ことり「おかあさーん。おやつある？」

理事長「冷蔵庫にチーズケーキがあるわよ」

ことり「やったー♪」

ルンルン～♪

ｶﾞﾁｬ

ことり「ふふふっ」

ことり（チーズケーキはっけーん）

ことり（キミは今からことりのおやつになるのだー）

ことり「えいっ」

ことり（食器と飲み物……）

　
ことり（準備完了♪）

ことり「ふんふふんふ～♪」

ことり「いっただきまーす」

ﾓｸﾞﾓｸﾞ

ことり「お～いひぃ～」

理事長「そう。よかったわね」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「おふぁさん。なにみふぇる……」

理事長「食べながら喋るなんてみっともないわよ」

ｺﾞｸｺﾞｸ、ｸﾞｯｸﾝ

ことり「それで、何見てるの？」

理事長「これ？　アルバムよ」

ことり「アルバム？」

理事長「本棚を整理したら見つけたのよ」

ことり「わー、見せて見せて」

理事長「いいわよ」

ことり「うわぁー、か～わいい～」

理事長「そう♪」

ことり「やっぱり小さい頃は可愛いなぁ」

理事長「今も可愛いわよ」

ことり「だよねー」

理事長「ほんとにね」

ﾍﾟﾗｯ

理事長「うふふ、ほら、見て」

ことり「きゃーっ、かわいいよぉー」

理事長「でしょー」

ことり（子供の頃の自分を可愛いって言うのもあれだけど、やっぱり可愛いよぉ）

理事長「見れば見るほど可愛いわ～」

ことり「ねぇ～」

理事長「流石、元がいいだけはあるわ」

ことり「うん♪」

理事長「誰に見せても自慢出来る」

　
こ・理「小さい頃の私の写真♪」

　
理事長「ん？」

ことり「え？」

　
理事長「ことり、何言ってるの？」

ことり「えっ、これって私のアルバムじゃないの？」

理事長「違うわよ」

ことり「うそぉ～！」

理事長「誰も『ことりのアルバム』だなんて一言も言ってないし」

理事長（普通は写真見たら気付くでしょうに）

ことり「ぶぅー。なんか褒めて損した」

理事長「なんでことりのだと思ったの？」

ことり「だって写真が綺麗なんだもん」

理事長「ちゃんと保存してたからよ」

ことり「その割に綺麗過ぎない？」

理事長「どんな自然現象も私の美しさには適わないのよ。だから写真も色褪せないの」

ことり「自分で自分を美しいって言って恥ずかしくないの？」

理事長「ないわよ。だって本当ですもの」

ことり「お母さんって自意識過剰だね」

理事長「その血をことりはしっかり受け継いでいるのよぉ」

ことり「……」

理事長「さっ、続き見ましょ」

ﾍﾟﾗｯ

理事長「ほら、私が小学生の時の写真よ」

ことり「ねぇ」

理事長「ん？」

ことり「お母さんって子供の頃、どんなだったの？」

理事長「どんなって？」

ことり「例えば……お転婆我が儘娘でクラスでは怖い存在だったとか」

理事長「失礼ね。元気一杯お外で遊ぶ活発な少女だったわよ」

　
母『また服を汚したの』

理事長『今日は木登りしたからね！』

母『ほんと、世話の焼ける娘だこと』

理事長『だってお母さんの娘だもぉん』

　
理事長「近所じゃ有名な美少女だったわ。うんうん」

ことり「穂乃果ちゃんみたいな？」

理事長「そう、そんな感じね」

ことり「ふ～ん」

ことり（お母さんより穂乃果ちゃんの方が可愛い）

理事長「興味なさそうね」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「あっ、オトノキの制服着たお母さんだ」

理事長「これは卒業式の時、正門の前でお母さんに撮ってもらったやつね」

　
理事長『おかあさ～ん。綺麗に撮ってね』

母『はいはい』

理事長『娘の卒業写真よ。ほらほら、可愛い制服姿も見納めよぉ～ん』

母『分かったからスカートの裾をペラペラするような、はしたない真似はやめなさい。見えちゃうわよ』

理事長『はーい』

ﾊﾟｼｬ

理事長『撮れた？』

母『ええ』

理事長『じゃ、友達と遊びに行ってくるから証書は持って帰っておいてね』

　
理事長「懐かしいわぁ」

ことり「卒業式かぁ」

理事長「ことりも卒業式の時は、同じように写真撮ってあげるからね」

ことり「ありがとっ」

理事長「あとはこれと言って私のめぼしいのはないわね」

ﾍﾟﾗｯ、ﾍﾟﾗｯ

理事長「よし、じゃあ、次はこれ」

ことり「？」

理事長「お待ちかねの……我が娘、ことりの赤ちゃんの時の写真よ」

ことり「えっ、これ私？」

理事長「私が抱いてるんだから貴女でしょうが」

ことり「なんかシワシワのお猿さんみたぁい」

理事長「産まれた時はみんなそうなのよ」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「あっ、これ」

理事長「これはことりが１歳の時ね。主人が新しいカメラ買ったからって撮ったやつだわ」

ことり「幸せそうな寝顔だね」

理事長「丁度ことりが眠った時だったわねぇ。もし起きてたら泣かれてたかも知れないわ」

ことり「えー、それくらいじゃ泣かないよぉ」

理事長「ことりは小さい頃、よく泣いて手をわずらわされたし」

ことり「えぇー」

理事長「特に夜泣きが酷かったわ」

ことり「うそだぁ」

理事長「嘘じゃないわよ。私が仕事に行こうとすると『いかないでぇ』って泣いてたわよ」

ことり「ほぇー」

理事長「おかげでお母さんがいつも苦労してたわ」

ことり（今度おばあちゃんに何か贈り物でもしよっ）

理事長「そんなことりでも私が抱き抱えたら、大泣きなんてどこへやらって感じでスヤスヤ寝てたわ」

ことり「うぅ……恥ずかしい」

理事長「恥ずかしくなんてないわ」

ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

理事長「泣いて母を困らせるのは赤ちゃんの特権みたいなものよ」

ことり「えへへ」

理事長「次行くわよ」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「次は七五三だね」

理事長「これは私が撮ったやつね。ちなみにリビングに飾ってあるのは写真屋さんで撮ったやつよ」

ことり「この時って何かあったっけ？」

理事長「うんと、そうねぇ……一人騒がしい女の子がいたのと、隣にいた奥さんとババ抜きしたくらいかしら」

　
『わーい』

『待ちなさい、穂乃果ぁー！』

　
ことり「騒がしい子がいるのは分かるけど、なんでババ抜き？」

理事長「待ち時間が長くて暇だったから、偶然持ってたトランプで隣にいた奥さんと遊んでたのよ」

ことり「はぁ……それで、ババ抜きの結果は？」

理事長「私の全戦全勝よ」

ことり「お母さんババ抜き強かったんだね」

理事長「強かったって言うか、相手の奥さん顔に出るタイプなのよ。それで」

　
理事長『こっち……』

『』ｳｯ

理事長『あっ、やっぱりこっち』

『』ﾊﾟｧｰ

理事長『と見せかけてこっち！』

『ああああ！！』

　
ことり「あぁ、なんか分かる」

理事長「あの奥さんもことりと同い年くらいの娘さんがいたわね」

ことり「じゃあ、その娘もババ抜きに弱いとか？」

理事長「有り得るわ。下手したら遺伝してるかも」

ことり（あれ、もしかしたらその娘って……）

　
『勝負です！』

『えぇ……』

『わぁ！』

『あぁ！？』

　
ことり（気のせいだよ、ねっ？）

理事長「あとは小学校の入学式と」

ことり「運動会の時もある」

理事長「んと……ほら、これ」

ことり「あぁ！！　穂乃果ちゃんと海未ちゃんだ」

理事長「確かことりがかけっこで一等賞取った時のよね」

ことり「うん。覚えてる」

　
ほのか『こっとりちゃん。いっちばぁ～ん！』

うみ『すごいです！』

ことり『えへへ、ありがとう！』

　
ことり「一等賞なんて初めてだったなぁ」

理事長「その一等賞と友達に祝福されて嬉しい表情をしたことりのベストショットよ」

ことり「それにしても可愛いなぁ」

理事長「やっと自分の可愛いさに気付いたのね。流石は我がむす……」

ことり「穂乃果ちゃんと海未ちゃんが」

理事長「あっ、そっちね」

ことり「ふふふーん。もしかしたら次のページにもあるかな？」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「なかった」

理事長「そりゃ私が編集してる以上、ことりの可愛い場面を厳選してるのよ」

ことり「ざぁんねん」

理事長（本当は別のとこに保管してるのよねぇ）

ことり「これ、と言ってもめぼしいのはもうないね」

理事長「んー……じゃあ、これは？」

ことり「これって六年生の文化祭の時のだ」

理事長「そう。ことりがお姫様で穂乃果ちゃんが王子様の役をやったやつね」

ことり「海未ちゃんが『破廉恥ですぅ～』って言ってたっけなぁ」

理事長「あの劇に破廉恥なシーンなんてあった？」

ことり「海未ちゃんが言う破廉恥だから、穂乃果ちゃんとのキスシーンかな？」

理事長「ピュアな娘よね」

ことり「別に本当にキスしたワケじゃないのに」

理事長「それも海未ちゃんの魅力なのよきっと」

ことり「もうあんまり、ないかな」

理事長「卒業式、入学式、家族旅行くらいかしらね」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「あっこれ、この前のμ'sの講堂ライブのだ。わー、いっぱい撮れてる」

理事長「頑張って撮影したからね」

ことり「そういえばこの直前って、穂乃果ちゃんが倒れて私の留学がどーのこーのでゴタゴタしてた時だね」

理事長「μ'sの雲行きが怪しくなってた頃ね。私もハラハラしたわ」

ことり「なんかつい最近なんだけど、ものすごく昔のように感じる」

理事長「それだけ今が充実してるってことじゃない？」

ことり「あの頃に比べて、どうかな？　私、変わったかな？」

理事長「まだ半年も経ってないけど、ことりだけじゃなくみんな確実に成長してるわ」

ことり「そう？」

理事長「精神的には成長してると思う」

ことり「うん」

理事長「だからラブライブの方、頑張ってね」

ことり「A-RISEがいるけど、絶対に良い報告が出来るように頑張る！」

理事長「はい。良い返事よ」

ﾍﾟﾗｯ

ことり「っと、写真はここで終わり」

理事長「あとは、これからの未来の為にね」

ことり「未来かぁ」

理事長「このアルバムを埋める為に、お母さんも頑張るわよ」

ことり「普段の理事長としても頑張ってね」

理事長「ちゃんと頑張ってるわよ。こう見えて生徒からの信頼も厚いのよ、知らないの？」

ことり「どぉかなぁ？」

理事長「少なくともμ'sのメンバーの半数とは仲良いから」

ことり「そうなんだ。初めて知った」

理事長「穂乃果ちゃんと海未ちゃん以外だと……絢瀬さんだけ仲良くなれてないわ」

ことり「ほとんど攻略したんだね」

理事長「まぁね♪」

ことり「絵里ちゃんも攻略するの？」

理事長「一人だけ仲間外れも可哀相だし、いつか攻略するわ」

PM4：50

理事長「あっ、もうこんな時間」

ことり「結構話し込んじゃったね」

理事長「それじゃあ買い物行って来るわね」

ことり「あっ、待って、私も行く」

理事長「衣装のデザインはいいの？」

ことり「もうほとんど出来てるから大丈夫だよ」

　
ことり「そ・れ・に」

　
ｸﾞｲｯ

理事長「えっ」

ｶｼｬ

理事長「な、何！？」

ことり「アルバム見てたら、お母さんと一緒に写真撮りたくなっちゃった♪」

理事長「もう、この娘ったら」

ことり「ふふふっ」

理事長「小悪魔的な感じ……誰に似たのかしら？」

ことり「お母さんに決まってるじゃん」

理事長「なっ、私は魅力的な女性ではあるけど小悪魔的な要素はないわ！　どちらかと言えば聖母よ！」

ことり「だけど私にはお母さんの血を受け継いでいるから、魅力的なことには変わりないもんっ」

理事長「はぁー、なんかことりの将来考えたら頭痛いわ」

ことり「ほぉら。可愛いことりちゃんとお買い物に行こっ」

理事長「ちょっとぉ、押さないでよ」

ことり「あと、チーズケーキ買って！」

理事長「さっき食べたでしょ」

ことり「また食べたいの、おねがぁい」

理事長「食事前だからダメよ」

ことり「ひどぉーい」

理事長「それに、食べ過ぎると太るわよぉ」

ことり「お母さんは小悪魔どころか悪魔だね」

理事長「ことりのことを想う母は聖母なのです」

ことり「ぶぅー」

　

　
まぁこれから先、色々あるだろうけど、

たくさんの思い出をアルバムに記録して、

いつかそれを大好きなお母さんと見れたらいいなぁーって、思っちゃいます♪

　

　
おしまい

理事長以外の話も書いていく予定
スレが立てばここ、無理なら速報になるとは思いますが

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