506: ◆TctB4xXhw6 ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:15:41.05 ID:WfKAYg+m0

男「魔王拾っちまったわけだが」【前編】


-とある浜辺-


 ザザーン……

剣士 「……」

旅人 「……」


剣士 「……夜、明けましたね」

旅人 「……そうだね」

剣士 「……」

旅人 「……」

剣士 「……年も、明けましたね」

旅人 「……そうだね」


507: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:16:27.13 ID:WfKAYg+m0

 ザザーン……

腹の虫 < ぐ~ぎゅるるるるる......

剣士 「……」

旅人 「……」

剣士 「……おなか、すきましたね」

旅人 「……そうだね」

剣士 「……ノーム君、戻ってきませんね」

旅人 「……そうだね」

 ザザーン……


 ザザーン……


508: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:17:10.80 ID:WfKAYg+m0

旅人 「…………。まさか、三人全員方向オンチだったとは」

剣士 「あはは……すみません」

旅人 「いや君のせいじゃないんだけどね」

旅人 「そもそもひと月前に地図とコンパスを魔物に壊されたのは僕なわけだし」

剣士 「いえ、でもそこは自分が守りきれなかったせいで……」

旅人 「それを言ったら、今の実力を見誤ってた僕の問題でもあるんだけど」

旅人 「まさか筋肉だけじゃなく魔力までガタ落ちしてるとは思わなくてさー……」 ハァ...

剣士 「えぁ、えと、あのっ、呪いのせいなら仕方ない、んじゃないかと」 アセアセ

剣士 「あ! それに治癒系の魔法はちゃんと使えてるじゃないですか! だったら大丈夫ですよ!」 ワタワタ


509: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:18:03.33 ID:WfKAYg+m0

旅人 「ふふふ……無理な慰めはいらんのですよ……」 ドヨーン

旅人 「元々筋肉のない僕なんて釣り針のない釣り竿みたいなもんなのさー……。

 魔力がなくったってそこから釣り糸もなくなったとかその程度なのさー……」 ドヨンド

剣士 「くっ、空気が暗い!」

剣士 「あああ……どうフォローすれば……」 オロオロ

ノーム 「うざい」 ゲシッ

旅人 「あふん!」

剣士 「ちょっ!?」

ノーム 「気に する な。これ バカ だから」 ゲシッゲシッゲシッ

旅人 「ちょっ、おっ、まっ!」 ゴスッガスッゲスッ

剣士 「踏みすぎです踏みすぎですめり込んでます!!」


510: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:18:57.56 ID:WfKAYg+m0

旅人 「肉体強度だけは高めで良かったよ」 スナマミレ

ノーム 「次 こそ 埋める」

剣士 「埋める気だったんですか!?」

旅人 「できれば骨は故郷の丘に……」

剣士 「それ氏んでるじゃないですかダメですよ諦めたら!」

旅人 「いや諦めって」

ノーム 「ツッコミ どころ が おかしい」

剣士 「え、なんですかこの突然のアウェイ感」

旅人 「それはそうと食べられそうな魚獲れた?」

ノーム 「大 漁」 ドヤッ

剣士 「何か言って下さいよっ!」


511: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:19:33.90 ID:WfKAYg+m0

旅人 「悪いね、僕カナヅチだからさ」

ノーム 「素潜り は 昔 取った 杵柄」 キリッ

剣士 「あ、ノーム君可愛い」

ノーム 「?!」 ガーン!!

旅人 「剣士さんや、声に出てますですよ」

剣士 「はっ!?」

旅人 「まあ珍しくショック受けてるノーム君が見れたから良し」

ノーム 「」

剣士 「固まってますけど……」

旅人 「魚さばいちゃおうか」

剣士 「せめて会話をして下さい」


512: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:20:36.88 ID:WfKAYg+m0

旅人 「火をおこす程度の魔法ー」 キュィィン

 ボッ

薪 < アッヅゥ!!?
火 < ジョウネツヲ…モテアマス…

剣士 「血抜きしてウロコをはいで内臓抜いて串に刺して……でいいんですよね」 テガフルエル...

魚 < オイ、ヒトオモイニタノムゼ...?

旅人 「……代わろうか?」

剣士 「すみません、お願いします」 シンゾウニワルイ...

旅人 「魔物はザクザク斬ってくのにねー」

剣士 「だって、あれは殺さないと殺されるじゃないですか」

旅人 「いやまあ魚だって頃して食べなきゃ氏ぬから結果一緒だけど……」


513: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:22:00.32 ID:WfKAYg+m0

旅人 「というか、最初会った時釣りしてたんだよね? どうする気だったの?」

剣士 「そこはあのー、なんと言いましょうか。その、何事も経験、かと」

ノーム 「目 が 泳ぐ してる」

剣士 「ひょわっ!?」

旅人 「あ、起きた」

ノーム 「塩」 スッ

岩塩 < キラッ☆

旅人 「おお、天然物」

剣士 「うわ、すごい結晶ですね。そんなの初めて見ました」

ノーム 「むこう に まだ ある」

旅人 「なるほど。じゃあ食後にいくらか採っていこうか」

剣士 「はい」


514: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:22:45.75 ID:WfKAYg+m0

旅人 「これからどうしようか」

ノーム 「モグモグ……」

剣士 「海沿いなら、もしかしたら猟師町か港町にぶつかるかもしれませんね」

旅人 「港かー。港ならもっといい魚も手に入るかな」

ノーム 「モグモグモグ……」

剣士 「でも、東のほうでは最近海の魔物が増えてきたらしくて、漁獲量が減ってきているそうですよ」

旅人 「ありゃ、そうなの?」

剣士 「はい。船が襲われることも多いみたいで、商団に有志を募って討伐隊を組んだそうですが」

ノーム 「モグモグモグモグ……」

剣士 「漁獲量を増やせても討伐隊への出資とつりあわなくて、結局止めてしまったんだそうです」

旅人 「あらら」


515: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:23:40.15 ID:WfKAYg+m0

旅人 「ところで東ってどっちだっけ」

剣士 「ええと……地図で北を前方向に見たとき右側が東、逆が西、自分側が南で……あれ?」

旅人 「何その回りくどい覚え方」

剣士 「すみません、太陽ってどっちから昇るんでしたっけ」

旅人 「あー」

旅人 「えーっと……」

剣士 「…………」

ノーム 「モグモグモグ……」

旅人 「…………。ノーム君、どっち?」

ノーム 「東」

剣士 「おお」 ポンッ


516: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:24:35.24 ID:WfKAYg+m0


 ・ ・ ・


旅人 「武器よーし。寝具よーし。塩よーし」

旅人 「みんな忘れ物はないよね?」

剣士 「はい」

ノーム 「ばっち」

旅人 「それじゃ、東に向かってレッツゴー!」

剣士 「おーっ!」
ノーム 「おー」


旅人 「あわよくば馬車が欲しいなー、遠回りだし」

剣士 「それは着いてから考えましょうよ」

旅人 「町を出る頃には忘れてる気がする」

ノーム 「精霊」

旅人 「ああ、それも探さなきゃだね」


517: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:25:41.28 ID:WfKAYg+m0

旅人 「っていうかノーム君さ、居場所知らないなら最初に言ってほしかったんだけど……」

ノーム 「うっかり」

剣士 「そういえば、御二人は何故精霊を探しているんですか?」

旅人 「大人の情事です」

剣士 「じょっ!?」

旅人 「あ、間違えた。事情ね事情」

剣士 「は、はぁ……」

旅人 「まぁ理由の一つは僕の呪いだよね」

旅人 (嘘だけど)


旅人 「あとは、まあ――」


 腰に下げた妖刀に手をやり、空を仰ぐ。



518: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:26:37.40 ID:WfKAYg+m0





「――不条理への抵抗、かな」






520: ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 02:39:53.92 ID:WfKAYg+m0
更新 >>506-518
久々の魔王(=旅人)でした。

昼頃に力尽きたと思ったら時計が半回転していた時の重い絶望感
待ってくれてる皆さんありがとうございます、遅くて申し訳ない

>>505
小ネタ的にあの2人視点で城下を歩く話を書きたいんだ
ただ、時間が足りないんだ……

書きたいことが多いのってある意味贅沢な悩みなのかな、とか思う>>1でした
ではまた。

523: わんこ ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 10:22:35.82 ID:O7ue6xpAO
『あんちゃん』クルン
『ほいさ』ペタン
『あんちゃん』クルン
『はいさ』ペタン
『あんちゃん』クルン
『よいさ』ペタン
『もういいっす?』
『そうだな』

『おしょうがつはもちつきっすねー』
『結構腰に来るけどな』
『しょーゆのりまき』
『きなこ』
『おぞーに』
『お汁粉』
『あんちゃん、あまいのばっかっすね』
『普通は逆だよなぁ……』
『でもじぶんはあまいのにがてっすよ』
『いいんじゃないか? 俺は醤油海苔巻きも雑煮も好きだぞ』

524: 【はねつき】 ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 21:23:56.96 ID:O7ue6xpAO

東の使者A 「そおい!」 カンッ

< アンチャーン!

側近 「わわわ、ていっ」 コンッ

< ワンコー!

東の使者A 「甘い甘い甘い!」 カンッ

< アンチャーン!

側近 「くぅ、えいっ」 コンッ

< ワンコー!

東の使者A 「もらったぁ!」 カン!

< アンチャーン!

側近 「わあっ!」 スカッ

< ワンコー!


525: 【はねつき】 ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 21:26:02.19 ID:O7ue6xpAO

東の使者A 「ふふふふふ、羽子板マスターと呼ばれた拙者に勝てるのは三丁目の遠藤さんくらいでござるよ!」 ドヤァ

< アンチャーン!

側近 「もおぉ……少しは加減して下さいよぉ」

< ワンコー!

東の使者A 「お断りします。さあて次は何を書こうかしらん」

< アンチャーン!

側近 「うぅ……お手柔らかにお願いします……」

< ワンコー!

東の使者A 「無☆理」

<アンチャーン!

<ワンコー!


526: 【はねつき】 ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 21:27:53.47 ID:O7ue6xpAO

東の使者A 「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! こりゃひっどいわ!」 ケタケタケタ

側近 「」 ←カイゼル髭+猫髭+一本眉

メイド パシャパシャパシャ!!

側近 「ちょっ! 撮らないで下さい! 撮らないで下さい!」

メイド 「ダメです! 側近様のいかなる姿もアルバムに残します!」

側近 「やめてぇーっ!」

東の使者A 「焼き増しヨロピコ☆」

側近 「いやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


527: 【はねつき】 ◆TctB4xXhw6 2012/01/09(月) 21:28:51.62 ID:O7ue6xpAO

大賢者 「新年早々賑やかじゃのう」 ズズ...

大賢者 ほふぅ

大賢者 「それにしても……」


<アンチャーン!

<ワンコー!

<アンチャーン!

<ワンコー!


大賢者 「……こっちはいつまで続くんじゃ」


 ラリー開始から二時間経過


529: わんこ ◆TctB4xXhw6 2012/01/12(木) 10:31:43.02 ID:b2MZNcrAO
『あんちゃん! あんちゃん!』
『どうしたわんこ』
『ゆきっす! ゆきっす!』
『お? おお、道理で寒いわけだ』
『つもるっすかねー』
『そうだな、積もるといいな』
『はやくたべたいっす』
『食うな』

530: わんこ ◆TctB4xXhw6 2012/01/12(木) 10:32:24.91 ID:b2MZNcrAO
『あんちゃん! あーんーちゃーん!』
『どうしたわんこ』
『ゆきっす! つもったっす!』
『お。おお……すっかり銀世界だな』
『きんめだいっす?』
『違う』
『ひやっこくておいしいっす』
『雪食うなっての』

531:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/12(木) 10:33:06.01 ID:b2MZNcrAO
『……また来たんですか』
『暇だし』
『寒くないんですか?』
『寒いよ』
『なら村で大人しくしてればいいじゃないですか』
『やることないんだよ』
『暇人ですね』
『暇人ですよ』

532:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/12(木) 10:33:38.54 ID:b2MZNcrAO
『……また来たんですか』
『かまくら作ろう』
『嫌です』
『じゃあ雪合戦は?』
『嫌です』
『じゃあ何する?』
『帰って下さい』
『嫌です』

533:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/12(木) 12:03:42.86 ID:b2MZNcrAO
『……はぁ』
『諦めたか』
『今度は何ですか?』
『何で外に出ないんだ?』
『寒いじゃないですか』
『寒いよ』
『じゃあ帰って下さい』
『寒いじゃないですか』

534:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:14:00.42 ID:nzX8ndWAO

『……何なんですかもう』
『何だかんだと聞かれたら』
『……』
『……』
『……?』
『わかんないか』
『何なんですか……』
『さあてね』

535:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:15:12.52 ID:nzX8ndWAO

『よ』
『またですか』
『そう言いつつ鍵は閉めないんだな』
『……外、寒いじゃないですか』
『来てもいいってこと?』
『……知りません』
『閉めてても開けて入るけど』
『不法侵入で訴えますよ』

536:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:16:05.38 ID:nzX8ndWAO

『ウノしない?』
『しません』
『毎日本ばかり読んでて飽きないのか?』
『毎日私の部屋を訪ねてきて飽きないんですか?』
『俺は飽きないな』
『私も飽きません』
『一緒だな』
『全然違います』

537:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:17:02.50 ID:nzX8ndWAO

『トランプ遊びをしよう』
『じゃあルールを教えて下さい』
『おお……』
『? なんですか』
『いや珍しく乗り気だなと』
『やっぱり読書します』
『じゃあその隣で独り七並べをしよう』
『わかりましたやりますからそれは止めて下さい。――ちょっと何ニヤニヤしてるんですか!』

538:  ?  ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:18:03.06 ID:nzX8ndWAO

『トランプタワー五段』
『十段です』
『すげぇ』
『意外に行けますよ?』
『よしリトライ』
『もう日が暮れちゃいますけど』
『よし、泊めて』
『帰って下さい』

539: ◆TctB4xXhw6 2012/01/14(土) 15:23:06.10 ID:nzX8ndWAO
Q.[ ? ] は誰と誰でしょう。


本編は進まないのに小ネタばかり溜まっていく問題発生中

548: ◆TctB4xXhw6 2012/01/29(日) 15:24:10.60 ID:hfAY/yRAO

大臣 「」 氏ーん

兵士長 「せっ」
 お湯ばっしゃあぁぁぁぁぁ!

大臣 「ぅ゙あ゙熱い゙ィィッ! ――はっ、ここはどこ!? 私は誰?!」

兵士長 「ここは執務室で君は大臣君だね」

 確認完了。

大臣 「あぁぁ……意識が飛んでしまった……」

兵士長 「寝てないしねぇ、人差し指が三本に見えるよ」

大臣 「っていうかお湯が冷えてきて冷たい。目は覚めるけど冷たい、氏にそう」

兵士長 「着替えてくればいいのに」

大臣 「そもそもお湯をかけないで欲しかったんですがね!」

兵士長 「残り少ない髪が張り付いてオッシャレーぇ!」

大臣 「給料減らしてやろうか」

兵士長 「ごめんなさい」


549: ◆TctB4xXhw6 2012/01/29(日) 15:29:41.32 ID:hfAY/yRAO

大臣 「書類が無事でよかった……」

兵士長 「床はびったびただけどね」

大臣 「お前のせいだよお前の! ……ぐぅ、胃がっ」

騎士A 「はい薬です」

大臣 「どうも」

騎士A 「いえいえ」

兵士長 「今更言うのもなんだけどさー」

大臣 「?」

兵士長 「魔王城ってブラック企業だよね」

騎士A 「あー」


550: ◆TctB4xXhw6 2012/01/29(日) 15:35:05.43 ID:hfAY/yRAO

大臣 「ソンナコトナイヨ?」

騎士A 「大臣さんしっかりして、カタコトになってます」

大臣 「トッテモタノシイショクバダヨ?」

兵士長 「目が氏んでるぞー」

大臣 「つーかやんなきゃ終わんねんだよ! 社畜? アホか! やんなきゃ終わんねんだよ!!」

騎士A 「大事なことなので二回言いました」

兵士長 「まあその通りだしね。続きしようか」

騎士A 「はい」

大臣 「でもこれだけは言いたい! 家族サービスくらいさせろこんちくしょおぉぉぉぉぉぉ!!」


 大臣、妻と娘と別居中。


554: ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:43:06.30 ID:zkPcAZuAO
仕事に追われたり余所に浮気したり展開考え込みすぎて煮詰まったりしてる間に3週間も過ぎていた……だと……
待ってくれてる方、心の底からごめんなさいorz

今からしばらく小ネタ行きます。1日5レス区切り

555: ある日の誰かと誰か ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:45:05.75 ID:zkPcAZuAO

『……また来たんですか』

『君が! 部屋から出るまで!』

『出たら止めるんですか?』

『止める気はないけどな』

『面倒くさい人ですね』

『そう言われたのは初めてだ』


556: ある日の誰かと誰か ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:46:11.95 ID:zkPcAZuAO

『お帰りはあちらです、お疲れ様でした』

『今来たばかりだぞ俺』

『今日中にこの本を読み終えたいんです、邪魔しないで下さい』

『辞書並みにぶ厚いように見えるんだけど』

『普通じゃないですか?』

『それを普通と言えるのは素直にすごいと思う』

『褒めたってお茶しか出ませんよ?』

『出すんかい』


557: ある日の誰かと誰か ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:46:41.13 ID:zkPcAZuAO

『……』ペラ...

『……』ボケー...

『……』ペラ...

『……』ボケー...

『……』ペラ...

『……』ボケー...

『……』ペラ...

『……』ボケー...


558: ある日の誰かと誰か ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:47:07.76 ID:zkPcAZuAO

『ウノがやりたい』

『独りでどうぞ』

『やっていいのか?』

『……やっぱり怖いのでやめてください』


559: ある日の誰かと誰か ◆TctB4xXhw6 2012/02/20(月) 22:47:51.89 ID:zkPcAZuAO

『今日もですか』

『当然』

『……なんでそんなに私に構うんですか』

『似てるから』

『……? 誰にですか? 何にですか』

『それは秘密だ』

『言えないんですか』

『さあてね』


560: ◆TctB4xXhw6 2012/02/21(火) 21:16:07.46 ID:49luYupAO

『ん、寒……』

『あ……吹雪……』

『……薪、足りるかな』

『……今日も来るのかな』

『……来たら、泊めてあげようかな』

『…………寒いなぁ』


561: ◆TctB4xXhw6 2012/02/21(火) 21:16:36.16 ID:49luYupAO

『よ』

『今日は遅かったですね』

『お、待ってた?』

『あ、いや。別に……』

『色々持ってきたんだけど』

『またゲームですか』

『将棋にチェスにオセロにジェンガに人生ゲームに双六に花札に』

『ちょっ、いくつあるんですか!?』

『そしてウノ!』

『またですかウノ!』


562: ◆TctB4xXhw6 2012/02/21(火) 21:17:07.65 ID:49luYupAO

『王手』

『甘い、王手お返し』

『む、むむむ……』

『まだひっくり返せるよ』

『ひっくり……』

『待て、盤を掴むな』

『冗談です』

『目がマジだったぞオイ』


563: ◆TctB4xXhw6 2012/02/21(火) 21:17:47.59 ID:49luYupAO

『コーヒー?』

『……ミルクで』

『ですよね』

『む。なんですかその言い方』

『年相応なほうが可愛いと思うぞ』

『……別に私は』

『蜂蜜入れる?』

『そこまで子供じゃないですっ』


564: ◆TctB4xXhw6 2012/02/21(火) 21:18:24.13 ID:49luYupAO

『寒い』

『よく毎日来られますね』

『実は昨日は遭難しかけた』

『猛吹雪でしたね。しかもその中を往復するなんて、バカなんですか?』

『否定はしない。でも泊まるわけにもいかないだろ』

『……一言言えば』

『ん?』

『なんでもないです。それより何します?』

『ウノで』

『推しますねウノ!』


565: ◆TctB4xXhw6 2012/02/22(水) 21:34:57.23 ID:BcTMcQ9AO

『チェックメイトです』

『やるな』

『勉強しましたから』

『もう一戦するか』

『もう二十戦目ですよ』

『じゃあウノしよう』

『休みませんか?』

『とうとうスルーされたか』


566: ◆TctB4xXhw6 2012/02/22(水) 21:35:28.48 ID:BcTMcQ9AO

『ミルク?』

『コーヒーで』

『飲めるの?』

『お砂糖があれば』

『ふむ。いくつ入れる?』

『五個ほど』

『大人しくミルクにしなさい』

『いいじゃないですか別に』


567: ◆TctB4xXhw6 2012/02/22(水) 21:36:11.26 ID:BcTMcQ9AO

『コーヒー牛乳』

『カフェオレじゃないですか?』

『正直違いがあまりわからん』

『コーヒー牛乳はもっと甘い気がします』

『ああ、カフェオレは苦いかな』

『私はコーヒー牛乳のほうが……』

『子供舌め』

『子供ですので』

『この娘開き直りよった』


568: ◆TctB4xXhw6 2012/02/22(水) 21:36:51.61 ID:BcTMcQ9AO

『外に』

『出ません』

『引きこもりか』

『なんとでもどうぞ』

『太るぞ』

『』ビクッ

『太るぞ』

『二回言わないで下さい!』


569: ◆TctB4xXhw6 2012/02/22(水) 21:37:55.10 ID:BcTMcQ9AO

『寒い……』

『なら運動がてら雪合戦でもするか』

『部屋に戻ります』

『せっかく出てきたのに』

『せめて晴れた日に誘って下さいよ』

『冬場はずっと曇りだろ』

『じゃあ春になったら起こして下さい』

『冬眠すんな』


570: ◆TctB4xXhw6 2012/02/23(木) 21:19:24.66 ID:L4aTIMtAO

『来ない……』

『暇……』

『本、読もうかな……』

『……』

『つまんない……』

『……』

『なにかあったのかな……』

『……』


571: ◆TctB4xXhw6 2012/02/23(木) 21:21:03.57 ID:L4aTIMtAO

『よ』

『遅いですよ何してたんですか』

『ちょっと買い物を』

『あ、コート……』

『それと手袋に耳当てにマフラーに』

『わざわざ買ってきたんですか』

『カイロにカイロにカイロにカイロに』

『ちょっ! カイロ多いですよ!?』

『そしてウノ!』

『何故そこでウノ!?』


572: ◆TctB4xXhw6 2012/02/23(木) 21:23:37.10 ID:L4aTIMtAO

『やっぱり寒いです』

『でも昨日よりはマシだろ』

『まぁ』

『晴れればいいんだけどなあ』

『めったに晴れませんよ』

『夜に星も見えないし』

『星ですか……ちゃんと見たことないです』

『なんだ、せっかく山間に住んでるってのにもったいないな』

『あまり外に出ないですから』

『じゃあ今度見てみろよ。正直ちょっとビビるぞ』

573: ◆TctB4xXhw6 2012/02/23(木) 21:24:55.03 ID:L4aTIMtAO

『……一緒に、とか言うのかと』

『いや、俺春には帰るし』

『え』

『あ、今ちょっと残念だった?』

『……別に』

『と言っても、こっちも都合があるからな。よそに長居は出来ないし』

『……。じゃあ、また来ますか?』

『どうだろうなぁそれは。確約はできないぞ』

『……』

『あ、雪』

『え、あ……』

『戻ろうか』


574: ◆TctB4xXhw6 2012/02/23(木) 21:26:54.39 ID:L4aTIMtAO

『……もしまた来たら』

『うん?』

『してあげてもいいですよ、ウノ』

『お、よし』

『ただし二人でじゃなくて、もっとたくさんでやりましょう』

『いいね』

『だから、それまでおあずけです』

『ああ。じゃあ今日は何するか』

『ジェンガとかどうですか?』

『いいね』


577: ◆TctB4xXhw6 2012/02/24(金) 21:46:51.36 ID:X00P8/KAO

『予想はしてた』

『そちらの番ですよ』

『いや無理だろ……』

『まだ倍くらいまでいけますよ?』

『斜めにブロック積んでる時点でおかしいって』

『えっ、普通違うんですか?』

『何故それを普通と思ったのか』

『だって安定しますし』

『しねえよ』


578: ◆TctB4xXhw6 2012/02/24(金) 21:47:28.19 ID:X00P8/KAO

『また来ない……』

『まだかな……』

『来ないのかな……』

『そうだ、コーヒー』

『たまにはブラックで』

『……』

『にがっ』

『まだかなぁ……』


579: ◆TctB4xXhw6 2012/02/24(金) 21:48:08.20 ID:X00P8/KAO

『...zzZ』スヤスヤ

『寝てらっしゃる』

『あ、コーヒー飲みかけだ』

『冷めてるな』

『……』

『甘っ!』

『入れ直すか』

『……寝顔初めて見たな』


580: ◆TctB4xXhw6 2012/02/24(金) 21:48:45.17 ID:X00P8/KAO

『ん……』モゾ...

『お』

『ふゃ……ぅん……』クァ...

『起きた?』

『…………ぅぃ』ボー...

『……』

『……』

『……?』

『………………………くぅ』スピー

『寝んのかい』


581: ◆TctB4xXhw6 2012/02/24(金) 21:50:06.65 ID:X00P8/KAO

『日が暮れてしまった』

『...zzZ』スヤスヤ

『……』ナデナデ

『んん……ふへへ』ンー...

『なんか猫っぽいな』ナデナデ

『...zzZ』スヤスヤ

『どうしようかな』

『服の裾つかまれちまった』

『…………ぱなき』ボソッ

『!?』


585: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:12:05.31 ID:88hHP9IAO

『……夜ですね』

『はい』

『すみません、寝てしまって』

『いいよ。待っててくれたんだろ?』

『あ、それは、あの……』ワタワタ

『……』ナデナデ

『ふあっ? な、なんで撫でるんですか?』

『なんとなく』


586: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:13:00.67 ID:88hHP9IAO

『最初は嫌がってたのになあ』

『言っても帰らなかったじゃないですか』

『もし退いたら親父さんに喰われるところだった』

『……初耳なんですけど』

『義父がドラゴンとか贅沢すぎる。半分くれ』

『意味が分かりませんよ?!』

『冗談だ。二割だが』

『八割本気なんですか!?』


587: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:13:34.70 ID:88hHP9IAO

『嘘です』

『はり倒しますよ』

『雑談しよう』

『会話をして下さい』

『言葉のキャッチボールか、俺豪速球だけどいい?』

『受けきれなかったら避けます』

『人はそれをスルーと呼ぶ』

『受けてほしいならそれなりに投げて下さいよ……』


588: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:14:26.89 ID:88hHP9IAO

『それにしても寒い』

『寒いですね』

『寒すぎてウサギも凍りました』

『ええっ!?』

『はい雪ウサギ』

『あ、あ、わ! 早く暖めないと!』

『いやこれ雪だってば』

『わああああ!? 融けた! 融けちゃいました!!』


589: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:15:04.76 ID:88hHP9IAO

『おーい』

『むー……』

『ごめんって』

『むー……』プクー

『てい』ホッペプニ

『ぷぅ』

『ふっ』

『がぶ』ガブリ

『あだぁ!?』


590: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:16:58.76 ID:88hHP9IAO

 ―――
 ――
 ―

男 「ということがあったんだよ」

東の使者B 「なんでそれを僕に話すんですか」


男 「いやぁ、せっかく思い出したから誰かに話したくて」

東の使者B 「つまり理由はないんですね……」

男 「暇そうなやつがお前しかいないってのもある」

東の使者B 「否定できない自分が悲しい……」


591: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:18:07.00 ID:88hHP9IAO

東の使者B 「それで、その子とはどうなったんですか?」

男 「どうもこうも」


側近 「男さ――あ、お話中でした?」

男 「んや、今はまったりしてるとこ」

側近 「そうですか。じゃあ私もご一緒していいですか?」

男 「いいよ、おいで」

側近 「はいっ」

東の使者B (……当たり前のように抱っことか)

男 「こんなかんじだ」

東の使者B 「はい?」

側近 「? なんですか?」


592: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:19:49.86 ID:88hHP9IAO

男 「使者Bが氏ぬほど鈍いって話」

側近 「はぁ」

東の使者B 「いやそんな話してなかったですけど!?」

東の使者A 「おーう何だまた来たん? 二人とも」

男 「ようA。Bのやつ鈍いよな」

東の使者A 「ああ鈍いね。察しが悪いとも言うね」

男 「困ったもんだ全く」

東の使者B 「なんでいきなり罵倒されなきゃならないんですか意味がわかりませんよ?!」


593: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:21:13.68 ID:88hHP9IAO

後輩メイド 「あんちゃんウノ持ってきたッス!」

男 「ご苦労。さあこたつに入るがいい」

後輩メイド 「あ、そーちゃん抱っこいいなぁ……」

側近 「譲りませんよ?」

後輩メイド 「おおう、そーちゃんが反抗的ッス」

男 「なんで嬉しそうなんだお前……」

東の使者A 「つか君らウノしに来たのかい?」

男 「約束したからな」

側近 「? 約束?」

男 「気にするな。わんこカード配ってくれ」

後輩メイド 「おまかせあれッス!」


594: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:22:23.98 ID:88hHP9IAO

東の使者B (……約束? ……ウノ…………)


東の使者B 「………………」


東の使者B 「…………あー」

男 「今気付いたのかお前」


595: ◆TctB4xXhw6 2012/02/25(土) 20:26:11.20 ID:88hHP9IAO
オチのしょうもなさはいつものこと。

仕事が落ち着いてきたらしいのでそろそろ頑張れると思いますの
ただ最初期ほどペースは上がらないと思う、すまない

さあて、何から書こうかな……。

598: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:40:19.32 ID:XmUp7eFAO

『改めて言うけど』

『はい』

『寒い』

『お布団最高です』

『最初座敷童かと』

『座敷童はこんなじゃないです』

『鞠でもついてみる?』

『どこから出したんですかそれ』


599: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:40:53.37 ID:XmUp7eFAO

『ジェンガのブロックをさ』

『はい』

『どこまで縦積みできるかな』

『……』


『天井に届いた、だと……』

『なんだかつっかえ棒みたいですね』

『ここは俺に任せて先に行け?』

『絶対折れると思います』


600: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:41:28.31 ID:XmUp7eFAO

『風呂に入るときよりもさ』

『はい』

『風呂を出る瞬間のほうが寒い』

『あー』

『温まり足りないのかと思って長湯したんだよ』

『オチが見えました』

『案の定……』

『のぼせないように気を付けましょう』


601: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:41:59.65 ID:XmUp7eFAO

『前にいた村でさ』

『はい』

『雪が降るたび食べる子がいたんだよ』

『普通じゃないですか?』

『えっ』

『えっ』

『なにそれこわい』

『……言いたいだけですよね、それ』


602: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:42:36.28 ID:XmUp7eFAO

『オセロってさ』

『はい』

『別に先手が有利なわけじゃないよな』

『置く場所が決まってますからね』

『四ヶ所あるように見えるけど』

『実質二ヶ所ですね』

『つまり勝負は中盤以降だ、頑張れ』

『こうも真っ白だと逆転できる気がしませんけど……』


603: ◆TctB4xXhw6 2012/03/02(金) 12:44:27.38 ID:XmUp7eFAO
上司 「仕事余裕出るって言ったが、すまんありゃウソだった」

俺 「」


そんなわけでまだ小ネタが続きます……

605: 側近さん幼少期 ◆TctB4xXhw6 2012/03/04(日) 10:29:06.91 ID:M2FhLZGAO

『その本面白いの?』

『読みますか?』

『たまにはいいか』

『ちなみに全十三巻です』

『……一冊二千頁はあるように見えますが』

『三日あれば読めますよ』

『ははぁん、さては寝てないな?』

『どうしてわかったんですか?』


606: 側近さん幼少期 ◆TctB4xXhw6 2012/03/04(日) 10:29:34.08 ID:M2FhLZGAO

『色のない紅茶貰った』

『それは白湯なのでは』

『でも味と匂いはあるんだよ』

『なんだか不完全燃焼な感じがしますね』

『謎の恐怖を感じる』

『あぁ……』

『でも冷静に考えると色付きもそれはそれで』

『謎の恐怖を拡散しないで下さい』


607: 側近さん幼少期 ◆TctB4xXhw6 2012/03/04(日) 10:30:05.97 ID:M2FhLZGAO

『シュークリームを入手しt』

『ください』

『土下座!?』

『くれるまでこのままです』

『あげるから普通にしてお願い』

『冗談です』

『してやられた気分だ』

『ふふふっ』


608: 側近さん幼少期 ◆TctB4xXhw6 2012/03/04(日) 10:30:34.32 ID:M2FhLZGAO

『エクレア』

『稲妻でしたっけ』

『どこを見て稲妻なんだろ』

『そういえば稲妻って』

『うん』

『普通なら いなづま ですよね』

『……あー』

『でもイナズマって書くんですよね、調べたら』


609: 側近さん幼少期 ◆TctB4xXhw6 2012/03/04(日) 10:31:06.99 ID:M2FhLZGAO

『オレオでオセロの代用をしようとしたんだ』

『既にオチが見えてるんですけど』

『クッキーを片方はがして使ったんだ』

『予想以上にダメなオチでした』

『案の定……』

『わかってるなら止めましょうよ……』

『なお、オレオはその後スタッフがおいしくいただきました』

『誰ですかスタッフって』


611: わんこ ◆TctB4xXhw6 2012/03/05(月) 18:20:30.23 ID:uPRNYFPAO

『あんちゃんあんちゃん』

『どうし……顔赤いぞどうした?』

『てひひぃ~♪』ピトッ

『ん? げ、お前酒の匂い……』

『あーんーちゃん♪』ムギューッ

『おい誰だ飲ませたの何してんの!』

『ん……あついっす……』ヌギヌギ

『待て待て待てわんこ! 脱ぐな!』

『とうっ』スポーン

『だあああああっ! 隠せ阿呆!』


612: わんこ ◆TctB4xXhw6 2012/03/06(火) 10:27:05.07 ID:IS0u9BfAO

『あんちゃんあんちゃん』

『どうしたわんこ』

『いいてんきっすねー』

『そうだな、今日は暖かいくらいだ』

『ふぁ……ねむくなってきたっす……』

『ほらおいで』

『わん』

『よしよし』

『すぴー……』

『早っ』


613: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:32:10.93 ID:ll0PJytAO

『炭酸飲料あるだろ?』

『はい』

『思い切り振るんだよ』

『よい子は真似しないで下さい』

『そして容器上部に小さく穴を開けると……』

『……どうなるんですか?』

『噴水』

『うわあ』


614: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:32:44.61 ID:ll0PJytAO

『ごぼう』

『木の根ですよね』

『ほぼ繊維質だしな』

『裏を返せば』

『うん』

『木の根でも食べられるってことでしょうか』

『食べられるかはともかく』

『食べたくはないですね』


615: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:33:24.32 ID:ll0PJytAO

『ひ……非常識』

『金閣寺』

『G線上のアリア』

『アヴェ・マリア』

『商人(あきんど)』

『泥棒』

『ウノ!』

『好きですねウノ!』


616: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:34:16.19 ID:ll0PJytAO

『フカヒレってあるだろ?』

『はい』

『作るのに何ヶ月、ものによっては年単位』

『手間かかりすぎですよね』

『何故そうまでして食べようとしたのか……』

『というかどうして食べられると思ったんでしょうか』

『美味いからいいんだけどさ』

『そこが一番の謎な気がします』


617: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:35:13.76 ID:ll0PJytAO

『ケーキ』

『キクラゲ』

『ゲノム』

『ムラサキシメジ』

『時差』

『砂糖』

『ウノ!』

『またウノ!?』

『言えと言わんばかりにウで振ってくるんだもの!』

618: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:36:14.82 ID:ll0PJytAO

『酒と』

『煙草と』

『コーヒー』

『なんでコーヒーがそこに並ぶんでしょうね』

『嗜好品ってことかな』

『中毒性じゃないですか? カフェインとか』

『でも実はカフェインって紅茶のほうが圧倒的に多いんだよね』

『いっそカフェイン飲んだらいいと思います』

『身もフタもねえな』


619: そーちゃん ◆TctB4xXhw6 2012/03/08(木) 12:36:45.95 ID:ll0PJytAO

『お酒って』

『ダメだぞ』

『まだ何も言ってませんけど……』

『前いた村にいた子が誤飲してえらい目に遭ったんだ』

『何があったんですか』

『裸になって抱きつかれた』

『ぶっ』

『社会的に氏ぬところだった』


628: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 10:44:09.25 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「ちょいと使者Bさんや、いいことを教えてやんよ」 チョイチョイ

東の使者B 「え、なになに?」

東の使者A 「外で両手を空に向けて「るー」って叫ぶと宇宙人が来るんよ」

東の使者B 「えっ! ほんと!?」

東の使者A 「嘘です」 キリッ

東の使者B 「ておーい!」 ズコー

東の使者A 「ふはははは、エイプリルフール!」 ドヤァ

東の使者B 「…………あー」 ポンッ

東の使者A 「リアクション薄いなー」

東の使者B 「どう返せって言うのさ……」

629: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 11:01:13.84 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「魔ノ国にはエイプリルフールがないんだってさー」

東の使者B 「そうなの?」

東の使者A 「嘘だけど」

東の使者B 「」 ズルッ

東の使者A 「そんなわけでちょいとお城行ってくるは」 シュバッ

東の使者B 「いやどういうわけ――ってもういないし!」

東の使者B 「変なことしなければいいんだけど……」 ハァ…

630: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 16:19:47.83 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「さーて、次の獲物はっと」 ツカツカキョロキョロ

側近 「こっちが会議の資料で……こっちが……」 ブツブツ

東の使者A 「おおっと、あれに見えるは側近ちゃん。

 何かぶつぶつ言ってるのは仕事かにゃー」

東の使者A 「…………にひっ」 ニヤリ

東の使者A 「――――ターゲット、ロックオン!」 キュピーン

東の使者A 「側近ちゃーん!」 タタター…

側近 「あ、使者Aさんおはようございます」 ペコリ

東の使者A 「ととと……おはようございます」 ペコリ

側近 「何か用事ですか?」


631: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 16:31:08.99 ID:7OlsTxtAO





東の使者A 「知ってる? 兵士A君って実は女の子なんだって!」

側近 「ええっ!?」

東の使者A 「嘘だけどね!!」

側近 「」

東の使者A 「ふはははは! エイプリルフゥゥゥゥゥゥル!!」 ヒャッハー!!

東の使者A 「さらばだ!」 ダッシュ!

側近 「あっ、待っ! ――もういない!?」 ガビーン

側近 「…………なんでしょうあれ、辻斬り……?」


632: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 16:41:59.96 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「ふひひひ、唖然とした表情がたまらんぜ!」 スッタカター

東の使者A 「次は誰に何を吹き込んでやろうかなーっと」

後輩メイド テクテクテク...

東の使者A 「お、わんちゃんはっけぇ~ん♪」

東の使者A 「おーい!」

後輩メイド 「ウィ? おお、使者Aさんおはようございますッス」

東の使者A 「おはようございます」

東の使者A 「ねえわんちゃん、聞いた?」

後輩メイド 「なにッス?」


633: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 16:48:20.26 ID:7OlsTxtAO





東の使者A 「パティシエさんってゲイなんだって!」

後輩メイド 「知ってるッスよ?」


東の使者A 「えっ」


後輩メイド 「ウソッスけど」 ニヤリ

東の使者A 「――はっ! カウンター!?」

後輩メイド 「パティシエさんはほんとはバイッスからねー」 ケラケラ

東の使者A 「!?」

東の使者A 「いや騙されないぞ! どうせそれも嘘なんだよね!」

後輩メイド 「ウソならよかったんスけどね……」

東の使者A 「……え、ガチで?」

後輩メイド 「ウソッス」 シレッ

東の使者A 「ナァーウッ!!」 クハッ!


634: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 16:54:59.09 ID:7OlsTxtAO

 ‥‥‥

東の使者A 「くそう、まさかああくるとは……」

東の使者A 「ネタを選ばないとかにゃー、こりゃ」

東の使者A 「ふふふ、腕が鳴るぜェ……」 ニヤァ

兵士B 「何ニヤニヤしてんだおめぇは」

東の使者A 「うひゃい!? 急に声かけないでおくれよ!」

兵士B 「はぁ? 手で合図でもしろってのか」

東の使者A 「いやそゆ話じゃなくて」

兵士B 「それはそうと、さっき何かポケットから落ちたぞ。ほれ」 パス

東の使者A 「え、なんだろ?」 ドモー


635: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 17:00:04.85 ID:7OlsTxtAO





っ『オカマバー 優待券』

東の使者A 「なにこれ!?」

兵士B 「お前がそんなもんに興味あるとはなぁ……」

東の使者A 「ちょっ、違うよ誤解! これ私のじゃないよ!」

兵士B 「隠すな隠すな、いいじゃねえか。

 人間誰しも他人に言えねー趣味のひとつやふたつあるもんだろ」

東の使者A 「それには同意するけどこれは私のじゃなぁぁぁぁぁいッ!!」 ウガアァァァァ!!


兵士B 「そりゃそうだ、それフェイクだし」

東の使者A 「」


636: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 17:06:21.74 ID:7OlsTxtAO

兵士B 「まだまだ甘ェなぁ」 ポン

東の使者A 「くそぅ……まんまと……ッ」 ガクッ

兵士B 「こういうのはペースを喰ったやつが勝つからな、まあ頑張れや」 グシグシ

東の使者A 「んにゅっ、どさくさにまぎれて頭撫でんなよこら」 ニゲル

兵士B 「ははは、じゃあな」 ツカツカツカ...

東の使者A 「……キザなやっちゃなー。負けたから何も言い返せないけども」


637: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 17:13:00.40 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「しかし、小道具まで持ち出してくるとは」

東の使者A 「意外とみんな全力……?」

東の使者A 「ともあれ連敗は避けたいなぁ」

東の使者A 「おっ、あれは……」

魔剣『確かに届けたぞ』

女医 「あんたさ、パシリにされてんの?」

魔剣『配達も業務の内だ』

女医 「……薬師のやつますます引きこもりそうね」

魔剣『それは……うむ』


638: ◆TctB4xXhw6 2012/04/01(日) 17:48:34.85 ID:7OlsTxtAO

東の使者A 「へいほーお二人さん」

女医 「よ」

魔剣『お前か』

東の使者A 「珍しい組み合わせじゃん」

魔剣『配達でな、たまたまだ』

女医 「そっちこそ城内にいるなんて珍しいじゃない」 カチッ シュボッ

女医 「ふー……」 スパー

魔剣『当たり前のように煙草を吸うな』

女医 「アンタまで言うのか」 フー…

東の使者A 「そんなの吸い込んでよく平気ね……」

女医 「試してみる?」 スー…

東の使者A 「いらないって」

女医 「つまんないわね」 フー…


639: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:15:11.02 ID:QKo0yb5b0

女医 「そういえばアンタ城の連中にホラ話ふっかけられなかった?」

東の使者A 「むしろふっかけにきたんだけど、一勝二敗」

女医 「は、なぁんだ考えることは一緒なわけか」 クックッ

魔剣『…………』

東の使者A 「黙り込んでどしたん?」

女医 「いやコイツ、エイプリルフール知らなかったらしくて兵士Bに思いっきり騙されたんだよね」

魔剣『剣生一生の恥だ……』

東の使者A 「あぁ、私もヤられたわー」

女医 (……『ヤ』の発音がおかしいのはつっこむべきなのかしら)


640: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:16:33.28 ID:QKo0yb5b0

東の使者A 「ちゅーか兵士Bくんはちょいとズルいと思うんよ」

女医 「小道具使ってきた?」

東の使者A 「うん」

魔剣『お陰で町娘と気まずくなってしまった……』

東の使者A 「何仕掛けられたの?」

魔剣『黙秘させてくれ……』ズブズブズブ...

女医 「おーおー沈んで……おいこら床に刺さるな!」

床 < コゲル! コゲル!!

東の使者A 「物理的に沈んでどうすんのさ」


641: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:17:28.34 ID:QKo0yb5b0

女医 「まぁホラ吹き合戦するならメイドとかには気を付けな。

  さらっと嘘吐くから油断すると喰われるわよ」

東の使者A 「女医さんはやんないの?」

女医 「思考読めるからやってもつまんないのよ」

東の使者A 「なんと!」

東の使者A (その尻尾をもふもふさせろー!)

女医 「嫌」

東の使者A 「oh」 ホントダ


642: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:18:23.34 ID:QKo0yb5b0

魔剣『我輩は帰るぞ、まだ配達が残っている』

女医 「あいよ。町娘ちゃんによろしく」

東の使者A 「またねー」 フリフリ

魔剣『うむ』

女医 「あーちょっと待った」

魔剣『なんだ?』

女医 「床直してけ」



女医 「ホントに直せるとは思わなかったわ」

東の使者A 「何あの魔剣マジ万能」


643: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:20:05.34 ID:QKo0yb5b0


 ・ ・ ・


東の使者A 「よーし、リベンジ行くかぁ」

東の使者A 「と言ってもエンカウント待ちだけども」

 タッタッタッタッ…

東の使者A 「ん?」 クルッ

兵士A 「氏ね!!」 ブンッ

東の使者A 「にょわっち! 槍!?」 ヨケル!

東の使者A 「ちょ、何なに!?」

兵士A 「とぼけるな! 側近さんにとんでもない嘘吹き込んだくせに!」 ブンッ

東の使者A 「うえっ!? まさかあの子本気にしたの?!」 カミヒトエッ!

兵士A 「おかげで周りから変な目で見られたじゃないか!

  責任とって氏ね!!」 ブンッ


644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/04/03(火) 21:20:48.40 ID:QKo0yb5b0

東の使者A 「どわっち!」 カスッタ!

東の使者A 「くそぅ、まさかこうなるとは……逃げる!!」 ダッシュ!!

兵士A 「待てこのォオ!!」

東の使者A 「断固ことわーる!!」

騎士A 「おいおい何の騒ぎだ?」

東の使者A 「! デコイ発見!」

騎士A 「は?」

東の使者A 「兵士Aくん真犯人はこいつだよ!」

兵士A 「お前かああああああ!!」

騎士A 「はぁ!?」


645: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:21:52.64 ID:QKo0yb5b0

< ブッコロォース!!

< マテマテマテオチツケ!!

東の使者A 「フー……なんとか逃げきったじぇ」

東の使者A 「思わぬトラブルが出たにゃー」

男 「何してんだお前は」

東の使者A 「ふぉおうふ!?」 ビクーン!

東の使者A 「~~~~っくりしたぁ、男くんかぁ」

男 「驚きすぎだろ」

東の使者A 「めんご」 ニャハハ


646: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:22:36.89 ID:QKo0yb5b0

男 「それより静かにしてくれ、メイドさんに見つかりたくない」

東の使者A 「なぜにホワイ?」

男 「会話の節々に嘘を絡めてくるから無茶苦茶疲れるんだよ……」 ハァ...

東の使者A 「あー、女医さんも気を付けろって言ってたにゃー」

男 「昼まで部屋に立てこもろうとしても乗り込んでくるし」

東の使者A 「なんで昼まで?」

男 「知らないか? エイプリルフールって午前中だけなんだよ」

東の使者A 「ダウト!」 カッ!

男 「残念だが事実だ」

東の使者A 「なんと」


647: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:23:47.52 ID:QKo0yb5b0

男 「大賢者さんも大賢者さんで嘘か本当か区別がつかない小話披露してくるし」

東の使者A 「それはまた鬱陶しい」

男 「兵士長は旅土産の菓子箱に『ハズレ』とか入れてくるし」

東の使者A 「何してんのあの人」

男 「騎士団長に農作業に誘われてついてったら落とし穴に……」

東の使者A 「既に嘘とか関係ないね」

男 「人間不信になりそうだ」

東の使者A 「魔族ですやん」

男 「そうだった」


648: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:24:31.34 ID:QKo0yb5b0

男 「そんなわけで俺を癒してくれ」

東の使者A 「ふへ?」

男 「抱きつかせていただきます」


 ぎゅ~っ


東の使者A 「」


東の使者A 「℃¥$¢£%#&*@§☆!?!?」

男 「ふむ、みかんの匂いがする」

東の使者A 「~~~~~~ッ!!」 ボンッ!!

東の使者A 「ぇぅ……」 クタッ

男 「あ、気絶しちまった」


649: ◆TctB4xXhw6 2012/04/03(火) 21:26:48.40 ID:QKo0yb5b0

男 「意外に耐性なかったのか……冗談だったのに」

大賢者 「ほう、何がじゃ?」

男 「」


男 「農家的超加速!」 ピャッ!!

大賢者 「逃すかうつけェ!!」 ダッ!!


 ダダダダダダダダダダ……


 …………


< ア゙ー――――――――ッ!!


東の使者A 「ふにぃー……」 プシュー…



 そして気絶している間にエイプリルフールはすぎていきましたとさ。


653: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 20:53:00.02 ID:2kei8WNy0

男 「花見?」



655: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 20:59:39.15 ID:2kei8WNy0

男 「するの? 城のみんなで?」

メイド 「はい、毎年。ですが今年はいつも伺っている村で開花が遅れているそうで」

男 「あぁ、最近まで寒かったからなぁ」

メイド 「それで皆さんに他の場所の心当たりを訊ねて回っているところなのですわ」

男 「心当たりね。あるにはあるよ」

メイド 「あら。ちなみにどちらですか?」

男 「俺ん家」

メイド 「まあ」


656: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:03:59.74 ID:2kei8WNy0

 ~男の家~

大賢者 「む、遅いぞ男よ」

男 「すみません。事務仕事が長引きまして」

大賢者 「こんな日くらい仕事なぞほうっておけばよかろうに」

男 「そうもいきませんって。他の皆さんは?」

大賢者 「もう勝手に始めとる」

男 「あれま」


657: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:10:14.24 ID:2kei8WNy0

 ワイワイガヤガヤヤンヤヤンヤ

男 「うーむ、畑が種蒔き前でよかった。二百人近くなるとさすがに……」

大賢者 「人がゴミのようじゃの」

男 「思っても言ってはいけません」

側近 「あっ、男さ――じゃなかった、魔王様! こっちですよ!」 ブンブン

男 「やほ。別に名前でいいんだけど」

側近 「そうですか? そうですね、お花見ですし」

後輩メイド 「あーんーちゃん!」 ノシッ

男 「ぬあっ! 急におぶさるなわんこ!」 コシガッ!

後輩メイド 「てひひー♪」 スリスリ

男 「うわアルコールくせえ! 誰だ飲ませたの!」

大賢者 「ワシじゃ」

男 「何してんだアンタ!」


658: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:13:58.86 ID:2kei8WNy0

後輩メイド 「んーっ、あんちゃん背中ひろびろッスー♪」 ギューッ

 ムニュンムニュン

男 「」

男 (静まれジョニィ!)

ジョニィ < ムチャヲイウナヨ…

側近 「むむむ……」

大賢者 「何を唸っておる側近」

側近 「…………」 ジー…

大賢者 「ぬ?」 ペターン

側近 「……うん」 ウン

大賢者 「貴様失礼なことを考えておらぬか?」


659: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:18:27.64 ID:2kei8WNy0

兵士B 「来て早々なぁに乳繰り合ってんだお前ら」

男 「あ、B」

後輩メイド 「ちち?」

男 「そこだけ復唱すんな!」

兵士B 「珍しくツッコミが鋭いな。いつもダルげなのに」

男 「いつもって、俺そんなにだるそうか?」

兵士B 「厨二病治しそこなったまま大人になった似非ニヒルみたいな感じではある」

男 「すまんがわかる言葉で喋ってくれ、なんだチュウニビョウって」

兵士B 「知らねえか?」

男 「知らん」

後輩メイド 「あんちゃん自分ともっとお話するっす!」 ギュイーッ

男 「いひゃいいひゃい! ひょおひっぱんにゃ!」


660: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:24:16.65 ID:2kei8WNy0

側近 「……」 コソコソ

側近 「――えいっ」 ピョン ガシッ

男 「おわっち! 側近さん?」

側近 「……」 ギューッ

兵士B 「コアラみてえだな」

大賢者 「ふむ」 ピョン ガシッ

男 「ちょっ!?」 フエタ!

後輩メイド 「むー、二人とも離れるッス!」

側近 「こーちゃんが離れたら離れます」

大賢者 「右に同じと言っておこうかの」

兵士B 「……男よ、重くないか?」

男 「口が裂けても言えねえよ!」 ギギギ…

大賢者 「加重力でも使ってやろうかの」

兵士B 「氏ぬぞ」


661: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:30:50.29 ID:2kei8WNy0

東の使者B 「なんだ、騒がしいと思ったら」

男 「あ、もう一人のBが来た」

兵士B 「まぎらわしいから帰れ」

東の使者B 「今来たばかりですけど!?」

兵士B 「そんなことより使者Aちゃんはどうしたんだよ」

東の使者B 「そんなこと!? 僕の存在ってそんなぞんざいな扱いなの!?」

男 「ショック受けすぎリアクションでかすぎ」

兵士B 「いじってくれと言わんばかりだよな」

東の使者B 「人のことドMみたいに言わないでもらえませんかねえ!!」

後輩メイド 「使者Bさん」

東の使者B 「はい?」

後輩メイド 「うるさいッス」

側・賢 コクコク

東の使者B 「」

兵士B 「ざまあ(笑)」

男 「フォローのしようもない」 ナームー


662: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:37:16.49 ID:2kei8WNy0

東の使者B 「くそぅ……みんな酷い目に遭えばいいのに……」 トボトボ

男 「何しにきたんだあいつは」

兵士B 「酒が入ってやさぐれてんじゃねえの」

男 「酒癖悪い人多いなぁ」

兵士B 「ちなみにうちのAは既に撃沈している」

男 「ダメダメじゃねえか」

兵士B 「毎度のこった」

男 「よりダメさが増したけど」

兵士B 「フォローじゃねえからな」

男 「Bも大概酷いな」 ハハッ

兵士B 「むこう行こうぜ。騎士団長たちが集まってる」

男 「うん」

 ずりずりずり……

後輩メイド 「あ゙ー」
側近 「いー」
大賢者 「うーむ」

兵士B 「あんたらいつまで貼り付いてんだ」

男 「大丈夫だ、慣れたから」

兵士B 「どんだけだお前」


663: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:45:58.74 ID:2kei8WNy0

男 「やほ」

東の使者A 「げ、男君」 ササッ

女医 「? なんで私の後ろに隠れんのよ」

男 「……俺何かしたか?」

兵士B 「いやぁ、今のお前の有り様見りゃ普通ヒくって」

兵士長 「さながらフルアーマーだね!」 キリッ

大臣 「うまいこと言ったつもりか馬ァァァァ鹿!!」 ヒック

騎士団長 「よくきたな! まあ座れ! そして俺の酒を飲め!!」 ガハハハハハ!!

騎士C 「騎士C! 清酒一升イッキ行きます!」

薬師 「――――」 チビチビ

騎士A 「薬師さん、折角来たんだから桜見なよ」

薬師 「――興味――――なし――――――」 チビチビ

男 「…………」

男 「B、帰っていいか?」

兵士B 「諦めろ。部下の面倒見も上司の務めだ」


664: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:50:34.59 ID:2kei8WNy0

男 「よっと」

東の使者A 「ちょ、なんで隣に来んのさ!」

男 「? いや他に空いてないし」

女医 「使者A、あんた男と何かあったの?」

東の使者A 「なななな何もないわさっ!!」 カァーッ

女医 「…………」

女医 「ふぅん」 ニヤリ

東の使者A 「はっ!? ちょっと女医私の思考読んだ!? 読んだっしょ!!」

女医 「ハハハ、マサカァー」 ニヤニヤ

東の使者A 「それで誤魔化してるつもりかァー―――――ッ!!」 ガァーッ!!

男 「賑やかだなぁ」

後輩メイド 「あんちゃん、お酌するッス」

男 「うん。それよりまず離れような」


665: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 21:57:48.46 ID:2kei8WNy0

騎士B 「あ」

兵士B 「お。よう、こっち座るか?」 オイデオイデ

騎士B 「いえ、私は……」

兵士B 「いいからいいから。折角だし注いでやるよ」 ポンポン

騎士B 「は……」 オズオズ

兵士B 「こういう空気は苦手か?」

騎士B 「……そんなことは」

兵士B 「ははっ、まあ無理すんなよ。たまには肩の力抜いてけ」

騎士B 「はっ」

兵士B 「返事が硬いぜ?」

騎士B 「あ、も、申し訳ありません!」

兵士B 「くくくっ、お前おもしれえなぁ」 ハハハッ


666: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:02:21.55 ID:2kei8WNy0

兵士C 「おーいB、うちの主人口説いてんじゃねえよ」

騎士B 「ぶっ!!」 ブフォッ

騎士B 「ぐ、げほっげほっごほっ!」 ケホケホッ

兵士B 「お前ふらっと現れてアホなこと抜かすな馬鹿。大丈夫か?」 サスサス

騎士B 「こほっ、すっすみませ――あ」 フラッ

兵士B 「っと、むせて一気に回っちまったか。少し休んどけ」

騎士B 「あ……はい」

兵士C 「B……お前ってやつは……」

兵士B 「なんだよ、なんか文句あんのか」




667: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:08:18.79 ID:2kei8WNy0

騎士C 「続きましてェ! 不肖ッワタクシめと!」

騎士団長 「俺様による! 超美麗腹筋踊りをとくと御覧じろ!!」

兵士長 「ヤバい! 暑苦しさが通常の三倍だ!」

大臣 「よーしてめえこの野郎、俺の脂肪っ腹で筋肉率マイナスにしてやんよ!」

兵士長 「ヒーハー!!」

女医 「後輩メイドちゃん、目を合わせちゃダメよ」

後輩メイド 「はいッス」 ジー…

男 「だからって俺を至近距離で見つめるな」

側近 「じー」

大賢者 「じー」

男 「二人も真似せんで下さい」

東の使者A 「むぅ……」 チラチラ


668: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:19:35.64 ID:2kei8WNy0

薬師 「――――」 チビチビ

男 (……我関せずでチビチビ飲んでる)

男 (ある意味すごい)

大賢者 「おい男、注げ」

男 「あぁ、はいはい」

大賢者 「ん……。ほれ、返杯」

男 「ども」

側近 「……」 ジー…

男 「? 何?」

側近 「お酒っておいしいんですか?」

大賢者 「少なくともワシは美味じゃと思うとるの」

男 「お酒は二十歳になってから」

大賢者 「ワシはこれでも四百歳じゃぞ」

後輩メイド 「自分はじゅーはち? じゅーく? あんちゃん、どっちッス?」

男 「俺に聞かれても」

側近 「私も一応結婚できる年齢なんですよ?」

男 「うん、なぜそこを主張するのかな」

側近 「言っておかないと子供扱いするじゃないですか」

男 (否定できない……)


669: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:31:35.49 ID:2kei8WNy0

東の使者A 「うーむ……」

女医 「男君は競争率高いわよ」

東の使者A 「ブフォッ!」 ブハッ!!

女医 「ぷっ。ちょっとあんたうろたえすぎだって」 ケラケラケラ

東の使者A 「ゔ、げほっ。……もう、変なこと言わないでよ」

女医 「ごめんごめん、あんまりにういもんだからさー」 シュボッ

東の使者A 「自然な動作で煙草を吸わない」

女医 「おっとつい癖で。ま、屋外だし無礼講ってことで」

東の使者A 「……まーいーけど」

女医 「ちなみに男君は煙草好きじゃないみたいよ。吸ってなくてよかったわね」 ニヤリ

東の使者A 「くっ……」

東の使者A (これもしかして延々いじられる流れなんじゃ……っ)

女医 「私が飽きるまではいじり倒すわよ」

東の使者A 「思考を読まないでよあーもー!」


670: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:40:13.98 ID:2kei8WNy0

パティシエ 「むこうは賑やかですねぇ」

メイド 「薬師様もあちらにいらっしゃいますけど、よろしいのでしょうか?」

老紳士 「彼女はああ見えて賑やかな場を好んでいるからね。心配いらないよ」

魔剣『そうは見えないが……』

町娘 「お団子おいしいですねー」 マグマグ

兵士D 「すぴー…………」 スヤスヤ

パティシエ 「おかわりはいるかい?」

町娘 「はい」

メイド 「こっちはまったりしていますわねー……ふぁ……」 クァ…

老紳士 「おや、君があくびとは珍しいね」

魔剣『眠いようなら休んではどうだ。たまにはいいだろう』

メイド 「……襲わないで下さいね?」

魔剣『するか阿呆っ!!』


671: ◆TctB4xXhw6 2012/04/09(月) 22:47:56.40 ID:2kei8WNy0

男 「…………」

騎士A 「なにか?」

男 「いや、首無しでも酒飲めるんだなあ、と」

騎士A 「たまに漏れますけどね」

男 「あまり想像したくない光景だ」

騎士A 「トマトジュースなんかが漏れた日には……」

男 「軽いホラーだな……」

騎士A 「魔王城七怪談の一つです」

男 「やったことあんのかよ」


676: ◆TctB4xXhw6 2012/04/10(火) 12:35:03.01 ID:2HQInMXAO

兵士A 「あ゙ー……氏にそう……」

兵士C 「加減なく飲むからだ。大人しく桜でも見てろ」

兵士A 「BとDは?」

兵士C 「Dは寝てる。Bはうちの主人と飲んでる」

兵士A 「騎士Bさんって飲める人なの?」

兵士C 「毎食ワイン飲んでるからそこそこだろ」

兵士A 「ふーん……」

 ワイワイガヤガヤヤンヤヤンヤ

兵士A 「……平和だねー」 ボー…

兵士C 「そうだなー」 ボー…


677: ◆TctB4xXhw6 2012/04/12(木) 12:33:02.16 ID:RoKsnf9AO

後輩メイド 「花見といえば」

側近 「お団子ですね」

東の使者A 「言い出しっぺは誰なんだろ」

大賢者 「大昔からあるからのう……魔族じゃったら生きておるやもしれんが」

女医 「いやぁ、さすがに氏んでるでしょ」

後輩メイド 「惜しいッスねぇ」

東の使者A 「何する気だったのさ……」


678: ◆TctB4xXhw6 2012/04/12(木) 12:39:04.75 ID:RoKsnf9AO

大賢者 「三色団子じゃの」

側近 「何の意味があるんでしょうか」

東の使者A 「由来は色々あるみたいだよ」

東の使者A 「三色だけに!」 ドヤァ

後輩メイド 「…………」
側近 「…………」
大賢者 「…………」
女医 「…………」

東の使者A 「な、なんか言えよう!」

女医 「すごいね(棒)」

東の使者A 「うわあい、ごめんなさい」


679: ◆TctB4xXhw6 2012/04/12(木) 12:46:56.88 ID:RoKsnf9AO

大臣 「俺の腹踊りをみろぉおお!」 ブルブルブルブル!!

贅肉 < アバババババババ
兵士長 「むしろ腹が踊っとるやないかーい!」

騎士団長 「ちったあ鍛えろ! 見よこの肉体美を!」 ムゥン!!

腹筋 < カッキーン!

騎士C 「おおっと負けるか!」 フン!

後背筋 < ビキビキッ

大臣 「筋肉なんぞに負けるか! 見ろよぷるっぷるやぞ! ぷるっぷるやぞ!」 ブルブルブルブル

「「「「ぎゃはははははははははは!!」」」」

騎士A 「鬱陶しい……」


680: ◆TctB4xXhw6 2012/04/12(木) 12:52:39.24 ID:RoKsnf9AO
今更だけど登場人物多いなぁ

685: ◆TctB4xXhw6 2012/04/25(水) 12:52:29.16 ID:UMPF85yAO

後輩メイド 「あり? あんちゃんどこ行ったッス?」 キョロキョロ

大賢者 「む、いつの間にかおらんの」

女医 「あぁ、さっき 「城の外の連中ン所行ってくるわ」 っつって行ったけど?」

側近 「むぅぅ、勝手にいなくなるなんてだめな人れすね!」 プンスカ

東の使者A 「……側近ちゃん酔ってない?」

後輩メイド 「はいはーい! 自分が飲ませたッス!」 キャッホウ

女医 「おいコラ未成年」 ギリギリギリギリ…

頭蓋 < オ オ オ オ オ ォ ォ … !!

後輩メイド 「あだだだだだ! 割れるッス! 割れるッス!」 バタバタ

大賢者 「ガキの頃からタバコ吸っとるおぬしが言うてものう」 クピクピ

大賢者 「む、酒が切れた」

側近 「なるぇばわらしがとってきゅるのれす!」

東の使者A 「いや何言ってるかわかんないから。ほら横になるー」 グイー

側近 「うぃー」 タオサレー

側近 「...zzZ」 スピー

東の使者A 「はやっ!?」



690: ◆TctB4xXhw6 2012/05/24(木) 22:36:24.22 ID:pOvm2/hAO

 ・ ・ ・

男 「なんとか抜け出せた」 フゥ…

男 「女三人寄れば姦しいとは言うけど、あの人数は賑やかすぎて落ち着かないなぁ」

「随分と贅沢な悩みを抱えているのですね」

男 「贅沢……贅沢かぁ?」 ウーン…

男 「あ、それはさておき久しぶりだな預言師」

預言師 「ええ、お久しぶりですわ、男さん」

預言師 「どう? 私の預言は役に立ちまして?」

男 「こうしてここにいるんだから、無駄にはならなかったんだろ」

預言師 「ふふっ……それは重畳」



691: ◆TctB4xXhw6 2012/05/24(木) 22:38:00.91 ID:pOvm2/hAO

男 「他の連中は?」

預言師 「向こうに。みんな逢いたがっていましたよ?」

男 「獅子王さんちは割としょっちゅう会ってたはずなんだが……」

預言師 「でも氷竜王様や妖精王様とは随分逢っていないのでしょう? 拗ねていましたよ」

男 「……拗ねる様子が想像できないんだけど。特に氷竜王さん」

預言師 「でしたら直接御覧になって下さいな。
  今なら酔いが廻って本音が濁流の如しですわ」

男 「お前の喩えはわかるようでわからん……」

預言師 「わざとですから」 シレッ

男 「オイ」



692: ◆TctB4xXhw6 2012/05/24(木) 22:39:45.65 ID:pOvm2/hAO

男 「相変わらず長い髪だな。
 手入れ面倒じゃないか? 切らないのか?」

預言師 「願掛けみたいなものですよ。それに、髪は女の命ですもの」

男 「その辺りの機微はよくわからんが」

預言師 「そうでしょうね。わかるようになったら男さんではないですもの」 クスクス

男 「バカにしてないかそれ」

預言師 「個性を尊重しているだけですわ」 クスクス

男 「……やれやれ」 ハァ...



693: ◆TctB4xXhw6 2012/05/24(木) 22:42:55.06 ID:pOvm2/hAO
小休止。

誰か俺に多重影分身の術を伝授してくれ……

695: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 22:58:17.83 ID:ckEBpTAAO

「アニキーっ!」 タタタ...

男 「お、このk
「オラァ!!」 ブンッ!!

男 「甘い」 パシッ

男 「ふんっ」 クルッ

「のわあっ!」 ドシンッ

男 「相変わらずやんちゃだなぁ獅子丸」

獅子丸 「くっそー! 今日こそイチゲキ入れられると思ったのにー!」 グヌヌ...

預言師 「獅子丸君、不意打ちなら声をかけては無意味ですよ?」

獅子丸 「」 ハッ

男 「アホだなぁお前」 グシグシ

獅子丸 「おお? なんだなんだ、なでてもなんにもでねーぞ?」

男 「何だ喜んでんのかお前」

獅子丸 「アニキの手はでっかいなー! 父ちゃんみてーだ!」

男 「いや獅子王さんほどはデカくないからな?」

獅子丸 「そーか?」

男 「ああ」



696: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 22:59:25.94 ID:ckEBpTAAO

 ~ 男の家 裏手 ~

男 「こっち側にいたのか、道理で姿が見えないわけだ」

氷竜王 「おぉ、久しいな婿殿」

男 「誰が婿ですか誰が」

獅子王 「ほう……あの犬娘がいながら他の娘にも手を出していたか」 ハッハッハ!

男 「人聞きの悪いことを言わんで下さい」

妖精王 「英雄色を好む……貴方様にはぴったりの言葉ですわね」 ジトー

男 「あのー、妖精王さん? 何故睨んでらっしゃるので?」

預言師 「……」 フルフル

妖精王 「……」 ハァ...

機械王『オ前ハ鈍イナ』

男 「機械に鈍感呼ばわりされた!?」



697: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 23:01:30.03 ID:ckEBpTAAO

大天狗 「おぉ……男殿よ……」 フラフラ

男 「あ、どうも大天狗さん……。
 大分ふらついてますけど大丈夫ですか?」

獅子王 「天狗の大将は孫娘が心配でたまらんらしい」 ヤレヤレ

男 「孫娘……あぁ、女天狗さん」

大天狗 「うぅ……孫娘よぉい……、早よう帰ってきておくれぇ……」 シクシク

氷竜王 「気持ちはわかるぞ天狗の。
   我も何度娘のために魔王城を訪ねようとしたか……」

男 「大騒ぎになるんで止めて下さい。
 てか、今会っていけばいいじゃないですか」

氷竜王 「否! 次会う時は娘の結婚が決まった時と決めておるのだ!」 キリッ!

男 「んなことキメ顔で言われても困る」 アホカ



698: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 23:04:52.03 ID:ckEBpTAAO

氷竜王 「だから婿殿、さっさと娘をもらってくれぬか?」

男 「いや、ですから……つーかこの人酔ってやがるな」

預言師 「ふふ、案外もうすぐかもしれませんよ?」

妖精王 「なっ!?」 ガーン!

男 「預言師さんちょっと黙って。確実に面倒くさくなるから」

機械王『罪深キ男ダナ……』

男 「アンタも少しはフォローしてくれ」

機械王『No, sir.』

男 「ぶち壊すぞガラクタ野郎」 イラッ



699: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 23:06:44.14 ID:ckEBpTAAO

男 「そういえば『混沌』は?」 ミアタラナイ

獅子王 「性に合わぬと言って欠席だ。少しは種の長の自覚を持ってもらいたいものだがな」

男 「うーん、今度様子見がてら野菜でも差し入れてみるか……」

妖精王 「あんなの放っておけばよいのです。大体異形種はどいつもこいつも女性とみればセクハラばかり……」 ブツブツ

男 (……何かされたのかな?)

獅子丸 「なーアニキ、もう畑仕事しねーのか? オイラたちヒマでしょーがねーよ」

男 「ん? いや、大賢者さんに家の管理がてら弄ってもらうことになってるから、なんなら話通しとくぞ?」

獅子丸 「うん!」 パァッ



700: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 23:08:11.60 ID:ckEBpTAAO

獅子王 「大賢者殿か。……こう言ってはなんだが、大丈夫なのか?」

妖精王 「あの子は魔法以外はてんで駄目だったと記憶していますけど」

男 「随分はっきり言いますね……一応ひと通りのことは俺から教えますんで。あとは獅子丸がいるならなんとかなると思いますよ?」

獅子丸 「任せろ!」

機械王『楽観的ダナ』

男 「アンタと違って信頼してるんだよ」

預言師 「……男君、機械王様に対してだけツッコミがキツくないかしら」

男 「気のせいです」



701: ◆TctB4xXhw6 2012/05/28(月) 23:16:47.79 ID:ckEBpTAAO
小休止。


大賢者 「今回出てきた面子の補足じゃ」



獅子王(♂)
 体長5mを超える大きなライオン
 子沢山
 獣人・獣魔の王

氷竜王(♂)
 体長50m近い蒼白のドラゴン
 ドラゴン族の末裔

妖精王(♀)
 身長30cm程度のフェアリー
 エルフやドワーフなど妖精・妖魔の長

機械王(?)
 オプティマスプライム的な巨大ロボット
 九十九・無機生物の代表

大天狗(♂)
 まさに天狗という見た目で大柄な老人
 一部を除く妖怪・亡霊の長


預言師(♀)
 事象視(予見と過去視)の能力を持つ魔人

獅子丸(♂)
 獅子王の子供で末っ子
 半獣人半獣魔
 男によく懐いている


混沌(?)
 不定形の生命体で大きさすら不安定
 異形種の王



大賢者 「以上じゃ」


ではまた。

706: ◆TctB4xXhw6 2012/07/22(日) 20:55:10.75 ID:2BoY0EiAO


男 「閑話休題」



707: ◆TctB4xXhw6 2012/07/22(日) 20:55:39.25 ID:2BoY0EiAO

男 (あれから結局日が暮れて空が白むまで宴会は続き)

男 (夜が明ければあたりは氏屍類々)

男 (無事な人が総出で片付けたものの、終わった頃にはまた日が暮れて)

男 「一日分の遅れを取り戻すのに執務室に缶詰め状態とかもうね……」 ハァ...

側近 「あはは……」

側近 「でも、今の分が終わればまたしばらくは余裕が出るそうですから」

男 「それ毎回言われてる気がするなぁ」


708: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) 2012/07/22(日) 20:57:56.35 ID:2BoY0EiAO
まあそんな感じで……
勢いつけてもっと書きたかったけど時期も過ぎに過ぎたので。

書きたいものはあるのに書けないジレンマ
ガッツが足りない

712: ちょっと小ネタ ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 12:48:48.95 ID:iOzxaF5AO

【トランプ】

後輩メイド 「ほっ」 バラバラバラ

トランプ < アーッ!

側近 「あー」

男 「何してんだ?」

側近 「男さん」

後輩メイド 「トランプ混ぜてるッス」

男 「散らばってるが」

後輩メイド 「てひひ、失敗したッス」 テレテレ

側近 「綺麗に混ぜるコツとかあるんでしょうか」

男 「ふむ。貸してみ」

後輩メイド 「はいッス」

男 「ほっ」 パララララララ…

トランプ < アバババババ…

後輩メイド 「おおっ、手から手に飛ばすやつ!」

後輩メイド 「……技名がわからないッス」

男 「なんだったっけ……」 パララララララ…

トランプ < ウェヒヒヒヒヒヒヒ…

側近 「巧いですね」

男 「まあこれやっても混ざらないけど」

側近 「え、あっ」 ハッ


713: ちょっと小ネタ ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 12:50:46.61 ID:iOzxaF5AO

【タワー】

後輩メイド 「ぐぬぬ……」 プルプル…

トランプ < オジョウチャンオチツケ

後輩メイド 「……っと!」 トン

 パタパタパタッ

トランプ < アーッ!

後輩メイド 「あぅ……難しいッス」 ションボリアン

男 (耳がへにゃってなってかわええ……) ナデナデ

側近 「男さんこーちゃん!」

後輩メイド 「うぃ? ――にょぉう!?」 ビクッ

男 「どうし――うおう!?」 ビクッ

そびえ立つトランプタワー < ドヤァ!!

側近 「五十段ですよ!五十段!」

後輩メイド 「怖ぁっ!!」 ゴーン

男 「やりすぎだよ!?」 ガビーン


714: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 12:56:19.87 ID:iOzxaF5AO
暑いよー……休みもないよー……

メイドさんは一般的な魔人ですの
大昔に人間から魔族化した人の末裔にあたります

ちなみに魔王の両親は純血種でこの時代では珍しい部類だったりします。

715: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:14:28.12 ID:iOzxaF5AO


【魔ノ国の夏】


東の使者A 「暑い」 グダー...

東の使者B 「資料の上で伸びないでよ……」

東の使者A 「どーせもう棚の奥でカビが生えるまでしまいっぱなしになるんだからいいっしょー」 ダラーン

東の使者B 「何かあった時に困ってもしらないよ?」

東の使者A 「その時は管理責任をあんたに押し付けるから問題なし」

東の使者B 「ちょっ!?」 ガビーン


716: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:15:57.70 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「にしてもあっついわ……。

 カラッとしてるから本国よか楽だけど」 バサバサ

東の使者B 「スカートをバサバサやらない!」

東の使者A 「あによ、照れてんの? うわキモッ」

東の使者B 「はしたないっつってんの!」

東の使者A 「B」

東の使者B 「何?」 イライラ

東の使者A 「暑い……」 コテッ

東の使者B 「」 ズルッ

東の使者B 「…………ソウデスネ」 ハァ...


717: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:18:11.98 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「なんとかならないかしら」

東の使者B 「側近さんにでも冷やしてもらったら?」

東の使者A 「氷漬けになれと申すか」

東の使者B 「そこまでは言ってない」

東の使者A 「クーラーが恋しい……せめて扇風機があればなぁ……」

東の使者B 「電源がないでしょ。そもそも持ち込み禁止だし」

東の使者A 「本国の連中が羨ましいわ……」

東の使者B 「向こうは蒸し暑いけどね」

東の使者A 「理想の環境はないというのか……」


718: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:20:13.86 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「海行きたーい」

東の使者B 「そんな時間ないでしょ」

東の使者A 「じゃあせめてプール」

東の使者B 「プールかぁ……」

東の使者B 「そういえばその手の施設ってあるのかな」

東の使者A 「プールはないみたいよ? つか、大体川で涼んでるんだってさ」

東の使者B 「ないの知ってて言ったのね……川とかなんか生臭そう」

東の使者A 「たまに魚も穫れるとか」

東の使者B 「ワイルドだなぁ」


719: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:21:00.06 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「閃いた」 ピコーン

東の使者B 「ん?」

東の使者A 「ちょっと男君のとこ行ってくる」 スタスタスタ

東の使者B 「えっ、ちょ、仕事は!?」

東の使者A 「任せた~」 ガチャ パタン

東の使者B 「ええええええ!?」


720: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:21:55.82 ID:iOzxaF5AO

東の使者B 「なんて身勝手なんだ……」 ボーゼン...

東の使者B 「まあ途中からだからマシかなぁ」

東の使者B 「…………」

東の使者B 「手付かず……だと……」 ガクガクブルブル


721: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:23:24.39 ID:iOzxaF5AO

男 「魔導式自動冷房機?」 パタパタ

東の使者A 「そ。名付けてマジカルクーラー!」 キリッ

男 「名付けなくていいです。

 っていうかその手の機械は一応ロストテクノロジー扱いになってるんだけど」 パタパタ

東の使者A 「ないものは創ればいいのよ!」 カッ

男 「……一理あるか」 パタパタ


722: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:24:34.12 ID:iOzxaF5AO

側近 「それあればすずしくなりますか……?」 グッタリ

男 「今みたいにダウンする事は少なくなるかな」 パタパタ

東の使者A 「ありゃ、熱中症かい?」

側近 「いえ、暑いの苦手で……」

男 「側近さんは雪国育ちだしね」 パタパタ

東の使者A (膝枕とか羨ましい……)


723: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:26:01.01 ID:iOzxaF5AO

後輩メイド 「そーちゃん、氷貰ってきたッスよ」 ヨッ

山盛りの氷 < ヒヤスゼー、超ヒヤスゼー

男 「多いな」 パタパタ

後輩メイド 「余ったらかじるッス」

東の使者A 「! その手があったか」 ピコーン

側近 「?」

男 「また何か思い付いたのか?」

東の使者A 「おうよ! ちょっと待っててね~」 タタタタタ...

後輩メイド 「元気ッスねー」


724: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:27:30.60 ID:iOzxaF5AO

男 「わんこ、メイドさん呼んできてくれるか?」 氷ペトー

後輩メイド 「はいッス」 タタタタタ...

側近 「こーちゃんも負けず劣らずですよね」 ヒエヒエー

男 「俺とわんこは農家育ちだから」 ツイデニパタパタ

側近 「あー」 ハフゥ...

男 「炎天下での作業とか慣れてるし」

側近 「考えただけで汗が出そうです……」


725: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:29:06.59 ID:iOzxaF5AO

メイド 「お呼びですか?」

男 「この書類に目を通してもらえます?
 使者Aさんが持ってきたんですけど」

メイド 「はい。……はあ、冷房機、ですか」

男 「研究所のほうに回してくれればいいから」

メイド 「かしこまりました」


726: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:31:50.46 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「たっだいまー!」

後輩メイド 「ただいまッス~」

東の使者A 「おりょ、メイドちんオイッス」 ィョゥ

メイド 「あらあら、使者Aさんはお元気ですわね」

東の使者A 「東のAさんは元気が取り柄さ!」 ビシッ

東の使者A 「それはさておき、わんちゃん例のブツを!」 シュバッ

後輩メイド 「はいッス」


硝子皿 < チワーッス

下ろし金 < ドウモー

果実シロップ < ウーッス


男 「? そんなもん持ってきてどうするんだ?」


727: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:34:58.22 ID:iOzxaF5AO

東の使者A 「ふっふっふ……こうするのさ!」 ガシッ

氷塊 < エッ?

東の使者A 「おりゃりゃりゃりゃりゃあー―――~~っ!!」

 ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!

氷塊 < ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!

氷 < アアアアアアァァァァ...

かき氷 < シャラァーン

男 「……ああ、なるほど」

東の使者A 「やっべ、腕疲れた。男君後やって」 ホイ

男 「はいはい。わんこ、側近さん看てあげて」

後輩メイド 「おまかせあれッス!」 ビシッ


728: ◆TctB4xXhw6 2012/08/02(木) 22:39:22.24 ID:iOzxaF5AO

 ・ ・ ・

東の使者A 「かき氷機もないとか、お姉さんびっくりだよ」 シャクシャク

男 「それで下ろし金か」 シャクシャク

側近 「生き返ります……はふぅ」 シャクシャク

メイド 「たまにはいいですわね」 シャクシャク

後輩メイド 「あ゙ーっ! きーんって! きーんって!」 ジタバタ

大賢者 「それもまた風情」 シャクシャク

東の使者A 「うひょぉう!? いつの間に……」 ビビッタ...

大賢者 「黙っておっただけでずっといたのじゃがの」 シャクシャク

男 「ソファの裏でのびてたんだよ」 シャクシャク

大賢者 「あそこは涼しいがちと空気が悪いの」 シャクシャク

側近 「普通そんなところに寝たりしませんよ」 シャクシャク

東の使者A 「うーむ、まだまだ行動が読めないぜぃ……」 シャクシャク


733: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:20:59.59 ID:5ONUyMnAO

 ~翌日~

メイド 「試作機が届きましたわ」

男 「早っ! 昨日の今日ですよ?」

メイド 「研究所の方々も今年の暑さには参ってらっしゃるようで」

男 「あぁ……渡りに舟ってことかな」

メイド 「それで、こちらで実際の使用に問題がないかテストして欲しいと」

男 「そこは丸投げなのか」

側近 「涼しくなるならなんでもいいです……」 ヘロヘロ

大賢者 「側近もへばっとるし良いのではないかの」

後輩メイド 「執務室は風通し悪いッスからねぇ」

男 「その内改築するか……」

メイド 「では試作機のほうをお持ち致しますね」


734: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:25:00.71 ID:5ONUyMnAO

東の使者A 「オイッスー。おろ、またみんな集まってんの?」

男 「ああ、ちょうどよかった。冷房の試作機ができたからこれから試すとこなんだ」

東の使者A 「早っ!」

後輩メイド 「反応があんちゃんと同じッスね」

メイド 「研究所のほうも暑さに参っているそうで」

東の使者A 「あーにゃるほど、渡りに舟だったわけね」

大賢者 「発言が男と丸被りじゃぞ」

東の使者A 「なんと」


735: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:28:01.98 ID:5ONUyMnAO

メイド 「こちらがその試作機です」 ゴロゴロ

扇風機っぽいもの < ア、ドモドモ
謎の小箱 < ククク...

東の使者A 「扇風機っぽいやつはわかるけど……何そのちっさい箱」

メイド 「ええと……この箱とこちらの装置を繋げば冷たい風が出る、ということのようですわね」 ゴソゴソ

東の使者A 「なにその謎技術」

男 「東の国のは違うのか?」

東の使者A 「全然冷えない冷風扇っていうのとかはあるけど、クーラーはもっとでっかいよ。
 部屋の外に排熱装置も必要だし」

男 「へー」

大賢者 「効力はどんなもんなんじゃろうかの」

メイド 「今説明書を読み上げますわ」


736: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:31:22.82 ID:5ONUyMnAO

メイド 「『~超強力!魔導フリーザーのススメ~』」

男 「ネーミングが酷い」

東の使者A 「私がマジカルクーラーって名前つけたじゃんかよー!」 ブーブー

大賢者 「どうでもええじゃろ……」

メイド 「えー、

『魔導フリーザーは回転するプロペラの外輪から凍結魔法を展開し、
 通過するものを問答無用で凍り付かせるスゴいヤツ!

 これで貴方のお宅も真冬に逆戻り!』

 ……だそうです」

男 「いやダメだろ」

側近 「いきなり真冬はちょっと……」

後輩メイド 「なんかバカっぽい煽りッスね」

大賢者 「製作者のセンスが疑われるの」


737: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:35:29.63 ID:5ONUyMnAO

東の使者A 「出力の設定とかはあるの?」

メイド 「小箱背面のツマミで調整、とありますね。
 風量と冷却力の二つです」

側近 「動力はどうするんでしょう」

メイド 「『アクアジェムとウインドジェムを一つずつ放り込んでスイッチオン!
 内部の魔法陣が起動して後は勝手に冷やします!』だそうです」

男 「なんかアバウトだな……」

後輩メイド 「ジェムなら自分が持ってるッス」 ジャラジャラ

東の使者A 「どっから出したのそれ」

後輩メイド 「乙女の秘密ッス」

男 「とりあえず動かしてみるか」

メイド 「かしこまりました。出力は」

男側後使 「「「「最大で」」」」 アツイシ


738: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:39:09.93 ID:5ONUyMnAO

 ポイッ ポイッ ―カタン

 フイイィィィ...

東の使者A 「おお、機械っぽい音が」

プロペラ < クルクルクルクル...

メイド 「プロペラ部分が回り出しましたね」

後輩メイド 「あー、いいかんじに風が」


プロペラ < ――ギュイイイイイイイイイ!!

 ゴオオオオオオオオオ!!


男 「うおぅっ!?」 ボウフウ!?

側近 「ああっ、書類がっ!」

東の使者A 「ちょ、風強すぎ!」

大賢者 「メイド! 止めろ!」

メイド 「はっ、はい!」 カチッ

プロペラ < ヒュオォォォン...

後輩メイド 「」 ポカーン


739: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:42:36.74 ID:5ONUyMnAO

東の使者A 「びっ…………くりしたぁ、どんだけハイパワーさ」

側近 「一瞬で部屋が滅茶苦茶に……」

後輩メイド 「片付けるッス」

男 「あービビった。風の威力は下げたほうがいいね」

メイド 「そうですわね。では最弱から調整していきましょう」

東の使者A 「ちゅーか、冷静に考えたら弱いのから上げてったほうがいいに決まってるよね」

後輩メイド 「そうッスねぇ」

大賢者 「暑いからと早まったの」


740: ◆TctB4xXhw6 2012/08/03(金) 21:45:56.44 ID:5ONUyMnAO

メイド 「……あら」 グッグッ

東の使者A 「なした?」

メイド 「冷却力側のツマミが動かなくなってしまいました」

ツマミ < 無理スルト折レルゼ

大賢者 「故障かの?」

男 「試作品だしなぁ」

後輩メイド 「要報告ッスね」 メモメモ

メイド 「ひとまず風量で調整してみましょう」 カチッ

 フイイィィィ...

プロペラ < クルクルクルクル...

側近 「今度は大丈夫でしょうか……」

プロペラ < ブ――――……ン...

東の使者A 「あー、いい感じいい感じ」


744: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 20:44:30.99 ID:gaeFgGiAO

 ブ――――……ン...

側近 「いい感じに冷やっこいですねー」 アー…

東の使者A 「これってどうやって回ってんのかな。
 モーターじゃないんっしょ?」

男 「んー……」 キィ―ン...

男 「内部で風の魔法が循環してるな。
 風車の要領で、ギアを使って間接的に回転させてるんじゃないか?」

側近 「そんなのも見えるんですか。
 男さんの魔眼って凄いですね」

大賢者 「ふっふっふ、何せワシの特別製じゃからの」 フフン


745: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 20:54:15.53 ID:gaeFgGiAO

東の使者A 「でもそれ直接風出したほうが早くない?」

男 「それだとエネルギーロスが大きいんだよ。

 桶に入れた水を回すのと、減らない水を掻き出し続けるのとなら、回すだけのほうが楽だろ?」

東の使者A 「わかるようなわかんないような……」

後輩メイド 「ふむふむ」 メモメモ

側近 「なるほど」

メイド 「お二人はわかったみたいですね」

東の使者A 「何この敗北感」

男 「凍結魔法も周囲に拡散させずに条件付けして発動させてるから、
 消費してる魔力もそれ程大きくないみたいだな」

後輩メイド 「どんな条件付けッスか?」

男 「さっきの説明にもあったろ?

 プロペラの後ろから前に通っていくものに反応して、瞬間的に凍結魔法を起動してるんだ。
 だからプロペラ自体は凍らないで空気だけが凍るわけ。

 正確には空気中の微粒子がマイナス温度まで瞬間冷却されて……」 ドータラコータラ

側近 「それじゃあ例えば――」 コレコレシカジカ

男 「その場合は――で――から――」 シカクイムーヴ

東の使者A 「……何故か魔法談義に発展してしまったでござる」 ツイテケナイ


746: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:02:06.70 ID:gaeFgGiAO

 ブ――――……ン

大賢者 「ふむ。確かに風の来る辺りは冷えとるが、周りはちとイマイチじゃの」

メイド 「少し風量を上げてみましょうか」

東の使者A 「あ、ちょっと待って」 ヨッ

メイド 「? 正面に座って何を?」

東の使者A 「ふぇっふぇっふぇっ、東の国には扇風機にまつわる伝統的な遊びがあるんじゃよ」 ニヤリ

側近 「遊びですか?」

東の使者A 「こうやるのさ」

東の使者A 「あ゙ー―――――……」 ア゙―…

後輩メイド 「おおっ?」

男 「声が変わったな。いや濁った、か?」

東の使者A 「扇風機を見たらこれをやるのが大人のマナーです」 キリッ

側近 「マナーなんですか!?」 ナントッ

大賢者 「本気にすな」 ビシッ

東の使者A 「ヷ レ゙ ヷ レ゙ バ ヴ ヂュ ヴ ジ ン゙ ダ 」

男 「いや何言ってんのお前」


747: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:06:28.66 ID:gaeFgGiAO

後輩メイド 「自分も! 自分もやるッス!」 キラキラパタパタ

東の使者A 「よ゙じぎだ!」 カムヒア!

男 「聞き取り辛っ!」

後輩メイド 「わ゙ん゙! お゙お゙ーっ!」 ブンブン←尻尾超振ってる

側近 「あっ、私もやってみていいですか?」

大賢者 「面白いの。ワシもやろう」

メイド 「あらあら」

東の使者A 「ふっふっふ、魔族も虜にするとは流石扇風機! 世紀の発明よ!」 フハハハハァ!

男 「……遊んでる間にちょろっと魔法陣でも書いとくか」 ヨッコイショウイチ


748: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:10:55.84 ID:gaeFgGiAO

男 「部屋の四隅と……あと入口から窓に向けてかな」 カリカリ

メイド 「何の魔法陣ですか?」

男 「風の魔法をね。
 ちょうどいい見本が見られたし、気流の操作もできそうだから」 シャッ、シャッ

男 「俺の魔力で勝手に風が流れるよう、に……っと」 カリカリ シャッ

男 「メイドさん、これ天井か壁にでも貼り付けといて」

メイド 「かしこまりました」

簡易魔法陣 < ヨロシク頼ムゼ姉チャン

大賢者 「ぞゔい゙え゙ばがぜの゙ま゙ぼゔばみ゙ぜでお゙ら゙な゙ん゙だの゙」

男 「普通に喋って下さい、聞き取れません」

側近 「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙」

東の使者A 「あはははははははは! うはははははははは!!」 ゲラゲラ

男 「笑いすぎだろ……大丈夫かお前……」


749: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:13:27.38 ID:gaeFgGiAO

メイド 「貼り終えましたわ」

男 「ん。そしたら魔導クーラーを端に持っていって」 ハイミンナドイテー

後輩メイド 「魔導フリーザーッス」

東の使者A 「NO! マジカルクーラーだよ!」 カッ

大賢者 「なんでもええわい」

男 「この辺かな。風量上げるよ」

側近 「はい」

プロペラ < ブゥゥゥゥゥ――――…ン...

男 「で、俺の魔法を『起動』っと」 キィィ―…ン...

簡易魔法陣 < イクゼ、ダチコウ!

風 < ソヨソヨ、ソヨソヨ

東の使者A 「おぉう、室内に気流が」


750: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:16:00.17 ID:gaeFgGiAO

男 「これでしばらくすれば全体的に冷えるだろ」 ヨシ

後輩メイド 「これも要報告ッスね」 メモメモ

男 「ただ、今は俺の魔力使ってるから俺がいなくなると風も止まるけどな。
 風の調整も俺がやってるし」

側近 「そうなると、自律的に調整しながら気流を起こす装置が必要になりますね」

後輩メイド 「ふむふむ」 メモメモ

東の使者A 「わんちゃんマメだねぇ」

後輩メイド 「何事も積み重ねが大事ッスよ」

東の使者A 「やべえ、耳が痛い」


751: ◆TctB4xXhw6 2012/08/04(土) 21:19:23.12 ID:gaeFgGiAO

メイド 「後は様子見でしょうか」

男 「ですね。ひとまず仕事しましょうか」

側近 「……の前に掃除からですね」

男 「だなぁ……」

東の使者A 「頑張れ若人~」 ソファニゴロン

大賢者 「おぬし手伝う気皆無じゃな」 オナジクゴロン

東の使者A 「大ちゃんこそ~」

大賢者 「大ちゃん!?」

男 「大ちゃん!?」

側近 「大ちゃん!?」

メイド 「まあ……」

東の使者A 「え、なんかおかしいこと言った……?」

後輩メイド 「さすがにその呼び方はねーッスよ……」

東の使者A 「そげなアホな」


756: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:23:20.00 ID:cpX90H5AO

 ・ ・ ・

男 「側近さん、こっちの予算多すぎじゃない?」

側近 「どれですか? あれ、計算間違ってますね。すみません直します」

後輩メイド 「あんちゃんお茶ッス」

男 「さんきゅ。メイドさんそっちの資料取って」

メイド 「どうぞ」

男 「どうも。んー、これはOKっと」

側近 「こちらも確認お願いします」

男 「ほいほい」

東の使者A 「月見酒! ……でもってこいこい!」

大賢者 「甘いの。猪鹿蝶じゃ」

東の使者A 「ノォウ!?」

男 「静かに遊んでくれませんかね」


757: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:25:22.14 ID:cpX90H5AO

東の使者A 「あー、それにしても快適だわぁ」 ノビーッ

大賢者 「じゃのう」 ダラダラ

側近 「仕事しやすくて助かります」

後輩メイド 「でも外に出ると暑いッスよ」 バサバサ

男 「こらこら、スカート捲らない」

後輩メイド 「見るッス?」

男 「やめなさい」

東の使者A 「堅いねぇ」

男 「はしたないでしょ」

東の使者A 「Bと同じことを申すか」


758: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:26:45.90 ID:cpX90H5AO

メイド 「ん……」 ブルッ

側近 「どうしました?」

メイド 「いえ、少し冷えすぎではないかと」

男 「風量下げていいですよ。充分冷えてますし」

メイド 「では失礼します」

メイド 「……あら」 グッ

東の使者A 「なした?」

メイド 「……ツマミが下がりませんわ」


759: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:30:30.93 ID:cpX90H5AO

大賢者 「また故障かの?」

男 「やけに壊れやすいな……ならこっちで調節するか。わんこ、窓開けてくれ」

後輩メイド 「はいッス」 テッテッテ...

 ガラッ

魔導フリーザー < ム、ネッキ!!

 ヒュォォォォォ…

東の使者A 「うっ」 ゾクッ

東の使者A 「ねえ、なんか冷気強まってない?」

後輩メイド 「そうッスか?」

男 「少し外気を入れてみるよ」 アブラカタブラ~


760: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:33:47.62 ID:cpX90H5AO

 ヒュォォォォォォォォォ…!

大賢者 「……これは」

メイド 「明らかに強まってますわね……」

男 「……わんこ、ドアのほうも開けてくれ」

後輩メイド 「はいッス」

 ガラッ

 ――ビュォォォォォォォォォ!

東の使者A 「寒っ!」

大賢者 「ますます威力が上がったの……」

側近 「これまずくないですか?」

男 「メイドさん、説明書貸して下さい」

メイド 「どうぞ」


761: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:37:13.55 ID:cpX90H5AO

 ヒュンッ ――コッ

東の使者A 「あだっ! なんか飛んできた!」

側近 「へ?」

 ヒュンッ ヒュンッ ――コッ コッ

東の使者A 「た! 痛っ、ちょ何これ!?」 イタイイタイ!

後輩メイド 「ほっ!」 パシッ

後輩メイド 「――これ、氷ッスね」

メイド 「……」

大賢者 「……」

側近 「……」

((( もしかしなくても、ヤバい? )))

大賢者 「男! はようせい!」

男 「待って下さい……これか?」 パラパラ...


762: ◆TctB4xXhw6 2012/08/06(月) 21:39:59.81 ID:cpX90H5AO

『超便利!温度感知術式搭載!(未完成)

 貴方のお部屋の暑い場所を狙って無慈悲なる徹底冷却!

 さらに、広域冷却モード搭載!

 最大出力なら半径五十メートルをわずか三十分で永久凍土に!

 ※ 迷惑ですので屋外での使用はご遠慮下さい。※』


男 「」

東の使者A 「パネェ……」

後輩メイド 「あ、追記があるッス」


『追記…

 この試作機の感知術式はテスト段階です。

 有効範囲内で温度の上昇を感知すると、自動的に広域冷却モードに移行します。

 危険ですので使用時に窓を開けないようにお願いします。』


側近 「」

大賢者 「」

メイド 「あらあら……」

東の使者A 「やっべえ」

男 「――わんこ、窓閉めろ!」

後輩メイド 「はいッス!」


764: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:06:34.27 ID:JoMqDlYAO

後輩メイド 「……あんちゃんあんちゃん」

男 「どうしたわんこ」

後輩メイド 「窓が凍って閉まらないッス」

東の使者A 「(゚Д゚)」

男 「なん……だと……」

大賢者 「くっ、こうなればワシの火炎魔法で!」
側近 「わああストップストップです! そんなことしたら出力上がっちゃいますって!」

 ビュオオォォォォォ...!

メイド 「気のせいか風量も上がってきていますわね……」

後輩メイド 「気のせいじゃないと思うッス」

東の使者A 「誰だこんな駄機能付けた奴はぁ!」

男 「これ以上風が強くなるとさすがに制御できないぞ……」


765: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:17:43.92 ID:JoMqDlYAO

 ビュオオォォォォォ…ッ!

東の使者A 「さささ寒い寒い寒い寒い寒い寒い!!」 ブルブルブル...

簡易魔法陣 < ゲンカイダーッ!!

 ――ベリッ ビリビリッ

竹 間易 麻 鬼 法陣 < アッ…

男 「簡易魔法陣が壊れた!」

東の使者A 「状況悪化ァ!!」 ガタガタガタ...

大賢者 「一向に勢いが治まらんぞ……!」

後輩メイド 「窓に氷柱が出来てるッスね」

メイド 「」 ガチガチガチ...

側近 「男さん、メイドさんが限界です!」

男 「ああもう仕方ない、カーテンに発熱の魔法陣を描いて……メイドさんこれ被ってて下さい」

メイド 「」 コクコク ガタガタ...

後輩メイド 「カーテンがあって良かったッスね」

東の使者A 「てか君らなんで平気なん!?」

男側わ 「「「慣れです(ッス)よ、慣れ」」」

東の使者A 「冬場はおこたにハマってたくせに……!」

男 「それはそれ、これはこれ」

側近 「実のところ耐寒魔法かけてるだけなんですけどね」

後輩メイド 「自分にしかかけられないから使い勝手がイマイチッス」

大賢者 「おお、その手があったか」 ハッ

東の使者A 「おのれ魔術師!!」

男 「というか先生は普通に自分で気付いて下さい」

大賢者 「あーあー聞こえぬなあ!」


766: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:32:22.46 ID:JoMqDlYAO

メイド 「助かりましたわ……」 ブルブル...

東の使者A 「私を後回しにしたことを一生根に持ってやる……」 ガタガタ...

男 「いやあ、でもこれ問題があるんだよ」

男 「要は俺達の周囲だけ高温になるわけだから」

魔導フリーザー < ヒャッハー!!

 ビュヒュオオォォォォォォォォォ!!

男 「冷やそうとして、ますます冷気が強くなるんだよね」 アー、ツメタイ

東の使者A 「アカンがな!」 ツメタイッテレベルジャネーゾ!

メイド 「なら、一度室外に……きゃっ!」 ツルッ

床 < カチンコチンデスノ

男 「危ない!」 パシッ

男 「――って、うおう!?」 ツルルッ

後輩メイド 「あんちゃん!」 ガシッ

後輩メイド 「うきゃあ!」 ツルツルッ

 ズテーン!!

側近 「足下がカチコチに……」

東の使者A 「だ、大丈夫?」

 ふよんふよん

男 「……なんか柔らかいです」

メイド 「」

メイド 「――――~~ッ!!」 カアァッ

男 「落ち着いてメイドさんこれ不可抗力! わんこ早く退いて!」

後輩メイド 「あいやはらやはー……」 グルグルグル

男 「」 ピーンチ

メイド 「――」


 ぶちっ


メイド 「――このド変態がああああああああ!!」

  奥 義 !
   メ イ ド ア ッ パ ー !


 ドゴオオォン!!

男 「ばぐんっ!」 アゴガッ!!

側近 「男さー―――ん!?」

大賢者 「床が歩けぬなら壁を伝って……冷たぁっ!?」


767: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:42:35.28 ID:JoMqDlYAO

男 「……OK、一旦落ち着こう」 カクカク

大賢者 「馬鹿やっとる間に窓が氷で塞がりよったぞ」

東の使者A 「これはいよいよピンチなのでは……」

男 「仕方ない……こうなったら本体をぶっ壊す!」

東の使者A 「うん、初めからそうすればよかったよね」

メイド 「試作品ですから、なるべくなら原型を保ったままでお返しするべきなのですが」

男 「そうも言ってられないからね……みんなちょっと離れてて」 鉈用意

側近 「はい」
後輩メイド 「ラジャーッス」

男 「せーの」


  必 殺 !
   農 家 ・ 唐 竹 割 り !


 ――パキイン

男 「…………」

男 「鉈が折れた」

東の使者A 「」

男 「接触した途端に凍結粉砕したぞ……」

大賢者 「とんでもない威力じゃの……」

メイド 「直に触れたら氏んでましたわね……」


768: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:46:34.98 ID:JoMqDlYAO

東の使者A 「てかいよいよそこら中凍りついてきてるんだけど!?」

側近 「故郷のお城を思い出しますねぇ……」

男 「だなぁ」

大賢者 「呑気に言うとる場合かっ!」

メイド 「このままでは建物自体も危ないですわね……」

側近 「……修繕費は研究所に請求しましょう」

男 「! そうだ!」

男 「わんこ、造形魔法であの機械丸ごと封じ込めろ!」

後輩メイド 「おおっ、了解ッス!」


769: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:54:19.64 ID:JoMqDlYAO

後輩メイド 「『リライト』!」 パアァァァ…!

石壁 < ニョキッ

魔導フリーザー < ッ! ナニヤツ!?

石壁 < サー、ドンドンシマッチャウカラネー(ズズ…

魔導フリーザー < ナッ、チョ、ヤメ…

魔導フリーザーin石箱 < アッー!

男 「よし、これで」

魔導フリーザーin石箱 < ナンテナァ! アマイゼboy!

 ピキーン!

大賢者 「囲った石が一瞬で凍りよった!?」

東の使者A 「もうわけわかんねえええぇぇぇぇぇぇ!!」

男 「わんこ、もう一回だ!」

後輩メイド 「『リライト』!」 パアァァァ…!

魔フリin石箱in石箱 < ヌワー!

側近 「今度こそ……」

 カキィーン!

魔フリin石箱in石箱 < マダマダァ!

側近 「ええええええ!?」

男 「くそっ、もう一回だ!」


770: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 22:57:38.26 ID:JoMqDlYAO

メイド 「…………」

メイド ハッ

メイド 「いけません! それ以上は――!」


床 < ピシッ


男 「あ」
側近 「い」
東の使者A 「う」
大賢者 「え」
後輩メイド 「お」

メイド 「……床が脆くなってしまいますわ」


 ピシッ! ビシビシビシビシッ!!

魔フリin石箱マトリョーシカ < モロイ床ト重イオレ、ドウナルトオモウ?


 ボコォッ!!


「「「「「……やっちまったァー―――(ッス)!!」」」」」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


771: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 23:04:56.27 ID:JoMqDlYAO


兵士B 「今日もあっちーなあおい」

兵士A 「わざわざ言わないでほしいな。余計暑苦しくなるし」

兵士B 「しかしこうも暑いとなぁ」

兵士A 「言いたくなる気持ちはわかるけど……」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

兵士B 「ん? 何の音だ?」


<ぎゃー! なんか降ってきたぁ!

<寒っ!? なんだこれ寒ぅう!!

<畜生、持っていかれた!

<いかん、落下の衝撃で石箱が…

<もう冷気どころか吹雪だよねこれ!

<魔王様あんた何してんだぁあ!!

<やかましい! さっさと避難しやがれ!!

<メディーック! メディイイー―――ック!!


兵士B 「……なんか後ろが騒がしいんだが」

兵士A 「見ない振りをしよう」

兵士B 「だな」

<なんじゃこりゃああああああああああ!!

兵士A 「……平和だねぇ」

兵士B 「全くだ」


772: ◆TctB4xXhw6 2012/08/07(火) 23:06:14.03 ID:JoMqDlYAO


 ミーンミンミンミンミー…

 ジョワジョワジョワジョワジョワ…

東の使者B カリカリ...カリカリ...


 チリーン... チリンチリーン...


東の使者B 「んー……、いい風だなぁ」

東の使者B 「やっぱり夏と言えば風鈴だよね」


 チリンチリーン... チリーン...



775: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:45:40.32 ID:fYZGwR5AO

 ~城下街 とある日~


『狐から魔女へ。目標を確認した、どうぞ』

『了解しましたわ。引き続き背景にとけ込みつつ監視を続行して下さい』

『こちら柴犬ッス。目標は喫茶店に入る模様ッス、どうぞ』

『こちら妖精。どうでもよいが何故わざわざ名前を隠すのじゃ』

『ノリですわ』

『左様か』

『狐から妖精へ。目標はそちらへ向かっている模様』

『む、わかった。監視交代じゃな』


776: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:47:50.43 ID:fYZGwR5AO

 カランカラーン

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

男 「二人、禁煙席で」

「かしこまりました。お席のほう御案内させていただきます」

側近 「結構空いてますね」

男 「いい時間だったみたいだね」


「御注文決まりましたらお呼び下さい」

男 「どうも。……接客丁寧だなぁ」

側近 「普通じゃないですか?」

男 「聖都はすごい雑だったからなぁ……」

側近 「はぁ」

男 「客がいるのにホールからスタッフが消えたりするからね」

側近 「営業中なのにですか?」

男 「営業中なのにですよ」


777: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:48:43.46 ID:fYZGwR5AO

男 「なにより料理が不味いのが耐えられなかった」

側近 「あ、それよく聞きますけど、そんなにひどいんですか?」

男 「根底に食べられれば十分って考えが根付いてるみたいで……」

側近 「それはまた随分おざなりな……」

男 「その点こっちに来てからは食への不満はなくなったかな」

側近 「でも確か、三十年ほど前まではこちらも大変だったみたいですよ」

男 「そうなの?」

側近 「はい。それで、騎士団長さんが各地を耕して回ってなんとかしたそうです」

男 「耕して?」

側近 「耕して」


778: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:50:34.16 ID:fYZGwR5AO

『何やらメニューを見ながら雑談しておるの』

『なかなか決まらないみたいッスねー』

『こちら狐。あんパンとミルクを確保した、どうぞ』

『あら、おごりですか?』

『いや払えよ』

『ケチですわね』

『あ、自分も欲しいッス』

『なにしとるんじゃお主ら……む、店員を呼んだようじゃの』


779: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:51:17.05 ID:fYZGwR5AO

『ふぁにをひゅうもんひはっふは?』

『狐から柴犬へ。飲み込んでから喋れ』

『うぃ』

『むむ……「らぶらぶじゃんぼぱへせっと」じゃと?』

『(ガタッ、ガシャーン!)』

『魔女から妖精へ!録画を!録画の準備を!!』

『狐から魔女へ。うるさい』

『あーんする気ッスかね?』

『あああズルいですわ!私もしたいくらいですのに!』

『やかましいのぅ……』


780: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:52:28.25 ID:fYZGwR5AO

「お待たせしました。ラブラブジャンボパフェとホットコーヒー、ミルクティーになります」

男 「どうも」

側近 「お、大きすぎません?」

男 「二人で食べるならちょうどいいんじゃないかな?」

側近 「そうでしょうか……」

男 「食べきれなければ俺がなんとかするし。はい側近さん、あーん」

側近 「ふぇ!?」


781: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 21:54:38.19 ID:fYZGwR5AO

『おおっ、あんちゃんのほうから行ったッスよ!』

『こちら狐。あのスケコマシ、ごく自然にやりやがったわね』

『録画は!? 録画はどうなっていますの!?』

『ちゃんとやっとるからちと黙れ』

『てひひ、そーちゃん真っ赤になってかわいいッスね~』

『こちら狐。あんたら側近ちゃん好きだなオイ』

『大好きッスよ?』

『あの魅力がわからない人は男じゃありませんわ!』

『いや私もアンタも女だよ』

『言い合っとる間にあーん合戦になっとるぞ』

『(どばっ)』

『ぴっ!? こ、こちら柴犬! 魔女が鼻血噴いて倒れたッス!』

『はいはい、急患一名入りまーすっと』

『何をやっとるんじゃ、全く……』


782: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 22:00:08.60 ID:fYZGwR5AO

側近 「うぅ……ひどい辱めを受けた気分です……」

男 「いやぁ、だってスプーン一つしかなかったからこういうことかなぁと」

側近 「だからってしれっとやらないで下さいよ。誰かに見られてたらと思うと……」

男 「あーん」

側近 「あむ」

男 「言う割に素直に食べるよね」

側近 「もっふぁいらいららいへふは」

男 「うん、飲み込んでから喋ろうか」


783: ◆TctB4xXhw6 2012/08/10(金) 22:08:22.54 ID:fYZGwR5AO

側近 「んく……ふぅ。でもいいんでしょうか、こんな急に休みなんて」

男 「メイドさんがわざわざ取り計らってくれたんだし、無碍にするのも失礼でしょ」

側近 「そういうものですか?」

男 「そういうものですよ」

男 「それに、なんだかんだで城下街を見回る暇もなかったからちょうどいいし」

側近 「あぁ……確かにそうですね」

男 「というわけで案内は宜しくお願いします」

側近 「ふふっ、はい。任せて下さい!」

男 「それじゃ、まずはゆっくり地図でも眺めようか」

側近 「すぐにでも案内できますよ?」

男 「まあまあ。急がずにのんびり行こうよ」

男 「せっかくのデートなんだから」


793: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:20:59.22 ID:0g8pFxPT0

【休日 メイドさんの場合】


 チュンチュン チュンチュン …

メイド「んー……」モゾモゾ...

メイド「――はっ! 朝!」ガバッ

メイド「うわっ、時間! 遅刻!?」バタバタバタ...

メイド「ああもう! 何で今日に限って寝坊なんて……」ドタドタドタ...

メイド「…………」ピタッ

メイド「……あ、そっか休みなんだった」ハッ



794: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:22:04.72 ID:0g8pFxPT0

メイド「顔よし、髪よし、服よし。さて……」


無数の酒瓶(空) < ゴローン

脱ぎ散らかした服 < グシャグシャァ

蹴飛ばした毛布 < フンモッフ

ツマミの残骸 < ヤレヤレダゼ…

詳細不明のゴミの山 < カタヅケヨウゼ、アネサン…


メイド「……あー、めんどくさっ」ハァ...

メイド「ハウスキーパー雇おうかしら……いやでもメイドの沽券に関わるわね……」

 ※既にそんな次元じゃない

メイド「そもそも前片付けたのいつだったかしら」

メイド「……独り言増えたなぁ」

メイド「それもこれもバカ魔王のせいね。帰ってきたらコキ使ってやる」ブツブツ

 ※理不尽



795: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:23:09.31 ID:0g8pFxPT0

メイド「はぁああ……たまの休みだしゆっくり羽を伸ばしたいけど……」

メイド「…………」

メイド「止めた、掃除屋呼びましょ。ええと、通信機は……と」ガサガサ


  ・ ・ ・


女医「それで昼間っからウチに来た理由は? こっちも休みたいんだけど」

メイド「あんたの部屋綺麗なんだもの。はぁー……、だるっ」

女医「……普段の猫被りからは想像もできないわね」

メイド「ちゃんとしてないとメイド長が煩いのよねぇ。こちとら育ちの悪さは筋金入りだっつの」

女医「筋金入りの使い方間違ってない? ほらコーヒー」

メイド「さんきゅ。……あー、やっぱ美味いわ」

女医「そりゃどうも」



796: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:24:02.55 ID:0g8pFxPT0

メイド「ぶっちゃけるともー、正直メイドの代表やるのめんどい」

女医「またえらいぶっちゃけたわね」

メイド「愛想振りまくの苦手なのよ。世話焼くのは好きなんだけど」

メイド「四六時中他人の目があるってのがどうにもね」ダラー…

女医「もういっそ地で行けば? メイド長もじきに引退だし、そうなれば次はどうせあんたでしょ」

女医「早めにカミングアウトした方が楽だと思うけど?」

メイド「それはなんか嫌」

女医「ああ、そう……」



797: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:24:51.50 ID:0g8pFxPT0

メイド「これでもプライドはあるのよ。私が地を見せられるのは家族とあんたとバカ魔王だけね」

女医「また薄っぺらなプライドねぇ」

メイド「息抜きも必要だもの……ふぁ……ふ」

女医「何、眠いの?」

メイド「んー……、新体制に向けて兵士長とか男さんと使者Aさんとかで遅くまで話し合いしてて……」

メイド「山場を越えれば一気に仕事量が減るから、今は頑張り所なんだけど……」ウトウト…

女医「返事になってないし。ほんと疲れてるみたいね」

メイド「んー……ごめんちょっとだけ寝る……」ウツラウツラ

女医「ああほら、床で寝るなってベッド貸すから」

メイド「うん……」フラフラ ドサッ

メイド「………………ぐぅ」スピー…

女医「あらら……」



798: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:25:52.17 ID:0g8pFxPT0

  ・ ・ ・

メイド「朝です」

女医「いや夕方だけど」

メイド「言ってみただけですわ」

女医「あれ、猫被りモード?」

メイド「気を抜きすぎるとうっかり人前で地を出してしまうかもしれませんから」

女医「うへ、やっぱ気持ち悪い」ゲェ

メイド「あらあら、申し訳ありませんわ」

女医「それはそうと休めた? 寝覚めはいいみたいだけど」

メイド「ええ、ばっちりと。ありがとうございました」ペコリ

女医(違和感がハンパない……)



799: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:26:50.58 ID:0g8pFxPT0

女医「帰んの? 夕飯は?」

メイド「カフェテリアにでも寄っていきますわ。それでは失礼致します、また明日」

女医「はいよ」

 ガチャ パタン

女医「誤魔化ししてないで料理覚えればいいのに」

女医「…………」

女医「外で一服してこよ」


 ~翌日~

メイド「男様、側近様、おはようございます」

側近「おはようございまふ……ぁふ」クァ…

男「おはようございます。昨日は休めました?」

メイド「ええ、お陰様で。今お茶をお持ちしますね」ニコッ

女医「…………」ジー…

女医(猫被りもあそこまでいくと感心するわね……)



800: ◆TctB4xXhw6 2012/10/11(木) 19:30:38.12 ID:0g8pFxPT0
変なとこですがここまで
メイドさんの他人に見せない部分をちょっとだけお届けしました。

なんとなくですが、メイドさん的には猫かぶり状態もある意味で「素」のような気がします。なんとなくなのでよくわかりませんが
こんな大人の女性は嫌いですか? 俺は割と好きです

ちなみに女医は自室では吸わない主義
メイドさんにとっての数少ない対等な友達です

読み返したら男と対等くらいの女キャラは女医と使者Aだけだった、なんでだろ……

前回で続きを期待した方には申し訳ありません、デート経験のない俺には難易度がアンノウンでした
今後基本的には1回で1話区切る形にしていきます、たぶん、きっと

後書きとお知らせは以上です
では、また後ほど。


次レスはスレ内容と関わりない話なので反転。実は反転コマンド使ってみたかっただけですが。

803: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:26:32.34 ID:IY9sc0IX0

【休日 兵士A~Dの場合】


兵士B「休みっすか?」

兵士長「そだよん。特に君らほんと休まないから、これはむしろ命令~」

兵士A「予定の休みはちゃんと貰ってますけど……」

兵士長「うーん、まあその辺りはぶっちゃけ建て前でね」

兵士長「正門のほうの開閉で、自立制御魔導式の導入テストをしたいんだ」

兵士B「そらまたえらい今更っすね」

兵士長「いやー、それが開発依頼申請の書類が未提出になってて」アッハッハッハ

兵士A「そんなアホな……」

兵士長「十年もほったらかしになってたよ」

兵士A・B「「!?」」ガビーン



804: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:27:27.12 ID:IY9sc0IX0

 ~兵舎 兵士A~Dの部屋~

兵士C「……また随分間抜けな話だな」

兵士D「...zzZ」スピー

兵士A「つまり十年余計な仕事させられてたってことだよね」ゴゴゴゴゴゴ...

兵士B「顔怖ぇぞA。まあ今更だろうが仕事が減るならそのほうがありがたいけどな。ダルいし」

兵士C「つかセキュリティ大丈夫なのかそれ」

兵士B「その辺の兼ね合いもあるんだろ。にしても十年前の申請書類なんかよく出てきたなぁ」ダラー

兵士C「なんかこの間の半壊騒ぎん時に片付けてたら出たらしいぞ」

兵士B「原因はアレか……」



805: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:28:32.72 ID:IY9sc0IX0

兵士B「あー、にしても今日どうすっかねェ。急に休めっつわれてもなぁ」グデー

兵士A「考えてみたらやることないんだよね」

兵士C「いっそガッツリ寝るとか」

兵士B「んなDじゃあるめぇし」

兵士D「...zzZ」スカピー

兵士A「……前から疑問だったんだけど、Dって起きてる時間短くない?」

兵士B「……つーか殆ど見た覚えがねぇな」

兵士C「仕事中は一応起きてるぞ。一応な」イチオウ

兵士B「どんだけ寝るんだよ……」

兵士A「種族なんだったっけ」

兵士C「確かナイトメアじゃなかったか?」

兵士B「夢魔か。もしかして夜行性なのか?」

兵士C「いや、夜もガッツリ寝てるな……」

兵士A「えぇぇー……」

兵士D「...zzZ」スピー ヒュルルルル…



806: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:29:16.49 ID:IY9sc0IX0

兵士A「それでよく騎士仕えが務まってるね」

兵士C「よそなら確実にシバかれてると思う」ウン

兵士B「お前らんとこは温厚代表だもんなぁ」

兵士A「温厚って言ったら騎士Aさんじゃない?」

兵士C「いや、あの人はイケメンだがなんだかんだでかなり厳しい」

兵士B「イケメン関係あんのかそれ」

兵士C「なんか優しそうだけと厳しいっていうギャップが人気らしい」

兵士B「なんだそりゃ、意味わかんねぇ」



807: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:29:58.52 ID:IY9sc0IX0

兵士B「あ、つーかお前らは今日は仕事は?」

兵士C「あれ、言ってなかったか? 毎週この日は休みなんだよ」

兵士A「そうだったっけ?」

兵士C「まあそん代わし翌日は外回りだけどな」

兵士B「普通逆じゃねーのそれ」

兵士C「だよなぁ……」

兵士A「たまにヘトヘトになってるのってそれ?」

兵士C「おう。一日中馬に乗ってると流石に尻が痛くなるんだよなぁ……」

兵士B「……待った、その間Dはどうしてんだ?」

兵士C「起きてりゃ乗らせる。寝てりゃ荷台だな」

兵士B「行く意味あんのかそれ」

兵士C「たまにこいつ居ないと困るトラブルとかあるから、まあ一応な。一応」イチオウ



808: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:30:35.05 ID:IY9sc0IX0

兵士A「ごめんちょっと出掛けてくる」

兵士B「あん? なんか用事か?」

兵士A「用事じゃないけど、せっかくだし彼女のとこにね」

兵士C「」

兵士B「あー」

兵士C「What?」

兵士B「どうした間抜け面して」

兵士C「えっ、Aって彼女いたのか?」

兵士A「いるよそりゃあ……」

兵士B「もう三年だったか?」

兵士A「ううん、四年生だよ」

兵士B「おお、卒業間近か。早いもんだな」

兵士C「しかも学生かよ!?」ガビーン



809: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:31:47.41 ID:IY9sc0IX0

兵士A「学生っていっても魔術師学校の後輩だよ。もう成人してるし」

兵士C「意外だ……」

兵士A「失礼だなぁ」

兵士B「まあ一番意外なのはDが既婚者だってことだけどな」

兵士A・C「「は?」」

兵士B「あれ? 知らなかったのか?」

兵士C「ちょちょちょちょっと待て! 既婚!? 彼女とかじゃなくか!?」

兵士A「B、そういう嘘はどうかと思う」

兵士B「じゃあ証拠。Dの左手」

兵士D「...zzZ」スヤスヤ

結婚指輪 < アンマミナイデクダサイヨ

兵士C「」

兵士A「えぇー……?」ウソダァ…



810: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:32:31.54 ID:IY9sc0IX0

兵士D「...zzZ」スカー

兵士C「バカな……Dにすら女がいるだなんて……」ガタガタ

兵士B「つーか何度も顔合わせてるだろお前」

兵士C「!?」

兵士C「まっ、まさか騎士Bさんか!?」

兵士B「違う。お付きのメイドAのほうだ」

兵士C「メイドAちゃんだと!? そ、そんな……バカな…………ッ」ガクガク

兵士A「へぇー、じゃあ夫婦で騎士団に入ってるんだ」

兵士B「逆、逆。ここ来て知り合ったんだと」

兵士A「よくそんなの知ってるね」

兵士B「たまにDの様子訊かれるんだよ。あと夫婦の心得とか」

兵士A「アドバイスなんかできるの?」

兵士B「多少な。多少」チョットダケ



811: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:33:42.24 ID:IY9sc0IX0

兵士C「そ、それじゃあ、何か? この中で女性経験皆無なのって……」カタカタカタ

兵士B「まあお前だけだな」ウン

兵士A「もう行っていい? 時間なくなっちゃうし」

兵士C「待てええええい!!」

兵士A「何さ……」

兵士C「A……後生だ……!」バッ


兵士C「彼 女 の 友 達 紹 介 し て く れ !!」
 ズシャアアアアアア!!
※スライディング土下座


兵士A「ごめん、デブはちょっと」ムリ

兵士C「デブ!? えっ、俺デブ!? デブって俺!?」

兵士B「おいおいA、そんな」コラコラ



812: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:34:24.03 ID:IY9sc0IX0

兵士B「本当のこと言うなよ」ダメダゾー

兵士C「俺デブなの!? デブだと思われてんの俺!?」
 ガーン ガーン ガーン …(エコー

兵士A「もう行っていい?」

兵士C「待った! デブは否定してけ!」

兵士A「否定する要素はどこに?」

兵士C「いやいやよく見ろよほら!」


兵士C「この引き締まった腕!」

兵士B「ラリアット得意そうだな」

兵士C「男らしさ溢れる顔!」

兵士A「常に笑ってるみたいな造りだけど」

兵士C「鍛え上げられた体!!」

兵士B「よくレスラーって呼ばれねえ?」

兵士C「どこをどう見たらデブなんだよ!!」

兵士A「どこをどう見てもデブだよ」



813: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:35:10.68 ID:IY9sc0IX0

兵士C「デブじゃねえよ! せめて恰幅がいいくらいだよ!」

兵士B「だが重量級には違いないな」

兵士A「否定の余地なしだね」

兵士C「うおおおおい!? ガタイのよさなら騎士Cの旦那のほうが上だろ!?」

兵士A「あの人はそういう種族だし」

兵士B「ごく普通の魔人でこれはやべーよ。実はあだ名トロルだもんお前」

兵士C「トロル!? そんな酷いの俺!?」

兵士A「トロルに謝れェエ!!」カッ!!

兵士B「そうだそうだ。Cのくせにトロル見下してんじゃねえ」ナゲヤリ

兵士C「ええええええ!?」



814: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:35:57.63 ID:IY9sc0IX0

兵士D「……うるさい」モゾ…

兵士C「いやでもトロルはねえだろ! せめてクマだろ!?」

兵士A「クマに謝れェエ!!」カッ!!

兵士B「そうだそうだ、クマをバカにすんな」ヤンヤヤンヤ

兵士C「俺どんだけ下なの!?」

兵士D「…………」クシクシ

兵士D「………………」ボー…

兵士B「お、Dが起きた」

兵士C「あっ、D! そうだ、Dは俺の味方だよな! な!!」

兵士D「…………」



815: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:37:13.90 ID:IY9sc0IX0

 ガシッ

兵士C「へ?」←肩掴まれた

兵士D「…………」スゥ…



兵士D「――――黙ってろデブ」



兵士C「」

兵士D「...zzZ」ゴロン

兵士A「じゃ、もう行くよ」

兵士B「おう。彼女によろしく」



816: ◆TctB4xXhw6 2012/10/12(金) 21:38:16.24 ID:IY9sc0IX0

兵士C「………………」

兵士C「――――~~ッ」ワナワナ…



「 納 得 い か ね え !! 」



その声は魔ノ国全土に響き渡ったという……。



818: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:44:30.33 ID:dBonl8oN0

【敬語】


大賢者「男の敬語が直らん」ズゥゥゥゥン…

側近「はぁ……」

わんこ「敬語ッス?」モグモグ

大賢者「対等じゃとッ、言ったのにッ!」ガンッ ガンッ

テーブル < イタイイタイ、脚蹴ルノヤメテ

わんこ「ふーん」モソモソ

大賢者「無関心じゃの、この犬……」

わんこ「柴犬ッス」ハイ

側近「そういえば……」


 ホワンホワンホワン…



819: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:45:17.60 ID:dBonl8oN0

 ~回想~


男「メイドさんメイドさん」

メイド「はい?」

男「これうちで採れたトマト。今みんなに配ってるんですけど、良かったら」

メイド「あら、綺麗な赤色ですわね」

男「自慢の逸品ですよ」フフリ

メイド「いただきますわ。ありがとうございます」

男「どういたしまして。あ、おーいB!」

兵士B「あん?」



820: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:45:53.06 ID:dBonl8oN0

男「トマト食うか? 味には自信ありだ」

兵士B「おお、さんきゅ」

男「ついでに兵士Aさん達の分も持ってってくんね? 兵舎遠いし」ゴソゴソ

兵士B「あいよ。うわ甘っ!」

男「だろ?」ニヤリ

兵士B「お前農家のほうが向いてんじゃねえの」モグモグ

男「いや農家だよ」

兵士B「そうだっけ。ん、ごち。じゃーな」

男「うん」



821: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:46:31.94 ID:dBonl8oN0

女医「あ、トマトだ」ウマソウ

男「食う?」

女医「食う食う」

男「じゃあ尻尾モフらせてくれ」←真顔

女医「えー……いやいいけどさ」

男「いいんかい」ビシッ

女医「まあ男君なら。兵士Bには絶対やらせないけど」

男「ああ、あいつちょっと工口いところあるよね」モフリ

女医「この前なんて騎士Bの胸ガン見してたわよ。んー、美味美味」マグマグ

男「昔からおっOい星人だからなぁ……」モフモフ

女医「ちょっと、モフりながら喋んないでよ」コソバイ

男「んー……。ふぅ、堪能した」

女医「あんた尻尾好きよね」

男「このモフモフ具合がたまらんのよ」

女医「意味わかんね。じゃね」

男「おー」ヒラヒラ



822: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:47:23.44 ID:dBonl8oN0

パティシエ「トマトですか」

男「ええ。かなーり甘いですよ」

パティシエ「ほほう……そのまま食べてもおいしそうだ」

男「トマトでお菓子って作れるんですか?」

パティシエ「コツが要りますが、いくつかありますよ。試食しますか?」

男「じゃあ、今度お願いします」

町娘「あっ、魔王様」

男「まだ代理ですよー。町娘さんトマト食べられます?」

町娘「トマトですか……」

男「ありゃ、苦手?」

町娘「皮がちょっと……」

男「皮かぁ……今度改良策考えてみよう」

パティシエ(それは農家の仕事なのでは……)



823: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:48:36.33 ID:dBonl8oN0

魔剣『ほう、瑞々しいな』

男「魔剣さん……は流石に無理ですよね」

魔剣『武士は食わねど高楊枝、だ』

男「いや武士じゃないでしょ」

男「もう人型に変化する魔法開発させましょうか? 魔王権限で」

魔剣『案ずるな。我輩は今のままで満足している』

男「トマトうまいんだけどなぁ……」

メイドB「あ! ダイリオーだ!」

女兵士A「ほんとだ代理王だ!」

女兵士B「なんか持ってるぞー! 取っちゃえ取っちゃえ!」

男「ダイリオーってなんだよ。トマトだけど食べられる?」

女兵士A「もちろんですとも!」

女兵士B「なになになに、トマト投げ祭でもすんの?」

男「しないよ」

メイドB「これ洗ってあるのー?」

男「洗ってあるよー」



824: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:49:26.09 ID:dBonl8oN0

メイドB「なんかねー。マオーダイリだと長いからってねー」モグモグ

女兵士B「みんなでぇ、呼び方考えててぇ」マグマグ

女兵士A「にゃあらいいほーれいいにゃんってれー」ガツガツ

男「飲み込んでから喋ろうか。てかあんま変わんなくない?」

メイドB「じゃーダイオウ!」クワッ

男「それ意味違う。普通に名前呼びでいいのに」

女兵士B「メイド長が煩いんだもーん」

男「あー、なら俺から言っとくかな」



825: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:50:05.98 ID:dBonl8oN0

男「思いの外減ったなぁ。……おっ、騎士Bさん」

騎士B「だっ、代理殿!?」ビクッ

男「っと、すみません驚かせました?」

騎士B「い、いえ。何かご用ですか?」

男「トマト食べます?」

騎士B「トマト……?」

男「うちで採れたやつなんですけど、折角なので」

騎士B「は、い、いただきます……」オズオズ

男「ついでで悪いんですけど、他の騎士の方々にも配ってもらっていいですかね?」

騎士B「あ、うま……。わかりました。それなら騎士仕え達の分も預かりますが」

男「なら、お願いします」ゴソゴソ

騎士B「ではこれで」

男「はい」ヒラヒラ

男「何してたんだろ、あの人」ポツリ

騎士B(兵士B殿をストーキングしていたとは言えない……)



826: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:50:40.07 ID:dBonl8oN0

男「うーん、我ながらいい出来」←自分でも食う

東の使者A「よ」

男「よ」モグモグ

使者A「何食ってんのそれ」

男「自家製トマト。食う?」

使者A「普通のなら食べる」

男「普通のだよ。もしかしてプチトマトが駄目なタイプ?」

使者A「なんか、なんだろ、よくわかんないけど苦手なんだよね」ガブ

使者A「ん~、甘い!」ッカァー

男「だろ?」ドヤァ

使者A「もう農家やったほうがよくない?」

男「いや農家だよ」

使者A「だっけ?」



827: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:51:35.35 ID:dBonl8oN0

使者A(よし、普通に喋れてる、よし)←密かに変な汗かいてる人

男「トマトと言えば側近さんの故郷がトマトの名産地でさー」

使者A「そうなの?」

男「これがまたうまいんだけど、なかなか追いつかないや」

使者A「これよりうまいトマトかぁ」ウーン

使者A「うちの国も食べ物うまいけど、この国のには負けるなぁ」

男「そうなの?」

使者A「どっちかって言うと料理がうまいのよね。もっと言えば高品質化に特化してるっていうか」

男「へぇー」

使者A「もいっこ貰っていい?」

男「いいよ。っていうかいくつか持ってっていいよ。使者Bさんの分も」

使者A「ああ、ダメダメ。あいつトマト大の苦手だから」ケラケラ

男「そうなの?」

使者A「もう近付けるだけでみるみる弱ってくの。ほんと笑っちゃうわ」アッハッハッハ

男「……やべぇ、ちょっと見てみたい」



828: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:52:23.84 ID:dBonl8oN0

男「後はーっと……いたいた、騎士団長さん!」

騎士団長「あん? おお、どうした?」

男「…………」スッ

騎士団長「……いただこう」

 ガブ モグモグモグ…

騎士団長「…………」

男「…………」ドキドキ

騎士団長「…………」グッ

男「!」パアッ

騎士団長「やるなぁ。これブランド付けて売り物になるレベルだぜ!」

男「マジですか!」ッシャア!

騎士団長「さすが本職はちげぇなあ。あー土いじりたくなってきた。ちょっくら行ってくる」

男「ありがとうございます!」ヒラヒラ

男「伝説の農家のお墨付きをいただいてしまった……」

男「……ふふふ」ニヤニヤ



829: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:53:01.61 ID:dBonl8oN0

男「兵士長さん、大臣さん、トマト食べられます?」

兵士長「トメィトゥ?」

大臣「なんでちょっといい発音だよ。どうしたんですそれ」

男「うちの畑で採れたんですよ。それであちこちに配ってるんです」

男「なんと騎士団長さんのお墨付きをいただきました」ニヤニヤ

兵士長「ほう」キュピーン

大臣「どれ、では一つ」

兵士長「…………」モグモグ

大臣「…………」モグモグ

男「…………」

長・臣「「ンまあァー―――――イィッ!!」」ヒャッハァー!!

男「ッシャアァ!!」グッ!!



830: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:54:08.48 ID:dBonl8oN0

 ~回想終了~


側近「という感じだったみたいですよ」モグモグ

大賢者「言葉遣いに統一性がないのう……あむ」ガブ

わんこ(相手の口調に合わせてるだけだと思うッスけど)モクモク

大賢者「うむ、美味じゃ」マグマグ

わんこ「あんちゃん野菜作り上手ッスからねー」ガブリ

側近「ものすごい楽しそうでしたしね」モウイッコー

大賢者「しかしトマトだけで腹が膨れそうじゃ」マグマグ

わんこ「確かにちょっと多いッス」モグモグモグ



831: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:54:52.36 ID:dBonl8oN0

大賢者「ところで気になったのじゃが」

側近「はい?」

大賢者「おぬし何故に男の行動を知っておるのじゃ?」

側近「ああ、それは」


側近「諜報部に依頼してまして」


賢・わ((職権乱用……!))



832: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 16:58:17.25 ID:dBonl8oN0
更新>>818-831

投下してから気付いたけどトマトの話だこれ
あと携帯にメモるのに文字数減らしで名前変えてたとこそのままだった……迂闊

わんこ=後輩メイド(言わずもがな)
使者A=東の使者A(他に出てないから大丈夫だよね)

では失礼をば。

833: ◆TctB4xXhw6 2012/10/13(土) 17:07:05.13 ID:dBonl8oN0

大賢者「む、久方ぶりの仕事かえ」

大賢者「途中に出てきた三人娘の紹介じゃの」

大賢者「まずメイドBは騎士に仕えとるメイドの一人じゃ。同じ騎士仕えの女兵士A・Bとよく行動を共にしておるようじゃな」

大賢者「それと、ちと頭が弱いようじゃ」

大賢者「女兵士Aじゃが、こやつは行儀が悪いのう。三人の中では一番威勢がいいようじゃ」

大賢者「元気なのはいいが、少々考える頭が足りんらしいの」

大賢者「最後に女兵士B。とにかくいいかげんな輩じゃ。しかし三人の中では一番常識がある」

大賢者「飄々、のらりくらり。ちと兵士Bや男に似ておるやもしれん」

大賢者「まあ出番がまたあるかどうかは知らんがの。以上じゃ」

大賢者「ではの」



836: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:08:52.33 ID:MSRHwqcI0

 【料理】


黒い物体 < タベラレマセン

極彩色の塊 < ドクデハナイハズ

謎の蠢くもの < イキテルワケジャナイヨ


側近「………………」ズーン…

大賢者「これは……なんというべきか……」

後輩メイド「予想以上ッス……」

側近「氏にたい……」ズーン…


やたら青い粘液 < イチオウ、ジブン、カレーノハズナンデスガ…

金属質っぽい何か < モハヤレンキンジュツデスワ


パティシエ「えーっと……レシピ通りにやったん、です、よね……?」

側近「氏にたい…………」ズゥゥゥゥン…

後輩メイド「おおう……負のオーラが……」ヒキッ



837: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:09:54.94 ID:MSRHwqcI0

 ~ことのきっかけ~


兵士A「Bって料理とかできるの?」

兵士B「あん? 一応できるけど、どうした急に」

兵士D「...zzZ」

兵士A「いや実はさ、彼女の家で夕飯ご馳走になったんだけど」

兵士C「氏ね」

兵士A「断る。お父さんが男でも簡単な料理くらいできたほうがいいって言ってて」

兵士B「それでなんで俺」

兵士A「男でも作れる料理とか詳しいかなって思って」

兵士B「つまり教えろって?」

兵士A「うん。頼める?」

兵士B「そのくらいなら別にいいが……Cお前何考え込んでんだ」

兵士C「料理ができたほうがいいってことは、料理ができればモテるのかと」

兵士A「関係ないと思うよ?」

兵士C「少しくらい希望を持たせてくれよ……はぁ……」

兵士B「そもそもお前できるのかよ」

兵士C「できないけどよ」

兵士A「駄目じゃん」

兵士C「ちくしょう」



838: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:10:34.56 ID:MSRHwqcI0

兵士B「つか、料理だったら多分俺より男のほうが上手いぜ」

兵士C「男さん? そうなの?」

兵士B「作るとか育てるとか好きだからなあいつ。十年以上自給自足で自炊生活してた実績もあるし」

兵士B「……そういや側近ちゃんとか後輩ちゃんとかはどうなんだろうな」

兵士A「できるんじゃない? 女の子なんだし」

兵士C「それ根拠にならなくねぇ?」

兵士A「そう? うちの彼女は料理うまいよ」

兵士C「よし、氏ね」

兵士A「断る。友達もそこそこできるみたい」

兵士B「まあ、女で料理できないのは正直やべえよなぁ」

兵士A「掃除洗濯炊事は基本だよね」ウン



839: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:12:02.28 ID:MSRHwqcI0

兵士B「その点でいけばメイドさんはすげーよな。できないことあんのかってレベル」

兵士A「あの人は規格外じゃない? なにかと先回りして用意してたりとか、ちょっと凄すぎ」

兵士C「まあ魔王付きのメイドやってたくらいだしそんなもんじゃねえ?」

兵士B「あそこまでいくと何か欠点欲しいよなぁ」

兵士A「実は私生活ぐちゃぐちゃとか?」

兵士B「それは別の意味でやべえだろ……」

兵士C「……いや、アリだな」

兵士B「狙うな狙うな」

兵士A「Cはまず顔を覚えてもらわないと」

兵士C「え、俺そんな段階!?」

兵士B「つーか視界に入ってねんじゃね?」

兵士A「あー」

兵士C「ちょっ、お前ら酷くね!?」

兵士B「でも実際ありえそうだしな」

兵士A「ね」

兵士C「」



840: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:12:44.19 ID:MSRHwqcI0

兵士D「…………」ムクリ

兵士A「あ、Dが起きた」

兵士D「…………」ボー…

兵士B「そういやDも料理得意なんだよな」

兵士A「そうなの?」

兵士B「メイドAちゃんに教えてたし」

兵士D「…………? うん」ボケー…

兵士C「」

兵士B「いつまで止まってんだC、オイ」

兵士C「絶望に打ち拉がれてた……」

兵士A「そのまま氏ねばいいのに」←いい笑顔

兵士C「今日俺にキツすぎじゃねえ!?」

兵士D「…………風呂……」ウツラウツラ

兵士B「おお、もうこんな時間か」

兵士A「お風呂に起きたのか……」

兵士D「入らないと怒られるし……んー」ノビー

兵士C「無視か無視なのかこんちくしょう」



841: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:14:03.34 ID:MSRHwqcI0

 ~大浴場~


男「あ、Bも風呂?」

兵士B「おう、奇遇だな」

男「ちょうどいいや。城門の自動開閉魔導式なんだけど」

兵士B「待て待て、まず風呂に浸かろう」

男「そうだな。あれ、三人も一緒?」

兵士A「お疲れ様です」ペコ

兵士C「どうも」

兵士D「やー」ヒラヒラ

兵士A「挨拶くらいちゃんとしなよ」

男「いや気にしなくていいよ。タメ口のほうが気楽だし。……はー」ハァ…

兵士B「なんだ疲れてんのか」

男「主に気疲れだな。研究所の所長が堅物でめんどくさくって」

兵士B「おお、あれの相手したのか……背中流してやろうか?」

男「いやいいよキモいな、止めてくれよ」

兵士B「キモかねえだろ!?」ガビーン

兵士A「いや、Bはキモいよ」ウン

兵士B「しまった! Aの毒舌の矛先がこっちに向きやがった!」

兵士C「ドンマイB」ポン

兵士B「うるせえ黙ってろデブ!!」

兵士C「デブじゃねえよ!!」

男「先行くぞ」スタスタ

兵士D「A、髪」

兵士A「いいかげん自分で洗えるようになりなよ……」



842: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:15:11.14 ID:MSRHwqcI0

<デブ!!

<ムッツリ!!

<デブ!!

<ムッツリ!!

<デブ!!

<ムッツリ!!


男「D君、親父さん達元気してる?」

兵士D「この前腰壊したって」

男「うわ、そりゃ危ないな。もう歳なんだから無理しないように言っときなよ」

兵士A「あれ、二人とも旧知なんですか?」

兵士D「うちは農家だから」

兵士A(ナイトメアなのに農家……?)

男「ちなみに畜産ね。うちは畑作だからよく物々交換に行ってたんだよ」

兵士D「毎度ご贔屓に」ペコリ

兵士A「はぁ、さいで」



843: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:15:57.09 ID:MSRHwqcI0

兵士B「先に行くなよお前ら……」

男「ケンカすんなよお前ら」

兵士C「正論すぎてぐうの音も出ねえ」

兵士A「ほら流すから目ぇ閉じて」ザバァ

兵士D「ん」

兵士B「毎日温泉に入れるってのは最高だなぁ」

男「ありがたみがなくなる気もするけど」

兵士B「ありがたがってどうすんだよ」

兵士C「外回りから戻ってから入る温泉が最高すぎる」

兵士A「ちゃんと体洗いなよ? お湯が豚小屋臭くなるから」

兵士C「ならねえよ!?」

兵士B「まあせめて女に嫌われねえようにはしとけや」

男「え、何? Cさん嫌われてんの?」

兵士C「そんっ! ……なこと、ない……よな……?」

兵士A「…………」フイッ

兵士D「…………」フルフル

兵士B「大丈夫だ、世の中にはデブ専もいる」ポン

兵士C「それフォローじゃなくてトドメだよなぁ!?」



844: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:16:54.33 ID:MSRHwqcI0

男「賑やかだなー」

兵士D「風呂は静かに入りた゚い゚」ブクブク

男「毎日こんな感じ?」

兵士D「ま゚あ゚ね゚」ブクブク

男「……息苦しくない?」

兵士D「ぷはっ。まあね」フゥ…

兵士A「Dがまともに会話してる……」

兵士D「まあね」

男「まあねしか言ってなくない?」

兵士D「まあね」

兵士B「無限ループかっつーの」

兵士A「あ、そうだ。男さん料理得意ですか?」

男「料理? 割といけるけど」

兵士D「おにぃの料理は手軽でうまい」

兵士B「お前Dにまで兄貴呼ばわりされてんのか」

男「そんなに兄っぽいかな俺……?」

兵士A「じゃあ保証付きか。暇があったら料理教えてもらえませんか?」

男「いいよー」

兵士C「はいはいはい! 俺にも教えろ下さい!」ザバザバザバ

兵士B「湯を掻き分けて走るな波が立つだろがデァヴ!!」

兵士D「ごぼっ、げほ! ぱな゙にはい゙っ! っぷし!!」

男「あーあーあー、大丈夫?」

兵士A「Cサイテーだよ。もっと周り見て行動しなよ」

兵士C「え、何このフルボッコ……」スゲェヘコム...



845: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:18:51.93 ID:MSRHwqcI0

 ~その頃、女湯~


側近「~♪ ~~♪」フンフン

わんこ「そーちゃん上機嫌ッスねー」

側近「えっ、わかりますか?」

わんこ「鼻歌出てたッス」ウン

側近「ほにゃっ!? い、言ってよもうっ!」ワタワタ

大賢者「鼻歌くらい良かろう。しかし何か良いことでもあったのかえ?」

側近「え、あ、えーっと……」

わんこ「あんちゃん絡みッスね」

側近「なんでわかるの!?」ビクーン!

わんこ「おお、当たったッス」

側近「はうっ!」ヒッカケ!?

大賢者「おぬし間が抜けとるのう」

わんこ「にしししし、ひっかかった以上白状するッスよ」ニマー

側近「あぅ……えっと、実は今度お料理をご馳走になることになって……」モジモジ

わんこ「えー、なにそれズルいッス」ブーブー

大賢者「男め……ワシに一言もなしか……」ゴゴゴゴゴ…

側近「あ、あのっ、私がお願いしたからでっ!」

わんこ「そーちゃんにハブられたッス!?」ガーン

大賢者「ほぉう……よーし小娘ぇ、覚悟はよいな……?」ゴゴゴゴゴゴ…

側近「あああああっ! そうじゃなくてぇ!」

わんこ「てひひ、冗談ッス。そーちゃんが作ってーってお願いしたってことッスよね?」

側近「そ、う、うん。そう……」モジモジ

大賢者「む、そうなのかえ?」

わんこ「なんだと思ったんッスか……」



846: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:20:08.31 ID:MSRHwqcI0

<もっと周り見て行動しなよ

<え、何このフルボッコ……


大賢者「む、男湯に誰ぞおるようじゃな」

わんこ「さっきあんちゃんも入るって言ってたッスよ」

大賢者「ふむ、では一緒に入っておるようなもんじゃな」

側近「それは違うと思います……」サスガニ

わんこ「何の話してるんッスかねー」



 ~所戻って男湯~


兵士A「やっぱり男性でも料理はできたほうがいいんですかね」

男「うーん……できないからって困るものでもないけど、できるから困るってことはないと思うよ?」

兵士D「要はできないよりマシ」

兵士A「なるほど……」

兵士C「料理できればモテますか?」←必氏

男「え……それは知らないけど……」

兵士B「あれだよな、将来的に結婚するとしてだ。もし嫁さんと共働きだったらできないと困るよな」

兵士A「あ、そっか。うちはそういう可能性もあるや……」フム...

男「え? Aさん結婚するの?」

兵士A「彼女とはそのつもりで付き合ってますよ」

男「しっかりしてるなー……」

兵士A「そうですか? 当たり前のことだと思いますけど」



847: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:22:11.14 ID:MSRHwqcI0
兵士C「視点を変えよう」

兵士B「なんだ急に」

兵士C「例えば俺らが女だったら、どんな男が理想なのか」

兵士A「無駄な足掻きは止めなよ……悲しくなる……」

兵士B「少なくともお前は許容範囲外だろ」

兵士C「相談くらい許せよっ!!」バッシャアアン!!

男「うわっぷ! 湯面を叩くなって!」

兵士C「あ、すんません……」

兵士D「Cはまずマナーを覚える゚ぺき゚」ブクブク

兵士B「沈みながら言うなよ」ガビーン

兵士C「くっ、そうか、マナーか……」

兵士A「その前に痩せなよ。…………痩せなよ……」

男(消え入るような声で……)

兵士B「話戻るけどよ。実際俺らが女だったとして、旦那は料理できたほうがいいと思うか?」

兵士D「できないよりマシ」ウン

兵士A「まあそうだね。できないよりは……うん、いざという時助かるかも?」

兵士C「やっぱり料理を覚えるべきか……っていうかBが訊くと普通に答えるのかお前ら……」

兵士A「まあ料理できてもCはモテないけどね♪」←本日最高の笑顔

兵士C「」グサァッ!!

兵士B「男はどうだ? できたほうがいいと思うか?」

男「そりゃあ」



848: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:22:53.00 ID:MSRHwqcI0





男「結婚するなら料理できる人のがいいだろ」



 カコーン コーン コロコロコロ…

側近「」



849: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:24:56.08 ID:MSRHwqcI0

 ~そして現在~


側近「…………氏にたい……」シクシクシク...

後輩メイド「だ、大丈夫ッスよ! 失敗は誰にでもあるッス!」アセアセ

大賢者「いや……これは失敗とかそんな次元ではないぞ……」


発光する物体X < フゥゥゥゥハァァァァァァ!!

無数の魚骨が浮かび泡立つ蛍光色の液体 < ナンナンデショウカネ、オレラ


パティシエ「……途中アレンジとかは」

大賢者「しとらん。……しとらんのにこうなった」

後輩メイド「摩訶不思議ッス……」

側近「………………氏にたい…………」エグエグエグ...

パティシエ「これは私の手には負えませんね……」

大賢者「弱ったのぅ……」

後輩メイド「なんとかしないと、そーちゃんの負のオーラで地面が沈むッスよ……」

大賢者「冗談言うとる場合かえ」

後輩メイド「いえ冗談じゃなしにッス」クイクイ


地面 < ズズズズズズ...

側近「………………」ズウゥゥゥゥゥゥン...


大賢者「お、おぉ……落ち込みすぎて空間歪曲が発動しとるの……」ヒキッ

パティシエ「何か手はありませんかねぇ」ウーン

後輩メイド「料理、料理……あんちゃんに教わるわけにはいかないッスよね」

大賢者「理由が理由じゃしの」

パティシエ「他に料理が出来る人か」ウーン...



850: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:26:54.31 ID:MSRHwqcI0

パティシエ「あっ、メイドさんはどうだい?」

側近「」ピクッ

後輩メイド「おお、先輩ッスか」

大賢者「なるほど。適任やもしれんの」

後輩メイド「じゃー早速呼んでくるッス!」シュバッ

大賢者「急げよー」


  ・ ・ ・


メイド「…………」ヒク、ヒクヒク...


皿と同化した粘液 < トカシマース

煙を上げるスポンジ状の何か < イブシマース

転げ回る触手塊のようなもの < マワリマース


メイド「申し訳ありません……私錬金術はちょっと……」

大賢者「料理じゃ」

メイド(マジで……?)フラッ...

後輩メイド「現実は厳しいッス」

メイド「この事態は完全に想定外ですわ……」

メイド(これでは男様×側近様イチャラブ夫婦計画に支障が……なんとかしなくては……)

メイド(しかし、それはつまり……)

パティシエ「なんとかできませんかねぇ」

大賢者「おぬしだけが頼りなのじゃ」

後輩メイド「先輩、お願いするッス」

メイド「う……」タジ...

メイド(い、言えない……っ)


メイド(魔法で誤魔化してるだけで、自力だけじゃ本当は料理できないなんて言えない……っ!)ダラダラダラ... ※滝汗



851: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:28:44.46 ID:MSRHwqcI0

側近「メイドさん……」ドヨーン...

メイド「側近様……」

 がしっ

側近「特訓でも何でもしますから……」


側近「私に料理を教えて下さい……!」ウルウル...

メイド「」ズキューン


メイド「――任せて下さい」ユラ…

メイド(もうプライドとかどうでもいいや……)

メイド「とっておきの技を伝授致しますわ!!」カッ!!

パティシエ「おおお、頼もしい!」パチパチパチパチ

後輩メイド「そーちゃん頑張るッス!」パチパチパチパチ

大賢者「これでひと安心かのう」パチパチパチパチ



852: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:30:08.36 ID:MSRHwqcI0

側近「あの、でも本当にできるようになるんでしょうか……」ハラハラ

メイド「心配には及びませんわ。……耳を貸して下さいまし」

側近「? はい」

メイド「私も本当は料理が苦手なんです。でも、今はとある魔法でなんとかできるようになったんですよ」ヒソヒソ

側近「えっ、それって……」

メイド「この魔法さえ覚えれば、すぐにでも料理を作れるようになりますわ」ニコッ

側近「あ……」

側近(でも、それって……)

メイド「ズルいかもしれませんけれど、そう思うなら『それを目標として』練習すればいいのですわ」

側近「…………」

側近「そう、でしょうか……」

メイド「そうですわ。それに、これもれっきとした技術ですし、なにより」

メイド「料理は愛情、と言いますでしょう?」

側近「…………愛情……」ポー…



853: ◆TctB4xXhw6 2012/10/15(月) 23:30:56.30 ID:MSRHwqcI0

側近「――やります! 私、頑張りますっ!」グッ

メイド「それでは、メイドの必殺☆マジカルクッキング講座を始めますわ!」カッ

側近「」ガクッ

メイド「あら、どうかなさいました?」

側近「いえ、なんでも……」

側近(センスがひどい……なんで必殺なんだろ)

メイド(ふふふふふ、側近様の魔法料理で男様のハートをコ口リと逝かせてみせますわ)ゴゴゴゴゴゴ...



男「……っ?」ゾクッ

兵士B「どうした?」

男「いや、なんか今すごい寒気が……」



862: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 21:59:03.13 ID:ljJxxTXA0

 【B】


女兵士B「ややこしい」

兵士B「あん?」

女兵士B「あんたいるとややこしい」

兵士B「何が」

女兵士B「名前だよ!」ガーッ!

兵士B「お、おお。今更だな」



863: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 21:59:58.82 ID:ljJxxTXA0

女兵士B「なんなの! なんであんたもBなの!」

兵士B「知らねえよ、産まれた時からBだよ」←本名もビー

女兵士B「もう名前変えなよ」

兵士B「嫌だよ。なんでだよ」

女兵士B「ややこしい」

兵士B「さっき聞いたよ」

女兵士B「もう名前変えなよ」

兵士B「何これ無限ループ?」



864: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:00:49.67 ID:ljJxxTXA0

女兵士B「うちら三人で話してると途中でわけわかんなくなる……」カオスダヨ

兵士B「いやそこはわかれよ、会話の流れとかで」ドンダケダヨ

女兵士B「急に話題変わるからわかんないの! もうなんなの!」ムガーッ!

兵士B「それこそ知らねえよ! キレんなよ!」

女兵士B「もう名前変えてよ!」

兵士B「なんでそんな変えさせてえの!?」

女兵士B「ややこしい」モウヤダ

兵士B「さっき聞いたっつの」ループスンナ



865: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:01:46.93 ID:ljJxxTXA0

兵士B「つかそれ言ったら騎士Bさんはどうなるんだよ」

女兵士B「あの人は騎士じゃん」

兵士B「じゃあお前は女兵士じゃん」

女兵士B「兵士と女兵士じゃ性別しか違わないでしょおおお!」モーッ!

兵士B「充分な差だろ、なんなんだよ!?」

女兵士B「だって私らの中だと私もBだもん」

兵士B「だから知らねーって」

女兵士B「もう名前変えろよ」モウ...

兵士B「ついに命令か。嫌だっつったじゃん」

女兵士B「ワガママ言うな!」モーッ!

兵士B「いやそれ俺のセリフじゃね!?」ナンナノ!?



866: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:02:50.60 ID:ljJxxTXA0

女兵士B「あ、じゃあ騎士になって。名案」

兵士B「今度は騎士でBが被るだろ。迷案だろ」

女兵士B「あ、メイド」

兵士B「俺男だよ。また被るし」

女兵士B「じゃあ何ならいいのよ!」モオオォォォ!!

兵士B「だから変えねえっつーの!」シツコイナ!!

女兵士B「いやもうぶっちゃけあんたと被ってるのが気に食わない」

兵士B「じゃあ逆に言うけど被ってんのお前だからな?」

女兵士B「ひ、人をパクリ呼ばわり!」ヒドイ!!

兵士B「言ってねえよ! なんなんだお前!?」



867: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:03:45.53 ID:ljJxxTXA0

兵士B「そもそも後から入ってきたのお前じゃん」

女兵士B「早い者勝ちとか今時流行んないよ」ヤレヤレ

兵士B「なんでちょっと呆れてんだ」

女兵士B「もう名前変えなよ」

兵士B「しつこいなお前。むしろお前が変えろよ」

女兵士B「お、親からもらった名前を変えろよとか!」ヒドイ!!

兵士B「言い出したのお前だろ!?」ガビーン



868: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:04:50.53 ID:ljJxxTXA0

兵士B「マジなんなの!? 何が嫌なのお前!?」

女兵士B「いや別にあんたがBなのはどうでもいいのよね」ウン

兵士B「そこ主題じゃなかったのか」ビックリダヨ

女兵士B「ただあんたと被ってるのが気に食わない」ウン

兵士B「はいさっき聞いたァ!!」

女兵士B「き、聞いてたなら言ってよ恥ずかしい!!」カァーッ

兵士B「お前今まで誰に喋ってたんだよ!?」

女兵士B「え、なんかこうBという名のもやっとした何かに」モニョット

兵士B「急にテンション戻すの止めろ。あともやっとした何かってなんだよ怖ぇな」

女兵士B「だってできればあんたを認識すらしたくないと常日頃から考えてるもの!」←いい笑顔

兵士B「そんな笑顔で言うこと!?」ヒデェ!!



869: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:05:50.97 ID:ljJxxTXA0

東の使者B「あ、兵士のほうのBコンビだ」トオリスガリ

兵士B「おお、馬鹿のB」

女兵士B「ほんとだ、馬鹿のBだ」

東の使者B「エンカウントするなり失礼すぎない!? 東の使者Bだよ!!」ガビーン

男女兵士B「「長い」」

東の使者B「それは僕のせいじゃないよ……」ナンナノ?

女兵士B「もう名前変えなよ、ややこしい」

兵士B「待て待て。お前の理屈だとややこしくはねえだろ」

東の使者B「え、一体何の話?」

女兵士B「兵士Bの名前を変えようと」

兵士B「断ってんのに食い下がってくる」シツコイ

東の使者B「ごめんマジ意味不明」ワケワカメ

東の使者B「今のままじゃ困るの?」

女兵士B「いやもう困るとかややこしいとかはどうでもよくなってきた」

兵士B「おお、進歩したな」

女兵士B「ただお前らと被ってるのが気に食わない」ウン

兵士B「さらりと悪化した!」ウワァ!

東の使者B「僕もダメなの!?」ガーン!!



870: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:06:58.17 ID:ljJxxTXA0

女兵士B「もうどっちかでいいから名前変えなよ……」ヤダモウ

兵士B「おお、落ち着け。少なくとも馬鹿のBは何ひとつ悪くないぞ。あと俺は名前変えない」

東の使者B「フォローするか傷口抉るかどっちかにして……」ナキソウ

女兵士B「もう名前変えろよ!!」モウッ!!

兵士B「急に叫ぶなよびっくりするわ!」

女兵士B「なんなの! だったらどこなら変えていいの!」モオオォォォ!!

兵士B「だから変える気ねーっつってんじゃん」クドイワ

東の使者B「もう女兵士Bさんが騎士にでもなったら?」

女兵士B「それじゃ騎士Bさんと被るでしょおおお!!」バカジャナイノ!!

兵士B「お前、俺にはなれっつったくせに!」ワガママ!!



871: ◆TctB4xXhw6 2012/10/17(水) 22:08:16.74 ID:ljJxxTXA0

<あーでもないこーでもない

<わいのわいの

<どうたらこうたら

<わーでるよーでる

<ちくわ大明神


騎士B「…………」コソコソ

騎士B(楽しそう……)イイナァ...

 ※不審者



875: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:40:00.64 ID:lx8P3Ilk0
血液型占いって実は他の血液型の欄みても結構一致するよね

いきます、文量控えめ。

876: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:41:58.43 ID:lx8P3Ilk0

 【かまって】


兵士B「…………」スタスタスタ...

女兵士B「あっ」ハッケン

女兵士B「お
兵士C「B聞いて聞いて! 俺痩せたかもしんない!!」ドーン!!

兵士B「ぬあっつ! 体当たりすんなデヴ!!」アブネェ!!

兵士C「ふっふっふ、俺をデブと呼べるのも今のうちだぜ! 今のペースなら来月にはガリガリだあ!!」ドヤァ

兵士B「いやそれ病気を疑うレベルだろ大丈夫か?」

女兵士B「ぁぅ……」スゴスゴ...
 ↑基本、他人がいると声かけられない


877: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:43:17.51 ID:lx8P3Ilk0

兵士B「つーか痩せたってどこが」ワカラン

兵士C「腹だ腹。なんとベルトの穴ひとつ分」

兵士B「おお、頑張ったな」スゲェ

兵士B「でも言いにくいけど、お前多分痩せてもモテないからな」キッパリ

兵士C「そんなのやってみなきゃわかんねえだろ!」マケナイ

兵士B「いや、なんつーかお前……骨格が既にデブだから……」

兵士C「骨格が!?」ガンッ

兵士B「ほら肩幅あるし顔デカいし、そのまま痩せるとなんかもうキモい逆三角形のオブジェみたくなる」

兵士C「そっ……そんな…………」ガクッ...

兵士B「さらに言うとお前から脂肪を取り上げたら何も残らないしな」ウン

兵士C「え、俺の個性デブだけ?」マジデ?

兵士C「いやいやさすがにそんな……他にもあるだろ? な?」オロオロ

兵士B「あーうーぅんん、っふ、ふくよかさとか?」

兵士C「意味一緒じゃねえかああああああ!!」アアアアアア!!


878: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:44:13.56 ID:lx8P3Ilk0

女兵士B「ぅー……」コソコソ

兵士C「ちくしょう! 俺の何が悪いってんだ!」

兵士B「泣くなよ……ぶっちゃけるとお前必氏すぎてキモい」

兵士C「慰めるか追い討ちかけるかどっちかにして下さああああい!!」

兵士C「ちくしょおおお! Bの頭頂部ハゲろおおおおおお!!」ダダダダダダ...!!

兵士B「俺の髪は関係ないだろ!?」ガビーン

兵士B「なんだったんだあいつは……」ワケワカラン

女兵士B「!」イマダッ

女兵士B「ちょ
騎士A「あ! 兵士B君ちょっといいかい?」

兵士B「あん?」

女兵士B「はぅ……」スゴスゴ...


879: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:45:22.35 ID:lx8P3Ilk0

騎士A「義父さんたちの結婚記念日の贈り物で悩んでるんだけど」カタログズラリ

兵士B「おお、今年もちゃんとお祝いすんのか。いいことだ」

騎士A「自分には親がないから、妻の分くらいはと思って」アハハ

兵士B「いい婿してるなぁ。去年は花だったか?」

騎士A「小さな鉢植えだね。こっちが恐縮するくらい喜んでもらえたから、嬉しいやら恥ずかしいやらで」テレテレ

兵士B「そういやそんな話もしたっけか。で、今年は?」

騎士A「記念品か、時期が合えば東に旅行もいいかなと思うんだけど」

兵士B「東か。……ああ、お前そういや大元は東の出身なんだったっけか」

騎士A「うん。もう随分と里帰りしてないから、少し不安だけど」

兵士B「なるほどなぁ……あ、東のことなら使者二人に訊けばいいんじゃないか?」

騎士A「ああ!」ポンッ

兵士B「相変わらず妙なとこ抜けてんのなお前」

騎士A「首とか?」スポッ

兵士B「ダルマ落としかっ」ビシッ

騎士A(頭)「兵士B君は面白いなあ」クスクス

兵士B「いやお前ほどじゃねーよ」ウン

女兵士B「……」ムムム...


880: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:47:31.49 ID:lx8P3Ilk0

女兵士B「ぅー……にー……」グヌヌ...

 ↑話したい

 ↑でも兵士B以外はなんかこわい

 ↑でもやっぱり話したい

騎士A「とりあえずまた相談するよ」ジャ

兵士B「おー、かみさんと仲良くなー」ヒラヒラ

女兵士B「…………」

女兵士B「……」

 ズン ズン ズン ズン ズン …

兵士B「ん?」


881: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:48:33.84 ID:lx8P3Ilk0

女兵士B「……」ピタッ

兵士B「おお、どうし
女兵士B「ばああああああああああか!!!!」


 ド ゴ オ ッ!!


兵士B「だぶるすっ!!」

 ※腹に頭突き

女兵士B「ふんっ!」プイッ

 ズン ズン ズン ズン ズン ズン …


882: ◆TctB4xXhw6 2012/10/18(木) 20:49:47.56 ID:lx8P3Ilk0

兵士B「ぉ……おぉぉおぉ……っ」ガクッ...

兵士B「俺が何をしたあぁぁァァァァ……っ!!」ドサァ...


騎士B「…………」ジー…

騎士B(倒れてる兵士B殿も、イイ)ウン

壁 < タスケロヨ、オイ…


885: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:22:17.02 ID:KkhosemY0
ちょっくら小ネタ4連発
特に脈絡はない。

886: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:24:06.87 ID:KkhosemY0

 【ボール】


男「キャッチボールをしよう」

兵士B「…………頭でも打ったか?」

男「失礼だな。片付けしてたらボールが出てきたからやってみたくなっただけだよ」

兵士B「子供か」

男「いやぁ、子供はこんなの投げないでしょ」ヨイショ


 ず しっ…!

砲弾 < ヤア!!


兵士B「」

兵士B「砲弾じゃねえか! それはボールとは呼ばねえだろ!?」ガビーン

男「とりあえず投げるから喰らってよ」

兵士B「頃す気か!?」


 夕飯のおかずを横取りした翌日の出来事。


887: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:25:32.16 ID:KkhosemY0

 【アラブ化】


女兵士B「今日ヒマ?」

兵士B「超ヒマだけど何?」

女兵士B「なんかうちのパパがあんた呼んでこいって」

兵士B「は? なんで? 面識ねえだろ」

女兵士B「よくわかんないけど「うちの娘をアラブ化してんのは誰だ!!」みたいなこと叫んでた」ヨクワカラン

兵士B「アラ……なんだって?」

女兵士B「さあ……」サッパリ

兵士B「とりあえず断っとけ。意味わかんねえし」

女兵士B「ママも「あらあら、問屋はお弟子さんね」とか言ってた」イミフ

兵士B「……??」

兵士B「親御さん大丈夫か? 医者紹介するか?」

女兵士B「たぶん大丈夫。……大丈夫」←不安

兵士B「つかアラブ化って何だ……?」

女兵士B「私石油でも掘るの?」

兵士B「いや知らんがな」


 女兵士Bは両親によく兵士Bの話をするらしい。


888: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:26:52.96 ID:KkhosemY0

 【食べる】


兵士D「…………」モグモグモグモグモグモグ

兵士D「…………」ガツガツガツガツガツガツ

兵士C「……不条理だ」

兵士A「何がさ」

兵士C「Dはこんだけ食ってて何で太らねーんだ?」

兵士A「さぁ……体質じゃないの?」

兵士A「ああほら、口汚れてる」

兵士D「拭いて」

兵士A「仕方ないなぁ」フキフキ

兵士C「…………」モソモソ

兵士A「……何してんの」

兵士C「俺も口元汚してたら誰かに拭いてもらえねぇかなと」

兵士A「キモいな、氏になよ」

兵士C「そこまで言うことなくね!?」


 兵士Dの胃はブラックホール。


889: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:28:00.12 ID:KkhosemY0

 【折る】


女兵士B「うっぜ! あんたマジうっぜ!」

兵士B「何度でも言うが俺のセリフだ」

騎士B「…………」タシーロ


兵士C「…………」



男「わんこ降りろ、動けねえ」

後輩メイド「いやッス」

男「荷物持ってんだけど……」

大賢者「よーしそのまま動くでないぞ」

男「混ざらんで下さい」

側近「よいしょ」

男「側近さんまで!?」

東の使者A「……何してんのさみんなして」


兵士C「…………」


890: ◆TctB4xXhw6 2012/10/19(金) 20:28:46.71 ID:KkhosemY0

兵士C「絶対におかしい」

兵士A「何が?」

兵士C「俺だけモテないのは絶対におかしい!」ガンッ

兵士A「………………そうだね(哀)」

兵士C「マジメに聞けよおおおおお!!」

兵士A「めんどくせえ。思わず口調が乱れるほどに」ハァ

兵士C「お前最近酷くねえ!?」

兵士A「そんなことないよ、うん」パラパラ

兵士C「雑誌読みながら言うなよ! 聞けよ!!」

兵士A「別にいいじゃんモテないくらい。氏ぬわけでもあるまいし」

兵士C「じゃあ彼女くれよ」

兵士A「折るよ?」

兵士C「折る!?」

兵士A「全身の骨という骨を折るよ、淡々と」

兵士C「怖ぇよ! 冗談だよ!」

兵士A「そう。まあこっちは本気だけど」

兵士C「何こいつエグい!!」


 兵士Aは淡々と骨を折る。


899: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:02:51.05 ID:1EQ7ji9S0

 【袖】


兵士B「お前ちっこいよな」ウリウリ

女兵士B「うあー、なでうなああ」グラグラ

兵士B「だからって手に首の動き合わせんなよ。何人形だ」ウリウリ

女兵士B「やめれえええ」グラグラ

兵士B(面白ぇ……)ウリウリ

女兵士B「うあああああ……うぶ」ウップ

兵士B「うお、悪いやりすぎた」パッ

女兵士B「」カクンカクン

兵士B(まだ揺れてんし……)



900: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:04:36.38 ID:1EQ7ji9S0

女兵士B「川の向こうにグランパが」クラクラ

兵士B「おお、何か言ってたか?」

女兵士B「泳げないんだから無理すんなって」フラフラ

兵士B「渡るな渡るな。つか泳ぐなよ舟あんだろ」

女兵士B「小舟とかやだ。絶対吐く」グッタリ

兵士B「なんだ揺れに弱いのかお前。そうとは知らず悪かったな」ナデナデ

女兵士B「だからなでうなああ」カクンカクン



901: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:05:30.85 ID:1EQ7ji9S0

兵士B「いやお前ちょうど撫でやすいとこに頭があんだもんよ。何cmだ?」

女兵士B「150ない」

兵士B「148くらい?」

女兵士B「たしか143」

兵士B「側近ちゃんより小せえのな」

女兵士B「年上なのに……」

兵士B「ちゃんと食ってんのかお前」

女兵士B「食っとる食っとる。もりもり食っとる」

兵士B「運動とか睡眠は?」

女兵士B「走るの超好き。がっつり寝とる」

兵士B「なんで伸びねえんだろうなぁ」

女兵士B「せめて160は欲しかった」



902: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:06:15.17 ID:1EQ7ji9S0

女兵士B「Bいくつ?」

兵士B「一応178」

女兵士B「でけえ!!」

兵士B「急に叫ぶなよびっくりするわ。そこまででかくねぇし」

女兵士B「30cmでいいからくれよ」

兵士B「身長入れ替わるじゃねえか。あと無理だ」

女兵士B「なんでそんな無駄にでかいの」

兵士B「男だからじゃねえの?」

女兵士B「D君ちっこいじゃん」

兵士B「それ本人に言うなよ、気にしてるから」

女兵士B「私だって気にしてるし!!」

兵士B「急に叫ぶなよびっくりするわ」



903: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:07:11.02 ID:1EQ7ji9S0

女兵士B「正直支給の制服もでっかい」

兵士B「袖折れよ、手ぇ隠れてんじゃん。だるだるだし」

女兵士B「引っ張ってたら伸びた」

兵士B「何故引っ張った」

女兵士B「引っ張られるの。メイドBちゃんとか超引っ張るの」

兵士B「オモチャにされてねえかそれ」

女兵士B「かも」

兵士B「いっそ切るか? ってかそうか、詰めてもらやいいじゃん」

女兵士B「詰めても引っ張られる」

兵士B「なんなんだ一体……」

女兵士B「わかんない……」



904: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:07:56.33 ID:1EQ7ji9S0

女兵士B「マフラーとか普通のでも長い」

兵士B「具体的には」

女兵士B「顔埋まる」

兵士B「そこまでか」

女兵士B「セーターも子供サイズだし」

兵士B(やばい、泣けてきた)

女兵士B「そんでまた袖引っ張られるの」

兵士B「セーターもか……」

女兵士B「っていうか服全部袖伸びた」

兵士B「半袖とかに変えたらいいんじゃねえの?」

女兵士B「1回着てみたけど」

兵士B「うん」

女兵士B「なんか、「違う……違う……」って呟いてて怖かった」

兵士B「……お前イコール袖なのか」



905: ◆TctB4xXhw6 2012/10/24(水) 22:09:18.89 ID:1EQ7ji9S0
なんか引っ張るの好きな子ってたまにいるよねって話
しかしこいつら仲良いな

無駄に長い袖とか好きな>>1でした。萌え袖って言うんだっけ?
では失礼。

ちなみに騎士Bもいました







          ほら後ろに


.

907: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:30:04.83 ID:660+NMxS0

 【ラーメン】


東の使者A「ラーメン食べたい」

東の使者B「…………」

東の使者A「…………」

東の使者B「……また唐突だね」

東の使者A「だって思い返せばもう何ヶ月も食べてないじゃんかよぅ」

東の使者B「インスタントのがなかったっけ?」

東の使者A「そんなもの来て一ヶ月で食べ尽くしたでござる」

東の使者B「ちょっ! 僕一個も食べてないよ!?」ガーン!!

東の使者A「知るかヴォケエ!! 私はラーメンが食べたいんじゃああああ!!」

東の使者B「それこそ知るかあ!! ふざっけんなぁああああああ!!」


<ギャースカギャースカギャーギャーギャー

<ギャーギャーワーワーどーたらこーたら

<ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!

<ドタドタバタバタひーこらえーこら

<ばよえーん

<オンドゥルルラギッタンディスk…アウアッ!


908: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:31:05.01 ID:660+NMxS0


 ~間~


東の使者B「よし、一旦落ち着こう」ゼー、ゼー...

東の使者A「そうね、落ち着きましょう」ヒー、ヒー...

東の使者B「っていうか魔ノ国にラーメンってないのかな」

東の使者A「ありそうなもんだけど……どうだろ」

東の使者B「訊いてみようか」

東の使者A「そうね」


909: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:31:43.69 ID:660+NMxS0

男「ラーメン屋? あるよー」

東の使者A「おお、ほんとに?」

男「一件しか知らないけど、うちの近くで屋台で店出してる人がいてさ」

東の使者B「え、男さんの家って結構山奥なんじゃ?」

男「頑固一徹ラーメン一筋、妥協を一切許さない人だから」

東の使者A「そういう問題……? いや食べられるんなら何でもいいんだけども」

男「じゃあさくっと行こうか」

東の使者B「え、今から?」

男「今から出れば開店すぐくらいに着くから。ちょっと変な道通るけどね」


910: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:33:39.39 ID:660+NMxS0

  ・ ・ ・


東の使者A「……変な道とは言ったけどさぁ」


 ギシギシ… ギシギシ…

踏板 < はみ出すなよ嬢ちゃん

崖壁 < しっかり掴まってなァ!!


東の使者A「これって道って言う!? エル・カミニート・デル・レイも真っ青だよ!!」

東の使者B「高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い……」ガタガタブルブル

男「大丈夫、落ちても下は深くて流れの遅い川だから」

男「その手前に枝葉の柔らかいよくしなる木も群生してるし、氏ぬ確率はかなり低いよ」

東の使者A「落ちるの前提にすんの止めて! Bが飛び込みかねないから!!」

東の使者B「高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い高い怖い……」ガタガタブルブル

男「壊れたからくり人形のようだ」ウム

東の使者A「しみじみ言うな! B意識をしっかり! 下を見ずに前だけ見て!!」

東の使者B「落ちれば楽になるのかなぁ……あはは……」

東の使者A「正気を保てえええええええええ!!」



※「エル・カミニート・デル・レイ」で画像検索してみよう!


911: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:34:46.23 ID:660+NMxS0

東の使者A「男君に着いて来るのを後悔したのは初めてだわ……」ゼー、ヒー...

東の使者B「むり……あるけない……あれはみちじゃない……」ゼヒー... ゼヒー...

男「そんなひどいかな?」

東の使者A「デンジャラスにも程度があらぁな!」

男「確かにたまに落ちるからデンジャーと言えなくはないか」ウン

東の使者A「落ちてんじゃん!」アリエネェ!!

東の使者B「魔族の感覚を侮っていた……」アァァ…↓

男「ははは、でもここからはただの山道だからもう大丈夫だと思うぞ」ハハハハハ

東の使者A「いや笑いごっちゃねえ、笑いごっちゃねえよ……」

東の使者B「僕ここに何しに来たんだっけ……ロッククライミング?」


912: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:36:33.96 ID:660+NMxS0

東の使者A「…………確かにっ、崖、では! な・い・け・ど・もぉ!!」ガァッ!!


地面 < 滑るから気を付けてな

岩石 < お前さらさらすぎんだよ、見ろよ俺の苔生した肌

倒木 < アタイに触ると転がるよ!


東の使者B「道? ねえ道? これ道って言うの? ねえ?」

男「わりと頻繁に使われてるれっきとした道だよ」

東の使者A「足場悪すぎ高低差ありすぎ道なき道だよ文字通りにな!!」

男「テンション高いなー」

東の使者A「誰のせいさ誰のぉ!!」ガァアッ!!

男「あんま暴れると滑るぞ」


913: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:37:25.37 ID:660+NMxS0

男「ほら、もう少しだから頑張れー」

東の使者A「まさか……はぁ、頂上まで……ひぃ、登る羽目に……ふぅ……っ」ゼーッ、ゼーッ

東の使者B「こんな……とこに……なんで……、うげぇ……」ウエップ

男「道端に吐くなよー?」

東の使者A「容赦ないわねあんた……」ゼィ... ゼィ...

男「ラーメン食いにきてゲロ踏んだら嫌すぎるだろ」

東の使者A「……あぁ、そうか。ラーメン食べに来たんだった」

東の使者B「もう修行してる気分だったよ……男さんどんどん先に行くし」アー…↓

男「そりゃ案内してるんだから先に行くさー」

東の使者B「ついていくほうの身にもなってよ、わりとマジで……」


914: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:38:17.79 ID:660+NMxS0

東の使者A「つか、こんなとこにラーメン屋なんてあるの?」

男「あるよ。むしろここしか知らない。ほらそこの岩」

東の使者A「岩ぁ?」


[絵に書いたようなラーメン屋台] ←そのまんま岩に彫ってある

[営業中] ←木札が立て掛けてある


東の使者B「」

東の使者A「モロにうちの国の言葉ァア!! なんだこれ!?」ガビーン

男「大将の出身がそっちらしくて」

東の使者A「何してやがんだ東国人!!」

東の使者B(もうつっこむ気力もない……)


915: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:40:15.43 ID:660+NMxS0

男「いつもこの岩の向こうの開けたとこでやってるんだよ」

東の使者A「これで看板通り絵に書いたような屋台があったら笑うわ」

東の使者B「ははは、いやそんなまさか」



絵に書いたようなラーメン屋台 < へいラッシャイ!!



東の使者A・B「「絵に書いたようなラーメン屋台だあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」」アアアアアアァァァァァァ...!!

 ァァァァァァァ...!!

 ァァァァァ...!!

 ァァァ...!

 ↑山彦



男「ちわーっす」

大将「おう兄ちゃん、なんだ久しぶりだなァ」

男「ちょっと色々ありまして」

東の使者A「すごい普通のオッサンが出てきた……」

東の使者B「もう何に驚けばいいのか……」

男「つっ立ってないでこっち来いよ。今なら席空いてるから」


916: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:41:53.30 ID:660+NMxS0

御品書 < 御注文受けたまァリァス!!


東の使者A「めっちゃ普通にラーメンとかチャーシューメンとか書いてあるし」ナンダコレ

男「景気はどう?」

大将「ぼちぼちといったところだな」

男「そりゃ何よりだ」

東の使者B「うわぁ、テンプレみたいな会話だぁ……」

東の使者A「ここ本国?」

男「いや魔ノ国だよ」

大将「んー? なんだい、あんたら東の出かい」

東の使者A「あ、はい」

大将「そうかそうか。そいじゃ同郷のよしみだ、今日はお代はサービスにするかねェ」

東の使者B「へ? いや、そんな悪いですよ」

大将「なぁに、どうせもともと道楽だ。他の客が来るまではゆっくりしてくんな」


917: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:42:37.64 ID:660+NMxS0

東の使者A「目の前に置かれたのは何の変哲もないラーメン」

東の使者B「鶏がらベースのしょうゆスープにメンマ、刻みねぎ、なると、チャーシューを乗せたシンプルな一品」

東の使者A「ぱっと見には普通のラーメンにしか見えないけど……」

男「いつまでも見てると伸びるぞ」

大将「悪いモンは入ってねぇから心配すんねィ」

東の使者B「いやもうここに至るまでがアレだったから……」

東の使者A「せーのでいく?」

東の使者B「うん」


東の使者A・B「「せーの」」

 ぱくっ


918: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:44:13.44 ID:660+NMxS0

東の使者A「う」ピキーン
東の使者B「ふ」キュピーン



東の使者A・B「「――――――うまあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!」」

 ウマアアァァァァ…ィ...

 ウマアァァァ…ィ...

 マァァ…ィ...

 ↑山彦



東の使者A「何これなんなの何事どうなってんの!? どう考えても普通のラーメンなのに無茶苦茶うまいんだけど!?!?」

東の使者B「………………(泣)」ハラハラ...

男「うわ、静かに泣いてるし」

東の使者A「え、何どういうこと!? なんでうまいの!?」

東の使者A「超うまいけどうまい理由が全然わかんない! なにこれこわい! うまい!! こわい!! うまい!!」

男「食べるか叫ぶかどっちかにしろよ」

大将「あっはっはっは! おもしれぇ連中じゃねえか!」ゲラゲラゲラ


919: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:45:35.26 ID:660+NMxS0

東の使者A「うわぁあ……うまいよう、こわいよう……」ズルズル

東の使者B「………………(泣)」ズルズル

男「そういや最近ミノっさん来てます?」

大将「あー、腰やったっつってからは来てねぇなァ。ガキどもはしょっちゅう来るけどよ」

男「ありゃ……結構ひどいのかな」

大将「これを機に養生したほうがいいと思うがね。長男坊もとっくに一人前だっつーのに」

男「あの人も頑固だもんなぁ……」

東の使者A「おかわり!」

東の使者B「同じく……!(泣)」

大将「おっ、あいよ! ちょっと待ってくんな!」

男「使者Bさんまだ泣いてんの……」キモイ…



 ※ミノっさん … ミノタウロスのおっさん。兵士Dの父


920: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:46:31.80 ID:660+NMxS0

「こんちゃー」

「うぃーッス。あれぇ、男じゃんよ」

男「おぉ、どうもお久しぶりです」

「どうもー。おや新顔がいるね」

男「あー、俺の知り合いです」

「大将、外の席勝手に出していい?」

大将「おう、悪いな」

「すんません席空いてます?」

「おーこっちこいこっちこい。大将ォ、ラーメン大盛りみっつ!」

大将「あいよー!」

東の使者A「……急に超にぎやかになった」ズルズル

東の使者B「みんなあの道通ってきたのかな……」ズルズル


921: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:47:28.48 ID:660+NMxS0


  ・ ・ ・


東の使者A「あんな山奥どころか山の天辺なのにあんだけ人が集まるもんなんだねぇ」

男「大将はとにかく顔が広いんだよ。近隣の農家やら猟師やらを直接訪ねて材料買い付けたりしてるし」

東の使者B「すごいタフネスだなぁ……」

東の使者A「ほんとに同郷かよと疑うレベルだわさ……」

男「ちょっとした集会所みたいになってるから、なくてはならない存在って感じなんだよね」

東の使者A「そういえば、お客の人種が異様に多彩だったけど」

男「ん? ああ、ここちょうどいくつかの領地の交錯点だから」

東の使者A「へぇ……」

東の使者A(ちょっと大将が声かけたらえらいことになりそうね……)オッカネェ...

東の使者B「それにしてもうまかったなぁ……」シミジミ

男「たしか昔、王道を限界まで極めに行く! って言ってた気がする」

東の使者A「いやもう極まってるよ、アレ以上美味くなったらリアクションで山が崩れるよ」

男「一応霊峰だから崩れると困るなぁ」

東の使者B「霊峰の天辺でラーメン屋台……」

東の使者A「スケール大きすぎでしょ……」


922: ◆TctB4xXhw6 2012/10/25(木) 22:48:49.08 ID:660+NMxS0

東の使者A「美味いんだけど、頻繁に行くには道が厳しすぎよねぇ」

東の使者B「そんな頻繁に行かなくてもやっぱり道が危なすぎ」

男「ん。じゃあ俺が作ろうか?」

東の使者A・B「「は?」」

男「昔大将に教わったし」

東の使者A・B「「…………」」



「「先に言ええええええええええええええええええええ!!」」エエエエェェェェェェ......!!



 二人の叫びは魔ノ国中に響き渡ったとかなんとか。


927: ◆TctB4xXhw6 2012/11/03(土) 10:19:13.85 ID:ksN8NF/AO

【崖】

男「女兵士Bちゃんと騎士Bさんが崖から落ちそうになっています」

兵士B「…………おう」

男「どちらか片方を助けるとその間に片方が落ちてしまいます」

兵士B「……なんだ、変な本でも読んだか?」

男「どっちを助けますか」

兵士B「聞けよコラ」

男「どっちを助けるのかって訊いてんだよ!」ガンッ

兵士B「テーブル叩くな。どっちもは無理なのか?」

男「無理という前提で」

兵士B「じゃあ一緒に落ちる」

男「その心は」

兵士B「着地をフォローしたほうが早ぇ」

男「じゃあ下がマグマだったら?」

兵士B「え、この質問まだ続くの?」

男「いいから早く」

兵士B「あー……ロープとかはなしか?」

男「全員全裸としよう」

兵士B「別の意味で一大事だろ!?」ガビーン

兵士B「てーかそもなんでその二人だよ」

男「わかってるくせに」

兵士B「顔恐ぇよ……んな事言われてもなぁ」ポリポリ

男「迷うような関係なのか」

兵士B「相手が誰だろうと迷うわ」

男「じゃあ兵士A君と兵士C君なら」

兵士B「A」

男「即決じゃねえか!」

兵士B「迷う余地がどこにある!」

男「ないな」

兵士B「だろ」

兵士C「お前ら酷くねえ!?」

928: sageとsaga間違えた ◆TctB4xXhw6 2012/11/03(土) 10:22:02.85 ID:ksN8NF/AO

【茄子】

兵士D「喧嘩した」

兵士B「おお、珍しいな」

兵士D「泣かせた。そして泣いた」

兵士B「お前もか」

兵士D「三人娘も泣いた。阿鼻叫喚の図」

兵士B「何してんだお前ら……」

兵士D「茄子を食べられないとか言うから」

兵士B「……全然わかんねぇ」

兵士D「口移しで食べさせた」

兵士B「馬鹿か」

兵士D「キスなら普通にしてほしいと怒られた。泣かせた。泣いた」

兵士B「何故泣いた」

兵士D「目撃者が壁殴ったり机叩き割ったりして阿鼻叫喚の図」

兵士B「もっとわかるように言ってくれ」

兵士D「三人娘が掃除当番だった。三人とも泣いた」

兵士B「そりゃあ……」

兵士D「阿鼻叫喚の図」

兵士B「それはもういい」

兵士D「俺のせいになった。泣いた」

兵士B「泣くなよ……」

兵士D「どうしよう?」

兵士B「何ひとつ状況がわからねえよ馬鹿」

兵士C「何? D別れんの?」

兵士D「ブチ[ピーーー]ぞデヴ」

兵士C「」

兵士B「とりあえず仲直りしてこいよ」

兵士D「もうした」

兵士B「したのかよ!!」

兵士D「うちの嫁がかわいいと言いたかっただけ」

兵士B「ノロケだったのかこれ!?」

929: ◆TctB4xXhw6 2012/11/03(土) 10:24:17.73 ID:ksN8NF/AO

【夫婦】

女兵士B「B掃除得意?」

兵士B「…………なんで?」

女兵士B「メイドBちゃんと女兵士Aちゃんが下手すぎる……」

兵士B「ああ、そういう」

女兵士B「部屋の片付けが終わらないの」

兵士B「大変そうだな」

女兵士B「もうなんなの!!」

兵士B「急に叫ぶなよびっくりするわ」

女兵士B「脱いだら脱ぎっぱなしだし」

兵士B「知らんが」

女兵士B「お菓子食べたらカス散らかりっぱだし」

兵士B「お、おお……」

女兵士B「布団も畳まないし干さないし!」

兵士B「……まさか全部お前がやってんのか」

女兵士B「そのまさかだよ!!」

兵士B「叫ぶなうるせぇ」

女兵士B「私は二人のお母さんか!!」

兵士B「ちっさいお母さんだなぁ」

女兵士B「歯くらい自分で磨いてよ! 爪くらい自分で切ってよ!」

兵士B「おま、そんなことまでしてんの!?」

女兵士B「ぶっちゃけ髪洗うのもやってる」

兵士B「急にテンション戻ったな」

女兵士B「あ、でも着替えは自分でできる」

兵士B「できなかったら大問題だろ」

女兵士B「お父さんからも何か言ってやってよ……」

兵士B「誰がお父さんか。そういうのはお母さんの仕事だろ」

兵士C「え、何お前ら結婚してたの?」

兵士B「氏ね」

女兵士B「なるべく惨めに氏ね」

兵士C「え、俺なんか悪いこと言った!?」


騎士B(今のはダメだろう……)ビキビキ…

柱 < チョ、イテエッテマジデ!!

930: sagaも忘れるというね ◆TctB4xXhw6 2012/11/03(土) 10:26:59.20 ID:ksN8NF/AO

【肥】

側近「とんと暇になりましたねぇ」

メイド「ですわねぇ」

側近「かえって退屈じゃないですか?」

メイド「あら。側近様はご趣味などございませんの?」

側近「あんまり考えたことないですね……」

側近「それより最近デスクワークばかりだったので運動不足のほうが問題で……」

メイド「あら……少し失礼します」

 ぷにっ

側近「わひっ!? ちょ、くすぐったいですよ!」

メイド「あらあら……まあまあ……なるほど」

メイド「……側近様」

側近「う、はい」

メイド「痩せましょう」

側近「」グサァッ!!

兵士C「ん? 側近さん太っ」

メイド「メイド・イン・ヘヴン!」

 ド ゴ ォ ッ !!

兵士C「ダイソンッ!」ボゴンッ!!

側近「……あれ、今誰か」

メイド「気のせいですわ」

兵士C「」

 *いしのなかにいる。

931: ◆TctB4xXhw6 2012/11/03(土) 10:28:19.59 ID:ksN8NF/AO

【夜】

兵士C「俺が何をした……」ズーン…

兵士A「それをわかってないからダメなんだよ」

兵士B「他人の会話に割り込むなよデヴ」

兵士D「しかも面白くもない」

兵士C「いいじゃねえかちょっと混ざるくらいよおおおおおお!!」ァァァァァァ…!

兵士A「特に仲良くもないやつに話しかけられたら普通はヒくよ」

兵士C「ヒくなよ!」

兵士B「ヒくわ」

兵士C「ヒくなよ!!」

兵士D「じゃあ押す」

兵士B「屋上から」

兵士A「命綱なしでね」

兵士C「遠回しに飛び降りろと!?」

兵士B「いやいや、そうじゃねえよ」

兵士C「じゃあなんだよ」

兵士B「氏ねっつってんだよ」

兵士C「素直すぎるだろ!!」


男「廊下にまで響いてら」

後輩メイド「賑やかッスねー」

大賢者「阿呆の群じゃの」


 こうして魔王城の夜は更けていく……。

935: 小ネタ1個しか上がらんかった…… ◆TctB4xXhw6 2012/11/17(土) 20:26:19.21 ID:1E/Q1MgAO

 【骨】

兵士C「膝枕されてみたい」


兵士A「……」←無視して読書開始

兵士B「……」←シカトしつつ茶ァ飲んでる

兵士D「...zzZ」←椅子で寝てる


兵士C「せめてなんか反応をおおぉぉぉぉ!!」

兵士A「キモい」

兵士C「キモかねえだろ!」

兵士B「いやキモいわー」ナイワー

兵士C「キモかねえだろおおおお!!」

兵士D「...zzZ」スヤスヤ

兵士A「今ならDのひざが空いてるよ」Go.

兵士C「違ェよ!女子にしてほしいの!」

兵士B「そんなら彼女に頼めよ面倒くさいな」

兵士C「いねええええええええよ!!」

兵士A「うっぜぇ……」

兵士B「じゃあ作れよもう、ほんとに」

兵士C「できたらやっとるわ!!」

兵士A「じゃあ素直に諦めなよウザいな」

兵士C「ウザがるなよ!少しは相談に乗れよ!」

兵士A「痩せなよ」

兵士C「痩せたわ!!」

兵士B「え、痩せたのか?」

兵士A「うわぁ、他人の意見に流されてるこいつ」ウワー

兵士C「そこでヒくなよ!」

兵士A「でも体格変わってないじゃん」

兵士B「ほら、こいつ骨格が既に、ほら、な」

兵士A「あー」

兵士C「はっきり言えよ畜生!」

兵士AB「「デヴ」」

兵士C「デブじゃねええええよ!!」


937: ◆TctB4xXhw6 2012/12/02(日) 21:56:42.14 ID:zfsp8Fvb0

  【M】


  ~ 食堂 ~


兵士C「優しくされたい……」

兵士A「何だよ急にキモいな」

兵士C「それだよ!」

兵士B「どれだよ」

兵士C「みんな冷てぇんだよ! 主にお前らのせいで!」

兵士A「人のせいにするとか何様?」

兵士B「単に自業自得だろ」

兵士C「それだよおおおお!!」

兵士B「どれだよ……」

兵士A「意味わかんね」

兵士C「お前らがちょいちょい冷たいからみんな真似すんだよおおおおおお!!」

兵士D「...zzZ」


938: ◆TctB4xXhw6 2012/12/02(日) 21:57:50.83 ID:zfsp8Fvb0

女兵士B「また叫んでる」

女兵士A「にぎやかだよね」

メイドB「Dくんねてるー」

女兵士A「ちょっとすごいよね」

女兵士B「何で太らないんだろう……」

メイドB「夢魔族、別名ナイトメア。本来は夜行性であり、日中の行動は負担が大きく通常より多くのエネルギーを必要とする。基本的には食事による

エネルギー摂取で消耗分を補うが、睡眠時に体を冬眠と近い状態にすることでエネルギー消費を抑えることが可能で、日中の行動時には食事と併せ

て長時間の睡眠をとるのが一般的となっている。その燃費の悪さからいくら食べても太ることがなく、あたかも体内にブラックホールがあるかのようで

ある」スラスラ

女兵士A「そうなの!?」

メイドB「しらない」フルフル

女兵士B(なんで嘘を言うときだけ流暢になるんだろう)


939: ◆TctB4xXhw6 2012/12/02(日) 21:59:20.98 ID:zfsp8Fvb0

男「混んでるなぁ…っと」

兵士B「おお、男か。こっちゃこいこっちゃこい」チョイチョイ

男「お前、なんかオッサン臭いぞ」座るけども

兵士B「三十路手前なんだから間違っちゃいねえだろう」

男「さり気なく他人を巻き込むな」

男「Cさん突っ伏してどうしたんだ?」

兵士C「みんなが冷たいんだ……」

兵士A「そしてそれを周りのせいにしてるんですよ。氏ねばいいのにね」ニコッ

兵士C「いい笑顔で言うなよ!」

男「なんだいつも通りか」

兵士B「いつも通りだ」ウン

兵士C「ほら冷たい! もっと優しく!!」

男「でも俺達が優しくしたらCさんつまらないでしょう」

兵士C「誰がドMか!」

兵士B「お前だろ」

兵士C「ドMじゃねえよ!」

兵士A「そんなこと言ってー」

兵士C「ドMじゃねえええよ!!」


940: ◆TctB4xXhw6 2012/12/02(日) 21:59:50.00 ID:zfsp8Fvb0

女兵士B「あ、ダイオーだ」

女兵士A「ほんとだダイオーだ」

男「ん? あぁ、女兵士Bさん達か」

兵士B「おお、何気にいたのか。お前らもこっちこい」チョイチョイ

メイドB「なになになーにー?」ピョコピョコ

兵士A「兵士CがドMっていう話だよ」

兵士C「違うよ!? みんなが俺に冷たいって話だよ!!」

女兵士B「……普通じゃん」

女兵士A「だねー」

兵士B「ほれみたことか」

兵士C「お前らのせいだよ! お前らのせいだろ!!」

女兵士B「うるせー……、ねえBちょっとこいつの首もいでよ」

兵士C「もげねえよ!?」

兵士B「いやイケるイケる」スッ

兵士C「もげねえよおおお!? やめろ手を伸ばすな!!」

男「やっぱ楽しそうだよね」

女兵士A「だーねー」

メイドB「せやねー」


948: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:24:46.45 ID:EyW1yqA/0

  【勤】


 ――その日、執務室では書類が宙を舞っていた。

大臣「バツ!バツ!バツ!マル!マル!バツ!マル!バツ!」
  ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

大臣「バツ!だあああああ!これもこれもこれもバツ!! 書類不備多すぎだ馬鹿野郎!!」

側近「移動費滞在費食費燃料費水代寝具虫除け動物除け仮設照明……」ブツブツ...

ソロバン < カカカカカカカカッカカカカッカカカカカカカ!!

後輩メイド(指の動きが速すぎて全く見えないッス……)スゲェ

騎士A「この山再計算に回して。こっちは全部つっ返して書き直させて」

後輩メイド「はいッス」

男「俺農家なのに何で書類チェックとかしてんすかね……」

兵士長「それは君が魔王だからさぁー―っ!」←いい笑顔

男「代理です」

兵士長「そうでした」


949: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:25:39.41 ID:EyW1yqA/0

メイド「失礼します。追加の書類が届きましたわ」フラフラ...

台車 < アー、軋ム軋ム

書類の山A(目測120cm) < チハァーッス
書類の山B(目測140cm) < ヨロシコー

男「oh...」

兵士B「どっから出てくるんだこれ」

兵士A「明らかに人手が足りない件について」

男「そもそもデスクワークがこなせる人材が少なすぎる……!!」

メイド「元々側近様と大臣様のツートップで持ちこたえているようなものですし」

男「……帰ってきたらまずそこから手をつけよう。そうしよう」ウン

騎士A「それよりまず目先の仕事をしましょうよ。日が暮れますよ?」

男「終わると思う?」

騎士A「終わらないと思います」

大臣「為せば成る!」カッ

兵士長「為さねば成らぬ!」クワッ

  バターン!

ドア < グヘァッ!!

騎士団長「何事も!!」キリッ

おっさん三人「「「どやぁ……!」」」

兵士B(口で言った……)

男(口で言った……)

後輩メイド(馬鹿がいるッス……)


950: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:26:18.44 ID:EyW1yqA/0

騎士団長「それはそれとして人手拾ってきたぜ」

女医「ちくしょおおおおおお!!はなせえええええええええ!!」ジタバタ

東の使者B「」←気絶

女兵士B「何で私まで……」プラーン

騎士団長「せい」

女医「えぷっ!」ビターン

東の使者B「もっふ!」ゴチーン

女兵士B「うわっちち」シュタッ

騎士団長「じゃあもう一回行ってくるわ」

兵士長「よろしこー」

  タタタタタタ……

東の使者B「」

男「一人氏んでるんだけど」

兵士B「放っとけ、そのうち生き返るだろ」


951: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:27:27.20 ID:EyW1yqA/0

女医「ええい、こんな修羅場にいられるか!私は自分の部屋(医務室)に戻るぜ!!」バッ

男「わんこ」

後輩メイド「確保ッス」ガシッ

女医「うおおおおおおおお!HA☆NA☆SE!!」ズルズルズル...

後輩メイド「一名様ご案内ッス」

大臣「いらっしゃい(暗黒微笑)」

兵士長「Welcome to underground.」フヒヒ...

兵士B「んでここの記入チェックして」

女兵士B「ふんふん」

側近「木材石材石油縄藁水モルタル鶴嘴スコップ猫車ロードローラー……」
  カカカッカカッカカカカカッカッカカッカカカカカカカカカカカ!!!!

ソロバン < WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!

東の使者B「――っは! き、筋肉の壁!?」

兵士A「起きるなり何言ってんのコイツ」

男「精神をやられたか……」

東の使者B「え、なにこれ何の騒ぎ?」


952: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:28:04.54 ID:EyW1yqA/0

男「二ヶ月先までの分とはいえこの量はやばいって……」

男「うし、ひと山終わり。はい次!」

メイド「どうぞ」

  ズ ン ッ!!

書類の山(目測210cm) < Hello!!

メイド「それと」

  ド ス ン ッ!!

書類の山(目測190cm) < ヘイホー

メイド「さらに」

  ズ ゥ ゥ ゥ ン!!

書類の山(目測240cm) < ポポポポポポ…

男「」

男「 あ り え な い で しょ ! ? 」ゴーン!!

兵士B(アカン)

メイド「ちなみにここまででようやく三割といったところです」

男「聞きたくなかった!!」

兵士A「生きて帰れるのだろうか……」


953: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:28:36.67 ID:EyW1yqA/0

騎士C「どっせい!!」

  バゴォーン!!

ド/ア < アッー――――――!!!!

騎士C「はい人員追加ァ!!」

男「ドアを壊すなアアァァァァァァァ!!」

騎士C「あれっ、怒られた!?」

後輩メイド「無駄な仕事が増えたッス……」

薬師「――――」ボー…

騎士B(兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事……)

兵士B「おー、騎士Bこっち手伝えこっち」チョイチョイ

女兵士B「む……」

騎士B「あ、はい」

騎士B(兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事兵士B殿と仕事……)

騎士B(――ハッ! こ、これは共同作業というものでは!?)

騎士B ニヘラ…

兵士B・女兵士B「「!?」」ビクッ!!


954: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:29:20.87 ID:EyW1yqA/0

大賢者「……ワシはこういうのはさっぱりなんじゃがの」

メイド「大賢者なのにですか?」

大賢者「ワシは魔法以外はからっきしじゃからの!」キリッ

メイド(じ、自慢にならねぇ……!)←ヒきすぎて一瞬素に返った

男「とりあえず魔法関連の専門知識貸してもらえればいいんでこっちきて下さい」

大賢者「ふむ。では邪魔するぞぇ」チョコン

男「……こっちとは言ったけれども何故膝に」

大賢者「おさまりがよかろ?」フフン

男「……まあいいか」

側近「…………」
  ミシミシミシ…

ソロバン < アッ、アッ、アッ…!!

後輩メイド「あああ、余計な仕事が……」

大臣「執務室でイチャコラしてんじゃねえええええええええええよ!!」

騎士B「ひっ! ご、ごめんなさい!」

女兵士B「えっ!?」

兵士B「えっ!?」

騎士A(騎士Bのイチャコラの定義が甘すぎて切ない件について)

兵士A(基本ポンコツですからね、騎士Bさん)

騎士A(辛辣だね)

兵士A(正直見ててすっげえイライラするんですよ)

 ※テレパシー


955: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:30:05.09 ID:EyW1yqA/0

大賢者「叫ぶでないハゲめ。やかましいわ」

大臣「いいや、叫ぶね! 何故なら俺はハゲではないから!」

兵士長「いやハゲだよ」

兵士B「ハゲだろ」

騎士A「ハゲでしょう」

兵士A「ハゲですよ」

女兵士B「どの角度から見ても」

男「反論の余地も無いほどに」

騎士C「紛うことなく」

メイド「ハゲですわよ」

大臣「馬鹿野郎! ハゲはハゲでも天辺だけだこの野郎!!」

東の使者B「止めてください! ハゲにだって人権はあるんですよ!?」

大臣「唐突になんだ!?」

薬師「――毛生え薬――――要る――――?」

騎士B(まざり損ねた……)

側近「人件費保険料技術料特別褒賞扶養手当交通費残業手当税金云々……」
  カカカカカカカッカカカカッカカッカカカカカカッカカッカッカッカッカカカカカカ!!!!

後輩メイド「お茶淹れてきたッス。みんな一休みするッス」

全員「「「はーい!」」」


956: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:30:46.29 ID:EyW1yqA/0

パティシエ「やあどうも、差し入れですよ」

側近「」ガタッ

男「側近さん、ステイ」

後輩メイド「特製S.V.ミルフィーユはあるッスか!?」

パティシエ「ありません」

後輩メイド「わう」ズコー

男(パティシエさんナイス判断)

パティシエ(また争奪戦(>>53以降参照)を起こされたらかなわないからね)

 ※テレパシー

パティシエ「代わりといってはなんですが、新作の試食をお任せします」

女性陣「「「!」」」ガタタッ!!

パティシエ「人数分あるので取り合ったりしないで下さいね……?」マジデ

男(パティシエさんry)

パティシエ(また争奪ry)

 ※テレパシー


957: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:31:41.37 ID:EyW1yqA/0

女兵士B「…………」ウツラウツラ

兵士B「おお、しっかりしろB」

騎士B「はっ! すみません!」ハッ

兵士B「いやそっちじゃなく」

東の使者A「ちーっす。手ぇ要る?」

全員「「「要る」」」 即答

東の使者A「そんなにか……」

男「何気に外がもう真っ暗だし」

大臣「タアアアァァァァァァフネエエエェェェェェェェェス!!!!」
  ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

兵士長「うるせえハゲえええええええええええええええ!!!!」
  シュバババババババババババババババババババ!!!!

側近「浄清空虚六徳刹那弾指瞬息須臾逡巡模糊漠緲埃塵沙繊微惚糸毛厘分割……」
  カカカコココココココココココココココココココココココココココココ!!!!

騎士A「この三人の異常な持久力ったらないよね」

女医(側近ちゃんが呪文呟いてるみたいで怖ぇ……)

女医「ほらアンタらはこの薬飲んで湿布貼って寝ときな」

兵士A「もはや腕も上がらない……」

東の使者B「っていうか変な色になってないこれ……?」内出血で…


958: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:32:17.55 ID:EyW1yqA/0

メイド「今のペースを維持すれば明日には全て終わりますわ」

大賢者「ほう」

メイド「ただし徹夜前提で」

兵士B「頃す気か!?」

メイド「はい」ズバッ

兵士B「」

男「どんだけ時間がかかるかわからないとはいえ、二ヶ月分は無理があったか……」

側近「そういえばいつ“潜る”んでしたっけ」
  ココココココココココココココココココココココココココココココココ!!!!

ソロバン < モエアガレオレノコスモォォォォォォォォォ!!

後輩メイド(指が止まって見えるッス……)

男「ん、ちょうど一週間後だね」

カレンダー < チナミニマダ11月ダゼ

兵士長「最短記録が三日で最長記録が一年だってさー」

騎士A「随分ブレますね」

兵士長「まあ平均は一ヶ月強なんだけど」

大臣「何食って生きたんだそれ……」

兵士長「湿度がひどいからキノコとかじゃない?」

男「毒草毒茸の知識が完璧な俺に氏角はなかった」

兵士B「サバイバル能力競う大会じゃねえよ」


959: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:33:06.97 ID:EyW1yqA/0

男「というか、氏んだらどうやって確認するんだろう」

兵士長「氏んだ例がないからわっかんねー」

メイド「不適正なら初めから降りられませんから」

男「あー、じゃあ入れる時点でもう結果は決まったようなものってことか」

兵士長「まあ正直そんなもんだね」

男「Bは降りたことあるんだっけ?」

兵士B「ん? ああ、途中で止めたけどな。よっと」ヒョイ

女兵士B「...zzZ」スピー

男「中断可能なのか」

兵士B「いやもうメンドくせぇし飽きたしそもそもやる気なかったから壁ブチ抜いた」

騎士A「ちょ!?」

兵士B「『証』は取らなかったから失格になってたなぁ」

兵士長「別のところに原因がありそうな……」

後輩メイド「毛布持ってきたッス」

兵士B「おう、さんきゅ」


960: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:33:46.45 ID:EyW1yqA/0

男「なんか思ってたより難しくなさそうだな」

兵士B「ぶっちゃけ降りるだけなら落とし穴探して跳ぶとすぐだぞ。無論罠だが」

男「罠じゃダメだろ」

兵士B「まあそうか」

騎士A「中ってどうなってるんです?」

兵士B「まあ文字通りのダンジョンだな。下の入り口から入ると罠だらけで進めねえらしい」

男「そりゃ魔王城直通ルートなんだからそうだろう」

兵士B「七不思議のひとつの『閉鎖された地下室』もダンジョンのことだしな」

男「あぁ、それで閉鎖されてるのか」

兵士B「戻ろうとしたら罠が起動するからって理由で立ち入り禁止なんだよ、あれ」

騎士A「……もしかして地下室から響く謎の呻き声って」

兵士B「前に魔王が出られなくなった時のやつだな」

男「なにしてんだあの馬鹿……」



◆魔王城七不思議『閉鎖された地下室』

 一度入れば出られないと言われる謎の地下室。

 閉ざされた扉の向こうからは正体不明の呻き声が響き続けているという。

 一説には氏後の世界に繋がっているのではと言われている。


961: ◆TctB4xXhw6 2013/01/13(日) 23:34:35.31 ID:EyW1yqA/0

メイド「はいはい、雑談はそこまで。急がないといよいよ時間がなくなりますわ」

男「ああっと!!」

兵士B「ちょい腹ァ減ってきたな」

薬師「――食べる――――?」スッ

蠢く謎の固形物 < オンギャアアアアア!!

兵士B「…………いや、それは要らない」

薬師「――――そ」

男(なんだ今の……)

側近(何か懐かしいものが見えた気が……)

兵士B(今のは食べるようなものなのか……?)



 そんなこんなで忙しい夜は更けていく。




967: ◆TctB4xXhw6 2013/02/27(水) 00:04:45.85 ID:xGMjjoLjo
と、とりあえず生存報告と簡単な連絡を
ちゃうんです。ここはあとツギハギして縫い目を整えるくらいでええはずなんです
ただそれをする暇すらないだけなんです、マゾで。いやマジで
待たせるばかりでほんとに申し訳ない

で。

とりあえずですね、他2スレに少しでも集中できるようにここはこのスレで一度区切ろうかと
まともに更新できなくなって久しいですし、余裕が持てるようになってからまた同じようなの建てようかなぁと
その際はあくまで「過去スレを読んでるとちょっとニヤニヤできる」くらいにするつもりなんですが、男を中心にした人外達の暮らしは今と変わらずなんかちょっとアレな感じのままなんじゃないですかね
あくまで予定というか、私個人の希望のようなものなんですけどね

まあその話はまた最後に
今週末はがんばりますよー(急な仕事さえなければですが……)

971: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 21:55:30.13 ID:UOc/uNnH0
なんとかエピローグでっち上げ
当初の予定とはだいぶ違う上にかなり無理矢理
アンド過去に出た設定と矛盾が出まくってたりするけどあまり気にしないでもらえれば助かりまする

読みやすいように安価表も貼ると言ったけどあれは嘘になるかもしれない

972: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 21:56:58.17 ID:UOc/uNnH0

 12月──


メイドB「最近ダイオーいないね」

女兵士A「ねー」

女兵士B「なんか地下に潜ってるらしいよ」

メイドB「ちか?」

女兵士A「ダイオーってモグラ?」

女兵士B「たぶん違う。なんかねー、魔王城の下にでっかい遺跡があるんだって」

メイドB「ふんふん」

女兵士B「でー、正式に魔王になるのに一番下まで行かないとなんだってさー」

女兵士A「なにそれー」

女兵士B「知らなーい。なんかあるんじゃない?」

メイドB「ミミズとか」

女兵士B「モグラか」ビシッ

女兵士A「ダイオーってモグラ?」

女兵士B「たぶん違う」

メイドB「モグラダイオー!」オー!

女兵士B「それじゃモグラの王様じゃん」

女兵士A「ダイオーモグラ!」ラ!

女兵士B「……ほんとにいそうだ」

メイドB「地下を最高時速200kmで掘り抜ける世界最大、最速のモグラ。
 その嗅覚は星の裏側で誰がすかしっぺをしたか嗅ぎ分けるほど。
 ヒレに似た形状の巨大な爪を用いて毎時20tもの土を掻き出す。
 眼は退化し土竜族共通の弱点たる光を完全に克服したが、嗅覚に頼っているため近距離での強い臭気に極めて弱い」スラスラ

女兵士A「いるの!?」

メイドB「しらない」フルフル

女兵士B(なんで嘘を吐く時だけ流暢になるんだろう)



兵士A「今どの辺りなのかなぁ」

兵士B「んー、まあまだ精々上層の真ん中辺りじゃねえ?」

兵士A「下の地表より下が下層なんだっけ」

兵士B「俺も下層までは降りたことねぇけどな」

兵士A「そういえば中にいる間食糧とかどうするんだろ」

兵士B「結構自生してるキノコとかが食えるぞ。あと魔物」

兵士A「うわぁ……あんまり想像したくないなぁ」

兵士B「サバイバル耐性ないとキツいわな。まあ、男なら問題ねーだろ」

兵士A「サバイバル慣れしてる魔王ってのもどうなの?」

兵士B「それを言っちゃあお終ぇよ。つーか前にもこの話しなかったか」

兵士A「正直あの日の記憶がない」

兵士B「限界を超えたか……」

973: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 21:58:16.88 ID:UOc/uNnH0

東の使者A「人事調整かぁ」

東の使者B「僕らには関係ないんじゃないの?」

東の使者A「いやさぁ、もしかしたら男君がこっちに来ることもなくなるのかなーって思って」

東の使者B「ああ……そっか、もしここでも外交官を別に立てるようになったら、そうなるのか」

東の使者A「接点がなくなるなー……」イジイジ

東の使者B「普通に遊びに行けば? 仕事はしてもらわないと困るけど」

東の使者A「いやさーでもさー、考えてみたらうちらもいつ帰国するかわかんないじゃん」

東の使者B「あー」

東の使者A「いつまでバカやってられんのかねー」

東の使者B「バカやってる自覚あったの!?」ガビーン

東の使者A「んー……」

東の使者A「……ま、なるようになるかねー」

東の使者B「うわ自己完結してるし」

東の使者A「ところでコタツ火ぃ点けていい?」

東の使者B「いいけど、その前に重ね着しなよ」

東の使者A「服とか重い。いっそ全裸で生きたい」

東の使者B「止めて下さい。本国のモラルが疑われます」



メイド「後輩メイド、ちょっと」

後輩メイド「なんッスか?」

メイド「貴女のメイド服を新しくするから、採寸に行くように指示が来てるわ」

後輩メイド「ウィ? 自分は今のままでいいッスよ?」

メイド「ダメよ。立場が変わるのだから、他と同じままでは示しがつかないもの」

後輩メイド「立場ッス?」

メイド「そう。男様がお戻りになられたら、正式に貴女が専属になるのよ」

後輩メイド「あんちゃん専属ッス!?」キラキラ

メイド「ええ。ただその代わり、私も総侍従長になって現場統括は貴女の仕事になるから、負担が増えると思うけれど」

後輩メイド「大丈夫ッス! あんちゃんのためなら火の中水の中ッス!」ビシッ

メイド「もう、そうやって無理をして風邪を引いたのは誰だったかしらねー」

後輩メイド「わう!? も、もうあんな風にはならないッスよ!」ワタワタ

メイド「そのために、も」ピッ

後輩メイド「ウィ?」

メイド「ちゃんと他のメイドやバトラー達の手も借りて。全部自分でやろうなんて思わないで」

メイド「貴女が倒れたら、男様にも心配をかけてしまうのよ? わかるわね?」

後輩メイド「はいッス!」ビシッ

メイド「よろしい」ニコッ

974: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 21:59:39.88 ID:UOc/uNnH0

 1月──


『こちら機甲士団第四小隊。侵入者の殲滅を完了した。これより帰還する』

獅子王「了解。ご苦労だった」

老紳士「指揮を執らせてすまないね。もはやこの老いぼれの身では警戒網を維持するのが関の山だ」

獅子王「長い付き合いなのです、遠慮なさるな。しかし、少数とはいえこう何度も侵入を許すとは……」

老紳士「初代陛下の結界が保たなくなるのが先か……“彼”が決着を着けるのが先か、といったところかな」

獅子王「しかし、もう一年ですか」

老紳士「焦ってはいけないよ。我々は千年を待った。それに比べれば、一年も二年も短いものさ」

獅子王「新たな勇者の動向は掴めないままなのです。不安にもなりましょう」

老紳士「君が弱音とは珍しいね」

獅子王「勇者の力……その威力は身をもって知っておりますゆえ」

老紳士「ああ……。だが、案外なんとかなると思うよ?」

獅子王「楽観的ですな……」ハァ...

老紳士「悲観的になるよりマシさ。何事も前向きに」

老紳士「我々は氏ぬためにいるわけではないのだから」



騎士A「自分が副団長に、ですか?」

騎士団長「ああ。兵士長の爺さんもそろそろ歳だろ? 仕事を減らす意味でもいい加減誰かにやらせようと思ってよ」

騎士A「人望に関して言えば騎士B、実力なら騎士Cさんのほうが上だと思いますが……」

騎士団長「騎士Bには別の仕事だ。それに、俺の右腕って意味じゃお前の実力は問題ねえ。むしろ作戦指揮のほうが重要だ」

騎士団長「お前、自分が思ってるより求心力あるからな。いざって時にゃあ総指揮までやってもらわにゃならんし」

騎士A「そうは言いますが……」

騎士団長「嫁さんがいるとこ悪いんだがな、正直俺はお前しかいねえと思ってる」

騎士A「はあ……」

騎士団長「まあそう難しいこっちゃねえさ。いざってことにならねえように手を打つのも仕事のうちだしな」

騎士A「っていうか、休み減ります?」

騎士団長「あ、そこ!? そこ気にしてんの!?」

騎士A「大事なことですよ。大臣さんとか見てますから特に」

騎士団長「ありゃヒドい例だろ……まあ、そんな変わんねえだろ、多分、頑張れば」

騎士A「この話はなかったことに」

騎士団長「そんなつれないこと言うなよ」

975: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:01:16.79 ID:UOc/uNnH0

町娘「なんだか慌ただしいですね」

パティシエ「そう見えますか?」

魔剣『むしろ祭の前日のような雰囲気を感じるな』

パティシエ「まあ、似たようなものかもしれませんねぇ」

魔剣『む、そうか例の……』

町娘「?」

パティシエ「しばらくすればわかりますよ。紅茶のおかわりは?」

町娘「あ、いただきます」

パティシエ「はい」ニコッ



大臣「」ズーン…

側近「大臣さん、どうかなさったんですか?」クライ...

兵士長「とうとう離婚が決まったんだってさ。親権も取られてついに独り身に……」ナムナム

大臣「俺が何をした……何もできなかったのが悪いのか……」ブツブツ

側近「ちょっと怖いんですけど……」

兵士長「そのうちケロッと治るさ~。それより新魔王君の心配したほうがいいんじゃない?」

側近「大丈夫ですよ」

兵士長「それは楽観かい?」

側近「いいえ、信頼していますから」

兵士長「うはぁ、アツい! アツいなあ!」ケタケタ

側近「はい?」

兵士長「でも万一戻ってこなかったらどうするんだい?」

側近「氏にます」

兵士長「えっ」

側近「氏にます」

兵士長「えっ」

976: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:02:20.84 ID:UOc/uNnH0

 3月──


大賢者「……ふむ、風が変わったの。男めようやく大分下まで降りたと見える」

騎士B「よくわかりますね」

大賢者「伊達に長く生きてはおらんよ。王の資格を持つ者が近付くほど、かの地は強く共鳴するでな」

騎士B「大賢者様は地下にあるものをご存知なのですか?」

大賢者「詳しくは知らんがの。初代が残した最後の遺産、だそうじゃ」

騎士B「遺産、ですか」

大賢者「うむ」

兵士C「周辺の調査終わりましたよ」

兵士D「眠い……だるい……」

騎士B「ご苦労。戻って休みなさい」

兵士C「うス。ほらD起きろっての」

兵士D「運んで」

兵士C「しょうがねえな……」



大賢者「兵士Dめはよう寝よるの」

騎士B「愛らしいではないですか」

大賢者「あまり甘やかすでないぞ。次の主が難儀するじゃろ」

騎士B「騎士Dなら気にも留めないでしょう。彼女はおおらかですから」

大賢者「それはそれで困りものなのじゃが」

騎士B「……それより私は自分のほうが不安でもうヤバいです」カタカタ...

大賢者「んん? おお、そうか確か次は」

騎士B「タンマで。口に出して言われると緊張がもはやマッハです」ガタガタ...

大賢者「ヘタレじゃのう」

大賢者「やれやれ、兵士Bも苦労しそうじゃなぁ」



兵士B「ぶえーっく!」クショイ!!

兵士A「うわ汚っ!」

兵士B「おぅ、すまん」

兵士A「何、花粉?」

兵士B「いや、それはないはずなんだが。誰か噂でもしてんのかね」

兵士A「いよいよBの生え際が怪しくなってきたとか?」

兵士B「根も葉もない嘘を定着させようとするのやめろォ!!」

兵士A「そうだね、毛根がないね」

兵士B「あるわ! むしれるほどあるわ!」

兵士A「少ない毛と書いて毟る。自虐ネタとは落ちたね」フッ

兵士B「はっ倒すぞテメェ」

女医「正門のど真ん中で漫才やってんじゃないわよ」

977: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:04:11.43 ID:UOc/uNnH0

後輩メイド「」グデーン

側近「」チーン

メイド「あらあら」

兵士長「おお!? なんだいこの有り様」

後輩メイド「あんちゃん成分が切れたッス……」

側近「男さん男さん男さん男さん男さん男さん……」ブツブツ

兵士長「側近ちゃん怖ぇよ!?」

メイド(洗濯しないでおいた衣類の匂いを嗅がせるなどして誤魔化していたんですが、とうとう限界のようでして)

兵士長(こいつ直接脳内に……!)

兵士長(というかこの子たち変態だァー―――!!)

メイド「ところで何か御用ですか?」

兵士長「あ、忘れてた。みんな東棟ホールに集合だって」

後輩メイド「集合ッス?」

兵士長「なんか預言師さんがもうすぐ男君帰ってk」

側近「さあ行きましょうぐずぐずしている暇はありませんさあさあさあ!」

後輩メイド「二人とも置いていくッスよ早く!」

兵士長「……速っ!」

メイド「あらあら」ニコニコ



大賢者「あまり急に呼びつけられては面倒で敵わんのじゃがの」

預言師「すみません、ギリギリまで予見が出来なかったもので」

大賢者「ふむ。ま、下は異世界のようなもんじゃからの」

騎士団長「飾り付けこんなもんでどうよ」

騎士A「いいんじゃないですかねぇ(棒)」

兵士B「何してんだよアンタ……」

騎士団長「少しでも盛り上げてみようかと思ってよ」ドヤッ

兵士A「普通に迎えてあげれば十分でしょうに」

側近 ソワソワソワソワ

後輩メイド ウズウズウズウズ

東の使者A「うわ何この人数」

<大将!バルコニーの花ァこんなモンっすかねぇ!

騎士団長「悪くねえがもっとだ! もっと飾り付けろ!」

兵士B「どこまでやる気だ!?」

東の使者B「え、何、お迎えじゃなくてパーティーなの?」

薬師「――――大騒ぎ――」

魔剣『やれやれ、男は帰ってくるというのに我が主は今頃何をしているのやら』

女医「うわっ、あんたら居たの?」

町娘「あはは……どうも、お呼ばれてしまいました」

978: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:05:22.29 ID:UOc/uNnH0

商人頭「ちわーす。坊主が戻って来るって?」

商人下っ端「親父、先に仕事だ仕事」

兵士C「おう商人ズ、久しぶりだなぁはっはっは!」

パティシエ「おやおや、料理足りますかね」

メイド「お手伝いしますわ」

メイドB「わたしもー」

女兵士A「うぇーい!」

女兵士B「え、二人とも料理できたの!?」

二人「「んーん、できない」」

メイド「隅っこでおとなしくしていて下さい」



兵士B「なんか殊の外大所帯になってんな」カチャカチャ

兵士A「卓一個しかないから困るよねぇ」ジャラジャラ

兵士C「お前らなんでいつの間にか雀卓囲んでんの!?」

東の使者B「いやだって暇だしさ」

大臣「今なら天和も出せる気がする……絶望の力で」

兵士B「まだひきずってんのかあんた……」

兵士D「…………」スヤスヤ

女兵士B「ねえB、ダイオーってどこから戻ってくるの?」

兵士B「なんで俺に訊く。預言師に訊いてこいよ」

預言師「お呼びですか?」

女兵士B「うひゃい!?」ビクッ

兵士A「あ、ちょうどいいや。男――っと、魔王が戻ってくるのってどこから?」

預言師「ああ、それはですね……」



扉 < オレタチノデバンダゼ、ノブゥ!!

ノブ < ヒサシブリスギルゼェ…



騎士団長「はーい、全員静粛に静粛にぃ」パンパン

<ウィース

預言師「もうまもなく男さん、改め新魔王陛下がご帰還なされますので」

<オオォー

東の使者A「ただのお出迎えがお祭り騒ぎだねぇ」

大賢者「毎度大体こんなもんじゃ」

預言師「えーと……」チラッ

古時計 < ナニミテンノヨォ!!

預言師「あと30秒ほどですね。皆さんお迎えの用意は宜しいですか?」

<ハーイ

979: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:06:39.67 ID:UOc/uNnH0

側近「」ガタッ

後輩メイド「」ガタタッ

兵士B「A、側近ちゃん抑えとけ」

兵士A「ほら二人とも落ち着きなって」

預言師「! 来ますよ!」

<ガタッ!

騎士団長「うおっ!?」ビクッ

大臣「一斉に動くなよ怖えよ!?」


 ガタッ!


大臣「だから怖えって!」

兵士長「いや今の音は違うよ?」

大臣「ん?」


 ガチャガチャ ガチャ…


ノブ < イテテ、モウチョットヤサシク…

扉 < アレ、コノパターンマエニモ…


「またか、ここたてつけ悪いのかな」


後輩メイド「!」ググッ

兵士B「ちょ、力強ぇ!」

側近(男さん男さん男さん男さん男さん男さん……)ジリジリ

兵士A「側近さんストップストップ!」


「……仕方ない、壊すか。せーの」


扉 < ア、チョ、マ

980: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:09:04.37 ID:UOc/uNnH0

「 そ ぉ い !」



扉 < ウ、ウワアアアアアア!!


 ド ゴ ォ ン !!


 戸/
 ./非 バキィッ!!


ノブ < ト、トビラァァァァァァァ!!



「うわっぷ、ホコリすごっ、げほっ、ごほっ!」


メイド「……掃除担当は誰だったかしら」

メイドB「はーい」挙手

メイド「減俸1ヶ月ね」

メイドB「!?」


「あーもう、後でわんこに直して貰わないと……って、あれ?」


兵士A「あ、駄目だ腕限界だ」パッ

兵士B「同じく。すまぬ男」パッ


男「みんな集まって……何ごt」

後輩メイド「あーんちゃあああああああああああん!!」

側近「男さん男さん男さん男さん男さん男さん男さん 男 さ ん !!」

男「ファッ!?」


 どーん!!


男「ダブルタックル!?」グハッ

男「ちょ、ここ後ろ階段……あ」グラァ…


<あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ……!



   ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ……ドシーン!!



騎士団長「……落ちたな」

大賢者「落ちよったの」

981: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:10:39.35 ID:UOc/uNnH0

男「帰って早々階段転がされるとは思いませんでした」イテテ…

側近「うぅ……すみません」ショボーン

後輩メイド「反省しきりッス」セイザー

大賢者「と言いつつ顔が笑っとるぞ、三人とも」ニヤニヤ

男「いやあ、なんだか戻ってきたんだなーと実感がわきまして」

兵士B「よ、おつかれさん」

男「ああ、うん。ただい「ストップ」

男「?」

メイド「さあ、側近様も後輩メイドもこっちへ」

後輩メイド「はいッス」

側近「はい」

騎士団長「そんじゃ、せーの……」



「「「おかえりー!!」」」



男「…………!!」

男「~~~~~~っ」



男「ただいま!!」




982: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:11:46.77 ID:UOc/uNnH0

 そして──


男「まさかあのまま街中挙げてのお祭り騒ぎに発展するとは……」

男「なんか、何かと理由つけて祭やってるような気がするなぁ」

男「いいのかなあれ……。まあいいのか」

男「それにしても久々に仕事すると疲れるなぁ……」

男「いや地下にいた時はもっと大変だったけども」

男「独り言増えたし」

男「さて……」

男「うん、こっちも久しぶりだな」

男「折角の休みなんだし」

男「レッツ畑仕事!」キリッ

男「とりあえず水車小屋のほうから道具引っ張り出してこないと……」

男「…………」

男「……あれ、誰かいる?」

男(なんかデジャブ……)

983: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:13:30.98 ID:UOc/uNnH0

女勇者「うぅ……おなか……すいた……」シクシクシク...

男「」



男「仕事もひと段落しての里帰り」

男「久々に思い切り農作業に勤しもうと決めた春の朝」

男「水車小屋の前に、童顔巨Oのすんごい美少女がぶっ倒れていた」

男「というか勇者だった」



男「……どういうことだ」



 つづく

984: ◆TctB4xXhw6 2013/04/07(日) 22:19:52.27 ID:UOc/uNnH0
まあ、こんな感じで
オチが弱いのはいつものことみたいなね。マジヤバいシリーズ見るとよくわかるけども
長々と待たせるばかりのわりにこんな終わり方で面目ない
これの前に差し込む予定だった話は次に続編スレ建てた時にでも。何故か書き上がってないし

ここまでお付き合いいただいた方々、本当にありがとうございます

さあて、後は残り2スレ書いていかないとだな……

985: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/08(月) 02:20:32.57 ID:V+4TS1fWo

続きも楽しみにしてる

986: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/04/12(金) 06:29:41.15 ID:BDlMYEMfo
乙 楽しかった
こっちは日常ほのぼのストーリーだから、これからも変わらずに
やっていきそうだって判るオチで満足です

引用: 男「魔王拾っちまったわけだが」