306: 2011/02/12(土) 04:28:02 ID:7/MEIFL60
<ラブパワー・ホームラン>
律「というわけで突然だが、今日は軽音部全員でバッティングセンターに来ている!」
澪「誰に説明してるんだ、お前は…」
紬「私、一度バットでボールを打ってみたかったの!みんなはこういうとこ、よく来るの?」
唯「私は初めてだよー」
律「というか、女でバッティングセンター行ったことがあるヤツは少ないんじゃないか?」
梓「あ、私は前に一度、憂や純と来たことがあります」
澪「へー、なんか意外だな」
唯「そういえば憂が前に言ってたよー。私たちが修学旅行行ってる時だっけ?」
梓「はい。憂はすごかったですよ、初心者なのにいきなり特大のホームラン打ってましたから」
紬「憂ちゃんすごいわ~」
律「憂ちゃんのポテンシャルの高さマジハンパねぇな…。
唯は本当に全部いいところ吸い取られてるんじゃないか?」
唯「むっ!りっちゃん、そいつは聞き捨てならないよ!
私だってやるべき時はやる女なんだからね!」フンス
梓「それは知ってますけど、いきなりバッティングはさすがに難しいんじゃ…」
唯「むむ、信用してないね、あずにゃん!ならば実際に見せてあげるしかないようだよ!」スッ
律「おおっ、バットで的を指した!?」
紬「これは噂に聞く予告ホームランというものね!?」
澪「まだ打ってないからどっちかというとホームラン予告だけどな」
唯「さあ来い!」
梓「唯先輩、バットを持つ手が逆です」
307: 2011/02/12(土) 04:29:50 ID:7/MEIFL60
~しばらくして~
唯「…バットにかすりもしない」シクシク
梓「だから言ったじゃないですか。この前だって、私と純は結局全然打てなかったんですから」
唯「ううぅ~」
律「まあ、一球目で球速にビビってあっという間にリタイアした澪に比べれば、
まだ続けてるだけマシってもんだろ」
澪「ボールハヤイコワイボールハヤイコワイボールハヤイコワイボールハヤイコワイ」ガタガタブルブル
梓「唯先輩も最初はビビってましたけどね」
カキーン
紬「また当たったわ~♪」
律「ムギはなんであんないい加減なフォームなのにそこそこ飛ぶんだろうな」
梓「パワーで押し返してる感じですね」
唯「うぅ~、どうやったら当たるのぉ~?」
律「んー、私もあんまり詳しくないけど、まずは…」
紬「ちょっと待って、りっちゃん」
律「ん?」
梓「どうしたんですか?ムギ先輩」
紬「唯ちゃんが打てるようになるには、もっと効果的なものがあるはずよ」
律「もっと効果的なもの?」
紬「それは…梓ちゃん、あなたよ!」ビシッ
梓「わ、私!?」
唯「ふぇ?あずにゃん?」
紬「そう!大好きな梓ちゃんのためなら、唯ちゃんは何だってやってのけるはず!」
梓「だ、だだ大好きだなんて、そんな」アセアセ
唯「確かにあずにゃんのためならなんでもしてあげたいけど、これは難しいよぉ」
律「…ははぁ~ん、なるほどな」ニヤリ
紬「さすがりっちゃん、分かってくれたみたいね」
律「ああ。つまりご褒美を用意してやりゃいいってことだろ?」
唯「えっ、打ったら何かくれるの!?」
梓「ちょっと待ってください、なんでそこで私が出てくるんですか?
アイスとかケーキなら分かりますけど…」
紬「あら、そんなものより、もっともっと素敵なものがあるわ。
それに、これは梓ちゃんにとっても悪い話にはならないと思うんだけど…」
梓「どういう意味ですか?」
律「まあまあ、梓はそこで待ってろ。おーい、唯!」
唯「なにー?」
律「お前が見事ホームラン打ったら、梓がキスしてくれるってさ!」
308: 2011/02/12(土) 04:31:30 ID:7/MEIFL60
梓「んなっ!?」
紬「ナイスプレイよ、りっちゃん!」
唯「ホントに!?」
律「ああ、もちろんだ!」
梓「ちょ、ちょっと、何勝手なこと言ってるんですか律先輩!唯先輩も真に受けないで…」
唯「ねえねえあずにゃん、ホントにチューしてくれるの!?」キラキラ
梓「うっ…そっ、そんなわけ…」
唯「あずにゃんがチューしてくれるっていうなら、私頑張るよ!約束する!
憂もびっくりの超特大ホームランを打ってあげる!あずにゃんのために!」キラキラキラキラ
梓「あ…う…あうう…」
唯「ねえ、あずにゃん?」キラキラキラキラキラキラキラキラ
梓「…い、いいです!やってやるです!
唯先輩が本当にホームランを打ったら…キスしてやるです!」
唯「やったぁ!よーし、今度こそ!銀河の果てまでかっ飛ばしちゃうよー!!」フンス
律「おーおー、随分と思いきったじゃん?」
梓「うっ、うるさいです!振ったのは律先輩じゃないですか!」
律「まーそうだけど、別に本当のこと言って断ったってよかったんだぞ?
別にバッティングセンターで打てなくたって、唯がヘコむだけなんだし」
梓「うう、だってあの期待に満ちたキラキラした瞳は反則です…。
それに、あの気分屋の唯先輩がヘコんだら大問題ですよ。
明日からしばらく、勉強や演奏に影響が出かねません。それに…」
律「それに?」
梓「…いえ、何でもありません」
紬「唯ちゃんが落ち込む姿は見たくないのよね、梓ちゃん♪」
梓「んなっ…べ、別にそういうわけじゃ…!」カアッ
紬「大好きな唯ちゃんにはいつも笑顔でいてほしい。
落ち込む姿を見るくらいなら、と、自分の身を差し出す梓ちゃん…。
ああ、なんて健気なのかしら…」キラキラ
梓「だから違いますってば!」カアア
律「なるほどなー。しかし梓、気持ちは分かるが、ちょっと迂闊だったかも知れないぞ?」
梓「へ?」
律「梓のキスが懸かってるとなれば、唯は間違いなく本気になるだろうし、
そのポテンシャルは底知れないものになるだろうからなー。
こりゃ梓の唇は唯のもの確定かなー」ニシシ
梓「なっ…ま、まさか、いくら唯先輩でも私のキスくらいでそんな…」
律「唯が自分で言ってただろ、『やるべき時はやる女』だって。
で、あいつにとっての『やるべき時』は、まさに今なんだよなー」
梓「そ、そんな…」
澪「何の話してるんだ?」
律「お、澪。ようやく復活したか。実はかくかくしかじかでさー」
澪「あー……まあ頑張れ、梓…」
梓「澪先輩までそんなリアクション!?」
309: 2011/02/12(土) 04:33:31 ID:7/MEIFL60
澪「と、そうこうしてるうちに唯が打つみたいだぞ」
律「お、いよいよ運命の打席だな」
紬「唯ちゃん、頑張ってー!」
唯「よっしゃこーい!」
梓(だ、大丈夫!確かに本気になった唯先輩は色々すごいけど、
いくら私のキスがかかってるからって全くのバッティング初心者の唯先輩が
そう簡単にホームランを打てるわけが…!
いや確かに憂は打ったけど、憂は色々とポテンシャル高いし、
ああでも唯先輩と憂は実の姉妹で…でも姉妹だからってスキルが同じわけじゃ…!
いや、だけど唯先輩だって本気になれば本当に凄くて…って思考がループしてる!?)
ガシャン!!
唯「あーっず…にゃーーーーん!!」
澪「振った!」
律「なんだあの掛け声」
カキィィィン!
律「おっ」
紬「まあ」
澪「おお…」
梓「…えっ」
唯「やった…やったよ!超特大ホームランだよー!みんな見た!?あずにゃん見た!?」
紬「もちろんよ!すごかったわ、唯ちゃん!おめでとう!」
澪「いやー、かなり飛んだな。すごいぞ、唯」
律「やったな、唯!」
梓「…えっ?えっ?」
唯「あずにゃーん!私やったよ!約束通りのホームランだよ!
あずにゃんに捧げるホームランだよ!
だから…あずにゃんもしてくれるよね!約束のチュー!」
梓「ふえ?え?えええ?」
律「だーから言っただろ?ま、今更約束を取り消して、
あんなに嬉しそうな唯をヘコませるような真似はしないよな?梓♪」ニヤニヤ
梓「…ええええええええええええ!?」
310: 2011/02/12(土) 04:35:04 ID:7/MEIFL60
律「それでは、本日のヒロインインタビュー!見事なホームランを放った平沢唯選手です!」
紬「わー♪」パチパチパチパチ
澪「わー」パチパチパチパチ
梓「わー…」パチ…パチ…
律「おめでとうございます!何か一言!」
唯「ありがとうございます!あずにゃんのために頑張りました!」フンス
律「ありがとうございました!それでは本日のMVPにも選ばれた唯選手には、
賞品としてあずにゃんこと中野梓さんのキスが贈られまーす!」
唯「いえーい!」
紬「わー♪」パチパチパチパチ
澪「わー…っていつまでやるんだこの茶番。…梓、大丈夫か?」
梓「だ、大丈夫です…」
澪「イヤなら無理しなくても…」
梓「いえっ!イヤだなんてそんなことは全然断じてありませんよ!?あり得ませんよ!?」クワッ
澪「そっ、そうか…」ビクビク
唯「あっずにゃ~ん、早く早くぅ~♪」
律「キース!キース!キース!」
澪「小学生かお前は!」ゴチン
律「いてえ!」
紬「さあ、さあ梓ちゃん!唯ちゃんが待っているわ!」
澪「ムギもそんなに煽るな…本当に大丈夫か?梓」
梓「はっ、はい!」
梓(そうだ、唯先輩は私を待ってくれてるんだ。覚悟を決めなきゃ…!)ドキドキドキドキ
梓「ゆ、唯先輩っ!」
唯「なんだい、あずにゃん!」
梓「目を閉じてください!」
唯「…へ?」
梓「こっ、こういう時は目を閉じるものなんです!早くしないと、してあげませんよ!?」カアア
唯「え、あ、うん…」スッ
澪「な、なあ、梓?キスって…」
紬「シャラップ!」
澪「ひっ!?」
律「まあ自分からしようとしてるんだ、そっとしといてやろうぜ…?」
澪「いいのかなぁ…」
梓「いっ、いいですか、行きますよ…」
唯「うん…」ドキドキ
梓(うわ…唯先輩、こうして見るとすごく綺麗だなぁ…。
顔立ち整ってるし、肌も白くてすべすべだし、睫毛も長いし、唇も…。
あ、私も目閉じなきゃ…)
梓「し、失礼しますっ!」
チュッ
311: 2011/02/12(土) 04:37:37 ID:7/MEIFL60
唯「!」
唯(あずにゃん…!)
梓(あああ、しちゃってる…私、唯先輩とキスしちゃってるよぉ…!
すごい、何これ…とても柔らかくて、あったかくて…すごく気持ちいい…!
心臓がドキドキして破裂しそうだし、身体もすごく熱くて…頭がぼんやりしてくる…。
もっとしたいけど、これ以上したら倒れちゃいそうだし、そろそろ離れないと…)
梓「…ぷはっ」
唯「…ふうっ」
梓「…あの、どう…でしたか…?」ドキドキドキドキ
唯「…うん、ドキドキしたけど…気持ちよかったよ、あずにゃんとのチュー」ドキドキドキドキ
梓「それは…よかった、です…」カアアアア
唯「いやー…それにしてもビックリしちゃった。まさか口にしてくれるなんて」
梓「…え?」
唯「てっきりほっぺにしてくれるんだと思ってたら、目を閉じてなんて言われるんだもん。
あずにゃん大サービスだね!嬉しかったよ、ありがと!」
梓「え?え?」
律「うん、まあ私もほっぺチューのつもりで言ったんだけどな?
梓が自主的に口にするならそれでもいいかと思って止めなかったんだけど」ニガワライ
澪「やっぱり言ってやった方がよかったんじゃないか…?」
紬「梓ちゃん…素晴らしいファインプレイで私のハートにストライクだったわ…!」
澪「何を言ってるんだムギ、ていうか鼻血…」
梓「え?えええ?」
律「まあでも、キスって言われて普通に口チューするってことはつまりそういうことだよな」
紬「ふたりとも末永くお幸せにね!」
唯「ありがとー!あずにゃん、またしようね!
あ、ちなみにさっきのは私のファーストキスだから♪責任とってよね♪」モジモジ
梓「…にゃああああああああああああ!!」
END
312: 2011/02/12(土) 07:16:08 ID:roSzYELQO
>>311
通勤電車の中なのにニヤニヤが止まらないじゃまいかwww
GJ!!!!
通勤電車の中なのにニヤニヤが止まらないじゃまいかwww
GJ!!!!
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