1: 2023/09/04(月) 11:24:18.59 ID:Rsm0W5Zy.net
〜ある日の配信〜
梢「では、本日の配信はここまでです。…こう、よね?…ぽちっ!…ぽちっ!機械さん?」ブチッ

2: 2023/09/04(月) 11:26:03.41 ID:Rsm0W5Zy.net
~翌日~


花帆「梢センパイ!昨日の配信もすっごくよかったです!」


花帆「あたしったら宿題するのも忘れて見入っちゃいました!」


梢「ふふっ。ありがとう、花帆さん」


梢「宿題は、配信の後でやっているのなら別にいいのだけれど…」


花帆「も、もちろんですよ~」アハハ~ッ


花帆「と、ところで梢センパイ!」


花帆「前から気になっていたんですけど、どうしても配信のときは『機械さん』と仲が良くないんですか?」



梢「急に何を言い出すのかしら…」

4: 2023/09/04(月) 11:27:59.26 ID:Rsm0W5Zy.net
花帆「だって、梢センパイって普段からスマホで作曲してるし、配信の予定を入れたり、概要を書いたり、With×MEETS AFTERの設定までしてくれてたり…」


花帆「それに普段は『機械さん』じゃなくて『スマホ』って呼んでるじゃないですか!」


梢「……花帆さんなら、その意図に気付いてくれると思っていたのだけれど、少し買いかぶっていたようね」

花帆「え…?」

梢「いい?花帆さん。これは『キャラ作り』よ」

花帆「はぇ?キャラ作り…?」

5: 2023/09/04(月) 11:29:46.14 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「そう。かつて偉大なスクールアイドルは言いました『あんたたち、ちゃんとキャラ作りしてるの?』と」

梢「私も雑誌のインタビューで読んだだけだけれどね」

梢「その発言をしたとされるスクールアイドルは、確かに完璧なキャラ作りをしていたわ」

梢「とても可愛らしい方でね、私もよく真似したものよ」

花帆「梢センパイが可愛いアイドルのマネですか!?」

梢「何が言いたいのかしら。当時まだ小学生だったのよ。子供の頃に流行りのアイドルの真似ぐらいするでしょう!?」

花帆「は、はい…。」

7: 2023/09/04(月) 11:32:45.81 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「…それから、私自身がスクールアイドルを目指すならどんなキャラを作るのが良いかずっと考えていたわ」

梢「キラキラかわいいスクールアイドルを演じてみたり、元気いっぱいのボーイッシュなんて方向性を試したこともあった」

花帆(かわいい系の梢センパイ…?ボーイッシュな梢センパイ…?)

梢「しかし、どれもしっくり来るものはなかった」

梢「そしてある時気付いたの。自分自身から離れすぎたキャラを作っても上手くいくはずがないと」

梢「かの偉大なスクールアイドルは、それはもう可愛らしいお方だったけれども、それは単に作っただけのキャラではなく、きっとご本人の素にも近いから魅力的だったのだと」

花帆「それは、一理あるかもしれません」

8: 2023/09/04(月) 11:35:32.66 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「では私の『素のキャラ』はどんなものかと考えてみることにしたの」

梢「答えは簡単だった」

梢「私は作詞や作曲ができて、衣装も作れて、バレエの経験を活かしてダンスの振り付けもできてしまう。スクールアイドルとしてはこれ以上ない逸材ね」

梢「さらには学校の成績も常にトップで、運動神経もよくて、皆から尊敬されていて、一切の隙がない」

花帆「すごい自信だ…」

10: 2023/09/04(月) 11:39:07.46 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「つまり私は『頼れるお姉さんキャラ』であるということに気付いたわけだけれども」

梢「このキャラだと気付いたのは、間もなく高校進学を控えた中学三年の冬のことだったわ」

花帆「あれ?偉大なアイドルのマネをしていた頃は小学生ですよね…?それからずっとキャラ作りしてたってことですか…?」

梢「ええ、そうよ。スクールアイドルとして頂点に立つためにね」

11: 2023/09/04(月) 11:42:04.67 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「だけれど、頼れるお姉さんはクラスメイトや後輩からの人気を得られても、スクールアイドルとしてはなかなか人気を得難いのではないかとも考えた」

花帆「たしかに、アイドルとして応援したい!って感じではないかも…?」

梢「では、このキャラで人気を取るにはどうすれば良いのか」

梢「ズバリ、『ギャップ』を見せること」

梢「かの偉大なスクールアイドルと同じグループには『かしこい、かわいい』というキャッチフレーズで知られた方がいてね」

梢「彼女は私と似た『頼れるお姉さん』だった。幼少期からバレエを習っているところも共通点かしら」

梢「本来『かっこいい』寄りであるはずの彼女が、なぜ『かわいい』をキャッチフレーズとできたのか」

梢「その理由は簡単で、『ポンコツ』だったからよ」

花帆「ポンコツ…?」

12: 2023/09/04(月) 11:44:11.93 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「かしこくて、かっこよくて、美人で、完璧な人でも、少し抜けているところを見せれば途端に可愛らしく思えてしまうのよね」

梢「一部ファンの間では『ポンコツかわいい』なんて言われ方をしていたぐらいだもの」

梢「もちろん私はそんな不敬なキャッチフレーズで呼んだことはないのだけれど!」

花帆「いつもはかっこいいお姉さんがたまに見せるポンコツな一面…。確かに心惹かれるものがあるかもしれません」

梢「…彼女のポンコツ部分はもしかしたらキャラ作りではなくて本当だったのかもしれないけれどね」

花帆「えっ」

13: 2023/09/04(月) 11:47:31.48 ID:Rsm0W5Zy.net
梢「長くなってしまったけれど、私がスマホを機械さんと呼び、苦手なフリをするのは『完璧なお姉さんキャラ』では人気が出にくいと思ったからで、ギャップを演出するためなのよ」

梢「これこそが、中学三年間全てをかけてたどり着いた、スクールアイドル乙宗梢というキャラクターよ」

梢「花帆さん、わかってもらえたかしら?」

14: 2023/09/04(月) 11:49:15.79 ID:Rsm0W5Zy.net
花帆「なるほど~!」

花帆「あたし、アイドルのキャラ作りって慈センパイみたいなキャピキャピしたのだけだと思ってました!」

梢「そうね。慈の場合は誰が見ても『作り物のかわいい』だものね」

梢「それで人気があるのだから慈のキャラ作りもすごいのだけれど」

花帆「はい!梢センパイもいろいろ考えながらキャラ作りとかしてたんだ~って考えたらやっぱり尊敬しちゃいます!」

15: 2023/09/04(月) 11:49:57.91 ID:Rsm0W5Zy.net
花帆「つまり、梢センパイが機械さんと仲が悪いのも、いつもホワイトボードに下手っぴな絵を書いているのも全部キャラ作りってことだったんですね!」

花帆「あまりにも常識外れだったのでちょっと怖かったんですけど、秘密がわかってスッキリしました!」

梢「あの、花帆さん?機械さんと仲が悪いのはそういうキャラ作りなのだけれど…」

梢「下手っぴな絵というのはなんのことかしら?」

花帆「ぁえ゙!?」

16: 2023/09/04(月) 11:50:06.14 ID:Rsm0W5Zy.net
おわり

17: 2023/09/04(月) 11:51:16.51 ID:GcXy8XEp.net
スリブ良かったよ

引用元: 梢「スクールアイドル乙宗梢というキャラクター」