2: 2023/09/11(月) 10:46:00.17 ID:eGlNdZNL.net
8月31日夏休み最終日

この日のわたしはとても忙しい

「よし、これも終わり。」

夏休みの課題に向かっていたペンを置くと、うーんと伸びをした。

それから、あくびをしながら時計を見ると。

「やば、もうこんな時間。」

3: 2023/09/11(月) 10:46:40.46 ID:eGlNdZNL.net
7時過ぎだった。

完徹である。

昨夜から集中していて、ようやく課題をいくつか終えたところ。

とりあえず、机を離れてキッチンへ向かった。

と言っても、朝食を作るわけではなく、ゼリー飲料を取りに行っただけだが。

ゼリー飲料を手に取ったところで、扉がノックされた。

4: 2023/09/11(月) 10:47:08.57 ID:eGlNdZNL.net
扉を開けてみるとるりちゃん。

「わっ。」

返事もなくドアが開いたので、るりちゃんはびっくりしたようだ。

ちょっと後ろに下がる。

「ごめんね、こんな朝から呼び出して。」

5: 2023/09/11(月) 10:47:39.34 ID:eGlNdZNL.net
ドアから顔を出して、ゼリー飲料を口に含みながら、るりちゃんに謝る。

「あ、おはよー。 朝から急にどうしたの?」

「うん、おはよう。 ちょっとね るりちゃんに渡したいものがあったんだ」」

言いながら、部屋の中に招き入れる。

6: 2023/09/11(月) 10:48:12.65 ID:eGlNdZNL.net
「お邪魔しまーす。」

るりちゃんがドアを大きく開けると、部屋に入ってきた。

部屋にるりちゃんが訪ねてくるのも最近では慣れたもので、ゼリー飲料を飲みつつ椅子に、るりちゃんはその後ろの床に直接座りながら、話しかけてきた。

「お邪魔しといてなんだけど、大丈夫?」

「なにが?」

「すごいあくびしてるから、眠いのかなって。」

7: 2023/09/11(月) 10:48:59.59 ID:eGlNdZNL.net
扉からの間にも、わたしは何度もあくびをしていた。

もちろん、口に手を当てて小さく。

「うん、徹夜明け。

 一日徹夜くらいなら全然平気なんだけど、二日連続なんだよね。」

「ちょっと、大丈夫?」

8: 2023/09/11(月) 10:49:44.01 ID:eGlNdZNL.net
るりちゃんはちょっと心配そう。

「とりあえず、大丈夫。

 この後、2時間くらい寝るつもりだし。」

「そっかごめんね。 それなら、いったん帰ろうか?」

「いやいや、もう部屋に上がってるし、いいよ。」

あくびを噛み頃しながら言った。

そのまま部屋の隅に置いていた箱を手に取る。

9: 2023/09/11(月) 10:50:38.47 ID:eGlNdZNL.net
「るりちゃん、ちょっとこっち来て。」

「ん?」

るりちゃんの正面に座る。

「じゃーん!ハッピーバースデー、るりちゃん!」

持ってきた箱を、るりちゃんと自分の間に置いた。

・・・袋に入ったままなので、中身は分からない。

るりちゃんはちょっとびっくりしている、

それから、小さく笑みを浮かべた。

10: 2023/09/11(月) 10:51:12.66 ID:eGlNdZNL.net
「・・・これルリの誕生日プレゼント?」

「そうだよー。だから、はい、バースデープレゼント!」

箱を袋から取り出すと、箱を開けた。

箱の中身は一人用サイズのケーキが二つ。

金沢では有名な人気のケーキ屋さんのケーキだ。

一つには、【Happy Birthday るりちゃん】と書かれたチョコレートのプレートが載っている。

13: 2023/09/11(月) 11:20:06.16 ID:eGlNdZNL.net
「でもさ、今日、夜にみんなでお祝いしてくれるんじゃなかった?」

「うん。でも、その前に二人でお祝いしたくてさ。」

「そっか、ありがとう、めぐちゃん。」

るりちゃんがお礼を言うと、手を伸ばして頭を撫でた。

「もー。すぐそうやって子供扱いする。」

ちょっと頬っぺたを膨らませて、るりちゃんが抗議する。

14: 2023/09/11(月) 11:20:57.36 ID:eGlNdZNL.net
「ごめんごめん、もう大人だっけ。

 じゃあさ。

 大人だったら、二人きりで誕生日をお祝いするってことの意味も分かるよね。」

そんなことを言いながら、そっとケーキの入った箱を横に移動させると、膝立ちになった。

それからるりちゃんの両肩に手を置いて、見下ろすようにしながら、じっと目を見つめる。

「・・・え?」

15: 2023/09/11(月) 11:25:24.09 ID:eGlNdZNL.net
言われたるりちゃんは一瞬戸惑った様子だったが、すぐに言っていることを理解して見返してきた。

二人の視線が交わる。

そして、目を瞑ると、ゆっくりと顔を降ろしていった。

るりちゃんも、合わせて目を瞑る。

17: 2023/09/11(月) 11:31:00.74 ID:eGlNdZNL.net
次の瞬間。


慈は瑠璃乃に覆いかぶさるように寄りかかってきた。

突然だったので瑠璃乃は支えきれず、後ろに倒れる。

おかげで瑠璃乃は後頭部を床にぶつけて、ゴンと大きな音がした。

「もー!なんなの、めぐちゃん!」

慈は瑠璃乃の右肩のあたりに頭を預けたまま動かない。

瑠璃乃が、上に乗っている慈の様子を伺うと。

18: 2023/09/11(月) 11:38:53.79 ID:eGlNdZNL.net
・・・寝てた。

「・・・徹夜明けだっけ。」

拍子抜けした瑠璃乃が呟く。

瑠璃乃は慈の下からそっと這い出ると、ベッドからタオルケットを持ってきた。

そっと慈を寝かせると、タオルケットを慈にかけた。

19: 2023/09/11(月) 11:41:59.84 ID:eGlNdZNL.net
自分は、慈の顔がよく見える位置にうつ伏せに転がると、
両手で頬杖をついて慈の寝顔をじっくり眺めた。

「いつも私のこと、子供扱いしてからかうけど
こうして見るとめぐちゃんの方こそ幼いよね。」

楽しそうに呟く。

「あ、何時に起こせばいいだろう。 ・・・ま、いっか。」

しばらく慈の寝顔を見ていた瑠璃乃だったが、
見ているうちに、いつしか睡魔に誘われていった。

21: 2023/09/11(月) 11:53:48.34 ID:eGlNdZNL.net
約2時間後。

慈はもともと寝るつもりで準備していたので、
スマホのアラームが鳴って予定通りの時間に起きた。

アラームを止めた後、すぐ横で眠っていた瑠璃乃の横にしゃがみこんで、寝顔を眺める。

「まったく、幸せそうに寝ちゃって。」

22: 2023/09/11(月) 11:57:04.40 ID:eGlNdZNL.net
掛けてもらっていたタオルケットを、そっと瑠璃乃にかけてから、
横に置きっぱなしになっていたケーキの箱を冷蔵庫にしまった。

「今日はもう休みますかね・・・と思ったけど、
スクールアイドルクラブに復帰したし、さすがにサボれないかぁ。」

今夜のるりちゃんのバースデー配信には、
夏休みの課題を終わらせないと出させないって梢が言うからね。 

23: 2023/09/11(月) 12:03:00.97 ID:eGlNdZNL.net
仕方ない。
るりちゃんのおかげで元気出てきたしもうひと頑張りしますか。

「るりちゃん起きて」

「ううんなに・・?めぐちゃん?」

「ごめんね寝ちゃって、これからまた、夜まで頑張るからみんなと待ってて」

「わかった!、ルリ信じてるからね!」

24: 2023/09/11(月) 12:03:35.64 ID:eGlNdZNL.net
冷蔵庫に片付けたケーキを再び出し、るりちゃんと一緒に食べる

う~んおいち、さすが評判の店のケーキだね

「めぐちゃんありがとケーキすっごくおいしいよ」

喜んでもらえてなにより。並んで買ったかいがあったよ。

25: 2023/09/11(月) 12:04:12.03 ID:eGlNdZNL.net
「それじゃ、また夜にね~」

るりちゃんが部屋を出て行ったあと、再び気合を入れ直す

「よっしゃやるか!」

今夜の配信までに課題を終わらせるため。再び机に向かい課題にとりかかった

26: 2023/09/11(月) 12:09:13.45 ID:eGlNdZNL.net
その夜

「慈、課題はどう終わりそう?」

「やってるけど、このままだと無理かも」

夕食の時間もすぎたころ、
梢が課題はどうなっているかと聞きにきたけど、これはもう無理
さすがに2日や3日で終わる量じゃなかったよ

「もう、瑠璃乃さんの誕生日なのに何をやっているのよ、あなたは」

「そんなこと言ったってさ、
元々スクールアイドルに復帰する予定はなかったんだから、
これまでやらなくても何とかなるかと思って、
ずっとやってなかったんだし、仕方無いじゃん」

27: 2023/09/11(月) 12:10:20.25 ID:eGlNdZNL.net
「まったく・・・ 部長としては学生の本文である、学業をおろそかにしている部員を活動させることはできません、
花帆さんもだけれど、慈、あなたも課題が終わらないと配信に出させないわよ。」

梢のわからずや!!鬼ぶちょう!
課題が終わっていないなら、
今夜の配信には出さないって、まだ言ってるし
ちょっとくらいいいじゃん

「まったく、準備してまってるけれど、時間になったらあなた抜きでも始めるわよ」

「わかってるよぉ、ぎりぎりまで頑張るから」

そう言って梢は部屋から出て行った。

28: 2023/09/11(月) 12:12:11.34 ID:eGlNdZNL.net
こうなったらもう、乱入するしかないね。
るりちゃんのバースデー配信に出ないなんて選択肢は無いんだから。

突撃だー!!

「名も無きるりちゃんの誕生日をお祝い侍」として登場したら
梢はあきれてたけど、みんなのとりなしもあって、ちゃんと最後まで終わらせると約束したら
なんとかなったし、結果おーらいだよね。

みんなとお祝いした、るりちゃんの誕生日配信楽しかったな

結局、課題は間に合わなかったけどさ、提出日にはなんとかなりそうだし、
これでも、わたし史上最高に頑張ったんだからね。

おしまい

29: 2023/09/11(月) 12:14:55.39 ID:bzuenHLV.net
ロスタイムだからセーフ!

30: 2023/09/11(月) 12:16:01.46 ID:pE/k9AGv.net
素晴らしきかな…

引用元: 慈「わたしの夏休み最終日」