1: 2016/01/07(木)22:19:10 ID:PXj
ーオスティア
ロイ「はぁ、はぁ、みんな無事か!?」
マーカス「はっ! ロイ様の指揮により、総員無事です!」
アレン「いつつ、だいぶやられたな……」
ランス「くっ……」
ディーク「ちっ、戦いづらいったらねえぜ。飛竜相手じゃなかなか剣も届かねえ」
クラリーネ「もう! ライブの杖が何本あっても足りませんわ!」
ルトガー「……」
ゼロット「すまないな、加勢に来ておきながらこのザマでは……」
ロイ「ベルン竜騎士団がここまで強いなんて……!」
8: 2016/01/07(木)22:33:21 ID:PXj
2: 2016/01/07(木)22:22:26 ID:PXj
マーカス「さすがは軍事国家ベルン。兵の練度も並々ではありませんな」
ロイ「でも立ち止まってはいられない。リリーナを助けなきゃ!」
マーカス「ええ。ですが1度体勢を立て直しましょう。今ウォルトに城下町へ買い出しへ行かせています」
ロイ「でも……!……いや、そうだね。焦りは禁物だ。1度休息を取ろう」
マーカス「懸命な判断です。いま一度腹ごしらえを……おや、アレは……?」
3: 2016/01/07(木)22:23:38 ID:PXj
伝令「失礼いたします! 私はエトルリア軍セシリア隊の者です! ロイ将軍への伝令に参りました!」
マリナス「ロイ様にじゃと? 怪しいのう、お主……もしやベルンの」
ロイ「いいよ、マリナス。僕がロイです。セシリアさんからですね?」
伝令「はっ! 我がエトルリア軍はリキアへの援軍を決定しました!」
ロイ「!……そうか……!」
マーカス「おお、エトルリア軍が! これは心強い!」
伝令「はっ、つきましてはセシリア将軍より「1度オスティアから引き、エトルリアとの合流を待って再起を図るように」との伝言を賜りました!」
ロイ「……ムリだ。もうすぐベルンのナーシェン将軍の援軍が来るだろう。下手したら城の兵と挟み討ちだ。僕らだけでオスティア城を奪還するしかない」
マーカス「そしてこの城にて籠城……。エトルリアの援軍を待つのであれば、それが最適でしょうな」
ロイ「ああ、厳しい戦いになるだろう。マーカス、頼りにしているよ」
マーカス「はっ!」
4: 2016/01/07(木)22:25:39 ID:PXj
ウォルト「ロイ様! マーカス将軍! 買い出し終わりました!」
ロイ「ああ、すぐに行くよ」
マーカス「では、これにて……」
伝令「あ、申し訳ありません。マーカス将軍にも用があるのですが……」
マーカス「? ワシにか?」
伝令「はっ」
ロイ「マーカス、僕は先に行って軍議の準備をしてるよ。あとから来てくれ」
マーカス「はっ、申し訳ありません」
5: 2016/01/07(木)22:26:29 ID:PXj
マーカス「……して、用件とは?そもそも誰からじゃ?」
伝令「リグレ公パント様より、伝言と預かりの品を賜っております」
マーカス「おお、パント殿か。いや懐かしい……して、品とは?」
伝令「はっ、こちらにございます」スッ
マーカス「む……。……!? こ、これは!?」
6: 2016/01/07(木)22:27:04 ID:PXj
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
ピシャアン!!
7: 2016/01/07(木)22:27:44 ID:PXj
マーカス(若)「……なんと! チカラが漲る! いや、この感覚、これは、間違いなく、エルバート様から聖騎士の叙勲を受けたころの!」
伝令「……さすがはマーカス将軍。いまほど渡したものはパント様の研究の成果。『天の刻印』『地の刻印』を目指し研究した『海の刻印』」
マーカス(若)「なんと、そのようなものが……!」
伝令「パント様より伝言です。「老いた者を若返らせ、チカラ蘇らせるもの。……運命に逆らうものではありますが、世界は深刻な方向に動き出しています。どんな手段をつかってでも止めなければ」とのことです」
マーカス(若)「うむ……、あいわかった。パント殿の意志。しかと受け取った」
伝令「はっ」
9: 2016/01/07(木)22:35:48 ID:PXj
」
ロイ「マーカス遅いな……さすがにマーカス抜きで軍議は行えないし……」
アレン「珍しいですね。マーカス将軍が遅刻なんて」
ランス「……もしや先ほどの伝令、ベルンの間者では?」
ロイ「! しまった! マーカス!」
ガチャ
マーカス(若)「呼びましたかな?」
ロイ「マーカs……だれ?」
マーカス(パラディンLv20)「マーカスにございますが?」
ロイ「マーカス遅いな……さすがにマーカス抜きで軍議は行えないし……」
アレン「珍しいですね。マーカス将軍が遅刻なんて」
ランス「……もしや先ほどの伝令、ベルンの間者では?」
ロイ「! しまった! マーカス!」
ガチャ
マーカス(若)「呼びましたかな?」
ロイ「マーカs……だれ?」
マーカス(パラディンLv20)「マーカスにございますが?」
10: 2016/01/07(木)22:36:38 ID:PXj
アレン「」
ランス「」
マーカス(力48 技56)「……ああ、そうか。若返ったから……」
ウォルト「」
マリナス「」
マーカス(速さ52 守備43)「も、申し訳ありませんロイ様。少々諸事情がありまして、その……」
ワード「」
ロット「」
マーカス(魔防40体格12)「気づいたときには……」
ディーク「」
ルトガー「」
マーカス(体力85 幸運38)「若返っておりました」
エレン「」キュン
クラリーネ「」キュン
シャニー「」キュン
ロイ「……いやだれだよ!?」
11: 2016/01/07(木)22:38:22 ID:PXj
ロイ「え……? ホントにマーカス?」
マーカス「はっ」
アレン「たしかに雰囲気は似てるけど……」
ランス「鎧もな……いやしかし……」
ロイ「……にわかに信じられないよ」
マーカス「でしょうな」
ロイ「マーカス、きみの馬の名前は?」
マーカス「ジェイスです」
ロイ「ぼくの幼少期の好物は?」
マーカス「卵サンドです」
ロイ「フェレ騎士軍軍律第24条」
マーカス「むやみに機密を部外に持ち出すなかれ」
ロイ「今日の晩ごはんの予定は?」
マーカス「サンタルス産仔羊のロースト~フェレ草原の風を添えて~にございます」
ロイ「……間違えいない、マーカスだ」
ルトガー「最後それで判断するのか」
ロイ「マーカス、一体なにがあったんだ?」
マーカス「はっ、実はリグレ公爵パント様より……」
12: 2016/01/07(木)22:39:23 ID:PXj
マーカス「……ということにございます」
ロイ「……リグレ公爵ってスゴい」
クラリーネ「お父さまったら、またとんでもない研究をして……」ハア
ディーク「……昔を思い出すな……当時からヤベェ人だとは思っていたが……」
マーカス「さ、ロイ様。私の話はここまでです。今は早期にオスティア城を奪還せねば」
ロイ「あ、ああ。分かってる」
マーカス「そのためにはまず腹ごしらえです。すぐに食事の支度をいたします」
ロイ「え?」
13: 2016/01/07(木)22:40:09 ID:PXj
ーー数十分後、オスティア城
マーカス「ゆくぞ!アレン、ランス、遅れを取るな!」
アレンランス「「はっ!」」
マーカス「ゼロット殿! クラリーネ嬢の護衛、くれぐれもよろしくお頼み申しますぞ!」
ゼロット「あ、ああ」
ノア「……さっきまであの人あんな人だったっけ?」
トレック「zzz……」
クラリーネ「お父さま、ホントに完成品を渡したのかしら……」
14: 2016/01/07(木)22:41:20 ID:PXj
ロイ「……マーカスに押されて騎馬隊先行の陣形にしちゃったけど大丈夫かな?」
マリナス「百戦錬磨のマーカス殿ですからな。戦況を見る目は確かなはずですぞ」
ロイ「そういえばマリナス、君は若いころのマーカスを知ってるかい?」
マリナス「いえ、私はエリウッド様に召し抱えてもらった身ですので。その当時は失礼ながらも既に若いとは言えぬ歳でしたなあ」
ロイ「そうか……じゃあ、今のマーカスの実力を知っている者はいないんだね?」
マリナス「少なくともこの軍にはおりますまい。城に残られたエリウッド様なら存じ上げいるでしょうが」
ロイ「うん。でも、なんかマーカスの様子がおかしかったし、ちょっと心配だなぁ」
マリナス「兵は神速を尊ぶもの、と言って聞きませんでしたからな。若きマーカス殿があそこまで血気盛んじゃったとは」
15: 2016/01/07(木)22:42:21 ID:PXj
ディーク「心配いらねえよ。アレなら」
ルトガー「……ただ者の気迫ではなかった。おそらく、アレは大陸一の強者だ」
ロイ「……お2人がそこまでおっしゃるならそうなのでしょうけど……」
アレン「伝令! ロイ様! お待たせしました!」
ロイ「! アレン! 君だけか!? 他の者たちは
アレン「やりました! 神将器デュランダルです!」
ロイ「だいじょ……え、なにそれ」
16: 2016/01/07(木)22:43:25 ID:PXj
リリーナ「ロイ!」タタッ
ロイ「え、あ、リリーナ! 無事だったの?」
リリーナ「ええ、今までベルンに囚われていたのだけど、若いフェレの騎士が扉を吹き飛ばして助けてくれたわ」
ロイ「……ああ、そう……」
リリーナ「ここに来るまで敵の氏体しかないから怖かったけど、ホントに氏体しかないから簡単に来れたわ」
ロイ「……アレン、君たちどんだけ無茶な進軍してきたの」
アレン「違います! ひたすらマーカス将軍がオーバーキルしてました! 俺、マーカス将軍に一生ついていきます!」
ロイ「」
リリーナ「あら、じゃあさっきのマーカス将軍の孫? 道理で似ていると思ったわ」
ロイ「違うよリリーナ……本人なんだ……」
リリーナ「え?」
17: 2016/01/07(木)22:44:08 ID:PXj
ランス「伝令! ロイ様! 緊急事態です!」
ロイ「ランス? どうしたんだい? オスティア城は奪還したどころか伝説の剣まで手に入れたはずじゃ」
ランス「ベルン軍が押し寄せてきました! 敵総大将は【三竜将】ナーシェン!」
ロイ「! もう来たのか!」
リリーナ「そんな……せっかくオスティアを取り戻したのに……」
ランス「現在マーカス将軍とイリア傭兵部隊とクラリーネ様で外周を回って城門に向かわれました! 本隊を城門にお向けください!」
ロイ「よし! 君たちの活躍のおかげで本隊は城内の入口から微動だにしてないんだ! すぐに城門へ!」
マーカス「お待たせしましたロイ様。【三竜将】ナーシェンの首です。お納めください」スッ
ロイ「は!?」
18: 2016/01/07(木)22:45:17 ID:PXj
ナーシェン(首)「」
ロイ「……は?」
マーカス「いやはや、さすがに飛竜の大軍には驚かされましたが、手槍の1つもかわせぬ将が率いる軍など恐るるに足りませぬ」
ロイ「え? どういうこと?」
マーカス「こやつめも油断しておりましてな。最前線でこれ見よがしに飛んでおりました。そこを手槍で仕留めただけのこと」
リリーナ「そんな野鳥を仕留めるような感覚で倒したの!?」
ナーシェン(首)「」
ロイ「……残りの軍勢は?」
マーカス「恐れをなして引いていきました。軍事大国のベルン軍のはずですが、拍子抜けですな」
アレン「さっすがマーカス将軍!」
ランス「どこまでもついて行きます!」
マーカス「兵は神速を尊ぶもの。どのような敵も騎馬隊の速さの前には敵わぬ。お前たち、期待しているぞ」
クラリーネ「」コヒュー、コヒュー
ノア「水だー! 早くクラリーネさんに水を!」
トレック「」
ゼロット「しっかりしろトレック! 寝ているのか氏んでいるのか分からないぞ!」
19: 2016/01/07(木)22:46:32 ID:PXj
ロイ「えーと、どうしよっか……」
マーカス「しばらくすればエトルリアから援軍が到着する頃合いかと思われます。ヘクトル様のいない今、オスティアをどうするかを協議するべきかと」
ロイ「あ、そうだった。すっかり忘れてたよ」
マーカス「おや、ロイ様らしくありませんな」
ロイ「ははは……展開が早くて頭がついていかないんだよ……」
マーカス「いけませんぞ、これからフェレを率いていくお方がそのようでは。エルバート様など常に私より半歩先を見据えておりました」
ロイ「マジかお祖父様」
マーカス「さ、それでは協議の場を設けましょう。今食事の準備をいたしますのでしばしお待ちを」
ロイ「さっき食べたばかりじゃないか」
マーカス「腹が減っては頭も回りますまい」
ボールス「ん? お前たちいたのか」
バース「……」
オージェ「隠れて混乱に紛れて参戦しようと思ったんですけど……」
ウェンディ「気づいたら何もかも終わってました」
20: 2016/01/07(木)22:47:39 ID:PXj
ーーその後、オスティアにエトルリア軍が到着したが、既にベルン軍は討伐されていたため、すぐにエトルリアに帰陣した。
ーーリキアでは盟主オスティア候ヘクトルを欠いたものの、若き騎士が一撃で、しかも手槍でかの【三竜将】を倒したという情報を得て結束を固める。
ーー若き日のマーカスを知る古参の領主たちは「アレと戦うくらいならベルンと戦うわ」と口を揃えていたという。
ーーヘクトルを失ったオスティアでは、名目上はリリーナが幼くして爵位を継いだが、事実上はオズインをはじめとする臣下達による合議制が取られていた。
ーー目下ベルン軍とマーカスの脅威に晒されているオスティアは今や一枚岩となっていた。
ーーそして、【三竜将】ナーシェン堕つ。この報らせはベルンはもとより各国に広まった。
ーー激怒したベルン国王ゼフィールは自らリキア攻略へ乗り出していた。
21: 2016/01/07(木)22:49:22 ID:PXj
ーーリキア国境
ロイ「皆さん、呼びかけに応じていただきありがとうございます! 必ずやベルン軍を撃退しましょう!」
マリナス「まさかリキア連合の総大将がロイ様になるとは。オスティアをベルンから救った功績があるとはいえ、大抜擢ですぞ」
アレン「それにベルンとの国境沿いにここまで諸侯たちが兵を集めるなんてスゴいことですよね!」
ランス「おまけに集まった兵数は我々が想定していた数の約2倍。みな本気でベルンを打ち負かすつもりだ」
ウォルト「それもロイ様がエトルリアと懇意にしているからですよ。別方向からの襲撃を気にせずいられますから」
スー「………サカも大丈夫。じじには手紙を出した」
シン「おかげで俺もスー様と合流できた。スー様を救ってもらった恩、返させてもらう」
22: 2016/01/07(木)22:49:58 ID:PXj
ロイ(……あれから数ヶ月。僕はリキア連合の総大将に祭り上げられた。)
ロイ(正直、身にあまる大役だ。これだけの大軍の指揮を僕が取るなんて)
ロイ(おまけに相手は軍事大国ベルン。しかも斥候の話では総大将はゼフィール国王だそうだ)
ロイ(もうすぐそこまで来ている。さっきから飛竜っぽいのもチラチラ見えてる)
ロイ(……不安で押し潰れそうだけど、きっと大丈夫だ)
ロイ(だってこっちには秘密兵器がいるのだから……)
ロイ(……そう……)
ロイ(マーカスという名の秘密兵器が………)
23: 2016/01/07(木)22:50:55 ID:PXj
ーーベルン軍
ゼフィール「……」
兵士「申し上げます! 各部隊配置につきました!」
兵士「ブルーニャ将軍より伝令! サカ地方、滞りなく進軍中! 心配無用とのこと!」
兵士「マードック将軍より伝令! 無事ベルン城に入城なされました! 内政は問題なしとのこと!」
ゼフィール「そうか……ゲイル」
ゲイル「はっ、ここに」
ゼフィール「前線の指揮を務めよ。貴様に一存する」
ゲイル「はっ」
ゼフィール「三竜将としての初陣、見事飾ってみせよ。……貴様はワシを落胆させるなよ」
ゲイル「無論にございます」
ゼフィール「うむ。では行け」
ゲイル「はっ」
24: 2016/01/07(木)22:53:20 ID:PXj
ゼフィール「……イドゥン、おるか?」
イドゥン「……はい、陛下……」
ゼフィール「竜は生み出せるか?」
イドゥン「……今しばらく時間があれば……」
ゼフィール「よかろう。とりかかれ」
イドゥン「はい……」
25: 2016/01/07(木)22:53:59 ID:PXj
ーー前線
ゲイル「ーーー、始めるぞ。進軍だ! 徒士部隊に進軍速度を合わせよっ! 突出しすぎるな!」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
アラフェン侯爵「ベルン軍が動いたぞ! 臆せず迎え討て! こちらにはマーカスがおるのだ!」
カートレー侯爵「飛竜に怯むなあ!マーカスより怖いものなどない!」
わあああああああああああああああああああああ!!
26: 2016/01/07(木)22:54:45 ID:PXj
ーーーリキア本陣
兵士「伝令! ベルン軍が動きました!」
ロイ「……ついに始まったか……」
リリーナ「ロイ、大丈夫? 顔色が悪いわ」
ロイ「……これだけの兵の命を預かってるからね。でも、大丈夫。最速でこの戦いを終わらせてみせる」
リリーナ「最速で……でも、無茶はよくないわ」
ロイ「イヤ、無茶するのは僕じゃなくて……」
27: 2016/01/07(木)22:56:06 ID:PXj
シャニー「ロイ様ー!」バサッバサッ
ロイ「! シャニー?」
シャニー「ベルン軍の本陣見つけたよ! 三方を高い山に囲まれてるところだった!」
ロイ「! そ、そうか……じゃあマーカスの秘策も無理か……」
シャニー「あ、そのことなんだけどね、マーカス将軍から伝言預かってきたよ」
ロイ「え?」
シャニー「いける、だって」
ロイ「」
28: 2016/01/07(木)22:57:08 ID:PXj
ーーーベルン本陣
<ヒヒーン!!
ゼフィール「……?」
兵士「? 今のは、馬の嘶きか?」
兵士「ど、どこから……?」
<どけい!! 木っ端ども!!
兵士「あ、あそこだ!」
兵士「バカな! 騎馬が崖を駆け下りている!」
兵士「に、逃げろ! 踏み潰されるぞ!」
マーカス「ゼフィール国王! 覚悟!」バッ
ゼフィール「!!」
ギィン!!!
マーカス「ぬぅ! 受けられたか!」
ドガガ!
ゼフィール「……リキアの聖騎士か」
マーカス「いかにも! 私こそはリキア連合フェレ騎士隊所属マーカス!」
29: 2016/01/07(木)22:58:11 ID:PXj
ゼフィール「……あの絶壁を騎馬で駆け下りたか。並々ならぬ武人のようだな」
マーカス「あの程度、造作でもないわ。……ゼフィール国王、随分と変わられましたな」
ゼフィール「! ……なんの話だ」
マーカス「あの王子がこうも厳しい眼差しを放つようになるとは。どうやら噂は本当だったようじゃな。ベルン前国王が王子を
ズバァ!!
マーカス「ぐ!」
ゼフィール「……ワシの過去などどうでもよい。だが、貴様はワシの手で頃す!」
マーカス「……よかろう! お主の業、このマーカスが見定める!」
兵士「へ、陛下に加勢せよ! あの騎士を討ち取れえっ!」
30: 2016/01/07(木)22:58:58 ID:PXj
ゼフィール「馬鹿な……グハァ!!」ドサッ
マーカス「……ゼフィール国王、王の座に収まるには惜しい武士よ」
兵士「そ、そんな……陛下が……」
ゼフィール「むぅっ……! ワシの負けか……!」
マーカス「……」
ゼフィール「ワシの野望が散ろうとも、人の世はいつか滅びる……ワシはあの世にて眺めるとしよう……」
マーカス「……何を言っている。ここでお主の首など取らぬ」
ゼフィール「なに……?」
31: 2016/01/07(木)22:59:33 ID:PXj
イドゥン「……陛下……?」
ゼフィール「!」
マーカス「? 誰じゃ?」
イドゥン「陛下……」
兵士「お下がりください巫女様! そちらは危険です」
32: 2016/01/07(木)23:00:37 ID:PXj
ゼフィール「下がれ、イドゥン」
イドゥン「……」スッ
マーカス「……ただならぬ雰囲気……どこぞで感じたことがある」
ゼフィール「ふん、戯れ言を……貴様などに分かるはずもない……」
イドゥン「……」
マーカス「……あい分かった。なれば、お主ら2人だ」
ゼフィール「なに……?」
イドゥン「?」
マーカス「 すーぅ………っ!」
マーカス「ロォォォォオオオオオオオオエエエエエエエエエエエエエンン!!!!!」ビリビリビリビリ
33: 2016/01/07(木)23:01:25 ID:PXj
<ヒヒーン!
ゼフィール「あれは……」
兵士「ば、馬鹿な! 再び騎馬が崖を駆け下りている!?」
兵士「なんで当然のように崖を!?」
兵士「リキアの騎士はバケモノか!?」
ドガガ!!
ロウエン「マーカス将軍! お待たせしました!」
マーカス「うむ! 例のものを持てい!」
ロウエン「はっ! こちらに!」スッ
マーカス「よし! 支度にかかるぞ!」
ロウエン「はっ!」
34: 2016/01/07(木)23:02:10 ID:PXj
バタバタバタバタ……
兵士'S「「「「」」」」ポカ-ン
ゼフィール「……何をしておる……?」
イドゥン「……?」
ロウエン「? 見て分かりませんか?」
ゼフィール「………なにかの儀式、か?……」
イドゥン「……」
ロウエン「いえ? 違いますが……」
マーカス「見ての通り、食事の準備だ」
ゼフィドゥン「「」」
35: 2016/01/07(木)23:02:54 ID:PXj
ゼフィール「……なぜ今、食事の準備をしている?」
マーカス「無論、腹を満たすためだ」ジュウジュウ
イドゥン「……?」
マーカス「昔の格言にこうある。「腹満たされずして心もまた満たされず」と」サッサッ
ゼフィール「……今がどういう時か、分かっているのか?」
マーカス「お主との勝敗は決した。他に何を望む?」
ゼフィール「む……」
ロウエン「準備、整いました!」
マーカス「うむ。では、食してみよ。フェレ沖で上がった舌平目のムニエルだ。上には特製のソースをかけてある」
ゼフィール「……」
イドゥン「……」
ゼフィール「……」パク
イドゥン「……」パク
ゼフィドゥン「「うまっ」」
36: 2016/01/07(木)23:04:11 ID:PXj
ゼフィール「美味いな」
イドゥン「うまっ」パクパク
マーカス「ふ、最高の舌平目でなければこのソースの味は受け切れぬ」
ロウエン「私が早馬を走らせ、今日一のモノを選ってきました!」
ゼフィール「そうか……」
イドゥン「うまっ」パクパク
マーカス「メニューはまだあるぞ。サニーレタスの塩サラダ、オスティア流クリームシチュー、それに……」
ゼフィール「もうよい」
マーカス「なに?」
ゼフィール「料理が美味いのは分かった。だが、それがどうした? 貴様はワシになにを伝えようとしている?」
マーカス「分からぬか? このまま戦争が続けば、これらがどうなるか」
ゼフィール「なに?」
マーカス「潰えるのだよ。この料理が」
イドゥン「え」ガーン
37: 2016/01/07(木)23:05:28 ID:PXj
マーカス「このまま戦争がすすめば、人はより良い兵器ばかりを開発する。自分たちが生き残るために。結果、資金は失われ、生活は困窮する」
ゼフィール「……」
マーカス「だが、世が平和であれば、人はより良い生活を求める。料理は平和な時代にこそ進化してきた」
ゼフィール「……」
マーカス「……お主が滅ぼそうとしている人類は醜い。一方で、人類はここまで人の心を震わせる素晴らしさを持つのだ」
ゼフィール「……」
イドゥン「……陛下」
ゼフィール「……なんだ?」
イドゥン「私はこの者の料理をもっと食べたいです」
ゼフィール「……」
イドゥン「このようなもの、1000年前にはなかった。もっと味わいたい」
38: 2016/01/07(木)23:06:37 ID:PXj
ゼフィール「………お前に、欲が生まれたか」
イドゥン「え……」
ゼフィール「封印されていた竜の心すら、動かすか……完敗だな。おい、誰ぞよいか」
兵士「は、はっ!」
ゼフィール「ゲイルに伝令を。撤退する」
兵士「わ、分かりました! ただちに!」
ゼフィール「……マーカスといったか。貴様、ワシの王宮に来ぬか? 貴様の料理は王宮のコックをはるかに凌ぐ」
マーカス「それこそ戯れ言だ。私は料理人である前にフェレ家に仕える聖騎士だ」
ゼフィール「ふっ……残念だ」
39: 2016/01/07(木)23:07:50 ID:PXj
ーーリキア本陣
ロイ「くっ、なんて苛烈な攻めだ。これがベルン軍の真の力……!」
マリナス「むむむ、三竜将は討ち取ったハズですが、それ以上の将がいるようですな」
ロイ「マーカスはまだ戻らないのか!? 敵の本陣を背後から突くのはいいけど、さすがに崖からじゃ無理があるだろ!」
リリーナ「落ち着いてロイ! 大丈夫、あなたの指揮のおかげでみんな持ちこたえてるわ!」
ロイ「でももう限界だ! こうなったら僕が」
マーカス「お待たせしましたロイ様。ゼフィール国王が所持していた神将器エッケザックスです」スッ
ロイ「は!?」
40: 2016/01/07(木)23:08:48 ID:PXj
ロイ「は……?」
マーカス「強かったです。身も、心も」
ロイ「うわ、重った……。ああ確かにこんな馬鹿でかい剣持ってたよね」
リリーナ「見て! ロイ! ベルン軍が退いていくわ!」
ロイ「あー……ははっ、さすがマーカス」
マーカス「はっ、もったいなきお言葉」
ロイ「……隣の女性は?」
マーカス「神竜族の巫女です。私の料理を食べたいと申されましてな」
イドゥン「クリームシチューはどこ?」キョロキョロ
ロイ「ついていけるかァ!!!!」
41: 2016/01/07(木)23:09:22 ID:PXj
ーーベルン軍は各地より撤退した。
ーーベルン国王の突然の心変わりにある将は戸惑い、ある将は歓喜の涙を流した。
ーー戦乱の爪痕は残るものの、エレブ大陸には平和が訪れた。
ーーフェレ家の食客として招かれたイドゥンはマーカスの手料理を食べ、日に日に感情を取り戻していく。
ーーこうして、かつて大賢者アトスが予知した暗い未来は訪れることなく、みな平穏な日々を過ごしたという……
42: 2016/01/07(木)23:10:06 ID:PXj
【聖騎士の誉れ】マーカス
戦争終結後、自らの精神力で海の刻印のチカラを棄却。元の老兵に戻る。
曰く、役目を終えたならばあるべき姿に戻る。私は人の子、世の理には逆らわぬ。と。
その後、後陣の指導と至高の料理に精を出したという。
43: 2016/01/07(木)23:10:41 ID:PXj
~fin~
44: 2016/01/07(木)23:15:26 ID:PXj
このSSはこれにて終了です。
某まとめサイトでGBA版FEのSS作者が久しぶりに投下してたの見つけて便乗した。
元ネタ分からない人申し訳ない。
ハードのマーカスは本当に頼りになるから全盛期はこれくらいやってくれるとか妄想してたら止まらなかった。
結局正月に投下する予定が今になっちまったぜ……
某まとめサイトでGBA版FEのSS作者が久しぶりに投下してたの見つけて便乗した。
元ネタ分からない人申し訳ない。
ハードのマーカスは本当に頼りになるから全盛期はこれくらいやってくれるとか妄想してたら止まらなかった。
結局正月に投下する予定が今になっちまったぜ……
引用: マーカス「海の刻印?」
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