くで破裂し、散弾をまき散らし、残り1基のファンネルを破壊した。
律「もうファンネルはねえはずだ! こいつを仕留めちまおうぜ!! なぶり頃しだ!!」
唯「憂の苦しみ、味わわせてやるんだ!」
梓「そうです! やってやるです!!」
3つの凶暴な意志が、サイコミュ試験機を捉えようと絡みついた。
しかし、サイコミュ試験機のパイロットも、近付く敵の隙を窺うようにサーベルを発振した。
律「小癪なんだよ!!」
律がシールドに装備されたミサイルを発射する。
そのミサイルは梓のジェガンのごく近くで破裂し、散弾をまき散らし、残り1基のファンネルを破壊した。
律「もうファンネルはねえはずだ! こいつを仕留めちまおうぜ!! なぶり頃しだ!!」
唯「憂の苦しみ、味わわせてやるんだ!」
梓「そうです! やってやるです!!」
3つの凶暴な意志が、サイコミュ試験機を捉えようと絡みついた。
しかし、サイコミュ試験機のパイロットも、近付く敵の隙を窺うようにサーベルを発振した。
381: 2010/11/11(木) 19:21:21.53 ID:plShQ.Uo
いちごは、3機が自分を仕留めようとしているつもりなのを感じて、さらに憎悪を募らせた。
いちご「そんな腕で、私を仕留められると思っているの!?」
目の前の敵とつばぜり合いが起こると、接触回線を越しに相手の声がかすかに聞こえた。
「…の仇…!」
その言葉に、いちごの心が突沸する。
いちご「何が仇だ!! お前は私の大切な人を頃したくせに!!」
つばぜり合いをしていると、横から別のジェガンがいちごに斬りかかって来る。
いちご「いちいちやることが汚い!!」
横から来たジェガンに蹴りを入れると、正面のジェガンを弾き飛ばし、距離を取る。
すぐに、もう1機がライフルを撃ちこんでくる。
いちご「見え見えだ!」
ライフルを撃ち返すと、先程の2機がまた連携して挟みこんでくる。
いちご「また同じ手を!」
戦いは、3対1で、見事なまでの膠着状態だった。
いちご「そんな腕で、私を仕留められると思っているの!?」
目の前の敵とつばぜり合いが起こると、接触回線を越しに相手の声がかすかに聞こえた。
「…の仇…!」
その言葉に、いちごの心が突沸する。
いちご「何が仇だ!! お前は私の大切な人を頃したくせに!!」
つばぜり合いをしていると、横から別のジェガンがいちごに斬りかかって来る。
いちご「いちいちやることが汚い!!」
横から来たジェガンに蹴りを入れると、正面のジェガンを弾き飛ばし、距離を取る。
すぐに、もう1機がライフルを撃ちこんでくる。
いちご「見え見えだ!」
ライフルを撃ち返すと、先程の2機がまた連携して挟みこんでくる。
いちご「また同じ手を!」
戦いは、3対1で、見事なまでの膠着状態だった。
382: 2010/11/11(木) 19:22:13.88 ID:plShQ.Uo
ラー・チャターを失った紬は、悲しむ暇も与えられずにラー・カイラムの掩護を行っていた。
味方艦の掩護も受けて、アクシズに取り付いたところである。
艦の下に、かすかに陸戦隊のプチモビが坑道に入っていくのが見えた。
紬「この爆破で落下を防げればいいんだけど…」
すぐに、敵のギラ・ドーガ隊がラー・カイラム目掛けて突っ込んでくる。
紬「ラー・カイラムはやらせないわ!!」
紬は散弾を発射し、敵を怯ませてサーベルで斬った。
もう、バズーカは弾切れだ。
バズーカを放り投げて、ライフルに持ち替え、敵機とドッグファイトに持ち込む。
紬「当たって!!」
ライフルが、敵機の右腕を落として、後退させた。
紬「まだ来る!!」
戦いがいつまで続くのか、みんなは無事なのか、考えることは山ほどあったが、
紬はそのうちの一つとして、頭に思い浮かべることは出来なかった。
味方艦の掩護も受けて、アクシズに取り付いたところである。
艦の下に、かすかに陸戦隊のプチモビが坑道に入っていくのが見えた。
紬「この爆破で落下を防げればいいんだけど…」
すぐに、敵のギラ・ドーガ隊がラー・カイラム目掛けて突っ込んでくる。
紬「ラー・カイラムはやらせないわ!!」
紬は散弾を発射し、敵を怯ませてサーベルで斬った。
もう、バズーカは弾切れだ。
バズーカを放り投げて、ライフルに持ち替え、敵機とドッグファイトに持ち込む。
紬「当たって!!」
ライフルが、敵機の右腕を落として、後退させた。
紬「まだ来る!!」
戦いがいつまで続くのか、みんなは無事なのか、考えることは山ほどあったが、
紬はそのうちの一つとして、頭に思い浮かべることは出来なかった。
383: 2010/11/11(木) 19:22:44.44 ID:plShQ.Uo
律は、目の前の敵が無性に憎かった。
律「唯の、みんなの、あんな顔なんか、誰も見たくなかったんだ! てめえさえ、居なければよ…!」
憂を失った時の、唯の顔。
それを見ながら、何も出来なかった自分。
暗くなっていく、みんなの顔。
なにもできない、リーダー。
律「てめえだけは…私が…!」
目の前の、こいつを倒せば、そんな無力な自分とはオサラバ出来る。
たった一発でいい、敵機の真ん中にビームを当てることさえ出来れば、事は済むのだ。
だが、味方の掩護を得ても尚、それさえ出来ない、自分。
律「ちょこまか逃げ回りやがって! おとなしく当たれってんだよ!!」
放たれた律のビームは、宇宙空間を虚しく照らしただけだった。
律「唯の、みんなの、あんな顔なんか、誰も見たくなかったんだ! てめえさえ、居なければよ…!」
憂を失った時の、唯の顔。
それを見ながら、何も出来なかった自分。
暗くなっていく、みんなの顔。
なにもできない、リーダー。
律「てめえだけは…私が…!」
目の前の、こいつを倒せば、そんな無力な自分とはオサラバ出来る。
たった一発でいい、敵機の真ん中にビームを当てることさえ出来れば、事は済むのだ。
だが、味方の掩護を得ても尚、それさえ出来ない、自分。
律「ちょこまか逃げ回りやがって! おとなしく当たれってんだよ!!」
放たれた律のビームは、宇宙空間を虚しく照らしただけだった。
384: 2010/11/11(木) 19:23:13.90 ID:plShQ.Uo
澪は、敵と交戦しながら、ただ律たちに付いて回るだけだった。
こんな状態で、何故落とされないのか不思議なくらいだ。
澪「律…唯…梓…もうやめろよ! そんなに憎んで、どうするんだよ!!」
怨念をまき散らしながら絡み合う4機に、届かない声を浴びせ続ける。
澪は、はっきりとここで憎しみの連鎖を止めなければならない、と感じていた。
自分は、どんなに訓練を重ねても、結局怖がりだった。
いつも律の後ろに隠れて、掩護ばかりして、パイロットになりきれなかった。
でも、そんな自分だから、気がついたんだ。
こんなのは、おかしい。
澪「なんでそんなに人を憎めるんだよ! そんな気持ちになれるようなヤツらと、音楽やってたなんて、信じたくない! これは何かの間違いだろ!! 律!!」
こんな状態で、何故落とされないのか不思議なくらいだ。
澪「律…唯…梓…もうやめろよ! そんなに憎んで、どうするんだよ!!」
怨念をまき散らしながら絡み合う4機に、届かない声を浴びせ続ける。
澪は、はっきりとここで憎しみの連鎖を止めなければならない、と感じていた。
自分は、どんなに訓練を重ねても、結局怖がりだった。
いつも律の後ろに隠れて、掩護ばかりして、パイロットになりきれなかった。
でも、そんな自分だから、気がついたんだ。
こんなのは、おかしい。
澪「なんでそんなに人を憎めるんだよ! そんな気持ちになれるようなヤツらと、音楽やってたなんて、信じたくない! これは何かの間違いだろ!! 律!!」
385: 2010/11/11(木) 19:23:42.47 ID:plShQ.Uo
レシーバーに、反応はない。
雑音混じりに呪いの言葉と、激しい息遣いが伝わってくるだけだ。
澪「クソッ…私には、何も出来ないのか…!?」
このまま、憎み合いながら戦い続けていたら、広い宇宙全体が、この宙域のように憎悪で飽和してしまう。
憂が氏んで、唯がおかしくなって、純も失って、とうとう梓もおかしくなって、
その雰囲気に当てられて、律までどうにかなってしまったように…きっとそれは簡単に、人から人へ伝播するのだ。
そうはならないにしても、この激情を吸い込んだアクシズが地球に落ちたら、
核が無かったとしても、怨念が地球を飲み込んで取り返しの付かないことになってしまわないか。
澪は、そんな途方も無いことを考えて、絶望しそうになっていた。
雑音混じりに呪いの言葉と、激しい息遣いが伝わってくるだけだ。
澪「クソッ…私には、何も出来ないのか…!?」
このまま、憎み合いながら戦い続けていたら、広い宇宙全体が、この宙域のように憎悪で飽和してしまう。
憂が氏んで、唯がおかしくなって、純も失って、とうとう梓もおかしくなって、
その雰囲気に当てられて、律までどうにかなってしまったように…きっとそれは簡単に、人から人へ伝播するのだ。
そうはならないにしても、この激情を吸い込んだアクシズが地球に落ちたら、
核が無かったとしても、怨念が地球を飲み込んで取り返しの付かないことになってしまわないか。
澪は、そんな途方も無いことを考えて、絶望しそうになっていた。
386: 2010/11/11(木) 19:24:13.16 ID:plShQ.Uo
澪「律! 止めろ!! 私たちの任務は、仇討ちじゃないだろ!!」
返事がない。
もう、言葉も届かないのか。
澪は、目の前の敵にすがるしか、無かった。
やられたって構わない、そう思い、ギラ・ドーガに掴みかかって、接触回線を開く。
澪「おい、お前の仲間を止めてくれ! これはもう戦争ですらない!! ただの頃し合いじゃないか!!」
その瞬間、アクシズの前面に閃光が走り、澪たちは爆圧に吹き飛ばされていた。
澪「うわああっ!! 律!」
澪は、閃光の中に、4機を見失った。
返事がない。
もう、言葉も届かないのか。
澪は、目の前の敵にすがるしか、無かった。
やられたって構わない、そう思い、ギラ・ドーガに掴みかかって、接触回線を開く。
澪「おい、お前の仲間を止めてくれ! これはもう戦争ですらない!! ただの頃し合いじゃないか!!」
その瞬間、アクシズの前面に閃光が走り、澪たちは爆圧に吹き飛ばされていた。
澪「うわああっ!! 律!」
澪は、閃光の中に、4機を見失った。
387: 2010/11/11(木) 19:24:42.99 ID:plShQ.Uo
紬がアクシズ前面で起こった核爆発の閃光に見とれていると、ラー・カイラムから通信が入った。
「正面上、迎撃!!」
紬「え?」
それは、ラー・カイラムの副長の声だった。
紬が一瞬、動きを止めた隙に、味方機が宇宙空間に飛び出していく。
それが赤いMSにやられて、次々に五つの爆発の光に変わっていく。
紬にも、ビームが飛んできた。
紬「きゃっ!!」
アーム・レイカーを素早く倒しこんだ。
遅かった、と思ったが、ビームは紬の機体の横を通り過ぎていた。
ジェガンのコンピューターが、回避行動をサポートしてくれたのだった。
紬「憂ちゃんが…助けてくれたの…?」
見上げると、すでに赤い機体はいなくなっていた。
紬「艦を…守らないと…」
紬は恐怖を抑え込み、再び宇宙空間に浮かび出た。
辺りを見回すと、アクシズのノズルが止まっているのが目に入った。
紬「きっと…みんなも頑張っているのね!」
他のメンバーがどうなっているか分からない紬は、そうやって自分を励ますしか無かった。
「正面上、迎撃!!」
紬「え?」
それは、ラー・カイラムの副長の声だった。
紬が一瞬、動きを止めた隙に、味方機が宇宙空間に飛び出していく。
それが赤いMSにやられて、次々に五つの爆発の光に変わっていく。
紬にも、ビームが飛んできた。
紬「きゃっ!!」
アーム・レイカーを素早く倒しこんだ。
遅かった、と思ったが、ビームは紬の機体の横を通り過ぎていた。
ジェガンのコンピューターが、回避行動をサポートしてくれたのだった。
紬「憂ちゃんが…助けてくれたの…?」
見上げると、すでに赤い機体はいなくなっていた。
紬「艦を…守らないと…」
紬は恐怖を抑え込み、再び宇宙空間に浮かび出た。
辺りを見回すと、アクシズのノズルが止まっているのが目に入った。
紬「きっと…みんなも頑張っているのね!」
他のメンバーがどうなっているか分からない紬は、そうやって自分を励ますしか無かった。
388: 2010/11/11(木) 19:25:13.37 ID:plShQ.Uo
爆圧に煽られて、追い詰めていた敵を取り逃がしたと感じた律達は、さらに苛立ちを募らせていた。
律「アクシズ前部に核爆発だと!? 邪魔しやがって!!」
唯「態勢を立てなおして当たる! 憂の仇は、生きて返さないよ!! あずにゃん!! りっちゃん!!」
梓「はいです! フォーメーションDで当たりましょう!! こいつだけは…必ず!!」
律「おうよ!!」
この爆発は、低軌道で爆発させ、アクシズを減速させて大気圏で消滅させないようにすると共に、
地球を汚染させるためにルナ2から持ち込まれた核兵器の爆発だったのだ。
3人にとっては喜ぶべきことだったが、
彼女らは憎しみに当てられて、アクシズの落下を防ぐことが任務であることも忘れている。
唯「準備はいい!?」
梓「Eパック残量、標準斉射で3発分、カートリッジ、残り1個、まだまだやれます!!」
唯「あずにゃんのライフル斉射が止んだら、りっちゃんはあずにゃんのリロードカバーをお願い!!」
律「がってんだ!!」
唯「行くよ! アターック!!」
律「アクシズ前部に核爆発だと!? 邪魔しやがって!!」
唯「態勢を立てなおして当たる! 憂の仇は、生きて返さないよ!! あずにゃん!! りっちゃん!!」
梓「はいです! フォーメーションDで当たりましょう!! こいつだけは…必ず!!」
律「おうよ!!」
この爆発は、低軌道で爆発させ、アクシズを減速させて大気圏で消滅させないようにすると共に、
地球を汚染させるためにルナ2から持ち込まれた核兵器の爆発だったのだ。
3人にとっては喜ぶべきことだったが、
彼女らは憎しみに当てられて、アクシズの落下を防ぐことが任務であることも忘れている。
唯「準備はいい!?」
梓「Eパック残量、標準斉射で3発分、カートリッジ、残り1個、まだまだやれます!!」
唯「あずにゃんのライフル斉射が止んだら、りっちゃんはあずにゃんのリロードカバーをお願い!!」
律「がってんだ!!」
唯「行くよ! アターック!!」
389: 2010/11/11(木) 19:25:45.71 ID:plShQ.Uo
梓のライフル斉射が始まる。
回避機動を取っている敵に、唯が近づいていく。
リロードの終わった梓も、それに追随。
唯と敵の、格闘戦が始まった。
唯「憂を頃した、お前だけは…必ず倒すよ!!」
いちご「そんな知らない奴、どうだっていい! あなたは私の大切な立花さんを氏なせた! 許すわけには…行かない!!」
接触回線を通して、罵り合いが行われる。
その間にも、いちごには挟みこむように接近する敵機が感じられている。
いちご「こんな小癪な手しか使えないあなた方に、私は負けない!!」
姫子を頃したこのやり口に、いちごは怒りをまき散らしながら対処する。
いちご「見え見えだ! 味方のビームにやられて氏ね!!」
格闘戦中の唯の機体を、律の方に向けてやる。
背部の装甲を焦がして、律の放ったビームが散っていく。
回避機動を取っている敵に、唯が近づいていく。
リロードの終わった梓も、それに追随。
唯と敵の、格闘戦が始まった。
唯「憂を頃した、お前だけは…必ず倒すよ!!」
いちご「そんな知らない奴、どうだっていい! あなたは私の大切な立花さんを氏なせた! 許すわけには…行かない!!」
接触回線を通して、罵り合いが行われる。
その間にも、いちごには挟みこむように接近する敵機が感じられている。
いちご「こんな小癪な手しか使えないあなた方に、私は負けない!!」
姫子を頃したこのやり口に、いちごは怒りをまき散らしながら対処する。
いちご「見え見えだ! 味方のビームにやられて氏ね!!」
格闘戦中の唯の機体を、律の方に向けてやる。
背部の装甲を焦がして、律の放ったビームが散っていく。
390: 2010/11/11(木) 19:26:13.51 ID:plShQ.Uo
ビームを受けて怯んだ唯の機体を突き放し、梓の機体に急ぐ。
いちご「ちっ、ビームコーティングさえ無ければ…」
今度は梓の機体と、接近戦に入る。
梓「私だって…やるです!!」
いちご「遅い!」
斬りかかろうとしたとき、殺気を感じて飛び退る。
態勢を立てなおした唯と律の機体だった。
いちご「…ちょこまかと…!!」
いちごは、岩を利用して戦うために、アクシズの方に逃れていった。
岩を盾にすれば、一度に相手をしなければならない敵機を減らすことができる。
しかしいちごは、そうせざるを得ない状況を分析し、驚きを隠しきれなかった。
いちご「…この私が…後退しているの…?」
防衛目標であるアクシズを盾にする、という選択をしたいちごもまた、憎しみに我を忘れ、己の任務をないがしろにしていた。
いちご「ちっ、ビームコーティングさえ無ければ…」
今度は梓の機体と、接近戦に入る。
梓「私だって…やるです!!」
いちご「遅い!」
斬りかかろうとしたとき、殺気を感じて飛び退る。
態勢を立てなおした唯と律の機体だった。
いちご「…ちょこまかと…!!」
いちごは、岩を利用して戦うために、アクシズの方に逃れていった。
岩を盾にすれば、一度に相手をしなければならない敵機を減らすことができる。
しかしいちごは、そうせざるを得ない状況を分析し、驚きを隠しきれなかった。
いちご「…この私が…後退しているの…?」
防衛目標であるアクシズを盾にする、という選択をしたいちごもまた、憎しみに我を忘れ、己の任務をないがしろにしていた。
391: 2010/11/11(木) 19:26:43.99 ID:plShQ.Uo
潮は、驚いていた。
敵のジェガンから、接触回線で語りかけられたからだ。
しかもその通信内容は、潮が思っていたことと同じだった。
潮「私だって…こんなのおかしいと思うよ…あの娘がこんなに感情を剥き出しにして…」
潮は、いちごが心底恐ろしかった。
そして、止めなければいけないと思っていた。
もし姫子が、あんないちごを見たら、と思うと、気が気ではなかった。
潮「そうだよ…あんなのはただの頃し合いだ…止めなきゃ…」
潮は、怖かった。
相手は、ロンド・ベルの機体だ。今まで戦っていた相手なのだ。
話しかけるなんて、とんでもない事だった。
潮「…止めなきゃ…あたしの命に代えても…!」
恐る恐る、背中を向けたジェガンに近づいていった。
潮「…あたし…何やってんだろ…バカみたいだよな…ハハ…」
機体が、ジェガンに触れた。
もうどうにでもなれ、と潮は思った。
敵のジェガンから、接触回線で語りかけられたからだ。
しかもその通信内容は、潮が思っていたことと同じだった。
潮「私だって…こんなのおかしいと思うよ…あの娘がこんなに感情を剥き出しにして…」
潮は、いちごが心底恐ろしかった。
そして、止めなければいけないと思っていた。
もし姫子が、あんないちごを見たら、と思うと、気が気ではなかった。
潮「そうだよ…あんなのはただの頃し合いだ…止めなきゃ…」
潮は、怖かった。
相手は、ロンド・ベルの機体だ。今まで戦っていた相手なのだ。
話しかけるなんて、とんでもない事だった。
潮「…止めなきゃ…あたしの命に代えても…!」
恐る恐る、背中を向けたジェガンに近づいていった。
潮「…あたし…何やってんだろ…バカみたいだよな…ハハ…」
機体が、ジェガンに触れた。
もうどうにでもなれ、と潮は思った。
392: 2010/11/11(木) 19:27:14.92 ID:plShQ.Uo
アクシズ前面で起きた核爆発によって、律たちを見失っていた澪のレシーバーに、聞きなれない声が再生された。
潮「あたしだって…こんなのおかしいと思う!!」
振り返ると、さっきまで交戦していたギラ・ドーガだった。
澪「だったら…止めに行くしか無いだろ!! あんなの人間の姿じゃない!!」
潮「でもあの娘…大切な人を奴らに殺されたんだよ…だからああやって…」
澪「そんなの、あいつらだって同じだ!! 妹を、親友を…」
潮澪「…!!」
二人は、彼女たちが憎しみあう理由を、はっきりと確認した。
それは、なんとなく肌で感じていたことを、再認識しただけに過ぎなかった。
澪「とにかく、あいつらを止めないと・・・この広い宇宙が全部あんなふうになってしまうぞ!!」
潮「…分かった!」
二人は、戦闘の続くアクシズへ向かっていった。
この二人もまた、己の情動に突き動かされ、アクシズ落としとその阻止という、本来の任務を忘れ去っていた。
アクシズの周りには敵味方の艦が入り乱れており、爆発がそこここに発生している。
まるで、地獄絵図だ。
二人には、それが4機の生み出す怨念がさせていることのように、見えたのである。
潮「あたしだって…こんなのおかしいと思う!!」
振り返ると、さっきまで交戦していたギラ・ドーガだった。
澪「だったら…止めに行くしか無いだろ!! あんなの人間の姿じゃない!!」
潮「でもあの娘…大切な人を奴らに殺されたんだよ…だからああやって…」
澪「そんなの、あいつらだって同じだ!! 妹を、親友を…」
潮澪「…!!」
二人は、彼女たちが憎しみあう理由を、はっきりと確認した。
それは、なんとなく肌で感じていたことを、再認識しただけに過ぎなかった。
澪「とにかく、あいつらを止めないと・・・この広い宇宙が全部あんなふうになってしまうぞ!!」
潮「…分かった!」
二人は、戦闘の続くアクシズへ向かっていった。
この二人もまた、己の情動に突き動かされ、アクシズ落としとその阻止という、本来の任務を忘れ去っていた。
アクシズの周りには敵味方の艦が入り乱れており、爆発がそこここに発生している。
まるで、地獄絵図だ。
二人には、それが4機の生み出す怨念がさせていることのように、見えたのである。
393: 2010/11/11(木) 19:27:46.39 ID:plShQ.Uo
アクシズ表面を舐めるように飛びながら、突き出た岩々を利用して戦い始めた敵に、唯達は苦戦を強いられていた。
唯「正面の岩に隠れた!! あずにゃん廻り込んで!!」
梓「はいです!!」
律「私は上空から行くぞ!!」
岩の裏に機影を見つけて、梓は即座にライフルを発射した。
梓「食らいやがれです!!」
ビームは、吸い込まれるようにその機影に命中した。
しかし、手応えがない。
爆発が小さいのだ。
梓「…ダミー!?」
いちご「遅い!」
梓が敵を捉えた、対応しても、もう遅い。
機体に衝撃が走った。
左腕が、斬り落とされていた。
唯「正面の岩に隠れた!! あずにゃん廻り込んで!!」
梓「はいです!!」
律「私は上空から行くぞ!!」
岩の裏に機影を見つけて、梓は即座にライフルを発射した。
梓「食らいやがれです!!」
ビームは、吸い込まれるようにその機影に命中した。
しかし、手応えがない。
爆発が小さいのだ。
梓「…ダミー!?」
いちご「遅い!」
梓が敵を捉えた、対応しても、もう遅い。
機体に衝撃が走った。
左腕が、斬り落とされていた。
394: 2010/11/11(木) 19:28:16.57 ID:plShQ.Uo
梓「え…? 生きてる…?」
梓は、やられる、と思っていた。
何故左腕だけで済んだのか、分からなかったのである。
そんな混乱した梓に、敵が突っ込んでくる。
いちご「とどめだ!!」
律「梓!!」 唯「あずにゃん!!」
潮「若王子さん、もうやめて!!」
止めを刺そうとしたサイコミュ試験型を、
あろうことか味方のはずのギラ・ドーガが前からしがみついて制したのを見た律達は、軽い混乱を覚え、一瞬その動きを止めた。
律「何だってんだ…!?」
澪「3人も、もうやめるんだ!! 頭を冷やせ!!」
律「澪か!? うるせえぞ!! 邪魔すんな!!」
澪も、とっさに律の機体に自機を絡みつかせた。
澪「律!! 止めるんだ!! 人を憎んだって、何も始まらないじゃないか!!」
律「恐いんなら、すっこんでろ!! 」
唯「憂の仇ぃぃぃぃいいいいい!!」
梓は、やられる、と思っていた。
何故左腕だけで済んだのか、分からなかったのである。
そんな混乱した梓に、敵が突っ込んでくる。
いちご「とどめだ!!」
律「梓!!」 唯「あずにゃん!!」
潮「若王子さん、もうやめて!!」
止めを刺そうとしたサイコミュ試験型を、
あろうことか味方のはずのギラ・ドーガが前からしがみついて制したのを見た律達は、軽い混乱を覚え、一瞬その動きを止めた。
律「何だってんだ…!?」
澪「3人も、もうやめるんだ!! 頭を冷やせ!!」
律「澪か!? うるせえぞ!! 邪魔すんな!!」
澪も、とっさに律の機体に自機を絡みつかせた。
澪「律!! 止めるんだ!! 人を憎んだって、何も始まらないじゃないか!!」
律「恐いんなら、すっこんでろ!! 」
唯「憂の仇ぃぃぃぃいいいいい!!」
395: 2010/11/11(木) 19:28:46.38 ID:plShQ.Uo
澪にしがみつかれた律、損傷して混乱している梓を尻目に、唯の機体がギラ・ドーガに絡みつかれて動きがとれないサイコミュ試験型に突っ込んでいった。
あと一歩。
その時、アクシズがブルッと震え、そこから伸びた光の壁と、飛び散る岩が唯の行く手を阻んだ。
唯「うわあああっ!!」
澪「内部を爆破したんだ!! アクシズから離れろ!! 破片にやられるぞ!!」
律「ちっくしょう…あと一歩だったのに…!」
梓「はいです…唯先輩!!」
唯「…っ!!」
あと一歩。
その時、アクシズがブルッと震え、そこから伸びた光の壁と、飛び散る岩が唯の行く手を阻んだ。
唯「うわあああっ!!」
澪「内部を爆破したんだ!! アクシズから離れろ!! 破片にやられるぞ!!」
律「ちっくしょう…あと一歩だったのに…!」
梓「はいです…唯先輩!!」
唯「…っ!!」
396: 2010/11/11(木) 19:29:13.23 ID:plShQ.Uo
唯達が全力で後退をかけた時、爆発光の向こうでは、潮が必氏にいちごを押しとどめていた。
潮「若王子さん!! 後退しないと!!」
いちご「どうして邪魔をしたの!?」
潮「あんたがそんなんだったら、立花さんが悲しむと思ったからじゃない!! 憎しみに囚われたあんたなんか、立花さんは見たくないはずでしょ!?」
いちご「…立花さん!?」
潮「立花さんは、あなたが笑ったら、笑顔になった! でもあなたが辛そうなとき、いつも悲しそうだった! 今みたいなあなた見たら、どうなるのさ!!」
いちご「あいつらを倒したら、もとに…太田さん!!」
潮「…え?」
潮が振り返ると、MSより一回りほど大きなアクシズの破片が、彼女のギラ・ドーガにぶつかった。
そのまま、ギラ・ドーガは押しつぶされて爆発していった。
いちご「太田さん!!」
いちごは、それを見ながら、全速で後退をかけるしかない自己を激しく嫌悪した。
いちご「立花さんも…中島さんも…太田さんも…」
いちご「みんなみんな…いなくなってしまった…」
また、涙の雫がいちごの瞳から生み出されていた。
潮「若王子さん!! 後退しないと!!」
いちご「どうして邪魔をしたの!?」
潮「あんたがそんなんだったら、立花さんが悲しむと思ったからじゃない!! 憎しみに囚われたあんたなんか、立花さんは見たくないはずでしょ!?」
いちご「…立花さん!?」
潮「立花さんは、あなたが笑ったら、笑顔になった! でもあなたが辛そうなとき、いつも悲しそうだった! 今みたいなあなた見たら、どうなるのさ!!」
いちご「あいつらを倒したら、もとに…太田さん!!」
潮「…え?」
潮が振り返ると、MSより一回りほど大きなアクシズの破片が、彼女のギラ・ドーガにぶつかった。
そのまま、ギラ・ドーガは押しつぶされて爆発していった。
いちご「太田さん!!」
いちごは、それを見ながら、全速で後退をかけるしかない自己を激しく嫌悪した。
いちご「立花さんも…中島さんも…太田さんも…」
いちご「みんなみんな…いなくなってしまった…」
また、涙の雫がいちごの瞳から生み出されていた。
397: 2010/11/11(木) 19:29:44.32 ID:plShQ.Uo
ラー・カイラムがアクシズから離れるための掩護をしていた紬は、アクシズに入る光の亀裂に、目を奪われていた。
紬「…アクシズが…割れる…!」
最早、敵も味方も消耗しきって、戦闘も散発的なものになっていた。
その少なくなったMS群に仲間たちを見つけられず、紬は気が気ではなかった。
紬「みんなは…どこなの?」
アクシズを分断させた光の筋は、広がって帯になり、二つになったアクシズが、別々に分かれていく。
その、分かれた後ろ部分の動きに、紬は少し違和感を覚えた。
紬「片方…地球に落ちていってない…?」
紬「…アクシズが…割れる…!」
最早、敵も味方も消耗しきって、戦闘も散発的なものになっていた。
その少なくなったMS群に仲間たちを見つけられず、紬は気が気ではなかった。
紬「みんなは…どこなの?」
アクシズを分断させた光の筋は、広がって帯になり、二つになったアクシズが、別々に分かれていく。
その、分かれた後ろ部分の動きに、紬は少し違和感を覚えた。
紬「片方…地球に落ちていってない…?」
398: 2010/11/11(木) 19:30:13.13 ID:plShQ.Uo
紬が、異変に気づいた頃、
澪「おい…アクシズの後部…」
律「…へ?」
梓「地球との相対位置、速度…計算してみるです!」
梓がそう言うやいなや、片腕のない梓のジェガンの頭部、
ゴーグルのようなグレイズ・シールドが明滅し、その下にあるモノアイ・センサーが光を発して地球とアクシズを捕らえ、測距を始めた。
唯「…あれ見て!」
その時、唯はアクシズ後部に、一筋の光を見た。
澪「おい…アクシズの後部…」
律「…へ?」
梓「地球との相対位置、速度…計算してみるです!」
梓がそう言うやいなや、片腕のない梓のジェガンの頭部、
ゴーグルのようなグレイズ・シールドが明滅し、その下にあるモノアイ・センサーが光を発して地球とアクシズを捕らえ、測距を始めた。
唯「…あれ見て!」
その時、唯はアクシズ後部に、一筋の光を見た。
399: 2010/11/11(木) 19:30:43.66 ID:plShQ.Uo
ラー・カイラムに取り付いた紬は、地球に落ちる破片の後部から、放射状に七色の光が発しているのを見て、それに見とれていた。
紬「あの光は…なんなの?」
そして、アクシズに絡みつく、何条もの航跡。
紬「…MS…? 何が起こっているの?」
レシーバーに、通信が入る。
「生き残ったMSは、損傷機の回収作業に当たれ。」
紬「り…了解!」
大気の摩擦熱で赤熱するアクシズから発する光は、その輝きを増し続けている。
そこにMSの航跡が次々にとりついて、スラスター光の輝きも、その光に加わっていく。
その時、紬はMS隊がアクシズを押し返そうとしていることに、気がついた。
紬「…私もあそこに…行かなきゃ!」
紬はもう、何も考えなかった。
紬「あの光は…なんなの?」
そして、アクシズに絡みつく、何条もの航跡。
紬「…MS…? 何が起こっているの?」
レシーバーに、通信が入る。
「生き残ったMSは、損傷機の回収作業に当たれ。」
紬「り…了解!」
大気の摩擦熱で赤熱するアクシズから発する光は、その輝きを増し続けている。
そこにMSの航跡が次々にとりついて、スラスター光の輝きも、その光に加わっていく。
その時、紬はMS隊がアクシズを押し返そうとしていることに、気がついた。
紬「…私もあそこに…行かなきゃ!」
紬はもう、何も考えなかった。
400: 2010/11/11(木) 19:31:13.87 ID:plShQ.Uo
測距と計算を終え、MSを通常管制に切り替えようとした時、戦闘データの羅列が誤表示され、梓は、ようやく自分が何故氏ななかったのか、気がついた。
梓「憂が…私を助けた…?」
そこには、「コンピューターの判断により、緊急回避」という赤文字がビッシリと並んでいた。
その個数は憂の記憶が梓の命を助けた回数だったが、梓はそれを数えることが出来なかった。
見ない様にして、表示を切り替えた。
梓「…さっきも…?」
さっきも、敵に斬られる、と思ったが、片腕だけで済んだ。
頭の中には、憂の声が響き続けている。
憂『梓ちゃん、危なかったね。』
憂『もう、そんなんだから、お姉ちゃんを任せられないんだよ。』
梓「…私、憂のデータが無かったら…」
梓「…憂。」
梓の声は、虚しくコックピット内を揺らしただけだった。
梓「憂が…私を助けた…?」
そこには、「コンピューターの判断により、緊急回避」という赤文字がビッシリと並んでいた。
その個数は憂の記憶が梓の命を助けた回数だったが、梓はそれを数えることが出来なかった。
見ない様にして、表示を切り替えた。
梓「…さっきも…?」
さっきも、敵に斬られる、と思ったが、片腕だけで済んだ。
頭の中には、憂の声が響き続けている。
憂『梓ちゃん、危なかったね。』
憂『もう、そんなんだから、お姉ちゃんを任せられないんだよ。』
梓「…私、憂のデータが無かったら…」
梓「…憂。」
梓の声は、虚しくコックピット内を揺らしただけだった。
401: 2010/11/11(木) 19:31:43.51 ID:plShQ.Uo
唯たちも、MS隊がアクシズに取り付くのを見て、なすべきことに気がついた。
唯「私たちも、行かなくちゃ!!」
律「梓! アクシズの進路はどうなんだ!?」
憂のことを考えていた梓は、律の言葉に思考を中断させ、慌てて返答した。
梓「あとちょっと軌道が外に向けば、地球には落ちないはずです!!」
澪「よし、決まりだな!! 私たちも行くぞ!!」
4機は、武器を捨て、アクシズから発している光のなかに飛び込んでいった。
しかしそれは、彼女たちが忘れていた任務を思い出したからでは無かった。
彼女たちの心が、人としての部分が、その衝動を引き起こしたのである。
その衝動に、さっきまで心の中を占めていた怒りや憎しみは、完全に覆い隠されてしまったようだった。
唯「私たちも、行かなくちゃ!!」
律「梓! アクシズの進路はどうなんだ!?」
憂のことを考えていた梓は、律の言葉に思考を中断させ、慌てて返答した。
梓「あとちょっと軌道が外に向けば、地球には落ちないはずです!!」
澪「よし、決まりだな!! 私たちも行くぞ!!」
4機は、武器を捨て、アクシズから発している光のなかに飛び込んでいった。
しかしそれは、彼女たちが忘れていた任務を思い出したからでは無かった。
彼女たちの心が、人としての部分が、その衝動を引き起こしたのである。
その衝動に、さっきまで心の中を占めていた怒りや憎しみは、完全に覆い隠されてしまったようだった。
402: 2010/11/11(木) 19:32:46.34 ID:plShQ.Uo
いちごは、ヘルメットのバイザーを上げ、涙を拭ってアクシズの破片を見やった。
いちご「光が…あれは何…?」
いちご「MSが、アクシズの落下を阻止しようと…させない!!」
いちごは、MS隊を阻止すべく、サイコミュ試験型の機体を加速させ、エネルギーが残り少ないビームライフルを動けないMS達に向けた。
いちご「私を独りぼっちにして…貴様らみんな頃してやる!!」
「だめよ!」
いちご「…え?」
アーム・レイカーのトリガースイッチに力を込めようとした彼女の手を、確かな力を伴って、聞きなれた声が制した。
いちご「…立花さん…なの?」
いちご「光が…あれは何…?」
いちご「MSが、アクシズの落下を阻止しようと…させない!!」
いちごは、MS隊を阻止すべく、サイコミュ試験型の機体を加速させ、エネルギーが残り少ないビームライフルを動けないMS達に向けた。
いちご「私を独りぼっちにして…貴様らみんな頃してやる!!」
「だめよ!」
いちご「…え?」
アーム・レイカーのトリガースイッチに力を込めようとした彼女の手を、確かな力を伴って、聞きなれた声が制した。
いちご「…立花さん…なの?」
403: 2010/11/11(木) 19:33:15.07 ID:plShQ.Uo
コックピット内に姫子の優しい香りが漂った。
数秒の静寂の後、いちごはビームライフルを捨て、その乗機をアクシズに向けて加速させていた。
いちご「立花さん! 私…分かった!!」
いちご「あれが落ちたら、たくさんの命が…取り返しの付かないことが、起こるんでしょ!」
いちご「立花さん、言ってた! 人は、間違いを犯すけど、それに気づくことができて、繰り返さない!」
いちご「なら・・・犯す前に間違いに気がついたら・・・何としても、それを止めるまで!!」
いちごの機体がアクシズに取り付くのと、唯達がそうしたのは、ほぼ同時だった。
唯「…!」
律「こいつも…!」
梓「嘘でしょ…!」
澪「こんな事が…起こるんだな…。」
唯たちの中にあった憎悪の念は、徐々にその輪郭を、小さくしていった。
そして澪も、それを感じているようだった。
数秒の静寂の後、いちごはビームライフルを捨て、その乗機をアクシズに向けて加速させていた。
いちご「立花さん! 私…分かった!!」
いちご「あれが落ちたら、たくさんの命が…取り返しの付かないことが、起こるんでしょ!」
いちご「立花さん、言ってた! 人は、間違いを犯すけど、それに気づくことができて、繰り返さない!」
いちご「なら・・・犯す前に間違いに気がついたら・・・何としても、それを止めるまで!!」
いちごの機体がアクシズに取り付くのと、唯達がそうしたのは、ほぼ同時だった。
唯「…!」
律「こいつも…!」
梓「嘘でしょ…!」
澪「こんな事が…起こるんだな…。」
唯たちの中にあった憎悪の念は、徐々にその輪郭を、小さくしていった。
そして澪も、それを感じているようだった。
404: 2010/11/11(木) 19:33:43.76 ID:plShQ.Uo
紬「みんなが…ここにいるの…?」
損傷機回収の命令を無視し、飛んできた紬は、光のなかに入って唯たちの存在を知覚した。
それは、視覚的なものを伴わない感覚だったが、確かな実感となって、紬には受け止められた。
紬「みんなと一緒に、こいつを止める!!」
その紬のシャープな意志は、光を媒体として、唯たちにも瞬時に伝わった。
唯「え…ムギちゃん?」
梓「ムギ先輩?」
律「ムギなのか?」
澪「ムギ…?」
五人は、同時にジェガンのスロットルを全開にした。
損傷機回収の命令を無視し、飛んできた紬は、光のなかに入って唯たちの存在を知覚した。
それは、視覚的なものを伴わない感覚だったが、確かな実感となって、紬には受け止められた。
紬「みんなと一緒に、こいつを止める!!」
その紬のシャープな意志は、光を媒体として、唯たちにも瞬時に伝わった。
唯「え…ムギちゃん?」
梓「ムギ先輩?」
律「ムギなのか?」
澪「ムギ…?」
五人は、同時にジェガンのスロットルを全開にした。
405: 2010/11/11(木) 19:34:12.36 ID:plShQ.Uo
鈍足な機体を、ほぼ常にフルスロットルで使用していたため、
アクシズにとりついてすぐに、過熱気味だったサイコミュ試験機のエンジンがオーバーロードの悲鳴を上げ始めた。
いちご「まだまだ…!」
エンジンのリミッターを手動で解除し、さらに力を引き出す。
エンジンの熱は排出しきれず、ジリジリとコックピット内のいちごに襲いかかった。
いちご「!!」
その時、コックピット外周のサイコ・フレームが発光し始め、その光の奥に、いちごは姫子のイメージを捉えた。
いちご「立花さん…そんなところにいたんだ!!」
スロットルを固定し、シートから乗り出して、姫子に手を伸ばす。
だが、その手は虚しく空を切るだけだった。
アクシズにとりついてすぐに、過熱気味だったサイコミュ試験機のエンジンがオーバーロードの悲鳴を上げ始めた。
いちご「まだまだ…!」
エンジンのリミッターを手動で解除し、さらに力を引き出す。
エンジンの熱は排出しきれず、ジリジリとコックピット内のいちごに襲いかかった。
いちご「!!」
その時、コックピット外周のサイコ・フレームが発光し始め、その光の奥に、いちごは姫子のイメージを捉えた。
いちご「立花さん…そんなところにいたんだ!!」
スロットルを固定し、シートから乗り出して、姫子に手を伸ばす。
だが、その手は虚しく空を切るだけだった。
406: 2010/11/11(木) 19:34:43.93 ID:plShQ.Uo
いちご「私…寂しかった! ずっと…逢いたかった!!」
いちご「私、頑張ったよ! 間違いを、正しもした!!」
手は、溺れているように空を切り続ける。
姫子のイメージは、遠かった。
いちご「あなたに触れたい! 温もりが、欲しい!!」
涙でぼやける視界に捉えた、光の中の姫子も、こちらに手を差し伸べてくれた。
いちご「独りは、もう嫌なの!!」
いちご「私、頑張ったよ! 間違いを、正しもした!!」
手は、溺れているように空を切り続ける。
姫子のイメージは、遠かった。
いちご「あなたに触れたい! 温もりが、欲しい!!」
涙でぼやける視界に捉えた、光の中の姫子も、こちらに手を差し伸べてくれた。
いちご「独りは、もう嫌なの!!」
407: 2010/11/11(木) 19:35:18.05 ID:plShQ.Uo
もう少しで、手が届く。
その時、背中に強力な、瞬間的な圧力を感じ、いちごの体がリニアシートから放り出され、目の前に赤い飛沫が飛び散った。
いちご「あうっ!!」
焼けるような痛みがいちごを襲うが、目の前に姫子がいてくれるのだ。
彼女に抱き締めてもらえば、優しい言葉をかけてもらえば、そんな痛みも、つらいことも、色々なモヤモヤも、すべてその温もりが溶かしてくれる。
暑さにも、痛みにも、動かなくなってくる体にも構わず、いちごは姫子に手を伸ばし、今まで言えなかった、大事なことを話し始めた。
いちご「立花さん…あのね…私…ずっと言おうと思っていたの…」
いちご「いじめられているとき、助けてくれたこと…苦しい時、抱き締めてくれたこと…いつも側で、支えてくれたこと…色々、教えてくれたこと…」
いちご「…そして、こんな私を好きになってくれて…本当に…本当に…」
また、大きな衝撃を体が受け止めた。
それに押されたのか、今度はしっかりと姫子の手を握ることができた。
その時、背中に強力な、瞬間的な圧力を感じ、いちごの体がリニアシートから放り出され、目の前に赤い飛沫が飛び散った。
いちご「あうっ!!」
焼けるような痛みがいちごを襲うが、目の前に姫子がいてくれるのだ。
彼女に抱き締めてもらえば、優しい言葉をかけてもらえば、そんな痛みも、つらいことも、色々なモヤモヤも、すべてその温もりが溶かしてくれる。
暑さにも、痛みにも、動かなくなってくる体にも構わず、いちごは姫子に手を伸ばし、今まで言えなかった、大事なことを話し始めた。
いちご「立花さん…あのね…私…ずっと言おうと思っていたの…」
いちご「いじめられているとき、助けてくれたこと…苦しい時、抱き締めてくれたこと…いつも側で、支えてくれたこと…色々、教えてくれたこと…」
いちご「…そして、こんな私を好きになってくれて…本当に…本当に…」
また、大きな衝撃を体が受け止めた。
それに押されたのか、今度はしっかりと姫子の手を握ることができた。
408: 2010/11/11(木) 19:35:45.29 ID:plShQ.Uo
唯のジェガンの隣で、アクシズを押していたサイコミュ試験型のバックパックが赤熱しながら見る見るうちに膨張し、爆発とともに破裂した。
それを見た唯は、昔からの仲間を失ったように思った。
さっきまで、憎しみ合っていた、敵なのに。
唯「…ああ…。」
一瞬後、その機体は光り輝く七色の光をばらまきながら四散していった。
それは、サイコミュ試験型のコックピット周りの構造材として使われていたサイコ・フレームの輝きであったが、唯達にはそれが何なのか、分からない。
何故、MSがこんな光を出して爆発するのか、と思っただけである。
その光は装甲を突き抜け、唯の座っているコックピットまで流れて、一つの言葉となって彼女の心に食い込んで、消えた。
唯「…ありがとう…?」
律「…お前も、聞こえたか?」
梓「私も聞こえました…ありがとう、って。」
澪「私も聞こえた…。」
紬「ありがとうって…私にも…」
自分達に向けられた言葉ではない。
それは知っていたが、その言葉の温かみは、そんな事すらどうでもいいと5人に思わせた。
それを見た唯は、昔からの仲間を失ったように思った。
さっきまで、憎しみ合っていた、敵なのに。
唯「…ああ…。」
一瞬後、その機体は光り輝く七色の光をばらまきながら四散していった。
それは、サイコミュ試験型のコックピット周りの構造材として使われていたサイコ・フレームの輝きであったが、唯達にはそれが何なのか、分からない。
何故、MSがこんな光を出して爆発するのか、と思っただけである。
その光は装甲を突き抜け、唯の座っているコックピットまで流れて、一つの言葉となって彼女の心に食い込んで、消えた。
唯「…ありがとう…?」
律「…お前も、聞こえたか?」
梓「私も聞こえました…ありがとう、って。」
澪「私も聞こえた…。」
紬「ありがとうって…私にも…」
自分達に向けられた言葉ではない。
それは知っていたが、その言葉の温かみは、そんな事すらどうでもいいと5人に思わせた。
409: 2010/11/11(木) 19:36:13.82 ID:plShQ.Uo
五人が奇跡を確かめ合っているうちにも、次々にオーバーロードと摩擦熱で耐え切れなくなったMSが爆発したり、アクシズからはじき出されたりしていく。
「もういいんだ! みんなやめろ!!」
レシーバーが拾ったのは、中央で隕石を押し出しているMSからの通信だろう。
しかし、その通信を聞いても、爆発するMSを見ても、彼女たちはスロットルを戻さない。戻す気も、無かった。
「離れろ、…ガンダムの力は…」
その声を聞いて、5人が離れるものか、と思った瞬間、七色の波動がそのMSから伝わってきて、5機はアクシズから引き剥がされた。
「もういいんだ! みんなやめろ!!」
レシーバーが拾ったのは、中央で隕石を押し出しているMSからの通信だろう。
しかし、その通信を聞いても、爆発するMSを見ても、彼女たちはスロットルを戻さない。戻す気も、無かった。
「離れろ、…ガンダムの力は…」
その声を聞いて、5人が離れるものか、と思った瞬間、七色の波動がそのMSから伝わってきて、5機はアクシズから引き剥がされた。
410: 2010/11/11(木) 19:36:45.20 ID:plShQ.Uo
唯「うわあっ!!」
梓「何が起こったですか!?」
律「わっ…この力は…?」
澪「な…光…?」
紬「これは…なんなの…?」
何度もアクシズに取り付こうとするが、光に阻まれて、近付くことすらままならない。
その上、機体は徐々にアクシズから離されていく。
5機はアクシズから離れていき、全方位モニターの映像をCG合成映像から実視モードに切り替え、その光をじっと見つめることしか出来なかった。
光は、一瞬にしてアクシズの破片を包みこみ、帯になってもう一方の破片に伸びて行き、包みこみ、二つの隕石をつないでその輝きを増して行く。
梓「何が起こったですか!?」
律「わっ…この力は…?」
澪「な…光…?」
紬「これは…なんなの…?」
何度もアクシズに取り付こうとするが、光に阻まれて、近付くことすらままならない。
その上、機体は徐々にアクシズから離されていく。
5機はアクシズから離れていき、全方位モニターの映像をCG合成映像から実視モードに切り替え、その光をじっと見つめることしか出来なかった。
光は、一瞬にしてアクシズの破片を包みこみ、帯になってもう一方の破片に伸びて行き、包みこみ、二つの隕石をつないでその輝きを増して行く。
411: 2010/11/11(木) 19:37:12.94 ID:plShQ.Uo
唯「ねえ…あれ…何…?」
紬「オー…ロラ…かしら…?」
澪「…オーロラ?」
梓「アクシズが…地球から離れていくです!!」
律「ホントだ…動いてる…どうなってんだよ…?」
そして、さらに光の帯から一筋の光が離れ、地球をぐるりと一周した。
当のアクシズは、光の帯が示した一本の道に従って、ゆっくりと地球を離れていく。
その先には、太陽があったが、メンバーにはそんな事は分からない。
ただ、その美しい光に見とれているだけである。
紬「オー…ロラ…かしら…?」
澪「…オーロラ?」
梓「アクシズが…地球から離れていくです!!」
律「ホントだ…動いてる…どうなってんだよ…?」
そして、さらに光の帯から一筋の光が離れ、地球をぐるりと一周した。
当のアクシズは、光の帯が示した一本の道に従って、ゆっくりと地球を離れていく。
その先には、太陽があったが、メンバーにはそんな事は分からない。
ただ、その美しい光に見とれているだけである。
412: 2010/11/11(木) 19:37:46.15 ID:plShQ.Uo
もう映像では物足りなくなり、5人は次々にハッチを開け、宇宙空間に乗り出してその光を直に見つめていた。
唯「…きれいだね。」
梓「…はい。」
唯「ねえ、みんな…帰ったら、この光景を歌にしようよ!」
律「ああ…そうだな…」
梓「どんな歌詞か、メロディーか、想像も付きませんね。」
この三人の中に巣食っていた憎悪は、完全にこの光のなかに吸い込まれていったようだった。
それを感じた澪の瞳に涙が溢れる。
澪「私たち…また音楽がやれるんだな! 穏やかな気持ちで、楽しく! みんなの気持ちを、一つにして!」
紬は、5人が無事に集まることができた奇跡を噛みしめて、涙した。
紬「ええ…そうよ! みんな、一緒にね! ずっと、一緒に!」
光の帯は、徐々に薄くなり、アクシズとともに消えていった。
唯「…きれいだね。」
梓「…はい。」
唯「ねえ、みんな…帰ったら、この光景を歌にしようよ!」
律「ああ…そうだな…」
梓「どんな歌詞か、メロディーか、想像も付きませんね。」
この三人の中に巣食っていた憎悪は、完全にこの光のなかに吸い込まれていったようだった。
それを感じた澪の瞳に涙が溢れる。
澪「私たち…また音楽がやれるんだな! 穏やかな気持ちで、楽しく! みんなの気持ちを、一つにして!」
紬は、5人が無事に集まることができた奇跡を噛みしめて、涙した。
紬「ええ…そうよ! みんな、一緒にね! ずっと、一緒に!」
光の帯は、徐々に薄くなり、アクシズとともに消えていった。
413: 2010/11/11(木) 19:38:14.61 ID:plShQ.Uo
5機はそれを見届けてからジェガンに乗り込み、反転し、艦隊の方に飛んでいった。
唯「…ありがとう。」
梓「…ありがとうございます。」
律「…サンキュな。」
澪「…ありがとな。」
紬「…どうもありがとう。」
それは、誰に対して発せられた言葉でも無かったが、その言葉は、確実に、その光のなかに届いたように思われた。
彼女たちの背後でゆっくりと自転する地球には、まだうっすらと光の輪が掛かっていた。
最終話 宇宙の虹! おわり
唯「…ありがとう。」
梓「…ありがとうございます。」
律「…サンキュな。」
澪「…ありがとな。」
紬「…どうもありがとう。」
それは、誰に対して発せられた言葉でも無かったが、その言葉は、確実に、その光のなかに届いたように思われた。
彼女たちの背後でゆっくりと自転する地球には、まだうっすらと光の輪が掛かっていた。
最終話 宇宙の虹! おわり
414: 2010/11/11(木) 19:38:43.95 ID:plShQ.Uo
エピローグ その後!
艦に帰って、ムギちゃんから和ちゃんのことを聞いて、私たちは、いっぱい泣きました。
その後…
律「唯、終わったのか?」
唯「ごめん、まだなんだ~。」
梓「もう、貸してください! 伝票の整理もできないなんて、唯先輩は私がいないとホント駄目なんだから…」
唯「あずにゃんごめんね~。 それよりムギちゃんと澪ちゃんは?」
律「澪の方は、5時の便で入港するってさ。 ムギの方はわからねえな、業者同士の会議の進捗次第だろ?」
唯「今日はみんなでそろって演奏が出来るのかな・・・?」
梓「それが心配なら、伝票の整理手伝ってくださいよ! ムギ先輩が間に合っても、こっちが間に合わないとなんにも出来ませんから!」
唯「ごめんごめん。」
律「梓の言うとおりだな! しっかりやれよ、唯!」
梓「律先輩もですよ!!」
律「…はいはい…。」
艦に帰って、ムギちゃんから和ちゃんのことを聞いて、私たちは、いっぱい泣きました。
その後…
律「唯、終わったのか?」
唯「ごめん、まだなんだ~。」
梓「もう、貸してください! 伝票の整理もできないなんて、唯先輩は私がいないとホント駄目なんだから…」
唯「あずにゃんごめんね~。 それよりムギちゃんと澪ちゃんは?」
律「澪の方は、5時の便で入港するってさ。 ムギの方はわからねえな、業者同士の会議の進捗次第だろ?」
唯「今日はみんなでそろって演奏が出来るのかな・・・?」
梓「それが心配なら、伝票の整理手伝ってくださいよ! ムギ先輩が間に合っても、こっちが間に合わないとなんにも出来ませんから!」
唯「ごめんごめん。」
律「梓の言うとおりだな! しっかりやれよ、唯!」
梓「律先輩もですよ!!」
律「…はいはい…。」
415: 2010/11/11(木) 19:39:34.92 ID:plShQ.Uo
あの後、私たちは軍隊を辞め、ムギちゃんが作った宅配業の会社で働き始めました。
今日は週に一度、みんなが集まることが出来る日です。
澪「・・・ただいま。みんな揃っているのか?」
律「ムギがまだだ。」
澪「会議…どうなんだろうな。」
唯「ムギちゃんなら大丈夫だよ!」
律「だからそんな自信はどこから湧いてくるんだっつーの。」
梓「…先にスタジオ行って待ってますか?」
澪「ムギが来れなかったら、行くだけ無駄にならないか?」
唯「絶対大丈夫! ムギちゃんは必ず来るよ!!」
律「そうだな…じゃ、メールしておくわ!!」
澪「全く…無計画なんだからさ…じゃ、行くか。」
唯梓律「おおーーーーーーーっ!!」
今日は週に一度、みんなが集まることが出来る日です。
澪「・・・ただいま。みんな揃っているのか?」
律「ムギがまだだ。」
澪「会議…どうなんだろうな。」
唯「ムギちゃんなら大丈夫だよ!」
律「だからそんな自信はどこから湧いてくるんだっつーの。」
梓「…先にスタジオ行って待ってますか?」
澪「ムギが来れなかったら、行くだけ無駄にならないか?」
唯「絶対大丈夫! ムギちゃんは必ず来るよ!!」
律「そうだな…じゃ、メールしておくわ!!」
澪「全く…無計画なんだからさ…じゃ、行くか。」
唯梓律「おおーーーーーーーっ!!」
416: 2010/11/11(木) 19:40:10.61 ID:plShQ.Uo
ああは言ったものの、あれからあの光景を歌にすることは出来ていません。
でも、歌うとき、歌を作るときには、心のなかに、必ずあの光景が浮かんできます。
そして、ありがとうの言葉も…。
紬「…ごめん、待った?」
律「よし来た!! ムギ、早く位置に付け!!」
紬「準備よし!」フン
澪「じゃあ、いくか!」
梓「ですね!」
唯「ふわふわ時間!」
律「1・2・3!」
でも、歌うとき、歌を作るときには、心のなかに、必ずあの光景が浮かんできます。
そして、ありがとうの言葉も…。
紬「…ごめん、待った?」
律「よし来た!! ムギ、早く位置に付け!!」
紬「準備よし!」フン
澪「じゃあ、いくか!」
梓「ですね!」
唯「ふわふわ時間!」
律「1・2・3!」
417: 2010/11/11(木) 19:40:41.36 ID:plShQ.Uo
紬「…という夢を見ちゃったの~」
唯「ムギちゃんも、だんだん染まってきたね!」
紬「今度はUCって言うのも見たいわ~」
澪「そういえば唯は憂ちゃんにDVD没収されて無かったっけ?」
唯「憂は純ちゃんに犯されてからおとなしくなってね、それからガンダム見ても、何も言わなくなったんだ~。」
紬「(きっと憂ちゃんは、ガンダムに唯ちゃんを取られたと思って辛かったのね…)でも、憂ちゃんの前でガンダムはよしたほうがいいんじゃない?」
律「じゃあ今日は唯の家に泊まりこんで、ロマサガ3でもやろうぜ!!」
唯梓律澪紬「おおーーーーーっ!!」
唯「CCA!」 おしまい
唯「ムギちゃんも、だんだん染まってきたね!」
紬「今度はUCって言うのも見たいわ~」
澪「そういえば唯は憂ちゃんにDVD没収されて無かったっけ?」
唯「憂は純ちゃんに犯されてからおとなしくなってね、それからガンダム見ても、何も言わなくなったんだ~。」
紬「(きっと憂ちゃんは、ガンダムに唯ちゃんを取られたと思って辛かったのね…)でも、憂ちゃんの前でガンダムはよしたほうがいいんじゃない?」
律「じゃあ今日は唯の家に泊まりこんで、ロマサガ3でもやろうぜ!!」
唯梓律澪紬「おおーーーーーっ!!」
唯「CCA!」 おしまい
418: 2010/11/11(木) 20:08:32.28 ID:aXaBbCko
乙でした!
T==3 T==3 T==3
T==3 T==3 T==3
引用元: 唯「CCA!」
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