ちなつ「今回皆さんに集まってもらったのは他でもありません」

ともこ「もういいの…私の問題だし…」

ちなつ「お姉ちゃんとあかねさんの問題です」

ともこ「だからちょっと……」

京子「続けてください、議長」

ちなつ「いつまでたってもあかねさんとの恋仲が進展しないことに私は焦燥感を覚えた次第です」

ともこ「……えっと」

ちなつ「なので、ごらく部の皆さんも集めて意見を聞こうというわけです」

結衣「分かりました議長、具体的にはこの会議、どのように進行しますか？」

ちなつ「そうですね……」

ちなつ「まずはいつものごらく部っぽい雰囲気に戻しましょうか」

京子「そうだねー」ｸﾞﾃﾞｰ

あかり「京子ちゃん、ここ人の家だよ……」

結衣「一気に空気が和んだな」

京子「とりあえず、あかねさんはともこさんのことどう思ってるんです？」

ともこ「そ、そういえば聞いたことないかも……」

ちなつ「じゃあ議論がどうとかいう以前の問題じゃん！明日聞いてくること！いい？」

ともこ「で、でも……」

結衣「じゃあこの場は解散で」

あかり「また明日集まりましょうか」

ともこ「ち、ちょっと！？」

ちなつ「はい、そんなわけで皆さんお疲れ様でしたー」

ともこ「人の話聞いてよー！！」

～翌日～

ちなつ「第二回、吉川家姉妹会議 with ごらく部ー」

あかり「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

結衣「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

京子「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

ともこ「と、とりあえず結果報告をするわね……」

ちなつ「手短にお願いね」

ともこ「今日、講義が終わった後にあかねさんに聞いてみたの……」

ともこ「そしたら、『私の友達よ、それ以上でもそれ以下でもないわ』だって……」

ともこ「これって脈無しなのかしら……」

京子（まあ、あかねさんはあかり一筋だからな……）

結衣（確実に脈は無いだろうな）

京子「と、とにかくホイッスルが鳴ったらそこで試合終了って安西先生言ってたし」

結衣「諦めたら、だ」

あかり「京子ちゃんが言いたいのは、『ぐずぐずしてるとチャンスも何も無くなっちゃうよ』ってことだよね？」

京子「そ、そうだよ！あかりもたまにはいいこと言うじゃん！」

あかり「えへへー♪」

結衣（絶対でまかせだ…）

ちなつ「要するに、お姉ちゃんもうちょっと危機感を持った方がいいよ」

ともこ「そ、そうね…大学生活なんてすぐ終わっちゃうもんね…」

京子「でも、ゆるゆりってサザエさ」

結衣「京子！シーッ！」

京子「ごめん」

ともこ「明日、あかねさんにアタックかけてみようかしら…図書館で勉強って言ってたから、話しかけてみる」

ちなつ「そうだね、じゃあ今回はこれでお開きということで」

あかり「お疲れ様でしたー」

京子「でしたー」

～翌日～

ちなつ「第三回ー」

あかり「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

結衣「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

京子「わー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

ともこ「略した！？」

ちなつ「じゃあまずは結果報告」

ともこ「そ、そうね……」

ともこ「図書館に行ったはいいけど、あかねさんいなかったわ」

ちなつ「なんだ…じゃあこの場は解さ」

ともこ「ちょっと！まだ話は終わってない！何かこう…印象的な子がいたの！！」

ちなつ「……はぁ」

ともこ「ショートカットで、ちょっと釣り目で、クールな感じの子で……あれは七森高校の制服だったかしらね」ﾎﾜｧ

京子「あかねさん一筋じゃなかったんですか」

ともこ「も、もちろんあかねさんのことも好きだけど…でも…」

結衣「その人のことが忘れられない、と」

ともこ「そうね……何でなのかしら」ﾊｧ

ちなつ「全く…他の女子にうつつを抜かしているようじゃ、あかねさんはものに出来ないよ」

ともこ「そ、そうよね……」

あかり「あとはともこさんの気持ち次第でどうにもなるんですよ！頑張ってください！！」

京子（いや、あかねさんをどうするかも重要な問題だけど）

京子「そういえばあかねさんと普段どんな会話してるんですか？」

あかり「そういえばお姉ちゃんからともこさんの話あんまり聞かないなぁ…」

ちなつ「それじゃあ……明日はあかねさんに話した内容を報告すること、いいね？」

ともこ「レコーディングダイエットと同じ要領ね…分かったわ」

ともこ「それにしても…あの子…」

ちなつ「まだ言ってるの？そんなんじゃダメだって」

ともこ「わ、分かってるわよ……でも……」

ちなつ「だから上手くいかないんだって言ったばっかりじゃん」

ともこ「うん……そうね……」

結衣（何かダメな予感がするな）

あかり（ダメな気がするなぁ）

京子（あかねさんがあんなんだからな……）

～翌日～

ともこ「言わなきゃいけないことがあります」

「「「「？」」」」

ともこ「あかねさんを諦めることにしました」

あかり「……えっ？」

京子「はい？」

結衣「え？」

ちなつ「嘘！？」

ともこ「嘘じゃないわよ、これは私の意志」

ちなつ「ちょ、どういうことなの？あんなに好きって言ってたじゃん！」

ともこ「確かに好きと言ったわ…でも、私の本当の気持ちに気づいたのよ」

京子「本当の気持ち……？」

ともこ「そう……図書館で会った高校生の話はしたわね」

結衣「ショートカットで、ちょっと釣り目で、クールな感じの子って言ってましたっけ」

ともこ「その子よ、今日図書館の自主学習室で会ったの」

あかり「また会ったんですか？」

ともこ「ええ…向こうから話しかけてくれたのよ、『少しお話いいですか』って」

ちなつ（向こうから話しかけてくるその子って誰なんだろう……）

ともこ「そこからしばらく会話して、アドレス交換したのよ」

京子「えっ！？どんな会話したんですか？」

ともこ「うーん、好きな本とか、よく自主学習室に来るのかとか」

結衣「至って普通の会話ですけど…話したのはその時が初めてなんですよね？」

ともこ「ええ……」

あかり「そこでアドレス交換するような仲にまで進展するのは凄いと思いますよ」

ともこ「そうかしらね……」

ともこ「そうだ、これからも皆に恋の相談していい？」

あかり「あかりはいいですよ」

京子「私もOKです」

結衣「京子がいいなら私も」

ちなつ「お姉ちゃんの頼みなら…仕方ないなぁ」

ともこ「ふふっ、本当に皆、ありがとう」

ともこ「さて、これからどうしよう……」

京子「自然体で良いと思いますよ？」

結衣「私も京子と同じ」

あかり「ともこさん、肩の力抜いていった方が良いですよ」

ちなつ「そうだね……お姉ちゃんの場合、あんまり考えない方が逆に良いのかも」

ともこ「そうかしらね……うん、明日彼女にまた話しかけてみる」

～翌日～

ともこ「ど、どうしよう……」

ちなつ「何があったの！？」

ともこ「そ、それが……」

京子「もったいぶらずに教えてくださいよー」

結衣「何事ですか？」

ともこ「今度の日曜日にデートに誘われちゃった……」

あかり「展開早すぎですって！」

ともこ「いや、『今度の日曜日、一緒にどこか遊びに行きませんか』って誘われてね」

ともこ「OKしたはいいんだけど、何か気をつけることとかあるかしら……？」

ちなつ（……多分この二人）

結衣（両思いだろうな……）

京子（特に何もしなくても大丈夫そうだな）

あかり「いつも通りのともこさんでいてください、多分その方が上手くいきますよ」

ともこ「そ、そうかしらね……」

ちなつ「昨日も言ったけど、あんまり考えすぎちゃダメだよ、ありのままの自分をさらけ出さなくちゃ」

ともこ「うん…分かった」

～日曜日、夕方～

ともこ「はぁ…今日は本当に良い一日だったわ」

ちなつ「じゃあ報告会といきましょうか」

結衣「そうだね、報告会というよりは反省会みたいな感じになるけど」

あかり「どんな話が聞けるのか楽しみだなあ」

ともこ「うーん…あんまり期待はしないでね？」

京子「期待してます」

ともこ「話聞いてた？」

ともこ「えっと、今朝駅前で待ち合わせして、午前中は水族館に行ったんだよね」

ちなつ「大分無難だね」

ともこ「それから向こうでお昼を食べて…午後はショッピングに行ったの」

京子「無難ですね」

ともこ「で、お揃いのティーカップを買って、今帰ってきたところ」

結衣「良いですね……普通の幸せそうなカップルみたいです」

ともこ「そ、そんな、カップルだなんて…」ﾎﾟｯ

あかり「特に非の打ち所は無さそうですね、安心です」

ともこ「さて、そろそろ明日の講義に備えて予習しなくっちゃ」

結衣「もうそんな時間ですか」

京子「大学生って予習なんてするんですね、私一回も無いです」

あかり「京子ちゃん、中学生でも予習はした方がいいよ……」

ちなつ「じゃあ今日は解散で」

ともこ「毎日ありがとうね、何か申し訳ないわ」

～翌日～

ともこ「………」ｶｱｧ

ちなつ「ほら、今日の出来事報告しなきゃ」

京子「えっ、何かあったんですか？」

あかり「是非聞きたいです！」

ともこ「……例の子と正式にお付き合いすることになりました」

「「「おおっ！！」」」

結衣「良かったじゃないですか！それで、どんな感じだったんです？」

ともこ「講義が全部終わって、帰ろうかなって思ったら、彼女が門の所にいたの」

京子「ともこさんのことを待ってた、と」

ともこ「そうだったのよ…それで、近くの公園でしばらくおしゃべりしたの」

結衣「良いですね…それで、そこで告白をしたんですか」

ともこ「ううん、付き合って下さいって向こうから」

ちなつ「何か頼りがいのありそうな人だね」

ともこ「私のほうが年上なのにね……でも、ああいう子にリードされるのは嫌いじゃないわ」

あかり「へえ…とにかく良かったですね、ともこさん！」

ともこ「ふふっ、ありがとうあかりちゃん…それから皆も」

ちなつ「ところでその人の名前って何ていうの？」

京子「あっ、そういえばまだ聞いてなかったですね」

結衣「何て名前なんですか？」

ともこ「うん、教えてあげる」


ともこ「彼女、大室撫子さんっていうの、いい名前じゃない？」


「「「「……ええええええっ！！？」」」」


おわり

乙

ともあか書いてたはずがこんなことになってました
またどこかで見かけたらよろしくどうぞ