630:◆cAx53OjAIrfz 2013/07/08(月) 01:59:18.99 ID:Yz4ZaXw30



モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズです


前回はコチラ




 私ははたと地面に降り立ち、息を吸い込み肩をゴキゴキと鳴らした。

フレデリカ「ん……ふぅ、やっぱりシャバの空気は最高ね!」

久しぶりの友人との再開は、中々面白いものだった。
特にとなりに居た男は、中々変わった精神軸を持つ男だった。
彼女もなかなか面白いモノを見つけてくるものだ、と少し感心する。

フレデリカ「それにしても……お腹すいたー」

街を歩き、回りを見回すとすっかり、景色は変わってしまっていた。
前に来た時はハイカラさんが町並みを闊歩し、人間世界中心の時代の並を感じたものだった。
いや、ある意味今も激動ではある、そして何よりも今は面白い時代なのだ。

フレデリカ「…あ、アソコの洋風料亭なんていいかしら」

しかしだいぶ時代も変わったものだ、昔ならばこの外見で歩けば誰しもが振り返るものだったのだが……

フレデリカ「モダンタイムスってやつかしらね、果たして機械にこき使われる時代になったのかしら?」

だが昔雑誌に掲載されていた、銀色の流線型の乗り物も、妙にキラキラと光るような服も、顔がタコのように進化した人類も居なくて、いささかがっかりした。
とはいえ、昔よりも遥かに能力が向上した人間や、超能力に目覚めた人間、特殊な学術による魔術などの似非科学と。
少し前の人間に、ケッチョンケッチョンに貶された生き物たちは、今は我が物顔で街を歩いているようで何分面白い。
取り敢えずふぁみりーれすとらん、と外国語で銘打たれた店に足を運ぶと、そそくさとウェイターが出てきて忙しなく自分を案内する。

フレデリカ「あら、ハイテック」

店員「?(外人さんかしら…?)ご注文の際は、コチラのボタンをお押し下さい」

そう言うとつかつかと自分の仕事場に戻ってしまうのを見て、何分話をする間もないのかと呆れ返る。
まるで、地獄の死神蟻のようで幾分気持ちが悪い。

フレデリカ(これの中から食べ物を選ぶのかしら…?)

千枝「あ、あの……同じ席いいですか?」

フレデリカ「あらかわいい、どうぞ…ん?」

と言った瞬間、妙に鼻につく嫌な匂い、あの阿婆擦れパパラッチの匂いが鼻につく。

千枝「あ、あの、嫌……でしたか……?」







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それは、なんでもないようなとある日のこと。


その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 
時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 
それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
突然超能力に目覚めた人々が現れました。
未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。

それから、それから――
たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。

その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。



「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドです。

・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。





シリーズはここからご覧ください
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」シリーズ一覧
    




631: 2013/07/08(月) 02:01:49.27 ID:Yz4ZaXw30
泣きそうな顔でコチラを上目づかいで見てくる、そんな目で見てたかしら……だけどこの匂い、間違いない。

フレデリカ「あなた、この写真の女と会ったかしら?」

そう言うと、世間一般では速水奏と名乗っている、アスモデウスの写真を佐々木千枝に見せる。

千枝「え…あ、はい」

突然まくし立てられ混乱する中、過去に自分があったことがある人間である、ということを思い出し、咄嗟にはいと答えたのを見て。
フレデリカは露骨に可哀想なものを見る目で、佐々木千枝を見つめた。

フレデリカ「可哀想に……あんな曲がりくねった、特殊性癖の塊みたいな女にマーキングされるなんて……けど、そう言うお年ごろだものね……」

うんうんと大げさにリアクションをとり、佐々木千枝はいささかこの人間が変な人に思えてきた頃。
宮本フレデリカは、笑顔で佐々木千枝の手を握って、元気付けるように言葉を付け足した。

フレデリカ「でも大丈夫、あの性癖が高じて相手が見つからず、他人の情交を見て自分を慰めるような女の力を、いとも簡単に跳ね除ける人たちが居るもの」

フレデリカ「あ、そうだ、これあげるわ知り合いが迷惑かけた駄賃と思って、貰っちゃいなさい」

千枝「え、あ、はぁ……」

そう言って手渡された髪飾りは、ウサギの形を模した可愛らしいもので、何となくで話を聞いていた千枝には素っ頓狂なものだった。

フレデリカ「可愛いでしょー?それはね、元々はウサギの足だったんだけど……あ、コレはただのウサギの形のお守りよ?安心して?」

フレデリカ「ウサギってスッゴイ足が速くて、子供をたくさん作るんだって、それでつけてると元気になるように、っていうお守りなんだって」

千枝「えっと……?元気?」

フレデリカ「あ、そうそう、元気、英語で言うとパワー!…違うか、あ、店員さんオムライス2つ、そうそう、元気のお守り」

フレデリカ「心がさみしい時、挫けそうなときに力をくれるって伝承が、海外にあるらしいのよ」

千枝「さみしい時…」

フレデリカ「そうそう、ああいう根暗の色情魔はそういう隅っこをついてくるの、いやらしいったらありゃしない」

フレデリカ「そんなんだからまともな相手が居ないのよ、それで後は自分の本当に大切なことを思い出すこと、コレも大事」

千枝「大切なこと…?」

632: 2013/07/08(月) 02:03:46.24 ID:Yz4ZaXw30
フレデリカ「ああいう色キチだの、嫉妬キチだのはいつまでも同じ所に立ち続けて何がしたいのかしら?そんなんだから、悪魔だの龍族だのは衰退するのよ」

千枝「え…えっと?」

フレデリカ「ああ、ごめんねこっちの話、取り敢えず自分が何をしたいのかっていうのは、ハッキリさせたほうがいいわ若人さん」

フレデリカ「その為には精一杯悩みなさいな、考えこみなさいな、そしてちゃんと遊んで、食べるもの食べて自分が本当だと思えることをしなさい」

千枝「…はい!」

フレデリカ「あっ、年取るとすぐ説教みたいになっちゃってごめんね、あ、オムライス来たから食べなさい、料金は私が払っておくから」

千枝「え、でも悪いです……」

フレデリカ「いいのいいのー、人生の先輩に頼るのも後輩の仕事よ、任せなさい」

千枝「…じゃあ分かりました、代わりに名前を教えてもらえますか?」

フレデリカ「アタシの名前は宮本フレデリカよ、多分この街をうろついてるから、また会えるかもねー」

そう言ってフレデリカはオムライスを口元に運ぶと、満足気に食べ始めた。
何となく大切なことのような、何かをはぐらかされたような気持ちになりながら、オムライスを食べた…美味しかった。

――――――――

フレデリカ「いやーごめんね!まさか、このお金が使えないんとは思わなかったんだー」

そう言って、ひらひらと明治通宝拾圓札を振る。

フレデリカ「まあいいや、記念品と思ってこの封筒ごと上げちゃう、どーせ他に宛はあるし」

そう言って何か言う前に、千枝のカバンにスルリと投げ入れてしまう、千枝はこの人に勝てないなぁと思いつつ、話を続ける。

千枝「いえ大丈夫です、それにこのウサギさんのお礼もまだでしたし」

フレデリカ「うーん……こういう時はこういうんだっけ、God speed youってね」

千枝「え、えっと意味は……」

少しフレデリカは考えた後、ニコリと笑うと千枝に向かって笑顔で言った。

フレデリカ「次に会う迄の宿題よ、精々気張りなさい若いの」

そう言うと、フレデリカは手を振って町中に消えていくのだった。

633: 2013/07/08(月) 02:08:17.17 ID:Yz4ZaXw30
宮本フレデリカ(アガレス)

職業

自由気ままな魔神

属性(ヒーローor悪役など)

嫌だなぁ、あっしはただの流浪人でゲス

能力

「たたずむ者を走らせ、走り去ったものを呼び戻す」力
分かりやすく言うと他人をあの手、この手で炊きつけ事態をかき回す力。

詳細説明

アガレスがはるか昔に人間に頼んで作った、タンパク質の塊にアガレス自身が入り込み、地獄から地上へのパスを得たもの。
見た目や機能、構造は完全に人間をモデルにしているが、肉体に元となる『魂』は存在しない。
そのため、『契約・許可無しで人間界に滞在した罪』『カースを生み出した罪』『契約していない人間に憑依した罪』等。
そのどれにも抵触しない(抵触しないよう、悪魔の法律家達を炊きつけた)
また、関わると碌な目に合わないため、大体の神様や悪魔からは嫌われていて、フレデリカ自身も大体の神様や悪魔を嫌っている。

関連アイドル

鷹富士茄子(古い友人)

はやみーが好きな人には本当に謝って置きます、すみませんでした

今日はここまで

634: 2013/07/08(月) 03:16:51.78 ID:FdnB3JZPo
(Godspeedでひとつの単語だったりする)




【次回に続く・・・】



: モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3