1: 2017/08/14(月) 21:25:31.732 ID:TfSImWGr0.net
とあるさばんなちほー


アライグマ「―――――解かったのだ!こたえは【に】なのだ!!」

かばん「……うん。正解です。よく解かりましたねアライさん」

アライグマ「えへへー/////かばんさんの教え方が上手だからなのだ」

かばん「そんな事ないですよ。アライさんが覚えるのが早いからですよ」

アライグマ「そうか…かばんさんがそう言うならそうなのだ!アライさんは覚えるのが早い子なのだ!!」

かばん「ふふ…」
 

2: 2017/08/14(月) 21:31:48.212 ID:TfSImWGr0.net
かばん「――――――では。今日はこれくらいでいいですか?アライさん」

アライグマ「うん。もう今日はこれくらいでいいのだ…………」もじもじ…

かばん「ん?どうかしましたか?アライさん」

アライグマ「…………あの…かばんさん。今日のアライさんは、よくできた子だったのだ?」

かばん「はい。よくできた子でしたよ」

アライグマ「!!」ぱぁ!

アライグマ「…………じゃあ…いつもの―――――/////////」すっ

かばん「はい。いいですよ。アライさん…おいで」ぽんぽん

アライグマ「!!」ぱぁ

アライグマ「わぁい!なのだー」ばっ
ねころり…


アライグマ「えへへ…かばんさんのひざまくらなのだー」ごろごろ
 

5: 2017/08/14(月) 21:38:32.002 ID:TfSImWGr0.net
とあるものかげ。


フェネック「…………」じー

フェネック「・…………」ギリィ


?「何見てるの?フェネック」

フェネック「!?」びくっ

フェネック「なんだーサーバルかー。いきなり後ろから声がしたからびっくりしたよぉ」どきどき

サーバル「ごめんねフェネック。でも、こんな物陰でじーって何か見ているから…………あっもしかして、かばんちゃんとアライさんの事見てたの?だったら、こんなところで見てないで――――」

フェネック「サーバル」じっ…

サーバル「えっ?なに!?」


フェネック「サーバルはアレを見て何とも思わないの?」
 

6: 2017/08/14(月) 21:41:23.253 ID:TfSImWGr0.net
サーバル「アレ?ソレってかばんちゃんとアライさんの事?」

フェネック「うん」

サーバル「んー……べ…別に……私は―――――」

フェネック「…………そう。サーバルはあのふたりを見て何とも思わないんだ。ならいいけど」


サーバル「それってどういう―――――」
 

7: 2017/08/14(月) 21:43:27.435 ID:TfSImWGr0.net
かばん「…………」なでなで

アライグマ「かばんさんの頭なでなでは、すっごく気持ちいーのだ//////」ほゎゎ

かばん「アライさんは…フェネックさんとはあまりこういう事はしないんですか?」

アライグマ「…………フェネックはたまにイジワルな事をするから……ちょっと怖いのだ。でもかばんさんはイジワルな事を絶対しないから安心・安全なのだ」

かばん「はは……」

アライグマ「それに――――」

かばん「それに?」


アライグマ「その……フェネックはガチだから……」
 

8: 2017/08/14(月) 21:46:12.795 ID:TfSImWGr0.net
かばん「ガチ?ガチってどういう事なんですか?」

アライグマ「前に博士と助手からフェネックはガチなのです。そうなのです。だから気を付けるのです。そうなのです。とか言われたのだ……」

かばん「はぁ……そうなんですか。でも…そのガチってどういう意味なんですか?」

アライグマ「さあ?実を言うとアライさんも、よく分からないのだ。でもすっごくヤバイ?モノらしいのだ」

かばん「そうなんですか……」

アライグマ「そうなのだ」


ものかげ。


フェネック「私はガチじゃない…私はガチじゃない……」ガチガチガチガチ

サーバル「………………」


サーバル(とか言って…歯をガチガチさせてるんだけど……)
 

9: 2017/08/14(月) 21:50:01.297 ID:TfSImWGr0.net
―――

アライグマ「―――――だから……かばんさんは色々知っていて色んな事を教えてくれるし、いつも優しいし、アライさんはそんなかばんさんをそんけーしているのだ!!」

かばん「アライさん……」

アライグマ「えへへー。だからアライさんはとっても優しくて、とっても賢いかばんさんの事がだーい好きなのだ!!」だきっ
ぎゅー

かばん「わっ!?」

アライグマ「あっ急に抱き付いてしまってゴメンナサイなのだ。びっくりさせてしまったのだ」

かばん「いいえ…大丈夫ですよ。ふふ…アライさんはぼくを、随分と買い被ってくれてる気がするけど。でもありがとうアライさん」なでなで


ものかげ。

サーバル「………………」ガチガチガチガチ


フェネック(……サーバル。アナタもしっかりガチガチさせているのだけど)
 

10: 2017/08/14(月) 21:53:14.188 ID:TfSImWGr0.net
アライグマ「…………………」もじもじ

かばん「どうしたんですか?アライさん。まだ何か気になる事でも?」

アライグマ「―――――あのかばんさん……実は一つお願いがあるのだ」

かばん「お願い?んー。ぼくに出来る事なら」


アライグマ「流石はかばんさんなのだ!あのね―――――」
 

11: 2017/08/14(月) 21:56:55.911 ID:TfSImWGr0.net
それから。

じゃぱりとしょかん。


―――――

としょかんない。


かばん「―――――そしてスターリングは家の事情でラスカルを生まれ故郷の森に棄てて、都会に引っ越しましたとさ。おしまい」

アライグマ「…………うう、ラスカルが可哀想なのだ…………でも――――」

かばん「でも?」

アライグマ「仕方ないのだ。ヒトにも、けものにも、フレンズにも色んな事情があるし、いつナニが起こってもおかしくないのだ……だから…………この悲しいお別れもすたーりんぐは…ううんこれは誰も悪くないのだ」

かばん「成程……アライさんは、思慮深くて賢くていい子なんですね」


アライグマ「そっそうなのだ!アライさんは、しりょぶかくて賢くていい子なのだ!!」えっへん
 

12: 2017/08/14(月) 22:01:14.596 ID:TfSImWGr0.net
ふたりから少し離れたところ


博士「としょかんでは静かにするのです」

助手「そうなのです」


博士「あとかばんは…ソレが終わったら、われわれに料理を作るのです」

助手「作るのです」


アライグマ「ううーごめんなさいなのだ」ぺこり


かばん「はい。分りました。もう少し待っててくださいね」
 
博士「だったらさっさと終わらせるのです。われわれはお腹が空いているのです」
助手「空いているのです」

14: 2017/08/14(月) 22:05:29.507 ID:TfSImWGr0.net
―――――


アライグマ「―――――そう…それはアライさんも例外ではないのだ……」

かばん「アライさん?」

アライグマ「もしかしたら…いつかアライさんも、フェネックとお別れする時が来るかもしれないのだ」

かばん「…………」

アライグマ「――――だから……だからいつそうなってもいい様に、アライさんはとしょかんでいっぱいおべんきょーするのだ」

かばん「………………」

アライグマ「そうなのだ。いつまでもフェネックに頼ってばっかではイケナイのだ」うんっ


かばん「アライさん………」
 

15: 2017/08/14(月) 22:08:26.171 ID:TfSImWGr0.net
?「――――あっ。いた!アライさーん。何してるの?」


アライグマ「フェネック!?今はかばんさんとおべんきょーしているのだ。だからフェネックは、ちょっとアッチにいっててほしいのだ」

フェネック「えっ…………」

かばん「アライさんそれはちょっと――――」

フェネック「そうだよアライさん。のけものはいけないよー」

アライグマ「…………たしかにそうだけど……でもこればっかりはダメなのだ。だいたい、ここに来るのだって、ホントはアライさんとかばんさんだけで良かったのだ」


フェネック「…………」
 

16: 2017/08/14(月) 22:10:41.511 ID:TfSImWGr0.net
アライグマ「それを、フェネックがどうしてもついて行きたいって言うから、仕方なくみんなで来たのだ。だからフェネックはアライさんのじゃまをしてはいけないのだ」

フェネック「アライさん……」


フェネック(―――――邪魔…………アライさんにとって私は邪魔なんだ―――――)


フェネック「……そ…そーだね。わかったよ……」

くる…
すたすた…
 

19: 2017/08/14(月) 22:13:43.940 ID:TfSImWGr0.net
―――――


かばん「…………でも…ほんとに、よかったんですか?フェネックさんにあんな事言って……」

アライグマ「…………たしかにフェネックにはゴメンなさいと思ってるのだ。でもこればっかりは、アライさんがひとりでやらないといけないのだ」

かばん「でも――――」

アライグマ「さっきも言ったよーに、いつまでもフェネックに頼ってばっかじゃダメなのだ。これからはアライサンもフェネックに頼られるフレンズでいたいのだ」


かばん「アライさん……」
 

20: 2017/08/14(月) 22:16:30.037 ID:TfSImWGr0.net
アライグマ「…………でも…さっきはあんなこと言ってしまったけど。ホントは出来るならずっとずっとこの先もフェネックと一緒に居たいのだ。お互いが信頼し、助け合えるフレンズでいたいのだ」

かばん「………………」

アライグマ「だから、どんな事になってもいい様に、いっぱいお勉強するのだ。その為に…アライさんはジャパリパークを生き抜く、知恵と心と技。それが知りたいのだ」

かばん「アライさんは何も考えて無い様で、そんな事を考えていたんですね。その気持ちがフェネックさんに伝わるといいですね」

アライグマ「うんなのだ。その為にひとりで頑張って アライさんの立派になった姿を早くフェネックに見せてやりたいのだ!!」

かばん「アライさん立派です……ん?ってあれ?ひとりでやる?ぼくもいますけど?」

アライグマ「あったしかにそーだったのだ。かばんさんがいないとダメなのだ」てへ

かばん「アライさん。やってしまいましたねー」


アライグマ・かばん「「あははははー」」
 

21: 2017/08/14(月) 22:21:07.289 ID:TfSImWGr0.net
かばん「でもぼく自身…正直に言ってアライさんが思うほど、色んな事を知っている訳ではないし、ひとりじゃ出来ない事もいっぱいあるって事も分っています」

アライグマ「えっ?かばんさんでも知らない事ってそんなにあるの?なのだ」

かばん「ええ勿論。寧ろ知らない、知りたいって思っている事の方がずっとずっと多いです。だからぼくもこの機会に、アライさんと一緒にたくさん勉強できたらなって思ってるんですよ」

アライグマ「そっか……そうなのだ。だったらかばんさんもアライさんともっともっとおべんきょーするのだ!そしてふたりでフェネックやサーバルもびっくりするくらいの、りっぱなフレンズになるのだ!」


かばん「はい。そうなれる様に頑張りましょう」にこ
 

22: 2017/08/14(月) 22:24:21.883 ID:TfSImWGr0.net
―――――

としょかんのそと。


フェネック(アライさんが……あのアライさんが、私にあんな事を言うなんて考えられない……)

フェネック(そうだ……これは何かの間違いなんだ。それか他に何か理由があって……)

フェネック(そうじゃなきゃおかしいよ……私のアライさんは私と別れるなんて言うはずがない―――――)


フェネック(…………やっぱりこんなの絶対おかしいよ。私の知ってるアライさんじゃないよ)


フェネック(だから――――もう一度アライさんの真意を確かめないと―――――)うん

23: 2017/08/14(月) 22:27:34.345 ID:TfSImWGr0.net
―――――


アライグマ「―――――ふー。お勉強もしたし、もうこれでアライさんはフェネックがいなくてもだいじょーぶなのだ」えっへん

かばん「ふふ…アライさんたら。またそんな事言って」

アライグマ「ホントーの事なのだ。アライさんはもう一人前になったのだ」えっへん

かばん「はは……」

アライグマ「だから―――――」
ぽふっ


かばん(アライさんがぼくの膝の上に座った!?)
 

26: 2017/08/14(月) 22:31:42.911 ID:TfSImWGr0.net
アライグマ「でも頑張ったご褒美に、アライさんの頭をなでなでして欲しいのだ///////」

かばん「またですか?まったくしょうがないですね」くすっ
なでなで

アライグマ「やっぱりかばんさんのナデナデはいちばん気持ちいーのだ。かばんさんだーい好きなのだ///////」

かばん「ふふ…まったく甘えん坊なところはかわりませんね」
ねでなで


アライグマ「えへへ…かばんさんとふたりっきりの時だけなのだ/////////」
 

28: 2017/08/14(月) 22:37:53.722 ID:TfSImWGr0.net
すこしはなれたものかげ。

フェネック「――――――――――――――――――」



フェネック(…………アライさんは…いつでも私と別れてもいい様に勉強をしていると云うの――――?)
ブルブル…

フェネック(ダメだよアライさーん。どんな理由があっても、自立心を持ったとしても私から離れるなんて絶対にユルサナイカラ)

フェネック(アライさんはこのままでいいんだよ。何も考えずに、あさっての方向に全力疾走していれば……)

フェネック(そんなアライさんを私がずっと隣りで支えていればいいの。そうずっとずっとソノママデイイノ――――)

フェネック(…………でも、そんなアライさんに、余計な知恵を授けようとするかばんさん……)


フェネック(アライさんはそんな事する必要なんて全くないんだよ。でもアライさんは一度決めたら止まらない…私には止められない……)
 

29: 2017/08/14(月) 22:40:51.306 ID:TfSImWGr0.net
フェネック(…………アライさんがこうなったのも…それもこれも全部…かばんさんの所為……あのヒトが生まれてから、本当にたくさんの事が変わってしまった……)

フェネック(でも……どうすればいいの?どうすればアライさんは元のアライさんに戻るの……)


フェネック「じゃぁ――――」


フェネック(ドウスレバドウスレバドウスレバドウスレバドウスレバ―――――――)


フェネック(そうか――――――)
ギラリ――――

30: 2017/08/14(月) 22:42:09.916 ID:TfSImWGr0.net
フェネック「そうだよ―――――なぁんだ……トテモカンタンナコトダッタンダ」

フェネック「ソウ―――――」


フェネック(アノヒトサエイナケレバ――――――――――)



フェネック「……………………」
くるっ…

すたすた……
 

33: 2017/08/14(月) 22:47:10.392 ID:TfSImWGr0.net
――――


かばん「でも……あの時アライさんからボクと一緒に図書館に行って本を読んでほしいって言われた時は、少しびっくりしたんですけど」

アライグマ「じつは前から【ほん】というのでおべんんきょーしてみたかったのだ。でも…ジャパリパークで本が読めるのはかばんさんだけだし……あと――――」

かばん「あと?」


アライグマ「…………【もじ】にも興味があったのだ。だから…かばんさん。アライさんに【じ】を教えてほしいのだ」

かばん「字を…ですか?いいですけど、でも…どうしして急に?」


アライグマ「それは―――――//////////」もじもじ
 

35: 2017/08/14(月) 22:50:57.263 ID:TfSImWGr0.net
――――


としょかんのそと。


サーバル「―――――フェネックどうしたの?すごーい貌してるけど」

フェネック「サーバル……」

サーバル「ん?なになに?」

フェネック「サーバルはホントにいいの?かばんさん…ずっとアライさんとずっと一緒にいるけど?」

サーバル「えっ?どういう事?」

フェネック「だから、かばんさんをアライさんに、としょかんに来てからずっと独り占めされて、いらいらするとか、もやもやしてないかって事だよー」

サーバル「うーん……よく分かんないけど、かばんちゃんがそれでいいなら私もいいよ」


フェネック「えっ?」
 

36: 2017/08/14(月) 22:54:24.407 ID:TfSImWGr0.net
サーバル「私は…かばんちゃんが、たのしかったり、笑ってくれたりしてくれたらそれだけでいいよ。私にとってかばんちゃんのたのしーは、私のたのしーだし。かばんちゃんのうれしーは私のうれしーだもん」

フェネック「――――――!!」

サーバル「だから私は…かばんちゃんがどこの誰と仲良くしてたっていいんだ……それがかばんちゃんの望みなら……かばんちゃんがどこで誰と何をしていたとしても――――」


サーバル「タトエドンナコトガアッタトシテモ、ワタシハタダ…カバンチャンノスグソバデ、ズットズットミマモルダケダカラ…………」


フェネック「サーバル……」

サーバル「…………あっ!かばんちゃんが、としょかんから出て来た!!フェネック。お話しはもういいの?」

フェネック「ええ…もういいよ」


サーバル「わかった。じゃあ私行くね――――」
タタッ――――
 

37: 2017/08/14(月) 22:57:00.277 ID:TfSImWGr0.net
フェネック「………………」

フェネック(凄いなサーバルは……その純粋で透き通った、全てを包み込み、見守り、そして全てを赦す様な眼差し…………)

フェネック(まるで前になにかで聞いた聖母(マドンナ)ってヒト?みたい…………」

フェネック(ほんとーならそれが一番いいんだろーけど……でも私は――――――)


フェネック「私は聖母になんてなれない――――――――――」
 

40: 2017/08/14(月) 23:05:53.621 ID:TfSImWGr0.net
とあるさばんなちほー。

よなか。



かばん「……………」すぅすぅ


ものかげ。


フェネック「…………」

フェネック(かばんさん……寝てる。ヒトは夜行性じゃないって聞いてたから、夜は寝てるんじゃないかと思ったけど、やっぱりその通りだったみたい……)


フェネック「…………」きょろきょろ


フェネック(サーバルもいないみたいだし…………)ぐっ
 

42: 2017/08/14(月) 23:10:28.378 ID:TfSImWGr0.net
フェネック(ごめんねサーバル……このヒトがいる限り、アライさんが誑かされていつか私から離れて行って終う……)

フェネック(かばんさんもゴメンナサイ。でもかばんさんがいる限りアライさんは―――――)

フェネック(だから―――――――)
キラッ


フェネック(そうなる前に、このツメでヒトオモイに――――――)ググッ
たっ…


?「何してるの?フェネック」
 

43: 2017/08/14(月) 23:15:49.125 ID:TfSImWGr0.net
フェネック「!?」ビクッ!!!!

フェネック「さっ…サーバル…………こ…これは…その―――――」


サーバル「ねぇ…………」


サーバル「フェネックはそのツメでかばんちゃんに何をしようとしてたの?」


フェネック「!!!?」ギクッ!!

フェネック(サ…サーバル……なんて眼で私を見てるの?)ゾクッ―――


サーバル「まさか…フェネックがそのツメで、かばんちゃんを狩ろうとしてたわけじゃないよね?」


フェネック「さ…サーバル…………」

44: 2017/08/14(月) 23:19:33.637 ID:TfSImWGr0.net
サーバル「カバンちゃんはね…すっごいんだよ。色んな事知ってるし、優しいし…私が…ううん、パークのみんなに何かあったも必ずに助けてくれるし……だから私もかばんちゃんに何かあったら。ぜったいに護りたいって思ってるんだ」

フェネック「…………」

サーバル「私より強いフレンズはいっぱいいるけど……それでもフェネックよりは――――ううん、かばんちゃんを護る為なら、どんなフレンズにだって敗けないんだから!」

フェネック「…………」

サーバル「フェネック。今回だけだからね。もしもう一回、かばんちゃんに何かしようとしたら――――」



サーバル「狩りごっこじゃなくて……このツメで本当に狩るから」キラッ
 

45: 2017/08/14(月) 23:23:07.578 ID:TfSImWGr0.net
フェネック「!?」ビクッ!!


フェネック(こっ…このサーバルの目……本気だホンキで私を―――――)ガクガク…
ブルブル…


フェネック「わっ分かったからサーバル。もっもう帰るね……」ずさ…
たたっ―――


サーバル「…………………」


―――
――

 

46: 2017/08/14(月) 23:25:26.902 ID:TfSImWGr0.net
フェネック(…………ダメか。かばんさんをどうにかすればどうにかなるって思ってたけど)

フェネック(私なんかじゃあのサーバルには勝てっこない――――)

フェネック(それに……サーバルがあんなに想っているかばんさんを、サーバルから引き離すなんて…私にはちょっとできないかな…………)


フェネック(でも……このままじゃ…このままじゃアライさんは―――――)
 

48: 2017/08/14(月) 23:28:24.086 ID:TfSImWGr0.net
フェネック(じゃあ―――――)


フェネック(ドウスレバドウスレバドウスレバドウスレバドウスレバ――――――)はっ


フェネック(…………………あっ。そういえばもう少ししたら……)


フェネック(確証はないけど……もしかしたら―――――)


フェネック(そっかぁ……アハハ。なぁんだ…簡単な事だったんだ)

フェネック「だったら――――――――――」
 

フェネック(モウ…コウスルシカナイヨネ―――――――)ニタァ……
 

49: 2017/08/14(月) 23:35:34.529 ID:TfSImWGr0.net
それから


じゃぱりとしょかん。


としょかんない。


フェネック(うーん…やっぱり【もじ】?も読めないし…どうしようかn―――――!!)

フェネック(でもこの【ほん】?に一つくらいは…………)

フェネック「……………」じっ…
ぺらぺら…

フェネック(もしかしたら私にも出来そうなものがあるかも…………)

フェネック(うーん……ぱっと見、やっぱりどれも私には出来そうにないなー―――――――ん?)


フェネック(これは!――――これなら…たぶん私にも…………)ゴクリ…
 

50: 2017/08/14(月) 23:39:33.472 ID:TfSImWGr0.net
――――

きょろきょろ…
フェネック(…………えっ…と。あっいた―――――)


――――


フェネック「ねぇ博士。コレはなんていうのか読める?」

博士「ふふん。私もかばんに教わって少し【もじ】が読めるようになったのです。ふむふむ…これくらいは朝飯前なのです」どやっ

フェネック「分ったから、早く教えて」


博士「そう焦るな、なのです。いいですか?これは――――――」


――――
―――
――
 

61: 2017/08/15(火) 09:57:37.379 ID:93p8mNfg0.net
とあるひ

とあるせいりゅうのほとり


アライグマ「どうしたのだ?フェネック。急にひとりでとしょかんに行ってしまって、やっと帰って来たと思ったら、アライさんをこんなところに連れ出して?」

フェネック「ごめんねぇアライさーん。いろいろあったんだよぉ」

アライグマ「でもフェネックがいなかった間、アライさんはひとりだったけど、ぜーんぜん大丈夫だったのだ」えっへん

フェネック「…………………」

アライグマ「これもみーんなかばんさんのおかげなのだ!!」


フェネック「………………………………………ふーん。そう」
 

67: 2017/08/15(火) 11:13:18.937 ID:93p8mNfg0.net
アライグマ「えへへ…もうアライさんはフェネックがいなくても大丈夫なのだ」

アライグマ(ホントはちょっぴり寂しくてツライさんになってしまってたけど、これはフェネックには内緒なのだ///////)

フェネック「……………………」

アライグマ「それもこれもぜーんぶ、かばんさんのお蔭なのだ。かばんさんが大事な事をいっぱい教えてくれたからなのだ」

フェネック「………………………………」


アライグマ「だから今までは、フェネックに頼りっきりだったけど、もうアライさんフェネックに頼りっきりにならなくても大丈夫なのだ」
 

75: 2017/08/15(火) 15:29:03.400 ID:93p8mNfg0.net
フェネック(…………………………もう何も聞きたくない。アライさんは私の知ってるアライさん。ううん私の望むアライさんではなくなってしまった…………)

アライグマ「だからこれからは、フェネックもいっぱいアライさんに頼って―――――――」

フェネック「……………………」
ざっ…ざっ…


アライグマ「フェネックどうしたのだ?そんな怖い貌して近づいて来て、ちょっと怖いのだ?」


フェネック(――――――――――――――――)ギラッ
 

76: 2017/08/15(火) 15:40:27.727 ID:93p8mNfg0.net
アライグマ「よく分からないけど、きげんを直してほしいのだ……あっそうだ!フェネックがひとりでとしょかんに行ってる間に、コレを作ったのだ」ばっ

フェネック「……………板?板に何か書いてるみたいだけど」

アライグマ「えへへ…そうなのだ。コレは板に文字を書いたモノなのだ。かばんさんに字を教えてもらって頑張って書いたのだ」どやっ

フェネック「…………………そう。【また】かばんさんに…ね」

アライグマ「こ…これはフェネックにアライさんのキモチを書いたモノなのだ///////だからうけとってほしいn――――――」


フェネック「もう…………もういいんだよアライさん」
 

78: 2017/08/15(火) 15:51:12.586 ID:93p8mNfg0.net
アライグマ「えっ!?」
がしっ

アライグマ「フェネック?いきなりアライさんの肩を掴んでどうしたのだ?」

フェネック「…………………………ごめんね」
ガパァ…

ガブッ!!!!

アライグマ「!!!!!?」


アライグマ(くっ頸を咬まれ―――――――)

79: 2017/08/15(火) 16:04:20.766 ID:93p8mNfg0.net
フェネック「………………」

アライグマ「い…痛いのだ!!こんなことは…やっ…やめるのだフェネック……」

フェネック(………………後はこうやって引き千切れば―――――――)
ぐいっ

ブチィッッッ―――――

アライグマ「!!!!!?」
ブシュ――――――





アライグマ「―――――――――――」

 

80: 2017/08/15(火) 16:14:06.382 ID:93p8mNfg0.net
アライグマ(ど…どうしてアライさんはフェネックに頸を咬れているのだ?)

アライグマ(またフェネックに、アライさんまたやってしまったねぇ。みたいな事をしてしまったのかな?)

アライグマ(ごめんなのだフェネック…………フェネックにもうおんぶにだっこしなくてもいい様にがんばってみたけど…やっぱりダメみたいだったのだ…………)

アライグマ(ああ…だんだんと頭がぼーっとして、頭の中も真っ白くなってきたのだ…………)

アライグマ(―――――もしかしてアライさんは氏んでしまうのかな?)

アライグマ(こんな事になってしまったけど、それでもアライさんはフェネックと一緒に居られて楽しかったのだ、幸せだったのだ)

アライグマ(たまにちょっとイジワルな時もあるけど、それも全部ひっくるめて、アライさんはフェネックの事が大好きなのだ)

アライグマ(だから何があってもフェネックとずっとずっと一緒に居たかったけど……それももう無理っぽいのだ…………)


アライグマ(でも…それでも最期にフェネックに…これだけはどうしても伝えたいのだ…………)
 

82: 2017/08/15(火) 16:25:34.715 ID:93p8mNfg0.net
アライグマ「あ…ああ………ふぇ…フェネ…く…………よ――――r…――し……――――ね……………なの…d―――――…――・―――…………」
がくん――――――


フェネック「………………」


フェネック(しね……か…………)


フェネック(そうだよね…別れたかった相手にこんな事されちゃったんだもん。あはは…そう言われても仕方ない…………よね)


アライグマ「―――――――――――――」
すっ…

フェネック「………………」

            


『ふぇねっく だいすきなのだ これからもずっとずっとよろしくね なのだ』

 

84: 2017/08/15(火) 16:36:56.237 ID:93p8mNfg0.net
フェネック(アライさんが書いたこの【もじ】?。あはは…私【じ】?が読めないから、何て書いているのか、ぜんぜん判らないや)


フェネック「でも……やっぱり読めない方がいいんだろうな……………」はは…


アライグマ「―――――――――――」


フェネック「アライさんはそうじゃないかもしれないけど、私はアライさんの事が大好きだよ。もう食べちゃいたいくらい―――――――」



フェネック「だから――――――――」
 

89: 2017/08/15(火) 23:10:29.732 ID:93p8mNfg0.net
――――――


じゃぶじゃぶ…

フェネック「…………これくらいでいいかな?では―――――――」

フェネック「いただきます」

くちゃ…くちゃ…

フェネック「おいしい…おいしいよアライさん。ジャパリまんよりずっとおいしいよ…………」



フェネック「アライさんのあらい」

フェネック「―――――――っていう料理……」
 

90: 2017/08/15(火) 23:20:43.630 ID:93p8mNfg0.net
フェネック(私は【じ】?も読めないし、火も使えないから料理なんて、やっぱりできないって思ったけど。しゃしん?で見る限り、この【あらい】っていう料理なら、火も使わないし、切り身を水でじゃぶじゃぶするだけだから、これなら私にも出来るって思ったんだよ)

フェネック(それに……アライさんは何でもよく洗ってたから、この料理はアライさんを料理するのにぴったりだと思って)フフ…


くちゃ…くちゃ…

フェネック(この赤い身も、カラダのナカのプルプルしたところも、お腹のナカのヒモみたいなところも、全部…全部すっごくおいしい…………)

グちゃ…ぐちゃ…
ムニィ…ブチッィ――――


フェネック(嗚呼―――――アライさんを食べれば食べる程、アライさんが私のナカの隅々まで染み込んでいく気がする…………////////)ぽわぁ……
  

91: 2017/08/15(火) 23:27:58.640 ID:93p8mNfg0.net
ぺろり…………

フェネック(―――――ふーおいしかった。でもちょっと赤とか黒とか黄色のアライさんのお汁でべとべとになっちゃったけど……)べたべた

フェネック(舐めたら取れるかな?)ぺろぺろ…


フェネック「…………ん?あっそうだ!」

フェネック「フフ…でもこうやって………」
ぬりぬり…

フェネック(アライさんのお汁を体中に塗るのって、とってもベタベタして…すごーい匂いがするけど・…………)くんくん

フェネック(アライさんをより全身で感じる事が出来るみたい。嗚呼…このニオイこの感触……まるでアライさん色に染まってイクみたいま感覚――――――)


フェネック(アハハハハハーーーータマラナイ!!とってもたーのしー!!!!)

 

93: 2017/08/15(火) 23:35:03.877 ID:93p8mNfg0.net
フェネック(…………だいぶアライさんを堪能できたねぇ…………)ふー


フェネック「…………でも。また……食べたいな――――――」じゅる…


フェネック(ホントは体毛も骨もアライさんの全てをもっともっといっぱい食べたかったんだけど…………そういう訳にはいかないよね)

フェネック「だって私は…………」



フェネック(それでもアライさんがいない世界なんて考えられないから――――――――)

 

95: 2017/08/15(火) 23:52:48.570 ID:93p8mNfg0.net
とあるひ

とあるさばんなちほー



キラキラ…


キラキラ……


フェネック(この日を私はずっと待っていた……)


フェネック(サンドスターが、再びこのジャパリパークに降りそそぐこの時を――――――――)


 

96: 2017/08/16(水) 01:10:38.331 ID:i1A/h6d50.net
アライグマの氏骸「――――――――――――――」


ぱぁぁぁ―――――


フェネック(そう…………サンドスターがアライさんだったモノに降り注ぐ)


フェネック(この時を――――――――――)
 

98: 2017/08/16(水) 01:26:31.351 ID:i1A/h6d50.net
――――――


ぱぁぁぁぁ――――――


むく……
?(…………………こ…ここはどこなのですか?わたくしは一体――――――)きょろきょろ


フェネック「こんにちは。アライさん。ここはさばんなちほーだよ」

?「…………さばんなちほー?それに…アライさんって?あの…もしかして、わたくしはアライさんと云うのですか?」


フェネック「ええ。アナタはアライグマ。アライグマのアライさんっていうの」
 

105: 2017/08/16(水) 19:40:04.987 ID:i1A/h6d50.net
アライグマ「そうだったのですか……ではアナタは―――――――」

フェネック「はじめまして。私はフェネック」


フェネック「【アナタのフレンズ】よ」にこ


フェネック(…………そう…ダメだったら最初からやり直せばいいだけ)ペロ…


フェネック(だから私は何度でも繰り返す)


フェネック(アナタノ…アライサンノスベテガ、ワタシダケノモノニナルマデ―――――――)


おしまい。


  

106: 2017/08/16(水) 20:25:57.621 ID:jAvZ76/a0.net

夏の終わりの夜に読む陰鬱な話としてよいのだ

107: 2017/08/16(水) 20:30:00.184 ID:ZDI3uh6za.net
こういうのけものフレンズに似合わないよすき

109: 2017/08/16(水) 20:41:55.106 ID:i1A/h6d50.net
夏といえばNO涼!という事で
これを読んでも全く以って涼しくはなりませんが
本当にやっとこさ終わらせられて良かったです
あとしっかりとハッピーエンドで終わらせられたのもよかったと思います

ありがとうございました。
それでは。

111: 2017/08/16(水) 21:02:38.086 ID:i1A/h6d50.net
おまけ

フェネック(フフ…このアライさん…前のアライさんと違って大人しくてお淑やかだけど、それはそれでカワイイ……)

アライグマ「どうしたんですか?フェネックさん。私の顔なんかじっと見つめて……」

フェネック「フフ……アライさんはホントにカワイイねぇ」

アライグマ「えっ!?そっそんな事――――/////////」かぁぁ

フェネック「いえ。私はアナタの事が大好きよ。そう――――――」


フェネック「アナタの全てを食ベテシマイタイくらい‐―――――」


本当の愛はここにあるという事で。

おまけのおしまい。

引用元: フェネック「アライさんのあらい」