1: 2013/11/03(日) 22:57:58.23 ID:eLv2Qswk0

2: 2013/11/03(日) 23:02:08.36 ID:eLv2Qswk0
京ちゃんのことが好き

そう告げると、京太郎は照れたような笑みを浮かべた

京太郎「なんだよ突然」

咲「べつに。ちょっと言ってみたくなっただけ」

京太郎「…俺も好きだぜ。咲」

咲「ふふっ、ありがと京ちゃん」
咲-Saki- 24巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
3: 2013/11/03(日) 23:07:04.55 ID:eLv2Qswk0
京太郎「…///」

咲「あ、京ちゃん照れてる。かわいー!」

京太郎「う、うっせえ!///さっさと学校行くぞ咲!」

咲「あ、待ってよ京ちゃん!」

京太郎「…ほら。お前は危なっかしいからな」スッ

咲「…うん、京ちゃん」

照れ屋で優しい恋人に手を差し出されて

咲は微笑みながら、京太郎の手をぎゅっと握りしめた

4: 2013/11/03(日) 23:11:03.15 ID:eLv2Qswk0
今日はいつもより少し早くHRが終わって

部室へ入った咲は眩しさに目を細めた

ちらちらと光るペンライトの光

咲「何やってるんですか?部長…」

久「え?咲を驚かせてみよう企画第一弾よ」

意味が分からない。しかも第一弾って何

気の抜けた息をついて咲は久から距離をとった

5: 2013/11/03(日) 23:14:48.25 ID:eLv2Qswk0
久がペンライトの光を消す

部屋には2人きりで、少しめまいがする

久「咲は須賀君と一緒に来ると思ってたわ」

咲「いつもより早めに終わっちゃって…それに京ちゃんは今日日直だから」

咲「どっちにしても先に来ることになってたんです」

久「へえ、そうなの」

咲「はい」

6: 2013/11/03(日) 23:17:13.37 ID:eLv2Qswk0
久「………なんてね」

咲「え?」

久「私、知ってたのよ」

久「咲が今日一人だってこと。須賀君が日直で来れないこと。そして他のメンバーも遅れてくるってこと」

どくんと、心臓がはねた

久「ここには私と咲しかいないってこと」

待ってたのよ、と笑いながら咲を目の前のロッカーに押し付けて

瞳を覗きこんでくる

8: 2013/11/03(日) 23:21:11.03 ID:eLv2Qswk0
咲「あの部長、どいてください」

久「いいじゃない。時間あるんだから、遊びましょうよ」

咲「遠慮します」

久の視線が痛い

まるで細胞全てを、犯されているみたいな

久「ねえ…咲」

久の指が優しく咲の頬を撫でた

9: 2013/11/03(日) 23:25:02.27 ID:eLv2Qswk0
子供でもあやすような、そんな触れ方

このうえなく甘くて

身を任せてしまいそうになる

久「いいでしょ」

明かりのついてない部屋の暗がりで

呆れるほど冷静な心とは裏腹に、激しく鼓動する心臓

ひどく愛おしげな久の微笑

10: 2013/11/03(日) 23:29:04.13 ID:eLv2Qswk0
久「咲が、好きなの」

久は咲を囲い込み、その耳元に囁いた

咲「嘘」

心の音が聞こえてしまいそうなくらい側に、久のぬくもりがあって

咲の声は少しだけかすれてしまった

久「本当よ」

咲「…部長なら、沢山の人に好かれてるじゃないですか」

久「本命に好かれてなければ意味がないわ。迷惑なだけよ」

13: 2013/11/03(日) 23:33:15.49 ID:eLv2Qswk0
咲「部長を好きな人が可哀想」

久「仕方ないわ。だって私は咲が好きなんだもの」

咲「…でも」

久「そう。でも、咲には須賀君がいるのよね」

その言葉に一瞬咲の全身が震える

咲「私、京ちゃんのこと、本当に好きですから」

久「ねえ。こんな状況でそんなこと言っても煽るだけだって、分かってる?」

15: 2013/11/03(日) 23:37:08.21 ID:eLv2Qswk0
肩を撫でる久の指から伝わってくる熱に意識が朦朧としてくる

言葉は冷たいのに、怖いくらいに本気なのに

触れた場所が暖かい

久は咲の喉をするりと撫で上げてゆっくりと上向かせた

咲「あ、駄目…」

久「分かってるわ。ただ抱きしめるくらいは良いでしょ」

18: 2013/11/03(日) 23:42:02.62 ID:eLv2Qswk0
咲の背に手を這わせ、その全身を腕の中に収めきる

爽やかなコロンの香りに酔ってしまいそうな感覚

ひどく居心地が良い

そんな風に感じる自分が怖くなり、咲はぶるりと身を震わせた

咲「…もう、離してください」

久「名残惜しいけど、仕方ないわね」

21: 2013/11/03(日) 23:46:14.44 ID:eLv2Qswk0
また今度ね、と囁きながら久が咲から離れる

咲がほう、と息をつく

そんな咲の様子に妖しい笑みを浮かべる久

咲「え?あ…」

気を抜いたところを、急に腕を強く引かれた

重なる2人の唇

それは一瞬だった

22: 2013/11/03(日) 23:49:12.68 ID:eLv2Qswk0
咲「…っ!」

突然の事態に声が出ない咲

久「忘れちゃ、駄目よ?」

密かな笑いと共に落とされた熱い囁きが

鼓膜から入ってきて脳内のバリケードを浸透してくる

今度こそ久がふわりと離れて部室の外へ出て行った

24: 2013/11/03(日) 23:52:02.75 ID:eLv2Qswk0
私は京ちゃんが好き

京ちゃんのことが好き

京ちゃんだけが好き

なのに

いつから

いつから…

26: 2013/11/03(日) 23:55:26.60 ID:eLv2Qswk0
そっと一度だけ呟いてみる

咲「私は部長のことが好き…」

心の奥底にある自分の本当の思い

でも知られてはいけない

知られてしまったら、久に身も心も全て奪われてしまうから

だから絶対に拒まなくてはいけない


たとえ一瞬だけ触れ合った唇に

息の根が止まってしまいそうな程歓喜したとしても



27: 2013/11/03(日) 23:56:49.17 ID:eLv2Qswk0
久「息の根を止めてしまいたくなる程に」
で、小細工せずに部長が真っ向から咲さんに迫るverでした
この後咲が頑なに部長を拒み続けるか、京太郎を裏切って部長に走るかはご想像にお任せします
支援ありがとうございました

29: 2013/11/03(日) 23:58:05.18 ID:X7umGxSs0

引用: 咲「息の根が止まってしまいそうな程に」