1: 2011/12/24(土) 11:52:16.98 ID:D8oXpxNXo
小鷹「えっ? なんでだよ、ただ明日はクリス」

夜空「わーわー、聞こえない。アホの小鷹が妄言を吐いているが私には聞こえなーい」

小鷹「……俺、なにかマズイこと言ったか?」

夜空「小鷹、明日は何の日か? という質問に答えてやろう、単純明快にな」

小鷹「いや、そんな必要ねえって。明日はクリス 夜空「黙れ」

夜空「いいか、小鷹。明日は……リア充共が己の勝利を見せびらかす日だ」

小鷹「はあ?」

2: 2011/12/24(土) 11:52:46.58 ID:D8oXpxNXo
夜空「街中をに埋め尽くすイルミネーションの輝き、それは誰のためか分かっているのか?」

小鷹「誰のためって……みんなのためだろうが」

夜空「分かってないな……小鷹、あれはリア充だけを照らす光なんだ」

小鷹「リア充だけ?」

夜空「ああ、手を繋いで歩くカップル共のムードを盛り上げるための憎き存在だ」

小鷹「なんだよそれ……恋人が居ないからって僻んでんのか?」

夜空「小鷹……だからお前はアホなのだ。カップル共も目障りだがもっと憎むべき敵は存在する」

小鷹「もっと憎むべき敵って……カップル以外にいるのかよ」

夜空「クリスマ……おっと危ない、うっかり言ってしまうところだった」

小鷹「どんだけ憎んでんだよ……」

3: 2011/12/24(土) 11:53:13.06 ID:D8oXpxNXo
夜空「便宜上、今だけはその日を人類滅亡の日と呼ぶことにする」

小鷹「滅亡しないけどな」

夜空「つまり、その日は恋人が居ないから一人ぼっちだよー、とかのたまう輩が少なからず存在する」

小鷹(言い方に棘があり過ぎる……)

夜空「その者共が次にとる行動は何か? はい、アホの小鷹くん」

小鷹「えっ? 一人で寂しくクリスマ……人類滅亡の日、って感じじゃねーの?」

夜空「……フッ」

小鷹「なんだ、その可哀想なものを見る目は……」

夜空「それ位誰でも答えられる。しかし、実際は違う……そこに真の敵が存在するのだ」

4: 2011/12/24(土) 11:53:38.75 ID:D8oXpxNXo
小鷹「で、その真の敵ってのは?」

夜空「一人で寂しく人類滅亡、それは嘘だ。その恋人無し軍団は……」

小鷹「……おう」

夜空「集まって人類滅亡パーティーをする、つまり――ぼっちなどではないのだ!」

小鷹「あ、ああ……言われてみれば確かにそうかもな」

夜空「『あたし恋人いないよー』、『あたしもー』、『じゃあ寂しい女でパーティーしようかー』」

小鷹「よくあるパターンだな」

夜空「……真のぼっちは集う相手など居ない、その女共こそカップルよりも目障りなのだ」

小鷹「とりあえず、夜空がものすごくクリスマスを憎んでいるってことは分かった」

夜空「……小鷹、その単語を出すなと言っているだろうが」

小鷹「もういいだろ……」

5: 2011/12/24(土) 11:54:05.05 ID:D8oXpxNXo
夜空「という訳で、我が隣人部はクリスマスを潰すことにしました」

小鷹「いや、潰すことにしましたって言われても……」

夜空「安心しろ、既に準備はできている。もうそろそろ集まるはずだからな」

小鷹「準備はできてるって、お前は本気なのか?」

夜空「私はいつでも本気だ。……来たな」

星奈「夜空、例のアレが完成したって連絡があったわ」

夜空「でかしたぞ、肉。貴様でも役に立つことがあるとは驚いたけどな」

星奈「そ、そんなに褒めなくてもいいわよ……あんたに褒められたらむず痒いし」

小鷹(全然褒めてるように聞こえねー……)

6: 2011/12/24(土) 11:54:31.44 ID:D8oXpxNXo
夜空「さて、あとは……」

理科「夜空先輩、ついに完成しました!」

夜空「そうか……よし、これで計画を実行に移せる」

小鷹「お、おい、計画っていったい何をする気なんだよ?」

夜空「……小鷹、二十四日の夜の予定は?」

小鷹「えっ? そんなの聞いてどうすんだよ?」

夜空「お前も計画に参加してもらうからだ、当然のことだろう?」

小鷹「えー……でも、俺は」

夜空「ま、まさか……予定がある、などと言うのではないだろうな?」

小鷹「えっと、そのまさかなんだけど」

星奈理科「……!?」

7: 2011/12/24(土) 11:54:57.27 ID:D8oXpxNXo
夜空「な、なに!? それは本当か!?」

小鷹「ああ、別に大した予定じゃねーけど」

星奈「小鷹! それって、その……女の子と一緒とか言うつもりじゃないでしょうね!?」

小鷹「えっ? うーん、女の子って言えば女の子かもな」

理科「う、嘘ですよね? 先輩に限ってそんなことある訳が……」

小鷹「いや、そんな嘘を言ってどうすんだよ」

夜空「こ、こだかぁ……嘘なのだろう? なあ、嘘って言ってくれないか?」

小鷹「だから嘘じゃねーって。クリスマスは小鳩とケーキとか美味いもん色々食うんだよ」

夜星理「ですよねー」

小鷹「なんだよその反応……」

8: 2011/12/24(土) 11:55:50.77 ID:D8oXpxNXo
夜空「少し焦ったが小鷹のことだ……そんなこととは思っていた」

理科「夜空先輩、後少しで泣きそうでしたけどね」

夜空「う、うるさい! ……小鷹、お前もお前の妹も隣人部の一員だ。協力してもらうぞ」

小鷹「はあ……断っても無駄なんだろ? 分かったよ、何をするんだ?」

夜空「それは当日のお楽しみだ。二十四日、その時に全てが分かる」

小鷹(どうせ大したことなんてしねーんだろうし、心配するまでもないか……)

夜空「ふふふ……潰してやる、何もかも……滅してやる……」

小鷹(……いや、少しは心配しておいた方がいいかもしれないな)

9: 2011/12/24(土) 11:56:18.40 ID:D8oXpxNXo
 人類滅亡の日当日


夜空「全員集まったか」

小鷹「星奈だけまだ来てないみたいだぞ」

夜空「肉は今準備しているから居ないだけだ。他はそろっているな……よし」

夜空「諸君、ついに立ち上がる時が来た……行くぞ!」

小鷹「おー」理科「おー!」幸村「おー」

夜空「声が小さいぞ、それで潰すことなどできると思っているのか?」

小鷹「別に潰す必要もないしな……幸村、お前はどうなんだ?」

幸村「わたくしはあにきが潰せとおっしゃるのであれば、粉骨砕身の覚悟で臨む所存です」

小鷹「そっか、じゃあそこまで必氏にならなくてもいいぞ。適当にやってくれ」

幸村「わかりました」

10: 2011/12/24(土) 11:56:44.54 ID:D8oXpxNXo
小鳩「あんちゃん……寒いけんはよおうち帰ろう……」

小鷹「俺もそうしたいんだけどな……」

マリア「なーなー、お兄ちゃん。うんこ夜空はどうしてあんなにはりきってるんだー?」

小鷹「俺も知りたい位だ……それにしても星奈はどこに」

星奈「お待たせー、着替えてきたわよー」

小鷹「おっ、来たか……って、星奈!? なんだよその格好は!?」

11: 2011/12/24(土) 11:57:11.61 ID:D8oXpxNXo
星奈「なにって……サンタに決まってんでしょ、見て分かんないの?」

小鷹「いや、それは見て分かるけどどうしてそんなにスカートが短いんだよ!?」

星奈「可愛いでしょ? あたしって何を着ても似合っちゃうのよねー」

小鷹「そうじゃなくて……なんでこんな寒い中そんな格好を」

夜空「私が着させたからだ、これも計画に必要だからな」

小鷹「だからその計画ってのはいったい何なんだよ?」

夜空「今に分かる……ほら、集まって来たぞ」

小鷹「集まって……っ!? な、なんだこれは!?」

12: 2011/12/24(土) 11:57:37.83 ID:D8oXpxNXo
男A「……本当にサンタの格好してる」

男B「あれが……スターちゃん……」

男C「マジで可愛いじゃねえか……」


小鷹「おい、夜空……なんかものすげー数の男たちがこっちを見てんだけど」

夜空「そうだろうな、私の思い通りだ」

小鷹「……はあ?」

夜空「私が集めたのだ、しかしなかなかの数が集まったな……これなら」

小鷹「集めたって……いったい何をするつもりなんだよ?」

夜空「理科、小鷹に見せてやってくれ」

理科「分かりました。先輩、どうぞ」

小鷹「ノーパソ? いったい何を……な、何だよコレ!?」

13: 2011/12/24(土) 11:58:03.75 ID:D8oXpxNXo
『ぶい! 私たちはクリスマスを本気で潰そうと思っています!
 まったく、クリスマスって嫌ですよね……どこを見てもカップルカップル……。
 ……ついに今年も憎むべき日がやってきてしまいます。私、もう我慢できません!
 ひさしぶりに怒りました、一緒に今こそクリスマスを潰しましょう!
 超本気です、もしこの考えに賛同してくれる人が居たら、この下をしてください!
 どうぞどうぞ、よろしくお願いします! あなたのスターちゃんより☆』


小鷹「……そしてサンタのコスプレをした星奈の写真、なんだよこのサイト」

夜空「クリスマスを潰すために作った。ここをすれば計画の詳細が書いてある」

小鷹「ここか……おい、パスワードが必要みたいだぞ」

夜空「ああ、気付いた者しか参加できないシステムになっているんだ」

小鷹「はあ?」

夜空「お前なら分かるだろう? ほら、よく文章を見てみろ」

小鷹「……あっ、これって」

14: 2011/12/24(土) 11:58:29.35 ID:D8oXpxNXo
夜空「そうだ、それをそこにパスワードとして……」

小鷹「……認証された。ん……? な、なんだって!?」

夜空「それが私の計画、クリスマスを潰す同志を集めるための方法だ」

『クリスマスを潰すために必要な物。体力、五千円、クリスマスを憎む心。場所、×××』

小鷹「これで集まったのが……こっちを見てる集団ってことか?」

夜空「その通りだ。理科、拡声器を出してくれ」

理科「はい、どうぞ!」

夜空「よし……! すうー……お集まりの諸君、ここまでご苦労だった!」

小鷹「よ、夜空……?」

15: 2011/12/24(土) 11:58:55.25 ID:D8oXpxNXo
夜空「我々は本気でクリスマスを潰す、賛同できない者は今すぐこの場から去ってもらいたい」

男A「……ほ、本気なのか……あの女」

男B「どうせ適当に集まって楽しく過ごすだけなんだろう……」

夜空「おい、ぼっち共。私もぼっちだ、クリスマスなど消し去ってやりたいとは思わないのか?」

男C「俺たちは……別にそこまで」

夜空「だったら帰れ。そして隣の部屋から聞こえる女の声やテレビの中のリア充共に毒づいてネットに逃げればいい」

男D「なんだよあの女……生意気なこと言いやがって……」

夜空「誰もが一度はクリスマスを潰してやりたいと思っただろう、パーティーなんてどこにあるんだと思っただろう」

小鷹「別に思ったことねえけど……」

夜空「黙れ小鷹。いいか、一度でも本気でクリスマスを中止にしてやろう、と行動した者はいるか?」

男E「そんなの、ネットだけでの冗談だろうが……」

夜空「私は……本気で潰すつもりだ」

16: 2011/12/24(土) 11:59:21.46 ID:D8oXpxNXo
夜空「ネットに書き込まれた数々の書き込み……クリスマスは去年もやったじゃないか、今年は中止だろ」

夜空「それは確かに全て遊びだったかもしれない。だが、本気で潰してやろうとは思わなかったのか?」

夜空「こっちは楽しくも無いのに浮かれる者共を見てふざけるな、と思ったことは無いのか?」

夜空「部屋にこもって愚痴を言うだけの日々をぶち壊してやろうとは思わないのか!?」

男A「それは……」

夜空「今こそ立ち上がる時が来た、クリスマスを潰す。私の、ぼっちの手で……潰すんだ!」

男B「……馬鹿じゃねーの、そんな本気になる必要ねえし」

夜空「馬鹿と人々は笑うだろう、キ○ガイと思われるかもしれない……それでも、私は潰す!」

小鷹「夜空、お前……」

夜空「今ここに宣言する……今年はリア充共のクリスマスは中止だ、私たちの手で潰されるのだ!」

17: 2011/12/24(土) 11:59:47.50 ID:D8oXpxNXo
夜空「……この計画に賛同できない者は去れ、本気で潰してやろうと思った者は集まれ」

小鷹「ひ、人が……」

星奈「集まって来てる……」

理科「あっ……女の人も集まってきましたね」

夜空「……感謝する。先に言っておくが、ぼっちが集まって傷を舐めあうような集まりでは無い」

夜空「今日が終わればまたぼっちだ、便所飯、休み時間の寝たふり、着信履歴がすべて母親。それに逆戻りだ」

夜空「だが、今日だけは……協力しよう、クリスマスを潰すために」

男C「お、俺……クリスマスに楽しい思い出なんて今までなかった」

男D「俺も……友達なんて一人もいないし、今日もスターちゃんを見るためだけに来た」

夜空「そうか……それでもいい、協力してくれるか?」

18: 2011/12/24(土) 12:00:13.39 ID:D8oXpxNXo
男E「俺……協力する。訳分かんねえけど、アンタが本気ってのは伝わった」

女A「わ、私も……」

男F「……教えてくれよ、その潰す方法ってのを」

男G「なあ、本気でクリスマスを中止にできんのか? いくら何でも無理だろ?」

男H「そ、そうだ! 世界中がクリスマスで賑わってんだぞ!」

夜空「ああ、その通りだ……残念ながらすべてのクリスマスを潰すことは出来ない。しかし――」

夜空「ここから全てが始まる、この活動が毎年続けば、そして広がれば……いつかは、いつかは必ず」

夜空「クリスマスを中止にできるはずだ! それまで戦うのだ、ひたすらに立ち上がり続けろ!」

全員「おおおおおおお!!」

小鷹(……なんだこの集団)

19: 2011/12/24(土) 12:00:39.47 ID:D8oXpxNXo
夜空「……では、その方法を説明する。理科、現在何人いるか分かったか?」

理科「全員で百六十三人、少し心もとないですね」

夜空「構わん。同志は多い方がいいが精鋭ならば問題ない」

小鷹「十分多いと思うけどな……で、もう何度も聞いたけどその方法ってのは?」

夜空「一人五千円、それでケーキとチキン、それにシャンパンを買ってもらう」

小鷹「えっ?」

夜空「この三つを絶てばクリスマスはただのパーティーだ、クリスマス感がゼロになる」

小鷹「そんな安直な方法で……」

20: 2011/12/24(土) 12:01:10.41 ID:D8oXpxNXo
夜空「犯罪にならないレベルではこれが限界だ。だが安心しろ、他にも策は練ってある」

小鷹「他にもって、どんなのがあるんだ?」

夜空「それは後で分かる。さあ、全員で買いに行くぞ! 高い物は買わなくてもいい、
   不況でそんな物は売れないだろう。庶民のリア充をまずは潰すぞ!」

全員「おおー!」

小鷹「本当に行っちゃったよ……」

夜空「さて、こっちは他の作戦を進めるとするか。理科、例の物は?」

理科「既にセッティングは完璧です、いつでも行けますよ」

小鷹「何を作ったんだよ?」

理科「小鷹先輩、空を見てください」

小鷹「空? ……まさか、アレか?」

21: 2011/12/24(土) 12:01:31.61 ID:D8oXpxNXo
理科「はい、アレです。あの小型飛行機です」

小鷹「……何するつもり?」

理科「見ててください。……ちょっと、連絡を取ります」ピッ

理科「もしもし……はい、今から実験をお願いします」

小鷹「実験?」

理科「はい。ほら、上を見てください」

小鷹「一体何を…… バアン!

小鷹「っ!? な、何だ今の音!?」

理科「……よし! あとは……やった! 成功ですよ!」

小鷹「成功って……あれ? 雨が……降ってきた?」

22: 2011/12/24(土) 12:01:57.74 ID:D8oXpxNXo
理科「はい、雨を降らせる実験ですが……上手く行きましたね」

小鷹「でも、雨を降らせてどうすんだよ?」

理科「これで街に出る人は減るはずです。それに今日はとても寒いですから、効果は出るはずです」

小鷹「……勝手にそんなことしてもいいのか? 商売とかに影響しちまうんじゃ」

理科「……ここだけの話、この実験は色々協力者がいるのでもみ消してくれると思います」

小鷹「悪いことしてるって自覚はあるんだな……」

23: 2011/12/24(土) 12:02:23.33 ID:D8oXpxNXo
夜空「雨は降ったか……次だ、肉。出番だぞ」

星奈「まったく……あたしがカワイイからってこんなことするなんて」

夜空「いいからさっさと行け。肉は肉らしく男をたらしこんで来い」

星奈「何よそれ! でも、あたし一人で行かないといけないの?」

夜空「安心しろ。幸村も連れて行け、そうすれば効果倍増だ」

幸村「あにき、わたくしもさんたとやらの衣装を着てみました」

小鷹「お、おお……似合ってるぞ」

幸村「この衣装がにあうならば……わたくしはにっぽんだんじの頂きにちかづけたということですね」

小鷹「……はあ?」

24: 2011/12/24(土) 12:03:03.01 ID:D8oXpxNXo
小鷹「おい、夜空。お前幸村に嘘を教えただろ」

夜空「嘘など言っていない。幸村にはこう言ったのだ」

夜空「贈り物を送ることによって自らの心の広さを示す男がいる。その男の格好をしてみてはどうだ、とな」

小鷹「いや、確かに間違ってねえけど……」

幸村「あねご、このように素晴らしい衣装を用意して頂いてかんしゃしております」

夜空「なに、気にするな。さあ、肉と共に街を歩き回るのだ」

星奈「じゃ、行ってくるわー」


小鷹「……たらし込むってのが作戦なのか?」

夜空「惚れさせるまでいかなくてもいい、要はケンカの火種を作ればいいだけだ」

小鷹「カップルはどうでもいいんじゃねえのかよ?」

夜空「いつ私がそんなことを言った、リア充は敵。そしてカップルはリア充には変わりないからな」

小鷹「結局そうなるのか……」

25: 2011/12/24(土) 12:03:25.45 ID:D8oXpxNXo
小鳩「……あんちゃん、雨も降って来たしうち帰りたい……」

小鷹「寒いのか? 確かに雨のせいか少し冷えて来たな……」

マリア「吸血鬼は寒さに弱いのかー、弱点みつけたぞ!」

小鳩「なっ……! ……ククク、我がこのような冷気などで弱るなど……へっくち」

マリア「ほらー、やっぱり寒いのだろー?」

小鳩「さ、さむない! ……うう」ブルブル

小鷹「仕方ないな……ほら、俺のコートでも着てろ」

小鳩「あ、ありがと……」

マリア「むっ、ワタシもお兄ちゃんのコートであったまる!」グイッ

小鳩「ああっ! それはうちが借りたんじゃ!」グイッ

小鷹「……破くなよー」

26: 2011/12/24(土) 12:03:57.86 ID:D8oXpxNXo
小鷹「そろそろ暗くなってきたな……」

理科「そうですね……あっ、さっき集まった人たちが帰ってきましたよ」

夜空「諸君、買ってきたか」

男A「……ああ、デパートのは売切れてたぞ」

男B「……こっちもだ」

理科「どうやら様子見の人たちも動いたようですね、先程よりも増えてるみたいです」

小鷹(これってただのオフ会なんじゃねえの……?)

夜空「さて、全員集まったら始めるか……」

小鷹「始める? 何を?」

夜空「決まってるだろう、パーティーだ」

全員「……えっ?」

27: 2011/12/24(土) 12:04:23.58 ID:D8oXpxNXo
小鷹「おい、何言ってんだよ? クリスマスを潰す俺たちがクリスマスを楽しんでどうするんだ?」

男C「そ、そうだ! なんだよ、結局はリア充の真似事じゃねえか!」

夜空「話しは最後まで聞け。これからそのケーキやチキンを食べる。この寒そうな中でな」

小鷹「ここで?」

夜空「ああ、ここは駅前の広場、雨にもかかわらず人は増えてきた……。
   この場で食べて異様な雰囲気を作る、体力も後で必要になるからな」

小鷹「体力が必要って、今度は何をするんだよ……」

夜空「パーティーのメインイベントだ……肉の到着を待つぞ」

理科「とか言ってたら来ましたね。お疲れ様でーす」

星奈「あたしの魅力をバッチリ広めて来たわよー」

夜空「そうか。いよいよあの出番だな……」

小鷹「まだ何かあんのかよ……」

28: 2011/12/24(土) 12:04:49.28 ID:D8oXpxNXo
夜空「肉、アレはいつ届くのだ」

星奈「そろそろよ。あっ、あのトラックじゃない?」

業者「どうもー、御品の確認お願いしまーす」

星奈「ふっふー。あんたの言う通りステキなものを用意させたから」

夜空「期待などしてないぞ。どれ、さっさと見せろ」

業者「じゃあ後ろ開けます。どうですか?」

夜空「ほう、これは……んんっ!? おい、肉。これはいったいどういうことだ?」

星奈「どう? あたしのデザインも反映されてるから素晴らしい出来でしょ」

小鷹「いや、デザインどうこうより……何だよこれ……」

星奈「見て分からないの? おみこしよ」

29: 2011/12/24(土) 12:05:15.13 ID:D8oXpxNXo
小鷹「そうじゃなくて……どうしてクリスマスなのに御輿を用意したんだよ」

夜空「それを見たらクリスマスの雰囲気などぶち壊せるだろう? しかし……」

星奈「いいでしょ? このデザイン、金ぴかってのもゴージャスだし」

夜空「よく見てみろ……あの頂点にあるのは何だ?」

星奈「何って、星よ。頂点に金ぴかの星を置くことであたしの神々しさを表現してるの」

夜空「ではこの鎖はなんだ? 御輿に鎖など必要ないだろうが!」

星奈「か、カッコいいからよ……何? 文句でもあるの?」

小鷹「あー、言いたいことが分かったぞ……全体的に飾りがカワイイからこれだとまるで……」

夜空「これだとまるで……クリスマスツリーじゃないか!」

星奈「あっ……」

30: 2011/12/24(土) 12:05:45.36 ID:D8oXpxNXo
夜空「……まあいい。よし、全員いったん食べるのを止めてくれ」

小鷹「結構人数いるな……そいつらみんなでこんな寒い中チキンとケーキを食うなんて」

理科「すごい光景ですね……」

夜空「今から全員でこの御輿を担いでもらう、分かったな?」

全員「おおー!」

小鷹「もはや誰も何も言わなくなったな……」

夜空「では行くぞ……それ、上げろ!」


小鷹「クリスマスに御輿って、何をやってんだろうな……」

幸村「あにき、わたくしも加勢してきてもよろしいでしょうか」

小鷹「別にそれ位好きにやればいいんじゃねーの?」

幸村「ありがとうございます、では行ってまいります」

小鷹「……幸村、なんか嬉しそうだったけどなんでだろ」

理科「日本男児がどうとかこうとかじゃないんですかね、多分」

小鷹「きっとそうだな」

31: 2011/12/24(土) 12:06:16.62 ID:D8oXpxNXo
夜空「者共、声をあげろ! そーれ、わっしょい、わっしょい!」

全員「わっしょい! わっしょい!」

夜空「どうした! 覇気が無いぞ、もっと声をあげろ!」

星奈「こんな雨が降ってたら風邪ひいちゃうし、元気が出るわけないじゃない」

夜空「むっ、確かに……理科、雨を止めることはできるのか?」

理科「えーっと……やってみます。ちょっと待ってくださいね」

理科「……準備が出来たみたいです、いきますよー」 バアン

小鷹「あの爆発ってなんかアレみたいだよな……ストームなんとか」

夜空「色々悪用できそうではあるな……ん? おい、ちょっと待て!」

32: 2011/12/24(土) 12:06:42.48 ID:D8oXpxNXo
小鷹「あれ? これって、雨はやんだけど……」

マリア「おー! ゆきが降ってきたー!」

夜空「ど、どういうことだ!?」

理科「あー……失敗ですね、改良が必要みたいです」

星奈「うわー……キレイね、これってまるでホワイト……はっ!」

夜空「逆にムードを盛り上げてどうする!? 今すぐ止めろ!」

理科「いや、しばらくは無理なんですよ……」

夜空「ええい……ともかく御輿を担げ! パーティーを始めるぞ!」

33: 2011/12/24(土) 12:07:08.44 ID:D8oXpxNXo
夜空「わっしょい! わっしょい!」

全員「わっしょい! わっしょい!」

夜空「リア充! 消えろ!」

全員「リア充! 消えろ!」

夜空「声が小さいぞ! リア充! 滅せ!」

全員「リア充! 滅せ! 滅せ! 滅せ!」

小鷹「なんかヒートアップしてきたな……」

理科「お酒も入ってますからね……理科のカラダも少し火照ってきました、どうします?」

小鷹「どうもしないって」

34: 2011/12/24(土) 12:07:34.49 ID:D8oXpxNXo
小鷹「でも、まさか夜空が他の誰かと協力して何かしようなんて考えるとは思わなかったな」

夜空「今日だけは特別だ……どうしてもリア充共に一矢報いてやりたかったのだ」

小鷹「……隣人部のみんなでパーティーでもすれば良かったと思うんだけどな」

夜空「……えっ?」

小鷹「えっ? 俺なんかマズイこと言ったか……?」

夜空「……その発想はなかった。クリスマス=憎いということしか頭になかった……」

小鷹「どんだけ憎んでたんだよ……」

35: 2011/12/24(土) 12:08:04.82 ID:D8oXpxNXo
夜空「くっ……だが今更引き返すことなどできないだろうが!」

幸村「あねご、しょうしょう難解な問題がしょうじてしまいました」

夜空「ん? どうした、何かあったのか?」

幸村「けーきやちきんが食べきれず、大量に余ってしまっています」

夜空「本当だ……御輿を担いでいない者たちに食べさせるように言ってくれ」

星奈「だめよ、みんなもう食べすぎて限界って言ってるもの……」

夜空「なんだと……? 捨てるのももったいない……誰かこれを食べることができる者は」

星奈「あっ、じゃあそれ配っちゃう? ほら、もうそろそろ集まってくるし」

小鷹「これ以上誰が集まってくるんだよ……」

星奈「ほら、あっちあっち」

小鷹「な、なんだあの男の集団は……」

星奈「さっき幸村と一緒に歩いてる時に会った男共よ。この時間に集まってねー、って言っておいたから」

小鷹「……集めて何するつもりだったんだ?」

夜空「家にこもられては何もできないからな。肉を使って人を集め、この御輿パーティーを見せつけるつもりだった」

理科「せっかくだし、星奈先輩の言う通り、あの人たちにケーキとか食べてもらっちゃいますか?」

夜空「肉の提案というのも癪だが……いいだろう、配ってやってくれ」

星奈「なんか引っ掛かる言い方ね……素直に星奈様の素晴らしい意見を反映させますって言えばいいのに」

36: 2011/12/24(土) 12:08:30.38 ID:D8oXpxNXo
小鷹「配ってきたぞー。……でも、いいのか?」

夜空「なんだ、何か問題でもあったか?」

星奈「無料だって言ったらものすごく喜ばれちゃったけど……」

夜空「なっ……」

理科「これだとクリスマスを盛り上げてるだけですね」

夜空「……小鷹、どうやらクリスマスというのは思ったよりも強敵だったようだ」

小鷹「……まあ、実際に潰すなんて不可能だろう」

夜空「それでも……いつか気付くはずだ、クリスマスなんてどうでもいいと……」

小鷹「そんな日が来るとは思えないけどな……」

37: 2011/12/24(土) 12:08:56.22 ID:D8oXpxNXo
夜空「ええい! とりあえず食え! そして担げ! そーれわっしょい! わっしょい!」

全員「わっしょい! わっしょい!」

夜空「小鷹! お前も飲め!」

小鷹「それシャンパンだろ……ってなんだよその大量の空き瓶は!?」

理科「夜空先輩がヤケになって呑みまくったんですよ……」

夜空「……こだかぁ……お前が、お前がもうちょっと私のことを大切にしてくれれば……」

小鷹「急になんだよ……ああ、絡み酒ってやつか」

夜空「肉! 酒だ、酒を持ってこい!」

星奈「ちょ、ちょっと、それ以上飲んだら……」

夜空「いいから寄越せ! んぐんぐ! うぷっ……」

小鷹「……あっ」

38: 2011/12/24(土) 12:09:25.45 ID:D8oXpxNXo
夜空「……おえええ」

小鷹「だああ! 誰かビニール持ってこい!」

夜空「うぷっ……クリスマスなんて、クリスマスなんて……おろろろろ」

全員「わっしょい! わっしょい!」

小鷹「……これ、どうすんだよ」

星奈「知らないわよ……」

39: 2011/12/24(土) 12:11:57.49 ID:D8oXpxNXo
 こうして俺たち隣人部の初めてのクリスマスは盛大に盛り上がり、のちに色々とお説教を喰らって終わった。
結局、分かったのはリア充と言うものは強敵なのだということが分かるだけだった。

夜空「クリスマスなんて……リア充なんて……うぷっ」

小鷹「もう喋るな……」


40: 2011/12/24(土) 12:12:23.15 ID:D8oXpxNXo
終わり

41: 2011/12/24(土) 12:15:38.35 ID:kL8whULio
おつ
さくっと読めて楽しかった

引用: 小鷹「そういえば明日はクリス 夜空「それ以上言うな」