1: 2011/12/07(水) 19:03:14.90 ID:hgk7xikv0
小鷹「(隣人部でみんなと過ごした日々も今となっては懐かしいな……今頃みんなどうしてるんだろうな……)」


上司「羽瀬川くん」


小鷹「あ、はい!」


上司「さっき話したことなんだがね」


小鷹「え~と、あ、はい!書類の件でしたら…… (今は仕事に集中しなきゃな)」

3: 2011/12/07(水) 19:05:28.11 ID:hgk7xikv0

-羽瀬川家-



ガチャン



小鷹「ふぅ~、ただいま」


小鳩「おかえりー、あんちゃーん」


小鷹「おーう、ただい………」


小鳩「……?……どうしたの?」


小鷹「……くっくっく……今帰ったぞ我が十僕 よ……」


小鳩「!?……はわわわわ!あ、あんちゃん……! 勘弁してよ!」


小鷹「あはははは、悪い悪い」

4: 2011/12/07(水) 19:08:54.42 ID:hgk7xikv0

小鷹「今日はどうした?いつもより早いんだ な」


小鳩「うん、理科さんが今日は早めに切り上げて良いって言ってくれて」


小鷹「そっか、あいつも社会人してるんだなぁ」


小鳩「あんちゃんによろしくねって言ってた よ」


小鷹「はいはい、飯今から作るから待ってろな」


小鳩「あ……」


小鷹「何?」


小鳩「実はもう作っちゃった……」


小鷹「へぇー、小鳩の手料理か、久しぶりだな」


小鳩「うん、いつもあんちゃんに作らせて悪いと思って……」


小鷹「そっか……くっくっく……よくやった我が十僕よ……誉めて遣わす」


小鳩「あ、あんちゃん!」


小鷹「ははは」


小鳩「もぉー」
&

5: 2011/12/07(水) 19:10:36.68 ID:hgk7xikv0

小鷹「うん、うまいな」


小鳩「そ、そう?」


小鷹「ああ、親父に食わせたらきっと驚くぞ、『俺の小鳩がいつの間にかこんな立派になって ~』とか言ってな」


小鳩「えへへー」


小鷹「でもパスタと麻婆豆腐は変だろ」


小鳩「え?そう……かな?」


小鷹「これでトマトジュースがあったらまた言ってやるんだけどな ー」


小鳩「むー」

6: 2011/12/07(水) 19:11:56.43 ID:hgk7xikv0

小鷹「そういえばさー」


小鳩「んん?」


小鷹「みんなどうしてんだろうな……」


小鳩「みんなって?」


小鷹「隣人部」


小鳩「あー」


小鷹「卒業したきりじゃん?」


小鳩「あのあとここに越してきちゃったもんねー」


小鷹「距離が出来ると実際、交際ってなくなるもんなんだなーって、最近改めて分かったよ」


小鳩「………うん」

10: 2011/12/07(水) 19:26:01.49 ID:ywEzoh8t0

テレビ『日本!日本!わああああああ!』


小鳩「ジー」


小鷹「今どうなってんだろうな…」


小鳩「また日本負けてる……」


小鷹「いや、そっちじゃなくて」


小鳩「え?あ、ああ」


小鷹「ふぅー」


小鳩「かけてみれば?電話」


小鷹「えっ」


小鷹「いやあ、えっとその……」


小鳩「怖いんでしょ~」


小鷹「うっ」


小鳩「まぁ……分かるけどね」


小鷹「お前こそマリアとはどうしたんだよ」


小鳩「うっ」


小鷹「やっぱ俺と同じだよなー、あれだけ『うんこ!うんこ!』とか言い合う仲だったのに……」


小鳩「あんちゃん汚い……」


小鷹「でも気になるだろ?」

11: 2011/12/07(水) 19:29:12.47 ID:ywEzoh8t0

小鳩「でも電話はやだよぉ、あんちゃん……」


小鷹「んー……じゃあ見に行くか」


小鳩「えっ」


小鷹「土日に学園まで行ってさ、町をぶらぶら廻って見ようぜ、もしかしたら誰かに会えるかもしれないし」


小鳩「えー」


小鷹「なんだよ、マリアや星奈がどうしてるか気にならないのか?」


小鳩「マリアは気になるけど……変態は別に……」


小鷹「アイツだってきっといい歳なんだから『いやーん!小鳩ちゃーん!』なんてしてこないって」


小鳩「んんー……」


小鷹「ま、会えればだけどな……」


小鳩「じゃあ日本が勝ったら行く……」


小鷹「う……よ、よし、じゃあ日本が勝ったら行くんだな!約束だぞ!」


小鳩「うん!」

12: 2011/12/07(水) 19:31:36.41 ID:ywEzoh8t0

-日曜日-


アナウンス「聖クロニカ学園~聖クロニカ学園~」



プシュー、ブロロロロロ~



小鷹「ふぅー、やっぱ遠いなぁー、流石に疲れたよ」


理科「……あの……小鷹先輩……」


小鷹「お?どうした?」


理科「……いや……分かるでしょ……」


小鷹「……何だよハッキリ言えよ」


理科「……何で理科が一緒何ですか……」


小鷹「だってなー、日本負けたからなぁ」


理科「理科、会社任されてる身なんですよぉ!?なんてことしてくれてんですかぁ!」


小鷹「いや、でも日曜だし、会社……休みだろ?」


理科「ヒラはね!ヒラは!理科は社長なんです!日曜だからって簡単に休めないんです!」


小鷹「でもこうして付いてきてくれたし……」


理科「……そりゃあ、小鷹先輩たってのお願いでしたから……」


小鷹「頼むよ、な?」


理科「……ふぅー、仕方ありませんね、ていうか、ここまで来てから言われても遅いんですけどね……」


小鷹「じゃあ行くか」


理科「うん!ダーリン!」


小鷹「そういうのいいから……」


理科「……………」

14: 2011/12/07(水) 19:33:44.85 ID:ywEzoh8t0

理科「しかし先輩、これからどうするんです?」


小鷹「うーん、先だって決めた予定はないんだよな……みんながどうしてるか知れればいいくらいでいたから……」


理科「人知れない町で女社長をつれ回す…………なんてサディスティック!理科はもう!もう! 抑えきれません!行きましょう!誰も知らない所へ!そして理科と共に愛の楽園を!私を!私 を!欲望の赴くまま私を愛してえええええええ ええ!」


小鷹「まず俺の家に行ってみるか……」


理科「………………グスン」

15: 2011/12/07(水) 19:35:14.98 ID:ywEzoh8t0

-旧羽瀬川家-


小鷹「うわー、変わんねえな」


理科「…………」


小鷹「でも貸家にしてるだけあってやっぱ人住んでんのな、入れればなんて思ってたけど……」


理科「…………」


小鷹「あ、三輪車がある!家族で住んでるのか~、当然だよな~、一戸建てだもんな~」


理科「はいはい、説明乙でーす」


小鷹「な、なんだよ……どうしたんだよ理科……」

 
理科「むー……別にいいです……小鷹先輩のせいですから……」


小鷹「なんだよそれ……」


理科「で、どうするんです?行く宛も無いようじゃ理科帰っちゃいますよ?」


小鷹「わー!待て待て!えっと……そうだな……星奈の家に行こう!学校があるなら理事長がまだ住んでるはずだ!うん、それがいい!そうしよう!」


理科「さいですか……」

16: 2011/12/07(水) 19:36:27.66 ID:ywEzoh8t0

-バス内-


理科「小鷹先輩………」


小鷹「ん?」


理科 「楽しかったですよね隣人部」


小鷹 「そうだな」


理科「……楽しかったですか?……隣人部?」


小鷹「……なんだよ」


理科「いえ……楽しかったならいいんです……」


小鷹「まあ部といっても皆で馬鹿なことばっかりやってたけどな……それでも俺は楽しかったよ」


理科「………思い残したこととか無かったんですか?」


小鷹「………」


理科「ないならいいんです……」

17: 2011/12/07(水) 19:37:45.70 ID:ywEzoh8t0

アナウンス「○×△□~○×△□~」



プシュー、ブロロロロロ~



小鷹「やっと着いたな」


理科「相変わらずおっきいですねー」


小鷹「ああ」


理科「ホントに………おっきい………ゴクリ」


小鷹「ちゃんと家見てー!」

19: 2011/12/07(水) 19:40:23.14 ID:ywEzoh8t0

-柏崎家玄関前-


小鷹「う~やっぱ緊張してきたな………」


理科「しっかりして下さいよ、いい大人なんですから」


小鷹「お、おう!」


理科「……」


小鷹「じゃあ……押すぞ……」


理科「どうぞ」



ピンポーン



シーン



理科「……返事がありませんね」


小鷹「おっかしーな、留守かなぁ」



ピンポーン



シーン



理科「……どうします?」


小鷹「いないんじゃなあ、夕方に出直すか」


理科「ちょっとホッとしてません?先輩」


小鷹「べ、別にしてねーよ!」


理科「でもそうですね、夕方に出直すしかありませんね」


小鷹「残念だけどな……」


理科「行きましょうか」

20: 2011/12/07(水) 19:41:55.18 ID:ywEzoh8t0

テクテクテク



ステラ「あっ」


小鷹、理科「あっ」


ステラ「……えーと」


小鷹「ステラさんじゃないですか!久しぶりで……」


ステラ「スタタタター!」


小鷹「え!ちょっと待って!」


理科「な、なんで逃げたんですか!先輩何かしたんですか!」


小鷹「な、なにもしてねーよ!いいから追うぞ!」スタタタター!


理科「ま、待って!理科走るのわ……」

21: 2011/12/07(水) 19:43:09.84 ID:ywEzoh8t0

小鷹「(くそ!何で逃げるんだ!しかも……はええ!)」


ステラ「スタタタター!」


小鷹「(追いつけない……!ん?あ、あれは!)」


ステラ「旦那様ー!」


小鷹「え!ペ、天馬さん!?」


天馬「なんだステラ……騒がしいな、日曜くらい静かに過ごしたらどうおおおおおおお!」 スタタタター!


小鷹「(げ!今度は天馬さんがが向かってくる!)」


天馬「小鷹くぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!」スタタタター!


小鷹「な、なんなんだー!」スタタタター!


天馬「ま、待て!なぜ逃げる!」


小鷹「何で追ってくるんですかぁ!」


天馬「体勝手に………ってそれよりも……星奈のことだ!星奈をしらないか!」


小鷹「え……」ピタッ

22: 2011/12/07(水) 19:44:38.79 ID:ywEzoh8t0

小鷹「星奈は……どうしたんです……?」


天馬「ゼー……ゼー……だから……君に聞いてるんだ……ゼー……ゼー……」


理科「ハァー……先輩……やっと……追いついた……」


小鷹「家に……居ないんですか?」


天馬「そうか……君の所にもいないのか………」


理科「一体何ですか……?」


小鷹「そんなことって……!」


天馬「それが……星奈が家出したみたいでな……」


小鷹「え!? …………家出?」


理科「何ですかそれ?」


天馬「ふむ……それがはずかしい話なんだが、星奈と言い合いになってな……アイツを思って言ったつもりななんだが逆鱗に触れたようで……」


小鷹「はぁー」


理科「いい歳して家出って……」


天馬「すまない……何処か心当たりはないか?」


小鷹「と言われても………俺たちも今知ったことですし……」


理科「失礼ですが、星奈さんにお友だちは……」


天馬「君たち限りだったようだ……」


小鷹「さいですか……」

23: 2011/12/07(水) 19:46:35.95 ID:ywEzoh8t0

理科「ふーん……小鷹先輩、隣人部のメンバーにあたって見るしかなさそうですね」


小鷹「メンバーっていうと、後は夜空、幸村、マリアの3人だな」


理科「星奈さんが行くとすればこの3人のうちの誰かの家でしょう」


小鷹「どれくらい経つんです?星奈が家を出てから……」


天馬「1ヵ月だ」


小鷹「なんでまたそんなに……」


天馬「私にも非があったからな、当分はあいつの好きにさせようと思ったんだ、ただそろそろ限度が来ているようでな……」


理科「とっくに限界越えてますよ」


天馬「アイツの会社にも色々言われてな、あと少しでクビを落とすそうだ」


小鷹「アイツ……連絡いれてないのか……」


理科 「星奈先輩……相変わらずのようですね」

24: 2011/12/07(水) 19:48:13.21 ID:ywEzoh8t0

小鷹「じゃあ俺たち星奈を探しに隣人部を当たってみます」


天馬「すまないな、本当はゆっくり君たちを出迎えてやりたいところだったが…………ところで小鷹君、今日はどうしてここに?」


小鷹「星奈さんや隣人部の皆に会えたらと思って……」


理科「ちょっとビビってたくせに………」


小鷹「うるさいなぁ」


天馬「そうか……小鷹くん……星奈とは良くしてやってくれ……」


小鷹「は…はい!」


理科「………」


小鷹「じゃあ」


天馬「うん、気をつけてな」

25: 2011/12/07(水) 19:49:41.08 ID:ywEzoh8t0

-三日月家-



ガチャ



夜空「……帰ったぞ」



ダッダッダッダッダッダッダ



星奈「夜空ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


夜空「うわ!止めろ!アラサー!抱きつくなああ!」


星奈「だって……だって……ヒッグ……ヒッグ……」


夜空「はぁー……まったく……」


星奈「ゔぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」


夜空「お前なー……」

26: 2011/12/07(水) 19:51:31.39 ID:ywEzoh8t0

-夜空の部屋-


星奈「パパったらほんっとあり得ないのよ!?『少しはいい人を探したらどうだ』だって言ってさーー!余計なお世話だってのよぉ!まったくぅ!」カパ、グビグビ


夜空「なぁ……昼間から空けるなよ、そしてそれは何度も聞いた……」


星奈「なぁに言ってんのよぉ!あんたぁ!あたしの気持ち分かってんのぉ!?」


夜空「いや……私の気持ちこそ分かってくれ……」


星奈「大体職場のヤツラもそぉよ!なぁにが『今夜、一緒に食事でもどうですか?キリッ』よぉ!?お前らとなんか氏んでも行くかってぇの! 身のほどをわきまえなさいよねバァァァァァァァァァカ!」グビグビ


夜空「はぁー……氏にたい……」

28: 2011/12/07(水) 19:53:09.74 ID:ywEzoh8t0

-聖クロニカ学園 校門前-


理科「果たして星奈先輩がマリアちゃんの所に来るでしょうか?」


小鷹「て言っても近場から当たるならまずここだからな、マリアにも会いたいし」


理科「どうなってますかねぇ、マリアちゃん」


小鷹「どーかな、一応教師は続けてるらしいし、一人前の大人なんじゃないか?」


理科「だといいんですけど……」

29: 2011/12/07(水) 19:54:23.35 ID:ywEzoh8t0

-学園内-


小鷹「うわー懐かしいな!あの頃のまんまだ!」


理科「ホントですねー 、部室はどうなったんでしょうか?」


小鷹「隣人部は俺たちきりだったらしいからなぁ、空き部屋かなんかじゃないのか?」


理科「行ってみます?」


小鷹「そうだな」

30: 2011/12/07(水) 19:55:13.98 ID:ywEzoh8t0

-旧隣人部 部室-



ガチャ



小鷹「失礼しまーす………う!」


理科「な、なんですかこの臭い?し、氏ぬ!」



バタン!



小鷹「お、おい!」


理科「小鷹先輩!ここはダメです!次に行きましょう!」


小鷹「ま 、待てって!今……人が中に!」


理科「ダメです!生きているわけありません!行きましょう!」ガシッ!

31: 2011/12/07(水) 19:57:09.34 ID:ywEzoh8t0

-職員室前-


理科「うわー、中に入ってないのに臭いついちゃいましたよ」クンクン


小鷹「あの人……大丈夫かな……」


理科「いいんです!先輩!アレは氏んでいました!私達が来たときにはもう手遅れだったんです!」


小鷹「くそぉ!」


理科「過去にとらわれていては先はありませんよ!さあ立って下さい!」


小鷹「うう………」



コンコン、ガチャ



理科「失礼しまーす」


小鷹「……しまーす」


ケイト「はーい、何ー?……うわ!なに!?臭い!」


理科「あっ」


小鷹「あ、ケイトじゃないか!」


ケイト「え?あ!……ぅぅ……臭い!部屋から出て!」


小鷹「え……そんな……」


ケイト「あーもー!いいから出て!」 ドン!



バタン!



小鷹「……追い出されちゃった」


理科「……ましたね」

32: 2011/12/07(水) 20:02:41.40 ID:ywEzoh8t0

ガチャ



ケイト「も~あんた達……」


小鷹「久しぶりだなぁ、元気だったか?」


ケイト「いいからこれ!マスクして」


理科「あ!ありがとうございます!」


ケイト「兄ちゃん……マリアんとこ行ったで しょ」


小鷹「え……マリア?」

33: 2011/12/07(水) 20:03:28.15 ID:ywEzoh8t0

小鷹「確かにマリアに会いに来たんだけどな、でもまだ会ってないぞ?」


ケイト「臭いで分かるって」


理科「あ!もしかして隣人部の部室って……」


ケイト「今はマリアの一人部屋だよ」


小鷹「じゃ……じゃあ倒れてたあの人って……」


ケイト「あー、アレは寝てんだよ、兄ちゃん達、 部屋には入ってないだろ?」


小鷹「てっきり氏んでんのかと……」


ケイト「あいつもいろいろあってねー……」

34: 2011/12/07(水) 20:04:48.51 ID:ywEzoh8t0

-再び旧隣人部 部室前-


ケイト「………で、どうすんの?」


小鷹「どうするって、マリアに会いに来たんだからな、そりゃ会うよ」


ケイト「なら兄ちゃん達だけにしてくれよ、あたしはここまでだ」


理科「り……理科もここでいいです」


小鷹「このやろー………」


ケイト「じゃ、開けるよ」



ガチャ



理科「っう!」


ケイト「かぁー!」


小鷹「うう……」


ケイト「さっさと入って!」ドン!


小鷹「ま、待って!」


理科「閉めます!」



バタン!



小鷹「あいつらー……」

35: 2011/12/07(水) 20:06:32.76 ID:ywEzoh8t0

小鷹「しかし……この臭いほんっとに……」



スースー……



小鷹「あっ」


マリア「スースー……」


小鷹「ほ、本当にマリアだ……」


マリア「スースー……」


小鷹「(よくこんな部屋で……てか……綺麗になったな……特にスタイルが……ゴクリ)」

36: 2011/12/07(水) 20:07:33.61 ID:ywEzoh8t0

小鷹「マリアー、起きろー」


マリア「んー」


小鷹「おーい、マリアー」


マリア「ん……んん」


小鷹「マリアさーん」


マリア「ん………何?」


小鷹「よお」


マリア「ん………誰……………んあ!兄ちゃん!」


小鷹「よお、久し振り」


マリア「何で兄ちゃんが!はわわわ!えと……この部屋は……ケイトがやりました!」


小鷹「ケイトにはもう会ったよ……」


マリア「えーと……えーと……実は夜にデリヘルとして働いてまして……昼夜の過酷な労働のせいで精神的に支障が……そう……そのせいです!」


小鷹「いや、もっと何か思いつかないのか……それにマリアのこともケイト先生から聞いたよ……」


マリア「うー……あのババア……」

37: 2011/12/07(水) 20:08:44.71 ID:ywEzoh8t0

マリア「はいこれ紅茶」コトッ


小鷹「お、おう……………大丈夫かこれ?」


マリア「わたしも飲むし……」ズズ


小鷹「そ、そうか……」ズズ



コトッ



小鷹「教師……辞めたいんだって?」


マリア「うん……」


小鷹「どうしたんだよ、急に」


マリア「急にじゃないよ、ずっと思ってたことだから……」


小鷹「そうか……」


38: 2011/12/07(水) 20:09:38.56 ID:ywEzoh8t0

マリア「悪魔はどうしてる……?」


小鷹「……悪魔?……ああ小鳩なら理科のとこで働いてるよ、今日は来てないけどな、マリアのこと気にしてたみたいだぞ……」


マリア「……そう」


小鷹「と言っても、今はもう悪魔じゃないんだけどな……」ズズ


マリア「そっか、もう厨二じゃないんだ……」


小鷹「この前小鳩に『くっくっく、処Oの生き血はいかがかな?我が主よ』とか言ってやったら『わわわ!あんちゃん!あんちゃん!』て言って慌ててたよ」


マリア「そう……」


小鷹「………」

39: 2011/12/07(水) 20:10:48.89 ID:ywEzoh8t0

小鷹「ま、好きにしたらいいさ」


マリア「え?」


小鷹「お前が決めたことだ、今さら俺が何か言っても、お前が悩んで考えた末の気持ちは動かせないさ……」


マリア「兄ちゃん……」


小鷹「でもいくらケイトに許してもらえないからって、この有り様はなぁ……」


マリア「こ、こうすればババアも少しは堪えると思って………」


小鷹「仕事しなくなって一気にタガが外れたんだろ……」


マリア「うう……」


小鷹「あまりケイトにも迷惑かけるなよ?アイツはあれで酷いシスコンなんだから……」


マリア「………はい」


小鷹「うん、よろしい」


マリア「………えへへ」

40: 2011/12/07(水) 20:11:51.29 ID:ywEzoh8t0

小鷹「ところでマリア、星奈を知らないか?」


マリア「あー、来たよ、ここに」


小鷹「じゃあ学園に……」


マリア「んーにゃ、わたしの部屋の臭いだけ嗅いで出てったみたい…」


小鷹「なんだ……そうか……」


マリア「家出してんだって?」


小鷹「ああ、1ヵ月家に帰ってないらしい」


マリア「何やってんだかねー」


小鷹「お前も人のこと言えないぞ?」


マリア「う……」

41: 2011/12/07(水) 20:13:07.21 ID:ywEzoh8t0

コンコン



理科「せんぱーい、生きてますか?」


小鷹「あ、悪い!今行く!」


マリア「あははは、科学女も来てる」


小鷹「今度は小鳩も連れてくるよ」


マリア「えへへ」


小鷹「それじゃあな、マリア、もしかしたら暫くこの町にいるかもしれないから、なんかあったら電話してくれ」


マリア「うん、会えて良かったよ兄ちゃん」


小鷹「おう」


マリア「兄ちゃん」


小鷹「ん?」


マリア「わたしだってもう……大人の女だよ……」チラリ


小鷹「部屋の掃除が出来なきゃな」


マリア「んもー!」


小鷹「ははは、じゃあまたな」



バタン



マリア「………えへへ」

42: 2011/12/07(水) 20:14:25.77 ID:ywEzoh8t0
-夜空の部屋-



夜空「……パラ……パラ……」



パタン



夜空「なあ」


星奈「……なに?」


夜空「どうするんだ、これから………お互いもういい大人なんだ、いつまでもこうしていられないことくらい分かるだろう……」


星奈「………はい」


夜空「もう1ヶ月になる……少しは私の身にもなってくれ……お前の気持ちも分かるがな……」


星奈「……ごめん」

43: 2011/12/07(水) 20:15:31.96 ID:ywEzoh8t0

夜空「じゃあ私は司書の仕事があるからもう行くぞ、帰りは夕方過ぎるかもしれん」


星奈「日曜なのに忙しいんだ……」


夜空「全くだ、あっちであくせく働いて、その上家に帰れば同居人の世話をしなくてはいけないの
だからな」


星奈「ホントにごめん……」


夜空「ふぅー……」


星奈「………」


夜空「じゃあ行ってくる」


星奈「……うん」


夜空「……なあ星奈」


星奈「なに?」


夜空「図書館も静かで良いところだ……たまには本でも読みに来い」


星奈「……うん」


夜空「じゃ」



バタン

44: 2011/12/07(水) 20:16:46.76 ID:ywEzoh8t0

-再びバス内-


アナウンス「次は~○×△~○×△」


理科「しかしマリアちゃん大人になってましたね、理科びっくりしました」


小鷹「ああ、成長ってのは恐ろしいな……少し見とれちゃったよ」


理科「うう~……理科にはそんなこと言ってくれないのに……」


小鷹「理科も十分綺麗だぞ?」


理科「はいはい、お世辞はいいんです、理科こうみえて社長なんですから、そういった言葉は聞き飽きてるんです」


小鷹「なんだよ……素直じゃねえな……」


理科「でも本当にマリアちゃん綺麗になりましたね、出るとこ出て……引っ込むとこ引っ込んで……うう……理科もう挫けそうです……」


小鷹「だ、大丈夫だ!理科、お前にもマリアに劣らない魅力的なところが沢山あるじゃないか!」


理科「一体どこを指して言ってるのやら……このプリン頭野郎は……」


小鷹「えと……心の底では相手を思いやってくれてるとことか」


理科「…………だ、騙されませんよ?」

45: 2011/12/07(水) 20:18:26.60 ID:ywEzoh8t0

小鷹「一見好き勝手してるようだけど、真に相手を思いやって行動出来るのは理科のすごく良いところじゃないか!」


理科「ぅ……は…恥ずかしいです……もう結構です……小鷹先輩……」


小鷹「いや、まだあるぞ!礼儀正しいのに時たま見せる可愛らしい仕草とか、一途に歯止めの効かないところとか、それから……」


理科「は、恥ずかしいって言ってんだろがぁ!」バキッ!


小鷹「うがっ!」

46: 2011/12/07(水) 20:19:48.91 ID:ywEzoh8t0

理科「しかし先輩、これからどうします?探すといっても幸村くんの住所は理科達知りませんよ?なら次は夜空先輩ですか?」


小鷹「……そ、そうなるな……そのつもりでバスに乗ったんだし……」ヒリヒリ


理科「しかし変わらずに今もそこに住んでるでしょうか……夜空先輩」


小鷹「どうかな、こればっかりはアイツの家に行ってみないと」


理科「その意気で電話すればいいのに……」


小鷹「い、いいから行ってみようぜ!」


理科「はいはい」

47: 2011/12/07(水) 20:21:27.88 ID:ywEzoh8t0

アナウンス「次は~○×△~○×△~」



プシュー、ブロロロロロ~



-三日月家 玄関前-


小鷹「あ、やっぱりあの時のままだ」


理科「表札がちゃんとありますね、よかったです



小鷹「ああ、『三日月』なんて苗字そうそういないからな、まず間違いないだろ」


理科「じゃあ押してください」


小鷹「え、また俺が!?」


理科「当然です、理科にやらせるつもりですか?さっきの勢いで理科をエスコートしてくださいよ」


小鷹「わ、分かったよ……」



ピンポーン

49: 2011/12/07(水) 20:25:32.09 ID:ywEzoh8t0

-夜空の部屋-



ピンポーン



テレビ『かなーしーみのー……むーこぉーえとー……たどりー……』


星奈「信じらんない!あり得ない!なにこの終わりかた!あり得ないっしょ普通!言葉ちゃんがぁ!私の言葉ちゃんがぁ!………ぅぅ…………う…………ゔわぁぁぁぁぁぁん!!」



ピンポーン



テレビ『せーいじゃくのやーみにー……』


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁん!」

50: 2011/12/07(水) 20:26:53.48 ID:ywEzoh8t0
-再び三日月家 玄関前-



ピンポーン



小鷹「……出ないな」


理科「ですね……」


小鷹「出掛けてるのかな」


理科「夜空先輩がですか?あり得ませんよ、ああいう手合いは土日、暗い部屋で読者かゲームをしてるはずですから」


小鷹「お前なぁ……」


理科「でもホントにいないようですし、出直すしかありませんね」


小鷹「そうだなぁ……行くか」

51: 2011/12/07(水) 20:30:51.22 ID:ywEzoh8t0

-再び夜空の部屋-


星奈「誠ぉぉぉぉぉぉぉ![ピーーー]ぇぇぇぇぇぇ!ゔわぁぁぁぁぁぁん!」


-小鷹たち一行-


小鷹「(何か聞こえるな……)」


理科「行きますよ?小鷹先輩」


小鷹「あ、ああ……」テクテク

53: 2011/12/07(水) 20:36:13.74 ID:ywEzoh8t0

-とある喫茶店-


店員「いらっしゃいませ」


理科「しかし参りましたねー、もう星奈先輩が行きそうなところありませんよー」


小鷹「ああ……全くどこにいるんだか……」


理科「もしかしたら……この町にはもういないんじゃないんですか?」


小鷹「たしかになー……でも、頼る宛もなくここを出るかな?アイツの友達って俺たちきりらしいじゃんか……」


理科「『友達』ね……」


小鷹「…………」


理科「もしかして………彼氏のとことか………?」


小鷹「っ!」


理科「…………えへ」


小鷹「…………」


理科「だってあんな派手な容姿にあのスタイルですよ?その上成績優秀、スポーツ万能、努力を知らない天才気質…………性格こそ難ありですけど、それでも付き合いがないって方が変ですよ、ねえ先輩?」


54: 2011/12/07(水) 20:37:52.81 ID:ywEzoh8t0

小鷹「確かに……な……」


理科「惜しいことしましたね、小鷹先輩、逃した魚は大きいですよ……?」


小鷹「知るかよ……もう昔のことだろ……」


理科「でも………理科は小鷹先輩は正しかった思います………」


小鷹「………」


理科「……あの時の理科たちには荷が勝ち過ぎたんですよ……小鷹先輩にも……夜空先輩にも……星奈先輩にも……」


小鷹「俺は……あのままでいたかったんだ……」


理科「……でも確かに……もう昔のことなんですよねー」


小鷹「…………」


店員「おまたせしました、こーひーとけーきになります……」カチャ


55: 2011/12/07(水) 20:42:46.33 ID:ywEzoh8t0

小鷹「とにかく、今は今だ……星奈を見つけて……夜空に会って……話はまたそれからだ」


理科「そうですね……」


店員「……こちらだーじりんとくっきーです……かっぷがおあつくなっておりますのできをつけておのみください……」カチャ


理科「どうも」


小鷹「しかしこれからどーするよ?行く宛もないんじゃ探しようがないぞ?」


理科「夕方まで待って、また夜空先輩を訪ねるしかありませんね……」


小鷹「だよなぁ……」ズズズ


理科「はぁー……」モグモグ


店員「テクテクテク……」


56: 2011/12/07(水) 20:47:01.62 ID:YxQAXA+70

小鷹「ズズズ……」


理科「モグモグ……」


店員「テクテクテク……」






小鷹「ズズズ……」


理科「モグモグ……」


店員「テクテクテク……」






小鷹「………」


理科「………」


店員「テクテクテク……」






小鷹、理科「!?」

57: 2011/12/07(水) 20:48:15.86 ID:YxQAXA+70

理科「い、今のって……!」

小鷹「だよ……な……」



タッタッタッタッタ



小鷹「幸村!」


幸村「あにき、このようなところで……おひさしくございます」


小鷹「髪伸びたんだなぁ!全然気づかなかったよ!」


幸村「めんぼくございません……あにきとあわないうちにこのようにいろをたしなむようになってしまいましたうえ……おのぞみとあらば……ここできります」シャキーン


小鷹「いやいやいや!そんなんじゃねえって!似合ってるぞ、すごく!」


幸村「あにき……」ポッ


理科「ぐ……これまたスゴい美人になって……」

58: 2011/12/07(水) 20:49:53.17 ID:YxQAXA+70

ゴトン



幸村「どうぞあにき、けーきです」


小鷹「いや……ワンロールはちょっと……」


理科「幸村さん……もしかして最初から理科たちに気づいてました?」


小鷹「え?」


幸村「はい……しかしわたしはしょうがいあにきにつかえるみ……ひさしくあわなかったからといってかんじょうをあらわにしてはぶしとしてあまりにみじゅくとおもい、かげむしゃとしてのにんをまっとうしようとしたしだいです」


理科「ふむ……そうでしたか」


小鷹「あいかわらず読みにくいなぁもぉ!」

59: 2011/12/07(水) 20:51:18.74 ID:YxQAXA+70

小鷹「………実はかくかくしかじかという訳なんだ」


幸村「………そうだったんですか………星奈の姉御が家出を………」


理科「(………直ってる!)」


小鷹「ああ、でもその様子だと幸村のとこには来てないみたいだなぁ」


幸村「はい……もしいらっしゃれば間違いなくお出迎えしていますから……」


小鷹「そうか……」


理科「(………ツッコミなし!?)」


60: 2011/12/07(水) 20:52:22.43 ID:YxQAXA+70

幸村「それでしたらあにき、夜空の姉御の所ではないでしょうか?」


小鷹「ああ、俺たちもそう思ってな、ここに来る前にアイツんちに行ったんだ、でも留守でさぁ……」


幸村「あにき………おそらく夜空の姉御は今お勤めをされています………」


小鷹「え…仕事?」


理科「あ、それで」


幸村「はい……星奈の姉御が夜空の姉御の所にいるかは存じませんが、夜空の姉御が家にいないのはそのためでしょう……」


小鷹「そうだったのか……」


理科「どうします?先輩」


小鷹「決まってるだろ、幸村、夜空はどこで働いてるんだ?」


幸村「はい、姉御は………」

61: 2011/12/07(水) 20:53:46.01 ID:YxQAXA+70

-図書館-


小鷹「図書館かー、まぁ夜空らしいな」


理科「やっぱり理科の言う通りでしたね先輩、きっと夜空先輩、今本読んでますよ」


小鷹「理科には敵わないなぁー」


理科「ささ、行きましょう」


小鷹「ま、待てって!」

62: 2011/12/07(水) 20:54:39.50 ID:YxQAXA+70




小鷹「広いな……」


理科「ちょっとびっくりですね……町外れにこんな立派な図書館があったなんて……」


小鷹「そこで働いてるんだから夜空は大したもんだよ」


理科「ですねー、まあもともと本ばっかり読んで…………わわわ!先輩!こっち!隠れて!」グイ


小鷹「うお!なんだよ!」

63: 2011/12/07(水) 20:56:54.84 ID:YxQAXA+70

コソコソ



小鷹「おい理科……」


理科「先輩、あれ……」


小鷹「え?」


理科「ほら……貸出カウンターの……」


小鷹「…………あ!」


理科「しー!」


小鷹「よ……夜空……」


理科「ね?」


小鷹「アイツ……なんでジャージなんだ……!」

64: 2011/12/07(水) 20:57:58.57 ID:YxQAXA+70

理科「夜空先輩も相変わらずみたいですね」


小鷹「ありえねーだろ!ここの図書館、俺が今まで見た中で一番スゴい施設だぞ!」


理科「理科だってそうですよ、こんな立派な建物見たことないです」


小鷹「アイツ……相変わらず勝手してんな……」


理科「で、どうします?」


小鷹「どうするって言っても………勤務中に話しかけるのもな……」


理科「きっと夜空先輩、小鷹先輩を見た瞬間に跳ね上がりますよ」


小鷹「だよなあ」


理科「小鷹先輩、理科にnice ideaがあります!」


小鷹「………とりあえず聞こうか」

65: 2011/12/07(水) 20:58:56.17 ID:YxQAXA+70

理科「はいコレ!」


小鷹「へ?」


理科「コレで万事おっけーです!」


小鷹「いや………お前これ………いくらなんでもアナログ過ぎんだろ………」


理科「なに言ってんですか、帽子くらい気軽に素性を隠せるものなんて他にありませんよ 」


小鷹「もっと近未来的なものが出てくるとおもったんだけどなぁ……」


理科「甘えたこと言わないでください、夢なんて見てないで現実見てください」


小鷹「……しょうがないなぁ」キュッ


理科「武運を祈ります!」


小鷹「オーライ……」

66: 2011/12/07(水) 21:02:38.73 ID:YxQAXA+70

小鷹「(どれにするかな…………なんでもいいか………よしコレだ!)」


-貸出カウンター前-


小鷹「…………」


夜空「…………ペラ……」


小鷹「…………あの……」


夜空「…………ペラ……」


小鷹「…………」


夜空「…………ペラ……」


小鷹「…………」


夜空「…………ペラ……」


小鷹「すいませぇん!」


夜空「んなぁ!」


小鷹「こ……これ借りたいんですけど……」


夜空「…………チッ」


小鷹「(コイツ……今……)」

67: 2011/12/07(水) 21:04:24.82 ID:YxQAXA+70

ペラペラペラペラ、パタン


夜空「貸出は2週間になります………」


小鷹「は……はい」


夜空「……………」


小鷹「……………」


夜空「……………あの」


小鷹「は、はい!」


夜空「……………カード」


小鷹「へ?カード?」


夜空「カード」


小鷹「ええと………」


夜空「はぁー………………ナニカンガエテルンダコイツハ」


小鷹「あの………」


夜空「貸出カードがないと貸出できません」


小鷹「カード………あ!」


夜空「この本は元あった場所に戻しておいてください」


小鷹「あ………」


夜空「…………ペラ………」


小鷹「あの……」


夜空「…………ペラ………」


小鷹「…………ぅぅ」

68: 2011/12/07(水) 21:05:47.76 ID:YxQAXA+70

-図書館 入口-


理科「理科としたことが……貸出カードのことを忘れるなんて……うっかりでした……」


小鷹「いや、それよりもなんだよアイツの態度!信じらんねえ!ジャージで受付してるのもそうだけど、舌打ちだのなんだのって………!」


理科「そこはそれ昔のままの夜空先輩だったってことですよ」


小鷹「はぁー……なんだかなー……」


理科「とりあえず閉館まで待ちましょう」


小鷹「………帰りたいよ………小鳩………」

69: 2011/12/07(水) 21:08:35.49 ID:YxQAXA+70

-閉館後-


夜空「はぁー……疲れた……」テクテクテク






小鷹「何が疲れただよ!ずっと本読んでただけのくせによ!」






夜空「な……………!」バッ


小鷹「よう」


理科「お久しぶり振りです!夜空先輩!」


夜空「あ………お………お前ら………!」


70: 2011/12/07(水) 21:10:30.87 ID:YxQAXA+70

小鷹「何だよ、俺のこともう忘れたのかよ」


理科「なに言ってんですか、忘れるわけないでしょ、ね、夜空先輩?」


夜空「………ぅ………ぅ………ぅぅ………」


小鷹「お………おい………」


理科「あらら……」


夜空「うう…………う…………グスン」


理科「あーあ、小鷹先輩、じゃあ後任せますね………」


小鷹「お、おい理科!」


夜空「ううううう……………グスン………………うわぁぁぁぁぁぁぁん!小鷹ぁぁぁぁぁぁ!」ガシッ


小鷹「………………よしよし、ほら泣くなよ、な?」


夜空「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


小鷹「泣くなって………」


夜空「小鷹ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


小鷹「…………泣くなっての」


夜空「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

71: 2011/12/07(水) 21:12:14.33 ID:YxQAXA+70
-バス内-


小鷹「おい夜空、大丈夫か?酷い顔になってんぞ?」


夜空「だ、大丈夫だ、問題ない……」


理科「小鷹先輩……それ……およそ女性に言っていい言葉じゃありませんよ……」


小鷹「あ……ああ、悪い」


夜空「いや……いいんだ……確かに……酷い有り様だったからな……」


小鷹「目一杯泣いてたもんなぁ」


理科「スゴい泣きっぷりでしたからねぇ………1リットルくらい出たんじゃないですか?」


夜空「こ、これ以上は言うな!恥ずかしい………」


理科「『小鷹ぁ!小鷹ぁ!』」


夜空「くっ!」ベシッ!


理科「痛ぁー!」


小鷹「おいおい………」

72: 2011/12/07(水) 21:13:23.50 ID:YxQAXA+70

小鷹「しかし夜空が図書館の司書になってたとはなぁ……しかもあんな立派なところで」


夜空「図書館は静かで良いところだからな……本に囲まれるのも好きだったから前々からなりたいと思ってたんだ」


理科「でも大変だったんじゃないですか?採用試験」


小鷹「そうなのか?」


夜空「ふっふっふ………倍率なんと5000倍だ」


小鷹、理科「ご、5000倍!」


夜空「だからまぁ、私は選びに選び抜かれたスーパー司書ということになるな…………ふ」


理科「5000倍………」


73: 2011/12/07(水) 21:14:32.13 ID:YxQAXA+70
……」


小鷹「ど、どんな試験だったんだ?」


夜空「なに……文学について簡単な質問があったくらいだ、まぁ私にとっては常識レベルだったがな」


理科「面接とか無かったんですか?」


夜空「あったぞ、それが一番の難所だったな………」


小鷹「どうやって乗り越えたんだ?」


夜空「さすがにその時の私では無理があったのでな………適当な演劇団に入って、面接で自分を偽る特訓をした」


小鷹「こ……こいつ」


74: 2011/12/07(水) 21:15:30.16 ID:YxQAXA+70

夜空「苦労したよまったく……劇団のヤツ
らが鬱陶しいのなんのと……」


理科「こ、ここまで不純な動機はそうそうありませんね……………理科、この世の悪を見ているかのようです……………」


夜空「しかし努力した甲斐もあってな、うまく面接官どもも騙せて見事採用された、今後の人生でも有力であろうスキルも身に付けられて一石二鳥とはまさにこのことだな…………はっはっは!」


小鷹、理科「……………」


76: 2011/12/07(水) 21:17:35.10 ID:YxQAXA+70

小鷹「だけどなぁ、夜空………あの受付態度はどうなんだ………?」


夜空「………?………なんだ?」


小鷹「だから受付がな………」


理科「夜空先輩………小鷹先輩は今日、貸出カウンターまで行って夜空先輩と話してるんですよ」


夜空「?」


小鷹「あんなの会話にすらなってなかったけどな……」


理科「確かに……」


夜空「どういう………?」


理科「小鷹先輩」


小鷹「……よし」


夜空「…………?」


77: 2011/12/07(水) 21:19:19.73 ID:YxQAXA+70

小鷹「『すいませぇん!』」

夜空「んなぁ!…………………………あ」






理科「思い出しました?」


夜空「小鷹…………お前あのときの帽子だったのか……………」


小鷹「ばれるんじゃないかってヒヤヒヤしたんだけどな……」


理科「ね、先輩?帽子は偉大でしょ?」


小鷹「まぁな」


夜空「そうだったのか………」


小鷹「酷い対応だったぞあれ…………いつもああなのか?」


夜空「………採用当時は上手く演技してたんだがな、思いのほか疲れるので最近はいつもああだ…………楽な仕事だと思ったんだがな」


小鷹「お前に合格された他の受験生が可哀想過ぎるな………」


理科「理科だったら呪ってます………」


78: 2011/12/07(水) 21:20:48.26 ID:YxQAXA+70

小鷹「それになんでまたジャージなんだ?………いくらなんでもその格好で司書って………」


夜空「動きやすいからに決まっているだろう」


小鷹、理科「……………」


小鷹「………いや………でもな………」


夜空「司書といっても仕事のうちには本の運搬とか肉体労働も含まれるからな、その点においてジャージは最強なんだ」


小鷹「一見、利にかなってるけどな………」


理科「人としてアレですね………」


小鷹「お前も相変わらずだったんだなぁ……」


夜空「う、うるさい!」


理科「あ、着きますよ」


アナウンス「次は~○×△~○×△~」



プシュー、ブロロロロロ~

79: 2011/12/07(水) 21:21:57.45 ID:YxQAXA+70

-喫茶店 入口前-


小鷹「しかし今気づいたんだが………」


理科「ええ………理科もです…………」


夜空「なんだ、知らなかったのか?」



『喫茶店 幸村』



小鷹「幸村って書いちゃってるなこれ……」


理科「これに気づかずにいたんですから……理科たちはとんだ間抜けですね……」


夜空「ほら、行くぞ」

80: 2011/12/07(水) 21:23:00.45 ID:YxQAXA+70

カランカラーン



小鷹「よう、幸村」


幸村「あにき、お帰りなさいませ……おや……夜空の姉御にも会えたようで……」


小鷹「ああ、おかげさまでな」


理科「理科、1日歩いてヘトヘトですぅー」


幸村「お食事を用意しておきました……召し上がってください……」


理科「やったぁー!」


小鷹「店いいのか?幸村」


幸村「はい……久しぶりにあにき達がいらっしゃったのですから、今日は貸し切りにしましょう………」


小鷹「悪いなぁ」


夜空「みんなで食べるのもひさしぶりだな」


理科「ささ、みなさん食べましょう!」


小鷹「そうだな」

81: 2011/12/07(水) 21:24:14.21 ID:YxQAXA+70

-喫茶幸村-


小鷹「うまい!」


幸村「それは何よりです………まだまだありますゆえ、どんどん召し上がってください………」


夜空「し…しかしスゴい量だな………」


理科「パスタなんて理科の知ってるやつ全部ありますよ……ミートソース、カルボナーラ、ペペロンチーノ、ナポリタン……etc……etc ……」


幸村「店の総力をあげて作りましたゆえ………」


夜空「店のメニュー全部がここにあるわけか………」


幸村「はい………」


小鷹「流石に食べきれないなぁ………マリアとケイトを呼ぶか………」


理科「あ、いいですね」


夜空「そうだな」


小鷹「よし、ちょっと待ってろ」

82: 2011/12/07(水) 21:25:23.95 ID:YxQAXA+70

-店の外-



カランカラーン



小鷹「えっと………マリアは………」ピッポッパッポ



プルルルルルル



プルルルルルル



ガチャ



小鷹「あ、もしもし……マリア?」


マリア『もしもし兄ちゃんかぁ?』


小鷹「おう、悪いなぁ、さっき会ったばっかりなのに」


マリア『あははは、兄ちゃんなら全然いいぞぉ、なんだぁ?』


小鷹「実はいま夜空たちと一緒に幸村の店でご馳走になってるんだけどな、それが食べきれないくらいなんだ」


マリア『え………』

83: 2011/12/07(水) 21:27:25.56 ID:YxQAXA+70

小鷹「だからな、隣人部の久しぶりの集まりも兼ねてケイトも連れて食べに来ないか?」


マリア『…………』


小鷹「マリア………?」


マリア『それは………まことでございますか………?』


小鷹「………?………おう、いっぱいあるぞ?マリアとケイトが来ても食べきれるか分からないくらいだ………」


マリア『具体的にはどのような………?』


小鷹「そうだな………イタリアンがほとんどだな………スパゲッティとかピザとか………ああ、ローストビーフとかサラダもあるぞ」


マリア『……………マジ?』


小鷹「ああ」


マリア『……………』


小鷹「…………マリア?」


84: 2011/12/07(水) 21:28:57.35 ID:YxQAXA+70

マリア『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁほぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!』


小鷹「お、おいマリア!」


マリア『兄ちゃん!すぐ行くからな!わははははは!食べ終わったら承知しないぞぉぉぉ!』


小鷹「け、ケイトもちゃんと連れてくるんだぞ!あと、体洗ってこいな!」


マリア『ケイト?なんだそれ?わははははは!待ってろな兄ちゃん!飛んでいくから!わははははは………!』ガチャ



ツー…ツー…ツー…

85: 2011/12/07(水) 21:30:16.34 ID:YxQAXA+70

小鷹「(……………大丈夫かな、アイツ)」



カランカラーン



夜空「小鷹、早くしろ、私たちだけじゃ食べきれん」


小鷹「あ、悪い、今行く」


理科「先輩……理科もう食べられません……助けて……ウップ」


小鷹「はいはい………」

86: 2011/12/07(水) 21:31:13.97 ID:YxQAXA+70

-再び喫茶店内-



ゴクゴクゴク



理科「プハー!…………ウップ…………えへへ」


小鷹「お、おい理科………飲み過ぎだって………顔真っ赤だぞ………」


理科「なんてことないれすよ小鷹先輩………ウップ………えへへ………それより理科と結婚してください………ウップ」


小鷹「お前なー………」


夜空「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃ!」


小鷹「うわ!よ、夜空!」


夜空「やっちまったなぁぁぁ!」


小鷹「………………へ?」


夜空「男は黙って………!」


理科「はしご酒!」


夜空「男は黙って………!」


理科「はしご酒!」


夜空、理科「あははははははははは!」


小鷹「なんだかなぁー………」


87: 2011/12/07(水) 21:32:24.29 ID:YxQAXA+70

幸村「あにき………」


小鷹「幸村………お前は大丈夫か?」


幸村「あにき………よくぞご無事で………」


小鷹「…………え?」


幸村「本能寺で明智の者どもに火囲いになっと聞いた時には………わたくし………この身を焼かれる思いでした………本当によくぞご無事で…………わたくし…………わたくし…………それだけでもう…………グスン」


小鷹「ダメだこりゃ…………」

88: 2011/12/07(水) 21:33:39.22 ID:YxQAXA+70

カランカラーン



マリア「兄ちゃーん、来たぞぉ!」


小鷹「おお、よく来たな!…………あれ…………ケイトは?」


マリア「えへへ……………今ごろ気絶してる」


小鷹「え!?」


マリア「兄ちゃんとこ行ってくるって行ったらな、『あんた!それより仕事に復帰しなさい!』なんて言うからなぁー、首根っこ叩いて1人で来ちゃった、あははは!」


小鷹「だ、大丈夫なんだろうなそれ……」


マリア「あんなんで氏ぬならとっくに天に召されてるって、大丈夫、大丈夫」


小鷹「(…………すまない…………ケイト)」


夜空、理科、幸村「zzz………zzz…………」

89: 2011/12/07(水) 21:34:35.26 ID:YxQAXA+70

ガツガツ、ムシャムシャ



マリア「うん!うまい!」


小鷹「幸村が作ったんだ、後で礼言っとけよ」


マリア「うん!」ガツガツ、ムシャムシャ

91: 2011/12/07(水) 21:35:40.97 ID:YxQAXA+70

マリア「プハー………お腹いっぱいだ………ゲップ」


小鷹「おう………よく食べきれたな………すげぇな………」


マリア「最近ずっとインスタントだったからなぁ、手料理が食べたくってしょうがなかったんだよ………あーでも、もうお腹いっぱい………もう無理………ゲップ」


小鷹「インスタントばっか食ってるシスターって………全然ありがたくねえな………」


マリア「だってなぁ、仕事サボりだしてからババアが食事にまで規制かけるようになってなぁ、コンビニで買うしかなかったんだよ、そりゃあもう大変だったんだぞ兄ちゃん」


小鷹「そっか………ケイトも大変なんだなぁ」


マリア「なんでわたしじゃないんだ?」


小鷹「だってなぁ……」

92: 2011/12/07(水) 21:38:20.66 ID:YxQAXA+70

小鷹「マリア…………教師辞めた後どうするんだ?」


マリア「そうだなぁ………とりあえず辞めたいって思ってただけだから………そのあとは全然考えてなかったなぁ」


小鷹「そりゃケイトも止めるって」


マリア「むー」


小鷹「就職とか?」


マリア「それが出来ないだろうってことは社会人になった兄ちゃんが一番よく分かってるだろ?」


小鷹「………だな」


93: 2011/12/07(水) 21:39:34.79 ID:YxQAXA+70

マリア「どうするかなー………」


小鷹「………」


理科「はい!理科に任せてください!」


小鷹「おわ!お前起きてたのかよ!」


理科「うぇへへ………マリアちゃん…………理科の会社で働きますか………?…………ヒック」


マリア「え………ほんと?」

94: 2011/12/07(水) 21:40:50.13 ID:YxQAXA+70

小鷹「おい、いいのかよ理科、酒も抜けてないのにそんなこと決めちゃって……」


理科「なに言ってんですか、このプリン頭は……ヒック……理科は社長なんですよ?………何でも出来るに決まってるじゃないですか………ヒック」


マリア「兄ちゃん………その会社って確か………」


95: 2011/12/07(水) 21:41:47.95 ID:YxQAXA+70

小鷹「ああ!小鳩が働いてるところだ!よかったなマリア!」


マリア「えへへ………また小鳩に会えるんだ………グスン………」


小鷹「泣くなってマリア、でも………よかったなぁ!」


マリア「えへ………えへへ………ぅ………ぅぅ………う………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!よがったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


理科「いやーん!もう!泣いてるマリアちゃんかわいい!………ヒック」


小鷹「よーし!マリアの就職祝いだ!もっと飲むぞぉ!」


理科、マリア「おおおおおおおおお!」



アハハハハハハ!ワイワイ

97: 2011/12/07(水) 21:42:37.39 ID:YxQAXA+70

-夜空の部屋-



ピコピコ、ピコピコ



星奈「……………」



ピコピコ、ピコピコ



星奈「……………」



ピコピコ、ピ……



星奈「……………おそいなぁ、夜空」

98: 2011/12/07(水) 21:44:51.08 ID:YxQAXA+70
-翌朝 AM 9:00- ※月曜日です



チュンチュン、チュンチュン



小鷹「ん………ん………んあ?」






夜空「………zzz………zzz………」


理科「………zzz………zzz………えへへ………むにゃむにゃ………」


幸村「………zzz………zzz………あにき………zzz」


マリア「スー………スー………」



小鷹「………………………?」



チュンチュン、チュンチュン



小鷹「!!!!!!!!!」

101: 2011/12/07(水) 21:47:12.06 ID:YxQAXA+70

チュンチュン、チュンチュン



小鷹「理科ぁぁぁぁぁぁ!起きろぉぉぉぉぉぉ!」


理科「ん…………んあ…………あ……………おはようございます…………小鷹先輩…………」


小鷹「理科!大変だ!今日は月曜日だ!」


理科「え?……………あ……………ああああああああああああ!」


小鷹「夜空!お前もだ!仕事あるだろ今日!」


夜空「んん…………昨日祝日勤務だったから…………今日は休みだ…………zzz」


理科「わわわわわわわわわ!どうしよう!どうしよう!」オタオタ


小鷹「あーもぉー!会社に何て言えばいいんだよ!」アタフタ


理科「小鷹先輩!理科、夕方に大事な会議があるので!すぐに帰ります!マリアちゃんの件もその時に突っ込んでおきますから!」ドタバタ


小鷹「ああ!よろしく頼む!気をつけて帰れよ!」


理科「では!」スタタタター!


102: 2011/12/07(水) 21:49:04.09 ID:YxQAXA+70

夜空「………zzz………zzz………」


幸村「………zzz………zzz………あにき………zzz」


マリア「スー………スー………」






小鷹「はぁー………」




チュンチュン、チュンチュン



小鷹「……………会社休むか」

103: 2011/12/07(水) 21:49:56.78 ID:YxQAXA+70

-数時間後 町内-



テクテクテク



夜空「………じゃあ今日1日ここにいるのか?」


小鷹「ああ、会社にはもう連絡したよ、理由つけるの大変だったよまったく………」


夜空「昨日はみんなはしゃいだからなぁ」


小鷹「マリアまで酒飲んじゃうんだもんなぁ、なんだかおかしかったよ」


夜空「仕事が決まってよっぽど嬉しかったんだろうな」


小鷹「まぁな………ただ、ケイトはさみしがるだろうなぁ」


夜空「しかし、これでマリアもれっきとした社会人になるわけだ」


小鷹「あのマリアがなぁ……」


夜空「あの頃の私たちからじゃ考えられないな」


小鷹「ほんとだな」



テクテクテク

104: 2011/12/07(水) 21:51:09.33 ID:YxQAXA+70

-三日月家 玄関前-


小鷹「夜空の家にあがるのも随分久しぶりだな」


夜空「ああ、高校の時以来だな」


小鷹「10年くらい前か………」


夜空「そうだな………まぁ今日は私も休みなんだ、ゆっくりしていけ」


小鷹「ああ」

105: 2011/12/07(水) 21:53:00.63 ID:YxQAXA+70

ガチャン



夜空「帰ったぞ…………………あ゙!」


小鷹「………?………どうした?」



バタン!



小鷹「夜空?」


夜空「ちょっと来い!」グイ


小鷹「お、おい!お前んちここだろ!」


夜空「いいから来い!」スタスタスタ

106: 2011/12/07(水) 21:54:39.75 ID:YxQAXA+70

-夜空の部屋-


星奈「夜空ぁー?帰ったのー?」



シーン



星奈「………?………気のせいかしら?」

107: 2011/12/07(水) 21:55:36.08 ID:YxQAXA+70

-近くの公園-


小鷹「おい、どうしたんだよ?」


夜空「……………忘れてた」


小鷹「……………何を?」


夜空「……………」


小鷹「……………おい」


夜空「……………星奈」ポツリ


小鷹「え?」

108: 2011/12/07(水) 21:56:22.88 ID:YxQAXA+70

夜空「星奈がウチにいるんだった…………」


小鷹「星奈?…………星奈…………あ、そうだ!」


夜空「しまったなぁ」


小鷹「夜空!星奈が家出したらしいんだ!」


夜空「あぁ、よく知ってるよ、毎日のようにあいつに聞かされていたからな……」


小鷹「じゃあ、お前の家にいるのか?」


夜空「ああ」


小鷹「よかったぁ………」


夜空「よくないだろ!」


小鷹「え?」


109: 2011/12/07(水) 21:57:12.11 ID:YxQAXA+70

夜空「あいつを昨日の集まりに呼んでないだろ!」


小鷹「あ………あぁ!」


夜空「ましてや今帰ったんじゃお前と朝帰りということになる………あいつ間違いなく誤解するぞ………」


小鷹「しまったぁ………」


夜空「少し時間を入れよう」


小鷹「………そうだな」

110: 2011/12/07(水) 21:58:09.90 ID:YxQAXA+70

-再び町内-



テクテクテク



小鷹「しかしなんで忘れてたんだろうなぁ………」


夜空「急なことだったからな………お前が図書館に来たのも、みんなで集まることになったのも…………」


小鷹「お前がえんえん泣いたからじゃないのか?」


夜空「うっ」

111: 2011/12/07(水) 21:58:51.66 ID:YxQAXA+70

小鷹「探すの忘れてた俺もそうだけど………家に星奈いるの知ってて忘れるのはなぁ………」


夜空「…………ごめんなさい」


小鷹「『小鷹ぁ!小鷹ぁ!』」


夜空「や、やめろ!ばかぁ!」


小鷹「ははは」


夜空「ぅぅ………」

112: 2011/12/07(水) 21:59:33.59 ID:YxQAXA+70

-喫茶幸村-



カランカラーン



幸村「おや、あにき………お早いお帰りで…………」


小鷹「ああ、ちょっと事情ができてな、悪いんだけど少しの間またここにいさせてくれ」


幸村「お気にせずとも好きなだけここにいらしてください………わたくしにはそれがなによりなのです………」


小鷹「そっか…………あれ、マリアは?」


幸村「先ほどケイト殿がいらして学園の方へと担がれていきました………」


小鷹「ケイトも相変わらずだなぁ」


幸村「コーヒーをお持ちしますね………」


小鷹「ありがとな」

113: 2011/12/07(水) 22:00:42.26 ID:YxQAXA+70

幸村「どうぞ………コーヒーとクッキーです………」カチャ


夜空「ありがとう」


幸村「いえ………」テクテクテク



夜空「ズズズ……」



コトッ



小鷹「………」


夜空「………」


114: 2011/12/07(水) 22:02:03.13 ID:YxQAXA+70

小鷹「………」


夜空「………」


小鷹「なぁ、星奈はなんで家出したんだ?」


夜空「星奈の家に行ったんだろう?聞かなかったのか?」


小鷹「詳しくは聞かなかったよ、星奈にも悪いと思って……」


夜空「心当たりは………?」


小鷹「…………」


夜空「ふぅー……」


小鷹「…………」


夜空「まぁ、家出した理由は確かにあるんだけどな、根を掘っていけば、それはやはりお前のせいなのだろう………」


小鷹「そっか………」


115: 2011/12/07(水) 22:03:14.03 ID:YxQAXA+70

夜空「なんだ、気づいてたのか」


小鷹「少しな……」


夜空「だが、お前にあんなことをさせたのも元はといえば私と星奈みたいなもんだからな………自業自得みたいなものだ………」



バンッ!



小鷹「この町を離れたのは俺の意思だ!」


夜空「…………」


小鷹「…………」


夜空「そうさせたのが私と星奈だって言ってるんだよ………」


小鷹「…………」

116: 2011/12/07(水) 22:04:22.26 ID:YxQAXA+70

夜空「簡単な話、星奈は父親にお前以外の男との結婚を勧められて、堪えきれず私のところに転がり込んできたんだ、いい迷惑だよまったく」


小鷹「あいつ、仕事まずいんじゃないのか?天馬さんにこのまま会社に連絡入れないようだと間違いなくクビ切られるって聞いたぞ?」


星奈「本人は気にしてないらしい、あいつにしてみればそれ以上の問題なんだろう……」


小鷹「結婚かぁ………」


117: 2011/12/07(水) 22:06:03.51 ID:YxQAXA+70

夜空「小鷹はそういう予定はないのか?」


小鷹「…………あったとしても、ここに1度戻ってくるべきだと思ったんだよ…………まぁ、ないんだけどな…………」


夜空「相変わらずヤンキー扱いなんだろうなぁ」


小鷹「うっ………よ、夜空こそどうなんだよ?」


夜空「ジャージで司書やってる女に男が寄ってくると思うか?」


小鷹「さいですか…………」


夜空「いつの間にか私たちも、忙しくなったんだよなぁ…………」


小鷹「…………そうだな」

118: 2011/12/07(水) 22:07:36.89 ID:YxQAXA+70

-喫茶幸村 入口-



カランカラーン



小鷹「じゃあ幸村、俺は多分、このまま夕方のバスで駅まで向かうと思う…………いろいろご馳走になったな、うまかったよ」


幸村「とんでもありません………あにき………来ていただけるだけでなによりです………是非またいらしてください………」


夜空「幸村、私はあとでまた来るから、そのときはまたコーヒーを入れてくれ」


幸村「かしこまりました………」


小鷹「また来るよ、それまで元気でな」


幸村「はい………いってらっしゃいませ………」


小鷹「…………ああ、行ってくる」



カランカラーン

119: 2011/12/07(水) 22:08:54.61 ID:YxQAXA+70

-再び町内-



テクテクテク



夜空「こう言ってはなんだが、星奈に会ってどうするつもりだ?」


小鷹「さぁな………とりあえず家に帰るよう促して、仕事に復帰させて、それまでに話すことがあれば話せばいいさ」


夜空「随分あっさりなんだな………」


小鷹「久しぶりに会う友達何てそんなもんだろ」


夜空「『友達』か………」


小鷹「変か?」


夜空「私に聞くのか?それを」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「…………悪い」


夜空「…………」

120: 2011/12/07(水) 22:10:26.91 ID:YxQAXA+70

小鷹「…………星奈に会うの…………少し怖いんだよ」


夜空「…………」


小鷹「…………」


夜空「…………ならどうして戻ってきたんだ…………?」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「俺ももうアラサーだからなぁ…………」


121: 2011/12/07(水) 22:11:19.83 ID:YxQAXA+70

夜空「…………」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「…………」


夜空「小鷹…………」


小鷹「…………なんだよ」


122: 2011/12/07(水) 22:12:10.59 ID:YxQAXA+70

夜空「私は別にいいんだぞ…………」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「でも…………」


夜空「あの頃に比べたら、私たちは随分大人になったんだ…………」


小鷹「…………」


123: 2011/12/07(水) 22:13:05.77 ID:YxQAXA+70

夜空「自分の道くらい…………そろそろ自分の好きなように…………もう…………選んでもいいんじゃないか?」


小鷹「でも夜空は…………」


夜空「なぁ小鷹」


小鷹「…………」


夜空「10年って…………長かっただろう…………?」


小鷹「…………」


夜空「あいつもきっと長かったはずなんだ」

124: 2011/12/07(水) 22:14:47.82 ID:YxQAXA+70

-三日月家 玄関前-


夜空「雰囲気ぶち壊しなんだが、あいつきっと今、ギャルゲーやってるぞ」


小鷹「あいつ………自分の歳とか数えてないのか…………?」


夜空「さぁな、鏡の前に立って、そこの自分に満足ならそれでいいんだろう」


小鷹「………相変わらずなんだな」


夜空「あいつが私の家に転がり込んできたときなんて本当に酷かったんだぞ、あいつ服や化粧品なんて一切持たずに、代わりに大量のギャルゲー、工口ゲーを抱えてきたんだからな」


小鷹「本当に酷い話だな、それ……」


125: 2011/12/07(水) 22:16:49.00 ID:YxQAXA+70

夜空「あの頃の私でも、あいつはこういったゲームからいつかは足を洗うと思っていたんだがな…………甘かったようだ」


小鷹「相変わらずなんだな………」


夜空「みんな、変わらないところもあるさ………」


小鷹「…………」


夜空「…………」


小鷹「じゃあ」


夜空「うん」



ガチャン

126: 2011/12/07(水) 22:17:50.53 ID:YxQAXA+70
-夜空の部屋-



ピコピコ、ピコピコ



星奈「…………」



ピコピコ、ピコピコ



星奈「…………」



携帯『you've got mail!』



ピコピコ、ピ………



星奈「…………」

127: 2011/12/07(水) 22:18:57.21 ID:YxQAXA+70

星奈「…………」



カチャ



星奈「…………あ」



『件名 今後の退社手続きについて』



星奈「…………」

128: 2011/12/07(水) 22:20:01.74 ID:YxQAXA+70

星奈「…………」



パタン



星奈「…………」



ピコピコ、ピコピコ



星奈「…………」



ピコピコ、ピコピコ



星奈「…………」



ピコピコ、ピ………



星奈「…………ぅぅ」


129: 2011/12/07(水) 22:21:29.45 ID:YxQAXA+70

星奈「………ぅ………ぅ…………」


星奈「ぅ………ぅぅ………グスン」


星奈「ぅぅぅぅぅぅぅぅ…………グスン…………グスン」


星奈「あ………あそこ………いいところだったんだけどなぁ………」


130: 2011/12/07(水) 22:22:16.70 ID:YxQAXA+70

星奈「家からも通えて………優良企業で………給料もいいし……」


星奈「仕事は………やりがいあって楽しかったし………勤める価値のあるところだったし………」


131: 2011/12/07(水) 22:23:09.11 ID:YxQAXA+70

星奈「男は………あたしの言いなりだったし………女どもは………いつもあたしの陰口叩いてたし………」


星奈「誰も………本当のあたしを好きになってくれないし………家に帰れば………いつも泣いてたし………」


星奈「………………」


星奈「どうしてこうなっちゃったのかな…………」


星奈「あたしって…………容

132: 2011/12/07(水) 22:24:08.15 ID:YxQAXA+70

星奈「あたしって…………容姿端麗で…………成績優秀で………」


星奈「スポーツ万能で…………スタイル抜群で………才色兼備で…………」


星奈「なんにでもなれた筈なのに………」


星奈「どうしてこうなっちゃったんだろう…………」


133: 2011/12/07(水) 22:26:30.33 ID:jvpCssnf0

星奈「…………あのとき先走ったから…………かな…………」


134: 2011/12/07(水) 22:27:14.95 ID:jvpCssnf0

星奈「…………夜空を差し置いたから…………だよね…………」


135: 2011/12/07(水) 22:28:12.02 ID:jvpCssnf0

星奈「…………小鷹に…………付き合って…………なんて…………言ったから…………小鷹は…………」


136: 2011/12/07(水) 22:29:24.88 ID:jvpCssnf0

星奈「でも……………こんな……………」


星奈「こんなのって…………こんな…………」


星奈「ぅ………ぅぅ………う………うう………グスン」


137: 2011/12/07(水) 22:31:33.61 ID:jvpCssnf0

星奈「ぅ………グスン………グスン…………うううううう」


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


138: 2011/12/07(水) 22:33:03.94 ID:jvpCssnf0

星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


小鷹「…………」


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


小鷹「……………」


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」


小鷹「そんなに泣くなよ……」


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……ぇ?」


139: 2011/12/07(水) 22:34:34.02 ID:jvpCssnf0

小鷹「後ろ後ろ」


星奈「……え?」バッ


小鷹「久しぶり」


星奈「…………小鷹?」


小鷹「うん」


星奈「な、なんで…………?」


140: 2011/12/07(水) 22:35:14.35 ID:jvpCssnf0

小鷹「なんでって言われてもな、大変だったんだぞ、お前が家出したっていうから」


星奈「なんで…………グスン」


小鷹「でもそのおかげで隣人部のみんなにも会えたんだからな、よかったよ、星奈ともこうして会えたし」


141: 2011/12/07(水) 22:36:17.60 ID:jvpCssnf0

星奈「…………」


小鷹「親父さん、心配してるぞ」


星奈「…………」


小鷹「仕事も戻らないと大変だろ?」


星奈「…………今クビになった」


小鷹「へ?」


星奈「今ぁ!クビになったのぉ!ほらぁ!」バッ


小鷹「………………あ」


142: 2011/12/07(水) 22:37:53.19 ID:jvpCssnf0

星奈「………はぁー………でも………清々したわ………あんなとこあたしには物足りないくらいだったし………」


小鷹「やりがいのある優秀企業だったんじゃないのか?」


星奈「あ、あんた!聞いてたの!?」


小鷹「すぐそこにいたからなぁ」


星奈「ぅぅ…………」


小鷹「ははは」

143: 2011/12/07(水) 22:38:47.71 ID:jvpCssnf0

-バス停近く-



テクテクテク



星奈「ねぇ」


小鷹「ん?」


星奈「夜空は来ないの?」


小鷹「ああ、あいつとはさっきそこで別れたよ」


星奈「いつこっちに来たの?」


小鷹「………昨日から」


144: 2011/12/07(水) 22:39:43.88 ID:jvpCssnf0

星奈「昨日………?」


小鷹「………実を言うと、昨日隣人部のメンバーみんなでな、幸村のところで一晩中飲んでたんだよ………小鳩はいなかったんだけどな………」


星奈「えっ」


小鷹「夜空を責めるなよ…………あいつも俺に会ったときえんえん泣いたんだから…………いろいろ思い出して大変だったんだよ」


星奈「あ、あたしも行きたかった…………」


小鷹「家出なんてしてなければなぁ」


星奈「ぅぅ………」


145: 2011/12/07(水) 22:40:52.04 ID:jvpCssnf0

-バス停-


星奈「………あのさ」


小鷹「ん?」


星奈「あのときは………その………ごめん………」


小鷹「あのときって………あれ?」


星奈「………うん」


小鷹「………たしかにあれにはまいったなぁ」


星奈「あたしも卑怯だったと思ってる………小鷹の気持ちも考えずに………」


小鷹「…………」


146: 2011/12/07(水) 22:42:27.89 ID:jvpCssnf0

星奈「夜空にも何も言わないでやったことだし………」


小鷹「俺も悪かったよ………ケジメもつけないままただこの町を離れて………卑怯だった」


星奈「あたしのせいだから…………それに小鷹の立場だったら、あれが当然だと思うし…………」


小鷹「でも、夜空のやつ、そのあとも変わらずにお前といてくれるんだから、いいやつだよな」


星奈「そうね………いっぱい迷惑もかけたし………」


小鷹「ちゃんと礼言っとくんだぞ?」


星奈「うん………」

147: 2011/12/07(水) 22:43:45.83 ID:jvpCssnf0

小鷹「あのな、星奈」


星奈「なに?」


小鷹「さっき、夜空に言われたんだ」


星奈「なにを?」


小鷹「もう自分の好きな道を自分で選んでもいいんじゃないか?って」


星奈「…………夜空」


148: 2011/12/07(水) 22:44:56.97 ID:jvpCssnf0

小鷹「10年って…………長かったよな…………」


星奈「夜空…………」


小鷹「感謝しきれないよな…………あいつには…………」


星奈「夜空…………ぅぅ…………グスン………ぅぅ…………夜空ぁ…………」


小鷹「泣くなよ…………もうバス来るぞ?」


星奈「う………うん………グスン………えへへ………そうね………グスン………でも…………嬉しくて………」


小鷹「そうだな」


星奈「ぅぅ………ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」ガシッ


小鷹「よしよし………今までごめんな」


星奈「ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」



ブロロロロロ~

149: 2011/12/07(水) 22:46:00.02 ID:jvpCssnf0

小鷹「なぁ星奈」


星奈「………グスン………なに?」


小鷹「このまま一緒に来るか?」


星奈「………ダメ」


小鷹「え゙!?」






星奈「…………えへへ」


小鷹「…………えっと」


151: 2011/12/07(水) 22:47:06.69 ID:jvpCssnf0

星奈「夜空にまだお礼言ってないし、一度家にかえってパパに顔も見せないといけないし、仕事の手続きもしないとね…………」


小鷹「飛びついてくると思ったんだけどなぁ」


星奈「少しは大人になったのよ」


152: 2011/12/07(水) 22:48:04.99 ID:jvpCssnf0

小鷹「でも、ギャルゲーまだやってるんだって?夜空から聞いたぞ」


星奈「あ、あれは!………その………」


小鷹「まぁ、ほどほどにな………」


星奈「………ぅぅ………今日でやめるわ………」


小鷹「いいのかよ?」


153: 2011/12/07(水) 22:49:55.46 ID:jvpCssnf0

星奈「だって…………小鷹もギャルゲーやってる奥さんなんて嫌でしょ?」


小鷹「奥さんかぁ」


星奈「……………えへへ」


小鷹「……………はは」


星奈「でも全部済ませたら必ず行くわ、だから………それまで………」


小鷹「うん、待ってる」


星奈「うん!」


運転手『お客さーん、乗られますかー?』


小鷹「あ、はい!すぐ乗ります!」

154: 2011/12/07(水) 22:50:56.18 ID:jvpCssnf0

星奈「じゃあ気をつけて………」


小鷹「ああ、早く来いな」


星奈「飛んでいくわよ!」


小鷹「おう!」


運転手『発車しまーす』



バタン



ブロロロロロ~









星奈「………さてと」






星奈「(…………………夜空にお礼しないとね)」

155: 2011/12/07(水) 22:52:24.51 ID:jvpCssnf0

-後日談--


小鷹と星奈が町に戻って来たのはそれから少しあとのことだった、式のときもそうだったが、二人ともこれから充分幸せにやっていけるように思えた、泣き崩れていた星奈の父親はすごかったなぁ


マリアは理科の会社で無事に採用されたようだ、久しぶりに小鳩と会ってスゴいはしゃぎ様だったと小鷹は言っていた、理科もこれから大変だ


幸村は相変わらずだ、今もここで、こうして私にコーヒーを入れてくれている…………私はというと…………そうだな…………何だか落ちついているなぁ………ふふふ…………そうだな…………本でも書くか………どんな本を書こうかなぁ…………





-おわり-

156: 2011/12/07(水) 22:54:03.91 ID:KT0Aa4Tno
乙でした

157: 2011/12/07(水) 23:04:03.24 ID:n42vFA0AO

これは良いはがないSS

: 小鷹「あれからもう10年か……」