ストーブの熱を利用して、焼きまんじゅうにしてもっともーっと幸せ♪

はぁ～。なんだかおまんじゅう食べたくなっちゃった。穂乃果ちゃん持って来てくれないかな？



冬も深くなって部屋の外に出たくなくなる。そんな季節

誰かが用意してくれた石油ストーブがひんやりとした部室を温めてくれてるけど


ぜんっぜん足りない


あー！この前穂乃果ちゃんと話したけど、やっぱり部室にこたつほしーい！

おっきなこたつを用意して、そこに皆入るの


狭いけど、その分体が密着してとってもあったか♪なんてね

あ、でも9人はさすがにきついかも………


凛ちゃんにはこたつの中で丸くなってもらおうかな？


なんて事を考えながらストーブに手を近づけて暖をとってると扉が開いて


「おはようございます。あら、ニコ。今日は早いですね」


海未ちゃんでした。おまんじゅ──── じゃなくて穂乃果ちゃんじゃなくてちょっぴり残念


──── ってわけでもないんだけど、なんだかちょっぴり、ね？

「海未ちゃんおはようニコー♪今日も海未ちゃん早いニコね」

そう。いっつも海未ちゃんは来るのが早いの


だいたい一番目か二番目。遅くても皆がそろう20分前にはついてるの


朝稽古してるって聞いたけど、いつ寝てるんだろう？


日が落ちるまで学校でうんと練習して、家に帰ると日舞の練習があるでしょ？


予習復習もばっちりしてるってことりちゃん言ってたし、μ'sの曲の歌詞を考えたり──── あれ？あれあれ？本当いつ寝てるんだろう？

むむむ────


朝から頭使うんじゃなかった。少し頭がくらくらする



どうやら難しい顔をしていたみたいで海未ちゃんに心配されちゃって


「ねぇ、海未ちゃん。いつ寝てるの？」


「え？夜寝ていますよ？」

だめだめだめ！一番聞きたかった事だけ聞いて何も伝わってない！


違くて、やることがたくさんな海未ちゃんはいつ休んでいるのかなー？って


思いきり手をぶんぶんふって必氏に海未ちゃんに言いたいことを伝えると


「くすっ、ニコは心配してくれているのですね。ありがとうございます」


でも心配しないでください。充分な睡眠はとっています。って

心配──── してたのかな？なんだかちょこっとだけ気になったから。ただの興味本位、そんな理由なのに


なんだか海未ちゃんに感謝されちゃって、少しだけ心の中でごめんなさい。しちゃった


そうだ。今日は帰りにパフェ食べに行こう！そう言おうと思った時



「でも、私にとってはニコの方が心配です。最近アルバイトを始めたと聞いたのですが、体は充分に休めていますか？」


練習を終えると、急ぎ早にアルバイト先へ向かい、家に帰ると妹たちの世話や家事をして、そのあと受験勉強をして──── 私にはとてもできません

なんて言うもんだから。え？って変な顔しちゃったかも

そりゃ練習はハードなんだけど、アルバイトは欲しいグッズがあったから


それに可愛い可愛いちび達の世話を苦に思ったことなんて一度もないわけで


「別に普通の事ニコ。それよりもそれよりも！海未ちゃんの方が──── 」


いいえ、ニコの方が────


いやいや────

いえいえ────

変な譲り合い合戦が始まっちゃって、ふと思いついたとある妙案


あっ。そーだ♪


いい事思いついちゃった。アルバイト先の店長さんにメールを送って────


うんっ。海未ちゃん！今度の土曜日空けておいて！なーに、ちょこっとニコに付き合ってもらうだけニコ☆


くすくす。今度の土曜日が楽しみ楽しみ♪

──── ☆────


「ただいまニコ―☆」

「お、お邪魔しますっ」



夕方、太陽もほとんど沈んでうす暗くなってきた頃


海未ちゃんを連れてニコは愛する妹達のいる我が家へ帰ってきた

妙案


それはね。海未ちゃんの一日ニコニ―体験☆

海未ちゃんに別に大変じゃないってこと教えようかなって思ったの


午前はμ'sの練習をして、午後はメイド喫茶でアルバイト

海未ちゃんってば、恥ずかしいって言って、ずっと奥の方でもじもじしていたのだけど



それがお客様──── ご主人様に好評で、なんかもう、一気にお店のナンバーワンメイドさんになっちゃって


店長さんもまたおいで。って言ってくれてたけど、たぶん海未ちゃん行かないんだろうなぁ


だって、ニコとふたりで更衣室で着替えてた時、すっごく疲れていたんだもん。なんだか新しい海未ちゃんの一面を見ちゃった

そんなお疲れ海未ちゃんを引き連れて、スーパーでお買い物をしてきたってわけで────

ニコの声に反応したみたいで、部屋の奥からふたりの天使がやってきた


「にこにーお帰りー」

「お帰りー」


「ただいまニコー。いい子にしてたニコ？」


しゃがんでこころとここあの頭をナデナデ♪


今日はね、お友達も一緒なんだ。いいかな？って聞いてみると笑顔でうんっ。って返事が返ってきた

「今日はよろしくお願いしますね。こころちゃんここあちゃん」

海未ちゃんもしゃがんでこころとここあをナデナデ


「おねーちゃんだー！」


「海未おねーちゃん！」



こころとここあはとーっても嬉しそうに海未ちゃんにぎゅってして

あああああ──── いつからだろう



穂乃果ちゃん達二年生ズに家がばれてしまってから、頻繁にやってくるようになってしまって


こころとここあ達は穂乃果ちゃん達の事大好きみたい


やってくるたびに、こう嬉しそうに抱き付いたりしちゃって


仲良くしてくれてるのはとっても嬉しいんだけど、なんだか愛する妹が取られちゃったみたいで、すこし複雑な気分

大きくなって、お嫁に行きます。なんて言いだしたらぜーったいっ。許さないんだろうなぁ


そんな考えが思わず表情にまで出ていたみたいで、海未ちゃんが慌てて


「こころちゃんここあちゃん。お姉ちゃんニコお姉さんとお料理作るから、あっちで遊んでいてくださいね」



「やだやだやだー！」

「海未おねーちゃんと遊ぶー！」

「ご飯を食べたらちゃんと一緒に遊びますから。ね？」



頭を撫でながら必氏に諭す海未ちゃんに妹たちは渋々うなずいて部屋の奥に走って行った


「すみません。お待たせしました」


べ、別にニコ怒ってないんだからっ


そ、そりゃ妹を奪われて少しだけくやしーいって思ったけどさ

「それではニコ。こころちゃんたちがお腹を空かせないうちに──── 」


話していた海未ちゃんが突然吹き出して、ケラケラとお腹を抱えて笑い出した




気づいていなかったけど、どうやら無意識のうちに頬が風船みたいに膨らんでいたみたい


顔を真っ赤にして海未ちゃんをぽかぽか叩いちゃった


もーっ、なんだか調子狂っちゃうー！海未ちゃんのばかー！

──── ☆────


「それじゃあ人参の皮を剥いて──── あ、皮はお味噌汁の具材にするから流しに捨てないで」


「人参は細かく切って欲しいニコ。ここあが苦手なの」



なんとか気持ちを持ち直して、海未ちゃんと一緒にお料理開始


予備のエプロンを海未ちゃんに渡して、ふたり仲良く分担作業


だいぶ時間がおしちゃってるから、いつもよりテキパキテキパキ

家事はニコのほうが上手──── お姉ちゃんっぷりを精一杯アピールしなちゃって思ってたんだけど


「ニコ、お味噌汁の味見をお願いします」

「ふふふん。ニコはお味噌汁にとーってもうるさいの。ちょこっとでも辛かったりしたら──── 美味しい……！」


「そうですか。それはよかったです」


海未ちゃんってばものすごく手際が良くて

ニコがああして、こうしてって言う前には既に終えていて


あっと言う間にお夕食が出来上がっちゃった

「これで完成ですね」

「うんうん。海未ちゃんありがとっ♪海未ちゃんお料理も上手で手際もよくてとーっても助かっちゃった♪」


今日いちの飛び切りの笑顔で海未ちゃんにお礼


なんでだろう。いつしか対抗心？がなくなってて


ああ、こういうのいいなぁって思っちゃってた

こころもここあも大きくなったら3人で台所に立って、一緒にお料理作って────



きっとどっちかが不器用で、失敗して、落ち込んで


それをもうひとりの妹が、励まして、一緒に作り直して────



くすくす。そんな未来が早く来るといいな♪

「海未ちゃんありがと♪」


「はい？あ、いえ、気にしないでください。料理は私も好きですので」


「ううん。違うの」


あ、でも言葉に表すのがきっと難しいだろうから、やっぱりそう！って言ったら


海未ちゃん。頭の上にハテナマークが何個も浮かんでた


訂正するのもめんどうだし、なんだか海未ちゃんが可愛かったから、海未ちゃんをそのままにしちゃった

──── ☆────


「おいしいニコー」

「海未お姉ちゃんおいしいー」


小さなちゃぶ台で、ニコと海未ちゃんと愛する妹達とで一緒にお夕食


ママの分はいつでもすぐに食べられるように電子レンジの中へ


今日は遅くなる──── って言ってたから先にいただいているニコ

「くすっ、こころちゃん。ご飯ほっぺについてますよ」


「ここあちゃん。ちゃんと人参を食べるんですよ？甘くて美味しいんですから」


食べる間もなく妹の面倒をみている海未ちゃんを見てると、海未ちゃん。うちの家族になったら楽しいんだろうなぁ。って



そう思いながらも、お行儀が悪いけど、携帯電話を構えてこっそりと海未ちゃんの写真を撮っちゃった

あとでブログにアップしちゃおっと♪

──── ☆────


「ぐっすり眠ってしまいました」


ご飯のお片付けをして、お風呂に4人で浸かって、少しだけオセロやトランプで遊んで


気づいたら妹たちがこくりこくりって頭を振り子にしちゃって────



海未ちゃんと一緒にお布団に運んで寝付かせたとこ

「ニコありがとうございました。とても充実した一日でした」


「大変でしたが、この子達の笑顔を見てると疲れなんてなんのその。ですね」



少し疲れたような表情と優しい表情とが入り混じった笑顔をニコに見せてくれた


「私も、この子みたいな妹が欲しくなっちゃいました」

妹達は渡さないニコっ

条件反射みたいに海未ちゃんに言い放つと


海未ちゃんくすって笑っちゃって



先走ってしまった恥ずかしさと、おかしさでニコもくすくすって笑っちゃった

では、私はこれで────

そう言いかけた海未ちゃんなんだけど、ここあの手が海未ちゃんの服の裾をぎゅーっと握って離さなくて


「くすっ、ここあってば海未ちゃんがお気に入りみたいニコ」


そう、みたいですね。と返した海未ちゃんの表情はとても柔らくて────


なんだかニコ、ドキッてしちゃった

海未ちゃん。良いお母さんになりそう。だなんて言いたいけれど


言っちゃうと海未ちゃん顔を真っ赤にして照れ隠しで怒っちゃうんだろうなぁって思ったから



そっと胸の中に──── しまわないニコ。あとでブログに書いちゃうニコ


そういう海未ちゃんの可愛いところは皆に知ってもらわなきゃね♪

当初の目的がどこかにいっちゃったけど


なんだか今日はとっても楽しかったな



こころもここあも嬉しそうにしてたから、また海未ちゃんには手伝ってもらおうかな？うん。そうしよっと


さっそくだけど明日の練習が終わったら、海未ちゃんを引っ張って────



そう、心の中でひっそりと次の計画を練るニコニーなのであった☆



おしまい

乙にこ