1: 2010/11/03(水) 21:50:10.01 ID:9eQzB0Ok0
コンビ二

梓「たい焼きくれです!」

店員「はい、たい焼きお一つですね」ゴソゴソ

梓「私のたい焼きにさわるなぁー!」バッ

店員「おっ、お客様!?」

梓「うまい、うまいです」バクバク

店員「ちょっとっ、困りますよ!!!」
けいおん!Shuffle 2巻 (まんがタイムKRコミックス)
5: 2010/11/03(水) 21:55:02.22 ID:9eQzB0Ok0
梓「お金を受け取りやがれです!」バッ

店員「ひゃっ、投げないで!!!」

梓「じゃあ、学校へいくです!」ダッ

バーンッ

自動ドアに激突する梓

梓「痛いですっ、バーカ、バーッカ!!!」ダッ

店員「何だったんだあの子は…」

9: 2010/11/03(水) 21:59:49.54 ID:9eQzB0Ok0
学校

憂「あっ、お早う梓ちゃん」

梓「ういーっ、ういーっ!」ニコニコ

バシバシ

憂「わっ、痛いよ梓ちゃん」

梓「うーいっ、うーい、うーい!」ニコニコ

バシバシ

憂「あわわ、梓ちゃん、ちょっと落ち着いてぇーっ」

13: 2010/11/03(水) 22:05:01.99 ID:9eQzB0Ok0
純「お早う、梓は今日も元気だねー」

梓「純っ、もじゃもじゃ食わせるです!」

純「えっ、ちょっと髪の毛食べないでよっ!?」

梓「もしゃもしゃ」

純「もーっ、また頭がベトベトニなっちゃうよーっ」

梓「もじゃもじゃうまいです!」

憂「梓ちゃん、ホントに純ちゃんの髪の毛好きだよねー」

15: 2010/11/03(水) 22:11:13.97 ID:9eQzB0Ok0
部室

梓「私がきたですよ!」バーン

律「おう梓っ、待ってたぞ」

梓「りつー!」ダキッ

律「えへへ、梓はいつも可愛いなー」

梓「りつ大好きです!」

律「あはは、今日もいっぱい遊ぼうな!」

梓「やったぁーっ」ピョンピョン

17: 2010/11/03(水) 22:19:15.17 ID:9eQzB0Ok0
澪「おいおい、遊ぶのもいいけど練習もちゃんとするぞ!」

梓「あっ、みおーっ、おっOいもませるです!」バッ

澪「ひえーっ、今日は勘弁してくれよーっ」ダッ

梓「デカパイ待つです!」ダッ

バタバタ

紬「みんなー、お茶がはいったわよー」

梓「やったです!早く飲ませるですよ!」

澪「ふー、助かったぁ」アセアセ

律「今日も楽しい部活になりそうだなっ」

23: 2010/11/03(水) 22:25:29.46 ID:9eQzB0Ok0
梓「昨日つくった折り紙手裏剣をくらえです!」

シュシュッ

コツン

紬「いてて、ヤラレタァー」

梓「やったです、眉毛怪人を懲らしめたです!」

澪「コラ梓っ、お茶飲んでる時に危ないだろー」

梓「なにおー、みおも手裏剣をくらえです!」

シュシュ

澪「もーっ」

律「あははっ、すごいな梓、折り方教えてくれよ」

梓「えっへん、仕方が無いからけいおんぶのみんなには特別に教えてやるです!」

29: 2010/11/03(水) 22:32:44.85 ID:9eQzB0Ok0
ワイワイガヤガヤ

唯「みんなお待たせー」

梓「やったです!ゆいーっ、が来たです!」バンバン

律「ちょっとは落ち着けよー」

紬「梓ちゃん、唯ちゃん好きだもんね」

梓「ゆいーっ!」ダキッ

唯「あはは……」

唯(またコイツいるのか、めんどくさいなー)

34: 2010/11/03(水) 22:39:27.16 ID:9eQzB0Ok0
唯「ちょっと、梓ちゃん、離れてよ」

梓「ゆいーっ、ゆいーにも手裏剣つくってあげるですよ!」ダキッ

唯「うん、わかったから…」

唯(うわっ、よだれついたっ、汚いなぁー)

澪「コラコラ梓、それじゃ唯が席につけないぞ」ニコニコ

梓「早くゆいーも席に着くです!」

梓「むぎも手裏剣くらいたく無かったら、さっさとゆいーのお茶淹れるですよ!」

紬「はいはい」ニコニコ

41: 2010/11/03(水) 22:45:41.14 ID:9eQzB0Ok0
梓「そしたらココをこう、ダイナミックにグルンと折るです!」

律「こうか?」

梓「そうです!流石りつですっ」ダキッ

律「わっ、いちいち抱きつくなよー」

澪「私も出来たぞっ、こうだよな?」

梓「そんなの知らんです!おっOいもませろです!」

澪「ひえーっ、なんでだよぉー!?」

紬「うふふ」ニコニコ

唯「……」

唯(バッカじゃないの?)

唯(なんでこんな幼稚園みたいな事、しなきゃならないの?)

47: 2010/11/03(水) 22:54:14.27 ID:9eQzB0Ok0
唯「練習しないんなら、私帰るよ?」

澪「あっ、ああ、そうだな、そろそろ練習するか?」

紬「そうね、梓ちゃん、折り紙はまた明日しましょう」

梓「ちょっとまつです!まだゆいーの手裏剣が折れてないです!」

唯「はあ、もういいって」

梓「ええーっ、ゆいーは手裏剣嫌いですか?」

唯「うん嫌い」

梓「じゃあ、ゆいーには奴さん折ってヤルです」

唯「それも嫌い、もう終わりっ」イライラ

梓「でも私、その二つしか折れんです!!!」

梓「わー、どうしようっ」バタバタ

51: 2010/11/03(水) 23:01:42.14 ID:9eQzB0Ok0
梓「わーっ、わーっ!!!」バンバン

律「梓っ、落ち着くんだ」ダキッ

梓「うあーっ、あーっ!!!」

ガブッ!!!

律「くっ!?」

澪「律っ、大丈夫か!?」

紬「りっちゃん、血がっ!」

律「みんな落ち着くんだっ、私達まで慌てたら、梓がますます興奮しちゃうだろ?」

澪「でも…っ」

梓「うーっ、ううーーーっ!!!」ガブガブ

律「だいじょうぶだよ梓」ギュッ

律「だいじょうぶ、安心していいんだぞ」ナデナデ

60: 2010/11/03(水) 23:11:09.63 ID:9eQzB0Ok0
梓「ふーっ、ふーっ」

律「よしよし」

梓「ふーっ」

梓「……」

紬「はぁ、梓ちゃん落ち着いたみたいね」

澪「律っ、手当てしなきゃ!」

律「なーに、この位、なんでも無いよ」

梓「……」

梓「りつ、……ごめんです」

律「いいんだよ、梓はちょっと分んなくなっただけだもんな」

律「だいじょうぶ」ギュッ

梓「りつーっ」ギュッ

69: 2010/11/03(水) 23:19:40.86 ID:9eQzB0Ok0
唯「ぜんっぜん、大丈夫じゃないよっ!!!」

律「唯……」

唯「なんなのその子?おかしいよね?異常だよね?」

唯「暴れたり、汚したり、壊したり」

唯「今度は怪我までさせたじゃない!?」

唯「今まで黙ってたけど、もう限界!!!」

唯「その子には軽音部やめてもらおうよっ」

紬「でも、梓ちゃんは仕方ないじゃない…」

唯「うんそうだね、仕方ないね、だったら仕方が無いからやめてもらおうよ」

唯「その子が入ってから、私達何回まともに練習できた?」

唯「ここは軽音部なの!その子のお守り部じゃないの!!!」

73: 2010/11/03(水) 23:33:11.17 ID:9eQzB0Ok0
梓「ゆ、ゆいー?」ブルブル

紬「あ、梓ちゃんだって、もう軽音部の一員でしょ?」

紬「練習はもっとできる様にするから」

紬「みんなで楽しくやっていく方法を考えましょうよっ」

唯「……」

唯「じゃあさ、その子の面倒は三人でちゃんと見てよね」

唯「今度こんな事があったら、絶対に辞めてもらうから!」

律「……ああ、わかった」

澪「ちょっと、律っ!」

唯「りっちゃん、今の約束、部長としてちゃんと守ってよね」

律「約束だ」

梓「りつー…」

唯「じゃあ、私先に帰るから」ダッ

82: 2010/11/03(水) 23:41:03.51 ID:9eQzB0Ok0
唯の家

唯「あーっ、もう最悪!」

憂「どうしたのお姉ちゃん?」

唯「あの梓ちゃんだよ、頭の悪いー」

憂「……梓ちゃんがどうかしたの?」

唯「あいつのせいで、クリーニングから出したばっかりの制服よだれ塗れだし」

唯「りっちゃんは怪我するはで、もう軽音部はめちゃくちゃだよっ」

憂「そうなんだ……」

83: 2010/11/03(水) 23:47:24.00 ID:9eQzB0Ok0
唯「あんな奴……」

唯「 氏ねばいいのにっ 」

憂「えっ!!!?」

唯「ん、なに?」

憂「そんな、梓ちゃんはイイ子だよ……」

唯「は?いい子?頭が悪くて人に迷惑かける奴がどうしてイイ子なの?」

唯「あんな奴、どうせろくな人生歩まないんだから、早氏にしたほうが幸せだよっ」

唯「きっとあの子の家族だってそう思ってるよ」

憂「……」

86: 2010/11/03(水) 23:53:28.02 ID:9eQzB0Ok0
憂「あっ、もうご飯出来てるよお姉ちゃん」

唯「うん、ありがとう」

唯「あー、よかったぁー」

唯「憂がこんなに素直で頭のイイ子でー」

唯「あのバカみたいなのが家族にまで居たら最悪だろうねー」

憂「……」

憂「あのね、お姉ちゃん?」

唯「なに?」

憂「もしもね、例えばの話しだよ」

91: 2010/11/04(木) 00:03:26.30 ID:ckcSpyJE0
憂「例えば私がね、頭が悪くて、料理も洗濯も出来ない子だったら」

憂「お姉ちゃん、私のこと好きでいてくれる?」

唯「えーっ、そんなの決まってるじゃん」

憂「そ、そうだよね」ホッ

唯「 嫌にきまってるよ 」

憂「!!?」

唯「何も出来ない上に、人に迷惑かける奴なんて最低だよ、氏んだ方がいいよ!」

憂「……うん」

憂「お姉ちゃん、ご飯冷めちゃうよ」

唯「そうだね、今行くっ」

102: 2010/11/04(木) 00:14:09.58 ID:ckcSpyJE0
コンビニ

梓「たい焼きくれです!」

店員(わっ、昨日の変な子だ…)

店員「はい、たい焼きお一つですね」

梓「今日は二個よこせです!」バンバン

店員「はっ、はい!少々お待ちを……」ゴソゴソ

梓「私のたい焼きに、さわるなと言ってるです!」バッ

梓「金はやるからどっか行けです!」バッ

店員「わっ、だから投げないでってぇー」

梓「時間とらせるなバカっ!!!」ダッ

ドーン!

店員「あーっ、また……」

梓「痛いです!二回もぶつかるとは許さんです!!!」ゲシッゲシッ

店員「頼むから早く行ってくださいよー」

114: 2010/11/04(木) 00:26:42.44 ID:ckcSpyJE0
通学路

唯「はぁ、今日もあの子と会わなけりゃいけないなんて憂鬱だなー」

和「あの子って梓ちゃん?」

唯「そうだよ、なんで私がバカの面倒見なきゃならないの?」

和「変わった子らしいわね」

唯「それどころじゃないよー、バカなのバカ、低脳、役立たず、暴力的」

唯「あんなのが同じ人間だってだけでも嫌だよね」

唯「どっか私設にでも入ってればいいのに、なんで内の高校にいる訳?」

唯「どうせ人権団体(笑)がねじ込んだんだろうけど、まったくいい迷惑だよ」

和「……」

和「唯って相変らずね」

唯「何が?」

122: 2010/11/04(木) 00:40:56.28 ID:ckcSpyJE0
和「人を能力差で見るというか、クラスのランク付けとか好きだったし」

唯「うん、大体世の中はクズみたいのばっかり」

唯「人口多すぎるんだから、平均以下の人間が氏ねばいい世の中になるのになー」

和「それ、本気で思ってるの?」

唯「え?本気だよ、犯罪者とか、バカとか、汚い奴とか、居なくなればいいのに」

和「……」

和「その半分より上に私達はいるの?」

唯「そりゃそうだよー、和ちゃんは勉強もスポーツも割と出来るし、よく見ると美人だしね」

和「 唯は学校一の秀才だし、ギターの腕もプロなみだし、ミス桜ヶ丘に選ばれたから? 」

唯「まあ、みんなが私レベルって訳にはいかなくても、ある程度の人間としか付き合いたくないなー」

127: 2010/11/04(木) 00:48:39.86 ID:ckcSpyJE0
梓「ゆいーっ、ゆいー」バタバタ

唯「げっ、あいつだよ…」

和「お早う梓ちゃん」

梓「おはようのどか!ああっ、のどかの分ないですっ!」

和「え、何が無いの?」

梓「たい焼き、私とゆいーのしかないです!」

和「たい焼き?」

梓「昨日私がゆいーの好きなの折れなかったから、ゆいーが怒ったです!」

和「???」

梓「だから、ゆいーにたい焼きを買って来たです!」

梓「仕方がないですから、のどかにも、私の分あげるです!」

142: 2010/11/04(木) 01:00:33.79 ID:ckcSpyJE0
和「そんな、悪いわよ、私はいいから梓ちゃんが食べなさい」

梓「でもっ、でもっ、三人いるのに二つだから、ダメです!」

和「だから私はいいのよ、梓ちゃんと唯で食べたら?」

梓「えっ、でもっ、あれっ、わからんです、ダメな気がしますっ!」

梓「わーっ、どうしよう、どうしよう」オロオロ

唯(うわっ、こいつまた暴れるんじゃない!?)

和「じゃあこうしましょ」

パカッ

和「私と梓ちゃん、半分こして食べましょっ」

梓「あーっ!!!」ピョンピョン

梓「私はしっぽが好きです!のどかは頭でも食えばいいです!」ニカッ

和「うふふ」ニコニコ

154: 2010/11/04(木) 01:12:09.14 ID:ckcSpyJE0
梓「うまいです!うまいです!」バクバク

和「ほんと、おいしい、ありがとうね梓ちゃん!」

梓「ゆいーも食べるですっ、ゆいーは特別に一匹あげるです!」

唯「いらないよ、そんなの……」

梓「うまいですよ!食べてまた私と仲良くするです!」

和「唯、梓ちゃんの気持ちよ、食べてあげなさい」

唯「いらないって言ってるでしょ!!!?」

バシッ

梓「わーっ!?」

和「ちょっと、唯っ!なんて事するの!?」

梓「ひゃあっ!?ああっ、たい焼きが落ちちゃったです…」

和「だいじょうぶ?梓ちゃん!?」

梓「ううっ……」

159: 2010/11/04(木) 01:19:02.10 ID:ckcSpyJE0
梓「ゆいーはたい焼きも嫌いですか?」ブルブル

唯「……嫌い」

和「ちょっと唯!」

唯「和ちゃんは黙っててよ!」

梓「手裏剣が嫌いで、奴さんが嫌いで、たい焼きも嫌いで」

梓「ゆいーは何が好きですか?」

唯「私は頭の良くてちゃんとした子が好きなの」

梓「へっ、ええっ!?」

唯「あんたみたいな頭の悪い奴大嫌いなの、もう近寄らないでよね!!!」

梓「あっ、あうう……」

167: 2010/11/04(木) 01:28:10.91 ID:ckcSpyJE0
和「唯っ!なんて事言うの!?謝りなさい!!!」

唯「なんで私が?」

唯「こんなたい焼きなんて持ってきて!?」

唯「コイツが素手で掴んだんだよっ!?」

唯「よだれとか鼻水とかついた手で持って、ばい菌だらけなんだよ!」

唯「そんなの食べられる訳ないよっ!!!」

梓「汚くないですっ、私汚くないですよーっ!」

唯「……」ジロッ

梓「ううっ、ゆいー……」グスグス

唯「和ちゃん、悪いけど私先に行くね、朝から気分悪い」

和「……」

178: 2010/11/04(木) 01:41:55.94 ID:ckcSpyJE0
部室

律「あれ?私が一番乗りじゃないのか?」

梓「りつー」

律「どっ、どうしたんだ梓!?折り紙こんなにグシャグシャにして……」

梓「……」

律「元気がないじゃないか、何かあったのか?」

梓「ルツが折れんです」

律「鶴?」

梓「ゆいーは手裏剣も奴さんも嫌いです、鶴なら好きかも知れんです…」

梓「でも何度やっても折れんですっ!何度も何度もやったけど折れんです!」グスグス

律「そんなことなら、私が教えてやるよ」

梓「ダメです!小さいころから、お母さんや先生に何度も教わったです!」

189: 2010/11/04(木) 01:55:16.90 ID:ckcSpyJE0
梓「なんども、なんども、なんども、なんどもぉーっ!!!」

律「梓……」

梓「出来ないです、私がバカだからできんのです……」

律「なっ、お前、自分の事バカって言わないって約束しただろ!?」

律「自分の事をバカなんて言っちゃダメだっ!」

梓「ゆいー、も言ってたです」

梓「私はバカです、バカだからゆいーは私が嫌いです」

律「あいつ、そんな事をっ!?」

梓「私は何でバカなんですか?なんで頭のいい子に生まれなかったんですか?」

律「梓、お前……」

196: 2010/11/04(木) 02:05:25.01 ID:ckcSpyJE0
梓「頭良くなったらゆいーは私が好きになりますか?」ポロポロ

律「それは……」

梓「バカはイヤですよぉーっ!!!」

律「梓ぁっ!!!」ダキッ

梓「私バカだからわからんです、どうしたらいいか分からんです!!!」

梓「りつーっ、教えてくれです!どうしたら頭良くなりますか?」

梓「どうしたら、ゆいーは私を嫌いじゃなくなりますか!?」

梓「うわーん」ボロボロ

律「梓、ごめん、わたしもわかんないや」ポロポロ

律「ごめんな、ごめんなぁ」ギュッ

梓「りつー、りつーっ!!」ヒシッ

199: 2010/11/04(木) 02:17:43.99 ID:ckcSpyJE0
数日後の部室

紬「今度の合宿も、うちの別荘に行かない?」

澪「うん、いいんじゃないか?」

梓「がっしゅくって、何するですか?」

紬「海の近くに行って、みんなでお泊りするのよっ」

梓「海ですか?お泊りですか?楽しみです!!!」ピョンピョン

律「花火したりバーベキューしたり楽しいぞーっ!」

澪「ちゃんと練習もするぞー」

梓「いくです!早く行くです!!!!」ダッ

律「おいおいっ、今から行くんじゃないぞ」

紬「それでね、唯ちゃんはどう思う?」

唯「合宿って、コイツも行くんでしょ?」

梓「ゆいー…」

唯「じゃあ、私パス」

204: 2010/11/04(木) 02:34:27.95 ID:ckcSpyJE0
律「唯も一緒にいこうよー」

唯「部活の時間だけでもイヤなのに、何でコイツと一日中いないといけないわけ?」

梓「あ、ううっ」

澪「そう言うなよー、去年は楽しかったって言ってたじゃないか?な?」

唯「去年は……ね」

律(唯と梓がこのままじゃいけないな……お互いの為に)

律「なあ唯、絶対に去年みたいに楽しくするから、頼むから来てくれよ」

唯「はぁ?りっちゃん、あからさまに出来ない約束なんてするもんじゃないよ」

紬「お願いよ唯ちゃん、みんなが一緒じゃないと楽しめないわ」

唯「わかったよ、出来るだけそいつ近づけないようにしてよね」

梓「……」

律(だいじょうぶ、二人は分かり合えるはずだ、きっと……)

210: 2010/11/04(木) 02:48:13.78 ID:ckcSpyJE0
合宿当日 海

梓「海すごいです!青いくせにザーザー言ってやがるです!」

律(梓は喜んでるみたいだな)

律(でも肝心の唯との接点がないな……)

澪「唯、泳がないか?」

唯「そうだね、ちょっと泳ごうかな」

律「梓も泳ごうぜ!」

梓「私は……やめとくです」

律「え?何でだ?」

梓「小さい頃、波に飲まれたから、泳ぐの恐いです…」

律「そうか……」

紬「じゃあ、一緒にお城作りましょうか?」

梓「つくるです!私は正義の基地をつくりますから」

梓「ムギはマユゲラーのアジトをつくるです!!!」

213: 2010/11/04(木) 03:00:13.56 ID:ckcSpyJE0


唯「」スーイスーイ

澪「唯、泳ぎも得意なんだな、全然ついて行けないよ」

唯「うーん、まあね」

澪「だいぶ沖に出ちゃった、私はそろそろ引き返すけどー」

唯「私はもう少し泳いで戻るよ」


砂浜

紬「悪のアジトってこんな感じかしら?」

梓「違うですっ、もっとあばんぎゃるど銀河っぽく!!!」

紬「ふむふむ」

澪「ふーっ、疲れたぁ」

律「一人で戻ってきたのか、唯は?」

澪「あそこ」

律「あんなとこまで、唯は何させてもスゴイな」

218: 2010/11/04(木) 03:11:01.58 ID:ckcSpyJE0
紬「澪ちゃん、何か飲みもの取って来ようか?」

澪「いいよ、自分で行くよ」

紬「場所わかる?一緒に行きましょう」

律「おい、梓は何か飲まないか?梓と唯の分も取ってきてやるぞ」

梓「オロナミンGがいいです!」

律(ジー?)

梓「私は割れて中からロボが発進する山をつくってて忙しいです!早く行くです!」

律(要するに普通の砂山だな)

223: 2010/11/04(木) 03:22:49.51 ID:ckcSpyJE0
唯(気持ちいいなー、これであいつがいなければ最高なんだけどなー)

唯(はぁ、そろそろ戻らなきゃ)

唯(!?)

唯「えっ!?ゲポッ!!!」

唯(何これ?足が攣った奴!?)

唯(水飲んじゃった、苦しいっ、えっ?)

唯(なんなのちょっとっ!!?)

バシャバシャ

梓「いい具合に正義の基地が出来たです!」

梓「一見普通の農家ですが、ちゃぶ台を引っ繰り返すと牛小屋がー……」

梓「ん?」

バシャバシャ

梓「ああっ、ゆいーっ!ゆいーがぁっ!!!?」

226: 2010/11/04(木) 03:31:42.71 ID:ckcSpyJE0
梓「みんなーっ、みんなぁー!!!!」

梓「みんな来いです!!!ゆいーが大変です!!!」

梓「みんないないです!ゆいーが!私泳げないです!!!」

梓「ああっ、どうすればいいですっ、わからんです」

梓「わーっ、わーっ」

梓「ビーチボールがあるです!?」




唯(苦しい、息がっ、吸わなきゃ、水をっ、はかなきゃっ!!!)

唯(苦しいっ、助けてぇっ!!!)

唯(氏ぬのっ?イヤっ!!!)

唯(誰か助けてーーーっ!!!!)

230: 2010/11/04(木) 03:42:21.10 ID:ckcSpyJE0
梓「ゆいーっ!!!ゆいーっ!!!」バシャバシャ

梓「ゆいーっ、ボール、つかまるです!!!」バシャバシャ

唯(えっ、梓ちゃん!?)

唯(やった、早く、つかまなきゃ!!!)

唯「ケホッ、ケホッ、はあっ、はあっ」

唯(良かった、これで何とかなる…)

バシャ バシャ 

梓「はあっ、うっぷ」バシャバシャ

唯「えっ?」

唯(この子、ボールつかんでないと立ち泳ぎも出来ないの!?)

233: 2010/11/04(木) 03:53:40.35 ID:ckcSpyJE0
梓「がっ、うぶっ」バシャバシャ

唯(ちょっと、こっちに来られても……っ)

唯「あっ!?ゴホッ」

唯(ダメっ、このボール一つじゃ二人は無理だよっ)

梓「はっ、うっぷ、ゆいーっ、ごぼっ」

唯(二人いるけど、ボールは一つなの)

梓(ゆいー、私……)

唯(生き残れるのは一人なの……)

ドッ!

240: 2010/11/04(木) 04:02:05.37 ID:ckcSpyJE0
澪「あれ?梓がいないぞ」

紬「ちょっと、二人ともあれ見てっ!!!」

律「えっ!?マジかよっ!!!」

律「浮き輪は無かったか!?じゃあ救命用のはどこだ!?」

紬「あ、あっちっ!」

律「くっそーっ!!!」

律「間に合ってくれーっ!!!!!」

バシャバシャ

245: 2010/11/04(木) 04:14:51.67 ID:ckcSpyJE0
翌日の夜 梓の通夜式

律「ううっ、梓、あずさぁー」ボロボロ

律「ごめんな助けてやれなくて、私はいっつもお前を助けて、やれ、なくて……」

澪「早すぎるよ梓……」シクシク

紬「かわいそうな梓ちゃん」ポロポロ

唯「……」

梓父「軽音部のみなさんですね」

澪「……ごめんなさい、私達のせいです」

梓父「いいえ、あなた達のせいではありません、悲しい事故です…」

梓母「梓は、みなさんと一緒に学校へ行って、部活をするのを何より楽しみにしていました」

梓母「みなさん、本当にありがとうございました」

律「ううっ、そんな……」

唯「……」

254: 2010/11/04(木) 04:22:04.82 ID:ckcSpyJE0
唯(私は悪くない)

律「あの時、もっと早く泳いでたら……」

唯(私は悪くない)

紬「あの時目をはなさなければ……」

唯(私は悪くない)

澪「もっと気にかけてあげてたら……」

唯(私は……悪く……ない)

唯「なんなのみんな!?」

律「えっ?」

262: 2010/11/04(木) 04:35:14.38 ID:ckcSpyJE0
唯「私のせいであいつが氏んだって言いたいんでしょ?」

澪「そんなつもりじゃっ……」

唯「私が調子に乗って溺れかけたから、いけないって思ってるんでしょ?」

紬「唯ちゃん……?」

唯「私の代わりにあいつが氏んだって言いたいんでしょ?違うのっ!!!!?」

律「ちょっと唯、落ち着けよ」

唯「いいよ、私の身代わりであいつが氏んだ、じゃあ、それのどこがいけないの?」

唯「あいつなんか社会のお荷物でしょ?」

唯「私が生きてた方が百万倍意味があるよ!」

唯「どうせさっきの両親だって、こんな出来損ないが氏んで清々してるよ!!!」

唯「あんな奴昔の時代なら生まれて直ぐ間引かれてたよ!」

唯「この歳まで生かさせてやった事をあり難く思って欲しいくらいだねっ!!!」

唯「あんな、バカで、役に立たない、人に迷惑かけるクズなんてっ!!!」

パチーンッ!!!

271: 2010/11/04(木) 04:47:30.20 ID:ckcSpyJE0
唯「ううっ、りっちゃん?」プルプル

律「やめろよ唯、そんな悲しい事言うのは」

律「やめてくれよ……」

唯「……」

唯「なに?」

唯「あんただって、あいつと同じ」

唯「あいつがいなけりゃ、りっちゃんが一番格下だからね」

唯「その次が澪ちゃん、おその上がお金の差でムギちゃんだね」

律「なんだそりゃ?」

唯「何って格付けだよ、あんたが一番バカで役立たずのクズだって事!!!」

唯「人間なんてそんなもんでしょ?違うの?」

唯「だから今回クズが一人消えただけ、世界は少しよくなったんだよ!!!」

唯「みんな何泣いてるの?お祝いすべきじゃない?」

律「いい加減にしろよっ!!!」

281: 2010/11/04(木) 04:59:21.91 ID:ckcSpyJE0
律「違うだろっ、人間の命はそんなもんじゃ無いだろ?」

唯「何?人権?宗教?道徳?」

唯「バッカじゃないっ!!!?」

律「お前も本当は、心の何処かでわかってるはずだっ」

唯「はあ?何言ってんの?」

唯「そんなのわかるわけ無いじゃない?理屈で言い負かしてみたらどうなの?」

唯「ああゴメン、バカだからそんな事出来ないよねー」

唯「今回の事で文句があるってんなら、いいよ、軽音部なんてどうせお遊び」

唯「私辞めるから、もっと有意義に時間が使えるね、よかった!」タッ

律「おい、唯っ、ちょっと待てよっ!!!」

律(私が本当に心配してたのは、梓よりむしろ……お前なんだよ)

284: 2010/11/04(木) 05:13:10.97 ID:ckcSpyJE0
唯はその後一流大学に進学し
一流企業に勤め
適齢期に財閥の御曹司と結婚
子宝にも恵まれ
健康も壊さず
交友関係も広い

何不自由ない羨まれる生活を送った
そして歳を取り
体が動かなくなるまで生き延びた

介護も付きっ切り交代制で人を雇った
金をかけているだけあって
十分な仕事をする介護士

だが、それでも唯の心は暗かった


唯「何で私がこんな目にあうの!?」

唯「私は人よりどんな事でも優れてたのに」

唯「何でこんな事になるの!?」

289: 2010/11/04(木) 05:23:56.74 ID:ckcSpyJE0
孫「うわっ、汚い、何時までこの婆さん生きるんだろうね」

孫嫁「食事も自分で取れなくて喉から入れてるんだってよ」

孫「あー、こりゃもう氏んだ方がいいな」

孫嫁「でもまだ耳が聞こえるって話しだけどー」

孫「聞こえててもどうせ頭がボケてんだろ」

孫「ボケてなくても、自分じゃ満足に声すら出せないんだから同じだよ」

孫嫁「でもほんと、こんな役に立たない、迷惑かかる存在は」

孫嫁「ちょっと……邪魔よね」

孫「まあ、屋敷は広いから、部屋はいいんだけど」

孫「家の中に、こんなのがいる部屋にがあるってのはちょっとなー」

孫嫁「なんかイヤよねー」

孫「早く氏なないかなー」

294: 2010/11/04(木) 05:36:45.85 ID:ckcSpyJE0
唯(こんな役に立たない、迷惑をかける存在なんて)

唯(氏んだ方がましだよ……)

唯(ううっ……)

唯(あの孫も、小さい頃は可愛がってあげたはずなのに)

唯(志望校に合格した事も、いいとこのお嬢さんと縁談がうまく行ったのも)

唯(全部私のお陰なのにっ!!!)

唯(きっとあの鬼嫁の教育のせいね!)

唯(親の教育が……悪いから……)

唯(私は違うわよ、完璧だった)

唯(足りないものなんて何も無かったはずよ)

唯(なのに何故、今になって空しいの?)

唯(バカバカしい、本当にバカバカしい)

唯(どんなに頑張っても、結局人間は氏ぬんじゃない)

唯(最後は役立たずになるんじゃない!!!)

297: 2010/11/04(木) 05:49:19.70 ID:ckcSpyJE0
唯(最近思い出すのは、遠い遠い昔の事)

唯(高校生時代……)

唯(私は一年半くらい軽音部という部活に入っていた)

唯(そこにいた梓ちゃん)

唯(バカで、役に立たなくて、迷惑な子)

唯(でも、みんなは梓ちゃんを愛していた)

唯(私にはそれがよく分からなかった)

唯(でも、そういう事って本当にあるの?)

唯(役に立たなくても、迷惑でも、尊いものってあるの?)

唯(それをみんなは知ってたの?)

唯(じゃあ、なんで、なんで私には教えてくれなかったの?)

唯(私は、「私の命は無駄じゃない」そう言えるものが何一つない)

唯(ねえ、教えてよみんな)

唯(梓ちゃん……)

唯(助けて、あの時みたいにっ!)

301: 2010/11/04(木) 06:00:17.87 ID:zf+9R1NN0
梓「だいじょうぶですよ、唯先輩!」

唯「えっ!?」

梓「会いたかったです唯先輩っ!」ダキッ

唯「なんで……梓ちゃん!?これは夢なの?」

唯「私は氏んだの!?」

唯「あっ、そうだ!梓ちゃん、あの時はごめんなさい」

唯「貴方は私を助けに来てくれたのに、そんなあなたを……」

梓「いいんですよ、一人しか生き残れなかったんですよね」

梓「私はそこまで考えられる余裕無かったんですけど」

梓「唯先輩を助けるって目的は果たせました」

唯「だけど、私は……」

303: 2010/11/04(木) 06:12:55.90 ID:zf+9R1NN0
梓「私は泳げませんでしたから、自分が溺れるかもしれないって分ってても助けに行きました」

唯「ありがとうっ、ごめんなさい!」

梓「いえ、違うんです、私の方がお礼を言いたいんです」

唯「えっ、どういうこと?」

梓「私は、自分の命を捨ててでも、助けたいって思えるような出会いが出来ました」

梓「これは幸せな事なんです!ありがとうございました、唯先輩に出会えたからです!」

唯「そんなっ、そんなこと!?」

梓「自分よりも大切なものに出会えることが、本当の幸せなんです!!!」

梓「私は、幸せでしたよ!」

唯「梓ちゃん……」

唯「私は長く生きたけど、自分よりも大切にした物なんてあったかな?」

305: 2010/11/04(木) 06:24:08.27 ID:zf+9R1NN0
梓「良い悪いで人や自分を見るのは当たり前です」

梓「でも人生には、そんな物差しでは計れない、本当に大切なものがあるんですよ」

梓「それに出会うために私達はいるんです」

唯「そんな事、考えた事もなかった……」

梓「だから、今の唯先輩の命も大切ですよ」

唯「嘘だよ、私、もうこんななのに」

梓「私は実際、唯先輩の命を大切に思って行動しました」

唯「氏んだ方がマシなんて言わないで下さい」

唯「でも、私、辛いよ、寂しいよっ」

梓「だいじょうぶですよ、唯先輩」ギュッ

梓「安心していいんですよ」

唯「梓ちゃん!あずさちゃん!!!」

307: 2010/11/04(木) 06:31:55.63 ID:zf+9R1NN0
唯「……」

介護士「えっ?なんで?」

介護士「笑ってる?」


それから三ヵ月後
唯は絶命した
穏やかな氏であった
それを本当に気にかける遺族は
誰一人いなかった

ただ豪勢で盛大な葬儀が
空しく執り行われ 終わった


それから長い時間が経ち
人類は滅亡した
地球は太陽に飲み込まれ
その太陽も氏んだ


さらに長い時間が過ぎ
この宇宙も終わり
次の宇宙が現われた

さらにそれすらも終わり…繰り返した

310: 2010/11/04(木) 06:37:46.75 ID:zf+9R1NN0
唯「あーずーにゃんっ!」ダキッ

梓「にゃっ!?」

梓「何やってるんですかぁー、離れてください唯先輩!!!」

唯「あずにゃん!あずにゃん!!!」ギュッ

梓「もうっ、唯先輩ったらぁー///」



お わ り


315: 2010/11/04(木) 06:41:10.25 ID:3RyaEtpJ0
メイドインヘブンか

316: 2010/11/04(木) 06:48:56.72 ID:OyA/dGB+O

引用元: 梓「だいじょうぶですよ、唯先輩!」