550: ◆zvY2y1UzWw 2013/07/07(日) 17:09:07.89 ID:lYvz9IOo0



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


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 神崎家。蘭子の部屋にユズも含めた3人がいた。

「…それで、まだ他の大罪の連中は見つからんのか?」

「はい…最近暴食の強い魔力は感じましたけれど。他のターゲットの魔力は…見つけても痕跡は殆ど消されていて、思ったより難航してます…強欲も見失ったし…」

蘭子の部屋に3人が一緒に入ると少し狭い。まあもともと1人の部屋だから仕方ないのだが。

「大罪の悪魔がカースを生んでいるんですよね?」

「全部魔力生まれではないんです。…感情生まれの方が再生力も凶暴さも上ですが。さて、仕事の話はここまで。姫様、蘭子様、魔術の勉強しましょうか。」

ユズは立ち上がると蘭子が昼子を召喚した時の魔術書を本棚から取り出した。

「よ、よろしくお願いしますね!」

「学校帰ってすぐにこれか…魔術は好きだが…疲れてるのだぞ…」

「今日は宿題が出てないのは知ってますし、教師を頼んだのは姫様ですからね?」

「人間界の勉強は魔界以上に難しいのだ!蘭子は英語読めるのだぞ!羨ましい!」

「読めるだけで文法は分からないんだけど…」

「…姫様、魔界では貴方も含めて勉強嫌いが多いだけで知能レベルは同等です…他の教育係も嘆いていましたよ…」

ページをめくりながらユズが嘆く様に呟いた。







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





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モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




551: 2013/07/07(日) 17:09:39.87 ID:lYvz9IOo0
「…さて、蘭子様が姫様を召喚する時に使ったこの魔術書。魔力の基礎とか書かれているので、そこから学びましょうか。」

「えっと、ユズさんは魔力管理人さんなんですよね?やっぱりすごい職業なんですか?」

「はい。別世界も含めた魔力のバランサーをしてます。すごい…職業なんでしょうね…あはは…。あ、一応種族が死神なので魂も狩れます。」

その発言に蘭子が首をかしげる。

「種族…が死神なんですか?職業じゃなくて?」

「はい。悪魔…というか魔族の種族は割と分別されているんです。馬みたいなのもいれば虫みたいなの、人みたいなのがいますし。」

「まぁ、魔界にいれば大体魔族だからな。悪魔と魔族はイコールで結ばれる。人間がこの世界の生物を分けるように、特徴で種族を分けた。」

「死神は生まれ持って魂を扱うことに長けた種族です。…生まれたその日から激務を強いられます。」

「え?げ、激務!?」

少し憂鬱そうにユズが続けた。

「…人間界で人は絶えず氏に続けています。その魂を魔界へ送り、裁きを受けさせるのが仕事。…人数が足りるはずがない!」

ユズは鬱憤を晴らすように聞かれてもいない死神事情を語り続けた。

552: 2013/07/07(日) 17:10:13.29 ID:lYvz9IOo0
死神は狩り取り係、運搬係が何人かで組まされ、それに命令を下すリーダー、魂の数・性別・その他の記録を残す記録係、それらの管理係、そして長である死神長で形成される。

一番きついのは狩り取り係。毎日がサンタクロースだ。氏人を確認したリーダーの命令で狩るのだが…高速で狩らなければ間に合わない。

リーダーも死人を認識しきれずに、地縛霊とかになってしまうまで放置してしまうと責任を問われる。

それを運搬するのもかなり大変だ。絶えず送られてくるそれらを魔界の門へ投げ込まないといけない。

休む時間も少なく、休みも滅多にない。裁きを受け労働を強いられる奴らよりはマシなだけ。そしてそれがおかしいと気付いている死神は少ない。

だから杖に選ばれて死神業が免除されたときは暇すぎて何をすればいいかわからなかったものだ。

…今はそんな時間は鍛錬に使っているが。

「…だから人間界でいうブラック企業が他人事じゃなくて…って話がそれました。」

咳払いをして魔力の説明に戻る。

553: 2013/07/07(日) 17:11:09.82 ID:lYvz9IOo0
「魔力とは…まあタンクとホースの説明が一番わかりやすいですよね。それと同時にゲームのMPような物でもあります。寝ると回復しますし。」

魔力の器は持っている人と持っていない人で分断される。つまり魔力を留めておけないのだ。

留めておけない者はもちろん魔法を使うことはできないし、仮に誰かから魔力を奪ったとしても消滅し、使うことはできない。

そして、魔力の器を持っていない人はもちろん魔力が回復する事もない。魔力に愛されていないのだから。

これはゲームシステムでも同じ。MP0のキャラにMP回復アイテムを使っても無意味だし、レベルアップでMP上限が増えることも無い。

「蘭子様は魔力の器がありますから、努力すれば器も大きくなり、それなりの魔法が使えるでしょう。全くない者にはそれは不可能ですがね。」

「本当ですか!」

「魔力管理人のアタシを信じてくださいよー。」

「…そっちの仕事は大丈夫なのか?」

「最近魔力のクリスタルの調整を行ったばかりなんで魔力の流れが綺麗になったばかりなんですよ!おかしい流れ全部戻しましたし!」

「魔力の妙な流れとか!本 来 な ら!魔力を動かせるのは自分だけのはずなんですがねぇ…サタン様辺りは自身の魔力の流れを調整できるそうですよ…見えないだけで。」

「あースマン。しっかり仕事していたようだな。」

すっかり自信喪失しているようだ。

最近堕天使に襲われてからユズは魔力管理塔でおかしいところをすべて修正した。

本来ならあんなことはあり得ないのだから。…しかし努力も空しく、堕天使関係の魔力の流れは特になかった。

精々異常な量の魔力が巧妙に隠されて流れていたことぐらいだろうか。魔力の賄賂はいけないことだ。

「当たり前ですよー…まあ今言いたかったことは、鍛錬大事ってことです!鍛錬さえすれば人間でも悪魔に勝てます!」

「はい!」

「父上…与えた影響が大きすぎではないか…?」

昼子はそうつぶやく事しか出来なかった。

554: 2013/07/07(日) 17:11:57.35 ID:lYvz9IOo0
「…?」

ふと、違和感を感じて窓の外を見る。

それよりも早く、ユズが窓に駆け寄った。

「憤怒の力を感じる…!」

「…父上は魔界にいるのではなかったのか?」

「いえ、サタン様の力は感じません。魔力ではなく、憤怒そのもの…カースの力です…!これほど大きいカース反応、あの強欲のカース以上ですよ…!」

「ご、強欲ってあの強欲の王?あれ以上憤怒のカースって…!」

「いえ、今はデカいのはいません。それでも個々の能力が異常です…あれが集まれば強欲の王以上の何かにはなる…!」

「…いくぞ。」

翼を出して飛んでいこうとする昼子をユズが止める。

「ダメです!貴方が危険な目にあったらサタン様が魔界からやってこないとも限りません!」

「それがどうした!我がそこまで弱いというのか!」

「ダメなものはダメです!サタン様があの憤怒の力の中でキレたら…!いろいろ不味いですってば!」

ただでさえ体調がすぐれない(ように見える)サタンが、力を解放したらどうなるか、分かったものではない。

「…確かに、世界が滅びかねんな…しかし黙って見ていろというのか!」

別の解釈をしてくれた昼子に感謝しつつ、脳内でどう説得するか必氏に考える。

555: 2013/07/07(日) 17:12:28.34 ID:lYvz9IOo0
魔力以外の力の流れも操作はできないが見る事はできる。あれは異常だ。あそこにいたら気が狂ってしまいそうなほどの感情エネルギーだ。

「魔族はただでさえ人間より負の方向に感情が向きやすいんですよ!あんなところにいたら…正気でいられるとは到底思えないんです!」

その時、テレビの内容が臨時ニュースに変わった。

『突如現れた大量のカース!街はご覧のように地獄絵図と化しています!』

ヘリコプターに乗ったリポーターが上空から街の様子を実況している。

『人々はカースの力に飲まれ暴徒と化しています!しかしまだ正気を保った人間は生存している模様!』

「…ユズ、映像がチラついていないか?」

「ヘリコプターもカグガクしてる気が…見てて酔いそう…」

「これ…特殊な結界ですよ!機械さえ調子が狂ってしまうような…!何者なんですかこの犯人!悪魔ではないみたいですけど…!」

『現在アイドルヒーロー同盟等の突入計画も難航して…え?う、うわあああああああああああああ!』

映像が途絶えた。

カメラに最後に映し出されたのは、黒い物体が大量に飛んでくる映像。おそらくカースの攻撃で撃ち落とされたのだろう。

「う…嘘…!氏んじゃった…?」

「あれでは空中からの侵入も難しいぞ!」

「姫様、今回は諦めてください!お願いですから!」

懇願するようなユズの視線を受け、昼子は唸る事しか出来なかった。

556: 2013/07/07(日) 17:13:42.39 ID:lYvz9IOo0
ネバーディスペアも、突入計画は難航していた。

「…どう、なってんだよ…!」

頼みの綱であった夏樹の穴が上手く作れないのである。どんなにイメージしても精々手が通る程度。到底侵入はできそうにない。

「なつきち…大丈夫?」

「大丈夫だ…ここまで疲れたのは久々なだけ…」

しかもかなり疲労している。十秒程開けていただけなのに。

『これは…マズイぞ…』

連絡を取っていたLPも困惑している。

「…取り残された奴らもいるんだぞ!あたしたちが行けないなら誰が行くって言うんだよ!」

奈緒が今にも飛び出しそうなのをきらりが羽交い絞めにして抑える。

「きらりも…今すぐ行きたいよ…!でも、でも!危ない事したら皆も悲しいからダメ!」

「…でも…!」

『…とりあえずこちらからも様々な組織にアプローチしている。まだ…まだ何か手段があるはずだ!だから…すまないがそれまで待機命令を出す。勝手な行動はしないようにしてくれ。』

「…了解。」

憤怒の街にまだ救いの手は来ない。

557: 2013/07/07(日) 17:15:20.06 ID:lYvz9IOo0
以上です
最初はユズちゃんの魔術講座だったけど色々展開が起きたので少し路線変更。違和感があったらすみません
ネバーディスペアが侵入できない理由も作ったり。なつきち含む機械類の調子が悪いみたいです。

558: 2013/07/07(日) 17:20:39.45 ID:Z8lDXpr0O
乙ー

世紀末都市…憤怒の街だな…

559: 2013/07/07(日) 17:20:54.70 ID:29+Fi59p0
乙ー
なにこれ絶望的

>なつきち含む機械類
なにもおかしくないのに何故かくすっときた




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3