1: ◆2XUM89JJWNIX 2023/09/18(月) 20:20:18.04 ID:jhhPxyeA
とまマル

4: 2023/09/18(月) 20:24:57.15 ID:IevulfYz
冬毬「マルガレーテ、ソーセージとウインナーの違いを知っていますか」

マルガレーテ「知らないし、知りたくもないわ」

冬毬「ソーセージは腸に肉を詰めたものの総称です」

マルガレーテ「興味ないって言ってるでしょ」

冬毬「ウインナーはその名のとおりウィーン風で、比較的小型のものを指す分類です。また一つ賢くなりましたね」

マルガレーテ「つまり何が言いたいの」

冬毬「私の方が長身です。覚えやすいでしょう?」

マルガレーテ「わけわからないんだけど」

5: 2023/09/18(月) 20:27:03.75 ID:IevulfYz
冬毬「ウインナーコーヒーについては、今更説明するまでもありませんね」

マルガレーテ「それはそうよ。日本人に緑茶を説明するようなものね」

冬毬「そう、ウインナーを入れたコーヒーです」

マルガレーテ「待って待ってそれ本気?それとも冬毬なりのジョークのつもり?」

冬毬「それを確かめるために、今日はかのん先輩のお店に行きましょう」

マルガレーテ「なんでそうなるのよ」

6: 2023/09/18(月) 20:30:24.75 ID:IevulfYz
冬毬「ウィンウィンの関係というものがありますね」

マルガレーテ「最近の雑な名前いじりなんなの」

冬毬「お互いにメリットのある関係を意味する言葉です。和製英語だと思われがちですが、実は英語のフレーズです」

マルガレーテ「で、今度は何を言いたいの」

冬毬「マルガレーテと一緒にいたいということです」

マルガレーテ「あなたもなかなか素直じゃないのね」

7: 2023/09/18(月) 20:33:02.05 ID:IevulfYz
冬毬「千砂都先輩は何かとマルガレーテのことを気にかけています」

マルガレーテ「まあ、色々あったから。初めは目をつけられているのかと思ったわ」

冬毬「マルだから」

マルガレーテ「何か言った?」

冬毬「いえ。それが今ではすっかり千砂都先輩のたこ焼きの虜です」

マルガレーテ「悪い?いいでしょ別に、千砂都先輩のたこ焼きは絶品なんだから」

冬毬「同意です。はい、あーん」

マルガレーテ「自分で食べるわよ」

10: 2023/09/18(月) 20:36:35.00 ID:IevulfYz
冬毬「仲の良いペアを指すとき、それぞれの名前から2文字ずつを取って呼ぶことがあります」

マルガレーテ「不思議な習慣よね」

冬毬「私たちの場合、まるまりになるのでしょうか」

マルガレーテ「…いえ、それはやめましょう」

冬毬「なぜです?」

マルガレーテ「デースでずらぁな気配がするからよ」

冬毬「はぁ、ではどうします?」

マルガレーテ「…とまマル、とか」

12: 2023/09/18(月) 20:38:51.65 ID:IevulfYz
……………………………………

冬毬「はまる」

マルガレーテ「ん?」

冬毬「丸まる」

マルガレーテ「なによ」

冬毬「お気になさらず。集まる」

マルガレーテ「なんなの」

冬毬「当てはまる」

マルガレーテ「はいはい」

14: 2023/09/18(月) 20:42:24.14 ID:IevulfYz
冬毬「丸々」

マルガレーテ「さっき言った」

冬毬「先ほどのは動詞、今のは名詞です」

マルガレーテ「日本語って面倒ね」

可可「マルマル!」千砂都「まるー!」

マルガレーテ「ほら、変なことするから先輩たちが来ちゃったじゃない!ちょ、やめて、撫でないでったら!」

冬毬「とまマル…」

15: 2023/09/18(月) 20:46:28.99 ID:IevulfYz
マルガレーテ「かのんから聞いたのだけど、うまトマハンバーグっていうのがあるみたいね」

冬毬「知っています。食べたことはありませんが」

マルガレーテ「この季節限定のメニューなんだって」

冬毬「なるほど、購買意欲をインセンティブするのですね」

マルガレーテ「かのん曰く、美味しいみたい」

冬毬「トマトとハンバーグ、どちらもかのん先輩の好きなものですからね」

マルガレーテ「…」

16: 2023/09/18(月) 20:49:41.24 ID:IevulfYz
――――――――

夏美「はい、うまトマおふたつ、お待たせですの」

冬毬「お手間をおかけしてすみません、姉者」

夏美「慣れているのでノープロブレムですの」

マルガレーテ「あの、代金は」

夏美「可愛い妹と後輩からお金は頂けませんの」

冬毬「姉者…!」

マルガレーテ「先輩…!」

夏美「ふっ、お姉ちゃんはクールに去るですの」

冬毬「感謝いたします姉者。また家で」

マルガレーテ「また練習で」

17: 2023/09/18(月) 20:52:04.12 ID:IevulfYz
冬毬「では、熱いうちにいただきましょう」

マルガレーテ「そうね。わ、すごいスパイシー」

冬毬「はい。にんにくの香りが食欲を刺激します」

マルガレーテ「独特な容器ね、二段になってる。これ、どうやって食べるの?」

冬毬「セパレート式なので、ご飯とおかずとして食べてもいいですし、ご飯に乗せて丼にすることもできます」

マルガレーテ「じゃあ丼にするわ」

冬毬・マルガレーテ「「いただきます」」

18: 2023/09/18(月) 20:56:04.54 ID:IevulfYz
――――――――

冬毬・マルガレーテ「ご馳走様でした」

冬毬「美味しかったですね」

マルガレーテ「ええ。濃い味付けだったけど、夏にはもってこいかも」

冬毬「はい、夏場には体力が必要ですから。あ、お弁当がついてますよ」

マルガレーテ「何言ってるの、お弁当なら今食べたでしょ」

冬毬「ここですよ。ひょいっと」

マルガレーテ「あっ」

冬毬「ほらありました。あむっ」

マルガレーテ「ちょ、な、なんなの!?」

冬毬「ほっぺたについたご飯のことを、俗にお弁当というのです」

19: 2023/09/18(月) 20:58:35.57 ID:IevulfYz
マルガレーテ「…日本ではそういう風習なの?」

冬毬「なにがです?」

マルガレーテ「その、他の人についているお弁当?を指で取って食べるということは」

冬毬「まあ、そうですね」

マルガレーテ「誰にでもやるの?」

冬毬「誰にでもはやりません。心許せる仲の良い相手にだけです」

マルガレーテ「ああ、そう」

冬毬「どうして嬉しそうなんです?」

マルガレーテ「ふふん、さあね」

20: 2023/09/18(月) 21:01:17.06 ID:IevulfYz
……………………………………

マルガレーテ「家電売り場?」

冬毬「はい。昨夜、姉者が用紙を切らしてしまったと言っていましたので」

マルガレーテ「あの名刺の紙って、家電売り場に売ってるんだ」

冬毬「リサーチしたところ、そうみたいです。コピー用紙と同じカテゴリなのでしょう。姉者はもっぱらネット通販のようですが」

マルガレーテ「あなた、二言目には姉者姉者ね」

冬毬「はい。それが何か?」

21: 2023/09/18(月) 21:04:09.94 ID:IevulfYz
マルガレーテ「深い意味は無いわ。ただ、好きなんだなって」

冬毬「憧れています。がむしゃらに頑張る姉者の姿を、一番近くで見続けてきましたので」

マルガレーテ「ふぅん」

冬毬「マルガレーテにもお姉さんがいるでしょう」

マルガレーテ「まあ、ね」

冬毬「…適切ではない話題でしたか?」

マルガレーテ「別に、冬毬のせいじゃないわ」

冬毬「…」

22: 2023/09/18(月) 21:06:05.73 ID:IevulfYz
……………………………………

冬毬「マルガレーテ、千砂都先輩のたこ焼きを買ってきました」

マルガレーテ「!」

冬毬「一緒に食べたくて。いかがです?」

マルガレーテ「断る理由が無いわ」

冬毬「なによりです。あの、昨日のことですが」

23: 2023/09/18(月) 21:08:27.38 ID:IevulfYz
マルガレーテ「冬毬」

冬毬「っ」

マルガレーテ「なにを気にしているのかわからないけど、そういうのはやめて」

冬毬「…」

マルガレーテ「…私は気にしていないから、冬毬も気にする必要はない。それだけよ」

冬毬「マルガレーテ…」

マルガレーテ「ほら、早く食べましょう。一緒に食べるために買ってきてくれたんでしょ」

冬毬「…はいっ」

24: 2023/09/18(月) 21:10:20.62 ID:IevulfYz
マルガレーテ「はふはふ」

冬毬「たこ焼きを頬張るマルガレーテはいつも幸せそうです」

マルガレーテ「もぐもぐ。ほいひいんらもの」

冬毬「ふふっ」

マルガレーテ「ふぅ。ねぇ」

冬毬「なんでしょう」

25: 2023/09/18(月) 21:12:06.88 ID:IevulfYz
マルガレーテ「あーん、してくれないの?」

冬毬「人にしてほしいときは、まずは自分からですよ」

マルガレーテ「面倒ね。ん?」

冬毬「なんです?」

マルガレーテ「もしかして、前にあーんしてきたのってむぐっ!?」

冬毬「失礼、あーん、と言うのを忘れていました」

26: 2023/09/18(月) 21:14:31.30 ID:IevulfYz
マルガレーテ「もぐもぐ…ちょっと、いきなり食べさせて、火傷でもしたらどうするつもりよ!」

冬毬「あらかじめ冷ましておいたから問題ありません。ちょうど良い温度だったでしょう?」

マルガレーテ「むぅ…そのなんでもお見通しって表情、いつか崩してみせるわ」

冬毬「…」

マルガレーテ「…なによ、じっと見て」

冬毬「…あーんは」

マルガレーテ「ん?」

冬毬「…いえ、なんでも、むぐっ」

27: 2023/09/18(月) 21:16:42.85 ID:IevulfYz
マルガレーテ「お返しよ。お味はいかが?」

冬毬「もぐもぐ…ずるいです」

マルガレーテ「ずるい?」

冬毬「フェアではありません、不意打ちなんて」

マルガレーテ「どの口が言うのよ」

冬毬「むぅ…」

28: 2023/09/18(月) 21:26:48.40 ID:IevulfYz
マルガレーテ「ふふん、さっそく冬毬の余裕を崩してしまったかしら。この勝負、私の勝ちというわけね」

冬毬「いえ、百歩譲ってイーブンというところでしょう」

マルガレーテ「それ、負け惜しみって言うのよ」

冬毬「そちらこそ…と言いたいところですが、今回は私の負けかもしれません」

マルガレーテ「あっさりと引き下がるなんて、随分と素直じゃない」

冬毬「正直に言えば、想定外でしたので。ですが、次は私が勝ちますので、お楽しみに」

冬毬はそう言って私を真っ直ぐに見据えた。こういうときにいつも以上に真面目な表情をするのは、冬毬なりの照れ隠しだということを私は知っている。

マルガレーテ「言うわね。望むところよ、冬毬」

私もいつも以上に不敵な笑みで答えた。お互いの感情がシンクロしたような、不思議な心地よさに満たされていた。



終わり

30: 2023/09/18(月) 21:30:58.53 ID:IevulfYz
とまマルの日常短編集でした。
この二人の呼び方はいくつかありますが、個人的にとまマル呼びが好きなので採用しています。
ありがとうございました。

31: 2023/09/18(月) 21:31:37.38 ID:9Ay3OtgT
2人だけの同期って良いよね
乙乙

: 冬毬「マルガレーテ・クロニクル」