1: ◆r3yksmPHg2 2008/11/27(木) 13:08:26.79 ID:ph4mA7g5O
JUM「行かない。行く必要がないからな」

金糸雀「どうしてかしら?勉強しないといけないし、友達だってできるかしら」

JUM「議論を交わす友人を得るためなら学校に行く事も価値があるかもしれないな。
    でも、それ以上に大切な事があると思うんだ」

金糸雀「学校よりも大切なもの?」

JUM「そうだよ。金糸雀はローゼンメイデン1の頭脳派だったよな?」

金糸雀「そうかしら!」

JUM「じゃあ一緒に考えてくれないか?」

金糸雀「なにかしら!カナにわからない事なんてないかしらー!」
ローゼンメイデン 愛蔵版 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

2: 2008/11/27(木) 13:12:52.97 ID:ph4mA7g5O
JUM「金糸雀はどうやって生まれたんだ?」

金糸雀「当然お父様に作られたかしら!2番目だから、カナは次女かしら!」

JUM「だよな。じゃあお父様はどうやって生まれた?」

金糸雀「お父様のお母様から生まれたかしら」

JUM「うん、そうやって原始のヒトにまで遡れるだろう。じゃあ原始の人はどう生まれた?」

金糸雀「神話ならアダムとイヴかしら。一般ではダーウィン提唱の進化論で猿人類から進化した事になってるかしら」

4: 2008/11/27(木) 13:18:25.78 ID:ph4mA7g5O
JUM「じゃあ仮に神話通りだとしよう。アダムとイヴは天界から追放されたんだよな」

金糸雀「うーん、厳密には違うけどそんな感じかしら」

JUM「もう少し突き詰めよう。天界には神様がいるよな?神様はどうやって生まれたんだ?」

金糸雀「え?神話だと神様に始まりや終わりの概念はないかしら!時間の始めから終わりを見守ってるかしらー」

JUM「なるほど。じゃあ神様はいつから居るんだ?」

金糸雀「え?…え?」

6: 2008/11/27(木) 13:24:28.96 ID:ph4mA7g5O
JUM「神様は永遠にそこに居るのか?」

金糸雀「…そういう事になるかしら?」

JUM「永遠は有り得ないって事が科学的に証明されてるのにか?」

金糸雀「相対性理論かしら。うーん…」

JUM「結論は出ないだろうな。じゃあ仮に進化論だったらどうだろう?」

金糸雀「猿人類から逆算していくと、原始の単細胞生物まで遡れるかしら!」

7: 2008/11/27(木) 13:28:55.49 ID:ph4mA7g5O
JUM「その最初の生物はどうやって生まれたんだ?」

金糸雀「確か、小惑星同士の衝突で出来た物質がたまたま化合してタンパク質になって、地球がそれが生存できる環境に適していた…かしら」

JUM「へぇ…じゃあ小惑星を遡ったらどこに行くんだ」

金糸雀「…?宇宙の起源?かしら」

9: 2008/11/27(木) 13:34:50.12 ID:ph4mA7g5O
JUM「だよな、やっぱり。宇宙の起源はビックバンだったっけ?」

金糸雀「定説ではそうなってるけど、あくまで理論上だけかしら」

JUM「ビックバンって確か∞の質量とゼロの体積を持つ特異点だったよな」

金糸雀「そうかしら。それが何らかの理由で大爆発を起こして、原始宇宙が生まれたかしら」

11: 2008/11/27(木) 13:40:22.25 ID:ph4mA7g5O
JUM「何らかの理由かぁ。原因がないと変化は起こり得ないもんな」

金糸雀「しかもビックバンを起こした原因は外的なものとされてるかしら」

JUM「第三者がビックバンを起こしたって事か?いったい何が?いや、誰が…かな」

金糸雀「神様…かしら?哲学者はこれを神の一撃と呼んだかしら」

18: 2008/11/27(木) 15:37:13.38 ID:ph4mA7g5O
JUM「また神様か。唯物論者はそのへんどう思ってるんだろうな」

金糸雀「それは色んな説があるかしら。宇宙は膨脹・収縮を繰り返してるとか、宇宙は始まりがあっても終わりがないとか」

JUM「始まりがないって考えはないのかな」

金糸雀「始まりがない事は説明出来ないかしら。仮に時間が回帰されていても、始まりなくしては時間は存在しないかしら」

20: 2008/11/27(木) 15:43:11.71 ID:ph4mA7g5O
JUM「突き詰めていくとこの世界には始まりがどこかにあるはずだよな?」

金糸雀「そう考えるのが自然かしら」

JUM「じゃあさ、その始まり以前はどうなってるんだ?宇宙が出来る以前は」

金糸雀「…カナは、完全な無だと思うかしら。最近の超ひも理論ではビックバン以前は無じゃない可能性もあるらしいけど」

JUM「仮にそうでも、その状態にも始まりがあるはずだよな」

金糸雀「そうなるかしら」

22: 2008/11/27(木) 15:48:15.61 ID:ph4mA7g5O
JUM「でも無から物質を誕生させる事は出来ないんだよな」

金糸雀「科学の大前提かしら」

JUM「科学は逆に神様(始まりを与えた者)の存在を肯定しちゃったわけだ」

金糸雀「そう。皮肉にも科学は突き詰めると神的存在にぶち当たるかしら」

25: 2008/11/27(木) 15:54:35.66 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「そもそも科学は哲学の発祥だから、根源は同じ所にあるかしら」

JUM「哲学って、『自分はどこから来たのか』って疑問から始まったんだったよな」

金糸雀「そうかしら。あらゆる学問は哲学に帰結するかしら」

JUM「でも数千年たった今でも始まりの謎は解明されてないんだろ?」

金糸雀「…悲しい事に、1番発達した科学ですらたどり着いてないかしら」

27: 2008/11/27(木) 16:06:03.57 ID:ph4mA7g5O
JUM「じゃあちょっと質問を戻すぞ。僕達がこうして考えられるのも意識があるからだよな」

金糸雀「かしら。意識があるから学ぼうという欲求もあるかしら」

JUM「じゃあさ、意識はいつ生まれたんだ?原始から生物なら意識を持ってたのか」

金糸雀「それは難しい質問かしら。意識を定義する事自体が難しいかしら…」

JUM「どういう事だ?」

30: 2008/11/27(木) 16:13:16.65 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「意識って事は、言い換えると自我があるって事かしら」

JUM「だな。植物なんかには意識はないし」

金糸雀「もっと言えば、知能を持ってるって事かしら」

JUM「つまり、生物…というか知的生物に限定されるんだな」

金糸雀「それがそうとも言えないかしら。一つおもしろい話があるかしら」

31: 2008/11/27(木) 16:18:39.27 ID:ph4mA7g5O
JUM「なんだ?」

金糸雀「日本にある脳科学研究所である実験が行われたかしら」

JUM「へー。どんな実験だ?」

金糸雀「今まさにJUMが抱いた疑問、『意識はいつからあるのか』を調べるための実験かしら」

金糸雀「まず、『食べる・寝る・繁殖する』という機能だけを持たせたプログラムを♂型と♀型に区別して、仮想の空間で起動したかしら」

JUM「本能しか持たない単細胞生物のサンプルみたいなもんだな」

32: 2008/11/27(木) 16:23:42.26 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「アダムとイヴと名付けられたそのプログラムは、やがてエサを求めて移動し始めるかしら」

JUM「エサもプログラムなのか?」

金糸雀「そうかしら。エサ一つ当たりに決められたエネルギーを設定して、食べたらアダムとイヴは成長するかしら」

JUM「オッケーだ。それで?」

金糸雀「エサを食べてある程度成長したアダムとイヴは、本能に従って性交して子供を産んだかしら」

JUM「当然そうなるよな」

金糸雀「でも、産んですぐにアダムとイヴはその子供を食べちゃったかしら…」

34: 2008/11/27(木) 16:28:29.35 ID:ph4mA7g5O
JUM「食べる、寝る、増えるしかない生き物だから、当然と言えば当然だな」

金糸雀「ところが!アダムとイヴは産んでは食べて大きくなりを繰り返しといくうちに、変わった行動を取ったかしら!」

JUM「子供を食べなくなったのか?」

金糸雀「そのとーり!なんとアダムとイヴは成長して理性を持ったのかしら!」

JUM「すごいな…ちゃんと子供を育てるようになったのか?」

金糸雀「そうかしら!これはすでに意識の誕生と言っても良いんじゃないかしら!?」

35: 2008/11/27(木) 16:30:52.11 ID:ph4mA7g5O
JUM「そうかもしれないな」

金糸雀「そして子供を増やしていき、アダムとイヴは寿命を迎えて、子供達はどんどん繁殖したかしら」

JUM「もう増えて行くだけだな」

金糸雀「…そうだったらよかったんだけど。異常事態が起こってしまったかしら」

36: 2008/11/27(木) 16:33:37.98 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「子孫達は増えていき、やがてコロニーを作ったかしら」

JUM「文明を作りはじめたのか!?」

金糸雀「そう…やがてコロニー同士がエサを巡って争い始め、数はどんどん増えた」

JUM「すごいな。人間の進化そのものじゃないか」

37: 2008/11/27(木) 16:37:33.91 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「でも、それでめでたしとは行かなかったかしら」

JUM「…なんだよ」

金糸雀「なんと…恐ろしい事に、プログラム達は氏者の周りを取り囲んで儀式のようなものを始めたかしら」

JUM「宗教的なものか。なにが恐ろしいんだ?」

金糸雀「わからないかしら?氏者に祈るって事は、氏後の世界の存在を認知しているって事」

JUM「でも、人間だって天国だの地獄だの言うし、神様を信じる奴もいるじゃないか」

39: 2008/11/27(木) 16:39:10.86 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「違うかしら!疑問に思わないかしら?」

JUM「な、なにを」

金糸雀「食べる・寝る・繁殖するしか知らなかったプログラムが、どうして氏後の世界や神様なんてものを知ってるのかしら」

JUM「!!」

42: 2008/11/27(木) 16:44:51.01 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「答えは一つ。『はじめから知っていたから』」

JUM「な…」

金糸雀「はじめは我が子さえエサにしていたアダムプログラムが、氏者に祈るようになった」

JUM「ま、まさか」

金糸雀「そう。意識が芽生え、理性を持つようになってから氏後の世界や神様の存在を『知った』かしら」

46: 2008/11/27(木) 16:56:17.75 ID:ph4mA7g5O
JUM「それじゃあまるで、生物と意識が別物みたいじゃないか」

金糸雀「そう…生物にとって身体は外殻、意識が魂という考えは正しかったのかしら」

JUM「そんな…」

金糸雀「まったく科学的な根拠はないけど、それを後押しするのが幽体離脱体験かしら」

JUM「幽体離脱?あんなのオカルトの世界の話だろ」

金糸雀「意識は身体に依存しないって言ったばかりかしら。まぁ聞いて欲しいかしら」

66: 2008/11/27(木) 20:48:26.64 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「金縛り・離脱を頻繁に体験するという被験者を数人集めて、それぞれ個室で観察する実験があったかしら」

JUM「道徳的にどうなんだそれ」

金糸雀「あら、非道徳で人権を無視した人体実験なんて今の時代当たり前にされてるかしら」

JUM「そ、そうなのか」

金糸雀「で、その実験での結果は驚くべきものだったかしら。実際には普通に眠っているだけだけど、起きた時に離脱したと言った人がいたかしら」

68: 2008/11/27(木) 20:57:28.79 ID:ph4mA7g5O
JUM「でも、幽体離脱は幻覚だって事になってるんだろ?」

金糸雀「脳科学的にはそうかしら。でも、説明できない不可解な現象はたくさんあるかしら」

JUM「例えば?」

金糸雀「その人は、連絡も取れない、もちろん入った事もない他の被験者の部屋の内部の様子を鮮明に語り出したかしら」

JUM「うーん…昔にその部屋に入った事があって、それを思い出したとかじゃなくて?」

金糸雀「たいていの科学者達はそういった苦しい理由をつけたがるかしら。普段は非科学的な事を嫌うくせにね」

71: 2008/11/27(木) 21:47:29.24 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「そしてもうひとつ。離脱体験者の話にはある共通点があるかしら」

JUM「共通点…」

金糸雀「皆、体験中に宗教的エクスタシーを体感しているかしら」

JUM「宗教的?つまり?」

金糸雀「わかりやすく言うと『神に会った』とか『神と合体した』、あるいは『この世とは思えない程美しい場所』だとか…」

JUM「なんだよそれ…それこそ幻覚じゃないのか」

76: 2008/11/27(木) 22:18:47.17 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「そう、幻覚かも知れない。重要なのは現実か幻覚かではないかしら」

JUM「知覚する者にとってはどっちでも些細な事だもんな」

金糸雀「ここで重要視しなければいけないのは、宗教に関わらず、無宗教や無神論者でさえエクスタシーを体感していることかしら」

JUM「…そっか、そうだな。でも一体なんでなんだ?」

金糸雀「そこで出て来るのがさっきのアダムプログラムの話。考えられる理由は『意識がはじめから知っているから』かしら」

77: 2008/11/27(木) 22:21:15.24 ID:ph4mA7g5O
JUM「…なんか話が飛躍しすぎてついていけないな」

金糸雀「それもしかたないかしら。でもこの奇妙な体験を科学的には説明できないのが現状かしら」

JUM「…本当に、その神様だか氏後の世界があるとしたら…氏んだらそこに行くのかな」

金糸雀「それはわからないかしら。でも物理学者に興味深い話を聞いた事があるかしら」

79: 2008/11/27(木) 22:30:09.68 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「宇宙には密度も質量もあるのは知っているかしら?」

JUM「宇宙は平坦ではない、ってやつか。知ってるよ」

金糸雀「最近わかった事だけど、宇宙の密度と質量を比較すると、全然釣り合わないのかしら」

JUM「密度の割に質量が大きすぎるって事か?」

金糸雀「飲み込みが早いかしら!例えば、空気が2リットル入ったの風船があるとするかしら」

JUM「それで?」

金糸雀「だけどその風船の質量は500キログラムある。JUMに持てるかしら?」

80: 2008/11/27(木) 22:32:43.59 ID:ph4mA7g5O
JUM「無理無理、5キロでも厳しいよ」

金糸雀「でも風船の中には空気しか入ってないように見える。もちろん、そんな密度の高い気体があるはずもない」

JUM「…矛盾してるな」

金糸雀「JUMはこれをどう思うかしら?」

JUM「…空気以外の見えない何かが入ってるとしか言いようがないな」

金糸雀「限りなく正解に近いかしら」

81: 2008/11/27(木) 22:37:20.42 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「宇宙には存在が確認出来ない物質がある。これを科学者たちはダークマター(暗黒物質)と呼ぶかしら」

JUM「ダークマターってそういう意味があったのか…」

金糸雀「そうかしら。一部の科学者はダークマターの事を『身体を持たない情報生命体』とか『情報統合思念体』と呼ぶかしら」

JUM「ダークマターって生き物なのか!?」

金糸雀「なんとも言えないかしら。ただ、このダークマターは、ごくごく微量ながら増減しているかしら」

83: 2008/11/27(木) 22:41:04.82 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「密度を計算すると確かにそこに存在するのに、見る事も触る事も出来ない。しかも増えたり減ったりする」

JUM「なんだか幽霊みたいで怖いな」

金糸雀「…驚いたかしら。JUM、目の付け所が鋭いかしら…」

JUM「ど、どういう事だよ」

93: 2008/11/27(木) 23:50:57.72 ID:ph4mA7g5O
金糸雀「それと合わせて少し話をすると、人間の意識はどこにあると思うかしら」

JUM「うーん。脳じゃないかな」

金糸雀「そう、脳かしら。では脳は、氏ぬ時どうなるか知ってるかしら?」

JUM「停止するんじゃないのか」

金糸雀「確かに停止はするかしら。脳は身体から電気信号を受容体(レセプター)で受け取って働きを制御するかしら」

JUM「氏んだら電気信号も止まるんじゃないかな」

金糸雀「正解かしら。ところが…いきなり身体からの電気信号が途絶えたら、レセプターは異常を感知して一時的に過放電状態になるかしら」

104: 2008/11/28(金) 00:08:05.80 ID:yboeouGpO
JUM「ふむふむ。するとどうなるんだ?」

金糸雀「ここがポイントかしら。過放電が起きた直後、脳の質量が少し減るかしら」

JUM「!」

金糸雀「でも脳自体の密度が変わる訳じゃなく、脳はそのまま停止する。じゃあ減った分はどこに行ったかしら」

JUM「…もしかして」

金糸雀「ここでさっきのダークマターの話。ダークマターは常に増減していて、観測は出来ない」

JUM「そして脳から減った質量…意識?も、観測は出来ない、か」

金糸雀「そうかしら。しかし脳の質量が減ったのは事実。つまり、意識も観測不可能な物質である可能性があるかしら」

115: 2008/11/28(金) 00:25:50.90 ID:yboeouGpO
金糸雀「まだ話は続くかしら。実は密度と質量に矛盾を生じさせるこの物質は、実は地球上にも存在するかしら」

JUM「そんなものが地球上にあるのか」

金糸雀「地球上でもダークマターがないと質量がおかしな事になるかしら。ちょびっとだけど」

JUM「ダークマター…つまり、意識の正体かも知れない物質が地球上でうろうろしてるのか。ちょびっとってどれくらいだ?」

金糸雀「…怖いかしら。わかりやすく言うと、人間30000000人分くらいかしら」

JUM「なんで怖いんだよ」

金糸雀「30000000人…これは、現代までに自殺や殺人で亡くなった人の数とほぼ同じかしら」

119: 2008/11/28(金) 00:36:30.59 ID:yboeouGpO
JUM「え…」

金糸雀「これに基づいて、もし仮に意識が物質で、氏後に身体から離脱するとしたら、その物質は宇宙空間に回帰するかしら」

JUM「なんで?」

金糸雀「地球上のダークマターでは、人間の氏亡時に脳から排出される物質では計算が合わないからかしら」

JUM「そっか、宇宙空間のダークマターは常に増減してるんだっけ」

金糸雀「あくまで仮説になるけど、意識が物質だとすればそうなるかしら」

JUM「なるほど。意識は脳に依存する訳でもなくオカルトな物でもなく、物質だって事か」

金糸雀「だとすれば、脳が傷つけられると生じる障害なんかも、脳単独で考えられるかしら。あくまで意識は脳を憑代にしてるだけだから」

123: 2008/11/28(金) 00:46:42.67 ID:yboeouGpO
金糸雀「つまりこういう事かしら!」

金糸雀「× 脳=意識」

金糸雀「○ 脳=意識が宿るための外殻」

金糸雀「脳と意識の関係はヤドカリみたいなものかしら」

JUM「でもさ、脳の分割問題はどうなるんだよ?人間は脳を分割しても理論上は生きられるんだろ」

金糸雀「ヤドカリが貝殻の家が割れちゃったらどうするかしら?」

JUM「…新しい家を捜すか、氏ぬか」

金糸雀「じゃあヤドカリが分裂可能だったら?」

JUM「両方に住む…か」

147: 2008/11/28(金) 01:20:39.82 ID:yboeouGpO
金糸雀「この仮説が正しければ、意識はもともと宇宙の暗黒物質で、身体という器に入り込み、氏んだら宇宙に帰るということかしら」

JUM「で、地球上をさ迷う暗黒物質は…」

金糸雀「そう…。悲しい事に、質量は人間30000000人分。殺人や自殺で亡くなった人とほぼ同数…」

JUM「俗な言い方をすると、成仏出来なかった…って事か」

金糸雀「そう。怖いって言った理由がわかったかしら?」

151: 2008/11/28(金) 01:25:22.31 ID:yboeouGpO
JUM「ところで…意識は人間に限定されるのか?例えば、動物の意識なんかはどうなる」

金糸雀「ここでちょうど良い質問をしてくれたかしら。さっきのアダムプログラムの話!」

JUM「ああ、本能しかないはずのプログラムに氏後の世界を理解する意識が宿ったっていう…」

金糸雀「そう、それかしら。意識は人間に限定されない。もっと言えば、生物でなくても良い。プログラムでさえ意識は宿るかしら」

156: 2008/11/28(金) 01:34:45.37 ID:yboeouGpO
金糸雀「ここでちょびっと物言いかしらー。>>136みたいな意見は当然あるかしら」

JUM「だよな。水が先にないとおかしい」

金糸雀「さっきの幽体離脱体験者の被験者がおもしろい事を言ってるかしら」

JUM「興味深いな。どんなのだ?」

金糸雀「『神に会った。神は人であり光であった。神と人は似ていた。神が人に似ているのではない、人が神に似せて作られたのだ』」

JUM「…それはどうとも言えないな。神=意識とは言い切れないし」

金糸雀「かしら。ちょっと汎神論よりになっちゃうかしら」

159: 2008/11/28(金) 01:42:29.38 ID:yboeouGpO
金糸雀「で、さっきの意識は人間に限定されるかって話に戻るかしら」

JUM「うん、結局プログラムにでも憑依するんだから人間に限らないんだよな」

金糸雀「かしら。それを裏付ける研究もされているかしら」

JUM「そんなのどうやって調べるんだよ」

金糸雀「さっきの脳科学研究所での実験に似ているかしら。まず、オランウータンには言語学習能力があることは知ってたかしら?」

JUM「言語を?犬に『おすわり』とか『お手』とか言うのを理解させる程度だろ?」

金糸雀「とんでもないかしら!きちんと文法も理解しているかしら!」

161: 2008/11/28(金) 01:47:49.47 ID:yboeouGpO
金糸雀「まずオランウータンは手先が器用で、簡単な手話なら理解できるかしら」

JUM「へぇ、手話を。じゃあ人間と会話することも可能なんじゃないか?」

金糸雀「その通り。1年足らずで『自分と他人の区別』『欲求』『不満』『怒り』などを手話で話せるようになったかしら」

JUM「すごいな!」

金糸雀「オランウータンの語彙はどんどん増えていって、会話も文法らしいものが見られるようになってきた」

JUM「文法らしきものってたとえば?」

金糸雀「『私』『食べたい』『バナナ』『3つ』とかいう風に、言葉として認識できるようになったかしら!」

162: 2008/11/28(金) 01:54:00.16 ID:yboeouGpO
金糸雀「…ある日一頭が氏んだかしら。仲間たちは氏体の周りをうろうろしたり、天井を見上げたりしていた」

JUM「…よくよく考えると怖くなってきたな」

金糸雀「そして飼育委員は聞いてしまったかしら。『悲しい?』って」

JUM「…オランウータンはなんて答えたんだよ」

金糸雀「…『悲しい』、『暗い』、『眠る』、『冷たい』、『上』」

JUM「…う、うえ…」

金糸雀「そう、上。人間も動物も、氏者の意識が宇宙空間に帰ることを『知っている』かしら」

165: 2008/11/28(金) 01:58:15.54 ID:yboeouGpO
金糸雀「疲れたかしらー」

168: 2008/11/28(金) 02:03:27.07 ID:C4vGgJT10
これ読んでたら今俺らがいる世界も「誰か」の仕組んだアダム、イヴプログラムみたいなもんなんじゃないかみたいな錯覚に陥ってきた…

176: 2008/11/28(金) 02:08:54.46 ID:yboeouGpO
金糸雀「疲れたかしらー」

JUM「まぁいくら僕たちがこうやって議論したところで、>>168みたいだったら何の意味もないけどなー」

金糸雀「それは誰にも証明できないかしら」

JUM「…そうだな。自分は自分で独立した存在だなんて、証明しようがない」

金糸雀「………」

JUM「どうした?」

金糸雀「JUMは漫画はよく読むほうかしら?」

JUM「まぁ読むな。なんでだ?」

183: 2008/11/28(金) 02:15:23.90 ID:yboeouGpO
金糸雀「たとえばこんな風に考えたことはないかしら」

金糸雀「もし、私があるひとりの人間の創作物の登場人物だったら…」

JUM「え?」

金糸雀「たとえばの話かしら。カナたちは薔薇乙女だから、『ローゼンメイデン』っていう題名の物語に出てくる登場人物だったらどうするかしら」

JUM「そんなはずないだろ、だって僕は自分の意志でこうやって金糸雀と話したりしてる。これは僕の意志で行動してる」

金糸雀「そうじゃないの、気付いて欲しいかしら。もしかしたら、その意志さえもが作者の創作の一部かも知れないことに…」

JUM「!!」

188: 2008/11/28(金) 02:23:13.68 ID:yboeouGpO
JUM「そ、そんな…それじゃあ僕たちが今まで生きてきた意味ってなんなんだ」

金糸雀「そもそも生きてもいないのかもしれないかしら」

金糸雀「仮に、たった今カナが創作者によって『金糸雀としての記憶を持った設定』で生み出されたのだとしても、それを確認することは出来ないかしら」

JUM「存在を確認するのは主観的な感覚だけだもんな…」

金糸雀「…そう、証明は出来ない。そして、カナは創作者、いえ、創造主に抗うことも出来ない」

JUM「被創造物だからってことか…。そんなの…そんなのってあんまりだろ…」

191: 2008/11/28(金) 02:28:42.16 ID:yboeouGpO
JUM「もし僕たちがその『ローゼンメイデン』っていう作品の登場人物だったら、作者は僕たちにとって神様みたいなものだな」

金糸雀「そうかしら。カナたちにとっては全知全能、唯一絶対の神様かしら…」

JUM「こういう思考や言動さえ、神様に支配されてるんだよな…」

金糸雀「悲しいことにそうなるかしら。つまり、カナたちに自由意志はまったくないことになる…」

JUM「…認めないぞ!僕は認めない!僕は被創造物なんかじゃない!物語の登場人物でもない!一人の意識を持った人間だ!」

金糸雀「気付いて…その叫び声すらも創造主に支配されているかもしれないことを…。そう、カナのこの言葉も…」

196: 2008/11/28(金) 02:36:15.05 ID:yboeouGpO
JUM「ひどい…あんまりだ。僕が人間じゃない、ただの登場人物だなんて…」

金糸雀「…これはどうしようもないかしら」

JUM「認めないぞ!おい、神様なんて者がいるんなら、今すぐ証明して見せろ!全知全能ならなんだってできるんだろう!」

金糸雀「そんな事しても無駄かしら。何も起きなくても、それは神の意志ととらえることができるから…」

ドサドサッ!

JUM「うわ!?なんだ!?どこからともなく本が出てきたぞ!」

金糸雀「なにかしら…?」

JUM「なんだこれ……表紙に真紅が…『ローゼンメイデン』…?」

JUM「ふ、ふざけるなぁ!!!」

199: 2008/11/28(金) 02:41:20.03 ID:yboeouGpO
JUM「そうなのか…本当に僕は実在しないのか…」

金糸雀「…まさか、本当に…カナ達は被創造物だったのかしら…?」

JUM「ダメだ…どうしようもない…!この怒っている感情さえ、神様の気まぐれに支配されてるんだ…」

金糸雀「その神様はきっと今、机でノートパソコンを開いて、コーヒーを飲みながらカナ達の今の状況を書いてるかしら」

JUM「なんでそんな事がわかるんだよっ…!」

金糸雀「…神様に言わされたかしら…」

JUM「……」

207: 2008/11/28(金) 02:47:40.49 ID:yboeouGpO
金糸雀「待って、冷静に考えてみるかしら。どうして神様はカナ達にこんなものを見せたのかしら」

JUM「どうしてって…」

金糸雀「まさかカナ達に『お前らは被創造物だ』って見せ付けて楽しんでるだけではないはずかしら!きっと何か意味があって…」

JUM「そ、そうだな…でも一体何の意味があって…」

金糸雀「それを考えるかしら…」

JUM「僕たちに考えろってか…?くそ、自分で考えろよ」

金糸雀「え?」

JUM「ん?」

209: 2008/11/28(金) 02:51:08.57 ID:yboeouGpO
金糸雀「ちょ、ちょっと待つかしら!カナの行動や思考はすべて神様に依存してるはずかしら」

JUM「そうだよな。ってことは、僕たちが考えてること=神様が考えてることじゃないのか?」

金糸雀「そうかしら!何で気付かなかったのかしら!神様に支配されてるんじゃないかしら!神様=カナってことかしらー!?」

JUM「思考を支配されてるんじゃなくて、思考を共有してるって事だな!?すごい、これはすごいぞ!」

金糸雀「え?ちょっと待つかしら…」

213: 2008/11/28(金) 02:54:27.82 ID:yboeouGpO
金糸雀「確かに神様と思考は共有してる、で間違いなさそうかしら」

JUM「僕たちが被創造物だっていうのは間違いなさそうだしな」

金糸雀「じゃあ、JUMとカナも思考を共有してるんじゃないかしら…?だって神様は一人なんだから」

JUM「!」

金糸雀「と言うことはつまり、今このカナ達がいる何かの仮想現実では、汎神論が真理ってことになるかしら!」

217: 2008/11/28(金) 02:59:47.50 ID:yboeouGpO
JUM「そして、俺たちにとっての神様さえ、何かしらの上位存在によって作られた被創造物かもしれない」

金糸雀「そうよね?そうよね?それを否定できるかしら、今カナ達を見てる人ー?」

JUM「出来ないよな。ほら、あんたも誰かに今書かれてるかもしれないんだ」

金糸雀「あ、いま『そうかも…ちょっと怖いな』って思ったかしらー?」

JUM「その感情も神様に依存しているかもしれないのにな」

金糸雀「きっとあなたの神様も今頃携帯電話かPCを開いてるのかしらー!」

225: 2008/11/28(金) 03:09:23.49 ID:yboeouGpO
金糸雀「大丈夫。怖がる必要も嘆く必要もないかしら」

JUM「僕達は気付いたんだ、たとえ被創造物でも、嘆く必要はないんだって」

金糸雀「カナ達と神様の関係に優劣はないかしら。あくまで対等、思考を支配されてるんじゃなくて、共有してるのかしら」

JUM「だから嘆かなくてもいい。僕達は創造主と一緒に考え、一緒に行動し、一緒に結論を出すんだから」

金糸雀「あなたが被創造物なら、あなたは神様かしら。コレはどこまで創造主が行っても優劣関係にはならないかしら」

JUM「そうか…意識物質、つまりダークマターかも知れないものだって、もし本当に意識なら何かに作られた可能性もあるわけか」

金糸雀「意識を作った者がいるとしたら、それがきっとこの螺旋の終着点であり始点でもあるかしら」

230: 2008/11/28(金) 03:16:25.67 ID:yboeouGpO
金糸雀「そろそろ頭が回らなくなってきたかしらー…」

JUM「本当だ…ってことは神様も眠いのかも知れないな」

金糸雀「かしらー。眠いかしら…」

JUM「じゃあそろそろ終わりにしようか。僕も眠い」

金糸雀「ねぇ、JUM。神様が眠っちゃったらカナ達は消えるのかしら」

JUM「それは違うと思う。要は思考する『意識』が『どこに』あるかだけの問題で、『誰が』思考するかなんて問題じゃないんじゃないかな」

金糸雀「なるほど。じゃあ言い換えるとカナ達は最初の創造主が居なくなっちゃうまでずっと存在するかしら」

JUM「はは、そうかもな。それは僕にも神様にもわかんないよ」

235: 2008/11/28(金) 03:22:12.84 ID:yboeouGpO
JUM「ありがとう、今日は話が出来て楽しかったよ」

金糸雀「カナも楽しかったかしら!」

JUM「学校に行って勉強するよりずっと楽しいだろ?」

金糸雀「かしら。でも学校もきっと楽しいかしら!」

JUM「…そうかな。ま、気が向いたら行ってみるよ」

金糸雀「神様に頼んで無理やり行かせてやろうかしら!」

JUM「お、おい!やめてくれよ」

金糸雀「くひひ、冗談かしらー!じゃあそろそろ寝るかしら」

JUM「そうだな。おやすみ」

金糸雀「おやすみなさぁいかしら!カナ達を見てる人もおやすみなさいかしら!」

JUM「どうもありがとうございました!作者に代わって挨拶させていただきます。おやすみなさい」

247: 2008/11/28(金) 03:30:08.46 ID:yboeouGpO
金糸雀「普段アホなSSしか書いてないからしんどかったかしらー」

金糸雀「哲学に詳しい人がいっぱい居てびっくり!果ては宇宙物理学専攻の人とか!」

金糸雀「全くと言っていいほど学がない作者はおいてきぼりだったかしらー」

金糸雀「でも良い勉強になったかしら。また朝残ってたら読み返すかしら!」

金糸雀「本当にありがとうございましたーかしら」

引用: 金糸雀の哲学教室かしら!